説明

反射防止フィルムおよびその製造方法、並びに光伝送媒体端末構造

【課題】 研磨を必要とせず、構造の簡略化を実現できる反射防止フィルムおよびその製造方法、並びに光伝送媒体端末構造を提供する。
【解決手段】 傾斜シート11、12の一面に屈折率整合剤15を有する反射防止フィルムであって、前記傾斜シート11、12は、厚みの変化による傾斜面31を有することを特徴とする反射防止フィルム。光機能部品と光伝送媒体とを、レンズ50および反射防止フィルム10、10aを介して接続する光伝送媒体端末構造であって、前記反射防止フィルム10、10aは、傾斜シート11、12の一面に屈折率整合剤15を有し、前記傾斜シート11、12は、厚みの変化による傾斜面31を有することを特徴とする光伝送媒体端末構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバや光コネクタの端末に用いる反射防止フィルムおよびその製造方法、並びに光伝送媒体端末構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光機能部品と光伝送媒体とを接続する構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図5を用いて従来技術の一例を説明する。
図5は、従来の光伝送媒体端末構造を示す断面図であって、(a)はスタブ型の図、(b)は光ファイバ組み込み型の図である。
30はスタブ、30sは内蔵ファイバ、31は傾斜面、40はハウジング、50はレンズ、60は光機能部品であるVCSEL、Fはフェルール、Fsは光伝送媒体である光ファイバである。
図5(a)に示すように、スタブ型では、予めハウジング40内に傾斜面31を有するスタブ30を固定しておく。スタブ30は内蔵ファイバ30sを備えている。
そこへ光ファイバFsを備えたフェルールFを挿入して突き当てることで、光機能部品であるVCSEL60と光ファイバFsとを接続することができる。
すなわち、VCSEL60から発せられた光はレンズ50により収束され、内蔵ファイバ30sを介して光ファイバFsに入射する。
ここで、スタブ30の先端が傾斜面31となっていることで、収束された光が反射しても光学特性に影響せず、VCSEL60を損傷することもない構成となっている。
また、図5(b)に示すように、光ファイバ組み込み型では、フェルールFおよび光ファイバFsの先端を傾斜面31としてハウジング40に組み込むことで、同様にVCSEL60と光ファイバFsとを接続することができる。
しかしながら、このような光伝送媒体端末構造は、スタブ30および内蔵ファイバ30s、または、フェルールFおよび光ファイバFsの先端が傾斜面31となっている必要があるので、その加工に研磨装置と時間やコストを要していた。
【0004】
【特許文献1】特開平05−188251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、研磨を必要とせず、構造の簡略化を実現できる反射防止フィルムおよびその製造方法、並びに光伝送媒体端末構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の技術的構成により、上記課題を解決できたものである。
(1)傾斜シートの一面に屈折率整合剤を有する反射防止フィルムであって、前記傾斜シートは、厚みの変化による傾斜面を有することを特徴とする反射防止フィルム。
(2)前記傾斜面の角度は5度以上30度以下であることを特徴とする(1)記載の反射防止フィルム。
(3)傾斜面を有する型に樹脂を入れ、硬化させて傾斜シートを作製する工程、傾斜シートに屈折率整合剤を貼る工程、傾斜シートと屈折率整合剤を所望の形状に切り抜く工程を有することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(4)光機能部品と光伝送媒体とを、レンズおよび反射防止フィルムを介して接続する光伝送媒体端末構造であって、前記反射防止フィルムは、傾斜シートの一面に屈折率整合剤を有し、前記傾斜シートは、厚みの変化による傾斜面を有することを特徴とする光伝送媒体端末構造。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、構造の簡略化を実現できる反射防止フィルムおよびその製造方法、並びに光伝送媒体端末構造を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0009】
(実施形態1)
図1は実施形態1の反射防止フィルムを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
