反射型光電センサ
【課題】センサの検出可能距離が大きくかつ調整の容易な反射型光電センサを提供する。
【解決手段】発光素子3と、発光素子3前方に設けられた投光レンズ1と、発光素子3からの光を受光する受光素子4と、受光素子4前方に設けられた受光レンズ2と、受光素子4からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部5とを具備した、反射型光電センサであって、投光レンズ1及び受光レンズ2の少なくとも一方を、投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を結ぶ基線長方向に移動する移動部とを備える。この移動部としては、たとえば投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を押圧するネジ部9およびばね部10を用いる。
【解決手段】発光素子3と、発光素子3前方に設けられた投光レンズ1と、発光素子3からの光を受光する受光素子4と、受光素子4前方に設けられた受光レンズ2と、受光素子4からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部5とを具備した、反射型光電センサであって、投光レンズ1及び受光レンズ2の少なくとも一方を、投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を結ぶ基線長方向に移動する移動部とを備える。この移動部としては、たとえば投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を押圧するネジ部9およびばね部10を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型光電センサに係り、特に、発光素子から前方に光を出し、検出対象で反射した光を受光する受光素子とを備えた反射型光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
図13に従来の反射型光電センサの構成図を示す。従来の反射型光電センサは、投光レンズ1と、この投光レンズ1を介して前方に光を出す発光素子3と、受光レンズ2と、この受光レンズ2を介して前方から入る光を受光する受光素子4と、これらの部品を実装している主回路部5を構成する基板を保持する構造体(センサボディ)6とを具備している。
発光素子3としては、電流を流すと発光するLED素子などが用いられ、受光素子4としては受光面における入射光の位置に応じて出力が変化するPSD(位置検出素子)や2分割フォトダイオード(2分割PD)などである。
【0003】
このような構成の反射型光電センサでは、発光素子3が赤外光などの光を出して投光レンズ1で集光され、前方の検出物体で反射し、受光レンズ2で集光されて受光素子4に受光されたとすると、センサの検出距離は、図13に示す三角形で示す形のLaで表される(三角測距の原理)。実際、発光素子3と受光素子4は基板上で所定の離間距離をもつように実装されて固定されている。
このため、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなると、センサの検出距離Laは大きくなる。一方、図14に示すように投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなると、センサの検出距離Laは小さくなる。このようにして投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離を変えることによりセンサの検出距離を調整することができる。
【0004】
しかしながら、レンズが固定されていないとセンサの検出距離が変動することから、センサの検出距離を投光レンズ・受光レンズで調整した後に接着固定して、センサの検出距離が変動しないようにしている。そのため実使用時に周辺の障害物の影響によりセンサの検出距離を変更したい場合にも、変更することができない。このため、センサ設置場所の周辺の障害物に関する制約条件がでてくることになる。
そこで、センサの検出距離の変化にも対応できるように、レンズ位置を変更可能に構成した種々の反射型光電スイッチや、センサが提案されている(例えば特許文献1−6)。
【0005】
特許文献1では、光学系及び光素子の相対的な位置関係を変えて検知可能領域を変更するための調節手段を備えた反射型光電スイッチが提案されている。
【0006】
特許文献2では、投光側ホルダまたは受光側ホルダのいずれかに回転伝達部材を設け、ばねの一端を本体ケースによって受け止め、回転伝達部材によってネジの回転を直線運動に変え、投光側ホルダまたは受光側ホルダのいずれかを変位させるように構成されている。
【0007】
また特許文献3乃至6についても、発光素子と受光素子との位置関係を調整するようにした支持構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−55827号公報
【特許文献2】実開昭63−187238号公報
【特許文献3】特開昭62−070709号公報
【特許文献4】特開昭60−080710号公報
【特許文献5】特開昭54−164267号公報
【特許文献6】特開平10−062160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および2の例では、ネジの回転によってレンズ保持部材を移動させるものであり、移動に際してレンズの支持も十分でなくレンズの傾きや位置ずれを免れ得ないため、十分な検出範囲(検出距離)を確保するのが困難であるという問題があった。
また特許文献3乃至6の例においても、取扱が難しかったり、あるいは十分な検出距離の拡大を行うことができないなどという問題があった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、センサの検出可能距離が大きくかつ調整の容易な反射型光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明は、発光素子と、前記発光素子前方に設けられた投光レンズと、前記発光素子からの光を受光する受光素子と、前記受光素子前方に設けられた受光レンズと、前記受光素子からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部とを具備した、反射型光電センサであって、前記発光素子と受光素子は同一基板上に形成され前記投光レンズ及び受光レンズは前記基板に平行であって、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方を、基線長方向に移動する移動部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記投光レンズ及び受光レンズを移動自在に取付ける構造体を具備し、前記移動部は、ばね部とネジ部とを備え、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の基線長方向の一端を、ばね部を介して前記構造体に対して固定するとともに、他端を、前記ばね部を付勢するように押圧するネジ部で支持し、前記ネジ部によって前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方が移動されるものを含む。
