説明

反射防止コーティング組成物

本発明は、反射防止コーティング組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止コーティングの分野および反射防止コーティング組成物を用いて基板上に像を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造においては、集積回路基板はパターン化するフォトレジストの膜を塗布し、化学線に曝し、その集積回路基板上にレジスト像の輪郭を示すように現像する。そのレジスト像は、例えば、パターン化するフォトレジストの部分が取り除かれて空間を形成し、残留する部分がラインを形成して、ラインおよび空間の両方を含むことができる。そのレジスト像は、該基板の露光部分を修正することによって集積回路基板に転写される。上記の修正は、エッチングプロセス、原子種の該基板への注入、または当業者には周知のその他の方法により該基板の一部を除去することによって実施することができる。かかるプロセスの間に、パターン化されたフォトレジストのラインはそのレジストラインの下にある基板部分の改変を防ぐマスクとして作用する。該基板に転写される像の解像度は、該レジスト像の解像度に依存する。
【0003】
集積回路基板にパターン化するフォトレジストを露光する間に、その化学線の該集積回路基板からのいくらかの反射が一般的には起こる。その反射は、チップ内、ウエハ横断、およびウエハからウエハまでの有効露光強度を変化させる膜干渉効果を引き起こす。有効露光強度に変化が与えられると許容できない値のライン幅の変化が一般的には起こる。これは、化学線の発生源としてレーザー露光手段が使用され、反射がとりわけ一般的である近代的製造において特に当てはまる。
【0004】
パターン化するフォトレジスト中への化学線の反射を防ぐために、一つまたは複数の底部反射防止コーティング(BARC)の層を基板とパターン化するフォトレジスト膜の間に備えることができる。BARCは、ポリマーバインダー中に分散された放射線吸着性染料をしばしば含み、また一方、該化学線を十分に吸着し、付加的な吸着性染料を必要としない適切な発色団を含有する(すなわち、該発色団が染料として作用する)いくつかのポリマーが存在する。そのBARCは、適当な吸着性染料または適当な発色団を有するポリマーを選択することによって、パターン化するフォトレジストを露光するために使用する特定の波長の放射線を弱めるように適応させることができる。
【0005】
反射性基板によって引き起こされる決定的に重大な寸法制御の問題は、ArF域においてはそれより長波長におけるより、はるかにより深刻である。それ故、この特別の領域において機能する高性能の反射防止コーティング層を見出すことは重要である。その上、光リソグラフィーの解像度を増すためには、高い開口数(NA)を有する露光システムが必須である。現在および次世代のマイクロリソグラフィーにおけるそのような開発はより正確に仕立てられたBARC材料を規定し、ますます多くの顧客がそれを要請している。BARCによる該基板反射の制御は、光学特性、すなわち、露光波長における屈折率(n)および吸収パラメーター(k)ならびにBARCの膜厚の3つの要因によって決定される。その屈折率(n)および吸収パラメーター(k)は、最適なBARCの厚さ、特定の光入射角の最低反射率などの特性を決定する。しばしば、望ましいn/k値は、容易に入手できまたはポリマー材料中に都合よく組み込むことができる発色団により得ることはできない。露光波長における光学特性を操作する能力は、他の基準、例えばエッチ速度、溶解性およびレジスト相溶性などを満足させる利用可能な発色団を用いる機会を与えるが、光学パラメーターの要件は与えない。
【0006】
現在および次世代のマイクロリソグラフィーにおける効果的な反射削減に対して、BARCは、特定の基板スタックおよび露光条件に対してまたは顧客が提供する仕様に対して最適化された正確な光学パラメーターを示す必要がある。多くの場合、単一の発色団または単一のポリマーを有する材料を用いることにより正確な光学パラメーターを得ることは不可能である。本発明者らは、光学特性を、顧客の特定のニーズまたはシミュレーション技術を用いて基板に対して確定されたものに対応するように調整または制御することができるBARC材料を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4064191号
【特許文献2】米国特許出願第10/941221号
【特許文献3】米国特許出願第11/159002号
【特許文献4】米国特許出願第10/301462号
【特許文献5】米国特許出願第10/817987号
【特許文献6】特開平1−293339
【特許文献7】カナダ特許第1204547号
【特許文献8】米国特許第4581321号
【特許文献9】米国特許第4889789号
【特許文献10】ドイツ特許出願公開第3634371号
【特許文献11】米国特許第6465148号
【特許文献12】米国特許第5733714号
【特許文献13】米国特許第6737492号
【特許文献14】米国特許第6187506号
【特許文献15】米国特許第5981145号
【特許文献16】米国特許第5162510号
【特許文献17】米国特許第5371169号
【特許文献18】米国特許第4491628号
【特許文献19】米国特許第5069997号
【特許文献20】米国特許第5350660号
【特許文献21】欧州特許第794458号
【特許文献22】WO97/33198号
【特許文献23】米国特許第5585219号
【特許文献24】欧州特許第789278号
【特許文献25】WO00/67072
【特許文献26】WO00/17712
【発明の概要】
【0008】
本発明は、膜を形成することができ、基板上に塗布するのに適した反射防止コーティング組成物であって、該反射防止コーティング組成物が、樹脂混合物を含み、該樹脂混合物は、少なくとも第一の樹脂および第二の樹脂を含み、該第一の樹脂および該第二の樹脂の量は、該反射防止コーティング組成物によって形成される該膜が、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)の±0.1の範囲内である屈折率(n)と顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された吸収パラメーター(k)の±0.02の範囲内である吸収パラメーター(k)とを有するように調整されている反射防止コーティング組成物に関する。
【0009】
本発明は、また、基板、及びその上に、本発明の組成物の層、および本発明の組成物の層の上に化学的に増幅されたフォトレジスト組成物の層を含む被覆された基板も提供する。本発明においては、フォトレジストレリーフ像を形成する方法であって、基板に本発明の組成物の層を塗布するステップと、該本発明の組成物の上に化学的に増幅されたフォトレジスト組成物の層を塗布するステップとを含む方法も提供される。加えて、本発明は、膜を形成することができ、基板上に塗布するのに適する反射防止コーティング組成物の屈折率(n)および吸収パラメーター(k)を調整する方法であって、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)および吸収パラメーター(k)を得るステップと、少なくとも第一の樹脂を得るステップと、前記第一の樹脂に第二の樹脂を加えて該反射防止コーティング組成物を形成するステップとを含み、該第二の樹脂を、該反射防止コーティング組成物によって形成される該膜が、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)の±0.1の範囲内である屈折率(n)と、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された吸収パラメーター(k)の±0.02の範囲内である吸収パラメーター(k)とを有するように十分な量で加える方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、膜を形成することができ、基板上に塗布するのに適した反射防止コーティング組成物であって、該反射防止コーティング組成物が、樹脂混合物を含み、該樹脂混合物は、少なくとも第一の樹脂および第二の樹脂を含み、該第一の樹脂および該第二の樹脂の量は、該反射防止コーティング組成物によって形成される該膜が、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)の±0.1の範囲内である屈折率(n)と顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された吸収パラメーター(k)の±0.02の範囲内である吸収パラメーター(k)とを有するように調整されている反射防止コーティング組成物に関する。
【0011】
本発明は、また、基板、及びその上に、本発明の組成物の層、および本発明の組成物の層の上に化学的に増幅されたフォトレジスト組成物の層を含む被覆された基板も提供する。本発明においては、フォトレジストレリーフ像を形成する方法であって、基板に本発明の組成物の層を塗布するステップと、該本発明の組成物の上に化学的に増幅されたフォトレジスト組成物の層を塗布するステップとを含む方法も提供される。加えて、本発明は、膜を形成することができ、基板上に塗布するのに適する反射防止コーティング組成物の屈折率(n)および吸収パラメーター(k)を調整する方法であって、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)および吸収パラメーター(k)を得るステップと、少なくとも第一の樹脂を得るステップと、前記第一の樹脂に第二の樹脂を加えて該反射防止コーティング組成物を形成するステップとを含み、該第二の樹脂を、該反射防止コーティング組成物によって形成される該膜が、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)の±0.1の範囲内である屈折率(n)と、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された吸収パラメーター(k)の±0.02の範囲内である吸収パラメーター(k)とを有するように十分な量で加える方法を提供する。
【0012】
該反射防止コーティング組成物は、一般に、少なくとも二つの樹脂で構成されている。その樹脂は、例えば、ポリエステルおよびポリエーテル樹脂、二つの異なるポリエステル樹脂、または二つの異なるポリエーテル樹脂の混合物であり、例えばそのそれぞれの異なる樹脂は、その樹脂を用いる膜が形成されるとき、異なる光学パラメーターを有する。ポリエステル樹脂が該反射防止コーティング組成物中の一つまたは複数の樹脂として使用されるとき、架橋剤も、当業者には周知のその他の添加剤と共に一般的には該組成物に添加される。加えて、発色団をその組成物に添加することができる。一実施形態によれば、第一の樹脂はポリエステルであって第二の樹脂がポリエーテルであり、または第一の樹脂と第二の樹脂が両方共ポリエーテルであり、または第一の樹脂はポリエーテルであって第二の樹脂がポリエステルであり、または第一の樹脂と第二の樹脂が両方共ポリエステルである。
【0013】
該反射防止コーティング組成物を形成するのに有用であるポリマーの一つの種類は、少なくとも一つのグリコルリル化合物を、少なくとも一つのヒドロキシ基および/または少なくとも一つの酸基を含有する少なくとも一つの反応性化合物と反応させることによって得られるポリエーテルポリマーである。このポリマーの一実施形態は、該反応性化合物が、二つ以上のヒドロキシ基(ポリヒドロキシ化合物またはポリオール)、二つ以上の酸基を含有する化合物(ポリ酸化合物)、またはヒドロキシおよび酸基の両方を含有するハイブリッド化合物を含む場合である。このポリマーの別の実施形態は、少なくとも一つのグリコルリル化合物を一つのヒドロキシ基または一つの酸基を含有する少なくとも一つの反応性化合物と反応させることによって得られる。さらに別の実施形態において、該ポリマーは、少なくとも一つのグリコルリル化合物を、少なくとも一つのヒドロキシ基または少なくとも一つの酸基を含有する少なくとも一つの反応性化合物と、二つ以上のヒドロキシ基を含む少なくとも一つの反応性化合物(ポリヒドロキシ化合物またはポリオール)、二つ以上の酸基を含有する化合物(ポリ酸化合物)、またはヒドロキシおよび酸基の両方を含有するハイブリッド化合物との混合物と反応させることによって得られる。前述のもののすべてにおいて、放射線を吸収する発色団基を該ポリマー中に存在させることができる。
【0014】
該ポリエーテルポリマーは、ヒドロキシ基および/または酸基を含有する反応性コモノマーのグリコルリル化合物との縮合反応から形成される。一実施形態について言えば、少なくとも二つの反応性の基(ヒドロキシおよび/または酸)が、該グリコルリルと反応するコモノマー中で利用できなければならない。該重合反応は、酸により触媒作用を受け得る。ある場合には、該グリコルリル化合物は、それ自身と、または別のポリオール、ポリ酸またはハイブリッド化合物と縮合させ、さらに、一つのヒドロキシおよび/または一つの酸基を有する化合物のポリマー中に組み込むことができる。かくしてそのポリマーは、グリコルリルおよびヒドロキシおよび/または酸基の混合物を含有する反応性化合物から誘導される複数のモノマー単位を含む。
【0015】
該グリコルリル化合物は、既知であって市販されており、米国特許第4064191号(特許文献1)にさらに記載されている。グリコルリル類は、2モルの尿素を1モルのグリオキザールと反応させることによって合成する。そのグリコルリルは、次にホルムアルデヒドにより完全にまたは部分的にメチロール化することができる。化学構造1に示されるような概要部分を含有するグリコルリル化合物が、本発明のポリマーのコモノマーとして有用であり、該ポリマー中に組み込まれることになる。
【0016】
【化1】

化学構造1
【0017】
