説明

反復配列タンパク質ポリマーを使用する、活性剤の制御放出

反復配列タンパク質ポリマーを使用することによって、活性剤の制御放出型送達をもたらすためのシステムを提供する。これらのシステムはマトリクス、ゲル、ヒドロゲル、フィルム、エマルジョン、またはミクロ粒子として存在することができ、活性剤をパーソナルケア製品組成物に取り込ませるのに特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性剤の制御放出型送達をもたらすためのシステム、およびさらに詳細には、反復配列タンパク質ポリマーを使用して活性剤の制御放出をもたらすシステムに関する。一態様では本発明は、反復配列タンパク質ポリマーを使用して活性剤の制御放出をもたらすパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質、酵素およびビタミンなどの多くの活性剤が、製品に望ましい性質を与えるために、パーソナルケア製品中に使用されてきている。制御方式で髪の毛、皮膚、爪、および歯に活性剤を送達することは時折望ましい。さらに、パーソナルケア製品中に酵素などの活性剤を活性形で保つことは時折望ましい。しかしながら、パーソナルケア製品の多くの要素は活性剤を不活性化する可能性がある。タンパク質を化学的に改変または四元化して、それらをパーソナルケア製品に封入するのにより適したものにすることができる。しかしながら、さらに化学的に改変されたタンパク質は、全ての望ましい特性を有することはできない。したがって、望ましい特性を有するタンパク質、ならびに化学的改変なしでパーソナルケア配合物中に封入することができるタンパク質に関する必要性が、当技術分野では依然として存在する。これらのタンパク質の配合物のパーソナルケア製品への送達し易さ、および皮膚または髪の毛への送達を改善する必要性も、当技術分野では依然として存在する。さらに、パーソナルケア製品において活性剤の制御放出をもたらすための方法および配合物に関する必要性が、当技術分野では依然として存在する。
【非特許文献1】L.Andersson他、Large-scale synthesis of peptides、Biopolymers 55 (3)、227〜50(2000)
【非特許文献2】J.Cappello、Genetically Engineered Protein Polymers、Handbook of Biodegradable Polymers、Domb、A.T.; Kost、J.; Wiseman、D.(Eds.)、Harvard Academic Publishers、Amsterdam ; 387〜414ページ
【非特許文献3】C.H.Wong & K.T.Wang、New Developments in Enzymatic Peptide Synthesis、Experientia 47(11〜12)、1123〜9(1991)
【特許文献1】米国特許第5,243,038号
【特許文献2】米国特許第6,355,776号
【非特許文献4】H.V.Dohren他、Multifunctional Peptide Synthase、Chem.Rev 97、2675〜2705(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明は、反復配列タンパク質ポリマーを使用することによって活性剤の制御放出をもたらすシステムに関する。反復配列タンパク質ポリマーを使用して複合体を形成することができ、複合体をさらに処理してシステム、例えばマトリクス、エマルジョン、ゲル、フィルムおよびミクロ粒子を与えることができる。特定の実施形態では、組換え工学処理した形の反復配列タンパク質ポリマーを使用する。一般に反復配列タンパク質ポリマーは、シルクまたはエラスチン中で見られる反復配列などの天然に存在する反復配列を含む。反復配列タンパク質ポリマーは制御放出性をもたらすことができ、特定の実施形態は活性剤の刺激応答制御放出をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
他の実施形態は、制御放出をもたらすためのシステムを含むパーソナルケア製品組成物を対象とするものであり、他の実施形態は、このようなパーソナルケア製品組成物を作製するための方法を対象とする。これらの方法は、活性剤の制御放出型送達をもたらすためのシステムと生理的に許容可能な担体または賦形剤を組み合わせて、パーソナルケア組成物を得ることを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
あるいは、組換え形を含めた反復配列タンパク質ポリマーを、少なくとも1つの活性剤と共に使用して、界面重合によってミクロ粒子を形成することができ、複合体は一般に形成されない。
【0006】
本発明の他の態様によれば、パーソナルケア組成物中への反復配列タンパク質ポリマーの送達を増大させる方法が提供される。これらの方法は、非常に安定したシリコーン-反復配列タンパク質ポリマー複合体を形成すること、およびその複合体をパーソナルケア組成物に加えることを含む。他の実施形態は、少なくとも1つの反復配列タンパク質ポリマーが遺伝子工学処理したシルク-エラスチン様タンパク質を含む、シリコーン-反復配列タンパク質ポリマー複合体を対象とする。本発明のさらに特定の実施形態は、パーソナルケア組成物製品中で使用すると特定の利点をもたらす、この複合体を含むシリコーンエマルジョンを与える。
【0007】
本発明の幾つかの実施形態は、反復単位を含む組換え反復タンパク質配列ポリマーを使用して、例えばパーソナルケア製品用の活性剤の制御放出をもたらす。