【0012】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記ばね部および前記ネジ部は、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧するものを含む。
【0013】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記投光レンズ及び受光レンズは、いずれもその両側面にフランジ部を具備し、前記構造体は、前記フランジ部を挿通する平行な溝部を具備し、前記投光レンズ及び受光レンズは、溝部に沿って移動可能に構成されたものを含む。
【0014】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記発光素子は赤外線発光素子であるものを含む。
【0015】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、さらに、前記構造体内に収納される基板ブロックと、赤外光を透過するフィルタと、前記構造体の裏面を覆うカバーとを具備し、前記投光レンズおよび受光レンズは前記構造体に移動自在に取り付けられるものを含む。
【0016】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記フィルタはネジ部をその巻回位置で固定するネジ受け部を具備したものを含む。
【0017】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記ネジ部は前記ネジ部を覆うネジカバーを備えたものを含む。
【発明の効果】
【0018】
この構成によれば、投光レンズ・受光レンズは構造体内部を移動自在に取り付けられていて、投光レンズと受光レンズの間の離間距離を調整することで、三角測距の原理により、反射型光電センサ(以下センサともいう)の検出領域を調整することが容易に可能となる。投光レンズと受光レンズの間の離間距離を小さくすることで検出距離を短くすることが出来る。一方、投光レンズと受光レンズの離間距離を大きくすることでセンサの検出距離を長くすることができる。
従って、センサの検出距離の現場での調整が可能になり、センサ設置場所周辺の検出対象(反射物)の位置関係に対する制約が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの断面図
【図3】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの検出距離の調整原理を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの検出距離の調整原理を示す図
【図5】本発明の実施の形態2の反射型光電センサの分解斜視図
【図6】本発明の実施の形態2の反射型光電センサの断面図
【図7】本発明の実施の形態3の反射型光電センサの分解斜視図
【図8】本発明の実施の形態3の反射型光電センサの断面図
【図9】本発明の実施の形態4の反射型光電センサの分解斜視図
【図10】本発明の実施の形態4の反射型光電センサの断面図
【図11】本発明の実施の形態5の反射型光電センサの分解斜視図
【図12】本発明の実施の形態6の反射型光電センサの断面図
【図13】従来例の反射型光電センサの断面図
【図14】従来例の反射型光電センサの断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る反射型光電センサについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1および図2に、実施の形態1の反射型光電センサの要部断面図および分解斜視図を示す。この反射型光電センサにおいては、投光レンズ1及び受光レンズ2をポリカーボネート製の構造体6に並置している。そして、受光レンズ2が、構造体6に対して基線長方向の一端をばね部10を介して固定され、他端をこのばね部10を付勢するようにネジ部9で押圧することで、変位可能に構成されている。これにより、投光レンズ1と受光レンズ2との距離が調整可能で、センサの検出距離を調整可能としたことを特徴とする。この構造体6は相対向する位置に互いに平行となるように形成された溝部6aを具備している。
一方この投光レンズ1及び受光レンズ2は、いずれもその両側面にフランジ部1a,2aを具備している。そしてこの溝部6aにこのフランジ部1a,2aを挿通することで、回転することなく、平行な姿勢角と位置とを保持しつつ変位可能に構成されている。このようにして、投光レンズ及び受光レンズは、溝部に沿って投光レンズ1及び受光レンズ2を、ばね部10を付勢するようにネジ部9で押圧することで、受光レンズ2を基線長方向に変位可能に構成される。
【0022】
そして、投光レンズ1の後方には赤外線発光素子からなる発光素子3が設けられている。又受光レンズ2の後方には発光素子からの光を受光する受光素子が設けられている。
又発光素子3と受光素子4と受光素子4からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部5とが同一の回路基板上に実装され、基板ブロックを構成している。
このネジ部9およびばね部10は、投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を結ぶ基線長方向に受光レンズを移動する移動部を構成する。ばね部10はスプリングばねで構成されるが、板ばねでもよい。
【0023】
またこのばね部10およびネジ部9は、受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧するように構成されることで、受光レンズ2の受光素子4に対する姿勢角を維持している。
【0024】
主回路部5は、受光素子4からの出力信号から三角測距方式に従った測距結果により前方に障害物の有無を判断するもので回路基板に実装され基板ブロックを構成する。
さらに、センサ表面には赤外光を透過するフィルタ7が設けられ、センサの裏面にはセンサ裏面を覆うカバー8が形成されている。
【0025】
このようにして、構造体6に設けられた溝部6aに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動できるように構成されているため、各レンズはその溝部6aに入って、各レンズが構造体6内を基線長方向に移動し姿勢角を維持しつつ位置決めがなされる。そして受光レンズ2はネジ部9によって自在に移動することができ、投光レンズ1に対して接近・離反することができる。
