原子炉の非常用炉心冷却水注入用冷却ダクト
【課題】本発明は、加圧軽水炉型原子炉の安全注入水の直接注入方式において、環形降水部の流動誘発振動を防ぐ側面支持台を備え、熱膨脹および収縮時に構造的安全性を有する垂直分割型の非常用用炉心冷却水注入用冷却ダクトに関する。
【解決手段】原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトは、原子炉の炉心バレルの周囲に沿って配置され、非常用炉心冷却水流入口が直接注入ノズルに対向して配置され、炉心バレルの円筒長手方向に沿って長く形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトは、冷却ダクトの長手方向に沿って多数の垂直分割ダクトに分割されることを特徴とする。
【解決手段】原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトは、原子炉の炉心バレルの周囲に沿って配置され、非常用炉心冷却水流入口が直接注入ノズルに対向して配置され、炉心バレルの円筒長手方向に沿って長く形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトは、冷却ダクトの長手方向に沿って多数の垂直分割ダクトに分割されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧軽水炉型原子炉において、高圧安全注入ポンプや安全注入タンクから供給される非常用炉心冷却水を原子炉圧力容器と炉心バレルで構成される降水部に直接注入する冷却ダクトに関し、より詳細には、冷却ダクト側面支持台を備え、熱膨脹および収縮時の構造的安全性を有する垂直分割型非常用炉心冷却水注入用冷却ダクトの長手方向に沿って多数の垂直分割ダクトに分割されたことを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
加圧軽水炉型原子炉を用いた原子力発電所は、十分な安全余裕度を考慮して設計するにもかかわらず、予想とは異なって事故が発生する場合があり、大量の冷却水が漏水する事故の際に非常用炉心冷却水が十分に供給されなければ、原子炉心が過熱して原子炉が損傷するという事故が発生する恐れがある。加圧軽水炉型原子炉は、このような冷却水の漏水事故時に炉心を冷凍させるために、非常用炉心冷却水が原子炉の外部から供給されるように高圧安全注入ポンプと安全注入タンクとを備えている。非常用炉心冷却水の供給方式は、最終注入ノズルの位置に応じて区分されるが、注入ノズルが低温管に位置する低温管注入方式と、注入ノズルが原子炉圧力容器に位置する直接注入方式とがある。
【0003】
低温管注入方式の場合、低温管の破断事故時に破断部位に非常用炉心冷却水がすべて漏出し、原子炉の炉心冷却が低下するという短所がある。このような低温管注入方式の短所を解決するために、原子炉圧力容器に非常用炉心冷却水を直接供給する直接注入ノズル(Direct Vessel Injection nozzle;DVI)を設置し、直接注入ノズルを介して原子炉圧力容器と炉心バレルとの間の降水部に直接非常用炉心冷却水を供給して低温管漏出を防ぐ原子炉圧力容器直接注入方式の改善された技術を採択している。
【0004】
しかしながら、直接注入方式でも、降水部の強い横流動によって原子炉圧力容器の外に非常用炉心冷却水が直接排出され、非常用炉心冷却水の炉心冷却が低下する直接迂回現象が発生するという問題点がある。これを改善しようと、単純に直接注入ノズルを炉心入口まで延長する米国特許第5,377,242号(James D.Carlton et.al)や米国特許第5,135,708号(James D.Carlton et.al)のような方式や、直接注入ノズルと冷却ダクトとの間に狭い隙間を与えて降水部の下部に冷却ダクトを単純に延長(チェ・ハンリム他、大韓民国公開特許公報10−2000−0074521)すれば、直接注入ノズル配管が破断したときに冷却ダクトの最低点下部の出口が破断流動の吸入口に逆転し、原子炉内部の冷却水の水位が持続的に低くなって冷却ダクトの最低点下部の出口またはそれ以下にまでに至るようになり、このように冷却水の水位が低くなれば原子炉の炉心(Core)が露出し、炉心冷却に致命的な結果をもたらす場合がある。
【0005】
「炉心バレル注入延長ダクトを備えた安全注入システム」(クォン・テスン他、大韓民国特許出願番号10−2008−0024306)非常用炉心冷却水注入管技術は、冷却ダクトが降水部の強い横流動に耐える支持力が微弱で構造的に弱く、原子炉が低温状態で始動して高温出力条件まで加熱されるとき、構造物の溶接部に加えられる熱応力に弱い。特に、冷却ダクトの長さが長いほど、熱収縮膨脹による熱応力により弱い構造となる。
【0006】
直接注入管配管の破断事故時に冷却ダクトの出入り口が逆転する現象を遮断するだけでなく、降水部の強力な横流動に耐えることができる構造的健全性を有しながら、原子炉低温起動から高温出力運転までの運転転移期間中に注入ダクト溶接部に現れる熱応力を防ぎ、大型低温管の破断事故時に初期炉心逆流期間に冷却ダクトに加えられる過度な逆流荷重を防ぐことができる非常用炉心冷却水直接注入ノズル用冷却ダクト構造の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した問題点を解決するために、本発明の実施形態は、冷却ダクトによって流動誘発振動発生を減少させることができ、熱膨脹および収縮時に構造的安全性を有する原子炉の非常用炉心冷却水注入用冷却ダクトを提供するためのものである。
【0008】
また、大型低温管の破断事故時に初期炉心逆流期間に冷却ダクトに加えられる過度な逆流荷重を防ぐことができる逆流反射用出口ガイドを備えた原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明の実施形態によれば、原子炉の炉心バレルの周囲に沿って直接注入ノズルを対向する一定の地点に配置し、前記炉心バレルの長手方向に沿って長く形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトは、前記冷却ダクトの長手方向に沿って分割された多数の垂直分割ダクトで形成される。
