説明

参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラム

【課題】参照データの取得に要する通信コストの増大を抑制しつつ、撮影画像に影響を与える周辺環境に対応する適切な参照データを取得することができる、参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラムを提供すること。
【解決手段】参照データ取得装置60は、車両2の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得装置60であって、車両2の走行予定経路を特定し、当該特定した走行予定経路において撮影画像と参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定部61aと、撮影画像に影響を与える周辺環境をマッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する参照データを当該マッチング地点毎に取得する参照データ取得部61bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションシステムにおいて、各種施設(駐車場、ガソリンスタンド、商業施設等)への車両の進入や退出を判定することが行われている。各種施設への車両の進入や退出を判定する方法としては、例えば、各種施設の位置情報(例えば緯度や経度等の座標情報)と、GPS(Global Positioning System)やジャイロセンサ等を用いて特定した車両の走行軌跡とを対比する方法が用いられている。
【0003】
例えば、地図データベースから読み込んだ地図データ等に基づき、自車両の走行軌跡を道路上に位置合わせすることで、自車両の道路上における現在位置を算出し、この算出した現在位置と、ジャイロセンサ及びステアリングセンサからの検出信号とに基づき、自車両が施設に立ち寄ったか否かを判定する、位置情報利用装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−14713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各種施設への車両の進入や退出を確実に判定するため、車両の現在位置を更に高精度に特定する方法として、車両の周辺を撮影した撮影画像を用いてマッチングを行う方法が考えられる。例えば、マッチングに用いるための参照データを予め用意しておき、車両の周辺を撮影した撮影画像における所定の特徴点が、いずれかの参照データにおける特徴点と一致する場合に、その参照データに関連付けられている位置を車両の現在位置として特定する。
【0006】
このように、車両の周辺を撮影した撮影画像を用いてマッチングを行う場合、撮影時の日照条件、照度、気象状況等の周辺環境が撮影画像に何らかの影響を与え、参照データとのマッチングにも影響が及ぶ可能性がある。このため、撮影画像に影響を与える可能性のある周辺環境に対応する複数種別の参照データを準備しておくことが望ましい。
【0007】
しかしながら、あらゆる周辺環境を考慮した参照データを用意した場合、データサイズが膨大なものになることから、車載機の記憶装置に全ての参照データを格納することは困難であった。また、センター装置に全ての参照データを格納しておき、各種施設への車両の進入や退出の判定を行う際にネットワークを介してセンター装置から参照データを取得することも考えられるが、各種施設への車両の進入時や退出時における通信状況によっては、必要な参照データを取得できない可能性があった。あるいは、走行中に立ち寄ることが予想される各種施設に対応する参照データを予め取得することも考えられるが、通信コストを抑制するため、必要最小限の参照データを取得する必要があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、参照データの取得に要する通信コストの増大を抑制しつつ、撮影画像に影響を与える周辺環境に対応する適切な参照データを取得することができる、参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の参照データ取得装置は、車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得装置であって、前記車両の走行予定経路を特定し、当該特定した走行予定経路において前記撮影画像と前記参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、前記撮影画像に影響を与える周辺環境を前記マッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する参照データを当該マッチング地点毎に取得する参照データ取得手段と、を備える。
【0010】
また、請求項2に記載の参照データ取得装置は、請求項1に記載の参照データ取得装置において、前記周辺環境は、時刻に応じて変化するものであり、前記参照データ取得手段は、前記各マッチング地点に前記車両が到達する時刻又は時間帯を予測し、当該予測した時刻又は時間帯に基づき、前記周辺環境を前記マッチング地点毎に特定する。
【0011】
また、請求項3に記載の参照データ取得装置は、請求項2に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両が前記走行予定経路を走行中に前記周辺環境が変化する時刻を特定し、当該特定した時刻より前の時間帯において当該車両が到達する区間における前記マッチング地点について取得する前記参照データの種別と、当該時刻より後の時間帯において当該車両が到達する区間における前記マッチング地点について取得する前記参照データの種別とを異ならせる。
【0012】
