説明

反射フィルム及び反射材

【課題】可視光領域の光を反射し、拡散反射させることもでき、それでいて紫外線領域の光は吸収することができる、新たな反射フィルムを提供する。
【解決手段】波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ微粉状充填剤を含有する白色フィルムの少なくとも反射使用面側に、屈折率の異なるベース樹脂からなる、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層してなる構成を備え、波長400nmの光の反射率が70%以上であり、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が当該全領域の波長にわたり50%以下である樹脂積層体を、積層してなる反射フィルムを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板などの構成部材として好適に使用することができる反射フィルム及び反射材に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイをはじめ、照明器具或いは照明看板など多くの分野で反射材が使用されている。最近では、特に液晶ディスプレイの分野において装置の大型化及び表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させることが求められている。そのために反射材に対しては、バックライトユニットの輝度向上及び輝度均一性の点から、より一層優れた光反射性(単に「反射性」ともいう)及び光拡散性(単に「拡散性」ともいう)が求められている。
【0003】
高い反射性及び拡散性を示す反射フィルムとしては、例えば、樹脂に微粉状充填剤を添加して形成されたフィルムを延伸することによって、フィルム内に微細な空隙を形成させ、光散乱反射を生じさせた白色フィルムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
この種の反射フィルムにおいて、光反射性は、ベース樹脂と微粉状充填剤の屈折率差、ベース樹脂と空隙の屈折率差、並びに、微粉状充填剤と空隙の屈折率差などで決定され、屈折率差が大きいほど高い光反射性が得られるため、屈折率の高い微粉状充填剤として酸化チタンが用いられている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
他方、組成の異なる2種類以上の樹脂層を交互に積層させてなる構成の反射フィルム等も知られている(例えば、特許文献3及び4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4688339号
【特許文献2】特許第4443515号
【特許文献3】特許第4310312号
【特許文献4】特許第3658518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、酸化チタンなどの微粉状充填剤は屈折率が高いため、これを反射フィルムに含有させることにより、優れた光反射性及び光拡散性を得ることができる。また、波長420nm以下の光を吸収するため、バックライトユニット光源の光に含まれる近紫外光を吸収して、バックライトユニット内の他部材への反射を抑制して当該部材の近紫外光による劣化を抑制することもできる。よって、このような点で、酸化チタンのような微粉状充填剤を含有してなる反射フィルムは、優れた光反射性、光拡散性、紫外線吸収能を示し、その有用性は高いといえる。しかしその一方で、近紫外波長領域に近い波長域の可視光、例えば波長400nm付近の光も吸収してしまうため、光源の光を十分に利用することができないという課題を抱えていた。
【0008】
他方、組成の異なる2種類以上の樹脂層を交互に積層させてなる構成の反射フィルムは、光を正反射するため光拡散性に劣っているため、例えば液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板などに用いる反射材としては必ずしも好適であるとは言えない。
【0009】
そこで本発明は、可視光領域の光を反射し、拡散反射させることもでき、それでいて紫外線領域の光は吸収することができる、新たな反射フィルムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ微粉状充填剤を含有する白色フィルムの少なくとも反射使用面側に、
屈折率の異なるベース樹脂からなる、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層してなる構成を備え、波長400nmの光の反射率が70%以上であり、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が当該全領域の波長にわたり50%以下である樹脂積層体を、積層してなる構成を備えた反射フィルムを提案する。
【発明の効果】
【0011】
本発明が提案する反射フィルムにおいて、波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ微粉状充填剤を含有する白色フィルムは、入射してくる光を拡散反射させることができるばかりか、当該微粉状充填剤が波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つため、紫外線領域の光を吸収することができる。よって、例えばバックライトユニット光源の光に含まれる近紫外光を吸収して、バックライトユニット内の他部材への反射を抑制して当該部材の近紫外光による劣化を抑制することができる。
