説明

原子炉圧力容器ヘッドベント及びそれを使用する方法

【課題】圧力容器上部ヘッド内における非凝縮性気体の集積を防止しさらにプラントテスト及び停止においてRPVが充満された時における空気逸出のためのベントを形成する。
【解決手段】上部ヘッド29に配管を設け、該配管は、上部ヘッド29から下向きに延びかつ原子炉の外部に通り抜けて、該上部ヘッド29上に外部配管がない状態で気体が原子炉の外部に逸出するか又は強制的に通気されるのを可能にする。配管は、取外し可能に噛合う上部及び下部セクションを含むことができる。取外し可能な噛合せは、圧縮可能ベローズ及び対応するファネルを含むことができる。配管は、炭素鋼、ステンレス鋼及び/又はNi−Cr−Fe合金を含む原子炉安全材料で製作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉圧力容器ヘッドベント及びそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、沸騰水型原子炉(BWR)のような従来型の原始炉は、ほぼ円筒形状を有する原子炉圧力容器(RPV)12を含むことができる。RPV12は、下方端部において底部ヘッド28によって閉鎖しまた頂部端部において取外し可能な上部ヘッド29によって閉鎖することができる。円筒形状コアシュラウド34が、原子炉コア36を囲むことができ、原子炉コア36は、核分裂により電力を生成する(発電する)幾つかの核燃料要素を含む。シュラウド34は、一端部においてシュラウド支持体38によって支持することができ、また他端部において取外し可能なシュラウドヘッド39及びセパレータチューブ組立体を含むことができる。燃料集合体は、コア36の基部に設置したコアプレート48によって整列させることができる。上向きにコア36内に1つ又はそれ以上の制御ブレード20を延ばして、コア36の燃料要素内における核分裂連鎖反応を制御するようにすることができる。加えて、底部ヘッド28を貫通させるなど、RPV12の外部から原子炉コア36内に1つ又はそれ以上の計測チューブ50を延ばして、中性子モニタ及び熱電対のような計測装置を外部位置からコア36内に挿入しかつ該コア36内に閉じ込めるのを可能にすることができる。
【0003】
水のような流体冷却材が、コア36及びコアプレート48を通って上方に循環しかつ燃料要素内の核分裂により発生した熱によって少なくとも部分的に蒸気に変換される。蒸気は、セパレータチューブ組立体及び蒸気ドライヤ構造15内で分離されかつ乾燥され、またRPV12の頂部近くの主蒸気ノズル3を通って該RPV12から流出する。RPV12を通って循環しかつRPV12内で沸騰した冷却材は一般的に、冷却材化学的性質を強化する幾つかの混和物を除いて純粋でありかつ脱イオン化している。運転過程の間に、コア36内の燃料要素の損傷により、核分裂生成物が何らかの事情で冷却材内に漏洩する可能性があり、或いは放射線分解及びその他の反応により、水素が燃料要素内に生成される可能性がある。これらの及びその他の事象により、非凝縮性気体がRPV12内の冷却材を通って上方に移動しかつ上部ヘッド29内に集積し、上部ヘッド29においてそれら気体がRPVボリュームを減少させかつ爆発又はその他の流体機械的リスク及び問題をもたらす。
【0004】
従来では、上部ヘッド29内にヘッドベント80を設けて、上部ヘッド29内における非凝縮性気体の集積を防止しかつさらにプラントテスト及び停止においてRPV12が充満された時における空気逸出のためのベントを形成する。ヘッドベント80は、上部ヘッド29を貫通した密閉可能な通路及び気体をRPV12の外部の蒸気管路3又はサンプ領域に送る外部配管を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的実施形態は、原子炉で使用する内部ヘッドベントを対象としている。本例示的実施形態は、水圧テスト又は運転時に気体が集積される可能性がある原子炉上部ヘッドの頂部内部表面に近接したベントを備えた原子炉圧力容器の内部の配管を含む。本例示的実施形態の配管は、上部ヘッドから下向きに延びかつ原子炉の外部に通り抜けて、該上部ヘッド上に外部配管がない状態で気体が原子炉の外部に逸出するか又は強制的に通気されるのを可能にする。配管は、上部ヘッドの下方における蒸気出口を含むあらゆる貫通口を通して原子炉の外部に通り抜けることができる。配管は、上部ヘッド及び/又は原子炉圧力容器の内部表面に取付けられたブラケットを含むあらゆる接合機構或いは構造によって、上部ヘッド及び/又は原子炉圧力容器に接合することができる。そのようなブラケットは、あらゆる数又はタイプのものとして、所望の位置における配管の幾らかの相対運動を可能にしかつ/或いは所望の位置において配管及び内部表面を固定取付けするようにすることができる。
