説明

原子炉冷却システム

【課題】電源無しに動作する原子炉冷却システムにおいて、同一の水量での動作時間を延長すること。
【解決手段】原子炉圧力容器1から蒸気を抜き取る蒸気供給配管2と、原子炉格納容器3の外部に設置された第1チャンバ21と、第1チャンバ内に設置された第1熱交換器4と、第1チャンバの下方に設置され冷却水が貯蔵される第2チャンバ22と、第2チャンバ内に設置された第2熱交換器5と、第1チャンバと第2チャンバを連通するための連通孔9と、第2熱交換器5で凝縮した水を原子炉圧力容器内に戻すための水戻し配管7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力発電プラントに用いられる原子炉冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電システム(例えば、沸騰水型軽水炉(Boiling Water Reactor(以下、BWRと称す))は、原子炉停止後も炉心の崩壊熱を除去して原子炉を冷却する必要がある。通常は、原子炉圧力容器から一部の水を抜き取り、それを海水と熱交換する熱交換器を通して冷却して原子炉圧力容器に戻すことで、崩壊熱を除去している。この種の原子炉冷却システムは、原子炉からの水の抜き取りおよび冷却用の海水の汲み上げに電動ポンプを使用しているため、システムの動作には電気が必要である。また、非常用の原子炉冷却システムとしては、原子炉の冷却水を熱交換器に引き込み、電動のファンで空気を送ることで冷却するものが特開2010−256322号公報に開示されている。このシステムも電動ファンを使用しているためシステムの動作に電気が必要である。したがって、原子炉への外部からの送電が止まるような異常事象発生時には、原子炉に設置された非常用発電機が起動して、原子炉冷却システムを運転するようになっている。
【0003】
この点を鑑みて、原子炉への外部からの送電が止まったときにも電源無しに原子炉の冷却が可能なシステムとして、例えば特開昭62−182697号公報に記載されている非常用復水器が提案されている。非常用復水器は、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取り、プール水中に設置した伝熱管を通すことで蒸気を凝縮させ、凝縮水を原子炉圧力容器に戻すシステムである。非常用復水器は、凝縮した水の重さ(水頭)を駆動力として動作するため、電源無しに動作することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−256322号公報
【特許文献2】特開昭62−182697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開昭62−182697号公報に記載されている非常用復水器は、上述のように電気無しに動作可能であるが、その動作時間は冷却用のプール水量で制約される。炉心の崩壊熱は冷却用のプールで回収されるため、プール水は徐々に加熱され、プール水温が沸点に達した後、プール水は蒸発することになる。すなわち、プール水が蒸発して無くなった時点で非常用復水器は実質的に動作が停止してしまう。また、非常用復水器の冷却プールはその動作原理から、原子炉圧力容器よりも上部に設置する必要があり、耐震性、建設コストの観点から、プール水量は極力少ない方が良い。
【0006】
なお、特開2010−256322号の公報に記載されている空気冷却式の冷却システムは、空気冷却による除熱量が一般的に小さいことから、十分な除熱量を確保するためには電動のファンなどで空気を循環させる必要がある。このようなシステムの動作には電源の確保が不可欠である。
【0007】
本発明は、電源無しに動作する原子炉冷却システムにおいて、同一の水量での動作時間を延長することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、原子炉格納容器内の原子炉圧力容器から蒸気を抜き取るための蒸気供給配管と、前記原子炉格納容器の外部に設置された第1チャンバと、当該第1チャンバ内に設置され、前記蒸気供給配管内の蒸気を冷却するための第1熱交換器と、前記第1チャンバの下方に設置され、冷却水が貯蔵される第2チャンバと、当該第2チャンバ内に設置され、前記第1熱交換器で冷却された蒸気を冷却するための第2熱交換器と、前記第1チャンバと前記第2チャンバを連通するための連通孔と、前記第2熱交換器で凝縮した水を前記原子炉圧力容器内に戻すための水戻し配管とを備えるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原子炉冷却システムにおける同一の水量での動作時間を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る原子炉冷却システムの構成図。