【0012】
また、屈折率の異なるベース樹脂からなる、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層してなる構成を備えた樹脂積層体は、特定の波長を選択的に反射するように作製することが可能であるから、波長400nmの光の反射率が70%以上であり、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が当該全領域の波長にわたり50%以下となるように作製することができる。よって、このように作製した樹脂積層体を前記白色フィルムの反射使用面側に積層することにより、反射使用面側から入射してくる可視光領域の光を、この樹脂積層体で反射させることができ、上記白色フィルムの微粉状充填剤によって当該可視光領域の光が吸収されるのを防ぐことができる。よって、白色フィルム単独では得られなかった波長420nm以下の可視光に対する高い反射性を確保することができるようになり、バックライト光源の光を十分に利用することが可能になる。
このように、本発明が提案する反射フィルムによれば、可視光領域の光を反射し、拡散反射させることもでき、それでいて紫外線領域の光は吸収することができるから、例えば液晶ディスプレイ、照明器具、或いは照明看板などの反射フィルムとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一例に係る反射フィルムの構成を説明するための模式的な断面図である。
【図2】実施例1で作製した白色フィルムの反射率を示すグラフである。
【図3】実施例1で作製した樹脂積層体の反射率を示すグラフである。
【図4】実施例1で作製した反射フィルムの反射率を示すグラフである。
【図5】比較例2で作製した反射フィルムの反射率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例としての反射フィルム(「本反射フィルム」と称する)について説明する。但し、本発明が、この反射フィルムに限定されるものではない。
【0015】
≪本反射フィルム≫
本反射フィルムは、微粉状充填剤を含有する白色フィルムの少なくとも反射使用面側に、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層してなる構成を備えた樹脂積層体を、積層してなる構成を備えた反射フィルムである。
【0016】
<白色フィルム>
本反射フィルムを構成する白色フィルム(「本白色フィルム」と称する)は、波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ微粉状充填剤を含有するものであり、好ましくは当該微粉状充填剤と熱可塑性樹脂(a)とを含有する白色フィルムである。
【0017】
(微粉状充填剤)
本白色フィルムは、前記微粉状充填剤を含有することで、熱可塑性樹脂(a)との屈折率差による屈折散乱のほか、微粉状充填剤の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに微粉状充填剤の周囲に形成される空洞と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱などからも光反射性を得ることができる。
【0018】
本白色フィルムに用いる前記微粉状充填剤は、波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ微粉状充填剤、言い換えれば近紫外光吸収能を有する微粉状充填剤であるのが好ましい。このような微粉状充填剤を用いることにより、バックライトユニット内の他部材へ近紫外光が反射されるのを抑制することができ、他部材の近紫外光による劣化を抑制することができる。
【0019】
波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ微粉状充填剤としては、例えば酸化チタンや酸化亜鉛などを挙げることができ、これらのうちいずれか1種又は2種を混合して用いるのが好ましい。これらは、紫外光吸収能を有しているほか、屈折率が1.6以上であり、シートを構成する樹脂との屈折率差が大きい点でも好ましい。
なお、酸化チタンまたは酸化亜鉛で被覆された微粉状充填剤であってもよい。
【0020】
中でも、酸化チタンは、他の微粉状充填剤に比べて屈折率が顕著に高く、ベース樹脂との屈折率差が顕著に大きいため、他の微粉状充填剤を使用した場合よりも少ない配合量で優れた反射性を得ることができる。さらに、酸化チタンを用いることにより、反射材の厚みを薄くしても高い光反射性を得ることができる。
従って、少なくとも酸化チタンを含む充填剤を用いるのがより好ましく、この場合、酸化チタンの量は、無機充填剤の合計質量の30質量%以上、又は有機充填剤と無機充填剤とを組み合わせて使用する場合はその合計質量の30質量%以上とするのが好ましい。
【0021】
微粉状充填剤の樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用してもよい。
【0022】
微粉状充填剤は、粒径が0.05μm〜15μmであることが好ましく、より好ましくは粒径が0.1μm以上或いは10μm以下である。充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、熱可塑性樹脂(a)への分散性が低下することがないので、均質な反射材が得られる。また粒径が15μm以下であれば、熱可塑性樹脂(a)と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、高反射性の反射材が得られる。
