説明

反射防止構造体

【課題】反射防止膜を要しない丈夫な反射防止構造体を提供する。
【解決手段】光がその波長よりも微小な構造体の形状をはっきりと認識できない点に着眼し、光の入射面に入射する光の波長と同程度の大きさの柱状の凸部を無数に設け、その凸部の高さを反射防止膜に適用される膜厚である4分の1波長に相当する長さとすることにより入射光に当該凸部とその周囲の空間を擬似的な薄膜と認識させる。これにより薄膜と同等以上の反射防止特性を得ることができ、さらには構造が柱状であることから丈夫で作りやすい反射防止構造体を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸構造を有する反射防止構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油価格の高騰やレアアースの欠乏などの問題から、地球規模の資源節約の機運が高まっているが、レンズやミラーなどを扱う光産業においても例外ではなく、薄膜コートを用いない反射防止構造の開発が進んでいる。薄膜コートは、希少な金属を利用することも少なくなく、これを不要とすることによる恩恵は極めて大きいといえる。
【0003】
光産業の分野において、薄膜コートは主に反射防止膜や誘電体ミラーなどに利用されるが、多層構造が要求される場合がほとんどであることや、一度に形成できる薄膜コートの面積が数平方メートル程度と小さいこと、さらには高度な蒸着技術を要することや希少な金属を使うことなどから、大変高価な技術となっている。
【0004】
これらの欠点から、特許文献1などに記載されている、薄膜コートのない反射防止構造が提案されている。当該反射防止構造は無反射構造またはモスアイ構造などと呼ばれ、光学素子の表面を、光の波長程度もしくはそれ以下の大きさの山で充填することにより実現する。
【0005】
反射率が下がる理由は、光はその波長よりも小さいものの形状を正しく認識できないため、波長程度の大きさの山を屈折率が連続的に変化している薄膜と誤認識することにある。屈折率が連続的に変化する領域では、光は反射する面を認識できずそのまま通過すると考えられているが、実際には効果的に反射率を抑えることのできる条件は狭く、どのような構造を選択すればよいかは未だ試行錯誤の域を脱していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−275230
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無反射構造は、非常に微小な山状の突起を無数に有するため山の頂上部が非常に脆く、わずかな外的な圧力によって構造が破壊されるなどの欠点を有している。見かけ上の屈折率の段差を無くすには山の頂上を鋭利に尖らせる必要があるため、この性質はどうしても必要であった。
【0008】
また、このような構造を作りこむには自己組織化する膜などを利用し、そのエッチングレートの差を利用して形成するなどの技術が考えられているが、目指す形状にならない、形成される構造の輪郭がはっきりせずすぐに崩れる、再現性に乏しいなどの問題を有している。さらには、凹凸表面を有する反射防止構造の反射を抑える原理が十分に解明されていないため、反射率を抑えることのできる最適な構造を予測できないなどの問題もある。
【0009】
従って、本発明の一態様は、薄膜コートを有さず、山状の鋭利な突起部も必要としない反射防止構造体を提供することを目的の一とする。また、本発明の一態様は、本発明の開示する式に従った構造を有する反射防止構造体を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、光が微小な構造体の形状をはっきりと認識できない点に着眼した。
【0011】
そして、光の入射面に入射する光の波長と同程度の大きさの柱状の凸部を無数に設けることにより、入射光に当該凸部とその周囲の空間を擬似的な薄膜と認識させる思想に想到し、それら凸部の高さを反射防止膜に適用される膜厚である4分の1波長に相当する長さとすることにより上記課題の解決に至った。このような構造とすることで、光は柱状の凸部とその周囲の空間の屈折率を平均した屈折率(以下、合成屈折率と記す)を有する薄膜を通過するのと同様に振舞うため、当該薄膜の厚さにあたる柱状の凸部の高さを反射防止膜に相当するものとすれば、高い反射防止特性を得ることができる。なお、反射防止膜に適用される膜厚には、上記以外にも、4分の3波長、4分の5波長、4分の7波長にそれぞれ相当する長さなどがある。反射防止膜があまりにも厚くなりすぎると干渉の効果が薄れ、反射防止特性が低下するが、4分の9波長に相当する厚さ以上のものも、設計の都合によっては採用して構わない。
【0012】
光の入射面に上述したような柱状の凸部が無数に設けられた屈折率の一様な物体において、当該柱状の凸部の高さが揃っているとき、合成屈折率は、当該物体の屈折率の平方根とすると光の入射面における反射率をほとんど0とすることができる。
【0013】
すなわち、本発明の一態様は、屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(1)および数式(2)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0014】
【数1】

【0015】
【数2】

【0016】
本発明の特徴とする柱状の凸部は、その輪郭がはっきりとしており鋭利な先端を有しないため耐久性に優れ、また、ナノインプリント法やフォトリソグラフィー法などの広く用いられている技術にて作製可能であるなどの利点を有する。
【0017】
入射する光の波長λは、最も反射率を抑えたいものを選択し、それに合わせて反射防止構造を設計すればよい。なお、広帯域の波長に渡り反射率を抑えたいときは、当該凸部の高さも数種類としてもよい。例えば、2種類の高さの凸部を混在させた場合、光はその構造を2層の薄膜の積層とみなすため、これに合わせて当該凸部の高さを規定すればよい。このような構造体は例えばナノインプリント法にて形成できる。フォトリソグラフィー法を用いる場合は、露光を複数回行なうなどすればよい。あるいは、ある波長の光に対しては、4分の3波長に相当するが、ある他の波長の光に対しては、4分の1波長に相当する高さを採用するなどして、複数の波長に対し高い反射防止特性を付与することができる。
【0018】
本発明の他の一態様は、屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(3)および数式(4)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0019】
【数3】

【0020】
【数4】

【0021】
本発明の他の一態様は、屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(1)および数式(5)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0022】
【数5】

【0023】
【数6】

【0024】
本発明の他の一態様は、屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(3)および数式(6)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0025】
【数7】

【0026】
【数8】

【0027】
本発明の他の一態様は、屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(1)および数式(7)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0028】
【数9】

【0029】
【数10】

【0030】
本発明の他の一態様は、屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(3)および数式(8)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0031】
【数11】

