説明

反射防止フィルム及びこの反射防止フィルムを有するディスプレイ用フィルタ

【課題】屈折率が比較的高い材料を透明基材として使用した場合にも、十分に干渉縞が低減された、プラズマディスプレイパネル(PDP)その他のディスプレイの前面フィルタ等に有用な反射防止フィルムを提供し、光の波長に対して制約が最小限とされ、現実に使用される種々の室内照明において十分に干渉縞が低減された、PDPその他のディスプレイの前面フィルタ等に有用な反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材上に、中間層、屈折率の高いハードコート層、ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層が順に積層された反射防止フィルムであって、次式(1)〜(4): n1≧1.55 (1) n3≧1.55 (2) 0< | n1−n2 | < 0.1 (3) 0< | n3−n2 | < 0.1 (4)(但し、n1は透明基材の屈折率、n2は中間層の屈折率、n3はハードコート層の屈折率である)を満たし、且つ、前記中間層の厚みd(nm)が5〜40nmの範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)その他のディスプレイの前面フィルタ等に有用な反射防止フィルム及びこの反射防止フィルムを有するディスプレイ用前面フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
PDPには通常必ず前面フィルタが使用される。この前面フィルタは、近赤外線カット、色再現性向上(発光色純度向上)、電磁波シールド、明所コントラスト向上(反射防止)、発光パネルの保護、発光パネルからの熱遮断等を目的としている。
【0003】
PDPの発光パネルの発する近赤外線は、家庭用テレビやビデオ等に使用されるリモコンに誤作動を与えることを避けるために、これを低減することが必要である。またPDPの発光パネルの発する電磁波は、人体や精密機器への悪影響を避けるためにこれを低減することも必要である。またPDPの発光パネルからの発光を、人間の視覚にとって自然な色に感じられるように、フィルタでの補正によって色再現性向上(発光色純度向上)の工夫も求められている。またディスプレイの表示は、明るい室内等の明所においても外部からの光の反射等によって妨げられることなく、十分なコントラストで視認されることが望ましい。さらにはディスプレイ製品に直接に手で触れたような場合でも、使用者がその高温に驚かされるような事態を避けるために、PDPの発光パネルの発する熱が遮断されることが望ましい。また製品が容易に破損することを避けるために、発光パネルは保護されていることが望ましく、万一破損したような場合であってもその破片が飛散しないことが望ましい。
【0004】
上記の目的に沿った典型的なPDP用前面フィルタの構造を、図2に例示する。透明基板23に、反射防止層21、電磁波シールド層22、色調補正フィルター層24、近赤外線カット層25が積層されたものであり、これが発光パネル20の前面にフィルターとして設置される。この積層の順序は目的に応じて変更される。
【0005】
このPDP用前面フィルタでは、反射防止層は一般に、光透過性と反射防止性を両立した反射防止フィルムとして製造されて、フィルタの一層として使用されている。
【0006】
このような反射防止層は、反射光をできるだけ低減するように設計された屈折率の異なる複数の薄層を含む多層の積層体(反射防止フィルム)として製造される。真空蒸着法やスパッタリング法などのドライ処理によってこの多層積層体を製造することが可能であるが、一般的にこのドライ処理は、真空製造設備が必要であり、量産性を求めた場合には、製造費用が上昇せざるを得ない。このため、溶液塗布等によるウェットコーティング法による反射防止フィルムの多層積層体形成が、広く使用される。
【0007】
このようなウェットコーティングによる反射防止フィルムの一般的構造を、図3に例示する。これは、透明基材33に、ハードコート性を有する高屈折率層32、及びハードコート性を有する高屈折率層32よりも屈折率の低い低屈折率層31が積層されたものであり、低屈折率層31側から入射する外部の光が反射されて視認性が低下することを防ぐ役割を持つ。
【0008】
図3のような構造の反射防止フィルムにおいて、反射防止効果を向上させるためには、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差が大きい設計とすることは原理的には好ましい。しかし、低屈折率層に求められるその他の特性、すなわち高屈折率層との接着性や硬度等を満足させつつ、低屈折率層の低屈折率化を図るには実質的には限界がある。そのために高屈折率層の高屈折率化が一方で図られ、これによって透明基材と高屈折率層との屈折率差が増大する。しかしこのために、高屈折率層の厚みのごく僅かな不均一性に起因して、油染みとも呼ばれる干渉縞が観察されるようになる。この干渉縞は、ディスプレイに表示の映像とは無関係の色彩を呈し、ディスプレイの表示品質を低下させるため問題である。
【0009】