また、請求項4に記載の参照データ取得装置は、請求項3に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両が前記走行予定経路を走行中に前記周辺環境が変化する時刻の前後所定時間に当該車両が到達する区間においては、当該周辺環境が変化する時刻より前の時間帯において当該車両が到達する区間に対応する種別と、当該周辺環境が変化する時刻より後の時間帯において当該車両が到達する区間に対応する種別との、両方の種別の前記参照データを取得する。
【0013】
また、請求項5に記載の参照データ取得装置は、請求項4に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記周辺環境が変化する時刻に前記車両が到達する地点を予測する際の予測精度に基づき、前記所定時間を決定する。
【0014】
また、請求項6に記載の参照データ取得装置は、請求項5に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両の出発時刻から前記周辺環境が変化する時刻までの時間に基づき、前記予測精度を決定する。
【0015】
また、請求項7に記載の参照データ取得装置は、請求項1から6のいずれか一項に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両の周辺が日中又は夜間のいずれに該当するか、及び、前記車両の周辺の天候の少なくともいずれかを、前記周辺環境として前記マッチング地点毎に特定する。
【0016】
また、請求項8に記載の参照データ取得システムは、車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得システムであって、前記参照データと、前記撮影画像に影響を与える周辺環境に対応する当該参照データの種別を特定する種別情報とを、相互に関連付けて格納する参照データ格納手段と、前記車両の走行予定経路を特定し、当該特定した走行予定経路において前記撮影画像と前記参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、前記撮影画像に影響を与える周辺環境を前記マッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する参照データを、前記参照データ格納手段から当該マッチング地点毎に取得する参照データ取得手段と、を備える。
【0017】
また、請求項9に記載の参照データ取得方法は、車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得方法であって、前記車両の走行予定経路を特定し、当該特定した走行予定経路において前記撮影画像と前記参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定ステップと、前記撮影画像に影響を与える周辺環境を前記マッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する参照データを当該マッチング地点毎に取得する参照データ取得ステップと、を含む。
【0018】
また、請求項10に記載の参照データ取得プログラムは、請求項9に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の参照データ取得装置、請求項8に記載の参照データ取得システム、請求項9に記載の参照データ取得方法、及び請求項10に記載の参照データ取得プログラムによれば、参照データ取得手段は、撮影画像に影響を与える周辺環境をマッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する参照データを当該マッチング地点毎に取得するので、各マッチング地点について、周辺環境を考慮してマッチングに適した参照データのみを取得することができ、参照データの取得に要する通信コストの増大を抑制しつつ、撮影画像に影響を与える周辺環境に対応する適切な参照データを取得することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の参照データ取得装置によれば、周辺環境は、時刻に応じて変化するものであり、参照データ取得手段は、各マッチング地点に車両が到達する時刻又は時間帯を予測し、当該予測した時刻又は時間帯に基づき、周辺環境をマッチング地点毎に特定するので、時刻に応じて変化する周辺環境に対応する適切な参照データをマッチング地点毎に取得することができる。
【0021】
また、請求項3に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両が走行予定経路を走行中に周辺環境が変化する時刻を特定し、当該特定した時刻より前の時間帯において車両が到達する区間におけるマッチング地点について取得する参照データの種別と、当該時刻より後の時間帯において車両が到達する区間におけるマッチング地点について取得する参照データの種別とを異ならせるので、各マッチング地点が存在する区間の周辺環境に対応する適切な参照データをマッチング地点毎に取得することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両が走行予定経路を走行中に周辺環境が変化する時刻の前後所定時間に車両が到達する区間においては、周辺環境が変化する時刻より前の時間帯において車両が到達する区間に対応する種別と、周辺環境が変化する時刻より後の時間帯において車両が到達する区間に対応する種別との、両方の種別の参照データを取得するので、いずれの種別の参照データがより適切か不明な区間については両種別の参照データを取得することができ、当初予測した周辺環境とは異なる周辺環境になった場合であっても、実際の周辺環境に対応する種別の参照データを用いてマッチングを行うことが可能となる。
【0023】
