説明

原木管理装置、原木管理プログラムおよび原木管理方法

【課題】熟練従事者でない者であっても原木を取り扱う業務に容易に参加したり従事したりすることを可能にする原木管理装置、原木管理プログラムおよび原木管理方法を提供する。
【解決手段】原木材木管理業者1A−1の型枠管理装置1Aは、原木材木管理情報20を原木2−1ごとに記憶する原木材木データベース11A−2および原木材木管理プログラム11A−2を備える。この型枠管理装置1Aでは、制御部10Aにより、原木材木データベース11A−2に記憶された原木材木管理情報20に基づいて作業指示情報31が生成され、通信部12Aにより、作業指示情報31が電子タグ3へのアクセスが可能な端末装置1Bへ送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製製品の原材料となる原木を管理するための原木管理装置および原木管理プログラム、ならびにそのような原木管理装置および原木管理プログラムを用いて原木を管理する原木管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済発展に伴い、鉄やコンクリートなどの工業材料が大量に供給され、これらが木材に代わって主要材料となったことから、わが国での1人当たりの木材消費量は大幅に減少している。また、外国から安価な木材が大量に流通するようになったことから、国産の木材の競争力が大幅に低下している。そのため、林業経営はここ数十年の間、悪化の一途をたどっており、高齢化による熟練技術者の減少と相まって、間伐等の手入れすら行われていない地域が多くなっている。間伐等の手入れが行われている場合であっても、間伐等により切り出された木のほとんどは山林に放置されたり、産業廃棄物として焼却処分されたりしている。
【0003】
一方で、今年、京都議定書が発効し、二酸化炭素の吸着固定能力に優れた森林の機能や、公益的機能に注目が集まってきている。そのため、地球温暖化防止等の地球環境に配慮した物作りが活発に行われている。例えば、集中豪雨や地震などにより倒れた木(倒木)や、間伐された木(間伐木)、工事などにより不要となった木(不要木)など、今まで有効利用されずにいた原木を積極的に活用しようとする技術が多数提案されている。そのような技術の1つとして、間伐材の合板を家の壁材に利用する技術が非特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】林野庁・各種施策紹介・間伐等推進総合対策の推進について・間伐材利用コンクールの実施・「暮らしに役立つ間伐材利用」部門・間伐推進中央協議会会長賞・概要、http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h16-10gatu/kanbatu/7.htm
【0004】
また、近年、シックハウス症候群に代表される健康問題が社会問題化しており、化学物質が排出されない安心、安全な建築物を求める消費者意識の高まりが顕著になっている。また、木のぬくもりや、癒しの効用が再認識されてきている。このような、生活環境に対する関心の高まりから、UターンやIターンにより林業従事者となったり、森林ボランティアとして参加する者の数が徐々に増加している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、熟練従事者でない者が林業に参加したり従事したりする機会が増加している一方で、熟練従事者は上記した理由で減少しているため、原木のような寸法や品質の整っていない木材を取り扱うことのできる者の数が極めて少ない。そのため、原木の有効利用がなかなか進展しないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、熟練従事者でない者であっても原木を取り扱う業務に容易に参加したり従事したりすることを可能にする原木管理装置、原木管理プログラムおよび原木管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の原木管理装置は、記憶媒体の付された各種原木に関する原木管理情報を原木ごとに記憶するデータベースと、データベースに記憶された原木管理情報に基づいて作業指示情報を生成する作業指示生成手段と、作業指示生成手段が生成した作業指示情報を、記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信する送信手段とを備えたものである。
【0008】
本発明の原木管理プログラムは、記憶媒体の付された各種原木に関する原木管理情報を原木ごとにデータベースに記憶させるステップと、データベースに記憶された原木管理情報に基づいて作業指示情報を生成するステップと、その生成された作業指示情報を、記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信するステップとをコンピュータに実行させるようにしたものである。
【0009】
本発明の原木管理方法は、記憶媒体の付された各種原木に関する原木管理情報を格納するためのデータベースを有する原木管理装置と、各種原木にそれぞれ付された記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置とを用意し、原木管理装置から端末装置に作業指示情報を送信するように構成したものである。原木管理装置の側では、前記原木管理情報を原木ごとにデータベースに記憶し、データベースに記憶された原木管理情報に基づいて作業指示情報を生成すると共に、その生成された作業指示情報を端末装置へ送信する。一方、端末装置の側では、原木管理装置から送信された作業指示情報を受信し、その受信した作業指示情報を出力する。
【0010】
ここで、「原木」とは、山林や平地林において、間伐により切り出された木(間伐木)や、災害などにより倒壊した木(倒木)、工事などで切り出された木(不要木)などを主に指しているが、原木には、その他に、これら間伐木、倒木、不要木を所定の長さに裁断したものや、表面を粗引き処理したもの、主伐により切り出された木(主伐木)も含まれる。「記憶媒体」とは、例えば、電子タグや、2次元コードなどの、樹木の幹などに付することの可能な小さな記録媒体のことである。「電子タグ」は、RFID(Radio Frequency Identification)タグや、IC(Integrated Circuit)タグなどの総称であり、「2次元コード」は、文字や数字などのデータを二次元の図形パターンとして所定の表面に刻印・印刷した暗号である。「端末装置」とは、例えば、各種原木を取り扱う業者(原木取扱業者)の保有する情報処理装置のことである。「原木管理情報」は、各種原木の特徴を特定することの可能な情報、例えば、原木の種類や、原産地、外形寸法などを示す情報を含むものである。
【0011】
本発明の原木管理装置、原木管理プログラムおよび原木管理方法では、各種原木の原木管理情報の管理が原木管理装置のデータベースを用いて行われる。具体的には、データベースに記憶された原木管理情報に基づいて作業指示情報が生成され、その生成された作業指示情報が端末装置へ送信される。
【0012】