このような干渉縞を防止した反射防止フィルムとして、特許文献1(特開2003−75603)は、液晶ディスプレイ用反射防止ハードコートシートを開示している。この反射防止ハードコートシートは、透明基材上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を順に積層してなるものである。そして例えば図3の構造の反射防止フィルムにおいて、透明基材33と高屈折率層32との間に、高屈折率層32よりも屈折率が大きく、且つ低屈折率層33よりも屈折率の小さな中屈折率層を設けた構造となっている。特許文献1の実施例においては、透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.49)を使用して、厚さ86nmの中屈折率層(屈折率1.59)を設けた反射防止ハードコートシートを開示している。
【0010】
【特許文献1】特開2003−75603
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は、上述のような干渉縞を低減したディスプレイ用反射防止フィルムを、特に、干渉縞低減の手段として、図3のような構造において透明基材と高屈折率層との間に中間層(接着層)を設けて、その層厚と屈折率との関係を光の波長に対して制御するアプローチによって鋭意研究してきた。
【0012】
そしてその検討の結果、上記特許文献1に記載の構造の反射防止ハードコートシートは、透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(例えば屈折率1.49)のような屈折率が比較的低い材料を使用した場合には、比較的良好な干渉縞防止作用を有するものの、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)(屈折率1.65)のような屈折率が比較的高い材料を使用した場合には、あまり良好な特性を示さないことがわかった。
【0013】
また、上記特許文献1に記載の構造の反射防止ハードコートシートは、干渉縞低減の特性が、反射防止面に外部から入射する光の波長に強く依存しており、そのために現実に使用される種々の室内照明等の全てに対しては、必ずしも十分な干渉縞低減特性を有するものではないことがわかった。
【0014】
したがって、本発明の目的は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のような屈折率が比較的高い材料を透明基材として使用した場合にも、十分に干渉縞が低減された、プラズマディスプレイパネル(PDP)その他のディスプレイの前面フィルタ等に有用な反射防止フィルムを提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、光の波長に対して制約が最小限とされ、現実に使用される種々の室内照明において十分に干渉縞が低減された、プラズマディスプレイパネル(PDP)その他のディスプレイの前面フィルタ等に有用な反射防止フィルムを提供することにもある。
【0016】
さらに本発明の目的は、上記反射防止フィルムを有するディスプレイ用前面フィルタを提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者等は、上記目的が、
透明基材上に、中間層、屈折率の高いハードコート層、ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層が順に積層された反射防止フィルムであって、
次式(1)〜(4):
1≧1.55 (1)
3≧1.55 (2)
0< | n1−n2 | < 0.1 (3)
0< | n3−n2 | < 0.1 (4)
(但し、n1は透明基材の屈折率、n2は中間層の屈折率、n3はハードコート層の屈折率である)
を満たし、且つ、前記中間層の厚みd(nm)が5〜40nmの範囲にあることを特徴とする反射防止フィルムによって達成されることを見いだした。
【0018】
このような中間層を設けることによって、ハードコート層等の層の屈折率が増大した場合においても十分に干渉縞が低減された反射防止フィルムを得ることができる。
【0019】
上記の式| n1−n2 |の値は、一般に0.1以下であり、好ましくは0.09以下であり、特に0.08以下が好ましい。この値が小さいほど、干渉縞低減の点で好ましい。
【0020】
上記の式| n3−n2 |の値は、一般に0.1以下であり、好ましくは0.08以下であり、特に0.06以下が好ましい。この値が小さいほど、干渉縞低減の点で好ましい。
【0021】
上記中間層の厚みd(nm)は、5〜40nmの範囲とすることができるが、一般に5〜30nmの範囲であり、好ましくは10〜30nmの範囲であり、特に15〜25nmの範囲が好ましい。厚みd(nm)の値が小さいほど干渉縞低減の観点で好ましいが、接着層として中間層に求められる接着の強度の保持の観点からは、この範囲においては厚みが大きいほど好ましい。
【0022】
また、上記反射防止フィルムは、次式(5):
1≧n3 (5)
(但し、n1及びn3は、上記の式と同じ意味である)
を満たす態様において好適に実施することができる。
【0023】
上記の式中のハードコート層の屈折率n3は、一般に1.55以上であり、好ましくは1.57以上であり、特に1.59以上が好ましい。式中の透明基材の屈折率n1は、このn3の値以上の値をとる。このようにより大きな屈折率の値に対応することにより、透明基材の屈折率が増大した場合においても十分に干渉縞が低減可能であるという本発明の優位性を生かすことができる。