【図2】従来の原子炉冷却システムの構成図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る原子炉冷却システムの構成図。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る原子炉冷却システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明者らは、電源無しに動作する原子炉冷却システム(非常用復水器)の動作時間を延長するには、空気冷却の熱交換器と水冷却の熱交換器を直列に接続し、原子炉圧力容器から抜き取った蒸気をまずは空気冷却の熱交換器で冷却した後、水冷却の熱交換器で冷却し、さらに水冷却の熱交換器を冷却するためのプール水(冷却水)が蒸発して発生した蒸気を利用して、空気冷却の熱交換器の除熱量を増加させれば良いとの結論に達した。これにより、水冷却の熱交換器での除熱量を減少できるため、プール水の蒸発量を減少でき、同一のプール水量条件での非常用復水器の動作時間を延長することができる。
【0012】
以下、上記の検討結果を反映した本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る原子炉冷却システムの構成図である。この図に示す原子炉冷却システムは、原子力発電プラントに用いられるものであり、蒸気供給配管2と、空気冷却熱交換器(以下、第1熱交換器と称することがある)4と、第1熱交換器4を収納するためのチャンバ(以下、第1チャンバと称することがある)21と、水冷却熱交換器(以下、第2熱交換器と称することがある)5と、第2熱交換器5を収納するためのチャンバ(以下、第2チャンバと称することがある)22と、連通孔9と、水戻し配管7と、起動弁8を備えている。
【0013】
蒸気供給配管2は、原子炉格納容器3内に設置された原子炉圧力容器1から蒸気を抜き取るため配管である。蒸気供給配管2における圧力容器1側の端部は、圧力容器1の上部に形成される蒸気領域に開口するように圧力容器1に接続されている。蒸気供給配管2における他方の端部は、原子炉格納容器3の壁面に設けた貫通部を介して第1熱交換器4に接続されている。なお、図1には示していないが、格納容器3における貫通部の前後には隔離弁が設置されており、これら隔離弁は通常時には閉じられている。
【0014】
第1チャンバ21は、原子炉格納容器3の外部に設置され大気開放された部屋である。第1チャンバ21の内部には第1熱交換器4が設置されている。なお、本実施の形態に係る第1チャンバ21には、空気取込口10と、煙突11が取り付けられている。空気取込口10は、第1チャンバ21内に大気(外気)を取り込みやすくして第1熱交換器4による除熱性能を向上するためのものであり、第1チャンバ21を構成する壁面のうち第1熱交換器4の周囲の少なくとも一部に設けることが好ましい。さらに、本実施の形態における空気取込口10には、第1チャンバ21内への雨水の浸入を防ぐ雨よけ設備として雨よけ板(ルーバー)13が設けられている。雨よけ板13以外の雨よけ設備としてはフェンスやフィルタ等がある。また、煙突11は、煙突効果により第1チャンバ21への大気流入を促進することで第1熱交換器4による除熱性能を向上するためのものであり、第1チャンバ21を構成する壁面のうち上面(天井)に設けることが好ましい。なお、空気取込口10、雨よけ設備13及び煙突11は省略可能である。
【0015】
第1熱交換器(空気冷却熱交換器)4は、蒸気供給配管2を介して供給される蒸気と第1チャンバ21内の空気を熱交換することで当該蒸気を冷却するためのものであり、第1チャンバ21内に設置されている。なお、空気冷却式の熱交換器(第1熱交換器4)の伝熱性能は一般的に水冷却式の熱交換器(第2熱交換器5)よりも低いため、図1では第1熱交換器4の設置体数は第2熱交換器5よりも増加させた例を示している。第1熱交換器4と第2熱交換器5の設置体数や伝熱管本数などは、必要な除熱性能を考慮して任意に設定することができる。
【0016】
第2チャンバ22は、第1チャンバ21の下方に隣接して設置された部屋であり、その内部にはプール水(冷却水)6が貯蔵されている。すなわち第2チャンバ22は冷却プールとして機能する。また、第1チャンバ21と第2チャンバ22を区画する隔壁(すなわち、第1チャンバ21の底面及び第2チャンバ22の天井)には両者を連通するための連通孔9が設けられている。
【0017】
第2熱交換器(水冷却熱交換器)5は、第1熱交換器4で冷却された蒸気(凝縮した場合には液水)とプール水6を熱交換することで当該蒸気(液水)を冷却するためのものであり、第2チャンバ22内でプール水6の中に位置するように設置されている。本実施の形態における第2熱交換器5と第1熱交換器4は配管で接続されている。
【0018】
連通孔9は、第2熱交換器5における熱交換で蒸発したプール水(蒸気)6を第2チャンバ22から第1チャンバ21内に放出するためのものであり、本実施の形態では第1熱交換器4の下方に位置するように設けられている。図1に示した例では、連通孔9は、第1熱交換器4と第2熱交換器5を略鉛直に接続する伝熱管の外周に位置するように設けられている。
