説明

反射表皮材

【課題】 車両用内装材に好適に適用でき、可視光を含む日射エネルギーを効果的に反射し、直射あるいはガラスを通した日射による内装材の表面温度上昇を抑制し得る反射表皮材を提供する。
【解決手段】 反射表皮材10は、断面凹形状をなす表面21が形成された単位反射材20を複数個備え、単位反射材の表面のうち一の領域に光反射性面Hが形成され、他の領域に光吸収性面Kが形成されている。複数個の単位反射材は、それぞれの光反射性面を一の方向Dhに向け、それぞれの光吸収性面を他の方向Dkに向けて、配列されている。この反射表皮材を用いた車両用内装材は、光反射性面を向ける一の方向を車外側とし、光吸収性面を向ける他の方向を車内側として、インストルメントパネル、ドアトリムおよび/またはリアパーセルシェルフに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夏季の熱暑感を低減し快適な温熱環境を提供するための材料に関し、特に、車両用内装の温度上昇の軽減を目的に使用して好適な反射表皮材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用内装材に関して、例えば、インストルメントパネル用の表皮材としては、ポリ塩化ビニル製あるいは熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製の単層構造の樹脂製シートが多用されている。樹脂製シートの明度は、ウインドシールドへの窓写りを防止するために、低明度(明度60程度以下)である。このような樹脂製シートを配置したインストルメントパネルの表面は、ウインドシールドなどを通じて入射した太陽光線の熱を吸収して非常に高温となる。
【0003】
炎天下において、駐車中の自動車の室内が非常な高温になることは周知である。日本国内において夏季の室内温度の測定によれば、炎天下駐車した場合の室内温度は約70℃にも達し、内装材においては、インストルメントパネル上面で100℃前後、天井材表面、シート表面で70℃前後もの高温に達することが報告されている。こうした状況で乗車した際の不快感は言うまでもなく、また内装材から長時間にわたり放射熱が発生すること、シート表面に蓄熱されることで乗員がシートから熱伝導によって熱気を受け取ることで不快になるとともに、換気あるいは冷房では室温や内装材温度は容易に下がらないため、冷房による過剰なエネルギー消費も問題となる。
【0004】
従来、このような炎天下駐車の問題点に関し、内装材表面の過熱を防止する目的として、例えば特許文献1、2には、内装材表皮に赤外線反射顔料を含有させ、赤外線を反射する技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの技術にあっては、赤外反射顔料粉末を樹脂にランダムに混入するため、反射方向が乱反射になり、ほとんどの反射光は樹脂層に吸収され熱に変わる。また、太陽光線エネルギーの約半分は可視光であり、加えて近年の自動車用ウインドガラスは近赤外を吸収する断熱ガラスが多いことから、内装表面温度上昇の主要因は可視光である。したがって、赤外線を反射する内装材表皮では、内装材表面の過熱を防止する大きな効果は期待できない。
【0006】
また、光学的な反射機能を車両に施した例として、内装材表面での反射のほかに、ウインドガラスに反射機能を付与して車室内への紫外線の侵入を防ぐようにした、車両用複層ガラスに関する技術が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【0007】
しかしながら、ウインドシールドやフロントサイドガラスには、法規上、70%以上の可視光線透過率(Tv)を確保しなければならい。この基準を確保するために、反射機能としては、20%〜30%程度の日射反射率(Re)しか得ることができず、これ以上の性能向上は望み得ない。ウインドシールドやフロントサイドガラスは光の侵入経路としては非常に大きい面積を有しており、これらウインドガラスの部位での熱対策がこれ以上できないことは、他の手段による熱対策を施すことが必要であることを意味している。なお、上記の日射反射率(Re)、日射透過率(Te)、可視光反射率(Rv)、可視光透過率(Tv)の値は、JIS R3106に準じて、測定されたものである。
【0008】
前記他の手段による熱対策に関し、内装材表面の過熱を防止する目的で内装材の表面反射率あるいは明度を上げ、日射エネルギーを反射する方法が考えられる。しかしながら、内装材表面の可視光反射率(Rv)を単に上げただけでは、他の内装部品に向けて照射を行なうばかりで、結局のところ、車室内の温度上昇を招くことに変わりはない。さらに、日射の角度によっては運転者の目に反射光が直接入ったり、ウインドガラスに内装材が映りこんだりして、運転者の視界を妨げる虞がある。このように、反射率を上げることと窓映りや運転者の眩しさを抑えることとは、二律背反の関係にあり、反射性能を損なうことなく窓映りや運転者の眩しさを防止し得る材料や構成の実現が要請されている。
【特許文献1】特開2001−114149号公報
【特許文献2】特開2001−122044号公報
【特許文献3】特許第3315453号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、上記課題に対して、車両用内装材に、反射材を用いる一方、日射が入射する方向には光反射性面を機能させる一方、運転者の直接的な視線方向、あるいは、ウインドガラスの反射を介した運転者の視線方向からは光反射性面が見えないようにする方策を考えた。本発明は、かかる観点に鑑みて完成されたものである。
【0010】
そこで、本発明の目的は、車両用内装材に好適に適用でき、可視光を含む日射エネルギーを効果的に反射し、直射あるいはガラスを通した日射による内装材の表面温度上昇を抑制し得る反射表皮材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、断面凹形状をなす表面が形成された単位反射材を複数個備え、
前記単位反射材の前記表面のうち一の領域に光反射性面を形成し、他の領域に光吸収性面を形成し、
複数個の前記単位反射材を、それぞれの前記光反射性面を一の方向に向け、それぞれの前記光吸収性面を他の方向に向けて、配列してなる反射表皮材である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の反射表皮材によれば、単位反射材における光反射性面が一の方向に向けられているので、反射表皮材に照射された太陽光線は、光反射性面によって一の方向に向けて反射され、それ以外の方向に向けて反射されない。したがって、反射表皮材に照射された太陽光線の熱の大部分が一の方向に戻されるため、反射表皮材自体の温度が高くなったり、他の方向に存在する雰囲気や部材の温度が高くなったりすることがない。また、ある者が一の方向以外の方向から反射表皮材を見た場合には、光反射性面によって反射した太陽光線がその者の視線に入らない。したがって、その者が眩しいと感じることがない。
【0013】
さらに、単位反射材における光吸収性面が他の方向に向けられているので、光反射性面によって反射した太陽光線が光吸収性面にあたって当該光吸収性面で吸収されたり、光吸収性面に直接あたった太陽光線が当該光吸収性面で吸収されたりする。したがって、ある者が他の方向から反射表皮材を見た場合には、太陽光線がその者の視線に入らない、あるいは著しく弱められる。したがって、その者が眩しいと感じることがない。
【0014】
したがって、車両用内装材に好適に適用でき、可視光を含む日射エネルギーを効果的に反射し、直射あるいはガラスを通した日射による内装材の表面温度上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(1.反射表皮材10について)
図1(A)は、本発明に係る反射表皮材10における単位反射材20を拡大して示す断面図、図1(B)は、複数個の単位反射材20が隙間なく配列されている状態を示す斜視図である。また、図2(A)〜(C)は、本発明に係る反射表皮材10における単位反射材20の他の構成例を示す断面図、図3(A)〜(C)は、複数個の単位反射材20が隙間を隔てて配列されている状態を示す斜視図である。図4は、平坦な最表層31を備える反射表皮材10を示す断面図である。
【0017】
図1(A)(B)を参照して、本発明に係る反射表皮材10は、断面凹形状をなす表面21が形成された単位反射材20を複数個備えている。単位反射材20の表面21のうち一の領域に光反射性面Hを形成し、他の領域に光吸収性面Kを形成してある。そして、複数個の単位反射材20を、それぞれの光反射性面Hを一の方向Dhに向け、それぞれの光吸収性面Kを他の方向Dkに向けて、配列してある。
【0018】
断面凹形状をなす表面21は、例えば、基材22となる樹脂材料を金型成型することにより形成される。
【0019】
本明細書においては、「光反射性面H」は、太陽光線を反射する性質を主たる性質として有する面と定義され、「光吸収性面K」は、太陽光線を吸収する性質を主たる性質として有する面と定義される。光反射性面Hについては、全反射率が大きいことが必要であり、特に正反射率が高いことが好ましい。太陽光線を反射させる方向を特定の方向に限定し易いからである。光吸収性面Kについては、全反射率が小さいことが必要であり、拡散反射率が高くとも支障はない。全反射率がもともと小さいため、拡散反射光の割合が多くても、太陽光線が反射した方向に存在する雰囲気や部材を昇温するほどのエネルギーを放出しないからである。むしろ、拡散反射光の割合を多くすることにより、光吸収性面Kを見る者が感じる眩しさを減じることができる。これより、光吸収性面Kについては、光吸収性面Kを見る者が眩しさを感じない限度において、正反射率を維持したまま拡散反射率を高めて、全反射率の上限値を高めることもできる。全反射率の上限値が緩和されることにより、光吸収性面Kを形成する際の形成方法の選択や材質の選択の自由度が増す。光反射性面Hおよび光吸収性面Kは、太陽光線を反射/吸収する性質を有する他に、断熱性、良熱伝導性などを備えてもよい。断熱性を備えることにより、反射表皮材10に熱が蓄えられることを防止し、反射表皮材10の表面温度の上昇を抑えることができる。また、良熱伝導性を備えることにより、反射表皮材10自体の熱あるいは反射表皮材10に接する雰囲気の熱を、当該反射表皮材10に熱的に接続された部位に効率よく熱伝導し、当該部位で放熱させることができる。
【0020】
「一の方向Dh」とは、光反射性面Hにおいて反射した正反射光および拡散反射光が向かう方向を意味し、ある程度の拡がりを持っている。光吸収性面Kにおいても太陽光線がある程度反射することから、「他の方向Dk」とは、光吸収性面Kにおいて反射した正反射光および拡散反射光が向かう方向を意味し、ある程度の拡がりを持っている。また、一の方向Dhと他の方向Dkとがなす角度は、鋭角、直角、あるいは鈍角のいずれであってもよい。
【0021】