【0026】
例えば図3に示すように受光レンズ2が初期位置にある時、検出可能長すなわちセンサのフィルタ7から検出対象までの検出可能距離Laとなっているものとする。
このとき、図4に示すように受光レンズ2がネジ部9によって方向Aも移動せしめられた時、検出可能長すなわちセンサのフィルタ7から検出対象までの検出可能距離Lbとなっている。これにより、検出可能距離はLa>L>Lbとなる。
【0027】
このように、受光レンズは構造体内部を移動自在に取り付けられている。ネジ部9により受光レンズ2が押されて投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなると三角測距の原理でセンサの検出距離を短くすることができる。一方、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなると三角測距の原理でセンサの検出距離を長くすることができる。またネジ部9により連続的に離間距離を変化することができるため、検出距離を微調整することができ、高精度の検出が可能となる。
【0028】
また、構造体6に設けられた溝部6aに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動できるように構成されているため、発光素子及び受光素子に対する姿勢角が良好に維持され、高精度の検出が可能となる。
【0029】
さらにまたこのばね部10およびネジ部9は、受光レンズだけでなく、受光レンズあるいは投光レンズ及び受光レンズの両方の端面の重心部を押圧するように構成してもよい。このように、投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧するように構成すればよい。この構成により、発光素子および受光素子に対する姿勢角を維持することができる。
【0030】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図5および図6は、本発明の実施の形態2の反射型光電センサを示す分解斜視図及び断面図である。前記実施の形態ではばね部10に対してネジ部9によって受光レンズ2の端面の重心部を押圧するようにしたが、本実施の形態ではフィルタ7にネジ部9と係合するネジ受け部7aを設け、このネジ受け部7aによってネジ部9が固定され、所望の位置を保持するように構成したことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、構造体6に各レンズが接近・離反できるように溝部6aに沿って、受光レンズ2のフランジ部2aが挿通され、所望の位置で停止固定することができる。このようにネジ部9をネジ受け部7aに押し込んでいくことで所望の位置に受光レンズを固定することができる。このように、ネジ受け部7aを有しているため、ネジ部9はその巻回位置で固定される。
他部については前記実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0032】
この構成においても、センサ外表面に装着されるフィルタ7にネジ受け部7aを形成し、このネジ受け部7aにネジ部9を通して押し込むことで受光レンズ2を押し込んでいくと、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなることから三角測距の原理でセンサの検出距離を短くすることができる。
なお、図5および図6に示す実施の形態2の構造では受光レンズ側をネジ部9で押していく構造であるが、投光レンズ側をネジ部9で押していく構成でもよい。また両方のレンズを移動させる構成でもよい。
【0033】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
図7および図8は、本発明の実施の形態3の反射型光電センサを示す分解斜視図及び断面図である。本発明の実施の形態3では、実施の形態1及び2の構成を合わせたものである。すなわち前記実施の形態1ではばね部10に対してネジ部9によって受光レンズ2の端面の重心部を押圧するようにし、実施の形態2ではフィルタ7にネジ部9と係合するネジ受け部7aを設け、このネジ受け部7aによってネジ部9を固定した。これに対し、本実施の形態では、ばね部10とネジ受け部7aの両方を備え、これら両方によって、所望の位置を保持するように構成したことを特徴とする。
本実施の形態の反射型光電センサにおいては、構造体6に各レンズが接近・離反できるように溝部6aを設けていて、受光レンズ2の重心部を押し込んでいくネジ部9とそのネジ部9のネジ受け部7aがフィルタに設けられている。そして受光レンズ2をはさんでネジ部9の対向する位置に配置され、ネジ方向に付勢するばね部10とを有することを特徴とする構成である。
この構成によればセンサ外部からネジ部9を回して押し込むことで受光レンズ2が押し込まれ、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなることから三角測距の原理でセンサの検出距離が短くできる。また逆方向にネジ部を回転させると、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなることから三角測距の原理によりセンサの検出距離が長くできる。
この構成によれば、実施の形態1及び2に比べてより確実に受光レンズ2を所望の位置に固定することが可能となる。
なお、本実施の形態の反射型光電センサでは受光レンズ側をネジで押していく構造であるが、投光レンズを押していく構成でもよい。また両方のレンズを移動させる構成でもよい。また本実施の形態においては、センサ内部のばね部10としてはスプリングばねを用いたが、板ばねでもよい。
【0034】
(実施の形態4)
図9および図10に、実施の形態4の反射型光電センサの要部断面図および分解斜視図を示す。この反射型光電センサにおいては、実施の形態3の反射型光電センサにネジカバー11を設けたことを特徴とするものである。
ネジ部9を覆うようにネジカバー11が構造体6に取り付けられていることを特徴とする構成である。
取り付けに際してはビス止めあるいは接着剤などで固定する。
この構成によってもセンサ外部からネジ部9を通して押し込むことで受光レンズ2が押し込まれ、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなることから三角測距の原理によりセンサの検出距離を短くすることができる。また逆方向にネジを回転させると、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなることから三角測距の原理によりセンサの検出距離が長くすることができる。さらにネジ部を回転させて、ネジ受け部7aからネジ部9が外れないようにネジカバー11で覆うような構成である。