【0010】
実施形態において、前記冷却ダクトは、長さが長くなることによって増加する熱収縮膨張の長さ方向の熱応力を分散させるために、垂直長さを等分した。これにより、互いに隣接する垂直分割ダクトの間にギャップを形成したり、互いに隣接する垂直分割ダクトの一部が互いにオーバーラップしたりするように形成することができる。前記冷却ダクトをオーバーラップするように形成すれば、熱によって前記垂直分割ダクトが膨脹または収縮することに応じて前記垂直分割ダクトが互いに垂直方向に滑り相対移動が可能となるように形成することができる。
【0011】
例えば、前記冷却ダクトは、前記炉心バレル表面に対して台形形状と類似した形態を有するように略コ状の形態を有するが、側面は傾斜面を形成し、前記冷却ダクトと前記炉心バレルの表面で囲まれた内部体積が前記原子炉に非常用炉心冷却水を注入する非常用炉心冷却水流路を形成する。
【0012】
実施形態において、前記冷却ダクトは、降水部の強い横流動に耐えるように側面支持台を一定の間隔で設置し、前記冷却ダクトを固定させる多数の側面支持台をさらに備え、前記側面支持台は、前記冷却ダクトの長手方向に沿って一定の間隔で備えることができる。
【0013】
また、前記冷却ダクトの上面には、前記冷却ダクトの内部に非常用炉心冷却水を注入するための流入口が形成され、前記上面は、前記炉心バレルの表面に対して盛り上がった緩やかな曲面形状を有することができる。
【0014】
実施形態において、前記冷却ダクトは、上端部が閉鎖して下端部が開放するように形成され、前記冷却ダクトの下端部には、前記原子炉の炉心側から前記冷却ダクト側に急激な逆流が発生するときに逆流の流動方向を変えてくれる出口ガイドが備えられ、前記出口ガイドは、前記炉心バレル表面において突出形成され、原子炉の非常用炉心冷却水注入時期以前に形成される高速の逆流性破断流が前記冷却ダクトに流入するときの流動抵抗を減少させ、冷却ダクト構造物の安全性を向上させる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の実施形態によれば、底板がない略コ状の形態を有する冷却ダクトを側面支持台を用いて炉心バレルに装着させるため、冷却ダクトを炉心バレルにより堅固に固定させることができる。したがって、従来の単純な冷却ダクト構造物よりも、降水部で発生する高速横流動に対して構造的安全性を向上させる。
【0016】
また、多数の垂直分割ダクトで分離形成され、各垂直分割ダクト間には熱収縮膨脹の長さを吸収する離隔距離であるギャップまたはオーバーラップが形成され、熱膨脹または収縮時に垂直分割ダクトが互いに対して滑り移動が可能であるため、長さが長い冷却ダクトよりもより一層小さい熱応力が示される構造的安定性を有する。これは、長い長さを有する冷却ダクトの熱応力を垂直分割ダクトで分散させたためである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトが備えられた原子炉の一例を示す横断面図である。
【図2】図1の原子炉の縦断面図である。
【図3】図1の原子炉において、非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトを説明するための斜視図である。
【図4】図3の冷却ダクトの縦断面図である。
【図5】図3の冷却ダクトの正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る冷却ダクトを説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明が実施形態によって制限または限定されるものではない。本発明を説明するにあたり、公知された機能あるいは構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0019】
以下、図1〜5を参照しながら、本発明の一実施形態に係る原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトについて詳細に説明する。
【0020】
加圧軽水炉型原子炉100は、大きく、原子炉圧力容器120と、原子炉圧力容器120内部に備えられて炉心101が収容された炉心バレル110とからなる。炉心バレル110内部には、核燃料棒が装入する炉心(Core)101が備えられ、炉心バレル110は、原子炉圧力容器120よりも所定の直径だけ小さく形成され、炉心バレル110と原子炉圧力容器120との間の離隔した空間には降水部102が形成される。
【0021】
原子炉100は、非常用炉心冷却水を原子炉圧力容器120に直接注入する方式であり、原子炉圧力容器120の一側には、原子炉に非常用炉心冷却水を注入するための直接注入ノズル121と、原子炉100の正常運転時に冷却水が注入される多数の低温管(Cold Leg)122とが備えられており、低温管122を介して流入した冷却水が降水部102を経て炉心101を通る間に加熱されて蒸気発生器側に流出する出口をなす多数の高温管(Hot Leg)123が炉心バレル110と連結して備えられる。例えば、原子炉100は、4つの低温管122と2つの高温管123を備えることができる。ここで、原子炉100の詳細な技術構成は、公知の技術から理解が可能であり、本発明の要旨ではないため、詳細な説明および図示は省略する。
【0022】
降水部102には、直接注入ノズル121から注入される非常用炉心冷却水の流動流路となる垂直分割型冷却ダクト130が備えられる。例えば、冷却ダクト130は、炉心バレル110の長手方向に沿って長く形成され、炉心バレル110の周囲に沿って4つの冷却ダクト130が備えられる。しかしながら、冷却ダクト130の形状が図によって限定されることはなく、冷却ダクト130の長さや数および位置は、実質的に多様に変更することができる。本実施形態によれば、直接注入ノズル121と冷却ダクト130は機械的に連結していないため、原子炉圧力容器120と炉心バレル110を組み立ておよび分解するときに、冷却ダクト130と周囲構造物との間に干渉が発生することを防ぐことができる。
【0023】
