説明

双方向受信機管理サーバ、双方向デジタル放送受信機および双方向デジタル放送受信機の設定方法

【課題】双方向デジタル放送受信機の数が膨大になると、SNMPのポーリングによる方法では、ポーリング周期が長くなり、ポーリング時に双方向デジタル放送受信機が電源OFFであったりした場合は、設定を行うことができず、設定効率が悪い。
【解決手段】双方向デジタル放送受信機160の設定情報と設定情報識別情報とを保持する保持部101と、設置情報要求を受信し、受信した設置情報要求に対して設定情報と設定情報識別情報とを送信する通信部103と、通信部103から設置情報要求を受信すると、設置情報要求に含まれる受信機識別情報、受信機機種識別情報、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報のいずれかの情報に対応する設置情報と設定情報識別情報とを保持部101から選択し通信部103に通知する処理部102と、からなる双方向受信機管理サーバ100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCATV(ケーブルTV)等の双方向デジタル放送システムにおける双方向デジタル放送受信機の設定をSNMP(シンプル・ネットワーク・マネジメント・プロトコル)を用いて行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの広がりに伴い、デジタル放送受信機にもモデムを搭載した双方向デジタル放送受信機が一般化しつつある。これにより、双方向デジタル放送受信機の受信チャンネル等のステータス情報をケーブルTV局が知る目的で、特許文献1に記載されているようなSNMPによる情報収集のしくみが提案されている。さらにこのしくみを利用し、双方向デジタル放送受信機の設定を行うことが考えられる。
【0003】
図7は、CATVにおける双方向デジタル放送受信機の設定を、SNMPを用いて行うシステムの構成を示すものである。
【0004】
SNMPマネージャ710は、双方向デジタル放送受信機720のMAC(メディア・アクセス・コントロール)アドレスから、DHCP(ダイナミック・ホスト・コンフィギュレーション・プロトコル)サーバ(図示せず)に、対応するIP(インターネットプロトコル)アドレスを問い合わせ、取得したIPアドレス宛にCMTS(ケーブルモデム終端システム)130を経由し、CATVの伝送路150に接続された双方向デジタル放送受信機720に対してアクセスを行い、MIB(マネジメント・インフォメーション・ベイス)情報によりステータス情報等の情報収集および設定を行う。SNMPマネージャ710は、伝送路150に複数接続された双方向デジタル放送受信機720に対して順次ポーリングを行い、上記の処理を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−282210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成では、双方向デジタル放送受信機の数が数十万から百数十万となり、膨大になると、SNMPのポーリングによる方法では、ポーリング周期が長くなり、ポーリング時に双方向デジタル放送受信機が電源OFFであったりした場合は、設定を行うことができず、いわゆる無駄打ちが発生し、設定効率が悪く、場合によっては設定できないという問題があった。また、双方向デジタル放送受信機のIPアドレスはDHCPによって付与されるため、一旦接続が切られた後再接続すると新たなIPアドレスが付与されるため、双方向受信機管理サーバから双方向デジタル放送受信機にアクセスするためには、DHCPサーバに個々の双方向デジタル放送受信機のIPアドレスを定期的に問い合わせ、最新の情報を管理する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の双方向受信機管理サーバは、双方向デジタル放送受信機の受信機識別情報と、受信機機種識別情報と、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報とのいずれかの情報に対応する双方向デジタル放送受信機の設定情報と、前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを保持する保持部と、受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを含む設置情報要求を受信し、また、前記受信した受信機情報に対して設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを送信する通信部と、前記通信部から設置情報要求を受信すると、前記設置情報要求に含まれる受信機識別情報、受信機機種識別情報、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報のいずれかの情報に対応する設置情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを前記保持部から選択し前記通信部に通知する処理部と、からなる。
