説明

厨房家具

【課題】扉の耐久性や耐汚染性を向上させつつ、開閉操作をスムーズに行うことのできる厨房家具を提供すること。
【解決手段】吊戸棚1は、キャビネット10の底板14よりも下端が下側まで延出された扉11と、キャビネットの底面の正面側にその端縁部に沿って設けられ、端縁部と扉の下面を下側より覆う底部カバー部材とを備え、扉は、扉本体16と、この扉本体の下端部に設けられた扉カバー部材15とから形成され、この扉カバー部材は、耐熱性材料から形成された扉カバー部材本体17を有し、この扉カバー部材本体には、正面側が開放された手掛かり部20が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房装置の調理台の上方に設置される吊戸棚を備えた厨房家具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンロ調理機器の安全性の向上にともない、コンロ調理機器の上方に設置されるレンジフードの天蓋までの高さを従来に比べ低くすることができるようになった。このことによって、調理時に発生する熱気、煙、湯気、油などを集めやすくなり、換気性能の向上が図られるばかりでなく、吊戸棚を従来に比べ低い位置まで下げることができるようになった。このため、吊戸棚の収納量を増大させることができ、また、使用者の手が吊戸棚に設けられた扉本体に届きやすくなり、吊戸棚の操作性が向上している。
【0003】
その一方で、吊戸棚は、設置高さが低くなったことから、調理時に熱気、煙、湯気、油などに晒されやすくなり、結露、汚れや熱などからの防護が、より一層望まれるようになっている。
【0004】
本出願人は、これまでに下記特許文献1に記載した厨房用キャビネットを提案している。この厨房用キャビネットでは、炊飯器などの蒸気放出機器類の載置されるカウンターと対向するキャビネット本体の下面側に、湿気遮蔽用のカバー材が、少なくともキャビネット本体の構成部材の木口を覆うようにして配設されている。このような厨房用キャビネットでは、キャビネット本体の構成部材の木口からの湿気吸収が湿気遮蔽用のカバー材によって阻止されるので、蒸気放出機器類から放出される蒸気によって、長年の使用において、構成部材の表面化粧板の変色、変質などの劣化が生じるのを抑制している。また、近年、吊戸棚の正面意匠性の向上を目的とし、しかも、扉に備えた取っ手を排除してコスト低減を図ることを目的とした吊戸棚も提供されている。この吊戸棚では、扉の下端の位置をキャビネットの底板の位置よりも低くし、扉の裏面に手を掛けることで、扉を開けることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−95634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その一方で、特許文献1に記載した厨房用キャビネットでは、湿気遮蔽用のカバー材が、キャビネット本体の正面に取り付けられる扉のスムーズな開閉操作に支障をきたす原因となっている。それというのも、湿気遮蔽用のカバー材は、扉の下方で手前側に突出しているからである。このため、扉を開閉して物品の出し入れをする際には、使用者は、湿気遮蔽用のカバー部材が突出する部分を避け、その上方に位置する扉の正面に設けられた取っ手まで手を伸ばす必要があり、扉の開閉操作は、使用者にとって必ずしもスムーズなものとはなっていない。
【0007】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、扉の耐久性や耐汚染性を向上させつつ、開閉操作をスムーズに行うことのできる厨房家具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の厨房家具は、厨房装置の調理台の上方に設置される吊戸棚を備えた厨房家具において、吊戸棚は、キャビネットの底板よりも下端が下側まで延出された扉と、キャビネットの底面の正面側にその端縁部に沿って設けられ、端縁部と扉の下面を下側より覆う底部カバー部材とを備え、扉は、扉本体と、この扉本体の下端部に設けられた扉カバー部材とから形成され、この扉カバー部材は、耐熱性材料から形成された扉カバー部材本体を有し、この扉カバー部材本体には、正面側が開放された手掛かり部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この厨房家具においては、扉カバー部材本体は、上端部に、扉本体との固定部を有し、この固定部は扉本体と接触し、固定部と扉本体の接触部分に、扉カバー部材から扉本体への伝熱を緩和する断熱部が介在していることが好ましい。
