説明

反射型スクリーン装置

【課題】反射面の形成が容易で、プロジェクターから射出された投射光を効率的に反射させ、併せて利便性を向上させる反射型スクリーン装置を提供する。
【解決手段】反射型スクリーン装置1は、スクリーン基材に対して反射部としての反射膜が投射光Lpの入射角度に応じて選択的に形成される反射面(反射領域)を有して投射光Lpを反射する反射型スクリーン2と、反射型スクリーン2の両端部(上端部、下端部)をそれぞれ支持し、双方向に反射型スクリーン2の巻き取りおよび繰り出しを行う一対の巻回部3と、を備え、巻回部3は、相互に従動して逆の動作を行い、巻回部3間の反射面を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクター等の投射型表示装置から投射された投射光をスクリーンで反射して画像を表示するスクリーン装置が知られている。特許文献1では、至近距離の投射装置(プロジェクター)から投射された画像を映し出す反射型スクリーンであって、位置Aから投射された投射光を略同一方向に反射する第1反射面と、位置Aとは異なる位置Bから投射された投射光を略同一方向に反射する第2反射面と、を有する反射型スクリーンが開示されている。
【0003】
具体的には、第1反射面は、所定点からの距離に応じて傾斜角が大きくなる複数の第1反射素子面を有し、第2反射面は、所定点からの距離に応じて傾斜角が大きくなる複数の第2反射素子面を有し、第1反射素子面と第2反射素子面とが混在して配置される構成となっている。特許文献1では、スクリーンに入射する投射光の入射角によって、スクリーン面の輝度低下を防止すると共に、投射装置とスクリーンの位置関係が変わっても、輝度変化を抑制することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−299219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される反射型スクリーンでは、反射型スクリーンの中に、第1反射素子面と第2反射素子面とが混在して配置される構成であるため、同一箇所の近傍に微妙に異なる反射面を有することとなり、反射面を形成させる型が複雑となるという課題がある。また、投射光を反射する反射面は、第1反射面または第2反射面のいずれかが有効となることにより、投射光を効率的に反射させることには課題があり、輝度低下等が考えられる。また、反射型スクリーンに対する投射装置(プロジェクター)の適正な設置位置がわかりづらいという課題がある。
従って、反射面の形成が容易で、プロジェクターから射出された投射光を効率的に反射させ、併せて利便性を向上させる反射型スクリーン装置が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
(適用例1)本適用例に係る反射型スクリーン装置は、スクリーン基材に対して反射部が投射光の入射角度に応じて選択的に形成される反射面を有して投射光を反射する反射型スクリーンと、反射型スクリーンの両端部をそれぞれ支持し、双方向に反射型スクリーンの巻き取りおよび繰り出しを行う一対の巻回部と、を備え、巻回部は、相互に従動して逆の動作を行い、巻回部間の反射面を移動させることを特徴とする。
【0008】
このような反射型スクリーン装置によれば、反射型スクリーンの反射面は、スクリーン基材に対して反射部が投射光の入射角度に応じて選択的に形成されることで、異なる反射面が混在することはなく、反射面の形成が容易である。また、巻回部を動作(巻き取りおよび繰り出し)させることにより、反射面を移動させて、所望の反射面を表示させることができるため、利便性が向上すると共に、反射型スクリーン装置の小型化を図ることができる。
【0009】
(適用例2)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、反射面に対応し、投射光を射出するプロジェクターの投射距離を露出する距離表示部を備えていることが好ましい。
【0010】
このような反射型スクリーン装置によれば、プロジェクターの投射距離を露出する距離表示部を備えることにより、反射面が巻回部の動作により移動した反射型スクリーンに対して、プロジェクターを設置する位置(投射距離)を示すことで、反射面に対応する投射位置にプロジェクターを容易に設置することができる。これにより、所望の反射面に対応させて、プロジェクターを適切な投射距離に設置でき、投射光を効率的に反射させることができる。
【0011】
(適用例3)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、距離表示部は、スクリーン基材に形成されていることが好ましい。
【0012】
このような反射型スクリーン装置によれば、距離表示部がスクリーン基材に形成されていることにより、巻回部を動作させることで、反射面を移動させた場合に、移動させて表示させた反射面に対して適切な投射距離を表示することができ、反射面と投射距離との対応を容易に付けることができる。このため、反射型スクリーンの反射面に対応させて、適切な位置(投射距離)にプロジェクターを設置することができる。
【0013】
(適用例4)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、巻回部を保持する保持部と、投射光を射出するプロジェクターが載置される載置部と、保持部および載置部を支持するベース部と、を備えていることが好ましい。
【0014】
このような反射型スクリーン装置によれば、保持部、載置部、ベース部を備えることで、容易にプロジェクターを設置することができ、反射型スクリーン装置の利便性が向上する。
【0015】
(適用例5)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、巻回部の回転に従動して、所定の投射距離に載置部を移動させる駆動部を備えていることが好ましい。
【0016】
このような反射型スクリーン装置によれば、駆動部を備えることにより、反射型スクリーンの反射面に対応して、所定の投射距離に載置部を移動させる。これにより、更に容易にプロジェクターを所定の投射距離に設置することができ、反射型スクリーン装置の利便性が更に向上する。
【0017】
(適用例6)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、投射光を反射させて反射面に投射させる第1反射部を備えていることが好ましい。