【0008】
また、本発明の双方向受信機管理サーバにおいて、前記通信部は、さらに、受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報と設定情報識別情報とを含む更新情報要求を受信し、前記処理部は、前記通信部から更新情報要求を受信すると、前記保持部に保持し前記更新情報要求に含まれる受信機識別情報、受信機機種識別情報、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報のいずれかの情報に対応する設置情報を識別する設定情報識別情報と、前記通信部で受信した更新情報要求に含まれる設定情報識別情報とを比較し、前記通信部で受信した更新情報要求に含まれる設定情報識別情報が古い場合、前記保持部に保持する前記設置情報と設定情報識別情報とを前記通信部に通知し、前記通信部で受信した更新情報要求に含まれる設定情報識別情報と同じまたは新しい場合、該当する設定情報はない旨を前記通信部に通知する。
【0009】
本発明の双方向受信機管理サーバによれば、SNMPのポーリングによる方法に比べ、双方向デジタル放送受信機からのアクセスに応答して設定情報、更新情報を送信するため、双方向受信機管理サーバ側で膨大で変化する双方向デジタル放送受信機のモデムのIPアドレスを管理する必要がなく、小規模なシステムで双方向デジタル放送受信機の設置設定、更新設定が可能であり、また、双方向デジタル放送受信機が電源OFFなどで設置設定、更新設定できないという状況を回避し、設定効率を高めることができる。
【0010】
また、本発明の双方向デジタル放送受信機は、受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを保持する保持部と、前記保持部に保持する受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを含む設置情報要求を送信し、また、前記送信した設置情報要求に対して設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報を受信する通信部と、前記通信部で受信した設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報を前記保持部に保持させ、前記保持部に保持させた設定情報に基づき設定を行う処理部と、からなる。
【0011】
また、本発明の双方向デジタル放送受信機において、前記通信部は、さらに、前記保持部に保持する受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報と設定情報識別情報とを含む更新情報要求を送信し、また、前記送信した更新情報要求に対して新たな設定情報と前記新たな設定情報を識別する設定情報識別情報とを受信し、前記処理部は、前記通信部で受信した新たな設定情報と前記新たな設定情報を識別する設定情報識別情報とを前記保持部に保持させ、前記保持部に保持させた新たな設定情報に基づき設定を行う。
【0012】
本発明の双方向デジタル放送受信機によれば、自身からのアクセスに応答して双方向受信機管理サーバから設置情報、更新情報が送信されるので、双方向デジタル放送受信機が電源OFFなどで設置設定、更新設定がされないとう状況を回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の双方向受信機管理サーバによれば、SNMPのポーリングによる方法に比べ、双方向デジタル放送受信機からのアクセスに応答して設定情報、更新情報を送信するため、双方向受信機管理サーバ側で膨大で変化する双方向デジタル放送受信機のモデムのIPアドレスを管理する必要がなく、小規模なシステムで双方向デジタル放送受信機の設置設定、更新設定が可能であり、また、双方向デジタル放送受信機が電源OFFなどで設置設定、更新設定できないという状況を回避し、設定効率を高めることができる。
【0014】
また、本発明の双方向デジタル放送受信機によれば、自身からのアクセスに応答して双方向受信機管理サーバから設置情報、更新情報が送信されるので、双方向デジタル放送受信機が電源OFFなどで設置設定、更新設定がされないとう状況を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における双方向受信機管理システムの構成図
【図2】本発明における双方向受信機管理サーバの保持部が保持する設定データの構成図
【図3】本発明における設置情報要求時の通信電文および応答通信電文の構成図
【図4】本発明における更新情報要求時の更新通信電文および更新応答通信電文の構成図
【図5】本発明における設置情報要求時の双方向受信機管理サーバの処理フロー図
【図6】本発明における更新情報要求時の双方向受信機管理サーバの処理フロー図
【図7】従来例によるSNMP設定システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1における双方向受信機管理システム1の構成図である。
【0018】