【0032】
【数12】

【0033】
なお、上記の発明は屈折率1の空間で使用する反射防止構造体に関するものであったが、1でない屈折率nαの領域で使用するものについては、以下の発明を適用すればよい。
【0034】
すなわち、本発明の他の一態様は、屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(9)および数式(10)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0035】
【数13】

【0036】
【数14】

【0037】
本発明の他の一態様は、屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(11)および数式(12)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0038】
【数15】

【0039】
【数16】

【0040】
本発明の他の一態様は、屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(9)および数式(12)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0041】
【数17】

【0042】
【数18】

【0043】
本発明の他の一態様は、屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(10)および数式(11)を満たすことを特徴とする反射防止構造体である。
【0044】
【数19】

【0045】
【数20】

【0046】
なお、底面積Sの範囲は、λ/1000000以上10λ以下、好ましくはλ/1000000以上λ/100以下、より好ましくはλ/1000000以上λ/10000以下としてもよい。底面積Sの下限値をλ/1000000とするのは、これ以上小さくすると柱状の凸部の強度を維持するのが困難となるからである。また、上限値を設けているのは確実に高い反射防止特性を得るためであり、例えば、底面積Sの上限値をλ/10000とすることにより、非常に高い反射防止特性を得ることができる。また、底面積Sを有する面の形状は、円状、楕円状、多角形状、不定形などいかなるものでもよい。例えば、当該形状を蛇行する細長いものとした場合、たとえ上述の面積の範囲を超えたとしても、本発明の特徴とする反射防止特性を発現させることが可能な場合がある。詳しくは実施の形態で述べる。また、本明細書において、光入射面の面積Sとは、光入射面に凹凸構造がないと仮定したときの面積を指すものとする。
【0047】
以下に上記式の導出方法を示す。上述した擬似的な薄膜として扱う領域において、柱状の凸部の体積または当該凸部の底面積の占める割合をpとすると、当該擬似的な薄膜の合成屈折率は、pn+(1−p)と表せる。ただし、空間の屈折率は1とした。本発明において当該凸部は柱状であるから、体積比と底面積比は同じ値として扱えるが、製造誤差などを考慮すると厳密には同じにならない。この合成屈折率を柱状の凸部の屈折率nの平方根とし、反射を抑制したい光の波長をλとしたときに当該凸部の高さをλ/(4√n)とすれば、干渉の効果により非常に優れた反射防止特性が得られることが理解できる。すなわち、pn+(1−p)=√nをpについて解けば、p=(√n−1)/(n−1)となる。この値から上下30%、好ましくは20%の変動の範囲であれば、十分な反射防止特性が得られるが、特に低い反射率を求める場合は、上下5%以内の範囲に抑える。なお、上記の式においてはpS=ΣS(SからSまでの総和を表すこととする)であり、これに20%の製造誤差を加味すると、ΣSは0.8S(√n−1)/(n−1)以上1.2S(√n−1)/(n−1)以下、凸部の高さhも同様に考えて、0.8λ/(4√n)以上1.2λ/(4√n)以下とすれば、高い反射防止特性が得られる。製造誤差を5%とすると、ΣSは0.95S(√n−1)/(n−1)以上1.05S(√n−1)/(n−1)以下、凸部の高さhも同様に考えて、0.95λ/(4√n)以上1.05λ/(4√n)以下とすれば、より高い反射防止特性が得られる。製造誤差を30%とした場合は、ΣSは0.7S(√n−1)/(n−1)以上1.3S(√n−1)/(n−1)以下、凸部の高さhも同様に考えて、0.7λ/(4√n)以上1.3λ/(4√n)以下とすれば、高い反射防止特性が得られることがわかる。なお、反射防止膜として、4分のq(qは3以上の奇数)波長以上の膜厚を採用する場合は、製造誤差を20%とすると、凸部の高さhの範囲を0.8qλ/(4√n)以上1.2qλ/(4√n)以下とすればよい。製造誤差を30%とした場合は、同範囲を0.7qλ/(4√n)以上1.3qλ/(4√n)以下とすればよい。製造誤差を5%とした場合は、同範囲を0.95qλ/(4√n)以上1.05qλ/(4√n)以下とすればよい。上記において、柱状の凸部の高さhの範囲と、ΣSの範囲の組み合わせは自由に変更してよい。
【0048】
なお、本発明において、柱状の凸部とは光入射面の法線に対し、−30度以上30度以下、好ましくは−20度以上20度以下、より好ましくは−10度以上10度以下の角度θを成す側面を有するものを指し、当該側面の成す斜面(垂直も含む)は直線で構成されていてもよいし、曲線で構成されていてもよい。あるいは、それらの混在したものであってもよく、前述した角度範囲は当該斜面の平均的な角度とする。
【0049】
本発明において、柱状の凸部を凹部としてもよく、両者が混在したものも採用できる。例えば、柱状の凹部とした場合、光入射面において、柱状の凹部以外の部分を柱状の凸部とみなせば、上記と同じ式が成り立つ。このときNが1と考えればよい。また、柱状の凸部とみなした部分の底面積がλを大きく超えうるが、本発明の効果が損なわれることはなく、かわりに柱状の凹部の面積を本発明の規定する範囲とすればよい。また、両者の混在したものを採用する場合でも、同様の思想に基づいて合成屈折率や柱状の凸部の高さ、柱状の凹部の深さなどを規定すればよい。
【0050】
なお、上記の議論は屈折率1の空間における反射防止構造体に関するものであったが、1でない屈折率nαの領域における屈折率nβの反射防止構造体については、合成屈折率はpnβ+(1−p)nα、柱状の凸部の高さはqλ/(4√(nαβ))とし、上記と同様の変形を行えばよい。(qは正の奇数)
【発明の効果】
【0051】
これまでは、凹凸構造を形成すれば反射防止効果が発現することが判っている程度で、実務上はさまざまな凹凸構造を、コンピュータなどを使って計算し、最も効果的な構造を模索するといった手法がとられており、設計の効率が極めて悪かった。本発明の開示する式により設計の段階で反射率を効果的に抑える構造が予想できるようになり、設計効率が飛躍的に向上する。
【0052】
本発明によれば、薄膜コートを要さず、鋭利で脆い構造を有しない、丈夫で製造も容易な反射防止構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施の形態に係る反射防止構造体の例を示す図。
【図2】実施の形態に係る反射防止構造体の例を示す図。
