原薬の急速冷凍システム
【課題】 複数の冷凍保存用のバッグに収納された原薬を一度にまとめて、略均一の状態で急速冷凍できる原薬の急速冷凍システムを提供する。
【解決手段】 本発明の原薬の急速冷凍システムは、冷凍庫(10)と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置(50)と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室(11)と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブース(15)と、を有し、原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、差圧ブースは、原薬収納・移動装置が出入りできる開口(61)を備える筐体部(60)を有し、筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室(65)と、開口から遠いエリアに位置するリア室(67)と、を有し、フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファン(69)が設置されているように構成される。
【解決手段】 本発明の原薬の急速冷凍システムは、冷凍庫(10)と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置(50)と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室(11)と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブース(15)と、を有し、原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、差圧ブースは、原薬収納・移動装置が出入りできる開口(61)を備える筐体部(60)を有し、筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室(65)と、開口から遠いエリアに位置するリア室(67)と、を有し、フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファン(69)が設置されているように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品原液の急速冷凍システムに関し、さらに詳しくは、冷凍保存用のバッグに収納された液状物の原薬を急速冷凍するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気の診断、治療、予防のために使用される医薬品は、一般的に以下の製造工程を経て製造される。
【0003】
まず、出発材料である所定の化学物質を、例えば、反応工程、精製工程、乾燥工程、粉砕工程、製薬用水の添加工程などの各種処理工程を含む加工処理操作を経て、いわゆる薬の有効成分の原材料である医薬品原薬(以下、単に原薬と称す)がつくられる。次いで、この原薬を主原料として、製剤工程、包装工程などを含む製剤化処理操作を経て最終的に医薬品がつくられる。
【0004】
原薬の形態としては、例えば、粉末形態のものや液状物の形態のものが存在する。これらの中で、特に、液状物の原薬については、安定性確保の為、凍結保存が必要である。また、液体であるために可撓性の樹脂バッグへの収納した場合には、取り扱い性が十分とは言えない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−195443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、薬の有効成分の原材料である液状物の原薬を冷凍させることが多い。原薬を急速に冷凍させる具体的なシステムそのものは、現時点で存在しないと言える。液状物の形態の原薬にあっては、冷凍保存用のバッグに収納したまま冷凍することができれば長期の保存が可能となり、しかも取り扱いも簡便となると考えられる。ただし、200ml〜400ml程度の小さい冷凍保存用のバッグに小分けして冷凍保存した場合には、原薬の管理および取り扱いが煩雑になる。また、昨今の開発により原薬量が増えてきている背景もあり、大容量の凍結保存が必要になってきている。そのため、少なくとも10リットル以上の冷凍保存用のバッグに分けして冷凍保存することが好ましいと考えられる。
【0007】
このような着想のもとに本発明は創案されたものであって、本発明は、複数の冷凍保存用のバッグに収納された原薬を一度にまとめて、略均一の状態で急速冷凍できる原薬急速冷凍システムを提供することにある。また、医薬品の主原料となる原薬ゆえに、その取り扱いには十分に注意を要するものであり、バッグを破損させることなく急速冷凍でき、庫内の結露、霜付きをできるだけ防止でき、冷凍後は冷凍保管庫としての使用もでき、急速冷凍運転中は、および終了後の保管運転中のデフロストが不要となるシステムが要望される。さらに、ランニングコストが安いことや、庫内温度の温度制御に優れることも要望される。
【0008】
ちなみに、断熱された凍結庫内で気化する液体窒素を、原薬バッグに直接スプレーして凍結させる、いわゆる低温液化ガス(液体窒素)方式では、例えば、1)バッグの一部破損が生じる、2)庫内温度の制御精度が悪い、3)ランニングコストが高い、4)液体窒素タンク設備が必要となる、5)構造上の完全な結露防止が困難、などの不都合が生じ得ることが確認されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象とする原薬の急速冷凍システムであって、当該急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されているように構成される。
【0010】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記フロント室とリア室との間には、原薬収納・移動装置内に多段に配置されたバッグ内の原薬に冷風を効率よく接触させるための、仕切り板が存在するように構成される。
【0011】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記差圧ファンにて冷凍室内の冷気を強制的に循環させるように構成される。
【0012】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記冷凍室に入室するに至るまでに、冷凍庫内の結露、霜付き防止のために、常温よりも低温の温度Tpに設定されたパスルーム、およびパスルームの温度Tpよりも低温であり、冷凍庫内の温度よりも高い温度Tfの前室を設け、パスルームおよび前室を順次経て冷凍室に入室するように構成される。
【0013】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記温度Tpが2〜8℃の範囲であり、前記温度Tfが−15〜−5℃の範囲であるように構成される。
【0014】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、冷凍保存用バッグに収納される冷凍の対象である原薬は10リットル以上であるように構成される。