図1において、CATVの映像音声信号は、CATV局の放送設備120からMIX(混合器)140、変調器(図示せず)を経由し、CATVの伝送路150に送信され、双方向デジタル放送受信機160で受信される。
【0019】
映像音声信号は双方向デジタル放送受信機160の信号処理部164で処理され、表示部165を経由し、TV(テレビ)モニタ170で表示される。リモコン180を操作すると受信部166で制御信号を受信し、処理部162で処理される。
【0020】
保持部161には、受信機識別情報(例えば双方向デジタル放送受信機製造時に付与されるSTBID、双方向デジタル放送受信機に装着される限定受信制御カードの識別番号であるCASカードIDなど)、受信機機種識別情報(例えば双方向デジタル放送受信機の機種に付与されたモデルIDなど)、双方向受信機管理サーバ100から送信される設定情報および設定情報を識別する設定情報識別情報を保持する。
【0021】
処理部162は、ネットワークへの初期接続時、電源起動時または電源起動後一定時間(たとえば24時間)以上経過後や、あらかじめ双方向デジタル放送受信機ごとに決められた時刻等、定期的に通信部163を経由し、内蔵モデムまたは外付けモデム(図示せず)経由IP(インターネットプロトコル)通信でCMTS130経由双方向受信機管理サーバ100にアクセスを行う。
【0022】
なお、図1では双方向デジタル放送受信機160、TVモニタ170、リモコン180はユーザ宅に設置され、CATV局によっては、現状数十万から百数十万以上の規模であり、増加し続けている。端末110、双方向受信機管理サーバ100、CMTS130、MIX140含め放送設備120までがCATV局に設置される。
【0023】
双方向受信機管理サーバ100は、保持部101に、事前に端末110から双方向デジタル放送受信機160に設定する設定情報を保持し、また双方向デジタル放送受信機160から送信される情報を保持する。設定情報は放送設備120と連携し、双方向デジタル放送受信機160ごとの管理を行う加入者管理システムからの情報で設定してもよい。
【0024】
図2は、保持部101が保持するデータの構成例である。
【0025】
図2(a)から(c)は双方向デジタル放送受信機160に送信する情報であり、図2(d)は、双方向受信機管理サーバ100から双方向デジタル放送受信機160に対して設定情報を送信した際に設定記録として保持部101に保持する情報である。図2(e)は双方向デジタル放送受信機160から受信した際に受信機情報をデータとして保持するものである。双方向受信機管理サーバ100は、これらのデータ構成のデータを双方向デジタル放送受信機160の台数分、機種分または機種ごとのグループ分、保持部101に保持する。
【0026】
図2(a)の設定データ200は、受信機機種識別情報201、受信機機種識別情報201に対応する設定情報202および設定情報202を識別する設定情報識別情報203(例えばファイル名とバージョン番号)からなる。
【0027】
図2(b)の設定データ210は、データ200の構成に加え、双方向デジタル放送受信機160をグループ分けしたグループ識別情報211から構成される。グループ識別情報211としては、例えば、CATVのエリアに該当するCATVの伝送セグメントに割り当てられたCMTSのIPアドレス範囲や、複数の受信機機種識別情報201等を割当てる。これにより、例えば特定のエリア(グループ識別情報211)の特定の受信機モデル(受信機機種識別情報201)や、複数の受信機モデル(受信機機種識別情報201)に対して設定情報202を対応させる場合に使用できる。
【0028】
図2(c)の設定データ220は、双方向デジタル放送受信機160個別に設定情報202を保持する場合の構成である。受信機識別情報221、受信機識別情報221に対応する設定情報202、設定情報識別情報203からなる。
【0029】
図2(d)の設定データ230は、設定データ200、210または220の設定情報202を通知した場合に保持部101に保持する情報で、その保持内容は、受信機識別情報231、設定情報識別情報232、双方向受信機管理サーバ100が双方向デジタル放送受信機160の設置情報202を更新した年月日時等を示す更新時刻情報233である。
【0030】
図2(e)の受信機情報240は、双方向デジタル放送受信機160から受信した受信機識別情報241、受信機機種識別情報242、受信機識別情報241および受信機機種識別情報242以外の受信機情報243、設定情報識別情報244、双方向受信機管理サーバ100が双方向デジタル放送受信機160から後述する通信電文300を受信した年月日時等を示す受信時刻情報245からなる。受信機情報243として、双方向デジタル放送受信機160に割り当てられたIPアドレス、MACアドレス、インストールされているソフトウェアバージョン番号などである。従来SNMPで通知されていた受信機情報をSNMPの電文形式で掲載し、双方向受信機管理サーバ100でSNMP電文を解析するようにしても良い。
【0031】
