説明

双方向定圧膨張弁及びその製造方法

【課題】従来よりコストダウンを図ることが可能な双方向定圧膨張弁及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の双方向定圧膨張弁10によれば、銅パイプ12の内部に対向部材13,13を収容し、銅パイプ12の一部を内側に膨出させた膨出係止部12Tを対向部材13の外周面に備えた係止溝13Cに係止した。これにより、銅パイプ12に1対の対向部材13が固定されると共に、その係止溝13Cの開口縁の角部に銅パイプ12が食い込んでメタルシールが施され、銅パイプ12の内部が一端側領域R1と中間領域R3と他端側領域R2とに区画される。このように、本発明によれば銅パイプ12と対向部材13との固定部分をメタルシールに兼用したので、Oリング3を備えた従来のものよりコストダウンを図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ回路の室外熱交換器と室内熱交換器の間に接続されて冷媒が双方向に流され、下流側の冷媒圧力を一定にすることが可能な双方向定圧膨張弁及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示した従来の双方向定圧膨張弁のボディは、1対の端部構成部材1,1と、円筒ケース2とから構成されている。端部構成部材1の一端側外周面にはOリング溝1Cが形成され、そこにOリング3が装着されている。そして、両端部構成部材1,1の一端部が円筒ケース2の両端部に嵌合された状態で円筒ケース2の両端開口縁が内側に折り曲げられている。また、各端部構成部材1にはそれぞれボール弁機構4が備えられると共に、端部構成部材1,1の間にベローズ5を主要部とした感圧可動部6が収容されている。そして、感圧可動部6の両端部から各ボール弁機構4,4に向かって1対の押圧シャフト7,7が延び、各押圧シャフト7,7がベローズ4の伸縮度に応じた押圧力で各ボール弁機構4,4のボール4A,4Aを押圧して弁開度が調節される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第4418271号公報(段落[0013]、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の双方向定圧膨張弁は製造コストが高かったので、コストダウン可能な新規な双方向定圧膨張弁の開発が求められていた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来よりコストダウンを図ることが可能な双方向定圧膨張弁及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る双方向定圧膨張弁(10)は、ヒートポンプ回路(90)の室内熱交換器(92A)と室外熱交換器(91A)との間に接続されて冷媒が双方向に流され、下流側の冷媒圧力を一定にすることが可能な双方向定圧膨張弁(10)において、冷媒が内側に流される銅パイプ(12)と、銅パイプ(12)の内側に収容されて互いに対向し、銅パイプ(12)の内部を一端側領域(R1)と中間領域(R3)と他端側領域(R2)とに区画する1対の対向部材(13)と、各対向部材(13)の外周面にそれぞれ形成された係止溝(13C)と、銅パイプ(12)の一部を内側に膨出変形させて各係止溝(13C)に係止しかつ銅パイプ(12)と対向部材(13)との間を密閉した1対の膨出係止部(12T)と、1対の対向部材(13)に貫通形成された1対の弁口(16A,16B)と、一端側領域(R1)内及び他端側領域(R2)内にそれぞれ配置されて、各弁口(16A,16B)を開閉する1対の弁体(19)と、各弁体(19)を弁口(16A,16B)側に付勢する1対の弁体付勢ばね(17)と、中間領域(R3)に収容され、1対の対向部材(13)の対向方向に直動可能な可動感圧部(30,40)と、可動感圧部(30,40)に設けられ、中間領域(R3)内の冷媒圧力に応じて1対の対向部材(13)の対向方向に弾性変形する感圧部材(34,41)と、1対の弁口(16A,16B)にそれぞれ遊嵌されて弁体(19)と可動感圧部(30,40)の両端部との間で突っ張り状態になり、感圧部材(34,41)の変形量に応じて弁体(19)を移動して弁口(16A,16B)の弁開度を変更する1対の当接シャフト(37)とを備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の双方向定圧膨張弁(10)において、1対の対向部材(13)の間で突っ張り状態になって、それら対向部材(13)を一定の間隔に位置決めする突張部材(13A)を備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の双方向定圧膨張弁(10)において、係止溝(13C)内で対向した1対の溝内側面(13N)のうち銅パイプ(12)の軸方向中央寄りの一方の溝内側面(13N)と対向部材(13)の外周面(13G)とがなす角部を面取りして形成されたテーパー面付き角部(13J)と、他方の溝内側面(13N)と対向部材(13)の外周面(13G)とがなす角部に設けられて、テーパー面付き角部(13J)より尖ったエッジ角部(13P)とが備えられたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)において、銅パイプ(12)には、両先端に向かうに従って徐々に縮径した1対のテーパー縮径部(12V)と、1対のテーパー縮径部(12V)より先端側に配置されて均一径をなして延びた1対の小径部(12W)とが備えられたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)において、可動感圧部(40)には、1対の対向部材(13)の対向方向に延びた感圧部材(41)としてのベローズ(41)と、ベローズ(41)の両端部を密閉した1対の可動対向盤(44)とが備えられたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)において、可動感圧部(30)には、1対の対向部材(13)の対向方向に延びた中間筒体(31)と、中間筒体(31)の両端を密閉し、中間領域(R3)の内部圧力に応じて変形する感圧部材(34)としての1対のダイヤフラム(34)とが備えられたところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)において、一方の弁口(16A)と当接シャフト(37)との隙間の開口面積を、他方の弁口(16B)と当接シャフト(37)との隙間の開口面積より広くしたところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明に係る双方向定圧膨張弁(10)の製造方法は、請求項1乃至7の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)の製造方法であって、径が均一になって直線状に延びた銅パイプ(12)の内側に、その銅パイプ(12)以外の双方向定圧膨張弁(10)の構成部品を収容し、銅パイプ(12)の外側のうち1対の係止溝(13C)に対応した部分に1対の弾性体リング(61)を嵌合すると共に1対の弾性体リング(61)の外側に各弾性体リング(61)の拡径変形を防止する拡径防止リング(62R)を嵌合して弾性体リング(61)を軸方向で押し潰すことで1対の膨出係止部(12T)を形成するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
[請求項1,5,6及び8の発明]
請求項1の双方向定圧膨張弁(10)では、銅パイプ(12)の内部に対向部材(13)を収容し、銅パイプ(12)の一部を内側に膨出させた膨出係止部(12T)を対向部材(13)の外周面に備えた係止溝(13C)に係止した。これにより、銅パイプ(12)に1対の対向部材(13)が固定されると共に、その係止溝(13C)の開口縁の角部に銅パイプ(12)が食い込んでメタルシールが施され、銅パイプ(12)の内部が一端側領域(R1)と中間領域(R3)と他端側領域(R2)とに区画される。このように、本発明によれば銅パイプ(12)と対向部材(13)との固定部分をメタルシールに兼用したので、Oリング(3)を備えた従来のものよりコストダウンを図ることができる。
【0014】
その膨出係止部(12T)を形成するためには、請求項8の発明のように直線状に延びた銅パイプ(12)の外側のうち1対の係止溝(13C)に対応した部分に弾性体リング(61)を嵌合しかつそれら弾性体リング(61)の外側に拡径防止リング(62R)を嵌合した状態にして弾性体リング(61)を軸方向で押し潰せばよい。これにより、銅パイプ(12)のうち係止溝(13C)に対応した部分が内側に膨出変形して膨出係止部(12T)が形成される。
【0015】
なお、請求項1の双方向定圧膨張弁(10)をヒートポンプ回路(90)に接続した場合の動作は以下のようである。即ち、ヒートポンプ回路(90)を冷房運転と暖房運転との何れか一方にして、冷媒が一端側領域(R1)、中間領域(R3)、他端側領域(R2)の順番に流れると、可動感圧部(30,40)は冷媒に押されて他端側領域(R2)側に移動する。すると、可動感圧部(30,40)の一端部が一端側領域(R1)側の対向部材(13)から離れ、可動感圧部(30,40)の他端部が他端側領域(R2)側の対向部材(13)に当接して位置決めされて、各弁体(19)と可動感圧部(30,40)の両端部との間で当接シャフト(37)が突っ張り状態になる。これにより、一端側領域(R1)側の弁体(19)は弁口(16A)に接近した位置で感圧部材(34,41)の変形状態に応じて移動する一方、他端側領域(R2)側の弁体(19)は、弁口(16B)から離れた位置に保持される。そして、中間領域(R3)内の冷媒圧力が比較的大きくなると、一端側領域(R1)側の弁体(19)が弁口(16A)に近づき、一端側領域(R1)の弁口(16A)を通過する冷媒の流量が絞られて、中間領域(R3)内の冷媒圧力が下がる。これとは逆に、中間領域(R3)内の冷媒圧力が比較的小さくなると、一端側領域(R1)側の弁口(16A)の弁開度が大きくなり、一端側領域(R1)の弁口(16A)を通過する冷媒の流量が増加して、中間領域(R3)内の冷媒圧力が上がる。これらにより、その弁口(16A)より下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。また、ヒートポンプ回路(90)を冷暖房を切り替えると、冷媒が流れる方向が逆転し、上記した場合と同様に、上流に位置した他端側領域(R2)側の弁口(16B)の弁開度が、中間領域(R3)の冷媒圧力に応じて変化し、その弁口(16B)より下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。