【0006】
配管は、上部ヘッドが原子炉圧力容器に接合される連結ポイントにおいて互いに取外し可能に噛合う上部及び下部セクションを含むことができる。そのような取外し可能な噛合せは、圧縮可能ベローズ及び該ベローズを備えた配管セクションを受けるファネルにより達成することができる。非接合かつ非圧縮状態では、ベローズを備えたセクションのみが、原子炉圧力容器フランジの頂部の上方に延びて、上部ヘッドから延長又は突出するのを防止することができる。本例示的実施形態は、原子炉圧力容器或いは上部及び下部ヘッド内の貫通口或いはあらゆるその他の貫通口を通して該原子炉圧力容器の外部に通り抜ける貫通ノズルを含むことができる。配管は、材料非適合性を回避する適切な組合せで選択した、炭素鋼、ステンレス鋼及び/又はNi−Cr−Fe合金を含む原子炉安全材料で製作することができる。
【0007】
例示的方法は、原子炉内に内部ヘッドベントを据付けるステップを含む。本例示的方法は、配管内のベントが該上部ヘッドの頂部内部表面に近接して配置されまた原子炉圧力容器の外部に通り抜ける端部を通って気体が流れる通路に連結されるか又は該通路を構成するように、原子炉の上部ヘッドの内部表面に対して配管を固定しかつ/又は原子炉圧力容器の内部表面に対して配管を固定するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来型の原子炉圧力容器及びその内部構造を示す図。
【図2】例示的実施形態の内部ヘッドベントを示す図。
【図3】図2の例示的実施形態の内部ヘッドベントの概略輪郭図。
【図4】図2の例示的実施形態の内部ヘッドベント内における連結ポイントの詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、添付の図面を参照して例示的実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本明細書に開示した特定の構造及び機能は単に、例示的実施形態を説明するために示している。例えば、例示的実施形態は沸騰水型原子炉(BWR)に関して説明しているが、これらの例示的実施形態は、その他のタイプの原子力プラント及びその他の技術領域で使用可能にすることができることを理解されたい。本例示的実施形態は、多くの代替形態として具現化することができまた本明細書に記載した例示的実施形態のみに限定されると解釈すべきでない。
【0010】
本明細書では様々な要素を説明するために第1、第2などの用語を使用することができるが、これらの要素は、それらの用語に限定されるべきではないことを理解されたい。それらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用する。例えば、例示的実施形態の技術的範囲から逸脱せずに、第1の要素は第2の要素と呼ぶことができ、また同様に第2の要素は第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用する場合に、「及び/又は」という用語は、関連する列記したアイテムの1つ又はそれ以上のあらゆる及び全ての組合せを含む。
【0011】
要素が別の要素に「連結される」、「結合される」、「噛合わされる」、「取付けられる」又は「固定される」と表現した場合には、その要素は、その別の要素に直接連結又は結合することができ或いは介在要素を存在させることができることを理解されたい。対照的に、要素が別の要素に「直接連結される」又は「直接結合される」と表現した場合には、介在要素が全く存在しない。要素間の関係を説明するために使用するその他の表現(例えば、「間にある」対「直接間にある」、「隣接する」対「直接隣接する」など)も、同様に解釈すべきである。
【0012】
本明細書で使用する場合に、数詞を付していない表現は、用語がそうでないことを明確に示していない限り、複数の形態もまた含むことを意図している。さらに、本明細書で使用する場合の「含む」、「含んでいる」、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、記述した特徴、回数、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又はそれ以上のその他の特徴、回数、ステップ、操作、要素、構成要素及び/或いはそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことを理解されたい。