図3(a)の通信電文300は、双方向デジタル放送受信機160がネットワークに初期接続した時に、双方向受信機管理サーバ100に設定情報を要求する際の設定情報要求の通信電文の一構成例であり、図3(b)の応答通信電文310は、双方向受信機管理サーバ100から双方向デジタル放送受信機160への設定情報要求の通信電文300に対する応答通信電文の一構成例である。
【0032】
双方向デジタル放送受信機160の起動後、処理部162は、ネットワーク接続時に、例えば保持部161に保持するネットワーク未接続フラグをチェックし、未接続フラグが有効の場合は、初期接続と判断し、保持部161に保持する双方向受信機管理サーバ100のURL(ユニフォーム・リソース・ロケータ)から、DNS(ドメイン・ネーム・システム)サーバ(図示しない)より取得したIPアドレス宛、双方向受信機管理サーバ100にアクセスする。初期接続後はネットワーク未接続フラグを無効にする。
【0033】
図3(a)において、通信電文300は、設置情報要求を示すコマンド識別情報である設置情報要求301、受信機識別情報302、受信機機種識別情報303、受信機識別情報302および受信機機種識別情報303以外の受信機情報304で構成される。双方向デジタル放送受信機160の通信部163経由で送信された通信電文300が、通信部103経由、処理部102で処理され、受信機情報として図2(e)で説明したように、双方向受信機管理サーバ100の保持部101に保持される。なお、設置情報要求時には図2(e)で説明した設定情報識別情報244は、未設定のためこの場合は通知されない。
【0034】
図3(b)において、応答通信電文310は、設定情報要求300に対する応答通信電文の一構成例である。応答通信電文310は、設置情報要求応答を示すコマンド識別情報である設置情報要求応答311、設置情報202および設定情報識別情報203で構成される。双方向受信機管理サーバ100は、受信した通信電文300に記載の受信機識別情報302や受信機機種識別情報303に合致する設定情報と設定情報識別情報を、保持部101に保持する図2(a)から(c)の設定データから検索し、検索した設定情報と設定情報識別情報が記載された応答通信電文310の例で示す応答通信電文を通信部103経由で双方向デジタル放送受信機160に送信する。
【0035】
図5において、双方向受信機管理サーバ100が、通信電文300(設置情報要求)を受信した場合の動作フローを記載する。
【0036】
双方向受信機管理サーバ100の処理部102は、通信電文300を受信すると(ステップS502)、受信した通信電文300の受信機識別情報302、受信機機種識別情報303、受信機情報304に含まれるIPアドレスから、保持部101に保持する対応する図2(a)、(b)または(c)で説明した設定情報202を検索する(ステップS503)。図2(c)に示す受信機識別情報221に対する個別の設定情報202が保持部101に保持されている場合は(ステップS504で有り)、該当する設定データ220の設定情報202、設定識別情報203を図3(b)の応答通信電文310として保持部101から通信部103に通知する(ステップS505)。一方、受信機識別情報221に対する個別の設定情報202が保持部101に保持されていない場合(ステップS504で無し)で、図2(b)に示すように受信機機種識別情報201に加え、グループ識別情報211が設定されている場合は(ステップS506で有り)、該当する設定データ210の設定情報202、設定識別情報203を図3(b)の応答通信電文310として保持部101から通信部103に通知する(ステップS507)。図2(a)に示す受信機機種識別情報201に対する設定情報202のみが設定されている場合は(ステップS506で無し)、該当する設定データ200の設定情報202、設定識別情報203を図3(b)の応答通信電文310として保持部101から通信部103に通知する(ステップS508)。
【0037】
通信部103は応答通信電文310を双方向デジタル放送受信機160に送信し、送信が成功すると処理部102は送信した該当受信機識別情報230(図2(d))を更新する(ステップS509)。
【0038】
双方向デジタル放送受信機160は、応答通信電文310を通信部163で受信し、処理部162で処理し、設定情報202、設定情報識別情報203を保持部161に保持し、設定内容を設定する。設定については、双方向デジタル放送受信機160の電源切断時等、運用に影響の生じないタイミングで行う。
【0039】
双方向デジタル放送受信機160が受信した設定情報202として、図3(c)に示すように、システム周波数202−1、各種放送ネットワーク設定(NIT取得周波数)202−2、各種アプリケーションサーバのURL202−3、放送設備120の限定受信制御の個別制御に使用されるEMM(エンタイトルメント・マネージメント・メッセージ)本体202−4、SNMP MIB情報202−5、最新ソフトウェアバージョン202−6などがある。
【0040】
双方向デジタル放送受信機160は、取得した最新ソフトウェアバージョン202−6と自装置にインストールされているソフトウェアバージョンを比較し、自装置のソフトウェアバージョンが古い場合は、202−3で指定されたソフトウェアダウンロードサイトにアクセスし、最新のソフトウェアをダウンロードし、更新する。