「一の領域」および「他の領域」は、反射表皮材10に要求される光学的な特性、つまり、太陽光線を一の方向Dhに向けて反射し、かつ、太陽光線を他の方向Dkに向けて反射しないという特性を満足するために、適宜選択ないし決定される。断面凹形状をなす表面21のうち、一の領域の面積が他の領域の面積よりも広い場合、逆に、他の領域の面積が一の領域の面積よりも広い場合、あるいは、一の領域の面積と他の領域の面積とが等しい場合がある。さらに、断面凹形状をなす表面21に、光反射性面Hおよび光吸収性面Kのいずれもが形成されていない領域、つまり、一の領域および他の領域のいずれにも属さない領域が存在してもよい。この場合には、断面凹形状をなす表面21に、基材22が露出した領域が存在することになる。かかる構成であっても、上記の光学的特性を十分に発揮することができる。
【0022】
かかる構成の反射表皮材10によれば、単位反射材20における光反射性面Hが一の方向Dhに向けられているので、反射表皮材10に照射された太陽光線は、光反射性面Hによって一の方向Dhに向けて反射され、それ以外の方向に向けて反射されない。したがって、反射表皮材10に照射された太陽光線の熱の大部分が一の方向Dhに戻されるため、反射表皮材10自体の温度が高くなったり、他の方向Dkに存在する雰囲気や部材の温度が高くなったりすることがない。また、ある者が一の方向Dh以外の方向から反射表皮材10を見た場合には、光反射性面Hによって反射した太陽光線がその者の視線に入らない。したがって、その者が眩しいと感じることがない。
【0023】
さらに、単位反射材20における光吸収性面Kが他の方向Dkに向けられているので、光反射性面Hによって反射した太陽光線が光吸収性面Kにあたって当該光吸収性面Kで吸収されたり、光吸収性面Kに直接あたった太陽光線が当該光吸収性面Kで吸収されたりする。したがって、ある者が他の方向Dkから反射表皮材10を見た場合には、太陽光線がその者の視線に入らない、あるいは著しく弱められる。したがって、その者が眩しいと感じることがない。
【0024】
光反射性面Hは、平面により形成されている(図1(A))。光反射性面Hは平面に限られるものではなく、太陽光線を反射する機能を発揮し得る限りにおいて、曲面により形成してもよく(図2(A))、さらには、所望により、平面および曲面を混在させたものでもよい。
【0025】
光吸収性面Kは、平面により形成されている(図1(A)参照)。光吸収性面Kは平面に限られるものではなく、太陽光線を吸収する機能を発揮し得る限りにおいて、曲面により形成してもよく(図2(A)参照)、さらには、所望により、平面および曲面を混在させたものでもよい。
【0026】
光反射性面Hおよび/または光吸収性面Kを構成する平面の数は1つに限られない。光反射性面Hは、傾斜角度α1、α2、α3が異なる複数の平面H1、H2、H3を含んでいてもよい(図2(B)参照)。同様に、光吸収性面Kは、傾斜角度が異なる複数の平面K1、K2を含んでいてもよい(図2(B)参照)。
【0027】
光反射性面Hおよび/または光吸収性面Kを構成する曲面の数は1つに限られない。光反射性面Hは、曲率半径が異なる複数の曲面H1、H2、H3を含んでいてもよい(図2(C)参照)。同様に、光吸収性面Kは、曲率半径が異なる複数の曲面K1、K2を含んでいてもよい(図2(C)参照)。
【0028】
図1(B)を参照して、複数個の単位反射材20は、図中x軸方向および図中y軸方向の両方向とも、隙間なく配列されている。
【0029】
複数個の単位反射材20は、図3(A)〜(C)に示すように、隙間sを隔てて配列してもよい。図3(A)には、複数個の単位反射材20を、図中x軸方向に隙間sを隔てて配列し、図中y軸方向には隙間なく配列した形態が示される。図3(B)には、複数個の単位反射材20を、図中y軸方向に隙間sを隔てて配列し、図中x軸方向には隙間なく配列した形態が示される。図3(C)には、複数個の単位反射材20を、図中x軸方向および図中y軸方向の両方向に隙間sを隔てて配列した形態が示される。
【0030】
光反射性面Hは、太陽光線に対する全反射率が50%以上であることが望ましい。可視光を含む日射エネルギーを効果的に反射し、直射あるいはガラスを通した日射による内装材などの表面温度の上昇を抑制し得るからである。
【0031】
光吸収性面Kは、太陽光線に対する全反射率が15%以下であることが望ましい。前記他の方向Dkから反射表皮材10を見た場合に、眩しさを感じることがないからである。
【0032】
断面凹形状をなす表面21の深さd(図1(A)参照)は、適宜の寸法を採用し得るが、50μm〜1000μmであることが望ましい。表面21の深さdが1000μmを超える場合には、反射表皮材10の手触りがざらざらして、気になることがあるからである。また、表面21の深さdが50μm未満の場合には、単位反射材20の構造が僅かな力で潰れる虞があるからである。したがって、断面凹形状をなす表面21の深さdを、50μm〜1000μmにすることにより、ざらざら感を感じさせることがなく、また、単位反射材20の構造を維持することができる。
【0033】
光反射性面Hは、蒸着タイプの反射膜、金属メッキ膜、または反射性塗料膜から形成されている。蒸着タイプの反射層には、蒸着反射膜、干渉反射膜などを用いる。蒸着反射膜とは、一般的に用いられる金属を、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム上に蒸着し、反射機能を持たせたものを言う。この反射膜を構成する金属には、一般の金属類を用いることができる。その中でもアルミニウム、銀、亜鉛、錫、クロム、ニッケル、チタン、およびこれらの酸化物が好適である。また、これらの金属にその他の添加成分を加え、光学的、化学的、機械的な性質を改善したものでもかまわない。これらの金属、金属酸化物を樹脂フィルム上に蒸着し、反射膜として用いることで、任意の熱線反射性能の表皮材を得ることができる。蒸着反射膜を樹脂フィルム表面に形成するに当たっては、真空蒸着法、スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法などが用いられる。蒸着反射膜の膜厚は、反射性能を付与させるために、厚さを任意に変化させることができる。干渉反射膜を構成する干渉反射材には、一般的にフィルム型のものが多い。また、反射性塗料膜を形成するためには、アルミ顔料を用いた塗料を用いる。
【0034】
光吸収性面Kは、反射表皮材10を車両用内装材に適用する場合を考慮すれば、運転者から直接あるいはウインドガラスの反射から見て眩しくなく、映り込みがなければよい。反射表皮材10の基材として黒色の樹脂を用いる場合には、この黒色の樹脂を露出させることにより、光吸収性面Kを簡便に形成することができる。例えば、黒色の熱可塑性樹脂製シートの全面にアルミ蒸着膜を形成しておき、金型プレス成形により、単位反射材20における断面凹形状をなす表面21を形成する。このとき、断面凹形状をなす表面21の一の領域には、アルミ蒸着膜からなる光反射性面Hが形成され、他の領域には、アルミ蒸着膜が剥がれて基材の黒色の樹脂を露出させてなる光吸収性面Kが形成される。
【0035】
反射表皮材10は、複数個の単位反射材20を、樹脂製シート上に形成することにより構成してもよいし、樹脂成型品の基材上に直接的に形成することにより構成してもよい。
【0036】
樹脂製シート、または、樹脂成型品の基材としては、塩化ビニル樹脂、熱可塑性オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはポリエステル樹脂である。
【0037】
図4を参照して、光を透過する透明部材30によって被覆し、平坦な最表層31を備える反射表皮材10としてもよい。透明部材30は、光を透過する樹脂をコーティングすることによって形成されている。使用する樹脂としては、塩化ビニル樹脂、熱可塑性オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはポリエステル樹脂などである。
【0038】
前述したように、単位反射材20の断面凹形状をなす表面21の深さdが1000μmを超える場合には、反射表皮材10の手触りがざらざらして、気になることがあるが、光を透過する透明部材30によって被覆して平坦な最表層31を備える反射表皮材10とすることにより、滑らかな手触りにすることが可能になる。また、埃除去などのメンテナンス性からも表面形状はなるべく平らであることが好ましい。さらに、表面21の深さdが50μm未満の場合には、単位反射材20の構造が僅かな力で潰れる虞があるが、光を透過する透明部材30によって被覆することによって、単位反射材20の構造が僅かな力で潰れることを防止できる。
【0039】
もちろん、断面凹形状をなす表面21の深さdが50μm〜1000μmの場合にあっても、光を透過する透明部材30によって被覆し、平坦な最表層31を備える反射表皮材10としてもよい。手触りを修正したり、単位反射材20の構造を潰れ難くするために強化したりすることができるからである。
【0040】
(2.反射表皮材10を用いてなる車両用内装材40について)
図5(A)は、太陽光線50がウインドガラスを通じて自動車内装部品に照射される様子を示す模式図、図5(B)は、太陽光線50がウインドシールド61を通じてインストルメントパネル64の車両用内装材40に照射される様子を示す模式図である。図6は、本発明に係る車両用内装材40を内装部品の1つであるインストルメントパネル64に適用した例を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図である。
【0041】
図5(A)(B)に示すように、自動車では、太陽光線50は、ウインドガラスを通じて車室内に侵入し、内装部品に照射される。太陽光線50の照射によって、内装部品が暖められたり、車室の温度が上昇したりする。ウインドガラスには、ウインドシールド61、リアガラス62、サイドガラス63(フロントサイドガラス63aおよびリアサイドガラス63bの総称)などが含まれる。内装部品には、例えば、インストルメントパネル64、リアパーセルシェルフ65、およびドアウエストなどのドアトリム66などが含まれる。
【0042】
上述した反射表皮材10は、単位反射材20における光反射性面Hが一の方向Dhに向けられ、光吸収性面Kが他の方向Dkに向けられているので、この反射表皮材10を車両用内装材40に適用すれば、内装部品に照射された太陽光線50は光反射性面Hが向けられた一の方向Dhに反射され他の内装部品に光を照射しない。本発明者らは、反射表皮材10が備えるこの機能に着目して、本発明に係る車両用内装材40を完成するに至った。
【0043】
本発明に係る車両用内装材40は、上述した反射表皮材10を、光反射性面Hを向ける一の方向Dhを車外側とし、光吸収性面Kを向ける他の方向Dkを車内側として、インストルメントパネル64、ドアトリム66およびリアパーセルシェルフ65より選ばれる少なくとも一種の内装部品に適用したものである。
【0044】
図5(B)および図6には、車両用内装材40をインストルメントパネル64に適用した例が示される。この場合には、車両用内装材40は、インストルメントパネル64の上部において、光反射性面Hがウインドシールド61に向けられ、光吸収性面K1が運転手に向けられている。さらに詳しくは、図示例の単位反射材20にあっては、光反射性面Hおよび光吸収性面K1は、平面により形成されている。光反射性面Hは、傾斜角度が異なる複数(3つ)の平面H1、H2、H3を含んでいる。3つの光反射性面H1、H2、H3は、車外側に向けられ、ウインドシールド61に相対している。光吸収性面K1は、車内側に向けられ、運転者に相対している。
