説明

反射フィルム

【課題】粒子を含有するビーズ層を有する反射フィルムにおいて、かかるビーズ層によって導光板との貼り付きを抑制すると同時に、粒子の脱落が抑制された反射フィルムを提供すること。
【解決手段】白色フィルムの表面に塗膜と球状粒子とからなるビーズ層を有する反射フィルムにおいて、白色フィルム表面における球状粒子による被覆率、球状粒子の平均露出率、塗膜の微小硬度計により求められる硬度をそれぞれ特定の数値範囲とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射フィルムに関する。特に、液晶表示装置に用いられる反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)のバックライトユニットには、液晶表示パネルの背面に光源および反射板を備える直下型と、液晶表示パネルの背面に、反射板を備えた導光板を配し、かかる導光板の側面に光源を備えるエッジライト型とがある。従来、大型のLCDに用いられるバックライトユニットとしては、画面の明るさおよび画面内の明るさの均一性に優れるといった観点から、直下型(主には直下型CCFL)が主流であった。
【0003】
一方、エッジライト型は、従来ノート型PC等比較的小型のLCDによく用いられているが、導光板と反射板とが直接接触している構造であるため、比較的柔らかい素材からなる導光板が反射板により傷付けられるという問題がある。この対策として、例えば特許文献1、2のように、エラストマー系のビーズを用いた傷つき防止層を備える反射シートの報告がある。さらに、ビーズの平均粒子径や埋没率を調整してビーズの脱落を抑制し、白点欠点の発生を抑制する報告がある(特許文献3)。
【0004】
そして近年、光源や導光板の発展により、エッジライト型のバックライトユニットでも明るさおよび画面内の明るさの均一性が向上し、LCDを薄くできるというメリットがあるため、比較的小型のもののみならず、大型のLCDにおいてもエッジライト型のバックライトユニットが用いられるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−92018号公報
【特許文献2】特表2008−512719号公報
【特許文献3】特開2009−244509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らは、上記特許文献3のごとくビーズの平均粒子径や埋没率を調整するのみでは、ビーズの脱落と、かかる脱落したビーズによってLCD画面上に発生する白点欠点の抑制が不十分な場合があることに着目した。
そこで本発明の目的は、粒子を含有するビーズ層を有する反射フィルムにおいて、かかるビーズ層によって導光板との貼り付きを抑制すると同時に、粒子の脱落が抑制された反射フィルムを提供することにある。
【0007】
さらに、本発明者らは、上記特許文献1,2のごとくビーズを柔らかくしすぎると、ビーズが脱落しやすくなり、白点欠点が発生しやすくなるということを新たに発見した。また、反射板が表面にビーズを有することにより導光板と反射板との間のギャップを一定に保つことができ、これらの貼り付きを防ぐことができるが、ビーズが柔らかすぎると導光板と反射板との間のギャップを一定に保つことが困難となり、導光板と反射板とが貼り付きやすくなり、一部貼り付いてしまうと輝度斑が発生してしまう問題がある。
【0008】
そこで本発明は、さらに、導光板の傷つきを同時に抑制することができる反射フィルムを提供することを望ましい目的とする。
また、例えば30型以上のごとく大型のLCDの場合は、導光板と反射フィルムの質量が重くなり、これらの間に加わる力が増すため、上記課題がさらに厳しいものとなる。
そこで本発明は、大型のLCDにおいても、粒子の脱落、導光板の傷つき、および導光板との貼り付きをすべて同時に抑制することができる反射フィルムを提供することをさらに望ましい目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を達成するために、以下の構成を採用するものである。
1.白色フィルムの表面に塗膜と球状粒子とからなるビーズ層を有する反射フィルムであって、塗膜の微小硬度計により求められる硬度が96.0〜225.4N/mmであり、白色フィルム表面において球状粒子による被覆率が2〜45%であり、球状粒子の平均露出率が5〜80%である反射フィルム。
2.塗膜が、バインダーと架橋剤とを含有する組成物から形成されてなる上記1に記載の反射フィルム。
3.バインダーのガラス転移温度Tgが40℃以上である上記2に記載の反射フィルム。
4.塗膜において、バインダーが反応基を有し、架橋剤が架橋基を有し、かかる反応基と架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)が1〜18である上記2または3に記載の反射フィルム。
5.ビーズ層における球状粒子のS10強度が5.8〜23.6N/mmである上記1〜4のいずれか1に記載の反射フィルム。
6.ビーズ層における球状粒子の含有量が、ビーズ層の質量100質量%に対して10〜50質量%である上記1〜5のいずれか1に記載の反射フィルム。
7.液晶表示装置用である上記1〜6のいずれか1に記載の反射フィルム。
8.エッジライト型バックライトユニット用である上記7に記載の反射フィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粒子を含有するビーズ層を有する反射フィルムにおいて、かかるビーズ層によって導光板との貼り付きを抑制すると同時に、粒子の脱落が抑制された反射フィルムを提供することができる。これらにより、本発明の反射フィルムを液晶表示装置の反射板として用いた場合には、脱落粒子による白点欠点の発生を抑制でき、導光板への傷つきによる黒点欠点の発生を抑制でき、貼り付きによる密着斑発生を抑制できる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに導光板の傷つきを抑制することができる。
さらに、本発明の他の好ましい態様によれば、大型のLCDにおいても、粒子の脱落、導光板の傷つき、および導光板との貼り付きをすべて同時に抑制することができる反射フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の反射フィルムの断面の一例を示す模式図である。
【図2】本発明における貼り付き評価に用いる構成体を示す模式図である。
【図3】本発明における導光板の傷つき評価および粒子の脱落評価の方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
[白色フィルム]
本発明における白色フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、白色の着色剤またはボイド形成剤をフィルム中に含有させることによって白色を呈するようにしたフィルムである。着色剤またはボイド形成剤としては、例えば、無機粒子、有機粒子、上記フィルムを構成する熱可塑性樹脂とは非相溶の樹脂(以下、非相溶樹脂と呼称する場合がある。)を用いることができる。
【0014】
白色フィルムの波長550nmにおける反射率は、好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、特に好ましくは97%以上である。白色フィルムは単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。高い反射率と機械的強度を得る観点から、比較的多くのボイドを含有する層(反射層)と比較的少ないボイドを含有するかボイドを含有しない層(支持層)とから構成される積層フィルムが好ましい。また、フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリルを挙げることができ、機械的特性および熱安定性に優れる白色フィルムを得る観点からポリエステルが好ましい。
【0015】
(ポリエステル)
