説明

原子発振器

【課題】安価な原子発振器を構成する。
【解決手段】原子共鳴器10が発生する共鳴信号54を増幅する増幅器18と、所定の周波数の低周波信号LWVを出力する低周波位相変調信号発生器21と、共鳴信号54と低周波信号LWVとに基づき制御電圧VCを出力する位相弁別器20と、制御電圧VCに基づき原子共鳴器10が正常に動作しているか否かを示すアラーム信号ALMを出力するアラーム回路30と、所定の電圧VDを発生する電圧発生部32と、アラーム信号ALMに基づき原子共鳴器10が正常に動作している場合は制御電圧VCを出力し、正常に動作していない場合は所定の電圧VDを出力するスイッチ回路34と、スイッチ回路34の出力に基づき出力信号OUTの周波数が制御される電圧制御水晶発振器23と、出力信号OUTと低周波信号LWVとに基づき逓倍及び合成したマイクロ波MWVを出力する周波数逓倍合成変調部22と、を含む原子発振器1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障時にアラーム信号を出力する原子発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
原子発振器は、水晶発振器を越える高精度周波数を提供する装置として実用化されているが構成が複雑であり、広く普及させるためには小型化や低価格化が必須となっている。特に、原子発振器として実用化が進んでいるものは「受動型」と呼ばれる原子発振器であり、これは内部に水晶発振器を持ち、その出力信号を提供しつつ、内部に持つ原子共鳴部に水晶発振器の周波数を同期制御しているものを指す。「受動型」に対し、「能動型」は原子の発する周波数成分をそのまま増幅する水素メーザーの様な装置が該当する。
【0003】
受動型原子発振器は、可能な限り高精度の信号を提供する目的で、従来は恒温槽入り水晶発振器(以下OCXO:Oven Controlled Xtal Oscillator)を用いていた。OCXOは、水晶振動子を温度依存性がなくなる「谷」または「山」の頂点温度に保つ制御をしているため、理論上水晶振動子の温度特性がなくなる。また、水晶素板も専用に育成された高Qや高次オーバートーンのものを使用しているため信号純度は極めて高い。これらの技術による原子発振器は、通信、放送、計測等様々な分野で実用化されている。
【0004】
しかしながら、OCXOは、水晶発振器の中では最上位機種であるため、安価な原子発振器では一般的な電圧制御水晶発振器(以下VCXO:Voltage Controlled Xtal Oscillator)も使われる様になってきた。VCXOは、OCXOの様な恒温槽を持たないので、温度特性を初めとする諸特性は劣るが、小型、低価格、低電力である。
【0005】
例えば、特許文献1に示すような受動型原子発振器は、内部の水晶発振器を原子共鳴に周知のPLL(Phase-locked loop)技術を用いて位相同期させているため、通常動作時の出力周波数は原子共鳴の周波数精度で提供され、内部の水晶発振器がOCXOでもVCXOでも大差ないので、近年広く普及し始めている。
【0006】
一方、この様な受動型原子発振器が何らかの故障や寿命により正常動作を損なう事故が稀にある。殆どの原子発振器は、これらの情報を出力する「アラーム」機能を有しているので、その状態を搭載装置の制御系に知らせることができる。装置側は、「アラーム」信号を受けて装置を停止したり、電波を止めるなどの対応ができるが、原子発振器が通信網の基幹系に使われていたり、放送自体の周波数源に使われていたり、更にはロケットや衛星の制御に使われている場合もあり、単に停止することが許されない場合も少なくない。そのような装置では、予備機を用意するのも通例であるが、それ自体確率的な回避策であると共にアラーム回路の故障までも想定すると完全な対策とは言えない。また、システム上は予備機へ切り替える際の波形位相の連続性を如何に維持するかなど益々複雑な問題となる。例えば、デジタル通信ではアナログ通信と異なり、高速データが一定のタイミングで大量に送受されている。中継器の信号の位相が突然不連続になると、重大なエラーが発生し、データを再現できなくなる危険もある。
【0007】
