説明

反射防止コーティング組成物およびそれを用いて製造した反射防止フィルム

【課題】
【解決手段】本発明は、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上である反射防止コーティング組成物、それを用いて製造した反射防止フィルムおよびその製造方法を提供する。本発明によれば、反射防止機能に優れた反射防止フィルムを1回のコーティング工程によって製造することができるので製造費用が節減される効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止コーティング組成物、それを用いて製造した反射防止フィルムおよびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、1回のコーティング工程によって形成した単一コーティング層において組成成分が相分離して機能的に多層を形成することにより、光学用フィルムに反射防止機能を付与できる反射防止コーティング組成物、それを用いて製造した反射防止フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
本出願は2007年11月13日に韓国特許庁に提出された第10−2007−0115343号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイの表面に表面処理を施す目的は、ディスプレイの耐摩耗性を向上させ、外部光源の反射を減少させ、イメージコントラストを向上させることである。外部光の反射量減少は大きく2つの方法によって実現することができる。第1は、表面凹凸形状を通じた乱反射の誘導であり、第2は、多層コーティング設計によって消滅干渉を誘導する方法である。
【0004】
既存には表面凹凸形状を有するアンチグレアコーティングを主に適用したが、高解像度ディスプレイにおいては、解像度が低下する問題と、表面における乱反射によってイメージの鮮明性が低下する問題があった。このような問題を解決するために、日本公開特許公報平11−138712号(特許文献1)においては、バインダーと屈折率差がある有機フィラーを用い、フィルムの内部において光が拡散する光拡散フィルムを製造した。しかし、輝度とコントラストが低下する問題点があるため、依然として改善が必要である。
【0005】
日本公開特許公報平02−234101号(特許文献2)および日本公開特許公報平06−18704号(特許文献3)には、多層コーティング設計によって反射光を消滅干渉させる方法が開示されている。この方法は、相の歪みなしで反射防止機能を果たすことができる。この時、反射光を消滅干渉させるためには、各層から反射される光の間に位相差があるべきであり、消滅干渉時に反射率を最小化できるように反射される光の間の波形の振幅が合わなければならない。例えば、基材上に備えられた単層反射防止コーティング層に対して入射角が0度である場合、次のような数学式を求めることができる。
【0006】
[数学式1]
os=n12
2n11=(m+1/2)λ(m=0、1、2、3...)
(no:空気の屈折率、ns:基材の屈折率、n1:膜の屈折率、d1:膜の厚さ、λ:入射光の波長)
通常、反射防止コーティング層の屈折率が基材の屈折率より低いほど反射防止効果が大きいが、コーティング層の耐摩耗性を考慮し、反射防止コーティング層の屈折率は基材の屈折率に対して1.3〜1.5倍程度の屈折率を有することが好ましく、この時、反射率は3%未満になる。しかし、プラスチックフィルムに反射防止コーティング層を形成する場合、ディスプレイの耐摩耗性を満足させることができないため、数マイクロンのハードコーティング層が反射防止コーティング層の下方に必要となる。すなわち、消滅干渉を用いた反射防止コーティング層の場合、耐摩耗性を補強するためのハードコーティング層とその上に反射防止コーティング層が1〜4層形成される。したがって、前記多層コーティング方式は相の歪みなしで反射防止機能を有するが、多層コーティングのために製造費用が上昇するという問題点が依然として発生することになる。
【0007】
最近では、単層コーティング設計によって反射光を消滅干渉させる方法が提示されており、例えば、日本公開特許公報平07−168006号(特許文献4)には、超微粒子分散液を基材に塗布し、微粒子の球形状が表面に露出されるようにして、界面である空気と粒子間に屈折率の漸進的な差が発生するようにすることにより、反射防止効果を付与する方法が開示されている。しかし、この方法は、超微粒子の形状と大きさが一定でなければならず、基材上にこの粒子が均一に分布しなければならないため、一般的なコーティング工程によっては実現し難い。また、バインダーが一定量以下で含まれないと表面に球形状を得ることができないため、耐摩耗性には非常にぜい弱な短所があり、コーティング厚さも微粒子の直径より薄いべきであるために耐摩耗性の実現は非常に難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−138712号公報
【特許文献2】特開平02−234101号公報
【特許文献3】特開平06−18704号公報
【特許文献4】特開平07−168006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような従来の問題点を解決するために、本発明は、1回のコーティング工程によって単一コーティング層を形成しても、単一コーティング層の厚さ方向に組成成分が濃度勾配を有して、機能的に2層以上の層が形成されることにより、優れた反射防止機能を付与できる反射防止コーティング組成物、それを用いて製造した反射防止フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上である反射防止コーティング組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有する単一コーティング層を含む反射防止フィルムを提供する。
【0012】
また、本発明は、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有し、厚さが1マイクロメーター以下である単一コーティング層を含む反射防止フィルムを提供する。
【0013】
また、本発明は、
