説明

参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラム

【課題】誤認識となりうる参照データを用いてマッチングを行うことを防止しつつ、車両が進入する可能性のある地点については参照データを用いて漏れなくマッチングを行うことを可能とする、参照データ取得装置を提供すること。
【解決手段】参照データ取得装置50は、参照データと撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点の内、車両2の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定部51aと、マッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点への当該車両2の進入方向を特定する進入方向特定部51bと、車両2の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への当該車両2の進入方向と当該車両2の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する参照データを取得する参照データ取得部51cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションシステムにおいて、各種施設(駐車場、ガソリンスタンド、商業施設等)への車両の進入や退出を判定することが行われている。各種施設への車両の進入や退出を判定する方法としては、例えば、各種施設の位置情報(例えば緯度や経度等の座標情報)と、GPS(Global Positioning System)やジャイロセンサ等を用いて特定した車両の走行軌跡とを対比する方法が用いられている。
【0003】
例えば、地図データベースから読み込んだ地図データ等に基づき、自車両の走行軌跡を道路上に位置合わせすることで、自車両の道路上における現在位置を算出し、この算出した現在位置と、ジャイロセンサ及びステアリングセンサからの検出信号とに基づき、自車両が施設に立ち寄ったか否かを判定する、位置情報利用装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−14713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各種施設への車両の進入や退出を確実に判定するため、車両の現在位置を更に高精度に特定する方法として、車両の周辺を撮影した撮影画像を用いてマッチングを行う方法が考えられる。例えば、マッチングに用いるための参照データを予め用意しておき、車両の周辺を撮影した撮影画像における所定の特徴点が、いずれかの参照データにおける特徴点と一致する場合に、その参照データに関連付けられている位置を車両の現在位置として特定する。
【0006】
しかしながら、例えば単に車両の近傍に存在する施設に関連付けられている参照データと車両の周辺を撮影した撮影画像とを用いてマッチングを行う場合、当該施設に車両が進入する可能性が低いにも関わらずマッチングが行われてしまう可能性があった。その結果、車両の周辺を撮影した画像における所定の特徴点が、当該施設への進入を判定するための参照データにおける特徴点と偶然類似していた場合、実際には当該車両が当該施設に進入していないにも関わらず、当該車両が当該施設に進入したと判定されてしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、誤認識となりうる参照データを用いてマッチングを行うことを防止しつつ、車両が進入する可能性のある地点については参照データを用いて漏れなくマッチングを行うことを可能とする、参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の参照データ取得装置は、車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得装置であって、前記参照データと前記撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点の内、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、前記マッチング地点特定手段により特定されたマッチング地点への当該車両の進入方向を特定する、進入方向特定手段と、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する前記参照データを取得する参照データ取得手段と、を備える。
【0009】
また、請求項2に記載の参照データ取得装置は、請求項1に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該車両の進行方向に存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって前記所定範囲よりも狭い範囲に当該車両が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する。
【0010】
また、請求項3に記載の参照データ取得装置は、請求項2に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両が丁字路の突き当たりに向かって進行している場合において、当該丁字路の突き当たりに存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって前記所定範囲よりも狭い範囲に当該車両が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する。
【0011】
また、請求項4に記載の参照データ取得装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両が交差点を通過してからの走行距離が所定距離未満の場合、当該交差点から所定範囲内に存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する。
【0012】
また、請求項5に記載の参照データ取得装置は、請求項1から4のいずれか一項に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、交差点に接続する隣接道路間の角度が所定値未満の交差点を前記車両が通過し、当該隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離未満の場合、当該隣接道路の他方に沿って存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する。
【0013】
また、請求項6に記載の参照データ取得装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の参照データ取得装置において、前記参照データ取得手段は、前記車両が存在する道路に中央分離帯が設けられている場合、当該中央分離帯を挟んで当該車両とは反対側に位置するマッチング地点に対応する前記参照データを取得対象から除外する。