【0015】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記トレイは、長方形の底部と、その底部の周辺から立設された一対の対向する第1側面部と、一対の対向する第2側面部とを有し、前記第1側面部は、前記差圧ブースの開口の幅方向に位置するように配置される面に相当し、当該第1側面部には、冷風を効率よく接触でき凍結時間を減少できるように、通風用の複数の穴が配列形成されているように構成される。
【0016】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記第1側面部の高さをH1とし、トレイに収納される冷凍保存用バッグの最大高さをHGとした場合、H1=(0.7〜0.95)HGの範囲であるように構成される。
【0017】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記第1側面部の面積に対して、第1側面部に形成された通風用の複数の穴の総面積が占める割合は、40〜60%であるように構成される。
【0018】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記多段収納されるトレイの配置間隔Tpと、トレイの第1側面部の高さをH1との関係は、Tp=(1.3〜2.5)H1であるように構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象とする原薬の急速冷凍システムであって、当該急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されているように構成されるので、複数の冷凍保存用のバッグに収納された原薬を一度にまとめて、略均一の状態で急速冷凍できる。
【0020】
本発明においては、特に、バッグを破損させることなく急速冷凍でき、庫内の結露、霜付きをできるだけ防止でき、冷凍後は冷凍保管庫としての使用もできる。急速冷凍運転中は、および終了後の保管運転中のデフロストは不要とすることができる。さらにランニングコストが安く、庫内温度の温度制御に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、原薬の急速冷凍システムの平面図であって、特に、冷凍庫内部の差圧ブース等の配置、冷凍庫に併設されている前室およびパスルームの配置を概略的に示した図面である。
【図2】図2は、図1のA−A断面矢視図面であって、特に差圧ブース内の構造および原薬収納・移動装置が収納された状態、並びに冷気の循環状態を模式的に示した図面である。
【図3】図3は、原薬収納・移動装置にトレイが多段に収納された状況を示す斜視図である。
【図4】図4は、冷凍保存用バッグに収納された原薬を収納載置するためのトレイの構造を概略的に示す斜視図である。
【図5】図5(A)は、原薬が収納された冷凍保存用バッグの一例を模式的に示した平面図であり、図5(B)は、図5(A)のα−α矢視端面を模式的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の原薬の急速冷凍システムについて、図1〜図4を参照しつつ説明する。図1は、本発明の原薬の急速冷凍システムの平面図であり、図2は、図1のA−A断面矢視図面である。
【0023】
本発明の原薬の急速冷凍システムは、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象としており、従来、このような原液の冷凍に関する技術の提案はなされていない。本発明における原薬は10リットル以上の単位、特に12.5〜20リットルの単位で冷凍保存用バッグに充填されていることが望ましい。従来技術の欄で述べたように原薬の管理および取り扱いが煩雑になるのを防止するためである。
【0024】
図5(A)には原薬1が収納された冷凍保存用バッグ80の一例の平面図が示され、図5(B)に、図5(A)のα−α矢視端面図面が示される。冷凍保存用バッグ80は、例えば、ポリエチレン等の樹脂シート材料を2枚重ねてその周辺を接着して構成される袋体であって、本発明における好適な有効容量は20リットル程度、厚さは0.25mm程度、耐熱温度はー80〜60℃程度、バッグ平面寸法は、(600〜800)mm×(450〜550)mm程度とされる。
【0025】
なお、図5(A)に示される符号81は、袋体内部に連通するように設けられたチューブであり、符号82はチューブの先端に取り付けられたキャップである。冷凍保存用バッグ80は、1回の使用で廃棄されるディスポーザル使用とされる。また、原液が冷凍完了されたとみなす温度は、原薬が−20℃に到達した温度とし、この温度までの到達時間をできるだけ短い時間(例えば3時間以内)で行うことが望まれる。
【0026】
本発明の急速冷凍システムは、図1に示されるように冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍させるための冷凍庫10と、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍庫内に搬入・搬出させるための原薬収納・移動装置50と、を有している。
【0027】
図1に示される実施形態では、2室の冷凍庫10が、それぞれ、仕切り板19を中心にして鏡像関係に配置されている例が記載されているが、必ずしもこのような形態に限定されものではない。冷凍庫の設置数も2室に限定されることなく、1室、あるいは3室以上存在するようにしてもよい。
【0028】
図1に示される本実施の形態の場合、各冷凍庫10は、冷凍室11と、図示していない冷凍装置(室外機および室内機を有する)と、冷凍室11内に配置された差圧ブース15と、を有して構成される。
【0029】
<冷凍室11の説明>
冷凍室11は、原薬を冷凍させるための空間であって、冷凍保存用バッグに収納された原薬を出来るだけ急速にかつ、均一に冷凍することができるように、例えば、−45℃近傍の略一定温度に維持されるように構成される。特に、−45℃の温度環境下においても、±2℃の範囲での温度制御が可能となるようにすることが望ましい。冷凍室11を形成する壁パネル内には、一般に断熱材が組み込まれて構成されている。
【0030】
冷凍室11の大きさ(容積)は、特に限定されるものではなく、冷凍対象となる冷凍保存用バッグに収納された原薬の総容量や、冷凍装置の冷凍能力等を考慮しながら適宜設定される。
【0031】
<冷凍装置の説明>
冷凍装置は、電気を使用する冷凍機方式のものが好ましく、例えば、圧縮機、凝縮器等を含む室外機や、冷媒ガスを気化させる熱交換器を含む室内機を備えて構成される。冷凍装置の能力としては、原薬の急速冷凍の運転が可能であるとともに、急速冷凍運転終了後に、予め設定する温度にて、冷凍保管庫として使用可能な能力を備えることが望ましい。特に、保管温度の設定は、−20〜−45℃の間で任意に設定可能とできるようにすることが望ましい。
【0032】
<差圧ブース15の説明>
