説明

反射鏡

【課題】反射層の裏側から反射層を介して反射鏡の表側に情報を表示する。
【解決手段】反射鏡10では、反射膜24が、珪素により形成されて、光透過性を有している。さらに、反射膜24の裏側に設けられた表示装置26が、反射膜24へ向けて、警告情報を発光表示可能にされている。このため、表示装置26から、反射膜24、第2光干渉膜22、第1光干渉膜20、基板12及び光触媒性親水膜14を介して、反射鏡10の表側に警告情報を表示できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を反射する反射鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
反射鏡には、親水性膜の裏側に光触媒性膜が設けられると共に、光触媒性膜の裏側に金属反射膜が設けられたものがある(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
この反射鏡では、親水性膜が親水機能を有すると共に、光触媒性膜が光触媒機能を有している。
【0004】
さらに、光触媒性膜が光干渉機能を有しており、光触媒性膜の膜厚が調整されることで、光触媒性膜の表面で反射される光と光触媒性膜の裏面(金属反射膜の表面)で反射される光との干渉が調整される。これにより、反射鏡の反射率が最大となる反射光の波長が調整されて、反射鏡の反射光の色調が調整される。
【0005】
しかしながら、この反射鏡では、金属反射膜が光透過性を有していない。このため、金属反射膜の裏側から金属反射膜を介して反射鏡の表側に情報を表示できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−286491公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、反射層の裏側から反射層を介して表側に情報を表示できる反射鏡を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の反射鏡は、珪素により形成され、光を反射する反射層と、前記反射層の裏側に設けられ、前記反射層を介して表側に情報を表示する表示手段と、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の反射鏡は、請求項1に記載の反射鏡において、前記反射層の表側に設けられ、表面で反射される光と前記反射層との間で反射される光と前記反射層の裏面で反射される光とが干渉する光干渉層を備えている。
【0010】
請求項3に記載の反射鏡は、請求項2に記載の反射鏡において、前記光干渉層の表側に設けられ、親水性を有すると共に屈折率が1.8以下にされた親水層を備えている。
【0011】
請求項4に記載の反射鏡は、請求項3に記載の反射鏡において、前記親水層は光触媒性を有している。
【0012】
請求項5に記載の反射鏡は、請求項3又は請求項4に記載の反射鏡において、前記光干渉層と前記親水層との間に基材を設けている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の反射鏡では、光を反射する反射層が珪素により形成されているため、反射層が光透過性を有することができる。さらに、反射層の裏側に表示手段が設けられており、表示手段が反射層を介して反射鏡の表側に情報を表示する。このため、反射層の裏側から反射層を介して反射鏡の表側に情報を表示できる。
【0014】
請求項2に記載の反射鏡では、反射層の表側に光干渉層が設けられており、光干渉層の表面で反射される光と光干渉層と反射層との間で反射される光と反射層の裏面で反射される光とが干渉する。これにより、光干渉層の層厚と反射層の層厚とを調整することで、反射鏡の反射率が最大となる反射光の波長(分光反射特性)を効果的に調整できて、反射鏡の反射光の色調を適切に調整できる。したがって、例えば、反射鏡の反射率が最大となる反射光の波長を可視光領域の特定波長に合わせることで、反射鏡が防眩性を適切に発現できる。
【0015】
請求項3に記載の反射鏡では、光干渉層の表側に親水層が設けられており、親水層は親水性を有している。このため、親水層の表面に水滴が付着する場合には、水滴の親水層表面との接触角が小さくなり、水滴が粒状から薄い膜状となる。これにより、反射鏡で反射された反射像の歪みを軽減できる。また、水滴が薄い膜状になることで、短時間で水滴を蒸発させることができる。
【0016】
