説明

反射板用プレコート金属板

本発明は、可視光の拡散反射率が高く、しかも熱吸収性に優れた反射板用プレコート金属板及びこれを用いた電気電子機器を提供する。本発明の反射板用プレコート金属板は、金属板もしくはめっきした金属板の片方の面に波長400〜700nmにおける可視光線の拡散反射率が0.7以上である可視光反射性皮膜を有し、他方の面に80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.7以上である熱吸収性皮膜を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、反射板の材料となるプレコート金属板に関し、また、照明器具、AV機器、モバイル機器、プラズマディスプレイ、液晶テレビ、等の電気電子機器で、可視光線を発する機能とこれより発せられた可視光線を反射させる板を有している機器に関する。
【背景技術】
照明器具、AV機器、電子機器、モバイル機器、液晶テレビ、プラズマディスプレイ等は、可視光線を発することで、周囲を明るくする、光信号を伝える、もしくは光画像を映し出す等の機能を有している。これらの機器では、反射板を設けて、この反射板に光を反射させることで光の輝度を向上させる、光の方向を変える等を行っているものもある。そのため、反射板に光が反射したときに光量低下を避けるために、反射板表面には高い可視光線反射率が要求される。従来、反射板表面の反射率を高める手段として、金属を研磨して鏡面にする、反射率の高い白色系の塗料を塗装する等が行われていた。また、新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート」には、予め白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板等も公開されている。
また、特開平10−730号公報には、基材フィルムの片表面に金属薄膜層、無機微粒子を含有する樹脂層を順次積層し、当該金属薄皮膜層がアルミニウムからなり、無機微粒子を含有する樹脂層を構成する無機微粒子の屈折率nと同層を構成する樹脂の屈折率nとがn−n≧0.4とすることで、液晶表示装置の反射板として優れた光反射フィルムの技術が開示されている。更に、特開2002−172735号公報には、液晶ディスプレイのバックライト用反射板として、アルミニウム板上に樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料150〜300質量部を含有する膜厚50〜100μmの下塗り層と、該下塗り層上に、樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料を100〜250質量部を含有し、光沢が15以下で、且つ膜厚10〜30μmの上塗り層を形成させた液晶ディスプレイのバックパネル用の高拡散反射塗装金属板の技術が開示されている。しかし、近年では、照明器具反射板や液晶ディスプレイ等の電気製品に用いる反射板は、電気製品の構造やデザインが複雑化し、これに伴い、反射板も様々な形状に成形加工して使用するニーズが高まってきている。
しかし、特開平10−730号公報に記載された技術のように、基材にフィルムを用いた場合は、予め金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させたフィルムを目的の形状に成形することは困難であり、予めフィルムを目的の形状に成形した後に金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させる必要がある。しかし、反射板の成形形状が複雑な場合、加工部分で被膜を均一膜厚で積層させることが困難である。
一方、特開2002−172735号公報に記載された技術では、下塗り層と上塗り層をアルミニウム板上に予め塗布させた後に成形加工することはできるが、反射皮膜中の酸化チタンの添加量が多すぎるため被膜が脆く、加工時に反射皮膜にクラックが発生したり、塗膜が剥離する等の問題があった。また、母材であるアルミニウムの特性上成形加工性があまり良くないため、成形できる形状が制限されてしまう欠点も有する。更に、一般的なプレコート塗装ラインのロールコーター等での塗装では、1回で当該膜厚の下塗り層(50〜100μm)を塗装することは非常に困難であり、2回以上の重ね塗りが必要となるため、生産性が低い等の欠点がある。
従って、電気製品の構造上やデザイン上の理由で、反射板を更に成形加工して使用しなければならない電気製品に関しては、特開平10−730号公報や特開2002−172735号公報等に記載された反射板を使用することが困難であり、従来の予め白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板等を使用しなければならなかった。
一方、近年の電気製品の電子化に伴い、電気製品の発熱の問題が発生してきている。この熱問題を解決する手段として、特開2002−228085号公報には、金属表面の内層塗膜の放射率を70%以上にすることで、放熱性を高める技術が開示されている。
【発明の開示】
上記電気製品を現行以上に明るくしたい、少ない消費電力でも現行と同等の明るさを持たせたい、等の要望が高まっている。反射板を成形加工して使用しなければならない電気製品についても、同様に現行以上に明るくしたい、少ない消費電力でも現行と同等の明るさを持たせたい、等の要望が高まっている。
そこで、本発明は、可視光線の拡散反射率を高めた反射板用プレコート金属板、さらに熱吸収性に優れた反射板用プレコート金属板、及び、これらを用いた電気電子機器を提供することを目的とする。
発明者らは、鋭意検討した結果、片方の面に可視光の反射性の高い塗膜を有する反射板の他方の面に熱吸収性を有する皮膜を被覆すると、照明の明るさが増加することを知見した。
発明者らが鋭意検討した結果、次のことも見出した。フッ素樹脂を含むバインダー樹脂に酸化チタンを添加した場合、酸化チタンの添加量が少な過ぎると可視光線が皮膜を透過してしまう、もしくは、バインダー樹脂と酸化チタンとの界面の総面積が少ないため、皮膜の可視光線反射性が低い。酸化チタンの添加量を増やすに従い、可視光線の皮膜透過率が少なくなり、且つ、バインダー樹脂と酸化チタンとの界面の総面積が増えていくため、皮膜の可視光線反射性が向上していく。しかし、酸化チタンの添加量は、ある一定の添加量をピークとして、これより多くなると、酸化チタンの容量がバインダー樹脂の容量より多くなり過ぎるため、バインダー樹脂と酸化チタンとの界面が逆に少なくなり、可視光線反射性が低下することを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)金属板もしくはめっきした金属板の片方の面に波長400〜700nmにおける可視光線の拡散反射率が0.7以上である可視光反射性皮膜を有し、他方の面に80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.7以上である熱吸収性皮膜を有する反射板用プレコート金属板。
(2)前記可視光反射性皮膜がバインダーおよび酸化チタンを含有し、酸化チタンの含有量がバインダー固形分100質量部に対して40〜250質量部であることを特徴とする前記(1)記載の反射板用プレコート金属板。
(3)前記可視光反射性皮膜のバインダーがフッ素系樹脂を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の反射板用プレコート金属板。