該ポリマーを製造するのに有用なグリコウリル(glycouril)コモノマーの一つのタイプは、化学構造2を有しており、ここで、R、R、R、およびRは、独立して、Hまたは(C〜C10)アルキルである。
【0018】
【化2】

化学構造2
【0019】
グリコルリル類の例としては、例えば、テトラメチロールグリコルリル、テトラブトキシメチルグリコルリル、テトラメトキシメチルグリコルリル、部分的にメトイル化された(methoylated)グリコルリル、テトラメトキシメチルグリコルリル、ジメトキシメチルグリコルリル、ジメチロールグリコルリルのモノ−およびジメチルエーテル、テトラメチロールグリコルリルのトリメチルエーテル、テトラメチロールグリコルリルのテトラメチルエーテル、テトラキスエトキシメチルグリコルリル、テトラキスプロポキシメチルグリコルリル、テトラキスブトキシメチルグリコルリル、テトラキスアミルオキシメチルグリコルリル、テトラキスヘキソキシメチルグリコルリルなどが挙げられる。該グリコルリルは、また、オリゴマーの形をしていてもよい。
【0020】
該グリコルリルと重合するためのコモノマーとして有用なポリヒドロキシ化合物は、二つ以上のヒドロキシル基を含有するか二つ以上のヒドロキシル基を提供することができる化合物、例えば、ジオール、トリオール、テトロール、グリコール、二つ以上のヒドロキシル基を有する芳香族化合物、またはエンドキャップしたヒドロキシル基またはエポキシ基を有するポリマーなどであり得る。より具体的には、該ポリヒドロキシ化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、スチレングリコール、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキサンジオール、ブタンジオール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジエチルビス(ヒドロキシメチル)マロネート、ヒドロキノン、および3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールであり得る。芳香族ジオールのさらなる例は、ビスフェノールA、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールおよび2,2’−(1,2−フェニレンジオキシ)−ジエタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール、3−フェノキシ−1,2−プロパンジオール、2,2’−ビフェニルジメタノール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−ベンゼンジメタノール、2,2’−(o−フェニレンジオキシ)ジエタノール、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ナフタレンジオール、9,10−アントラセンジオール、9,10−アントラセンジメタノール、2,7,9−アントラセントリオール、その他のナフチルジオール類およびその他のアントラシルジオール類である。
【0021】
該グリコルリルと重合するための反応性コモノマーとして有用なポリ酸化合物は、二つ以上の酸基を含有するか二つ以上の酸基を提供することができる化合物、例えば、二塩基酸、三塩基酸、四塩基酸、酸無水物、二つ以上の酸基を有する芳香族化合物、芳香族酸無水物、芳香族二酸無水物、またはエンドキャップした酸基または酸無水物基を有するポリマーなどであり得る。より具体的には、該ポリ酸化合物は、フェニルコハク酸、ベンジルマロン酸、3−フェニルグルタル酸、1,4−フェニル二酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ピロメリット酸二酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸二酸無水物、ナフタレン二酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二酸無水物および1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二酸無水物、ならびにアントラセン二酸であり得る。
【0022】
ヒドロキシおよび酸基の混合物を含有するハイブリッド化合物もまた、コモノマーとして機能し、3−ヒドロキシフェニル酢酸および2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸の例が挙げられる。
【0023】
その反応性コモノマーは、ヒドロキシルおよび/または酸基を含有するのに加えて、放射線吸収性発色団も含有することができ、その場合、その発色団は、約450nm〜約140nmの範囲の放射線を吸収する。特に深紫外(250nm〜140nm)における像形成にとって有用な反射防止コーティングに対しては、芳香族部分が望ましい吸収特性を提供することが知られている。これらの発色団は、芳香族または複素乾式芳香族部分であり得、それらの例は、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のナフチル、および置換または非置換のアントラシルである。一般的に、アントラシル部分は248nm露光に対して有用であり、フェニル部分は193nm露光に対して有用である。該芳香族基は、ペンダント型のヒドロキシおよび/または酸基あるいはその芳香族部分に直接かその他の基を介するかのいずれかで結合しているヒドロキシまたは酸基(例えば、エポキシドまたは酸無水物)を提供することができる基を有することができ、これらのヒドロキシまたは酸基は、重合プロセスのための反応部位を提供する。例として、スチレングリコールまたはアントラセン誘導体は、化学構造2のグリコルリルと重合させることができる。
【0024】
特定の実施形態において、該ポリエーテルポリマーは、基本的にグリコルリル化合物の縮合生成物であり、モノヒドロキシおよび/またはモノ酸化合物とさらに反応する。該ポリマーは、複数ヒドロキシ基、複数酸基またはヒドロキシルおよび酸基の混合物を含むモノマーから誘導される構成単位をさらに含むことができる。該グリコルリル化合物、複数ヒドロキシ基、複数酸基またはヒドロキシおよび酸基の混合物は、本出願書類中に既に記載されている。該グリコルリル化合物は、自己縮合してポリマーを形成し、次いでモノヒドロキシ化合物と反応して該発色団を組み込む。
【0025】
別法では、該グリコルリル化合物はポリオール、ポリ酸またはハイブリッド化合物と反応してポリマーを生じ、それが単官能ヒドロキシまたは一酸の基を含有する化合物(複数可)とさらに反応する。そのポリマーは、自己架橋性ポリマーとして使用することができる。モノヒドロキシおよび一酸化合物の非限定の例としては、発色団基も有するものが挙げられ、そのような化合物の例はフェノール、o−クレゾール、2−エトキシフェノール、p−メトキシフェノール、m−クレゾール、4−エチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−フルオロフェノール、2,3−ジメトキシフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、2−フェニルフェノール、4−(ベンジルオキシ)フェノール、ベンジルアルコール、2−メチルベンジルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、3−(トリフルロメチル)ベンジルアルコール、4−エチルベンジルアルコール、4−エトキシベンジルアルコール、4−(トリフルロメトキシ)ベンジルアルコール、3,5−ジフルロベンジルアルコール、2,4,5−トリメトキシベンジルアルコール、4−ベンジルオキシベンジルアルコール、1−ナフタレンエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、2,2−ジフェニルエタノール、4−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、4−メトキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、フェニル酢酸、1−ナフチル酢酸などである。
【0026】
該ポリエーテルポリマーは、既に記載されているコモノマーを重合することによって合成される。一般的には、望ましいグリコルリルまたは複数のグリコルリルの混合物を、ポリオール、ポリ酸、酸およびヒドロキシル基を有するハイブリッド化合物、一つのヒドロキシ基を有する反応性化合物、一つの酸基を有する反応性化合物またはそれらの混合物である反応性化合物と適当な酸の存在下で反応させる。そのポリマーは、反応する二つの結合部位を有するグリコルリルにより生み出された線状ポリマーであるか、該グリコルリルが該ポリマーに連結した二つを超える反応部位を有する場合は網状ポリマーであり得る。その他のコモノマーも反応混合物中に加えて重合し、本発明のポリマーを生じさせることができる。強酸、例えばスルホン酸などをその重合反応のための触媒として使用することができる。適切な反応温度および時間を、望ましい物理的性質、例えば分子量など、を有するポリマーを生じるために選択する。一般的に、該反応温度は、室温近くから約150℃までの範囲であり得、該反応時間は、20分から約24時間までであり得る。該ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、約1,000〜約50,000の範囲、さらには約3,000から約40,000まで、よりさらには約4,500から約40,000まで、なおもよりさらには特定の用途に対して約5,000から約35,000までである。その重量平均分子量が1,000を下回るような低いときは、該反射防止コーティングのための良好な膜形成性が得られず、その重量平均分子量が高すぎるときは、溶解性、保存安定性などの特性に障害が起こり得る。しかしながら、本発明で使用される低めの分子量のポリマーは、特にその低めの分子量のポリマーの分子量が約500から約20,000まで、さらには約800から約10,000までの範囲である場合、別の架橋性ポリマーと併用して、架橋性化合物としてよく機能することができる。
【0027】
このタイプのポリマーは、2004年9月15日出願の米国特許出願第10/941221号(特許文献2)および2005年6月22日出願の米国特許出願第11/159002号(特許文献3)にさらに開示されており、その両方の出願の内容は、これにより、参照によって本明細書に組み込む。
【0028】
該反射防止コーティング組成物を形成するために使用することができる別のポリマーはポリエステルである。これらのポリマーは、カルボキシ含有化合物(例えば、カルボン酸、エステル、酸無水物など)とヒドロキシ含有化合物、例えば複数のヒドロキシ基を有する化合物、例えば、エチレングリコールもしくはプロピレングリコール、またはグリセロール、あるいはその他のジオール類、トリオール類、テトラオール類など、との重合によって大抵はもたらされる。
【0029】
一つの有用なタイプのポリエステルは、二酸無水物とジオールとが実質的に化学量論量で存在する中で、場合によっては触媒の存在下で、その二酸無水物をそのジオールと反応させることによって提供される。その形成されたポリエステルは、(A)そのポリエステル上のカルボキシル基を一価アルコール類およびそれらの混合物から選択されるキャッピング化合物により場合によっては触媒の存在下で部分的または完全にエステル化するか、(B)該ポリエステル上のいくらかもしくは全部のカルボキシル基を、そのカルボキシル基を、芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカーボネートおよびそれらの混合物から選択されるヒドロキシル形成性化合物と、場合によっては触媒の存在下で反応させることによってヒドロキシル基に転化するか、のいずれかによってさらに処理することができる。ある場合には、その重合は該ポリエステルが溶解しない溶媒を含む媒体中で行うのが好都合であり得る。
【0030】
上記のポリエステル類は、また、次のような様々なその他の方法でも製造することができる。それらは、(1):(i)二酸無水物とジオールとが実質的に化学量論量で存在するその二酸無水物をそのジオールと場合によっては触媒の存在下で反応させるステップ、(ii)ステップ(i)の媒体から該ポリエステルを分離するステップ、および(iii)ステップ(ii)の該ポリエステル上のカルボキシル基を、場合によっては触媒の存在下で、一価アルコール類およびそれらの混合物から選択されるキャッピング化合物により部分的または完全にエステル化するステップを含む方法;(2):(i)二酸無水物とジオールとが実質的に化学量論量で存在するその二酸無水物をそのジオールと場合によっては触媒の存在下で反応させるステップ、(ii)ステップ(i)の媒体から該ポリエステルを分離するステップ、および(iii)ステップ(ii)のポリエステル上のいくらかもしくは全部のカルボキシル基を、そのカルボキシル基を、芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカーボネートおよびそれらの混合物から選択されるヒドロキシル形成性化合物と、場合によっては触媒の存在下で反応させることによってヒドロキシル基に転化するステップを含む方法;(3):(i)二酸無水物とジオールとが実質的に化学量論量で存在するその二酸無水物をそのジオールと場合によっては触媒の存在下で反応させるステップ、および(ii)ステップ(i)の該ポリエステル上のカルボキシル基を、場合によっては触媒の存在下で、一価アルコール類およびそれらの混合物から選択されるキャッピング化合物により部分的または完全にエステル化するステップを含む方法;(4):(i)二酸無水物とジオールとが実質的に化学量論量で存在するその二酸無水物をそのジオールと場合によっては触媒の存在下で反応させるステップ、および(ii)ステップ(i)のポリエステル上のいくらかもしくは全部のカルボキシル基を、そのカルボキシル基を、芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカーボネートおよびそれらの混合物から選択されるヒドロキシル形成性化合物と、場合によっては触媒の存在下で反応させることによってヒドロキシル基に転化するステップを含む方法;ならびに(5):(i)反応条件下で、二酸無水物、ジオール、および芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカーボネートおよびそれらの混合物から選択されるヒドロキシル形成性化合物を一緒に混合して、該二酸無水物と該ジオールとが実質的に化学量論量で存在するその二酸無水物をそのジオールと反応させるステップ、(ii)(i)の混合物を該ポリエステル上のカルボキシル基が該ヒドロキシル形成性化合物と反応する条件下で反応させてカルボキシル基をヒドロキシル基に転化させるステップ、および(iii)ステップ(ii)からのポリエステルを分離するステップを含み、場合によって、触媒をステップ(ii)の前に該混合物に添加することができる方法である。