白色フィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いることが好ましい。このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を挙げることができる。ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオールを挙げることができる。
【0016】
これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、共重合ポリマーが好ましい。特に、白色フィルムとして、比較的多くのボイドを含有する層と比較的少ないボイドを含有するかボイドを含有しない層とから構成される積層白色フィルムを用いる場合、比較的多くのボイドを含有する層に用いるポリエステルは共重合ポリマーであることが好ましい。この場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば3〜20モル%、好ましくは4〜15モル%、さらに好ましくは5〜13モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、ボイドを比較的多く含有する層についても優れた製膜性を得ることができる。また、熱寸法安定性に優れた積層フィルムを得ることできる。
【0017】
(着色剤、ボイド形成剤)
着色剤またはボイド形成剤として無機粒子を用いる場合、無機粒子としては、白色無機粒子が好ましい。この白色無機粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの粒子を例示することができる。無機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜3.0μm、好ましくは0.3〜2.5μm、さら好ましくは0.4〜2.0μmである。またその含有量は、白色フィルムの質量を基準として25〜55質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。このような無機粒子を用いることで、好ましい反射率を達成しやすくなる。また、ポリエステル中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こり難く、粗大突起のないフィルムを得ることができ、同時に、フィルムの表面が粗くなりすぎず、適切な範囲に光沢度をコントロールすることができる。なお、無機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。無機粒子は、分散性を向上させるための表面処理を行ってあってもよい。
【0018】
また、着色剤またはボイド形成剤として有機粒子を用いる場合、有機粒子としては、ポリエステルに非相溶な樹脂の粒子を用いる。この有機粒子としては、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子が好ましい。有機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜10μm、好ましくは0.3〜8.0μm、さらに好ましくは0.4〜6.0μmである。またその含有量は、白色フィルムの質量を基準として25〜55質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。このような有機粒子を用いることで、好ましい反射率を達成しやすくなる。また、ポリエステル中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こり難く、粗大突起のないフィルムを得ることができ、同時に、フィルムの表面が粗くなりすぎず、適切な範囲に光沢度をコントロールすることができる。なお、有機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。
【0019】
また、着色剤またはボイド形成剤として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレンが好ましい。またその含有量は、白色フィルムの質量を基準として25〜55質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。このような非相溶樹脂を用いることで、好ましい反射率を達成しやすくなる。また、非相溶樹脂の場合は、含有量が多すぎると曲げモーメントが低くなりすぎる傾向にある。
【0020】
[ビーズ層]
本発明の反射フィルムは、白色フィルムの表面に塗膜と球状粒子とからなるビーズ層を有する。そして、かかる塗膜により球状粒子が保持されて、白色フィルム表面を被覆する態様となる。
【0021】
<球状粒子>
ここで球状粒子とは、粒子の長径/短径=1.3以下の粒子を示す。本発明における球状粒子は、無孔質であることが望ましい。無孔質であることにより、粒子が破壊してその一部が脱落するのを抑制する効果を高めることができる。また、反射率の向上効果を高くすることができる。
【0022】
(S10強度)
本発明における球状粒子は、そのS10強度が5.8〜23.6N/mm(0.6〜2.4kgf/mm)であることが好ましい。S10強度が上記数値範囲にあることによって、導光板への傷つきを抑制できる。また、同時に粒子脱落の抑制効果を高くすることができる。また、導光板との貼り付き抑制の向上効果を高めることができる。S10強度が低すぎる場合は、粒子脱落の抑制効果が低くなる傾向にある。また、導光板への貼り付きが生じやすくなる傾向にある。他方、高すぎる場合は、導光板と接触した際に、導光板が削れて傷が付いてしまう。このような観点から、S10強度は、好ましくは7.8〜19.6N/mm(0.8〜2.0kgf/mm)、さらに好ましくは8.8〜17.7N/mm(0.9〜1.8kgf/mm)である。球状粒子のS10強度は、粒子の重合度や架橋度を調整することにより達成することができる。例えば同じ種類の粒子では、重合度や架橋度を高くにすると、S10強度は高くなる傾向にある。
【0023】
球状粒子の種類は、例えば、架橋アクリル粒子、架橋シリコーン粒子、架橋スチレン粒子、架橋ナイロン粒子等の有機球状粒子を用いることができ、特に好ましくは架橋ナイロン粒子である。これらは高架橋体を用いることでS10強度を適度に高くすることができ好ましい。無機粒子はS10強度が高くなりすぎ、エラストマーではS10強度が低くなりすぎる。また、球状粒子は、それを構成する素材自体の光線透過率が50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上であるものがよく、可視領域において光の吸収がないものが好ましい。このような態様とすることにより、白色フィルムの反射率を低くしてしまうことが少なくなり、反射フィルムの反射率の向上効果を高くすることができる。
【0024】
(平均粒子径)
球状粒子の平均粒子径の下限は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは4μm以上、特に好ましくは5μm以上である。これによりビーズ層内における球状粒子の凝集を抑制することができ、塗工に際しての筋状の塗布欠陥の発生を抑制でき、粒子脱落の抑制効果を高くすることができる。また、平均粒子径を大きくすることによって、導光板との間のギャップを保ちやすくなり、導光板への貼り付きの抑制効果を高くすることができる。他方、平均粒子径の上限は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは20μm以下である。これにより粒子脱落の抑制効果を高くすることができる。また、ギャップが大きくなりすぎると輝度が低下する傾向にある。
【0025】
(被覆率)
