説明

反射体および照明器具

【課題】遮光部25の端部の傾斜部31における外観を向上できる反射体13を提供する
【解決手段】反射体13には、断面略V字形の反射面部23を設け、反射面部23の頂部24から連続して延長した断面略U字形の遮光部25を設ける。遮光部25の端部で遮光部25の先端30側から反射面部23の頂部24側へ向けて傾斜部31を設ける。傾斜部31の両側縁部から互いに接近するように曲げ部32を曲げる。曲げ部32により、遮光部25の端面の隙間を減少させたり無くし、外観を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に用いられる反射体、およびこの反射体を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、2本の直管形蛍光ランプを用いる天井埋込形照明器具では、下面を開口した器具本体の内側に2本の直管形蛍光ランプが配置されている。
【0003】
このような天井埋込形照明器具では、グレアカットやモニタなどへのランプ像の映り込み防止のために、遮光角を制御するようにしたものがある。例えば、器具本体の高さが高い場合にはランプを器具本体の下面開口よりも奥側に配置したり、2本の直管形蛍光ランプ間に断面略V字形の反射面部を有する反射体を配置するとともに、直管形蛍光ランプの長手方向に対して交差するように配置される複数のバッフルを反射体の長手方向に間隔をあけて取り付けている。
【0004】
また、高さが低い薄形の器具本体の場合には、直管形蛍光ランプが器具本体の下面開口に近い位置に配置され、器具本体内に配置される反射体やバッフルなどでは所定の遮光角を得るのが困難になるため、断面略V字形の反射面部の頂部から遮光部を下方へ延設するとともに遮光部の先端まで複数のバッフルを配置し、これら遮光部およびバッフルを器具本体の下面開口から下方へ突出させることで所定の遮光角を得るようにしている。
【0005】
遮光部の端部側は、意匠性を向上させるために、遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向けて傾斜状とする傾斜部を設け、遮光部の端部を器具本体の縁部と略同じ高さに位置している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公平7−50563号公報(第3−4頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、反射体は板金材料で形成されており、遮光部は断面略U字形に折曲されて各反射面部が折曲されるため、断面略U字形の遮光部には隙間が生じ、この遮光部の隙間が端部の傾斜部から見えてしまい、外観が損なわれてしまう。
【0007】
そこで、傾斜部の端部をモールド部品や板金部品などで覆う方法があるが、反射板とは別の部品を用いなければならない問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、遮光部の傾斜部における外観が損なわれず、傾斜部を覆う別部品を用いる必要もない反射体および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の反射体は、断面略V字形の反射面部と;反射面部の頂部から連続して延長された断面略U字形の遮光部と;遮光部の端部で遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向けて傾斜状に設けられた傾斜部と;傾斜部の縁部から遮光部の端面を閉じるように曲げられた曲げ部と;を具備しているものである。
【0010】
反射体は、例えば、1枚の板金材料を折曲して形成される。曲げ部は、例えば、円弧状に湾曲しても、傾斜状や略直角に折曲してもよく、また、一側の傾斜部の縁部のみから曲げても、両側の傾斜部の縁部から互いに接近するように曲げてもよい。遮光部の端面を閉じるようにとは、曲げ部で断面略U字形の遮光部の隙間を減少もしくは無くすことを意味する。
【0011】
請求項2記載の反射体は、請求項1記載の反射体において、曲げ部は、両側の傾斜部の縁部から互いに接近するように湾曲されているとともに、遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向かうにしたがって湾曲度合が大きくなるように湾曲されているものである。
【0012】
曲げ部が両側の傾斜部の縁部から互いに接近するように湾曲することにより、例えば、両側の曲げ部の端面同士が対向し、両側の曲げ部の端面が外側に露出しないようにすることが可能となる。曲げ部の湾曲度合が遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向かうにしたがって大きくなることにより、遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向かうにしたがって隙間が大きくなりやすくても、遮光部の隙間を減少もしくは無くすことが可能となる。
【0013】