差圧ブース15は、例えば、図1に示されるように、1室の冷凍庫10内に4つ、2室の冷凍庫10内では合計8つ配置されている。そして、図1に示される実施形態では、2つの隣接する差圧ブース15が隔壁15aを隔ててペアとなり1セットを構成している形態を採択しているが(図1の全体で4セット×2=8)、特に図1に示される形態および数量等に限定されるものではない。
【0033】
差圧ブース15は、図2に示されるように、原薬収納・移動装置50が出入りできる開口61を備える筐体部60(チャンバー)を有し、筐体部60は、開口61に近いエリアに位置するフロント室65と、開口61から遠いエリアに位置するリア室67と、を有し構成されている。
【0034】
フロント室65の中には原薬収納・移動装置50が収納・設置される空間が形成されており、リア室67の中には負圧雰囲気を形成するための空間が形成されており、リア室67の上部には、筐体部60の内部空間(特に、リア室67)を負圧にするための差圧ファン69(上方へと風を送る送風機)がリア室67の内部空間と挿通状態で設置されている。
【0035】
図2に示されるように、フロント室65とリア室67とは空間的に連通した状態で繋がっているが、その境には、原薬収納・移動装置50内に多段に配置されたトレイ90内のバッグ80(中に原薬がはいっている)に冷風を効率よく接触させるための仕切り板71,72を設けることが好ましい。本実施形態における仕切り板71,72の設置形態は、多段に配置されたトレイ90内のバッグ80が存在するエリアを集中的に冷気を通過させることができるように、それ以外の箇所の空気流をできるだけ遮断する形態となっている。換言すれば、図2に示されるごとく原薬収納・移動装置50のバッグ80が存在しない、下部部分および上部部分をそれぞれ、仕切り板71,72で遮蔽するように構成されている。仕切り板71,72の存在によって、フロント室65とリア室67との境の開口面積は、差圧ブース15の入り口である開口61の開口面積よりも絞り込まれて小さくなっている。開口61の開口面積をAo、フロント室65とリア室67との境の開口面積をAbとした場合、Ab=(0.5〜0.9)Aoの範囲とすることが好ましい。
【0036】
差圧ファン69は、冷凍室10内の冷気を強制的に循環させるように作用する。すなわち、リア室67の上部に設置された例えばモータ駆動の差圧ファン69がその主軸を中心に回転すると、筐体部60のリア室67の空気が上方に巻き上げられてリア室67が負圧になる。そのため、図2に示される冷凍装置の室内機17の冷気送風口17aから吹き出された冷気は、一旦下方に沈むとともに、差圧ブース15の開口61から筐体部60のフロント室65に入り込み、リア室67を通過して上方に巻き上げられるといった一連の冷気の循環流が形成される。つまり、図2の矢印で示されるような冷気の循環流が起こる。これによって、より短時間でムラなく原薬を冷却することが可能となる。
【0037】
<原薬収納・移動装置50およびトレイ100の説明>
次いで、原薬収納・移動装置50、および当該装置50の上下方向に多段に収納されるトレイ100について説明する。なお、冷凍操作の際にトレイ100の中には、原薬が収納された冷凍保存用バッグが収納されている。図3は、原薬収納・移動装置50にトレイ100が多段に収納された状況を示す斜視図である。図4は、原薬が収納された冷凍保存用バッグを収納載置するためのトレイの構造を概略的に示す斜視図である。
【0038】
原薬収納・移動装置50は、図3に示されるように、例えば、棒材および板材を用いて組み立てられた枠体51を主な構造物として構成されており、枠体51の下部の4隅には、4個の360度回動可能な自在式のキャスター52が取り付けられており、枠体51の側部には、トレイ100を出し入れするための左右一対の案内レール55(奥域側のレールは図面では見えない)が、上下方向に所定の間隔を空けて5段分、設置されている。本実施の形態の場合、原薬収納・移動装置50の仕様として、トレイを設置できる段数が5段となっているが、必ずしもこの段数に限定されるわけではなく、冷凍の対象となっている原薬の処理量や冷凍システムの処理能力等を考慮しつつ適宜、段数を設定すればよい。好適には、4〜7段程度とすることが好ましい。このような範囲で上下方向に配置された冷凍の対象物に対して略均一の冷凍速度での冷凍がしやすい傾向があるからである。
【0039】
また、図3に示されるように、原薬収納・移動装置50の枠体51の垂直方向の主要部材となる4本の棒材51aのそれぞれの側面部には、取手58を上下方向に脱着式に取り付けることのできる上下一対の取付部材59a,59bが固着されている。取付部材59a,59bの内部には着脱用の貫通穴が形成されている。このような仕様とすることにより、例えば2本の取手58は着脱により4隅にすべて取り付け可能となり、例えば、運搬時は図3に示されるように左方の一の面が正面となるような取り付けとし、差圧ブース15のフロント室61に収納する際には、その隣の右方の他の一の面が正面となるよう取り付ければ、運搬および収納の際の操作性は格段と向上する。
【0040】
次いで、図4を参照しつつトレイ100について説明する。
トレイ100は、長方形の底部101と、その底部101の周辺から立設された一対の対向する第1側面部103と、一対の対向する第2側面部105とを有し、これにより、内部に凹状の収納部が形成される。
【0041】
第1側面部103は、冷凍操作時において、前述した差圧ブース60の開口61の幅方向に位置するように配置される面に相当する(図2の紙面奥域あるいは手前方向の面に相当する)。このような第1側面部103には、通風用の複数の穴104が配列形成されている。通風用の複数の穴104を設けることによって、冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、穴104の好適例として、円形状の穴が8個、略等間隔で形成されているが、その形状や個数、配置等に特に制限はない。冷気の通風性や、第1側面部103に穴を空けることによる面の強度低下等を考慮しつつこれらの仕様を適宜選定することができる。好適には、第1側面部の面積に対して、第1側面部103に形成された通風用の複数の穴104の総面積が占める割合は、40〜60%とすることが望ましい。冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができるようにするためである。
【0043】
また、トレイ100に収納される冷凍保存用バッグについては、図5(A)(B)に示される。トレイ100に収納される冷凍保存用バッグの最大高さHG(図5(A)参照)との関係において、第1側面部の高さをH1とした場合(図4参照)、H1=(0.7〜0.95)HGの範囲とすることが好ましい。冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができるようにするためである。
【0044】
図4に示される第2側面部105は、冷凍操作時において、前述した差圧ブース60の開口61の幅方向に対して直角に位置するように配置される面に相当する(図2の紙面に平行な面に相当する)。このような第2側面部105には、原薬収納・移動装置50への出し入れの操作が容易となるように、把持するための取手開口部106を形成しておくことが好ましい。
【0045】
なお、トレイ100を構成する材質は、重量、熱伝導率等を考慮して、アルミ製とすることが好ましい。