(4)前記熱吸収性皮膜がバインダーおよび熱吸吸収性顔料を含有し、熱吸収性顔料の含有量がバインダー固形分100質量部に対して10〜150質量部であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板。
(5)前記熱吸収性顔料がカーボンであることを特徴とする前記(4)記載の反射板用プレコート金属板。
(6)前記熱吸収性皮膜がさらに導電性の金属粉を含有し、導電性の金属粉の含有量がバインダー固形分100質量部に対して1〜50質量部であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板。
(7)前記金属板もしくはめっきした金属板の表面粗度がRaで0.05〜1.8μmであることを特徴とする前記(1)〜(6)に記載の反射板用プレコート金属板。
(8)前記金属もしくはめっきした金属板が、鋼板もしくはめっき鋼板であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板を組み込んでなる電気電子機器。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のプレコート金属板の一実施態様を示す模式断面図である。
図2は、照度測定のための装置概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
照明器具に使用されている蛍光灯や電球の光、光信号、等に使用されている光は、いずれも可視光線である。そのため、反射板表面の可視光線の拡散反射率をより向上させると、全体として、光は明るくなる。可視光線の拡散反射率は、反射板表面の物質によって異なり、また、可視光線の拡散反射率の高い物質としては、アルミニウム、銀、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、等が知られている。そのため、これらの技術を用いることで、現在では反射率の高い反射板が作られており、これ以上に反射率を向上させることは、困難であると考えられている。
一方、照明器具や光信号を発する機器は、光を発すると同時に、赤外線である熱も発する。また、これらの機器は、光の明るさ制御やその他の部品を制御するために、電子部品が搭載されている場合が多く、これらの電子部品から多くの熱が発生している。
発明者らは、これら照明器具や光信号を発する機器に使用している反射板に、片面に可視光反射率を高くした皮膜を被覆し、更に他方の面に熱吸収性皮膜を被覆したプレコート金属板を用いると、照明や光信号の明かりがより明るくなることを知見した。この理由の詳細は不明であるが、恐らく、照明器具や光信号を発する機器から発生される熱(赤外線)が熱吸収性皮膜に吸収されるため、発光体内においてこれを補おうとする作用が働き、可視光の光量も増加して明るくなるものと考える。また、これらの現象に加え、熱吸収性皮膜から本発明のプレコート金属板に熱が吸収されると、プレコート金属板の温度が上昇し、可視光反射性皮膜の温度も上昇するため、可視光反射性皮膜のバインダー樹脂の屈折率が低くなり、酸化チタンなどの添加顔料とバインダー樹脂との屈折率差が大きくなり、可視光反射性皮膜の可視光線反射率が向上する効果も働き、照明や光信号の明かりがより明るくなる。
更に、機器内から発せられた熱が熱吸収性皮膜に吸収されるため機器内の温度が低下するため、機器内に設けられた制御基板等の電子回路が効率良く作動して、発光に費やされる電流損失が少なくなることによる光量増加も、明るさ向上の原因の一つと考える。本発明の熱吸収性に優れた反射板用プレコート金属板の構成例を、図1に示す。金属板1の片方の面に可視光反射性皮膜2を、他方の面に熱吸収性皮膜3を被覆した構成となっている。
ここで、本発明のプレコート金属板に被覆する可視光反射性皮膜は、波長400〜700nmにおける可視光線の拡散反射率が0.7以上である必要がある。0.7未満では可視光反射機能が向上しないため、照明や発光体からの明かりが暗くなってしまい不適である。好ましくは、555nmにおける可視光線の拡散反射率が0.8以上である。これは、可視光線の波長領域の中で、特に明るさに寄与する波長領域は550〜555nmであると一般に知られているためである。なお、本発明の拡散反射率とは、JIS Z 8722.2(2)に記載された分光立体角反射率であり、分光反射率とも呼ばれている。測定方法は、JIS Z 8722.4に準じる。可視光反射性皮膜の拡散反射率を高くするためには、皮膜中に可視光反射性顔料を添加することで達せられる。
可視光反射性顔料としては、一般に公知のもの、例えば、アルミニウム、銀、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、等の公知の顔料を使用することができる。しかし、皮膜中に添加する場合、酸化チタンがより好適である。酸化チタンは、屈折率が高いため、皮膜中に添加した場合、拡散反射効果がより高くなる。
酸化チタンの添加量は、皮膜のバインダー固形分100質量部に対して40〜250質量部であると好適である。酸化チタンの添加量が40質量部未満では、可視光反射機能が向上せず、また、250質量部超では、皮膜塗料が増粘したり、ゲル化したりする等の不具合が生じるため、不適である。好ましくは65〜150質量部である。ただし、バインダー樹脂の種類によって樹脂の比重等が異なり、酸化チタンの最適添加量範囲も若干異なるため、適宜選定する必要がある。
本発明に用いる酸化チタンは、一般に公知の酸化チタン、例えば、石原産業社製の「タイペークTM」、テイカ社製の「チタニクスTM」等を使用することができる。ただし、一般に公知の酸化チタンには、ルチル型とアナターゼ型とがあり、ルチル型がより好適である。アナターゼ型は、ルチル型より光触媒作用が大きいため、皮膜バインダーを分解してしまう恐れがある。また、光触媒作用を低減させる、顔料分散性を向上させる、顔料の耐候性を向上させる等の目的で、酸化チタンの表面には、Al、Si、Zr、有機物、等で表面処理を施しても良い。
可視光反射性皮膜の膜厚は、厚い方が可視光反射率を向上させるためより好適であるが、厚すぎると塗装作業性が低下するため、好ましくない。しかし、塗料バインダーの種類によっても最適膜厚は異なるため、一概に規定することはできないが、10〜50μmが好ましい。
熱吸収性皮膜は、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上必要である。波数600cm−1未満、もしくは3000cm−1超の波数領域の放射線は、熱に与える影響が非常に小さいため、これらの波数領域の放射線を含めた放射率は不適である。また、全放射率が0.7未満であると、熱吸収機能が低下してしまう。
ここで、熱吸収に関する一般的な知見を以下に記載する。熱は、物体から発散する電磁波の一部であり、熱放射線が物体に入射すると、一部は反射し、一部は透過し、残りの部分は吸収されることが知られている(例えば、西川、藤田共著の「機械工学基礎講座 電熱工学」、発行:理工学社)。金属板に熱放射線が入射した場合、熱放射線が透過することは殆ど無いため、熱放射線は、反射するか、吸収するか、のいずれかとなる。ここで、照明器具や光信号を発する機器から発生した熱放射線が反射板表面に入射したときに、入射した熱放射線の多くが反射されてしまうと、機器の温度が上昇し、一方、反射板表面で熱放射線の多くが吸収されると、機器の温度が低下する。