【0041】
なお、SNMP MIB情報202−5については、取り出したSNMP MIB情報を図7で説明した双方向デジタル放送受信機720と同様に双方向デジタル放送受信機160内の既存のSNMP MIB情報を処理する仕組みに通知することで、処理する。
【0042】
また、EMM本体202−4については、双方向デジタル放送受信機160が放送信号として受信し、双方向デジタル放送受信機160に装着された限定受信制御カードにEMM本体を通知し、限定受信制御カードでEMMを処理する既存の仕組みで処理する。
【0043】
このように、ファイル形式等による第一の電文形式の設定情報202に既存のSNMP MIB情報202−5や、EMM本体202−4による第二の電文形式の情報を記載して、送信し、双方向デジタル放送受信機160で既存のSNMP MIB情報や、EMM本体として処理することにより、既存の処理プログラムをそのまま利用することができ、プログラムの再利用性が高まり、開発効率(生産性)が向上する。
【0044】
以降、双方向デジタル放送受信機160の処理部162は、起動時または定期的に後述する更新情報要求を、通信部163を経由して、双方向受信機管理サーバ100に通知する。
【0045】
図4(a)に、更新情報を要求する場合の更新情報要求の電文例として更新通信電文400を示す。図4(b)、(c)は更新情報要求の応答電文例であり、図4(b)が更新すべき設定情報がある場合の応答更新通信電文410、図4(c)が更新すべき設定情報がない場合の応答更新通信電文420である。
【0046】
図4(a)において、更新通信電文400は、更新情報要求を識別するコマンド識別情報である更新情報要求401と、図3(a)で述べた受信機識別情報302、受信機機種識別情報303、受信機情報303に加え、既に図3(b)の応答通信電文310を受信しているため、設定情報識別情報402が追加になっている。
【0047】
図4(b)において、応答更新通信電文410は、更新情報要求への応答を示すコマンド識別情報である更新情報要求応答411、更新すべき設定情報202およびその設定情報識別情報203203を含む。
【0048】
図4(c)において、応答更新通信電文420は、上述の更新情報要求応答411と、更新すべき設定情報がない場合の設定情報なし情報421を含む。
【0049】
図6において、双方向受信機管理サーバ100が、更新通信電文400(更新情報要求)を受信した場合の動作フローを記載する。
【0050】
双方向受信機管理サーバ100の処理部102は、双方向デジタル放送受信機160から伝送路150経由、CMTS130で終端し、通信部103が更新通信電文400を受信すると(ステップS602)、更新通信電文400の受信機識別情報302、受信機機種識別情報303および受信機情報304に含まれるIPアドレスから、上述の通信電文300の場合と同様に、保持部101に保持する対応する図2(a)、(b)または(c)で説明した設定情報202を検索する(ステップS603)。
【0051】
次に、受信した更新通信電文400の設定情報識別情報402と、保持部101に保持する設定情報202に対応する設定情報識別情報203との新旧を比較し(ステップS604)、受信した設定情報識別情報402が、保持部101に保持する設定情報202の設定情報識別情報203より古い場合、保持部101に保持する設定情報202と設定情報識別情報203を図4(b)の応答更新通信電文410として、通信部103に渡す通知する(ステップS605)。通信部103は応答更新通信電文410を双方向デジタル放送受信機160に送信し、送信が成功すると処理部102は送信した該当受信機識別情報230(図2(d))を更新する(ステップS606)。
【0052】
一方、受信した更新通信電文400の設定情報識別情報402が、保持部101に保持する設定情報202の設定情報識別情報203と同じまたは新しい場合、設定情報なし情報421を図4(c)の応答更新通信電文420として、通信部103に通知する(ステップS607)。
【0053】
双方向受信機管理サーバ100の処理部102は、従来のSNMP MIB情報で設定していた設定情報について、双方向デジタル放送受信機160から設置情報要求または更新情報要求を受信するとファイル形式等による第一の電文形式の設定情報202に既存のSNMP MIB情報202−5による第二の電文形式の情報を記載して、通信電文を作成し、通信部103を経由して、応答通信電文310または応答更新通信電文410として応答する。
【0054】
本発明の双方向受信機管理サーバによれば、SNMPのポーリングによる方法に比べ、双方向デジタル放送受信機からのアクセスに応答して設定情報、更新情報を送信するため、双方向受信機管理サーバ側で膨大で変化する双方向デジタル放送受信機のモデムのIPアドレスを管理する必要がなく、小規模なシステムで双方向デジタル放送受信機の設置設定、更新設定が可能であり、また、双方向デジタル放送受信機が電源OFFなどで設置設定、更新設定できないという状況を回避し、設定効率を高めることができる。