【0031】
ある場合には、該ポリエステルを形成するその重合は該ポリエステルが溶解しない溶媒を含む媒体中で行うのが好都合であり得る。
【0032】
上記の方法において、形成されたそのポリエステルは、その反応媒体から分離し、様々な製品を調合するのにさらに使用することができる。
【0033】
キャッピング化合物の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、t−ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−n−オクタノール、2−n−オクタノールなどが挙げられる。該ヒドロキシル形成性化合物の例としては、スチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0034】
上記の方法のために、該二酸無水物は、式
【0035】
【化3】

を有することができ、式中、Aは、非置換または置換脂肪族、非置換または置換芳香族、非置換または置換脂環式、非置換または置換複素環式の基およびそれらの組合せからなる群から選択される四価の基である。四価の基Aは、
【0036】
【化4】

から選択することができ、式中、R30は、同じであるか異なり、水素、非置換または置換ヒドロカルビル基、またはハロゲンから選択され;Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立して、水素、および非置換または置換ヒドロカルビル基から選択され;n=1〜4、n1=1〜6、n2=1〜8、n3=1〜4であり;R20は、直接結合、O、CO、S、COO、CHO、CHL、CL、CHCOO、SO、CONH、CONL、NH、NL、OWO、OW、WO、WOW、およびWから選択され、ここで、Lは、非置換または置換ヒドロカルビル基であり、Wは、非置換または置換ヒドロカルビレン基である。該化合物の式のいくつかの例としては、
【0037】
【化5】

が挙げられる。
【0038】
該二酸無水物の例としては、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(メチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジヨードピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(無水フタル酸)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物;2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−(1,3−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−オキシジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−メチレンジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、ヒドロキノンジエーテル二無水物、4,4’−ビフェノキシ二無水物、およびビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0039】
上記の方法のために、該ジオールは、式
HO−B−OH (2)
を有することができ、式中、Bは、非置換または置換ヒドロカルビレン基である。Bの例としては、場合によって一つまたは複数の酸素またはイオウ原子を含有する非置換または置換直鎖または分枝アルキレン、非置換または置換アリーレン、および非置換または置換アラルキレンが挙げられる。さらなる例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、1−フェニル−1,2−エチレン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロピレン、2−ブロモ−2−メチル−1,3−プロピレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、または−CHCHSCHCHSCHCH−が挙げられる。
【0040】
本発明の方法のために、該二酸無水物は、一つまたは複数の二酸無水物の混合物であり得る。加えて、該ジオールは、一つまたは複数のジオールの混合物であり得る。
【0041】
本明細書で使用される「実質的に化学量論量」とは、二酸無水物/ジオールのモル比が、約1、および一般に約0.90〜約1.20の間であることを意味する。一般的には、二酸無水物またはジオールいずれかのわずかな過剰を、分子量を制御するために使用することができる。
【0042】
本明細書で用いられる用語「ヒドロカルビル基」は、当業者には周知であるその普通の意味で、大部分は炭化水素の特徴を有する部分から一つの水素原子を除去することによって形成された一価基として使用される。非置換または置換されていることができるヒドロカルビル基の例としては、以下の(1)〜(4)が挙げられる。
【0043】
(1)炭化水素基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキル、アルキレニルまたはアルケニル)、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、芳香族、脂肪族および脂環式置換芳香族置換基、ならびに環が分子の別の部分によって出来上がっている(例えば二つの置換基が一緒に脂環式の基を形成する)環状の置換基;単環式もしくは多環式アルキレン、アリーレン、アラルキレン。該単環式シクロアルキレン基の例としては、4個から50個までの炭素原子を有することができる、例えば、シクロペンチレンおよびシクロへキシレン基などが挙げられ、該多環式シクロアルキレン基は5個から50個までの炭素原子を有することができ、例えば、7−オキサビシクロ[2,2,1]ヘプチレン、ノルボルニレン、アダマンチレン、ジアマンチレン、およびトリアマンチレンなどが挙げられる。
【0044】
アリーレン基の例としては、単環式および多環式の基、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニル−4,4’−ジイル、ビフェニル−3,3’−ジイル、およびビフェニル−3,4’−ジイル基などが挙げられる。
【0045】
アリールは、単環または複数の凝縮した(縮合)環を有する6個から50個までの炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を意味し、以下に限定はされないが、例えば、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、ナフチル、アントリル、9,10−ジメトキシアントリル基などが挙げられる。
【0046】
アラルキルは、アリール基を含有するアルキル基を意味する。それは、アルキルの水素原子が、例えば、トリル、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル基などのアリール基によって置換されている芳香族および脂肪族構造の両方を有する炭化水素基である。
【0047】
(2)炭素および水素以外の原子を含有するが、事実上大部分は炭化水素であり、その他の原子の例が、イオウ、酸素または窒素であり、単独で存在するか(例えばチオまたはエーテル)またはエステル、カルボキシ、カルボニルなどのような官能基結合部分として存在し得る炭化水素基。
【0048】
(3)置換炭化水素基、すなわち、本発明との関連で大部分は炭化水素の置換基を変えない非炭化水素基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、スルホキシなど)を含有する置換基。
【0049】
(4)へテロ置換基、すなわち、大部分は炭化水素の特徴を有するが、本発明との関連で、別なふうに炭素原子からなる環または鎖中に炭素以外を含有する置換基である。ヘテロ原子としては、イオウ、酸素、窒素が挙げられ、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を含む。一般に、わずかに二つ、好ましくはわずかに一つの非炭化水素置換基が該ヒドロカルビル基中の10個の炭素原子毎に存在し、典型的には該ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。
【0050】
ヒドロカルビル基の例は、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝脂肪族(C1〜50)アルキル基、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝脂肪族(C1〜50)アルキレン基、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝チオアルキレン脂肪族(C1〜50)基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン、置換もしくは非置換のベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、置換アリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ベンジル、置換ベンジル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミド、またはそれらの混合物である。
【0051】
Zがヒドロカルビル基であるとき、例としては、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ベンジル、置換ベンジル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、アンモニウム、アルキルアンモニウム、−(CHOH、−O(CHO(CH)OH、−(OCHCHOH(ここで、k=1〜10)、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
本明細書で用いられるとき、ヒドロカルビレン基は、大部分は炭化水素の特徴を有する部分から二つの水素原子を除去することによって形成される、その遊離の価が二重結合には関与していない二価の基である。例えば、ヒドロカルビレン基としては、アルキレン、チオアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、以下に示すWの例などが挙げられるがこれらに限定はされない。
【0053】
Wの例は、非限定で、置換もしくは非置換の脂肪族(C〜C50)アルキレン、置換もしくは非置換の脂肪族(C〜C50)チオアルキレン、(C〜C50)シクロアルキレン、置換(C〜C50)シクロアルキレン、ヒドロキシアルキレン、アルコキシアルキレン、アルコキシアリーレン、アルキルアリーレン、(C〜C50)アルケニレン、ビフェニレン、フェニレン、非置換もしくは置換アリーレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリーレン、ハロアルキレン、またはそれらの混合物である。Lの例は、非限定で、(C〜C50)アルキル、置換(C〜C50)アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、オキソシクロアルキル、環状ラクトン、ベンジル、置換ベンジル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはそれらの混合物である。
【0054】
上の定義において、および本出願書類を通して、脂肪族とは大部分は非芳香族の炭化水素鎖を意味する。置換もしくは非置換アルキレンまたはチオアルキレン(C〜C50)基とは、大部分は直鎖もしくは分枝の50個までの炭素原子を含有していることができる炭化水素鎖であり、その置換基が、その鎖の炭化水素の性質を一般的には変化させないもので、すべて当業者には周知の有機化合物、例えば、エーテル、エステル、ヒドロキシル、アルキノール、シアノ、ニトロ、アシル、ハロゲン、フェニルおよび置換フェニルなどであり得るアルキレンまたはチオアルキレン基を意味する。アルキルは、50個までの炭素原子を含有する炭化水素鎖を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどであり得る。チオアルキレン基は、その鎖中に一つまたは複数のイオウ原子を含有する。オキソアルキレン基は、該鎖中に一つまたは複数の酸素原子を含有する。直鎖または分枝したものであり得る脂肪族置換もしくは非置換アルキレン(C〜C50)基の例は、非限定で、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、メチルヘキシレン、エチルオクチレン、フェニルアルキレン、ニトロアルキレン、ブロモニトロアルキレン、置換フェニルアルキレンなどである。脂肪族置換もしくは非置換チオアルキレン(C〜C50)基の例は、非限定で、3,6−ジチオ−1,8−オクチレン(2,2’−(エチレンチオ)ジエタノールとしても知られる3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオールからの式−CHCHSCHCHSCHCH−を有する1,2−ビス(エチルチオ)エチレンとしても知られる)である。該シクロアルキル基は、単環または多環であり得、その例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ならびに上記のものであり得、上記と同じように非置換もしくは置換されていてもよい。アリールは、置換もしくは非置換の芳香族基、例えば、フェニルまたはナフチルまたはアントラシルなどを意味する。該アリール基は、該ポリマー主鎖の一部であるか該主鎖に結合していることができる。ハロゲンは、フッ素、塩素および臭素を意味する。