【0019】
水戻し配管7は、第2熱交換器5で冷却され凝縮した水を原子炉圧力容器1内に戻すための配管であり、第2熱交換器5と原子炉圧力容器1を接続している。水戻し配管7における圧力容器1側の端部は、圧力容器1内の水領域(例えば、炉心(図示せず)の位置の上部)に開口するように圧力容器1に接続することが好ましい。また、水戻し配管7は、蒸気供給配管2と同様に格納容器3の壁面に設けた貫通部を通過しており、当該貫通部の前後には隔離弁(図示せず)が設置されている。
【0020】
起動弁(弁装置)8は、本実施の形態に係る原子炉冷却システムを起動するためのものであり、起動弁8を開くと圧力容器1内の蒸気が蒸気供給配管2内に導入される。なお、本実施の形態では、起動弁8を水戻し配管7に設置したが、蒸気供給配管2に設置しても良く、双方の配管2,7に設置しても良い。
【0021】
上記のように構成される原子炉冷却システムにおいて、異常事象が発生する等した場合には、起動弁8を開放する。起動弁8を開放すると、水戻し配管7内と、第1熱交換器及び第2熱交換器5の伝熱管内に溜まった水は、自重により水戻し配管7を介して圧力容器1内に流入する。これにより、原子炉圧力容器1から蒸気供給配管2を介して第1熱交換器4および第2熱交換器5内に蒸気が流入する。
【0022】
このように原子炉冷却システムをしばらく運転すると、第2チャンバ22内のプール水6は、第2熱交換器5における熱交換によって徐々に温度を上昇し、やがて沸騰を開始する。このように第2チャンバ22内で発生した蒸気は、連通孔9から第1チャンバ21内に放出される。この蒸気は空気よりも軽いため、空気取込口10から第1チャンバ21内に流入する空気を巻き込んで上昇流となり、第1熱交換器4の周囲を流通しながら煙突11へ向かう。
【0023】
第1熱交換器4は、この上昇流を受けることで伝熱性能(冷却性能)が向上する。第2チャンバ22からの蒸気と第1チャンバ21内の空気の混合気体は、第1熱交換器4周囲を通ることで、さらに加熱され、第1熱交換器上部に設置された煙突11を通ることで煙突効果により加速される。この効果により第1熱交換器4周辺における蒸気と空気の混合気体の流速が高まるので、第1熱交換器4の伝熱性能をさらに向上できる。なお、蒸気供給配管2を介して圧力容器1から抜き取った蒸気は、通常、大気圧より圧力が高く、大気圧下の飽和温度100℃以上の温度であるため、第2チャンバ22で発生した蒸気や沸点に達したプール水でも冷却可能である。
【0024】
ここで、本実施の形態に係る原子炉冷却システムの効果の理解を容易にするために従来の原子炉冷却システム(非常用復水器)について説明する。図2は従来の原子炉冷却システムである非常用復水器の構成図である。なお、先の図面と同じ部分には同じ符号を付して説明は省略する。この図に示す原子炉冷却システムは、本実施の形態のような第1チャンバ21及び第1熱交換器4等を備えていない。蒸気供給配管2はプール水6の中に設置された水冷却式の熱交換器5に直接接続されており、チャンバ22の上部は大気開放されている。このように構成された原子炉冷却システムでは、チャンバ22内のプール水6が蒸発して無くなった時点で熱交換器5の除熱性能(冷却性能)は著しく低下してしまい、原子炉冷却システムの動作は実質的に停止してしまう。なお、プール水6が無くなった後は、チャンバ22内の空気の大気排出が抑制されるので、熱交換器5による空気冷却機能はあまり見込めない。
【0025】
これに対して、本実施の形態に係る原子炉冷却システムは、圧力容器1内の蒸気を第1熱交換器4で冷却した後に第2熱交換器5で冷却しているので、第1熱交換器4での熱交換量分だけプール水6の蒸発を抑制することができる。これにより、図2に示した従来のシステムと同一の水量(プール水6の量)で比較した場合、原子炉冷却システムの動作時間を延長することができる。
【0026】
図3は本発明の第2の実施の形態に係る原子炉冷却システムの構成図である。この図に示す原子炉冷却システムは、蒸気放出装置25を備えている点で第1の実施の形態のものと異なる。
【0027】
蒸気放出装置25は、第2熱交換器5での熱交換により蒸発したプール水6(蒸気)を第2チャンバ22内から第1チャンバ21内に放出するためのものであり、第1チャンバ21の底面(すなわち、第2チャンバ22の天井)に取り付けられている。蒸気放出装置25は、連通孔9aと、放出孔9bと、ケーシング24を備えている。
【0028】
連通孔9aは、第1チャンバ21と第2チャンバ22を区画する隔壁(第1チャンバ21の底面)に設けられた貫通孔であり、当該隔壁に対して第1熱交換器4を正射影した像から横方向(水平方向)にずれた位置に設けられている。例えば、第1チャンバ21が略直方体状に形成されている場合には、連通孔9aは、第1チャンバ21の底面における4隅のいずれかに設けることができる。なお、後述するように空気取込口10から導入される大気と蒸気との混合を避けて第1熱交換器4の除熱性能を保持する観点からは、連通孔9aと空気取込口10の間に第1熱交換器4が位置するように連通孔9aを配置することが好ましい。第2熱交換器5での熱交換で蒸発したプール水(蒸気)6は、第2チャンバ22から連通孔9aを介してケーシング24内に導入される。