【0018】
このような反射型スクリーン装置によれば、第1反射部を備えることにより、プロジェクターを反射型スクリーンに対して、接近させて設置することができる。
【0019】
(適用例7)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、第1反射部は折り畳み可能に設置されていることが好ましい。
【0020】
このような反射型スクリーン装置によれば、第1反射部を使用しない場合には、折り畳むことにより、邪魔にならない。従って、反射型スクリーン装置の利便性が更に向上する。
【0021】
(適用例8)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、反射面に対応し、投射光を射出するプロジェクターの投射角度を露出する角度表示部を備えていることが好ましい。
【0022】
このような反射型スクリーン装置によれば、プロジェクターの投射角度を露出する角度表示部を備えることにより、反射面が巻回部の動作により移動した反射型スクリーンに対して、プロジェクターを設置する位置(投射角度)を示すことで、反射面に対応する投射角度となるようにプロジェクターを設置することができる。
【0023】
(適用例9)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、角度表示部は、スクリーン基材に形成されていることが好ましい。
【0024】
このような反射型スクリーン装置によれば、角度表示部がスクリーン基材に形成されていることにより、巻回部を動作させることで、反射面を移動した場合に表示させた反射面のスクリーン基材に形成される投射角度を確認でき、反射面に対応する投射角度との対応を容易に付けることができる。このため、反射型スクリーンの反射面に対応させて、適切な位置(投射角度)にプロジェクターを設置することができる。
【0025】
(適用例10)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、巻回部を保持する保持部と、保持部を所定の高さに移動させる伸縮部と、投射光を射出するプロジェクターが載置されると共にプロジェクターの投射角度を可変する載置部と、伸縮部および載置部を支持するベース部と、を備えていることが好ましい。
【0026】
このような反射型スクリーン装置によれば、保持部、伸縮部、載置部、およびベース部を備えることで、反射型スクリーン装置に安定してプロジェクターを容易に設置することができ、反射型スクリーン装置の利便性が向上する。
【0027】
(適用例11)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、巻回部の回動または伸縮部の伸縮の動作に従動して、伸縮部を伸縮または巻回部を回動させると共に、載置部を所定の投射角度に回転させる駆動部を備えていることが好ましい。
【0028】
このような反射型スクリーン装置によれば、駆動部を備えることにより、巻回部の回動に従動して伸縮部を伸縮させると共に、載置部を所定の投射角度に回転させる。または、伸縮部の伸縮に従動して巻回部を回動させると共に、載置部を所定の投射角度に回転させる。これにより、更に容易にプロジェクターを所定の投射角度に設置することができ、反射型スクリーン装置の利便性が更に向上する。
【0029】
(適用例12)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、巻回部を保持する保持部と、保持部を所定の高さに移動させる伸縮部と、投射角度に対応して反射角度を可変することにより投射光を反射させて反射面に投射させる第2反射部と、伸縮部を支持するベース部と、を備えていることが好ましい。
【0030】
このような反射型スクリーン装置によれば、保持部、伸縮部、第2反射部、およびベース部を備えることで、投射角度に対応して反射角度を可変して反射型スクリーンに投射させる。これにより、反射型スクリーン装置の利便性が向上する。
【0031】
(適用例13)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、巻回部の回動または伸縮部の伸縮の動作に従動して、伸縮部を伸縮または巻回部を回動させると共に、第2反射部を所定の反射角度に回転させる駆動部を備えていることが好ましい。
【0032】
このような反射型スクリーン装置によれば、駆動部を備えることにより、巻回部の回動に従動して伸縮部を伸縮させると共に、第2反射部を所定の反射角度に回転させる。または、伸縮部の伸縮に従動して巻回部を回動させると共に、第2反射部を所定の反射角度に回転させる。これにより、更に容易に所定の反射角度に回動させることができ、反射型スクリーン装置の利便性が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係る反射型スクリーン装置を模式的に示す側面図。
【図2】反射型スクリーンの表面を見た模式図。
【図3】反射型スクリーンの断面を示すと共に製造工程を示す模式図。
【図4】反射型スクリーンおよび巻回部を正対した方向から見た平面図。
【図5】第2実施形態に係る反射型スクリーン装置を模式的に示す側面図。
【図6】反射型スクリーンの表面を見た模式図。
【図7】反射型スクリーンおよび巻回部を正対した方向から見た平面図。
【図8】第1実施形態での変形例を示す第1反射部を用いた側面図。
【図9】第2実施形態での変形例を示す第2反射部を用いた側面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
【0035】
図1は、第1実施形態に係る反射型スクリーン装置1を模式的に示す側面図である。また、図1は、スクリーン装置1の概断面も示している。図1を参照して、本実施形態の反射型スクリーン装置1の構成に関して説明する。
【0036】
本実施形態の反射型スクリーン装置1は、机上面DS等に設置すると共に、プロジェクターPJを載置する載置部5を所定の位置(投射距離Dで決まる位置)に移動させて反射型スクリーン2にプロジェクターPJから射出された投射光Lpを反射させる装置である。
【0037】