i)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上である反射防止コーティング組成物を準備するステップ;
ii)前記コーティング組成物を基材上に塗布してコーティング層を形成するステップ;
iii)前記コーティング層を乾燥して前記低屈折材料と前記高屈折材料がコーティング層の厚さ方向に濃度勾配を有するようにするステップ;および
iv)前記乾燥されたコーティング層を硬化するステップ
を含む反射防止フィルムの製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、i)偏光膜およびii)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有する単一コーティング層を含む反射防止フィルムを含む偏光板を提供する。
【0015】
また、本発明は、i)偏光膜およびii)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有し、厚さが1マイクロメーター以下である単一コーティング層を含む反射防止フィルムを含む偏光板を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記反射防止フィルムまたは前記偏光板を含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る反射防止フィルムは、優れた光学特性を有し、1回のコーティング工程によって製造することができるので製造費用が節減される効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明すれば次の通りである。
【0019】
本発明に係る反射防止コーティング組成物は、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であることを特徴とする。
【0020】
本発明において、表面エネルギとは、該当材料を硬化した時に生成された硬化物で測定した表面エネルギを意味する。
【0021】
本発明においては、前記のようなコーティング組成物を用いることにより、1回のコーティング工程によって単一コーティング層を形成しても、単一コーティング層内で前記組成成分が表面エネルギの差によって相分離して機能的に多層を形成する。すなわち、前記単一コーティング層内には高屈折材料の濃度が高い領域と低屈折材料の濃度が高い領域が存在する。具体的には、前記低屈折材料はコーティング層内で疏水性である空気面側に移動し、前記高屈折材料は相対的に前記コーティング層内で基材と接する面側に移動して分布するようになる。これにより、前記単一コーティング層は反射防止効果を示すことができる。
【0022】
本発明において、前記低屈折材料としては、屈折率1.2〜1.45である熱硬化型あるいは紫外線硬化型樹脂を用いることができる。特に、表面エネルギの差による相分離を誘導するために、表面エネルギと屈折率が同時に低いフッ素系低屈折材料を用いることが好ましい。また、相分離がより効率的になされるようにするために、低屈折材料の表面エネルギが25mN/m以下であることが好ましい。前記低屈折材料の表面エネルギは0mN/m超過であることが好ましい。
【0023】
前記低屈折熱硬化型材料は、ゾル−ゲル反応が可能なアルコキシシラン反応物、ウレタン反応基化合物、尿素反応基化合物、エステル化反応物などからなる群から選択された1種以上を含むことが好ましい。低屈折の実現および表面エネルギを下げるためには、前記低屈折熱硬化型材料がフッ素を含有することが好ましい。
【0024】
前記アルコキシシラン反応物とは、前記アルコキシシラン、フッ素系アルコキシシラン、シラン系有機置換体などを水、触媒条件下でゾル−ゲル反応によって加水分解、縮合反応を進行させて製造した反応性オリゴマーをいう。この時、前記反応性オリゴマーの平均分子量は、GPCを利用し、ポリスチレンを標準物質にして測定した時、1,000〜200,000が好ましい。このように製造されたアルコキシシラン反応物は、コーティング後、常温以上の温度条件下で縮合反応を進行して架橋構造の網を形成するようになる。
【0025】
前記アルコキシシランは、最外郭コーティング膜に一定レベルの強度を提供することができる。前記アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシラン系またはトリアルコキシシラン系を用いることができ、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリエトキシシランなどからなる群から選択された1つまたは2つ以上の物質を用いることが好ましいが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0026】
前記フッ素系アルコキシシランは、コーティング膜の屈折率を下げ、表面張力を下げて高屈折材料との分布差を容易にする成分である。前記フッ素系アルコキシシランとしてはトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、およびヘプタデカフルオロデシルトリイソプロポキシシランなどからなる群から選択された1つまたは2つ以上の物質を用いることが好ましいが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0027】
前記シラン系有機置換体としては、アルコキシシランと化学的結合をすることができ、高屈折材料との相溶性および反応性のある化合物であれば制限されることなく用いることができる。前記シラン系有機置換体としてはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ペントキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルエトキシビニルシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ジビニルジ(β−メトキシエトキシ)シラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ−n−プロポキシシラン、ジビニルジ(イソプロポキシ)シラン、ジビニルジ−n−ペントキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどからなる群から選択された1つまたは2つ以上の物質を用いることが好ましいが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0028】