本発明の反射フィルムは、白色フィルムの表面に塗膜と球状粒子とからなるビーズ層を有し、これにより球状粒子が白色フィルム表面を被覆している態様となる。この球状粒子による被覆は、後に定義する被覆率で2〜45%、好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜35%、さらに好ましくは10〜30%、特に好ましくは10〜20%の被覆率で白色フィルム表面を被覆していることをいう。被覆率がかかる範囲にあると、反射率や輝度をあまり低下させずにビーズ層の効果を奏することができる。被覆率が2%未満であると、導光板と反射フィルムとの間のギャップを保つことができなくなり、導光板と反射フィルムとの接触、貼り付きによる輝度斑が発生する恐れがある。また、導光板と反射フィルムの摩擦が増える傾向にあり、導光板にキズが付きやすくなる。他方、被覆率が45%以上であると、反射フィルム表面における球状粒子の存在が多すぎることにより、反射フィルムの反射率が下がる恐れがあり、それにより、表示装置の輝度も落ちる恐れがある。被覆率は、ビーズ層における球状粒子の大きさや含有量を調整することにより調整することができ、大きさを大きくしたり、含有量を多くしたりすると被覆率は高くなる傾向にある。
【0026】
本発明において被覆率は、フィルム面内の直交する二方向のそれぞれ長さ3mmの測定領域の合計長さ6mmの測定領域について断面観察を行い、かかる測定領域において白色フィルム表面を球状粒子が被覆している割合として定義される。
【0027】
具体的には、ミクロトームを用いて、フィルム面内に無作為に選んだ一方向とフィルムの厚み方向とが形成する面が切断面となるように切片サンプル1を切り出し、それとは別に、切片サンプル1で無作為に選んだ一方向と直交する方向と厚み方向とが形成する面が切断面となるように切片サンプル2を切り出し、切片サンプル1の断面においてビーズ層面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2の断面においてビーズ層面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察し、切片サンプルの切断面内における測定領域において、球状粒子に被覆されていないフィルム表面の部分の長さ(図1の符号201)を積算して、下記式で求める(図1参照)。
被覆率
=(6mm−(球状粒子に被覆されていない部分の積算長さ(mm)))/6mm×100(%)
【0028】
なお、切断面において球状粒子の最大径部分が塗膜表面(図1の符号203)より外側に出ている場合には、球状粒子の最大径で覆われる部分を球状粒子に被覆されているとみなし(例えば図1の符号103、105)、球状粒子の最大径部分が塗膜表面より内側にある場合、すなわち塗膜中に沈みこんでいる場合には、球状粒子のうち塗膜表面より外に出ている部分が作るドーム状突起の最大径を粒子に被覆されているとみなす(例えば図1の符号102)。また、この際、後述する露出率を満たす球状粒子については被覆しているとみなし、露出率を満たさない球状粒子が存在していたとしても、被覆していないとみなす(例えば図1の符号101、104)。
【0029】
(露出率)
本発明における被覆率の算出において、白色フィルム表面を被覆しているとして扱う球状粒子は、反射フィルムの表面に球状粒子の一部分または全部が露出しているものである。この露出は、本発明で定義する露出率で1%以上の露出率での露出をいう。このように、露出率1%未満の球状粒子は被覆している粒子として扱わない。
【0030】
球状粒子は、球状粒子を白色フィルムの表面に支持するために白色フィルムの表面に設けられた塗膜に支持されている。このため、球状粒子の一部は、塗膜に接するか、沈み込んでいる。なお、露出率100%は、切断面において、白色フィルム表面と球状粒子表面が接する形で塗膜によって白色フィルムの表面に支えられている状況にあたり、露出率0%は、切断面において、白色フィルム表面に設けられた塗膜の中に球状粒子が完全に沈み込んでいる状態であり、露出率50%は、切断面において、白色フィルム表面に設けられた塗膜の中に球状粒子の半分が埋まり、残りの半分が塗膜の外に突出している状態である。
【0031】
より正確に露出率を定義すると、露出率は、切片サンプルの切断面内における球状粒子の断面の中心を通りフィルムの塗膜面に垂直に向かう直線を引いたときに、この直線がフィルム切片の切断面内において球状粒子の表面と交わる2つの点のうち、露出した側の表面にある点をS、露出していない側の表面にある点をTとし、さきの直線が塗膜面と交わる点をBとしたとき、(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)で表される(図1参照)。
【0032】
すなわち、露出率(%)は、下記式で定義される。
露出率=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における球状粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
【0033】
本発明においては、上記被覆率と同様に、フィルム面内の直交する二方向のそれぞれ長さ3mmの測定領域の合計長さ6mmの測定領域とした際に、かかる測定領域における各球状粒子の露出率の平均値(平均露出率、平均値を算出する際には、露出率0%以下のものは含まない。)が5〜80%である。かかる範囲にあると導光板とのギャップを確保することができ、同時に粒子の脱落を抑制することができる。平均露出率が低すぎる場合は、ギャップの確保が困難となり、他方、高すぎる場合は、粒子脱落の抑制が困難となる。このような観点から、平均露出率は、好ましくは20〜80%、より好ましくは50〜80%、さらに好ましくは、特に好ましくは60〜80%である。
【0034】
<塗膜>
(塗膜の硬度)
本発明における塗膜は、その微小硬度計により求められる硬度が96.0〜225.4N/mm(9.8〜23mgf/μm)である。塗膜の硬度が上記数値範囲にあることによって、球状粒子の脱落を抑制することができる。塗膜の硬度が低すぎる場合は、粒子の脱落が抑制できない。このような観点から、塗膜の硬度は、好ましくは112.7N/mm以上(11.5mgf/μm以上)、さらに好ましくは137.2N/mm以上(14mgf/μm以上)である。他方、硬度が高すぎる場合もまた、粒子の脱落が抑制できない。また、導光板の傷つき抑制の向上効果が低くなってしまう。このような観点から、塗膜の硬度は、好ましくは196.0N/mm以下(20mgf/μm以下)、さらに好ましくは186.2N/mm以下(19mgf/μm以下)である。
【0035】
上記のような塗膜の硬度は、その達成方法は特に限定されるものではないが、塗膜を構成するバインダーのガラス転移温度Tgや架橋剤を調整することにより達成することができる。例えば、バインダーのTgを高くすることにより、塗膜の硬度は硬くなる傾向にある。また、塗膜に架橋剤を添加して、塗膜中に架橋構造を形成することによって、硬度を硬くすることができる。その際は、塗膜におけるバインダーと架橋剤との含有割合、すなわち、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基との割合を調整することで、さらに好ましい塗膜の硬度が得やすくなる。
【0036】
(バインダー)
本発明における塗膜は、バインダーを含有する組成物から形成されてなる。そして、球状粒子は、このような塗膜で白色ポリエステルフィルム上に支持されて、白色フィルムの表面を被覆する。このような態様とすることで、被覆率および露出率を適正な範囲とすることが容易となり、また、球状粒子の脱落を抑制することができる。
【0037】
このバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、これらの共重合体やブレンド物を用いることができる。かかるバインダーは、反応基を有することが好ましい。かかる反応基としては、後述する架橋剤が有する架橋基と反応し得るものであれば特に限定されないが、例えば水酸基、アミド基、メチロール基が挙げられる。これらのうち、粒子脱落の抑制効果を向上することができ、また反射フィルム表面との長期密着性、および光学特性に優れるという観点から、バインダーとしてはアクリル樹脂が好ましく、反応基として水酸基が好ましく、とりわけ、バインダーとしては水酸基を有するアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0038】