【0013】
また、幾つかの別の実施形態では、注目する機能/動作は、図面に表した又は明細書に記載した順序とは別に行なうことができることを注目されたい。例えば、連続して示した2つの図又はステップは、実際には並行にかつ同時に実行することができ或いは時には関連する機能/動作に応じて逆の順序で又は反復的に実行することができる。
【0014】
本出願の発明者達は、従来型のヘッドベント80(図1)装置及び方法に関する幾つかの問題を特定した。例えば、気体をヘッドベント80から下方に蒸気レッグ3のような受入れ出口又は保持位置に導くために多量の配管を必要とする。プラント停止時にRPV12内部にアクセスしかつ保守整備を行なうために上部ヘッド29が取外されるので、RPV12へのアクセスに先立って、ヘッドベント80に関連する全ての外部配管は分解しかつ保存しなければならない。外部配管を分解し、保存しかつ再組立てするのに必要な多くの時間及び労力は、そのような停止時にはプラントは電力又は収益を産生しないので、商業的原子力プラントオペレータにとって大きな収益の損失となる可能性がある。以下に説明する例示的実施形態及び方法は、原子力発電プラントにおいて従来型のヘッドベント80使用のこれらの作用を固有の方法で解決して、従来型のヘッドベント80における外部配管を取外すこと、据付けること及び保存することに関連するプラント停止時における時間及び資源の消費の低減を含む幾つかの利点、並びに/或いは以下に説明する又は説明していないその他の利点を達成する。
【0015】
例示的実施形態
図2は、例示的実施形態の内部ヘッドベントを示す図である。図2に示すように、例示的実施形態内部ヘッドベン100は、上部ヘッド29を含むRPV12内の貫通口を通る該上部ヘッド29内の気体の出口を構成した内部配管を含む。例示的実施形態内部ヘッドベン100の配管は、RPV12及び上部ヘッド29の内部に上部配管110及び下部配管120を含むことができる。例示的実施形態内部ヘッドベン100は、その中に上部ヘッド29の頂部に集積した非凝縮性気体がRPV12から取除かれるように流れることができるベント孔119を含む。上部配管110は、そのような孔119を含みかつ運転時に下部配管120に接合されて、非凝縮性気体が下部配管内に流れ、次に蒸気出口3(図1)のような既存の貫通口を通してRPVから流出するのを可能にすることができる。このようにして、上部ヘッド29の頂部に集積した非凝縮性気体は、内部配管を通ってRPV12から流出させることができ、かつその関連する配管を備えた従来型のヘッドベント80は、使用しなくすることができる。
【0016】
上部配管110及び下部配管120は、例示的実施形態内部ヘッドベン100内において多くの方法で所定の位置に保持することができる。例えば、上部配管110及び下部配管120は、図2に示すように、それぞれ上部ヘッド29及びRPV12の内部表面に接合することができる。上部配管110及び下部配管120は、上部ヘッド29及びRPV12の内部表面に近接させて配置して、例示的実施形態内部ヘッドベン100内において最小の妨害を形成しかつほっそりした輪郭にし、それによって衝突又は流れ妨害のリスクを減少させることができる。上部配管110及び下部配管120は、溶接、機械的ファスナ、接着剤、ブラケット、上部ヘッド29及びRPV12内の一体形成通路などを含む幾つかの方法で上部ヘッド29及びRPV12に接合することができる。
【0017】
例えば、図2に示すように、幾つかのブラケット115により、RPV12及び/又は上部ヘッド29並びに上部配管110及び下部配管120間を接合して各配管部分を固定することができる。あらゆる数及びタイプのブラケット115により、配管部分を上部ヘッド29及び/又はRPV12に固定することができる。ブラケットは、溶接、一体形成、リベット、接着剤などを含むあらゆる許容可能な方法によって接合することができる。図2の例示的実施形態に示すように、上部配管110及び下部配管120の長さに沿って可変垂直方向間隔で、6つのブラケット115を使用することができる。ブラケット115は、例示的実施形態において様々な構成を有するものとして示しており、また例示的実施形態において一貫して又は多様な状態であらゆるブラケット設計又はタイプを使用することができることを理解されたい。