【0016】
また、可動感圧部(30,40)の構成としては、請求項5の発明のように、1対の対向部材(13)の対向方向に延びた感圧部材(41)としてのベローズ(41)と、ベローズ(41)の両端部を密閉した1対の可動対向盤(44)とを備えた構成にしてもよいし、請求項6の発明のように、1対の対向部材(13)の対向方向に延びた中間筒体(31)と、中間筒体(31)の両端を密閉し、中間領域(R3)の内部圧力に応じて変形する感圧部材(34)としての1対のダイヤフラム(34)とを備えた構成にしてもよい。
【0017】
[請求項2の発明]
請求項2の構成によれば、1対の対向部材(13)の間で突張部材(13A)が挟まれて、それら対向部材(13)が一定の間隔に位置決めされるので、双方向定圧膨張弁(10)の性能が安定する。
【0018】
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、膨出係止部(12T)を形成する際に、係止溝(13C)のエッジ角部(13P)が銅パイプ(12)に食い込んで係止し、銅パイプ(12)の一部がテーパ面付き角部(13J)上を摺接して係止溝(13C)内に入り込む。これにより膨出係止部(12T)にて対向部材(13)同士が互いに接近する側に押され、対向部材(13)同士の間隔のばらつきが抑えられる。
【0019】
[請求項4の発明]
請求項4の構成によれば、銅パイプ(12)の両端側に1対のテーパー縮径部(12V)を設けて縮径し、銅パイプ(12)の両端部に1対の小径部(12W)を備えたので、双方向定圧膨張弁(10)の両端部を、室外及び室内の熱交換器(91A,92A)から延びた一般的な冷媒用銅パイプに接続したり、或いは、室外及び室内の熱交換器(91A,92A)に直接接続することができる。
【0020】
[請求項7の発明]
請求項7の双方向定圧膨張弁(10)のように、暖房冷房いずれかの運転時に下流側に位置する一方の弁口(16A)と当接シャフト(37)との隙間の開口面積を、他方の弁口(16B)と当接シャフト(37)との隙間の開口面積より広くしてもよい。これにより、暖房冷房の何れか一方の運転時に双方向定圧膨張弁(10)にて制御されて流される冷媒流量が、他方の運転時に制御されて流される冷媒流量より大きくなり、比較的に大流量(大容量)を必要とする暖房運転時になどに適切に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1に示された本実施形態の双方向定圧膨張弁10のボディ10Bは、銅パイプ12の内部に1対の対向部材13,13を組み付けてなる。
【0022】
銅パイプ12は、例えば、断面円形をなして真っ直ぐ延びている。そして、銅パイプ12のうち両端寄り位置には、両先端に向かうに従って徐々に縮径した1対のテーパー縮径部12V,12Vが形成され、それら1対のテーパー縮径部12V,12Vより先端側には、均一径をなして延びた1対の小径部12W,12Wが形成されている。
【0023】
両対向部材13,13は、銅パイプ12内に嵌合可能な断面円形をなしている。また、一方の対向部材13(図1の上側の対向部材13)の外縁部からは、他方の対向部材13に向けて円筒壁13A(本発明に係る「突張部材」に相当する)が突出している。そして、他方の対向部材13には、一端部を縮径して嵌合部13Bが形成され、その嵌合部13Bを円筒壁13Aの内部に嵌合して対向部材13,13同士が互いに芯だしされている。また、円筒壁13Aの先端面が他方の対向部材13の段差部分に突き当てられて、対向部材13,13同士の間隔が一定の大きさになるように位置決めされている。
【0024】
各対向部材13の外周面には係止溝13Cが全周に亘って形成されている。図6に示すように、係止溝13C内で対向した1対の溝内側面13N,13Nのうち銅パイプ12の軸方向中央寄りの一方の溝内側面13Nと対向部材13の外周面13Gとがなす角部は、面取りされて本発明に係るテーパー面付き角部13Jになっている。また、1対の溝内側面13N,13Nのうち銅パイプ12の端部寄りの他方の溝内側面13Nと対向部材13の外周面13Gとがなす角部には、テーパー面付き角部13Jより尖ったエッジ角部13Pが備えられている。そして、銅パイプ12の中間部分における軸方向の2箇所には、銅パイプ12の一部を周方向全体に亘って内側に膨出させて1対の膨出係止部12T,12Tが形成され、これら膨出係止部12Tが各対向部材13の係止溝13C内に係合している。これにより、対向部材13,13が銅パイプ12内に位置決め固定されると共に、エッジ角部13Pが銅パイプ12に食い込んでメタルシールが施され、対向部材13,13の外周面と銅パイプ12の内周面との隙間が塞がれている。そして、銅パイプ12の内部が1対の対向部材13,13により一端側領域R1と中間領域R3と他端側領域R2とに区画されている。
【0025】