図5に、一般的な受動型ルビジウム原子発振器5(以下、原子発振器)の系統図を示す。原子発振器5全体の動作原理は割愛するが、電圧制御水晶発振器23の出力信号OUTの周波数を周波数逓倍合成変調部22により逓倍及び合成した共鳴周波数(ルビジウムの場合は約6.834GHz)のマイクロ波MWVを作っている。また、位相同期の為に低周波位相変調信号発生器21が発生する100Hz程度の低周波信号LWVでマイクロ波MWVに位相変調を施し、マイクロ波キャビィティー14の放射用アンテナ15に供給している。マイクロ波キャビィティー14内のRbガスセル13では、気化したルビジウム原子がRbランプ12が発生する励起光52により励起しているので、供給したマイクロ波MWVが基底準位間のエネルギー差と一致する周波数の時に誘導放出が生じ、ルビジウム原子は再び光エネルギーを吸収して励起する。このとき、結果的にフォトセンサー17に到達する光量53が減少する。位相弁別器20は、低周波成分を検波してフォトセンサー17に到達する光量が最も少なくなる周波数に制御電圧VCを制御するものである。
【0008】
この同期制御が完了すると、電圧制御水晶発振器23への制御電圧VCがほぼ直流となり落ち着く。アラーム回路30は、制御電圧VCを検出して正常動作しているか否かを外部にアラーム信号ALMとして出力する。一方、何らかの故障等が発生した場合、電圧制御水晶発振器23の出力信号OUTの周波数は原子共鳴に同期することができず、一般的には可変周波数範囲の上限か下限のどちらかまで張り付いてしまう。また、アラーム回路30は電圧制御水晶発振器23の制御電圧VCを監視しているので異常値であることが明らかとなれば異常動作であることを外部にアラーム信号ALMとして出力することができる。
【0009】
アラーム時の電圧制御水晶発振器23の出力信号OUTの周波数は、可変範囲の上限か下限のどちらかになるが、前述のようにOCXOの周波数安定度と一般的なVCXOの周波数安定度は著しく異なり、原子発振器5内部の位相同期はそれぞれの周波数を原子共鳴に同期させる必要があるので、周波数の電圧可変範囲は安定度に応じて異なる。その一例を図6に示す。ここで、アラーム発生時(異常時)に原子発振器5が出力する周波数について考えると、VCXOを用いた場合は本来出力されるべき周波数よりも著しく異常な周波数を出力してしまうことがわかる。これは、予備機への切り替え機能を持たないシステムなどではしばしば問題となる。
【0010】
この問題を解決するために、例えば特許文献2には、この問題に着目し、VCXOを使用せず、周波数固定の水晶発振器(以下XO:Xtal Oscillator)を用いる方法が記載されている。周波数可変については、ダイレクト・デジタル・シンセサイザー(以下DDS:Direct Digital Synthesizers)を用い、DDSの基準信号にXOの周波数信号を用い、周波数可変はDDSに対する制御データを可変にすることで実現している。この方法を用いれば、VCXO使用時の様にアラーム発生時に異常な周波数を出力することなく、予測可能な周波数付近の信号を出力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−336136号公報(図5)
【特許文献2】特開2002−271197号公報(図1)
【特許文献3】特開2005−109619号公報(段落番号0017)
【特許文献4】特開2005−303641号公報(段落番号0019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の方法のDDSは任意の周波数信号を生成できる実用的なICであるが、高機能なため高価になるという課題がある。同様に高機能故に制御回路のIC化を考えるにしても、任意のプロセスで自在に構成することは現実的でない。原子発振器の生産量を考えても、この部分のみ市販のデバイスを購入するのが現実的な設計となる。更にDDSにも欠点があり、DAC(Digital to Analog Converter)の分解による量子化誤差(雑音)、位相切捨て誤差と言った特性劣化要因も含まれていることが、特許文献3や特許文献4でも指摘されている。特に、この特性劣化は原子発振器の異常時のみならず、正常動作時にも悪影響を及ぼすので、最上位発振器である原子発振器としては致命的な欠点になる。
【0013】
特許文献4では、これらの特性劣化を緩和する技術を提案しているが、この場合もDDSを採用することに変わりはなく、特性劣化は緩和されたとしてもデバイスのコストなど特殊性を払拭することは出来ていない。また、DDSは外部から入力するデータを可変することにより周波数可変が可能になるが、即ちDDSを使用するために制御データ発生機能も具備しなければならないのは、原子発振器全体の構成負荷を重くするものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0015】