反射型スクリーン装置1は、プロジェクターPJから射出された投射光Lpを反射させる反射面を有する反射型スクリーン2と、反射型スクリーン2を双方向に巻き取り及び繰り出しを行う一対の巻回部3とを備えている。また、反射型スクリーン装置1は、巻回部3を保持する保持部4と、保持部4を保持すると共に、プロジェクターPJを載置する載置部5を保持するベース部6とを備えている。また、反射型スクリーン装置1は、巻回部3の回転に従動して、所定の位置(投射距離Dで決まる位置)に載置部5を移動させる駆動部7を備えている。なお、反射面は、本実施形態では、後述する反射膜23を含む凹部22が形成される反射領域Aをいう(いずれも図2、図3参照)。
【0038】
反射型スクリーン装置1は、ベース部6に対して、反射型スクリーン2を略垂直方向に起立した状態となっている。また、反射型スクリーン装置1は、保持部4および巻回部3により、反射型スクリーン2の後述する反射面(反射領域A)の上下方向の距離が固定される。
【0039】
なお、以降では、反射型スクリーン装置1を、スクリーン装置1と略して称し、反射型スクリーン2をスクリーン2と略して称し、適宜使用する。
【0040】
図1を含む以降の図面では、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜異ならせて示している。また、図1を含む以降の図面では、説明の便宜上、XYZ直交座標系で記載する。XYZ直交座標系は、机上面DSに対して垂直方向をY方向(机上面DSに対して起立したスクリーン2の方向を+Y方向)とする。また、起立したスクリーン2の反射面に平行で、Y方向に直交する方向をX方向(起立した状態のスクリーン2の反射面と正対した場合の右方向を+X方向)とする。また、Y方向及びX方向に直交する方向をZ方向(起立したスクリーン2の反射面と正対する方向を+Z方向)とする。また、重力方向を基準として、重力方向を下方向、逆方向を上方向とする。
【0041】
図2は、反射型スクリーン2の表(おもて)面21Aを見た模式図である。なお、図2は、反射型スクリーン2の全体を示す平面図である。図3は、反射型スクリーン2の断面を示すと共に製造工程100を示す模式図であり、図3(a)は、基材変形工程110を示す模式図であり、図3(b)は、反射膜形成工程120を示す模式図である。なお、図3は、スクリーン2をY方向に切断した断面を模式的に示している。図2を参照して、スクリーン2の構成に関して説明する。また、図3を参照して、スクリーン2の製造工程を説明する。
【0042】
図2に示すように、スクリーン2の外形形状は、上下方向(Y方向)が左右方向(X方向)に比較して長く形成されている。これは、本実施形態のスクリーン装置1が、小型なプロジェクターPJを使用する装置として構成されているためである。なお、小型なプロジェクターPJとしては、本実施形態では平面サイズが、はがきの大きさ程度を想定している。
【0043】
図2に示すように、スクリーン2の表面21Aは、後述する反射膜23が選択的に形成される凹部22で構成される反射面としての反射領域Aと、反射領域Aに対応するプロジェクターPJの適切な投射距離D(図1参照)を示す距離表示部Bとで構成される。
【0044】
凹部22は、反射領域AのX方向における中心線Yc上の所定の位置を中心とする円弧状に配列され、Y方向において、この中心を同心とする同心円状に配列されるように形成される。本実施形態の凹部22は、略半球状で、ピッチ300μm程度で形成される。
【0045】
本実施形態の反射型スクリーン2は、可撓性を有するシート状の基材(以降、スクリーン基材21と称す)を用いている。スクリーン基材21は、本実施形態では、黒色の塩化ビニル樹脂で形成されている。黒色としているのは、不要な入射光を吸収し易くさせることができるためである。
【0046】
図3に示すように、スクリーン2の凹部22および反射膜23を形成する製造工程100は、基材変形工程110と反射膜形成工程120とを備えている。また、製造工程100は、基材変形工程110を行い、その後、反射膜形成工程120を行う。
【0047】
図3(a)に示すように、基材変形工程110は、スクリーン基材21を変形させる工程である。基材変形工程110は、本実施形態では、転写工程111を含んで構成されている。転写工程111により、スクリーン基材21を変形させ、複数の凹部22をスクリーン基材21の表(おもて)面21Aに形成している。また、転写工程111は、加熱しながら型を押し付ける転写装置として、エンボス加工装置(図示省略)を用いて実施される。
【0048】
エンボス加工装置は、形成させる形状とは逆形状に形成された金型を加熱しながら、スクリーン基材21の前後方向(Z方向)から高圧力で押し付け、スクリーン基材21を金型形状に沿わせて熱変形(転写)させて、必要な形状を形成させる装置である。これにより、図3(a)に示すように凹部22が形成される。本実施形態の凹部22は、上述したように概半球状に形成される。
【0049】
また、凹部22は、スクリーン2の下端部21Dから上端部21C(図2参照)に行くに従い、図3に示すように、深さが徐々に深くなる内面22A形状となるように形成される。これは、プロジェクターPJの投射する角度が上方に行くに従い急角度となるが、そのような場合にも、後述する反射膜23により、観察者側となる水平方向(+Z方向)に効率よく反射させるためである。
【0050】
基材変形工程110が終了した場合、反射膜形成工程120に移行する。図3(b)に示すように、反射膜形成工程120は、凹部22の内面22Aに選択的に反射膜23を形成する工程である。なお、反射膜形成工程120は、本実施形態では、蒸着工程121を含んで構成されている。本実施形態では、この蒸着工程121により、アルミニウムの膜を、内面22Aに選択的に形成している。
【0051】
蒸着工程121では、図3(b)に示すように、蒸着源Sが、図4に示す中心線Yc上で、図2に示すスクリーン基材21の下端部21D側に設置される。蒸着工程121は、詳細には、反射膜23を形成する際、表面21Aに対して斜めに投射光Lpを射出するプロジェクターPJの位置を仮想光源位置Pとして予め想定しておく。そして、表面21Aの各凹部22に対する蒸着材料の蒸着の角度θsが、表面21Aの各凹部22に対する仮想光源位置Pからの投射光Lpの入射角度θpと等しいか、それよりも小さくなるように蒸着源Sを配置して、投射光Lpの入射方向から各凹部22に蒸着材料を蒸着させる。
【0052】