【0008】
本発明を定義し記載する目的で、「反復配列タンパク質ポリマー」(RSPP)は、その反復単位が天然または合成タンパク質に由来する、反復アミノ酸配列単位を含むポリマーを指す。例えば反復配列単位は、シルク、エラスチン、およびコラーゲンなどの天然の構造支持物質に由来してよい。あるいは反復配列単位は、合成構造に由来することができる。
【0009】
本発明を定義し記載する目的で、「パーソナルケア組成物」は、これらの表面および膜を改善、清掃、美化、療法治療、ケアする目的で、皮膚、髪の毛、爪、口腔、および関連膜に施用するための製品を指す。
【0010】
本発明を定義し記載する目的で、「有効量」は、パーソナルケア組成物に加えて望ましい1つまたは複数の特性を組成物に与える、反復配列タンパク質ポリマーの量を指す。
【0011】
本発明の技術を定義し記載する目的で、用語「分散相」は、乳濁液技術の当業者によく知られている用語であり、連続相中およびその周囲に懸濁した小粒子または小滴として相が存在することを意味する。分散相は、内部または不連続相としても知られている。
【0012】
本発明を定義し記載する目的で、「活性剤」は、シリコーン、芳香剤、染料、陰影剤、UV活性剤、日焼け止め剤、ラノリン、ビタミン、漂白剤、増粘剤、タンパク質、ペプチド、酵素、抗菌剤および防腐剤だけには限られないが、これらを含めた適切な製品の成分を指すと理解されたい。
【0013】
本発明を定義し記載する目的で、本明細書で使用する用語「タンパク質」は、50を超えるアミノ酸を含むとして理解し、一方本明細書で使用する用語「ペプチド」は、50以下のアミノ酸を含むとして理解されたい。
【0014】
一般に反復配列タンパク質ポリマーをさまざまな方法で使用して、活性剤の制御放出をもたらすことができる。例えば、反復配列タンパク質ポリマーを使用して活性剤との複合体を形成させ、速度調節ポリマーとして作用させ、活性剤をミクロ被包する要素として働かせることができる。
【0015】
本発明の反復配列タンパク質ポリマーの反復単位は、シルク、エラスチン、およびコラーゲンなどの物質を支持する天然構造に由来してよい。あるいは反復単位は合成構造に由来してよい。典型的には、反復配列タンパク質ポリマーを合成し、それらをヘアコンディショニングまたは他のヘア製品配合物、スキン製品、オーラルケア製品、またはネイル製品などに加える。
【0016】
組換え反復配列タンパク質ポリマーは、天然または非天然の反復単位から構成される。本出願のファイリングと同様に、生物システムに存在することが知られている600を超える反復タンパク質配列が存在する。反復配列タンパク質ポリマーを使用することによって、高いコンディショニング性、栄養性、および修復性をヘアケア配合物に与えることができる。例えば、反復タンパク質配列を含むよく知られているタンパク質には、アブダクチン、エラスチン、バイサス、鞭毛状絹糸、しおり絹糸、グルテン高分子量(HMW)サブユニット、チチン、フィブロネクチン、レミニン、およびコラーゲンがある。さらに、合成反復単位を使用することができる。個々の反復単位は一般に3〜30個のアミノ酸を含み、通常同じ単位中に少なくとも2回現れる同じアミノ酸を有するであろう。典型的には、個々の単位は約3〜8個のアミノ酸を含むであろう。したがって、それぞれ個々の単位は、典型的には約3〜8個のアミノ酸で形成されるであろう。異なる単位の組合せを1つに合わせて、1つのブロックコポリマーまたは他のブロックコポリマーを形成することができる。典型的にはコポリマーは、次式:
Ty[(An)x(B)b(A'n')x'(B')b'(A"n")x"]iT'y'
を有し、上式でTが約1〜約100アミノ酸、通常1〜60アミノ酸のアミノ酸配列であり、これは任意の配列であってよく、一般に反復タンパク質コポリマー中のアミノ酸全数の20%未満であり、
yが0または1であり、
T'およびy'がそれぞれTおよびyと同じであるか異なっており、類似の記号はそれらの相当物と同じ定義を有し、
Aが反復アミノ酸配列の個別の単位であり、
nが少なくとも2であり、かつ250を超えない整数であり、
xが0または少なくとも1の整数であり、A中の異なるアミノ酸の数と共に変化して、それぞれのA反復配列中に少なくとも30のアミノ酸を与え、
A'、n'、およびx'がそれぞれA、n、およびxと同じであるか異なっており、少なくとも1つが異なっており、類似の記号はそれらの相当物と同じ定義を有し、
A"、n"、およびx"がそれぞれA、n、およびxと同じであるか異なっており、少なくとも1つが異なっており、類似の記号はそれらの相当物と同じ定義を有し、
Bが4〜50アミノ酸のアミノ酸配列であり、通常は生物学的または化学的機能または活性をもたらす機能配列であり、
bが0〜3であり、
B'およびb'がそれぞれBおよびbと同じであるか異なっており、類似の記号はそれらの相当物と同じ定義を有し、かつ
iが1〜100、通常は1〜50、さらに通常は1〜30である。
【0017】