本実施の形態においても、受光レンズ側をネジ部で押していく構造に限定されることなく、投光レンズを押していく構成でもよい。あるいは両方のレンズを移動させる構成でもよい。本実施の形態においても、センサ内部のばね部10はスプリングばねに限定されることなく、板ばねを用いるようにしてもよい。
【0035】
(実施の形態5)
図11および図12に、実施の形態5の反射型光電センサの要部断面図および分解斜視図を示す。この反射型光電センサにおいては、投光レンズ1及び受光レンズ2を構造体6に並置しており、構造体6に形成された溝部6aにこのフランジ部1a,2aを挿通することで、変位可能に構成されている。本実施の形態では溝部6aがフランジ部1a,2aを弾性的に支持するように構成することで、移動した場所で固定されるようにしたことを特徴とするものである。したがってばね部も、ネジ部も必要とすることなく、所望の場所に、変位させるとともに固定可能に構成されている。
この構成によっても、投光レンズ1と受光レンズ2との距離が調整可能で、センサの検出距離を調整可能である。溝部6に図示しない弾性ゴムが装着されており、レンズのフランジ部を挿通して動かす力をかけない場合はその位置で受光レンズは固定される。この投光レンズ1及び受光レンズ2は、いずれもその両側面にフランジ部1a,2aを具備している。そしてこの溝部6aにこのフランジ部1a,2aを挿通することで、著しく回転することなく、平行な姿勢角と位置とを弾性的に保持しつつ変位可能に構成されている。このようにして、投光レンズ及び受光レンズは、受光レンズ2を基線長方向に変位可能に構成され、どの位置でも固定することができる。
【0036】
他部については、前記実施の形態1乃至4と同様であるためここでは説明を省略する。
この構成においては、溝部6aと、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a,2aとが移動部を構成し、投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を結ぶ基線長方向に受光レンズを移動する。
【0037】
またこのばね部10およびネジ部9を付加してもよい。
【0038】
このようにして、構造体6に設けられた溝部6aに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動できるように構成されているため、各レンズはその溝部6aに入って、各レンズが構造体6内を基線長方向に移動し姿勢角を維持しつつ位置決めがなされる。そして受光レンズ2はネジ部9によって自在に移動することができ、投光レンズ1に対して接近・離反することができる。
【0039】
以上説明してきたように、各実施の形態によれば、以下の効果を奏効する。
投光レンズおよび受光レンズの側壁に形成されたフランジ部が、構造体の溝部に沿って移動するため、投光レンズおよび受光レンズの方向を高精度に維持しつつレンズ間距離を調整することができる。
また、投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方が、構造体に対して基線長方向の一端を、ばね部を介して固定され、他端を、ばね部を付勢するように押圧するネジ部とで支持され、変位されるように構成していることで、センサの検出距離の現場での調整が可能になる。
また、センサから放射される光の方向をネジ部で連続的にレンズを動かすことが可能であるため、センサの検出距離を微調整することが可能になる。
さらにまた、各レンズ間が接近するだけでなく、ネジの回転によってばねにより容易に各レンズ間を離反させることが可能になり、センサの検出距離の調整幅を容易に広くなり、現場での調整がさらに簡単になる。
【0040】
なお、前記実施の形態では、発光素子としては赤外発光素子を用いたが、これに限定されることなく、紫外光源、可視光源など所望の光源を用いることは可能である。赤外発光素子を用いることにより、LED光源、蛍光灯光源など、照明用光源に影響を与えることなく、検出可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 投光レンズ
2 受光レンズ
1a,2a フランジ部
3 発光素子
4 受光素子
5 主回路部
6 構造体
6a 溝部
7 フィルタ
7a ネジ受け部
8 カバー
9 ネジ部
10 ばね部
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型光電センサに係り、特に、発光素子から前方に光を出し、検出対象で反射した光を受光する受光素子とを備えた反射型光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
図13に従来の反射型光電センサの構成図を示す。従来の反射型光電センサは、投光レンズ1と、この投光レンズ1を介して前方に光を出す発光素子3と、受光レンズ2と、この受光レンズ2を介して前方から入る光を受光する受光素子4と、これらの部品を実装している主回路部5を構成する基板を保持する構造体(センサボディ)6とを具備している。
発光素子3としては、電流を流すと発光するLED素子などが用いられ、受光素子4としては受光面における入射光の位置に応じて出力が変化するPSD(位置検出素子)や2分割フォトダイオード(2分割PD)などである。
【0003】
このような構成の反射型光電センサでは、発光素子3が赤外光などの光を出して投光レンズ1で集光され、前方の検出物体で反射し、受光レンズ2で集光されて受光素子4に受光されたとすると、センサの検出距離は、図13に示す三角形で示す形のLaで表される(三角測距の原理)。実際、発光素子3と受光素子4は基板上で所定の離間距離をもつように実装されて固定されている。
このため、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなると、センサの検出距離Laは大きくなる。一方、図14に示すように投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなると、センサの検出距離Laは小さくなる。このようにして投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離を変えることによりセンサの検出距離を調整することができる。
【0004】
しかしながら、レンズが固定されていないとセンサの検出距離が変動することから、センサの検出距離を投光レンズ・受光レンズで調整した後に接着固定して、センサの検出距離が変動しないようにしている。そのため実使用時に周辺の障害物の影響によりセンサの検出距離を変更したい場合にも、変更することができない。このため、センサ設置場所の周辺の障害物に関する制約条件がでてくることになる。