金属板等の表面に入射した熱放射線の反射率を調べる方法として、赤外線分光光度計による反射法がよく知られているが、本方法で測定する場合、金属板表面の粗度が粗いと、入射した熱放射線が乱反射するので、精度の高い吸収率を得ることが困難である。熱放射に関するキルヒホッフの法則によると、一定温度においては、物体の吸収率と放射率は同じとなる(例えば、西川、藤田共著の「機械工学基礎講座 電熱工学」、発行:理工学社)。
更に、発明者らは、熱吸収性皮膜の放射率を向上させるためには、皮膜のバインダー固形分100質量部に対して熱吸収性顔料を10〜150質量部含有すると好適であることを知見した。熱吸収性顔料が10質量部未満では、放射率が0.7未満となりやすく、150質量部超では、皮膜塗料の貯蔵安定性が悪く、好ましくない。
熱吸収性顔料には、一般に公知の熱吸収性顔料、例えば、アニリンブラック、ポリメチレン染料、トリスアゾ染料アミン塩、シアニン染料又はその金属錯体、アントラキノン系、フタロシアニン系、酸化鉄、カーボン、等を用いることができる。これら一般に公知の熱吸収性顔料の中でも、カーボンは、幅広い波数領域にて赤外線を放射するため、より好適である。
カーボンとしては、カーボンブラック、炭、黒鉛等の一般に公知のカーボンを使用することができる。また、添加するカーボンは、粒径0.1μm未満のカーボン(以下、「小粒径カーボン」という。)と、粒径0.1μm以上30μm未満のカーボン(以下、「大粒径カーボン」という。)とを混合して用い、添加量を、バインダー固形分100質量部に対して小粒径カーボンを1〜20質量部と、大粒径カーボンを1〜140質量部、且つ、小粒径カーボンと大粒径カーボンとの合計を10〜150質量部とすると、より好適である。小粒径カーボンの粒径の下限は特に規定するものではないが、上限が0.1μm以上であると、カーボンとカーボンの間に隙間ができやすく、小粒径カーボンとしての役割を発揮しにくいため、好ましくない。小粒径カーボンの添加量は、1質量部未満であると、金属板の隠蔽効果に劣り、熱吸収性が劣る恐れがあるため好ましくなく、20質量部超では、塗液の粘度が高くなったり、経時でゲル状になったりする恐れがあるため、好ましくない。大粒径カーボンの粒径が0.1μm未満であると大粒径カーボンとしての役割を発揮せずに、小粒径カーボンと同じ挙動を示すため好ましくない。大粒径カーボンの粒径が30μm以上であると、これを含む塗液を塗布する際に塗布性が低下したり、塗布後の皮膜外観が悪くなったりする恐れがあるため好ましくない。大粒径カーボンの添加量は、1質量部未満であると熱吸収性が劣る恐れがあり、140質量部超では皮膜が脆くなり、皮膜の加工性に劣る恐れがあるため、好ましくない。更に、小粒径カーボンと大粒径カーボンの合計添加量が10質量部未満であると、熱吸収性が劣る恐れがあり、150質量部超では、皮膜が脆くなり、皮膜の加工性に劣る恐れがあり、また、塗液が増粘して塗布作業性も劣る恐れがあるため、好ましくない。
熱吸収性皮膜の膜厚は、特に規定するものではないが、1μm以上が好適である。1μm未満では、熱吸収性に劣る場合があるため、好適ではない。膜厚の上限は、特に規定するものではないが、膜厚が厚すぎると、塗装ムラ等の外観不良が発生しやすくなるため、必要に応じて適宜選定する必要があるが、一般的に、膜厚は100μm未満が好ましい。
熱吸収性皮膜には、熱吸収性顔料に加えて、導電性顔料として、バインダー固形分100質量部に対して、導電性の金属粉を1〜50質量部含むと、本発明のプレコート金属板に導電性が付与されて好適である。導電性が付与されると、反射板のアース性が確保されたり、反射板に静電気が発生し難くなるため、ホコリが付きにくくなったりするので、より好適である。金属粉の添加量が1質量部未満であると導電性付与効果に乏しく、50質量部超では皮膜の加工性が低下しやすいため、好ましくない。金属粉の種類は、特に規定するものではないが、導電性を有する金属粉、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、銅、銀、マグネシウム、亜鉛、錫、等を使用することができる。また、金属粉の形状も、特に規定するものではないが、形状によって導電性の程度が異なる場合や熱吸収性を阻害する場合があるため、適宜選定する必要がある。発明者らが知見する限りでは、フレーク状の金属と鎖状の金属とを組み合わせるとより好適である。鎖状金属は、皮膜内で熱を反射する面積が小さくなるため、熱吸収を阻害しにくく、より好適である。しかし、鎖状金属のみでは導電性に劣る恐れがあるため、フレーク状金属と鎖状金属とを組み合わせると良い。また、フレーク状金属/鎖状金属の質量比が0.1〜6であると、熱吸収性と導電性に優れるため、より好適である。フレーク状金属は、皮膜内で熱を反射する面積が大きいため、熱吸収を阻害する恐れがある。そのため、フレーク状金属/鎖状金属の質量比が0.1未満であると導電性に劣り、6超では熱吸収性に劣る恐れがある。また、金属としては、ニッケルが、他の金属顔料と比べて、熱吸収性顔料の熱吸収を阻害しにくい性質を持ち、好適である。
可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜を構成するバインダーは、樹脂や、ゾルゲル法によって形成される無機皮膜や、ゾルゲル法によって形成される無機有機複合皮膜、等の一般に公知の皮膜用バインダーを使用することができる。樹脂を塗料のような形態で用いると、取り扱い、皮膜形成方法の容易さ等から好適である。樹脂は、一般に公知のもの、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができ、熱可塑タイプ、熱硬化タイプのいずれのタイプであっても良い。これらの樹脂は、必要に応じて数種のものを併用しても良い。これらの樹脂は、種類、樹脂の分子量、樹脂のガラス転移温度(Tg)によっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度等が異なるため、特に規定するものではないが、必要に応じて適宜選定する必要がある。また、架橋剤を用いて樹脂を硬化させるタイプのものは、架橋剤の種類や添加量、架橋反応時の触媒の種類や触媒添加量によっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度等が異なるため、特に規定するものではないが、必要に応じて適宜選定する必要がある。これらの樹脂は、固体のものを熱溶融したり、有機溶剤に溶解して用いたり、粉砕して粉体にして用いることができる。また、水溶性のものや、水分散したエマルジョンタイプのものでも良い。更には、紫外線(UV)硬化タイプや電子線(EB)硬化タイプのものでも良い。これらは、いずれも市販のタイプのものを使用することができる。
発明者らがこれまでに得た知見では、溶剤系のメラミン硬化型ポリエステル系、溶剤系のイソシアネート硬化型ポリエステル系、水分散型アクリルエマルジョン等がバインダーとして好適であり、特に、次のものが好適であった。但し、これらは例示であり、これらに限定されるものではない。
溶剤系のメラミン硬化型ポリエステル系の場合、ポリエステル樹脂の分子量は数平均分子量で2000〜30000が好適であり、ポリエステル樹脂のTgは−10〜70℃が好適であり、メラミン樹脂の添加量はポリエステル樹脂100質量部に対して5〜70質量部が好適であった。ポリエステル樹脂の分子量が2000未満では皮膜の加工性が低下し、30000超では、樹脂が溶剤に溶解したときに粘度が高すぎるため、好ましくなかった。ポリエステル樹脂のTgが−10℃未満では、皮膜が成膜しないため好ましくなく、70℃超では皮膜が硬すぎるため、加工性が低下し好ましくなかった。メラミン樹脂の添加量が、ポリエステル100質量部に対して5質量部未満であると、皮膜が未硬化となり、好ましくなかった。70質量部超では、皮膜が硬くなりすぎて加工性が低下するため、好ましくなかった。使用するポリエステル樹脂は、―般に市販されているものを使用することができ、例えば、東洋紡績社製の「バイロンTM」、住化バイエルウレタン社製「デスモフェンTM」等を使用することができる。使用するメラミン樹脂も、一般に市販されているもの、例えば、三井サイテック社製「サイメルTM」、「マイコートTM」、大日本インキ化学工業社製「ベッカミンTM」、「スーパーベッカミンTM」等を使用することができる。