【0029】
放出孔9bは、ケーシング24の上部に設けられた開口部であり、ケーシング24内の導入された蒸気はここから第1チャンバ21内に放出される。放出孔9bは、放出孔9bから放出される蒸気が第1熱交換器4に直接当たらないように、第1チャンバ21内における第1熱交換器4の設置位置から水平方向にずれた位置に設けられている。空気取込口10から導入される大気と蒸気の混合を避ける観点からは、放出孔9bは、図2に示した例のように、第1熱交換器4から水平方向に離れた高い位置に設置することが好ましく、その開口面積は連通孔9aのものより小さくすることが好ましい。また、図2の例におけるケーシング24の鉛直方向における断面積は、連通孔9aから放出孔9bに向かって徐々に小さくなっている。
【0030】
本実施の形態のように構成した蒸気放出装置25を介して第1チャンバ21に蒸気を放出すると、第2チャンバ22から放出される100℃の蒸気を第1熱交換器4に直接接触させることなく、第1チャンバ21内に導入することができる。これにより、空気取込口10から取り込んだ相対的に低温の空気を主に第1熱交換器4に接触させることができるので、第1熱交換器4の除熱性能(冷却性能)を向上させることができる。そのため、蒸気供給配管2内の蒸気温度が比較的低い場合(例えば、原子炉停止時から長期間が経過して、原子炉圧力が比較的低くなっており、蒸気温度が大気圧の飽和温度に近い場合)にも、第1熱交換器4による除熱を継続できるという顕著な効果を奏する。なお、第2チャンバ22からの蒸気を第1熱交換器4に直接接触させなくても、第1チャンバ21内の空気と蒸気の温度差により第1チャンバ21内に上昇流を発生することができる。したがって、本実施の形態によっても原子炉冷却システムの動作時間を延長することができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、空気取込口10から導入される大気と蒸気の混合を積極的に避ける観点から蒸気放出装置25を設けたが、例えば第1の実施の形態における連通孔9を図1に示した位置から水平方向にずらした場合にも第1熱交換器4に蒸気が接触する量が低減するので、上記と同様の効果を得ることができる。すなわち、蒸気放出装置25を設けなくても、連通孔9の位置を変更するだけで本実施の形態が意図する効果を発揮することができる。
【0032】
図4は本発明の第3の実施の形態に係る原子炉冷却システムの構成図である。この図に示す原子炉冷却システムは、空気取込配管12を備えている点で第1の実施の形態のものと異なる。
【0033】
空気取込配管12は、略鉛直方向に延びる配管であり、第2チャンバ22を第2チャンバ22の外部に接続している。本実施の形態の空気取込配管12における第2チャンバ22外部側の端部(すなわち、空気取込配管12の上端)は第1チャンバ21内に開口している。また、空気取込配管12の下端は、第2チャンバ22内に開口しており、かつ、第2熱交換器5の上端よりも低い位置に設けられている。
【0034】
第1及び第2の実施の形態に係る原子炉冷却システムにおいて、第2チャンバ22内のプール水6の水位が第2熱交換器5の上端を下回ると、第2熱交換器5の除熱性能は徐々に減少してしまう。そして、第2チャンバ22内のプール水6の水位が最終的に第2熱交換器5の下端を下回ると、蒸気の発生量が減少するので第1チャンバ21内で上昇流を形成することが難しくなる。
【0035】
これに対して、本実施の形態のように空気取込配管12を設置し、その下端(出口)の高さを第2熱交換器5の上端より低い位置にしておけば、空気取込配管12を介して第2チャンバ22外部(本実施の形態では第1チャンバ21内)の相対的に低温の空気を第2チャンバ22内に導入することができ、当該空気によって第2熱交換器5内の蒸気を冷却することができる。また、第2熱交換器5で加熱された空気は、上昇流となって連通孔9を介して第1チャンバ21に排出されるため、第1チャンバ21内で上昇流を形成することができる。そして、当該上昇流によって第1熱交換器4を冷却することも可能である。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、プール水6の水位が第2熱交換器5の下端を下回った後でも第1熱交換器4及び第2熱交換器5の除熱性能をある程度維持できるので、原子炉圧力容器1内で発生した崩壊熱の少なくとも一部を除去することができる。
【0037】
なお、ここでは、第1の実施の形態に係る原子炉冷却システムに空気取込配管12を設置したものを第3の実施の形態として説明したが、第2の実施の形態に空気取込配管12を設置しても上記と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