また、かかるバインダーのガラス転移温度Tgは、40℃以上であることが好ましい。このような態様であると、塗膜は硬くなりやすい傾向であり、本発明が規定する塗膜の硬度を達成しやすくなり、そして、粒子脱落の抑制効果を高くすることができる。このような観点から、バインダーのTgは45℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
【0039】
塗膜におけるバインダーの含有量は、塗膜の質量に対して、好ましくは40〜100質量%以上、さらに好ましくは40〜85質量%、特に好ましくは50〜80質量%以上である。
【0040】
(架橋剤)
塗膜は、上述のバインダーの他に、さらに架橋剤を配合してなる組成物から形成されてなることが好ましい。すなわち、塗膜は、架橋剤は配合して、架橋構造が形成されていることが好ましく、これによりさらに本発明が規定する塗膜の硬度を達成しやすくなり、粒子脱落の抑制効果を向上させることができる。かかる架橋剤としては、イソシアネート系、メラミン系、エポキシ系の架橋剤が好ましく、なかでも、比較的低温でも迅速に架橋反応することができるという観点から、イソシアネート系のものが好ましい。
【0041】
かかる架橋剤は、架橋基を有する。架橋基としては、上記バインダーが有する反応基と反応し得るものであれば特に限定されない。例えば、バインダーの反応基が水酸基である場合は、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(この場合における架橋基はイソシアネート基となる)を好ましく採用することができる。
【0042】
架橋剤を配合する場合、その配合量は、バインダーが有する反応基と架橋剤が有する架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、1〜18であることが好ましい。上記モル比率が低すぎると、架橋剤中の架橋基は自己反応することもあるため、架橋系において架橋基が不足する傾向となり、それにより架橋の効果が小さくなくなり、塗膜の硬度が柔らなくなる傾向にあり、粒子脱落の抑制効果が低くなる。このような観点から、反応基と架橋基のモル比率(架橋基/反応基)は、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上、特に好ましくは1.5以上となるように、バインダーと架橋剤との配合比を選択すればよい。他方、上記モル比率が高すぎると、架橋系において反応基が不足する傾向にあり、塗膜における架橋構造の形成が、架橋剤の自己反応が中心的になり、それにより十分に架橋した塗膜を得ることが困難となる傾向にあり、塗膜の硬度が軟らかくなる傾向にあり、粒子脱落の抑制効果が低くなる。このような観点から、反応基と架橋基のモル比率(架橋基/反応基)は、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下、特に好ましくは6以下となるように、バインダーと架橋剤との配合比を選択すればよい。
塗膜における架橋剤の含有量は、例えば、塗膜の質量に対して、好ましくは60〜0質量%、さらに好ましくは60〜15質量%、特に好ましくは50〜20質量%である。
【0043】
(ビーズ層の構成)
ビーズ層における球状粒子の含有割合は、ビーズ層の質量100質量%に対して10〜50質量%であることが好ましい。また、ビーズ層における塗膜の含有割合は、ビーズ層の質量100質量%に対して90〜50質量%であることが好ましい。球状粒子の含有割合が50質量%を超えると、球状粒子を支える塗膜が減り、粒子脱落の抑制効果が低くなる傾向にあり、他方10質量%未満であると、被覆率を達成しにくくなる傾向にあり、導光板と反射フィルム間のギャップを保つことが困難となる傾向にある。このような観点から、球状粒子の含有割合は、さらに好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%であり、塗膜の含有割合は、さらに好ましくは90〜70質量%、特に好ましくは90〜80質量%である。
【0044】
また、ビーズ層における塗膜の厚みは、球状粒子の平均粒子径の20〜100%であることが好ましい。このような態様であると、本発明が規定する露出率を達成しやすくなる。そして、粒子脱落の抑制効果を高くすることができる。このような観点から、かかる塗膜厚みは、球状粒子の平均粒子径の20〜50%がより好ましく、20〜35%がさらに好ましく、20〜30%が特に好ましい。
また、本発明におけるビーズ層または塗膜には、球状粒子以外の粒子、染料、顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シランカップリング剤等のその他の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲において添加していてもよい。
【0045】
[製造方法]
以下、本発明の反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。この例では白色フィルムとして積層フィルムを用いる。なお、白色フィルムとして、例えばテイジンテトロンUXSP−225(帝人デュポンフィルム製)の名称で市販されているフィルムを用いることもできる。
【0046】
積層白色フィルムに用いるポリエステルは、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ない積層フィルムを得ることができる。
濾過したポリエステルの組成物は、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法により、ダイから多層の状態で押出し、積層未延伸シートを製造する。
【0047】
ダイより押出された積層未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、積層未延伸フィルムとなる。この積層未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して積層縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸は、ポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度で行うことが好ましい。縦方向(機械軸方向)の延伸倍率は、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0048】
縦延伸後の積層フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して積層二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はTgより高い温度から始める。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横方向(縦方向と直交する方向)の延伸倍率は、この用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる。以下、ポリエステルの融点をTmと略す。
【0049】
横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま(Tm−100℃)〜(Tm−20℃)の温度で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。熱処理温度が(Tm−20℃)より高いとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。(Tm−100)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがあり好ましくない。また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