[適用例1]
入力されるマイクロ波信号に基づき共鳴信号を出力する原子共鳴器と、前記原子共鳴器が出力する共鳴信号を増幅する増幅器と、所定の周波数の低周波信号を出力する低周波位相変調信号発生器と、前記共鳴信号と前記低周波信号とに基づき制御電圧を出力する位相弁別器と、前記制御電圧に基づき前記原子共鳴器が正常に動作しているか否かを示すアラーム信号を出力するアラーム回路と、所定の電圧を発生する電圧発生部と、前記アラーム信号に基づき前記原子共鳴器が正常に動作している場合は前記制御電圧を出力し、前記原子共鳴器が正常に動作していない場合は前記所定の電圧を出力するスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力に基づき出力信号の周波数が制御される電圧制御水晶発振器と、前記出力信号と前記低周波信号とに基づき逓倍及び合成した前記マイクロ波信号を出力する周波数逓倍合成変調部と、を含む、ことを特徴とする原子発振器。
【0016】
この構成によれば、アラーム信号に基づき原子共鳴器が正常に動作していない場合はスイッチ回路によって電圧制御水晶発振器に供給する制御電圧を電圧発生部が発生する所定の電圧に切り替えることができるので、異常発生時にも出力信号を安定して確保することができ、さらに、スイッチ回路と電圧発生部を追加するだけなので低コストでIC化することができる。また、DDSを含んで原子発振器を構成した場合にDDSが発生する雑音などの影響を受ける心配もなくなる。
【0017】
[適用例2]
上記に記載の原子発振器において、前記電圧発生部は、電源電圧を抵抗分割して前記所定の電圧を発生することを特徴とする原子発振器。
【0018】
この構成によれば、所望の出力信号を得るための電圧を電源電圧の抵抗分割により得ることができるので、異常発生時にも電圧制御水晶発振器を安定して動作させることができる。
【0019】
[適用例3]
上記に記載の原子発振器において、前記電圧発生部は、前記原子共鳴器が正常に動作している場合の前記制御電圧の値を記憶する記憶部を含み、前記記憶部に記憶された前記制御電圧の値を前記所定の電圧として出力することを特徴とする原子発振器。
【0020】
この構成によれば、正常に動作している場合の制御電圧を記憶させておくことにより、異常が発生した場合も正常時と同等の出力信号を得ることができる。
【0021】
[適用例4]
上記に記載の原子発振器において、前記電圧発生部は、温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器の出力値に基づき三次関数で前記所定の電圧を出力する三次関数発生回路と、を含むことを特徴とする原子発振器。
【0022】
この構成によれば、電圧制御水晶発振器が温度特性を相殺するように三次関数発生回路によって制御電圧を発生させ、温度補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る原子発振器の構成を示す構成図。
【図2】第1実施形態に係る電圧発生部の構成を示す回路図。
【図3】変形例1に係る電圧発生部の構成を示すブロック図。
【図4】変形例2に係る電圧発生部の構成を示すブロック図。
【図5】従来の原子発振器の構成を示すブロック図。
【図6】VCXOとOCXOの周波数の電圧可変範囲を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、原子発振器の実施形態について図面に従って説明する。
【0025】
(第1実施形態)
<原子発振器の構成>
先ず、第1実施形態に係る原子発振器の構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る原子発振器の構成を示す構成図である。
【0026】
図1に示すように、原子発振器1は、原子共鳴器10と、増幅器18と、低周波位相変調信号発生器21と、位相弁別器20と、アラーム回路30と、電圧発生部32と、スイッチ回路34と、電圧制御水晶発振器23と、周波数逓倍合成変調部22と、から構成されている。
【0027】