【0010】
この厨房家具においては、扉カバー部材本体は、上端部に、扉本体との固定部を有し、この固定部は扉本体と接触し、固定部と扉本体の接触部分に、扉カバー部材から扉本体への伝熱を緩和する断熱部が介在していることが好ましい。
【0011】
この厨房家具においては、厨房装置に設けられたレンジフードに隣接する扉に扉カバー部材が設けられ、この扉カバー部材に対応させて底部カバー部材がキャビネットに設けられていることが好ましい。
【0012】
この厨房家具においては、扉本体を構成する木質基材の下端の木口が、扉カバー部材と直接接触し、扉カバー部材は、木口を覆っていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の厨房家具によれば、扉の耐久性や耐汚染性を向上させつつ、開閉操作をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の厨房家具の一実施形態を厨房装置の全体として示した斜視図である。
【図2】図1に示した厨房家具における第1吊戸棚を拡大して示した斜視図である。
【図3】図2に示した第1吊戸棚における扉を拡大して示した要部分解斜視図である。
【図4】図2に示した第1吊戸棚におけるキャビネットを拡大して示した要部斜視図である。
【図5】図1に示した厨房家具における第1吊戸棚の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の厨房家具の一実施形態を厨房装置の全体として示した斜視図である。
【0016】
厨房装置Aは、厨房室の壁に設置された吊戸棚1と、床に設置された調理台4および流し台5とから構成されている。調理台4および流し台5を合わせて単一のカウンター3で調理作業台2が形成されている。カウンター3の下方には複数のフロアキャビネット7が設けられ、フロアキャビネット7では、調理道具などの収納部が設けられ、扉8や引き出しによって物品の取り出しおよび収納が可能になっている。カウンター3の左端側には、調理台4において加熱調理機能を担う、電磁誘導加熱やガス燃焼などによるコンロ調理機器4aが設けられている。カウンター3の右端側には、流し台5の主機能を担うシンク5aおよび水栓6が設けられている。カウンター3において、コンロ調理機器4aとシンク5aの間が作業領域とされている。
【0017】
カウンター3の上方の壁面には、コンロ調理機器4aの上方に換気用のレンジフード9が設置され、レンジフード9の右側方には、吊戸棚1が、レンジフード9に隣接して設置されている。なお、図1に示した厨房装置Aでは、レンジフード9の右側方にのみ吊戸棚1が設置されているが、厨房装置では、レンジフードの左右両側方に吊戸棚が設置されることも通例である。
【0018】
吊戸棚1は、本体となり、物品収納部となるキャビネット10と、開閉自在な扉11とから構成されている。一般的な厨房装置では、複数のキャビネット10が左右方向に連ねて設置される。キャビネット10は、左右一対の側板12と、天板13と、底板14と、背板(図示なし)によって形成され、前面が開放された函体を有し、この函体と棚板(図示なし)とから構成されている。扉11は、ヒンジ(図示なし)を介してキャビネット10の側板12に回動自在に支持され、左右いずれかの方向への開き扉とされている。なお、扉11は、開き扉に限定されるものではなく、上下方向に開閉するはね上げ式のものとすることもできる。また、レンジフード9に隣接して配置された第1吊戸棚1aでは、扉11は、開放時に、レンジフード9における天蓋9aの部分と接触しないように、レンジフード9とは反対側に開くようにするのが通例である。さらに、第1吊戸棚1aに隣接し、レンジフード9とは反対側に連設された第2吊戸棚1bについては、その構造および扉11の開閉方向は、特に第1吊戸棚1aに限定されない。
【0019】
また、吊戸棚1では、いずれの扉11の下端も、キャビネット10の底板14の下方に位置し、扉11の下端がキャビネット10の底板14よりも下方に延出されている。また、扉11の下端は、レンジフード9の天蓋9aの下端と一直線上に配置されている。これによって、吊戸棚1の正面視は、レンジフード9と統一感のある外観意匠を呈している。第2吊戸棚1bでは、扉11の下端部に後方から手を掛けて扉11を開けることができ、特に取っ手を設ける必要がなく、より一層吊戸棚1の正面の意匠性は良好なものとなっている。
【0020】
なお、本願において厨房家具とは、吊戸棚1とフロアキャビネット7とを有し、その他の収納部や、カウンター3、コンロ調理機器4aおよびシンク5aの支持架台などを備えたものである。