例示的実施形態による図に示すように、上部配管110を上部ヘッド29に接合する頂部3つのブラケット115は、その中に上部配管110が装着されまた該上部配管110の前面の周りを通りかつブラケット115に溶接されて該上部配管110の長さに沿った幾らかの配管移動(運動)を可能にするバンドによってそれに装着されかつ接合された馬蹄形タイプのブラケットとすることができる。上部配管110を上部ヘッド29にまた下部配管120をRPV12に接合する最下部のブラケット115は、その中に上部配管110及び下部配管120が装着されかつ直接溶接されて、それらブラケット115及び配管間の大半の相対運動を防止する馬蹄形タイプのブラケットとすることができる。下部配管120及びRPV12を接合する上部ブラケット115は、下部配管120の相対垂直方向運動又は圧縮を可能にする貫通孔タイプブラケットとすることができる。言うまでもなく、例示的実施形態内部ヘッドベント100では、あらゆる異なる数/タイプ/構成のブラケット115が許容可能である。
【0018】
上部配管110及び下部配管120は、それを貫通する許容可能な気体流れを可能にしながら、上部ヘッド29及びRPV12の内部表面に対する小さな輪郭を維持しかつ蒸気レッグ3のような貫通口内に取付けて気体を排出するようにするあらゆる寸法とすることができる。例えば、上部配管110及び下部配管120は、妨害又は大きな輪郭突出部がない状態で適切な非凝縮性気体流れを可能にする2インチパイプとすることができる。ブラケット115は、上部配管110及び下部配管120に合せて選択した寸法に基づいた対応する寸法とすることができる。
【0019】
図3に示すように、例示的実施形態内部ヘッドベント100は、既存の又はRPV12内に新たに形成した1つ又はそれ以上の貫通口を介してRPV12に通じることができる。例えば、貫通ノズル125は、蒸気ライン3に連結しかつ屈曲部を介して下部配管120に取付けられたノズルとすることができる。それに代えて、貫通ノズル125は、別の位置に配置しまた原子力プラント内のサンプ又はその他の気体排出機構に連結することができる。例示的実施形態内部ヘッドベント100は、貫通口に容易にアクセスするようにRPV12内に配置することができる。同様に、例示的実施形態内部ヘッドベント100は、下部配管120及び貫通ノズル125並びにそれらに関連するブラケット115が間を通り、かつ従来ではRPV12の上部部分内に配置することができる蒸気ドライヤ構造15(図1)を含むその他の原子炉内部装置とそうではなく干渉しないように配置することができる。
【0020】
図2及び図3並びに図4A及び図4Bに示すように、上部配管110は、上部ヘッド29がRPV12に接合される箇所にほぼ位置した連結ポイント130において下部配管120に接合することができる。このようにして、例示的実施形態内部ヘッドベント100は本質的に、プラント保守整備時に付加的配管作業及び/又は保存なしにRPV12から上部ヘッド29を取外すことにより分解することができる。さらに、上部ヘッド29及び/又はRPV12の内部表面に対してほっそりした輪郭を設けることまた上部ヘッド29及びRPV12が分離される連結ポイント130においてほぼ均等に分離することによって例示的実施形態内部ヘッドベント100によって生じる衝突及び干渉のリスクを最小にすることができる。
【0021】
例示的実施形態内部ヘッドベント100における上部配管110及び下部配管120は、機械的ファスナ、ロック及びキー装置、接着剤、磁石、摩擦当接などを含む多くの公知の連結機構によって連結ポイント130において取外し可能に接合することができる。例えば、図4A及び図4Bに示すように上部配管110は、相互に噛合いかつシールするファネル111及び圧縮可能ベローズ121により連結ポイント130において下部配管120に接合することができる。
【0022】
図4に示すように、圧縮可能ベローズ121は、下部配管120の終端部に近接した該下部配管120の一部とすることができる。下部配管120は、図4Aに示すように上部ヘッド29がRPV12から分離された時にRPV12の上部フランジの上方に距離dだけ延びる。距離dは、比較的小さくて、距離dだけ延びる下部配管120によって生じる捕捉又は干渉のあらゆるリスクを低減させることができる。圧縮可能ベローズ121を備えた下部配管120は距離dだけ上向きに延びるので、上部配管110及びファネル111は、上部ヘッド29の下部フランジと同一面になるか又は下部フランジから凹設させることができる。このようにして、上部ヘッド29は、運転停止時に該上部ヘッド29を移動させかつ保存するのを複雑にすることになる突出部片を気にしないで取外しかつ再設置することができる。同様に、RPV12は固定しているので、RPV12の上部フランジから距離dだけ上向きになった下部配管120の突出は最小の取扱い及び移動問題を有するものとすることができる。