【0023】
微粉状充填剤の量としては、反射材の光反射性、機械的強度、生産性等を考慮すると、白色フィルム全体の質量に対して10〜80質量%であるのが好ましく、中でも20質量%以上或いは70質量%以下であるのがさらに好ましい。微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、熱可塑性樹脂(a)と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、反射材に高反射性を付与することができる。微粉状充填剤の含有量が80質量%以下であれば、反射材に必要な機械的強度を確保することができる。
【0024】
(熱可塑性樹脂(a))
熱可塑性樹脂(a)としては、例えばオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ジエン系樹脂等を挙げることができる。中でも、延伸による白色フィルムの反射性能を高める観点から、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
その中でも、近紫外光による耐黄変性の観点から、芳香環を持たないという点でオレフィン系樹脂が特に好ましい。
【0025】
当該オレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂や、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂や、エチレン−環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマーから選ばれた少なくとも一種のポリオレフィン樹脂を挙げることができる。これらの中でも、機械的性質、柔軟性などから、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレン樹脂(PE)、シクロオレフィン系樹脂が好ましく、その中でも特に、耐熱性に優れており、弾性率等の機械特性が高いという観点から、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィン系樹脂(COC, COP)が好ましい。
【0026】
本白色フィルムおいて、熱可塑性樹脂(a)と微粉状充填剤の含有割合としては、光反射性、機械的強度及び生産性等の観点から、熱可塑性樹脂(a):微粉状充填剤=80:20〜30:70、特に80:20〜60:40とするのが好ましい。
【0027】
(他の成分)
本白色フィルムは、上述した以外の他の樹脂を含有してもよい。また、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤及びその他の添加剤を含有してもよい。
【0028】
(本白色フィルムの形態)
本白色フィルムは、シート体からなる層であってもよいし、また溶融樹脂組成物を押出或いは塗布などによって(シートを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。
シート体からなる場合、そのシート体は未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
【0029】
(厚み)
本白色フィルムの厚みは、特に限定するものではなく、例えば30μm〜1500μmであるのが好ましく、中でも、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm以上或いは1000μm以下程度であるのが特に好ましい。
例えば、液晶ディスプレイ用途の反射材としては、厚みが50μm〜700μmであるのが好ましく、例えば、照明器具、照明看板用途の反射材としては、厚みが100μm以上或いは1000μm以下であるのが特に好ましい。
【0030】
(反射率)
本白色フィルムは、少なくとも片面の平均反射率が、波長420nm〜780nmの光に対して95%以上であるのが好ましい。このような反射性能を有するものであれば、反射材として良好な反射特性を示し、この反射材を組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
また、本白色フィルムは、可視光領域(380−780nm)での透過率が当該全領域の波長にわたり5%以下であるのが好ましい。これにより、反射面の裏側の光の透過を抑制でき、光隠蔽性に優れた反射フィルムを得ることができる。
【0031】
(空隙率)
本白色フィルムは、反射性能を確保する観点から、内部に20%以上80%以下の範囲で微細な空隙を有するのが好ましい。言い換えれば、本白色フィルムの空隙率、すなわち白色フィルムに占める空隙の体積割合は、20%以上80%以下であるのが好ましく、特に25%以上、或いは、75%以下、中でも特に30%以上、或いは、70%以下であるのが好ましい。
【0032】
<樹脂積層体>
本反射フィルムを構成する樹脂積層体(「本樹脂積層体」と称する)は、屈折率の異なるベース樹脂からなる、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層してなる構成を備えた樹脂積層体である。