【図3】実施の形態に係る反射防止構造体の屈折率分布の例を示す図。
【図4】実施の形態に係る反射防止構造体の屈折率分布の例を示す図。
【図5】実施の形態に係る反射防止構造体の例を示す図。
【図6】実施の形態に係る反射防止構造体の例を示す図。
【図7】実施の形態に係る反射防止構造体の屈折率分布の例を示す図。
【図8】実施の形態に係る反射防止構造体の例を示す図。
【図9】実施の形態に係る反射防止構造体の屈折率分布の例を示す図。
【図10】実施の形態に係る反射防止構造体の例を示す図。
【図11】実施の形態に係る反射防止構造体の例を示す図。
【図12】実施の形態に係る反射防止構造体を光電変換素子とした例を示す図。
【図13】実施の形態に係る反射防止構造体を光電変換素子とした例を示す図。
【図14】実施の形態に係る反射防止構造体を光電変換素子とした例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0055】
(実施の形態1)
本実施の形態では、光入射面102に、波長λの光に対し反射防止効果を奏する柱状の凸部101を具備する反射防止構造体100について図1および図3を参照して説明する。反射防止構造体100は屈折率nの一様な物質からなり、柱状の凸部101も同様のもので構成される。光入射面102は面積Sを有しており、その上に底面積S(mは1からNまでの自然数)を有する柱状の凸部が形成されている。当該凸部は凹部でも構わない。これまで述べてきた合成屈折率などの算出と同様に、空間の屈折率を1、反射防止構造体の占める部分のそれをnとして扱えばよい。
【0056】
柱状の凸部の底面積Sは、光が当該凸部を認識できない程度に小さくする。例えば、波長λの光の反射を抑制するときは、底面積Sの面の形状の最も長い径を波長λよりも小さくするとよい。また、好ましくは隣接する柱状の凸部の距離Lも波長λより小さくするとよい。これにより入射する波長λの光は、柱状の凸部101を認識できないため、反射防止構造体100は高い反射防止効果を奏する。
【0057】
柱状の凸部の高さh(mは1からNまでの自然数)は、前述に示した範囲のいずれかとする。図3に反射防止構造体100の合成屈折率の分布を示す。柱状の凸部の高さh(mは1からNまでの自然数)は、−5%以上5%以下、または−20%以上20%以下、または−30%以上30%以下のばらつきを有しているため、図3(a)中のx軸に沿って、屈折率分布は図3(b)に示すようになる。すなわち、反射防止構造体100の底面を0とし光入射面をxとすると、x=0からx=xの範囲で当該屈折率はnとなる。さらに、x=xからx=xの範囲においては、合成屈折率はn=√nとなるように柱状の凸部の密度を設定する。これにより、反射防止特性を最大に高めることができる。これは、反射防止膜を単層で用いる場合に、反射波の合成ふり幅が0になる条件と等価である。反射防止膜を単層で用いる構造はQ型と呼ばれることがある。位置xの近傍で当該屈折率がなだらかに低下するのは、柱状の凸部の高さhにばらつきがあるためで、これを限りなく0に近づけることで反射防止構造体100の反射防止効果を高めることができる。なお、柱状の凸部の高さが一部、上述の範囲外にあっても、本発明の効果が損なわれない程度であれば許容されることは言うまでもない。柱状の凸部の70%以上が上述の範囲に入っていればよく、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であればよい。
【0058】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。
【0059】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態では、光入射面202に、波長λの光に対し反射防止効果を奏する柱状の凸部201を具備する反射防止構造体200について図2および図4を参照して説明する。反射防止構造体200は屈折率nの一様な物質からなり、柱状の凸部201も同様のもので構成される。光入射面202は面積Sを有しており、その上に底面積S(mは1からNまでの自然数)を有する柱状の凸部が形成されている。当該凸部は凹部でも構わない。これまで述べてきた合成屈折率などの算出と同様に、空間の屈折率を1、反射防止構造体の占める部分のそれをnとして扱えばよい。柱状の凸部の高さh’(kは自然数)は、前述に示した範囲のいずれかとする。また、本発明実施の形態の一態様によれば、当該範囲から外れてより大きな値をもつ他の柱状の凸部を有し、それらの高さをh(lは自然数)で表記する。高さhの分布も−30%以上30%以下、好ましくは−20%以上20%以下、さらに好ましくは−5%以上5%以下に収まるようにする。なお、k+lはN以下の自然数である。
【0061】
柱状の凸部の底面積Sは、光が当該凸部を認識できない程度に小さくする。例えば、波長λの光の反射を抑制するときは、底面積Sの面の形状の最も長い径を波長λよりも小さくすると好ましい。また、さらに好ましくは隣接する柱状の凸部の距離Lも波長λより小さくするとよい。これにより入射する波長λの光は、柱状の凸部201を認識できないため、反射防止構造体200は高い反射防止効果を奏する。
【0062】
図4に反射防止構造体200の合成屈折率の分布を示す。柱状の凸部の高さh’、hは、ともに−5%以上5%以下、または−20%以上20%以下、または−30%以上30%以下のばらつきを有しているとすると、図4(a)中のx軸に沿って、屈折率分布は図4(b)に示すようになる。すなわち、反射防止構造体200の底面を0とし光入射面をxとすると、x=0からx=xの範囲で当該屈折率はnとなる。さらに、x=xからx=xの範囲において合成屈折率はn、x=xからx=xの範囲において合成屈折率はnとなる。これにより、反射防止膜を2つ積層したものと等価の性質を持つ構造を得ることができる。2つの反射防止膜の厚さがそれぞれ波長λの入射光の4分の1波長に相当する長さの場合、これはいわゆるQQ型と呼ばれる構造と同等である。これを本発明の一態様に適用すると、n=nを満たすと反射波の合成ふり幅が0になり、反射率を大きく抑えることができる。その他、中間層を、波長λの入射光の2分の1波長に相当する厚さとし、最表面の層を、波長λの入射光の4分の1波長に相当する厚さとしてもよい。これはいわゆるQH型と呼ばれる構造と同等である。この場合、反射波の合成ふり幅を0とする条件は、n=nである。このとき屈折率nはどのような値としてもよいが、高さh’は、0.7λ/(2n)以上1.3λ/(2n)以下の範囲、好ましくは0.8λ/(2n)以上1.2λ/(2n)以下、より好ましくは0.95λ/(2n)以上1.05λ/(2n)以下、の範囲に入るようにする。
【0063】
位置x、xの近傍で当該屈折率がなだらかに低下するのは、柱状の凸部の高さh’、hにばらつきがあるためで、これを限りなく0に近づけることで反射防止構造体200の反射防止効果を高めることができる。また、柱状の凸部の高さを3水準以上とすれば、反射防止膜を3つ以上積層したものと等価の性質を持つ構造を得ることができる。
【0064】