冷却ダクト130は、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水が直接注入されるように直接注入ノズル121と対向する位置に形成され、内部に非常用炉心冷却水の流動流路を形成する。冷却ダクト130は、冷却ダクト130の長手方向に沿って分割された多数の垂直分割ダクト130a、130b、130cからなり、直接注入ノズル121から流入された非常用炉心冷却水が冷却ダクト130の下部に流動できるように、上端部には上部塞ぎ板136が備えられて冷却ダクト130の上部を閉鎖し、下端部は開放した形態を有する。
【0024】
また、冷却ダクト130は、内部に非常用炉心冷却水の流路を形成するように空の空間を形成し、炉心バレル110と接触する面が開放した略コ状の形態を有する。すなわち、冷却ダクト130の3面と冷却ダクト130が装着された炉心バレル110の一面で囲まれた内部空間が非常用炉心冷却水の流路を形成する。ここで、冷却ダクト130は、底板がない略コ状の形態を有するため、冷却ダクト130と炉心バレル110の接触面積を減らすことにより、冷却ダクト130と炉心バレル110の接触面で発生する流動誘発振動を減らすことができる。
【0025】
また、冷却ダクト130の上面131は、盛り上がった所定の曲面形状を有する。冷却ダクト130の上面131を曲面で形成することにより、冷却ダクト130の熱膨脹時に熱膨脹余裕を与えるようになり、冷却ダクト130が捩じれることを防いで構造的な安全性を有することができる。
【0026】
冷却ダクト130の上面131において、直接注入ノズル121と対向する位置には、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水が注入する流入口133が形成され、冷却ダクト130の側面は、降水部102内の横流動による抵抗を減らすように側面傾斜部132が形成される。すなわち、冷却ダクト130は、図4に示すように、上面131が盛り上がった側面傾斜部132を有する台形と類似した形状の断面を有する。
【0027】
ここで、冷却ダクト130は、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水の分散を考慮し、非常用炉心冷却水がよく流入するように、流入口133の断面積が直接注入ノズル121の断面積よりも約2〜3倍程度大きく形成される。
【0028】
冷却ダクト130は、炉心バレル110表面から原子炉圧力容器120側に所定の高さで突出して備えられるが、冷却ダクト130が突出する高さは降水部102の間隔以内に限定されており、原子炉圧力容器120と炉心バレル110の組み立ておよび分解時に冷却ダクト130によって干渉が発生しないように降水部102の間隔、すなわち炉心バレル110の外周面と原子炉圧力容器120の内周面の間の3/25〜7/25の高さを有する。
【0029】
冷却ダクト130の長さは、炉心バレル110に沿って直接注入ノズル121と対向する位置から低温管122および高温管123の水平高度よりも下部まで延長形成される。すなわち、冷却ダクト130は、直接注入ノズル121から流入される非常用炉心冷却水が注入されるように、炉心バレル110に沿って直接注入ノズル121と対向する位置よりも少し上部まで延長形成され、降水部102下部まで非常用炉心冷却水を供給し、事故時に低温管122周囲に形成される強力な破断吸入流によって非常用炉心冷却水が流出することを考慮し、冷却ダクト130の出口は低温管122の設置位置よりも下部まで延長形成される。
【0030】
冷却ダクト130の側面には、冷却ダクト130を固定させる多数の側面支持台135が備えられる。側面支持台135は、冷却ダクト130の長手方向に沿って多数が備えられ、一定の間隔を有して配置される。
【0031】
冷却ダクト130の下端部には、原子炉100の炉心101側から冷却ダクト130側に急激な逆流発生時に逆流の流動方向を変えてくれる出口ガイド147が備えられる。出口ガイド147は、原子炉100の非常用炉心冷却水注入時期以前に形成される高速の逆流性破断流が冷却ダクト130に流入されるときの流動抵抗を減少させることができるように形成される。例えば、出口ガイド147は、炉心バレル110表面で所定の高さで突出形成され、冷却ダクト130に対する逆流の流動方向に対して所定の傾斜面が形成される。また、冷却ダクト130から流動する非常用炉心冷却水の流動方向に対して抵抗を減らすように、傾斜面が形成される。一例として、図3に示すように、出口ガイド137は、ピラミッド形状を有することができる。しかしながら、本発明が図面によって限定されるものではなく、出口ガイド147の形状および位置は実質的に多様に変更することができる。
【0032】
垂直分割ダクト130a、130b、130cは、熱によって冷却ダクト130が膨脹したり収縮したりすることに応じて、垂直分割ダクト130a、130b、130cが互いに垂直方向に滑り相対移動が可能なように形成することができる。
【0033】
一例として、図5に示すように、冷却ダクト130は、互いに隣接する垂直分割ダクト130a、130b、130cの間に所定の間隔のギャップ(gap)を形成することができる。
【0034】
冷却ダクト130は、3つの垂直分割ダクト130a、130b、130cで分割形成され、各垂直分割ダクト130a、130b、130cの間にギャップが形成されているため、冷却ダクト130の熱膨脹時にギャップの間隔だけ垂直分割ダクト130a、130b、130cが膨脹および移動することができる熱膨脹余裕を有し、熱膨脹による冷却ダクト130の捩じれおよび変形を防ぐことができる。同じように、冷却ダクト130が収縮するときにも、各垂直分割ダクト130a、130b、130cが収縮しながらギャップの間隔がさらに開くため、冷却ダクト130の収縮による冷却ダクト130の捩れおよび変形を防ぐことができる。
【0035】
一方、他の実施形態として、図6に示すように、冷却ダクト140は、互いに隣接する垂直分割ダクト140a、140b、140cの一部が互いにオーバーラップ(over lap)することができる。図6に示す冷却ダクト140は、垂直分割ダクト140a、140b、140cがオーバーラップする構成を除いては上述した実施形態と実質的に同じであるため、同じ構成要素については同じ名称を用いて重複する説明は省略し、140番代の図面符号を用いた。