【0045】
反射表皮材10における複数個の単位反射材20には、車幅方向の長さが、インストルメントパネル64の車幅方向の長さと等しいものを使用できる。あるいは、車幅方向の長さが、インストルメントパネル64の車幅方向の長さよりも短い単位反射材20を使用してもよく、この場合には、当該単位反射材20を車幅方向に沿って複数個配列すればよい。
【0046】
インストルメントパネル64、リアパーセルシェルフ65、およびドアトリム66などの内装部品は、車室内の内装部品のなかでも直接、日射が照射される部位である。入熱源により近い部位で熱対策を行なうのが、吸収によるロス、つまりは内装部品を暖めることが少なく、より効果的に車室内の温度を低減することができるからである。したがって、上記の内装部品の少なくとも一種に車両用内装材40を用いることは、炎天下駐車時における車室の温度上昇の抑制を図るという課題を解決するために非常に有効である。
【0047】
特に、インストルメントパネル64やリアパーセルシェルフ65は、面積が大きく、近傍にはウインドシールド61やリアガラス62などのウインドガラスが配置されていることから、他の内装部品に比べて入射エネルギーが多い部品である。したがって、インストルメントパネル64やリアパーセルシェルフ65に車両用内装材40を用いることで、温熱性能の向上代を大きくとることができる。本発明の車両用内装材40は、傾斜して配置されたウインドガラスの近傍の内装部品に適用した場合に効果的ではあるが、シート、ステアリングホイール、センターコンソール、ピラーガーニッシュなどにも広く適用できるものである。
【0048】
車両用内装材40の表皮層に反射表皮材10を用いることにより、車室内に一旦侵入した日射は、車外に向けて再び反射されるため、対策を行なった内装部品自体を暖めないばかりか、対策を行っていない内装部品を暖めることなく車外へと放出される。したがって、可視光を含む日射エネルギーを効果的に反射して、直射あるいはガラスを通した日射による内装材の表面温度上昇を抑制することができる。
【0049】
なお、表皮層とは、車両用内装材40の表面にくる側の層を言い、日射が内装部品に当たる際、日射の当たる面に設置される層を指称している。
【0050】
車両用内装材40は、セダンタイプ、コンパクトカー、ミニバン、ワゴンタイプなど種々の車型に好適に適用できる。この他にも、軽自動車、クーペタイプ、SUV、1BOXタイプ、2BOXタイプ、バン、トラックなどの車両に用いても十分な効果を発揮する。
【0051】
次に、インストルメントパネル64のアッパーパネルに平滑な反射材を配置した対比例において生じる不具合との比較において、本発明に係る車両用内装材40の作用を説明する。
【0052】
図14(A)〜(C)は、インストルメントパネル64のアッパーパネルに平滑な反射材200を配置した対比例において生じる不具合の説明に供する図であり、図14(A)は、平滑な反射材200で反射した太陽光線51が運転者の目67に入り、運転者が眩しいと感じる不具合が生じる様子を示す模式図である。図14(B)は、平滑な反射材200で反射した車外風景68がウインドシールド61で反射して運転者の目67に入り、窓映りの不具合が生じる様子を示す模式図である。図14(C)は、平滑な反射材200で反射した太陽光線51が天井69などの内装材を加熱する不具合が生じる様子を示す模式図である。
【0053】
図14に示すように、インストルメントアッパーパネルに平滑な反射材200を配置し、ウインドシールド61から入射する太陽光線50を反射することによって、インストルメントアッパーパネルが高温になることを防止しようとすると、主に3つの問題点が発生する。
【0054】
第1に、図14(A)に示すように、平滑な反射材200で反射した太陽光線51が運転者の目67に入り、運転者が眩しいと感じる不具合が生じる。
【0055】
第2に、図14(B)に示すように、平滑な反射材200で反射した車外風景68がウインドシールド61で反射して運転者の目67に入り、窓映りの不具合が生じる。
【0056】
第3に、図14(C)に示すように、平滑な反射材200で反射した太陽光線51が車室内に向かい、天井69やシートなどの内装材を加熱する不具合が生じる。
【0057】
図7〜図9は、本発明に係る車両用内装材40の作用の説明に供する図であり、図7は、ウインドシールド61から入射する太陽光線50が、単位反射材20の3つの光反射性面H1、H2、H3によって、ウインドシールド61に向かう方向に反射される様子を示す模式図である。図8は、光反射性面H1で反射されてウインドシールド61へ戻る太陽光線51が光吸収性面K1にあたる様子を示す模式図である。なお、図8では、理解の容易のために、単位反射材20の光反射性面H1が1つの平面で構成されている場合を図示してある。図9は、車外風景68がウインドシールド61に窓映りすることが防止される様子を示す模式図である。
【0058】
図7に示される単位反射材20は、3つの光反射性面H1、H2、H3と、1つの光吸収性面K1とを有している。光反射性面H1、H2、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。この場合、ウインドシールド61から入射する太陽光線50は、単位反射材20の3つの光反射性面H1、H2、H3によって、ウインドシールド61に向かう方向に反射され、ウインドシールド61に戻っている。ウインドシールド61から車室内に侵入した太陽光線50がウインドシールド61から再び車外に放出されることから、太陽光線50の熱の大部分が車外へ放熱され、インストルメントパネル64の表面が高温になることが防止される。したがって、車両用内装材40によれば、内装部品表面が太陽光線50の熱で高温になるという不具合が解決される。より詳しくは、炎天下駐車時におけるインストルメントパネル64などの内装部品の表面が、ウインドシールド61などのウインドガラスからの太陽光線50の熱を吸収して非常に高温になるという不具合や、炎天下駐車後に乗車したときの前方からの輻射熱のために乗員が非常に暑く感じるという不具合が解決される。
【0059】
また、ウインドシールド61から車室内に侵入した太陽光線50がウインドシールド61から再び車外に放出されることから、光反射性面H1、H2、H3によって反射した太陽光線51が運転者の視線に入らない。図8に示される単位反射材20は、1つの光反射性面H1と、1つの光吸収性面K1とを有している。光反射性面H1はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光反射性面H1上のうち点H1Aから点H1Bの間の領域で反射した太陽光線51は、ウインドシールド61から再び車外に放出されることから、反射した太陽光線51が運転者の視線に入らない。一方、光反射性面H1上のうち点H1Bから点H1Cの間の領域で反射した太陽光線51は、光吸収性面Kにあたって、当該光吸収性面K1で吸収される。このため、反射した太陽光線51が運転者の視線に入らない。したがって、車両用内装材40によれば、反射した太陽光線51が運転者の目67に入って運転者が眩しいと感じるという不具合が解決される。
【0060】
図9に示される単位反射材20は、図7に示した単位反射材20と同様に、3つの光反射性面H1、H2、H3と、1つの光吸収性面K1とを有している。光反射性面H1、H2、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光反射性面H1、H2、H3によって反射して運転者の視線に入るはずの車外風景68は、光吸収性面K1によって遮断され、車外風景68がウインドシールド61に映らない。したがって、車両用内装材40によれば、車外風景68がウインドシールド61に窓映りするという不具合が解決され、前方視界を確保することができる。
【0061】
図7に示したように、ウインドシールド61から入射する太陽光線50は、単位反射材20の3つの光反射性面H1、H2、H3によって、ウインドシールド61に向かう方向に反射されており、車室内に向かって反射されることがない。ウインドシールド61から車室内に侵入した太陽光線50がウインドシールド61から再び車外に放出されることから、太陽光線50の熱の大部分が車外へ放熱され、車室内の天井やシートを高温にすることがない。したがって、車両用内装材40によれば、反射した太陽光線51が車室内に向かうことがなく、天井69やシートを高温にするという不具合が解決される。
【0062】
本発明に係る反射表皮材10を車両用内装材40として使用する際には、ウインドシールド61やリアガラス62などのウインドガラスの角度や、インストルメントパネル64などの内装部品の傾斜角度との関係を考慮することも重要である。窓映りや運転者の眩しさを防止しつつ、日射エネルギーを反射して車室の温度上昇を抑制するという、二律背反の関係にある性能の両立を図るためである。
【0063】
図10(A)(B)、図11、および図12は、インストルメントパネル64の上部に対して傾斜してウインドシールド61を配置した車体構造に用いられる車両用内装材40において、窓映りや運転者の眩しさを防止しつつ、日射エネルギーを反射して車室の温度上昇を抑制するという、二律背反の関係にある性能の両立を図るために満たすべき条件の説明に供する概念図である。
【0064】
図10(A)を参照して、インストルメントパネル64の上部に対して傾斜してウインドシールド61を配置した車体構造に用いられる車両用内装材40において、ウインドシールド61に相対する光反射性面H上の任意の点Paと、運転者に相対する光吸収性面Kの最上端の点Pbとを結ぶ線分を直線Lcとする。ウインドシールド傾斜角θ1の2倍の傾斜角を持ち、かつ、任意の点Paを通過する線分を直線Ldとする。また、直線Lcと直線Ldの中間の傾斜角を持ち(θce=θde)、かつ、任意の点Paを通過する線分を直線Leとする。このときに、任意の点Paを通過する単位反射材20の法線NLと垂線VLとがなす角度θ2が、直線Leと垂線VLとがなす角度θ3以上であればよい。角度θ2≧角度θ3と規定することによって、光反射性面Hは窓映りしない構成となる。
【0065】
なお、車両用内装材40を設置する面が水平面から傾斜している場合でも、設置面の傾斜角度は、上記の角度条件に加味されたものとなる。
【0066】
図10(B)を参照して、角度θ2>角度θ3の場合について説明する。車外風景68が窓映りするには、車外風景68の映像光線が、2点鎖線により示されるようにI1→I2→I3→運転者の目67の順番に移動する必要がある。しかしながら、矢印I1の起点が光吸収性面K上にあるので、車外風景68の映像は侵入できず、窓映りが起こらない。このように、角度θ2>角度θ3の場合には、車外風景68が光吸収性面Kに遮られ、光反射性面Hは窓映りしない構成となる。
【0067】
図11を参照して、角度θ2=角度θ3の場合について説明する。車外風景68が窓映りするには、車外風景68の映像光線が、2点鎖線により示されるようにI1→I2→I3→運転者の目67の順番に移動する必要がある。しかしながら、矢印I1の起点が光吸収性面Kの上端部Kaにあるので、車外風景68の映像は侵入できず、窓映りが起こらない。このように、角度θ2=角度θ3の場合には、車外風景68が光吸収性面Kの上端部Kaに遮られ、光反射性面Hは窓映りしない構成となる。