また、請求項5に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、周辺環境が変化する時刻に車両が到達する地点を予測する際の予測精度に基づき、周辺環境が変化する時刻の前後所定時間を決定するので、両方の種別の参照データを取得する区間として、周辺環境が変化する時刻に車両が到達する地点を予測する際の予測精度に応じた適切な長さの区間を設定でき、必要な区間においてのみ両種別の参照データを取得することができる。
【0024】
また、請求項6に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両の出発時刻から周辺環境が変化する時刻までの時間に基づき、周辺環境が変化する時刻に車両が到達する地点を予測する際の予測精度を決定するので、両方の種別の参照データを取得する区間として、車両の出発時刻から周辺環境が変化する時刻までの時間に応じた適切な長さの区間を設定でき、必要な区間においてのみ両種別の参照データを取得することができる。
【0025】
また、請求項7に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両の周辺が日中又は夜間のいずれに該当するか、及び、車両の周辺の天候の少なくともいずれかを、周辺環境としてマッチング地点毎に特定するので、車両の周辺が日中又は夜間のいずれに該当するか、あるいは車両の周辺の天候を考慮して、マッチングに適した参照データのみを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る参照データ取得システムを例示するブロック図である。
【図2】参照データ取得処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(構成)
最初に、実施の形態に係る参照データ取得システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る参照データ取得システムを例示するブロック図である。図1に示すように、参照データ取得システム1は、参照データ取得装置60と、センター装置3とを含んで構成されている。
【0029】
(構成−参照データ取得装置)
参照データ取得装置60は、車両2に搭載されており、図1に示すように、制御部61、及びデータ記録部62を備えている。また、参照データ取得装置60には、経路探索部10、現在位置検出処理部20、操作部30、ディスプレイ40、及び通信部50が接続されている。
【0030】
(構成−参照データ取得装置−制御部)
制御部61は、参照データ取得装置60を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述するセンター装置3の制御部80についても同じ)。特に、本実施の形態に係る参照データ取得プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して参照データ取得装置60にインストールされることで、制御部61の各部を実質的に構成する。
【0031】
この制御部61は、機能概念的に、マッチング地点特定部61a、及び参照データ取得部61bを備えている。マッチング地点特定部61aは、マッチングのために車両2の周辺を撮影する可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段である。参照データ取得部61bは、参照データをマッチング地点毎に取得する参照データ取得手段である。これらの制御部61の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0032】
(構成−参照データ取得装置−データ記録部)
データ記録部62は、参照データ取得装置60の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述するセンター装置3のデータ記録部90についても同じ)。
【0033】
このデータ記録部62は、地図情報データベース62a(以下、データベースをDBと略記する)、及び参照データDB62bを備えている。
【0034】
地図情報DB62aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ40に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0035】
参照データDB62bは、参照データ取得部61bによって取得された参照データを格納する。なお、参照データの具体的な内容や、参照データDB62bに参照データが格納されるタイミング等については後述する。
【0036】
(構成−経路探索部)
経路探索部10は、出発地から目的地に至る車両2の走行予定経路を探索する経路探索手段である。この経路探索部10が行う経路探索の具体的な方法としては、ダイクストラ法等の公知の経路探索方法を用いることができる。
【0037】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部20は、参照データ取得装置60が搭載された車両2の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部20は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両2の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0038】
(構成−操作部)
操作部30は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部30の具体的な構成は任意であり、例えば、ディスプレイ40の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段を用いて操作部30を構成することができる。