前記アルコキシシラン反応物中の基本単量体であるアルコキシシランの含量は、アルコキシシラン反応物100重量部に対して5〜50重量部であることが好ましい。5重量部未満である場合には耐摩耗性が良くなく、50重量部を超過する場合にはアルコキシシラン反応物の低屈折の実現および高屈折樹脂との相分離が難しい。
【0029】
前記アルコキシシラン反応物が屈折率1.2〜1.45でありながら高屈折材料との分布差を容易に誘導するために、フッ素系アルコキシシランの含量は、前記アルコキシシラン反応物100重量部に対して20〜90重量部であることが好ましい。20重量部未満である場合には低屈折の実現が難しく、90重量部を超過する場合には液の安定性と耐スクラッチ性の確保が難しい。
【0030】
前記アルコキシシラン反応物がコーティング液状態で相溶性および安定性を維持するために、前記シラン系有機置換体の含量は、前記アルコキシシラン反応物100重量部に対して0〜50重量部であることが好ましい。50重量部を超過する場合には、低屈折の実現が難しく、高屈折材料との分布差を誘導し難い。
【0031】
前記アルコキシシラン反応物はゾル−ゲル反応によって製造されることが好ましい。前記ゾル−ゲル反応は本発明が属する技術分野で通常的に用いられる方法を利用することができる。前記ゾル−ゲル反応は、アルコキシシラン、フッ素系アルコキシシラン、シラン系有機置換体、触媒、水および有機溶媒を含む組成成分を反応温度20〜150℃で1〜100時間反応させて進行することができる。
【0032】
前記ゾル−ゲル反応に用いられる触媒は、ゾル−ゲル反応時間を制御するために必要な成分である。前記触媒としては、硝酸、塩酸、硫酸および酢酸のような酸を用いることが好ましく、ジルコニウム、インジウムのような塩と共に塩酸塩、硝酸塩、硫酸炎、および酢酸塩の形態のものを用いることがより好ましい。この時、前記触媒の含量は、前記アルコキシシラン反応物100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。
【0033】
前記ゾル−ゲル反応に用いられる水は、加水分解反応と縮合反応のために必要な成分である。前記水の含量は、前記アルコキシシラン反応物100重量部に対して5〜50重量部であることが好ましい。
【0034】
前記ゾル−ゲル反応に用いられる有機溶媒は、加水縮合物の分子量を適切に調節するための成分である。前記有機溶媒は、アルコール類、セロソルブ類、ケトン類またはこれらのうちから選択された2つ以上の混合溶媒であることが好ましい。この時、前記有機溶媒の含量は、前記アルコキシシラン反応物100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましい。
【0035】
一方、前記ウレタン反応基化合物は、アルコールとイソシアネート化合物を金属触媒下で反応させて製造することができる。2つ以上の官能基を含む多官能アルコールと多官能イソシアネートおよび金属触媒を混合したコーティング液を基材に塗布した後、常温以上の温度に置いておけば、ウレタン反応基を有する網構造を形成することができる。この時、低屈折特性の実現および高屈折材料との分布差を誘導するためにアルコールやイソシアネートにフッ素基を導入することができる。
【0036】
前記フッ素を含む多官能アルコールの例としては1H,1H,4H,4H−ペルフルオロ−1,4−ブタンジオール、1H,1H,5H,5H−ペルフルオロ−1,5−ペンタンジオール、1H,1H,6H,6H−ペルフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、1H,1H,8H,8H−ペルフルオロ−1,8−オクタンジオール、1H,1H,9H,9H−ペルフルオロ−1,9−ノナンジオール、1H,1H,10H,10H−ペルフルオロ−1,10−デカンジオール、1H,1H,12H,12H−ペルフルオロ−1,12−ドデカンジオール、フッ素化されたトリエチレングリコール、フッ素化されたテトラエチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
前記ウレタン反応基化合物の製造時に用いられるイソシアネート成分としては、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート、複素環族イソシアネートが好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3,3−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキサンジイソシアネートなどのようなジイソシアネートまたは3官能以上のイソシアネート、例えば、商品名DIC社のDN950、DN980などを用いることが好ましい。
【0038】
本発明において、前記ウレタン反応基化合物を製造する時に触媒を用いることができ、触媒としてはルイス酸またはルイス塩基を用いることができる。触媒の具体的な例としては、錫オクチレート、ジブチルすずジアセテート、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずメルカプチド、ジブチルすずジマレート、ジメチルすずヒドロキシドおよびトリエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
前記ウレタン反応基化合物を製造する時に用いられるイソシアネートと多官能アルコールの含量は、官能基であるNCO基とOH基のモル比(NCO/OH)が0.5〜2であることが好ましく、0.75〜1.1であることがより好ましい。これは、前記官能基のモル比が0.5未満であるか2を超過すれば、未反応の官能基が増加して膜の強度が低下する問題が発生し得る。
【0040】
前記尿素反応基化合物は、アミンとイソシアネート類の反応によって製造することができる。イソシアネート類は前記ウレタン反応基化合物の製造時に使用可能な成分と同一成分が用いられることができ、アミン類はペルフルオロ類の2官能以上のアミン類が用いられることができる。本発明において、必要によっては触媒を用いることができ、触媒としてはルイス酸またはルイス塩基を用いることができる。触媒の具体的な例としては、錫オクチレート、ジブチルすずジアセテート、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずメルカプチド、ジブチルすずジマレート、ジメチルすずヒドロキシドおよびトリエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