【0068】
図12を参照して、角度θ2<角度θ3の場合について説明する。車外風景68の映像光線が、光吸収性面Kに遮られることなく、2点鎖線により示されるようにI1→I2→I3→運転者の目67の順番に移動する。このため、窓映りが起こる。
【0069】
以上より、角度θ2≧角度θ3の場合には、光反射性面Hは窓映りしない構成となる。また、光反射性面Hはウインドシールド61に向けられているため、日射エネルギーがウインドシールド61に向けて反射され、車室の温度上昇が抑制される。さらに、光吸収性面Kは運転手に向けられているため、運転者の眩しさを防止できる。したがって、窓映りや運転者の眩しさを防止しつつ、日射エネルギーを反射して車室の温度上昇を抑制するという、二律背反の関係にある性能の両立を図ることができる。
【0070】
図13(A)は、反射表皮材10の裏面に熱伝導性材70を配置した実施形態を示す断面図である。
【0071】
図示するように、上述した反射表皮材10を車両用内装材40に適用する場合、反射表皮材10の裏面に熱伝導性材70を配置し、車室内の熱を車外に放熱することが好ましい。
【0072】
反射表皮材10に蓄えられる熱エネルギーを内装部品の裏側、ひいては車室外へ導き、車室内の熱を車外に放熱するので、車室内への熱の放出をさらに低減し、夏炎天下駐車時の車室内熱環境を緩和することができるからである。
【0073】
具体的には、反射表皮材10の裏面に配置する熱伝導性材70に、良熱伝導物質として、金属粉、金属繊維、金属ネット、金属板、カーボン粉、カーボンファイバ、セラミック粉、セラミック繊維、セラミックマットを単独または複合して、含有または積層することが極めて効果的である。
【0074】
図13(B)は、車室内の熱を車外に放熱する効果をさらに高めた実施形態を示す断面図である。
【0075】
図示するように、車外に配置された放熱器71に熱的に接続された熱伝導性材70を、反射表皮材10に熱的に接続して配置し、車室内の熱を車外に放熱することができる。さらに詳しくは、反射表皮材10の裏面に配置した熱伝導性材70に、ループ型のヒートパイプ72を配置してある。符号71は、車外に配置される放熱フィン(放熱器に相当する)を示している。かかる構成では、反射表皮材10に接する高温の車室内空気の熱を反射表皮材10裏面を通じて車外に積極的に放熱することができ、夏炎天下駐車時の車室内熱環境をさらに改善することができる。
【0076】
なお、本発明の反射表皮材10の適用先としては、直接日光があたる内装部品で表面温度上昇を防止したい場合が挙げられる。その意味では、車両一般や通常のインテリア製品でも使用できるが、特に自動車では炎天下の熱環境が劣悪であるため、本発明の効果が著しい。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の実施例および比較例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例および比較例の構成および効果の一覧を表1、表2に示す。効果の欄における「窓映り性」は、試験対象となる表皮材を車両に設置し、複数名のサンプラーにより、個々の視野範囲内において、当該表皮材の窓映りが気になる、気にならないかを判断した。この官能評価の結果、9割以上のサンプラーが窓映りは気にならないと判断したものを「OK」とし、9割に満たないサンプラーが窓映りは気にならないと判断したものを「NG」とした。「反射放熱性[%]」は、ウインドシールドからの入射太陽光線が、ウインドシールドに向かって反射して戻る割合を示している。「インストルメントパネル表面温度」(以下、「インパネ表面温度」とも略称する)は、試験対象となる反射表皮材をインストルメントパネルのアッパーパネルに設置した車両を、首都圏近郊において夏季炎天下に南向きに駐車したときの、反射表皮材の表面温度の最高温度を示している。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
(実施例1)
図15(A)は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例1を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図、図15(B)は、単位反射材20の配列状態を示す斜視図である。なお、図15(B)に付したx軸方向は車両左右方向を示し、y軸方向は車両前後方向を示している。
【0081】
図15(A)に示すように、実施例1の単位反射材20は、3つの光反射性面H1、H2、H3と、1つの光吸収性面K1とを有している。単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が多角形状である。断面凹形状をなす表面21の深さdは、250μmとした。光反射性面H1、H2、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光反射性面H1、H2、H3の傾斜角度は、ウインドシールド61から入射して当該光反射性面H1、H2、H3によって反射した太陽光線51のすべてがウインドシールド61に戻る角度に設定した。光吸収性面K1の傾斜角θKは、真夏の南中角(地面と太陽とがなす角度)より大きい値に設定した。車両を南向きに駐車したときに、ウインドシールド61から入射する太陽光線50が光吸収性面K1に当たらないようにするためである。光反射性面H1、H2、H3の全反射率が100%である場合には、ウインドシールド61から入射して、インストルメントアッパーパネルに配置した反射表皮材10に当たる太陽光線50のすべてが、ウインドシールド61に向かう方向に反射して戻ることになる。
【0082】
図15(B)に示すように、個々の単位反射材20の車両左右方向(x軸方向)の長さは、インストルメントアッパーパネルの車両左右方向の長さと同一である。この単位反射材20を、車両前後方向(y軸方向)に隙間無く配列した。
【0083】
なお、説明の便宜上、実施例1の単位反射材20の車両前後方向(y軸方向)の長さをL1とする(図15(A)参照)。
【0084】
実施例1では、反射表皮材10の基材として黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを使用し、この樹脂製シート上に、前記形状の単位反射材20の集合体を形成し、車両用内装材40とした。光反射性面H1、H2、H3は、アルミ蒸着によって形成した。光反射性面H1、H2、H3の太陽光線50の全反射率は90%である。光吸収性面K1は、基材の黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)を露出させて形成した。光吸収性面K1は、光反射性面H1、H2、H3を形成するアルミ蒸着時にアルミが部分的に付着しており、太陽光線50の全反射率は5%である。
【0085】
各単位反射材20は金型プレス成形により形成した。つまり、黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートの全面にアルミ蒸着膜を形成しておき、金型プレス成形により、単位反射材20における断面凹形状をなす表面21を形成するとともに、断面凹形状をなす表面21の一の領域に、アルミ蒸着膜からなる光反射性面Hを形成し、他の領域に、アルミ蒸着膜が剥がれて基材の黒色の樹脂を露出させてなる光吸収性面Kを形成した。
【0086】
実施例1における、角度θ1、θ2、およびθ3は次のとおりである。これら角度の定義については、図10(A)を参照して説明したとおりであり、図15(A)には、直線Lc、Ld、Le、NL、およびVL、角度θ1、θ2、およびθ3の図示を省略してある。ウインドシールド傾斜角θ1をθ1=30°とした。光反射性面H1上の図中の点Pa1においては、角度θ2=40°、角度θ3=17°であった。光反射性面H2上の図中の点Pa2においては、角度θ2=24°、角度θ3=8°であった。いずれも、角度θ2≧角度θ3の角度条件を満たしている。なお、角度θ2および角度θ3は、光反射性面H1、H2、H3上の位置によって変わるものであり、上記の値は、光反射性面H1、H2、H3上の代表的な位置での値を示すものである。以下の実施例においても、角度θ1、θ2、およびθ3を同様に例示する。
【0087】
実施例1の効果は、表1に示すとおりである。
【0088】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。この理由は、光反射性面H1、H2、H3によって反射して運転者の視線に入るはずの車外風景68が、光吸収性面K1によって遮断されるからである。
【0089】
反射放熱性能は、90%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの90%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射されたことを意味する。
【0090】
インパネ表面温度は、60℃であった。従来構成である黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製の平板状の単層シートを用いた比較例1に比べて、温度を大きく低減できる効果が得られた。
【0091】
(実施例2)
図16は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例2を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図である。
【0092】
図16に示すように、実施例2の単位反射材20は、実施例1と同様に、3つの光反射性面H1、H2、H3と、1つの光吸収性面K1とを有している。単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が多角形状である。断面凹形状をなす表面21の深さdは、250μmとした。光反射性面H1、H2、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光吸収性面K1の傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。個々の単位反射材20の配列状態は、実施例1と同様である(図15(B)参照)。
【0093】
実施例2の単位反射材20は、実施例1に比べて、光反射性面H1を、ウインドシールド61側つまり光吸収性面K1側に僅かに寄せた形態を有している。このため、実施例2の単位反射材20の車両前後方向(y軸方向)の長さはL2となり、実施例1の長さL1よりも短い(L2<L1)。実施例2では、光反射性面H1上のうち点H1AからH1Bの間の領域で反射した太陽光線51は、光吸収性面K1にあたって、当該光吸収性面K1で吸収されるようにした。したがって、この領域で反射した太陽光線51のエネルギーは、光吸収性面K1で吸収され、ウインドシールド61から車外へ放熱されないことになる。
【0094】
単位反射材20の光反射性面H1、H2、H3および光吸収性面K1の材質や全反射率は実施例1と同様であり、反射材の基材も実施例1と同様である。
【0095】