蒸着工程121を行うことにより、投射光Lpが照射される凹部22の内面22Aに沿って、凹状の反射膜23が形成される。なお、このように、斜め方向から蒸着を行うことで、蒸着源Sを中心として、表面21Aの各凹部22に放射状で選択的に反射膜23が形成される。
【0053】
図4は、反射型スクリーン2および巻回部3を正対した方向から見た平面図である。図4を参照して、反射型スクリーン2および巻回部3の構成を説明する。
【0054】
図4に示すように、本実施形態の巻回部3は、スクリーン2の上端部21Cと下端部21Dとをそれぞれ支持固定し、スクリーン2の幅方向(X方向)の長さと略同等の長さの回動軸を有してスクリーン2を巻回する巻回部本体31をそれぞれ備えて構成されている。巻回部本体31は、スクリーン2を巻き取る方向に常に引張り力を付与するバネ部材(図示省略)を有している。また、巻回部3は、巻回部本体31をカバーする巻回フレーム32をそれぞれ備え、その左側面には、巻回部本体31を回動させるダイヤル33がそれぞれ設置されている。
【0055】
スクリーン2は、保持部4により巻回部3の位置がそれぞれ固定されることにより、上下方向(Y方向)の位置(範囲)が固定されている。巻回部3が固定され、また、スクリーン2を巻き取る方向に常に引張り力を付与するバネ部材により、一対の巻回部3に挟まれるスクリーン2は、常に突っ張る状態となり、スクリーン2の弛みを低減させている。
【0056】
なお、巻回部3(巻回部本体31)は、ダイヤル33が回動されることにより、双方向にスクリーン2の巻き取りおよび繰り出しを行う。そして、一方のダイヤル33が回動されることにより、他方のダイヤル33が従動して回動し、逆の動作を行う。詳細には、巻回部本体31は、上方向のダイヤル33を回動することで、スクリーン2を繰り出した場合、下方向のダイヤル33も従動して回動し、スクリーン2を巻き取る。また、巻回部本体31は、逆に、上方向のダイヤル33を回動することで、スクリーン2を巻き取った場合、下方向のダイヤル33は従動して回動し、スクリーン2を繰り出す。
【0057】
巻回部本体31の動作により、スクリーン2は常に突っ張る状態で、巻回部3間の反射面(反射領域A)を移動させることができる。なお、図4には、スクリーン2全体の反射領域A(図2参照)のうち下部となる反射領域A1が反射面として表示(露出)されている。
【0058】
ここで図2に戻り、反射領域Aは、本実施形態では、プロジェクターPJの投射距離Dが、遠距離(本実施形態では、約60cm)からの投射に好適となる遠距離用の反射領域A1と、中距離(本実施形態では、約40cm)からの投射に好適となる中距離用の反射領域A2と、近距離(本実施形態では、約20cm)からの投射に好適となる近距離用の反射領域A3と、から構成されている。しかし、この反射領域Aは、固定されるわけではなく、巻回部3のダイヤル33を回動することで、反射領域Aを移動させて所望の反射領域Aを表示させて使用することができる。
【0059】
また、図2に示すように、スクリーン2(スクリーン基材21)の表面21Aの右側の領域(反射領域Aの右側の領域)には、反射面に対応する投射距離Dを露出(表示)する距離表示部Bが形成されている。本実施形態では、距離表示部Bとして、投射距離Dが表面21Aに印刷されている。従って、巻回部3のダイヤル33を回動することで、反射領域Aを移動させて任意の位置の反射領域Aを表示させた場合、表示させた反射領域Aに対応する投射距離Dも表示される。
【0060】
図4に戻り、反射領域A1が表示されるようにスクリーン2を移動した場合、スクリーン2の表面21Aの右側には、前述した距離表示部Bとして、投射距離Dが表示されている。詳細には、図4には、投射距離Dとして、40cm,50cm,60cmが表示される。この場合、最下部に表示される投射距離Dが、表示された反射領域Aにおける適切な投射距離Dとなる。この場合、適切な投射距離Dは60cmとなる。なお、本実施形態のスクリーン装置1では、載置部5がダイヤル33の回動に従動し、適切な投射距離Dに移動する。図4の場合には、投射距離Dがスクリーン2から60cmとなる位置に載置部5が移動する。
【0061】
図1を参照してスクリーン装置1の構成と動作を説明する。
駆動部7は、ベース部6内部に設置され、巻回部3の回動に従動して、載置部5を所定の位置(投射距離Dで決まる位置)に移動させる。駆動部7は、双方向に回転可能なモーター71と、モーター71の回転を伝達する伝達ギヤ72と、伝達ギヤ72に噛み合い、Z方向に延びる棒状ギヤ73とを有して構成される。
【0062】
また、駆動部7は、巻回部3のダイヤル33の回動量を検出するエンコーダー(図示省略)と、エンコーダーによる検出結果によりモーター71を回転させるドライバー(図示省略)とを備えている。また、駆動部7は、エンコーダーやドライバーを含め、駆動部7の駆動を制御する制御部(図示省略)を備えている。
【0063】
載置部5は、ベース部6の上面6AをZ方向にスライドする載置部本体51と、載置部本体51を支持して駆動部7の棒状ギヤ73に噛み合う支持部52とを有して構成される。支持部52は、棒状ギヤ73のギヤ形状に対応して加工され、棒状ギヤ73のギヤに噛み合いながら並進する。なお、載置部本体51には、プロジェクターPJが載置される。
【0064】
スクリーン装置1は、ダイヤル33が回動された場合、エンコーダーがダイヤル33の回動量を検出して制御部に送る。制御部は、エンコーダーからの信号に対応する信号をドライバーに送る。ドライバーは、制御部からの信号に応じて、載置部5にダイヤル33の回動に対応する所定量の移動を行わせるため、モーター71を回動させる。このモーター71の回動を伝達ギヤ72が棒状ギヤ73に伝達することにより、棒状ギヤ73が回転する。
【0065】
棒状ギヤ73の回転により、棒状ギヤ73のギヤに噛み合う載置部5の支持部52が、棒状ギヤ73を並進し、所定の投射距離Dとなる位置で停止する。この支持部の52の並進に伴って、載置部本体51もベース部6の上面6Aを移動し、所定の投射距離Dとなる位置で停止する。
【0066】
次に、プロジェクターPJを操作して、投射光Lpの投射範囲をスクリーン2の表示範囲内に納まるように調整する。これにより、巻回部3の回動により表示された反射面(反射領域A)に対応した適切な投射距離DにプロジェクターPJを位置させ、投射させることができる。言い換えると、スクリーン2は、投射距離Dに対応する反射面(反射領域A)により、プロジェクターPJからの投射光Lpに対し、コントラストを低減することなく観察者側に反射させる。