前記エステル化反応物は、酸とアルコールが脱水、縮合反応を経て得られるものであり、前記エステル化反応物も、コーティング液中に配合すれば、架橋構造の膜を形成することができる。前記酸としてはフッ素を含む2官能以上の酸を用いることが好ましく、フッ素を含む2官能以上の酸の例としてはペルフルオロコハク酸(perfluorosuccinic acid)、ペルフルオログルタル酸(perfluoroglutaric acid)、ペルフルオロアジピン酸(perfluoroadipic acid)、ペルフルオロスベリン酸(perfluorosuberic acid)、ペルフルオロアゼライン酸(perfluoroazelaic acid)、ペルフルオロセバシン酸(perfluorosebacic acid)、ペルフルオロラウリン酸(perfluorolauric acid)などが挙げられる。前記アルコールとしては多官能アルコールを用いることが好ましく、多官能アルコールの例としては1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、ペンタエリスリトールおよびトリメチロールプロパンなどが挙げられる。前記エステル化反応には硫酸などの酸触媒や、テトラブトキシチタンなどのアルコキシチタンなどを用いることができる。しかし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0042】
前記低屈折紫外線硬化型材料はアクリレート系樹脂、光開始剤および溶媒を含むことが好ましい。
【0043】
前記アクリレート系樹脂としては一般的にアクリレートモノマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマーなどが挙げられ、その具体的な例としてはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート、トリメチレンプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレートなどが挙げられるが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0044】
前記アクリレート系樹脂としてフッ素系アクリレートを用いることもでき、フッ素系アクリレートとしては、下記化学式1〜5で示され、置換基としてC1−C6の炭化水素基をさらに有してもよい化合物からなる群から選択された1つまたは2つ以上の物質が用いられる。
【0045】
【化1】

前記化学式1において、R1は−HまたはC1−C6の炭化水素基であり、aは0〜4の整数であり、bは1〜3の整数である。前記C1−C6の炭化水素基はメチル基(−CH3)であることが好ましい。
【0046】
【化2】

前記化学式2において、cは1〜10の整数である。
【0047】
【化3】

前記化学式3において、dは1〜9の整数である。
【0048】
【化4】

前記化学式4において、eは1〜5の整数である。
【0049】
【化5】

前記化学式5において、fは4〜10の整数である。
【0050】
前記フッ素系アクリレートの含量は、前記アクリレート樹脂100重量部を基準に20重量部以上であることが好ましい。
【0051】
前記光開始剤としては紫外線に分解可能な化合物を用いることが好ましく、その例としては1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシジメチルアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテルなどが挙げられるが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0052】
前記光開始剤の含量は、前記アクリル系樹脂100重量部に対して1〜20重量部であることが好ましい。この含量が1重量部未満である場合には未硬化が発生する問題点があり、20重量部を超過する場合にはコーティング膜の耐スクラッチ性、耐摩耗性が低下する問題点がある。
【0053】
コーティング性のために有機溶媒を用いることができ、アルコール類、アセテート類、ケトン類、または芳香族溶媒などが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、またはベンゼンなどを用いることができる。
【0054】
前記溶媒の含量は、低屈折紫外線硬化性材料100重量部に対して10〜90重量部で含まれることが好ましい。この含量が10重量部未満である場合には、コーティング液の粘度が高くなって相分離が難しく、コーティング膜の平坦度が悪くなるなどの問題点があり、90重量部を超過する場合には、コーティング膜の耐スクラッチ性および耐摩耗性が低下し、コーティング液の粘度がコーティング機と基材に転写しないほど過度に低くなる問題点がある。
【0055】
前記低屈折紫外線硬化型材料は界面活性剤を含むことができる。前記界面活性剤はレベリング剤または湿潤剤などが用いられることができ、特にフッ素系またはポリシロキサン系化合物を用いることが好ましい。
【0056】
前記界面活性剤の含量は、低屈折紫外線硬化型材料100重量部に対して最大5重量部で含まれることが好ましい。この含量が5重量部を超過する場合には、高屈折材料との相分離効率が低下し、基材との付着性、コーティング膜の耐スクラッチ性および耐摩耗性が低下する問題点がある。
【0057】
前記屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料は、低屈折材料に比べて表面エネルギが5mN/m以上差が出るもの、好ましくは、表面エネルギが5mN/m以上大きいものであって、高屈折微粒子および有機置換体を含み、コーティング性のために有機溶媒を含むことができる。
【0058】