実施例2における、角度θ1、θ2、およびθ3は次のとおりである。ウインドシールド傾斜角θ1をθ1=30°とした。光反射性面H1上の図中の点Paにおいては、角度θ2=24°、角度θ3=8°であった。角度θ2≧角度θ3の角度条件を満たしている。
【0096】
実施例2の効果は、表1に示すとおりである。
【0097】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0098】
反射放熱性能は、85%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの85%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射され、5%が上記のように光吸収性面K1に吸収されることを意味する。
【0099】
インパネ表面温度は、62℃であった。インパネ表面温度が実施例1に比べて上昇したのは、反射放熱性能が実施例1の90%から85%に低下したためである。
【0100】
(実施例3)
図17は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例3を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図である。
【0101】
図17に示すように、実施例3の単位反射材20は、2つの光反射性面H1、H3と、1つの光吸収性面K1とを有している。単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が多角形状である。断面凹形状をなす表面21の深さdは、250μmとした。光反射性面H1、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光吸収性面K1の傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。個々の単位反射材20の配列状態は、実施例1と同様である(図15(B)参照)。
【0102】
実施例3の単位反射材20は、実施例2に比べて、光反射性面H1を、ウインドシールド61側つまり光吸収性面K1側にさらに寄せた形態を有している。このため、実施例3の単位反射材20の車両前後方向(y軸方向)の長さはL3となり、実施例2の長さL2よりも短い(L3<L2<L1)。実施例3では、光反射性面H1上のうち点H1AからH1Bの間の領域で反射した太陽光線51は、光吸収性面Kにあたって、当該光吸収性面K1で吸収されるようにした。したがって、この領域で反射した太陽光線51のエネルギーは、光吸収性面K1で吸収され、ウインドシールド61から車外へ放熱されないことになる。
【0103】
単位反射材20の光反射性面H1、H3および光吸収性面K1の材質や全反射率は実施例1と同様であり、反射材の基材も実施例1と同様である。
【0104】
実施例3における、角度θ1、θ2、およびθ3は次のとおりである。ウインドシールド傾斜角θ1をθ1=30°とした。光反射性面H1上の図中の点Paにおいては、角度θ2=40°、角度θ3=8°であった。角度θ2≧角度θ3の角度条件を満たしている。
【0105】
実施例3の効果は、表1に示すとおりである。
【0106】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0107】
反射放熱性能は、65%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの65%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射され、25%が上記のように光吸収性面K1に吸収されることを意味する。
【0108】
インパネ表面温度は、71℃であった。インパネ表面温度が実施例1、2に比べて上昇したのは、反射放熱性能が65%に低下したためである。
【0109】
(実施例4)
図18は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例4を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図である。
【0110】
図18に示すように、実施例4の単位反射材20は、1つの光反射性面H1と、1つの光吸収性面K1とを有している。単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が多角形状である。断面凹形状をなす表面21の深さdは、250μmとした。光反射性面H1はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光吸収性面K1の傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。個々の単位反射材20の配列状態は、実施例1と同様である(図15(B)参照)。
【0111】
実施例4の単位反射材20は、実施例3に比べて、光反射性面H1を、ウインドシールド61側つまり光吸収性面K1側にさらに寄せた形態を有している。このため、実施例4の単位反射材20の車両前後方向(y軸方向)の長さはL4となり、実施例3の長さL3よりも短い(L4<L3<L2<L1)。実施例4では、光反射性面H1上のうち点H1AからH1Bの間の領域で反射した太陽光線51は、光吸収性面K1にあたって、当該光吸収性面K1で吸収されるようにした。したがって、この領域で反射した太陽光線51のエネルギーは、光吸収性面K1で吸収され、ウインドシールド61から車外へ放熱されないことになる。
【0112】
単位反射材20の光反射性面H1および光吸収性面K1の材質や全反射率は実施例1と同様であり、反射材の基材も実施例1と同様である。
【0113】
実施例4における、角度θ1、θ2、およびθ3は次のとおりである。ウインドシールド傾斜角θ1をθ1=30°とした。光反射性面H1上の図中の点Paにおいては、角度θ2=40°、角度θ3=25°であった。角度θ2≧角度θ3の角度条件を満たしている。
【0114】
実施例4の効果は、表1に示すとおりである。
【0115】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0116】
反射放熱性能は、40%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの40%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射され、50%が上記のように光吸収性面K1に吸収されることを意味する。
【0117】
インパネ表面温度は、82℃であった。インパネ表面温度が実施例1〜3に比べて上昇したのは、反射放熱性能が40%に低下したためである。
【0118】
(実施例5)
図19(A)は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例5を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図、図19(B)は、単位反射材20の配列状態を示す斜視図である。なお、図19(B)に付したx軸方向は車両左右方向を示し、y軸方向は車両前後方向を示している。
【0119】
図19(A)に示すように、実施例5の単位反射材20は、3つの光反射性面H1、H2、H3と、2つの光吸収性面K1、K2とを有している。単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、光吸収性面K2が加えられているので、断面が変形多角形状である。光反射性面H1、H2、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1、K2は運転者に相対している。光吸収性面K1の傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。
【0120】
図19(B)に示すように、個々の単位反射材20の車両左右方向(x軸方向)の長さは、インストルメントアッパーパネルの車両左右方向の長さと同一である。この単位反射材20を、車両前後方向(y軸方向)に隙間無く配列した。
【0121】
実施例5の単位反射材20は、実施例1に比べて、光反射性面H1を運転者側に伸ばし、光吸収性面K2を加えた形態を有している。このため、実施例5の単位反射材20の車両前後方向(y軸方向)の長さはL5となり、実施例1の長さL1よりも長い(L1<L5)。さらに、光吸収性面K2を加えたので、断面凹形状をなす表面21の深さdは、実施例1よりも深い330μmとした。実施例5では、光吸収性面K2に当たる太陽光線50は、当該光吸収性面K2で吸収されるようにした。したがって、光吸収性面K2に当たる太陽光線50のエネルギーは、光吸収性面K2で吸収され、ウインドシールド61から車外へ放熱されないことになる。
【0122】
単位反射材20の光反射性面H1、H2、H3および光吸収性面K1、K2の材質や全反射率は実施例1と同様であり、反射材の基材も実施例1と同様である。
【0123】
実施例5における、角度θ1、θ2、およびθ3は次のとおりである。ウインドシールド傾斜角θ1をθ1=30°とした。光反射性面H1上の図中の点Paにおいては、角度θ2=40°、角度θ3=16°であった。角度θ2≧角度θ3の角度条件を満たしている。なお、直線Lcが通る光吸収性面Kの最上端の点Pbとは、光吸収性面K2の最上端である。
【0124】
実施例5の効果は、表1に示すとおりである。
【0125】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0126】
反射放熱性能は、75%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの75%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射され、15%が上記のように光吸収性面K2に吸収されることを意味する。
【0127】
インパネ表面温度は、67℃であった。インパネ表面温度が実施例1に比べて上昇したのは、反射放熱性能が75%に低下したためである。
【0128】
(実施例6)
図20は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例6を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図である。
【0129】
図20に示すように、実施例6の単位反射材20は、光反射性面Hと、1つの光吸収性面Kとを有している。実施例6における光反射性面Hは、実施例1の3つの光反射性面H1、H2、H3を滑らかな曲線で結んだ曲面から構成したものであり、単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が曲線である。断面凹形状をなす表面21の深さdは、250μmとした。光反射性面Hはウインドシールド61に相対しており、光吸収性面Kは運転者に相対している。光吸収性面Kの傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。
【0130】