【0014】
また、請求項7に記載の参照データ取得システムは、車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得システムであって、前記参照データと、当該参照データと前記撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点への前記車両の進入方向を特定する方向情報とを、相互に関連付けて格納する参照データ格納手段と、前記マッチング地点の内、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、前記マッチング地点特定手段により特定されたマッチング地点への当該車両の進入方向を特定する、進入方向特定手段と、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する前記参照データを、前記参照データ格納手段から取得する参照データ取得手段と、を備える。
【0015】
また、請求項8に記載の参照データ取得方法は、車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得方法であって、前記参照データと前記撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点の内、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定ステップと、前記マッチング地点特定ステップで特定されたマッチング地点への当該車両の進入方向を特定する、進入方向特定ステップと、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する前記参照データを取得する参照データ取得ステップと、を含む。
【0016】
また、請求項9に記載の参照データ取得プログラムは、請求項8に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の参照データ取得装置、請求項7に記載の参照データ取得システム、請求項8に記載の参照データ取得方法、及び請求項9に記載の参照データ取得プログラムによれば、参照データ取得手段は、車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への車両の進入方向と車両の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する参照データを取得するので、マッチング地点への進入方向と車両の進行方向との関係に起因して、実際には車両が進入しないにも関わらず参照データと類似する画像が撮影される可能性が高いマッチング地点については、参照データの取得対象から除外することができ、誤認識となりうる参照データを用いてマッチングを行うことを防止することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、車両の進行方向に存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって所定範囲よりも狭い範囲に車両が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両の進入方向と車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、車両が進入する可能性のあるマッチング地点については参照データを用いて漏れなくマッチングを行うことができる。
【0019】
また、請求項3に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両が丁字路の突き当たりに向かって進行している場合において、丁字路の突き当たりに存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって所定範囲よりも狭い範囲に車両が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両の進入方向と車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、丁字路の突き当たりに存在するマッチング地点に車両が進入する可能性が高い場合には、当該マッチング地点について参照データを用いて確実にマッチングを行うことができる。
【0020】
また、請求項4に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両が交差点を通過してからの走行距離が所定距離未満の場合、当該交差点から所定範囲内に存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両の進入方向と車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、交差点での右左折直後のように、車両の現在位置と道路リンクとのマッチングのずれが発生しやすい範囲内のマッチング地点については参照データを取得し、当該取得した参照データ用いて確実にマッチングを行うことができる。
【0021】
また、請求項5に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、交差点に接続する隣接道路間の角度が所定値未満の交差点を車両が通過し、当該隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離未満の場合、当該隣接道路の他方に沿って存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両の進入方向と車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、車両の現在位置と道路リンクとの誤マッチングが発生しやすい範囲内のマッチング地点については参照データを取得し、当該取得した参照データを用いて確実にマッチングを行うことができる。
【0022】
また、請求項6に記載の参照データ取得装置によれば、参照データ取得手段は、車両が存在する道路に中央分離帯が設けられている場合、当該中央分離帯を挟んで車両とは反対側に位置するマッチング地点に対応する参照データを取得対象から除外するので、車両が進入する可能性が低いマッチング地点については、参照データの取得対象から除外することができ、誤認識となりうる参照データを用いてマッチングを行うことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係る参照データ取得システムを例示するブロック図である。
【図2】参照データ取得処理のフローチャートである。
【図3】図2に続く参照データ取得処理のフローチャートである。
【図4】例外設定処理のフローチャートである。
【図5】図4に続く例外設定処理のフローチャートである。