【0050】
このようにして作成された積層白色フィルムの表面に、ビーズ層を形成するための塗液として、球状粒子、バインダー、任意成分としての架橋剤やその他の成分を、溶媒に分散または溶解させた塗液を、コーティング装置を用いて所定量塗工し、温度70〜120℃、好ましくは段階的に昇温設定したオーブンにより乾燥させてビーズ層を形成することによって、本発明の反射フィルムを得ることができる。コーティング装置として、例えばダイコーティング装置やグラビアロールコーティング装置を用いることができる。また、溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン等を用いることができる。塗液の固形分濃度としては、20〜50質量%が好ましく、球状粒子の凝集を抑制しやすくなり、粒子脱落の抑制効果を高くすることができる。
【0051】
[反射フィルムの特性]
(反射率)
本発明の反射フィルムの反射率は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは97.5%以上である。反射率が96%以上であることによって、液晶表示装置や照明等に用いた場合には、高い輝度を得ることができる。かかる反射率は、例えば上述したような白色フィルムを用い、球状粒子の被覆率を本発明が規定する範囲とすることで達成することができる。
【0052】
(曲げモーメント)
本発明の反射フィルムは、曲げモーメントが176mN・cm(18gf・cm)以上であることが好ましい。曲げモーメントが上記数値範囲にあることによって、例えば30型のごとく大画面のLCDに用いたとしても、反射フィルムが自重で撓むことを抑制することができる。それにより粒子脱落の抑制効果、および導光板の傷つき抑制効果を高めることができる。このような観点から、曲げモーメントは、好ましくは196mN・cm(20gf・cm)以上、さらに好ましくは245mN・cm(25gf・cm)以上、特に好ましくは294mN・cm(30gf・cm)以上である。
このような曲げモーメントは、反射フィルムを厚くしたり、ヤング率を高くしたりすることにより達成することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0054】
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。
【0055】
(2)白色フィルムの有機粒子および無機粒子の平均粒子径
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径を平均粒子径とした。
【0056】
(3)球状粒子の平均粒子径
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、粒子を100個任意に測定し、平均粒子径を求めた。なお、球状以外の場合は(長径+短径)/2にて求めた。
【0057】
(4)塗膜の硬度
塗膜の硬度(H)は、微小硬度計(エリオニクス製、超微小押し込み硬さ試験機ENT−1100)を用いて、塗膜において球状粒子がなく、塗膜のみの部分において、一定な荷重P(mgf)をかけた時、圧子の最大変位量h(μm)を測定し、次式:
硬度(H、mgf/μm)=37.926×10−3×P/h
に算入して得られる値として求めた。なお、1kgf=9.8Nとして求めた。
・試験温度;28℃
・試験用圧子;三角錐圧子(稜間隔115度)
・試験荷重;300mgf
・分割数;1000
・ステップインターバル;10msec
上記操作を異なる8箇所に対して行い、それらの平均値を求めた。
なお、最大変位量が塗膜の厚み以上になる場合は、試験荷重を低くして(例えば100〜200mgfにして)測定を行い、最大変位量が塗膜の厚み未満となるようにした。
【0058】
(5)バインダーのガラス転移温度Tg
バインダーを含有する剤(溶液)5mlをコップに入れて、室温で風乾させ、溶剤を飛ばし、得られたバインダーの固形分を用いて、JIS K−7121に準じて、DSCにより以下の測定条件で測定した。
[ガラス転移温度Tgの測定条件]
・サンプル量;10mg±0.2mg
・スタート温度;20℃
・リミット温度;200℃
・昇温スピード;20℃/min
得られたDSC曲線(示差走査熱量測定の結果で、縦軸に熱流、横軸に温度をとった曲線)に、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線のこう配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をTgとした。
【0059】
(6)S10強度
球状粒子のS10強度は、島津製作所社製の微小圧縮試験機MCTM2000を用いて球状粒子1個に対し、一定の負荷速度で1gfの荷重をかけたときの樹脂粒子の変形量と荷重を測定し、粒子径が10%変形したときの荷重と圧縮前の粒子半径を次式:
圧縮強度(kgf/mm)=2.8×荷重(kgf)/{π×(粒子半径(mm))
に算入して得られる値として求めた。なお、1kgf=9.8Nとして求めた。
[圧縮強度(S10強度)の測定条件]
・試料調製;以下の実施例及び比較例で得られた各球状粒子をそれぞれエタノール中に分散させた後、試料台に塗布乾燥し、測定用試料を調製した。
・試験温度;常温
・試験用圧子;平面50(直径50μmの平面圧子)
・試験種類;圧縮試験(MODE1)
・試験荷重;1.00(gf)
・負荷速度;0.072500(gf/秒)
・変位フルスケール;10(μm)
上記操作を異なる球状粒子8個に対して行い、それらの平均値を求めた。
【0060】
(7)球状粒子の露出率
(7−1)サンプルの作成
ミクロトームを用いて、エポキシ包埋したフィルムから切片サンプル1と切片サンプル2を切り出した。切片サンプル1は、フィルム面内に無作為に選んだ一方向とフィルムの厚み方向とが形成する面が切断面となるように切り出した切片サンプルであり、切片サンプル2は、切片サンプル1で選んだ無作為な一方向と直交する方向と厚み方向とが形成する面が切断面となるように切り出した切片サンプルである。
【0061】
(7−2)測定
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
露出率は、切片サンプルの切断面内における球状粒子の断面の中心を通りフィルムの塗膜面に垂直に向かう直線を引いたときに、この直線がフィルム切片の切断面内において球状粒子の表面と交わる2つの点のうち、露出した側の表面にある点をS、露出していない側の表面にある点をTとし、さきの直線がバインダーの塗膜面と交わる点をBとしたとき、(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)で表される(図1参照)。
すなわち、露出率(%)は、下記式で定義される。
露出率=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における球状粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
また、かかる測定を上記6mmの測定領域において観測される全ての粒子について実施し、その平均値を平均露出率とした。
【0062】
(8)球状粒子によるフィルム表面の被覆率
(8−1)サンプルの作成
上記(7−1)で得たサンプルについて評価を行った。
【0063】
(8−2)測定
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立走査電子顕微鏡ショットキーエミッション形電子ビームシステムS−4300SE/Nを用い、倍率3000倍にて観察した。
被覆率は、切片サンプルの切断面内における測定領域において、球状粒子に被覆されていないフィルム表面の部分の長さを積算して、下記式で求めた(図1参照)。
被覆率
=(6mm−(球状粒子に被覆されていない部分の積算長さ(mm)))/6mm×100(%)
【0064】
(9)塗膜厚み