【0039】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ40は、参照データ取得装置60の制御に基づいて各種情報の表示出力を行う出力手段である。なお、このディスプレイ40の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0040】
(構成−通信部)
通信部50は、センター装置3との間で、参照データを含む各種情報の通信を行うための通信手段であり、公知の通信装置を用いることができる。
【0041】
(構成−センター装置)
センター装置3は、図1に示すように、通信部70、制御部80、及びデータ記録部90を備えている。
【0042】
(構成−センター装置−通信部)
通信部70は、参照データ取得装置60との間で、車両2の通信部50を介して参照データを含む各種情報の通信を行うための通信手段であり、公知の通信装置を用いることができる。
【0043】
(構成−センター装置−制御部)
制御部80は、センター装置3を制御する制御手段である。
【0044】
(構成−センター装置−データ記録部)
データ記録部90は、センター装置3の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。このデータ記録部90は、参照データDB91を備えている。参照データDB91は、参照データと、参照データの種別を特定する種別情報とを、相互に関連付けて格納する参照データ格納手段である。参照データは、車両2の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いるためのデータであり、例えば、各種施設(駐車場、ガソリンスタンド、商業施設等)の進入口や退出口を撮影した画像データや、当該画像データから公知のアルゴリズムを用いてマッチングのための特徴点を抽出したテンプレートデータ等が用いられる。この参照データには、当該参照データを用いてマッチングを行う対象となる施設を特定する情報(例えば施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等)が付されている。また、種別情報は、撮影画像に影響を与える周辺環境に対応する参照データの種別を特定するための情報である。ここで「周辺環境」とは、時刻に応じて変化するものであり、例えば、車両2の周辺が日中又は夜間のいずれに該当するか、及び、車両2の周辺の天候等が含まれる。このような撮影画像に影響を与える周辺環境に対応して、各参照データの種別(例えば、「日中用」、「夜間用」、「晴天用」、「曇天・雨天用」等)が設定されている。
【0045】
(処理−参照データ取得処理)
次に、このように構成された参照データ取得システム1によって実行される参照データ取得処理について説明する。図2は参照データ取得処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この参照データ取得処理は、例えば、参照データ取得装置60に電源が投入され、操作部30を介した操作入力により車両2の走行の目的地が設定された場合に開始される。ここで、「目的地の設定」とは、操作部30を介した操作入力により最終目的地が設定される場合の他、既に設定されている複数の目的地が操作部30を介した操作入力により並べ替えられ、異なる目的地が最終目的地として設定される場合、あるいは、既に設定されている最終目的地が消去され、他の目的地が最終目的地として設定される場合等も含む。
【0046】
図2に示すように、参照データ取得処理が開始されると、マッチング地点特定部61aは車両2の走行予定経路を特定する(SA1)。具体的には、操作部30を介した操作入力により設定された車両2の走行の目的地に基づき、経路探索部10が出発地(例えば現在位置検出処理部20により検出された現在位置)から目的地までの経路を探索すると、マッチング地点特定部61aは経路探索部10により探索された経路を、車両2の走行予定経路として特定する。
【0047】
続いてマッチング地点特定部61aは、SA1で当該マッチング地点特定部61aが特定した走行予定経路において、撮影画像と参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定する(SA2)。例えばマッチング地点特定部61aは、地図情報DB62aを参照し、走行予定経路の周辺において車両2が立ち寄る可能性のある施設、具体的には、走行予定経路に沿って存在する駐車場、ガソリンスタンド、商業施設等の各種施設を、マッチング地点として特定する。
【0048】
次に、参照データ取得部61bは、周辺環境の1つである「日中又は夜間」が変化する時刻として、日の出時刻及び日没時刻を特定する(SA3)。例えば、毎日の日の出時刻及び日没時刻のデータを予めデータ記録部62に記録しておき、参照データ取得部61bは、参照データ取得処理の実行日に対応する日の出時刻及び日没時刻のデータに基づき日の出時刻及び日没時刻を特定する。あるいは、通信部50を介してセンター装置3や他のデータベースから参照データ取得処理の実行日に対応する日の出時刻及び日没時刻のデータを取得するようにしてもよい。
【0049】
続いて参照データ取得部61bは、車両2が走行予定経路を走行している間に日の出時刻又は日没時刻が到来するか否かを判定する(SA4)。すなわち、参照データ取得部61bは、出発地から目的地までの走行距離や走行予定経路における平均走行速度等に基づいて出発地から目的地までの所要時間を推定し、当該所要時間と出発時刻とに基づき、目的地の到着予想時刻を算出する。そして、出発時刻から到着予想時刻までの間に、日の出時刻又は日没時刻が到来するか否かを判定する。
【0050】