【図6】車両の現在位置及び進行方向、マッチング地点、並びに各マッチング地点への進入方向の関係を例示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る参照データ取得装置、参照データ取得システム、参照データ取得方法、及び参照データ取得プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(構成)
最初に、実施の形態に係る参照データ取得システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る参照データ取得システムを例示するブロック図である。図1に示すように、参照データ取得システム1は、参照データ取得装置50と、センター装置3とを含んで構成されている。
【0026】
(構成−参照データ取得装置)
参照データ取得装置50は、車両2(以下、必要に応じて「自車」)に搭載されており、図1に示すように、制御部51、及びデータ記録部52を備えている。また、車両2には、現在位置検出処理部10、操作部20、ディスプレイ30、及び通信部40が設けられており、これらは参照データ取得装置50に接続されている。
【0027】
(構成−参照データ取得装置−制御部)
制御部51は、参照データ取得装置50を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述するセンター装置3の制御部70についても同じ)。特に、本実施の形態に係る参照データ取得プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して参照データ取得装置50にインストールされることで、制御部51の各部を実質的に構成する。
【0028】
この制御部51は、機能概念的に、マッチング地点特定部51a、進入方向特定部51b、及び参照データ取得部51cを備えている。マッチング地点特定部51aは、参照データと撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点の内、車両2の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段である。進入方向特定部51bは、マッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点への車両2の進入方向を特定する進入方向特定手段である。参照データ取得部51cは、所定のマッチング地点に対応する参照データを取得する参照データ取得手段である。これらの制御部51の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0029】
(構成−参照データ取得装置−データ記録部)
データ記録部52は、参照データ取得装置50の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述するセンター装置3のデータ記録部80についても同じ)。
【0030】
このデータ記録部52は、地図情報データベース52a(以下、データベースをDBと略記する)、及び参照データDB52bを備えている。
【0031】
地図情報DB52aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、中央分離帯、ガードレール、建物等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ30に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0032】
参照データDB52bは、参照データ取得部51cによって取得された参照データを格納する。なお、参照データの具体的な内容や、参照データDB52bに参照データが格納されるタイミング等については後述する。
【0033】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部10は、参照データ取得装置50が搭載された車両2の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部10は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両2の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0034】
(構成−操作部)
操作部20は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部20の具体的な構成は任意であり、例えば、ディスプレイ30の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段を用いて操作部20を構成することができる。
【0035】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ30は、参照データ取得装置50の制御に基づいて各種情報の表示出力を行う出力手段である。なお、このディスプレイ30の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0036】
(構成−通信部)
通信部40は、センター装置3との間で、参照データを含む各種情報の通信を行うための通信手段であり、公知の通信装置を用いることができる。
【0037】
(構成−センター装置)
センター装置3は、図1に示すように、通信部60、制御部70、及びデータ記録部80を備えている。
【0038】
(構成−センター装置−通信部)
通信部60は、参照データ取得装置50との間で、車両2の通信部40を介して参照データを含む各種情報の通信を行うための通信手段であり、公知の通信装置を用いることができる。
【0039】
(構成−センター装置−制御部)
制御部70は、センター装置3を制御する制御手段である。
【0040】
(構成−センター装置−データ記録部)
データ記録部80は、センター装置3の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。このデータ記録部80は、参照データDB81を備えている。参照データDB81は、参照データと、当該参照データと撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点への車両2の進入方向を特定する方向情報とを、相互に関連付けて格納する参照データ格納手段である。参照データは、車両2の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いるためのデータであり、例えば、各種施設(駐車場、ガソリンスタンド、商業施設等)の進入口や退出口を撮影した画像データや、当該画像データから公知のアルゴリズムを用いてマッチングのための特徴点を抽出したテンプレートデータ等が用いられる。この参照データには、当該参照データを用いてマッチングを行う対象となる施設を特定する情報(例えば施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等)が付されている。また、方向情報は、マッチング地点への車両2の進入方向を特定するための情報である。例えば、マッチング地点への車両2の進入方向を示す方位(すなわち北を基準とした角度)が方向情報として用いられる。