10は実施形態1の反射防止フィルム、11は実施形態1の傾斜シート、15は屈折率整合剤、aは傾斜面31の角度である。
実施形態1の反射防止フィルムは、傾斜シート11の一面に屈折率整合剤15を有する反射防止フィルム10であって、傾斜シート11は、厚みの変化による傾斜面31を有することを特徴とする。
実施形態1の傾斜シート11は、厚みが無くなるまで傾斜面31が続き、側面から見ると三角形として現れる。
なお、傾斜面は、光軸に対して傾斜した面であることが重要であり、その条件を満たせば厚みの変化以外の構成も考えられる。
【0010】
傾斜シート11は、反射防止フィルム10を貼る対象となる光伝送媒体の屈折率に対して屈折率が−0.1〜+0.1であることが好ましく、より好ましくは−0.05〜+0.05であり、屈折率が一致することが最も好ましい。
具体的には、屈折率1.45〜1.46程度である。
なお、上記の屈折率は波長1310nmの光について測定した値である。
傾斜シート11の材質は、ガラス材料、例えば石英ガラス、他には高分子材料、例えばアクリル系、エポキシ系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、ウレタン系、メタクリル系、ナイロン系、ビスフェノール系、ジオール系、ポリイミド系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系等アクリル樹脂を使用することができる。また必要に応じてこれらを混合したり、硬化剤やフッ素樹脂を加えたりして用いることができる。
傾斜シート11の厚みは、中央部において5〜1000μmであることが好ましい。この範囲では接続損失も大きくならない。
傾斜面31の角度aは、光伝送媒体により最適値がある。
例えばシングルモードファイバでは8度が最適であり、範囲としては±5度であれば十分に効果を得ることができる。また、その他の光伝送媒体では、モード数が増えるために最適角度は8度より大きくなる。これらのことから傾斜角度aは、8度以上30度以下が好ましく、より好ましくは8度以上20度以下である。
傾斜面31は、平滑であることが好ましい。
【0011】
屈折率整合剤15は、光伝送媒体の屈折率に対して屈折率が−0.1〜+0.1であることが好ましく、より好ましくは−0.05〜+0.05であり、屈折率が一致することが最も好ましい。
具体的には、屈折率1.45〜1.46程度である。
なお、上記の屈折率は波長1310nmの光について測定した値である。
屈折率整合剤15には、高分子材料、例えばアクリル系、エポキシ系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、ウレタン系、メタクリル系、ナイロン系、ビスフェノール系、ジオール系、ポリイミド系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系等の各種粘着剤を使用することができる。また必要に応じてこれらを混合したり、硬化剤やフッ素樹脂を加えたりして用いることができる。
それらの中でも、接着性、その他の観点から、アクリル系粘着剤とシリコーン系粘着剤が特に好ましく使用される。
屈折率整合剤15は、傾斜シートと光伝送媒体とが剥離しないように強い粘着力が必要であり、20gf/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは100gf/25mm以上である。上限は特に無いが、一般的には2500gf/25mm以下程度である。
なお、上記の粘着力はJIS Z 0237の180度引きはがし粘着力に準拠して測定した値である。
屈折率整合剤15の厚さは5〜30μmが好ましく、さらに好ましくは5〜20μmである。
この範囲だと光伝送媒体に凹凸があっても凹凸面に沿って貼り付けることができ、接続損失も大きくならない。
本発明の反射防止フィルムは、後述の光伝送媒体端末構造のほか、終端部材として用いることができる。
【0012】
(実施形態2)
図2は実施形態2の反射防止フィルムを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
10aは実施形態2の反射防止フィルム、12は実施形態2の傾斜シートである。
実施形態2の傾斜シート12は、ある特定の厚みになるまで傾斜面31が続き、側面から見ると台形として現れる。その他は実施形態1の傾斜シートと同様である。
実施形態2の傾斜シートは、形状の違いにより耐久性が高く、製造も容易である。
厚みは、中央部において100〜1000μmであることが好ましく、この範囲では接続損失が大きくならない。