【0036】
冷却ダクト140は、3つの垂直分割ダクト140a、140b、140cで分割形成され、各垂直分割ダクト140a、140b、140cは、互いに一定部分が重なるように形成されたオーバーラップが形成され、オーバーラップ部分で垂直分割ダクト140a、140b、140cが互いに相対滑り移動が可能なように形成される。すなわち、冷却ダクト140の熱膨脹時に、各垂直分割ダクト140a、140b、140cは、オーバーラップ部分を介して互いに相対滑り移動することにより、熱膨脹による捩じれおよび変形を防ぐことができる。同じように、冷却ダクト140が収縮するときも、各垂直分割ダクト140a、130b、130cが収縮してもオーバーラップで垂直分割ダクト140a、140b、140cの収縮余裕を与えるようになるため、収縮による冷却ダクト140の捩じれおよび変形を防ぐことができる。
【0037】
本実施形態によれば、冷却ダクト130、140と直接注入ノズル121は、機械的に互いに連結してはいないが、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水は、噴射圧によって流入口133、143に直接流入され、熱水力的に連結する。すなわち、冷却ダクト130、140は、原子炉100が正常的に運転する場合には、直接注入ノズル121から非常用炉心冷却水が供給されないため、直接注入ノズル121と冷却ダクト130、140が熱水力的に分離しているが、低温管122が破断するという事故が発生したときには、直接注入ノズル121を介して非常用炉心冷却水が冷却ダクト130、140に注入される。ここで、直接注入ノズル121は、非常用炉心冷却水を高速で噴射するため、直接注入ノズル121から降水部102間の距離を横切って冷却ダクト130、140の流入口133、143に非常用炉心冷却水が十分に注入されるようになる。
【0038】
一方、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水の一部が流入口133、143に流入されることができずに下部に落下したり、垂直分割ダクト130a、130b、130cの間のギャップを介して非常用炉心冷却水の一部が外部に流出されたりすることがあるが、このような非常用炉心冷却水も重力によって降水部102の下部に収束され、炉心101の冷却に用いられるようになる。
【0039】
冷却ダクト130、140に注入された非常用炉心冷却水は、重力と非常用炉心冷却水の流動モメンタムによって冷却ダクト130、140に沿って下部に流動しながら炉心101を冷凍させる。そして、冷却ダクト130、140内部に非常用炉心冷却水が流動するため、降水部102内部で発生する高速横流動の影響を受けて低温管122を介して、そのまま原子炉圧力容器120の外部に排出される非常用炉心冷却水直接迂回排出現象を遮断することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、直接注入ノズル121と連結した配管の破断事故時には、直接注入ノズル121から非常用炉心冷却水が噴射しないため、直接注入ノズル121と冷却ダクト130、140の間の連結が分離し、冷却ダクト130、140を介して降水部102下部の冷却水が吸入され、原子炉圧力容器120内部の冷却水の水位が低下する出入り口逆転現象を防ぐことができる。
【0041】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
100:原子炉
101:炉心
102:降水部
110:炉心バレル
120:原子炉圧力容器
121:直接注入ノズル
122:低温管
123:高温管
130、140:冷却ダクト
130a、130b、130c、140a、140b、140c:垂直分割ダクト
131、141:上面
132、142:側面傾斜部
133、143:非常用炉心冷却水流入口
135、145:側面支持台
136、146:上部塞ぎ板
137、147:出口ガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧軽水炉型原子炉において、高圧安全注入ポンプや安全注入タンクから供給される非常用炉心冷却水を原子炉圧力容器と炉心バレルで構成される降水部に直接注入する冷却ダクトに関し、より詳細には、冷却ダクト側面支持台を備え、熱膨脹および収縮時の構造的安全性を有する垂直分割型非常用炉心冷却水注入用冷却ダクトの長手方向に沿って多数の垂直分割ダクトに分割されたことを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
加圧軽水炉型原子炉を用いた原子力発電所は、十分な安全余裕度を考慮して設計するにもかかわらず、予想とは異なって事故が発生する場合があり、大量の冷却水が漏水する事故の際に非常用炉心冷却水が十分に供給されなければ、原子炉心が過熱して原子炉が損傷するという事故が発生する恐れがある。加圧軽水炉型原子炉は、このような冷却水の漏水事故時に炉心を冷凍させるために、非常用炉心冷却水が原子炉の外部から供給されるように高圧安全注入ポンプと安全注入タンクとを備えている。非常用炉心冷却水の供給方式は、最終注入ノズルの位置に応じて区分されるが、注入ノズルが低温管に位置する低温管注入方式と、注入ノズルが原子炉圧力容器に位置する直接注入方式とがある。
【0003】
低温管注入方式の場合、低温管の破断事故時に破断部位に非常用炉心冷却水がすべて漏出し、原子炉の炉心冷却が低下するという短所がある。このような低温管注入方式の短所を解決するために、原子炉圧力容器に非常用炉心冷却水を直接供給する直接注入ノズル(Direct Vessel Injection nozzle;DVI)を設置し、直接注入ノズルを介して原子炉圧力容器と炉心バレルとの間の降水部に直接非常用炉心冷却水を供給して低温管漏出を防ぐ原子炉圧力容器直接注入方式の改善された技術を採択している。
【0004】
しかしながら、直接注入方式でも、降水部の強い横流動によって原子炉圧力容器の外に非常用炉心冷却水が直接排出され、非常用炉心冷却水の炉心冷却が低下する直接迂回現象が発生するという問題点がある。これを改善しようと、単純に直接注入ノズルを炉心入口まで延長する米国特許第5,377,242号(James D.Carlton et.al)や米国特許第5,135,708号(James D.Carlton et.al)のような方式や、直接注入ノズルと冷却ダクトとの間に狭い隙間を与えて降水部の下部に冷却ダクトを単純に延長(チェ・ハンリム他、大韓民国公開特許公報10−2000−0074521)すれば、直接注入ノズル配管が破断したときに冷却ダクトの最低点下部の出口が破断流動の吸入口に逆転し、原子炉内部の冷却水の水位が持続的に低くなって冷却ダクトの最低点下部の出口またはそれ以下にまでに至るようになり、このように冷却水の水位が低くなれば原子炉の炉心(Core)が露出し、炉心冷却に致命的な結果をもたらす場合がある。
【0005】
「炉心バレル注入延長ダクトを備えた安全注入システム」(クォン・テスン他、大韓民国特許出願番号10−2008−0024306)非常用炉心冷却水注入管技術は、冷却ダクトが降水部の強い横流動に耐える支持力が微弱で構造的に弱く、原子炉が低温状態で始動して高温出力条件まで加熱されるとき、構造物の溶接部に加えられる熱応力に弱い。特に、冷却ダクトの長さが長いほど、熱収縮膨脹による熱応力により弱い構造となる。
【0006】
直接注入管配管の破断事故時に冷却ダクトの出入り口が逆転する現象を遮断するだけでなく、降水部の強力な横流動に耐えることができる構造的健全性を有しながら、原子炉低温起動から高温出力運転までの運転転移期間中に注入ダクト溶接部に現れる熱応力を防ぎ、大型低温管の破断事故時に初期炉心逆流期間に冷却ダクトに加えられる過度な逆流荷重を防ぐことができる非常用炉心冷却水直接注入ノズル用冷却ダクト構造の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した問題点を解決するために、本発明の実施形態は、冷却ダクトによって流動誘発振動発生を減少させることができ、熱膨脹および収縮時に構造的安全性を有する原子炉の非常用炉心冷却水注入用冷却ダクトを提供するためのものである。
【0008】
また、大型低温管の破断事故時に初期炉心逆流期間に冷却ダクトに加えられる過度な逆流荷重を防ぐことができる逆流反射用出口ガイドを備えた原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明の実施形態によれば、原子炉の炉心バレルの周囲に沿って直接注入ノズルを対向する一定の地点に配置し、前記炉心バレルの長手方向に沿って長く形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトは、前記冷却ダクトの長手方向に沿って分割された多数の垂直分割ダクトで形成される。
【0010】
実施形態において、前記冷却ダクトは、長さが長くなることによって増加する熱収縮膨張の長さ方向の熱応力を分散させるために、垂直長さを等分した。これにより、互いに隣接する垂直分割ダクトの間にギャップを形成したり、互いに隣接する垂直分割ダクトの一部が互いにオーバーラップしたりするように形成することができる。前記冷却ダクトをオーバーラップするように形成すれば、熱によって前記垂直分割ダクトが膨脹または収縮することに応じて前記垂直分割ダクトが互いに垂直方向に滑り相対移動が可能となるように形成することができる。
【0011】
例えば、前記冷却ダクトは、前記炉心バレル表面に対して台形形状と類似した形態を有するように略コ状の形態を有するが、側面は傾斜面を形成し、前記冷却ダクトと前記炉心バレルの表面で囲まれた内部体積が前記原子炉に非常用炉心冷却水を注入する非常用炉心冷却水流路を形成する。
【0012】
実施形態において、前記冷却ダクトは、降水部の強い横流動に耐えるように側面支持台を一定の間隔で設置し、前記冷却ダクトを固定させる多数の側面支持台をさらに備え、前記側面支持台は、前記冷却ダクトの長手方向に沿って一定の間隔で備えることができる。
【0013】
また、前記冷却ダクトの上面には、前記冷却ダクトの内部に非常用炉心冷却水を注入するための流入口が形成され、前記上面は、前記炉心バレルの表面に対して盛り上がった緩やかな曲面形状を有することができる。
【0014】
実施形態において、前記冷却ダクトは、上端部が閉鎖して下端部が開放するように形成され、前記冷却ダクトの下端部には、前記原子炉の炉心側から前記冷却ダクト側に急激な逆流が発生するときに逆流の流動方向を変えてくれる出口ガイドが備えられ、前記出口ガイドは、前記炉心バレル表面において突出形成され、原子炉の非常用炉心冷却水注入時期以前に形成される高速の逆流性破断流が前記冷却ダクトに流入するときの流動抵抗を減少させ、冷却ダクト構造物の安全性を向上させる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の実施形態によれば、底板がない略コ状の形態を有する冷却ダクトを側面支持台を用いて炉心バレルに装着させるため、冷却ダクトを炉心バレルにより堅固に固定させることができる。したがって、従来の単純な冷却ダクト構造物よりも、降水部で発生する高速横流動に対して構造的安全性を向上させる。
【0016】
また、多数の垂直分割ダクトで分離形成され、各垂直分割ダクト間には熱収縮膨脹の長さを吸収する離隔距離であるギャップまたはオーバーラップが形成され、熱膨脹または収縮時に垂直分割ダクトが互いに対して滑り移動が可能であるため、長さが長い冷却ダクトよりもより一層小さい熱応力が示される構造的安定性を有する。これは、長い長さを有する冷却ダクトの熱応力を垂直分割ダクトで分散させたためである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトが備えられた原子炉の一例を示す横断面図である。
【図2】図1の原子炉の縦断面図である。
【図3】図1の原子炉において、非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトを説明するための斜視図である。