【0041】
(処理−参照データ取得処理)
次に、このように構成された参照データ取得システム1によって実行される参照データ取得処理について説明する。図2及び図3は参照データ取得処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この参照データ取得処理は、例えば、参照データ取得装置50に電源が投入された場合に開始される。
【0042】
図2に示すように、参照データ取得処理が開始されると、マッチング地点特定部51aは現在位置検出処理部10を介して車両2の現在位置を特定する(SA1)。
【0043】
続いてマッチング地点特定部51aは、車両2の現在位置が道路リンク上にマッチングされているか否かを判定する(SA2)。ここで、「車両2の現在位置が道路リンク上にマッチングされている」とは、公知のマップマッチング技術を用いることにより、現在位置検出処理部10によって検出された車両2の現在位置が道路リンク上の地点に合わせ込まれていることを意味する。具体的には、現在位置検出処理部10は、GPS、ジャイロセンサ、距離センサ等から出力されたデータに基づき、車両2の位置と方位との現在までの履歴(以下、「推測軌跡」)を求める。この推測軌跡を車両2の現在位置の近傍における道路形状と比較することにより、推測軌跡と道路形状とが一致する道路リンク上の地点に車両2の現在位置をマッチングする。これにより、GPS、ジャイロセンサ、距離センサ等の誤差に起因して、道路からずれた位置に車両2の現在位置が検出された場合でも、当該車両2の現在位置を道路上に修正することができる。
【0044】
SA2の判定の結果、車両2の現在位置が道路リンク上にマッチングされている場合(SA2、Yes)、マッチング地点特定部51aは、車両2の現在位置がマッチングされている道路リンクを、車両2が存在する道路リンク(以下、必要に応じて「自車存在道路リンク」)として設定する(SA3)。
【0045】
一方、車両2の現在位置が道路リンク上にマッチングされていない場合(SA2、No)、マッチング地点特定部51aは、最後に車両2の現在位置がマッチングされていた道路リンク(以下、必要に応じて「最終マッチング時の道路リンク」)を特定し(SA4)、当該特定した最終マッチング時の道路リンクを、自車存在道路リンクとして設定する(SA5)。
【0046】
SA3又はSA5の処理の後、マッチング地点特定部51aは、車両2の現在位置から所定範囲A(例えば、車両2の現在位置を中心とする半径50mの円)内に存在するマッチング地点を、地図情報DB52aを参照して特定する(SA6)。ここで、「車両2の現在位置」としては、SA1で現在位置検出処理部10により検出された現在位置を用いてもよく、あるいは、道路リンク上にマッチングされた現在位置を用いてもよい。例えばマッチング地点特定部51aは、地図情報DB52aを参照し、車両2の現在位置から所定範囲A内において車両2が立ち寄る可能性のある施設、具体的には、車両2の現在位置から所定範囲A内に存在する駐車場、ガソリンスタンド、商業施設等の各種施設を、マッチング地点として特定する。
【0047】
続いて参照データ取得部51cは、SA6で特定された各マッチング地点に対応する参照データを、参照データ取得部51cによる取得対象として設定する(SA7)。例えば参照データ取得部51cは、SA6で特定した各マッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等を、取得対象として設定した参照データを参照データDB81から取得するためのキーとしてRAMに記憶させる。
【0048】
次に、参照データ取得部51cは、自車存在道路リンクに対応する道路に中央分離帯が設けられているか否かを判定する(SA8)。例えば、参照データ取得部51cは地図情報DB52aを参照し、地図情報に基づいて自車存在道路リンクに対応する道路に中央分離帯が設けられているか否かを判定する。
【0049】
その結果、自車存在道路リンクに対応する道路に中央分離帯が設けられている場合(SA8、Yes)、参照データ取得部51cは、その中央分離帯を挟んで車両2とは反対側に位置するマッチング地点に対応する参照データを取得対象から除外する(SA9)。例えば参照データ取得部51cは、SA7において取得対象の参照データを参照データDB81から取得するためのキーとしてRAMに記憶させた識別情報、施設名称、座標情報等の内、自車存在道路リンクに対応する道路において中央分離帯を挟んで車両2とは反対側に位置するマッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等を、当該RAMから削除する。
【0050】
自車存在道路リンクに対応する道路に中央分離帯が設けられていない場合(SA8、No)、又はSA9の処理の後、進入方向特定部51bは、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点への車両2の進入方向を特定する(SA10)。具体的には、進入方向特定部51bは、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点に対応する方向情報を通信部40を介してセンター装置3の参照データDB81から取得し、当該取得した方向情報に基づき、各マッチング地点への車両2の進入方向を特定する。
【0051】
図3に進み、参照データ取得部51cは、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点の内、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差が所定値B(例えば30度)未満のマッチング地点に対応する参照データを、取得対象から除外する(SA11)。例えば参照データ取得部51cは、地図情報DB52aに格納されている地図情報に基づき、SA3又はSA5で設定された自車存在道路リンクの方向を特定し、当該特定した方向を車両2の進行方向とする。そして、当該車両2の進行方向と、SA10で特定した各マッチング地点への車両2の進入方向との角度差が、所定値B未満か否かを判定する。そして、SA7において取得対象の参照データを参照データDB81から取得するためのキーとしてRAMに記憶させた識別情報、施設名称、座標情報等の内、車両2の進行方向と進入方向との角度差が所定値B未満であったマッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等を、当該RAMから削除する。
【0052】
次に、参照データ取得部51cは地図情報DB52aを参照し、車両2の現在位置の前後所定距離C(例えば100m)内にノード点があるか否かを判定する(SA12)。ここで、「車両2の現在位置」としては、SA1で現在位置検出処理部10により検出された現在位置を用いてもよく、あるいは、道路リンク上にマッチングされた現在位置を用いてもよい。
【0053】
その結果、車両2の現在位置の前後所定距離C内にノード点がある場合(SA12、Yes)、参照データ取得部51cは例外設定処理を実行する(SA13)。
【0054】