【0023】
圧縮可能ベローズ121は、下部配管120の端部において該ベローズ121に所望の可撓性及び圧縮性を与える1つ又はそれ以上の環状波形部を備えることができる。ベローズ121は、突出距離dの大部分を圧縮可能とすることができて連結ポイント130が接合された時の上部ヘッド29及びRPV12の接触位置とほぼ等しくなるようにすることができる。圧縮可能ベローズ121における適当な数の環状波形部及び選択材料(以下で説明する)は、ベローズ121及びファネル111の反復性がありかつ破壊しない圧縮及び分離を可能にすることができる。
【0024】
ベローズ121における下部配管120の終端部の外径は、上部配管110の対応するファネル111の最大直径よりも小さくすることができて、ベローズ121が接触時にファネル111内に装着するようにすることができる。図4Bに示すように、上部ヘッド29及びRPV12が接合された時に、ファネル111は、ベローズ121を覆って装着され、それにより、上部配管110及び下部配管120を互いに圧縮させかつシール/接合することができる。ベローズ121の外径は、連結ポイント130における均等かつ緊密な嵌合を可能にするために円形又はその他の適切な形状とすることができる。上部ヘッド29及びRPV12が接合された時にベローズ121が圧縮されることになる距離並びにバネ定数を知りかつ/又は設定することにより、ファネル111及びベローズ121間に所望のレベルの圧縮圧力を達成することができる。例えば、ベローズ121が65mm圧縮されかつベローズ121が35N/mmのバネ定数を有する場合には、図4Bにおいて完全に装着された連結ポイント130は、ベローズ121及びファネル111間に2.275kNの圧縮力を有することになり、この圧縮力により、上部配管110及び下部配管120を適切にシールすることができる。
【0025】
ベローズ121は、それぞれ下部配管120及び上部配管110内のベローズ121及びファネル111間で噛合う取外し可能な当接タイプとして図示しているが、ベローズ121及ファネル111は、それらの位置を逆にすることができることを理解されたい。同様に、ファネル111及びベローズ121に加えて付加的なシール剤、潤滑剤及び接合機構を使用することができることを理解されたい。さらに、例示的実施形態内部ヘッドベントでは、連結ポイント130における完全に異なる連結機構及び構造を使用することができることを理解されたい。
【0026】
例示的実施形態内部ヘッドベントは、原子炉内の運転条件に耐えかつ材料適合性がありかつ接触部片に対する汚損を回避するように設計された材料で製作することができる。例えば、上部配管110及び下部配管120は炭素鋼で製作し、ベローズ121はステンレス鋼で製作し、またファネル111及び貫通ノズル125は適合性Ni−Cr−Fe合金で製作して、それら構成要素に対する汚損を回避しかつそれら構成要素に付加的な材料強度を与えると同時に様々な構成要素間における非破壊熱膨張も可能にすることができる。また、例えば上部配管110、ブラケット115、下部配管120、ベローズ121、ファネル111及び/又は貫通ノズル125は、高いレベル及びタイプの放射能を有する高圧/高温水環境内でそれらの物理特性を実質的に維持するジルカロイ、オーステナイトステンレス鋼、ニッケル合金などで製作することができる。
【0027】
従って、例示的実施形態内部ヘッドベントは、作動中の原子炉のような幾つかの厳しい環境において使用可能である。例示的実施形態に関して上述した幾つかの特徴形状部は、例示的実施形態内部ヘッドベントの特定の用途及び/又は所望の運転特性に基づいて再構成又は省略することができる。例示的実施形態内部ヘッドベント100は、以下に説明する例示的方法により据付けかつ使用することができるが、例示的実施形態内部ヘッドベント100では、その他の使用及び据付け位置も適用可能であることを理解されたい。
【0028】
例示的方法