ここで、光干渉層と親水層とが別々に設けられており、親水層の屈折率が1.8以下にされている。このため、反射鏡の反射率が最大となる反射光の波長の調整に親水層の層厚が影響することを抑制できて、依然として反射鏡の反射光の色調を適切に調整できると共に、親水性を充分に発揮できる親水層の層厚にすることができる。
【0017】
請求項4に記載の反射鏡では、親水層が光触媒性を有している。このため、親水層の表面に有機物が付着する場合には、親水層に光が照射されることで、有機物が分解される。これにより、親水層の表面を清潔にでき、親水層の表面での親水性を維持できる。
【0018】
ここで、上述の如く、光干渉層と親水層とが別々に設けられており、親水層の屈折率が1.8以下にされている。このため、反射鏡の反射率が最大となる反射光の波長の調整に親水層の層厚が影響することを抑制できて、依然として反射鏡の反射光の色調を適切に調整できると共に、光触媒性を充分に発揮できる親水層の層厚にすることができる。
【0019】
請求項5に記載の反射鏡では、光干渉層と親水層との間に基材が設けられている。このため、光干渉層と親水層とを適切に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る反射鏡を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る反射鏡において光触媒性親水膜における光触媒材料の質量比と光の波長が555nmである場合の光触媒性親水膜の屈折率との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態の第1実施例に係る反射鏡における反射光の波長と反射率との関係を表すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態の第2実施例に係る反射鏡において各膜の膜厚が変化された場合の反射光の波長と反射率との関係及び透過光の波長と透過率との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、本発明の実施の形態に係る反射鏡10が断面図にて示されている。
【0022】
本実施の形態に係る反射鏡10は、車両の車室外に設置される後方視認用のアウタミラー(フェンダーミラーやドアミラー等)の鏡体として適用される。
【0023】
図1に示す如く、反射鏡10は、基材としての基板12を備えており、基板12は、材料がガラス等にされて、光を透過可能にされている。
【0024】
基板12の表面(光入射側の面)には、親水層としての光触媒性親水膜14が形成されており、光触媒性親水膜14は、光を透過可能にされると共に、表面が反射鏡10の表面10Aを構成している。
【0025】
光触媒性親水膜14は、親水性(親水機能)を有する二酸化珪素(SiO2)である親水材料16(マトリックス)に光触媒性(光触媒機能)を有する二酸化チタン(TiO)である粒子状の光触媒材料18が均一に混合されて、形成されており、光触媒性親水膜14は、親水性及び光触媒性を有している。また、光触媒材料18の粒子径は、30nm以上100nm以下(50nm以上80nm以下が好ましく、特に65nmが好ましい)に設定されている。
【0026】
なお、親水材料16は、二酸化珪素と三酸化二ホウ素(B2)との混合物であってもよい。さらに、光触媒材料18は、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、三酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)の少なくとも1つであればよい。
【0027】
光触媒性親水膜14は、溶液タイプのものにされており、光触媒性親水膜14は、親水材料16及び光触媒材料18が溶かされた溶液(ゾルゲル原液)を基板12の表面にスピンコーティング等により塗布した後に焼成して形成されている。
【0028】
光触媒性親水膜14における光触媒材料18の重量比は、20%以上80%以下(30%以上80%以下が好ましく、さらに60%以上80%以下が好ましく、特に70%が好ましい)に設定されており、これにより、図2に示す如く、光触媒性親水膜14の屈折率が約1.8以下にされている(ミノルタ株式会社の分光測色計CM−3700dにより測定)。光触媒性親水膜14の膜厚は、45nm以上85nm以下(55nm以上75nm以下が好ましく、特に65nmが好ましい)に設定されている。
【0029】