個々の単位反射材20の配列状態は、実施例1と同様であり(図15(B)参照)、個々の単位反射材20の車両左右方向(x軸方向)の長さは、インストルメントアッパーパネルの車両左右方向の長さと同一である。この単位反射材20を、車両前後方向(y軸方向)に隙間無く配列した。
【0131】
実施例6では、実施例1と同様に、反射表皮材10の基材として黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを使用し、この樹脂製シート上に、前記形状の単位反射材20の集合体を形成し、車両用内装材40とした。光反射性面Hは、アルミ蒸着によって形成した。光反射性面Hの太陽光線50の全反射率は90%である。光吸収性面Kは、基材の黒色の熱可塑性オレフィン樹脂を露出させて形成した。光吸収性面Kは、光反射性面Hを形成するアルミ蒸着時にアルミが部分的に付着しており、太陽光線50の全反射率は5%である。
【0132】
実施例6における、角度θ1、θ2、およびθ3は次のとおりである。ウインドシールド傾斜角θ1をθ1=30°とした。光反射性面H上の図中の点Paにおいては、角度θ2=26°、角度θ3=12°であった。角度θ2≧角度θ3の角度条件を満たしている。
【0133】
実施例6の効果は、表1に示すとおりである。
【0134】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0135】
反射放熱性能は、90%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの90%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射されたことを意味する。
【0136】
インパネ表面温度は、60℃であった。光反射性面Hを曲面から形成しても、光反射性面H1、H2、H3を平面から形成した実施例1と同等の効果を得た。
【0137】
(実施例7)
図21(A)は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例7を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図、図21(B)は、単位反射材20の配列状態を示す斜視図である。なお、図21(B)に付したx軸方向は車両左右方向を示し、y軸方向は車両前後方向を示している。
【0138】
図21(A)に示すように、実施例7の単位反射材20は、光反射性面Hと、光吸収性面Kとを有している。実施例7における光反射性面Hは、実施例5(図19(A)(B)参照)の3つの光反射性面H1、H2、H3を滑らかな曲線で結んだ曲面から構成したものであり、単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が曲線である。さらに、実施例7における光吸収性面Kは、実施例5の2つの光吸収性面K1、K2を滑らかな曲線で結んだ曲面から構成したものである。断面凹形状をなす表面21の深さdは、実施例5と同様に330μmとした。光反射性面Hはウインドシールド61に相対しており、光吸収性面Kは運転者に相対している。光吸収性面Kの傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。
【0139】
図21(B)に示すように、個々の単位反射材20の車両左右方向(x軸方向)の長さは、インストルメントアッパーパネルの車両左右方向の長さと同一である。この単位反射材20を、車両前後方向(y軸方向)に隙間無く配列した。
【0140】
実施例7では、実施例6と同様に、反射表皮材10の基材として黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを使用し、この樹脂製シート上に、前記形状の単位反射材20の集合体を形成し、車両用内装材40とした。光反射性面Hは、アルミ蒸着によって形成した。光反射性面Hの太陽光線50の全反射率は90%である。光吸収性面Kは、基材の黒色の熱可塑性オレフィン樹脂を露出させて形成した。光吸収性面Kは、光反射性面Hを形成するアルミ蒸着時にアルミが部分的に付着しており、太陽光線50の全反射率は5%である。
【0141】
実施例7の単位反射材20は、実施例5の単位反射材20と同様に、光吸収性面Kの上方領域(実施例5の光吸収性面K2に相当する領域)に当たる太陽光線50は、当該光吸収性面Kの上方領域で吸収されるようにした。したがって、光吸収性面Kの上方領域に当たる太陽光線50のエネルギーは、光吸収性面Kの上方領域で吸収され、ウインドシールド61から車外へ放熱されないことになる。
【0142】
実施例7における、角度θ1、θ2、およびθ3は次のとおりである。ウインドシールド傾斜角θ1をθ1=30°とした。光反射性面H上の図中の点Paにおいては、角度θ2=40°、角度θ3=21°であった。角度θ2≧角度θ3の角度条件を満たしている。
【0143】
実施例7の効果は、表1に示すとおりである。
【0144】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0145】
反射放熱性能は、75%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの75%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射され、15%が上記のように光吸収性面Kに吸収されることを意味する。
【0146】
インパネ表面温度は、67℃であった。光反射性面Hおよび光吸収性面Kの両者を曲面から形成しても、光反射性面H1、H2、H3および光吸収性面K1、K2の両者を平面から形成した実施例5と同等の効果を得た。
【0147】
(実施例8)
実施例8の単位反射材20は、断面凹形状をなす表面21の深さdが50μmであり、光吸収性面K1の全反射率が15%である。これら以外は実施例1の単位反射材20と同様にした。
【0148】
すなわち、実施例8では、実施例1と同様に、反射表皮材10の基材として黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを使用し、この樹脂製シート上に、前記形状の単位反射材20の集合体を形成し、車両用内装材40とした。光反射性面H1、H2、H3は、アルミ蒸着によって形成した。光反射性面H1、H2、H3の太陽光線50の全反射率は90%である。光吸収性面K1は、基材の黒色の熱可塑性オレフィン樹脂を露出させて形成した。光吸収性面K1は、光反射性面H1、H2、H3を形成するアルミ蒸着時にアルミが部分的に付着しており、太陽光線50の全反射率は15%である。
【0149】
実施例8では、実施例1と同様に、アルミ蒸着した熱可塑性オレフィン樹脂製シートを金型でプレス成型して作成した。単位反射材20の断面凹形状をなす表面21の深さdが50μmと小さいため、光吸収性面K1にアルミ蒸着によって付着していたアルミが部分的に残り、光吸収性面K1の全反射率が15%になった。
【0150】
実施例8の効果は、表2に示すとおりである。
【0151】
窓映り性は、OKであった。光吸収性面K1の全反射率が15%であるが、窓映りは気にならないレベルであり、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映って気になるということはなかった。
【0152】
反射放熱性能は、90%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの90%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射されたことを意味する。
【0153】
インパネ表面温度は、60℃であった。断面凹形状をなす表面21の深さdが50μm、光吸収性面K1の全反射率が15%であっても、実施例1と同等の効果を得た。
【0154】
(実施例9)
実施例9の単位反射材20は、断面凹形状をなす表面21の深さdが40μmであり、光吸収性面K1の全反射率が20%である。これら以外は実施例8の単位反射材20と同様にした。
【0155】
すなわち、実施例9では、実施例8と同様に、反射表皮材10の基材として黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを使用し、この樹脂製シート上に、前記形状の単位反射材20の集合体を形成し、車両用内装材40とした。光反射性面H1、H2、H3は、アルミ蒸着によって形成した。光反射性面H1、H2、H3の太陽光線50の全反射率は90%である。光吸収性面K1は、基材の黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)を露出させて形成した。光吸収性面K1は、光反射性面H1、H2、H3を形成するアルミ蒸着時にアルミが部分的に付着しており、太陽光線50の全反射率は20%である。
【0156】
実施例9では、実施例1と同様に、アルミ蒸着した熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを金型でプレス成型して作成した。単位反射材20の断面凹形状をなす表面21の深さdが40μmと小さいため、光吸収性面K1にアルミ蒸着によって付着していたアルミが部分的に残り、光吸収性面K1の全反射率が20%になった。
【0157】
表2に示すように、窓映り性はNGであった。すなわち、光吸収性面K1の全反射率が20%になると、運転者が前方を見た時に、ウインドシールド61に映る車外風景68が気になるレベルであった。
【0158】
反射放熱性能は、90%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの90%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射されたことを意味する。
【0159】
インパネ表面温度は、60℃であった。断面凹形状をなす表面21の深さdが40μm、光吸収性面K1の全反射率が20%の場合には、窓映り性を除いて、実施例1と同等の効果であった。
【0160】
(実施例10)
実施例10の単位反射材20は、断面凹形状をなす表面21の深さdが1000μmであり、光反射性面H1、H2、H3の全反射率が34%である。これら以外は実施例1の単位反射材20と同様にした。
【0161】
実施例10では、実施例1と同様に、アルミ蒸着した熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを金型でプレス成型して作成した。単位反射材20の断面凹形状をなす表面21の深さdが1000μmと大きいため、光反射性面H1、H2、H3にアルミ蒸着によって付着していたアルミは金型成型時に均一に引き伸ばされ難い。このために、光反射性面H1、H2、H3上のアルミの分布が不均一になり、光反射性面H1、H2、H3の全反射率が34%に低下した。
【0162】
実施例10の効果は、表2に示すとおりである。
【0163】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0164】
反射放熱性能は、34%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの34%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射されたことを意味する。