そこで、センサの検出距離の変化にも対応できるように、レンズ位置を変更可能に構成した種々の反射型光電スイッチや、センサが提案されている(例えば特許文献1−6)。
【0005】
特許文献1では、光学系及び光素子の相対的な位置関係を変えて検知可能領域を変更するための調節手段を備えた反射型光電スイッチが提案されている。
【0006】
特許文献2では、投光側ホルダまたは受光側ホルダのいずれかに回転伝達部材を設け、ばねの一端を本体ケースによって受け止め、回転伝達部材によってネジの回転を直線運動に変え、投光側ホルダまたは受光側ホルダのいずれかを変位させるように構成されている。
【0007】
また特許文献3乃至6についても、発光素子と受光素子との位置関係を調整するようにした支持構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−55827号公報
【特許文献2】実開昭63−187238号公報
【特許文献3】特開昭62−070709号公報
【特許文献4】特開昭60−080710号公報
【特許文献5】特開昭54−164267号公報
【特許文献6】特開平10−062160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および2の例では、ネジの回転によってレンズ保持部材を移動させるものであり、移動に際してレンズの支持も十分でなくレンズの傾きや位置ずれを免れ得ないため、十分な検出範囲(検出距離)を確保するのが困難であるという問題があった。
また特許文献3乃至6の例においても、取扱が難しかったり、あるいは十分な検出距離の拡大を行うことができないなどという問題があった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、センサの検出可能距離が大きくかつ調整の容易な反射型光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明は、発光素子と、前記発光素子前方に設けられた投光レンズと、前記発光素子からの光を受光する受光素子と、前記受光素子前方に設けられた受光レンズと、前記受光素子からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部とを具備した、反射型光電センサであって、前記発光素子と受光素子は同一基板上に形成され前記投光レンズ及び受光レンズは前記基板に平行であって、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方を、基線長方向に移動する移動部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記投光レンズ及び受光レンズを移動自在に取付ける構造体を具備し、前記移動部は、ばね部とネジ部とを備え、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の基線長方向の一端を、ばね部を介して前記構造体に対して固定するとともに、他端を、前記ばね部を付勢するように押圧するネジ部で支持し、前記ネジ部によって前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方が移動されるものを含む。
【0012】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記ばね部および前記ネジ部は、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧するものを含む。
【0013】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記投光レンズ及び受光レンズは、いずれもその両側面にフランジ部を具備し、前記構造体は、前記フランジ部を挿通する平行な溝部を具備し、前記投光レンズ及び受光レンズは、溝部に沿って移動可能に構成されたものを含む。
【0014】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記発光素子は赤外線発光素子であるものを含む。
【0015】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、さらに、前記構造体内に収納される基板ブロックと、赤外光を透過するフィルタと、前記構造体の裏面を覆うカバーとを具備し、前記投光レンズおよび受光レンズは前記構造体に移動自在に取り付けられるものを含む。
【0016】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記フィルタはネジ部をその巻回位置で固定するネジ受け部を具備したものを含む。
【0017】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記ネジ部は前記ネジ部を覆うネジカバーを備えたものを含む。
【発明の効果】
【0018】
この構成によれば、投光レンズ・受光レンズは構造体内部を移動自在に取り付けられていて、投光レンズと受光レンズの間の離間距離を調整することで、三角測距の原理により、反射型光電センサ(以下センサともいう)の検出領域を調整することが容易に可能となる。投光レンズと受光レンズの間の離間距離を小さくすることで検出距離を短くすることが出来る。一方、投光レンズと受光レンズの離間距離を大きくすることでセンサの検出距離を長くすることができる。
従って、センサの検出距離の現場での調整が可能になり、センサ設置場所周辺の検出対象(反射物)の位置関係に対する制約が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの断面図
【図3】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの検出距離の調整原理を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの検出距離の調整原理を示す図
【図5】本発明の実施の形態2の反射型光電センサの分解斜視図
【図6】本発明の実施の形態2の反射型光電センサの断面図
【図7】本発明の実施の形態3の反射型光電センサの分解斜視図
【図8】本発明の実施の形態3の反射型光電センサの断面図
【図9】本発明の実施の形態4の反射型光電センサの分解斜視図
【図10】本発明の実施の形態4の反射型光電センサの断面図
【図11】本発明の実施の形態5の反射型光電センサの分解斜視図
【図12】本発明の実施の形態6の反射型光電センサの断面図
【図13】従来例の反射型光電センサの断面図