請求項3記載の照明器具は、ランプが配置される器具本体と;反射面部がランプに対向するとともに遮光部が器具本体から突出するように器具本体に取り付けられた請求項1または2記載の反射体と;を具備しているものである。
【0014】
照明器具は、例えば、天井埋込形照明器具や天井直付形照明器具などであって、特に高さが低い薄形の照明器具であり、反射体によって遮光角の制御が可能となる。ランプは、例えば、直管形蛍光ランプなどで、反射体の両側の反射面部に対向して2本の直管形蛍光ランプが配置される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の反射体によれば、断面略U字形の遮光部の端面を閉じるように傾斜部の縁部から曲げ部を設けたので、遮光部の端面の隙間を覆うための別部品を用いることなく、遮光部の端面の隙間を減少させたり無くすことができ、外観を向上できる。
【0016】
請求項2記載の反射体によれば、請求項1記載の反射体の効果に加えて、曲げ部は、両側の傾斜部の縁部から互いに接近するように湾曲させているので、両側の曲げ部の端面同士が対向し、両側の曲げ部の端面が外側に露出せず、外観を向上でき、しかも、曲げ部は、遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向かうにしたがって湾曲度合が大きくなるように湾曲させているので、遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向かうにしたがって隙間が大きくなりやすくても、遮光部の端面の隙間を減少させたり無くすことができる。
【0017】
請求項3記載の照明器具によれば、請求項1または2記載の反射体を用いるので、外観を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は反射体の端部の斜視図、図2は反射体の曲げ部の断面図、図3は反射体を用いた照明器具の一部の斜視図、図4は反射体の展開状態の一部の斜視図、図5は反射体の曲げ部を曲げる前の一部の斜視図である。
【0020】
図3に示すように、照明器具11は、ランプとしての直管形蛍光ランプLを2本用いる2灯用の天井埋込形照明器具で、天井に埋め込み設置される器具本体12、およびこの器具本体12の下面開口に配置される反射体13を備えている。
【0021】
器具本体12は、金属材料にて、下面開口16を有する細長箱状に形成されているとともに下面開口16の周縁部に縁枠部17が形成され、表面が絶縁性を有する白色の塗膜で覆われている。この器具本体12は、天井面に形成された埋込用開口に器具本体12が下方から挿入されて縁枠部17が天井面に当接した状態に設置される。器具本体12内の長手方向の両端に図示しない2組のソケットが配設され、これら2組のソケットによって器具本体12内に2本の直管形蛍光ランプLが水平方向に並列に配置されている。器具本体12の天板には、反射体13を取り付ける取付ばね18が配設されているとともに、図示しない端子台や点灯装置などが配設されている。
【0022】
また、反射体13は、2本の直管形蛍光ランプLの間に配置される反射板21、および反射板21の長手方向に対して交差する向きでかつ反射板21の長手方向に間隔をあけて配置される複数のバッフル22を備え、これら反射板21およびバッフル22の表面が絶縁性を有する白色の塗膜で覆われている。
【0023】
反射板21は、図1ないし図5に示すように、1枚の板金材料によって形成されており、断面略V字形に折曲形成された両側の反射面部23、これら反射面部23の頂部24側から連続して延長された断面略U字形の遮光部25を有し、この遮光部25の内側間に溝部26が形成されている。両側の反射面部23の両側外縁部には器具本体12に当接する当接部27が立ち上げられるとともに内側に略U字形に折り返して形成されている。反射面部23および遮光部25には、各バッフル22の取付位置に、バッフル22を差し込んで取り付けるスリット状の取付溝28が形成されている。反射面部23には、器具本体12の取付ばね18に係合して取り付けられる取付孔29が形成されている。
【0024】
遮光部25の両端部には、遮光部25の先端30側から反射面部23の頂部24側へ向けて傾斜状にカットされた傾斜部31が形成されている。この傾斜部31には、遮光部25の端面に開口する溝部26を閉じるように傾斜部31の両側縁部から互いに接近するように曲げられた曲げ部32が形成されている。この曲げ部32は、両側の傾斜部31の縁部から互いに接近するように円弧状に湾曲されていて、両側の曲げ部32の端面同士が対向し、両側の曲げ部32の端面が傾斜部31の端面側に臨まないように湾曲されている。しかも、遮光部25の先端30側から反射面部23の頂部24側へ向かうにしたがって、湾曲度合が大きくなるように湾曲され、つまり曲げ部32の曲げ代が大きくなるように湾曲されている。
【0025】
各バッフル22は、板金材料によって形成され、反射板21の取付溝28に差し込んで取り付けられている。各バッフル22の両端部は連結部材33によって一体に連結されている。