【0046】
また、図3に示されるように、多段収納されるトレイの配置間隔Tpと、トレイの第1側面部の高さをH1との関係は、Tp=(1.3〜2.5)H1とすることが好ましい。冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができるようにするためである。
【0047】
<冷凍室に併設される前室およびパスルームについての説明>
図1に示されるように、冷凍室11に入室するに至るまでに、冷凍庫10内の結露、霜付き防止のために、常温よりも低温の温度Tpに設定されたパスルーム120、およびパスルーム120の温度Tpよりも低温であり、冷凍庫10内の温度よりも高い温度Tfの前室140を設け、パスルーム120および前室140を順次経て冷凍室11に入室するように構成することが好ましい。
【0048】
上記パスルーム120の温度Tpは、2〜8℃の範囲とすることが望ましい。また、前室140の温度Tfは、−15〜−5℃の範囲とすることが望ましい。なお、図1における、符号121は、パスルーム120の出入り用のドアであり、当該ドアの内側には、好ましい態様としてエアーカーテンが設けられる。符号141は、前室140の出入り用ドアであり、当該ドアの内側には、好ましい態様としてエアーカーテンが設けられる。また、符号12は、冷凍室11への出入り用のドアである。
【0049】
このように冷凍室11に前室140およびパスルーム120を併設する構成を採択することにより、冷凍庫10内へ外からの湿気を極力流入させないようにすることができ、冷凍庫内での結露、霜付きを防止することができる。
【実施例】
【0050】
図1および図2に示されるような本発明の原薬の急速冷凍システムを用いて、具体的に原薬の急速冷凍テストを行った。すなわち、原液充填済みの冷凍保存用バッグが5段収納された原薬収納・移動装置を、パスルーム、前室を通って冷凍室内の差圧ブースのフロント室内に収納させた後に、急速冷凍テストを行った。システム等に係る仕様は以下の通りとした。
【0051】
(冷凍庫仕様)
・冷凍室:2室
・冷凍装置:空冷一体型インバータ制御冷凍機
・差圧ブース:4個/室
(開口61の開口面積をAo、フロント室65とリア室67との境の開口面積をAbとした場合、Ab=0.8Ao)
・設定冷凍室温度:−45℃
【0052】
(前室仕様)
・冷凍装置:空冷一体型冷凍機
・エアーカーテン設置
・前室設定温度:−10℃
【0053】
(パスルーム仕様)
・冷凍装置:空冷一体型冷凍機
・エアーカーテン設置
・パスルーム設定温度:5℃
【0054】
(冷凍保存用バッグ仕様)
・有効容量:20リットル
・材料:主材料ポリエチレン
・シート厚さ:0.25mm
・耐熱温度:−80〜60℃
・バッグ寸法:610mm×460mm
・原薬充填量:12.5リットル
・充填時のバッグ高さH G:50mm
【0055】
(トレイ仕様)
・材質:アルミ製
・第1側面部の穴形状および個数:円形形状で個数は8個
・第1側面部の面積に対して、第1側面部に形成された通風用の複数の穴の総面積が占める割合:50%
・第1側面部の高さ:H1=60mm
【0056】
(原薬収納・移動装置50の仕様)
・トレイ設置段数:5段
・トレイの配置間隔:Tp=80mm
【0057】
上記の仕様の元に、原薬の急速冷凍実験を行ったところ、5×4×2室=40個の冷凍保存用バッグ内の原液サンプルがー20℃に到達するまでの時間を測定したところ約3時間の間で完了した。また、サンプルが置かれた段の位置の違いに基づく凍結状態のムラはほとんどなく、ほぼ均一の冷凍処理がなされていることが確認できた。
【0058】
以上の実験結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明の原薬の急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されているように構成されるので、複数の冷凍保存用のバッグに収納された原薬を一度にまとめて、略均一の状態で急速冷凍できる。
【0059】
本発明においては、特に、バッグを破損させることなく急速冷凍でき、庫内の結露、霜付きをできるだけ防止でき、冷凍後は冷凍保管庫としての使用もできる。急速冷凍運転中は、および終了後の保管運転中のデフロストは不要とすることができる。さらにランニングコストが安く、庫内温度の温度制御に優れる。
【符号の説明】
【0060】
10…冷凍庫
11…冷凍室
15…差圧ブース
50…原薬収納・移動装置
60…筐体部
61…開口
65…フロント室
67…リア室
69…差圧ファン
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品原液の急速冷凍システムに関し、さらに詳しくは、冷凍保存用のバッグに収納された液状物の原薬を急速冷凍するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気の診断、治療、予防のために使用される医薬品は、一般的に以下の製造工程を経て製造される。
【0003】
まず、出発材料である所定の化学物質を、例えば、反応工程、精製工程、乾燥工程、粉砕工程、製薬用水の添加工程などの各種処理工程を含む加工処理操作を経て、いわゆる薬の有効成分の原材料である医薬品原薬(以下、単に原薬と称す)がつくられる。次いで、この原薬を主原料として、製剤工程、包装工程などを含む製剤化処理操作を経て最終的に医薬品がつくられる。
【0004】
原薬の形態としては、例えば、粉末形態のものや液状物の形態のものが存在する。これらの中で、特に、液状物の原薬については、安定性確保の為、凍結保存が必要である。また、液体であるために可撓性の樹脂バッグへの収納した場合には、取り扱い性が十分とは言えない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−195443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、薬の有効成分の原材料である液状物の原薬を冷凍させることが多い。原薬を急速に冷凍させる具体的なシステムそのものは、現時点で存在しないと言える。液状物の形態の原薬にあっては、冷凍保存用のバッグに収納したまま冷凍することができれば長期の保存が可能となり、しかも取り扱いも簡便となると考えられる。ただし、200ml〜400ml程度の小さい冷凍保存用のバッグに小分けして冷凍保存した場合には、原薬の管理および取り扱いが煩雑になる。また、昨今の開発により原薬量が増えてきている背景もあり、大容量の凍結保存が必要になってきている。そのため、少なくとも10リットル以上の冷凍保存用のバッグに分けして冷凍保存することが好ましいと考えられる。
【0007】
このような着想のもとに本発明は創案されたものであって、本発明は、複数の冷凍保存用のバッグに収納された原薬を一度にまとめて、略均一の状態で急速冷凍できる原薬急速冷凍システムを提供することにある。また、医薬品の主原料となる原薬ゆえに、その取り扱いには十分に注意を要するものであり、バッグを破損させることなく急速冷凍でき、庫内の結露、霜付きをできるだけ防止でき、冷凍後は冷凍保管庫としての使用もでき、急速冷凍運転中は、および終了後の保管運転中のデフロストが不要となるシステムが要望される。さらに、ランニングコストが安いことや、庫内温度の温度制御に優れることも要望される。