原子共鳴器10は、ランプ励起部11と、ルビジウム(Rb:Rubidium)ランプ12と、Rbガスセル13と放射用アンテナ15を含むマイクロ波キャビィティー14と、フォトセンサー17と、から構成されている。Rbランプ12は、ランプ励起部11が出力する電圧51に基づき励起光52を発生する。放射用アンテナ15は、周波数逓倍合成変調部22が出力するマイクロ波MWVに基づきRbガスセル13に放射する。Rbガスセル13には気化したルビジウム原子が封印され、励起光52により励起する。気化したルビジウム原子は、供給したマイクロ波MWVが基底準位間のエネルギー差と一致する周波数の時に誘導放出53が生じ、ルビジウム原子は再び光エネルギーを吸収して励起する。フォトセンサー17は、Rbガスセル13からの誘導放出53を電圧54に変換する。
【0028】
増幅器18は、フォトセンサー17が出力した電圧54を増幅し、増幅電圧55を位相弁別器20に出力する。低周波位相変調信号発生器21は、100Hz程度の低周波信号LWVを出力する。位相弁別器20は、増幅電圧55を低周波信号LWVで位相同期させ、制御電圧VCを出力する。アラーム回路30は、位相弁別器20が出力する制御電圧VCを検出して原子共鳴器10が正常動作しているか否かをアラーム信号ALMとして外部に出力する。例えば、正常動作時のアラーム信号ALMをLレベル、異常動作時のアラーム信号ALMをHレベルとする。電圧発生部32は、異常時に電圧制御水晶発振器23が所望の出力信号OUTを出力するための所定の電圧VDを発生する。
【0029】
スイッチ回路34は、a端子に制御電圧VCが入力され、b端子に所定の電圧VDが入力され、c端子からアラーム信号ALMにより選択された電圧62が出力される。スイッチ回路34は、アラーム信号ALMがLレベルの場合にa端子とc端子が接続状態になり、アラーム信号ALMがHレベルの場合にa端子とb端子が接続状態になる。すなわち、正常動作時には電圧制御水晶発振器23に制御電圧VCが入力され、異常動作時には電圧制御水晶発振器23に所定の電圧VDが入力される。スイッチ回路34は、一般的なアナログスイッチの他、トランジスター等の組合せでも容易に実現可能で、安価に実現できるほか、例えば回路を専用IC化しようとする場合にも何ら障害となるものではない。
【0030】
電圧制御水晶発振器23は、スイッチ回路34のc端子から出力される電圧62で出力信号OUTの周波数が制御される。周波数逓倍合成変調部22は、出力信号OUTを低周波信号LWVに基づき逓倍及び合成しマイクロ波MWVを出力する。
【0031】
次に、電圧発生部の構成について図2を参照して説明する。図2は、電圧発生部の構成を示す回路図である。図2に示すように、電圧発生部32は、電源電圧VDDと接地電位GNDとの間を抵抗R1,R2により抵抗分割して得られる所定の電圧VDを出力する。
【0032】
以上に述べた本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0033】
本実施形態では、アラーム信号ALMに基づき原子共鳴器10が正常に動作していない場合はスイッチ回路34によって電圧制御水晶発振器23に供給する制御電圧VCを電圧発生部32が発生する所定の電圧VDに切り替えることができるので、異常発生時にも出力信号OUTを安定して確保することができ、さらに、スイッチ回路34と電圧発生部32を追加するだけなので低コストでIC化することができる。また、DDSを含んで原子発振器を構成した場合にDDSが発生する雑音などの影響を受ける心配もなくなる。
【0034】
以上、原子発振器の実施形態を説明したが、こうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることができる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0035】
(変形例1)原子発振器の変形例1について説明する。前記第1実施形態では、図2に示すような電圧発生部32で構成するように説明したが、図3に示すような構成にしてもよい。図3は、変形例1に係る電圧発生部の構成を示すブロック図である。図3に示すように、変形例1に係る電圧発生部320は、ADC(Analog Digital Converter)321とEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)322とDAC(Digital to Analog Converter)323とから構成されている。ADC321は、位相弁別器20が出力する制御電圧VCをデジタル信号に変換し、EEPROM322に記憶させる。DAC323は、EEPROM322に記憶させたデジタル信号を再びアナログ信号に変換して所定の電圧VDとして出力する。この構成によれば、正常に動作している場合の制御電圧VCを記憶させておくことにより、異常が発生した場合も正常時と同等の出力信号OUTを得ることができる。