(処理−例外設定処理)
ここで、例外設定処理について説明する。図4及び図5は、例外設定処理のフローチャートである。図4に示すように、例外設定処理が開始されると、参照データ取得部51cは、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点の中に、車両2の進行方向に存在するマッチング地点があるか否かを判定する(SB1)。例えば参照データ取得部51cは、車両2が丁字路の突き当たりに向かって進行しており、且つ、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたいずれかのマッチング地点が当該丁字路の突き当たりに存在する場合に、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点の中に、車両2の進行方向に存在するマッチング地点があると判定する。
【0055】
具体的には、参照データ取得部51cは、自車存在道路リンクが丁字路交差点に接続しており、当該丁字路交差点に接続する他の2本の道路がなす劣角が所定値(例えば150度)以上であり、且つ、車両2が当該丁字路交差点に向かって進行している場合に、車両2が丁字路の突き当たりに向かって進行していると判定する。この場合において、参照データ取得部51cは、丁字路交差点に接続する他の2本の道路を挟んで車両2の現在位置の反対側に位置する領域のうち、当該丁字路交差点から所定範囲(例えば丁字路交差点を中心とする半径30mの円)内に、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたいずれかのマッチング地点が存在する場合に、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点の中に、その丁字路の突き当たりに存在するマッチング地点があると判定する。
【0056】
SB1の判定の結果、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点の中に、車両2の進行方向に存在するマッチング地点がある場合(SB1、Yes)、参照データ取得部51cは、所定範囲Aよりも狭い範囲であって、車両2の進行方向に存在するマッチング地点への進入可能性が高い範囲を設定する(SB2)。例えば参照データ取得部51cは、自車存在道路リンクにおける車両2の進行方向前方に存在するノード点のうち、車両2の進行方向に存在するマッチング地点に最も近いノード点と、当該車両2の進行方向に存在するマッチング地点とを結ぶ線分を直径(又は半径)とした円を、当該車両2の進行方向に存在するマッチング地点への進入可能性が高い範囲として設定する。
【0057】
続いて参照データ取得部51cは、SB2で設定した車両2の進行方向に存在するマッチング地点への進入可能性が高い範囲内に車両2が存在するか否かを判定する(SB3)。例えば、SA1で現在位置検出処理部10により検出された車両2の現在位置、あるいは、道路リンク上にマッチングされた車両2の現在位置が、SB2で設定した車両2の進行方向に存在するマッチング地点への進入可能性が高い範囲内である場合、SB2で設定した車両2の進行方向に存在するマッチング地点への進入可能性が高い範囲内に車両2が存在すると判定する。
【0058】
その結果、SB2で設定した車両2の進行方向に存在するマッチング地点への進入可能性が高い範囲内に車両2が存在する場合(SB3、Yes)、参照データ取得部51cは、車両2の進行方向に存在するマッチング地点に対応する参照データを、当該マッチング地点への車両2の進入方向と進行方向との角度差に関わらず、取得対象として設定する(SB4)。例えば参照データ取得部51cは、車両2の進行方向に存在するマッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等については、図3のSA11でRAMから削除されたものであっても、当該マッチング地点に対応する参照データを参照データDB81から取得するためのキーとしてRAMに再度記憶させる。車両2の進行方向に存在するマッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等が既にRAMに記憶されており、削除されていない場合には、その情報をそのまま保持する。
【0059】
SB1において、SA6でマッチング地点特定部51aにより特定されたマッチング地点の中に、車両2の進行方向に存在するマッチング地点がない場合(SB1、No)、SB3において、SB2で設定した車両2の進行方向に存在するマッチング地点への進入可能性が高い範囲内に車両2が存在しない場合(SB3、No)、又はSB4の処理の後、参照データ取得部51cは、交差点に接続する隣接道路間の角度が所定値(例えば30度)未満の交差点(以下、必要に応じて「狭角分岐」)を車両2が通過し、当該隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離D(例えば100m)未満か否かを判定する(SB5)。例えば参照データ取得部51cは、現在位置検出部により特定された車両2の推測軌跡に基づき、狭角分岐を車両2が通過し、狭角分岐を構成する隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離D未満か否かを判定する。
【0060】
その結果、狭角分岐を車両2が通過し、狭角分岐を構成する隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離D未満である場合(SB5、Yes)、参照データ取得部51cは、隣接道路の他方に沿って存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差に関わらず、当該マッチング地点に対応する参照データを取得対象として設定する(SB6)。例えば参照データ取得部51cは、隣接道路の他方に沿って存在するマッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等については、図3のSA11でRAMから削除されたものであっても、当該マッチング地点に対応する参照データを参照データDB81から取得するためのキーとしてRAMに再度記憶させる。隣接道路の他方に沿って存在するマッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等が既にRAMに記憶されており、削除されていない場合には、その情報をそのまま保持する。
【0061】
SB5において、狭角分岐を車両2が通過していないか、若しくは狭角分岐を構成する隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離D未満ではない(所定距離D以上である)場合(SB5、No)、又はSB6の処理の後、参照データ取得部51cは、車両2がノード点を通過してからの走行距離が所定距離E(例えば100m)未満か否かを判定する(SB7)。例えば参照データ取得部51cは、現在位置検出部により特定された車両2の推測軌跡に基づき、車両2が交差点等のノード点を通過してからの走行距離が所定距離E未満か否かを判定する。