ここで、前記「2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層」とは、2種類の熱可塑性樹脂層を交互に繰り返し積層する場合のほか、2種類の熱可塑性樹脂層が順番に繰り返し積層する層間に、他の層が介在する場合を包含するものである。
【0033】
また、本樹脂積層体は、波長400nmの光の反射率が70%以上であり、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が、当該全領域の波長にわたり50%以下であることが重要である。
本樹脂積層体における、波長400nmの光の反射率が70%以上であれば、本白色フィルムと積層することにより、可視光領域全域(380−780nm)の光において良好な反射特性を示し、この反射フィルムを組み込んだ液晶ディスプレイ等は、光源の光を十分に利用することが可能になる。
また、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が、当該全領域の波長にわたり50%以下であれば、白色フィルムの光拡散性を失うことなく、ディスプレイ等の輝度ムラを抑えることができる。
かかる観点から、本樹脂積層体において、波長400nmの光の反射率は70%以上であるのがより好ましく、中でも80%以上であるのがさらに好ましい。他方、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率は、当該全領域の波長にわたり50%以下であるのがより好ましく、中でも40%以下であるのがさらに好ましい。
【0034】
極めて薄い多数の層を積層してなる樹脂積層体は、その薄い層にて光の干渉を生じることが知られており、組成の異なる2種類以上の樹脂層を順番に繰り返し積層、好ましくは交互に積層させることによって、光の反射率を増大させることができる。
また、この種の樹脂積層体、すなわち、屈折率の異なるベース樹脂からなる、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層、好ましくは交互に積層してなる構成を備えた樹脂積層体は、選択波長反射機能、すなわち特定の波長の光を選択的に反射する性能を持つように形成することができる。例えば、各層を構成するベース樹脂の屈折率、延伸条件、各層の厚さ、層間の厚み比などを調整することで、所望波長の光を反射するように作製することができる。この際、各層の厚みの調整が重要な役割を果たす。具体的には、選択反射波長(λ)の4分の1の光学厚みを有する層を順番に繰り返し積層、好ましくは交互に積層させることで、波長(λ)を選択的に反射するように形成することができる。
【0035】
本樹脂積層体は、例えば、屈折率の異なるベース樹脂からなる2種類の熱可塑性樹脂層(B)及び熱可塑性樹脂層(C)を順番に繰り返し積層、好ましくは交互に積層することで形成することができる。
【0036】
このような構成の本樹脂積層体において、波長400nmの光の反射率を70%以上とし、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が当該全領域の波長にわたり50%以下とするには、熱可塑性樹脂層(B)及び熱可塑性樹脂層(C)の屈折率を調整するか、或いは各樹脂層(B)(C)の厚みを調整すればよい。
【0037】
熱可塑性樹脂層(B)及び熱可塑性樹脂層(C)の屈折率を異ならしめた高低屈折率層を交互に有するλ/4膜厚交互積層反射膜の反射率Rは、以下の(式1)として示すことができる。
この式によると、層数が多ければ多いほど、反射率が高くなることがわかる。熱可塑性樹脂層(B)及び(C)の全層数は、少なくとも30層以上になるように積層するのが好ましく、中でも50層以上になるように積層した樹脂積層体であることがより好ましく、これにより干渉反射を利用することができる。
(式1)は次のとおりである。
【式1】
【0038】


【0039】
上記(式1)において、ns:基板の屈折率、nH:高屈折率材料屈折率、nL:低屈折率材料屈折率、P:各層の層数
【0040】
また、本樹脂積層体の反射波長λは、下記式(2)で表すことができる。ここで、dは積層体の1層の厚み、nは材料の屈折率である。式2より、1層の厚みd又は材料の屈折率nの値を調整することによって、反射波長λの値を変えることは可能である。
λ=4dn・・・・(式2)
【0041】
本樹脂積層体は、前記熱可塑性樹脂層(B)と熱可塑性樹脂層(C)との屈折率差が0.05以上、特に0.07以上、中でも特に0.10以上であることが、反射特性の面から好ましい。また、本樹脂積層体は、積層反射膜の1層あたりの厚みが0.2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
【0042】
なお、上述のように、本樹脂積層体を構成する層数と、樹脂層間の屈折率差から、所望の反射性能が得られるため、逆に所望の反射性能と屈折率差の範囲から、熱可塑性樹脂層(B)及び(C)の全層数の下限値を算出することができる。その結果、熱可塑性樹脂層(B)及び(C)の全層数は30層以上必要であることが分かった。例えば低屈折率材料屈折率:1.36、屈折率差:0.05、反射率70%以上で計算すると30層以上と算出され、低屈折率材料屈折率:1.50、屈折率差:0.05、反射率70%以上で計算すると32層以上と算出された。
【0043】
さらに、熱可塑性樹脂層(B)と熱可塑性樹脂層(C)のそれぞれの厚みは、隣り合う層の厚みの±40%以下であることが好ましく、±30%以下であるのがより好ましく、±20%以下であるのが更に好ましい。前記樹脂層(B)と前記樹脂層(C)のそれぞれの隣り合う層の厚みが±40%以下で、より均一な厚みにすることによって、反射特性が顕著に現れる点で好ましい。
