説明

原稿搬送装置、及び画像形成装置

【課題】重量を軽くすることができる原稿搬送装置、及びこれを備えた画像形成装置を得る。
【解決手段】原稿搬送ユニット20を、ヒンジ部材72に固定され、プラテンガラス24を横切るように延びる支持部材74に支持させることで、原稿搬送ユニット20からの荷重を支持部材74、及びヒンジ部材72で支えることができ、従来のように枠状のフレーム部材を備える構造と比較すると、原稿搬送装置12の重量を軽くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報が記録された原稿を搬送する原稿搬送装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス板の上方の原稿読取位置に原稿を搬送する原稿搬送ユニットを備えた原稿搬送装置が記載されている。
【0003】
この原稿搬送装置は、原稿搬送ユニットと、原稿搬送ユニットが取り付けられる枠状のフレーム部材と、この枠状のフレーム部材を本体に対して開閉可能に支持するヒンジ部材を備えており、ガラス板に載せられた原稿を押圧する原稿押圧部材と共に開閉される。
【0004】
詳細には、原稿搬送ユニットのヒンジ部材側は、フレーム部材にバネ部材を介して取り付けられており、上下動可能となっている。
【0005】
つまり、このバネ部材が伸縮することで、原稿搬送ユニットのヒンジ部材側を上下動させて上下方向の製造バラツキ等を吸収し、原稿搬送ユニットのガラス板上への接地性を良好なものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−242561公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この原稿搬送装置では、原稿搬送ユニットを上下動可能に支持するため、枠状のフレーム部材が必要であったため、原稿搬送装置の重量は重くなっていた。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して、原稿搬送装置の重量を軽くすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る原稿搬送装置は、ガラス板に載せられた原稿を押圧する原稿押圧部材と、前記原稿押圧部材を前記ガラス板に対して開閉可能に支持するヒンジ部材と、前記ヒンジ部材の開閉動作に伴って回転移動し、前記ガラス板を横切るように延び、前記原稿押圧部材と共に開閉する支持部材と、前記支持部材に取り付けられ、前記原稿押圧部材の閉止状態で上下動可能に前記支持部材に支持されると共に、前記ガラス板の上方の原稿読取位置に原稿を搬送する原稿搬送ユニットと、前記支持部材に対して上下動可能に支持されると共に、前記支持部材に沿って延び、原稿読取位置に搬送された原稿をガイドするガイド部材と、前記原稿搬送ユニットに設けられ、前記原稿押圧部材の閉止状態で、前記ガラス板と当る脚部と、を備え、前記支持部材の長手方向から見て、前記原稿読取位置と一対の前記脚部と前記ガイド部材とが、上下方向に並ぶと共に、前記長手方向に対して交差する方向から見て、前記原稿読取位置が、一対の前記脚部に挟まれることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ヒンジ部材が、ガラス板に載せられた原稿を押圧する原稿押圧部材を開閉可能に支持している。
【0011】
さらに、ガラス板を横切るように延び、原稿押圧部材と共に開閉する支持部材が、設けられている。また、この支持部材には、ガラス板の上方の原稿読取位置に原稿を搬送する原稿搬送ユニットが、原稿押圧部材の閉止状態で上下動可能に支持されている。
【0012】
さらに、弾性部材が、支持部材と原稿搬送ユニットの間に設けられ、伸縮するようになっている。
【0013】
原稿押圧部材の閉止状態で、ガラス板上に原稿搬送ユニットが接地するが、支持部材に取り付けられた弾性部材が伸縮することで、上下方向の製造バラツキ等を弾性部材の伸縮で吸収することができ、原稿搬送ユニットのガラス板上への接地性を良好なものとしている。
【0014】
また、前述したように、原稿搬送ユニットを、ガラス板を横切るように延びる支持部材に支持させることで、原稿搬送ユニットからの荷重を支持部材、及びヒンジ部材で支えることができ、従来のように枠状のフレーム部材を備える構造と比較すると、原稿搬送装置の重量を軽くすることができる。
【0015】
さらに、原稿搬送ユニットには、ガラス板と当る脚部が設けられ、支持部材の長手方向から見て、原稿読取位置と脚部とガイド部材とが、上下方向に並んでいる。
【0016】
このように配置することで、原稿読取位置のガラス板からの距離を安定させることができる。
【0017】
本発明の請求項2に係る原稿搬送装置は、請求項1に記載において、前記支持部材から軸部材が立設され、前記原稿搬送ユニットには、前記軸部材が挿通する挿通口を備えた保持部材が設けられ、前記原稿搬送ユニットは、前記挿通口を前記軸部材から抜き差しすることで、前記支持部材に脱着されることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、原稿搬送ユニットは、保持部材の挿通口を軸部材から抜き差しすることで、支持部材に脱着される。このように、原稿搬送ユニットを脱着可能とすることで、原稿搬送ユニットのメンテナンス性を向上させることができる。
【0019】
本発明の請求項3に係る原稿搬送装置は、請求項2に記載において、前記支持部材は、断面が底壁と前記底壁の両側から立ち上がる側壁とを備えた板部材であることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、板部材で形成された支持部材の断面を底壁とこの底壁の両側から立ち上がる側壁を備えた形状とすることで、上下に延びる軸部材の少なくとも一部を側壁の間に配置することができる。
【0021】
本発明の請求項4に係る原稿搬送装置は、請求項3に記載において、前記支持部材は、断面が底壁と前記底壁の両側から立ち上がる側壁とを備えた板部材であることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、支持部材の底壁には、軸部材の端部が固定され、軸部材が挿通する挿通口を備えた前記保持部材は、側壁より上方向に配置されている。このため、保持部材の大きさに影響されることなく支持部材の断面寸法を決めることができる。
【0023】
本発明の請求項5に係る原稿搬送装置は、請求項3又は4に記載において、前記原稿搬送ユニットには、電力を供給する配線が設けられ、前記配線は、前記支持部材に沿って配置されることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、原稿搬送ユニットには、電力を供給する配線が設けられている。
【0025】
そして、支持部材の内面に沿って配線を配置することで、支持部材が配線をガイドすることができる。
【0026】
本発明の請求項6に係る原稿搬送装置は、請求項1〜5何れか1項に記載において、前記原稿押圧部材、前記ヒンジ部材、及び前記支持部材は重ねられ、1点で共締めされることを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、原稿押圧部材、ヒンジ部材、及び支持部材は重ねられ、1点で共締めされているため、2点以上で固定する場合と比較すると、原稿搬送装置の重量を軽くすることができる。
【0028】
本発明の請求項7に係る原稿搬送装置は、請求項1〜6何れか1項に記載において、前記支持部材は、導電性の金属材料で形成されることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、支持部材は、導電性の金属材料で形成されているため、支持部材をアース部材として使用することができる。
【0030】
本発明の請求項8に係る原稿搬送装置は、請求項1〜7何れか1項に記載において、前記原稿搬送ユニットには、前記原稿読取位置へ搬送された原稿をガイドするガイド部材が設けられ、前記ガイド部材は、前記支持部材にコイルバネ部材によって取り付けられ、前記支持部材には、前記コイルバネ部材の内側を挿通する突起部が設けられることを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、原稿搬送ユニットには、原稿読取位置へ搬送された原稿をガイドするガイド部材が設けられ、ガイド部材は、支持部材にコイルバネ部材によって取り付けられている。
【0032】
さらに、支持部材には、コイルバネ部材の内側を挿通する突起部が設けられており、この突起部がコイルバネ部材の位置を規制している。
【0033】
本発明の請求項9に係る画像形成装置は、請求項1〜8何れか1項に記載された原稿搬送装置と、前記原稿搬送装置によって搬送された原稿を読み取る画像読取装置と、を備えることを特徴とする。
【0034】
上記構成によれば、画像形成装置は、請求項1〜8何れか1項に記載された原稿搬送装置と、原稿搬送装置によって搬送された原稿を読み取る画像読取装置を備えている。
【0035】
このため、原稿読取位置のガラス板からの距離が安定し、出力画像の品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、原稿搬送装置の重量を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を示し、案内板、及びカバー部材を取り外した状態の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を示し、カバー部材を取り外した状態の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を示し、カバー部材を取り外した状態の側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を示し、原稿搬送ユニットを取り外した状態の平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置に設けられた原稿搬送ユニットを示した平面図である。
【図6】(A)(B)(C)本発明の実施形態に係る原稿搬送装置に設けられた支持部材等を示した断面図である。
【図7】(A)本発明の実施形態に係る原稿搬送装置、及び画像形成装置の一部を示した平面図である。(B)本発明の実施形態に係る原稿搬送装置、及び画像形成装置の一部を示した正面図である。
【図8】(A)(B)本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を備える画像形成装置を示した斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を備える画像形成装置を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態に係る原稿搬送装置12が採用された画像形成装置100について図1〜図9に従って説明する。
【0039】
図9に示されるように、画像形成装置100の筐体102内の下部には、給紙カセット18が配置されており、給紙カセット18には、画像形成装置100の画像形成部111に供給されるシート材Pが積載されている。
【0040】
さらに、給紙カセット18には、シート材Pが載るボトムプレート16が設けられており、画像形成部111にシート材Pを給紙する際には、ボトムプレート16は、昇降手段(図示省略)によって、上方に移動するようになっている。そして、ボトムプレート16に載せられた最上部のシート材Pをピックアップロール132に押し当てる構成となっている。さらに、給紙カセット18を筐体102から引き出すとボトムプレート16は、昇降手段によって、下方へ移動し、シート材Pを給紙カセット18に収納することができる構成となっている。
【0041】
また、画像形成部111へシート材Pを送り出す時は、シート材Pは、ピックアップロール132によって順次取り出され、さらに、回転駆動する給紙ロール122と分離ロール22によって、一枚ずつ搬送されるようになっている。
【0042】
また、筐体102内の所定位置には、搬送ロール106が配置されており、シート材Pを搬送する搬送経路108を構成している。また、搬送経路108の両側に配置されたガイド部材128はシート材Pを搬送経路108に沿って案内するようになっている。なお、以下において、単に「上流」、「下流」というときは、シート材Pの搬送方向の上流及び下流をそれぞれ意味するものとする。
【0043】
搬送経路108の途中には、感光体ドラム110がシート材Pに接触するように配置されており、シート材Pに接触しつつ回転するようになっている。感光体ドラム110の表面は、図示しない帯電装置で帯電された後、露光装置112によって画像情報に応じたレーザービームが照射されて静電潜像が形成される。そしてこの静電潜像に対し現像装置114からトナーが供給され、静電潜像はトナー像として可視化される。
【0044】
画像形成部111は、感光体ドラム110と転写ロール130とで構成されており、感光体ドラム110は、転写ロール130との間でシート材Pを挟持して、シート材Pに密着する。これにより、感光体ドラム110上のトナー像がシート材Pに転写され、シート材Pに画像が形成される。
【0045】
さらに、感光体ドラム110の下流側には、定着装置116が配置されている。この定着装置116は、内部にヒータを備えた加熱ロール116Hと、加熱ロール116Hに圧接される加圧ロール116Nとを備えている。そして、これら2つのロールでシート材Pを挟持搬送することでシート材Pを加熱し、シート材Pのトナー像をシート材Pに定着させるようになっている。
【0046】
そして、定着装置116の下流側には、排出ロール118が配置されており、トナー像が定着されたシート材Pは、排出ロール118によって筐体102の上方に設けられた排出トレイ126へ排出される構成となっている。
【0047】
また、排出トレイ126の上方には、原稿シート材Pの画像情報を読み取る画像読取装置10が設けられており、画像読取装置10は、原稿シート材Pが載せられるガラス板としてのプラテンガラス24を備えている。
【0048】
さらに、プラテンガラス24が嵌め込まれた画像読取装置本体10Aには、プラテンガラス24に載せられた原稿シート材Pの画像情報と、後述する原稿搬送ユニット20によって原稿読取位置Rに搬送された原稿シート材Pの画像情報を読み取る読取ユニット14が設けられている。
【0049】
また、このプラテンガラス24の上側には、開閉可能にプラテンガラス24を覆うと共に、原稿読取位置Rへ原稿を搬送する原稿搬送ユニット20を備えた原稿搬送装置12が設けられている。なお、画像読取装置10及び原稿搬送装置12については詳細を後述する。
【0050】
上記構成による画像形成装置100では、次のようにして画像が形成される。
【0051】
まず、電圧が印加された図示しない帯電器は、感光体ドラム110の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。
【0052】
続いて、画像読取装置10によって読み取られた画像情報に基づいて露光装置112が帯電された感光体ドラム110の上に静電潜像を形成する。
【0053】
すなわち、図示しない制御装置から供給される画像情報に基づき、露光装置112が発光するレーザービームをオン・オフすることによって画像情報に対応した静電潜像が感光体ドラム110上に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置114から供給されるトナーによってトナー像として可視化される。
【0054】
そこで、給紙カセット18に収納されたシート材Pが、ピックアップロール132によって順次取り出され、回転駆動する給紙ロール122と分離ロール22によって、一枚ずつ搬送経路108に送り出される。さらに、シート材Pは、搬送ロール106によって挟持搬送されて感光体ドラム110と転写ロール130の間の画像形成部111を通り、トナー像がシート材Pに転写される。この転写されたトナー像は、定着装置116に備えられた加熱ロール116Hと加圧ロール116Nの間を通過することでシート材Pに定着され,排出ロール118によって排出トレイ126に排出される。
【0055】
次に、画像読取装置10及び原稿搬送装置12について詳細に説明する。
【0056】
先ず、画像読取装置10について説明する。プラテンガラス24の下側には、原稿シート材Pの画像情報をプラテンガラス24の下面から読み取る読取ユニット14が設けられている。シート材幅方向(図9紙面垂直方向)に延びる直方体状の読取ユニット14の筐体15の内部には、原稿シート材Pの画像面に防塵ガラス(図示省略)を通して光を当てる光源30が設けられ、また、原稿シート材Pから反射された反射光を所定の位置へ反射させる平面ミラー32、34が設けられている。
【0057】
さらに、平面ミラー32,34で反射された光を光電変換素子38に結像させる結像レンズ28が設けられており、光電変換素子38が結像された光を電気信号に変換し、読取回路基板56を介して露光装置112へ画像情報を送るようになっている。
【0058】
また、この読取ユニット14をプラテンガラス24に沿ってシート材長手方向(図9左右方向)に移動させるための回転駆動ローラ66が設けられ、さらに、この回転駆動ローラ66が走行する平板状のレール68が配置されている。なお、レール68及び回転駆動ローラ66は、読取ユニット14の両端部に設けられている。
【0059】
この構成により、プラテンガラス24上の原稿シート材Pの画像情報を読取ユニット14がシート材長手方向へ移動しながら読み取るようになっている。
【0060】
また、原稿搬送装置12によって原稿読取位置Rへ送られる原稿シート材Pの画像情報を読み取る場合は、回転駆動ローラ66を駆動させて読取ユニット14が読取位置(図9の実線位置)へ移動するようになっている。
【0061】
一方、図7(A)(B)、図8(A)(B)に示されるように、原稿搬送装置12は、プラテンガラス24に載せられた原稿シート材Pを押圧する平板状の原稿押圧部材70を備えている。
【0062】
さらに、原稿押圧部材70の端部には、2つのヒンジ部材72が取り付けられ、このヒンジ部材72は、原稿押圧部材70をプラテンガラス24に対して開閉可能に支持している。
【0063】
詳細には、図4に示されるように、ヒンジ部材72は、画像読取装置本体10Aの上面に固定されており、ヒンジ部材72に備えられた揺動部材72Aが原稿押圧部材70の一端部に取り付けられている。また、原稿押圧部材70には、コ字形状の切欠き部70Aが設けられている。
【0064】
さらに、片側のヒンジ部材72の揺動部材72Aには、プラテンガラス24(図8参照)を横切るように延びる支持部材74の一端部が固定されている。また、支持部材74の他端部は、切欠き部70Aを跨いで原稿押圧部材70の他端部に固定されている。
【0065】
なお、図4については、ヒンジ部材72に取り付けられる部材を分かりやすくするため、原稿搬送ユニット20等を省略して記載している。
【0066】
図6(A)に示されるように、支持部材74は、板金部材を折り曲げて形成され、断面が底壁74Aと底壁74Aの両側から立ち上がる側壁74Bとを備えている。そして、支持部材74の下面に接するようにヒンジ部材72の揺動部材72Aが配置されている。
【0067】
また、原稿押圧部材70には、凹状の凹部70Bが設けられ、揺動部材72Aは、この凹部70Bに嵌め込まれるように配置されている。
【0068】
このように、原稿押圧部材70、揺動部材72A、及び支持部材74を重ねて配置し、支持部材74にネジ穴を設け締結する方法がよいが、ボルト76とナット78でこの3部品を共締めし、固定してもよい構成となっている。
【0069】
一方、図2、図5に示されるように、原稿読取位置R(図9参照)へ原稿シート材Pを搬送する原稿搬送ユニット20には、原稿シート材Pを、一枚ずつ搬送する分離ロール48と原稿シート材Pを搬送経路152(図9参照)に沿って搬送する搬送ロール82が設けられている。また、搬送される原稿シート材Pを案内する板状の案内板84が、搬送ロール82を囲むように設けられ、さらに、分離ロール48を囲むように、板状のリタードシュート80が設けられている。
【0070】
また、案内板84及びリタードシュート80のシート材幅方向(図5紙面上下方向)両端部には、案内板84及びリタードシュート80を支持する樹脂フレーム86が設けられ、ヒンジ部材72側(図5上側)に配置される樹脂フレーム86には、支持部材74に上下動可能に支持される板状の板金フレーム88が設けられている。
【0071】
この板金フレーム88には、搬送ロール82等を駆動させるドライブ部品90が固定され、このドライブ部品90を制御する制御部材92が、樹脂フレーム86に取り付けられている。
【0072】
さらに、板金フレーム88は、L字状に折り曲げられ(図3参照)、上下方向を向いた折曲面88Aを備えており、この折曲面88Aには、挿通口としての円孔88Bが形成されている。
【0073】
一方、図3、図6(B)に示されるように、支持部材74の底壁74Aには、上下に延びる円柱状の軸部材94が設けられ、この軸部材94が板金フレーム88に設けられた円孔88Bを挿通している。
【0074】
また、板金フレーム88の折曲面88Aと支持部材74の底壁74Aとの間には、伸縮する弾性部材としてのコイルバネ96が軸部材94に支持されて設けられている。
【0075】
このコイルバネ96が、板金フレーム88の折曲面88Aを上方向に付勢することで、折曲面88Aは、側壁74Bより上側に配置される。
【0076】
原稿押圧部材70の閉止状態で、プラテンガラス24に後述する脚部146が接地するが、支持部材74に取り付けられたコイルバネ96が伸縮することで、上下方向の製造バラツキ等をコイルバネ96の伸縮で吸収することができ、原稿搬送ユニット20のプラテンガラス24への接地性を良好なものとしている。
【0077】
さらに、軸部材94の上部には、板金フレーム88が軸部材94から抜けるのを防止するリング部材98が設けられている。なお、このリング部材98は、軸部材94に対して脱着可能とされており、リング部材98を軸部材94から取り外すことで、原稿搬送ユニット20を軸部材94から取り外すことができるようになっている。
【0078】
また、図9に示されるように、支持部材74の下方には、原稿読取位置Rへ搬送された原稿シート材Pをガイドするガイド部材120が、シート材幅方向に延びて設けられている。
【0079】
詳細には、図6(C)に示されるように、ガイド部材120の断面形状は、台形形状を逆さにした形状とされてり、ガイド部材120は、上下に伸縮するバネ部材104によって、支持部材74の底壁74Aの下側に取り付けられている。
【0080】
また、支持部材74の底壁74Aの下側には、円柱状の突起部60が設けられ、この突起部60は、バネ部材104を挿通してバネ部材104の倒れを防止している。
【0081】
なお、ガイド部材120を支持するバネ部材104及び突起部60は、シート材幅方向に渡って複数個設けられている。
【0082】
さらに、図3に示されるように、原稿押圧部材70の閉止状態で、プラテンガラス24と当る脚部146が、樹脂フレーム86と一体的に設けられ、図6(C)に示されるように、支持部材74の長手方向から見て、支持部材74と原稿読取位置Rと脚部146は、上下方向に並ぶように配置されている。
【0083】