【0062】
その結果、車両2が最後にノード点を通過してからの走行距離が所定距離E未満である場合(SB7、Yes)、参照データ取得部51cは、車両2の現在位置が道路リンク上にマッチングされているか否かを判定する(SB8)。
【0063】
その結果、車両2の現在位置が道路リンク上にマッチングされている場合(SB8、Yes)、図5に進み、参照データ取得部51cは、車両2が最後に通過したノード点において、車両2が直進以外の方向(例えば右左折方向)に進行したか否かを判定する(SB9)。例えば参照データ取得部51cは、現在位置検出部により特定された車両2の推測軌跡に基づき、最後に通過したノード点を、車両2が直進以外の方向に進行したか否かを判定する。
【0064】
その結果、車両2が最後に通過したノード点において、車両2が直進以外の方向に進行した場合(SB9、Yes)、参照データ取得部51cは、当該ノード点を通過する前に車両2が走行していた道路の道路リンクに当該車両2がマッチングされていた際(以下、必要に応じて「前回マッチング時」)に当該参照データ取得部51cが取得対象に設定した参照データを、取得対象から除外する(SB10)。
【0065】
例えば参照データ取得部51cは、車両2がノード点を通過した際、前回マッチング時に最後に参照データ取得部51cが取得対象に設定した参照データを参照データDB81から取得するためのキー(すなわち、取得対象の参照データに対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等)を、RAM等に保持しておくものとする。この場合において、参照データ取得部51cは、SA7において取得対象の参照データを参照データDB81から取得するためのキーとしてRAMに記憶させた識別情報、施設名称、座標情報等の内、前回マッチング時に最後に参照データが取得対象に設定した参照データに対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等を、当該RAMから削除する。
【0066】
続いて参照データ取得部51cは、SB10で取得対象から除外した参照データの内、車両2が最後に通過したノード点から所定距離F(例えば、50m)未満のマッチング地点については、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差に関わらず、当該マッチング地点に対応する参照データを取得対象として設定する(SB11)。すなわち参照データ取得部51cは、SB10でRAMから削除した情報の内、車両2が最後に通過したノード点から所定距離F未満のマッチング地点に対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等については、当該マッチング地点に対応する参照データを参照データDB81から取得するためのキーとしてRAMに再度記憶させる。
【0067】
SB8において、車両2の現在位置が道路リンク上にマッチングされていない場合(SB8、No)、又はSB9において、車両2が最後に通過したノード点において、車両2が直進以外の方向に進行していない場合(車両2が直進方向に進行した場合)(SB9、No)、前回マッチング時に最後に参照データ取得部51cが取得対象に設定した参照データを、取得対象として保持する(SB12)。すなわち参照データ取得部51cは、前回マッチング時に最後に参照データ取得部51cが取得対象に設定した参照データを参照データDB81から取得するためのキー(すなわち、取得対象の参照データに対応する施設を一意に識別する識別情報、施設名称、座標情報等)を、RAM等に保持する。
【0068】
SB7において、車両2が最後にノード点を通過してからの走行距離が所定距離E未満ではない(所定距離E以上である)場合(SB7、No)、又はSB11若しくはSB12の処理の後、参照データ取得部51cは例外設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0069】
図3に戻り、SA13の処理の後、参照データ取得部51cは現時点で取得対象に設定されている参照データを参照データDB81から取得する(SA14)。すなわち参照データ取得部51cは、RAMに記憶されている識別情報、施設名称、座標情報等に対応する参照データを、通信部40を介してセンター装置3の参照データDB81から取得する。参照データ取得部51cは、当該取得した参照データを車両2の参照データDB52bに格納する。
【0070】
続いて制御部51は、SA14で参照データ取得部51cが取得した参照データ(すなわち車両2の参照データDB52bに格納された参照データ)と車両2の周辺を撮影した撮影画像とのマッチングを行う(SA15)。そして制御部51は、車両2の周辺を撮影した撮影画像における所定の特徴点が、SA14で参照データ取得部51cが取得した参照データの内のいずれかの参照データにおける特徴点と一致するか否かを判定する(SA16)。
【0071】
その結果、車両2の周辺を撮影した撮影画像における所定の特徴点が、SA14で参照データ取得部51cが取得した参照データの内のいずれの参照データにおける特徴点とも一致しない場合(SA16、No)、SA1に戻る。以降、SA14で参照データ取得部51cが取得した参照データの内のいずれかの参照データにおける特徴点と一致するまで、SA1からSA16の処理を繰り返す。
【0072】
一方、車両2の周辺を撮影した撮影画像における所定の特徴点が、SA14で参照データ取得部51cが取得した参照データの内のいずれかの参照データにおける特徴点と一致する場合(SA16、Yes)、制御部51は、撮影画像と特徴点が一致した参照データに対応するマッチング地点に車両2が進入したと特定する(SA17)。その後、制御部51は参照データ取得処理を修了する。
【0073】
図6は、車両2の現在位置及び進行方向、マッチング地点、並びに各マッチング地点への進入方向の関係を例示した平面図である。この図6において、車両2の現在位置が「1」であり、図2のSA6において、車両2の現在位置から所定範囲A内に存在するマッチング地点として「a」、「b」、及び「c」が特定されたものとする。この場合、図2のSA9において、中央分離帯を挟んで車両2とは反対側に位置するマッチング地点「c」に対応する参照データが取得対象から除外される。また、図3のSA11において、マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向とが一致しており、その角度差が所定値B未満であるマッチング地点「a」に対応する参照データも、取得対象から除外される。従って、マッチング地点「b」に対応する取得データが取得対象として設定され、図3のSA14において参照データDB81から取得され、SA15において撮影画像とのマッチングに用いられる。
【0074】