なお、柱状の凸部の高さが一部、上述の範囲外にあっても、本発明の効果が損なわれない程度であれば許容されることは言うまでもない。柱状の凸部の70%以上が上述の範囲に入っていればよく、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であればよい。
【0065】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。
【0066】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0067】
(実施の形態3)
本実施の形態では、光入射面502に、波長λの光に対し反射防止効果を奏する柱状の凸部501を具備する反射防止構造体500について図5を参照して説明する。図5は光入射面502を上からみた平面図である。反射防止構造体500は屈折率nの一様な物質からなり、柱状の凸部501も同様のもので構成される。光入射面502は面積Sを有しており、その上に底面積S(mは1からNまでの自然数)を有する柱状の凸部が形成されている。当該凸部は凹部でも構わないが、これまで述べてきた合成屈折率などの算出と同様に、空間の屈折率を1、反射防止構造体の占める部分のそれをnとして扱えばよい。柱状の凸部の高さh(mは1からNまでの自然数)は、前述に示した範囲のいずれかとし、例えば、反射防止膜のQ型に相当する厚さを採用する。
【0068】
柱状の凸部の底面の形状は、細長い蛇行した形状をとる。あるいはその間には島状で柱状の凸部があってもよい。反射を抑制したい光の波長をλとすると、波長λと同程度もしくはそれ以下の線幅を有するひも状、あるいは蛇状の柱状の凸部を設けると、本発明の特徴とする反射防止特性が得られる。柱状の凸部の幅W、隣接する柱状の凸部の間の最短距離Wは、それぞれ、λ/10000以上3λ以下、好ましくはλ/10000以上λ/100以下の範囲に分布するように設計する。下限をλ/10000とするのは、これ以上小さくすると柱状の凸部の強度を維持するのが困難となるからである。上限をλ/100とするのは、高い反射率抑制効果を得るためである。なお、光入射面のすべての領域において、上記の条件を厳密に満たす必要はなく、70%以上の領域、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の領域にて満たしていればよい。
【0069】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。
【0070】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0071】
(実施の形態4)
本実施の形態では、光入射面602に、波長λの光に対し反射防止効果を奏する柱状の凹部601を具備する反射防止構造体600について図6を参照して説明する。
【0072】
反射防止構造体600は屈折率nの一様な物質からなり、柱状の凹部601は当該物質の形状を加工して形成される。光入射面602は面積Sを有しており、その表面に底面積S’(mは1からNまでの自然数)を有する柱状の凹部が形成されている。柱状の凹部の深さh(mは1からNまでの自然数)は、前述に示した範囲のいずれかとする。なお、先に示した柱状の凸部の総面積であるΣSは、S−ΣS’と等価なものとして扱えばよい。ここでΣS’は、S’からS’までの総和を表すものとする。柱状の凹部の深さについては数式上で扱いが変わらないため、柱状の凸部の高さと同じ表記とした。なお、光入射面602において、柱状の凹部601以外の部分は柱状の凸部とみなすことができるため、本実施の形態においても、先の実施の形態で示した式と全く同じものを適用できる。
【0073】
柱状の凹部の底面積S’は、光が当該凹部を認識できない程度に小さくする。例えば、波長λの光の反射を抑制するときは、底面積S’の面の形状の最も長い径を波長λよりも小さくするとよい。また、好ましくは隣接する柱状の凹部の距離Lも波長λより小さくするとよい。これにより入射する波長λの光は、柱状の凹部601を認識できないため、反射防止構造体600は高い反射防止効果を奏する。
【0074】
図7に反射防止構造体600の合成屈折率の分布を示す。柱状の凹部の深さh(mは1からNまでの自然数)は、−5%以上5%以下、または−20%以上20%以下、または−30%以上30%以下のばらつきを有しているため、図7(a)中のx軸に沿って、屈折率分布は図7(b)に示すようになる。すなわち、反射防止構造体600の底面を0とし、柱状の凹部の最も深いものの底面の位置をxとすると、x=0からx=xの範囲で当該屈折率はnとなる。光入射面をxとすると、x=xからx=xの範囲においては、合成屈折率はn=√nとなるように柱状の凹部の密度を設定する。これにより、反射防止特性を最大に高めることができる。これは、反射防止膜を単層で用いる場合に、反射波の合成ふり幅が0になる条件と等価である。反射防止膜を単層で用いる構造はQ型と呼ばれることがある。位置xの近傍で当該屈折率がなだらかに低下するのは、柱状の凹部の深さhにばらつきがあるためで、これを限りなく0に近づけることで反射防止構造体600の反射防止効果を高めることができる。
【0075】
なお、柱状の凹部の深さが一部、上述の範囲外にあっても、本発明の効果が損なわれない程度であれば許容されることは言うまでもない。柱状の凹部の70%以上が上述の範囲に入っていればよく、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であればよい。
【0076】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。
【0077】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。特に、本実施の形態に示した柱状の凹部と先の実施の形態において示した柱状の凸部を組み合わせると、反射防止膜を2層以上積層したものと同等の特性を、反射防止膜を形成することなく得ることができるため大変有益である。
【0078】
(実施の形態5)
本実施の形態では、光入射面802に波長λの光に対し反射防止効果を奏する柱状の凸部801と、光射出面804に波長λの光に対し反射防止効果を奏する柱状の凸部803とを具備する反射防止構造体800について図8を参照して説明する。光入射面と光射出面に反射防止構造を形成することにより、極めて透過率の高い光学素子を得ることができる。これは、光学窓やレンズ、プリズムなどに特に有効に適用できる。なお、図8において示したθは、光入射面の法線と柱状の凸部の側面の成す角度を指し、−30度以上30度以下、好ましくは−20度以上20度以下、より好ましくは−10度以上10度以下とする。当該側面の成す斜面(垂直も含む)は直線で構成されていてもよいし、曲線で構成されていてもよい。あるいは、それらの混在したものであってもよく、前述した角度範囲は当該斜面の平均的な角度とする。
【0079】
反射防止構造体800は屈折率nの一様な物質からなり、柱状の凸部801および柱状の凸部803も同様のもので構成される。光入射面802は面積Sを有しており、その表面に底面積S(mは1からNまでの自然数)を有する柱状の凸部が形成されている。柱状の凸部の高さh(mは1からNまでの自然数)は、前述に示した範囲のいずれかとする。