さらに、タンパク質ポリマーは、反復A、A'およびA"単位と連結したアミノ酸配列、または個々のA、A'またはA"単位の間で連結したアミノ酸配列を有することができる。これらの連結配列は典型的には1〜10個のアミノ酸であり、反復単位と連結するために働く。これらの反復ポリマーは、化学合成(例えば、L.Andersson他、Large-scale synthesis of peptides、Biopolymers 55 (3)、227〜50(2000))、遺伝的操作(例えば、J.Cappello、Genetically Engineered Protein Polymers、Handbook of Biodegradable Polymers、Domb、A.T.; Kost、J.; Wiseman、D.(Eds.)、Harvard Academic Publishers、Amsterdam ; 387〜414ページ)、および酵素合成(例えば、C.H.Wong & K.T.Wang、New Developments in Enzymatic Peptide Synthesis、Experientia 47(11〜12)、1123〜9(1991))の一般に認められている方法によって合成することができる。例えば、本発明の反復配列タンパク質ポリマーは、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,243,038号および米国特許第6,355,776号中に記載された方法を使用して合成することができる。他の例では、反復配列タンパク質ポリマーは、非リボソームペプチド合成酵素(例えば、H.V.Dohren他、Multifunctional Peptide Synthase、Chem.Rev 97、2675〜2705(1997))を使用して合成することができる。反復配列タンパク質ポリマーは、商業規模で生成することができる。
【0018】
特に興味深い個々の反復アミノ酸配列単位には、シルク、エラスチン、コラーゲン、アブダクチン、バイサス、グルテン、チチン、エクステンシン、およびフィブロネクチン様タンパク質中に見られる単位がある。シルク様タンパク質は、SGAGAG(G=グリシン;A=アラニン;S=セリン)(配列番号1)の反復単位を有する。この反復単位は、GAGAG(SGAGAG)8SGAAGY(Y=チロシン)(配列番号2)として表すことができる、天然に存在するシルクフィブロインタンパク質中に見られる。エラスチン様タンパク質は、GVGVP(V=バリン;P=プロリン)(配列番号3)の塩基反復単位を有する。この反復単位は、天然に存在するエラスチン中に見ることができる。コラーゲン様タンパク質は、G-x-y(x=任意のアミノ酸、しばしばアラニンまたはプロリン;y=任意のアミノ酸、しばしばプロリンまたはヒドロキシ-プロリン)の反復単位を有する。アブダクチン様タンパク質は、GGFGGMGGGx(F=フェニルアラニン;M=メチオニン、x=任意のアミノ酸)(配列番号4)の塩基反復単位を有する。バイサス様タンパク質は、(GPGGG)(配列番号5)の反復単位を有する。高分子量サブユニットのグルテン様タンパク質は、PGQGQQ(配列番号6)、GYYPTSPQQ(配列番号7)、およびGQQ(Q=グルタミン;Y=チロシン;T=スレオニン)配列番号8)の反復単位を有する。チチン様タンパク質はPPAKVPEVPKKPVPEEKVPVPVPKKPEA(K=リシン、E=グルタミン酸)(配列番号9)の反復単位を有しており、心筋、腰筋、およびヒラメ筋中に見られる。エクステンシン様タンパク質は、SPPPPSPKYVYK(配列番号10)の反復単位を有する。フィブロネクチン様タンパク質は、RGDS(R=アルギニン;D=アスパラギン酸)(配列番号11)
の反復単位を有する。
【0019】
当該の他の反復単位は、グリアジン、膠様ポリポリペプチド、氷核活性タンパク質、ケラチン、ムシン、RNAポリメラーゼII、およびレザリン中に見られる。グリアジンは、PQQPY(配列番号12)の反復単位を有する。膠様ポリペプチドは、PTTTK(配列番号13)の反復単位を有する。氷核活性タンパク質は、AGYGSTGT(配列番号14)の反復単位を有する。ケラチンは、YGGSSGGG(配列番号15)またはFGGGS(配列番号16)の反復単位を有する。ムシンは、TTTPDV(配列番号17)の反復単位を有する。RNAポリメラーゼIIは、YSPTSPS(配列番号18)の反復単位を有する。さらに、ゴム様タンパク質のレザリンは反復単位を含む。
【0020】
本発明の反復配列タンパク質ポリマーを改変して、適切な反復単位を含ませて望ましい特性を与えることができることは、当業者によって理解されよう。例えば、湿潤性を有し、硬度または強度に関する高いガラス転移温度を有し、かつ/または熱感受性用途に関する高いくもり温度を有する、反復配列タンパク質ポリマーを生成することができる。同様に、タンパク質と髪の毛、皮膚、および爪の親和性を増大させるための高い等電点を有する、タンパク質を生成することができる。反復配列タンパク質ポリマーを工学処理して、制御放出性を提供または増大または調節することができる。例えば、タンパク質の分子量および組成を選択して、水溶性を増大または低下させること、拡散効率、機械的強度、生物分解性を変えること、または望むならば反復配列タンパク質ポリマーの刺激感受性を制御して、反復配列タンパク質ポリマーの制御放出性を増大または調節することができる。
【0021】
天然または合成反復単位を使用するポリマーは、異なる単位、それぞれのマルチマー中の単位数、単位間の間隔、およびマルチマーの反復数を適切に選択することによって、それらの性質を変えることができる。マルチマーとは、上記の式で[(An)x(B)b(A'n')x'(B')b'(A"n")x"]iによって表されるポリマーの一部分を指す。単位間の間隔とは、前式でBまたはB'によって表される他のアミノ酸配列を指す。好ましいコポリマーは、同じモノマー単位のみを有するポリマーと異なる性質を有するシルク-エラスチンコポリマーを与えるための、シルク単位とエラスチン単位の組合せである。
【0022】