また、車両2の現在位置が「2」であり、図2のSA6において、車両2の現在位置から所定範囲A内に存在するマッチング地点として「a」、及び「b」が特定されたものとする。この場合、図3のSA11において、マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向とが一致しており、その角度差が所定値B未満であるマッチング地点「b」に対応する参照データが、取得対象から除外される。従って、マッチング地点「a」に対応する取得データが取得対象として設定され、図3のSA14において参照データDB81から取得され、SA15において撮影画像とのマッチングに用いられる。
【0075】
また、車両2の現在位置が「3」であり、図2のSA6において、車両2の現在位置から所定範囲A内に存在するマッチング地点として「d」、「e」、及び「g」が特定されたものとする。この場合、図3のSA11において、マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向とが一致しており、その角度差が所定値B未満であるマッチング地点「g」に対応する参照データが、取得対象から除外される。しかし、マッチング地点「g」に対応する参照データは、前回マッチング時に最後に参照データ取得部51cが取得対象に設定した参照データであるため、図5のSB12において取得対象として保持される。従って、マッチング地点「d」、「e」、及び「g」に対応する取得データが取得対象として設定され、図3のSA14において参照データDB81から取得され、SA15において撮影画像とのマッチングに用いられる。
【0076】
また、車両2の現在位置が「4」であり、図2のSA6において、車両2の現在位置から所定範囲A内に存在するマッチング地点として「e」、「f」、及び「g」が特定されたものとする。この場合、図3のSA11において、マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向とが一致しており、その角度差が所定値B未満であるマッチング地点「g」に対応する参照データが、取得対象から除外される。また、マッチング地点「g」に対応する参照データは、前回マッチング時に最後に参照データ取得部51cが取得対象に設定した参照データであることから、図5のSB10においても、取得対象から除外される。しかし、このマッチング地点「g」の位置は、車両2が最後に通過したノード点から所定距離F未満であることから、図5のSB11において当該マッチング地点「g」に対応する参照データが取得対象として設定される。従って、マッチング地点「e」、「f」、及び「g」に対応する取得データが取得対象として設定され、図3のSA14において参照データDB81から取得され、SA15において撮影画像とのマッチングに用いられる。
【0077】
また、車両2の現在位置が「5」であり、図2のSA6において、車両2の現在位置から所定範囲A内に存在するマッチング地点として「d」、及び「g」が特定されたものとする。この場合、図3のSA11において、マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向とが一致しており、その角度差が所定値B未満であるマッチング地点「d」に対応する参照データが、取得対象から除外される。しかし、車両2が丁字路の突き当たりに向かって進行しており、マッチング地点「d」が当該丁字路の突き当たりに存在しており、且つ、マッチング地点「d」に最も近いノード点と当該マッチング地点「d」とを結ぶ線分を直径とした円内に車両2が存在することから、図4のSB4において、マッチング地点「d」に対応する参照データが取得対象として設定される。従って、マッチング地点「d」、及び「g」に対応する取得データが取得対象として設定され、図3のSA14において参照データDB81から取得され、SA15において撮影画像とのマッチングに用いられる。
【0078】
(効果)
このように本実施の形態によれば、参照データ取得部51cは、車両2の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差が所定値B以上のマッチング地点に対応する参照データを取得するので、マッチング地点への進入方向と車両2の進行方向との関係に起因して、実際には車両2が進入しないにも関わらず参照データと類似する画像が撮影される可能性が高いマッチング地点については、参照データの取得対象から除外することができ、誤認識となりうる参照データを用いてマッチングを行うことを防止することができる。
【0079】
また、参照データ取得部51cは、車両2の現在位置から所定範囲A内に存在するマッチング地点の内、車両2の進行方向に存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって所定範囲Aよりも狭い範囲に車両2が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、車両2が進入する可能性のあるマッチング地点については参照データを用いて漏れなくマッチングを行うことができる。
【0080】
特に、参照データ取得部51cは、車両2が丁字路の突き当たりに向かって進行している場合において、丁字路の突き当たりに存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって所定範囲Aよりも狭い範囲に車両2が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、丁字路の突き当たりに存在するマッチング地点に車両2が進入する可能性が高い場合には、当該マッチング地点について参照データを用いて確実にマッチングを行うことができる。
【0081】
また、参照データ取得部51cは、車両2が交差点を通過してからの走行距離が所定距離E未満の場合、当該交差点から所定範囲F内に存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、交差点での右左折直後のように、車両2の現在位置と道路リンクとのマッチングのずれが発生しやすい範囲内のマッチング地点については参照データを取得し、当該取得した参照データ用いて確実にマッチングを行うことができる。
【0082】
また、参照データ取得部51cは、交差点に接続する隣接道路間の角度が所定値未満の交差点を車両2が通過し、当該隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離D未満の場合、当該隣接道路の他方に沿って存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への車両2の進入方向と車両2の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する参照データを取得するので、車両2の現在位置と道路リンクとの誤マッチングが発生しやすい範囲内のマッチング地点については参照データを取得し、当該取得した参照データを用いて確実にマッチングを行うことができる。
【0083】
また、参照データ取得部51cは、車両2が存在する道路に中央分離帯が設けられている場合、当該中央分離帯を挟んで車両2とは反対側に位置するマッチング地点に対応する参照データを取得対象から除外するので、車両2が進入する可能性が低いマッチング地点については、参照データの取得対象から除外することができ、誤認識となりうる参照データを用いてマッチングを行うことを防止することができる。