【0067】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の反射型スクリーン装置1によれば、スクリーン基材21に対して反射膜23が投射光Lpの入射角度θpに応じて選択的に形成される反射面(反射領域A)を有して投射光Lpを反射する反射型スクリーン2を備える。また、反射型スクリーン装置1は、反射型スクリーン2の上端部21C、下端部21Dをそれぞれ支持し、双方向に反射型スクリーン2の巻き取りおよび繰り出しを行う一対の巻回部3を備える。そして、巻回部3は、相互に従動して逆の動作を行い、巻回部3間の反射面を移動させる。これにより、反射型スクリーン2の反射面(反射領域A)は、スクリーン基材21に対して反射膜23が投射光Lpの入射角度θpに応じて選択されて連続的に形成されることで、従来のように異なる反射面が混在されることはなく、反射面の形成が容易である。また、巻回部3を動作(巻き取りおよび繰り出し)させることにより、反射面(反射領域A)を移動させて、所望の反射領域を表示させることができるため、反射型スクリーン装置1の利便性が向上すると共に、反射型スクリーン装置1の小型化を図ることができる。
【0068】
本実施形態の反射型スクリーン装置1によれば、駆動部7を備えることにより、巻回部3を回動させて所望の反射面を表示させた場合、容易にプロジェクターPJを所定の投射距離Dに移動させることができ、投射光Lpを効率的に反射させ、コントラスト性能を維持することができる。また、このような駆動部7を備えることにより、反射型スクリーン装置1の利便性が向上する。
【0069】
本実施形態の反射型スクリーン装置1によれば、保持部4、載置部5、ベース部6を備えることで、安定して容易にプロジェクターPJを設置することができ、反射型スクリーン装置1の利便性が向上する。
(第2実施形態)
【0070】
図5は、第2実施形態に係る反射型スクリーン装置10を模式的に示す側面図である。図6は、反射型スクリーン20の表面21Aを見た模式図である。図7は、反射型スクリーン20および巻回部3を正対した方向から見た平面図である。なお、図5は、スクリーン20の反射領域Aとして、A1とA3とが表示される場合を同時に示している。図5〜図7を参照して、本実施形態の反射型スクリーン装置10の構成および動作を説明する。
【0071】
本実施形態のスクリーン装置10は、第1実施形態と比較して、保持部4を所定の高さに移動させる伸縮部40と、投射光Lpを射出するプロジェクターPJが載置されると共にプロジェクターPJの投射角度Eを可変する載置部50と、伸縮部40と載置部50を支持するベース部60と、を備えている点が異なる。そして、スクリーン装置10は、第1実施形態と比較して、巻回部3を回動することにより、伸縮部40を伸縮させ、保持部4を所定の高さに移動させると共に、後述する載置部50を所定の投射角度Eに回転させる駆動部70を備えている点が異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様となる。
【0072】
本実施形態のスクリーン20は、図6に示すように、スクリーン20の表面21Aの左側には、第1実施形態と同様に、反射膜23が選択的に形成される凹部22で構成される反射面としての反射領域Aが構成される。第1実施形態と異なる点は、スクリーン20(スクリーン基材21)の表面21Aの右側に、反射領域Aに対応するプロジェクターPJの適切な投射角度E(図5参照)を示す角度表示部Cが構成されることである。
【0073】
本実施形態の巻回部3は、図7に示すように、第1実施形態と同様に構成される。また、巻回部3(巻回部本体31)の動作も第1実施形態と同様となる。なお、図7には、スクリーン20全体の反射領域A(図6参照)のうち下部となる反射領域A1が反射面として表示(露出)されている。
【0074】
図6に戻り、反射領域Aは、本実施形態では、プロジェクターPJの投射角度Eが、本実施形態では、約0°からの投射に好適となる反射領域A1と、約30°からの投射に好適となる反射領域A2と、約50°からの投射に好適となる反射領域A3と、から構成されている。しかし、この反射領域Aは、固定されるわけではなく、巻回部3のダイヤル33を回動することで、反射領域Aを移動させて任意の位置の反射領域Aを表示させて使用することができる。
【0075】
また、スクリーン20には、図6に示すように、角度表示部Cとして、投射角度Eが表面21Aに印刷されている。従って、図7に示すように、巻回部3のダイヤル33を回動させることで、反射領域Aを移動させて任意の位置の反射領域Aを表示させた場合、表示させた反射領域Aに対応する投射角度Eが表示される。
【0076】
図7に示すように、反射領域A1が表示されるようにスクリーン20を移動した場合、スクリーン20の表面21Aの右側には、前述した角度表示部Cとして、投射角度Eが表示されている。詳細には、図7には、投射角度Eとして、0°,10°,20°,30°が表示される。この場合、最下部に表示される投射角度Eが、表示された反射領域Aにおける適切な投射角度Eとなる。この場合、適切な投射角度Eは0°となる。なお、本実施形態のスクリーン装置10では、ダイヤル33の回動に従動して駆動部70が動作することにより伸縮部40が伸縮し、反射領域Aに対応する高さにスクリーン20(巻回部3、保持部4含め)を移動させると共に、載置部50を適切な投射角度Eに回動させる。図7の場合には、投射角度Eが0°となる角度に載置部50が回転する。
【0077】
図5を参照してスクリーン装置10の構成と動作を説明する。
駆動部70は、巻回部3の回転に従動して、伸縮部40を伸縮させ、反射領域Aに対応する高さにスクリーン20(巻回部3、保持部4含む)を移動させる。なお、伸縮部40は、エアーシリンダー(図示省略)を備え、外側は伸縮ケース41で覆われている。駆動部70は、ベース部60内部に設置されている。駆動部70は、双方向に回転可能なモーター75と、モーター75に設置される伝達ギヤ76と、伝達ギヤ76に噛み合い、載置部50の支軸56に噛み合う減速ギヤ列77とを有して構成される。
【0078】