対向部材13,13の中心部には、弁口16A,16Bが形成されている。これら弁口16A,16Bは、開口形状が共に円形になっており、互いに同軸上に配置されている。そして、これら弁口16A,16Bを通して冷媒が一端側領域R1と中間領域R3との間、中間領域R3と他端側領域R2との間を流れる。また、一方の弁口16Aにおける一端側領域R1側の開口縁及び他方の弁口16Bにおける他端側領域R2側の開口縁には、テーパー状の弁座16Zが形成されている。
【0026】
中間領域R3内には、可動感圧部40が収容されている。図2に示すように、可動感圧部40は、1対の対向部材13,13の間に延びたベローズ41を備えてなる。そして、ベローズ41の両端部が1対の可動対向盤44,44にて密閉されて、そのベローズ41内が真空や大気圧等の一定圧力に保たれている。
【0027】
両可動対向盤44,44は、全体として円板状をなし、互いの対向面に円形突部44Aを有する。円形突部44Aには、延長筒部材43が固定されている。延長筒部材43は、一端有底の円筒状をなし、その開放端を円形突部44Aに嵌合した状態にして(圧入又は溶接により)固定されている。
【0028】
延長筒部材43,43の外側には、感圧補助ばね42が挿通されて、その感圧補助ばね42が可動対向盤44,44の間で突っ張り状態になっている。また、両延長筒部材43の底壁43Bには、貫通孔43Aが貫通形成されている。そして、一端にヘッド部48Hを有したガイドピン48が、一方の延長筒部材43の内側から両貫通孔43A,43Aに挿通されて他方の延長筒部材43の内部に突入している。また、他方の延長筒部材43内でガイドピン48の先端に備えたリング溝48Mにストッパリング49が装着され、ヘッド部48Hとストッパリング49とによりガイドピン48が貫通孔43A,43Aに抜け止めされている。また、これら延長筒部材43,43、ガイドピン48及びストッパリング49によって芯ずれ規制機構45が構成されている。そして、この芯ずれ規制機構45と感圧補助ばね42とにより、常には両延長筒部材43,43の底壁43B,43B同士が隙間を介して対向し、その隙間を狭めるようにしてベローズ41が圧縮変形可能になっている。
【0029】
一方の対向部材13に備えた前記円筒壁13Aの基端部内面には、奥側に向けて内径を徐々に縮径したガイド凹部13Tが形成されている。また、他方の対向部材13に備えた前記嵌合部13Bの外縁部からは扁平円筒壁13Xが突出形成され、その扁平円筒壁13Xの内面にも同様にガイド凹部13Tが形成されている。これらガイド凹部13T,13Tに対し、各可動対向盤44には、ガイド凹部13Tと略同一の角度で可動対向盤44の外径を徐々に縮径させたテーパーガイド部44Tが形成されている。そして、対向部材13,13の間で可動感圧部40が一端側に移動すると、ガイド凹部13Tとテーパーガイド部44Tとの摺接により可動対向盤44が弁口16A,16Bに対して芯だしされて、各可動対向盤44の端面が各対向部材13の端面に当接する。
【0030】
各対向部材13のうち可動対向盤44が当接する端面には、冷媒通過溝16Cが形成されている。冷媒通過溝16Cは一端が弁口16A(16B)に連通し、他端が可動対向盤44の外縁部より外側まで延びている。これにより、可動対向盤44の位置に拘わらず中間領域R3が弁口16A,16Bに常時連通している。
【0031】
各可動対向盤44のうち外面の中心からは当接シャフト37がそれぞれ起立しており、それら当接シャフト37が弁口16A,16Bに挿通して後述する球状の弁体19に突き合わされている。
【0032】
図1に示すように、各対向部材13,13には、中間領域R3内との反対面に端部筒壁14が突出形成されている。端部筒壁14の内面のうち先端寄り部分には、雌螺子部14Aが形成され、ここにナット15が螺合している。ナット15の中心部には貫通孔15Aが形成され、端部筒壁14の内部空間と一端側領域R1又は他端側領域R2とが連通している。
【0033】
各ナット15と各弁座16Zとの間には、ナット15側から順番に、弁体付勢ばね17、押圧部材18、球状の弁体19が収容されている。押圧部材18は、全体として円柱形状をなし、一端部を段付き状に拡径し、さらにその大径側の端面に球受凹部18Aを陥没形成した構造になっている。弁体付勢ばね17の一端部は、ナット15における貫通孔15Aの開口縁に突き当てられかつその開口縁から突出した環状突部(図示せず)によって芯だしされる一方、弁体付勢ばね17の他端部は、押圧部材18の小径部分に嵌合されている。そして、押圧部材18の球受凹部18Aにおける円錐形内面に弁体19が当接し、弁体付勢ばね17の弾発力によって弁体19を弁口16A,16B側に付勢している。
【0034】
本実施形態に係る双方向定圧膨張弁10の構成の説明は以上であり、次に、この双方向定圧膨張弁10を、図4に示したヒートポンプ回路90に組み付けた場合の動作について以下説明する。このヒートポンプ回路90は、例えば、一般家庭用のルームエアコンに備えられている。ヒートポンプ回路90には室外熱交換器91Aと室内熱交換器92Aとが備えられ、その室外熱交換器91Aは、ルームエアコンの室外機91に組み込まれる一方、室内熱交換器92Aは室内機92に組み込まれている。そして、1対の管路96A,96Bによってこれら室外熱交換器91Aと室内熱交換器92Aとの間が接続されて、室外熱交換器91A及び室内熱交換器92Aを含む冷媒循環路96が形成され、冷媒がこれら室外熱交換器91A及び室内熱交換器92Aを通過して冷媒循環路96を循環する。そして、冷媒が室外熱交換器91Aを通過する際に冷媒と外気との間で熱交換が行われ、冷媒が室内熱交換器92Aを通過する際に冷媒と室内の空気との間で熱交換が行われる。