【0044】
前記熱可塑性樹脂層(B)及び(C)は、いずれも熱可塑性樹脂をベース樹脂とする樹脂層であり、かかる熱可塑性樹脂としては、透明性に優れた樹脂が好ましい。例えばオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等を候補として挙げることができる。上記のとおり、樹脂層(B)と樹脂層(C)を構成する熱可塑性樹脂の屈折率差が大きい方が好ましい。
【0045】
また、熱可塑性樹脂層(B)の熱可塑性樹脂としてアクリル系樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂層(C)の熱可塑性樹脂の候補としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フェノール樹脂、フッ素系樹脂などを挙げることができる。中でも、屈折率差が大きくなるという点で、ポリカーボネート系樹脂が特に好ましい。
【0046】
(厚み)
本樹脂積層体の厚みは、特に限定するものではなく、例えば1μm〜50μmであるのが好ましく、特に、実用面における取り扱い性を考慮すると2μm以上或いは20μm以下程度であるのが好ましい。
【0047】
<本反射フィルムの反射率>
本反射フィルムは、波長400nmの光の反射率が70%以上であるのが好ましい。このような反射性能を有するものであれば、反射材として良好な反射特性を示し、この反射材を組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
また、本反射フィルムは、可視光領域(380−780nm)での透過率が当該全領域の波長にわたり5%以下であるのが好ましい。これにより、反射面の裏側の光の透過を抑制でき、光隠蔽性に優れた反射フィルムを得ることができる。
【0048】
<本反射フィルムの製造方法>
本反射フィルムの製造方法としては、特に制限されるものではない。以下、本反射フィルムの製造方法の一例について説明するが、下記製造方法に限定されるものではない。
ここでは、本白色フィルムの製造方法、本樹脂積層体の製造方法について説明した後、本白色フィルムに本樹脂積層体を積層する方法、その他について順次説明する。
【0049】
(本白色フィルムの製造方法)
本白色フィルムの製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。以下に本白色フィルムの製造方法について、一例を挙げて説明するが、下記製造方法に何ら限定されるものではない。
【0050】
先ず、熱可塑性樹脂(a)に、微粉状充填剤その他添加剤を必要に応じて配合し樹脂組成物Aとする。具体的には、熱可塑性樹脂(a)に微粉状充填剤その他酸化防止剤等を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度で混練することにより、樹脂組成物Aを得ることができる。又は、熱可塑性樹脂(a)、微粉状充填剤等を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより樹脂組成物Aを得ることができる。また、熱可塑性樹脂(a)とその他の酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと熱可塑性樹脂(a)や微粉状充填剤とを混合して所望の濃度の樹脂組成物Aとすることもできる。
【0051】
次に、このようにして得られた樹脂組成物Aを乾燥させた後、押出機に供給し所定の温度以上に加熱して溶融させる。
その後、溶融した樹脂組成物AをTダイのスリット状の吐出口からシート状に押出し、キャスティングドラム上で冷却固化してキャストシートを形成し、樹脂層Aを得る。
【0052】
得られたキャストシートは、少なくとも1軸方向に延伸されているのが好ましい。延伸することにより、樹脂層A内部の熱可塑性樹脂(a)と微粉状充填剤の界面が剥離して空隙が形成され、シートの白化が進行して、フィルムの光反射性を高めることができる。更に、キャストシートは2軸方向に延伸されていることが特に好ましい。1軸延伸をしたのみでは形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。
すなわち、2軸延伸することによって、樹脂層A内部の熱可塑性樹脂(a)と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、シートの白化がさらに進行し、その結果、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。また、2軸延伸するとフィルムの収縮方向の異方性が少なくなるので、フィルムに耐熱性を向上させることができ、またフィルムの機械的強度を増加させることもできる。
【0053】
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、樹脂層Aの熱可塑性樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)以上、且つ(Tg+50℃)以下の温度であることが好ましい。
延伸温度がガラス転移温度(Tg)以上であれば、延伸時にフィルムが破断することなく安定して行うことができる。また、延伸温度が(Tg+50℃)以下の温度であれば、延伸配向が高くなり、その結果、空隙率が大きくなるので、高い反射率のフィルムが得られやすい。
