説明

原子力発電プラント用機器サポート装置

【課題】荷重伝達装置の大型化を抑制すること。
【解決手段】原子力発電プラント用機器として例えば蒸気発生器SGの第1所定方向の移動を規制するサポート装置1であって、蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に配置されて、蒸気発生器SGから力を受けると共に、第1所定方向の力よりも小さい力であって、第1所定方向に角度を有する第2所定方向の力を生み出す荷重方向分解手段としてのリンク機構12と、入力される力の大きさが同じでも力が入力される速度が速いほど発生する抵抗力が大きくなる装置であって、リンク機構12から第2所定方向の力を受けて第2所定方向に伸縮できる荷重伝達装置としてのスナバー14とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電プラントで用いられる機器を支持する原子力発電プラント用機器サポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントは、地震が発生した場合でも安全を十分に確保できるように設計される。具体的には、原子力発電プラントは、例えば、原子力発電プラント用機器に水平方向に接触するサポート部材を備える。サポート部材は、原子力発電プラント用機器に向かって原子炉格納容器の壁面から突出する突起部である。
【0003】
ここで、例えば地震が発生した場合、サポート用の突起部は、原子力発電プラント用機器に水平方向で接触することで、原子力発電プラント用機器に働く水平方向の荷重を受ける。これにより、サポート用の突起部は、地震が発生した場合に原子力発電プラント用機器を支持する。しかしながら、原子力発電プラントは、原子力発電プラント用機器及び原子力発電プラント用機器同士を接続する配管が熱を受けることで、原子力発電プラント用機器及び配管が熱膨張する。これにより、原子力発電プラント用機器の支持点は、原子力発電プラント用機器自体及び配管が熱膨張した分、配管が熱膨張する前の位置から移動する。
【0004】
よって、サポート用の突起部は、原子力発電プラント用機器及び配管が熱膨張した際の原子力発電プラント用機器の位置にあわせて、原子力発電プラント用機器と接触するように形成される必要がある。ここで、サポート用の突起部と、原子力発電プラント用機器との間の隙間は、小さいほど好ましい。これは、仮に地震が発生した場合に、サポート用の突起部と、原子力発電プラント用機器との間の隙間が小さいほど、原子力発電プラント用機器が受ける荷重が低減されるためである。
【0005】
しかしながら、サポート用の突起部と原子力発電プラント用機器との隙間は、わずかであるが場合によって変化する。よって、サポート用の突起部と、原子力発電プラント用機器との間の隙間を完全に0にすることは困難である。そこで、例えば、特許文献1には、原子力発電プラント用機器である蒸気発生器にリングサポートを設け、荷重伝達装置としてのスナバーを介してリングサポートをコンクリート周壁に支持する技術が開示されている。ここで、荷重伝達装置は、入力される力の大きさが同じでも、力が入力される速度が速い場合に大きな抵抗力を発生し、前記速度が遅い場合には小さな抵抗力を発生するダンパー装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−134204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている技術は、原子力発電プラント用機器同士を接続する配管が熱膨張した場合にはスナバーが伸縮し、例えば地震が発生した場合にはスナバーの抵抗力が増大して原子力発電プラント用機器の移動を規制する。しかしながら、例えば蒸気発生器の質量は、300トン程度あるため、特許文献1に開示されている技術の場合、荷重伝達装置が大型化するおそれがある。
【0008】
荷重伝達装置が大型化すると、原子力発電プラント用機器サポート装置を設置するために要するスペースが増大する。また、荷重伝達装置のメンテナンス作業、例えば荷重伝達装置の取り外し作業や取り付け作業に要する手間が増大する。特に、蒸気発生器は一次系の機器であるため、荷重伝達装置の取り外し作業及び取り付け作業には、作業員の安全を確保するために作業時間などの制限が設けられる。よって、原子力発電プラント用機器の支持に荷重伝達装置を用いる場合、荷重伝達装置が大型化すると荷重伝達装置のメンテナンスに要する手間が特に増大する。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、荷重伝達装置の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、原子力発電プラント用機器の第1所定方向の移動を規制する原子力発電プラント用機器サポート装置であって、前記原子力発電プラント用機器と固定用基礎との間に配置されて、前記原子力発電プラント用機器から力を受けると共に、前記第1所定方向の前記力よりも小さい力であって、前記第1所定方向に角度を有する第2所定方向の力を生み出す荷重方向分解手段と、入力される力の大きさが同じでも前記力が入力される速度が速いほど発生する抵抗力が大きくなる装置であって、前記荷重方向分解手段から前記第2所定方向の前記力を受けて前記第2所定方向に伸縮できる荷重伝達装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、荷重伝達装置が受ける力の大きさが、荷重伝達装置が第1所定方向に伸縮するように配置される場合よりも小さくなる。これにより、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、荷重伝達装置の大型化を抑制できる。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記荷重方向分解手段は、前記原子力発電プラント用機器と前記固定用基礎との間のうち、前記原子力発電プラント用機器側に配置される第1リンクと、前記固定用基礎に取り付けられる第2リンクとが、互いに回動できるように連結されるリンク機構であることが望ましい。
【0013】
上記構成により、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、荷重方向分解手段が、原子力発電プラント用機器から力を受けると共に、第1所定方向の力の成分を分解することで、第2所定方向の力を作り出せる。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記荷重伝達装置は、一方の端部が前記リンク機構に取り付けられ、他方の端部が前記固定用基礎に取り付けられることが望ましい。
【0015】
上記構成により、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置の荷重伝達装置は、リンク機構を介して伝えられる荷重に対する反力を、固定用基礎から受けることができる。これにより、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置の荷重伝達装置は、原子力発電プラント用機器の移動を規制できる。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記リンク機構は、互いに反する方向に折れ曲がる第1リンク機構と第2リンク機構とを含んで構成され、前記荷重伝達装置は、一方の端部が前記第1リンク機構に連結され、他方の端部が前記第2リンク機構に連結されることが望ましい。
【0017】
上記構成により、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、第1リンク機構から荷重伝達装置に伝わる荷重の方向と、第2リンク機構から荷重伝達装置に伝わる荷重の方向とが反対となる。これにより、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、荷重伝達装置が固定用基礎に取り付けられなくても、荷重伝達装置に原子力発電プラント用機器の移動を規制させることができる。
【0018】
本発明の好ましい態様としては、前記リンク機構は、前記原子力発電プラント用機器に連結されることが望ましい。
【0019】
上記構成により、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、原子力発電プラント用機器が固定用基礎から離れる方向に移動しようとした場合も、原子力発電プラント用機器を支持できる。
【0020】
本発明の好ましい態様としては、前記リンク機構は、前記原子力発電プラント用機器に接触して設けられ、前記原子力発電プラント用機器サポート装置は、前記リンク機構の一部のうち、前記原子力発電プラント用機器と対向する部分を前記原子力発電プラント用機器に押し付ける押付力発生手段を備えることが望ましい。
【0021】
上記構成により、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、原子力発電プラント用機器が固定用基礎から離れる方向に移動した場合に、押付力発生手段がリンク機構に与える力によって、荷重伝達装置が伸縮してリンク機構の一部のうち、原子力発電プラント用機器サポート装置と対向する部分が原子力発電プラント用機器に押し付けられる。
【0022】
これにより、リンク機構の一部のうち、原子力発電プラント用機器サポート装置と対向する部分は、原子力発電プラント用機器を追従するように移動する。よって、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、リンク機構の一部のうち、原子力発電プラント用機器サポート装置と対向する部分と原子力発電プラント用機器との間の隙間を低減できる。