望ましい特性の組合せを有する、本発明の反復配列タンパク質ポリマーを生成することができることは、当業者によって理解されよう。例えば、シルク反復単位およびエラスチン反復単位を有するコポリマーを生成して、シルク反復単位による耐久性を与え、エラスチン反復単位による柔軟性を与えることができる。さらに、シルク-エラスチンポリマーは、個々のモノマー単位が示すことができない、優れた透明フィルムおよびヒドロゲル形成などの他の望ましい性質を示すことができる。シルクエラスチンコポリマーは、水溶性であってよい。シルクエラスチンコポリマーに、不可逆的なゾルからゲルへの転移を施すことができる。例えば、約37℃と約65℃の間で温度を増大させることによって、または経時的に周囲温度で物質を放置することによって、シルクエラスチンコポリマーに不可逆的または可逆的なゾルからゲルへの転移を施し、それによって水不溶性フィルムおよびヒドロゲルを形成することができる。
【0023】
水不溶性フィルムおよびヒドロゲルは、パーソナルケア製品、特に皮膚に施用する製品における活性剤の制御放出に望ましい。何故ならそれらは、皮膚からの水分の損失を低下させ、直接性を増大させる(皮膚上に留まらせる)。シルクエラスチンコポリマーは、熱感受性用途において望ましい高いくもり温度を示すこともできる。シルクエラスチンコポリマーは、コポリマーを皮膚および髪の毛に対してより直接的なものにすることができる高い等電点を有してよい。シルクエラスチンコポリマーは繊維およびフィルムへの自己集合をさらに示すことができ、これは幾つかの適用例において望ましい可能性がある。
【0024】
本発明の反復配列タンパク質ポリマーが単分散または多分散であってよいことは、当業者によってさらに理解されよう。本発明を定義し記載する目的で、「単分散」ポリマーは、1つの明確な分子量を有するポリマーである。本発明を定義し記載する目的で、「多分散」ポリマーは、タンパク質分解に施され分子量の分布があるポリマーである。
【0025】
ひとたび適切な反復タンパク質を合成および精製した後、それを使用して、任意の適切なパーソナルケア製品配合物において活性剤の制御放出をもたらすことができるシステムを形成することができる。本発明を定義し記載する目的で、「活性剤」は、酵素;ビタミン;トコフェロールなどの抗酸化剤;乳酸、αヒドロキシ酸、ナチュラルモイスチャライジングファクター(NMF)などの湿潤剤;ヒアルロン酸;芳香剤;染料;顔料;陰影剤;UVフィルター;日焼け止め剤;ラノリン;漂白剤;増粘剤;藻類;植物エキス;および防腐剤だけには限られないが、これらを含めた適切なパーソナルケア製品の要素を指すと理解されたい。本発明を定義し記載する目的で、「制御放出」は、反復配列タンパク質ポリマーを取り込んでいるシステムからの少なくとも1つの活性剤の放出を意味する。型、形状、および大きさを含めたポリマーの性質および/またはシステムの設計を変えることによって、特定の時間で必要とされる放出率を得ることができる。制御放出システムは、活性成分の有効性の最適レベルおよび最適時間の調節度に応じて、迅速、緩慢または一定の放出をもたらす。制御放出機構には、例えば速度調節媒体による拡散、生分解性障害物質の侵食、または拡散と侵食の組合せがある。制御放出は刺激応答放出をさらに含み、これは熱、圧力、電場、pH、塩濃度、イオン強度、および溶媒などの外的条件の存在下で起こる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、反復配列タンパク質ポリマーおよび少なくとも1つの活性剤を使用して複合体を形成し、この複合体をさらに処理して、活性剤の制御放出をもたらすためのシステムを与える。本発明を定義し記載する目的で、「複合体」は、反復配列タンパク質ポリマーが活性剤分子上の部分と直接的または間接的に相互作用する、反復配列タンパク質ポリマーと活性剤の結合体を意味する。反復配列タンパク質ポリマーは、親水性部分と疎水性部分の両方を有する両親媒性であってよい。親水性部分は、水素結合、ファンデルワース相互作用、および/またはイオン性相互作用によって活性分子と相互作用することができる。さらに、疎水性部分も活性剤分子と相互作用することができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、反復配列タンパク質ポリマーを使用してアニオン性分子との複合体を形成することができ、この複合体をさらに処理して、パーソナルケア製品においてアニオン性分子の刺激応答制御放出をもたらすことができる、マトリクス、ゲル、フィルムまたはミクロ粒子などのシステムを与えることができる。適切な反復配列タンパク質ポリマーを使用して、1つまたは複数のアニオン性分子との複合体を形成することができる。一般に、カチオン性である反復配列タンパク質ポリマーを選択して、反復配列タンパク質ポリマーと活性剤の間のイオン性相互作用によって複合体を形成する。適切なアニオン性分子の例には、アニオン性酵素、例えばグルコースオキシダーゼ、リパーゼ、およびヒドロラーゼなど、ビタミンC、およびグリコール酸などのαヒドロキシ酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、混合フルーツ酸、三種フルーツ酸などがあるが、これらだけには限られない。カチオン性反復配列タンパク質ポリマーとアニオン性分子の複合体は、任意の適切な方法で形成することができる。例えば、可塑剤などの添加剤(例えば、グリセロール、PEG200、トリエタノールアミンなど)を含むかあるいは含まない、反復配列タンパク質ポリマー溶液にグルコースオキシダーゼを加えることによって、反復配列タンパク質ポリマーはグルコースオキシダーゼと複合体形成することができる。
【0028】