前記高屈折微粒子は高屈折材料の屈折率を上げ、場合によっては帯電防止機能の付与も可能である。前記高屈折微粒子の屈折率は1.55〜2.2であることが好ましい。その材料としては金属酸化物を用いることができ、これは導電性を有することができる。具体的には、酸化ジルコニウム(zirconium oxide:ZrO2)、酸化チタニウム(titanium oxide:TiO2)、硫化亜鉛(Zinc sulfide:ZnS)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化亜鉛(Zinc oxide:ZnO2)、インジウム−スズ複合酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、アンチモン−スズ複合酸化物(Antimony Tin Oxide:ATO)、チタニウム−アンチモニー−スズ複合酸化物(TiO2、Sb doped SnO2)、酸化セリウム(CeO)、酸化セレニウム(SeO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化イットリウム(Y23)、アンチモン−亜鉛複合酸化物(AZO)などからなる群から1種以上を用いることができる。前記高屈折微粒子の粒径は1,000nm以下、好ましくは1〜200nm、より好ましくは2〜100nm、さらに好ましくは10〜50nmであることが好ましい。
【0059】
前記高屈折微粒子がコーティング層における結合を誘導して耐摩耗性を付与するために有機置換体を用いることができる。低屈折材料が熱硬化型である場合には、前記有機置換体としてはシラン系有機置換体を用いることがが好ましく、低屈折材料が紫外線硬化型である場合には、アクリレート系有機置換体を用いることが好ましい。
【0060】
熱硬化型有機置換体としてはシラン反応物またはイソシアネートとアルコールを含有しているウレタン反応物、イソシアネートとアミンを含有している尿素反応物、酸とアルコールを含有しているエステル反応物などが好適であり、UV硬化型有機置換体としては2官能以上のアクリレートモノマーやオリゴマーが好ましい。しかし、前記反応物はフッ素を含有していない通常の反応物を用いることが好ましい。
【0061】
前記有機置換体の含量は、前記高屈折微粒子100重量部に対して70重量部以下であることが好ましい。この含量が70重量部を超過する場合には、材料の高屈折化が難しく、帯電防止微粒子の場合に帯電防止機能が低下する心配がある。
【0062】
前記低屈折材料と前記高屈折材料の含量比およびコーティング厚さによって反射率が決定される。好ましい低屈折材料/高屈折材料の重量比は3/7〜8/2が好適である。コーティング厚さは1マイクロメーター以下が好ましく、50〜500nmがより好ましい。コーティング厚さが1マイクロメーターを超過する場合には所望の反射率を達成し難い。
【0063】
前記低屈折材料と前記高屈折材料は硬化類型が同一であることが好ましい。すなわち、前記材料は全て紫外線硬化型であるか、全て熱硬化型であることが好ましい。
【0064】
前述した低屈折材料と高屈折材料は、乾燥、硬化後屈折率差が0.01以上になることが好ましく、この場合、単一コーティング層が機能的に2層以上からなるGRIN(gradient refractive index)構造を形成することによって反射防止効果を得ることができる。この時、低屈折材料の硬化時の表面エネルギが25mN/m以下であり、低屈折材料と高屈折樹脂材料の表面エネルギ差が5mN/m以上でないと相分離が効果的になされない。
【0065】
本発明は、前述した反射防止コーティング組成物を用いた反射防止フィルムの製造方法およびそれによって製造された反射防止フィルムを提供する。
【0066】
本発明に係る反射防止フィルムの製造方法は、i)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上である反射防止コーティング組成物を準備するステップ;ii)前記コーティング組成物を基材上に塗布してコーティング層を形成するステップ;iii)前記コーティング層を乾燥して前記低屈折材料と前記高屈折材料がコーティング層の厚さ方向に濃度勾配を有するようにするステップ;およびiv)前記乾燥されたコーティング層を硬化するステップを含む。
【0067】
前記b)ステップにおける基材としては、耐摩耗処理が施されたハードコーティングフィルムまたはガラス、プラスチックシートおよびフィルムなどを用いることができる。プラスチックフィルムの種類としてはトリアセテートセルロースフィルム、ノルボルネン系シクロオレフィンポリマー、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられ、ハードコーティング処理フィルムの場合、屈折率は1.45〜1.65でありながら、基本的な光学特性、付着性、耐スクラッチ性、再塗装性があるものが好適である。一般的に、前記基材と単一コーティング層との間に配置されるハードコーティング層は、UV硬化方式によって得られる架橋構造のアクリレートコーティング層を有し、必要によっては耐摩耗性および収縮防止のためにナノ微粒子を含むこともする。
【0068】
前記b)ステップにおけるコーティング組成物のコーティングは主にバーコーティング、2ロールまたは3ロールリバースコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、マイクログラビアコーティング、コンマコーティングなどのように、基材の種類およびコーティング液のレオロジー特性により自由に選択することができる。前記コーティングは、乾燥厚さが50〜500nm、より好ましくは100〜300nmになるように遂行することが好ましい。
【0069】
前記c)ステップにおける乾燥は、コーティング層内における相分離の形成および溶剤の乾燥のために5〜150℃で0.1〜60分間行われる。乾燥温度が5℃未満である場合には、有機溶剤の揮発が不足して紫外線硬化時の硬化度が低下し得るし、150℃を超過する場合には、各組成成分がコーティング層において濃度勾配を有するように配置される前に硬化がなされる心配がある。
【0070】
前記d)ステップにおける硬化は、用いられた樹脂の種類に応じて紫外線または熱によって遂行することができる。熱硬化は、20〜150℃で1〜100分間遂行することができる。硬化温度が20℃未満である場合には、熱硬化速度が遅くて熱硬化時間が過度に長くなり、150℃を超過した場合には、コーティング基材の安定性が危険であるという問題がある。紫外線硬化は、紫外線照射量0.1〜2J/cm2で1〜600秒間紫外線を照射することによって遂行することができる。紫外線照射量が前記範囲に達しない場合には、未硬化した樹脂がコーティング層に残って表面に粘り気があって耐摩耗性が良くなく、前記範囲を超過する場合には、紫外線硬化型樹脂の硬化度が高すぎる。