【0035】
本実施形態の双方向定圧膨張弁10は、室外機91内に組み付けられると共に、室外熱交換器91Aと室内熱交換器92Aとの間を連絡する一方の管路96Aの途中に接続されている。そして、ボディ10Bのうち図1の上側に示した一端側領域R1が室外熱交換器91Aに常時連通する一方、図1の下側に示した他端側領域R2が室内熱交換器92Aに常時連通した状態になっている。また、室外機91側では、他方の管路96Bの途中に四方弁93を介して圧縮機94が接続されている。そして、ヒートポンプ回路90を冷房運転と暖房運転とに切り替えると、四方弁93が作動して、冷媒循環路96を流れる冷媒の向きが逆転する。
【0036】
さて、ヒートポンプ回路90の冷房運転時には、一方の管路96Aにおいては、冷媒が室内熱交換器92Aから室外熱交換器91Aに流され、このとき、双方向定圧膨張弁10においては、図2の矢印で示したように、冷媒が一端側領域R1、一方の弁口16A、中間領域R3、他方の弁口16B、他端側領域R2の順番に流れる。
【0037】
すると、中間領域R3内の可動感圧部40が冷媒に押されて他端側領域R2側(この場合は図2の下側)に移動し、可動感圧部40の一端部(即ち、一方の可動対向盤44)が一端側領域R1側の対向部材13から離れ、可動感圧部40の他端部(即ち、他方の可動対向盤44)が他端側領域R2の対向部材13に当接して位置決めされ、各弁体19,19と可動感圧部40の両端部との間で当接シャフト37,37が突っ張り状態になる。これにより、一端側領域R1側の弁体19は弁口16Aに接近した位置でベローズ41の伸縮状態に応じて移動する一方、他端側領域R2側の弁体19は、弁口16Bから離れた位置に保持される。そして、中間領域R3内の冷媒圧力が比較的大きくなると、一端側領域R1側の弁体19が弁口16Aに近づき、一端側領域R1の弁口16Aを通過する冷媒の流量が絞られて、中間領域R3内の冷媒圧力が下がる。これとは逆に、中間領域R3内の冷媒圧力が比較的小さくなると、一端側領域R1側の弁口16Aの弁開度が大きくなり、一端側領域R1の弁口16Aを通過する冷媒の流量が増加して、中間領域R3内の冷媒圧力が上がる。これらにより、その弁口16Aより下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。
【0038】
また、ヒートポンプ回路90を冷暖房を切り替えると、冷媒が流れる方向が逆転し、上記した場合と同様に、上流に位置した他端側領域R2側の弁口16Bの弁開度が、中間領域R3の冷媒圧力に応じて変化し、その弁口16Bより下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。
【0039】
ところで、本実施形態の双方向定圧膨張弁10は、以下のようにして製造される。即ち、図5に示すように、均一径をなして直線状に延びた銅パイプ12の内側に、その銅パイプ12以外の双方向定圧膨張弁10の構成部品(以下、双方向定圧膨張弁10の「内部構成部品」という)を収容する。
【0040】
次いで、銅パイプ12の外側のうち中間領域R3に対応した部分に中間剛体リング60を嵌合する。そして、図示しない組み付け治具によって銅パイプ12と中間剛体リング60とを位置決めして、銅パイプ12の軸方向の中心に中間剛体リング60を配置する。また、この組み付け治具によって、内部構成部品も銅パイプ12の軸方向の中心に位置決めする。
【0041】
次いで、銅パイプ12の両端部から1対の端部剛体リング62,62を嵌合する。端部剛体リング62のうち中間剛体リング60に対向した端面には、中心寄りに凹部62Aが形成され、その凹部62Aの外側部分が本発明に係る拡径防止リング62Rになっている。そして、凹部62A内に、本発明に係る弾性体リング61が収容され、その弾性体リング61の一端部が凹部62Aの奥面に当接する一方、他端部が拡径防止リング62Rの先端面から中間剛体リング60側に突出している。そして、各弾性体リング61が中間剛体リング60の端面に当接した状態で、各弾性体リング61が銅パイプ12内の係止溝13C及び係止溝13Cの近傍に対応した部分に配置される。
【0042】
次いで、両端部剛体リング62,62を中間剛体リング60に向けて押し付け、各弾性体リング61を軸方向で押し潰す。すると、弾性体リング61が縮径変形して銅パイプ12を軸中心に向かって加圧する。ここで、銅パイプ12のうち係止溝13Cに対応した部分は内側から支持されていないので、その係止溝13Cに対応した部分が弾性体リング61からの力によって内側に膨出し、膨出係止部12Tが形成される。
【0043】