ひとたび適切な複合体が形成された後、その複合体をさらに処理して、活性剤の制御放出をもたらすことができるシステムを与えることができる。例えば、複合体の温度を上昇させることができ、反復配列タンパク質ポリマーに不可逆的なゾルからゲルへの転移を施し、水不溶性ヒドロゲルまたはフィルムを形成して制御放出性をもたらすことができる。他の例では、複合体は適切な期間周囲温度で放置することができ、反復配列タンパク質ポリマーが不可逆的なゾルからゲルへの転移を経ると、水不溶性ヒドロゲルを形成することができる。水不溶性フィルムは、水を蒸発させることによって形成することができる。
【0029】
ひとたび適切なシステムが形成された後、そのシステムを使用してアニオン性分子の制御放出をもたらすことができる。一般に、複合体の環境の物理的パラメータを変えることによって、複合体からアニオン性分子を放出させることができる。例えば、環境のイオン強度を変えることによって、アニオン性分子を放出させることができる。環境のイオン強度が増大すると、複合体の電荷-電荷相互作用が影響を受ける可能性があり、アニオン性分子を放出させることができる。
【0030】
本発明の他の実施形態によれば、反復配列タンパク質ポリマーは非イオン性相互作用を有する複合体を形成することができ、複合体は活性剤の制御放出をもたらすことができる物質または担体を形成することができる。例えば、疎水性-疎水性、水素結合、および非極性ファンデルワース型相互作用を使用して、本発明の複合体を形成することができる。活性剤は親水性または疎水性であってよい。例えば、反復配列タンパク質ポリマーおよび活性剤は、疎水性-疎水性相互作用および/または水素結合および/またはファンデルワース型相互作用を示すことができ、かつ複合体を形成することができる。
【0031】
ひとたび適切な複合体が形成された後、その複合体をさらに処理して、活性剤の制御放出をもたらすことができるシステムを与えることができる。例えば、複合体の温度を上昇させることができ、反復配列タンパク質ポリマーに不可逆的なゾルからゲルへの転移を施し、水不溶性ヒドロゲルまたはフィルムを形成して制御放出性をもたらすことができる。他の例では、複合体は適切な期間周囲温度で放置することができ、反復配列タンパク質ポリマーが水の蒸発による不可逆的なゾルからゲルへの転移を経ると、水不溶性ヒドロゲルを形成することができる。水不溶性フィルムは、水を蒸発させることによって形成することができる。
【0032】
システムからの活性剤の放出は、反復配列タンパク質ポリマーを介した拡散、生分解性反復配列タンパク質ポリマーの侵食、ゲルの剪断、皮膚中に存在するプロテアーゼによるタンパク質ポリマーの加水分解によるもの、または任意の他の適切な放出機構によるものであってよい。反復配列タンパク質ポリマーは、速度調節ポリマーとして作用することができる。適切な反復配列タンパク質ポリマーからの活性剤の放出速度は、反復配列タンパク質ポリマーの組成および配列を変えることによって、ならびに活性剤と共に複合体形成した反復配列タンパク質ポリマーの大きさおよび形状を変えることによって変更することができる。適切な親水性活性剤の例には、酵素、ビタミンC、ヒアルロン酸、およびαヒドロキシ酸があるが、これらだけには限られない。適切な疎水性活性剤の例には、ビタミンE、ビタミンD3、およびコエンザイムQ-10があるが、これらだけには限られない。
【0033】
反復配列タンパク質ポリマーと活性剤の複合体は、任意の適切な方法で形成することができる。例えば、酵素水溶液を反復配列タンパク質ポリマー水溶液に加えることができる。次いで混合物の温度を上昇させて、不可逆的なゾルからゲルへの転移を引き起こし、酵素を含む水不溶性ゲルを形成することができる。酵素反復配列ポリマー溶液は、水を蒸発させることによって不溶性フィルムを形成する可能性もある。前に記載したのと同様にゲルまたはフィルムを形成する前に、ビタミンEアセテートを反復配列タンパク質ポリマー水溶液中に乳化させることができる。
【0034】
他の実施形態では、反復配列タンパク質ポリマーは適切な活性剤と複合体形成することができ、この複合体を使用して、活性剤の制御放出をもたらすミクロ粒子を含むシステムを形成することができる。適切な反復配列タンパク質ポリマーを使用するエマルジョン/ゲル化法によってミクロ粒子を形成することができ、これによって不可逆的なゾルからゲルへの転移が引き起こされる。水溶性活性剤を使用するとき、その水溶性活性剤と適切な反復配列タンパク質ポリマーを、複合体を形成するように水溶液中で一緒に加えることができる。次いで水溶性相を、水性相と不混和である第二の相中に乳化させることができる。例えば第二の相は、有機相またはシリコーン相であってよい。次いでエマルジョンを望ましい滴の大きさが得られるまで剪断することができ、エマルジョンを加熱して、反復配列タンパク質ポリマーのゲル化の速度を増大させることができる。この技法によって、反復配列タンパク質ポリマーから構成される小さなミクロ粒子、およびゲルミクロ粒子に埋め込まれた活性剤が生成する。次いで不混和相を除去することができ、ミクロ粒子は適切なパーソナルケア製品配合物に加えることができる。
【0035】