【0055】
Bの例としては、上記のヒドロカルビレン基、例えば、アルキレン、チオアルキレン、オキソアルキレン、芳香族またはそれらの混合物、フェニルおよびナフチルならびにそれらの置換変形物が挙げられる。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、−CHCHSCHCHSCHCH−、フェニルエチレン、アルキルニトロアルキレン、ブロモニトロアルキレンなどが挙げられる。
【0056】
その他の例としては、R20がCOまたはSOであり、Bがアルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、−CHCHSCHCHSCHCH−、フェニルエチレン、アルキルニトロアルキレン、ブロモニトロアルキレン、フェニルまたはナフチルであるものが挙げられる。
【0057】
式(2)の化合物によって表される本発明のポリマーを合成するために使用されるジオール類の例は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジエチルビス(ヒドロキシメチル)マロネート、1,6−ヘキサンジオール、および3,6−ジチオ−1,8−オクタンジオールであり、これらを含む。芳香族ジオール類の例は、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールおよび2,2’−(1,2−フェニレンジオキシ)−ジエタノール、1,4−ベンゼンジメタノールである。
【0058】
該ジオール類は、その例として芳香族二酸無水物を含み、それらの例としてピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(メチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジヨードピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(無水フタル酸)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物;2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−(1,3−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−オキシジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−メチレンジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、ヒドロキノンジエーテル二無水物、4,4’−ビフェノキシ二無水物、およびビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物が挙げられる本発明の式(1)の二酸無水物化合物と縮合される。
【0059】
一般的にポリエステルは、該ポリエステルが溶解しない溶媒を含む媒体中で二酸無水物とジオールとの反応によって最初は調製される。そのポリエステルは、(A)そのポリエステル上のカルボキシル基を一価アルコール類およびそれらの混合物から選択されるキャッピング化合物により触媒の存在下で部分的または完全にエステル化する、または(B)該ポリエステル上のいくらかもしくは全部のカルボキシル基を、そのカルボキシル基を、芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカーボネートおよびそれらの混合物から選択されるヒドロキシル形成性化合物と、場合によっては触媒の存在下で反応させることによってヒドロキシル基に転化することによってさらに変性することができる。
【0060】
一価アルコール類の例としては、直鎖または分枝のC〜C10アルカノール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−n−オクタノール、2−n−オクタノールなどが挙げられる。
【0061】
該ヒドロキシル形成性化合物は、芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカーボネートおよびそれらの混合物から選択される。
【0062】
芳香族オキシド類としては、スチレンオキシド、1,2−エポキシ−フェノキシプロパン、グリシジル−2−メチルフェニルエーテル、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、1−フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、2−(または3−または4−)ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)スチルベンオキシド、ベンジルグリシジルエーテル、C1〜10直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、および同類のものなど)フェニルグリシジルエーテル、4−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)フェニルグリシジルエーテル、グリシジル4−C1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)フェニルエーテル、2,6−ジハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)ベンジルメチルエーテル、3,4−ジベンジルオキシベンジルハライド(クロリド、フルオリド、ブロミド、ヨーダイド)、2−(または4−)メトキシビフェニル、3,3’−(または4,4’−)ジC1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)ビフェニル、4,4’−ジメトキシオクタフルオロビフェニル、1−(または2−)C1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)ナフタレン、2−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−6−メトキシナフタレン、2,6−ジC1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)ナフタレン、2,7−ジC1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)ナフタレン、1,2,3,4,5,6−ヘキサハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−7−C1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)ナフタレン、9,10−ビス(4−C1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)フェニル)−アントラセン、2−C1〜10直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、および同類のものなど)−9,10−ジC1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)アントラセン、9,10−ビス(4−C1〜10直鎖または分枝鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、および同類のものなど)フェニル)−2−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−アントラセン、2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレン、グリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル、4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、[(4−(1−ヘプチル−8−[3−(オキシラニルメトキシ)フェニル]−オクチル)フェノキシ)メチル]オキシラン、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテル、ヒドロキシフェノールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0063】
脂肪族オキシド類の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびイソブチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドを包含するブチレンオキシド類、ペンチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、デシルグリシジルエーテル、ならびにドデシルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0064】
アルキレンカーボネート類の例としては、式
【0065】
【化6】

を有し、式中、R40はC〜Cアルキルであり、該脂肪族環の炭素が非置換またはC〜C10アルキル、C〜C10アリール、またはC〜C15アラルキル基から選択される基により置換されているそのような化合物が挙げられる。アルキレンカーボネート類の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびブチレンカーボネートである。
【0066】
該ジオールと二酸無水物との反応は、望ましい分子量を有する該ポリエステルが溶解しない溶剤または溶剤の混合物を含む媒体中、または場合によっては、溶剤が存在せずに、例えば、該二酸無水物、ジオール、およびヒドロキシル形成性化合物が一緒に混合される過程で、液体の形としてか、例えばエチレンカーボネートのように固体のときは、その融点まで加熱することによって該ヒドロキシ形成性化合物が溶媒として機能することができるかのいずれかの、反応物が液体状態である中で行うことができる。有用である溶媒の例としては、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)/アセトニトリルの混合物、およびTHF/ジオキサンの混合物が挙げられる。反応が進行するとき形成されたポリエステルが溶液から析出するように、二酸無水物とジオールは溶解し、ポリエステルは溶解しない媒体を使用するのが好都合である。
【0067】
該反応が起こる温度は、一般にほぼ室温から約170℃までの範囲である。その反応時間は約4時間から約48時間まで変化し得る。
【0068】
該二酸無水物、ジオール、ならびに、芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカーボネート、およびそれらの混合物から選択されるヒドロキシル形成性化合物が、該二酸無水物が該ジオールと反応する反応条件下で一緒に混合される場合、該二酸無水物と該ジオールとは実質的に化学量論量で存在し、その混合は場合によっては該ポリエステルが溶解しない媒体中で起こり、該反応条件は、一般的には、約50℃から約140℃まで変動する温度で約3時間から約24時間までの反応時間である。場合によって、形成されたポリエステルとヒドロキシル形成性化合物との反応を継続するために、触媒をその混合物に添加することができる。その混合物の温度は、該二酸無水物を該ジオールと反応させるために用いたものと同じであるか、例えば、約60℃から約170℃までの異なる範囲であり得る。その反応時間は、4時間から24時間までの範囲であり得る。
【0069】
ヒドロキシル形成性化合物による該ポリエステルの処理は、そのヒドロキシ形成性化合物が該ポリエステルと反応する温度によって、概して線状のポリエステルまたは部分的に架橋したポリエステルのいずれかをもたらすことができる。大まかに、その反応温度がおよそ80℃以下である場合、得られるポリエステルは概して線状である。大まかに、その反応温度がおよそ80℃以上である場合、得られるポリエステルは概していくらかの部分的な架橋が起こっている。
【0070】
該ヒドロキシル形成性化合物とポリエステルとの反応は、通常は不活性ガス雰囲気下の大気圧で行われる。しかしながら、該ヒドロキシル形成性化合物が該反応温度より低い沸点を有し、さらなる溶媒を使用しない場合は、高めた圧力を使用することができる。
【0071】
本方法によって調製された該ポリマーの典型的な重量平均分子量は、約1,500〜約300,000の範囲、さらには約1,500から約180,000まで、さらには約4,000から約60,000まで、よりさらには約10,000から約30,000までである。その重量平均分子量が1,500を下回るときは、該反射防止コーティングのための良好な膜形成性が得られず、その重量平均分子量が高すぎるときは、溶解性、保存安定性などの特性に障害が起こり得る。
【0072】