例えば、原木管理装置では、所定の換算式を用いて、原木管理情報に含まれる原木の種類と、外形寸法とから、原木から切り出すことの可能な材木の寸法が算出される。この算出された寸法は作業指示情報として端末装置へ送信され、端末装置に出力される。原木取扱業者は、例えば、この出力された寸法を基に原木を加工して材木を生産する。このように、原木取扱業者は、原木管理装置からの作業指示情報に基づいて作業を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明の原木管理装置、原木管理プログラムおよび原木管理方法によれば、各種原木の原木管理情報の管理を原木管理装置のデータベースを用いて行うようにしたので、原木取扱業者は原木管理情報から送信されてきた作業指示情報に基づいて作業を行うことができる。これにより、熟練従事者でない者であっても原木を取り扱う業務に容易に参加したり従事したりすることが可能となり、その結果、原木の有効利用の促進を図ることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る原木材木管理方法(原木管理方法)が適用される原木材木管理システムを表すものである。この原木材木管理システムは、原木材木管理業者によって使用される原木材木管理装置1Aと、原木保管業者1B−1,原木運搬業者1B−2および製材業者1B−3(以下、これらの業者1B−1,1B−21,B−3を、適宜、原木材木取扱業者1B−xと称する)によって使用される端末装置1Bとを含む情報ネットワークシステムとして構築されたものである。
【0016】
原木材木管理業者1A−1は、この原木材木管理システムに参加している各原木材木取扱業者1B−xをとりまとめると共に、原木2−1(図4参照)の伐採等から原木の製材加工までの業務を原木材木管理装置1Aを用いて一元的に管理する生産管理業者のことである。原木保管業者1B−1は、山林や平地林で間伐を行ったり、倒木や不要木を回収すると共に、間伐木、倒木および不要木などの原木2−1を保菅する業者である。原木運搬業者1B−2は、原木保管業者1B−1から製材業者1B−3に原木2−1を運搬する業者である。製材業者1B−3は、原木2−1から材木2−2(図4参照)を切り出すと共に、材木2−2を保管する業者である。
【0017】
図2は、原木材木管理装置1Aの機能構成を表すものである。この原木材木管理装置1Aは、制御部10Aと、記憶部11Aと、通信部12Aと、表示部13Aと、入力部14Aとを備えている。制御部10Aは、記憶部11A、通信部12A、表示部13Aおよび入力部14Aとそれぞれ接続されている。
【0018】
なお、通信部12Aは本発明の「受付手段」あるいは「送信手段」、入力部14Aは本発明の「受付手段」、制御部10Aは本発明の「作業指示生成手段」の一具体例にそれぞれ対応する。
【0019】
図3は、端末装置1Bの機能構成を表すものである。この端末装置1Bは、制御部10Bと、記憶部11Bと、通信部12Bと、表示部13Bと、入力部14Bと、読出部15Bと、書込部16Bとを備えている。制御部10Bは、記憶部11B、通信部12B、表示部13B、入力部14B、読出部15Bおよび書込部16Bとそれぞれ接続されている。なお、読出部15Bおよび書込部16Bについては、図示のように端末装置1B本体に有線接続するのではなく、端末装置1B本体とは別体のハンディータイプのリーダライタユニットとして構成すると共に、このリーダライタユニットと端末装置1B本体との間を無線通信路により接続するようにしてもよい。
【0020】
原木材木管理装置1Aの制御部10Aおよび端末装置1Bの制御部10Bは、それぞれ、プログラムの命令を解釈し、実行するためのもので、例えばCPU(Central Processing Unit )により構成される。原木材木管理装置1Aの記憶部11Aには、原木材木管理プログラム11A−1と、原木材木データベース11A−2とが記憶されている。端末装置1Bの記憶部11Bには、端末プログラム11B−1が記憶されている。
【0021】
原木材木管理プログラム11A−1は、原木2−1および材木2−2を管理するための一連の手順を制御部10Aに実行させるためのものであり、端末プログラム11B−1は、原木2−1および材木2−2に付された電子タグ3(図4参照)へのデータアクセスや原木材木管理装置1Aとの間の通信を行うための一連の手順を制御部10Bに実行させるためのものである。なお、これらの一連の手順の詳細については後述する。
【0022】
電子タグ3は、情報を自由に読み書きすることが可能なメモリIC(図示せず)と、無線アンテナ(図示せず)とを含んで構成された微小なチップであり、端末装置1Bの読出部15Bおよび書込部16Bとの間で所定の周波数の電磁波を利用した通信を行うことにより、メモリIC内の情報を読み出したり、メモリIC内に情報を書き込んだりすることができるようになっている。
【0023】
なお、この電子タグ3は、原木2−1から材木2−2を切り出す際に材木2−2に残されるような部位に付されることが好ましく、材木2−2に例えば圧力を加える処理などを施したとしても脱落することのない部位に付されることがより好ましい。例えば、図4(A),(B)に示したように、原木2−1および材木2−2の芯部2Aに設けた溝に電子タグ3を挿入することにより、電子タグ3を原木2−1および材木2−2に固定しておくことが好ましい。
【0024】
ここで、芯部2Aは、外縁部2Bと比べて、硬度および色の異なる領域であり、釘などを打つのが容易でないほど硬度の高い領域である。また、この芯部2Aは、外縁部2Bと比べて含水率が低く、圧力を加える処理などがなされても内部から水分が湧出しにくい性質を有する。そのため、外縁部2Bに電子タグ3を挿入すると湧出する水分により電子タグ3が脱落する虞があるが、芯部2Aに電子タグ3を挿入すれば水分はほとんど湧出しないので電子タグ3が脱落する虞はない。したがって、電子タグ3を芯部2Aに挿入しておけば、原木2−1の伐採等から原木2−1の製材加工までの間に、電子タグ3が原木2−1および材木2−2から外れる虞はない。なお、芯部2Aに電子タグ3を挿入しておけば、電子タグ3が製材加工の際に材木2−2から切り離されたり、邪魔になって原木2−1から取り外される虞もない。
【0025】
また、この電子タグ3は、入力された情報を先に記録されている情報に追加して記録すると共に、一度書き込んだ情報を削除することができない機構を有していることが好ましい。これにより、電子タグ3に記録された情報が誤って消去されたり、改ざんされる虞がなくなる。
【0026】
このように、原木2−1の伐採等から原木2−1の製材加工までの間に、一旦取り付けられた電子タグ3が原木2−1および材木2−2から外れたり、電子タグ3に記録された情報が改ざんされることのないようにすることにより、トレーサビリティに係る情報の信頼性を確保することが可能となる。
【0027】
原木材木管理装置1Aの原木材木データベース11A−2は、個々の原木2−1および材木2−2に関する原木材木管理情報20を整理・統合し、検索しやすくしたファイルである。この原木材木管理情報20は、例えば、図5(A),(B)に示したように、原木2−1の場合には、原木材木ID21と産地証明情報21Aと加工情報21Bとを、材木2−2の場合には、原木材木ID22と産地証明情報22Aと加工情報22Bとをそれぞれ含んで構成される。