【0165】
インパネ表面温度は、85℃であった。インパネ表面温度が実施例1に比べて上昇したのは、反射放熱性能が34%に低下したためである。
【0166】
(実施例11)
実施例11の単位反射材20は、断面凹形状をなす表面21の深さdが1200μmであり、光反射性面H1、H2、H3の全反射率が23%である。これら以外は実施例1の単位反射材20と同様にした。
【0167】
実施例11では、実施例1と同様に、アルミ蒸着した熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを金型でプレス成型して作成した。単位反射材20の断面凹形状をなす表面21の深さdが1200μmと大きいため、光反射性面H1、H2、H3にアルミ蒸着によって付着していたアルミは金型成型時に均一に引き伸ばされ難い。このために、光反射性面H1、H2、H3上のアルミの分布が不均一になり、光反射性面H1、H2、H3の全反射率が23%程度に低下した。
【0168】
実施例11の効果は、表2に示すとおりである。
【0169】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0170】
反射放熱性能は、23%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの23%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射されたことを意味する。
【0171】
インパネ表面温度は、90℃であった。インパネ表面温度が実施例1に比べて上昇したのは、反射放熱性能が23%に低下したためである。
【0172】
(実施例12)
実施例12では、反射表皮材10の基材としてインジェクション成型したポリプロピレン樹脂製内装部品を使用し、この内装部品上に、単位反射材20の集合体を形成し、車両用内装材40とした。これ以外は実施例1の単位反射材20と同様にした。
【0173】
実施例12の効果は、表2に示すとおりである。
【0174】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0175】
反射放熱性能は、90%であった。これは、ウインドシールド61から入射した太陽光線50のエネルギーの90%が、ウインドシールド61に向かう方向に反射されたことを意味する。
【0176】
インパネ表面温度は、60℃であった。内装部品上に単位反射材20の集合体を直接形成しても、実施例1と同等の効果を得た。
【0177】
(実施例13)
図22(A)は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例13を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図、図22(B)は、単位反射材20の配列状態を示す斜視図である。なお、図22(B)に付したx軸方向は車両左右方向を示し、y軸方向は車両前後方向を示している。
【0178】
図22(A)に示すように、実施例13の単位反射材20は、実施例1と同様に、3つの光反射性面H1、H2、H3と、1つの光吸収性面K1とを有している。単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が多角形状である。断面凹形状をなす表面21の深さdは、250μmとした。光反射性面H1、H2、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光吸収性面K1の傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。
【0179】
図22(B)に示すように、実施例13では、単位反射材20が、車両左右方向(x軸方向)および車両前後方向(y軸方向)の両方向に、隙間sを隔てて配列してある。この点で、実施例13は、実施例1と異なる。
【0180】
実施例13では、反射表皮材10の基材として黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを使用し、この樹脂製シート上に、前記形状の単位反射材20を間隔を置いて点在させて形成し、車両用内装材40とした。単位反射材20相互の間には、黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートが臨んでいる。
【0181】
実施例13の効果は、表2に示すとおりである。
【0182】
窓映り性は、OKであった。したがって、運転者が前方を見た時に、車外風景68はウインドシールド61に映らない。その理由は、実施例1の場合と同様である。
【0183】
反射放熱性能は、45%であった。反射放熱性能が実施例1に比べて低下したのは、実施例13の単位反射材20は隙間sを隔てて分布しているために、光反射性面Hが反射表皮材10の単位面積当たりに占める割合が減少するからである。
【0184】
インパネ表面温度は、80℃であった。インパネ表面温度が実施例1に比べて上昇したのは、反射放熱性能が45%に低下したためである。
【0185】
(実施例14)
図23は、本発明をインストルメントパネル64に適用した実施例14を、単位反射材20を拡大した状態で示す模式図である。
【0186】
図23に示すように、実施例14の単位反射材20は、実施例1と同様に、3つの光反射性面H1、H2、H3と、1つの光吸収性面K1とを有している。単位反射材20における断面凹形状をなす表面21は、断面が多角形状である。断面凹形状をなす表面21の深さdは、250μmとした。光反射性面H1、H2、H3はウインドシールド61に相対しており、光吸収性面K1は運転者に相対している。光吸収性面K1の傾斜角θKは、前述した理由により、真夏の南中角より大きい値に設定した。個々の単位反射材20の配列状態は、実施例1と同様である(図15(B)参照)。
【0187】
実施例14の単位反射材20は、実施例5と同様に、光反射性面H1を運転者側に伸ばした形態を有している。実施例14の単位反射材20の車両前後方向(y軸方向)の長さは、実施例5と同様のL5となる。但し、光吸収性面K2を加えていないので、断面凹形状をなす表面21の深さdを、実施例5における深さよりも小さい250μmとした。実施例14では、単位反射材20の車両前後方向(y軸方向)の長さに対する光吸収性面K1の高さの割合が小さく、光反射性面H2上のうち点H2Aから点H2Bの間の領域で反射した車外風景68がウインドシールド61の内面において反射し、運転者の視線に入る可能性がある。
【0188】
実際に確認したところ、表2に示すように、窓映り性は、NGであった。反射放熱性能およびインパネ表面温度については、実施例1と同等であった。
【0189】
(比較例1)
比較例1では、従来、インストルメントパネル64用表皮材として広く用いられている、黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製の平板状の単層シートを用いた。
【0190】
表2に示すように、窓映り性はOKであるが、ウインドシールド61から侵入した太陽光線50の熱を吸収するため、インパネ表面温度は、100℃に達した。
【0191】
(比較例2)
比較例2では、インストルメントアッパーパネルに、平滑な反射材200を配置した。図14に示したように、ウインドシールド61から入射する太陽光線50を反射することによって、インストルメントアッパーパネルが高温になることを防止しようとするものである。
【0192】
平滑な反射材200の基材として黒色の熱可塑性ポリオレフィン樹脂(TPO)製シートを使用し、この樹脂製シート上に、アルミ蒸着によって反射面を形成した。反射面の太陽光線50の全反射率は90%である。
【0193】
表2に示すように、窓映り性はNGだった。図14(B)に示したように、平滑な反射材200によって反射した車外風景68がウインドシールド61に映ってしまい、前方の視界が妨げられてしまう。
【0194】
反射放熱性能は、0%であった。図14(C)に示したように、平滑な反射材200によって反射した太陽光線51は車室内の方向へ向かい、天井やシートを高温にするためである。このため、車室内の空気も高温となり、インパネ表面温度も80℃まで上昇した。
【0195】
また、図14(A)に示したように、平滑な反射材200によって反射した太陽光線51が運転者の目67に入り、運転者が眩しく感じることも確認された。
【0196】
(総合評価)
各実施例について総合評価を行った。比較例1、2に比べてインパネ表面温度の低減効果が得られた実施例であっても、窓映り性がNGの実施例については、総合評価を×(否)とした。車両用内装材40にとっては、運転者の前方視界を妨げないことが重要だからである。窓映り性がOKの実施例のうち、比較例1に比べてインパネ表面温度の低減効果が得られた実施例については、総合評価を○(良)とし、さらに、比較例2に比べてもインパネ表面温度の低減効果が得られた実施例については、総合評価を◎(優)とした。
【0197】
総合評価が○(良)である実施例4、10、および13を参照して、比較例2に比べてインパネ表面温度の低減効果を得るためには、車両用内装材40の反射放熱性能が45%よりも大きいことが必要であると考えられる。このため、光反射性面Hの太陽光線50に対する全反射率を45%より大きくすることが必要であると考えられる。光反射性面Hにおいて太陽光線50の吸収が必ず起こる(反射面の全反射率を100%にすることはできない)ことを考慮すれば、さらに好ましくは、光反射性面Hの太陽光線50に対する全反射率を、50%以上にすることが必要であると考えられる。
【0198】
総合評価が◎(優)である実施例8、×(否)である実施例9を参照して、運転者が前方を見た時に、ウインドシールド61に映る車外の景色が気にならないレベルとするためには、光吸収性面K1の全反射率を20%未満、さらに好ましくは、15%以下にすることが必要であると考えられる。
【0199】
実施例8〜11を参照して、車両用内装材40を製造する点からは、単位反射材20の断面凹形状をなす表面21の深さdは、40μmより大きく、1200μm以下、さらに好ましくは、50μm〜1000μmが望ましいと考えられる。総合評価が◎(優)である実施例を参照すれば、単位反射材20の断面凹形状をなす表面21の深さdを、50μm〜330μmにすることがさらに好ましい。しかしながら、本発明は、単位反射材20の凹面の深さが上記の範囲から外れるものを排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】図1(A)は、本発明に係る反射表皮材における単位反射材を拡大して示す断面図、図1(B)は、複数個の単位反射材が隙間なく配列されている状態を示す斜視図である。
【図2】図2(A)〜(C)は、本発明に係る反射表皮材における単位反射材の他の構成例を示す断面図である。
【図3】図3(A)〜(C)は、複数個の単位反射材が隙間を隔てて配列されている状態を示す斜視図である。
【図4】平坦な最表層を備える反射表皮材を示す断面図である。
【図5】図5(A)は、太陽光線がウインドガラスを通じて自動車内装部品に照射される様子を示す模式図、図5(B)は、太陽光線がウインドシールドを通じてインストルメントパネルの車両用内装材に照射される様子を示す模式図である。