溶剤系のイソシアネート硬化型ポリエステル系の場合、ポリエステル樹脂の分子量は数平均分子量で2000〜30000が好適であり、ポリエステル樹脂のTgは−10〜70℃が好適であり、イソシアネートの添加量は[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=0.8〜1.2であると好適であった。[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]の値が0.8未満もしくは1.2超では、皮膜生成時に皮膜が未硬化となりやすい。ポリエステル樹脂の分子量が2000未満では皮膜の加工性が低下し、30000以上では、樹脂が溶剤に溶解したときに粘度が高すぎるため、好ましくない。ポリエステル樹脂のTgが−10℃未満では皮膜が成膜しないため不適であり、70℃超では皮膜が硬すぎるため、加工性が低下し好ましくなかった。使用するポリエステル樹脂は、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、東洋紡績社製の「バイロンTM」、住化バイエルウレタン社製「デスモフェンTM」等を使用することができる。使用するイソシアネートも、一般に市販されているもの、例えば、住化バイエル社製「スミジュールTM」、「デスモジュールTM」、三井武田ケミカル社製「タケネート等を使用することができる。
水分散型アクリルエマルジョンタイプのものも、一般に公知のものを使用でき、市販のものでも良い。水分散型アクリルエマルジョンタイプのものは、一般に公知のエポキシ樹脂等の密着性の良い樹脂を添加して使用しても良い。エポキシ樹脂の種類及び添加量は、塗膜性能に影響するため、必要に応じて適宜選定することができる。水分散系アクリル樹脂のような水系樹脂の場合、皮膜の塗布作業性が高い上に、揮発性有機溶剤の大気放出問題が発生しないため、塗布設備における排気ダクトの強化や揮発性有機溶剤の燃焼設備等が不要のため、より好適である。
本発明のプレコート金属板の可視光反射性皮膜中に添加される可視光反射性顔料が酸化チタンの場合は、可視光反射性皮膜のバインダー樹脂がフッ素系樹脂を含むものであると、より反射性が向上し、より好適である。フッ素系樹脂は、一般に公知の他の樹脂と比べて屈折率が低いため、屈折率の高い酸化チタンと組み合わせるとバインダー樹脂と酸化チタン顔料との屈折率差が大きくなり、これらの界面で光がより反射し易くなる。フッ素樹脂は、三フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン等の一般に公知のものを使用することができる。これら樹脂は、単独重合体として用いても良いし、他の樹脂モノマーと共重合させる等して用いても良い。これらのフッ素系樹脂を他の樹脂と混合して用いても良い。ただし、皮膜中のフッ素濃度がより高い皮膜が、より好ましい。特に三フッ化エチレン樹脂を用いた物は、皮膜中のフッ素濃度が高く、且つ、塗料化し易いため、より好適である。本願において、三フ

外のハロゲン)の繰返し単位を有する重合体からなる樹脂をいい、具体例としてはポリクロロトリフルオロエチレンを挙げることができる。これらフッ素系樹脂を含むバインダー樹脂は、市販のフッ素系塗料用樹脂、例えば、アトフィナ社製のフッ化ビニリデン単独重合体である「カイナー−シリーズ」や旭硝子社製の三フッ化エチレン樹脂と他の樹脂との共重合体である「ルミフロンTM−シリーズ」を用いても良い。フッ化ビニリデン単独重合体の場合は、アクリル樹脂と混合して用いるのが一般的である。また、これらの樹脂は、必要に応じて一般に公知の架橋剤、例えば、イソシアネートやメラミン樹脂で架橋させても良い。イソシアネートも、一般に市販されているもの、例えば、住化バイエル社製「スミジュールTM」、「デスモジュールTM」、三井武田ケミカル社製「タケネート」等を使用することができる。メラミン樹脂も、一般に市販されているもの、例えば、三井サイテック社製「サイメルTM」、「マイコートTM」、大日本インキ化学工業社製「ベッカミンTM」、「スーパーベッカミンTM」等を使用することができる。これらの架橋剤は用いなくても良い。ただし、架橋剤の添加量は、フッ素樹脂を含む全樹脂100質量部に対して20質量部以下であると、皮膜中のフッ素濃度がより高くなるため、可視光の拡散反射率もより向上し、好適である。三フッ化エチレン樹脂の場合、水酸基価が10mg−KOH/g以下のものを用いて、且つ、架橋剤の添加量が三フッ化エチレン樹脂を含む全樹脂100質量部に対して20質量部以下であると可視光線の拡散反射率がより向上するため、より好適である。これは、水酸基価が10mg−KOH/g以下であると、少量の架橋剤量で被膜が架橋される、もしくは、架橋剤を用いなくても成膜するため、被膜中のフッ素濃度が高くなるためである。
可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜中には、酸化チタンや熱吸収性顔料、導電性顔料に加えて、必要に応じて着色顔料や防錆顔料及び防錆剤を併用して添加することができる。ただし、可視光反射性皮膜の可視光反射率をより向上させたい場合は、バインダー樹脂と酸化チタンのみの皮膜構成が、より可視光の拡散反射率が向上し、より好適である。可視光反射性皮膜中に酸化チタン以外の顔料を添加すると、バインダー樹脂と酸化チタン以外の顔料との間で屈折率差の小さい界面が発生してしまうため、皮膜の可視光の拡散反射率が低下してしまう。しかし、外観や防食の観点から、必要な場合は、可視光反射性皮膜にも酸化チタン以外の顔料を添加しても良い。
着色顔料としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)、カオリンクレー、酸化鉄(Fe、Fe)等の無機顔料や、有機顔料等の一般に公知の着色顔料が挙げられる。