また、駆動部70は、巻回部3のダイヤル33の回動量を検出するエンコーダー(図示省略)と、エンコーダーによる検出結果により、エアーシリンダーを伸縮させるエアーシリンダー用のドライバー(図示省略)と、モーター75を回転させるモーター75用のドライバー(図示省略)とを備えている。また、駆動部70は、エンコーダーやドライバーを含め、駆動部70の駆動を制御する制御部(図示省略)を備えている。
【0079】
載置部50は、プロジェクターPJを載置する載置部本体55と、載置部本体55を支持して駆動部70の減速ギヤ列77の最終ギヤ(図示省略)に噛み合う支軸56とを有して構成される。支軸56は、最終ギヤに噛み合い、載置部本体55を回転させ、ベース部60の上面60Aとの角度を可変する。
【0080】
スクリーン装置10は、ダイヤル33が回動された場合、エンコーダーがダイヤル33の回動量を検出して制御部に送る。制御部は、エンコーダーからの信号に対応する信号をエアーシリンダー用のドライバーに送る。エアーシリンダー用のドライバーは、制御部からの信号に応じて、エアーシリンダーに、ダイヤル33の回動に対応する所定量の伸縮を行わせる。これに従動して伸縮ケース41も伸縮する。
【0081】
また、併せて、制御部は、エンコーダーからの信号に対応する信号をモーター75用のドライバーに送る。モーター75用のドライバーは、制御部からの信号に応じて、モーター75を回動させる。このモーター75の回動を伝達ギヤ76が減速ギヤ列77に伝達する。
【0082】
減速ギヤ列77の回転により、減速ギヤ列77の最終ギヤに噛み合う載置部50の支軸56が回動し、所定の投射角度Eとなる位置で停止する。この支軸56の回動に伴って、載置部本体55も支軸56を中心に回動し、所定の投射角度Eとなる位置で停止する。
【0083】
次に、プロジェクターPJを操作して、投射光Lpの投射範囲をスクリーン20の表示範囲内に納まるように調整する。これにより、巻回部3の回動により表示された反射面(表示領域A)に対応した適切な投射角度EにプロジェクターPJを位置させ、投射させることができる。言い換えると、スクリーン20は、投射角度Eに対応する反射面(表示領域A)により、プロジェクターPJからの投射光Lpに対し、コントラストを低減することなく観察者側に反射させる。
【0084】
上述した実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果が得られる。
本実施形態の反射型スクリーン装置10によれば、伸縮部40と駆動部70とを備えることにより、巻回部3を回動させて所望の反射面を表示させた場合、スクリーン20を所定の高さに移動させると共に、容易にプロジェクターPJを所定の投射角度Eに回転させることができ、投射光Lpを効率的に反射させ、コントラスト性能を維持することができる。また、このような伸縮部40、駆動部70を備えることにより、反射型スクリーン装置10の利便性が向上する。
【0085】
本実施形態の反射型スクリーン装置10によれば、保持部4、伸縮部40、載置部50、ベース部60を備えることで、安定して容易にプロジェクターPJを設置することができ、反射型スクリーン装置10の利便性が向上する。
【0086】
なお、上述した第1、第2実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0087】
前記第1実施形態での反射型スクリーン装置1は、近距離(約20cm)からの投射においても、プロジェクターPJの投射レンズP1を反射面に向けて投射させているが、これに限られず、第1反射部8(図8参照)を用いて投射させてもよい。以降では、この第1反射部8の構成と動作、及び第1反射部8を用いた反射型スクリーン装置1の近距離での投射のさせ方に関して説明する。
【0088】
図8は、第1実施形態での変形例を示す第1反射部8を用いた側面図であり、図8(a)は、第1反射部8の動作を説明する図であり、図8(b)は、第1反射部8による投射を示す図である。
【0089】
図8(b)に示すように、スクリーン装置1は、反射面として、近距離(約20cm)からの投射に好適となる近距離用の反射領域A3が表示された場合、第1反射部8を使用して投射させる構造となっている。第1反射部8は、プロジェクターPJからの投射光Lpを反射させて、スクリーン2に投射する装置である。この場合、距離表示部Bには、「ミラー」という表示がされてもよい。
【0090】
ベース部6には、下側の巻回部3の近傍で、駆動部7とは重ならない領域に、上面6Aから窪んだ面部6Bが形成されている。この面部6Bに第1反射部8が設置されている。第1反射部8は、反射ミラー81と、反射ミラー81を保持するフレーム82と、フレーム82を回動して、折り畳み可能に支持する支軸83とを備えている。
【0091】
図8(a)に示すように、スクリーン2の反射面として、近距離用の反射領域A3を表示させた場合、使用者は、第1反射部8のフレーム82を把持し、面部6Bに折り畳まれた第1反射部8を、支軸83を中心に、所定の位置まで回転させる。その後、図8(b)に示すように、プロジェクターPJを、面部6Bの所定の位置(図示省略)に、プロジェクターPJの投射レンズP1が反射ミラー81を向くように設置する。その後、プロジェクターPJから投射光Lpを投射させることにより、その投射光Lpは、反射ミラー81で反射されて反射領域A3に投射される。これにより、スクリーン装置1は、反射ミラー81で反射された投射光Lpに対し、コントラストを低減することなく観察者側に反射させる。なお、第1反射部8を使用しない場合には、図8(a)に二点鎖線で示すように、フレーム82を回動させ、折り畳んで面部6Bに収容する。
【0092】
なお、このような第1反射部8を用いることにより、以下の効果が得られる。
本変形例の反射型スクリーン装置1によれば、投射光Lpを反射させて反射面に投射させる第1反射部8を備えることにより、プロジェクターPJを反射型スクリーン2に対して、好適に接近させて設置することが更に好適に行える。また、第1反射部8は折り畳み可能に設置されており、第1反射部8を使用しない場合には、折り畳むことにより、邪魔にならないため、反射型スクリーン装置1の利便性を維持向上することができる。
【0093】
前記第2実施形態での反射型スクリーン装置10は、投射角度Eに対応させて、プロジェクターPJの投射レンズP1を反射面に向けて投射させている。しかし、これに限られず、投射角度Eを可変することに対応して、反射角度F(図9)を可変する第2反射部80を用い、第2反射部80で投射光Lpを反射させて反射面に投射させてもよい。以降では、第2反射部80を用いた反射型スクリーン装置11の構成と動作、及び投射のさせ方に関して簡潔に説明する。