【0024】
さらにその範囲としては、前記透明基材の屈折率n1は、一般に1.55〜1.70の範囲とすることができるが、好ましくは1.59〜1.68の範囲であり、特に1.63〜1.66の範囲が好ましく、前記ハードコート層の屈折率n3は、一般に1.55〜1.70の範囲とすることができるが、好ましくは1.59〜1.68の範囲であり、特に1.63〜1.66の範囲が好ましい。このような範囲の屈折率に対して、本発明の中間層の屈折率と厚みとを好適に選択可能である。
【0025】
上記透明基材としては、種々の透明基材を使用することが可能であるが、PETフィルムが、透明性や可撓性の点から好ましい。この場合には、通常1.65程度の屈折率であるPETフィルムの屈折率に、中間層の屈折率n2及びハードコート層の屈折率n3が近づくほど、干渉縞の低減が可能となり、好ましい。
【0026】
上記ハードコート層には、金属酸化物微粒子を分散させた樹脂を含むことが好適に可能である。この金属酸化物微粒子としては、ITO,ATO,Sb23,SbO2,In23,SnO2、ZnO、TiO2、ZrO2、CeO2、Al23、Y23、La23、LaO2及びHo23よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属酸化物微粒子を使用可能である。ITO(酸化インジウム/酸化錫),ATO(酸化アンチモン/酸化錫),Sb23,SbO2,In23,SnO2、ZnOは、導電性をハードコート層に付与するために特に有用であり、TiO2、ZrO2、CeO2、Al23、Y23、La23、LaO2及びHo23は、ハードコート層の屈折率を高くするために特に有用である。これによってハードコート層の屈折率を調整することができ、導電性を付与することで帯電を防止することができる。また、この樹脂としては、種々の樹脂を使用可能であるが、紫外線硬化性樹脂が、硬化後の硬度や製造上の取り扱いの点から好ましい。
【0027】
上記低屈折率層に、中空シリカを分散させた樹脂を含むものとすることができ、これによって低屈折率層の屈折率を調整することができる。またこの樹脂として紫外線硬化性樹脂を使用することが、硬度向上の点から好ましい。
【0028】
上記低屈折率層を、最外層として含む反射防止フィルムは、本発明の好適な実施の態様である。
【0029】
さらに本発明は、上記反射防止フィルムを含むディスプレイ用フィルタにもある。このようなフィルタとすることにより、干渉縞が低減された本発明の優位性を有するディスプレイ用フィルタを得ることが可能となる。特に、上記反射防止フィルムを最外層として含むディスプレイ用フィルタは、その反射防止と干渉縞低減の特性を生かした本発明の好適な実施の態様である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のような屈折率が比較的高い材料を使用した場合にも、いわゆる油染みとも呼ばれる干渉縞を低減した反射防止フィルムを得ることができる。また本発明によれば、光の波長に対して制約がほとんどなく、現実に使用される種々の室内照明において十分に干渉縞が低減された反射防止フィルムを得ることができる。
【0031】
この反射防止フィルムを反射防止層として使用したディスプレイ用フィルタは、種々の波長特性を備えた光源によって照明された室内において、自然な色調の映像の鑑賞を可能とする。特に自然な色調を特徴とするPDPディスプレイでの使用に好適である。しかし、本発明の反射防止フィルムの用途は、ディスプレイ用フィルタに限られず、室内で使用される種々の透明窓や、器具や装置の表示窓等にも好適に使用可能である。
【0032】
さらに、本発明の反射防止フィルムは、室内での用途に限られず、屋外における自然光及び種々の人工光源に対しても好適な干渉縞低減特性を有し、そのような場面で使用されるディスプレイ用フィルタや、種々の透明窓、器具や装置の表示窓においても、好適に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
図1は本発明の反射防止フィルムの実施の形態の一例を示す断面図である。図1には、低屈折率層11、ハードコート層12、中間層13、透明基材層14を有する反射防止フィルムが示されている。室内照明光等の外光は、低屈折率層11側から入射するように設置される。ディスプレイ用フィルタとして製造する場合には、透明基材層14の裏側にさらに種々の層が積層され、例えば近赤外線カット層、色調補正フィルター層、電磁波シールド層、あるいは自立性の透明基材等が、所望によりさらにそれらの接着層を介して積層される。
【0035】
この反射防止フィルムは、次式(1)〜(4):
1≧1.55 (1)
3≧1.55 (2)
0< | n1−n2 | < 0.1 (3)
0< | n3−n2 | < 0.1 (4)
(但し、n1は透明基材層14の屈折率、n2は中間層13の屈折率、n3はハードコート層12の屈折率である)
を満たし、且つ、上記中間層13の厚みd(nm)が40nm以下であるとの条件を満足するものである。このようにして、ハードコート層等の層の屈折率が増大した場合においても十分に干渉縞が低減された反射防止フィルムを得ることができる。