例示的方法は、原子炉内に例示的実施形態内部ヘッドベント100のような内部ヘッドベントを据付けるステップを含む。例示的方法は、原子力発電プラント内における内部ヘッドベントの据付け位置を決定するステップを含む。ベント開口部119が上部ヘッド29内のほぼ最高垂直方向ポイントに位置するのを可能にして、非凝縮性気体が運転中の原子炉の開口部119内に流れることになるようにするあらゆる位置を選択することができる。例えば、ベント開口部119は、浮揚性気体を液体充満容器内に集積させることができる或いは該ベント開口部を上部ヘッド29の頂部内部表面に近接させてその他の場所に位置させて容器内で許容可能な気体の全体ボリュームを該ベント開口部119及び上部ヘッド29管の空間のボリュームとして設定することができる該上部ヘッド29の最頂部内部表面から10センチメートルの範囲内とすることができる。この位置はまた、ドライ装置15のようなその他の作動中の原子炉内部装置と干渉しないものとすることができる。例えば、図2に示すように、蒸気出口3の周りでのRPV12及び上部ヘッド29の円周方向表面付近における位置は、その排出貫通口への近接度による関心位置とすることができる。干渉を回避すること及び内部出口への凝縮がない状態でのアクセスをもたらすことにおける同様の関心に基づいて、原子力プラント及び/又は原子炉内におけるその他の位置を選択することができる。
【0029】
内部ヘッドベントは、非凝縮性気体を受けかつ排出し或いは容器充満時における選択位置からの気体出口をもたらすような所望の位置に設置することができる。この据付けは、その位置へのアクセスが可能であるプラント製作時に、運転停止時に、又はあらゆるその他の期間に行なうことができる。内部ヘッドベントは、原子炉内に構成要素を固定配置する幾つかの公知の方法により据付けることができる。例えば、内部ヘッドベント100は、図2、図3、図4A及び図4Bに示すようにRPV12及び上部ヘッド29の内部表面に沿ったブラケット115に溶接しかつ締結することができる。貫通ノズル125は、例えば蒸気出口3を含む所望の出口に連結するか又は所望の出口位置に設けることができる。ファスナ、ネジ、タング/リセプタ噛合わせ、或いは結束、摩擦又は接着剤を伴う機構の使用を含む、所望の位置において内部ヘッドベントを据付けかつ固定する幾つかの別の方法もまた、実施可能である。
【0030】
所望の位置に据付けると、上部ヘッド29は、RPV12に接合されかつRPV12をシールして、図1(外部)及び図4B(内部)に示す構成を得ることができる。上部配管110は、上部ヘッド29の据付け時に、例示的実施形態に関連して上述した構造化により下部配管120との間をシールしかつ下部配管120と接合することができる。内部ヘッドベントを通してかつRPV12から外方に気体を流出させるような原子炉内における発電運転又はその他の事象を開始させることができる。
【0031】
従って、例示的実施形態及び方法を説明しているが、これら例示的実施形態が通例の経験則によりまた更なる発明活動なしに変更することができることは、当業者には分かるであろう。変更形態は、本例示的実施形態の技術思想及び技術的範囲から逸脱するものと見なすべきではなく、また当業者には自明のものである全てのそのような修正形態は、特許請求の範囲の技術思想の範囲内に属することになることを意図している。
【符号の説明】
【0032】
3 蒸気管路、蒸気出口
12 原子炉圧力容器(RPV)
15 蒸気ドライヤ構造
20 制御ブレード
28 底部ヘッド
29 上部ヘッド
34 コアシュラウド
36 原子炉コア
38 シュラウド支持体
39 シュラウドヘッド
48 コアプレート
50 計測チューブ
80 従来型のヘッドベント
100 内部ヘッドベント
110 上部配管
111 ファネル
115 ブラケット
119 ベント孔
120 下部配管
121 圧縮可能ベローズ
125 貫通ノズル
130 連結ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉内部ヘッドベント(100)であって、
原子炉圧力容器(12)と、
前記原子炉圧力容器(12)の頂部端部を密閉するように構成された上部ヘッド(29)と、
前記原子炉圧力容器(12)の内部の配管(120)と、を含み、
前記配管(120)が、前記上部ヘッド(29)の頂部内面に近接した開口部(119)を含み、また
前記配管が、前記開口部(119)から下向きに延びかつ該開口部の下方で前記原子炉圧力容器(12)の外部に通り抜ける、
原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項2】
前記上部ヘッド(29)の下方で前記原子炉圧力容器(12)に連結された蒸気出口(3)をさらに含み、
前記配管が、前記蒸気出口(3)が前記原子炉圧力容器(12)に連結された箇所において該原子炉圧力容器(12)の外部に通り抜ける、