水不溶性活性剤を使用するとき、2ステップのO/W/Oエマルジョン/ゲル化法を使用することができる。最初のステップでは、水不溶性活性剤を、反復配列タンパク質ポリマー水溶液中に乳化させて複合体を形成する。次いでエマルジョンを水性相と不混和である他の相、または連続相に加え、乳化させてO/W/Oエマルジョンを形成させる。エマルジョンの温度を上昇させることによって、反復配列タンパク質ポリマーに不可逆的なゾルからゲルへの転移を施し、水不溶性活性剤を含む反復配列タンパク質ポリマーのミクロ粒子がこのようにして形成される。残りの連続相は除去することができる。水溶性または水不溶性活性剤は、ミクロ粒子が剪断感受性であるので、剪断によりエマルジョン/ゲル化法によって形成されたミクロ粒子から放出させることができる。適切な水溶性活性剤の例にはヒドロラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドロラーゼ、およびスーパーオキシドジスムターゼなどの酵素があるが、これらだけには限られない。適切な油溶性活性剤の例にはビタミンEおよびD3があるが、これらだけには限られない。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、反復配列タンパク質ポリマーを使用してミクロ粒子を形成し、そこからパーソナルケア製品中で使用するための活性剤を放出させることができる。しかしながら、この実施形態では、反復配列タンパク質ポリマーと活性剤の間の複合体は一般に形成されない。反復配列タンパク質ポリマーに関する界面重合反応によって、ミクロ粒子を形成することができる。
【0037】
例えば、反復配列タンパク質ポリマーは水溶性であってよく、水溶性相中に取り込ませることができる。油溶性モノマーは、油溶性相中に取り込ませることができる。水溶性相と油溶性相を一緒に加えてエマルジョンを形成し、エマルジョンの形成後に界面重合反応を行う。界面重合反応は油/水界面で行い、反復配列タンパク質ポリマーおよびモノマーからカプセル壁を形成することができる。適切な水溶性活性剤を、エマルジョンの形成前に水溶性相に加えることができる。界面重合反応の前に、反復配列タンパク質ポリマーおよび活性剤を有する水溶性相を、油溶性モノマーを有する油溶性相に加えて、水/油(W/O)エマルジョンを形成することができる。
【0038】
あるいは適切な油溶性活性剤を、適切な油溶性モノマーを含む油溶性相中に取り込ませることができる。活性剤を有する油溶性相を、反復配列タンパク質ポリマーを有する水溶性相に加えて、界面重合反応の前にO/Wエマルジョンを形成することができる。界面重合反応は室温で行うことができ、または反応混合物を加熱して、界面重合の速度を増大させることができる。したがって、反復配列タンパク質ポリマーは、水溶性および水不溶性活性剤の被包物質として働くことができる。
【0039】
任意の適切な油溶性モノマーを使用して、本発明のミクロ粒子を形成することができる。例えば、反復配列タンパク質ポリマーと反応することができる適切な油溶性モノマーには、イソシアネート、エポキシド、塩化アルキル、および酸二塩化物があるが、これらだけには限られない。例えば、イソシアネートモノマーは、反復配列タンパク質ポリマーのアミン部分と反応することができる。任意の適切な方法で、ミクロ粒子から活性剤を放出させることができる。例えば活性剤は、ミクロ粒子からの活性剤の拡散、カプセル壁を破壊し活性剤を放出する皮膚または髪の毛へのミクロ粒子の施用時の剪断、または皮膚中に存在するプロテアーゼによるタンパク質ポリマーの加水分解によって放出させることができる。例えば油溶性活性剤は、施用時にカプセル壁を介して拡散することができる。
【0040】
エマルジョン/ゲル化法または界面重合法によって得られるミクロ粒子の大きさは、エマルジョン形成時に使用された剪断量によって測定することができる。活性剤を含むミクロ粒子は、任意の適切なパーソナルケア製品に加えることができる。反復配列タンパク質ポリマーのミクロ粒子は、皮膚、髪の毛、爪などに施用時に望ましい感触を与えるために軟性かつ変形可能であってよい。反復配列タンパク質ポリマーは生分解性であってよく、その分解産物は一般に非毒性である可能性がある。本発明のミクロ粒子は、酵素などの熱感受性活性剤を被包および送達することができる。何故なら、反復配列タンパク質ポリマーを使用する被包プロセスは、一般に適度な温度に関するものだからである。さらに活性剤は、活性剤をミクロ粒子に取り込ませたときにパーソナルケア製品配合物中に存在することができる、水またはステアリン酸ナトリウムなどの他の物質の存在によって、活性剤を失活から保護することができる。
【0041】
反復配列タンパク質ポリマー活性剤複合体を取り込んだシステム、および本発明の界面重合によって形成されたミクロ粒子を有するシステムは2つ以上の活性剤を有することができ、その活性剤は同じであるか互いに異なっていてよいことは理解されよう。
【0042】
さらに、本発明の反復配列タンパク質ポリマーはシリコーンと複合体形成することができ、一般にシリコーンが本発明の複合体およびミクロ粒子から放出されることはないであろう。その代わりに、反復配列タンパク質ポリマーシリコーン複合体を使用して、他の活性剤の送達および放出をもたらすことができる。
【0043】
シリコーンは、パーソナルケア組成物中に取り込まれると、潤滑性、コンディショニング性および湿潤性保持などの利点を与え、望ましい、非脂肪性の感触を皮膚にもたらすことが当技術分野ではよく知られている。典型的にはシリコーン流体を、スキンまたはヘアケア配合物中へのそれらの取り込みを容易にするために水性エマルジョンの形で使用する。
【0044】
シリコーン-反復配列タンパク質ポリマー複合体としてパーソナルケア組成物中に取り込まれると、シリコーンは反復配列タンパク質ポリマーと相乗的に作用して、タンパク質ポリマーおよび任意の関連活性剤によって与えられるパーソナルケア組成物の利点を増大させると考えられている。さらに、シリコーンが作用して反復配列タンパク質ポリマーを安定化させ、生じる安定したエマルジョン形成によりタンパク質の溶解度を増大させ、これによって複合体が加えられているパーソナルケア組成物の有効性を増大させる。