【0036】
さらに好ましい実施の態様においては、上記の式| n1−n2 |の値は、一般に0.1以下であり、好ましくは0.09以下であり、特に0.08以下が好ましい。この値が小さいほど、干渉縞低減の点で好ましい。上記の式| n3−n2 |の値は、一般に0.1以下であり、好ましくは0.08以下であり、特に0.06以下が好ましい。この値が小さいほど、干渉縞低減の点で好ましい。
【0037】
また、上記反射防止フィルムは、次式(5):
1≧n3 (5)
(但し、n1及びn3は、上記の式と同じ意味である)
を満たす態様において好適に実施することができる。
【0038】
上記の式中のハードコート層の屈折率n3は、一般に1.55以上であり、好ましくは1.57以上であり、特に1.59以上が好ましい。式中の透明基材の屈折率n1は、このn3の値以上の値をとり、一般に1.55以上であり、好ましくは1.57以上であり、特に1.59以上が好ましい。このようにより大きな屈折率の値に対応することにより、透明基材の屈折率が増大した場合においても十分に干渉縞が低減可能であるという本発明の優位性を生かすことができる。
【0039】
さらにその範囲としては、前記透明基材の屈折率n1は、1.55〜1.70の範囲とすることができるが、一般に1.59〜1.68の範囲であり、好ましくは1.63〜1.66の範囲であり、前記ハードコート層の屈折率n3は、1.55〜1.70の範囲とすることができるが、一般に1.59〜1.68の範囲であり、好ましくは1.63〜1.66の範囲である。このような範囲の屈折率に対して、本発明の中間層の屈折率と厚みとを好適に選択可能である。
【0040】
図1における上記透明基材層14の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂等の各フィルムを挙げることができる。PETフィルムが、透明性や可撓性の点から特に好ましく、本発明は、屈折率1.65のPETに適合した好適な実施が可能である。
【0041】
上記透明基材層の厚さは、6〜250μm程度であることが好ましい。
【0042】
さらに本発明の好適な実施の態様においては、中間層の屈折率n2は、次式(6)及び(7):
1≧n2 (6)
3≧n2 (7)
を満たす値である。このような値とすることで中間層をより容易に設置することができる。
【0043】
図1における上記透明基材層14の上には、中間層13が設置されている。中間層の材料としては、上述した本発明の各層間の屈折率の関係を達成できるような屈折率を有するもの、すなわち少なくとも屈折率1.55以上であって透明基材層とハードコート層と近い屈折率を有するものであって接着可能なものであれば特に制限無く使用可能である。好適な例として、アクリル系樹脂(特にイオウ変性したアクリル系樹脂を含む)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、ポリビニルアセタール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB)、塩化ビニル樹脂を挙げることができる。特にアクリル系樹脂(特にイオウ変性したアクリル系樹脂)及びEVAが好ましい。
【0044】
上記アクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステルと、アクリル酸、メタクリル酸等のコモノマーとの共重合体;或いは、これらの共重合体の側鎖にカルボキシル基、水酸基、メチロール基、グリシジル基等の官能基を導入し、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、或いはTDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(ナフタレンジイソシアネート)等の芳香族イソシアネートで架橋して得られるアクリルウレタン樹脂を挙げることができ、特に好適な例としては、アクリル系樹脂モノマーとしてイオウ原子を有する官能基を有するモノマーを使用して重合反応させ、あるいはアクリル系樹脂ポリマーの官能基にイオウ原子を有する化合物を反応させることにより得られる、イオウ変性したアクリル系樹脂を挙げることができる。
【0045】
また、接着力向上の目的で、EVA樹脂にシランカップリング剤を添加することができる。この目的に供されるシランカップリング剤としては公知のもの、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロロシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤の配合量は、一般にEVA樹脂100質量部に対して5質量部以下、好ましくは0.1〜2質量部である。
【0046】
更に、EVA樹脂のゲル分率を向上させ、耐久性を向上するためにEVA樹脂に架橋助剤を添加することができる。この目的に供される架橋助剤としては、公知のものとしてトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、NKエステル(商品名)等の単官能の架橋助剤等も挙げることができる。これらの架橋助剤の配合量は、一般にEVA樹脂100質量部に対して10質量部以下、好ましくは1〜5質量部である。