その結果、車両2が走行予定経路を走行している間に日の出時刻又は日没時刻が到来しない場合(SA4、No)、車両2が走行予定経路を走行中には周辺環境が変化しないものとし、参照データ取得部61bは、走行予定経路を走行する時間帯が日中又は夜間のいずれに該当するかを特定し、当該特定結果に対応する種別の参照データをマッチング地点毎に参照データDB91から取得する(SA5)。具体的には、参照データ取得部61bは、出発時刻から到着予想時刻までの時間帯が、日の出時刻から日没時刻までの間である場合には周辺環境が「日中」に該当すると特定し、出発時刻から到着予想時刻までの時間帯が、日没時刻から日の出時刻までの間である場合には周辺環境が「夜間」に該当すると特定する。そして、当該特定結果に対応する種別の参照データ(すなわち、「日中用」又は「夜間用」の参照データ)を、通信部50を介してマッチング地点毎に参照データDB91から取得する。参照データ取得部61bは、取得した参照データを参照データ取得装置60の参照データDB62bに格納する。
【0051】
一方、車両2が走行予定経路を走行している間に日の出時刻又は日没時刻が到来する場合(SA4、Yes)、参照データ取得部61bは、走行予定経路における天候を特定するための天候情報を取得する(SA6)。具体的には、参照データ取得部61bは、各マッチング地点に車両2が到達する時刻を予測し、当該予測した時刻における各マッチング地点を含む地域の天候情報を取得する。なお、天候情報の取得先は任意で、例えば各種の気象予報データを提供するサーバから取得することができる。
【0052】
続いて参照データ取得部61bは、「日中用」及び「夜間用」の両方の種別の参照データを取得する区間(以下、必要に応じて「両種別取得区間」)を設定する(SA7)。具体的には、参照データ取得部61bは、車両2が走行予定経路を走行中に「日中」から「夜間」に周辺環境が変化する時刻(すなわち日没時刻)、又は「夜間」から「日中」に周辺環境が変化する時刻(すなわち、日の出時刻)の前後所定時間(以下、必要に応じて「両種別取得時間」)に当該車両2が到達する区間を、両種別取得区間として設定する。
【0053】
この際、参照データ取得部61bは、周辺環境が変化する時刻(すなわち、日の出時刻又は日没時刻)に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度に基づき、両種別取得時間を決定する。具体的には、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度が低いほど、両種別取得時間が長くなるように決定する。すなわち、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度が低いほど、両種別取得区間が長くなるので、周辺環境が変化する前後に車両2が到達することが予測されるマッチング地点については「日中用」及び「夜間用」の両方の種別の参照データを取得することができる。これにより、当該マッチング地点において、当初予測した周辺環境とは異なる周辺環境になった場合であっても、実際の周辺環境に対応する種別の参照データを用いてマッチングを行うことが可能となる。
【0054】
例えば、参照データ取得部61bは、車両2の出発時刻から周辺環境が変化する時刻(すなわち、日の出時刻又は日没時刻)までの時間に基づき、予測精度を決定する。これは、車両2の出発時刻から周辺環境が変化する時刻までの時間に応じて、当該周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度が異なると考えられるからである。すなわち、車両2の出発時刻から周辺環境が変化する時刻までの時間が長いほど、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度は低下すると考えられるので、予測精度が低くなるように決定する。この場合、車両2の出発時刻から周辺環境が変化する時刻までの時間が長いほど、両種別取得時間が長くなるように決定される。
【0055】
あるいは、経路探索部10が出発地から目的地までの経路探索を行う際に使用した交通情報の優先度に従って、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度を求めてもよい。例えば、現在の交通情報が3、自車の実走行データ及び他車の実走行データが2、統計的交通情報が1、交通情報なしが0、というように交通情報の優先度が設定されているものとする。この場合、参照データ取得部61bは、経路探索部10によって探索された走行予定経路について、探索に使用された各種類の交通情報の割合を算出する。この割合は、それぞれの交通情報が使用された道路区間の長さ(距離)の経路全体に対する割合として算出することができる。そして、算出されたそれぞれの割合に上述の優先度を乗算した結果を合算することによって、予測精度を求めることができる。例えば、出発地から周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点までの経路を探索するために使用された交通情報が存在しない道路区間の長さが30%、当該経路を探索するために使用された交通情報が統計的交通情報である道路区間の長さが35%、当該経路を探索するために使用された交通情報が自車の実走行データ及び他車の実走行データである道路区間の長さが10%、及び、当該経路を探索するために使用された交通情報が現在の交通情報である道路区間の長さが25%であるとする。この場合、予測精度は、0×0.3+1×0.35+2×0.1+3×0.25=1.3と算出される。この数値が小さい程(すなわち予測精度が低いほど)、参照データ取得部61bは、両種別取得時間が長くなるように決定する。
【0056】
また、参照データ取得部61bは、SA6で取得した天候情報に基づき、周辺環境が変化する前後に車両2が到達することが予測されるマッチング地点について、車両2が到達する時点での天候を特定する。そして、当該特定した天候に基づき、両種別取得時間を変更する。具体的には、天候が曇天や雨天の場合には、天候が晴天の場合と比較して、両種別取得時間が長くなるようにする。これは、天候が曇天や雨天の場合には、天候が晴天の場合と比較して、日の出時や日没時における照度の変化が小さいため、日の出後に車両2が到達するマッチング地点であっても「夜間用」の参照データの方がマッチングに適している場合や、日没後に車両2が到達するマッチング地点であっても「日中用」の参照データの方がマッチングに適している場合が想定されるからである。