請求項1記載の原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項3】
前記配管を前記上部ヘッド(29)及び原子炉圧力容器(12)の内部表面に接合した複数のブラケット(115)をさらに含む、請求項1記載の原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項4】
前記上部ヘッド(29)の内部表面の最下部ポイント及び前記原子炉圧力容器(12)の内部表面の最下部ポイントにおけるブラケット(115)が、前記配管及びブラケット間の相対運動を防止するように該配管に溶接される、請求項3記載の原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項5】
前記配管が、上部配管(110)及び下部配管(120)を含み、また
前記上部及び下部配管(110、120)が、前記上部ヘッド(29)が前記原子炉圧力容器(12)に接合される連結ポイント(130)において互いに取外し可能に噛合うように構成される、
請求項1記載の原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項6】
前記下部配管(120)が、圧縮可能ベローズ(121)を含み、
前記上部配管(110)が、該上部配管(110)の終端部にファネル(111)を含み、また
前記ファネル(111)が、前記下部配管(120)の終端部を受けるような形状になっている、
請求項5記載の原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項7】
前記下部配管(120)が、前記上部ヘッド(29)の底面において又は該底面の上方で終端し、
前記下部配管(120)が、前記上部配管(110)から取外される時に前記原子炉圧力容器(12)の頂部の上方に延び、また
前記圧縮可能ベローズ(121)が、前記上部配管(110)と噛合わされる時に前記下部配管(120)を短縮化させて、前記連結ポイント(130)が、前記上部ヘッド(29)が前記原子炉圧力容器(12)に接合されるポイントになるようにする、
請求項6記載の原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項8】
前記配管が、前記原子炉圧力容器(12)の外部に通り抜ける貫通ノズル(125)をさらに含み、
前記上部配管(110)及び下部配管(120)が、炭素鋼で製作され、
前記圧縮可能ベローズ(121)が、ステンレス鋼で製作され、また
前記ファネル(111)及び貫通ノズル(125)が、Ni−Cr−Fe合金で製作される、
請求項6記載の原子炉内部ヘッドベント(100)。
【請求項9】
原子炉で使用する内部ヘッドベント(100)であって、
前記原子炉の上部ヘッド(29)の内部表面に接合されるように構成されかつ該内部表面に沿って延びるような形状になっており、ベントを備え、かつ該ベントが前記上部ヘッド(29)の頂部内面位置に配置されるような形状になった上部配管(110)と、
前記原子炉の原子炉圧力容器(12)の内部表面に接合されるように構成されかつ該内部表面に沿って延びるような形状になっており、かつ前記上部ヘッド(29)及び原子炉圧力容器(12)が接合される時に連結ポイント(130)において前記上部配管(110)と取外し可能に噛合うように構成された下部配管(120)と、を含む、
内部ヘッドベント(100)。
【請求項10】
原子炉内に内部ヘッドベント(100)を据付ける方法であって、
前記原子炉の上部ヘッド(29)の内部表面に対して上部配管(110)を、該上部配管(110)内のベントが該上部ヘッド(29)の頂部内面に近接して配置されまた該上部配管(110)の端部が前記頂部と対向する該上部ヘッド(29)の底面に近接して配置されるように固定するステップと、
前記上部配管(110)に対応する位置において前記原子炉の原子炉圧力容器(12)の内部表面に対して下部配管(120)を固定するステップと、
前記下部配管(120)の端部を前記原子炉圧力容器(12)の外部に通り抜けさせるステップと、を含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−145577(P2012−145577A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−287520(P2011−287520)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC