説明

原稿読取装置及び該装置を備えた複写装置

【課題】読取条件を設定し、スタートキーに対する入力直後に読取条件の設定ミスに気付いた場合や読取条件を正確に設定したか不安になった場合に、即座に読取条件を確認できると共に読取条件の再設定が可能な複写装置の提供。
【解決手段】複写装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取部4と、画像読取部4での読取条件の設定を受け付ける条件設定入力キーと、読取動作の開始指示を受け付ける開始指示入力キーを有すると共に読取条件を表示する操作装置2と、を備える。開始指示入力キーに対する入力操作直後の原稿読取装置における所定の操作の有無を判定し、所定の操作があった場合は、開始指示キーの入力操作を無効にすると共に、操作装置2の表示パネル22に前記条件入力設定キーによって設定されている読取条件及び当該読取条件の設定を変更可能にする操作キーを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る原稿読取装置及び該装置を備えた複写装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿読取装置(以下、読取装置という)は、テンキー等の各種キーから成る入力部と、液晶表示装置等から成る表示部と、を備え、原稿の両面を読み取るのか片面を読み取るのか等の読取条件が、上記入力部から入力され、また、読取条件は上記表示部に表示することができる。入力部には、読取動作の開始を指定するスタートキーや、読取動作の中止を指定するストップキー、読取条件を初期状態に戻すためのリセットキーが具備されている。読取装置は、読取条件が入力された後、スタートキーに対して入力操作がされると、入力された読取条件に基づいて読取動作を開始し、読取動作中にユーザによりストップキーやリセットキーが押下されると、読取動作を中止する。
【0003】
特許文献1には、読取装置を備えた複写装置として、それぞれが読取条件等を指定する複数のキーを表示する表示部を有するものが開示されている。該複写装置では、複数のキーのそれぞれが所定時間以上押されたか否かを判別し、所定時間未満押された場合は、該キーの選択を検知し、所定時間以上押された場合は、当該キーが選択設定されたと判断すると共に、それまでに設定された条件等に基づいて複写を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−101221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の読取装置では、スタートキーに対する入力操作直後に読取条件の設定ミスに気付いた場合や読取条件を正確に設定したか不安になった場合に、ストップキー/リセットキーをすぐ押下しても、即座に読取動作は中止されない。その結果、読取装置を備える複写装置では、モードによっては、既に記録紙の給紙が始まっており、実際に中止されるまでの間の記録紙やトナーが無駄となる。また、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)を用いて読み取る場合は、ストップキー/リセットキーの押下直後に読取動作が終了するわけではなく、原稿全てが排出されるまで待つ必要がある。さらに、読取条件の再設定後、排出された原稿をADFの原稿載置トレイに戻す必要がある。また、リセットキーを押下して読取動作を止めたときは、読取条件が全て初期状態になってしまうので、読取条件を全て再設定する必要があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、読取条件を設定し、スタートキーに対する入力直後に読取条件の設定ミスに気付いた場合や読取条件を正確に設定したか不安になった場合に、即座に読取条件を確認できると共に読取条件の再設定が可能な原稿読取装置及び該装置を備えた複写装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部での読取条件の設定を受け付ける条件設定入力キーと、読取動作の開始指示を受け付ける開始指示入力キーを有する入力部と、前記読取条件を表示する表示部と、を備えた原稿読取装置であって、前記開始指示入力キーに対する入力操作直後の原稿読取装置における所定の操作の有無を判定し、前記所定の操作があった場合は、前記開始指示入力キーの入力操作を無効にすると共に、前記表示部に前記条件設定入力キーによって設定されている読取条件及び当該読取条件の設定を変更可能にする操作キーを表示することを特徴としたものである。
【0008】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記所定の操作が、前記開始指示入力キーに対する入力操作が所定時間以上継続する操作であることを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記原稿読取装置が、前記画像読取部に前記原稿を搬送する自動原稿搬送装置を備え、前記所定の操作が、ユーザが前記自動原稿搬送装置の原稿台に載置された原稿を前記開始指示入力キーに対する入力操作後所定時間以内に取り除かれる操作であることを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段の読取装置を備えた複写装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の原稿読取装置によれば、読取開始のスタートキーに対する入力操作直後に読取条件の設定ミスに気付いた場合や読取条件を正確に設定したか不安になった場合に、即座に読取条件を確認できると共に読取条件を再設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態である複写装置の一例の外観図である。
【図2】本発明の一実施形態である複写装置の一例のブロック図である。
【図3】図1の複写装置の操作装置を拡大して示した平面図である。
【図4】図3の操作装置の表示パネルに表示される設定画面の一例を示す図である。
【図5】図3の操作装置の表示パネルに表示される設定画面の他の例を示す図である。
【図6】図1及び図2の複写装置が行う処理の一例を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態である複写装置の他の例のブロック図である。
【図8】図7の複写装置が行う処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図5を用いて、本発明の原稿読取装置及びその原稿読取装置を備えた複写装置を説明する。図1は、本発明の一実施形態である複写装置の一例の外観図、図2は、同複写装置のブロック図、図3は、図1の複写装置の操作装置を拡大して示した平面図である。図4及び図5はそれぞれ、図3の操作装置の表示パネルに表示される設定画面の一例を示す図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、複写装置1は、複写機能及びプリンタ機能を備える複合機であって、操作装置2と、制御部3と、画像読取部(スキャナ部)4と、画像処理部5と、画像記憶部6と、画像形成部7と、光学センサ8と、モータ用のドライバ9,10と、ドライバ9に接続されたプラテン原稿走査部駆動モータ11と、ドライバ10に接続された原稿搬送ローラ駆動モータ12とを備える。
【0015】
制御部3は、ROM(Read Only Memory)に記憶の制御プログラムに従い、各部の動作を制御し複写装置1全体を制御するもので、各種演算等を行うCPU(Central Processing Unit)やその演算等の処理のための一時的記憶手段として用いられるRAM(Radom Access Memory)等から構成され、また、通信ライン13を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器Mと接続されている。本発明の特徴に係る制御部3の長押し判定部3aについては後述する。
画像読取部4は、原稿の画像を読み取るもので、本例では、該画像読取部4に原稿を搬送するADF4aが接続されている。
画像処理部5は、画像読取部4で読み取られた画像や、画像データバス14を介して接続された外部機器から受信した画像に各種画像処理を施すものである。
【0016】
画像記憶部6は、画像処理部5により画像処理が施された画像を記憶する。
画像形成部7は、画像読取部4で読み取られ画像処理部5により画像処理が施された画像を用紙等の記録媒体上に形成する。
光学センサ部8は、ADF4aの原稿トレイ4bに原稿が有るか否かを感知する原稿有無センサ等から成る。
操作装置2は、図3に示すように、各種ハードウェアキーが配置されて成る操作パネル21と、小型のタッチパネル一体型表示装置から構成されている表示パネル22とを備え、読取条件及び画像形成条件の設定を受け付ける。操作装置2は、本発明の「入力部」及び「表示部」に相当する。
【0017】
操作パネル21には、読取条件及び画像形成条件の設定を受け付ける条件設定入力キー21aや、複写動作の開始指示を受け付ける開始指示入力キー(スタートキー)21b、複写動作の中止を指定するストップキー21c、複写条件を初期状態に戻すためのリセットキー21d等が設けられている。
表示パネル22は、例えば、図4に示すような設定画面G1を表示する。設定画面G1では、現在設定されている、「原稿」のサイズ等の読取条件、「コピーモード」や「コピー濃度」、「倍率」、「用紙」のサイズ等の画像形成条件が表示されていると共に、これら複写条件の設定を変更するための入力キーK1が表示されている。
【0018】
この複写装置1を用いる場合、ユーザは、例えば、入力キーK1を押下後、表示パネル22での表示が別画面に遷移するので、当該別画面を見ながら、操作パネル21や表示パネル22を操作することにより、上記複写条件の設定を変更できる。そして、ユーザは、設定画面G1を介した複写条件の設定が完了した後、画像形成7を用いた複写動作を開始させるために、スタートキー21bを押下する。しかし、スタートキー21bを押し下げた直後に複写条件の設定ミスに気付く場合や複写条件を正確に設定したか不安になる場合がある。このような場合に、ユーザがスタートキー21bを押し下げ始めてから引き続きスタートキー21bを所定時間押し下げ続けると、複写装置1は複写動作を開始するのではなく、スタートキー21bに対する入力操作を無効して、図5の設定画面G2のように、現在設定されている複写条件が確認可能であり変更可能な画面を表示する。
【0019】
これを可能とするために、複写装置1の制御部3は、スタートキー21が押下された際に、所定の操作すなわちスタートキー21に対する入力操作が所定時間以上継続する操作(以下、長押し操作)の有無を判定する長押し判定部3aを有する。そして、判定部3aが、長押し操作がないと判定した場合、複写装置1は、複写動作すなわち読み込み動作及び画像形成動作を開始し、長押し操作があったと判定した場合は、複写動作を開始せず、表示パネル22に設定画面G2を表示する。
したがって、ユーザは、スタートキー21bを押し下げた直後に複写条件の設定ミスに気付いた場合等に、即座に複写条件を確認できると共に複写条件を再設定できる。したがって、トナー/用紙の無駄がなくなる。
【0020】
なお、図5の設定画面G2は、図4の設定画面G1と同様に複写条件の設定を変更するための入力キーK2が表示されており、入力キーK2を押下後、表示パネル22での表示が別画面に遷移するので、当該別画面を見ながら、操作パネル21を操作することにより、上記複写条件の設定を変更できる。設定画面G2には、「再開」キーK3が表示されており、当該キーK3が操作されると、複写装置1は、複写動作を開始する。「キャンセル」キーも表示されており、当該キーK4が操作されると、ジョブをキャンセルし、表示パネル22に例えば図4の設定画面G1を表示する。
【0021】
図6は、複写装置1が行う処理の一例を説明するフローチャートである。
複写装置1は、スタートキー21bに対する入力操作を検知すると(ステップS1)、該入力操作が所定時間以上継続した操作であるか否か判定する(ステップS2)。所定時間の情報は、図示しないROM等の記憶手段に記憶されている。
所定時間以上継続した操作でない場合(NOの場合)は、長押し判定部3aが長押し操作がなかったものと判定し、複写装置1は、複写動作を開始する(ステップS3)。
一方、ステップS2において、所定時間以上継続した操作である場合(YESの場合)、長押し判定部3aが長押し操作があったものと判定し、複写装置1は、スタートキー21bに対する入力操作を無効して、設定画面G2を表示パネル22に表示する(ステップS4)。
【0022】
図7は、本発明の一実施形態である複写装置の他の例のブロック図である。なお、本例の複写装置の構成部のうち、図2の複写装置1と同様な部分については、同じ参照符号を付すことによりその説明を省略する。
図7の複写装置1´は、複写装置1とは異なり、制御部3´が、スタートキー21が押下された際に、その後、所定時間内に、原稿台4bに載せられていた原稿を取り除く操作(以下、取り除き操作という)がなされたか否かを判定する取り除き判定部3a´を有する。そして、取り除き判定部3aが、取り除き操作がなされていないと判定した場合、複写装置1´は、複写動作を開始し、取り除き操作がなされたと判定した場合は、複写動作を開始せず、表示パネル22に設定画面G2を表示する。
したがって、複写装置1´においても、ユーザが、スタートキー21bを押下直後に複写条件の設定ミスに気付いた場合等に、即座に複写条件を確認できると共に複写条件を再設定できる。
【0023】
図8は、複写装置1´が行う処理の一例を説明するフローチャートである。
複写装置1は、スタートキー21bの押下を検知すると(ステップS11)、光学センサ8からの出力基づいて、原稿台4bから原稿が取り除かれたか否か判定する(ステップS12)。
取り除かれていない場合(NOの場合)は、スタートキー21bの押下開始から所定時間経過したか否かを判定する(ステップS13)。
所定時間経過していない場合(NOの場合)、ステップS12へ処理を戻すが、経過していた場合(YESの場合)、取り除き判定部3aが取り除き操作がなされなかったと判定し、複写装置1´は、複写動作を開始する(ステップS14)。
一方、ステップS12において、原稿が取り除かれたと判定した場合(YESの場合)、取り除き判定部3aが取り除き操作がなされたと判定し、複写装置1´は、設定画面G2を表示パネル22に表示する(ステップS15)。
【0024】
上述のように、本発明の複写装置(読取装置)は、スタートキー21bが押下された際に、スタートキー21bを所定時間以上押下する操作や、ユーザがADF4aの原稿台4bに載置された原稿をスタートキー21bの操作後所定時間以内に取り除く操作等の所定の操作がなされたか否か判定し、所定の操作がなされていないと判定された場合は、読取動作等の複写動作を開始し、所定の操作がなされたと判定された場合は、複写動作を開始せず、表示パネル22に設定画面G2を表示する。
また、上記所定の操作は、スタートキー21bと別のハードウェアキーとを同時に押下する操作であってもよいし、スタートキー21bとソフトウェアキーが表示された表示パネル22(タッチパネル)とを同時に押下する操作であってもよい。
なお、複写動作の開始指示を受け付ける開始指示入力キーは、スタートキー21bのようなハードウェアキーに限らず、表示パネル22に表示するソフトウェアキーであってもよい。
【符号の説明】
【0025】
1,1´…複写装置、2…操作装置、3,3´…制御部、3a…長押し判定部、3a´…取り除き判定部、4…画像読取部、4a…ADF、7…画像形成部、8…光学センサ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部での読取条件の設定を受け付ける条件設定入力キーと、読取動作の開始指示を受け付ける開始指示入力キーを有する入力部と、
前記読取条件を表示する表示部と、を備えた原稿読取装置であって、
前記開始指示入力キーに対する入力操作直後の原稿読取装置における所定の操作の有無を判定し、前記所定の操作があった場合は、前記開始指示入力キーの入力操作を無効にすると共に、前記表示部に前記条件設定入力キーによって設定されている読取条件及び当該読取条件の設定を変更可能にする操作キーを表示することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記所定の操作は、前記開始指示入力キーに対する入力操作が所定時間以上継続する操作であることを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記原稿読取装置が、前記画像読取部に前記原稿を搬送する自動原稿搬送装置を備え、
前記所定の操作は、ユーザが前記自動原稿搬送装置の原稿台に載置された原稿を前記開始指示入力キーに対する入力操作後所定時間以内に取り除かれる操作であることを特徴とする請求項1または2に記載の読取装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の読取装置を備えた複写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163804(P2012−163804A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24754(P2011−24754)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】