【0008】
ちなみに、断熱された凍結庫内で気化する液体窒素を、原薬バッグに直接スプレーして凍結させる、いわゆる低温液化ガス(液体窒素)方式では、例えば、1)バッグの一部破損が生じる、2)庫内温度の制御精度が悪い、3)ランニングコストが高い、4)液体窒素タンク設備が必要となる、5)構造上の完全な結露防止が困難、などの不都合が生じ得ることが確認されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象とする原薬の急速冷凍システムであって、当該急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されているように構成される。
【0010】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記フロント室とリア室との間には、原薬収納・移動装置内に多段に配置されたバッグ内の原薬に冷風を効率よく接触させるための、仕切り板が存在するように構成される。
【0011】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記差圧ファンにて冷凍室内の冷気を強制的に循環させるように構成される。
【0012】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記冷凍室に入室するに至るまでに、冷凍庫内の結露、霜付き防止のために、常温よりも低温の温度Tpに設定されたパスルーム、およびパスルームの温度Tpよりも低温であり、冷凍庫内の温度よりも高い温度Tfの前室を設け、パスルームおよび前室を順次経て冷凍室に入室するように構成される。
【0013】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記温度Tpが2〜8℃の範囲であり、前記温度Tfが−15〜−5℃の範囲であるように構成される。
【0014】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、冷凍保存用バッグに収納される冷凍の対象である原薬は10リットル以上であるように構成される。
【0015】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記トレイは、長方形の底部と、その底部の周辺から立設された一対の対向する第1側面部と、一対の対向する第2側面部とを有し、前記第1側面部は、前記差圧ブースの開口の幅方向に位置するように配置される面に相当し、当該第1側面部には、冷風を効率よく接触でき凍結時間を減少できるように、通風用の複数の穴が配列形成されているように構成される。
【0016】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記第1側面部の高さをH1とし、トレイに収納される冷凍保存用バッグの最大高さをHGとした場合、H1=(0.7〜0.95)HGの範囲であるように構成される。
【0017】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記第1側面部の面積に対して、第1側面部に形成された通風用の複数の穴の総面積が占める割合は、40〜60%であるように構成される。
【0018】
また、本発明の原薬の急速冷凍システムは、好ましい態様として、前記多段収納されるトレイの配置間隔Tpと、トレイの第1側面部の高さをH1との関係は、Tp=(1.3〜2.5)H1であるように構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象とする原薬の急速冷凍システムであって、当該急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されているように構成されるので、複数の冷凍保存用のバッグに収納された原薬を一度にまとめて、略均一の状態で急速冷凍できる。
【0020】
本発明においては、特に、バッグを破損させることなく急速冷凍でき、庫内の結露、霜付きをできるだけ防止でき、冷凍後は冷凍保管庫としての使用もできる。急速冷凍運転中は、および終了後の保管運転中のデフロストは不要とすることができる。さらにランニングコストが安く、庫内温度の温度制御に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、原薬の急速冷凍システムの平面図であって、特に、冷凍庫内部の差圧ブース等の配置、冷凍庫に併設されている前室およびパスルームの配置を概略的に示した図面である。
【図2】図2は、図1のA−A断面矢視図面であって、特に差圧ブース内の構造および原薬収納・移動装置が収納された状態、並びに冷気の循環状態を模式的に示した図面である。
【図3】図3は、原薬収納・移動装置にトレイが多段に収納された状況を示す斜視図である。
【図4】図4は、冷凍保存用バッグに収納された原薬を収納載置するためのトレイの構造を概略的に示す斜視図である。
【図5】図5(A)は、原薬が収納された冷凍保存用バッグの一例を模式的に示した平面図であり、図5(B)は、図5(A)のα−α矢視端面を模式的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の原薬の急速冷凍システムについて、図1〜図4を参照しつつ説明する。図1は、本発明の原薬の急速冷凍システムの平面図であり、図2は、図1のA−A断面矢視図面である。
【0023】
本発明の原薬の急速冷凍システムは、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象としており、従来、このような原液の冷凍に関する技術の提案はなされていない。本発明における原薬は10リットル以上の単位、特に12.5〜20リットルの単位で冷凍保存用バッグに充填されていることが望ましい。従来技術の欄で述べたように原薬の管理および取り扱いが煩雑になるのを防止するためである。
【0024】
図5(A)には原薬1が収納された冷凍保存用バッグ80の一例の平面図が示され、図5(B)に、図5(A)のα−α矢視端面図面が示される。冷凍保存用バッグ80は、例えば、ポリエチレン等の樹脂シート材料を2枚重ねてその周辺を接着して構成される袋体であって、本発明における好適な有効容量は20リットル程度、厚さは0.25mm程度、耐熱温度はー80〜60℃程度、バッグ平面寸法は、(600〜800)mm×(450〜550)mm程度とされる。
【0025】
なお、図5(A)に示される符号81は、袋体内部に連通するように設けられたチューブであり、符号82はチューブの先端に取り付けられたキャップである。冷凍保存用バッグ80は、1回の使用で廃棄されるディスポーザル使用とされる。また、原液が冷凍完了されたとみなす温度は、原薬が−20℃に到達した温度とし、この温度までの到達時間をできるだけ短い時間(例えば3時間以内)で行うことが望まれる。
【0026】