【図14】従来例の反射型光電センサの断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る反射型光電センサについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1および図2に、実施の形態1の反射型光電センサの要部断面図および分解斜視図を示す。この反射型光電センサにおいては、投光レンズ1及び受光レンズ2をポリカーボネート製の構造体6に並置している。そして、受光レンズ2が、構造体6に対して基線長方向の一端をばね部10を介して固定され、他端をこのばね部10を付勢するようにネジ部9で押圧することで、変位可能に構成されている。これにより、投光レンズ1と受光レンズ2との距離が調整可能で、センサの検出距離を調整可能としたことを特徴とする。この構造体6は相対向する位置に互いに平行となるように形成された溝部6aを具備している。
一方この投光レンズ1及び受光レンズ2は、いずれもその両側面にフランジ部1a,2aを具備している。そしてこの溝部6aにこのフランジ部1a,2aを挿通することで、回転することなく、平行な姿勢角と位置とを保持しつつ変位可能に構成されている。このようにして、投光レンズ及び受光レンズは、溝部に沿って投光レンズ1及び受光レンズ2を、ばね部10を付勢するようにネジ部9で押圧することで、受光レンズ2を基線長方向に変位可能に構成される。
【0022】
そして、投光レンズ1の後方には赤外線発光素子からなる発光素子3が設けられている。又受光レンズ2の後方には発光素子からの光を受光する受光素子が設けられている。
又発光素子3と受光素子4と受光素子4からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部5とが同一の回路基板上に実装され、基板ブロックを構成している。
このネジ部9およびばね部10は、投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を結ぶ基線長方向に受光レンズを移動する移動部を構成する。ばね部10はスプリングばねで構成されるが、板ばねでもよい。
【0023】
またこのばね部10およびネジ部9は、受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧するように構成されることで、受光レンズ2の受光素子4に対する姿勢角を維持している。
【0024】
主回路部5は、受光素子4からの出力信号から三角測距方式に従った測距結果により前方に障害物の有無を判断するもので回路基板に実装され基板ブロックを構成する。
さらに、センサ表面には赤外光を透過するフィルタ7が設けられ、センサの裏面にはセンサ裏面を覆うカバー8が形成されている。
【0025】
このようにして、構造体6に設けられた溝部6aに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動できるように構成されているため、各レンズはその溝部6aに入って、各レンズが構造体6内を基線長方向に移動し姿勢角を維持しつつ位置決めがなされる。そして受光レンズ2はネジ部9によって自在に移動することができ、投光レンズ1に対して接近・離反することができる。
【0026】
例えば図3に示すように受光レンズ2が初期位置にある時、検出可能長すなわちセンサのフィルタ7から検出対象までの検出可能距離Laとなっているものとする。
このとき、図4に示すように受光レンズ2がネジ部9によって方向Aも移動せしめられた時、検出可能長すなわちセンサのフィルタ7から検出対象までの検出可能距離Lbとなっている。これにより、検出可能距離はLa>L>Lbとなる。
【0027】
このように、受光レンズは構造体内部を移動自在に取り付けられている。ネジ部9により受光レンズ2が押されて投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなると三角測距の原理でセンサの検出距離を短くすることができる。一方、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなると三角測距の原理でセンサの検出距離を長くすることができる。またネジ部9により連続的に離間距離を変化することができるため、検出距離を微調整することができ、高精度の検出が可能となる。
【0028】
また、構造体6に設けられた溝部6aに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動できるように構成されているため、発光素子及び受光素子に対する姿勢角が良好に維持され、高精度の検出が可能となる。
【0029】
さらにまたこのばね部10およびネジ部9は、受光レンズだけでなく、受光レンズあるいは投光レンズ及び受光レンズの両方の端面の重心部を押圧するように構成してもよい。このように、投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧するように構成すればよい。この構成により、発光素子および受光素子に対する姿勢角を維持することができる。
【0030】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図5および図6は、本発明の実施の形態2の反射型光電センサを示す分解斜視図及び断面図である。前記実施の形態ではばね部10に対してネジ部9によって受光レンズ2の端面の重心部を押圧するようにしたが、本実施の形態ではフィルタ7にネジ部9と係合するネジ受け部7aを設け、このネジ受け部7aによってネジ部9が固定され、所望の位置を保持するように構成したことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、構造体6に各レンズが接近・離反できるように溝部6aに沿って、受光レンズ2のフランジ部2aが挿通され、所望の位置で停止固定することができる。このようにネジ部9をネジ受け部7aに押し込んでいくことで所望の位置に受光レンズを固定することができる。このように、ネジ受け部7aを有しているため、ネジ部9はその巻回位置で固定される。
他部については前記実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0032】
この構成においても、センサ外表面に装着されるフィルタ7にネジ受け部7aを形成し、このネジ受け部7aにネジ部9を通して押し込むことで受光レンズ2を押し込んでいくと、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなることから三角測距の原理でセンサの検出距離を短くすることができる。
なお、図5および図6に示す実施の形態2の構造では受光レンズ側をネジ部9で押していく構造であるが、投光レンズ側をネジ部9で押していく構成でもよい。また両方のレンズを移動させる構成でもよい。
【0033】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