【0036】
(変形例2)原子発振器の変形例2について説明する。前記第1実施形態では、図2に示すような電圧発生部32で構成するように説明したが、図4に示すような構成にしてもよい。図4(A)は、変形例2に係る電圧発生部の構成を示すブロック図である。電圧制御水晶発振器23は、図4(B)に示すように温度に対して三次関数の波形で変化する。電圧制御水晶発振器23の温度に対する影響を打ち消すためには、電圧制御特性が正極性(電圧増で周波数増)ならば、図4(C)に示すような図4(B)の波形を打ち消す制御電圧を出力すればよい。図4(A)に示すように、電圧発生部325は、電源電圧VDDと接地電位GNDとの間に直列に接続されたサーミスター326と2個のダイオード327,328と、三次関数発生回路329と、から構成される。サーミスター326とダイオード327との間の電圧V1から三次関数発生回路329により図4(C)に示すような制御電圧に基づき所定の電圧VDを出力する。この構成によれば、電圧制御水晶発振器23が温度補償型の場合でも温度特性を相殺するように三次関数発生回路329によって所定の電圧VDを発生させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1…原子発振器、10…原子共鳴器、11…ランプ励起部、12…Rbランプ、13…Rbガスセル、14…マイクロ波キャビィティー、15…放射用アンテナ、17…フォトセンサー、18…増幅器、20…位相弁別器、21…低周波位相変調信号発生器、22…周波数逓倍合成変調部、23…電圧制御水晶発振器、30…アラーム回路、32…電圧発生部、34…スイッチ回路、320…電圧発生部、321…ADC、322…EEPROM、323…DAC、325…電圧発生部、326…サーミスター、327,328…ダイオード、329…三次関数発生回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるマイクロ波信号に基づき共鳴信号を出力する原子共鳴器と、
前記原子共鳴器が出力する共鳴信号を増幅する増幅器と、
所定の周波数の低周波信号を出力する低周波位相変調信号発生器と、
前記共鳴信号と前記低周波信号とに基づき制御電圧を出力する位相弁別器と、
前記制御電圧に基づき前記原子共鳴器が正常に動作しているか否かを示すアラーム信号を出力するアラーム回路と、
所定の電圧を発生する電圧発生部と、
前記アラーム信号に基づき前記原子共鳴器が正常に動作している場合は前記制御電圧を出力し、前記原子共鳴器が正常に動作していない場合は前記所定の電圧を出力するスイッチ回路と、
前記スイッチ回路の出力に基づき出力信号の周波数が制御される電圧制御水晶発振器と、
前記出力信号と前記低周波信号とに基づき逓倍及び合成した前記マイクロ波信号を出力する周波数逓倍合成変調部と、
を含む、
ことを特徴とする原子発振器。
【請求項2】
請求項1に記載の原子発振器において、前記電圧発生部は、電源電圧を抵抗分割して前記所定の電圧を発生することを特徴とする原子発振器。
【請求項3】
請求項1に記載の原子発振器において、前記電圧発生部は、前記原子共鳴器が正常に動作している場合の前記制御電圧の値を記憶する記憶部を含み、前記記憶部に記憶された前記制御電圧の値を前記所定の電圧として出力することを特徴とする原子発振器。
【請求項4】
請求項1に記載の原子発振器において、前記電圧発生部は、温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器の出力値に基づき三次関数で前記所定の電圧を出力する三次関数発生回路と、を含むことを特徴とする原子発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−192964(P2010−192964A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32350(P2009−32350)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】