【0023】
よって、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、リンク機構が原子力発電プラント用機器に連結される必要がない。これにより、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、例えば、メンテナンスの際に原子力発電プラント用機器から取り外しされる必要がない分、容易に取り外しされる。また、例えば、原子力発電プラント用機器にリンク機構を取り付けるための取付部を形成できない場合であっても、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、原子力発電プラント用機器と固定用基礎との間に配置されることができる。
【0024】
本発明の好ましい態様としては、
前記荷重方向分解手段は、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第1リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第2リンク機構とを有し、
前記荷重伝達手段は、
圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けると拡張する体積可変の第1容器及び第2容器と、前記第1容器と前記第2容器を連通する管路と、前記第1容器と前記第2容器と前記管路に充填されたダイラタント流体を有し、
前記第1容器は前記第1リンク機構が折れ曲がったときに引っ張り力を受ける状態で前記第1リンク機構に連結され、前記第2容器は前記第2リンク機構が折れ曲がったときに圧縮力を受ける状態で前記第2リンク機構に連結されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の好ましい態様としては、
前記荷重方向分解手段は、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第1リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第2リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第3リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第4リンク機構とを有し、
前記第1リンク機構と前記第2リンク機構は折れ曲がる際に両者のジョイントが互いに離れる方向に移動するように配置され、前記第3リンク機構と前記第4リンク機構は折れ曲がる際に両者のジョイントが互いに近づく方向に移動するように配置されており、
前記荷重伝達手段は、
圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けると拡張する体積可変の第1容器及び第2容器と、前記第1容器と前記第2容器を連通する管路と、前記第1容器と前記第2容器と前記管路に充填されたダイラタント流体を有し、
前記第1容器は一端が前記第1リンク機構に連結されると共に他端が前記第2リンク機構に連結され、前記第2容器は一端が前記第3リンク機構に連結されると共に他端が前記第4リンク機構に連結されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の好ましい態様としては、
前記荷重方向分解手段は、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第1リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第2リンク機構と
を有し、
前記第1リンク機構と前記第2リンク機構は折れ曲がる際に両者のジョイントが互いに離れる方向に移動するように配置されており、
前記荷重伝達手段は、
圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けると拡張する体積可変の第1容器及び第2容器と、前記第1容器と前記第2容器を連通する管路と、前記第1容器と前記第2容器と前記管路に充填されたダイラタント流体を有し、
前記第1容器は一端が前記第1リンク機構に連結されると共に他端が前記第2リンク機構に連結され、前記第2容器は一端が前記第2リンク機構に連結されると共に他端が前記固定用基礎に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、荷重伝達装置の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、原子炉圧力容器と、蒸気発生器と、ポンプとを示す斜視図である。
【図2】図2は、蒸気発生器の側面を正面に示す概略図である。
【図3】図3は、実施形態1のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図4】図4は、スナバーに伝わる荷重の大きさを示す説明図である。
【図5】図5は、実施形態2のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図6】図6は、実施形態3のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図7】図7は、実施形態4のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図8】図8は、実施形態5のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図9】図9は、変形例のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図10】図10は、実施形態6のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図11】図11は、実施形態7のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【図12】図12は、実施形態8のサポート装置を拡大して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0030】
(実施形態1)
図1は、原子炉圧力容器と、蒸気発生器と、ポンプとを示す斜視図である。図1に示すように、原子力発電プラントは、原子炉格納容器内に、原子炉圧力容器RVと、蒸気発生器SGと、ポンプRCPとを備える。原子炉圧力容器RVは、原子炉格納容器の基礎に固定される。蒸気発生器SGは、原子炉圧力容器RVの近傍に設けられて、原子炉圧力容器RVと配管PAで接続される。ポンプRCPは、蒸気発生器SGの近傍に設けられて、蒸気発生器SGと配管PAで接続されると共に、原子炉圧力容器RVとも配管PAで接続される。
【0031】
ここで、原子炉圧力容器RVが原子炉格納容器の基礎に固定されるのに対して、蒸気発生器SG及びポンプRCPは、原子炉格納容器の基礎に固定はされない。蒸気発生器SG及びポンプRCPは、配管PAが熱膨張した際に移動できるように、それぞれ回動脚11を介して原子炉格納容器の基礎に据え付けられる。回動脚11は、一方の端部が回動できるように基礎に連結され、他方の端部が回動できるように蒸気発生器SGやポンプRCPに連結される。
【0032】
これは、配管PAが熱膨張することにより、蒸気発生器SG及びポンプRCPが原子炉圧力容器RVから放れる方向に力を受けるためである。なお、配管PAの温度が低下すると、蒸気発生器SG及びポンプRCPは、原子炉圧力容器RVに近づく方向に力を受ける。よって、蒸気発生器SG及びポンプRCPは、配管PAが熱膨張した際に回動脚11が回動し、蒸気発生器SG及びポンプRCPが移動できるように、それぞれ回動脚11を介して原子炉格納容器の基礎に据え付けられる。ここで、蒸気発生器SG及びポンプRCPは、回動脚11以外に、原子力発電プラント用機器サポート装置としてのサポート装置によっても支持される。以下にサポート装置の構成を説明する。
【0033】
図2は、蒸気発生器の側面を正面に示す概略図である。以下、サポート装置1が支持する原子力発電プラント用機器を、蒸気発生器SGとして説明するが、サポート装置1が支持する原子力発電プラント用機器は、蒸気発生器SGに限定されず、例えばポンプRCPでもよい。図2に示すように、蒸気発生器SGは、周囲に固定用基礎WBが設置される。固定用基礎WBは、蒸気発生器SGを囲むように設けられる。
【0034】
サポート装置1は、蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に配置される。本実施形態では、サポート装置1は、複数設けられる。具体的には、サポート装置1は、例えば、蒸気発生器SGの中心軸方向、つまり鉛直方向で三段に分けて設けられる。サポート装置1は、各段に、蒸気発生器SGの側周部の周方向に例えば6個設けられる。このようにして、本実施形態の蒸気発生器SGは、合計12個のサポート装置1によって、固定用基礎WBに支持される。
【0035】
図3は、実施形態1のサポート装置を拡大して示す概略図である。サポート装置1は、荷重方向分解手段としてのリンク機構12と、荷重伝達装置としてのスナバー14とを含んで構成される。リンク機構12は、第1リンク121と、第2リンク122とを含んで構成される。第1リンク121は、蒸気発生器SG側に配置され、第2リンク122は、固定用基礎WB側に配置される。第1リンク121と、第2リンク122は、ジョイント13で互いに回動できるように連結される。