【0013】
(製造方法)
本発明の反射防止フィルムは、型を用いた成形や切削等により製造できる。
型を用いた成形は量産に適しているので好ましい。
例えば、傾斜面を有する型に樹脂を入れ、硬化させて傾斜シートを作製する工程、傾斜シートに屈折率整合剤を貼る工程、傾斜シートと屈折率整合剤を所望の形状に切り抜く工程により反射防止フィルムを製造できる。
【0014】
図3を用いて具体的に説明する。
図3は反射防止フィルムの製造方法の一例を示す図であって、(a)は型を示す図、(b)は樹脂を硬化させた図、(c)は屈折率整合剤を貼った図、(d)は型から取り外した図、(e)は切り抜きを示す図、(f)は反射防止フィルムを示す図である。
120は傾斜シート用の樹脂、150は屈折率整合剤、Cは切断線、Mは型、Tは凸部である。
まず、図3(a)に示すように、型を用意する。
型Mは傾斜面を有することが好ましい。図に示すように凸部Tに傾斜面を有してもよいし、図示していない凹部に傾斜面を有してもよい。
型Mは金型が一般的であるが木型などでもよく、限定されるものではない。
次に、図3(b)に示すように、型Mに樹脂120を入れ、UVキュア、熱キュア、加熱後の冷却等により硬化させて傾斜シートを作製する。
そして、図3(c)に示すように、傾斜シートに屈折率整合剤150を貼る。
このとき、空気が入らないようにラミネータ等を使用することが好ましい。なお、この工程は、シート状の屈折率整合剤を貼り付けてもよいし、糊状の屈折率整合剤を塗布してもよいし、液状の屈折率整合剤を塗布して乾燥させてもよい。
次に、図3(d)に示すように、傾斜シートと屈折率整合剤150を型から取り外す。
そして、図3(e)に示すように、傾斜シートと屈折率整合剤150を切断線Cによって所望の形状に切り抜く。切り抜く方法は特に限定されないが、レーザーによる方法が好ましい。
以上により、図3(f)に示すように、個片化した反射防止フィルム10aを製造することができる。
なお、ここでは実施形態2の反射防止フィルム10aを製造したが、型の形状等を代えることにより実施形態1の反射防止フィルム10も同様に製造できる。
【0015】
(光伝送媒体端末構造)
図4を用いて本発明の光伝送媒体端末構造を説明する。
図4は本発明の光伝送媒体端末構造を示す断面図であって、(a)はスタブ型の図、(b)は光ファイバ組み込み型の図である。
F′はスタブ、Fs′は内蔵ファイバである。
本発明の光伝送媒体端末構造は、光機能部品と光伝送媒体とを、レンズ50および反射防止フィルム10を介して接続する光伝送媒体端末構造であって、反射防止フィルム10は、傾斜シート11の一面に屈折率整合剤15を有し、傾斜シート11は、厚みの変化による傾斜面31を有することを特徴とする。
図4(a)に示すように、スタブ型では、予めハウジング40内に反射防止フィルム10を貼ったスタブF′を固定しておく。スタブF′は内蔵ファイバFs′を備えている。
そこへ光ファイバFsを備えたフェルールFを挿入して突き当てることで、光機能部品であるVCSEL60と光伝送媒体である光ファイバFsとを接続することができる。
すなわち、VCSEL60から発せられた光はレンズ50により収束され、内蔵ファイバFs′を介して光ファイバFsに入射する。
ここで、反射防止フィルム10が傾斜面31を有していることで、収束された光が反射しても光学特性に影響せず、VCSEL60を損傷することもない構成となっている。
また、図4(b)に示すように、光ファイバ組み込み型では、フェルールFおよび光ファイバFsの先端に反射防止フィルム10を貼ってハウジング40に組み込むことで、同様にVCSEL60と光ファイバFsとを接続することができる。
なお、VCSEL60に代えて他の光機能部品を用いることもできる。
本発明の光伝送媒体端末構造は、スタブF′および内蔵ファイバFs′、または、フェルールFおよび光ファイバFsに、反射防止フィルム10を貼るだけで傾斜面31を形成できる。
したがって、研磨装置、研磨の時間やコストを必要としない。
なお、多心光ファイバを用いる光伝送媒体端末構造では、図4(b)に示す光ファイバ組み込み型を用いることが好ましい。図4(a)のスタブ型では、多数のスタブF′を位置合わせしてハウジングに組み込む必要があるのに対し、図4(b)の光ファイバ組み込み型では、フェルールFとして多心のMTフェルールなどを用いて光ファイバFsの先端を揃え、幅の広い反射防止フィルム10を貼るだけで一括して傾斜面31を形成できるからである。
【実施例】
【0016】
<実施例1>