防錆顔料及び防錆剤としては、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメート等の一般に公知のクロム系防錆顔料や、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、モリブデン酸塩、リン酸モリブデン酸塩、バナジン酸/リン酸混合顔料、シリカ、カルシウムシリケートと呼ばれるCaを吸着させたタイプのシリカ等の一般に公知の非クロム系の防錆顔料及び防錆剤が挙げられる。特に、本発明のプレコート金属板の母材が、鋼板もしくはめっき鋼板のように腐食し易い金属である場合、防錆顔料及び防錆剤を添加することで、本発明のプレコート金属板の耐食性向上に効果を発揮するため、より好適である。近年の環境問題を配慮した場合は、非クロム系の防錆顔料及び防錆剤がより効果的である。これらの非クロム系防錆顔料及び防錆剤は、試薬を用いても良いし、市販のものを使用することができる。市販されている防錆顔料の例としては、東邦顔料社製のリン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERTTM−NP500」、「EXPERTTM−NP530」、東邦顔料社製の亜リン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERTTM−NP1500」、「EXPERTTM−NP1530」、「EXPERTTM−NP1600」、「EXPERTTM−NP1700」、テイカ社製のトリポリリン酸アルミニウム「K−WIHTEシリーズ」、SHERWIN Williams社製のモリブデン酸塩系顔料及びリン酸モリブデン酸塩系顔料「SHER−WHITEシリーズ」、日本アエロジル社及びデグサ社製の気相シリカ「AEROSILTMシリーズ」、日産化学社製のコロイダルシリカ「スノーテクスTMシリーズ」、GRACE社製のCaイオン吸着型シリカ「シールデックスTM−シリーズ」等が挙げられる。これらの防錆顔料は併用して使用することができる。また、これら非クロム系防錆顔料の中でも、Caイオン吸着型シリカ単独、もしくは、Caイオン吸着型シリカとリン酸系防錆顔料との併用であるとプレコート金属板の耐食性とプレス成形性に優れるためより好適である。より好ましくは、Caイオン吸着型シリカとトリポリリン酸アルミニウムとを併用したタイプである。
これら着色顔料や防錆顔料及び防錆剤は、種類、添加量、粒径の違いにより、放射率や加工性、外観、耐食性等その他の皮膜性能が大きく異なるため、必要に応じて適宜選定する必要がある。
熱吸収性皮膜には、必要に応じて一般に公知のレベリング剤、顔料分散剤、ワックス、艶消し剤等を添加することができる。ただし、可視光反射性皮膜には、これらの添加剤は添加しない方が、可視光の拡散反射率がより向上するので、より好適である。しかし、塗装作業性や塗膜の性能上、必要な場合は、可視光反射性皮膜にもこれらの添加剤を添加しても良い。これら添加剤の種類や添加量は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。特に、ワックスは、本発明のプレコート金属板を成形加工したときの成形性向上、熱吸収性皮膜のキズ付き防止等に効果的である。
また、本発明の反射板用プレコート金属板の使用用途によっては、反射板の可視光正反射率が低い方が好ましい場合がある。反射板の正反射率が高いと、反射した光が拡散せずに特定の箇所のみが明るくなってしまう、もしくは、反射板表面に電球や蛍光灯などの光源の像が映ってしまう。例えば、液晶テレビの反射板等は、光をより均一に拡散反射させて液晶ディスプレイに伝達させないと、液晶画面の像に明るさの濃淡が発生する恐れがあり、このような用途の反射板で、低い可視光正反射率が要求される場合がある。可視光の正反射率は、可視光反射性皮膜表面の光沢と逆相関があり、光沢が低いものほど、正反射率が低くなることが知られている。そのため、可視光反射性皮膜の可視光正反射率を低くする手段として、可視光反射性皮膜に艶消し剤を添加するとより好適である。艶消し剤は、一般に公知の艶消し剤を使用することができ、シリカもしくはシリカ系顔料が効果的である。更に、シリカ系顔料の中では、金属イオンを吸着させたシリカ等を用いると、耐食性も向上するため、より好適である。シリカは、一般に公知のシリカ、日本アエロジル社及びデグサ社製の気相シリカ「AEROSILTMシリーズ」、日産化学社製のコロイダルシリカ「スノーテクスTMシリーズ」等を用いることができる。金属イオンを吸着させたシリカとしては、GRACE社製のCaイオン吸着型シリカ「シールデックスTM−シリーズ」等を使用することができる。ただし、低可視光正反射率や低光沢の要望が無い限り、可視光反射性皮膜中には艶消し剤等を添加せずに、バインダー樹脂と酸化チタンのみの配合の方が、拡散反射率がより高くなり、より好適である。
可視光反射性皮膜および熱吸収性皮膜を金属板表面に形成するためには、バインダーを含む皮膜成分を一般に公知の塗料形態にして塗布することができる。例えば、樹脂を溶剤に溶解した溶剤系塗料、エマルジョン化した樹脂を水等に分散した水系塗料、樹脂を粉砕してパウダー化した粉体塗料、粉砕しパウダー化した樹脂を水等に分散させたスラリー粉体塗料、紫外線(UV)硬化型塗料、電子線(EB)硬化型塗料、樹脂をフィルム上にして貼り付けるフィルムラミネート、樹脂を溶融させてから塗布する形態等が挙げられる。塗布方法は、いずれも特に限定されず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロール塗装、ローラーカーテン塗装、カーテンフロー塗装、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、刷毛塗り塗装、ダイコーター塗装等を採用できる。特に、ロール塗装、ローラーカーテン塗装、カーテンフロー塗装、ダイコーター塗装で塗装すると、連続的に処理することができ、製造効率が向上するため、より好適である。
可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜の下地に、防錆や隠蔽性を付与するためにプライマー皮膜を設けても良い。プライマー皮膜は、一般に公知のバインダーや防錆顔料、着色顔料を用いたものを使用することができる。市販のものを用いても良い。上記の可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜に用いるバインダー、防錆顔料、着色顔料を用いてもよい。特に、可視光反射性皮膜の下地に用いるプライマーは、皮膜中に可視光反射顔料、好ましくは酸化チタン、をバインダー固形分100質量部に対して40〜250質量部含むものの方が、可視光反射性皮膜の拡散反射率が向上するため、より好適である。プライマーの膜厚は、特に規定するものではないが、1〜40μmが好適である。1μm未満では、プライマーとして役割(隠蔽性確保や耐食性の確保)を発揮しないし、40μm超では塗装作業性が低下する恐れがある。プライマーに用いるバインダー樹脂は、可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜に用いた樹脂と同じものを用いることができる。また、プライマー塗膜中に、可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜と同様に、必要に応じて、一般に公知の着色顔料、防錆顔料、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス、艶消し剤等を添加することができる。特に、プライマーには防錆顔料を添加すると、プレコート金属板の耐食性が向上するため、より好適である。非クロム系防錆顔料であるとより好適である。非クロム系防錆顔料の中でも、Caイオン吸着型シリカ単独、もしくは、Caイオン吸着型シリカとリン酸系防錆顔料との併用であるとプレコート金属板の耐食性とプレス成形性に優れるためより好適である。より好ましくは、Caイオン吸着型シリカとトリポリリン酸アルミニウムとを併用したタイプである。また、可視光反射性皮膜の下地としてプライマーを被覆する場合は、可視光反射性皮膜の可視光正反射率を低くする手段として、プライマー皮膜中に艶消し剤を添加するとより好適である。艶消し剤は、一般に公知の艶消し剤を使用することができ、シリカ系のもの等が知られている。