【0028】
原木ID21および材木ID22は、個々の原木2−1および材木2−2を識別するための固有情報である。原木の産地証明情報21Aおよび材木の産地証明情報21Aは、個々の原木2−1および材木2−2の産地を証明するのに必要な情報である。原木の産地証明情報21Aには、原木ID21、原木の種類21C(杉、ひのきなど)、原木の原産地21D(○○県○○郡○○村など)、原木の山林の管理者21E、伐採年月日21F、伐採業者21G、運搬業者21Hおよび製材業者21Jの情報が含まれている。材木の産地証明情報22Aには、製材加工前の原木2−1の産地証明情報21Aと同一の情報が含まれている。
【0029】
ここで、山林の管理者21Eには、実際に山林を管理している者の他、山林の所有者なども含まれる。伐採年月日21Fとは、伐採した年月日の他、災害などで発生した倒木を運び出した年月日や、原木材木データベース11A−2に登録した年月日など、木が地面から切り離された年月日と密接な関連性を有する年月日を指す。伐採業者21Gとは、伐採した業者の他、倒木を現地から運び出した業者である。なお、原木の産地証明情報21Aには、文字情報の他、画像情報などが含まれていてもよい。このように、原木の産地証明情報21Aおよび材木の産地証明情報21Aには、過去の生産情報や流通情報が記録されており、いわゆるトレーサビリティに必要な情報が含まれている。これにより、履歴の記録された電子タグ3が付されたままで材木2−2を市場に流通させた場合は、その材木2−2の産地を証明することが可能となるので、国内および外国において、正規に(合法に)伐採され、加工された材木すべてに、このような産地証明付きの電子タグ3を付すことにより、産地を偽ったり、違法に伐採された材木が市場に流通することを防止することが可能となる。
【0030】
加工情報21Bおよび加工情報22Bは、個々の原木2−1および材木2−2を加工する際に必要となる情報である。原木2−1の加工情報21Bには、原木の外径寸法21K(末口径、根方向口径、長さなど)や、原木2−1の用途21Lの情報が含まれており、材木2−2の加工情報22Bには、材木の外径寸法22K(幅、奥行き、長さなど)や、材木2−2の用途22L、可能な表面加工の種類22Mの情報が含まれている。
【0031】
ここで、末口径とは、図6(A)に示したように、原木2−1の両端の切断面のうち断面積の小さい方(末口2C)の直径である。根方向口径とは、原木2−1の両端の切断面のうち断面積の大きい方(根方向口2D)の直径である。ただし、切断面は、図6(B)に示したように、一般に楕円形をしており、楕円の2つの焦点を通る方向が最長の直径yとなり、楕円の2つの焦点を通る線分と垂直な方向が最短の直径xとなる。したがって、原木2−1から正方形の断面を有する材木2−2を切り出すには、末口の直径xを考慮することが必要となる。
【0032】
図7は、約1000本の原木2−1をサンプルとする係数aのヒストグラムを表すものである。約1000本の原木2−1には、杉とひのきが含まれている。係数aは、以下の式に示したように、正方形の断面の材木2−2の一辺の長さzを末口の直径xで割った値である。なお、材木2−2の一辺の長さzは、原木2−1から材木2−2を切り出すことのできる最大の長さである。係数aが0.6のときに鋭いピークを有しており、総数の92%が含まれているのが確認できる。これより、原木2−1の末口の直径xに0.6を掛けた値が、原木2−1から切り出すことのできる材木2−2の一辺の長さの最大値zと判断できる。逆に、材木2−2の一辺の長さzを0.61で割った値が、一辺の長さがzの材木2−2を切り出すことのできる最小の原木2−1の末口の直径xと判断できる。
a=z/x…式(1)
【0033】
このように、統計的に得られた係数aを用いることにより、経験や勘に頼らずに、原木2−1から切り出すことのできる材木2−2や、材木2−2を切り出すのに必要な原木2−1の目利きを行うことが可能となる。
【0034】
原木材木管理装置1Aの通信部12Aと端末装置1Bの通信部12Bとは、通信網を介して相互に通信可能である。具体的には、原木材木管理装置1Aにおいて生成された作業指示情報31が、通信部12Aから端末装置1Bの通信部12Bへ送信されると共に、端末装置1Bにおいて読出部15Bから読み出された原木材木ID21が、入力部14Bから入力された報告情報34と共に、通信部12Bから原木材木管理装置1Aの通信部12Aへ送信されるようになっている。
【0035】
また、作業指示情報31は、原木材木データベース11A−2に記憶されている原木材木管理情報20に基づいて生成される情報であり、例えば、原木保管業者1B−1の保管している原木2−1を、いつ、誰が、どのように処理するかなどの情報が含まれる。なお、作業指示情報31の生成方法については後述する。
【0036】
原木材木管理装置1Aの表示部13Aおよび端末装置1Bの表示部13Bは、それぞれ、原木材木管理プログラム11A−1または端末プログラム11B−1により処理された結果やデータ入力用のダイヤログ等を表示するためのもので、例えば液晶表示装置等のディスプレイデバイスで構成される。原木材木管理装置1Aの入力部14Aおよび端末装置1Bの入力部14Bは、それぞれ、ユーザからの情報をデジタルデータとして原木材木管理装置1Aまたは端末装置1B内部に取り込むための装置で、例えばキーボードやマウス、スキャナなどから構成される。端末装置1Bの読出部15Bは、例えば電磁波を利用して、個々の電子タグ3に記憶されている原木材木管理情報20を読み出すためのものである。書込部16Bは、例えば電磁波を利用して、個々の電子タグ3に原木材木管理情報20を記憶させるためのものである。
【0037】
続いて、図8ないし図10を参照して、本実施の形態の原木材木管理装置1Aおよび端末装置1Bの動作について説明する。なお、説明の便宜上、(A)原木2−1および材木2−2を在庫として登録する手順、(B)材木2−2を生産し在庫する手順に分けて説明する。ここで、図8ないし図10は、原木材木管理装置1Aまたは端末装置1Bにおける動作の流れを、原木材木管理業者1A−1、原木保管業者1B−1、原木運搬業者1B−2、製材業者1B−3および発注者1C−1による操作や処理と共に表したものである。
【0038】
(A:原木2−1を在庫として登録する手順、図8)
まず、原木材木管理業者1A−1が、原木材木管理装置1Aにおける原木材木管理プログラム11A−1の起動と、端末装置1Bにおける端末プログラム11B−1の起動とを要求する(ステップS1)。すると、原木材木管理プログラム11A−1が制御部10Aによって立ち上げられると共に(ステップS2)、端末プログラム11B−1が制御部10Bによって立ち上げられる(ステップS3)。次に、端末装置1Bに対して原木2−1の在庫登録を要求する(ステップS4)。すると、端末装置1Bの端末プログラム11B−1から原木2−1の在庫の入力を要求される(ステップS5)。なお、端末プログラム11B−1の立ち上げ時以外の任意の時に、原木材木管理業者1A−1からの指示により在庫登録を要求できるようにしてもよい。また、上記した一連の手続きを行うことのできる権限を、上記したように原木材木管理業者1A−1に与えてもよいし、原木保管業者1B−1に与えてもよい。