【0054】
2軸延伸の延伸順序は特に制限されることはなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でも構わない。延伸設備を用いて、溶融製膜した後、ロール延伸によってMDに延伸した後、テンター延伸によってTDに延伸しても良いし、チューブラー延伸等によって2軸延伸を行ってもよい。2軸延伸の場合の延伸倍率は、面積倍率として6倍以上延伸することが好ましい。面積倍率を6倍以上延伸することによって、樹脂層Aで構成される白色フィルムの空隙率が40%以上を実現することができる場合がある。
【0055】
延伸後は、白色フィルムに寸法安定性(空隙の形態安定性)を付与するため、熱固定を行うことが好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましく1秒〜3分である。また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが好ましい。
【0056】
(本樹脂積層体の製造方法)
本樹脂積層体の製造方法としては、例えば、B層に対応する押出機Bと、C層に対応する押出機Cの2台から供給され、それぞれの流路からの熱可塑性樹脂が、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスクエアミキサーやスタティックミキサーを用いて積層された溶融体において、T型口金等を用いてシート状に溶融押出し、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムを得る方法である。
【0057】
スクエアミキサーとは、断面形状が長方形の流路を通過した熱可塑性樹脂が、四角状の流路に4分割され、この分岐された熱可塑性樹脂を、再度、上下に積層されるように合わさる合流部を備えた公知の筒体のことである。この工程を繰り返すことにより、何層もの積層体を得ることができる。
例えば、2種の樹脂でB/C2層の積層体が、1度の分岐・合流を行うと8層の積層体になる。このような場合、積層数は、(初期の層数)×4のn乗で表現できる。但し、nは、1度の分岐・合流をn回、繰り返すことを意味する。例えば、2層の積層反射膜を2回、スクエアミキサー内を通過させると、32層の積層体となる。また、スクエアミキサーの分配比は、通常、1:1の等しい断面積をもつ流路を等分配で分岐されるため、同じ積層構造が周期的に形成される。初期の積層体の構造が傾斜構造であるならば、分配比を非等分配とすることで、スクエアミキサー通過後の熱可塑性樹脂積層体も連続した傾斜構造を維持することができる。初期の傾斜構造は、フィードブロックの内部のスリットの間隙や長さを調整することにより達成される。
【0058】
また、これらの積層構造の最表層に押出機Dから供給される樹脂はピノールを用いて合流させ、カバー層を形成することも、内部の積層を乱さない観点から好ましい。この最表層のみ粒子を添加することで、反射性能を低下させることなく、光拡散性と易滑性を付与することができる。
【0059】
得られた樹脂積層体は、前記白色フィルムと同様、少なくとも1軸方向へ延伸することによりB層及びC層を所望の厚みに調整することができる。
【0060】
(本白色フィルム及び本樹脂積層体の積層方法)
前記製造方法によって得られた本白色フィルム及び本樹脂積層体は、白色フィルムの少なくとも片面に樹脂積層体を積層することで、本反射フィルムを得ることができる。
【0061】
積層する方法としては、例えば接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法、共押出し法等を挙げることができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
【0062】
より具体的には、白色フィルムの樹脂積層体を貼り合わせる側の面に、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系、シリコン系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。
接着剤としては、透明性に優れたものが好ましい。
【0063】
かかる方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、樹脂積層体を貼り合わせる反射フィルムの表面に、乾燥後の接着剤膜厚が1μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。
次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、白色フィルム等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射樹脂積層体を被覆、冷却することにより、反射フィルムを得ることできる。
【0064】
本反射フィルムは、そのまま反射フィルムとして使用することも可能であるが、本反射フィルムを金属板又は樹脂板に積層してなる構成として使用することも可能であり、例えば、液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射フィルムとして有用である。
【0065】
この際、本反射フィルムを積層する金属板としては、例えば、アルミ板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板などを挙げることができる。