図1に示す如く、基板12の裏面(光入射側とは反対側の面)には、光干渉層としての第1光干渉膜20が蒸着法、ゾルゲル法等の化学的製膜法又はスパッタ法により形成されており、第1光干渉膜20は、光を透過可能にされている。
【0030】
第1光干渉膜20は、基板12及び光触媒性親水膜14より屈折率が高くされており、第1光干渉膜20の材料は、二酸化チタン(TiO2)にされている。なお、第1光干渉膜20の材料は、二酸化チタン、五酸化二タンタル(Ta2)、一酸化珪素(SiO)、二酸化錫(SnO2)、三酸化インジウム(In23)、酸化ニッケル(NiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)の少なくとも1つであるセラミック材料(金属酸化物)であればよい。これにより、第1光干渉膜20は、表側から入射される光を表面(基板12の裏面)において反射鏡10の表側へ反射可能にされている。
【0031】
第1光干渉膜20の膜厚は、100nm以上125nm以下(105nm以上120nm以下が好ましく、特に110nmが好ましい)に設定されている。
【0032】
第1光干渉膜20の裏面には、光干渉層としての第2光干渉膜22が蒸着法、ゾルゲル法等の化学的製膜法又はスパッタ法により形成されており、第2光干渉膜22は、光を透過可能にされている。
【0033】
第2光干渉膜22は、光触媒性親水膜14及び第1光干渉膜20の少なくとも一方より屈折率が低くされており、第2光干渉膜22の材料は、二酸化珪素(SiO2)にされている。これにより、第2光干渉膜22は、表側から入射される光を表面(第1光干渉膜20の裏面)において反射鏡10の表側へ反射可能にされている。
【0034】
第2光干渉膜22の膜厚は、5nm以上25nm以下(10nm以上20nm以下が好ましく、特に15nmが好ましい)に設定されている。
【0035】
第2光干渉膜22の裏面には、反射層としての反射膜24が蒸着法、ゾルゲル法等の化学的製膜法又はスパッタ法により形成されており、反射膜24の裏面は、反射鏡10の裏面10Bを構成している。反射膜24は、光半透過性を有しており、反射膜24は、表側から入射される光を表面(第2光干渉膜22の裏面)及び裏面において反射鏡10の表側へ反射可能にされている。
【0036】
反射膜24は、第1光干渉膜20及び第2光干渉膜22より屈折率が高くされており、反射膜24の材料は、珪素(Si)にされている。なお、反射膜24の材料は、珪素、ゲルマニウム(Ge)の少なくとも1つである半導体材料であればよい。
【0037】
反射膜24の膜厚は、15nm以上35nm以下(20nm以上30nm以下が好ましく、特に25nmが好ましい)に設定されている。反射膜24の膜厚が変化された場合には、反射膜24における反射光の波長と反射率との関係(分光反射率)及び透過光の波長と透過率との関係(分光透過率)が変化する。
【0038】
反射膜24の裏側には、表示手段としての表示装置26(インジケータ)が設けられており、表示装置26は、反射膜24へ向けて、警告情報(後続他車両の乗員等に警告を発する自車両のターンシグナルや自車両の乗員に警告を発する後続他車両の自車両への接近警告等)を発光表示可能にされている。表示装置26が発光表示する光の波長(色)は、反射膜24の透過率が高いものにされている。
【0039】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0040】
以上の構成の反射鏡10では、基板12の表面に光触媒性親水膜14が設けられて、光触媒性親水膜14の表面が反射鏡10の表面10Aを構成している。さらに、基板12の裏面に第1光干渉膜20及び第2光干渉膜22がこの順で設けられると共に、第2光干渉膜22の裏面に反射膜24が設けられて、反射膜24の裏面が反射鏡10の裏面10Bを構成している。
【0041】
光触媒性親水膜14は、親水材料16により親水性を有している。このため、光触媒性親水膜14の表面(反射鏡10の表面10A)に雨水等の水滴が付着しても、水滴の光触媒性親水膜14表面との接触角が10°以下になって小さくなり、水滴が粒状から薄い膜状となる。これにより、反射鏡10で反射された反射像の歪みを軽減できる。また、水滴が薄い膜状になることで、短時間で水滴を蒸発させることができる。
【0042】
さらに、光触媒性親水膜14は、光触媒材料18により光触媒性を有している。このため、例えば他車両の排気ガス中に含まれる油分等の有機物が光触媒性親水膜14の表面(反射鏡10の表面10A)に付着しても、光触媒性親水膜14内の光触媒材料18に光が照射されることで、光触媒材料18の光触媒効果により有機物が分解される。これにより、光触媒性親水膜14の表面を清潔にでき、光触媒性親水膜14の表面での親水性を維持できる。