該ポリエステルの該反応媒体からの回収は、在来法によって行うことができる。例えば、該ポリエステルを析出物として含有するその反応混合物を濾過してその固体のポリマーを取り除くことができる。固体のモノマーは、そのとき、水またはエーテルですすぎ落とすことができる。該ポリエステルは、また、該反応混合物を該ポリエステルに対する非溶媒中に注ぎ、析出した生成物を回収することによって単離することもできる。さらに、該ポリエステルは、該溶媒を真空蒸留により除去することによって単離することができる。
【0073】
該二酸無水物とジオールとの間の反応は一般的には触媒の存在を必要としないが、当業者には周知の触媒を、反応速度を増すために添加することができる。触媒は、該ポリエステル(二酸無水物とジオールとの間の反応からの)をキャッピング化合物またはヒドロキシ形成性化合物のいずれかと反応させるとき、場合によって使用することができる。適当な触媒の例としては、オニウム塩類、例えば、ホスホニウム、アンモニウム、またはスルホニウム塩が挙げられる。例として、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、およびベンジルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。該ポリエステルをキャッピング化合物と反応させるとき、硫酸などの無機酸類を使用することもできる。
【0074】
これらのポリエステル類の例としては、式(3)、(4)および(5)
【0075】
【化7】

[式中、Yは、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル連結基であり、R、R、R’およびR”は、独立して、水素、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基、ハロゲン、−O(CO)Z、−C(CFZ、−C(CF(CO)OZ、−SOCF、−(CO)OZ、−SOZ、−COZ、−OZ、−NZ、−SZ、−SOZ、−NHCOZ、−NZCOZまたは−SONZであり、ここで、Zは、Hまたは1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、n=1〜4、n’=1〜4であり、Xは、O、CO、S、COO、CHO、CHCOO、SO、NH、NL、OWO、OW、WO、WOW、Wであり、ここで、Lは、非置換または置換ヒドロカルビル基であり、Wは非置換または置換ヒドロカルビレン基であり、m=0〜3である]
から選択される少なくとも一つの単位を含むものが挙げられる。
【0076】
さらなる例として、R、R、R’およびR”が、独立して、Z、−O(CO)OZ、−C(CFZ、−C(CF(CO)Z、−SOCF、−(CO)OZ、−SOZ、−COZ、−OZ、−NZ、−SZ、−SOZ、CN、NO、−NHCOZ、−NZCOZまたは−SONZ、またはそれらの混合物であり、ここで、Zが、独立して、H、またはヒドロカルビル基である式(3)〜(5)が挙げられる。さらに、ここで、Zは、H、ハロゲンまたはアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ベンジル、置換ベンジル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アンモニウム、アルキルアンモニウム、またはそれらの混合物である。Zの例として、ここで、−(CHOH、−O(CHO(CH)OH、−(OCHCHOH(ここで、k=0〜10である)を示すが、これらに限定はされない。
【0077】
さらなる実施形態は、式(6)〜(9):
【0078】
【化8】

[式中、Yは、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル連結基であり、R、R、R’およびR”は、独立して、水素、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基、ハロゲン、−O(CO)Z、−C(CFZ、−C(CF(CO)OZ、−SOCF、−(CO)OZ、−SOZ、−COZ、−OZ、−NZ、−SZ、−SOZ、−NHCOZ、−NZCOZまたは−SONZであり、ここで、Zは、Hまたは1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、n=1〜4、n’=1〜4であり、Xは、O、CO、S、COO、CHO、CHCOO、SO、NH、NL、OWO、OW、WO、WOW、Wであり、ここで、Lは、非置換または置換ヒドロカルビル基であり、Wは非置換または置換ヒドロカルビレン基であり、m=0〜3である]
によって表されるポリエステル類を含む。
【0079】
該ポリエステルの特定の実施形態において、Yは、アルキレン、チオアルキレン、芳香族またはそれらの混合物であり、さらなる実施形態は、Yが、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、−CHCHSCHCHSCHCH−、フェニルエチレン、ジチアオクチレン、アルキルニトロアルキレン、ブロモニトロアルキレン、フェニル、ナフチル、およびそれらの誘導体であるものを含む。
【0080】
別の実施形態において、Xは、COまたはSOであり、Yはアルキレンであり、さらに言えば、ここで、Yは、メチレン、エチレン、プロピレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、−CHCHSCHCHSCHCH−、フェニルエチレン、アルキルニトロアルキレン、ブロモニトロアルキレン、フェニルまたはナフチルである。
【0081】
これらのポリマーを合成するために使用することができY成分を表すことができるモノマーのいくつかとしては、例えば、ジオール類、グリコール類およびオキシド類が挙げられ、それらの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレン類のオキシド、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジエチルビス(ヒドロキシメチル)マロネート、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどである。芳香族ジオール類の例は、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールおよび2,2’−(1,2−フェニレンジオキシ)−ジエタノール、1,4−ベンゼンジメタノールである。
【0082】
場合によっては、該反射防止コーティングの耐エッチング性および吸光性を制御することが重要である。特に200nm未満で像を形成するために反射防止コーティングの所望のエッチング速度を提供するためには、ポリマーの芳香族性の度合いを変えることができる。高いエッチング速度のためには、ポリマー主鎖中のY成分は好ましくは非芳香族である。芳香族類がエッチング速度を低下させることは当業者には一般に知られている。遅いエッチング速度および/または高い吸光度のためには、そのY成分が強い芳香族性である芳香族性の強いポリマーが望ましい。しかしながら、いくつかの実施形態、特に200nm未満の波長で像を形成する場合には、Yに対して脂肪族モノマーを、または脂肪族モノマーと芳香族モノマーとの適当な混合物を使用してエッチング速度および吸光度を制御することによって最適な性能を得ることができる。該芳香族官能基は、ポリマー内の他の官能点において組み入れることもできる。
【0083】
このタイプのポリマーは、2002年11月21日出願の米国特許出願第10/301462号(特許文献4)および2004年4月5日出願の米国特許出願第10/817987号(特許文献5)にさらに開示されており、その両方の出願の内容は、これにより、参照によって本明細書に組み込む。
【0084】
該反射防止コーティング組成物は、少なくとも、例えば上記のポリマーに基づく第一の樹脂および第二の樹脂および有機溶剤を含む。場合によっては、酸および/または酸発生剤をその組成物に加えてもよい。さらに、架橋剤を加えてもよいが、その反射防止コーティング組成物がすべてポリエーテルに基づくポリマーで構成されている場合はその反射防止コーティングの性能に対して完全に必須ではない。ポリエステルポリマーが使用されている場合は、架橋剤は一般的に添加される。一般に、より安定した膜が要求される場合、ポリマー状の架橋剤の方がモノマー状の架橋剤より好ましい可能性がある。これらの架橋剤は、該ポリマーと結合できる反応部位(例えば、ヒドロキシ、カルボキシなど)を有する。
【0085】
架橋剤は、酸の作用のもとで、架橋構造を形成することができるような作用物質である。架橋剤のいくつかの例としては、アミノプラスト類、例えば、グリコルリルホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、および尿素ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。メチル化および/またはブチル化した形のこれらの樹脂の使用は触媒のある形での長い保存寿命(3〜12カ月)を得るのに役立つ。2未満の重合度を有する高度にメチル化したメラミンホルムアルデヒド樹脂が有用である。モノマー状のメチル化グリコルリルホルムアルデヒド樹脂は、酸感応性フォトレジストと共に使用することができる熱硬化性ポリエステル反射防止コーティングを調製するために有用である。一つの例は、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコルリルである。N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコルリルの例としては、例えば、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコルリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコルリル、N,N,N,N−テトラ(n−プロポキシメチル)グリコルリル、N,N,N,N−テトラ(i−プロポキシメチル)グリコルリル、N,N,N,N−テトラ(n−ブトキシメチル)グリコルリルおよびN,N,N,N−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコルリルを挙げることができる。N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコルリルは、Cytec Industriesから商標POWDERLINK(例えば、POWDERLINK 1174)のもとで入手できる。その他の例としては、メチルプロピルテトラメトキシメチルグリコルリル、およびメチルフェニルテトラメトキシメチルグリコルリルが挙げられる。類似の材料が、三和ケミカル(日本)からニカラックの商品名で同様に入手できる。
【0086】
その他のアミノプラスト架橋剤は、Cytec Industriesから商標CYMELのもとで、およびMonsanto Chemical Co.から商標RESIMENEのもとで市販されている。その他のアミン類およびアミド類の縮合生成物、例えば、トリアジン類、ジアジン類、ジアゾール類、グアニジン類、グアニミン類(guanimines)のアルデヒド縮合物ならびにアルキルおよびアリール置換メラミン類を含めたかかる化合物のアルキルおよびアリール置換誘導体も採用することができる。かかる化合物のいくつかの例は、N,N’−ジメチル尿素、ベンゾ尿素、ジシアンジアミド、ホルモグアナミン(formaguanamine)、アセトグアナミン、アメリン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、3,5−ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2−メルカプト4,6−ジアミノピリミジン、3,4,6−トリス(エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素、メチロールベンゾグアナミンまたはそのアルキルエーテル化合物、例えばテトラメチロールベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミンおよびトリメトキシメチルベンゾグアナミンなど、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)4−メチルフェノールまたはそのアルキルエーテル化合物、4−t−ブチル−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノールまたはそのアルキルエーテル化合物、5−エチル−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−オン(通常名:N−エチルジメチロールトリアジン)またはそのアルキルエーテル化合物、N,N−ジメチロールトリメチレン尿素またはそのジアルキルエーテル化合物、3,5−ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ−1,3,5−オキサジアジン−4−オン(通常名:ジメチロールウロン)またはそのアルキルエーテル化合物、およびテトラメチロールグリオキサザルジウレイン(tetramethylolglyoxazaldiurein)またはそのジアルキルエーテル化合物などである。
【0087】