なお、本発明のプレコート金属板の母材表面には、可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜を被覆する前に、皮膜密着性を上げるために、塗装前処理を施すとより好適である。塗装前処理は、一般に公知のもの、例えば、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、リン酸亜鉛処理、ジルコニア系処理、チタニア系処理を使用することができる。また、近年、樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート前処理も開発されているが、樹脂をベースとしたノンクロメート前処理を用いると、環境への負荷が低減されるためより好適である。樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート前処理の例としては、特開平9−828291号公報、特開平10−251509号公報、特開平10−337530号公報、特開2000−17466号公報、特開2000−248385号公報、特開2000−273659号公報、特開2000−282252号公報、特開2000−265282号公報、特開2000−167482号公報、特開2002−266081号公報等に記載された技術が挙げられ、前記以外にも一般に公知技術を用いることができる。既に市販されたノンクロメート処理を用いても良い。これらの前処理の種類や付着量の違いによって、熱吸収性皮膜の密着性やプレコート金属板の耐食性が大きく異なるため、必要に応じて適宜選定する必要がある。
本発明のプレコート金属板の金属母材には、一般に公知の材料を用いることができる。合金であっても良い。例えば、鋼板、アルミニウム板、チタン板、銅板、等が挙げられる。これらの材料の表面には、めっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミニウムめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。合金めっきであっても良い。鋼板の場合は、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板、等の一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。
更に、これらの金属板もしくはめっきした金属板の表面の粗度がRaで0.05〜1.8μmであると拡散反射率がより向上するため、より好適である。可視光反射性皮膜表面に可視光線が入射した場合、可視光反射性皮膜で反射しきれずに透過した可視光線は、皮膜下の母材表面で反射される。ここで、母材の表面粗度が可視光線の波長(一般に可視光線の波長領域は380〜780nmと言われている)より非常に小さい場合、母材表面に入射した可視光線は拡散反射し難く、正反射し易くなることを知見した。一方、母材の表面粗度が可視光線の波長より非常に大きい場合、母材表面に入射した可視光線は、母材表面の凹凸の隙間に入り込み、母材に吸収され易くなることを知見した。そのため、これら母材である金属板もしくはめっきした金属板のRaが0.05μm未満であると、可視光線が拡散反射し難くなるため、不適である。また、Raが1.8μm超であると、可視光反射性皮膜で反射しきれずに透過した可視光線が、母材であるこれら金属板もしくはめっきした金属板に到達したときに、この可視光線が母材表面で吸収され易くなるため、不適である。
これらの金属板には、塗装前処理を施す前に湯洗、アルカリ脱脂、酸洗等の通常の処理を行うことができる。プレコート金属板の金属母材が鋼板もしくはめっきした鋼板であると、プレコート金属板の成形加工性が向上するため、より好適である。
本発明のプレコート金属板を成形加工して反射板を作製すると、反射板製造効率が向上するため、好適である。反射板の加工方法は、一般に公知の加工方法を用いることができる。例えば、打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工、張り出し加工、ロールフォーミング等の加工方法が挙げられる。
また、本発明のプレコート金属板を組み込んだ電気電子機器は、プレコート金属板が、可視光線の拡散反射率が高く、熱吸収性にも優れるので、照明や光信号の明かりがより明るくなり、かつ、機器内の温度が低下するため、機器内に設けられた制御基板等の電子回路が効率良くかつ安定して作動することができる。なお、この電気電子機器として、照明器具、AV機器、モバイル機器、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等を例示することができる。
【実施例】
以下、実験に用いた熱吸収性塗料及び可視光反射性塗料の作成方法について、詳細を説明する。
市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂と称す)である東洋紡績社製「バイロンTM GK140」(数平均分子量:13000、Tg:20℃)を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解した。
次に、有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂にポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して市販のヘキサ−メトキシ−メチル化メラミンである三井サイテック社製の「サイメルTM 303」を15質量部添加し、更に、市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト6003B」を0.5質量部添加し攪拌することで、メラミン硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料を得た。本塗料を以降ポリエステル/メラミン系と称す。
更に、樹脂の影響を見るために、前記の有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂に、市販のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)をベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュールTM BL3175」を[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=1.0となるように配合し、更に、三井武田ケミカル社製反応触媒「TK−1」を樹脂固形質量分に対して0.05%添加することで、イソシアネート硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料(以下、ポリエステル/イソシアネート系と称す)を得た。
更に、樹脂の影響を見るために、市販の三フッ化エチレン樹脂である旭硝子社製「ルミフロンTM LF552」(数平均分子量:12000、Tg:20℃)に、市販のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)をベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュールTM BL3175」を[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=1.0となるように配合し、更に、三井武田ケミカル社製反応触媒「TK−1」を樹脂固形質量分に対して0.05質量%添加することで、フッ素系のクリヤー塗料(以降、フッ素系と称す)を得た。
次に、作成したクリヤー塗料に、各種顔料を添加して、可視光反射性塗料、熱吸収性塗料、プライマー塗料を作製した。
以下に、作製した塗料の詳細を記載する。