【0036】
第1リンク121は、ジョイント13とは反対側の端部121aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。具体的には、第1リンク121の端部121aは、蒸気発生器SGに形成される取付部15aに連結される。このように、ここでは取付部15aを蒸気発生器SGの一部として取り扱う。第2リンク122は、ジョイント13とは反対側の端部122aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。具体的には、第1リンク121の端部122aは、固定用基礎WBに形成される取付部15bに連結される。ここでは取付部15bを固定用基礎WBの一部として取り扱う。
【0037】
ここで、本実施形態では、サポート装置1は、例えば、端部121aと端部122aとを結ぶ仮想の線が、水平になるように蒸気発生器SGに取付部15aが形成され、固定用基礎WBに取付部15bが形成される。しかしながら、サポート装置1は、端部121aと端部122aとを結ぶ仮想の線が、必ずしも水平にならなくてもよい。端部121aと端部122aとを結ぶ仮想の線が水平に対して傾斜する場合のサポート装置の具体的な構成は、後述する実施形態2で説明する。
【0038】
また、図3に示すサポート装置1は、リンク機構12が鉛直方向上側に向かって山となって折れ曲がるように、第1リンク121と第2リンク122とが連結される。しかしながら、サポート装置1は、図2に示すように、リンク機構12が鉛直方向下側に向かって谷となって折れ曲がるように、第1リンク121と第2リンク122とが連結されてもよい。
【0039】
スナバー14は、例えば、シリンダとピストンとを含んで構成される油圧式のダンパー装置である。また、スナバー14は、油圧式に限定されず、メカニカルスナバーと呼ばれる機械式の荷重伝達装置であってもよい。スナバー14は、図1に示す配管PAが熱膨張した場合のように、蒸気発生器SGの位置が徐々に変化しようとする場合には伸縮する。しかしながら、スナバー14は、地震が発生した場合のように、蒸気発生器SGが急激に変化しようとする場合には、蒸気発生器SGの位置が徐々に変化しようとする場合よりも抵抗力が増大して蒸気発生器SGの移動を規制する。ここで、図3に示すように、蒸気発生器SGが固定用基礎WBに近づく方向及び蒸気発生器SGが固定用基礎WBから離れる方向を第1所定方向Aとする。なお、本実施形態では、第1所定方向Aは水平方向と一致する。
【0040】
スナバー14は、リンク機構12と回動できるように連結される。スナバー14は、例えば、リンク機構12のジョイント13に連結される。また、スナバー14は、ジョイント13とは反対側の端部14aが、固定用基礎WBの突起部WBaに回動できるように連結される。突起部WBaは、蒸気発生器SGに向かって、固定用基礎WBから例えば水平に張出して形成される。なお、ここでは突起部WBaを固定用基礎WBの一部として取り扱う。これにより、スナバー14は、第1所定方向Aに対して直交する第2所定方向B、本実施形態では鉛直方向に伸縮する。
【0041】
スナバー14が突起部WBaに連結されることにより、スナバー14は、リンク機構12を介して伝えられる力に対する反力を、固定用基礎WBの一部である突起部WBaから受けることができる。これにより、サポート装置1は、スナバー14が蒸気発生器SGの第1所定方向Aの移動を規制できる。
【0042】
図4は、スナバーに伝わる力の大きさを示す説明図である。図4に示す力F01は、サポート装置1に伝わる第1所定方向Aの力の大きさを示す。力F02は、サポート装置1に伝わる第1リンク121の長手方向の力の大きさを示す。力F03は、サポート装置1に伝わる第2所定方向Bの力の大きさを示す。ここで、図3に示す第1リンク121と第1所定方向Aとが成す角度をθとすると、力F03は、F01・tanθとなる。
【0043】
よって、この場合、θが45度よりも小さい角度であれば、力F03は、力F01より小さくなる。つまり、サポート装置1は、θが45度よりも小さい角度であれば、スナバー14が第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられる場合よりも、リンク機構12を介してスナバー14が設けられる方が、スナバー14が受ける力を低減できる。これにより、サポート装置1は、スナバー14に必要とされる荷重容量を低減できる。結果として、サポート装置1は、スナバー14の大型化を抑制できる。
【0044】
このように、サポート装置1は、サポート装置1が受ける力のうち第1所定方向Aよりも第2所定方向Bの力の大きさが小さくなるようにリンク機構が配置されると共に、第2所定方向Bに伸縮するように、スナバー14がリンク機構12を介して蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に配置される。これにより、サポート装置1は、スナバー14が受ける力を低減し、スナバー14の大型化を抑制できる。
【0045】
ここで、スナバー14は、必ずしもジョイント13に連結されなくてもよい。スナバー14は、第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられる場合よりも受ける力が小さくなるのであれば、リンク機構12の部分のうち、端部121a及び端部122a以外の部分、つまり端部121aまたは端部122aと、ジョイント13との間に連結されてもよい。但し、この場合、スナバー14とリンク機構12との連結部が端部121aまたは端部122aに近づくほど、てこの原理によってスナバー14が受ける力が大きくなる。よって、スナバー14は、ジョイント13に連結されるとより好ましい。この構成でも、サポート装置1は、スナバー14が受ける力を低減できる。よってサポート装置1は、スナバー14の大型化を抑制できる。
【0046】
(実施形態2)
図5は、実施形態2のサポート装置を拡大して示す概略図である。実施形態2のサポート装置2は、図3に示す突起部WBaを必要としない点に特徴がある。サポート装置2は、図5に示すように、荷重方向分解手段としてのリンク機構22と、荷重伝達装置としてのスナバー24とを含んで構成される。リンク機構22は、第1リンク221と、第2リンク222とを含んで構成される。第1リンク221は、蒸気発生器SG側に配置され、第2リンク222は、固定用基礎WB側に配置される。第1リンク221と、第2リンク222は、ジョイント23で互いに回動できるように連結される。
【0047】
第1リンク221は、ジョイント23とは反対側の端部221aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。第2リンク222は、ジョイント23とは反対側の端部222aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。ここで、サポート装置2は、例えば、端部221aと端部222aとを結ぶ仮想の線が、水平にならない。このように、リンク機構は、端部221aと端部222aとを結ぶ仮想の線が必ずしも水平にならなくてもよい。
【0048】
スナバー24は、リンク機構22と回動できるように連結される。スナバー24は、例えば、リンク機構22のジョイント23に連結される。また、スナバー24は、ジョイント23とは反対側の端部24aが、固定用基礎WBに回動できるように連結される。これにより、スナバー24は、第1所定方向Aに対して角度を有する第2所定方向Cに伸縮する。ここで、第2所定方向Cは、第1所定方向Aに対して直交する方向ではない。つまり、第2所定方向Cは、鉛直方向ではない。このように、スナバーは、必ずしも鉛直方向に伸縮しなくてもよい。
【0049】
上記構成により、蒸気発生器SGからサポート装置2に伝わる力は、第1所定方向Aの力よりも第2所定方向Cの力の方が小さくなるように力の成分が分解される。これにより、サポート装置2は、第2所定方向Cの力を作り出せる。よって、第1所定方向Aに伸縮するようにスナバー24が取り付けられるよりも、第2所定方向Cに伸縮するようにスナバー24が設けられる方が、スナバー24が受ける力を低減できる。これにより、サポート装置2は、スナバー24に必要とされる荷重容量を低減できる。結果として、サポート装置2は、スナバー24の大型化を抑制できる。
【0050】
また、サポート装置2は、スナバー24が図3に示す突起部WBaに取り付けられずに、第2リンク222が取り付けられる面と同じ面である固定用基礎WBにスナバー24が取り付けられる。これにより、サポート装置2は、突起部WBaを必要としない分、取り付けられやすくなる。
【0051】
また、図5に示すサポート装置2は、端部221aと端部222aとを結ぶ仮想の線が水平に対して傾斜する。これにより、サポート装置2は、実施形態1のリンク機構12とリンクの長さが同じであっても、蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に取り付けられる際に要する蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間の水平方向の距離を低減できる。つまり、サポート装置2は、より狭い空間に取り付けられることができる。
【0052】
ここで、図5に示すサポート装置2は、スナバー24の端部24aが固定用基礎WBに連結されるが、サポート装置2は、例えば、スナバー24の端部24aが蒸気発生器SGに連結されてもよい。この場合も、スナバー24は、第1所定方向Aに対して角度を有する第2所定方向に伸縮するように設けられる。この構成でも、サポート装置2は、スナバー24の大型化を抑制できる。
【0053】
(実施形態3)
図6は、実施形態3のサポート装置を拡大して示す概略図である。実施形態3のサポート装置3は、スナバーが固定用基礎WBに取り付けられない点に特徴がある。サポート装置3は、図6に示すように、リンク機構30が第1リンク機構としての甲リンク機構31と、第2リンク機構としての乙リンク機構32との2つで構成される。
【0054】
甲リンク機構31は、甲第1リンク311と、甲第2リンク312とを含んで構成される。甲第1リンク311は、蒸気発生器SG側に配置され、甲第2リンク312は、固定用基礎WB側に配置される。甲第1リンク311と、甲第2リンク312は、甲ジョイント33で互いに回動できるように連結される。甲第1リンク311は、甲ジョイント33とは反対側の端部311aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。甲第2リンク312は、甲ジョイント33とは反対側の端部312aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
【0055】
乙リンク機構32は、乙第1リンク321と、乙第2リンク322とを含んで構成される。乙第1リンク321は、蒸気発生器SG側に配置され、乙第2リンク322は、固定用基礎WB側に配置される。乙第1リンク321と、乙第2リンク322は、乙ジョイント34で互いに回動できるように連結される。乙第1リンク321は、乙ジョイント34とは反対側の端部321aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。乙第2リンク322は、乙ジョイント34とは反対側の端部322aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
【0056】
乙リンク機構32は、甲リンク機構31が折れ曲がる方向とは反対方向に折れ曲がる。つまり、乙リンク機構32は、折れ曲がる際に、甲ジョイント33が移動する方向とは反対方向に乙ジョイント34が移動する。本実施形態では、リンク機構30は、折れ曲がる際に甲ジョイント33と乙ジョイント34とが互いに離れる方向に移動するように構成される。
【0057】
荷重伝達装置としてのスナバー35は、一方の端部35aが甲リンク機構31に取り付けられ、他方の端部35bが乙リンク機構32に取り付けられる。本実施形態では、スナバー35は、例えば、一方の端部35aが甲ジョイント33に取り付けられ、他方の端部35bが乙ジョイント34に取り付けられる。これにより、スナバー35は、リンク機構30が折れ曲がると、甲リンク機構31と乙リンク機構32との間で第1所定方向Aに角度を有する第2所定方向B、例えば鉛直方向に伸縮する。
【0058】
但し、スナバー35は、必ずしもジョイントに連結されなくてもよい。スナバー35は、第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられる場合よりも受ける力が小さくなるのであれば、端部35aが、甲リンク機構31の部分のうち、端部311a及び端部312a以外の部分、つまり端部311aまたは端部312aと甲ジョイント33との間に連結されてもよい。また、スナバー35は、第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられる場合よりも受ける力が小さくなるのであれば、端部35bが、端部321a及び端部322a以外の部分、つまり、端部321aまたは端部322aと乙ジョイント34との間に連結されてもよい。
【0059】
ここで、サポート装置3は、甲リンク機構31からスナバー35に伝わる力の方向と、乙リンク機構32からスナバー35に伝わる力の方向とが反対となる。これにより、サポート装置3は、スナバー35が固定用基礎WBに取り付けられなくても、スナバー35が蒸気発生器SGの第1所定方向Aの移動を規制できる。
【0060】
上記構成により、蒸気発生器SGからサポート装置3に伝わる力は、第1所定方向Aの力よりも第2所定方向Bの力の方が小さくなるように力の成分が分解される。これにより、サポート装置3は、第2所定方向Bの力を作り出せる。よって、スナバー35が第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられるよりも、スナバー35が第2所定方向Bに伸縮するように取り付けられる方が、サポート装置3は、スナバー35が受ける力を低減できる。これにより、サポート装置3は、スナバー35に必要とされる荷重容量を低減できる。結果として、サポート装置3は、スナバー35の大型化を抑制できる。
【0061】
また、サポート装置3は、スナバー35が図3に示す突起部WBaや固定用基礎WBに取り付けられない。これにより、サポート装置3は、例えば、固定用基礎WBに突起部WBaや取付部を形成するスペースがない場合であっても、スナバー35が蒸気発生器SGの第1所定方向Aの移動を規制できる。
【0062】
(実施形態4)
図7は、実施形態4のサポート装置を拡大して示す概略図である。実施形態4のサポート装置4は、荷重方向分解手段としてのリンク機構30が蒸気発生器SGに連結されていない点に特徴がある。サポート装置4は、図6に示すサポート装置3と似た構成であるが、新たに、接触部材41と、押付力発生手段としてのバネ42とを備える。接触部材41は、蒸気発生器SGの表面の形状に合わせて形成された部材である。接触部材41は、蒸気発生器SGに固定されない。接触部材41は、蒸気発生器SGに接触でき、かつ、蒸気発生器SGから離れることができる。
【0063】
サポート装置4は、甲リンク機構31の端部311a及び乙リンク機構32の端部321aに接触部材41が回動できるように取り付けられる。またサポート装置4は、甲リンク機構31と乙リンク機構32との間に、バネ42が設けられる。バネ42は、接触部材41が蒸気発生器SGに押し付けられるように、甲リンク機構31及び乙リンク機構32を折り曲げる力を甲リンク機構31及び乙リンク機構32に与える。なお、バネ42が発生させる力は、スナバー35を伸縮させるために必要な力よりも大きい。
【0064】
上記構成により、サポート装置4は、蒸気発生器SGが固定用基礎WBから離れる方向に移動した場合に、バネ42がリンク機構に与える力によって、スナバー35が伸縮して接触部材41が蒸気発生器SGに押し付けられる。これにより、接触部材41は、蒸気発生器SGを追従するように移動する。よって、サポート装置4は、接触部材41と蒸気発生器SGとの間の隙間を低減できる。なお、図7には、接触部材41と蒸気発生器SGとの間に隙間が描かれているが、これは説明の便宜上描かれたものである。
【0065】
このように構成されることにより、サポート装置4は、リンク機構30が蒸気発生器SGに連結される必要がない。これにより、サポート装置4は、例えば、メンテナンスの際に蒸気発生器SGから取り外しされる必要がない分、容易に取り外しされる。また、例えば、蒸気発生器SGにリンク機構を取り付けるための取付部を形成できない場合であっても、サポート装置4は、蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に配置されることができる。
【0066】
一方、図6に示すサポート装置3のように、リンク機構30が蒸気発生器SGに連結される場合、サポート装置3は、蒸気発生器SGが固定用基礎WBから離れる方向に移動しようとした場合も、蒸気発生器SGを支持できる。
【0067】
(実施形態5)
図8は、実施形態5のサポート装置を拡大して示す概略図である。実施形態5のサポート装置5は、荷重方向分解手段としてのリンク機構50が略M字型に形成される点に特徴がある。サポート装置5は、図8に示すように、リンク機構50が第1リンク機構としての甲リンク機構51と、第2リンク機構としての乙リンク機構52との2つで構成される。
【0068】
甲リンク機構51は、甲第1リンク511と、甲第2リンク512とを含んで構成される。甲第1リンク511は、蒸気発生器SG側に配置され、甲第2リンク512は、固定用基礎WB側に配置される。甲第1リンク511と、甲第2リンク512とは、甲ジョイント53で互いに回動できるように連結される。甲第1リンク511は、甲ジョイント53とは反対側の端部511aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。
【0069】
ここで、甲リンク機構51は、甲ジョイント53とは反対側の端部512aが、甲ジョイント53よりも蒸気発生器SG側に配置される。これにより、甲リンク機構51は、蒸気発生器SG側に折り返すように畳まれた形状をなす。また、固定用基礎WBは、突起部WBbが形成される。突起部WBbは、蒸気発生器SGに向かって、固定用基礎WBから例えば水平に張出して形成される。甲第2リンク512は、甲ジョイント53とは反対側の端部512aが、突起部WBbに回動できるように連結される。
【0070】
乙リンク機構52は、乙第1リンク521と、乙第2リンク522とを含んで構成される。乙第1リンク521は、蒸気発生器SG側に配置され、乙第2リンク522は、固定用基礎WB側に配置される。乙第1リンク521と、乙第2リンク522とは、乙ジョイント54で互いに回動できるように連結される。乙第1リンク521は、乙ジョイント54とは反対側の端部521aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。
【0071】
ここで、乙リンク機構52は、乙ジョイント54とは反対側の端部522aが、乙ジョイント54よりも蒸気発生器SG側に配置される。これにより、乙リンク機構52は、蒸気発生器SG側に折り返すように畳まれた形状をなす。また、固定用基礎WBは、突起部WBbが形成される。突起部WBbは、蒸気発生器SGに向かって、固定用基礎WBから例えば水平に張出して形成される。乙第2リンク522は、乙ジョイント54とは反対側の端部522aが、突起部WBbに回動できるように連結される。
【0072】
リンク機構50は、蒸気発生器SGから固定用基礎WBに向かって、甲第1リンク511と乙第1リンク521との間の距離が小さくなるように設けられる。また、リンク機構50は、蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間の距離が変化する際に、甲ジョイント53が移動する方向が、乙ジョイント54が移動する方向とは反対方向となる。具体的には、蒸気発生器SGが固定用基礎WBに近づくと、甲ジョイント53及び乙ジョイント54は互いに近づく方向に移動する。また、蒸気発生器SGが固定用基礎WBから遠ざかると、甲ジョイント53及び乙ジョイント54は甲ジョイント53及び乙ジョイント54は互いに遠ざかる方向に移動する。
【0073】
荷重伝達装置としてのスナバー55は、一方の端部55aが甲リンク機構51に取り付けられ、他方の端部55bが乙リンク機構52に取り付けられる。本実施形態では、スナバー55は、例えば、一方の端部55aが甲ジョイント53に取り付けられ、他方の端部55bが乙ジョイント54に取り付けられる。これにより、スナバー55は、リンク機構50が折れ曲がると、甲リンク機構51と乙リンク機構52との間で第1所定方向Aに角度を有する第2所定方向B、例えば鉛直方向に伸縮する。
【0074】
但し、スナバー55は、必ずしもジョイントに連結されなくてもよい。スナバー55は、第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられる場合よりも受ける力が小さくなるのであれば、端部55aが、甲リンク機構51の部分のうち、端部511a及び端部512a以外の部分、つまり端部511aまたは端部512aと甲ジョイント53との間に連結されてもよい。また、スナバー55は、第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられる場合よりも受ける力が小さくなるのであれば、端部55bが、端部521a及び端部522a以外の部分、つまり、端部521aまたは端部522aと乙ジョイント54との間に連結されてもよい。
【0075】
上記構成により、サポート装置5は、リンク機構50が蒸気発生器SG側に折り返される形状となるため、第1所定方向Aの寸法が低減される。これにより、サポート装置5は、蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に取り付けられる際に要する蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間の第1所定方向Aの距離を低減できる。つまり、サポート装置5は、より狭い空間に取り付けられることができる。
【0076】
(変形例)
図9は、変形例のサポート装置を拡大して示す概略図である。変形例のサポート装置6は、リンク機構50の形状が図8に示すサポート装置5と異なる。サポート装置6は、蒸気発生器SGから固定用基礎WBに向かって、甲第1リンク511と乙第1リンク521との間の距離が大きくなるように設けられる。
【0077】
これにより、サポート装置6は、蒸気発生器SGに形成される取付部61の大きさを、図8に示すサポート装置5よりも小さくできる。よって、サポート装置6は、蒸気発生器SGの部分のうち、リンク機構50を蒸気発生器SGに取り付けるために必要なスペースを低減できる。
【0078】
但し、図8に示すサポート装置5は、図9に示すサポート装置6よりも伸縮方向の長さが低減される。よって、蒸気発生器SGに十分なスペースを確保できる場合は、図8に示すサポート装置5が蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に設けられ、蒸気発生器SGに十分なスペースを確保できない場合は、図9に示すサポート装置6が蒸気発生器SGと固定用基礎WBとの間に設けられると好ましい。
【0079】
(実施形態6)
図10は、実施形態6のサポート装置を拡大して示す概略図である。この実施形態6及び後述する実施形態7,8では、荷重伝達装置(スナバー)としてダイラタント流体を利用した装置を採用していることが、前述した実施形態1〜5と大きく異なっている。
【0080】
実施形態6のサポート装置7は、荷重方向分解手段としてのリンク機構70と、荷重伝達装置としてのスナバー75を含んで構成される。
【0081】
リンク機構70は、第1リンク機構71と第2リンク機構72の2つで構成される。
【0082】
第1リンク機構71は、リンク711とリンク712とを含んで構成される。リンク711は蒸気発生器SG側に配置され、リンク712は固定用基礎WB側に配置される。リンク711とリンク712は、ジョイント713で互いに回動できるように連結される。リンク711は、ジョイント713とは反対側の端部711aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク712は、ジョイント713とは反対側の端部712aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第1リンク機構71が鉛直方向上側に向かって山となって折れ曲がるように、リンク711とリンク712とが連結される。
【0083】
第2リンク機構72は、リンク721と、リンク722とを含んで構成される。リンク721は蒸気発生器SG側に配置され、リンク722は固定用基礎WB側に配置される。リンク721とリンク722は、ジョイント723で互いに回動できるように連結される。リンク721は、ジョイント723とは反対側の端部721aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク722は、ジョイント723とは反対側の端部722aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第2リンク機構72が鉛直方向下側に向かって谷となって折れ曲がるように、リンク721とリンク722とが連結される。
【0084】
第2リンク機構72は、第1リンク機構71が折れ曲がる方向とは反対方向に折れ曲がる。つまり、第2リンク機構72は、折れ曲がる際に、ジョイント713が移動する方向とは反対方向にジョイント723が移動する。
即ち、蒸気発生器SGが固定用基礎WBに近づいて、第1リンク機構71及び第2リンク機構72が折れ曲がる際に、第1リンク機構71のジョイント713と第2リンク機構72のジョイント723とが互いに離れる方向に移動するように配置される。
【0085】
なお、図10において、Aは第1所定方向であり、Bは第2所定方向であり、第1所定方向Aに対して第2所定方向Bが直行している。
そして、リンク711と第1所定方向Aとが成す角度をθ、リンク721と第1所定方向Aとが成す角度をθとすると、θが45度よりも小さい角度となるように、リンク機構71,72が配置される。この結果、サポート装置7は、サポート装置7が受ける力のうち第1所定方向Aよりも第2所定方向Bの力の大きさが小さくなるようにリンク機構70が配置されていることになる。
【0086】
荷重伝達装置としてのスナバー75は、第1容器751と、第2容器752と、第1容器751と第2容器752とを連通する管路753と、第1容器751と第2容器752と管路753に充填されたダイラタント流体とで構成される。
第1容器751と第2容器752は、圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けと拡張する体積可変の容器であり、たとえばベローズ等により構成される。
なお、ダイラタント流体は、剪断速度が遅いと粘度は小さいが剪断速度が速くなると急激に粘度が大きくなる、非圧縮性の流体である。換言すると、ダイラタント流体は、急激な変形に対しては固体的に振る舞い、ゆっくりとした変形に対しては流動性を示す液体である。
【0087】
第1容器751は、その一端751aが、第1リンク機構71に回動自在に連結される。具体的には、第1容器751はその一端751aが、第1リンク機構71のジョイント713に回動自在に連結される。
また、第1容器751は、その他端751bが、固定部WBb1に連結されている。固定部WBb1は、図示しない部材を介して固定用基礎WBに固定されている。この結果、第1容器751の他端751bは、固定部WBb1を介して固定用基礎WBに固定される。
【0088】
このように、第1容器751は、第2所定方向Bに沿い伸縮することができるように、配置されている。
この場合、リンク711と第1所定方向Aとが成す角度θを、45度よりも小さい角度となるように配置しているため、第1リンク機構71に第1所定方向Aの力が作用したときに、第2所定方向Bに分解されて第1容器751に作用する力は、第1所定方向Aの力よりも小さくなる。
【0089】
第2容器752は、その一端752aが、第2リンク機構72に回動自在に連結される。具体的には、第2容器752はその一端752aが、第2リンク機構72のジョイント723に回動自在に連結される。
また、第2容器752は、その他端752bが、固定部WBb2連結されている。固定部WBb2は、図示しない部材を介して固定用基礎WBに固定されている。この結果、第2容器752の他端752bは、固定部WBb2を介して固定用基礎WBに固定される。
【0090】
このように、第2容器752は、第2所定方向Bに沿い伸縮することができるように、配置されている。
この場合、リンク721と第1所定方向Aとが成す角度θを、45度よりも小さい角度となるように配置しているため、第2リンク機構72に第1所定方向Aの力が作用したときに、第2所定方向Bに分解されて第2容器752に作用する力は、第1所定方向Aの力よりも小さくなる。
【0091】
蒸気発生器SGが固定用基礎WBに向かってゆっくりと近づくと、第1リンク機構71のリンク711とリンク712とで成す折れ曲がり角度δ1が小さくなり、第1容器751に引っ張り力が作用して第1容器751は拡張して体積が大きくなり、第2リンク機構72のリンク721とリンク722とで成す折れ曲がり角度δ2が小さくなり、第2容器752に圧縮力が作用して第2容器752は縮んで体積が小さくなる。このため第2容器752内のダイラタント流体は、管路753を介して第1容器751側に向かって流入する。
【0092】
逆に、蒸気発生器SGが固定用基礎WBからゆっくりと離れると、第1リンク機構71のリンク711とリンク712とで成す折れ曲がり角度δ1が大きくなり、第1容器751に圧縮力が作用して第1容器751は縮んで体積が小さくなり、第2リンク機構72のリンク721とリンク722とで成す折れ曲がり角度δ2が大きくなり、第2容器752に引っ張り力が作用して第2容器752は拡張して体積が大きくなる。このため第1容器751内のダイラタント流体は、管路753を介して第2容器752側に向かって流入する。
【0093】
地震の発生などにより、蒸気発生器SGの位置が急激に変化して、リンク機構71,72を介して容器751,752に第2所定方向Bに沿う力が急激に作用した場合には、ダイラタント流体の粘度が急激に上昇するため、容器751,752は伸縮が規制される。この結果、蒸気発生器SGの第1所定方向Aの移動を効果的に規制することができる。
【0094】
上記構成により、蒸気発生器SGからサポート装置7に伝わる力は、第1所定方向Aの力よりも第2所定方向Bの力の方が小さくなるように力の成分が分解される。これにより、サポート装置7は、第2所定方向Bの力を作り出せる。よって、スナバー75の容器751,752が第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられるよりも、スナバー75の容器751,752が第2所定方向Bに伸縮するように取り付けられる方が、サポート装置7は、スナバー75が受ける力を低減できる。これにより、サポート装置7は、スナバー75に必要とされる荷重容量を低減できる。結果として、サポート装置7は、スナバー75の大型化を抑制できる。
【0095】
(実施形態7)
図11は、実施形態7のサポート装置を拡大して示す概略図である。
実施形態7のサポート装置8は、荷重方向分解手段としてのリンク機構80と、荷重伝達装置としてのスナバー85を含んで構成される。
【0096】
リンク機構80は、第1リンク機構81と第2リンク機構82と第3リンク機構83と第4リンク機構84の4つで構成される。
本実施形態では、垂直方向の上側から下側に向かって、第3リンク機構83、第4リンク機構84、第1リンク機構81、第2リンク機構82が順に配置されている。
【0097】
第1リンク機構81は、リンク811とリンク812とを含んで構成される。リンク811は蒸気発生器SG側に配置され、リンク812は固定用基礎WB側に配置される。リンク811とリンク812は、ジョイント813で互いに回動できるように連結される。リンク811は、ジョイント813とは反対側の端部811aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク812は、ジョイント813とは反対側の端部812aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第1リンク機構81が鉛直方向上側に向かって山となって折れ曲がるように、リンク811とリンク812とが連結される。
【0098】
第2リンク機構82は、リンク821と、リンク822とを含んで構成される。リンク821は蒸気発生器SG側に配置され、リンク822は固定用基礎WB側に配置される。リンク821とリンク822は、ジョイント823で互いに回動できるように連結される。リンク821は、ジョイント823とは反対側の端部821aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク822は、ジョイント823とは反対側の端部822aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第2リンク機構82が鉛直方向下側に向かって谷となって折れ曲がるように、リンク821とリンク822とが連結される。
【0099】
第2リンク機構82は、第1リンク機構81が折れ曲がる方向とは反対方向に折れ曲がる。つまり、第2リンク機構82は、折れ曲がる際に、ジョイント813が移動する方向とは反対方向にジョイント823が移動する。
即ち、蒸気発生器SGが固定用基礎WBに近づいて、第1リンク機構81及び第2リンク機構82が折れ曲がる際に、第1リンク機構81のジョイント813と第2リンク機構82のジョイント823とが互いに離れる方向に移動するように配置される。
【0100】
第3リンク機構83は、リンク831とリンク832とを含んで構成される。リンク831は蒸気発生器SG側に配置され、リンク832は固定用基礎WB側に配置される。リンク831とリンク832は、ジョイント833で互いに回動できるように連結される。リンク831は、ジョイント833とは反対側の端部831aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク832は、ジョイント833とは反対側の端部832aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第3リンク機構81が鉛直方向下側に向かって谷となって折れ曲がるように、リンク831とリンク832とが連結される。
【0101】
第4リンク機構84は、リンク841と、リンク842とを含んで構成される。リンク841は蒸気発生器SG側に配置され、リンク842は固定用基礎WB側に配置される。リンク841とリンク842は、ジョイント843で互いに回動できるように連結される。リンク841は、ジョイント843とは反対側の端部841aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク842は、ジョイント843とは反対側の端部842aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第4リンク機構84が鉛直方向上側に向かって山となって折れ曲がるように、リンク841とリンク842とが連結される。
【0102】
第4リンク機構84は、第3リンク機構83が折れ曲がる方向とは反対方向に折れ曲がる。つまり、第4リンク機構84は、折れ曲がる際に、ジョイント833が移動する方向とは反対方向にジョイント843が移動する。
即ち、蒸気発生器SGが固定用基礎WBに近づいて、第3リンク機構83及び第4リンク機構84が折れ曲がる際に、第3リンク機構83のジョイント833と第4リンク機構84のジョイント843とが互いに近づく方向に移動するように配置される。
【0103】
なお、図11において、Aは第1所定方向であり、Bは第2所定方向であり、第1所定方向Aに対して第2所定方向Bが直行している。
そして、リンク811と第1所定方向Aとが成す角度をθ、リンク821と第1所定方向Aとが成す角度をθ、リンク831と第1所定方向Aとが成す角度をθ、リンク841と第1所定方向Aとが成す角度をθとすると、θが45度よりも小さい角度となるように、リンク機構81,82,83,84が配置される。この結果、サポート装置8は、サポート装置8が受ける力のうち第1所定方向Aよりも第2所定方向Bの力の大きさが小さくなるようにリンク機構80が配置されていることになる。
【0104】
荷重伝達装置としてのスナバー85は、第1容器851と、第2容器852と、第1容器851と第2容器852とを連通する管路853と、第1容器851と第2容器852と管路853に充填されたダイラタント流体とで構成される。
第1容器851と第2容器852は、圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けと拡張する体積可変の容器であり、たとえばベローズ等により構成される。
本実施形態では、第1容器851は第1リンク機構81と第2リンク機構82との間に配置され、第2容器852は第3リンク機構83と第4リンク機構84との間に配置される。
【0105】
第1容器851は、その一端851aが、第1リンク機構81に回動自在に連結される。具体的には、第1容器851はその一端851aが、第1リンク機構81のジョイント813に回動自在に連結される。
また、第1容器851は、その他端851bが、第2リンク機構82に回動自在に連結される。具体的には、第1容器851はその他端851bが、第2リンク機構82のジョイント823に回動自在に連結される。
【0106】
このように、第1容器851は、第2所定方向Bに沿い伸縮することができるように、配置されている。
この場合、リンク811,821と第1所定方向Aとが成す角度θを、45度よりも小さい角度となるように配置しているため、リンク機構81,82に第1所定方向Aの力が作用したときに、第2所定方向Bに分解されて第1容器851に作用する力は、第1所定方向Aの力よりも小さくなる。