【0047】
更に、EVA樹脂の安定性を向上する目的でハイドロキノン;ハイドロキノンモノメチルエーテル;p−ベンゾキノン;メチルハイドロキノンなどを添加することができ、これらの配合量は、一般にEVA樹脂100質量部に対して5質量部以下である。
【0048】
更に、必要に応じ、上記以外に着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、変色防止剤等を添加することができる。着色剤の例としては、金属酸化物、金属粉等の無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、アヂ系、酸性又は塩基染料系レーキ等の有機顔料がある。紫外線吸収剤には、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;フェニルサルシレート;p−t−ブチルフェニルサルシレート等のヒンダートアミン系がある。老化防止剤としては、アミン系;フェノール系;ビスフェニル系;ヒンダートアミン系があり、例えばジ−t−ブチル−p−クレゾール;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート等がある。
【0049】
上記中間層13の厚みd(nm)は、一般に5〜40nmの範囲とすることができるが、好ましくは5〜30nmの範囲であり、特に10〜30nmの範囲が好ましい。厚みd(nm)の値が小さいほど干渉縞低減の観点で好ましいが、接着層として中間層に求められる接着の強度の保持の観点からは、この範囲においては厚みが大きいほど好ましい。
【0050】
図1における上記透中間層13の上には、ハードコート層12が設置されている。上記ハードコート層は、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂の硬化被膜からなる層であり、特に紫外線硬化性樹脂を用いることにより極めて容易に、ハードコート層を透明基材層上に設けることができる。
【0051】
熱硬化性樹脂としては、熱硬化型シリコーン組成物(例えば有機ポリシロキサン形成するメチルトリメトキシシラン)が好ましく、シラノール基の脱水縮合に3次元架橋がなされ、高硬度の被膜が得られる。一般に、80〜220℃にて、10分〜1時間加熱することにより硬化させることができる。
【0052】
また硬化性樹脂として、エチレン性二重結合(好ましくはアクリロイル基又はメタクリロイル基)を有する樹脂又はオリゴマーを使用することができ、これは一般に光硬化することによりハードコート層とすることができる。
【0053】
あるいは、ハードコート層は、シリカ微粒子を含有する硬化性樹脂の硬化被膜からなる層であることも好ましい。特に紫外線硬化性樹脂を用いることにより極めて容易にハードコート層を透明基材層上に設けることができる。
【0054】
上記シリカ微粒子の一次粒径が1〜200nmの範囲にあることが好ましい。
【0055】
好適な実施の態様において、ハードコート層には、この金属酸化物微粒子としては、ITO(酸化インジウム/酸化錫),ATO(酸化アンチモン/酸化錫),Sb23,SbO2,In23,SnO2、ZnO、TiO2、ZrO2、CeO2、Al23、Y23、La23、LaO2及びHo23よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属酸化物微粒子を使用可能である。ITO,ATO,Sb23,SbO2,In23,SnO2、ZnOは、導電性をハードコート層に付与するために特に有用であり、TiO2、ZrO2、CeO2、Al23、Y23、La23、LaO2及びHo23は、ハードコート層の屈折率を高くするために特に有用である。これによってハードコート層の屈折率を調整することができ、導電性を付与することで帯電を防止することができる。
【0056】
上記紫外線硬化性樹脂は公知の紫外線硬化性樹脂(重合性オリゴマー、多官能性モノマー、単官能性モノマー、光重合開始剤、添加剤等を含む)を使用することができる。
【0057】
このような紫外線硬化性樹脂は、例えばエチレン性二重結合(好ましくはアクリロイル基器又はメタクリロイル基)を複数有するウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー又はエポキシオリゴマー等のオリゴマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHA)等の重合性オリゴマー及び/又は多官能性モノマーを主成分として構成され、好ましい。上記の変性シリカ微粒子の製造に用いた官能性重合モノマー等も適宜使用することができる。
【0058】