【0066】
金属板又は樹脂板に本反射フィルムを積層する方法としては、前記白色フィルムと樹脂積層体の積層方法と同様の方法を挙げることができる。
【0067】
本反射フィルムの用途としては、液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射部材として有用である。
一般に液晶ディスプレイは、液晶パネル、偏光反射シート、拡散シート、導光板、反射フィルム、光源、光源リフレクタ等から構成されている。
本反射フィルムは、光源からの光を効率よく液晶パネルや導光板へ入射させる役割をする反射フィルムとして使用することもできるし、エッジ部に配置された光源からの照射光を集光し導光板に入射させる役割を有する光源リフレクタとして使用することもできる。
【0068】
≪用語の説明≫
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0069】
また、本発明において「ベース樹脂」という場合には、各層を構成する樹脂のうち最も含有量の多い樹脂を意味するものである。ベース樹脂が2種類以上の樹脂からなる場合もあるが、一般的には各層を構成する樹脂の50質量%以上を占める樹脂がベース樹脂である。
【0070】
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0072】
<測定及び評価方法>
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。以下、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
【0073】
(空隙率)
延伸前のフィルムの密度(「未延伸フィルム密度」と表記する)と、延伸後のフィルムの密度(「延伸フィルム密度」と表記する)を測定し、下記式に代入してフィルムの空隙率(%)を求めた。
空隙率(%)={(未延伸フィルム密度−延伸フィルム密度)/未延伸フィルム密度}×100
【0074】
(反射率および平均反射率)
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、アルミナ白板を100%とした時の反射率を、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、反射率を得た。得られた測定値をもとに各波長領域での平均値を計算し、この値を平均反射率(%)とした。
【0075】
(波長400nmでの反射率)
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、アルミナ白板を100%とした時の反射率を、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、波長400nmの光に対する反射率(%)を得た。
【0076】
(透過率)
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、透過率(%)を得た。なお、測定前にアルミナ白板を標準板として校正を行った。
【0077】
(厚みの測定)
膜全体の厚みはシックネスゲージ(ミツトヨ社製)を用いて厚みを測定した。
【0078】
(各層の厚みの測定)
電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM S-4500型 日立製作所製)を用いて作製したシートの断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
【0079】
<実施例1>
(樹脂組成物Aの作製)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP FY6HA」、密度(JISK7112):0.9g/cm3、MFR(230℃、21.18N、JISK−7210):2.4g/10min)のペレットと、酸化チタン(KRONOS社製、商品名「KRONOS2230」、密度4.2g/cm3、ルチル型酸化チタン、Al,Si表面処理、Ti02含有量96.0%、製造法:塩素法)とを50:50の質量割合で混合した後、270℃で加熱された二軸押出機を用いてペレット化し、樹脂組成物Aを作製した。
【0080】
(白色フィルムの作製)
上記樹脂組成物Aを200℃に加熱された押出機Aに供給して溶融混練した後、Tダイのスリット状の吐出口からシート状に押出し、キャスティングドラム上で冷却固化してキャストシートを形成した。キャストシートを、温度130℃でMDに2倍ロール延伸した後、さらに130℃でTDに3倍テンター延伸することで二軸延伸を行い、厚さ185μmの白色フィルム(サンプル)を得た。
得られた白色フィルムについて、空隙率62%、波長420−780nmの波長領域で平均反射率99%、可視光領域(波長380nm〜780nmの領域)での透過率は当該全領域の波長にわたり2%以下であった。
白色フィルムの反射率を図2に示す。
【0081】
(樹脂積層体の作製)
熱可塑性樹脂(b)として、非結晶性コポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製 商品名「PETG」、屈折率 1.57)を、熱可塑性樹脂(c)として、熱可塑性フッ素樹脂(住友スリーエム株式会社製 Dyneon THV 屈折率1.36)をそれぞれ選定した。熱可塑性樹脂(b)、熱可塑性樹脂(c)の屈折率差は0.21であった。