【0107】
第2容器852は、その一端852aが、第3リンク機構83に回動自在に連結される。具体的には、第2容器852はその一端852aが、第3リンク機構83のジョイント833に回動自在に連結される。
また、第2容器852は、その他端852bが、第4リンク機構84に回動自在に連結される。具体的には、第2容器852はその他端852bが、第4リンク機構84のジョイント843に回動自在に連結される。
【0108】
このように、第2容器852は、第2所定方向Bに沿い伸縮することができるように、配置されている。
この場合、リンク831,841と第1所定方向Aとが成す角度θを、45度よりも小さい角度となるように配置しているため、リンク機構83,84に第1所定方向Aの力が作用したときに、第2所定方向Bに分解されて第2容器852に作用する力は、第1所定方向Aの力よりも小さくなる。
【0109】
蒸気発生器SGが固定用基礎WBに向かってゆっくりと近づくと、第1リンク機構81のリンク811とリンク812とで成す折れ曲がり角度δ1が小さくなり、第2リンク機構82のリンク821とリンク822とで成す折れ曲がり角度δ2が小さくなり、第1リンク81のジョイント813と第2リンク82のジョイント823とが離間して、第1容器851に引っ張り力が作用して第1容器851は拡張して体積が大きくなり、一方、第3リンク機構83のリンク831とリンク832とで成す折れ曲がり角度δ3が大きくなり、第4リンク機構84のリンク841とリンク842とで成す折れ曲がり角度δ4が大きくなり、第3リンク83のジョイント833と第4リンク84のジョイント843とが接近して、第2容器852に圧縮力が作用して第2容器852は縮んで体積が小さくなる。このため第2容器852内のダイラタント流体は、管路853を介して第1容器851側に向かって流入する。
【0110】
逆に、蒸気発生器SGが固定用基礎WBからゆっくりと離れると、第1リンク機構81のリンク811とリンク812とで成す折れ曲がり角度δ1が大きくなり、第2リンク機構82のリンク821とリンク822とで成す折れ曲がり角度δ2が大きくなり、第1リンク81のジョイント813と第2リンク82のジョイント823とが接近して、第1容器851に圧縮力が作用して第1容器851は縮んで体積が小さくなり、一方、第3リンク機構83のリンク831とリンク832とで成す折れ曲がり角度δ3が小さくなり、第4リンク機構84のリンク841とリンク842とで成す折れ曲がり角度δ4が小さくなり、第3リンク83のジョイント833と第4リンク84のジョイント843とが離間して、第2容器852に引っ張り力が作用して第2容器852は拡張して体積が大きくなる。このため第1容器851内のダイラタント流体は、管路853を介して第2容器852側に向かって流入する。
【0111】
地震の発生などにより、蒸気発生器SGの位置が急激に変化して、リンク機構81,82,83,84を介して容器851,852に第2所定方向Bに添う力が急激に作用した場合には、ダイラタント流体の粘度が急激に上昇するため、容器851,852は伸縮が規制される。この結果、蒸気発生器SGの第1所定方向Aの移動を効果的に規制することができる。
【0112】
上記構成により、蒸気発生器SGからサポート装置8に伝わる力は、第1所定方向Aの力よりも第2所定方向Bの力の方が小さくなるように力の成分が分解される。これにより、サポート装置8は、第2所定方向Bの力を作り出せる。よって、スナバー85の容器851,852が第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられるよりも、スナバー85の容器851,852が第2所定方向Bに伸縮するように取り付けられる方が、サポート装置8は、スナバー85が受ける力を低減できる。これにより、サポート装置8は、スナバー85に必要とされる荷重容量を低減できる。結果として、サポート装置8は、スナバー85の大型化を抑制できる。
【0113】
(実施形態8)
図12は、実施形態8のサポート装置を拡大して示す概略図である。
実施形態8のサポート装置9は、荷重方向分解手段としてのリンク機構90と、荷重伝達装置としてのスナバー95を含んで構成される。
【0114】
リンク機構90は、第1リンク機構91と第2リンク機構92の2つで構成される。
【0115】
第1リンク機構91は、リンク911とリンク912とを含んで構成される。リンク911は蒸気発生器SG側に配置され、リンク912は固定用基礎WB側に配置される。リンク911とリンク912は、ジョイント913で互いに回動できるように連結される。リンク911は、ジョイント913とは反対側の端部911aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク912は、ジョイント913とは反対側の端部912aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第1リンク機構91が鉛直方向上側に向かって山となって折れ曲がるように、リンク911とリンク912とが連結される。
【0116】
第2リンク機構92は、リンク921と、リンク922とを含んで構成される。リンク921は蒸気発生器SG側に配置され、リンク922は固定用基礎WB側に配置される。リンク921とリンク922は、ジョイント923で互いに回動できるように連結される。リンク921は、ジョイント923とは反対側の端部921aが蒸気発生器SGに回動できるように連結される。リンク922は、ジョイント923とは反対側の端部922aが固定用基礎WBに回動できるように連結される。
この場合、第2リンク機構92が鉛直方向下側に向かって谷となって折れ曲がるように、リンク921とリンク922とが連結される。
【0117】
第2リンク機構92は、第1リンク機構91が折れ曲がる方向とは反対方向に折れ曲がる。つまり、第2リンク機構92は、折れ曲がる際に、ジョイント913が移動する方向とは反対方向にジョイント923が移動する。
即ち、蒸気発生器SGが固定用基礎WBに近づいて、第1リンク機構91及び第2リンク機構92が折れ曲がる際に、第1リンク機構91のジョイント913と第2リンク機構92のジョイント923が互いに離れる方向に移動するように配置される。
【0118】
なお、図12において、Aは第1所定方向であり、Bは第2所定方向であり、第1所定方向Aに対して第2所定方向Bが直行している。
そして、リンク911と第1所定方向Aとが成す角度をθ、リンク921と第1所定方向Aとが成す角度をθとすると、θが45度よりも小さい角度となるように、リンク機構91,92が配置される。この結果、サポート装置9は、サポート装置9が受ける力のうち第1所定方向Aよりも第2所定方向Bの力の大きさが小さくなるようにリンク機構90が配置されていることになる。
【0119】
荷重伝達装置としてのスナバー95は、第1容器951と、第2容器952と、第1容器951と第2容器952とを連通する管路953と、第1容器951と第2容器952と管路953に充填されたダイラタント流体とで構成される。
第1容器951と第2容器952は、圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けと拡張する体積可変の容器であり、たとえばベローズ等により構成される。
【0120】
第1容器951は、その一端951aが、第1リンク機構91に回動自在に連結される。具体的には、第1容器951はその一端951aが、第1リンク機構91のジョイント913に回動自在に連結される。
また、第1容器951は、その他端951bが、第2リンク機構92に回動自在に連結される。具体的には、第1容器951はその他端951bが、第2リンク機構92のジョイント923に回動自在に連結される。
【0121】
このように、第1容器951は、第2所定方向Bに沿い伸縮することができるように、配置されている。
この場合、リンク911と第1所定方向Aとが成す角度θ、リンク921と第1所定方向Aとが成す角度θを、45度よりも小さい角度となるように配置しているため、リンク機構91,92に第1所定方向Aの力が作用したときに、第2所定方向Bに分解されて第1容器951に作用する力は、第1所定方向Aの力よりも小さくなる。
【0122】
第2容器952は、その一端952aが、第2リンク機構92に回動自在に連結される。具体的には、第2容器952はその一端952aが、第2リンク機構92のジョイント923に回動自在に連結される。
また、第2容器952は、その他端952bが、固定部WBb2連結されている。固定部WBb2は、図示しない部材を介して固定用基礎WBに固定されている。この結果、第2容器952の他端952bは、固定部WBb2を介して固定用基礎WBに固定される。
【0123】
このように、第2容器952は、第2所定方向Bに沿い伸縮することができるように、配置されている。
この場合、リンク921と第1所定方向Aとが成す角度θを、45度よりも小さい角度となるように配置しているため、第2リンク機構92に第1所定方向Aの力が作用したときに、第2所定方向Bに分解されて第2容器952に作用する力は、第1所定方向Aの力よりも小さくなる。
【0124】
蒸気発生器SGが固定用基礎WBに向かってゆっくりと近づくと、第1リンク機構91のリンク911とリンク912とで成す折れ曲がり角度δ1が小さくなると共に、第2リンク機構92のリンク921とリンク922とで成す折れ曲がり角度δ2が小さくなり、第1容器951に引っ張り力が作用して第1容器951は拡張して体積が大きくなる。また、第2リンク機構92のリンク921とリンク922とで成す折れ曲がり角度δ2が小さくなり、第2容器952に圧縮力が作用して第2容器952は縮んで体積が小さくなる。このため第2容器952内のダイラタント流体は、管路953を介して第1容器951側に向かって流入する。