【0026】
次に、反射体13を製造するには、図4に示すように、板金材料によって展開状態の反射板21を加工する。このとき、遮光部25に端部において、傾斜部31の部分を略V字形にカットする。
【0027】
図5に示すように、断面略V字形の反射面部23、断面略U字形の遮光部25、反射面部23の当接部27をそれぞれ曲げ加工し、反射板21の形状に加工する。この状態では、遮光部25の両端部に傾斜部31が形成されるが、遮光部25の溝部26の幅の隙間が傾斜部31の端面に開口している。
【0028】
遮光部25の溝部26に図示しない内側の金型を挿入配置し、この内側の金型に対し両側の傾斜部31の縁部を介して閉じる外側の金型との間でプレスし、両側の傾斜部31の縁部を互いに接近するように曲げ部32を曲げ加工する。これにより、傾斜部31の端面の隙間が減少もしくは無くなる。
【0029】
反射板21の各取付溝28に各バッフル22を取り付け、反射体13を組み立てる。反射板21に各バッフル22を組み合わせることにより、断面略V字形の両側の反射面部23の間が狭まるため、傾斜部31の端面の隙間がより減少もしくは無くなる。
【0030】
組み立てた反射体13を塗装し、反射体13の反射板21や各バッフル22の表面に塗膜を形成する。
【0031】
次に、照明器具11を設置するには、器具本体12を天井面に設置し、器具本体12内に各直管形蛍光ランプLを接続配置し、器具本体12の下面開口16から反射体13を挿入して取付孔29を取付ばね18に係合させて取り付ける。
【0032】
照明器具11の設置状態では、反射板21の遮光部25および各バッフル22の下部側が器具本体12の下面開口16より下方に突出し、傾斜部31の最も外側端部が器具本体12の縁枠部17と略同じ高さに位置する。そして、この反射体13により、グレアカットやモニタなどへのランプ像の映り込み防止のための遮光角を制御できる。
【0033】
そして、反射体13の反射板21は、断面略U字形の遮光部25の端面を閉じるように傾斜部31の縁部から曲げ部32を設けたので、遮光部25の端面の隙間を覆うための別部品を用いることなく、遮光部25の端面の隙間を減少させたり無くすことができ、照明器具11の外観を向上できる。
【0034】
また、曲げ部32は、両側の傾斜部31の縁部から互いに接近するように湾曲させているので、両側の曲げ部32の端面同士が対向し、両側の曲げ部32の端面が外側に露出せず、外観を向上できる。
【0035】
しかも、曲げ部32は、遮光部25の先端30側から反射面部23の頂部24側へ向かうにしたがって湾曲度合が大きくなるように湾曲させているので、遮光部25の先端側から反射面部23の頂部24側へ向かうにしたがって隙間が大きくなりやすくても、遮光部25の端面の隙間を減少させたり無くすことができる。
【0036】
なお、曲げ部32は、円弧状に湾曲させるのに限らず、傾斜状あるいは直角に曲げてもよく、隙間を減少もくしは無くすことができればよい。
【0037】
また、2本の直管形蛍光ランプLを用いた2灯用の照明器具に限らず、4本の直管形蛍光ランプLを用いた4灯用の照明器具にも適用でき、この場合には、反射体13に2つの反射板21を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態を示す反射体の端部の斜視図である。
【図2】同上反射体の曲げ部の断面図である。
【図3】同上反射体を用いた照明器具の一部の斜視図である。
【図4】同上反射体の展開状態の一部の斜視図である。
【図5】同上反射体の曲げ部を曲げる前の一部の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
11 照明器具
13 反射体
12 器具本体
23 反射面部
24 頂部
25 遮光部
31 傾斜部
32 曲げ部
L ランプとしての直管形蛍光ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略V字形の反射面部と;
反射面部の頂部から連続して延長された断面略U字形の遮光部と;
遮光部の端部で遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向けて傾斜状に設けられた傾斜部と;
傾斜部の縁部から遮光部の端面を閉じるように曲げられた曲げ部と;
を具備していることを特徴とする反射体。
【請求項2】
曲げ部は、両側の傾斜部の縁部から互いに接近するように湾曲されているとともに、遮光部の先端側から反射面部の頂部側へ向かうにしたがって湾曲度合が大きくなるように湾曲されている
ことを特徴とする請求項1記載の反射体。
【請求項3】
ランプが配置される器具本体と;
反射面部がランプに対向するとともに遮光部が器具本体から突出するように器具本体に取り付けられた請求項1または2記載の反射体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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