説明

原料粒子微細化装置

【課題】凝集した原料粒子を分離して容易に連続して微細化させ、粒径の大きな原料粒子を分割して容易に連続して微細化する原料粒子微細化装置を提供する。
【解決手段】原料粒子微細化装置1は、外縁に歯3が設けられて高速回転する回転体2と、原料粒子6と液体7とをプレミキシングした混合液5を接近する歯3に向けて噴射するノズル4と、を備え、混合液5を回転体2の歯3に衝突させて液体7内に分散している原料粒子6を連続的に微細化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料粒子微細化装置に係り、特に、凝集した原料粒子を分離或いは乳化して微細化させ、粒径の大きな原料粒子を分割して微細化する原料粒子微細化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原料粒子を微細化させる装置としては、特許文献1に示すようなボールミルが知られている。ボールミルは、粉砕したい原料粒子と一緒にセラミックや金属などの硬質ボールを円筒形のドラムを入れ、ドラムを回転させて硬質ボール同士がぶつかり合うことで原料粒子を粉砕して微細化する装置である。
【0003】
一方、特許文献2には、液体と原料粒子とを混合撹拌して成分を微粒化して乳化し、分散させる高速撹拌装置が開示されている。この高速攪拌装置は、内周面に凹凸が形成された円筒状の攪拌槽と、この攪拌槽の底面を含む外周面に冷却水を供給かつ排出する水冷配管が接続された外層と、攪拌槽の内周面と僅かの間隙を有して攪拌槽と同心にて高速回転可能な回転羽根と、この回転羽根を端部に支持して正逆高速回転駆動可能なシャフトと、堰板を介して攪拌槽の上部に設けられ製品を排出する排出管を有する上部容器と、この上部容器を密閉する蓋とを備え、攪拌槽の内部面に設けられた凸凹により被処理液の流れを乱して攪拌作用を一段と大きくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2837789号
【特許文献2】特開2007−125454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術であるボールミルは、硬質ボール同士を衝突させることで原料粒子を粉砕する技術であるが、微小な原料粒子を均一化させるには粗い方法であり、別途フィルタを備える必要がある。また、粘度のある原料粒子の微細化は難しいという問題がある。
【0006】
また、特許文献1の技術では攪拌の際に発生する熱を冷却する必要があり、装置が過大となるという問題がある。
【0007】
本願の目的は、かかる課題を解決し、凝集した原料粒子を分離して容易に連続して微細化させ、粒径の大きな原料粒子を分割して容易に連続して微細化する原料粒子微細化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る原料粒子微細化装置は、外縁に歯が設けられて高速回転する回転体と、原料粒子と液体とをプレミキシングした混合液を回転体の接近する歯に向けて噴射するノズルと、を備え、混合液を回転体の歯に衝突させて液体内に分散している原料粒子を微細化させることを特徴とする。
【0009】
上記構成により、原料粒子微細化装置は、原料粒子と液体とをプレミキシングした混合液を高速回転する回転体の歯に向かってノズルにより噴射して連続的に衝突させることで、液体内に分散している原料粒子を容易に微細化することができる。また、ノズルに接近する歯に向かってノズルを噴射させることで歯と原料粒子とが衝突する際の衝撃エネルギを増大させ、微細化の効果を上げることができる。
【0010】
また、原料粒子微細化装置は、回転体の歯が、回転体の平板面に直交する方向に対して角度を有して取付けられ、ノズルから噴射された混合液を回転体の面外方向に放射することが好ましい。これにより、ノズルから噴射された混合液はノズルの方向に向かって放射されず、混合液の回収を容易に行うことができる。
【0011】
さらに、原料粒子微細化装置は,液体と回転体の歯に衝突して微細化された原料粒子との混合液を回収する回収容器と、回収容器内の混合液をノズルに供給する供給装置とを備えることが好ましい。これにより、微細化された原料粒子を回収すると共に、より微細化の程度を上げるために再度混合液を循環して回転する回転体の歯に衝突させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明に係る原料粒子微細化装置によれば、凝集した原料粒子を分離して容易に連続して微細化させ、粒径の大きな原料粒子を分割して容易に連続して微細化する原料粒子微細化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る原料粒子微細化装置の1つの実施形態の概略構成を示す平面図及び説明図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】ノズルから噴射される混合液と回転体の歯との位置関係を示す説明図である。
【図4】角度が付いた回転体の歯による実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を用いて本発明に係る原料粒子微細化装置の実施形態につき、詳細に説明する。図1に、本発明に係る原料粒子微細化装置1の1つの実施形態の概略構成を示す。また、図2に、図1のA−A断面を示す。原料粒子微細化装置1は、箱状の筐体11内に設けられた回転体2及びノズル4から構成され、回収容器8及び供給装置9により混合液5を循環させることができる。