また、図1に示されるように、原稿搬送ユニット20には、電力が供給されて可動する検出センサ140が複数個設けられている。
【0084】
そして、この検出センサ140に電力を供給する配線58が支持部材74の内面に沿って配置されている。なお、図1については、検出センサ140及び配線58を容易に理解できるように、案内板84を省略して記載している。
【0085】
さらに、図9に示されるように、支持部材74には、搬送ロール82に接する除電ブラシ144が取り付けられている。また、支持部材74は、ヒンジ部材72を介して本体フレーム(図示省略)に接地されている。
【0086】
つまり、この構成により、除電ブラシ144、及び支持部材74は、搬送ロール82に帯電した静電気を除電するようになっている。
【0087】
また、原稿搬送装置12には、原稿搬送ユニット20を覆うカバー部材150が設けられ、さらに、原稿押圧部材70の上部に設けられた原稿トレイ42と、原稿トレイ42に載せられた原稿シート材Pを順次送り出すピックアップロール44と、ピックアップロール44によって順次取り出された原稿シート材Pを、前述した分離ロール48と共に搬送する給紙ロール46が設けられている。
【0088】
また、搬送経路152の下流には、搬送された原稿シート材Pを原稿押圧部材70の上面に排出する排出ロール54が設けられている。
【0089】
次に、原稿搬送ユニット20によって原稿読取位置Rへ送られる原稿シート材Pの画像情報を読み取とる読取動作について説明する。
【0090】
先ず、図8(A)に示すように原稿押圧部材70を閉じて、原稿トレイ42に原稿シート材Pを載せる。この原稿シート材Pは、ピックアップロール44(図9参照)の手前に設けられたセンサ(図示省略)で検出され、原稿搬送ユニット20へ原稿シート材Pがセットされたことを制御部へ送信する。そして、図示しないスタートボタンを押すと、図9に示されるように、読取ユニット14が原稿読取位置Rの下方へ移動した後、原稿シート材Pは、原稿読取位置Rへ搬送される。
【0091】
詳細には、原稿トレイ42を図示せぬ昇降手段によって持ち上げて、載せられた最上部の原稿シート材Pをピックアップロール44に押し当てる。そして、原稿シート材Pをピックアップロール44によって順次取り出し、さらに、回転駆動する給紙ロール46と分離ロール48によって、一枚ずつ搬送経路152に送り出す。送り出された原稿シート材Pは、原稿搬送ユニット20に設けられた搬送ロール82、及びガイド部材120によって原稿読取位置Rへ搬送される。
【0092】
そして、図示しないセンサで搬送されて来た原稿シート材Pの先端を検知したとき、読取ユニット14の光源30から光を原稿面に当て、下方に反射した反射光を平面ミラー32で平面ミラー34に向って折り返し、平面ミラー34は、反射光を平面ミラー34に対して対向配置される光電変換素子38に向けて反射する。この反射光は、平面ミラー34と光電変換素子38との光路中に設けられた結像レンズ28を通って光電変換素子38で結像し、光電変換素子38は結像した光を電気信号に変換して読み取る。
【0093】
そして、原稿シート材Pは、排出ロール54によって、原稿押圧部材70の上面に排出されるようになっている。
【0094】
前述したように、図6(C)に示されるように、原稿搬送ユニット20に設けられたプラテンガラス24と当る脚部146と、支持部材74と、原稿読取位置Rは、上下に並ぶように配置されているため、原稿読取位置Rのプラテンガラス24からの距離を安定させることができ、これにより、市出力画像の品質を向上させることができる。
【0095】
また、図1に示されるように、原稿搬送ユニット20を、ヒンジ部材72に固定され、プラテンガラス24を横切るように延びる支持部材74に支持させることで、原稿搬送ユニット20からの荷重を支持部材74、及びヒンジ部材72で支えることができ、従来のように枠状のフレーム部材を備える構造と比較すると、原稿搬送装置12の重量を軽くすることができる。
【0096】
また、図3に示されるように、原稿搬送ユニット20は、リング部材98を軸部材94から取り外すことで、軸部材94から取り外すことができるため、原稿搬送ユニット20のメンテナンス性を向上することができる。
【0097】
また、図6(B)に示されるように,軸部材94が挿通する板金フレーム88は、支持部材74より上側に配置されるため、板金フレーム88の大きさに影響さえることなく支持部材74の断面寸法を決めることができる。
【0098】
また、図1に示されるように、支持部材74に沿って配線58を配置することで、配線58をガイドすることができる。
【0099】