【0071】
前述した反射防止コーティング組成物および反射防止フィルムの製造方法によって製造された本発明に係る反射防止フィルムは、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有する単一コーティング層を含む。前記反射防止フィルムは一面に基材を含むことができ、前記基材と単一コーティング層との間にハードコーティング層をさらに含むことができる。
【0072】
前記反射防止フィルムにおいて、前記反射防止層の空気と接する面から厚さ方向に50%に該当する領域に含まれる前記低屈折材料は、低屈折材料総重量に対して70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
【0073】
本発明に係る反射防止フィルムは、反射率が3%未満で、優れた反射防止効果を示す。また、本発明に係る反射防止フィルムは、透過率が96%以上であり、最低反射率が0.5%以下であり、鉛筆硬度2H以上の耐摩耗性を有する。また、本発明に係る反射防止フィルムは、高屈折微粒子によって帯電防止性を有することもできる。
【0074】
本発明においては、前述したコーティング組成物および反射防止フィルムの製造方法を利用し、単一コーティング層からなる反射防止層を1マイクロメーター以下、より好ましくは50〜500nmの厚さで形成することができる。したがって、本発明は、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有し、厚さが1マイクロメーター以下である単一コーティング層を含む反射防止フィルムを提供する。
【0075】
また、本発明は、前述した本発明に係る反射防止フィルムを含む偏光板を提供する。
【0076】
具体的には、本発明の一実施状態による偏光板は、i)偏光膜およびii)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有する単一コーティング層を含む反射防止フィルムを含む。
【0077】
本発明の他の一実施状態による偏光板は、i)偏光膜およびii)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有し、厚さが1マイクロメーター以下である単一コーティング層を含む反射防止フィルムを含む。
【0078】
前記偏光膜と反射防止フィルムとの間には保護フィルムを備えることができる。また、前記保護フィルムは、前記反射防止フィルムの製造時、単一コーティング層を形成するための基材がそのまま用いられることもできる。前記偏光膜と前記反射防止フィルムは接着剤で貼り合わせることができる。前記偏光膜としては、当技術分野に知られているものを用いることができる。前記単一コーティング層の一側、好ましくは前記偏光板と前記単一コーティング層との間にハードコーティング層を備えることができる。
【0079】
本発明は、前記反射防止フィルムまたは偏光板を含むディスプレイを提供する。前記ディスプレイ装置は液晶表示装置やプラズマディスプレイ装置であってもよい。本発明に係るディスプレイ装置は、本発明に係る反射防止フィルムが備えられることを除いては、当技術分野に知られている構造を有することができる。例えば、本発明に係るディスプレイ装置において、前記反射防止フィルムは、ディスプレイパネルの観測者側またはバックライト側の最外角表面に備えられても良い。また、本発明に係るディスプレイ装置は、ディスプレイパネル、前記パネルの少なくとも片面に備えられた偏光膜および前記偏光膜のパネルと接する反対側面に備えられた反射防止フィルムを含むことができる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するだけのものに過ぎず、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0081】
[製造例1]低屈折材料
テトラエトキシシラン20g、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン20g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10g、硝酸2g、水10gおよびエタノール138gを混合した後、50℃で10時間反応させた後にエタノール498.8gで薄めた。
【0082】
この時、固形分の含量は5重量%であり、屈折率は1.36、表面エネルギは14.0mN/mという結果を得た。硬化物の屈折率と表面エネルギは、80μm厚さのトリアセテートセルロースフィルムにワイヤーバー(5号)でコーティング、乾燥、硬化後、測定した。屈折率はEllipsometerを利用して測定し、表面エネルギはKRUSS社のDrop shape analysis製品であるDSA100を利用し、水とジヨードメタン(CH22)を基準にして測定した。
【0083】
[製造例2]低屈折材料
多官能アクリレートとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)1重量部、低屈折率を付与するフッ素系アクリレートとして1H,1H,6H,6H−ペルフルオロ−1,6−ヘキシルアクリレート3重量部、光開始剤としてIrgacure 907 1重量部、溶媒としてジアセトンアルコール(DAA)20重量部、メチルエチルケトン(MEK)75重量部を均一に混合して、低屈折紫外線硬化型材料の溶液を組成した。
【0084】
この時、固形分の含量は5重量%であり、屈折率は1.43、表面エネルギは23.0mN/mという結果を得た。
【0085】
[製造例3]低屈折材料
テトラエトキシシラン30g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20g、硝酸2g、水10g、エタノール62gを混合した後、50℃で5時間反応させた後にエタノール464.8gで薄めた。
【0086】
この時、固形分の含量は5重量%であり、屈折率は1.48、表面エネルギは28.3mN/mという結果を得た。
【0087】
[製造例4]高屈折材料