詳細には、係止溝13Cにおけるエッジ角部13Pが銅パイプ12に食い込んでメタルシールが施されると共に対向部材13に銅パイプ12が係止する。一方、テーパ面付き角部13Jはテーパ面を備えて銅パイプ12が食い込み難くなっているので、銅パイプ12はテーパ面付き角部13J上を摺接し、そのテーパ面付き角部13J側から係止溝13C内に入り込む。これにより、銅パイプ12のうち両対向部材13,13の間に位置した部分が両側に引っ張られた状態になり、対向部材13,13同士が円筒壁13Aを介して押し付けられる。これにより、対向部材13,13内の間隔のばらつきが抑えられ、双方向定圧膨張弁10の性能が安定する。
【0044】
次いで、銅パイプ12の両端部を、スエージング加工し、銅パイプ12の両端部にテーパー縮径部12Vと小径部12Wとを形成し、双方向定圧膨張弁10が完成する。
【0045】
このように、本実施形態の双方向定圧膨張弁10によれば、銅パイプ12の内部に1対の対向部材13,13を収容し、銅パイプ12の一部を内側に膨出させた膨出係止部12Tを対向部材13の外周面に備えた係止溝13Cに係止したことにより、銅パイプ12に対向部材13,13が固定されると共に、その係止溝13Cの開口縁の角部に銅パイプ12が食い込んでメタルシールが施される。このように、銅パイプ12と対向部材13との固定部分をメタルシールに兼用したので、Oリング3を備えた従来のものよりコストダウンを図ることができる。しかも、双方向定圧膨張弁10の外面全体が銅パイプ12に覆われるので、外部への冷媒の漏れを確実に防ぐことができる。また、本実施形態の双方向定圧膨張弁10に備えた銅パイプ12は、両端側に1対のテーパー縮径部12V,12Vを備えて縮径され、両端部に1対の小径部12W,12Wを有するので、別途レデューサ等の接続部品を設けずに、双方向定圧膨張弁10の両端部を室外及び室内の熱交換器91A,92Aから延びた一般的な冷媒用銅パイプに接続したり、或いは、室外及び室内の熱交換器91A,92Aに直接接続することができる。この点においてもコストダウンを図ることができる。
【0046】
なお、本実施形態の双方向定圧膨張弁10のうち一方の弁口16Aと当接シャフト37との隙間の開口面積を、他方の弁口16Bと当接シャフト37との隙間の開口面積より広くしてもよい。このようにすれば、暖房冷房の何れか一方の運転時に双方向定圧膨張弁10にて制御されて流される冷媒流量が、他方の運転時に制御されて流される冷媒流量より大きくなり、比較的に大流量を必要とする暖房運転時になどに適切に対応することができる。
【0047】
[第2実施形態]
本実施形態の双方向定圧膨張弁10は、図7及び図8に示されており、可動感圧部30の構成が第1実施形態の可動感圧部40と異なる。以下、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明する。
【0048】
図7に示すように、可動感圧部30は、1対の対向部材13,13の間に延びかつ、弁口16A,16Bと同心上に配置された円筒状の中間筒体31を備えている。中間筒体31の両端開口縁からは側方にフランジ部31Fが張り出されている。中間筒体31の両端部と各対向部材13との間には、ダイヤフラム固定盤35が備えられている。ダイヤフラム固定盤35は、一端有底の扁平円筒形状をなし、扁平円筒壁部35Dの一端開口縁から側方にフランジ部35Fが張り出している。このフランジ部35Fは中間筒体31のフランジ部31Fと同形状をなし、これらフランジ部31F,35Fの間にダイヤフラム34の外縁部を挟み、両フランジ部31F,35F及びダイヤフラム34が溶接されている。
【0049】
各対向部材13,13には、可動感圧部30の両端部に対応して嵌合凹部13Dがそれぞれ陥没形成されている。また、一方の嵌合凹部13Dの奥面と他方の嵌合凹部13Dの奥面との間の距離は、可動感圧部30におけるダイヤフラム固定盤35,35の端面間の距離より大きくなっている。そして、両ダイヤフラム固定盤35,35の端部が嵌合凹部13D,13D内に嵌合した状態に保持され、可動感圧部30が対向部材13,13の間を直動する。
【0050】
ダイヤフラム固定盤35の底壁35Bにおける中心部には、シャフト挿通孔35Cが貫通形成されている。また、ダイヤフラム固定盤35の開口縁からダイヤフラム34に向けて筒状の過度変形防止部35Tが突出している。そして、過度変形防止部35Tの先端面がダイヤフラム34の中心部分に突き合わされて、ダイヤフラム34におけるダイヤフラム固定盤35側への過度の変形を防止している。
【0051】
ダイヤフラム34の外面のうち過度変形防止部35Tに囲まれた中心部からは、当接シャフト37がそれぞれ起立しており、それら当接シャフト37が過度変形防止部35T及び弁口16A,16Bに挿通して弁体19に突き合わされている。
【0052】
ダイヤフラム固定盤35の扁平円筒壁部35Dのうち、常に嵌合凹部13Dの外側に位置する部分には、複数の冷媒通過孔36が貫通形成されている。そして、冷媒通過孔36を通してダイヤフラム固定盤35の内外に冷媒が出入りして冷媒圧力がダイヤフラム34の外面に付与される。
【0053】
中間筒体31は、内部を真空や大気圧等の一定圧力に保つようになっている。また、中間筒体31における軸方向の中間部分には、内周面全体からばね係止壁31Aが突出形成されている。また、ダイヤフラム34の内面にはインナー支持盤33が宛がわれている。そして、中間筒体31の内部には、ばね係止壁31Aと両方のダイヤフラム34,34との間に1対の感圧補助ばね32が突っ張り状態にして備えられている。