ところで、上記の各実施の形態では、沸騰水型軽水炉(BWR)の例を示したが、本発明は加圧水型軽水炉(PWR)における蒸気発生器にも適用可能である。この場合には、原子炉圧力容器からの加圧水を熱源とする蒸気発生器に蒸気供給配管2を接続し、当該蒸気供給配管2を介して蒸気発生器から蒸気を抜き取る構成とすれば良い。そして、第1チャンバ21内に設置した第1熱交換器4及び第2チャンバ22内に設置した第2熱交換器5を介して凝縮した水を蒸気発生器に還流すれば良い。
【符号の説明】
【0039】
1…原子炉圧力容器、2…蒸気供給配管、3…原子炉格納容器、4…第1熱交換器、5…第2熱交換器、6…プール水(冷却水)、7…水戻し配管、8…起動弁、9…連通孔、10…空気取込口、11…煙突、12…空気取込配管、13…雨よけ板(雨よけ設備)、21…第1チャンバ、22…第2チャンバ、24…ケーシング、25…蒸気放出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器内の原子炉圧力容器から蒸気を抜き取るための蒸気供給配管と、
前記原子炉格納容器の外部に設置された第1チャンバと、
当該第1チャンバ内に設置され、前記蒸気供給配管内の蒸気を冷却するための第1熱交換器と、
前記第1チャンバの下方に設置され、冷却水が貯蔵される第2チャンバと、
当該第2チャンバ内に設置され、前記第1熱交換器で冷却された蒸気を冷却するための第2熱交換器と、
前記第1チャンバと前記第2チャンバを連通するための連通孔と、
前記第2熱交換器で凝縮した水を前記原子炉圧力容器内に戻すための水戻し配管とを備えることを特徴とする原子炉冷却システム。
【請求項2】
請求項1に記載の原子炉冷却システムにおいて、
前記第1チャンバに設けられた空気取込口と、
前記第1チャンバに取り付けられた煙突とをさらに備えることを特徴とする原子炉冷却システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の原子炉冷却システムにおいて、
前記連通孔は、前記第1熱交換器の下方に位置することを特徴とする原子炉冷却システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の原子炉冷却システムにおいて、
前記連通孔は、前記第1熱交換器に対して横方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする原子炉冷却システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の原子炉冷却システムにおいて、
前記第2チャンバと前記第2チャンバ外部を接続する空気取込配管をさらに備え、
前記空気取込配管の下端は、前記第2熱交換器の上端よりも低いことを特徴とする原子炉冷却システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の原子炉冷却システムにおいて、
前記空気取込口に設置された雨よけ設備をさらに備えることを特徴とする原子炉冷却システム。
【請求項7】
原子炉格納容器と、
当該原子炉格納容器の内部に設置された原子炉圧力容器と、
前記原子炉圧力容器から蒸気を抜き取るための蒸気供給配管と、
前記原子炉格納容器の外部に設置された第1チャンバと、
当該第1チャンバ内に設置され、前記蒸気供給配管内の蒸気を冷却するための第1熱交換器と、
前記第1チャンバの下方に設置され、冷却水が貯蔵される第2チャンバと、
当該第2チャンバ内に設置され、前記第1熱交換器で冷却された蒸気を冷却するための第2熱交換器と、
前記第1チャンバと前記第2チャンバを連通するための連通孔と、
前記第2熱交換器で凝縮した水を前記原子炉圧力容器内に戻すための水戻し配管とを備えることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項8】
原子炉格納容器内の原子炉圧力容器からの加圧水を熱源とする蒸気発生器から蒸気を抜き取るための蒸気供給配管と、
前記原子炉格納容器の外部に設置された第1チャンバと、
当該第1チャンバ内に設置され、前記蒸気供給配管内の蒸気を冷却するための第1熱交換器と、
前記第1チャンバの下方に設置され、冷却水が貯蔵される第2チャンバと、
当該第2チャンバ内に設置され、前記第1熱交換器で冷却された蒸気を冷却するための第2熱交換器と、
前記第1チャンバと前記第2チャンバを連通するための連通孔と、
前記第2熱交換器で凝縮した水を前記蒸気発生器内に戻すための水戻し配管とを備えることを特徴とする原子炉冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−76578(P2013−76578A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215372(P2011−215372)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)