以下、本発明の反射防止フィルムについて、実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、図3(a)に示すように、凸部を有する金型(かねひろ社製、深さ400μmの溝内に凸部を有する、凸部の先端は約8度の傾斜面となっている)を用意した。
次に、図3(b)に示すように、金型に市販のUV硬化樹脂(硬化後の波長1310nmの光に対する屈折率1.46)を流し込み、スキジで余分をかきとり、UV照射装置(キーエンス社製、UV−400)で30秒UV照射することにより硬化させて傾斜シートを作製した。
そして、図3(c)に示すように、傾斜シート作製済みの金型の上から、シート状の屈折率整合剤(巴川製紙所社製、FITWELL、FW1―20、屈折率:1.46、膜厚:20μm、粘着力1000gf/25mm)を空気が入らないようにラミネータで貼付した。
次いで、図3(d)に示すように、傾斜シートと屈折率整合剤を金型から取り外した。
そして、図3(e)に示すように、傾斜シートと屈折率整合剤をCOレーザーマーカー(キーエンス社製、ML−Z9500)を用いて700μm×700μmの大きさに切り抜いた。
以上により、図3(f)に示すように、実施例1の反射防止フィルムを作製した。
反射防止フィルムの傾斜シートの大きさは、図2(c)に示される台形における上底が102μm、下底が200μm、高さが700μm、角度aが7.91度であった。図2(c)に示されない奥行きは700μmである。
次に、SC用ファイバスタブ(アダマンド工業社製、シングルモードファイバ内蔵)を用意した。
そして、SC用ファイバスタブの先端に実施例1の反射防止フィルムを貼り付けて、実施例1の傾斜面を有するSC用ファイバスタブとした。
この傾斜面を有するSC用ファイバスタブを用いて、図4(a)に示す光伝送媒体端末構造を作製した。
なお、ハウジング等の他の構成には市販の部材を用いた。
【0017】
<実施例2>
実施例1と同様にして、実施例2の反射防止フィルムを作製した。
ただし、切り抜く大きさを3000μm×700μmに代えた。
反射防止フィルムの傾斜シートの大きさは、図2(c)に示される台形における上底が102μm、下底が200μm、高さが700μm、角度aが7.91度であった。図2(c)に示されない奥行きは3000μmである。
次に、8心MTフェルール(8MT−R、白山製作所社製)を用意し、8心シングルモード光ファイバ(住友電工社製)を挿入して光ファイバが5mm程度でたところで切断した。
そして、光学用接着剤(エポテック社製、353ND)を用いてMTフェルールと光ファイバとを固定した。
次に、MTフェルールの先端に実施例2の反射防止フィルムを貼り付けて、実施例2の傾斜面を有するMTコネクタ付き光ファイバとした。
このMTコネクタ付き光ファイバを用いて、図4(b)に示す光伝送媒体端末構造を作製した。
なお、ハウジング等の他の構成には市販の部材を用いた。
【0018】
<比較例1>
まず、SC用ファイバスタブ(アダマンド工業社製、シングルモードファイバ内蔵)を用意した。
次に、SC用ファイバスタブを、コネクタ研磨機(精工技研社製、SFP―550S)で8度に研磨し、比較例1の傾斜面を有するSC用ファイバスタブとした。
この傾斜面を有するSC用ファイバスタブを用いて、図5(a)に示す光伝送媒体端末構造を作製した。
なお、他の構成は実施例1と同様にした。
【0019】
<比較例2>
まず、8心MTフェルール(8MT−R、白山製作所社製)を用意し、8心シングルモード光ファイバ(住友電工社製)を挿入して光ファイバが5mm程度でたところで切断した。
そして、光学用接着剤(エポテック社製、353ND)を用いてMTフェルールと光ファイバとを固定した。
次に、MTフェルールの先端を光ファイバごと、コネクタ研磨機(精工技研社製、SFP―550S)で8度に研磨し、比較例2の傾斜面を有するMTコネクタ付き光ファイバとした。
この傾斜面を有するMTコネクタ付き光ファイバを用いて、図5(b)に示す光伝送媒体端末構造を作製した。
なお、他の構成は実施例2と同様にした。
【0020】
(評価方法)
実施例および比較例の光伝送媒体端末構造について、以下の評価を行った。
【0021】
<反射減衰量>
実施例および比較例の光伝送媒体端末構造について、収束された光が反射しても光学特性に影響せず、VCSEL60を損傷することもない十分な傾斜面を有することを確認する。
その方法として、傾斜面31を有しない一端から光ファイバFsに光を入射させ、傾斜面31における反射減衰量を測定した。
具体的には、傾斜面31を有しない一端をバックリフレクションメータ(商品名:RM3 BACK REFLECTION METER、型式:RM3750+IFA7、JDS Uniphase社製)と接続し、波長1310nmの光を入射させて、反射した光量から、反射減衰量を導出した。