【図4】図3の冷却ダクトの縦断面図である。
【図5】図3の冷却ダクトの正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る冷却ダクトを説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明が実施形態によって制限または限定されるものではない。本発明を説明するにあたり、公知された機能あるいは構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0019】
以下、図1〜5を参照しながら、本発明の一実施形態に係る原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトについて詳細に説明する。
【0020】
加圧軽水炉型原子炉100は、大きく、原子炉圧力容器120と、原子炉圧力容器120内部に備えられて炉心101が収容された炉心バレル110とからなる。炉心バレル110内部には、核燃料棒が装入する炉心(Core)101が備えられ、炉心バレル110は、原子炉圧力容器120よりも所定の直径だけ小さく形成され、炉心バレル110と原子炉圧力容器120との間の離隔した空間には降水部102が形成される。
【0021】
原子炉100は、非常用炉心冷却水を原子炉圧力容器120に直接注入する方式であり、原子炉圧力容器120の一側には、原子炉に非常用炉心冷却水を注入するための直接注入ノズル121と、原子炉100の正常運転時に冷却水が注入される多数の低温管(Cold Leg)122とが備えられており、低温管122を介して流入した冷却水が降水部102を経て炉心101を通る間に加熱されて蒸気発生器側に流出する出口をなす多数の高温管(Hot Leg)123が炉心バレル110と連結して備えられる。例えば、原子炉100は、4つの低温管122と2つの高温管123を備えることができる。ここで、原子炉100の詳細な技術構成は、公知の技術から理解が可能であり、本発明の要旨ではないため、詳細な説明および図示は省略する。
【0022】
降水部102には、直接注入ノズル121から注入される非常用炉心冷却水の流動流路となる垂直分割型冷却ダクト130が備えられる。例えば、冷却ダクト130は、炉心バレル110の長手方向に沿って長く形成され、炉心バレル110の周囲に沿って4つの冷却ダクト130が備えられる。しかしながら、冷却ダクト130の形状が図によって限定されることはなく、冷却ダクト130の長さや数および位置は、実質的に多様に変更することができる。本実施形態によれば、直接注入ノズル121と冷却ダクト130は機械的に連結していないため、原子炉圧力容器120と炉心バレル110を組み立ておよび分解するときに、冷却ダクト130と周囲構造物との間に干渉が発生することを防ぐことができる。
【0023】
冷却ダクト130は、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水が直接注入されるように直接注入ノズル121と対向する位置に形成され、内部に非常用炉心冷却水の流動流路を形成する。冷却ダクト130は、冷却ダクト130の長手方向に沿って分割された多数の垂直分割ダクト130a、130b、130cからなり、直接注入ノズル121から流入された非常用炉心冷却水が冷却ダクト130の下部に流動できるように、上端部には上部塞ぎ板136が備えられて冷却ダクト130の上部を閉鎖し、下端部は開放した形態を有する。
【0024】
また、冷却ダクト130は、内部に非常用炉心冷却水の流路を形成するように空の空間を形成し、炉心バレル110と接触する面が開放した略コ状の形態を有する。すなわち、冷却ダクト130の3面と冷却ダクト130が装着された炉心バレル110の一面で囲まれた内部空間が非常用炉心冷却水の流路を形成する。ここで、冷却ダクト130は、底板がない略コ状の形態を有するため、冷却ダクト130と炉心バレル110の接触面積を減らすことにより、冷却ダクト130と炉心バレル110の接触面で発生する流動誘発振動を減らすことができる。
【0025】
また、冷却ダクト130の上面131は、盛り上がった所定の曲面形状を有する。冷却ダクト130の上面131を曲面で形成することにより、冷却ダクト130の熱膨脹時に熱膨脹余裕を与えるようになり、冷却ダクト130が捩じれることを防いで構造的な安全性を有することができる。
【0026】
冷却ダクト130の上面131において、直接注入ノズル121と対向する位置には、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水が注入する流入口133が形成され、冷却ダクト130の側面は、降水部102内の横流動による抵抗を減らすように側面傾斜部132が形成される。すなわち、冷却ダクト130は、図4に示すように、上面131が盛り上がった側面傾斜部132を有する台形と類似した形状の断面を有する。
【0027】
ここで、冷却ダクト130は、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水の分散を考慮し、非常用炉心冷却水がよく流入するように、流入口133の断面積が直接注入ノズル121の断面積よりも約2〜3倍程度大きく形成される。
【0028】
冷却ダクト130は、炉心バレル110表面から原子炉圧力容器120側に所定の高さで突出して備えられるが、冷却ダクト130が突出する高さは降水部102の間隔以内に限定されており、原子炉圧力容器120と炉心バレル110の組み立ておよび分解時に冷却ダクト130によって干渉が発生しないように降水部102の間隔、すなわち炉心バレル110の外周面と原子炉圧力容器120の内周面の間の3/25〜7/25の高さを有する。
【0029】
冷却ダクト130の長さは、炉心バレル110に沿って直接注入ノズル121と対向する位置から低温管122および高温管123の水平高度よりも下部まで延長形成される。すなわち、冷却ダクト130は、直接注入ノズル121から流入される非常用炉心冷却水が注入されるように、炉心バレル110に沿って直接注入ノズル121と対向する位置よりも少し上部まで延長形成され、降水部102下部まで非常用炉心冷却水を供給し、事故時に低温管122周囲に形成される強力な破断吸入流によって非常用炉心冷却水が流出することを考慮し、冷却ダクト130の出口は低温管122の設置位置よりも下部まで延長形成される。