フィルムサンプルの厚み方向の断面を日立走査電子顕微鏡ショットキーエミッション形電子ビームシステムS−4300SE/Nを用い、倍率3000倍にて観察撮影し、写真から球状粒子を有しない箇所(例えば図1の符号204)において塗膜の厚みを計測し、任意に10点測定してそれらの平均値を求めた。
【0065】
(10)導光板の傷つき評価(削れ性評価)、および粒子の脱落評価
図3のように、取っ手部分(図3の符号7)として、定規を用い、その端に長さ200mm×幅200mm×厚み3mmの鉄板(図3の符号8、重さ約200g)を固く貼り付け、その上に、評価面を上にした幅250mm×長さ200mmの反射フィルム(図3の符号9)を幅方向の両端からそれぞれ25mmの部分が鉄板からはみ出すようにして、(中央の200mm×200mmの部分が鉄板と重なるようにして)貼り付けた。この際、反射フィルムの評価面(ビーズ層面)が外側になるようにした。また、反射フィルムの幅方向の両端で余った25mmの部分は、鉄板の裏側に折り返して、反射フィルムの端部(サンプリング時にナイフ等により刃を入れた部分)が導光板を削ってしまう影響を極力低減した。
次に、ドット面を上にした導光板(少なくとも400mm×200mmのサイズのもの)を水平な机上に固定し、上記で作成した鉄板に固定した反射フィルムを、評価面と導光板とが接触するように、反射フィルム側の面を下向きにして導光板の上に置き、さらにその上に1kgの重り(図3の符号10)を載せて、距離200mmで(400mm×200mmの領域で鉄板に固定した反射フィルムを動かすことになる)1往復約5〜10秒の速度で15往復動かした。 その後、導光板表面において、その削れ具合と、反射フィルムから脱落した球状粒子の有無について、20倍のルーペを用いて観察し、以下の基準で評価した。
導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、ルーペで観察できるキズがなければ「削れない」(削れ評価○)とした。他方、観察できるキズがある場合は「削れる」(削れ評価×)とした。
また、導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、ルーペで観察できる白色異物がなければ、「球状粒子が脱落しない」(脱落評価○)とした。また、観察できる白色異物があった際は、かかる白色異物を顕微鏡により観測し、ビーズ層に含有する球状粒子であることを確認して、脱落した球状異物が5つ以下であれば、「球状粒子がほとんど脱落しない」(脱落評価△)とし、6つ以上であれば、「球状粒子が脱落する」(脱落評価×)とした。
なお、上記評価にあたっては、ドットサイズの影響を極力抑えるべく、導光板において、極力ドットサイズの大きな領域を選択し、各評価サンプルで揃えて行った。
また、上記評価にあたっては、反射フィルムを少なくとも、温度23℃、相対湿度55RH%の環境で3日間置いて、ビーズ層を十分に安定させてから評価を実施した。
【0066】
(11)白点評価
上記(10)の評価で用いた反射フィルムと導光板を用いて、机上に、ビーズ層が上向きとなるように反射フィルムを置き、その上にドット面が下向きになるように導光板を置き、導光板の四辺のぞれぞれに各200gずつの重りを置き固定し、LGのLED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)のバックライト光源を用いて、導光板の側面から光を入射して、目視で観察できる導光板ドット以外の明るい点があれば白点発生(評価×)とした。他方、目視で観察できる異常な明るい点がなければ白点発生しない(評価○)とした。
【0067】
(12)貼り付き評価
LGのLED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)からシャーシを取り出し、テレビ内部側が上向きとなるように水平な机上に置き、その上に、シャーシとほぼ同じ大きさの反射フィルムを、ビーズ層が上向きとなるように置き、さらにその上に、元々テレビに備えられていた導光板および光学シート4枚(拡散フィルム2枚、プリズム1枚、DBEF1枚)を置いた。次いで、その面内で、シャーシの凹凸の最も激しい部分を含む領域に、図2に示すごとく500gの重りを4つ乗せて、かかる重り4つに囲まれた領域を目視で観測し、異常に明るい部分がなければ「貼り付きがなし」(貼り付き評価○)とした。また、異常に明るい部分があった場合は、光学シート4枚の上にさらに、元々テレビに備わっていた拡散シートを置き、同様に目しで観測し、異常に明るい部分がなおあれば、「貼り付きがあり」(評価×)とし、異常に明るい部分がなくなれば「貼り付きが殆どなし」(評価△)とした。なお、4つの重りに囲まれた領域は、約15cm×約15cmの略正方形とした。
【0068】
(13)剛性(曲げモーメント)
東洋精機製作所のテーバー式スティフネステスターを用いて、以下に示すサイズの試験片の短辺の一端をつかみ、片持ちばりを構成させて、次いで反対側の端に一定の荷重を掛け、左右とも15°まで曲げるのに要する曲げモーメントを、次式:M=38×n×K/Wに算入して求めた。かかる測定ほ、フィルムの縦方向および横方向で実施し、これらの平均値をフィルムの剛性(曲げモーメント)とした。なお、1gf=9,8mNとして求めた。
試験片のサイズ:縦70mm、横38mm
M:曲げモーメント(gf・cm)
n:目盛りの読み値(左右の平均値)
K:1目盛り当りのモーメント(gf・cm)
W:試験片の幅(mm)
荷重について、フィルムの厚みが300μ以下の場合は、10gの荷重を掛け、厚みが300μ以上の場合は、50gの荷重を掛けた。指示荷重目盛りが15〜85に入らない場合は、その範囲に入るよう荷重を変更して測定した。
K値は、使用した荷重により、次のようになる。すなわち、用いた荷重が10gの場合は、K値は1gf・cm、荷重が50gの場合は、K値は5gf・cm、荷重が100gの場合は、K値は10gf・cmとした。
【0069】
[実施例1]
ボイド形成剤として平均粒子径1.37μの硫酸バリウム粒子を47質量%含有するポリエステル組成物からなる反射層と、ポリエステルからなる支持層の2層から構成されたフィルム総厚み225μmの白色フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンUXSP−225)の反射層(反射率98.6%)の上に、ダイコーティング装置にて、下記の調液レシピ1に示す組成からなる塗液を、wet厚み9g/mの塗布量で塗布した後、オーブン内にて80℃で乾燥して反射フィルムを得た。
(調液レシピ1、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330(ナイロンビーズ、無孔質粒子、粉体)・・・5.3質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックWBU−305(Tg50℃、固形分濃度55質量%)・・・40.1質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL(イソシアネート系架橋剤、固形分濃度75質量%)・・・10.3質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・44.4質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:63質量%
・架橋剤:22質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、1.2となる。
【0070】
[実施例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ2、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・5.3質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックWBU−305・・・41.4質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHX(イソシアネート系架橋剤、固形分濃度100質量%)・・・6.9質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・46.4質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:65質量%