本発明の急速冷凍システムは、図1に示されるように冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍させるための冷凍庫10と、冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍庫内に搬入・搬出させるための原薬収納・移動装置50と、を有している。
【0027】
図1に示される実施形態では、2室の冷凍庫10が、それぞれ、仕切り板19を中心にして鏡像関係に配置されている例が記載されているが、必ずしもこのような形態に限定されものではない。冷凍庫の設置数も2室に限定されることなく、1室、あるいは3室以上存在するようにしてもよい。
【0028】
図1に示される本実施の形態の場合、各冷凍庫10は、冷凍室11と、図示していない冷凍装置(室外機および室内機を有する)と、冷凍室11内に配置された差圧ブース15と、を有して構成される。
【0029】
<冷凍室11の説明>
冷凍室11は、原薬を冷凍させるための空間であって、冷凍保存用バッグに収納された原薬を出来るだけ急速にかつ、均一に冷凍することができるように、例えば、−45℃近傍の略一定温度に維持されるように構成される。特に、−45℃の温度環境下においても、±2℃の範囲での温度制御が可能となるようにすることが望ましい。冷凍室11を形成する壁パネル内には、一般に断熱材が組み込まれて構成されている。
【0030】
冷凍室11の大きさ(容積)は、特に限定されるものではなく、冷凍対象となる冷凍保存用バッグに収納された原薬の総容量や、冷凍装置の冷凍能力等を考慮しながら適宜設定される。
【0031】
<冷凍装置の説明>
冷凍装置は、電気を使用する冷凍機方式のものが好ましく、例えば、圧縮機、凝縮器等を含む室外機や、冷媒ガスを気化させる熱交換器を含む室内機を備えて構成される。冷凍装置の能力としては、原薬の急速冷凍の運転が可能であるとともに、急速冷凍運転終了後に、予め設定する温度にて、冷凍保管庫として使用可能な能力を備えることが望ましい。特に、保管温度の設定は、−20〜−45℃の間で任意に設定可能とできるようにすることが望ましい。
【0032】
<差圧ブース15の説明>
差圧ブース15は、例えば、図1に示されるように、1室の冷凍庫10内に4つ、2室の冷凍庫10内では合計8つ配置されている。そして、図1に示される実施形態では、2つの隣接する差圧ブース15が隔壁15aを隔ててペアとなり1セットを構成している形態を採択しているが(図1の全体で4セット×2=8)、特に図1に示される形態および数量等に限定されるものではない。
【0033】
差圧ブース15は、図2に示されるように、原薬収納・移動装置50が出入りできる開口61を備える筐体部60(チャンバー)を有し、筐体部60は、開口61に近いエリアに位置するフロント室65と、開口61から遠いエリアに位置するリア室67と、を有し構成されている。
【0034】
フロント室65の中には原薬収納・移動装置50が収納・設置される空間が形成されており、リア室67の中には負圧雰囲気を形成するための空間が形成されており、リア室67の上部には、筐体部60の内部空間(特に、リア室67)を負圧にするための差圧ファン69(上方へと風を送る送風機)がリア室67の内部空間と挿通状態で設置されている。
【0035】
図2に示されるように、フロント室65とリア室67とは空間的に連通した状態で繋がっているが、その境には、原薬収納・移動装置50内に多段に配置されたトレイ90内のバッグ80(中に原薬がはいっている)に冷風を効率よく接触させるための仕切り板71,72を設けることが好ましい。本実施形態における仕切り板71,72の設置形態は、多段に配置されたトレイ90内のバッグ80が存在するエリアを集中的に冷気を通過させることができるように、それ以外の箇所の空気流をできるだけ遮断する形態となっている。換言すれば、図2に示されるごとく原薬収納・移動装置50のバッグ80が存在しない、下部部分および上部部分をそれぞれ、仕切り板71,72で遮蔽するように構成されている。仕切り板71,72の存在によって、フロント室65とリア室67との境の開口面積は、差圧ブース15の入り口である開口61の開口面積よりも絞り込まれて小さくなっている。開口61の開口面積をAo、フロント室65とリア室67との境の開口面積をAbとした場合、Ab=(0.5〜0.9)Aoの範囲とすることが好ましい。
【0036】
差圧ファン69は、冷凍室10内の冷気を強制的に循環させるように作用する。すなわち、リア室67の上部に設置された例えばモータ駆動の差圧ファン69がその主軸を中心に回転すると、筐体部60のリア室67の空気が上方に巻き上げられてリア室67が負圧になる。そのため、図2に示される冷凍装置の室内機17の冷気送風口17aから吹き出された冷気は、一旦下方に沈むとともに、差圧ブース15の開口61から筐体部60のフロント室65に入り込み、リア室67を通過して上方に巻き上げられるといった一連の冷気の循環流が形成される。つまり、図2の矢印で示されるような冷気の循環流が起こる。これによって、より短時間でムラなく原薬を冷却することが可能となる。
【0037】
<原薬収納・移動装置50およびトレイ100の説明>
次いで、原薬収納・移動装置50、および当該装置50の上下方向に多段に収納されるトレイ100について説明する。なお、冷凍操作の際にトレイ100の中には、原薬が収納された冷凍保存用バッグが収納されている。図3は、原薬収納・移動装置50にトレイ100が多段に収納された状況を示す斜視図である。図4は、原薬が収納された冷凍保存用バッグを収納載置するためのトレイの構造を概略的に示す斜視図である。
【0038】
原薬収納・移動装置50は、図3に示されるように、例えば、棒材および板材を用いて組み立てられた枠体51を主な構造物として構成されており、枠体51の下部の4隅には、4個の360度回動可能な自在式のキャスター52が取り付けられており、枠体51の側部には、トレイ100を出し入れするための左右一対の案内レール55(奥域側のレールは図面では見えない)が、上下方向に所定の間隔を空けて5段分、設置されている。本実施の形態の場合、原薬収納・移動装置50の仕様として、トレイを設置できる段数が5段となっているが、必ずしもこの段数に限定されるわけではなく、冷凍の対象となっている原薬の処理量や冷凍システムの処理能力等を考慮しつつ適宜、段数を設定すればよい。好適には、4〜7段程度とすることが好ましい。このような範囲で上下方向に配置された冷凍の対象物に対して略均一の冷凍速度での冷凍がしやすい傾向があるからである。
【0039】
また、図3に示されるように、原薬収納・移動装置50の枠体51の垂直方向の主要部材となる4本の棒材51aのそれぞれの側面部には、取手58を上下方向に脱着式に取り付けることのできる上下一対の取付部材59a,59bが固着されている。取付部材59a,59bの内部には着脱用の貫通穴が形成されている。このような仕様とすることにより、例えば2本の取手58は着脱により4隅にすべて取り付け可能となり、例えば、運搬時は図3に示されるように左方の一の面が正面となるような取り付けとし、差圧ブース15のフロント室61に収納する際には、その隣の右方の他の一の面が正面となるよう取り付ければ、運搬および収納の際の操作性は格段と向上する。
【0040】
次いで、図4を参照しつつトレイ100について説明する。