【0030】
冷却ダクト130の側面には、冷却ダクト130を固定させる多数の側面支持台135が備えられる。側面支持台135は、冷却ダクト130の長手方向に沿って多数が備えられ、一定の間隔を有して配置される。
【0031】
冷却ダクト130の下端部には、原子炉100の炉心101側から冷却ダクト130側に急激な逆流発生時に逆流の流動方向を変えてくれる出口ガイド147が備えられる。出口ガイド147は、原子炉100の非常用炉心冷却水注入時期以前に形成される高速の逆流性破断流が冷却ダクト130に流入されるときの流動抵抗を減少させることができるように形成される。例えば、出口ガイド147は、炉心バレル110表面で所定の高さで突出形成され、冷却ダクト130に対する逆流の流動方向に対して所定の傾斜面が形成される。また、冷却ダクト130から流動する非常用炉心冷却水の流動方向に対して抵抗を減らすように、傾斜面が形成される。一例として、図3に示すように、出口ガイド137は、ピラミッド形状を有することができる。しかしながら、本発明が図面によって限定されるものではなく、出口ガイド147の形状および位置は実質的に多様に変更することができる。
【0032】
垂直分割ダクト130a、130b、130cは、熱によって冷却ダクト130が膨脹したり収縮したりすることに応じて、垂直分割ダクト130a、130b、130cが互いに垂直方向に滑り相対移動が可能なように形成することができる。
【0033】
一例として、図5に示すように、冷却ダクト130は、互いに隣接する垂直分割ダクト130a、130b、130cの間に所定の間隔のギャップ(gap)を形成することができる。
【0034】
冷却ダクト130は、3つの垂直分割ダクト130a、130b、130cで分割形成され、各垂直分割ダクト130a、130b、130cの間にギャップが形成されているため、冷却ダクト130の熱膨脹時にギャップの間隔だけ垂直分割ダクト130a、130b、130cが膨脹および移動することができる熱膨脹余裕を有し、熱膨脹による冷却ダクト130の捩じれおよび変形を防ぐことができる。同じように、冷却ダクト130が収縮するときにも、各垂直分割ダクト130a、130b、130cが収縮しながらギャップの間隔がさらに開くため、冷却ダクト130の収縮による冷却ダクト130の捩れおよび変形を防ぐことができる。
【0035】
一方、他の実施形態として、図6に示すように、冷却ダクト140は、互いに隣接する垂直分割ダクト140a、140b、140cの一部が互いにオーバーラップ(over lap)することができる。図6に示す冷却ダクト140は、垂直分割ダクト140a、140b、140cがオーバーラップする構成を除いては上述した実施形態と実質的に同じであるため、同じ構成要素については同じ名称を用いて重複する説明は省略し、140番代の図面符号を用いた。
【0036】
冷却ダクト140は、3つの垂直分割ダクト140a、140b、140cで分割形成され、各垂直分割ダクト140a、140b、140cは、互いに一定部分が重なるように形成されたオーバーラップが形成され、オーバーラップ部分で垂直分割ダクト140a、140b、140cが互いに相対滑り移動が可能なように形成される。すなわち、冷却ダクト140の熱膨脹時に、各垂直分割ダクト140a、140b、140cは、オーバーラップ部分を介して互いに相対滑り移動することにより、熱膨脹による捩じれおよび変形を防ぐことができる。同じように、冷却ダクト140が収縮するときも、各垂直分割ダクト140a、130b、130cが収縮してもオーバーラップで垂直分割ダクト140a、140b、140cの収縮余裕を与えるようになるため、収縮による冷却ダクト140の捩じれおよび変形を防ぐことができる。
【0037】
本実施形態によれば、冷却ダクト130、140と直接注入ノズル121は、機械的に互いに連結してはいないが、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水は、噴射圧によって流入口133、143に直接流入され、熱水力的に連結する。すなわち、冷却ダクト130、140は、原子炉100が正常的に運転する場合には、直接注入ノズル121から非常用炉心冷却水が供給されないため、直接注入ノズル121と冷却ダクト130、140が熱水力的に分離しているが、低温管122が破断するという事故が発生したときには、直接注入ノズル121を介して非常用炉心冷却水が冷却ダクト130、140に注入される。ここで、直接注入ノズル121は、非常用炉心冷却水を高速で噴射するため、直接注入ノズル121から降水部102間の距離を横切って冷却ダクト130、140の流入口133、143に非常用炉心冷却水が十分に注入されるようになる。
【0038】
一方、直接注入ノズル121から噴射された非常用炉心冷却水の一部が流入口133、143に流入されることができずに下部に落下したり、垂直分割ダクト130a、130b、130cの間のギャップを介して非常用炉心冷却水の一部が外部に流出されたりすることがあるが、このような非常用炉心冷却水も重力によって降水部102の下部に収束され、炉心101の冷却に用いられるようになる。
【0039】
冷却ダクト130、140に注入された非常用炉心冷却水は、重力と非常用炉心冷却水の流動モメンタムによって冷却ダクト130、140に沿って下部に流動しながら炉心101を冷凍させる。そして、冷却ダクト130、140内部に非常用炉心冷却水が流動するため、降水部102内部で発生する高速横流動の影響を受けて低温管122を介して、そのまま原子炉圧力容器120の外部に排出される非常用炉心冷却水直接迂回排出現象を遮断することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、直接注入ノズル121と連結した配管の破断事故時には、直接注入ノズル121から非常用炉心冷却水が噴射しないため、直接注入ノズル121と冷却ダクト130、140の間の連結が分離し、冷却ダクト130、140を介して降水部102下部の冷却水が吸入され、原子炉圧力容器120内部の冷却水の水位が低下する出入り口逆転現象を防ぐことができる。