【0021】
図2は、図1に示した厨房家具における第1吊戸棚を拡大して示した斜視図である。図3は、図2に示した第1吊戸棚における扉を拡大して示した要部分解斜視図である。図4は、図2に示した第1吊戸棚におけるキャビネットを拡大して示した要部斜視図である。図5は、図1に示した厨房家具における第1吊戸棚の要部断面図である。
【0022】
図2および図3に示したように、第1吊戸棚1aでは、扉11は、扉本体16と、扉本体16の下端部に設けられた扉カバー部材15とから形成されている。扉11は、扉カバー部材15の下端において、キャビネット10の底板14よりも下側に延出されている。扉カバー部材15は、扉本体16の横幅の全長にわたって延びる横長の扉カバー部材本体17と、扉カバー部材本体17の左右両端部に取り付けられた、使用者の手指を鋭利な切断面から保護するためのエンドキャップ18とから形成されている。扉カバー部材本体17は、アルミニウムなどの金属材料や、多孔質で断熱性に優れたセラミックスなどの耐熱性材料を用いて押出成形されている。また、扉カバー部材本体17は、その上端部に、扉本体16との固定部19を有し、固定部19の下側に、正面側が開放された手掛かり部20が形成されている。
【0023】
扉カバー部材本体17の固定部19は、図5に示したように、正面側に縦幅の短い見切り片21と、背面側に、見切り片21に対向して配置された縦幅の長い固定片22と、見切り片21の下端と固定片22の下端を連結する連結片23とを備えている。連結片23では、その内底面から略垂直上方に立ち上がる縦突片24が3つ設けられている。縦突片24は、連結片23の長さ方向の全長にわたって延びており、互いに平行に配置されている。また、縦突片24の縦幅は、見切り片21の縦幅より短くなっている。固定片22は、縦突片24と平行に配置され、縦突片24の縦幅と同じ縦幅を有する支持部25を備えている。また、固定片22は、支持部25の上端から背面側に断面略L字状に折れ曲がっており、支持部25の上端に角部26が形成されている。固定片22では、支持部25および角部26以外の部位に、扉カバー部材本体17を扉本体16に取り付けるためのネジ27を挿入するためのネジ孔(図示なし)が形成されている。挿入孔の形成位置は、固定片22の少なくとも左右両端部の2箇所とすることができる。このような固定部19では、縦突片24によって、見切り片21との間、隣り合う縦突片24同士の間、および支持部25との間に溝28が形成されている。
【0024】
扉カバー部材本体17の手掛かり部20は、固定片22の支持部25の下端から下方に延びる後片29と、後片29に対向して正面側に配置された前片30と、後片29の下端と前片30の下端を連結する連結片31とを備えている。手掛かり部20は、正面側が開放されたものであり、扉カバー部材本体17の長さ方向に一様に形成されている。
【0025】
このような扉カバー部材本体17は、扉本体16の下端部にその裏面側からネジ27によって取り付けられる。扉カバー部材本体17を扉本体16に取り付ける際には、まず、見切り片21と固定片22の間に扉本体16の下端部を挿入し、扉本体16の下端に位置する裏面側の角部を角部26に一致させ、支持部25により扉本体16を支持する。この状態において扉カバー部材本体17の端面と扉本体16の側端面を一致させ、固定片22を扉本体16の裏面に当接させる。このとき、扉本体16の下端は、縦突片24の上端に載置され、縦突片24と接触する。次いで、ネジ27を、ネジ孔を通して螺合する。こうして、扉カバー部材本体17は、扉本体16の下端部に固定される。扉本体16の正面側の下縁部は、扉カバー部材本体17の見切り片21によって美麗に納められる。また、扉本体16の下部には、扉本体16と扉カバー部材15が対向する部分に、溝28によって空気層32が形成される。空気層32は、扉カバー部材15と扉本体16の間の断熱部33を構成している。さらに、扉本体16の下端部は、その全長が扉カバー部材本体17によって覆い隠されるので、扉本体16の下端の木口にはエッジ材が省略されている。扉本体16は、一般に、合板またはパーティクルボードなどの木質基材の表面に樹脂製の化粧シートが貼着され、上下左右の木口に樹脂製の薄いエッジ材が貼着されて形成されている。第1吊戸棚1aに設けられる扉11では、扉本体16の下端の木口にエッジ材は設けられず、木質基材が剥き出しとなっている。このようなエッジ材の省略により扉本体16の形成が容易となり、コストの低減が図られる。
【0026】