【0039】
次に、上記した一連の手続きを行うことのできる者(ここでは原木材木管理業者1A−1)は、原木2−1の芯部2Aに電子タグ3を固定する。その後、その固定した電子タグ3に書き込むべき原木材木管理情報20を入力部14Bに入力すると共に、書込部16Bをその電子タグ3に近づけたのち、書込コマンドを入力する(ステップS6)。すると、入力部14Bに入力した原木材木管理情報20は、書込部16Bを介して電子タグ3に書き込まれると共に、通信網を介して原木材木管理装置1Aに送信される(ステップS7)。
【0040】
その後、端末装置1Bから送信されてきた原木材木管理情報20は、原木材木管理装置1Aの制御部10Aによって、原木2−1ごとにデータベース11A−2に記憶される(ステップS8)。
【0041】
次に、木製製品に関する情報を通信網上にアップロードすることを要求する(ステップS9)。すると、木製製品に関する情報が原木材木管理装置1Aによって通信網上にアップロードされる(ステップS10)。具体的には通信網上に自社のホームページが公開される。このようにして、原木2−1が在庫として登録される。このようにして、原木2−1から材木2−2を生産するにあたっての準備が完了する。
【0042】
(B:材木2−2を生産し在庫する手順、図9〜図10)
原木材木管理業者1A−1は通信網上に公開された原木2−1の在庫情報にアクセスする(ステップS11)と、原木材木管理装置1Aによって、原木材木管理業者1A−1からの入力に応じて原木材木管理業者1A−1に原木2−1の在庫情報の提供が行われる(ステップS12)。
【0043】
原木材木管理業者1A−1は、提供された情報をもとに製材加工する原木2−1を選択する(ステップS13)。すると、選択された原木2−1の原木ID21が原木材木管理装置1Aの制御部10Aによって受け付けられる(ステップS14)。その後、データベース11A−2に記憶された原木材木管理情報20のうち、受け付けた原木ID21に対応する原木2−1の情報に基づいて作業指示情報31が生成される(ステップS15)。具体的には、選択された原木2−1を、いつ、誰が、どのように処理するかなどの作業工程に関する情報が生成される。
【0044】
次に、生成された作業指示情報31は、原木材木管理装置1Aの制御部10Aによって、原木材木取扱業者1B−xの保有する端末装置1Bに送信される(ステップS16)。具体的には、原木運搬業者1B−2へ引き渡す原木2−1を出庫する日時などが記された作業指示情報31が原木保管業者1B−1の保有する端末装置1Bに送信され、原木保管業者1B−1から製材業者1B−3へ原木2−1を運搬する日時などが記された作業指示情報31が原木運搬業者1B−2に送信され、原木運搬業者1B−2が搬送してきた原木2−1から材木2−2を切り出したり、切り出した材木2−2に所定の処理を施す手順や、寸法などが記された作業指示情報31が製材業者1B−3に送信される。
【0045】
その後、原木材木管理装置1Aから送信されてきたこれらの作業指示情報31は、原木材木取扱業者1B−xの保有する端末装置1Bによってそれぞれ受信されると共に、出力される(ステップS17)。原木材木取扱業者1B−xは、出力されたこれらの作業指示情報31に基づいて作業を行う(ステップS18)。例えば、原木保管業者1B−1は作業指示情報31に基づいて対象となる原木2−1を出庫し、原木運搬業者1B−2は作業指示情報31に基づいて対象となる原木2−1を運搬し、製材業者1B−3は作業指示情報31に基づいて原木2−1から材木2−2を切り出したり、切り出した材木2−2に所定の処理を施す。
【0046】
原木材木取扱業者1B−xは、所定の作業を行う際に、原木2−1および材木2−2の芯部2Aに固定された電子タグ3に書込部16Bを近づけたのち、入力部14Bに登録要求コマンドを入力する(ステップS19)。すると、原木材木取扱業者1B−xの名称が電子タグ3に書き込まれる(ステップS20)と共に、原木材木管理装置1Aに送信される(ステップS21)。
【0047】
その後、送信された原木材木取扱業者1B−xの名称が原木材木管理装置1Aによって受信されると共に、データベース11A−2に記憶される(ステップS22)。このようにして、材木2−2が生産されると共に在庫される。
【0048】
このように、本実施の形態の原木材木管理装置1A、原木材木管理プログラム11A−1、原木材木管理方法によれば、各種原木2−1の原木材木管理情報20の管理を原木材木管理装置1Aのデータベース11A−2を用いて行うようにしたので、原木取扱業者1B−xは原木材木管理情報1Aから送信されてきた作業指示情報31に基づいて作業を行うことができる。これにより、熟練従事者でない者であっても原木2−1を取り扱う業務に容易に参加したり従事したりすることが可能となり、その結果、原木2−1の有効利用の促進を図ることも可能となる。
【0049】
[適用例]
図11は、上記実施の形態の原木材木管理システムに、顧客からの発注を受け付けることの可能なシステムを組み合わせた生産販売システムを表すものである。この生産販売システムは、上記実施の形態と同様、原木材木管理業者1A−1によって使用される原木材木管理装置1Aと、原木保管業者1B−1,原木運搬業者1B−2および製材業者1B−3(以下、これらの業者1B−1,1B−21,B−3を、適宜、原木材木取扱業者1B−xと称する)によって使用される端末装置1Bとを含む情報ネットワークシステムとして構築されたものである。なお、上記実施の形態と同様の構成・動作・効果についての記載を省略し、組み合わされた、顧客からの発注を受け付けることの可能なシステムについて主に説明する。
【0050】
原木材木管理業者1A−1は、この原木材木管理システムに参加している各原木材木取扱業者1B−xをとりまとめると共に、原木2−1の伐採等から木製製品の納品までの業務を原木材木管理装置1Aを用いて一元的に管理する業者であり、受注した注文に基づく作業指示を各原木材木取扱業者1B−xに振り分ける立場にある。原木保管業者1B−1は、山林や平地林で間伐を行ったり、倒木や不要木を回収すると共に、間伐木、倒木および不要木などの原木2−1を保菅する業者であり、原木材木管理装置1Aから端末装置1Bへ送信された作業指示情報31に応じて原木運搬業者1B−2へ所望の原木2−1を引き渡す立場にある。原木運搬業者1B−2は、原木保管業者1B−1から製材業者1B−3に原木2−1を運搬する業者であり、原木材木管理装置1Aから端末装置1Bへ送信された作業指示情報31に応じて製材業者1B−3へ所望の原木2−1を運搬する立場にある。製材業者1B−3は、原木2−1から材木2−2を切り出したり、切り出した材木2−2に所定の処理を施す業者であり、原木材木管理業者1A−1からの作業指示に応じて原木2−1や材木2−2を加工すると共に、木製製品を構成する各材木2−2を発注者1C−1に納品する立場にある。なお、原木保管業者1B−1、原木保管業者1B−1、製材業者1B−3のそれぞれが担う役割の一部を他の業者に負わせるようにしてもよい。ただし、その場合には、この原木材木管理システムと連携可能な端末装置1Bをその業者に新たに与えることが必要となる。