図7および図8は、本発明の実施の形態3の反射型光電センサを示す分解斜視図及び断面図である。本発明の実施の形態3では、実施の形態1及び2の構成を合わせたものである。すなわち前記実施の形態1ではばね部10に対してネジ部9によって受光レンズ2の端面の重心部を押圧するようにし、実施の形態2ではフィルタ7にネジ部9と係合するネジ受け部7aを設け、このネジ受け部7aによってネジ部9を固定した。これに対し、本実施の形態では、ばね部10とネジ受け部7aの両方を備え、これら両方によって、所望の位置を保持するように構成したことを特徴とする。
本実施の形態の反射型光電センサにおいては、構造体6に各レンズが接近・離反できるように溝部6aを設けていて、受光レンズ2の重心部を押し込んでいくネジ部9とそのネジ部9のネジ受け部7aがフィルタに設けられている。そして受光レンズ2をはさんでネジ部9の対向する位置に配置され、ネジ方向に付勢するばね部10とを有することを特徴とする構成である。
この構成によればセンサ外部からネジ部9を回して押し込むことで受光レンズ2が押し込まれ、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなることから三角測距の原理でセンサの検出距離が短くできる。また逆方向にネジ部を回転させると、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなることから三角測距の原理によりセンサの検出距離が長くできる。
この構成によれば、実施の形態1及び2に比べてより確実に受光レンズ2を所望の位置に固定することが可能となる。
なお、本実施の形態の反射型光電センサでは受光レンズ側をネジで押していく構造であるが、投光レンズを押していく構成でもよい。また両方のレンズを移動させる構成でもよい。また本実施の形態においては、センサ内部のばね部10としてはスプリングばねを用いたが、板ばねでもよい。
【0034】
(実施の形態4)
図9および図10に、実施の形態4の反射型光電センサの要部断面図および分解斜視図を示す。この反射型光電センサにおいては、実施の形態3の反射型光電センサにネジカバー11を設けたことを特徴とするものである。
ネジ部9を覆うようにネジカバー11が構造体6に取り付けられていることを特徴とする構成である。
取り付けに際してはビス止めあるいは接着剤などで固定する。
この構成によってもセンサ外部からネジ部9を通して押し込むことで受光レンズ2が押し込まれ、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなることから三角測距の原理によりセンサの検出距離を短くすることができる。また逆方向にネジを回転させると、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなることから三角測距の原理によりセンサの検出距離が長くすることができる。さらにネジ部を回転させて、ネジ受け部7aからネジ部9が外れないようにネジカバー11で覆うような構成である。
本実施の形態においても、受光レンズ側をネジ部で押していく構造に限定されることなく、投光レンズを押していく構成でもよい。あるいは両方のレンズを移動させる構成でもよい。本実施の形態においても、センサ内部のばね部10はスプリングばねに限定されることなく、板ばねを用いるようにしてもよい。
【0035】
(実施の形態5)
図11および図12に、実施の形態5の反射型光電センサの要部断面図および分解斜視図を示す。この反射型光電センサにおいては、投光レンズ1及び受光レンズ2を構造体6に並置しており、構造体6に形成された溝部6aにこのフランジ部1a,2aを挿通することで、変位可能に構成されている。本実施の形態では溝部6aがフランジ部1a,2aを弾性的に支持するように構成することで、移動した場所で固定されるようにしたことを特徴とするものである。したがってばね部も、ネジ部も必要とすることなく、所望の場所に、変位させるとともに固定可能に構成されている。
この構成によっても、投光レンズ1と受光レンズ2との距離が調整可能で、センサの検出距離を調整可能である。溝部6に図示しない弾性ゴムが装着されており、レンズのフランジ部を挿通して動かす力をかけない場合はその位置で受光レンズは固定される。この投光レンズ1及び受光レンズ2は、いずれもその両側面にフランジ部1a,2aを具備している。そしてこの溝部6aにこのフランジ部1a,2aを挿通することで、著しく回転することなく、平行な姿勢角と位置とを弾性的に保持しつつ変位可能に構成されている。このようにして、投光レンズ及び受光レンズは、受光レンズ2を基線長方向に変位可能に構成され、どの位置でも固定することができる。
【0036】
他部については、前記実施の形態1乃至4と同様であるためここでは説明を省略する。
この構成においては、溝部6aと、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a,2aとが移動部を構成し、投光レンズ1及び受光レンズ2の重心を結ぶ基線長方向に受光レンズを移動する。
【0037】
またこのばね部10およびネジ部9を付加してもよい。
【0038】
このようにして、構造体6に設けられた溝部6aに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動できるように構成されているため、各レンズはその溝部6aに入って、各レンズが構造体6内を基線長方向に移動し姿勢角を維持しつつ位置決めがなされる。そして受光レンズ2はネジ部9によって自在に移動することができ、投光レンズ1に対して接近・離反することができる。
【0039】
以上説明してきたように、各実施の形態によれば、以下の効果を奏効する。
投光レンズおよび受光レンズの側壁に形成されたフランジ部が、構造体の溝部に沿って移動するため、投光レンズおよび受光レンズの方向を高精度に維持しつつレンズ間距離を調整することができる。
また、投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方が、構造体に対して基線長方向の一端を、ばね部を介して固定され、他端を、ばね部を付勢するように押圧するネジ部とで支持され、変位されるように構成していることで、センサの検出距離の現場での調整が可能になる。
また、センサから放射される光の方向をネジ部で連続的にレンズを動かすことが可能であるため、センサの検出距離を微調整することが可能になる。
さらにまた、各レンズ間が接近するだけでなく、ネジの回転によってばねにより容易に各レンズ間を離反させることが可能になり、センサの検出距離の調整幅を容易に広くなり、現場での調整がさらに簡単になる。
【0040】
なお、前記実施の形態では、発光素子としては赤外発光素子を用いたが、これに限定されることなく、紫外光源、可視光源など所望の光源を用いることは可能である。赤外発光素子を用いることにより、LED光源、蛍光灯光源など、照明用光源に影響を与えることなく、検出可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 投光レンズ
2 受光レンズ
1a,2a フランジ部