テトラエトキシシラン14gとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.3g、水1g、硝酸0.2gを、エタノール33.5を混合した後、25℃で48時間ゾル−ゲル反応させた後、エタノール30g、ブチルセロソルブ20gを混合して準備する。平均粒径20nmの二酸化チタニウムを含むメタノール分散液(固形分40%)25g、メタノール175gで薄めた後、ゾル−ゲル反応物を均一に混合して、高屈折コーティング液を製造した。
【0088】
この時、固形分の含量は5重量%であり、屈折率は1.77、表面エネルギは31.2mN/mという結果を得た。
【0089】
[製造例5]高屈折材料
平均粒径20nmのリン−スズ複合酸化物を含むエタノール分散液(固形分15%)20g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)1.5g、IRG 184 0.5g、溶媒としてエタノール40gおよびメチルエチルケトン38gを均一に混合して、高屈折コーティング液を製造した。
【0090】
この時、固形分の含量は5重量%であり、屈折率は1.64、表面エネルギは29.8mN/mという結果を得た。
【0091】
[製造例6]高屈折材料
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)4.5g、IRG 184 0.5g、溶媒としてエタノール50gおよびメチルエチルケトン45gを均一に混合して、高屈折コーティング液を製造した。
【0092】
この時、固形分の含量は5重量%であり、屈折率は1.52、表面エネルギは35mN/mという結果を得た。
【0093】
[実施例1]
[製造例1]で製造した低屈折材料50gと[製造例4]で製造した高屈折材料50gを配合した後、ハードコーティング処理されたトリアセチルセルロースフィルム上にMeyer bar #4でコーティングを施した。90℃オーブンで30分乾燥、硬化した。
【0094】
[実施例2]
[製造例2]で製造した低屈折材料50gと[製造例5]で製造した高屈折材料50gを配合した後、ハードコーティング処理されたトリアセチルセルロースフィルム上にMeyer bar #4でコーティングを施した。90℃オーブンで2分乾燥、硬化後、1J/cm2強さでUV硬化を施した。
【0095】
[実施例3]
[実施例2]で製造したコーティング液を、ハードコーティング処理されたトリアセチルセルロースフィルム上にMeyer bar #6でコーティングを施した。90℃オーブンで2分乾燥、硬化後、1J/cm2強さでUV硬化を施した。
【0096】
[比較例1]
低屈折材料として[製造例3]で製造したものを用いたことを除いては、[実施例1]と同様に実施した。
【0097】
[比較例2]
[製造例2]で製造した低屈折材料50gと[製造例6]で製造した高屈折材料50gを配合したことを除いては、[実施例2]と同様に実施した。
【0098】
[比較例3]
[製造例5]で製造した高屈折材料50gを配合した後、ハードコーティング処理されたトリアセチルセルロースフィルム上にMeyer bar #4でコーティングを施した。90℃オーブンで2分乾燥、硬化後、1J/cm2強さでUV硬化を施した。[製造例2]で製造した低屈折材料50gを配合した後、前記高屈折およびハードコーティングされたトリアセチルセルロースフィルム上にMeyer bar #4でコーティングを施した。90℃オーブンで2分乾燥、硬化後、1J/cm2強さでUV硬化を施した。
【0099】
前記実施例および比較例によって製造された反射防止フィルムを下記のように光特性を評価した。
【0100】
1)反射率
コーティングフィルムの裏面を黒色処理した後、Shimadzu社のSolid Spec.3700(spectrophotometer)で反射率を測定し、最小反射率値で反射防止特性を評価した。
【0101】
2)透過率およびヘーズ
日本の村上社のHR−100を利用してコーティングフィルムの透過率とヘーズを評価した。
【0102】
【表1】

前記評価結果から、本発明によって製造されたフィルムの反射率、透過率およびヘーズの全てに優れた結果を得ることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上である反射防止コーティング組成物。
【請求項2】
前記低屈折材料は、表面エネルギが25mN/m以下である、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項3】
前記低屈折材料と前記高屈折材料は全て熱硬化型または紫外線硬化型である、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項4】
前記低屈折材料は低屈折熱硬化型材料であり、ゾル−ゲル反応が可能なアルコキシシラン反応物、ウレタン反応基化合物、尿素反応基化合物およびエステル化反応物からなる群から選択された1種以上を含む、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項5】
前記低屈折熱硬化型材料がフッ素を含有する、請求項4に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項6】
前記低屈折材料は低屈折紫外線硬化型材料であり、アクリレート系樹脂、光開始剤および溶媒を含む、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項7】
前記フッ素系アクリレートの含量は、前記アクリレート樹脂100重量部を基準に20重量部以上である、請求項6に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項8】
前記高屈折材料中の高屈折微粒子は、酸化ジルコニウム(zirconium oxide:ZrO2)、酸化チタニウム(titanium oxide:TiO2)、硫化亜鉛(Zinc sulfide:ZnS)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化亜鉛(Zinc oxide:ZnO2)、インジウム−スズ複合酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、アンチモン−スズ複合酸化物(Antimony Tin Oxide:ATO)、チタン−アンチモンスズ酸化物(TiO2、Sb doped SnO2)、酸化セリウム(CeO)、酸化セレニウム(SeO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化イットリウム(Y23)およびアンチモン−亜鉛複合酸化物(AZO)からなる群から選択された1つ以上を含む、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項9】