【0051】
図12は、原木材木データベース11A−2において、木製製品の型番23が、標準構成材木の型番24,置換可能材木の型番25および切り出し可能原木・材木の型番26と関連づけられている様子を例示して表したものである。ここで、標準構成材木の型番24とは、木製製品を構成する標準的な材木2−2の型番であり、列挙された標準構成材木24により既成の木製製品を組み立てることができることを指している。例えば、型番Aの木製製品は、型番a1、型番b1および型番c1により組み立てることができる。置換可能材木の型番25とは、標準構成材木24と置換可能な材木2−2の型番であり、標準構成材木24を置換可能材木25に置換することにより顧客の趣向に合った木製製品を組み立てることができることを指している。例えば、型番Aの木製製品では、型番a1の材木2−2を型番a3の材木2−2と置換することができる。切り出し可能原木・材木の型番26とは、該当する木製製品に適用可能な範囲内で、顧客の要求した仕様を満たす材木2−2を切り出すことの可能な原木2−1および材木2−2の型番であり、顧客の要求する仕様の材木2−2が在庫に無い場合に、これらの原木2−1および材木2−2を切り出すことにより、顧客の要求する仕様の材木2−2を生産可能であることを指している。例えば、型番Aの木製製品では、型番a1の材木2−2が取り付けられる部位に、型番X1の原木2−1または材木2−2から切り出された材木2−2を取り付けることができる。
【0052】
原木材木管理装置1Aの通信部12Aと発注者1C−1の端末装置1Cの通信部(図示せず)とは、図示しない通信網(例えば、IP(Internet Protocol )網)を介して相互に通信可能である。具体的には、端末装置1Cにおいて生成された発注情報30が、端末装置1Cの通信部から原木材木管理装置1Aの通信部12Aへ送信されるようになっている。
【0053】
ここで、発注情報30は、発注者1C−1のニーズに応じて様々な情報を含んでおり、例えば、図13(A)に示したように、そのニーズが既成の木製製品の購入要求である場合には、発注者1C−1の氏名27A、発注者1C−1の住所27B、および木製製品の型番23が含まれる。ここで、発注者1C−1の氏名27Aおよび住所27Bは本発明の「発注者を示す情報」に、木製製品の型番23は本発明の「木製製品名を示す情報」にそれぞれ対応する。
【0054】
また、そのニーズが既成の仕様とは異なる仕様の木製製品(イージー・オーダーメイド品)の購入要求である場合には、図13(B)に示したように、発注者1C−1の氏名27A、発注者1C−1の住所27B、木製製品の型番23、置換対象材木の型番25A、置換対象部位25B、置換対象材木の種類25C、置換対象材木の原産地25D、置換対象材木の外形寸法25E、表面加工対象部位28A、表面加工材木の型番28Bおよび表面加工の種類28Cが含まれる。ここで、置換対象材木の型番25Aとは、発注者1C−1が置換可能材木の中から選択した材木2−2の型番を指している。なお、発注者1C−1が置換対象材木の型番25Aを指定した場合には、上記した25A〜25Eを指定する必要はないが、独自の仕様の材木2−2で置換することを希望する場合は、上記した25A〜25Eを指定することが必要となる。
【0055】
また、作業指示情報31は、発注情報30と、原木材木データベース11A−2に記憶されている原木材木管理情報20に基づいて生成される情報であり、例えば、発注情報30に含まれる木製製品(既成品、イージー・オーダーメイド品)を構成する各材木2−2を、いつ、どこに、誰に、どのようにして納品するかなどの情報が含まれる。なお、作業指示情報31の生成方法については後述する。
【0056】
続いて、図14ないし図18を参照して、本実施の形態の原木材木管理装置1Aおよび端末装置1Bの動作について説明する。なお、説明の便宜上、(C)木製製品の発注から受注までの手順、(D)木製製品の受注から納品まで手順、に分けて説明する。ここで、図14ないし図18は、原木材木管理装置1Aまたは端末装置1Bにおける動作の流れを、原木材木管理業者1A−1、原木保管業者1B−1、原木運搬業者1B−2、製材業者1B−3および発注者1C−1による操作や処理と共に表したものである。
【0057】
(C:木製製品の発注から受注までの手順、図14〜図16)
【0058】
顧客が通信網上に公開された木製製品に関する情報へのアクセスを要求すると(ステップS23)と、顧客の使用する端末装置1Cから木材木管理装置1Aにアクセス要求が送信される(ステップS24)。すると、原木材木管理装置1Aにアクセスしてきた顧客に対して、顧客からの入力に応じて、木製製品に関する情報の提供が行われる(ステップS25)。具体的には、原木・材木管理業者1A−1が提供できる既成の木製製品、既成の仕様とは異なる仕様の木製製品(イージー・オーダーメイド品、『こんな仕様変更をすることもできる』というアイデアも含む)の外観や、仕様などの情報が送信される。
【0059】
木材木管理装置1Aから送信されてきた木製製品に関する情報は、端末装置1Cによって受信されると共に、出力される(ステップS26)。顧客は、提供された情報をもとに購入したい既成の木製製品を選択したり、イージー・オーダーメイド品の仕様を所定の入力フォームおよび手順に従って発注情報30を入力する(ステップS27)。すると、発注情報30は、端末装置1Cによって送信され(ステップS28)、原木材木管理装置1Aにより受信される(ステップS29)。以下、このようにして製品発注をした顧客を発注者1C−1と称する。
【0060】
その後、原木材木管理装置1Aの制御部10Aによって、受け付けた発注情報30と、データベース11A−2に記憶された原木材木管理情報20とに基づいて作業指示情報31が生成される。具体的には、まず、発注情報30に含まれる木製製品を在庫の材木2−2で組み立てることができるか否かが、データベース11A−2に記憶された原木材木管理情報20を参照して検証される(ステップS30)。そして、その検証の結果、在庫の材木2−2で組み立てることができると判定された場合は、発注情報30に含まれる木製製品を構成する各材木2−2を、いつ、どこに、誰に、どのようにして納品するかなどの情報を含んだ作業指示情報31−1が生成される(ステップS31)。
【0061】
このとき、発注情報30に含まれる木製製品を構成する各材木2−2のうちの一部または全ての材木2−2を在庫の材木2−2で組み立てることができないと判定された場合、例えば、在庫の材木2−2に対して表面加工が必要な場合は、そのような加工を行うことができるか否かをデータベースに記憶された原木材木管理情報20を参照して検証する(ステップS32)。そして、その検証の結果、組み立てることができると判定された場合は、作業指示情報31には、上記の作業指示情報31−1に含まれる情報の他に、そのような表面加工を行う指令が含まれた作業指示情報31−2が生成される(ステップS33)。
【0062】