・架橋剤:20質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、1.6となる。
【0071】
[実施例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ3、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・5.3質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA(Tg95℃、固形分濃度50質量%)・・・30.1質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・19.5質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・45.1質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:43質量%
・架橋剤:42質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、5.7となる。
【0072】
[実施例4]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ4、固形分濃度36.0質量%)
・球状粒子:積水化成品工業 ABX−8(高架橋アクリルビーズ、無孔質粒子、粉体)・・・5.4質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・31質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・20.1質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・43.5質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:43質量%
・架橋剤:42質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、5.7となる。
【0073】
[実施例5]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、wet厚み15g/mの塗布量で塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ5、固形分濃度36.0質量%)
・球状粒子:積水化成品工業 ABX−12(高架橋アクリルビーズ、無孔質粒子、粉体)・・・5.4質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・31質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・20.1質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・43.5質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:43質量%
・架橋剤:42質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、5.7となる。
【0074】
[実施例6]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ6、固形分濃度36.0質量%)
・球状粒子:積水化成品工業 BM30X−8(高架橋アクリルビーズ、無孔質粒子、粉体)・・・5.4質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・31質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・20.1質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・43.5質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:43質量%
・架橋剤:42質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、5.7となる。
【0075】
[実施例7]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ7、固形分濃度35.0質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・3.5質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・31.5質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・21.0質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・44.0質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:10質量%
・バインダー:45質量%
・架橋剤:45質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、5.7となる。
【0076】
[実施例8]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ8、固形分濃度35.0質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・8.8質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・26.6質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・17.3質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・47.4質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:25質量%
・バインダー:38質量%
・架橋剤:37質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、5.7となる。
【0077】
[実施例9]
wet厚み17g/mの塗布量で塗布する他は実施例3と同様にして反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。
【0078】
[比較例1]
実施例1における白色フィルム上にコーティング層を設けずに評価した。
【0079】
[比較例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、wet厚み20g/mの塗布量で塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ9、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:なし
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・35質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・23.3質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・41.7質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:0質量%
・バインダー:50質量%