【0084】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0085】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0086】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、参照データ取得装置50におけるマッチング地点特定部51aや参照データ取得部51cを、センター装置3に設けてもよい。
【0087】
(参照データ取得処理について)
上述の実施の形態では、図3の参照データ取得処理のSA14において、参照データ取得部51cは、取得対象の参照データを通信部40を介してセンター装置3の参照データDB81から取得すると説明したが、例えば車両2の走行経路沿いのマッチング地点に対応する参照データを予め車両2の参照データDB52bに格納しておき、必要に応じて当該参照データDB52bから取得対象の参照データを取得し、撮影画像とのマッチングを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 参照データ取得システム
2 車両
3 センター装置
10 現在位置検出処理部
20 操作部
30 ディスプレイ
40、60 通信部
50 参照データ取得装置
51、70 制御部
51a マッチング地点特定部
51b 進入方向特定部
51c 参照データ取得部
52、80 データ記録部
52a 地図情報DB
52b、81 参照データDB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得装置であって、
前記参照データと前記撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点の内、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、
前記マッチング地点特定手段により特定されたマッチング地点への当該車両の進入方向を特定する、進入方向特定手段と、
前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する前記参照データを取得する参照データ取得手段と、
を備える参照データ取得装置。
【請求項2】
前記参照データ取得手段は、
前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該車両の進行方向に存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって前記所定範囲よりも狭い範囲に当該車両が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する、
請求項1に記載の参照データ取得装置。
【請求項3】
前記参照データ取得手段は、
前記車両が丁字路の突き当たりに向かって進行している場合において、当該丁字路の突き当たりに存在するマッチング地点であって、当該マッチング地点への進入可能性が高い範囲であって前記所定範囲よりも狭い範囲に当該車両が存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する、
請求項2に記載の参照データ取得装置。
【請求項4】
前記参照データ取得手段は、
前記車両が交差点を通過してからの走行距離が所定距離未満の場合、当該交差点から所定範囲内に存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の参照データ取得装置。
【請求項5】
前記参照データ取得手段は、
交差点に接続する隣接道路間の角度が所定値未満の交差点を前記車両が通過し、当該隣接道路の一方に進入してからの走行距離が所定距離未満の場合、当該隣接道路の他方に沿って存在するマッチング地点については、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差に関わらず当該マッチング地点に対応する前記参照データを取得する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の参照データ取得装置。
【請求項6】
前記参照データ取得手段は、
前記車両が存在する道路に中央分離帯が設けられている場合、当該中央分離帯を挟んで当該車両とは反対側に位置するマッチング地点に対応する前記参照データを取得対象から除外する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の参照データ取得装置。
【請求項7】
車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得システムであって、
前記参照データと、当該参照データと前記撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点への前記車両の進入方向を特定する方向情報とを、相互に関連付けて格納する参照データ格納手段と、
前記マッチング地点の内、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定手段と、
前記マッチング地点特定手段により特定されたマッチング地点への当該車両の進入方向を特定する、進入方向特定手段と、
前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する前記参照データを、前記参照データ格納手段から取得する参照データ取得手段と、
を備える参照データ取得システム。
【請求項8】
車両の周辺を撮影した撮影画像のマッチングに用いる参照データを取得するための参照データ取得方法であって、
前記参照データと前記撮影画像とのマッチングが行われる可能性のあるマッチング地点の内、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点を特定するマッチング地点特定ステップと、
前記マッチング地点特定ステップで特定されたマッチング地点への当該車両の進入方向を特定する、進入方向特定ステップと、
前記車両の現在位置から所定範囲内に存在するマッチング地点の内、当該マッチング地点への当該車両の進入方向と当該車両の進行方向との角度差が所定値以上のマッチング地点に対応する前記参照データを取得する参照データ取得ステップと、
を含む参照データ取得方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法をコンピュータに実行させる参照データ取得プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29354(P2013−29354A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164300(P2011−164300)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】