トレイ100は、長方形の底部101と、その底部101の周辺から立設された一対の対向する第1側面部103と、一対の対向する第2側面部105とを有し、これにより、内部に凹状の収納部が形成される。
【0041】
第1側面部103は、冷凍操作時において、前述した差圧ブース60の開口61の幅方向に位置するように配置される面に相当する(図2の紙面奥域あるいは手前方向の面に相当する)。このような第1側面部103には、通風用の複数の穴104が配列形成されている。通風用の複数の穴104を設けることによって、冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、穴104の好適例として、円形状の穴が8個、略等間隔で形成されているが、その形状や個数、配置等に特に制限はない。冷気の通風性や、第1側面部103に穴を空けることによる面の強度低下等を考慮しつつこれらの仕様を適宜選定することができる。好適には、第1側面部の面積に対して、第1側面部103に形成された通風用の複数の穴104の総面積が占める割合は、40〜60%とすることが望ましい。冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができるようにするためである。
【0043】
また、トレイ100に収納される冷凍保存用バッグについては、図5(A)(B)に示される。トレイ100に収納される冷凍保存用バッグの最大高さHG(図5(A)参照)との関係において、第1側面部の高さをH1とした場合(図4参照)、H1=(0.7〜0.95)HGの範囲とすることが好ましい。冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができるようにするためである。
【0044】
図4に示される第2側面部105は、冷凍操作時において、前述した差圧ブース60の開口61の幅方向に対して直角に位置するように配置される面に相当する(図2の紙面に平行な面に相当する)。このような第2側面部105には、原薬収納・移動装置50への出し入れの操作が容易となるように、把持するための取手開口部106を形成しておくことが好ましい。
【0045】
なお、トレイ100を構成する材質は、重量、熱伝導率等を考慮して、アルミ製とすることが好ましい。
【0046】
また、図3に示されるように、多段収納されるトレイの配置間隔Tpと、トレイの第1側面部の高さをH1との関係は、Tp=(1.3〜2.5)H1とすることが好ましい。冷風を効率よくバッグに接触させることができ凍結時間を短縮させることができるようにするためである。
【0047】
<冷凍室に併設される前室およびパスルームについての説明>
図1に示されるように、冷凍室11に入室するに至るまでに、冷凍庫10内の結露、霜付き防止のために、常温よりも低温の温度Tpに設定されたパスルーム120、およびパスルーム120の温度Tpよりも低温であり、冷凍庫10内の温度よりも高い温度Tfの前室140を設け、パスルーム120および前室140を順次経て冷凍室11に入室するように構成することが好ましい。
【0048】
上記パスルーム120の温度Tpは、2〜8℃の範囲とすることが望ましい。また、前室140の温度Tfは、−15〜−5℃の範囲とすることが望ましい。なお、図1における、符号121は、パスルーム120の出入り用のドアであり、当該ドアの内側には、好ましい態様としてエアーカーテンが設けられる。符号141は、前室140の出入り用ドアであり、当該ドアの内側には、好ましい態様としてエアーカーテンが設けられる。また、符号12は、冷凍室11への出入り用のドアである。
【0049】
このように冷凍室11に前室140およびパスルーム120を併設する構成を採択することにより、冷凍庫10内へ外からの湿気を極力流入させないようにすることができ、冷凍庫内での結露、霜付きを防止することができる。
【実施例】
【0050】
図1および図2に示されるような本発明の原薬の急速冷凍システムを用いて、具体的に原薬の急速冷凍テストを行った。すなわち、原液充填済みの冷凍保存用バッグが5段収納された原薬収納・移動装置を、パスルーム、前室を通って冷凍室内の差圧ブースのフロント室内に収納させた後に、急速冷凍テストを行った。システム等に係る仕様は以下の通りとした。
【0051】
(冷凍庫仕様)
・冷凍室:2室
・冷凍装置:空冷一体型インバータ制御冷凍機
・差圧ブース:4個/室
(開口61の開口面積をAo、フロント室65とリア室67との境の開口面積をAbとした場合、Ab=0.8Ao)
・設定冷凍室温度:−45℃
【0052】
(前室仕様)
・冷凍装置:空冷一体型冷凍機
・エアーカーテン設置
・前室設定温度:−10℃
【0053】
(パスルーム仕様)
・冷凍装置:空冷一体型冷凍機
・エアーカーテン設置
・パスルーム設定温度:5℃
【0054】
(冷凍保存用バッグ仕様)
・有効容量:20リットル
・材料:主材料ポリエチレン
・シート厚さ:0.25mm
・耐熱温度:−80〜60℃
・バッグ寸法:610mm×460mm
・原薬充填量:12.5リットル
・充填時のバッグ高さH G:50mm
【0055】
(トレイ仕様)
・材質:アルミ製
・第1側面部の穴形状および個数:円形形状で個数は8個
・第1側面部の面積に対して、第1側面部に形成された通風用の複数の穴の総面積が占める割合:50%
・第1側面部の高さ:H1=60mm
【0056】
(原薬収納・移動装置50の仕様)
・トレイ設置段数:5段
・トレイの配置間隔:Tp=80mm
【0057】
上記の仕様の元に、原薬の急速冷凍実験を行ったところ、5×4×2室=40個の冷凍保存用バッグ内の原液サンプルがー20℃に到達するまでの時間を測定したところ約3時間の間で完了した。また、サンプルが置かれた段の位置の違いに基づく凍結状態のムラはほとんどなく、ほぼ均一の冷凍処理がなされていることが確認できた。
【0058】
以上の実験結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明の原薬の急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されているように構成されるので、複数の冷凍保存用のバッグに収納された原薬を一度にまとめて、略均一の状態で急速冷凍できる。
【0059】
本発明においては、特に、バッグを破損させることなく急速冷凍でき、庫内の結露、霜付きをできるだけ防止でき、冷凍後は冷凍保管庫としての使用もできる。急速冷凍運転中は、および終了後の保管運転中のデフロストは不要とすることができる。さらにランニングコストが安く、庫内温度の温度制御に優れる。
【符号の説明】
【0060】
10…冷凍庫
11…冷凍室
15…差圧ブース
50…原薬収納・移動装置
60…筐体部
61…開口
65…フロント室
67…リア室
69…差圧ファン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象とする原薬の急速冷凍システムであって、
当該急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、
前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、