【0094】
図9は、第2実施形態での変形例を示す第2反射部80を用いた側面図である。図9は、スクリーン20の反射領域Aとして、A1とA3とが表示される場合を同時に示している。
反射型スクリーン装置11は、図9に示すように、第2実施形態での反射型スクリーン装置10の載置部50に換えて第2反射部80を備えている。また、これに伴い、第2実施形でのベース部60と駆動部70とを略同様なベース部600と駆動部90とに変更している。その他の構成は、第2実施形態と略同様となっている。
【0095】
ベース部600の上面600Aには、第2反射部80が設置されている。第2反射部80は、反射ミラー85と、反射ミラー85を保持するフレーム86と、投射角度E(図5参照)に対応する反射角度Fとしてフレーム86の角度を可変すると共に、フレーム86を支持する支軸87とを備えている。なお、第2実施形態の角度表示部Cには、投射角度Eに対応する反射角度Fを露出(表示)することでよい。
【0096】
駆動部90は、第2実施形態と同様に、巻回部3の回転に従動して、伸縮部40を伸縮させ、反射領域Aに対応する高さにスクリーン20(巻回部3、保持部4含む)を移動させると共に、第2反射部80を適切な反射角度Fに回動させる。駆動部90は、ベース部600内部に設置されている。駆動部90は、双方向に回転可能なモーター95と、モーター95に設置される伝達ギヤ96と、伝達ギヤ96に噛み合い、第2反射部80の支軸87に噛み合う減速ギヤ列97とを有して構成される。なお、第2反射部80の支軸87は、伝達ギヤ96の最終ギヤに噛み合い、フレーム86(反射ミラー85)を回転させてプロジェクターPJからの投射光Lpを反射させる。
【0097】
なお、このような第2反射部80を用いることにより、以下の効果が得られる。
本変形例の反射型スクリーン装置11によれば、投射光Lpを反射させて反射面に投射させる第2反射部80を備えることにより、プロジェクターPJを反射型スクリーン20に対して、好適に接近させて設置することができ、反射型スクリーン装置10の利便性が向上する。また、駆動部90を備えることにより、容易に所定の反射角度Fに回動させることができ、反射型スクリーン装置10の利便性が更に向上する。
【0098】
以降では、上述した第1反射部8、第2反射部80を用いた変形例以外の変形例を述べる。
【0099】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、駆動部7を備えているが、駆動部7を備えないことでもよい。その場合、プロジェクターPJの投射距離Dを露出(表示)する距離表示部Bを備えることにより、反射面が巻回部3の回動により移動した反射型スクリーン2に対して、プロジェクターPJを設置する位置(投射距離D)を示すことができるため、載置部5を手動により移動させて、反射面に対応する投射位置にプロジェクターPJを設置することができ、適切に投射させることができる。これにより、所望の反射面に対応させて、プロジェクターPJを適切な投射位置に設置でき、投射光Lpを効率的に反射させることができる。
【0100】
前記第2実施形態の反射型スクリーン装置10は、駆動部70を備えているが、駆動部70を備えないことでもよい。その場合、プロジェクターPJの投射角度Eを露出(表示)する角度表示部Cを備えることにより、反射面が巻回部3の動作により移動した反射型スクリーン20に対して、伸縮部40が、表示される反射面に対応する高さに反射型スクリーン20を移動させる。そして、プロジェクターPJを設置する角度(投射角度E)を示すことができるため、載置部50を手動により回動し、反射面に対応する投射角度にプロジェクターPJを設置することができる。これにより、所望の反射面に対応させて、反射型スクリーン20を適切な高さに移動させ、プロジェクターPJを適切な投射角度Eに設置でき、投射光Lpを効率的に反射させることができる。
【0101】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、反射型スクリーン2の表面21Aの右側に距離表示部Bを設けているが、左側に設けても良い。また、巻回部3のダイヤル33を左側に設けているが、右側に設けてもよい。これは、第2実施形態の角度表示部Cおよびダイヤル33においても同様である。
【0102】
前記第2実施形態の反射型スクリーン装置10は、巻回部3の回動に従動して、伸縮部40を伸縮させると共に、載置部50を所定の投射角度Eに回転させている。しかし、これに限られず、伸縮部40を伸縮させることにより、巻回部3が従動して回動して所定の高さに対応する反射面を表示させ、併せて、載置部50を所定の投射角度Eに回転させることでもよい。これにより、反射型スクリーン装置10の利便性が向上する。
【0103】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、巻回部3の回動に従動して、載置部5を、対応する投射距離Dに移動させている。しかし、これに限られず、載置部5を所望の位置(投射距離D)に移動させることにより、巻回部3が従動して回動し、載置部5が移動した位置(投射距離D)に対応する反射面を表示させることでも良い。これにより、反射型スクリーン装置1の利便性が向上する。
【0104】
前記第2実施形態の反射型スクリーン装置10は、巻回部3の回動に従動して、伸縮部40を伸縮させると共に、載置部50を所定の投射角度Eに回転させている。しかし、これに限られず、載置部50を所望の投射角度Eに回転させることにより、伸縮部40が従動して伸縮し、投射角度Eに対応する高さに反射型スクリーン20を移動させ、巻回部3が従動して回動し、投射角度Eに対応する反射面を表示させことでも良い。これにより、反射型スクリーン装置10の利便性が向上する。
【0105】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置10における反射膜23は、複数の凹部22の内面22Aに選択的に形成されている。しかし、これに限られず、反射膜は、複数の凸部の外面に選択的に形成される構成としてもよい。これは、第2実施形態においても同様である。