さらに、発注情報30に含まれる木製製品を構成する各材木2−2のうちの一部または全ての材木2−2を在庫の材木2−2で組み立てることができないと判定された場合、例えば、在庫の材木2−2とは異なる外形寸法の材木2−2が含まれている場合や、材木2−2が在庫不足(または在庫切れ)となっている場合には、在庫の原木2−1や材木2−2から材木2−2を切り出したり加工することにより発注情報30に含まれる木製製品を組み立てることができるか否かをデータベースに記憶された原木材木管理情報20を参照して検証する(ステップS34)。そして、その検証の結果、組み立てることができると判定されると、上記の作業指示情報31−1に含まれる情報の他に、例えば、原木2−1を加工する指令が含まれた作業指示情報31−3と、その原木2−1を出庫する指令が含まれた作業指示情報31−4と、その原木2−1を搬送する指令が含まれた作業指示情報31−5がそれぞれ生成される(ステップS35)。
【0063】
このようにして、顧客の様々なニーズに応じたきめの細かい作業指示情報31が生成される。なお、検証の結果、組み立てることができないと判定された場合には、作業指示情報31は作成されず、その代わりに受注不可情報37が生成される(ステップS36)。
【0064】
また、上記した作業指示情報31−1〜31−5と共に、受注した木製製品の納期情報32が生成される(ステップS37)。具体的には、上記ステップS30において、発注情報30に含まれる木製製品を組み立てることができると判定された場合は、予定されている通常の納期に基づいて納期情報32が生成され、上記ステップS32,S34において、発注情報30に含まれる木製製品を組み立てることができると判定された場合には、その後の作業内容に応じた納期に基づいて納期情報32が生成される。
【0065】
また、上記した作業指示情報31−1〜31−5と共に、受注した木製製品の提供に係る代金の見積情報33が生成される(ステップS38)。具体的には、上記ステップS30において、発注情報30に含まれる木製製品を組み立てることができると判定された場合には、予定されている通常の価格に基づいて見積情報33が生成され、上記ステップS32,S34において、発注情報30に含まれる木製製品を組み立てることができると判定された場合には、その後の作業内容に応じた追加料金を考慮した見積情報33が生成される。
【0066】
次に、納期情報32と見積情報33とを含んだ情報、または受注不可情報37を含んだ情報が発注者1C−1の端末装置1Cに送信される(ステップS39)。納期情報32と見積情報33とを含んだ情報、または受注不可情報37を含んだ情報が発注者1C−1の端末装置1Cによって受信されると共に出力される(ステップS40)。このとき、発注者1C−1がその内容で売買契約をすることに同意するときは、購入コマンドを入力する(ステップS41)。すると、購入コマンドが、発注者1C−1の端末装置1Cによって、原木材木管理装置1Aに送信される(ステップS41)。
【0067】
その後、購入コマンドが原木材木管理装置1Aによって受信される(ステップS42)と、売買契約が成立する。そして、受注した木製製品の提供に係る代金の請求情報34(先の見積情報33に含まれる情報を請求用に修正したもの)が生成され(ステップS43)、その請求情報34が発注者1C−1の端末装置に送信される(ステップS44)。
【0068】
このようにして、購入の際の判断に必要な情報をすばやく顧客に提供することができ、これにより、顧客に対してきめの細かいサービスを提供することができる。
【0069】
(D:受注から納品まで手順、図17〜図18)
次に、生成されたこれらの作業指示情報31−1〜31−5は、原木材木管理装置1Aの制御部10Aによって、原木材木取扱業者1B−xの保有する端末装置1Bに送信される(ステップS45)。具体的には、作業指示情報31−1,31−2,31−3は製材業者1B−3の保有する端末装置1Bに、作業指示情報31−4は原木保管業者1B−1の保有する端末装置1Bに、作業指示情報31−5は原木運搬業者1B−2の保有する端末装置1Bにそれぞれ送信される。そこで、以下、製材業者1B−3の保有する端末装置1Bにだけ作業指示情報31が送信されるケースと、製材業者1B−3だけでなく、原木保管業者1B−1および原木運搬業者1B−2にも作業指示情報31が送信されるケースとを分けて説明する。
【0070】
(製材業者1B−3の保有する端末装置1Bにだけ作業指示情報31が送信されるケース)
このケースは、作業指示情報31−1,31−2が製材業者1B−3の保有する端末装置1Bに送信されるケース、すなわち、上記したステップS31およびS33のケースに相当する。そこで、ステップS31およびS33以降の手順について説明する。
【0071】
原木材木管理装置1Aから送信されてきたこれらの作業指示情報31−1〜31−2は、製材業者1B−3の保有する端末装置1Bによってそれぞれ受信されると共に、出力される(ステップS46)。
【0072】
製材業者1B−3は、出力されたこれらの作業指示情報31−1〜31−2に基づいて作業を行う。具体的には、外形寸法の変更を要求されている場合には、要求された外形寸法となるように材木2−2を加工し(ステップS47)、表面加工を要求されている場合には、要求された表面加工を行う(ステップS48)。
【0073】
その後、製材業者1B−3は、作業内容に対応した報告情報34を入力部14Bに入力する(ステップS49)。すると、入力された報告情報34は原木材木管理装置1Aに送信され(ステップS50)、送信された報告情報34は原木材木管理装置1Aによって受信されると共に、データベース11A−2に記憶される(ステップS51)。続いて、製材業者1B−3は、作業指示情報31−1〜31−2に基づいて材木2−2を納品する(ステップS52)。
【0074】
これにより、原木材木管理業者1A−1は、原木材木取扱業者1B−xの進捗状況をリアルタイムに把握することが可能となるので、進捗状況を逐一顧客に提供することも可能となる。これにより、顧客に対してきめの細かいサービスを提供することができる。
【0075】
(製材業者1B−3だけでなく、原木保管業者1B−1および原木運搬業者1B−2にも作業指示情報31が送信されるケース)
このケースは、作業指示情報31−1〜31−3が製材業者1B−3の保有する端末装置1Bに、作業指示情報31−4が原木保管業者1B−1の保有する端末装置1Bに、作業指示情報31−5が原木運搬業者1B−2の保有する端末装置1Bにそれぞれ送信されるケース、すなわち、上記したステップS35のケースに相当する。そこで、ステップS35以降の手順について説明する。
【0076】
原木材木管理装置1Aから送信されてきた作業指示情報31−1〜31−3は製材業者1B−3の保有する端末装置1Bによって、作業指示情報31−4は原木保管業者1B−1の保有する端末装置1Bによって、作業指示情報31−5は原木運搬業者1B−2の保有する端末装置1Bによってそれぞれ受信されると共に、出力される(ステップS53)。
【0077】