【0125】
逆に、蒸気発生器SGが固定用基礎WBからゆっくりと離れると、第1リンク機構91のリンク911とリンク912とで成す折れ曲がり角度δ1が大きくなると共に、第2リンク機構92のリンク921とリンク922とで成す折れ曲がり角度δ2が大きくなり、第1容器951に圧縮力が作用して第1容器951は縮んで体積が小さくなる。また、第2リンク機構92のリンク921とリンク922とで成す折れ曲がり角度δ2が大きくなり、第2容器952に引っ張り力が作用して第2容器952は拡張して体積が大きくなる。このため第1容器951内のダイラタント流体は、管路953を介して第2容器952側に向かって流入する。
【0126】
地震の発生などにより、蒸気発生器SGの位置が急激に変化して、リンク機構91,92を介して容器951,952に第2所定方向Bに沿う力が急激に作用した場合には、ダイラタント流体の粘度が急激に上昇するため、容器951,952は伸縮が規制される。この結果、蒸気発生器SGの第1所定方向Aの移動を効果的に規制することができる。
【0127】
上記構成により、蒸気発生器SGからサポート装置9に伝わる力は、第1所定方向Aの力よりも第2所定方向Bの力の方が小さくなるように力の成分が分解される。これにより、サポート装置9は、第2所定方向Bの力を作り出せる。よって、スナバー95の容器951,952が第1所定方向Aに伸縮するように取り付けられるよりも、スナバー95の容器951,952が第2所定方向Bに伸縮するように取り付けられる方が、サポート装置9は、スナバー95が受ける力を低減できる。これにより、サポート装置9は、スナバー95に必要とされる荷重容量を低減できる。結果として、サポート装置9は、スナバー95の大型化を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上のように、本発明に係る原子力発電プラント用機器サポート装置は、原子力発電プラントで用いられる機器を支持する技術に有用であり、特に、荷重伝達装置の大型化を抑制することに適している。
【符号の説明】
【0129】
1、2、3、4、5、6、7、8、9 サポート装置
11 回動脚
12、22、30、50、70、80、90 リンク機構
121、221 第1リンク
122、222 第2リンク
13、23 ジョイント
14、24、35、55、75、85、95 スナバー
31、51 甲リンク機構
311、511 甲第1リンク
312、512 甲第2リンク
32、52 乙リンク機構
321、521 乙第1リンク
322、522 乙第2リンク
33、53 甲ジョイント
34、54 乙ジョイント
41 接触部材
42 バネ
61 取付部
A 第1所定方向
B、C 第2所定方向
PA 配管
RCP ポンプ
RV 原子炉圧力容器
SG 蒸気発生器
WB 固定用基礎
WBb1、WBb2 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電プラント用機器の第1所定方向の移動を規制する原子力発電プラント用機器サポート装置であって、
前記原子力発電プラント用機器と固定用基礎との間に配置されて、前記原子力発電プラント用機器から力を受けると共に、前記第1所定方向の前記力よりも小さい力であって、前記第1所定方向に角度を有する第2所定方向の力を生み出す荷重方向分解手段と、
入力される力の大きさが同じでも前記力が入力される速度が速いほど発生する抵抗力が大きくなる装置であって、前記荷重方向分解手段から前記第2所定方向の前記力を受けて前記第2所定方向に伸縮できる荷重伝達装置と、
を備えることを特徴とする原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項2】
前記荷重方向分解手段は、
前記原子力発電プラント用機器と前記固定用基礎との間のうち、前記原子力発電プラント用機器側に配置される第1リンクと、前記固定用基礎に取り付けられる第2リンクとが、互いに回動できるように連結されるリンク機構であることを特徴とする請求項1に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項3】
前記荷重伝達装置は、一方の端部が前記リンク機構に取り付けられ、他方の端部が前記固定用基礎に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項4】
前記リンク機構は、互いに反する方向に折れ曲がる第1リンク機構と第2リンク機構とを含んで構成され、
前記荷重伝達装置は、一方の端部が前記第1リンク機構に連結され、他方の端部が前記第2リンク機構に連結されることを特徴とする請求項2に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項5】
前記リンク機構は、前記原子力発電プラント用機器に連結されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項6】
前記リンク機構は、前記原子力発電プラント用機器に接触して設けられ、
前記原子力発電プラント用機器サポート装置は、前記リンク機構の一部のうち、前記原子力発電プラント用機器と対向する部分を前記原子力発電プラント用機器に押し付ける押付力発生手段を備えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項7】
前記荷重方向分解手段は、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第1リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第2リンク機構とを有し、
前記荷重伝達手段は、
圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けると拡張する体積可変の第1容器及び第2容器と、前記第1容器と前記第2容器を連通する管路と、前記第1容器と前記第2容器と前記管路に充填されたダイラタント流体を有し、
前記第1容器は前記第1リンク機構が折れ曲がったときに引っ張り力を受ける状態で前記第1リンク機構に連結され、前記第2容器は前記第2リンク機構が折れ曲がったときに圧縮力を受ける状態で前記第2リンク機構に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項8】
前記荷重方向分解手段は、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第1リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第2リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第3リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第4リンク機構とを有し、
前記第1リンク機構と前記第2リンク機構は折れ曲がる際に両者のジョイントが互いに離れる方向に移動するように配置され、前記第3リンク機構と前記第4リンク機構は折れ曲がる際に両者のジョイントが互いに近づく方向に移動するように配置されており、
前記荷重伝達手段は、
圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けると拡張する体積可変の第1容器及び第2容器と、前記第1容器と前記第2容器を連通する管路と、前記第1容器と前記第2容器と前記管路に充填されたダイラタント流体を有し、
前記第1容器は一端が前記第1リンク機構に連結されると共に他端が前記第2リンク機構に連結され、前記第2容器は一端が前記第3リンク機構に連結されると共に他端が前記第4リンク機構に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。
【請求項9】
前記荷重方向分解手段は、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第1リンク機構と、
前記原子力発電プラント用機器に取り付けられるリンクと、前記固定用基礎に取り付けられるリンクとが、ジョイントにより回動できるように連結される第2リンク機構と
を有し、
前記第1リンク機構と前記第2リンク機構は折れ曲がる際に両者のジョイントが互いに離れる方向に移動するように配置されており、
前記荷重伝達手段は、
圧縮力を受けると縮むと共に引っ張り力を受けると拡張する体積可変の第1容器及び第2容器と、前記第1容器と前記第2容器を連通する管路と、前記第1容器と前記第2容器と前記管路に充填されたダイラタント流体を有し、
前記第1容器は一端が前記第1リンク機構に連結されると共に他端が前記第2リンク機構に連結され、前記第2容器は一端が前記第2リンク機構に連結されると共に他端が前記固定用基礎に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の原子力発電プラント用機器サポート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−53207(P2011−53207A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174094(P2010−174094)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)