【0080】
柱状の凸部の底面積Sは、光が当該凸部を認識できない程度に小さくする。例えば、波長λの光の反射を抑制するときは、底面積Sを有する面の形状の最も長い径を波長λよりも小さくするとよい。また、好ましくは隣接する柱状の凸部の距離Lも波長λより小さくするとよい。これにより入射する波長λの光は、柱状の凸部801を認識できないため、反射防止構造体800は高い反射防止効果を奏する。
【0081】
光射出面804にも光入射面802と同様に柱状の凸部803を設ける。これにより、極めて透過率の高い光学素子を得ることができる。光入射面802または光射出面804には、先の実施の形態に記載した構造のものをそれぞれ適用してもよい。例えば、光入射面802には柱状の凹部を、光射出面804には柱状の凹部と凸部の混在したものを形成してもよい。これらの組み合わせは実施者が適宜選択する。
【0082】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。
【0083】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0084】
(実施の形態6)
本実施の形態では、先の実施の形態で示したQQ型に相当する構造の具体例を、図9を参照して説明する。先に示したとおり、反射波のふり幅を0にするには、屈折率は、n=nの関係を満たす必要がある。合成屈折率nを発現する領域の幅をd、合成屈折率nを発現する領域の幅をdとすると、d=λ/(4n)、d=λ/(4n)とすることにより、QQ型に相当する構造を得ることができる。このとき、d/d=n/n=√nが成り立つ。変形例として、d=sλ/(4n)、d=tλ/(4n)、(s、tは正の奇数)としてもよい。
【0085】
図9に反射防止構造体900の合成屈折率の分布の例を示す。柱状の凸部の高さh’、hは、ともに−20%以上20%以下、または−30%以上30%以下のばらつきを有しているとすると、図9(a)中のx軸に沿って、屈折率分布は図9(b)に示すようになる。すなわち、反射防止構造体900の底面を0とし光入射面をxとすると、x=0からx=xの範囲で当該屈折率はnとなる。さらに、x=xからx=xの範囲において合成屈折率はn、x=xからx=xの範囲において合成屈折率はnとなる。これにより、反射防止膜を2つ積層したものと等価の性質を持つ構造を得ることができる。
【0086】
位置x、xの近傍で当該屈折率がなだらかに低下するのは、柱状の凸部の高さh’、hにばらつきがあるためで、これを限りなく0に近づけることで反射防止構造体900の反射防止効果を高めることができる。
【0087】
なお、柱状の凸部の高さが一部、上述の範囲外にあっても、本発明の効果が損なわれない程度であれば許容されることは言うまでもない。柱状の凸部の70%以上が上述の範囲に入っていればよく、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であればよい。
【0088】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。
【0089】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0090】
(実施の形態7)
本実施の形態では、さまざまな形態の柱状の凸部および柱状の凹部の組み合わせの例を、図10を参照して説明する。
【0091】
図10(a)に、2水準の深さの柱状の凹部を備える反射防止構造体1001の例を示す。反射防止構造体1001の底面を0とし、深いほうの柱状の凹部の底面の位置をx、浅いほうの柱状の凹部の底面の位置をx、反射防止構造体の光入射面の位置をxとする。
【0092】
これにより、x=0からx=xまでの範囲、x=xからx=xまでの範囲、x=xからx=xまでの範囲で、それぞれ異なる屈折率を有するものとして入射光は振舞う。すなわち、2層の薄膜を有する物体として入射光は認識する。例えば、これをQQ型またはQH型に相当する構造とすれば、高い反射防止特性を得ることができる。
【0093】
図10(b)に、深さの等しい複数の柱状の凹部と、高さの等しい複数の柱状の凸部とを備える反射防止構造体1002の例を示す。反射防止構造体1002の底面を0とし、柱状の凹部の底面の位置をx、反射防止構造体1002の光入射面の位置をx、柱状の凸部の上面の位置をxとする。
【0094】
これにより、x=0からx=xまでの範囲、x=xからx=xまでの範囲、x=xからx=xまでの範囲で、それぞれ異なる屈折率を有するものとして入射光は振舞う。すなわち、2層の薄膜を有する物体として入射光は認識する。例えば、これをQQ型またはQH型に相当する構造とすれば、高い反射防止特性を得ることができる。
【0095】
図10(c)に、深さの等しい複数の柱状の凹部と、2水準の高さを有する複数の柱状の凸部とを備える反射防止構造体1003の例を示す。反射防止構造体1003の底面を0とし、柱状の凹部の底面の位置をx、反射防止構造体1003の光入射面の位置をx、低いほうの柱状の凸部の上面の位置をx、高いほうの柱状の凸部の上面の位置をxとする。
【0096】
これにより、x=0からx=xまでの範囲、x=xからx=xまでの範囲、x=xからx=xまでの範囲、x=xからx=xまでの範囲で、それぞれ異なる屈折率を有するものとして入射光は振舞う。すなわち、3層の薄膜を有する物体として入射光は認識する。例えば、これをQHQ型に相当する構造とすれば、高い反射防止特性を得ることができる。QHQ型とは、QQ型を構成する2層の薄膜の間に、反射を抑制したい波長の光の2分の1波長に相当する厚さの薄膜を挿入したものである。本発明は上記に示した例に限らず、柱状の凹部の深さ、柱状の凸部の高さの水準の数は、それぞれいかようにでも変えることができる。
【0097】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。
【0098】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0099】
(実施の形態8)
本実施の形態では、屈折率nαと屈折率nβの領域の界面1101において、反射率を抑える構造について、図11を参照して説明する。なお、屈折率nαと屈折率nβの大小関係は問わない。また、当該界面において、波長λの光にとって合成屈折率nを発現する領域Aの幅をdとする。
【0100】
これまでと同様の理論から当該界面において反射を抑制できる構造は、領域Aにおいて、屈折率nβを有する領域の割合が、(√(nαβ)−nα)/(nβ−nα)であれば得られる。製造誤差が30%であれば、反射防止効果は十分発現するため、当該割合は、0.7(√(nαβ)−nα)/(nβ−nα)以上、1.3(√(nαβ)−nα)/(nβ−nα)以下の範囲に入っていればよく、好ましくは、0.8(√(nαβ)−nα)/(nβ−nα)以上、1.2(√(nαβ)−nα)/(nβ−nα)以下の範囲に入っていればよい。領域Aの幅dについては、入射光の波長λの4分のq波長(qは1以上の奇数)に相当する厚さとすればよいため、d=qλ/(4√(nαβ))とする。製造誤差が30%であれば、反射防止効果は十分発現するため、領域Aの幅dは、0.7qλ/(4√(nαβ))以上、1.3qλ/(4√(nαβ))以下、好ましくは、0.8qλ/(4√(nαβ))以上、1.2qλ/(4√(nαβ))以下とすればよい。