【0057】
次に参照データ取得部61bは、各マッチング地点に車両2が到達する時刻又は時間帯を予測し、当該予測した時刻又は時間帯に基づき、周辺環境をマッチング地点毎に特定する(SA8)。例えば、参照データ取得部61bは、各マッチング地点に車両2が到達する時刻を予測し、当該予測した時刻が周辺環境が変化する時刻より前か否かに基づいて、各マッチング地点における周辺環境を特定する。例えば、車両2が走行予定経路を走行中に日の出となる場合において、車両2がマッチング地点に到達する時刻が日の出時刻より前である場合には、当該マッチング地点における周辺環境が「夜間」であると特定し、マッチング地点に到達する時刻が日の出時刻より後である場合には、当該マッチング地点における周辺環境が「日中」であると特定する。
【0058】
あるいは、参照データ取得部61bは、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点よりも出発地側に存在するマッチング地点について、当該マッチング地点に車両2が到達する時間帯が、周辺環境の変化前の時間帯であると予測する。また、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点よりも目的地側に存在するマッチング地点については、当該マッチング地点に車両2が到達する時間帯が、周辺環境の変化後の時間帯であると予測する。そして、当該予測した時間帯が周辺環境が変化する時刻より前か否かに基づいて、各マッチング地点における周辺環境を特定する。例えば、車両2が走行予定経路を走行中に日の出となる場合において、車両2がマッチング地点に到達する時間帯が、日の出前の時間帯である場合には、当該マッチング地点における周辺環境が「夜間」であると特定し、マッチング地点に到達する時間帯が日の出後の時間帯である場合には、当該マッチング地点における周辺環境が「日中」であると特定する。
【0059】
なお、参照データ取得部61bが、両種別取得区間内に存在するマッチング地点における周辺環境が「日中」及び「夜間」の両方であると特定することとしてもよい。この場合、参照データ取得部61bは、両種別取得区間の始点(両種別取得区間の両端のうち出発地側の点)よりも出発地側に存在するマッチング地点について、当該マッチング地点に車両2が到達する時刻又は時間帯が、周辺環境の変化前の時刻又は時間帯であると予測する。また、両種別取得区間の終点(両種別取得区間の両端のうち目的地側の点)よりも目的地側に存在するマッチング地点については、当該マッチング地点に車両2が到達する時刻又は時間帯が、周辺環境の変化後の時刻又は時間帯であると予測する。そして、当該予測した時刻又は時間帯が周辺環境が変化する時刻より前か否かに基づいて、各マッチング地点における周辺環境を特定する。例えば、車両2が走行予定経路を走行中に日の出となる場合、参照データ取得部61bは、両種別取得区間の始点よりも出発地側に存在するマッチング地点における周辺環境が「夜間」であると特定し、両種別取得区間の終点よりも目的地側に存在するマッチング地点における周辺環境が「日中」であると特定する。
【0060】
続いて参照データ取得部61bは、SA8で特定した周辺環境に対応する種別の参照データを、通信部50を介してセンター装置3の参照データDB91からマッチング地点毎に取得する(SA9)。参照データ取得部61bは、取得した参照データを参照データ取得装置60の参照データDB62bに格納する。
【0061】
例えば、周辺環境が「日中」であると特定されたマッチング地点については、当該マッチング地点に対応して参照データDB91に格納されている参照データの内、種別が「日中用」の参照データを取得する。また、周辺環境が「夜間」であると特定されたマッチング地点については、当該マッチング地点に対応して参照データDB91に格納されている参照データの内、種別が「夜間用」の参照データを取得する。これにより、周辺環境が変化する時刻より前の時間帯において車両2が到達する区間におけるマッチング地点について取得する参照データの種別と、当該時刻より後の時間帯において車両2が到達する区間におけるマッチング地点について取得する参照データの種別とが異なることになる。
【0062】
さらに、参照データ取得部61bは、SA7で設定した両種別取得区間内に存在するマッチング地点については、周辺環境が変化する時刻より前の時間帯において車両2が到達する区間に対応する種別と、周辺環境が変化する時刻より後の時間帯において車両2が到達する区間に対応する種別との、両方の種別の参照データ(すなわち、「日中用」及び「夜間用」の両方の種別の参照データ)を取得する。
【0063】
SA5又はSA9の処理の後、参照データ取得部61bは、マッチング地点に車両2が到達することが予測される時刻において、車両2の周辺の照度が通常とは異なるマッチング地点が存在するか否かを判定する(SA10)。
【0064】
例えば、繁華街に位置するマッチング地点については、周辺環境が「夜間」の場合、照明の影響等により車両2周辺の照度が他のマッチング地点よりも高いことが想定される。そこで、参照データ取得部61bは、地図情報DB62aに格納されている地図情報に基づき、マッチング地点が繁華街に位置している場合において、当該マッチング地点に車両2が到達することが予測される時刻が夜間である場合には、車両2の周辺の照度が通常とは異なるマッチング地点が存在すると判定する。
【0065】