紫外線硬化性樹脂は、上記のようにオリゴマー、必要により反応性稀釈剤(多官能性モノマー、単官能性モノマー)、光重合開始剤から一般に構成される。光重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、5−ニトロアセナフテン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、p−ニトロジフェニル、p−ニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン;アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン系化合物、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビスアシルフォスフィンオキシド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ミヒラーケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、3−メチルアセトフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)等が挙げることができ、さらにBTTBと色素増感剤、例えばキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン等との組み合わせ等が挙げられる。これらのうち、特にベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンが好ましい。
【0059】
これらは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。オリゴマー、反応性稀釈剤及び開始剤は、それぞれ1種用いても良く、2種以上組み合わせて用いてもよい。反応性稀釈剤の含有量は、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が一般的であり、0.5〜5質量部が好ましい。光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して5質量部以下が好ましい。
【0060】
上記紫外線硬化性樹脂は、さらにシリコーン重合体を含むことができる。一般にシリコーンを側鎖にもつグラフト共重合体であり、好ましくはシリコーンを側鎖にもつアクリル系グラフト共重合体である。
【0061】
本発明では、さらにまた上記に必要に応じて各種添加剤を添加することができるが、これらの添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、無機系充填材、有機系充填材、フィラー、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を挙げることができる。
【0062】
上記ハードコート層は、上記成分を主成分とするものであるが、上記オリゴマー又はモノマーの変性したもの、あるいは他の機能性樹脂、添加剤をさらに使用すること等により、種々の機能に優れたハードコート層を得ることができる。
【0063】
上記ハードコート層12の厚さは、1〜20μm(特に1〜15μm)であることが好ましい。
【0064】
図1におけるハードコート層12の上には、低屈折率層11が設置されている。上記低屈折率層11は、例えばフッ素系或いは非フッ素系等の低屈折率有機薄膜によって形成することができる。
【0065】
非フッ素系有機薄膜としては、ハードコートに用いられるようなアクリル系樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げることができる。
【0066】
フッ素系有機薄膜としては、FET(フルオロエチレン/プロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン/テトラフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PVD(ポリフッ化ビニリデン)等を挙げることができる。
【0067】
また、防汚性、易滑性等を付与するために、フッ素系、シリコン系の添加物を加えることもある。中でも、シリコン樹脂又はアクリル樹脂が、安価であることもあり、好適である。
【0068】
上記低屈折率層11は、ハードコート層に用いられるような熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂の硬化被膜からなる層とすることもでき、特に紫外線硬化性樹脂は硬度及び取り扱いの点で好適である。
【0069】
このような有機薄膜は、一般に屈折率1.3〜1.6の低屈折率薄膜であるため、本発明において好適なものである。
【0070】
また好適には、中空シリカ(ポーラスシリカ)等のフィラーを充填することにより、屈折率を低下させて反射防止性能を向上させることができる。特に、中空シリカは無機化合物フィラーであるために、これによる屈折率低下は有機添加物による屈折率低下と比較して、より硬い低屈折率薄膜を作成できる点で好ましい。
【0071】
上記中空シリカは、中空であって内部に空気を含有しているために、通常のシリカ(屈折率:約1.46)と比べて非常に低い屈折率(約1.34〜1.44)となっており、これは多孔性シリカ微粒子を有機ケイ素化合物等で表面被覆してその細孔入り口を塞いで作成できる。中空シリカの平均粒径は一般に1nm〜1μmの範囲を使用可能であるが、好ましくは5〜200nmであり、特に10〜100nmが好ましい。低屈折率化への寄与の大きさの観点からは粒径が大きいほど好ましいが、約1μmを超えると極端に透明性が低下して拡散反射の寄与が大きくなり、白っぽく見えるようになってしまう。透明性の観点からは粒径は小さいほど好ましいが、上記低屈折率化への寄与の観点の他に、特に粒径が約0.5nmより小さくなると中空シリカの微粒子が凝集しやすくなってしまい均一な分散が容易でなくなる。