熱可塑性樹脂(b)、及び熱可塑性樹脂(c)をそれぞれ別々の押出機にて押出し、65層のフィードブロックを用いて交互に積層させ、合計層数が65層の樹脂積層体を得た。樹脂積層体の総厚みは16μmで、各層厚みは約0.250μmと算出された。
得られた樹脂積層体を小型テスト延伸機で、80℃雰囲気下でMD方向に3倍、TD方向に3倍延伸し、樹脂積層体を得た。樹脂積層体の総厚みは4μmで、各層厚みは約0.062μmと算出された。
得られた樹脂積層体について、波長400nmの反射率は104%であり、波長500〜780nmの光に対する反射率は、波長500〜780nmの全領域において30%以下であった。
樹脂積層体の反射率を図3に示す。
【0082】
(反射フィルムの作製)
前記白色フィルムの片面に前記樹脂積層体を被覆し、反射フィルムを作製した。
反射フィルムの反射率を図4に示す。
【0083】
<比較例1>
実施例1で作製した白色フィルムを反射フィルムとした。
【0084】
<比較例2>
実施例1で得られた樹脂積層体を、小型テスト延伸機で80℃雰囲気下でMD方向に3倍、TD方向に2倍延伸し、樹脂積層体を得た以外は、実施例1と同様の方法で反射フィルムを作製した。この際、延伸後の樹脂積層体の総厚みは6μmであり、各層の厚みは約0.092μmと算出された。
得られた樹脂積層体について、波長400nmの反射率は36%であり、波長500〜780nmの光に対する反射率は、波長500〜780nmの全領域において50%以上であった。
樹脂積層体と反射フィルムの反射率を図5に示す。
【0085】
(考察)
図4で明らかなように、実施例1で作製した反射フィルムは、可視光領域(波長380−780nm)の光に対して反射率95%以上を示し、良好な光反射性を有していることが分かった。一方、比較例1の反射フィルムは、波長400nmの光に対して反射率70%未満であり、可視光領域の光を十分に反射出来ていないことが分かった。
また、比較例2の反射フィルムは、波長400nmの光に対して反射率70%未満であり、可視光領域の光を十分に反射出来ていないことが分かった。また、樹脂積層体の波長500−780nmの光に対する反射率が高いため、実施例1の反射フィルムに比べて波長500−780nmの光に対する反射率にムラがあり、白色光を照射した場合、色ムラが発生した。
かかる観点から、波長400nmの光の反射率が70%以上であり、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が当該全領域の波長にわたり50%以下であることが重要であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ微粉状充填剤を含有する白色フィルムの少なくとも反射使用面側に、
屈折率の異なるベース樹脂からなる、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層してなる構成を備え、波長400nmの光の反射率が70%以上であり、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が当該全領域の波長にわたり50%以下である樹脂積層体を、積層してなる構成を備えた反射フィルム。
【請求項2】
前記樹脂積層体は、屈折率の異なるベース樹脂からなる2種類の熱可塑性樹脂層(B)及び熱可塑性樹脂層(C)を交互に全層数30層以上積層してなる構成を備えた請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項3】
波長400nmの光の反射率が70%以上であり、かつ波長380nm〜780nmの領域の光の透過率が当該全領域の波長にわたり5%以下である請求項1又は2に記載の反射フィルム。
【請求項4】
前記白色フィルムが含有する微粉状充填剤として、少なくとも酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射フィルム。
【請求項5】
前記白色フィルムが、オレフィン系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射フィルム。
【請求項6】
熱可塑性樹脂層(B)を構成するベース樹脂と熱可塑性樹脂層(C)を構成するベース樹脂との屈折率差が0.05以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の反射フィルム。
【請求項7】
前記樹脂積層体が、反射フィルムの反射使用面である最外層に位置することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射フィルム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の反射フィルムを、金属板又は樹脂板に積層してなる構成を有する反射材。
【請求項9】
液晶ディスプレイ、照明器具、或いは照明看板の構成部材として使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射フィルム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113872(P2013−113872A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257190(P2011−257190)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】