[可視光反射性塗料]
クリヤー塗料に、石原産業社製酸化チタン「タイペークCR95」を添加して、攪拌することで可視光反射性塗料(以下単に「反射性塗料」ともいう。)を得た。使用したクリヤー塗料の種類及び酸化チタンの添加量の詳細は、表1に記載する。なお、酸化チタンの添加量は、クリヤー塗料の樹脂固形分100質量部に対する質量部である。

[熱吸収性塗料]
クリヤー塗料にカーボンを添加して、攪拌することで、熱吸収性塗料を得た。
本実験では、小粒径カーボンとして東海カーボン社製カーボンブラック「トーカブラック#7350F」を、大粒径カーボンとして共同組合ラテスト製「備長炭パウダー」(最大粒径:5μm)と、試薬として市販されている黒鉛を粉砕して、篩い分け分級機にて平均粒径を20μmとしたものを使用した。また、必要に応じて、市販のフレーク状金属Niと鎖状金属Niを、フレーク状金属Ni/鎖状金属Ni=6の比率で、混合した導電性顔料を添加した。
作製した熱吸収性塗料の詳細を、表2に記載する。なお、これら添加剤の添加量は、クリヤー塗料の樹脂固形分100質量部に対する質量部である。

[プライマー塗料]
日本ペイント社製のポリエステル系塗料であるFLC641クリヤー塗料に、樹脂固形分100質量部に対してGRACE社製クロメートフリー防錆顔料「シールデクスC303」を20質量部、可視光反射顔料として石原産業社製酸化チタン「タイペークTM CR95」を40質量部添加し、攪拌することで、クロメートフリー系のプライマー塗料を作製した。また、市販のクロメート系プライマーとして日本ペイント社製のポリエステル系プライマー塗料であるFLC641EUプライマーも使用した。
以下、実験に用いたプレコート金属板の作成方法について詳細を説明する。
厚み0.6mmの金属板を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC4336」を2質量%濃度に希釈した60℃の水溶液中にてアルカリ脱脂し、水洗後、乾燥した。次いで、脱脂した金属板上にロールコーターにて化成処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
本実験では、次の金属板を用いた。なお、これらの金属板は、原板粗度をほぼ同じにするために、圧延ロールにて圧延して粗度調整を行った。
EG:市販の電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量:片面20g/m、材質:SECE(JIS G3313)、表面粗度Ra:0.9μm)
ALシート:市販のアルミニウムめっき鋼板(アルミニウム付着量:片面60g/m、材質:SALE(JIS G3314)、表面粗度Ra:1.0μm)
GL:市販の55%アルミニウム−亜鉛めっき鋼板(めっき付着量:片面90g/m、材質:SGLCD(JIS G3321)、表面粗度Ra:0.9)
アルミ板:市販のアルミニウム板(材質:1100(JIS H4000)、表面粗度Ra:0.8)
本実験では、化成処理に市販のクロメート処理である日本パーカライジング社製の「ZMI1300AN」(以下、クロメート処理)と、市販のノンクロメート化成処理である日本パーカライジング社製の「CT−E300」(以下、ノンクロメート処理)を使用した。化成処理は、金属板の両面にロールコーターにて処理し、到達板温60℃の条件で乾燥した。クロメート処理の付着量は、Cr付着量で50mg/m、ノンクロメート処理の付着量は、全皮膜量として150mg/mとした。
更に、化成処理を施した金属板の片面にプライマー塗料を、他方の面に表2に記載の熱吸収性塗料を、ロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて、乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で210℃とした。更に、プライマー塗料を塗装した面上に、表1に記載の可視光反射性塗料をローラーカーテンコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて、乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。なお、プライマーは、必要に応じて、塗装しないプレコート金属板も作製した。なお、プライマーの膜厚は、乾燥膜厚にして10μm、可視光反射性皮膜の膜厚は、乾燥膜厚にして20μm、熱吸収性皮膜の膜厚は、乾燥膜厚にして5μmとした。作製したプレコート金属板(PCM)の詳細を表3に示す。

以下、作製したプレコート金属板の評価試験について詳細を説明する。
1)可視光反射性皮膜の可視光線の拡散反射率測定
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを用いて、作製したプレコート金属板の可視光反射性皮膜表面の波長400〜700nmにおける可視光線の拡散反射率を測定し、得られた波長−反射率曲線の積分値を求めた。また、明るさに最も寄与する波長555nmにおける可視光線の拡散反射率も求めた。なお、リファレンスは、ドイツDIN規格の白色標品(DIN5033)であるMerck社製の硫酸バリウムを用い、この拡散反射率を1.00とした時の各皮膜の拡散反射率を求めた。
2)可視光反射性皮膜の光沢
JIS K 5400.7.6に準じて、入射角と受光角とがそれぞれ60°のときのプレコート金属板の可視光反射性皮膜表面の鏡面光沢度を測定した。
3)熱吸収性皮膜の金属板の放射率測定
日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「VALOR−III」を用いて、作製したプレコート金属板の板温度を80℃にしたときの波数600〜3000cm−1の領域における赤外発光スペクトルを測定し、これを標準黒体の発光スペクトルと比較することで、金属板の全放射率を測定した。なお、標準黒体は、鉄板にタコスジャパン社販売(オキツモ社製造)の「THI−1B黒体スプレー」を30±2μmの膜厚でスプレー塗装したものを用いた。また、放射率の測定は、作製したプレコート金属板の熱吸収性皮膜面を測定した。
4)照明器具の照度測定
図2に実験装置の概要を記載する。木製の箱11の中に市販の蛍光灯照明器具12を取り付け、蛍光灯13から30cm離れた箇所に市販の照度計のセンサー14を設置し、照度を測定した。また、蛍光灯照明器具12については、付属している反射板15(以下、既存の反射板15と称す)を取り外して、作製した各種プレコート金属板を用いて、既存の反射板15と同じ形状の反射板15を作製し、既存の反射板15を取り付けたときと、これら作製した反射板15を取り付けた時の照度を測定した。そして、既存の反射板15で測定した時の照度と作製したプレコート金属板の反射板15で測定したときの照度とを比較して、次のように評価した。なお、本実験では、16形ランプ出力16Wの蛍光灯を用いた。
照度変化率が110%以上の場合:○
照度変化率が103%以上110%未満の場合:△
照度変化率が103%未満の場合:×
なお、照度変化率は、{([作製したプレコート金属板反射板での照度]/[既存の反射板での照度])×100}と定義した。
5)プレコート金属板の皮膜の折り曲げ試験(加工性)
作製したプレコート金属板で、180°密着曲げを20℃雰囲気中で行い、加工部の皮膜損傷状態をルーペにて観察し、下記の基準で加工性を評価した。なお、本試験では、試験片を曲げる際に、内側に評価するプレコート金属板と同じ板厚の板を3枚挟んだ状態で、密着曲げを行う、3T曲げを行った。また、本試験は、作製したプレコート金属板の可視光反射性皮膜面と熱吸収性皮膜面の両面について、それぞれ行った。