【0041】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
100:原子炉
101:炉心
102:降水部
110:炉心バレル
120:原子炉圧力容器
121:直接注入ノズル
122:低温管
123:高温管
130、140:冷却ダクト
130a、130b、130c、140a、140b、140c:垂直分割ダクト
131、141:上面
132、142:側面傾斜部
133、143:非常用炉心冷却水流入口
135、145:側面支持台
136、146:上部塞ぎ板
137、147:出口ガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の炉心バレルの周囲に沿って配置され、直接注入ノズルと対向する非常用炉心冷却水流入口を有するが、前記炉心バレルの長手方向に沿って長く形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトであって、
前記冷却ダクトは、長手方向に沿って垂直分割された多数の垂直分割ダクトで形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項2】
前記冷却ダクトは、互いに隣接する垂直分割ダクトの間にギャップが形成されたり、互いに隣接する垂直分割ダクトの一部が互いにオーバーラップしたりする請求項1に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項3】
前記冷却ダクトは、熱によって前記垂直分割ダクトが膨脹または収縮されることにより、前記垂直分割ダクトが互いに垂直方向に滑り相対移動が可能なように形成された請求項2に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項4】
前記冷却ダクトの側面に備えられ、前記冷却ダクトを固定させる多数の側面支持台をさらに備え、
前記側面支持台は、前記冷却ダクトの長手方向に沿って互いに離隔して備えられる請求項1に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項5】
前記冷却ダクトの上面には、前記冷却ダクト内部に非常用炉心冷却水を注入するための流入口が形成され、前記上面は、前記炉心バレルの表面に対して盛り上がった緩やかな曲面形状を有する請求項4に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項6】
前記冷却ダクトは、上端部が閉鎖して下端部が開放するように形成され、
前記冷却ダクトの下端部には、前記原子炉の炉心側から前記冷却ダクト側に急激な逆流発生時に逆流の流動方向を変えてくれる出口ガイドが備えられ、
前記出口ガイドは、前記炉心バレル表面で突出形成され、原子炉の非常用炉心冷却水注入時期以前に形成される高速の逆流性破断流が前記冷却ダクトに流入されるときの流動抵抗を減少させる請求項1に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項1】
原子炉の炉心バレルの周囲に沿って配置され、直接注入ノズルと対向する非常用炉心冷却水流入口を有するが、前記炉心バレルの長手方向に沿って長く形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクトであって、
前記冷却ダクトは、長手方向に沿って垂直分割された多数の垂直分割ダクトで形成された原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項2】
前記冷却ダクトは、互いに隣接する垂直分割ダクトの間にギャップが形成されたり、互いに隣接する垂直分割ダクトの一部が互いにオーバーラップしたりする請求項1に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項3】
前記冷却ダクトは、熱によって前記垂直分割ダクトが膨脹または収縮されることにより、前記垂直分割ダクトが互いに垂直方向に滑り相対移動が可能なように形成された請求項2に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項4】
前記冷却ダクトの側面に備えられ、前記冷却ダクトを固定させる多数の側面支持台をさらに備え、
前記側面支持台は、前記冷却ダクトの長手方向に沿って互いに離隔して備えられる請求項1に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項5】
前記冷却ダクトの上面には、前記冷却ダクト内部に非常用炉心冷却水を注入するための流入口が形成され、前記上面は、前記炉心バレルの表面に対して盛り上がった緩やかな曲面形状を有する請求項4に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【請求項6】
前記冷却ダクトは、上端部が閉鎖して下端部が開放するように形成され、
前記冷却ダクトの下端部には、前記原子炉の炉心側から前記冷却ダクト側に急激な逆流発生時に逆流の流動方向を変えてくれる出口ガイドが備えられ、
前記出口ガイドは、前記炉心バレル表面で突出形成され、原子炉の非常用炉心冷却水注入時期以前に形成される高速の逆流性破断流が前記冷却ダクトに流入されるときの流動抵抗を減少させる請求項1に記載の原子炉の非常用炉心冷却水注入用垂直分割型冷却ダクト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−261927(P2010−261927A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165990(P2009−165990)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
[ Back to top ]