【0055】
また、本発明の双方向デジタル放送受信機によれば、自身からのアクセスに応答して双方向受信機管理サーバから設置情報、更新情報が送信されるので、双方向デジタル放送受信機が電源OFFなどで設置設定、更新設定がされないとう状況を回避することができる。
【0056】
なお、双方向受信機管理サーバ100が、設定情報202に記載するEMM本体情報202−4を放送設備120から取得する手順について説明する。
【0057】
放送設備120にはCATV局に加入した加入者情報を管理する加入者管理システム、
限定受信の制御を行うCA(コンディショナル・アクセス)システムを備える。CAシステムは、加入者管理システムから情報を受け取り個別情報であるEMMを生成するEMM生成装置、番組情報に限定受信共通制御情報であるECM(エンタイトルメント・コントロール・メッセージ)を掲載するためのECM生成装置、映像音声情報にECM、EMMを多重しスクランブルを行うスクランブル装置から構成される。
【0058】
加入者管理システムからEMM生成装置への加入者情報の登録・更新は、新規契約、契約変更に伴い、都度実施される。そのため、更新されたEMMが都度および繰り返し送信されている。また、EMMには有効期限があるため、有効期限前の双方向デジタル放送受信機に対して、有効期限を更新したEMMを送信している。
【0059】
EMM生成装置は、更新した更新情報を定期的に双方向受信機管理サーバ100に送出し、その更新情報を双方向受信機管理サーバ100が参照する。更新情報には、前回の更新情報送出時以降の更新情報で構成し、更新された受信機識別情報、更新日付または有効期限を含む。具体的には処理部102が通信部103を経由し放送設備120内のEMM生成装置の更新情報を取得し、保持部101に受信機識別情報ごとに更新情報を上書き更新しながら保持する。
【0060】
双方向受信機管理サーバ100では、双方向デジタル放送受信機160からの、設置情報要求時、更新情報要求時、保持部101に保持する更新情報と前回の受信時刻情報245を比較参照し、該当受信機識別番号に対応する更新情報がある場合は、EMM生成装置に該当受信機識別情報に対応するEMM本体を要求し、取得したEMM本体202−4を設定情報202に含めて応答通信電文310または応答更新通信電文410を双方向デジタル放送受信機160に送信する。
【0061】
このように更新情報を元にEMM生成装置へのアクセスを行うことにより、EMM生成装置へのアクセス頻度を低下させ、EMM生成の負荷を下げることができる。
【0062】
また、本実施例において、双方向デジタル放送受信機160から双方向受信機管理サーバ100に対する通信プロトコルは、HTTP(ハイパー・テキスト・トランスファ・プロトコル)、HTTPS(ハイパー・テキスト・トランスファ・プロトコル・オーバ・セキュア・ソケット・レイヤ)、ソケット通信、SNMP等限定するものではない。
【0063】
また、設定情報202を設定データ200、210、220に分けて例示したが、これらを統合したデータ構造としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、SNMPのポーリングによる方法に比べ、双方向デジタル放送受信機からのアクセスに応答して設定情報、更新情報を送信するため、双方向受信機管理サーバ側で膨大で変化する双方向デジタル放送受信機のモデムのIPアドレスを管理する必要がなく、小規模なシステムで双方向デジタル放送受信機の設置設定、更新設定が可能であり、また、双方向デジタル放送受信機が電源OFFでなどで設置設定、更新設定できないという状況を解決し、設定効率を高めることができ、双方向受信機管理サーバおよび双方向デジタル放送受信機として有用である。
【符号の説明】
【0065】
100 双方向受信機管理サーバ
110 端末
120 放送設備
130 CMTS
140 MIX
150 伝送路
160 双方向デジタル放送受信機
200、210、220、230、240 保持データ
300 通信電文
310 応答通信電文
400 更新通信電文
410、420 更新応答通信電文

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向デジタル放送受信機の受信機識別情報と、受信機機種識別情報と、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報とのいずれかの情報に対応する双方向デジタル放送受信機の設定情報と、前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを保持する保持部と、
受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを含む設置情報要求を受信し、また、前記受信した受信機情報に対して設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを送信する通信部と、