【0045】
一実施形態では、反復配列タンパク質ポリマーは、概して疎水性であるだけではなく水不混和性でもあり、このことによってこれらは加水分解形と区別される。シリコーンが送達利点を与えるタンパク質には、一般に繊維状または構造タンパク質、特にシルク-エラスチン様タンパク質(SELP)、コラーゲンおよびケラチンがある。特定の実施形態はシリコーンを使用して、遺伝子工学処理した形のこれらのタンパク質、およびより詳細には遺伝子工学処理した形のSELPの施用に関する送達利点を与える。さらにより特定の実施形態は、SELP47K(配列番号19)を使用する。
【0046】
一実施形態では、シリコーンを、工学処理した形の反復配列タンパク質ポリマーとエマルジョンの形で組み合わせて、これによってパーソナルケア製品への、および特に皮膚または髪の毛に施すパーソナルケア製品組成物への、これらのタンパク質の送達しやすさを改善する。シリコーン連続エマルジョンと水性連続エマルジョンの両方が考えられるが、パーソナルケア配合物は典型的には水性システムであり、したがって、連続相が水性であるシリコーン-反復配列タンパク質ポリマーエマルジョンが、このような配合物中への送達を容易にするのに望ましい。反復配列タンパク質ポリマーは界面上で活性があり、自力あるいは界面活性剤と組み合わさって、シリコーン-水界面に吸着してエマルジョンを安定化させる。遺伝子工学処理した反復配列タンパク質ポリマーと組み合わせて、シリコーンを使用することによって、約95重量%までの油相を含む水性連続相を有するシリコーンエマルジョンを形成することができる。
【0047】
反復配列タンパク質ポリマーの送達を増大させるための、1つのシリコーンシステムの方法の実施形態は、シリコーンポリエーテル(SPE)界面活性剤を使用する。SPEは両親媒性であるとして特徴付けられ、シリコーンを含む疎水性部分、および親水性ポリエーテル尾部を有する。理論によって縛られずに、SPEは反復配列タンパク質ポリマーと相互作用して複合体を形成し、このことがタンパク質の溶解を助け、タンパク質の有効な溶解度の増大をもたらすと考えられる。より特定の実施形態は、シリコーンを使用して反復配列タンパク質ポリマーの送達を増大させる方法であって、反復配列タンパク質ポリマーがSELPである方法を対象とする。より特定の実施形態では、SELPはSELP47K(配列番号19)である。
【0048】
反復配列タンパク質ポリマーの送達を増大させるためにシリコーンを使用する、他の方法の実施形態では、反復配列タンパク質ポリマーをシリコーンのエマルジョン、水性連続相に加える。反復配列タンパク質ポリマーの疎水性部分は分散したシリコーン流体滴の表面に吸着し、一方で親水性部分は水性相と相互作用すると考えられる。特定の実施形態は反復配列タンパク質ポリマーとしてSELPを使用し、さらに特定の実施形態は反復配列タンパク質ポリマーとしてSELP47Kを使用する。
【0049】
安定したシリコーン-反復配列タンパク質ポリマーエマルジョンは、高レベルのヒステリシスを示し、それらが混合の順序に敏感であることを意味する。連続した水性相を有するエマルジョンの調製は、油相を水性相に加えることを必要とする。さらに、エマルジョンは混合の方法に敏感である。分散相中に高い割合のエマルジョンを含む水性エマルジョンは、機械的攪拌によって油相を水に加えることにより調製することができるはずである。使用するとき好ましい界面活性剤は、シリコーン界面活性剤、特にシリコーンポリエーテルポリマー界面活性剤である。これらのエマルジョンの調製法は当業者には明らかであろうが、それによってエマルジョンを調製する方法の変形によって、相およびタンパク質ポリマーの異なる物理的分布を有するシリコーンエマルジョンシステムが生成し、反復配列タンパク質ポリマーの有効性の低いエマルジョン送達をもたらす可能性がある。
【0050】
これらの方法は、簡単な混合で形成される、非常に安定した明るい青色またはクリーム状のエマルジョンの形成をもたらす。希釈時に、反復配列タンパク質ポリマーはエマルジョン界面上に保たれ、分散相は安定状態に保たれる。パーソナルケア組成物を対象とする一実施形態では、パーソナルケア配合物の利点に関する、タンパク質の高い溶解度とシリコーン-反復配列タンパク質ポリマーの共同作用を組み合わせて、予想外に充分な全体的なケアの利点を製品に含ませる。特定のパーソナルケア製品の実施形態では、分散相を含む安定したシリコーン-反復配列タンパク質ポリマーを、スキンケアを対象とするパーソナルケア配合物中に取り込ませ、複合体は分散によって皮膚に均一に送達することができる。
【0051】
本発明の活性剤の制御放出をもたらすことができるシステムを、リンスオフコンディショナーに加えることができる。本発明のシステムは、シャンプー、ジェル、ムース、および他のヘアケア製品中に使用することができる。本発明のシステムは、モイスチャライザー、トーナー、およびメーキャップなどのスキンケア製品に使用するのに適している可能性がある。本発明のシステムは、マニキュアおよびマニキュア除光液などのネイル製品に使用するのに適している可能性もある。
【0052】
システムは、製品配合物中に任意の適切な量で存在することができる。例えば、システムは、組成物の約0.001重量%〜約10重量%を構成することができる。より一般的には、システムは組成物の約0.01重量%〜約5重量%を構成することができ、より好ましくは組成物の約0.01重量%〜約1重量%を構成することができる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、システムは、さまざまな乳濁液に配合することができる。乳濁液は、湿潤、軟化性、フィルム形成、触感改善、光学的効果、強化性、堅実性、およびコンディショニング性を与えることができる。乳濁液は、