【0101】
本実施の形態で例示した反射防止構造体はレンズや光学窓、太陽電池の受光面などに適用すると、光利用効率の高い光学デバイスとすることができる。具体的には、屈折率が1でない液体などと接する光学素子に適用すると優れた効果を発揮し、例えば、屈折率nαの流体中において屈折率nβの光学素子を使用する場合に、上記式を満たす構造を当該光学素子の光入射面または光射出面に具備させるとよい。
【0102】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0103】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様である反射防止構造体を光電変換素子とする例について、図12を参照して説明する。
【0104】
光電変換素子1200は、結晶系太陽電池の一例である。P型またはN型の極性を有する半導体基板1201の表面に柱状の凸部1202が形成されている。柱状の凸部1202および半導体基板1201の表皮には、半導体基板1201とは反対の極性をもつ薄膜1203がある。
【0105】
柱状の凸部1202は、半導体基板1201に対し垂直な側面を有しているが、これに対して薄膜1203を形成するためには、ドーパントを含有した濡れ性のよい溶液を、柱状の凸部1202および半導体基板1201の表皮に付着させ、熱処理などでドーパントを活性化させるか、プラズマに曝された半導体基板1201にバイアスをかけるプラズマドーピング法を使ってドーパントを半導体基板1201の表面に垂直に入射させるなどすればよい。あるいは、ガスの回り込みのよいCVD法などの成膜方法により半導体基板1201上に薄膜1203を形成してもよい。これによりPN接合が形成されるため、半導体の特性により決まる適切な波長の光を当てることにより電荷が発生し、それらを取り出すことで電力を得ることができる。半導体基板1201の裏面には、電極1204があり、これと薄膜1203から電荷を取り出す。薄膜1203の電気伝導度が不十分であるときは、補助的な透明電極や発電に影響の小さい極細の配線などを別途設けても良い。
【0106】
半導体基板1201は半導体特性を有するものであれば如何なるものでもよいが、例えばシリコン基板とすると、柱状の凸部1202の大きさなどはシリコンの屈折率に合わせて決定する。半導体基板1201には、シリコンとゲルマニウムの合金、ゲルマニウムなどを利用できる。以下は、半導体基板1201をシリコン基板とした本発明の一態様の例を示す。
【0107】
ナトリウムスペクトルのD線にあたる波長589nmに対するシリコンの屈折率nを4とし、当該波長に合わせて反射率を抑える場合、これまで示した式に従い、柱状の凸部の高さhと幅W、間隔Wをそれぞれ決定する。
【0108】
例えば、高さhをD線の4分の1波長に相当する長さとする場合、h=λ/(4√n)=589/(4√4)であるから、おおよそ74nmとすればよい。このとき、例えば、柱状の凸部のそれぞれを正方形を底面とする直方体とし、幅Wを300nm、柱状の凸部の間隔Wを220nmとして、それらをマトリクス状に並べると、光入射面の面積に対する、柱状の凸部の総面積ΣS割合を、本発明が開示する式(√n−1)/(n−1)におおよそ一致させることができる。つまり、(√n−1)/(n−1)=(√4−1)/(4−1)≒0.33≒300/(300+220)が成り立つ。これまで議論してきた式から自明であるが、幅Wと間隔Wの比が一定であればよく、この場合は300対220とすればよい。また、幅W、間隔WはD線の波長よりも短いほうが好ましい。
【0109】
高さhについてはD線の4分の3波長に相当する長さを採用してもよく、この場合はおおよそ74(nm)×3=222(nm)とすればよい。同様に、D線の4分の5波長に相当する長さ(370nm)、4分の7波長に相当する長さ(518nm)を採用でき、設計の都合で4分のq波長に相当する長さ(qは9以上の奇数)としてもよい。なお、本実施の形態に示した数値は中央値であり、それの上下30%、好ましくは20%、さらに好ましくは5%の範囲に入っていれば本発明の特徴とする効果が得られる。また、柱状の凸部の高さについては、柱状の凸部の総数の70%がそれらの範囲に入っていれば良く、好ましくは80%、さらに好ましくは90%の範囲とする。
【0110】
本実施の形態で例示した反射防止構造は非常に微細であるため、最近薄板化の著しい結晶系太陽電池に採用した場合、強度の維持に大変有効である。通常の結晶系太陽電池の表面には光の反射を抑えるために数μmから数十μm程度の凹凸が形成されているが、これでは、厚さ150μm程度、またはそれ以下にまで薄くなってきた半導体基板の厚みの10%、またはそれ以上にもなり、破損や微小なひびの発生を助長してしまう。本発明の開示する一形態を厚さ150μm以下の非常に薄い結晶系太陽電池に適用することで、製造の歩留まりが飛躍的に向上する。
【0111】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0112】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様である、高さの異なる柱状の凸部を有する反射防止構造体を光電変換素子とする例について、図13を参照して説明する。
【0113】
光電変換素子1300は結晶系太陽電池の一例であり、図13(a)はその平面図、図13(b)はその側面図である。P型またはN型の極性を有する半導体基板1301の表面には、柱状の凸部1302および柱状の凸部1303が形成されている。柱状の凸部1302のほうが柱状の凸部1303よりも高く作られており、それぞれの高さは、図13(b)中の(d+d)およびdに相当する。図13(a)に示すように、柱状の凸部1302および柱状の凸部1303は混在しており、マトリクス状を成している。
【0114】
半導体基板1301、柱状の凸部1302および柱状の凸部1303の表皮には、半導体基板1301とは反対の極性をもつ薄膜がある。柱状の凸部1302および柱状の凸部1303は、半導体基板1301に対し垂直な側面を有しているが、これに対して薄膜を形成するためには、ドーパントを含有した濡れ性のよい溶液を、半導体基板1301、柱状の凸部1302および柱状の凸部1303の表皮に付着させ、熱処理などでドーパントを活性化させるか、プラズマに曝された半導体基板1301にバイアスをかけるプラズマドーピング法を使ってドーパントを半導体基板1301の表面に垂直に入射させるなどすればよい。あるいは、ガスの回り込みのよいCVD法やスパッタリング法などの成膜方法により半導体基板1301上に薄膜を形成してもよい。これによりPN接合が形成されるため、半導体の特性により決まる適切な波長の光を当てることにより電荷が発生し、それらを取り出すことで電力を得ることができる。半導体基板1301の裏面には電極があり、これと当該薄膜から電荷を取り出す。薄膜の電気伝導度が不十分であるときは、補助的な透明電極や発電に影響の小さい極細の配線などを別途設けても良い。半導体基板1301は半導体特性を有するものであれば如何なるものでもよいが、例えばシリコン基板とすると、柱状の凸部1302および柱状の凸部1303の大きさなどはシリコンの屈折率に合わせて決定する。半導体基板には、シリコンとゲルマニウムの合金、ゲルマニウムなどを利用できる。以下は、半導体基板1301をシリコン基板とした本発明の一態様の例を示す。