その他の可能な架橋剤としては、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールおよび東ソー(株)の日本国公開特許公報、特開平1−293339(特許文献6)、に見出されるものなどの化合物、メチロールメラミン類、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、およびテトラメチロールメラミンなど、ならびにエーテル化アミノ樹脂、例えば、アルコキシル化メラミン樹脂(例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミンおよびテトラメトキシメチルメラミン)またはメチル化/ブチル化グリコルリル類、例えば、そのほかにCiba Specialty Chemicalsに対するカナダ特許第1204547号(特許文献7)に見出されるものなどが挙げられる。その他の例としては、例えば、N,N,N,N−テトラヒドロキシメチルグリコルリル、2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,2’,6,6’−テトラヒドロキシメチルビスフェノールA、1,4−ビス[2−(2−ヒドロキシプロピル)]ベンゼン、および同種のものなどが挙げられる。架橋剤のその他の例としては、その内容が参照により組み込まれる米国特許第4581321号(特許文献8)、米国特許第4889789号(特許文献9)、およびドイツ特許出願公開第3634371号(特許文献10)に記載されているものが挙げられる。様々なメラミン樹脂および尿素樹脂が、ニカラック(三和ケミカル)、Plastopal(BASF AG)、またはMaprenal(Clariant GmbH)の商品名のもとで市販されている。
【0088】
本発明の酸発生剤、好ましくは、熱酸発生剤は、90℃を超え、250℃未満の温度に加熱したとき酸を発生する化合物である。その酸は、該ポリマーを架橋させることができる。熱処理した後の該反射防止コーティングは、フォトレジストを塗布するために使用される溶媒中に不溶性となり、さらに、そのフォトレジストを像にするために使用するアルカリ性現像液中にも不溶性である。殆どの場合、その熱酸発生剤は、約90℃で、さらに約120℃より上で、ましてやなおもさらに約150℃より上で活性化される。該反射防止コーティングは、該コーティングを架橋するのに十分な長さの時間加熱される。熱酸発生剤の例は、ニトロベンジルトシレート類、例えば、2−ニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、4−ニトロベンジルトシレートなど、ベンゼンスルホネート類、例えば、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネートなど、フェノールスルホネートエステル類、例えば、フェニル、4−メトキシベンゼンスルホネートなど、有機酸のアルキルアンモニウム塩類、例えば10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などである。
【0089】
該反射防止組成物中で遊離の酸類も使用することができるが、もしそのポリマーが溶液中で架橋できる場合は、時間とともに該反射防止溶液の保存性はその酸の存在によって影響される可能性があるので、熱酸発生剤が遊離の酸よりも好ましい。熱酸発生剤は、該反射防止コーティングが基板上で加熱されるときにのみ活性化される。さらに、熱酸類と遊離酸類の混合物を使用することができる。熱酸発生剤は、該ポリマーを効果的に架橋するために好ましいが、加熱によって該ポリマーが架橋する場合は該ポリマーと場合によっては架橋剤を含む反射防止コーティング組成物を使用することもできる。遊離酸の例は、非限定で、スルホン酸類などの強酸類である。スルホン酸類、例えば、トルエンスルホン酸、トリフリック酸またはこれらの混合物などが有用である。
【0090】
該組成物は、光酸発生剤をさらに含有することができ、非限定でのその例は、オニウム塩類、スルホネート化合物類、ニトロベンジルエステル類、トリアジン類などである。好ましい光酸発生剤は、オニウム塩類およびヒドロキシイミド類のスルホネートエステル類、特にジフェニルヨードニウム塩類、トリフェニルスルホニウム塩類、ジアルキルヨードニウム塩類、トリアルキルスルホニウム塩類、およびそれらの混合物である。
【0091】
本組成物のために使用することができる混合物としてまたは単独で使用される代表的な溶媒は、非限定で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、および乳酸エチル(EL)、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチル−2−ヒドロキシイソブチレート、およびγブチロラクトン、ならびに電子材料において一般的に使用されるその他の溶媒である。低度の毒性、良好なコーティング特性および溶解特性を有する溶剤が一般に好ましい。
【0092】
該反射防止コーティング組成物は、上記ポリマー、上記酸発生剤、および適当な溶剤もしくは溶剤混合物を含む。被膜の性能を高めるために他の成分、例えば、モノマー性染料、ポリマー性染料、モノマー性もしくはポリマー性架橋剤、低級アルコール、表面レベリング剤、粘着性促進剤、消泡剤などを加えることができる。染料および/または架橋剤として機能し得る他の第二のポリマーを使用することができ、このようなポリマーとしては、例えば、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリ(ヒドロキシスチレン−メチルメタクリレート)や、次のモノマー、すなわちスチレン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチル(メチル)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メチル)アクリレート、メチル(メチル)アクリレート、エチル(メチル)アクリレート、(メチル)アクリル酸のうちの少なくとも一種を重合することによって得られるホモポリマーおよび/またはコポリマー、米国特許第6465148号(特許文献11)、米国特許第5733714号(特許文献12)、米国特許第6737492号(特許文献13)、米国特許第6187506号(特許文献14)および米国特許第5981145号(特許文献15)に記載のポリマーなどが挙げられる。任意選択の上記第二のポリマーは、組成物の全固形物の95重量%までの量、場合によっては5重量%〜60重量%の量であることができるが、結局は、第二のポリマーの添加量は、望まれるリソグラフィー性能に依存する。
【0093】
本組成物中のポリマーの量は、該組成物の固体部分に対して、約100重量%から約50重量%まで、さらには約85重量%から約70重量%まで、なおもさらには約80重量%から約70重量%まで変化し得る。本組成物において場合により使用される架橋剤の量は、該組成物の固体部分に対して、5重量%から約50重量%まで、さらには約15重量%から約30重量%まで変化し得る。本組成物において場合により使用される酸または酸発生剤の量は、該組成物の固体部分に対して、約0.1重量%から約5重量%まで、さらには約0.5重量%から約3重量%まで、なおもさらには約1重量%から約2重量%まで変化し得る。
【0094】
該反射防止コーティングの光学特性は、被覆される基板、照射条件、およびパターン寸法に依存する様々な用途に向けて最適化される。殆どの場合、顧客は、反射率を最小にする屈折率(n)および吸光パラメーター(k)を見出すために、一連の必要な光学特性を有する(例えば、特定の応用またはおおよその光学特性のための屈折率(n)および吸光パラメーター(k)はシミュレーション技術(例えば、Prolith,KLA−Tencor(サンノゼ、米国カリフォルニア州))を用いて測定することができる)。それぞれのポリマーを該コーティング組成物中に別々に配合したとき、それぞれのポリマーを用いる該反射防止コーティング組成物から形成される膜の測定された屈折率(n)および光吸収パラメーター(k)は、一般的には、偏光解析法を用いて測定して、該屈折率(n)については、約1.3から約2.0まで、該光吸収パラメーター(k)については、約0.1から約0.5までの範囲に入る。
【0095】
本発明において、二つ(場合によってそれ以上)の異なるポリマー(例えば、ポリエステルとポリエーテル、二つの異なるポリエステル、または二つの異なるポリエーテル)を混合することによって、該光学パラメーターの屈折率(n)および光吸収パラメーター(k)は、顧客に要求された、またはシミュレーションによって確定された該光学パラメーターに合うように調整することができる。様々な量のポリマーを用いることにより、それがそれぞれ反射防止コーティング組成物中に配合されるとき、その反射防止コーティング組成物から形成される膜は、例えば、約1.50/0.27から約1.77/0.17まで、約1.74/0.17まで、約1/81/0.13まで、約1.90/0.34まで、約1.84/0.34までの範囲の或る一定の光学パラメーター(n)/(k)を有し、これらの樹脂の二つを含有する反射防止コーティング組成物は、約1.59/0.22から約1.83/0.21まで、約1.85/0.25まで、約1.75/0.17までの範囲の光学パラメーター(n)/(k)を有することができる。その調合された反射防止コーティング組成物により形成される膜は、顧客の要求する光学特性またはシミュレーション技術を用いて確定することができる光学特性の±0.1以内/±0.02以内である(n)/(k)値を有することができる。
【0096】
該反射防止コーティングは基板の表面に塗布され、さらにドライエッチングに付されるために、その膜は、半導体デバイスの性質が悪影響を受けない金属イオンレベルが十分に低くかつ十分な純度を有するものであることが想定される。ポリマーの溶液を、または完全に配合した反射防止コーティング組成物さえも、イオン交換カラムに通すことや、濾過、および抽出プロセスなどの処理を使用して、金属イオンの濃度の減少および粒子状物質を減少させることができる。
【0097】
該反射防止コーティング組成物は、当業者には周知の技術、例えば、浸漬法、スピンコーティングまたは吹付け法などを用いて基板上に塗布する。反射防止コーティングの膜厚は約20nm〜約200nmの範囲である。最適な膜厚は、技術的に周知のように、フォトレジスト中に定在波が観察されないところで決定される。そのコーティングは、ホットプレート上または対流式オーブンで十分な長さの時間さらに加熱して残留溶剤を除去して架橋を誘発し、かくして反射防止コーティングを不溶化して反射防止コーティングとフォトレジスト層との間の相互混合を防止する。
【0098】
フォトレジストは、該フォトレジスト中の光活性化合物および該反射防止コーティングが、像形成方法に使用される露光波長で吸光を示すことを前提として、半導体工業で使用される任意のタイプのものであり得る。
【0099】
フォトレジスト組成物には、ネガ型とポジ型の二つのタイプのものがある。ネガ型フォトレジスト組成物を放射線に像様露光すると、放射線に曝された領域のレジスト組成物が現像剤溶液に溶けにくくなり(例えば架橋反応が起こる)、他方、未露光の領域のフォトレジスト塗膜は、このような溶液に対して比較的可溶性のまま残る。かくして、露光されたネガ型レジストを現像剤で処理すると、フォトレジスト塗膜の露光されなかった領域が除去されて、塗膜にネガ型の像が形成され、それによって、フォトレジスト組成物が付着していた下にある基材表面の所望の部分が裸になる。
【0100】
これに対し、ポジ型フォトレジスト組成物を放射線に像様露光すると、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液に対し溶けやすくなり(例えば転位反応が起こる)、他方、未露光の領域は現像剤溶液に対して比較的不溶性のまま残る。かくして、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、塗膜の露光された領域が除去され、フォトレジスト塗膜にポジ型の像が形成される。この場合もまた、下にある表面の所望の部分が裸となる。
【0101】
ポジ型フォトレジスト組成物とネガ型レジストとでは前者がより優れた解像能力およびパターン転写特性を一般に有しているために現在優勢である。フォトレジスト解像度とは、露光および現像の後に、レジスト組成物が高度の鋭い像エッジをもってフォトマスクから基板へと転写できる最小の形体と定義される。今日の多くの製造用途では、1ミクロン未満のオーダーのレジスト解像度が必要である。加えて、現像されたフォトレジスト壁の側面が基板に対してほぼ垂直であることが殆どの場合に望まれる。レジスト塗膜の現像された領域と現像されていない領域との間のこのような明確な境界設定が、基板へのマスク像の正確なパターン転写につながる。このことは、微細化に向かう圧力がデバイス上での限界寸法を小さくしているためにより一層重要となっている。
【0102】
紫外線に感応する任意のフォトレジストを使用することができる。450nmと300nmの間の放射線波長には、ノボラック樹脂およびジアゾナフトキノンジアジドに基づくフォトレジストが好適である。このようなフォトレジストは、米国特許第5162510号(特許文献16)および米国特許第5371169号(特許文献17)に記載されている。約180nmと約300nmの間の短波長に感応するフォトレジストも本発明において使用することができる。これらのフォトレジストは、通常は、ポリヒドロキシスチレンまたは置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体、光活性化合物、および場合により溶解防止剤を含む。次の参照文献、米国特許第4491628号(特許文献18)、米国特許第5069997号(特許文献19)および米国特許第5350660号(特許文献20)は、使用されるこの種のフォトレジストを例示しており、これらを参照により本明細書に組み込む。193nmおよび157nm露光に特に好ましいものは、非芳香族系ポリマー、光酸発生剤、場合によって加える溶解防止剤、および溶剤を含むフォトレジストである。193nmで感応するいずれのフォトレジストも、本発明の反射防止組成物の表面で使用することができるが、従来技術において既知の193nmで感応するフォトレジストが、次の参照文献、欧州特許第794458号(特許文献21)、WO97/33198号(特許文献22)および米国特許第5585219号(特許文献23)に記載されており、これらを参照により本明細書に組み込む。フッ素化ポリマーは、193nmおよび157nmで透過することが知られている。フォトレジスト中で使用される場合のかかるポリマーは、欧州特許第789278号(特許文献24)、WO00/67072(特許文献25)およびWO00/17712(特許文献26)に開示されている。WO00/67072(特許文献25)は、フッ素化された基を側鎖として有する非芳香族系脂環式ポリマーを具体的に開示している。