・架橋剤:50質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、5.7となる。
【0080】
[比較例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、wet厚み20g/mの塗布量で塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ10、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:なし
・アクリルバインダー:DIC アクリディックWBU−305・・・47.1質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・12.1質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・40.8質量%
得られた反射フィルムの物性は表1、2の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:0質量%
・バインダー:74質量%
・架橋剤:26質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、1.2となる。
【0081】
[比較例4]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ11、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・5.3質量%
・アクリルバインダー:日本触媒 ユーダブルS2740(Tg35℃、固形分濃度50質量%)・・・59.4質量%
・有機溶剤:メチルエチルケトン・・・35.3質量%
得られた反射フィルムの物性は表1の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:85質量%
・架橋剤:0質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、0となる。
【0082】
[比較例5]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ12、固形分濃度35.0質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・5.3質量%
・アクリルバインダー:日本触媒 ユーダブルS2740・・・51.8質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・5.1質量%
・有機溶剤:メチルエチルケトン・・・37.8質量%
得られた反射フィルムの物性は表1の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:74質量%
・架橋剤:11質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、0.9となる。
【0083】
[比較例6]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ13、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・5.3質量%
・アクリルバインダー:日本触媒 ユーダブルS2740・・・51.8質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHX・・・3.8質量%
・有機溶剤:メチルエチルケトン・・・39.1質量%
得られた反射フィルムの物性は表1の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:74質量%
・架橋剤:11質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、1.4となる。
【0084】
[比較例7]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
(調液レシピ14、固形分濃度35質量%)
・球状粒子:住化エンビロサイエンス MW−330・・・5.3質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・21.7質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・25.2質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・47.9質量%
得られた反射フィルムの物性は表1の通りであった。なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・球状粒子:15質量%
・バインダー:31質量%
・架橋剤:54質量%
また、バインダーにおける反応基と架橋剤における架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)は、10となる。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の反射フィルムは、液晶表示装置や照明器具等に用いられる反射フィルムとして、特に、LCD等の表示装置に用いられる反射フィルムとして、とりわけ大型のLCDを含めたLCDに用いられるエッジライト型のバックライトユニットの反射フィルムとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0088】
101〜105 球状粒子
2 塗膜
201 球状粒子に被覆されていない部分
202 球状粒子に被覆されている部分
203 塗膜表面
204 塗膜厚み
3 白色フィルム
4 シャーシ
5 反射フィルム、導光板、光学シートの積層物
6 重り
7 取っ手部分
8 鉄板
9 反射フィルム
10 重り
11 導光板
1101 ドット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色フィルムの表面に塗膜と球状粒子とからなるビーズ層を有する反射フィルムであって、塗膜の微小硬度計により求められる硬度が96.0〜225.4N/mmであり、白色フィルム表面において球状粒子による被覆率が2〜45%であり、球状粒子の平均露出率が5〜80%である反射フィルム。
【請求項2】
塗膜が、バインダーと架橋剤とを含有する組成物から形成されてなる請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項3】
バインダーのガラス転移温度Tgが40℃以上である請求項2に記載の反射フィルム。
【請求項4】
塗膜において、バインダーが反応基を有し、架橋剤が架橋基を有し、かかる反応基と架橋基とのモル比率(架橋基/反応基)が1〜18である請求項2または3に記載の反射フィルム。
【請求項5】
ビーズ層における球状粒子のS10強度が5.8〜23.6N/mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射フィルム。
【請求項6】
ビーズ層における球状粒子の含有量が、ビーズ層の質量100質量%に対して10〜50質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射フィルム。
【請求項7】
液晶表示装置用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射フィルム。
【請求項8】
エッジライト型バックライトユニット用である請求項7に記載の反射フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−159610(P2012−159610A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18158(P2011−18158)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】