【0054】
インナー支持盤33は、中心部がダイヤフラム34に向かって突出しており、その突出部分の先端面のみがダイヤフラム34に当接している。また、インナー支持盤33の外縁部は中間筒体31の内面に形成された段差部31Dに隙間を介して対向している。そして、ダイヤフラム34が中間筒体31の奥側に所定量まで撓んだ際に、インナー支持盤33と段差部31Dとが当接して、ダイヤフラム34の過度変形を防止する。
【0055】
本実施形態に係る双方向定圧膨張弁10の構成の説明は以上であり、次に、この双方向定圧膨張弁10を、図4に示したヒートポンプ回路90に組み付けた場合の動作について以下説明する。ヒートポンプ回路90の冷房運転時には、一方の管路96Aにおいては、冷媒が室内熱交換器92Aから室外熱交換器91Aに流され、このとき、双方向定圧膨張弁10においては、図7の矢印で示したように、冷媒が一端側領域R1、一方の弁口16A、中間領域R3、他方の弁口16B、他端側領域R2の順番に流れる。
【0056】
すると、中間領域R3内の可動感圧部30が冷媒に押されて他端側領域R2側(この場合は図7の下側)に移動し、一端側領域R1側の弁体19が弁口16Aに接近する一方、他端側領域R2側の弁体19は、弁口16Bから離され、各弁体19と各ダイヤフラム34との間で当接シャフト37が突っ張り状態になる。この状態で、中間領域R3内の冷媒圧力に応じてダイヤフラム34が変形すると、その変形に伴って各弁体19の弁口16A,16Bに対する位置が変化して弁開度が所定の範囲で変わる。
【0057】
ここで、下流に位置した他端側領域R2の弁体19は弁口16Bから離されて弁開度が大きくなっているので、その弁開度が所定の範囲で変化しても流量及び冷媒圧力への影響は小さい。これに対し、上流に位置した一端側領域R1の弁体19は弁口16Aに接近して弁開度が小さくなっているので、その弁開度が所定の範囲で変化した場合の流量及び冷媒圧力への影響は大きい。そして、中間領域R3内の冷媒圧力が比較的大きくなると、弁体19が弁口16Aに近づき、一端側領域R1の弁口16Aを通過する冷媒の流量が絞られて、中間領域R3内の冷媒圧力が下がる。これとは逆に、中間領域R3内の冷媒圧力が比較的小さくなると、一端側領域R1側の弁口16Aの弁開度が大きくなり、一端側領域R1の弁口16Aを通過する冷媒の流量が増加して、中間領域R3内の冷媒圧力が上がる。これらにより、その弁口16Aより下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。また、ヒートポンプ回路90を冷暖房を切り替えると、図8に示すように冷媒が流れる方向が逆転し、上記した場合と同様に、上流に位置した他端側領域R2側の弁口16Bの弁開度が、中間領域R3の冷媒圧力に応じて変化し、その弁口16Bより下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。
【0058】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
(1)前記第1実施形態では、弾性体リング61を用いて膨出係止部12Tを形成していたが、例えば、銅パイプ12のうち係止溝13Cに対応した部分の外面にローラーを押し付けることで銅パイプ12の一部を内側に膨出させて、膨出係止部12Tを形成してもよい。
【0060】
(2)前記第1及び第2の実施形態では、本発明の「突張部材」が円筒壁13Aで構成されていたが、本発明の「突張部材」を対向部材13,13の間で突っ張り状態になった複数の支柱で構成してもよい。
【0061】
(3)前記第1及び第2の実施形態では、当接シャフト37が可動感圧部30,40側に固定されていたが、当接シャフト37を弁体19側に固定した構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態に係る双方向定圧膨張弁の側断面図
【図2】冷房時の双方向定圧膨張弁の側断面図
【図3】暖房時の双方向定圧膨張弁の側断面図
【図4】ヒートポンプ回路の概念図
【図5】組み付け段階の双方向定圧膨張弁の側断面図
【図6】双方向定圧膨張弁の一部を拡大した側断面図
【図7】第2実施形態に係る双方向定圧膨張弁の側断面図
【図8】暖房時の双方向定圧膨張弁の側断面図
【図9】従来の双方向定圧膨張弁の側断面図
【符号の説明】
【0063】
10 双方向定圧膨張弁
12 銅パイプ
12T 膨出係止部
12V テーパー縮径部
12W 小径部
13 対向部材
13A 円筒壁(突張部材)
13B 嵌合部
13C 係止溝
13G 外周面
13J テーパー面付き角部
13N 溝内側面
13P エッジ角部
16A,16B 弁口
17 弁体付勢ばね
19 弁体
30,40 可動感圧部
31 中間筒体
34 ダイヤフラム(感圧部材)
37 当接シャフト
41 ベローズ(感圧部材)
44 可動対向盤
45 芯ずれ規制機構
61 弾性体リング
62R 拡径防止リング
90 ヒートポンプ回路
91A 室外熱交換器
92A 室内熱交換器
R1 一端側領域
R2 他端側領域