【0115】
ナトリウムスペクトルのD線にあたる波長589nmに対するシリコンの屈折率nを4とし、当該波長に合わせて反射率を抑える場合、これまで示した式に従い、柱状の凸部の高さ(d+d)およびdと幅W、間隔Wをそれぞれ決定する。柱状の凸部の高さは2水準あるため、ここではQQ型に相当する構造の例を示す。
【0116】
実施の形態6に示したとおり、反射波のふり幅を0にするには、屈折率は、n=n(n、n、nは実施の形態6で定義したもの)の関係を満たす必要がある。屈折率nは本実施の形態においては屈折率nに当たるので4とし、例えば、合成屈折率nを3、合成屈折率nを1.5とすると、前出の式を満たす。合成屈折率nを発現する領域の幅をd、合成屈折率nを発現する領域の幅をdとすると、d=λ/(4n)、d=λ/(4n)とすることにより、QQ型に相当する構造を得ることができる。このとき、d/d=n/n=√nが成り立つ。具体的に、数値を代入すると、d=98nm、d=49nmとなる。変形例として、d=sλ/(4n)、d=tλ/(4n)、(s、tは正の奇数)としてもよい。
【0117】
このとき、例えば、柱状の凸部のそれぞれを正方形を底面とする直方体とし、幅Wを82nm、柱状の凸部の間隔Wを18nmとして、それらをマトリクス状に並べ、高いほうの柱状の凸部1302の数と低いほうの柱状の凸部1303の数の比を1対3とすると、合成屈折率nは3、合成屈折率nは1.5となる。つまり、柱状の凸部の4個に1つは高いほうとなるように、これらを配置すればよい。バランスよく配置するためには、例えば、柱状の凸部のなかで2×2のマトリクスを成すものを任意に選んだときに、必ず1つは高いほうの柱状の凸部が含まれるようにすればよい。勿論、すべてがそのようになっている必要はなく、全体の70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の割合でそのような配置となっていればよい。これまで議論してきた式から自明であるが、幅Wと間隔Wの比が一定であればよく、この場合は82対18とすればよい。また、幅W、間隔WはD線の波長よりも短いほうが好ましい。
【0118】
先に示した変形例として、d、dについてはD線の4分の3波長に相当する長さを採用してもよい。同様に、D線の4分の5波長に相当する長さ、4分の7波長に相当する長さを採用でき、設計の都合で4分のq波長に相当する長さ(qは9以上の奇数)としてもよい。
【0119】
なお、本実施の形態に示した数値は中央値であり、それの上下30%、好ましくは20%、さらに好ましくは5%の範囲に入っていれば本発明の特徴とする効果が得られる。また、柱状の凸部の高さについては、柱状の凸部の総数の70%がそれらの範囲に入っていれば良く、好ましくは80%、さらに好ましくは90%の範囲とする。
【0120】
本実施の形態で例示した反射防止構造は非常に微細であるため、最近薄板化の著しい結晶系太陽電池に採用した場合、強度の維持に大変有効である。通常の結晶系太陽電池の表面には光の反射を抑えるために数μmから数十μm程度の凹凸が形成されているが、これでは、厚さ150μm程度、またはそれ以下にまで薄くなってきた半導体基板の厚みの10%、またはそれ以上にもなり、破損や微小なひびの発生を助長してしまう。本発明の開示する一形態を厚さ150μm以下の非常に薄い結晶系太陽電池に適用することで、製造の歩留まりが飛躍的に向上する。
【0121】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0122】
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の一態様である、実施の形態9に示したものの変形例を、図14を参照して説明する。なお、実施の形態9で示したものと同等のものについては図12で使用した符号と同じものを使う。図14(a)に光電変換素子1400の側面図、図14(b)にこれの平面図を示す。
【0123】
実施の形態9に示したものは、反射防止膜でいうところのQ型に相当する構造であったが、本実施の形態では、入射する波長λの光の2分の1波長に相当する膜厚のものを追加で設けることにより、いわゆるHQ型に相当する構造とする例を示す。
【0124】
光電変換素子1400は、結晶系太陽電池の一例である。P型またはN型の極性を有する半導体基板1201の表面に柱状の凸部1202が形成されている。柱状の凸部1202の間には、柱状の凹部1411が設けられている。柱状の凸部1202と柱状の凹部1411と半導体基板1201の表皮には、半導体基板1201とは反対の極性をもつ薄膜1203がある。当該薄膜1203の形成方法については先の実施の形態に示したとおりである。
【0125】
これによりPN接合が形成されるため、半導体の特性により決まる適切な波長の光を当てることにより電荷が発生し、それらを取り出すことで電力を得ることができる。半導体基板1201の裏面には、電極1204があり、これと薄膜1203から電荷を取り出す。薄膜1203の電気伝導度が不十分であるときは、補助的な透明電極や発電に影響の小さい極細の配線などを別途設けても良い。
【0126】
半導体基板1201は半導体特性を有するものであれば如何なるものでもよいが、例えばシリコン基板とすると、柱状の凸部1202の大きさなどはシリコンの屈折率に合わせて決定する。半導体基板には、シリコンとゲルマニウムの合金、ゲルマニウムなどを利用できる。以下は、半導体基板1201をシリコン基板とした本発明の一態様の例を示す。
【0127】
ナトリウムスペクトルのD線にあたる波長589nmに対するシリコンの屈折率nを4とし、当該波長に合わせて反射率を抑える場合、これまで示した式に従い、柱状の凸部の高さhと幅W、間隔Wをそれぞれ決定する。本実施の形態では、HQ型を採用するため、柱状の凸部1202の大きさは実施の形態9に示したものをそのまま適用すればよい。すなわち、例えば、柱状の凸部のそれぞれを正方形を底面とする直方体とし、幅Wを300nm、柱状の凸部の間隔Wを220nmとして、それらをマトリクス状に並べると、光入射面の面積に対する、柱状の凸部の総面積ΣS割合を、本発明が開示する式(√n−1)/(n−1)におおよそ一致させることができる。つまり、(√n−1)/(n−1)=(√4−1)/(4−1)≒0.33≒300/(300+220)が成り立つ。これまで議論してきた式から自明であるが、幅Wと間隔Wの比が一定であればよく、この場合は300対220とすればよい。また、幅W、間隔WはD線の波長よりも短いほうが好ましい。