【0103】
かくして、既存の反射防止コーティング組成物を直ちに採用することが可能であり、膜になったとき一定の屈折率(n)および光吸収パラメーター(k)を有する別のポリマー樹脂を添加することにより、たった今該反射防止コーティング組成物の光学パラメーターを該フォトレジストの光学パラメーターに適合させるための変化を引き起こすことができる。
【0104】
本発明の方法は、基板に該反射防止コーティングを塗布するステップと、ホットプレート上または対流式オーブンで、コーティングの溶媒を除去し、その塗膜が該フォトレジストのコーティング溶媒または水性アルカリ現像液中に溶解しない十分な程度まで該ポリマーを架橋するのに十分に高い温度で十分な時間加熱するステップをさらに含む。当技術分野で周知の方法を用いて基板の端縁部を洗浄するためにエッジビードリムーバを適用することができる。好ましい温度範囲は約90℃から約250℃までである。温度が90℃よりも低いと、溶剤の除去および架橋の程度が不十分となり、250℃を超える温度では、該組成物が化学的に不安定になる恐れがある。次いで、フォトレジストの膜を、この反射防止コーティングの上に塗布し、次いでベーク処理してフォトレジスト溶剤を実質的に除去する。このフォトレジストは像様露光し、水性現像剤で現像して処理されたフォトレジストを除去する。この現像液は、好ましくは、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む水性アルカリ性溶液である。任意的な加熱ステップを、現像の前および露光の後にこの方法に組み入れることができる。該現像液は、像形成過程を増進させる添加剤、例えば界面活性剤、ポリマーなどをさらに含むことができる。
【0105】
フォトレジストを塗布し、像形成する方法は、当業者には周知であり、使用される特定のタイプのレジストに合わせて最適化される。パターン化された基板は、次いで、エッチングガスまたはガス混合物を用いて、適当なエッチングチャンバー中でドライエッチングして、反射防止コーティングの露光された部分を除去することができ、この際、残ったフォトレジストは、エッチングマスクとして作用する。有機反射防止塗膜のエッチングには様々なガスが技術的に知られており、例えばO、Cl、FおよびCFなどがある。
【0106】
反射防止コーティングとフォトレジストとの間に中間層を敷いて相互混合を防ぐことができ、このような場合も本発明の範囲内に含まれるものと想定される。この中間層は、溶剤からキャストした不活性のポリマーであり、そのポリマーの例はポリスルホン類およびポリイミド類である。
【0107】
上で引用したそれぞれの文献は、すべての目的のために、その内容のすべてが参照により本明細書に組み込まれる。以下の具体例は、本発明の組成物を製造、使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかしながら、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメーターまたは値を教示するものと解釈されるべきものではない。
【0108】
ポリマー例1
1.0モルのピロメリット酸二無水物を冷却器および機械攪拌機を備えた1Lのフラスコ内で300gのアセトニトリル中に懸濁させた。次いで等モルのエチレングリコールを加えた。窒素下でその混合物を穏やかに還流するまで加熱した。その反応を24時間続けた。その反応混合物を室温まで冷却した後、攪拌を数時間継続した。反応中に形成された白色析出物を吸引して集め、アセトニトリルで十分に洗浄した。その固体を真空オーブン中で1日乾燥させた。300gのプロピレンオキシドおよび300gのアセトニトリルを、磁気バーおよび冷却器を備えた2Lのフラスコに仕込んだ。これに52gの上で用意した固体と2.5gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリドを加えた。窒素下でその反応混合物を穏やかに還流するまで加熱した。その反応を20時間維持した。室温まで冷却した後、その反応溶液を、攪拌しながら大量の水中にゆっくり注いだ。そのポリマーを吸引して集め、水で十分に洗浄し、最後に真空オーブン中で1時間乾燥させた。全収率は約70%であった。得られたそのポリマーは、約7000の重量平均分子量および2.1の多分散性を有した。
【0109】
ポリマー例2
400gのテトラメトキシメチルグリコルリル、132gのネオペンチルグリコール、51.4gの3,4,5−トリメトキシベンジルアルコールおよび1170gのPGMEAを温度計、冷水冷却器および機械攪拌機を備えた2000mLのフラスコに仕込んだ。その反応混合物を85℃まで加熱した。触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で6時間維持した。その反応溶液を次に室温まで冷却し、濾過した。そのポリマーを脱イオン水中で析出させ、フィルター中に集め、水で十分に洗浄し、真空オーブン中で乾燥した(200gが得られた)。得られたそのポリマーは、約8,000g/モルの重量平均分子量および3の多分散性を有した。
【0110】
ポリマー例3
1000gのテトラメトキシメチルグリコルリル、500gのネオペンチルグリコールおよび3000gのPGMEAを温度計、冷水冷却器および機械攪拌機を備えた5000mLのフラスコに仕込んだ。その反応混合物を85℃まで加熱した。触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で8.0時間維持した。その反応溶液を次に室温まで冷却し、濾過した。そのポリマーを脱イオン水中で析出させ、フィルター上に集め、水で十分に洗浄し、真空オーブン中で乾燥した(400gが得られた)。得られたそのポリマーは、約8,000g/モルの重量平均分子量および3の多分散性を有した。
【0111】
ポリマー例4
600gのテトラメトキシメチルグリコルリル、96gのスチレングリコールおよび1200gのPGMEAを温度計、機械攪拌機および冷水冷却器を備えた2Lのジャケット付きフラスコに仕込み、85℃まで加熱した。触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、反応をこの温度で5時間維持した。その反応溶液を次に室温まで冷却し、濾過した。その濾液を蒸留水中にゆっくりと注ぎポリマーを析出させた。そのポリマーを濾過し、水で十分に洗浄し、真空オーブン中で乾燥した(250gのポリマーが得られた)。得られたそのポリマーは、約17,345g/モルの重量平均分子量および2.7の多分散性を有した。
【0112】
ポリマー例5
300gのテトラメトキシメチルグリコルリル、118gの4−メトキシフェノール、134gのスチレングリコールおよび1100gのPGMEAを温度計、冷水冷却器および機械攪拌機を備えた2000mLのフラスコに仕込んだ。その反応混合物を75℃まで加熱した。触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で6時間維持した。その反応溶液を次に室温まで冷却し、濾過した。そのポリマーを脱イオン水中で析出させ、フィルター中に集め、水で十分に洗浄し、真空オーブン中で乾燥した(260gが得られた)。得られたそのポリマーは、約4,400g/モルの重量平均分子量および2.8の多分散性を有した。
【0113】
BARC調合例1
反射防止コーティング組成物を、2.4gのポリマー例1からのポリマー、0.72gのテトラキス(メトキシメチル)グリコルリル、0.048gの10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩を47.6gの乳酸エチル中に溶解することによって調製した。その溶液を、0.2μmのフィルターを通して濾過した。その濾過した溶液のアリコートを8”シリコンウエハ上に2500rpmでスピンコートし、そのウエハを次に200℃で90秒間ベークし、75nmの膜厚(J.A. Woollam VUV−Vase偏光解析器、モデルVU−302で測定)を生じさせた。その偏光解析器で測定した光学定数nおよびkは、n(193nm)=1.50、k(193nm)=0.27であった。
【0114】
BARC調合例2
反射防止コーティング組成物を、4gのポリマー例2からのポリマー、0.08gの10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩を100gの乳酸エチル中に溶解することによって調製した。その溶液を、0.2μmのフィルターを通して濾過した。その濾過した溶液のアリコートを8”シリコンウエハ上に2500rpmでスピンコートし、そのウエハを次に200℃で90秒間ベークし、70nmの膜厚(J.A. Woollam VUV−Vase偏光解析器、モデルVU−302で測定)を生じさせた。その偏光解析器で測定した光学定数nおよびkは、n(193nm)=1.77、k(193nm)=0.17であった。
【0115】
BARC調合例3
反射防止コーティング組成物を、2gのポリマー例1からのポリマー、2gのポリマー例2からのポリマー、0.08gの10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩を100gの乳酸エチル中に溶解することによって調製した。その溶液を、0.2μmのフィルターを通して濾過した。その濾過した溶液のアリコートを8”シリコンウエハ上に2500rpmでスピンコートし、そのウエハを次に200℃で90秒間ベークし、70nmの膜厚(J.A. Woollam VUV−Vase偏光解析器、モデルVU−302で測定)を生じさせた。その偏光解析器で測定した光学定数nおよびkは、n(193nm)=1.59、k(193nm)=0.22であった。
【0116】
BARC調合例4
反射防止コーティング組成物を、4gのポリマー例3からのポリマー、0.08gのドデシルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩を100gのPGMEA/PGMEの70:30混合物中に溶解することによって調製した。その溶液を、0.2pmのフィルターに通して濾過した。その濾過した溶液のアリコートを8”シリコンウエハ上に2500rpmでスピンコートし、そのウエハを次に200℃で90秒間ベークし、70nmの膜厚(J.A. Woollam VUV−Vase偏光解析器、モデルVU−302で測定)を生じさせた。その偏光解析器で測定した光学定数nおよびkは、n(193nm)=1.81、k(193nm)=0.13であった。
【0117】
BARC調合例5
反射防止コーティング組成物を、4gのポリマー例4からのポリマー、0.08gのドデシルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩を100gのPGMEA/PGMEの70:30混合物中に溶解することによって調製した。その溶液を、0.2μmのフィルターに通して濾過した。その濾過した溶液のアリコートを8”シリコンウエハ上に2500rpmでスピンコートし、そのウエハを次に200℃で90秒間ベークし、70nmの膜厚(J.A. Woollam VUV−Vase偏光解析器、モデルVU−302で測定)を生じさせた。その偏光解析器で測定した光学定数nおよびkは、n(193nm)=1.90、k(193nm)=0.34であった。
【0118】
BARC調合例6
反射防止コーティング組成物を、2.4gのポリマー例3からのポリマー、1.6gのポリマー例4からのポリマー、0.08gのドデシルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩を100gのPGMEA/PGMEの70:30混合物中に溶解することによって調製した。その溶液を、0.2μmのフィルターに通して濾過した。その濾過した溶液のアリコートを8”シリコンウエハ上に2500rpmでスピンコートし、そのウエハを次に200℃で90秒間ベークし、70nmの膜厚(J.A. Woollam VUV−Vase偏光解析器、モデルVU−302で測定)を生じさせた。その偏光解析器で測定した光学定数nおよびkは、n(193nm)=1.83、k(193nm)=0.21であった。
【0119】
BARC調合例7
反射防止コーティング組成物を、4gのポリマー例5からのポリマー、0.08gのドデシルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩を100gのPGMEA/PGMEの70:30混合物中に溶解することによって調製した。その溶液を、0.2pmのフィルターに通して濾過した。その濾過した溶液のアリコートを8”シリコンウエハ上に2500rpmでスピンコートし、そのウエハを次に200℃で90秒間ベークし、70nmの膜厚(J.A. Woollam VUV−Vase偏光解析器、モデルVU−302で測定)を生じさせた。その偏光解析器で測定した光学定数nおよびkは、n(193nm)=1.73、k(193nm)=0.59であった。
【0120】
リソグラフィー評価例1
BARC調合例3で調製した溶液を、100gの乳酸エチルで希釈し、シリコンウエハ上の下層BARC AZ(登録商標)EXP ArF−LD2(米国ニュージャージー州サマービルのAZ Electronic Materialsから入手可能)の薄層上に塗布し、200℃で90秒間ベークした。該BARCスタックの希釈したBARC調合例3コート層の表面に190nm膜のAZ(登録商標)EXP T83742フォトレジストを塗布して115℃で60秒間ベークした。そのウエハを次にNikon NSR−306D(NA:0.85)スキャナーを用いて像様露光した。130℃/60秒のPEB後ウエハを2.38%のテトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)を含有する界面活性剤不含の現像液、AZ(登録商標)300MIFにより30秒間現像した。走査型電子顕微鏡下で観察したとき、ラインおよび空間のパターンは、定在波を示さず、許容できる反射防止塗膜であることを示した。