R3 中間領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ回路(90)の室内熱交換器(92A)と室外熱交換器(91A)との間に接続されて冷媒が双方向に流され、下流側の冷媒圧力を一定にすることが可能な双方向定圧膨張弁(10)において、
前記冷媒が内側に流される銅パイプ(12)と、
前記銅パイプ(12)の内側に収容されて互いに対向し、前記銅パイプ(12)の内部を一端側領域(R1)と中間領域(R3)と他端側領域(R2)とに区画する1対の対向部材(13)と、
前記各対向部材(13)の外周面にそれぞれ形成された係止溝(13C)と、
前記銅パイプ(12)の一部を内側に膨出変形させて前記各係止溝(13C)に係止しかつ前記銅パイプ(12)と前記対向部材(13)との間を密閉した1対の膨出係止部(12T)と、
前記1対の対向部材(13)に貫通形成された1対の弁口(16A,16B)と、
前記一端側領域(R1)内及び前記他端側領域(R2)内にそれぞれ配置されて、前記各弁口(16A,16B)を開閉する1対の弁体(19)と、
前記各弁体(19)を前記弁口(16A,16B)側に付勢する1対の弁体付勢ばね(17)と、
前記中間領域(R3)に収容され、前記1対の対向部材(13)の対向方向に直動可能な可動感圧部(30,40)と、
前記可動感圧部(30,40)に設けられ、前記中間領域(R3)内の冷媒圧力に応じて前記1対の対向部材(13)の対向方向に弾性変形する感圧部材(34,41)と、
前記1対の弁口(16A,16B)にそれぞれ遊嵌されて前記弁体(19)と前記可動感圧部(30,40)の両端部との間で突っ張り状態になり、前記感圧部材(34,41)の変形量に応じて前記弁体(19)を移動して前記弁口(16A,16B)の弁開度を変更する1対の当接シャフト(37)とを備えたことを特徴とする双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項2】
前記1対の対向部材(13)の間で突っ張り状態になって、それら対向部材(13)を一定の間隔に位置決めする突張部材(13A)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項3】
前記係止溝(13C)内で対向した1対の溝内側面(13N)のうち前記銅パイプ(12)の軸方向中央寄りの一方の前記溝内側面(13N)と前記対向部材(13)の外周面(13G)とがなす角部を面取りして形成されたテーパー面付き角部(13J)と、他方の前記溝内側面(13N)と前記対向部材(13)の外周面(13G)とがなす角部に設けられて、前記テーパー面付き角部(13J)より尖ったエッジ角部(13P)とが備えられたことを特徴とする請求項2に記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項4】
前記銅パイプ(12)には、両先端に向かうに従って徐々に縮径した1対のテーパー縮径部(12V)と、前記1対のテーパー縮径部(12V)より先端側に配置されて均一径をなして延びた1対の小径部(12W)とが備えられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項5】
前記可動感圧部(40)には、前記1対の対向部材(13)の対向方向に延びた前記感圧部材(41)としてのベローズ(41)と、前記ベローズ(41)の両端部を密閉した1対の可動対向盤(44)とが備えられたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項6】
前記可動感圧部(30)には、前記1対の対向部材(13)の対向方向に延びた中間筒体(31)と、前記中間筒体(31)の両端を密閉し、前記中間領域(R3)の内部圧力に応じて変形する前記感圧部材(34)としての1対のダイヤフラム(34)とが備えられたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項7】
一方の前記弁口(16A)と前記当接シャフト(37)との隙間の開口面積を、他方の前記弁口(16B)と前記当接シャフト(37)との隙間の開口面積より広くしたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)の製造方法であって、
径が均一になって直線状に延びた銅パイプ(12)の内側に、その銅パイプ(12)以外の前記双方向定圧膨張弁(10)の構成部品を収容し、
前記銅パイプ(12)の外側のうち前記1対の係止溝(13C)に対応した部分に1対の弾性体リング(61)を嵌合すると共に前記1対の弾性体リング(61)の外側に各弾性体リング(61)の拡径変形を防止する拡径防止リング(62R)を嵌合して前記弾性体リング(61)を軸方向で押し潰すことで前記1対の膨出係止部(12T)を形成することを特徴とする双方向定圧膨張弁(10)の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−225210(P2007−225210A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47911(P2006−47911)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】