その後、原木保管業者1B−1は作業指示情報31−4に基づいて対象となる原木2−1を出庫し(ステップS54)、原木運搬業者1B−2は作業指示情報31−5に基づいて対象となる原木2−1を原木保管業者1B−1から製材業者1B−3に運搬し(ステップS55)、製材業者1B−3は作業指示情報31−1〜31−3に基づいて対象となる材木2−2を原木2−1や材木2−2から切り出したり、材木2−2に表面加工などを施す(ステップS56)。その際、原木保管業者1B−1、原木運搬業者1B−2および製材業者1B−3は、上記と同様に、作業内容に対応した報告情報34を入力部14Bに入力する(ステップS57)。すると、入力された報告情報34は原木材木管理装置1Aに送信され(ステップS58)、送信された報告情報34は原木材木管理装置1Aによって受信されると共に、データベース11A−2に記憶される(ステップS59)。その後、製材業者1B−3は、木製製品を構成する材木2−2を発注者1C−1に納品する(ステップS60)。
【0078】
これにより、原木材木管理業者1A−1は、原木材木取扱業者1B−xの進捗状況をリアルタイムに把握することが可能となるので、進捗状況を逐一顧客に提供することも可能となる。これにより、顧客に対してきめの細かいサービスを提供することができる。
【0079】
このように、本実施の形態の原木材木管理装置1A、原木材木管理プログラム11A−1および原木材木管理方法によれば、受け付けた発注情報30と、データベース11A−2に記憶された原木材木管理情報20とに基づいて作業指示情報31が生成されるようにしたので、営業マンが顧客のもとへ訪問したり、電話やFAXなどを用いなくても、木製製品のように、選択の幅の広い製品に対する顧客の様々なニーズにきめ細やかに対応することができる。
【0080】
また、このように顧客の様々なニーズにきめ細かく対応することを可能にしたので、顧客の様々なニーズを先取りして、様々な形態の木製製品のアイデアを顧客に対して提供することも可能となる。
【0081】
以上、上記実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0082】
例えば、上記実施の形態では、発注者1C−1は、発注情報30を発注者1C−1の端末装置から原木材木管理装置1Aへ送信するようにしていたが、発注情報30を原木材木管理業者1A−1が入力部14Bを介して入力するようにしてもよい。ただし、この場合には、入力部14Aが本発明の「受付手段」の一具体例に対応する。
【0083】
また、上記実施の形態では、原木材木管理装置1Aの制御部10Aによって、受け付けた発注情報30と、データベース11A−2に記憶された原木材木管理情報20とに基づいて作業指示情報31が生成されるようにしていたが、作業指示情報31−1〜31−5と併せて、木製製品の組み立て図(設計図)に関する情報が生成されるようにしてもよい。この場合には、作業指示情報31−1〜31−5と併せて、木製製品の組み立て図に関する情報も端末装置1Bに送信され、端末装置1Bから出力されるので、製材業者1B−3は、木製製品の組み立て図を材木2−2と共に発注者1C−1に納品することとなる。
【0084】
また、原木2−1や材木2ー2に付する記憶媒体を電子タグ3の代わりに、2次元コードとしてもよい。ただし、一旦生成された2次元コードは情報を読み出すことができても、書き込むことができないので、以下に示すような手順で情報の管理を行うことが必要となる。
【0085】
まず、2次元コードの付される原木2−1や材木2ー2に関する原木材木管理情報20の保管場所を示す情報、例えば原木材木データベース11A−1のURL(Uniform Resource Locator)の文字列を変換して生成した2次元コードを原木2−1や材木2ー2に付しておく。次に、原木材木管理情報20を新規登録する場合や、更新する場合は、市販されている携帯電話を端末装置1Bとして利用し、その携帯電話の2次元コード読み出し機能によって原木2−1や材木2ー2に付された2次元コードを解読すると共に解読したアドレスにアクセスし、例えば、アクセス先の原木材木データベース11A−1に原木材木管理情報20の新規登録や更新を行う。また、原木材木管理情報20を確認したい場合は、上記と同様に、携帯電話の2次元コード読み出し機能によって原木2−1や材木2ー2に付された2次元コードを解読すると共に解読したアドレスにアクセスし、例えば、アクセス先の原木材木データベース11A−1の原木材木管理情報情報20を読み出す。
【0086】
これにより、上記実施の形態のような本システム専用の端末装置1Bを用意する必要がなくなるので、原木材木管理システムの構築に要する費用や時間を大幅に削減することができる。また、携帯電話を端末装置1Bとして利用することのできる手軽さから、熟練従事者でない者であっても原木2−1や材木2ー2を取り扱う業務により一層容易に参加したり従事したりすることが可能となり、その結果、原木2−1や材木2ー2の有効利用の促進をより一層図ることも可能となる。
【0087】
また、木製製品を構成する材木2−2を発注者1C−1に納品する際に、各材木2−2に付された電子タグ3に記憶されている原木材木管理情報20の保管場所を示す情報、例えば原木材木データベース11A−1のURLの文字列を変換して生成した2次元コードを、材木2−2や、納品の際に添付する書類などに付することが好ましい。これにより、発注者1C−1は、携帯電話の2次元コード読み出し機能を利用して、納品された材木2−2の産地証明情報21Aを、いつでも、容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施の形態に係る原木材木管理方法が適用される原木材木管理システムの全体構成図である。
【図2】図1における原木材木管理装置の概略構成図である。
【図3】図1における端末装置の概略構成図である。
【図4】原木、材木の斜視図である。
【図5】原木材木データベースの一構成例を示す図である。
【図6】原木と材木との関係を説明するための斜視図である。
【図7】係数aのヒストグラムを表した図である。
【図8】原木材木管理システムの動作を説明するための流れ図である。
【図9】図8に続く流れ図である。
【図10】図9に続く流れ図である。
【図11】図1の原木材木管理システムに、顧客からの発注を受け付けることの可能なシステムを組み合わせた生産販売システムの全体構成図である。
【図12】原木材木データベースの一構成例を示す図である。
【図13】発注情報の一構成例を示す図である。
【図14】生産販売システムの動作を説明するための流れ図である。
【図15】図14に続く流れ図である。
【図16】図15に続く流れ図である。
【図17】図16に続く流れ図である。
【図18】図17に続く流れ図である。
【符号の説明】
【0089】