【0043】
また、光触媒性親水膜14における光触媒材料18の質量比が20%以上80%以下に設定されると共に、光触媒性親水膜14の膜厚が45nm以上85nm以下に設定されている。このため、光触媒性親水膜14の充分な親水性及び光触媒性を確保できる。
【0044】
さらに、光触媒性親水膜14は、親水材料16及び光触媒材料18が溶かされた溶液を基板12の表面に塗布した後に焼成して形成されている。このため、光触媒材料18に充分な光触媒性を付与するために光触媒性親水膜14を300℃の高温で蒸着して形成する場合と異なり、コストを低減できる。
【0045】
ここで、反射膜24が珪素により形成されているため、反射膜24が光透過性を有することができて、反射鏡10を半透過鏡にできる。さらに、反射膜24の裏側に設けられた表示装置26が、反射膜24へ向けて、警告情報を発光表示可能にされており、表示装置26が発光表示する光の波長は、反射膜24の透過率が高いものにされている。このため、表示装置26から、反射膜24、第2光干渉膜22、第1光干渉膜20、基板12及び光触媒性親水膜14を介して、反射鏡10の表側に警告情報を表示できる。
【0046】
また、第1光干渉膜20の表面(基板12との境界面)で反射される光と、第2光干渉膜22の表面(第1光干渉膜20の裏面(第1光干渉膜20と反射膜24との間))で反射される光と、反射膜24の表面(第2光干渉膜22の裏面(第1光干渉膜20及び第2光干渉膜22と反射膜24との間))で反射される光と、反射膜24の裏面で反射される光と、が干渉する。これにより、第1光干渉膜20の膜厚と第2光干渉膜22の膜厚と反射膜24の膜厚とを調整することで、反射鏡10の反射率が最大となる反射光の波長(分光反射特性)を効果的に調整できて、反射鏡10の反射光の色調を適切に調整できる。したがって、例えば、反射鏡10の反射率が最大となる反射光の波長を可視光領域の特定波長(500nm以上600nm以下(ミノルタ株式会社の分光測色計CM−3700dにより測定))に合わせることで、反射鏡10が防眩性を適切に発現できる。
【0047】
さらに、光触媒性親水膜14が第1光干渉膜20、第2光干渉膜22及び反射膜24と別々に設けられており、光触媒性親水膜14の屈折率が約1.8以下にされている。このため、反射鏡10の反射率が最大となる反射光の波長の調整に光触媒性親水膜14の膜厚が影響することを抑制できて、依然として反射鏡10の反射光の色調を適切に調整できると共に、親水性及び光触媒性を充分に発揮できる光触媒性親水膜14の膜厚にすることができる。これにより、反射鏡10の光反射性能、親水性能及び光触媒性能を容易に発揮させることができると共に安定させることができて、反射鏡10を容易に製造することができる。
【0048】
また、第2光干渉膜22と光触媒性親水膜14との間に基板12が設けられている。このため、第2光干渉膜22と光触媒性親水膜14とを適切に設けることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、反射膜24の表側に2つの光干渉層(第1光干渉膜20及び第2光干渉膜22)を設けた構成としたが、反射膜24の表側に光干渉層を設けない構成や反射膜24の表側に1つ又は3つ以上の光干渉層を設けた構成としてもよい。
【0050】
さらに、本実施の形態では、光触媒性親水膜14と第1光干渉膜20との間に基板12を設けた構成としたが、基板12は何れの位置に設けられてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、反射鏡10に光触媒性親水膜14を設けた構成としたが、反射鏡10に光触媒性親水膜14を設けない構成としてもよい。
【0052】
(第1実験例)
図3には、本実施の形態の第1実施例に係る反射鏡10における反射光の波長と反射率との関係(分光反射率)を表すグラフ(ミノルタ株式会社の分光測色計CM−3700dにより測定)が示されている。
【0053】
本実験例に係る反射鏡10では、光触媒性親水膜14における光触媒材料18の重量比が70%にされると共に、光触媒性親水膜14の膜厚が65nmにされている。さらに、第1光干渉膜20の膜厚が110nmにされると共に、第2光干渉膜22の膜厚が15nmにされており、反射膜24の膜厚が25nmにされている。この場合には、反射光の波長と反射率との関係が図3の実線で表す関係になり、反射率が最大となる反射光の波長が550nm近傍に合わせられて、反射光の色調が緑色に調整されている。