そのようにして扉本体16に取り付けられた扉カバー部材本体17の左右両端部には、エンドキャップ18が取り付けられる。図3に示したように、エンドキャップ18は、矩形状のエンドキャップ本体34を備えている。エンドキャップ本体34は、扉カバー部材本体17の固定部19における見切り片21の上端から手掛かり部20における連結片31の下端までの縦幅を有している。エンドキャップ本体34の上端部の裏面からは、矩形状の接続片35が、エンドキャップ本体34に対して略垂直に設けられている。また、エンドキャップ本体34の上端部の裏面には、接続片35に隣接して爪状の嵌合片36が2つ突設されている。嵌合片36は、接続片35と同じ方向に突出しており、それぞれの嵌合片36は、離間して配置され、扉カバー部材本体17の固定部19における連結片23に設けられた隣り合う縦突片24同士の間に形成された溝28の一つと嵌合可能になっている。エンドキャップ18は樹脂材料を用いて射出成形されている。
【0027】
エンドキャップ18は、嵌合片36を縦突片24同士の間に形成された溝28に挿入し、嵌合させるとともに、接続片35を手掛かり部20における後片29の裏面に圧接させることによって、扉カバー部材本体17に取り付けられ、固定される。エンドキャップ18は、図2に示したように、扉カバー部材15の左右両端部を美麗に納め、扉11の外観を良好にする。
【0028】
また、第1吊戸棚1aは、図2、図4および図5に示したように、キャビネット10の底面の正面側にその端縁部に沿って設けられる底部カバー部材37を備えている。底部カバー部材37は、固定片38と、固定片38の前端から下方に略垂直に延びる連結片39と、連結片39の下端から前方に略垂直に延びる覆い片40とを備えている。このような底部カバー部材37は、キャビネット10における左側の側板12の下端の木口、底板14の底面および右側の側板12の下端の木口にわたって設けられている。固定片38は、キャビネット10の底面の正面側の端縁部に沿ってその全長にわたって配置されている。底部カバー部材37は、固定片38を有し、固定片38には、ネジ41を挿入するネジ孔(図示なし)が、少なくとも左右両端部の2箇所に形成されている。底部カバー部材37は、キャビネット10の底面に取り付けられ、固定されている。また、固定片38の前端は、キャビネット10の底面の前端に一致しており、覆い片40は、キャビネット10の前方に突出している。このため、扉11を閉めた状態では、底部カバー部材37は、キャビネット10の底面の正面側の端縁部および扉11の下面を下側より覆う。したがって、調理時に発生して拡散する熱気、煙、湯気、油などは、底部カバー部材37の固定片38および覆い片40によって阻止され、キャビネット10の底板14の正面側の部分および扉11の下端部が、熱気、煙、湯気、油などに晒されるのが抑制される。底部カバー部材37は、扉カバー部材本体17と同様に、アルミニウムなどの金属材料やセラミックスなどの耐熱性材料から形成されている。
【0029】
このように、図1に示した吊戸棚1では、底部カバー部材37によって、キャビネット10の底板14の正面側の部分および扉11の下端部が、熱気、煙、湯気、油などに晒されるのが抑制される。これに加え、扉11の下端部に設けられた扉カバー部材15の扉カバー部材本体17に、正面側が開放された手掛かり部20が形成されているので、底部カバー部材37が設けられていながらも、吊戸棚1の使用者は、手掛かり部20に手指を掛けて扉11の開閉操作を容易に行うことができる。また、手掛かり部20は、扉カバー部材本体17の長さ方向に一様に形成されているため、手掛かり部20のどの部分に手指を掛けても扉11の開閉操作を行うことができる。吊戸棚1では、扉11の耐久性や耐汚染性を向上させつつ、開閉操作をスムーズに行うことができる。特に、レンジフード9に隣接する第1吊戸棚1aの扉11は、厨房装置Aのコンロ調理機器4aを用いた調理時だけでなく、厨房装置Aのカウンター3における作業領域には炊飯器などの調理機器が置かれて炊事作業が行われる時に熱気、煙、湯気、油などに晒されやすい。このような第1吊戸棚1aに局部的に扉カバー部材15および底部カバー部材37を設けることは、扉11の耐久性や耐汚染性を向上させつつ、開閉操作をスムーズに行うのを安価に実現する。
【0030】