1A…原木材木管理装置、1A−1…原木材木管理業者、1B,1C…端末装置、1B−x…原木材木取扱業者、1B−1…原木保管業者、1B−2…原木運搬業者、1B−3…製材業者、1C−1…発注者、2−1…原木、2−2…材木、2A…芯部、2B…外縁部、2C…末口、2D…根方向口、3…電子タグ、10A,10B…制御部、11A,11B…記憶部、11A−1…原木材木データベース、11A−2…原木材木管理プログラム、11B−1…端末プログラム、12A,12B…通信部、13A,13B…表示部、14A,14B…入力部、15B…読出部、16B…書込部、20…原木材木管理情報、21…原木ID、21A…原木の産地証明情報、21B,22B…加工情報、21C…原木の種類、21D…原木の原産地、21E…原木の山林の管理者、21F…伐採業者、21G…運搬業者、21J…製造業者、21K…原木の外形寸法、21L…原木の用途、22…材木ID、22A…材木の産地証明情報、22K…材木の外形寸法、22L…材木の用途、22M…可能な表面加工の種類、23…木製製品の型番、24…標準構成材木の型番、25…置換可能材木の型番、25A…置換対象材木の型番、25B…置換対象材木の部位、25C…置換対象材木の種類、25D…置換対象材木の原産地、25E…置換対象材木の外形寸法、26…切り出し可能原木・材木の型番、27A…発注者の氏名、27B…発注者の住所、28A…表面加工対象部位、28B…表面加工材木の型番、28C…表面加工の種類、30…発注情報、31…作業指示情報、32…納期情報、33…見積情報、34…請求情報、35…報告情報、36…生産情報、37…受注不可情報、a…係数、x,y…原木の末口の直径、z…材木の一辺の長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体の付された各種原木に関する原木管理情報を前記原木ごとに記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された原木管理情報に基づいて作業指示情報を生成する作業指示生成手段と、
前記作業指示生成手段が生成した作業指示情報を、前記記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする原木管理装置。
【請求項2】
前記原木管理情報は、原木の種類と、外形寸法とを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の原木管理装置。
【請求項3】
前記作業指示情報には、前記原木の種類および前記外形寸法から算出された、原木から切り出すことの可能な材木の寸法が含まれる
ことを特徴とする請求項2に記載の原木管理装置。
【請求項4】
前記原木から切り出すことの可能な材木の寸法として、以下の式から算出される値zが含まれる
ことを特徴とする請求項3に記載の原木管理装置。
z=aX
z:原木から切り出すことの可能な最大の断面積を有する材木の一辺の長さ
x:原木の末口の直径
a:zとxとの関係を統計的に求めた定数
【請求項5】
前記原木管理情報は、原木の種類と、原産地と、原産地の山林の管理者と、伐採年月日と、伐採業者と、運搬年月日と、運搬業者と、製材年月日と、製材業者とを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の原木管理装置。
【請求項6】
前記記憶媒体は、原木の芯の内部に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の原木管理装置。
【請求項7】
前記記憶媒体は、当該記憶媒体の付された原木に関する原木管理情報を記憶する電子タグおよび当該記憶媒体の付された原木に関する原木管理情報の保管場所を示す情報を記憶する2次元コードの少なくとも一方である
ことを特徴とする請求項1に記載の原木管理装置。
【請求項8】
木製製品の発注情報を受け付ける受付手段をさらに備え、
前記データベースは、さらに、前記原木から切り出された、記憶媒体の付された各種材木に関する材木管理情報を前記材木ごとに記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の原木管理装置。
【請求項9】
前記発注情報は、発注者と、木製製品名とを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の原木管理装置。
【請求項10】
前記発注情報は、発注者と、木製製品名と、前記木製製品を構成する各材木の種類,原産地,外形寸法および表面加工の要・不要とを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の原木管理装置。
【請求項11】
前記作業指示生成手段は、
前記受付手段が受け付けた発注情報に基づいて前記データベースを検索し、前記発注情報に合致した材木の材木管理情報を抽出し、
その抽出された材木管理情報と、前記受付手段が受け付けた発注情報とに基づいて前記作業指示情報を生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の原木管理装置。
【請求項12】
前記作業指示生成手段は、
前記受付手段が受け付けた発注情報に基づいて前記データベースを検索し、その結果、前記発注情報に合致した材木の材木管理情報を抽出することができなかった場合には、前記発注情報に合致した材木を切り出すことのできる原木の原木管理情報を抽出し、
その抽出された原木管理情報と、前記受付手段が受け付けた発注情報とに基づいて前記作業指示情報を生成する
ことを特徴とする請求項10に記載の原木管理装置。
【請求項13】
前記作業指示生成手段は、前記作業指示情報を生成すると共に、その木製製品の提供に係る代金の支払いを請求する請求情報を生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の原木管理装置。
【請求項14】
前記作業指示生成手段は、前記作業指示情報を生成すると共に、その木製製品の納期情報を生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の原木管理装置。
【請求項15】
記憶媒体の付された各種原木に関する原木管理情報を前記原木ごとにデータベースに記憶させるステップと、
前記データベースに記憶された原木管理情報に基づいて作業指示情報を生成するステップと、
その生成された作業指示情報を、前記記憶媒体のアクセスが可能な端末装置へ送信するステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする原木管理プログラム。
【請求項16】
記憶媒体の付された各種原木に関する原木管理情報を格納するためのデータベースを有する原木管理装置と、前記各種原木にそれぞれ付された記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置とを用意し、
前記原木管理装置において、
前記原木管理情報を前記原木ごとにデータベースに記憶し、
前記データベースに記憶された原木管理情報に基づいて作業指示情報を生成し、
その生成された作業指示情報を前記端末装置へ送信し、
前記端末装置において、
前記原木管理装置から送信された作業指示情報を受信し、
その作業指示情報を出力する
ことを特徴とする原木管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−26415(P2007−26415A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270593(P2005−270593)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(505229195)株式会社エコム (6)