なお、実施例2および比較例2では8心全てについて導出し、その最低値と平均値を算出した。測定は20℃環境下で行った。
実施例1および比較例1では55dB以上、実施例2および比較例2では最低値が40dB以上、かつ、平均値が55dB以上あれば実用上問題ないと考えられる。
【0022】
<加工時間>
実施例の反射防止フィルムの貼り付けに要した時間と、比較例の研磨に要した時間を測定し、傾斜面の加工時間すなわち無反射構造の加工時間とした。
【0023】
<加工コスト>
実施例の反射防止フィルムの作製費用と、比較例の研磨の費用とを概算し、傾斜面の加工コストすなわち無反射構造の加工コストとした。
○:低コスト
△:中コスト
×:高コスト
結果を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
<評価結果>
表1から明らかなように、実施例1および実施例2では、反射減衰量は実用上問題なく、無反射構造の加工時間が3秒以下で、無反射構造の加工コストは低コストである。
これに対し、比較例1では、反射減衰量は実用上問題ないものの、無反射構造の加工時間がかかり、無反射構造の加工コストは中コストとなってしまう。
また、比較例2では、反射減衰量は実用上問題ないものの、無反射構造の加工時間が非常にかかり、無反射構造の加工コストは高コストとなってしまう。
なお、このような差は量産時に極めて大きいものとなる。
以上のように、本発明によれば、構造の簡略化を実現できる反射防止フィルムおよびその製造方法、並びに光伝送媒体端末構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1の反射防止フィルムを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図
【図2】実施形態2の反射防止フィルムを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図
【図3】反射防止フィルムの製造方法の一例を示す図であって、(a)は型を示す図、(b)は樹脂を硬化させた図、(c)は屈折率整合剤を貼った図、(d)は型から取り外した図、(e)は切り抜きを示す図、(f)は反射防止フィルムを示す図
【図4】本発明の光伝送媒体端末構造を示す断面図であって、(a)はスタブ型の図、(b)は光ファイバ組み込み型の図
【図5】従来の光伝送媒体端末構造を示す断面図であって、(a)はスタブ型の図、(b)は光ファイバ組み込み型の図
【符号の説明】
【0027】
10、10a 反射防止フィルム
11、12 傾斜シート
15 屈折率整合剤
30 スタブ
30s 内蔵ファイバ
31 傾斜面
40 ハウジング
50 レンズ
60 VCSEL
120 樹脂
150 屈折率整合剤
a 角度
C 切断線
F フェルール
F′ スタブ
Fs 光ファイバ
Fs′ 内蔵ファイバ
M 型
T 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜シートの一面に屈折率整合剤を有する反射防止フィルムであって、
前記傾斜シートは、厚みの変化による傾斜面を有することを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項2】
前記傾斜面の角度は5度以上30度以下であることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
【請求項3】
傾斜面を有する型に樹脂を入れ、硬化させて傾斜シートを作製する工程、傾斜シートに屈折率整合剤を貼る工程、傾斜シートと屈折率整合剤を所望の形状に切り抜く工程を有することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
【請求項4】
光機能部品と光伝送媒体とを、レンズおよび反射防止フィルムを介して接続する光伝送媒体端末構造であって、
前記反射防止フィルムは、傾斜シートの一面に屈折率整合剤を有し、
前記傾斜シートは、厚みの変化による傾斜面を有することを特徴とする光伝送媒体端末構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−128352(P2011−128352A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286374(P2009−286374)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】