【0015】
本実施形態では、原料粒子6は、例えばリチウムイオン電池の電極材料などの無機質の粉体である。この原料粒子6である紛体を構成する複数の粒子が凝集して粒子径が大きくなっている場合があり、粒子径を均一化させるために凝集した原料粒子6を分離して微細化させる必要がある。また、原料粒子6である紛体を構成する粒子には、粒子径の大きなものがある場合があり、粒子を分割して微細化させる必要がある。このように、原料粒子微細化装置1が対象とする原料粒子6は、微細化させて粒度分布を均一化させる必要のある原料粒子6であればリチウムイオン電池の電極材料に限らない。
【0016】
本実施形態では、液体7は、例えば樹脂製のポリマーであり、混合液5とは、原料粒子6である紛体を液体7に混合して原料粒子6を液体7内に分散させたものをいう。この液体7は、原料粒子6の繋ぎ剤の役割を有する。また、液体7には、原料粒子6である紛体の分散を促進させる分散処理剤、或いは不粘着化剤等が含まれていても良い。
【0017】
他の実施例として、この原料粒子6が油性物であり液体7が水であっても良い。この場合には、混合液5に含まれる原料粒子6である油性物が本発明に係る原料粒子微細化装置1により微細化されて乳化する。また、他の実施例として、この混合液5がアクリル及びウレタンから構成されるハイブリッド・ポリマーであり、このハイブリッド・ポリマーの微細化に用いても良い。
【0018】
回転体2は、円形の板の外縁に歯3が設けられ、回転軸15を介してモータ10に接続されて高速回転する。ノズル4は、原料粒子6と液体7とをプレミキシングした混合液5を接近する歯3に向けて噴射する。すなわち、図1の矢印(R)に示す回転体2の回転方向に対して対向する方向に混合液5を噴射する。そして、混合液5を回転体2の歯3に衝突させて液体7内に分散している原料粒子6を衝突の際の衝撃エネルギにより微細化させる。本実施形態では、箱状の筐体11の4隅にそれぞれ4つのノズル4を設置するが、このノズル4の位置及び個数はこれに限らない。
【0019】
筐体11の底部には、噴射された混合液5を回収するホッパー14が設けられる。そして、微細化されてホッパー14から回収された混合液5は、回収口16に集約されて回収容器8に収容される。原料粒子微細化装置1による原料粒子6の微細化が終了した場合には、混合液5は回収容器8の取出し口17から回収される。原料粒子6の微細化を再度行う場合には、供給配管18を通じてノズル4に混合液5が供給される。この供給配管18には、ポンプ12及びバルブ13が設けられ混合液5の供給及び調節が行われる。
【0020】
図3に、ノズル4から噴射される混合液5と回転体2の歯3との位置関係を示す。図3(a)では、ノズル4から発射された混合液5は歯3aに衝突する。回転体2が回転方向Rに回転して図3(b)の位置になると、ノズル4から発射された混合液5は歯3aから歯3bに乗り換えて衝突する。このように、ノズル4から発射された混合液5は、連続して回転体2の歯3に衝突し、混合液5の原料粒子6が連続的に微細化される。
【0021】
図4に、角度が付いた回転体2の歯3による実施例を示す。回転体2の歯3は、回転体2の平板面19に直交する方向に対して角度(α)を有して取付けられる。ノズル4から噴射された混合液5は回転体2の面外で下部方向に放射される。これにより、混合液5は、ノズル4の方向に向かって放射されず、混合液5の回収を容易にすることができる。また、図2に示すホッパー14の円錐形状により、このノズル4から噴射された混合液5が溜まることなく回収口16に回収される。
【符号の説明】
【0022】
1 原料粒子微細化装置、2 回転体、3 歯、4 ノズル、5 混合液、6 原料粒子、7 液体、8 回収容器、9 供給装置、10 モータ、11 筐体、12 ポンプ、13 バルブ、14 ホッパー、15 回転軸、16 回収口、17 取出し口、18 供給配管、19 平盤面、R 回転方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁に歯が設けられて高速回転する回転体と、原料粒子と液体とをプレミキシングした混合液を回転体の接近する歯に向けて噴射するノズルと、を備え、
混合液を回転体の歯に衝突させて液体内に分散している原料粒子を微細化させることを特徴とする原料粒子微細化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原料粒子微細化装置であって、回転体の歯は、回転体の平板面に直交する方向に対して角度を有して取付けられ、ノズルから噴射された混合液を回転体の面外方向に放射することを特徴とする原料粒子微細化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の原料粒子微細化装置であって、液体と回転体の歯に衝突して微細化された原料粒子との混合液を回収する回収容器と、回収容器内の混合液をノズルに供給する供給装置とを備えることを特徴とする原料粒子微細化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−50913(P2011−50913A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204318(P2009−204318)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000251211)冷化工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】