【0072】
上記低屈折率層11の厚みは、反射防止機能と防汚機能を両立させるためには、防汚機能を得ることができる範囲で光学的な膜厚であることが好ましく、50〜500nmの範囲、例えば500nmの波長の光の1/4λ(=125nm)程度とするのが好ましい。
【0073】
このような有機薄膜を反射防止膜の最表面層として高屈折率のハードコート層上に形成することにより、反射防止機能を得ることができ、さらに優れた防汚性及び耐擦傷性をも得ることができる。
【実施例】
【0074】
以下に実施例を示し、本発明ついてさらに詳述する。本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0075】
[実施例1]
本発明の反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルタの製造
透明基材としてPETフィルム(屈折率1.65、150μm厚)を製膜直後に、このPETフィルム上にイオウ変性したアクリル樹脂を流延し、これを圧延・接着して、屈折率1.57で厚さ20nmの中間層(中間屈折率層)を形成した。次に、多官能性アクリレートモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬(株)製、商品名DPHA)40質量部、ジルコニア60質量部、MEK100質量部、トルエン100質量部、重合開始剤として光開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名イルガキュア184)4質量部を含むコート液を調製して、上述の中間層のさらに上に塗布した。次いで80℃で約1分間乾燥処理した後に、紫外線照射(光量200mJ/cm2)により硬化させて、ハードコート層(屈折率1.63、厚さ3μm)を形成した。この上に、低屈折率層として、フッ素樹脂層(屈折率1.43、厚さ90nm)を形成した。
【0076】
さらにこれを厚さ2.5mmのガラス板に貼り合わせて、ディスプレイ用フィルタを作成した。
【0077】
[実施例2]
本発明の反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルタの製造
実施例1と同様に、PETフィルムからなる透明基材上にイオウ変性したアクリル樹脂による中間層(中間屈折率層)を形成した。次に、実施例1と同様に、紫外線硬化性樹脂からなるハードコート層を形成した。次に、DPHAを2質量部、ポーラスシリカ(中空シリカ)(粒径20nm)2質量部、重合開始剤として光開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名イルガキュア184)0.1質量部、溶剤としてMIBK100質量部を含むコート液を調製して、上述のハードコート層のさらに上に塗布した。次いで80℃で約1分間乾燥処理した後に、紫外線照射(光量200mJ/cm2)により硬化させて、低屈折率層(屈折率1.43、厚さ90nm)を形成した。
【0078】
さらにこれを厚さ2.5mmのガラス板に貼り合わせて、干渉縞防止実験用のディスプレイ用フィルタを作成した。
【0079】
[比較例1]
比較例1の反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルタの製造
中間層として、屈折率1.57で厚さ80nmの層を形成すること以外については、実施例1と同様にフィルムを製造した。
【0080】
さらにこれを厚さ2.5mmのガラス板に貼り合わせて、干渉縞防止実験用のディスプレイ用フィルタを作成した。
【0081】
[比較例2]
比較例2の反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルタの製造
中間層として、イオウ変性アクリル樹脂の変性を調節することにより屈折率を1.51とした厚さ20nmの層を形成すること以外については、実施例1と同様にフィルムを製造した。
【0082】
さらにこれを厚さ2.5mmのガラス板に貼り合わせて、干渉縞防止実験用のディスプレイ用フィルタを作成した。
【0083】
[比較例3]
比較例3の反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルタの製造
中間層として、屈折率1.57で厚さ80nmの層を形成すること以外については、実施例2と同様にフィルムを製造した。
【0084】
さらにこれを厚さ2.5mmのガラス板に貼り合わせて、干渉縞防止実験用のディスプレイ用フィルタを作成した。
【0085】
[比較例4]
比較例4の反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルタの製造
中間層として、イオウ変性アクリル樹脂の変性を調節することにより屈折率を1.51とした厚さ20nmの層を形成すること以外については、実施例2と同様にフィルムを製造した。
【0086】
さらにこれを厚さ2.5mmのガラス板に貼り合わせて、干渉縞防止実験用のディスプレイ用フィルタを作成した。
【0087】
[干渉縞発生の評価]