3 発光素子
4 受光素子
5 主回路部
6 構造体
6a 溝部
7 フィルタ
7a ネジ受け部
8 カバー
9 ネジ部
10 ばね部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子前方に設けられた投光レンズと、
前記発光素子からの光を受光する受光素子と、
前記受光素子前方に設けられた受光レンズと、
前記受光素子からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部とを具備した、反射型光電センサであって、
前記発光素子と受光素子は同一基板上に形成され、
前記投光レンズ及び受光レンズは前記基板に平行であって、
前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方を、基線長方向に移動する移動部を備えた反射型光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の反射型光電センサであって、
前記投光レンズ及び受光レンズを移動自在に取付ける構造体を具備し、
前記移動部は、ばね部とネジ部とを備え、
前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の基線長方向の一端を、ばね部を介して前記構造体に対して固定するとともに、他端を、前記ばね部を付勢するように押圧するネジ部で支持し、
前記ネジ部によって前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方が移動される反射型光電センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の反射型光電センサであって、
前記ばね部および前記ネジ部は、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧する反射型光電センサ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反射型光電センサであって、
前記投光レンズ及び受光レンズは、いずれもその両側面にフランジ部を具備し、
前記構造体は、前記フランジ部を挿通する平行な溝部を具備し、
前記投光レンズ及び受光レンズは、溝部に沿って移動可能に構成された反射型光電センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反射型光電センサであって、
前記発光素子は赤外線発光素子である反射型光電センサ。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の反射型光電センサであって、
さらに、前記構造体内に収納される基板ブロックと、
赤外光を透過するフィルタと、
前記構造体の裏面を覆うカバーとを具備し、
前記投光レンズおよび受光レンズは前記構造体に移動自在に取り付けられる反射型光電センサ。
【請求項7】
請求項6に記載の反射型光電センサであって、
前記フィルタはネジ部をその巻回位置で固定するネジ受け部を具備した反射型光電センサ。
【請求項8】
請求項6に記載の反射型光電センサであって、
前記ネジ部は前記ネジ部を覆うネジカバーを備えた反射型光電センサ。
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子前方に設けられた投光レンズと、
前記発光素子からの光を受光する受光素子と、
前記受光素子前方に設けられた受光レンズと、
前記受光素子からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部とを具備した、反射型光電センサであって、
前記発光素子と受光素子は同一基板上に形成され、
前記投光レンズ及び受光レンズは前記基板に平行であって、
前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方を、基線長方向に移動する移動部を備えた反射型光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の反射型光電センサであって、
前記投光レンズ及び受光レンズを移動自在に取付ける構造体を具備し、
前記移動部は、ばね部とネジ部とを備え、
前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の基線長方向の一端を、ばね部を介して前記構造体に対して固定するとともに、他端を、前記ばね部を付勢するように押圧するネジ部で支持し、
前記ネジ部によって前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方が移動される反射型光電センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の反射型光電センサであって、
前記ばね部および前記ネジ部は、前記投光レンズ及び受光レンズの少なくとも一方の端面の重心部を押圧する反射型光電センサ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反射型光電センサであって、
前記投光レンズ及び受光レンズは、いずれもその両側面にフランジ部を具備し、
前記構造体は、前記フランジ部を挿通する平行な溝部を具備し、
前記投光レンズ及び受光レンズは、溝部に沿って移動可能に構成された反射型光電センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反射型光電センサであって、
前記発光素子は赤外線発光素子である反射型光電センサ。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の反射型光電センサであって、
さらに、前記構造体内に収納される基板ブロックと、
赤外光を透過するフィルタと、
前記構造体の裏面を覆うカバーとを具備し、
前記投光レンズおよび受光レンズは前記構造体に移動自在に取り付けられる反射型光電センサ。
【請求項7】
請求項6に記載の反射型光電センサであって、
前記フィルタはネジ部をその巻回位置で固定するネジ受け部を具備した反射型光電センサ。
【請求項8】
請求項6に記載の反射型光電センサであって、
前記ネジ部は前記ネジ部を覆うネジカバーを備えた反射型光電センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−74412(P2012−74412A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215888(P2010−215888)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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