【0054】
また、本実験例に係る反射鏡10から光触媒性親水膜14を除いた場合には、反射光の波長と反射率との関係が図3の破線で表す関係になる。
【0055】
このため、光触媒性親水膜14が存在するか否かに拘らず、反射光の波長と反射率との関係がほぼ同様になる。これにより、反射鏡10の反射率が最大となる反射光の波長の調整に光触媒性親水膜14の膜厚が影響することを無視できる程度に極小にできて、第1光干渉膜20の膜厚と第2光干渉膜22の膜厚と反射膜24の膜厚とを調整するのみで反射鏡10の反射率が最大となる反射光の波長を効果的に調整できる。
【0056】
(第2実験例)
図4には、本実施の形態の第2実施例に係る反射鏡10における反射光の波長と反射率との関係(分光反射率)及び透過光の波長と透過率との関係(分光透過率)を表すグラフ(ミノルタ株式会社の分光測色計CM−3700dにより測定)が示されている。
【0057】
本実験例に係る第1の反射鏡10では、光触媒性親水膜14における光触媒材料18の重量比が70%にされると共に、光触媒性親水膜14の膜厚が55nmにされている。さらに、第1光干渉膜20の膜厚が105nmにされると共に、第2光干渉膜22の膜厚が10nmにされており、反射膜24の膜厚が20nmにされている。この場合には、反射光の波長と反射率との関係及び透過光の波長と透過率との関係が図4の実線Aで表す関係になる。
【0058】
本実験例に係る第2の反射鏡10は、第1実施例に係る反射鏡10と同様のものであり、光触媒性親水膜14における光触媒材料18の重量比が70%にされると共に、光触媒性親水膜14の膜厚が65nmにされている。さらに、第1光干渉膜20の膜厚が110nmにされると共に、第2光干渉膜22の膜厚が15nmにされており、反射膜24の膜厚が25nmにされている。この場合には、反射光の波長と反射率との関係及び透過光の波長と透過率との関係が図4の実線Bで表す関係になる。
【0059】
本実験例に係る第3の反射鏡10では、光触媒性親水膜14における光触媒材料18の重量比が70%にされると共に、光触媒性親水膜14の膜厚が75nmにされている。さらに、第1光干渉膜20の膜厚が120nmにされると共に、第2光干渉膜22の膜厚が20nmにされており、反射膜24の膜厚が30nmにされている。この場合には、反射光の波長と反射率との関係及び透過光の波長と透過率との関係が図4の実線Cで表す関係になる。
【0060】
このように、反射鏡10の各膜厚(特に反射膜24の膜厚)を変化させることで、反射光の波長と反射率との関係及び透過光の波長と透過率との関係が変化する。このため、表示装置26が発光表示する光を反射鏡10(特に反射膜24)の透過率が高い波長の光(例えば黄色光から赤色光)にすることで、表示装置26から反射鏡10の表側に警告情報を良好に表示できる。
【符号の説明】
【0061】
10 反射鏡
12 基板(基材)
14 光触媒性親水膜(親水層)
20 第1光干渉膜(光干渉層)
22 第2光干渉膜(光干渉層)
24 反射膜(反射層)
26 表示装置(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪素により形成され、光を反射する反射層と、
前記反射層の裏側に設けられ、前記反射層を介して表側に情報を表示する表示手段と、
を備えた反射鏡。
【請求項2】
前記反射層の表側に設けられ、表面で反射される光と前記反射層との間で反射される光と前記反射層の裏面で反射される光とが干渉する光干渉層を備えた請求項1記載の反射鏡。
【請求項3】
前記光干渉層の表側に設けられ、親水性を有すると共に屈折率が1.8以下にされた親水層を備えた請求項2記載の反射鏡。
【請求項4】
前記親水層は光触媒性を有する請求項3記載の反射鏡。
【請求項5】
前記光干渉層と前記親水層との間に基材を設けた請求項3又は請求項4記載の反射鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−221349(P2011−221349A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91506(P2010−91506)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】