皮膜に全くの損傷が無い場合:○
皮膜が部分的に損傷している場合:△
皮膜が加工部全面で激しく損傷している場合:×
6)プレコート金属板の円筒絞り成形性
ポンチ径が50mm、ポンチ肩R(ポンチ肩の半径)が3mm、ダイス肩R(ダイスの肩の半径)が3mm、絞り比が2.1の条件で円筒絞り試験を実施した。なお、円筒絞り試験の際、プレコート金属板表面にプレス油は塗布せずにプレス試験を実施し、且つ、可視光反射性皮膜の面が円筒の外側となるように試験を実施した。そして、プレコート金属板の成形性を以下のように評価した。
プレコート金属板が成形途中で母材破断することなく最後まで絞り抜け、且つ、目視で皮膜の損傷が無い場合:○
プレコート金属板が成形途中で母材破断したが、加工部で明らかな皮膜剥離もしくは皮膜損傷が目視では認められなかった場合:△
プレコート金属板が成形途中で母材破断するしないにかかわらず、目視で明らかな皮膜剥離もしくは皮膜損傷が認められた場合:×
7)プレコート金属板の耐食性
以下、表面の耐食性評価方法を記載する。
作製したプレコート金属板の可視光反射性皮膜面にカット傷を入れて、JIS K 5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は、試験片のクロスカットを入れた面に噴霧した。試験時間は120時間とした。そして、表面側のカット部からの皮膜膨れ幅を測定し、カット部膨れ幅が片側3mm以下の場合を○、カット部膨れ幅が片側5mm未満の場合を△、カット部膨れ幅が片側5mm超の場合を×と評価した。
8)プレコート金属体の熱吸収性皮膜の導電性試験
作製したプレコート金属板の熱吸収性皮膜の導電性を測定した。測定方法は、三井化学社製の抵抗率計「Loresta−EP/MCP−T360」の四端子法にて、金属板の表面の抵抗率を測定し、以下の基準で評価した。
抵抗率が0.1×10−2Ω未満の場合:○
抵抗率が0.1×10−2以上1.0×10−1Ω未満の場合:△
抵抗率が1.0×10−1Ω以上の場合:×
以下、評価結果の詳細について述べる。
表4に評価結果をまとめる。なお、作製した塗料の内、反射性塗料I−5(表1を参照)と熱吸収性塗料I−12及び13(表2を参照)は、酸化チタンもしくはカーボンの添加量が多過ぎたため、塗料が増粘して固まってしまい、塗装することが困難であった。そのため、これら塗料を用いたプレコート金属板は作製できなかった。

本発明のプレコート金属板を反射板に用いた照明器具は、従来の反射板を用いたものと比べて、照度が高くなり、照明が明るくなった。可視光反射性皮膜中の酸化チタンの添加量が、バインダー固形分100質量部に対して65質量部未満であると(PCM−I−20)、可視光反射率が0.70未満となるため、従来の反射板と比べても照度が変わらないため、不適である。また、熱吸収性皮膜中のカーボン添加量がバインダー固形分100質量部に対して10質量部未満であると(PCM−I−21)、放射率が0.70未満となるため、従来の反射板と比べても照度が変わらないため、不適である。また、熱吸収性皮膜に添加するカーボンが大粒径のものと小粒径のものとを組み合わせると(PCM−I−9〜10)、増粘することなく、比較的多量のカーボンを添加できるため、より好適である。また、熱吸収性皮膜に導電性顔料を添加すると、熱吸収性皮膜に導電性を付与することができ、より好適である(PCM−I−11〜12)。ただし、導電性顔料の添加量を増やすと、熱吸収性皮膜の放射率が低下するため、バインダー固形分100質量部に対する導電性顔料の添加量は50質量部以下が好ましい。本発明のプレコート金属板の可視光反射性皮膜や熱吸収性皮膜の下層部に、防錆皮膜を設けたり、これら皮膜中に防錆顔料を含んだりしないものは(PCM−I−13)、耐食性に劣る。また、本発明のプレコート金属板の化成処理にクロメート系化成処理を施したり、皮膜中にクロメート系の防錆顔料を含むもの(PCM−I−14)は環境負荷物質を含むため、これらを含まないものの方が、より好適である。
更に、可視光反射性皮膜のバインダー樹脂がフッ素系樹脂であると(PCM−I−19)、可視光反射性がより向上し、より好適である。
【産業上の利用可能性】
本発明により、照明器具や光信号を発する機器の光の明るさをより明るくする技術を提供することが可能となった。本発明により、これら機器の性能が向上するのみならず、従来より少ないエネルギー消費量で従来と同等の性能を確保することも可能となり、省エネ化した機器を提供することも可能となった。従って、本発明は産業上の極めて価値の高い発明であるといえる。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板もしくはめっきした金属板の片方の面に波長400〜700nmにおける可視光線の拡散反射率が0.7以上である可視光反射性皮膜を有し、他方の面に80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.7以上である熱吸収性皮膜を有する反射板用プレコート金属板。
【請求項2】
前記可視光反射性皮膜がバインダーおよび酸化チタンを含有し、酸化チタンの含有量がバインダー固形分100質量部に対して40〜250質量部であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の反射板用プレコート金属板。
【請求項3】
前記可視光反射性皮膜のバインダーがフッ素系樹脂を含むことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載に反射板用プレコート金属板。
【請求項4】
前記熱吸収性皮膜がバインダーおよび熱吸吸収性顔料を含有し、熱吸収性顔料の含有量がバインダー固形分100質量部に対して10〜150質量部であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板。
【請求項5】
前記熱吸収性顔料がカーボンであることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の反射板用プレコート金属板。
【請求項6】
前記熱吸収性皮膜がさらに導電性の金属粉を含有し、導電性の金属粉の含有量がバインダー固形分100質量部に対して1〜50質量部であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板。
【請求項7】
前記金属板もしくはめっきした金属板の表面粗度がRaで0.05〜1.8μmであることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板。
【請求項8】
前記金属板もしくはめっきした金属板が、鋼板もしくはめっき鋼板であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板。
【請求項9】
請求の範囲第1項ないし第8項のいずれかに記載の反射板用プレコート金属板を組み込んでなる電気電子機器。

【国際公開番号】WO2004/076173
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502868(P2005−502868)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002063
【国際出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】