前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、
前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、
前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されていることを特徴とする原薬の急速冷凍システム。
【請求項2】
前記フロント室とリア室との間には、原薬収納・移動装置内に多段に配置されたバッグ内の原薬に冷風を効率よく接触させるための、仕切り板が存在する請求項1に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項3】
前記差圧ファンにて冷凍室内の冷気を強制的に循環させる請求項1または請求項2に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項4】
前記冷凍室に入室するに至るまでに、冷凍庫内の結露、霜付き防止のために、常温よりも低温の温度Tpに設定されたパスルーム、およびパスルームの温度Tpよりも低温であり、冷凍庫内の温度よりも高い温度Tfの前室を設け、パスルームおよび前室を順次経て冷凍室に入室するように構成されてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項5】
前記温度Tpが2〜8℃の範囲であり、前記温度Tfが−15〜−5℃の範囲である請求項4に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項6】
冷凍保存用バッグに収納される冷凍の対象である原薬は10リットル以上である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項7】
前記トレイは、長方形の底部と、その底部の周辺から立設された一対の対向する第1側面部と、一対の対向する第2側面部とを有し、
前記第1側面部は、前記差圧ブースの開口の幅方向に位置するように配置される面に相当し、当該第1側面部には、冷風を効率よく接触でき凍結時間を減少できるように、通風用の複数の穴が配列形成されている請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項8】
前記第1側面部の高さをH1とし、トレイに収納される冷凍保存用バッグの最大高さをHGとした場合、H1=(0.7〜0.95)HGの範囲である請求項7に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項9】
前記第1側面部の面積に対して、第1側面部に形成された通風用の複数の穴の総面積が占める割合は、40〜60%である請求項7または請求項8に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項10】
前記多段収納されるトレイの配置間隔Tpと、トレイの第1側面部の高さをH1との関係は、Tp=(1.3〜2.5)H1である請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項1】
冷凍保存用バッグに収納された原薬を冷凍の対象とする原薬の急速冷凍システムであって、
当該急速冷凍システムは、冷凍庫と、冷凍庫に出入りできる原薬収納・移動装置と、を有し、
前記冷凍庫は、冷凍室と、冷凍装置と、冷凍室内に配置された差圧ブースと、を有し、
前記原薬収納・移動装置は、冷凍保存用バッグに収納された原薬をトレイに載置した状態で多段に収納することができるとともに移動可能となっており、
前記差圧ブースは、前記原薬収納・移動装置が出入りできる開口を備える筐体部を有し、当該筐体部は、開口に近いエリアに位置するフロント室と、開口から遠いエリアに位置するリア室と、を有し、
前記フロント室の中には原薬収納・移動装置が収納され、前記リア室の上部には、筐体部を負圧にするための差圧ファンが設置されていることを特徴とする原薬の急速冷凍システム。
【請求項2】
前記フロント室とリア室との間には、原薬収納・移動装置内に多段に配置されたバッグ内の原薬に冷風を効率よく接触させるための、仕切り板が存在する請求項1に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項3】
前記差圧ファンにて冷凍室内の冷気を強制的に循環させる請求項1または請求項2に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項4】
前記冷凍室に入室するに至るまでに、冷凍庫内の結露、霜付き防止のために、常温よりも低温の温度Tpに設定されたパスルーム、およびパスルームの温度Tpよりも低温であり、冷凍庫内の温度よりも高い温度Tfの前室を設け、パスルームおよび前室を順次経て冷凍室に入室するように構成されてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項5】
前記温度Tpが2〜8℃の範囲であり、前記温度Tfが−15〜−5℃の範囲である請求項4に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項6】
冷凍保存用バッグに収納される冷凍の対象である原薬は10リットル以上である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項7】
前記トレイは、長方形の底部と、その底部の周辺から立設された一対の対向する第1側面部と、一対の対向する第2側面部とを有し、
前記第1側面部は、前記差圧ブースの開口の幅方向に位置するように配置される面に相当し、当該第1側面部には、冷風を効率よく接触でき凍結時間を減少できるように、通風用の複数の穴が配列形成されている請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項8】
前記第1側面部の高さをH1とし、トレイに収納される冷凍保存用バッグの最大高さをHGとした場合、H1=(0.7〜0.95)HGの範囲である請求項7に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項9】
前記第1側面部の面積に対して、第1側面部に形成された通風用の複数の穴の総面積が占める割合は、40〜60%である請求項7または請求項8に記載の原薬の急速冷凍システム。
【請求項10】
前記多段収納されるトレイの配置間隔Tpと、トレイの第1側面部の高さをH1との関係は、Tp=(1.3〜2.5)H1である請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の原薬の急速冷凍システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−13434(P2013−13434A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146221(P2011−146221)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
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