しかも、吊戸棚1では、扉カバー部材15の扉カバー部材本体17は耐熱性材料から形成され、固定部19と扉本体16の接触部分に断熱部33が介在しているので、扉カバー部材15から扉本体16への伝熱を緩和することができる。調理時に発生する熱による影響も抑制される。断熱部33を構成する空気層32の形成に寄与する溝28の形成は、扉カバー部材15の押出成形性を良好にし、肉盗みを兼ねることができ、一定の強度を保持しつつ扉カバー部材15の軽量化などを図ることができる。また、扉カバー部材15は、側面を閉鎖するエンドキャップ18を備えているため、調理時に発生する熱気、煙、湯気、油などが手掛かり部20の内部に侵入するのを抑制することができる。扉カバー部材15は、表面が平滑であり、汚れが付着した場合の清掃性に優れている。
【0031】
なお、図4および図5に示したように、底板14をはじめとしてキャビネット10の側板12および天板13の正面側の木口にはパッキン42が設けられるので、扉11とキャビネット10の密閉性は良好に保持される。このため、調理時に発生する熱気、煙、湯気、油などがキャビネット10の内部に侵入するのも抑制される。また、パッキン42によって、吊戸棚1は、防塵および防虫性にも優れている。
【0032】
本発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。本発明は、調理台の上方において扉が開閉自在となるキャビネットを備えた厨房家具のすべてに適用される。また、厨房家具の形状、大きさおよび構造、扉の大きさおよび構造、また、扉カバー部材および底部カバー部材の形状、大きさ、材質、構成および構造などの細部については、様々な態様が可能である。
【0033】
たとえば、扉カバー部材において、図3および図5に示した縦突片24は、略半球状の突起に替えることができる。このような突起によっても空気層の形成は可能であり、固定部19と扉本体16の接触部分に断熱部33を介在させることができる。また、断熱部33の断熱性をさらに向上させるために、縦突片24や突起と扉本体16の下端との間にセラミックスから形成された成形体を介在させることができる。この場合、断熱部33に難燃性を付加させることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 吊戸棚
4 調理台
9 レンジフード
10 キャビネット
11 扉
14 底板
15 扉カバー部材
16 扉本体
17 扉カバー部材本体
18 エンドキャップ
19 固定部
20 手掛かり部
33 断熱部
37 底部カバー部材
A 厨房装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨房装置の調理台の上方に設置される吊戸棚を備えた厨房家具において、
前記吊戸棚は、キャビネットの底板よりも下端が下側まで延出された扉と、キャビネットの底面の正面側にその端縁部に沿って設けられ、前記端縁部と扉の下面を下側より覆う底部カバー部材とを備え、
前記扉は、扉本体と、この扉本体の下端部に設けられた扉カバー部材とから形成され、
この扉カバー部材は、耐熱性材料から形成された扉カバー部材本体を有し、この扉カバー部材本体には、正面側が開放された手掛かり部が形成されている
ことを特徴とする厨房家具。
【請求項2】
前記扉カバー部材本体は、上端部に、前記扉本体との固定部を有し、この固定部は前記扉本体と接触し、前記固定部と前記扉本体の接触部分に、前記扉カバー部材から前記扉本体への伝熱を緩和する断熱部が介在していることを特徴とする請求項1に記載の厨房家具。
【請求項3】
前記扉カバー部材は、横長の扉カバー部材本体と、この扉カバー部材本体の左右両端部に取り付け可能なエンドキャップとから形成され、前記手掛かり部は、前記扉カバー部材本体の長さ方向に一様に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の厨房家具。
【請求項4】
厨房装置に設けられたレンジフードに隣接する扉に前記扉カバー部材が設けられ、この扉カバー部材に対応させて前記底部カバー部材が前記キャビネットに設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の厨房家具。
【請求項5】
前記扉本体を構成する木質基材の下端の木口が、前記扉カバー部材と直接接触し、扉カバー部材は、前記木口を覆っていることを特徴とする請求項2に記載の厨房家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85920(P2013−85920A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232474(P2011−232474)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】