【0121】
上述の本発明に関する説明は、本発明を例証し描写している。さらに、その開示は、本発明の特定の実施形態のみを示し、記載しているが、上述のように、本発明は、様々なその他の組合せ、修正品、および環境における使用が可能であり、本明細書に明示されている発明概念の範囲内での上記の教示および/または関連技術のスキルまたは知識に相応した変更または修正が可能であることを理解すべきである。上文に記載の実施形態は、さらに、本発明の実施に関して既知であり、他の当業者が本発明を上記のまたはその他の実施形態および本発明の特別の応用または用途によって必要となる様々な修正を利用することを可能にする最良の態様を説明することを目的としている。したがって、該記述は、本発明を本明細書に開示されている形態に限定することを意図するものではない。また、添付の特許請求の範囲は、代わりの実施形態を含むものと解釈されることを言い添えておく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を形成することができ、基板上に塗布するのに適した反射防止コーティング組成物であって、該反射防止コーティング組成物が、樹脂混合物を含み、該樹脂混合物は、少なくとも第一の樹脂および第二の樹脂を含み、該第一の樹脂および該第二の樹脂の量は、該反射防止コーティング組成物によって形成される該膜が、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)の±0.1の範囲内である屈折率(n)と、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された吸収パラメーター(k)の±0.02の範囲内である吸収パラメーター(k)とを有するように調整されている反射防止コーティング組成物。
【請求項2】
該第一の樹脂および該第二の樹脂が、それぞれ独立してポリエステルおよびポリエーテルから選択される、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項3】
テトラメチロールグリコルリル、テトラブトキシメチルグリコルリル、テトラメトキシメチルグリコルリル、部分的にメトイル化されたグリコルリル、テトラメトキシメチルグリコルリル、ジメトキシメチルグリコルリル、ジメチロールグリコルリルのモノ−およびジメチルエーテル、テトラメチロールグリコルリルのトリメチルエーテル、テトラメチロールグリコルリルのテトラメチルエーテル、テトラキスエトキシメチルグリコルリル、テトラキスプロポキシメチルグリコルリル、テトラキスブトキシメチルグリコルリル、テトラキスアミルオキシメチルグリコルリル、テトラキスヘキソキシメチルグリコルリル、およびそれらの混合物から好ましくは選択される架橋剤をさらに含む、請求項1または2に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項4】
該ポリエステルが、
【化1】

[式中、Yは、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル連結基であり、R、R、R’およびR”は、独立して、水素、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基、ハロゲン、−O(CO)Z、−C(CFZ、−C(CF(CO)OZ、−SOCF、−(CO)OZ、−SOZ、−COZ、−OZ、−NZ、−SZ、−SOZ、−NHCOZ、−NZCOZまたは−SONZであり、ここで、Zは、Hまたは1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、n=1〜4、n’=1〜4であり、Xは、O、CO、S、COO、CHO、CHCOO、SO、NH、NL、OWO、OW、WO、WOW、Wであり、ここで、Lは、非置換または置換ヒドロカルビル基であり、Wは非置換または置換ヒドロカルビレン基であり、m=0〜3である]
から選択される少なくとも一つの単位を含む、請求項2または3に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項5】
該ヒドロカルビルが、置換または非置換の直鎖または分枝脂肪族(C1〜50)アルキル基、置換または非置換の直鎖または分枝脂肪族(C1〜50)アルキレン基、置換または非置換の直鎖または分枝チオアルキレン脂肪族(C1〜50)基、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、置換アリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ベンジル、置換ベンジル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項6】
Yが、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、フェニルエチレン、アルキルニトロアルキレン、ジチアオクチレン、ブロモニトロアルキレン、フェニル、ナフチル、およびそれらの誘導体から選択され、好ましくは、1−フェニル−1,2−エチレン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロピレン、2−ブロモ−2−メチル−1,3−プロピレン、3,6−ジチオ−1,8−オクチレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、または−CHCHSCHCHSCHCH−から選択される、請求項4または5に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項7】
該ポリエステルが、
【化2】

[式中、Yは、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル連結基であり、R、R、R’およびR”は、独立して、水素、1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基、ハロゲン、−O(CO)Z、−C(CFZ、−C(CF(CO)OZ、−SOCF、−(CO)OZ、−SOZ、−COZ、−OZ、−NZ、−SZ、−SOZ、−NHCOZ、−NZCOZまたは−SONZであり、ここで、Zは、Hまたは1〜約10個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、n=1〜4、n’=1〜4であり、Xは、O、CO、S、COO、CHO、CHCOO、SO、NH、NL、OWO、OW、WO、WOW、Wであり、ここで、Lは、非置換または置換ヒドロカルビル基であり、Wは非置換または置換ヒドロカルビレン基であり、m=0〜3である]
から選択される少なくとも一つの単位を含む、請求項2〜6のいずれか一つに記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項8】
該ポリエーテルが、少なくとも一つのグリコルリル化合物を、少なくとも一つのヒドロキシ基および/または少なくとも一つの酸基を含有する少なくとも一つの反応性化合物と反応させることによって得られるポリマーを含む請求項2〜7のいずれか一つに記載の反射防止コーティング組成物であって、該反応性化合物は、好ましくは、二つ以上のヒドロキシ基または二つ以上の酸基を含有するか、一つのヒドロキシ基および/または一つの酸基を含有し、または該反応性化合物は、好ましくは、二つ以上のヒドロキシまたは酸基を含有する反応性化合物および一つのヒドロキシ基および/または一つの酸基を含有する反応性化合物から選択される混合物である組成物。
【請求項9】
該ポリエーテルが、発色団基、好ましくは、芳香族基およびヘテロ芳香族基、例えば、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アントラシル基および置換アントラシル基から選択される発色団基を含有する、請求項8に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項10】
構造
【化3】

の少なくとも一つの単位を含む、請求項8または9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項11】
該反応性化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、スチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ブチレン類のオキシド、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジエチルビス(ヒドロキシメチル)マロネート、ヒドロキノン、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール、ビスフェノールA、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,2’−(1,2−フェニレンジオキシ)−ジエタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、フェニルコハク酸、ベンジルマロン酸、3−フェニルグルタル酸1,4−フェニル二酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3−ヒドロキシフェニル酢酸、2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸フェノール、o−クレゾール、2−エトキシフェノール、p−メトキシフェノール、m−クレゾール、4−エチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−フルオロフェノール、2,3−ジメトキシフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、2−フェニルフェノール、4−(ベンジルオキシ)フェノール、ベンジルアルコール、2−メチルベンジルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、3−(トリフルロメチル)ベンジルアルコール、4−エチルベンジルアルコール、4−エトキシベンジルアルコール、4−(トリフルロメトキシ)ベンジルアルコール、3,5−ジフルロベンジルアルコール、2,4,5−トリメトキシベンジルアルコール、4−ベンジルオキシベンジルアルコール、1−ナフタレンエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、2,2−ジフェニルエタノール、4−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、4−メトキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、フェニル酢酸、1−ナフチル酢酸、およびそれらの混合物から選択される、請求項8〜10のいずれか一つに記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項12】
基板、及びその上に、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物の層、および前記請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物の層の上に化学的に増幅されたフォトレジスト組成物の層を含む被覆された基板。
【請求項13】
フォトレジストレリーフ像を形成する方法であって、基板に請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物の層を塗布するステップと、前記請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物の上に化学的に増幅されたフォトレジスト組成物の層を塗布するステップとを含む方法。
【請求項14】
膜を形成することができ、基板上に塗布するのに適する反射防止コーティング組成物の屈折率(n)および吸収パラメーター(k)を調整する方法であって、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)および吸収パラメーター(k)を得るステップと、少なくとも第一の樹脂を得るステップと、前記第一の樹脂に第二の樹脂を加えて該反射防止コーティング組成物を形成するステップとを含み、該第二の樹脂を、該反射防止コーティング組成物によって形成される該膜が、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された屈折率(n)の±0.1の範囲内である屈折率(n)と、顧客により要求されるかシミュレーションによって決定された吸収パラメーター(k)の±0.02の範囲内である吸収パラメーター(k)とを有するように十分な量で加える方法。
【請求項15】
該反射防止コーティング組成物が、請求項1〜11のいずれか一つに定義された通りである、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2010−527042(P2010−527042A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507998(P2010−507998)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001208
【国際公開番号】WO2008/139320
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】