前記通信部から設置情報要求を受信すると、前記設置情報要求に含まれる受信機識別情報、受信機機種識別情報、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報のいずれかの情報に対応する設置情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを前記保持部から選択し前記通信部に通知する処理部と、
からなる双方向受信機管理サーバ。
【請求項2】
前記通信部は、さらに、
受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報と設定情報識別情報とを含む更新情報要求を受信し、
前記処理部は、
前記通信部から更新情報要求を受信すると、前記保持部に保持し前記更新情報要求に含まれる受信機識別情報、受信機機種識別情報、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報のいずれかの情報に対応する設置情報を識別する設定情報識別情報と、前記通信部で受信した更新情報要求に含まれる設定情報識別情報とを比較し、
前記通信部で受信した更新情報要求に含まれる設定情報識別情報が古い場合、前記保持部に保持する前記設置情報と設定情報識別情報とを前記通信部に通知し、
前記通信部で受信した更新情報要求に含まれる設定情報識別情報と同じまたは新しい場合、該当する設定情報はない旨を前記通信部に通知する
ことを特徴とする請求項1記載の双方向受信機管理サーバ。
【請求項3】
受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを保持する保持部と、
前記保持部に保持する受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを含む設置情報要求を送信し、また、前記送信した設置情報要求に対して設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報を受信する通信部と、
前記通信部で受信した設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報を前記保持部に保持させ、前記保持部に保持させた設定情報に基づき設定を行う処理部と、
からなる双方向デジタル放送受信機。
【請求項4】
前記通信部は、さらに、
前記保持部に保持する受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報と設定情報識別情報とを含む更新情報要求を送信し、また、前記送信した更新情報要求に対して新たな設定情報と前記新たな設定情報を識別する設定情報識別情報とを受信し、
前記処理部は、
前記通信部で受信した新たな設定情報と前記新たな設定情報を識別する設定情報識別情報とを前記保持部に保持させ、前記保持部に保持させた新たな設定情報に基づき設定を行う
ことを特徴とする請求項3記載の双方向デジタル放送受信機。
【請求項5】
双方向デジタル放送受信機の受信機識別情報と、受信機機種識別情報と、受信機機種識別情報とグループ識別情報の組合せ情報とのいずれかの情報に対応する双方向デジタル放送受信機の設定情報と、前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを保持する双方向受信機管理サーバにおける双方向デジタル放送受信機の設定方法において、
受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを含む設置情報要求を受信するステップと、
前記受信した設置情報要求に含まれる受信機識別情報、受信機機種識別情報、受信機機種識別情報と受信機情報に対応するグループ識別情報の組合せ情報のいずれかの情報に対応する設置情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報とを選択し前記受信した受信機情報に対して送信するステップと、
からなる双方向受信機管理サーバにおける双方向デジタル放送受信機の設定方法。
【請求項6】
受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを保持する双方向デジタル放送受信機の設定方法において、
前記保持する受信機識別情報と受信機機種識別情報と受信機情報とを含む設置情報要求を送信するステップと、
前記送信した設置情報要求に対して設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報を受信するステップと、
前記受信した設定情報と前記設定情報を識別する設定情報識別情報を保持するステップと、
前記保持した設定情報に基づき設定を行うステップと、
からなる双方向デジタル放送受信機の設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77861(P2013−77861A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23883(P2010−23883)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】