【0128】
また、高さhをD線の4分の1波長に相当する長さとする場合、h=λ/(4√n)=589/(4√4)であるから、おおよそ74nmとすればよい。高さhについてはD線の4分の3波長に相当する長さを採用してもよく、この場合はおおよそ74(nm)×3=222(nm)とすればよい。同様に、D線の4分の5波長に相当する長さ(370nm)、4分の7波長に相当する長さ(518nm)を採用でき、設計の都合で4分のq波長に相当する長さ(qは9以上の奇数)としてもよい。
【0129】
波長λの光の2分の1波長に相当する厚さの領域は、柱状の凹部1411を設けることにより形成する。当該領域の幅をd、合成屈折率をnとすると、d=λ/(2n)と表せる。例えば、合成屈折率nを3.5とすると、dは589(nm)/(2×3.5)=84(nm)となる。合成屈折率nを3.5とするためには、例えば、図14(b)に示すように、柱状の凹部1411の底面の形状を正方形とし、その一辺の長さWを210nmとして柱状の凸部1202の間を補間するように配置すればよい。図14(b)では、柱状の凸部1202と柱状の凹部1411とで市松模様を成しているが、その他の配置を採用してもよい。なお、W、W、Wについてはその比が一定であればよく、本実施の形態の場合は、300対220対210であればよい。また、WはD線の波長よりも短いほうが好ましい。
【0130】
なお、本実施の形態に示した数値は中央値であり、それの上下30%、好ましくは20%、さらに好ましくは5%の範囲に入っていれば本発明の特徴とする効果が得られる。また、柱状の凸部の高さについては、柱状の凸部の総数の70%がそれらの範囲に入っていれば良く、好ましくは80%、さらに好ましくは90%の範囲とする。柱状の凹部の高さについても、柱状の凹部の総数の70%がそれらの範囲に入っていれば良く、好ましくは80%、さらに好ましくは90%の範囲とする。
【0131】
本実施の形態で例示した反射防止構造は非常に微細であるため、最近薄板化の著しい結晶系太陽電池に採用した場合、強度の維持に大変有効である。通常の結晶系太陽電池の表面には光の反射を抑えるために数μmから数十μm程度の凹凸が形成されているが、これでは、厚さ150μm程度、またはそれ以下にまで薄くなってきた半導体基板の厚みの10%、またはそれ以上にもなり、破損や微小なひびの発生を助長してしまう。本発明の開示する一形態を厚さ150μm以下の非常に薄い結晶系太陽電池に適用することで、製造の歩留まりが飛躍的に向上する。
【0132】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0133】
100 反射防止構造体
101 柱状の凸部
102 光入射面
200 反射防止構造体
201 柱状の凸部
202 光入射面
500 反射防止構造体
501 柱状の凸部
502 光入射面
600 反射防止構造体
601 柱状の凸部
602 光入射面
800 反射防止構造体
801 柱状の凸部
802 光入射面
803 柱状の凸部
804 光射出面
900 反射防止構造体
1001 反射防止構造体
1002 反射防止構造体
1003 反射防止構造体
1101 界面
1200 光電変換素子
1201 半導体基板
1202 柱状の凸部
1203 薄膜
1204 電極
1300 光電変換素子
1301 半導体基板
1302 柱状の凸部
1303 柱状の凸部
1400 光電変換素子
1411 柱状の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(1)および数式(2)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数1】

【数2】

【請求項2】
屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(3)および数式(4)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数3】

【数4】

【請求項3】
屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(1)および数式(5)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数5】

【数6】

【請求項4】
屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(3)および数式(6)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数7】

【数8】

【請求項5】
屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(1)および数式(7)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数9】

【数10】

【請求項6】
屈折率n、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとすると、数式(3)および数式(8)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数11】

【数12】

【請求項7】
屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(9)および数式(10)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数13】

【数14】

【請求項8】
屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(11)および数式(12)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数15】

【数16】

【請求項9】
屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(9)および数式(12)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数17】

【数18】

【請求項10】
屈折率nβ、表面積Sの光入射面を有する物体で、当該光入射面には底面積S、高さh(mは1以上N以下の自然数、Nは自然数)の柱状の凸部をN個有し、当該光入射面に入射する光の波長をλとし、nαを1より大きい実数とすると、数式(10)および数式(11)を満たすことを特徴とする反射防止構造体。
【数19】

【数20】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−88757(P2013−88757A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231645(P2011−231645)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】