また、地下駐車場や立体駐車場のような屋内のマッチング地点については、周辺環境が「日中」の場合、屋内であることの影響等により車両2周辺の照度が他のマッチング地点よりも低いことが想定される。そこで、参照データ取得部61bは、地図情報DB62aに格納されている地図情報に基づき、マッチング地点が屋内に位置している場合において、当該マッチング地点に車両2が到達することが予測される時刻が日中である場合には、車両2の周辺の照度が通常とは異なるマッチング地点が存在すると判定する。
【0066】
その結果、マッチング地点に車両2が到達することが予測される時刻において、車両2の周辺の照度が通常とは異なるマッチング地点が存在しない場合(SA10、No)、制御部61は参照データ取得処理を終了する。
【0067】
一方、マッチング地点に車両2が到達することが予測される時刻において、車両2の周辺の照度が通常とは異なるマッチング地点が存在する場合(SA10、Yes)、参照データ取得部61bは、当該マッチング地点について、当該マッチング地点の照度に対応する種別の参照データを取得する(SA11)。
【0068】
例えば、マッチング地点が繁華街に位置している場合において、当該マッチング地点に車両2が到達することが予測される時刻が夜間である場合には、そのマッチング地点について、参照データ取得部61bは「日中用」の参照データを取得する。
【0069】
また、マッチング地点が地下駐車場や立体駐車場のような屋内のマッチング地点である場合において、当該マッチング地点に車両2が到達することが予測される時刻が日中である場合には、そのマッチング地点について、参照データ取得部61bは「夜間用」の参照データを取得する。
【0070】
SA11の処理の後、制御部61は参照データ取得処理を終了する。
【0071】
なお、上述の参照データ取得処理において参照データ取得部61bにより取得された参照データは、車両2が走行予定経路を走行する際に適宜参照データDB62bから読み出され、撮影画像とのマッチングに利用される。
【0072】
(効果)
このように本実施の形態によれば、参照データ取得部61bは、撮影画像に影響を与える周辺環境をマッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する参照データを当該マッチング地点毎に取得するので、各マッチング地点について、周辺環境を考慮してマッチングに適した参照データのみを取得することができ、参照データの取得に要する通信コストの増大を抑制しつつ、撮影画像に影響を与える周辺環境に対応する適切な参照データを取得することができる。
【0073】
また、周辺環境は、時刻に応じて変化するものであり、参照データ取得部61bは、各マッチング地点に車両2が到達する時刻又は時間帯を予測し、当該予測した時刻又は時間帯に基づき、周辺環境をマッチング地点毎に特定するので、時刻に応じて変化する周辺環境に対応する適切な参照データをマッチング地点毎に取得することができる。
【0074】
また、参照データ取得部61bは、車両2が走行予定経路を走行中に周辺環境が変化する時刻を特定し、当該特定した時刻より前の時間帯において車両2が到達する区間におけるマッチング地点について取得する参照データの種別と、当該時刻より後の時間帯において車両2が到達する区間におけるマッチング地点について取得する参照データの種別とを異ならせるので、各マッチング地点が存在する区間の周辺環境に対応する適切な参照データをマッチング地点毎に取得することができる。
【0075】
また、参照データ取得部61bは、車両2が走行予定経路を走行中に周辺環境が変化する時刻の前後所定時間に車両2が到達する区間においては、周辺環境が変化する時刻より前の時間帯において車両2が到達する区間に対応する種別と、周辺環境が変化する時刻より後の時間帯において車両2が到達する区間に対応する種別との、両方の種別の参照データを取得するので、いずれの種別の参照データがより適切か不明な区間については両種別の参照データを取得することができ、当初予測した周辺環境とは異なる周辺環境になった場合であっても、実際の周辺環境に対応する種別の参照データを用いてマッチングを行うことが可能となる。
【0076】
また、参照データ取得部61bは、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度に基づき、両種別取得時間を決定するので、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度に応じた適切な長さの両種別取得区間を設定でき、必要な区間においてのみ両種別の参照データを取得することができる。
【0077】
また、参照データ取得部61bは、車両2の出発時刻から周辺環境が変化する時刻までの時間に基づき、周辺環境が変化する時刻に車両2が到達する地点を予測する際の予測精度を決定するので、車両2の出発時刻から周辺環境が変化する時刻までの時間に応じた適切な長さの両種別取得区間を設定でき、必要な区間においてのみ両種別の参照データを取得することができる。
【0078】
また、参照データ取得部61bは、車両2の周辺が日中又は夜間のいずれに該当するか、及び、車両2の周辺の天候の少なくともいずれかを、周辺環境としてマッチング地点毎に特定するので、車両2の周辺が日中又は夜間のいずれに該当するか、あるいは車両2の周辺の天候を考慮して、マッチングに適した参照データのみを取得することができる。
【0079】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0080】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0081】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、参照データ取得装置60におけるマッチング地点特定部61aや参照データ取得部61bを、センター装置3に設けてもよい。
【0082】
(参照データ取得処理について)