また、図6(A)に示されるように、原稿押圧部材70、ヒンジ部材72、及び支持部材74を重ねて配置し、ボルト76によって共締めすることで、3つの部品を1個の締結部材で固定することができ、原稿搬送装置12の重量を軽くすることができる。
【0100】
また、支持部材74は、導電性の金属材料で形成され、さらに、支持部材74には、搬送ロール82と接する除電ブラシ144が取り付けられている。このように、支持部材74をアース部材として使用することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 画像読取装置
12 原稿搬送装置
20 原稿搬送ユニット
24 プラテンガラス(ガラス板)
58 配線
60 突起部
70 原稿押圧部材
72 ヒンジ部材
74 支持部材
88 板金フレーム(保持部材)
88B 円孔(挿通口)
94 軸部材
96 コイルバネ(弾性部材)
100 画像形成装置
146 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板に載せられた原稿を押圧する原稿押圧部材と、
前記原稿押圧部材を前記ガラス板に対して開閉可能に支持するヒンジ部材と、
前記ヒンジ部材の開閉動作に伴って回転移動し、前記ガラス板を横切るように延び、前記原稿押圧部材と共に開閉する支持部材と、
前記支持部材に取り付けられ、前記原稿押圧部材の閉止状態で上下動可能に前記支持部材に支持されると共に、前記ガラス板の上方の原稿読取位置に原稿を搬送する原稿搬送ユニットと、
前記支持部材に対して上下動可能に支持されると共に、前記支持部材に沿って延び、原稿読取位置に搬送された原稿をガイドするガイド部材と、
前記原稿搬送ユニットに設けられ、前記原稿押圧部材の閉止状態で、前記ガラス板と当る脚部と、を備え、
前記支持部材の長手方向から見て、前記原稿読取位置と一対の前記脚部と前記ガイド部材とが、上下方向に並ぶと共に、前記長手方向に対して交差する方向から見て、前記原稿読取位置が、一対の前記脚部に挟まれることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材から軸部材が立設され、
前記原稿搬送ユニットには、前記軸部材が挿通する挿通口を備えた保持部材が設けられ、
前記原稿搬送ユニットは、前記挿通口を前記軸部材から抜き差しすることで、前記支持部材に脱着されることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記支持部材は、断面が底壁と前記底壁の両側から立ち上がる側壁とを備えた板部材であることを特徴とする請求項2項に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記底壁には、前記軸部材の端部が固定され、前記軸部材が挿通する前記挿通口を備えた前記保持部材は、前記側壁より上方向に配置されることを特徴とする請求項3に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記原稿搬送ユニットには、電力を供給する配線が設けられ、前記配線は、前記支持部材に沿って配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記原稿押圧部材、前記ヒンジ部材、及び前記支持部材は重ねられ、1点で共締めされることを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記支持部材は、導電性の金属材料で形成されることを特徴とする請求項1〜6何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記原稿搬送ユニットには、前記原稿読取位置へ搬送された原稿をガイドするガイド部材が設けられ、前記ガイド部材は、前記支持部材にコイルバネ部材によって取り付けられ、前記支持部材には、前記コイルバネ部材の内側を挿通する突起部が設けられることを特徴とする請求項1〜7何れか1項に記載された原稿搬送装置。
【請求項9】
請求項1〜8何れか1項に記載された原稿搬送装置と、
前記原稿搬送装置によって搬送された原稿を読み取る画像読取装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−120181(P2012−120181A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281952(P2011−281952)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2007−289746(P2007−289746)の分割
【原出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】