【図6】本発明に係る車両用内装材を内装部品の1つであるインストルメントパネルに適用した例を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図である。
【図7】本発明に係る車両用内装材の作用の説明に供する図であり、ウインドシールドから入射する太陽光線が、単位反射材の3つの光反射性面によって、ウインドシールドに向かう方向に反射される様子を示す模式図である。
【図8】本発明に係る車両用内装材の作用の説明に供する図であり、光反射性面で反射されてウインドシールドへ戻る太陽光線が光吸収性面にあたる様子を示す模式図である。
【図9】本発明に係る車両用内装材の作用の説明に供する図であり、車外風景がウインドシールドに窓映りすることが防止される様子を示す模式図である。
【図10】図10(A)(B)は、インストルメントパネルの上部に対して傾斜してウインドシールドを配置した車体構造に用いられる車両用内装材において、窓映りや運転者の眩しさを防止しつつ、日射エネルギーを反射して車室の温度上昇を抑制するという、二律背反の関係にある性能の両立を図るために満たすべき条件の説明に供する概念図である。
【図11】図10と同様の説明に供する概念図である。
【図12】図10と同様の説明に供する概念図である。
【図13】図13(A)は、反射表皮材の裏面に熱伝導性材を配置した実施形態を示す断面図、図13(B)は、車室内の熱を車外に放熱する効果をさらに高めた実施形態を示す断面図である。
【図14】図14(A)〜(C)は、インストルメントパネルのアッパーパネルに平滑な反射材を配置した対比例において生じる不具合の説明に供する図であり、図14(A)は、平滑な反射材で反射した太陽光線が運転者の目に入り、運転者が眩しいと感じる不具合が生じる様子を示す模式図、図14(B)は、平滑な反射材で反射した車外風景がウインドシールドで反射して運転者の目に入り、窓映りの不具合が生じる様子を示す模式図、図14(C)は、平滑な反射材で反射した太陽光線が天井などの内装材を加熱する不具合が生じる様子を示す模式図である。
【図15】図15(A)は、本発明をインストルメントパネルに適用した実施例1を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図、図15(B)は、単位反射材の配列状態を示す斜視図である。
【図16】本発明をインストルメントパネルに適用した実施例2を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図である。
【図17】本発明をインストルメントパネルに適用した実施例3を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図である。
【図18】本発明をインストルメントパネルに適用した実施例4を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図である。
【図19】図19(A)は、本発明をインストルメントパネルに適用した実施例5を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図、図19(B)は、単位反射材の配列状態を示す斜視図である。
【図20】本発明をインストルメントパネルに適用した実施例6を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図である。
【図21】図21(A)は、本発明をインストルメントパネルに適用した実施例7を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図、図21(B)は、単位反射材の配列状態を示す斜視図である。
【図22】図22(A)は、本発明をインストルメントパネルに適用した実施例13を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図、図22(B)は、単位反射材の配列状態を示す斜視図である。
【図23】本発明をインストルメントパネルに適用した実施例14を、単位反射材を拡大した状態で示す模式図である。
【符号の説明】
【0201】
10 反射表皮材、
20 単位反射材、
21 断面凹形状をなす表面、
22 基材、
30 透明部材、
31 平坦な最表層、
40 車両用内装材、
50 太陽光線、
51 反射した太陽光線、
61 ウインドシールド、
62 リアガラス、
63 サイドガラス、
64 インストルメントパネル、
65 リアパーセルシェルフ、
66 ドアトリム、
67 運転者の目、
68 車外風景、
70 熱伝導性材、
71 放熱フィン(放熱器)、
72 ヒートパイプ、
H 光反射性面、
K 光吸収性面、
Dh 光反射性面が向けられる、一の方向、
Dk 光吸収性面が向けられる、他の方向、
d 断面凹形状をなす表面の深さ、
s 隙間、
θ1 ウインドシールド傾斜角、
θ2 Paを通過する単位反射材の法線NLと垂線VLとがなす角度、
θ3 直線Leと垂線VLとがなす角度、
Pa 光反射性面上の点、
Pb 光吸収性面の最上端の点、
Lc PaとPbとを結ぶ線分、
Ld ウインドシールド傾斜角の2倍の傾斜角を持ち、かつ、Paを通過する線分、
Le LcとLdの中間の傾斜角を持ち、かつ、Paを通過する線分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面凹形状をなす表面が形成された単位反射材を複数個備え、
前記単位反射材の前記表面のうち一の領域に光反射性面を形成し、他の領域に光吸収性面を形成し、
複数個の前記単位反射材を、それぞれの前記光反射性面を一の方向に向け、それぞれの前記光吸収性面を他の方向に向けて、配列してなる反射表皮材。
【請求項2】
前記光反射性面は、平面および/または曲面により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項3】
前記光吸収性面は、平面および/または曲面により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項4】
前記光反射性面および/または前記光吸収性面は、傾斜角度が異なる複数の平面を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項5】
前記光反射性面および/または前記光吸収性面は、曲率半径が異なる複数の曲面を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項6】
複数個の前記単位反射材が、隙間なく配列されていることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項7】
複数個の前記単位反射材が、隙間を隔てて配列されていることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項8】
前記光反射性面は、太陽光線に対する全反射率が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項9】
前記光吸収性面は、太陽光線に対する全反射率が15%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項10】
断面凹形状をなす前記表面の深さは、50μm〜1000μmであることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項11】
前記光反射性面は、蒸着タイプの反射膜、金属メッキ膜、または反射性塗料膜から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項12】
複数個の前記単位反射材が、樹脂製シート上、または、樹脂成型品の基材上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項13】
前記樹脂製シート、または、前記樹脂成型品の基材は、塩化ビニル樹脂、熱可塑性オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項12に記載の反射表皮材。
【請求項14】
光を透過する透明部材によって被覆し、平坦な最表層を備えることを特徴とする請求項1に記載の反射表皮材。
【請求項15】
前記透明部材は、光を透過する樹脂をコーティングすることによって形成されていることを特徴とする請求項14に記載の反射表皮材。
【請求項16】
前記光を透過する樹脂は、塩化ビニル樹脂、熱可塑性オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項15に記載の反射表皮材。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1つに記載の反射表皮材を、前記光反射性面を向ける一の方向を車外側とし、前記光吸収性面を向ける他の方向を車内側として、インストルメントパネル、ドアトリムおよびリアパーセルシェルフより選ばれる少なくとも一種の内装部品に用いてなる車両用内装材。
【請求項18】
前記インストルメントパネルの上部において、前記光反射性面がウインドシールドに向けられ、前記光吸収性面が運転手に向けられていることを特徴とする請求項17に記載の車両用内装材。
【請求項19】
前記反射表皮材における複数個の前記単位反射材は、車幅方向の長さが、インストルメントパネルの車幅方向の長さと等しいことを特徴とする請求項18に記載の車両用内装材。
【請求項20】
前記反射表皮材における複数個の前記単位反射材は、車幅方向の長さが、インストルメントパネルの車幅方向の長さよりも短く、車幅方向に沿って複数個配列されていることを特徴とする請求項18に記載の車両用内装材。
【請求項21】
前記インストルメントパネルの上部に対して傾斜してウインドシールドを配置した車体構造に用いられる車両用内装材において、
ウインドシールドに相対する前記光反射性面上の任意の点(Pa)と、運転者に相対する前記光吸収性面の最上端の点(Pb)とを結ぶ線分を直線(Lc)とし、
ウインドシールド傾斜角(θ1)の2倍の傾斜角を持ち、かつ、前記任意の点(Pa)を通過する線分を直線(Ld)とし、
直線(Lc)と直線(Ld)の中間の傾斜角を持ち、かつ、前記任意の点(Pa)を通過する線分を直線(Le)とするときに、
前記任意の点(Pa)を通過する単位反射材の法線(NL)と垂線(VL)とがなす角度(θ2)が、直線(Le)と垂線(VL)とがなす角度(θ3)以上であることを特徴とする請求項18に記載の車両用内装材。
【請求項22】
車外に配置された放熱器に熱的に接続された熱伝導性材を、前記反射表皮材に熱的に接続して配置し、車室内の熱を車外に放熱することを特徴とする請求項17に記載の車両用内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−11177(P2006−11177A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190338(P2004−190338)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】