上述の実施の形態では、図2の参照データ取得処理において、参照データ取得部61bは、各マッチング地点における周辺環境が「日中」又は「夜間」のいずれであるかを特定し、当該特定した周辺環境に対応する種別の参照データを取得する場合を例として説明したが、参照データ取得部61bは、各マッチング地点における周辺環境として天候(例えば「晴天」又は「曇天・雨天」のいずれに該当するか等)を特定し、その天候に対応する種別(例えば「晴天用」又は「曇天・雨天用」)の参照データを取得するようにしてもよい。特に日中において、天候の相違が撮影画像のマッチングに影響を与えると考えられることから、各マッチング地点のうち、車両2が到達する時刻が日中となるマッチング地点について、当該マッチング地点の天候に対応する種別の参照データを取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 参照データ取得システム
2 車両
3 センター装置
10 経路探索部
20 現在位置検出処理部
30 操作部
40 ディスプレイ
50、70 通信部
60 参照データ取得装置
61、80 制御部
61a マッチング地点特定部
61b 参照データ取得部
62、90 データ記録部
62a 地図情報DB
62b、91 参照データDB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得装置であって、
前記車両の走行予定経路を特定し、当該特定した走行予定経路において前記撮影画像と前記参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、
前記撮影画像に影響を与える周辺環境を前記マッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する参照データを当該マッチング地点毎に取得する参照データ取得手段と、
を備える参照データ取得装置。
【請求項2】
前記周辺環境は、時刻に応じて変化するものであり、
前記参照データ取得手段は、前記各マッチング地点に前記車両が到達する時刻又は時間帯を予測し、当該予測した時刻又は時間帯に基づき、前記周辺環境を前記マッチング地点毎に特定する、
請求項1に記載の参照データ取得装置。
【請求項3】
前記参照データ取得手段は、前記車両が前記走行予定経路を走行中に前記周辺環境が変化する時刻を特定し、当該特定した時刻より前の時間帯において当該車両が到達する区間における前記マッチング地点について取得する前記参照データの種別と、当該時刻より後の時間帯において当該車両が到達する区間における前記マッチング地点について取得する前記参照データの種別とを異ならせる、
請求項2に記載の参照データ取得装置。
【請求項4】
前記参照データ取得手段は、前記車両が前記走行予定経路を走行中に前記周辺環境が変化する時刻の前後所定時間に当該車両が到達する区間においては、当該周辺環境が変化する時刻より前の時間帯において当該車両が到達する区間に対応する種別と、当該周辺環境が変化する時刻より後の時間帯において当該車両が到達する区間に対応する種別との、両方の種別の前記参照データを取得する、
請求項3に記載の参照データ取得装置。
【請求項5】
前記参照データ取得手段は、前記周辺環境が変化する時刻に前記車両が到達する地点を予測する際の予測精度に基づき、前記所定時間を決定する、
請求項4に記載の参照データ取得装置。
【請求項6】
前記参照データ取得手段は、前記車両の出発時刻から前記周辺環境が変化する時刻までの時間に基づき、前記予測精度を決定する、
請求項5に記載の参照データ取得装置。
【請求項7】
前記参照データ取得手段は、前記車両の周辺が日中又は夜間のいずれに該当するか、及び、前記車両の周辺の天候の少なくともいずれかを、前記周辺環境として前記マッチング地点毎に特定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の参照データ取得装置。
【請求項8】
車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得システムであって、
前記参照データと、前記撮影画像に影響を与える周辺環境に対応する当該参照データの種別を特定する種別情報とを、相互に関連付けて格納する参照データ格納手段と、
前記車両の走行予定経路を特定し、当該特定した走行予定経路において前記撮影画像と前記参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、
前記撮影画像に影響を与える周辺環境を前記マッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する種別の参照データを、前記参照データ格納手段から当該マッチング地点毎に取得する参照データ取得手段と、
を備える参照データ取得システム。
【請求項9】
車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得方法であって、
前記車両の走行予定経路を特定し、当該特定した走行予定経路において前記撮影画像と前記参照データとのマッチングを行う可能性のあるマッチング地点を特定するマッチング地点特定ステップと、
前記撮影画像に影響を与える周辺環境を前記マッチング地点毎に特定し、当該特定した周辺環境に対応する種別の参照データを当該マッチング地点毎に取得する参照データ取得ステップと、
を含む参照データ取得方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法をコンピュータに実行させる参照データ取得プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−15341(P2013−15341A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146745(P2011−146745)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】