【0106】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、プロジェクターPJの平面サイズが、はがきの大きさ程度の小型のプロジェクターPJを対象にした装置である。しかし、これに限られず、通常の大きさのプロジェクターに対しても、適用することができる。これは、第2実施形態においても同様である。
【符号の説明】
【0107】
1…反射型スクリーン装置、2…反射型スクリーン、3…巻回部、4…保持部、5…載置部、6…ベース部、7…駆動部、8…第1反射部、10,11…反射型スクリーン装置、20…反射型スクリーン、21…スクリーン基材、21C…上端部、21D…下端部、23…反射膜、40…伸縮部、50…載置部、60…ベース部、70…駆動部、80…第2反射部、90…駆動部、600…ベース部、A…反射領域、B…距離表示部、C…角度表示部、D…投射距離、E…投射角度、F…反射角度、Lp…投射光、PJ…プロジェクター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン基材に対して反射部が投射光の入射角度に応じて選択的に形成される反射面を有して投射光を反射する反射型スクリーンと、
前記反射型スクリーンの両端部をそれぞれ支持し、双方向に前記反射型スクリーンの巻き取りおよび繰り出しを行う一対の巻回部と、を備え、
前記巻回部は、相互に従動して逆の動作を行い、前記巻回部間の前記反射面を移動させることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項2】
請求項1に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記反射面に対応し、前記投射光を射出するプロジェクターの投射距離を露出する距離表示部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項3】
請求項2に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記距離表示部は、前記スクリーン基材に形成されていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記巻回部を保持する保持部と、
前記投射光を射出するプロジェクターが載置される載置部と、
前記保持部および前記載置部を支持するベース部と、
を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項5】
請求項4に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記巻回部の回転に従動して、所定の前記投射距離に前記載置部を移動させる駆動部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記投射光を反射させて前記反射面に投射させる第1反射部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項7】
請求項6に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記第1反射部は折り畳み可能に設置されていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項8】
請求項1に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記反射面に対応し、前記投射光を射出するプロジェクターの投射角度を露出する角度表示部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項9】
請求項8に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記角度表示部は、前記スクリーン基材に形成されていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項10】
請求項1、請求項8または請求項9に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記巻回部を保持する保持部と、
前記保持部を所定の高さに移動させる伸縮部と、
前記投射光を射出するプロジェクターが載置されると共に当該プロジェクターの投射角度を可変する載置部と、
前記伸縮部および前記載置部を支持するベース部と、
を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項11】
請求項10に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記巻回部の回動または前記伸縮部の伸縮の動作に従動して、前記伸縮部を伸縮または前記巻回部を回動させると共に、前記載置部を所定の前記投射角度に回転させる駆動部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項12】
請求項1、請求項8または請求項9に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記巻回部を保持する保持部と、
前記保持部を所定の高さに移動させる伸縮部と、
前記投射角度に対応して反射角度を可変することにより前記投射光を反射させて前記反射面に投射させる第2反射部と、
前記伸縮部を支持するベース部と、
を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項13】
請求項12に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記巻回部の回動または前記伸縮部の伸縮の動作に従動して、前記伸縮部を伸縮または前記巻回部を回動させると共に、前記第2反射部を所定の前記反射角度に回転させる駆動部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92542(P2013−92542A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232550(P2011−232550)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】