実施例1及び実施例2、比較例1〜4のディスプレイ用フィルタを、3波長形の蛍光灯(東芝製、商品名FHF32EX−N)を天井灯として使用した室内で、平滑な壁面に反射防止フィルム面が室内側になるように設置した。3波長形の蛍光灯の照明により生じた干渉縞(油染み)の程度を目視にて評価した。評価は、○:目立った干渉縞がほとんど見えない △:目立つ干渉縞が若干見える ×:目立つ干渉縞がはっきり見える の三段階で行った。この結果を次の表に示す。











目視評価

実施例1 ○
実施例2 ○
比較例1 ×
比較例2 ×
比較例3 ×
比較例4 ×

表1
【0088】
[結果]
実施例1及び実施例2に示された本発明の反射防止フィルムを使用したディスプレイ用パネルは、目立った干渉縞がほとんど見えないのに対して、比較例1〜4に示された中間層の屈折率又は厚みが異なった反射防止フィルムを使用したディスプレイ用パネルは、目立つ干渉縞が明らかに視認された。すなわち、本発明の反射防止フィルム及びこれを使用したディスプレイ用パネルは、目障りな干渉縞を低減する優れた特性を備えていることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、本発明の反射防止フィルムの基本構造の一例の断面図である。
【図2】図2は、典型的なPDP用前面フィルタの構造を示す断面図である。
【図3】図3は、ウェットコーティング法により製造された反射防止フィルムの一般的構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0090】
11 低屈折率層
12 ハードコート層
13 中間層
14 透明基材層
20 発光パネル
21 反射防止層
22 電磁波シールド層
23 透明基板
24 色調補正フィルター層
25 近赤外線カット層
31 低屈折率層
32 ハードコート性を有する高屈折率層
33 透明基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材上に、中間層、屈折率の高いハードコート層、ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層が順に積層された反射防止フィルムであって、
次式(1)〜(4):
1≧1.55 (1)
3≧1.55 (2)
0< | n1−n2 | < 0.1 (3)
0< | n3−n2 | < 0.1 (4)
(但し、n1は透明基材の屈折率、n2は中間層の屈折率、n3はハードコート層の屈折率である)
を満たし、且つ、前記中間層の厚みd(nm)が5〜40nmの範囲にあることを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項2】
次式(5):
1≧n3 (5)
を満たす請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項3】
前記透明基材の屈折率n1が1.55〜1.70の範囲にあり、前記ハードコート層の屈折率n3が1.55〜1.70の範囲にある請求項1又は請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
前記透明基材がPETフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層に、金属酸化物微粒子を分散させた樹脂を含む請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項6】
前記金属酸化物微粒子は、ITO,ATO,Sb23,SbO2,In23,SnO2、ZnO、TiO2、ZrO2、CeO2、Al23、Y23、La23、LaO2及びHo23よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属酸化物微粒子である請求項5に記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
金属酸化物微粒子を分散させた前記樹脂として、紫外線硬化性樹脂を含む請求項5又は請求項6に記載の反射防止フィルム。
【請求項8】
前記低屈折率層に、中空シリカを分散させた樹脂を含む請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項9】
中空シリカを分散させた前記樹脂として、紫外線硬化性樹脂を含む請求項8に記載の反射防止フィルム。
【請求項10】
前記低屈折率層を、最外層として含んでいる請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止フィルムを含むディスプレイ用フィルタ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の反射防止フィルムを、最外層として含むディスプレイ用フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−163156(P2006−163156A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356876(P2004−356876)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】