前記高屈折材料中の有機置換体は、シラン反応物、ウレタン反応物、尿素反応物およびエステル反応物からなる群から選択された熱硬化型有機置換体または2官能以上のアクリレートモノマーおよびオリゴマーから選択されるUV硬化型有機置換体である、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項10】
前記有機置換体の含量は、前記高屈折微粒子100重量部に対して0重量部超過70重量部以下である、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項11】
前記低屈折材料と前記高屈折材料の重量比は3/7〜8/2である、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項12】
i)請求項1〜11のうちのいずれか一項による、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上である反射防止コーティング組成物を準備するステップ;
ii)前記コーティング組成物を基材上に塗布してコーティング層を形成するステップ;
iii)前記コーティング層を乾燥して前記低屈折材料と前記高屈折材料がコーティング層の厚さ方向に濃度勾配を有するようにするステップ;および
iv)前記乾燥されたコーティング層を硬化するステップ
を含む反射防止フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記ii)ステップのコーティングは、乾燥厚さ1マイクロメーター以下になるように遂行される、請求項12に記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記iii)ステップの乾燥は5〜150℃で0.1〜60分間遂行される、請求項12に記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記iv)ステップの硬化は、20〜150℃で1〜100分間の熱処理による熱硬化または紫外線照射量0.1〜2J/cm2で1〜600秒間の紫外線照射による紫外線硬化によって遂行される、請求項12に記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項16】
a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有する単一コーティング層を含む反射防止フィルム。
【請求項17】
前記反射防止フィルムは、i)請求項1〜11のうちのいずれか一項による、a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上である反射防止コーティング組成物を準備するステップ;ii)前記コーティング組成物を基材上に塗布してコーティング層を形成するステップ;iii)前記コーティング層を乾燥して前記低屈折材料と前記高屈折材料がコーティング層の厚さ方向に濃度勾配を有するようにするステップ;およびiv)前記乾燥されたコーティング層を硬化するステップを含む方法によって製造される、請求項16に記載の反射防止フィルム。
【請求項18】
前記単一コーティング層の厚さは1マイクロメーター以下である、請求項16に記載の反射防止フィルム。
【請求項19】
前記反射防止フィルムは、前記単一コーティング層の片面に接するハードコーティング層および前記ハードコーティング層の片面に接する基材を含む、請求項16に記載の反射防止フィルム。
【請求項20】
透過率が96%以上であり、最低反射率が0.5%以下であり、鉛筆硬度2H以上である耐摩耗性を有する、請求項16に記載の反射防止フィルム。
【請求項21】
a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有し、厚さが1マイクロメーター以下である単一コーティング層を含む反射防止フィルム。
【請求項22】
透過率が96%以上であり、最低反射率が0.5%以下であり、鉛筆硬度2H以上の耐摩耗性を有する、請求項21に記載の反射防止フィルム。
【請求項23】
前記反射防止フィルムは、前記単一コーティング層の片面に接するハードコーティング層および前記ハードコーティング層の片面に接する基材を含む、請求項21に記載の反射防止フィルム。
【請求項24】
i)偏光膜およびii)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)高屈折微粒子および有機置換体を含み、屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有する単一コーティング層を含む反射防止フィルムを含む偏光板。
【請求項25】
i)偏光膜およびii)a)屈折率が1.2〜1.45である低屈折材料およびb)屈折率が1.55〜2.2である高屈折材料を含み、前記低屈折材料と前記高屈折材料の表面エネルギ差が5mN/m以上であり、前記高屈折材料と低屈折材料が厚さ方向に濃度勾配を有し、厚さが1マイクロメーター以下である単一コーティング層を含む反射防止フィルムを含む偏光板。
【請求項26】
請求項16による反射防止フィルムを含むディスプレイ装置。
【請求項27】
請求項21による反射防止フィルムを含むディスプレイ装置。

【公表番号】特表2011−505585(P2011−505585A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533964(P2010−533964)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006702
【国際公開番号】WO2009/064127
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】