水 適量
乳化剤 1〜5%
増粘剤/安定剤 0.1〜3%
皮膚軟化薬 2〜10%
乳白剤 0〜10%
湿潤剤 0〜10%
制御放出を提供することが可能なシステム 0.001〜10%
機能成分 0.001〜25%
防腐剤 適量
仕上げ成分 適量
を含むことができる。
【0054】
乳濁液が他の適切な成分をさらに含むことができることは理解されよう。適切な乳濁液の性質は、アニオン性、カチオン性、または非イオン性であってよい。例えば、適切な乳濁液にはステアリン酸TEA、エトキシル化脂肪酸、またはアルコールがあるが、これらだけには限られない。適切な増粘剤は、生成物の粘度またはレオロジーを改変するために使用する成分の任意の組合せであってよい。増粘剤は天然のものであってよく、天然の増粘剤はシリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、およびアルギン酸塩を含むことができる。増粘剤はあるいはポリマーであってよく、ポリマー増粘剤はアクリル酸架橋ポリマー、ポリアクリル酸、および改変セルロースを含むことができる。増粘剤は脂肪酸およびアルコールなどの結晶物質を含むこともでき、適切な結晶物質にはステアリルアルコールまたはステアリン酸がある。
【0055】
皮膚軟化薬は、製品の触感および美的特徴を改変するために使用する1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。適切な皮膚軟化薬には:ミリスチン酸イソプロピルおよびステアリン酸オクチルドデシルステアロイルなどの単純および複合エステル;カプリン/カプリルトリグリセリドなどのトリグリセリド;カルナウバおよびシェアバターなどのワックス;ヒマシ、ココナッツ、および米ぬか油などの植物または動物油;ステアリル、ミリスチル、セチルおよびベヘニルアルコールなどの脂肪アルコール;およびステアリン酸、ラウリン酸およびオレイン酸などの脂肪酸がある。
【0056】
乳白剤は、製品の外観を改変するために使用する1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。適切な乳白剤には、ステアリル、ミリスチル、セチルおよびベヘニルアルコールなどの脂肪アルコール、ならびにステアリン酸、ラウリン酸およびオレイン酸)などの脂肪酸があるが、これらだけには限られない。適切な湿潤剤は、配合物中の湿気を保持しユーザーに水和作用を与えるために使用する1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。適切な湿潤剤には、グリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールがあるが、これらだけには限られない。
【0057】
機能成分は、使用時に特定の影響を与えるために加える1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよく、活性剤の制御放出をもたらすことができる他のシステムにおいて、パーソナルケア配合物に加えることができる。これらはメトキシ桂皮酸オクチル、ベンゾフェノン-3、二酸化チタン、およびサリチル酸オクチルなどのUV吸収剤;VP/エイコセンコポリマーなどのフィルム形成物質;ペプチドおよびタンパク質、αヒドロキシ酸、ならびにレチノールおよびレチノイン酸誘導体などの薬用化粧品;トコフェロールおよびそれらの誘導体、ならびにアスコルビン酸およびそれらの誘導体などの抗酸化剤;B、D、Kなどのビタミンおよびそれらの誘導体;水酸化アルミニウムおよび水酸化ジルコニウムなどの制汗薬;チオグリコール塩などの脱毛剤;サリチル酸および過酸化ベンゾイルなどの抗アクネ剤;シリケート、軽石、およびポリエチレンなどの研磨材および皮膚摩擦材;および植物、果物、野菜および海洋供給源の抽出物を含むことができる。
【0058】
適切な防腐剤は、統制機関によって承認され化粧品用途における使用が認められている成分の任意の組合せであってよい。例えば、メチルおよびプロピルパラベン、イミダジリジニル尿素、ならびにソルビン酸を防腐剤として使用することができる。仕上げ成分は、配合物の特性を調節するために加える、1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。仕上げ成分は、芳香剤;着色剤;四ナトリウムEDTAなどのキレート剤;およびクエン酸およびリン酸および塩などのpH緩衝剤を含むことができる。
【0059】
当業者は、さまざまなパーソナルケア用途用に、例示的な乳濁液配合物を改変することができる。乳濁液配合物を使用して、クリーム、ローション、モイスチャライザー、フェイシャルクレンザー、脱毛剤、マスク、サンケア製品、制汗薬、アクネ製品、ファンデーション、ヘアコンディショナー、縮毛緩和剤、ヘアトリートメント、マスカラ、ネイル製品、リップ製品、シェービング製品、および練り歯磨きなどを形成することができる。
【0060】
本発明の他の実施形態によれば、本発明のシステムは、さまざまな界面活性剤システムに配合することができる。界面活性剤システムは、湿潤、軟化性、フィルム形成、触感改善、光学的効果、強化性、堅実性、およびコンディショニング性を含めた幾つかの性質をパーソナルケア製品に与えることができる。典型的な界面活性剤システムは、以下の成分だけには限られないが、これらを含むことができる:
水 適量
一次界面活性剤 0.1〜15%
二次界面活性剤 0.1〜10%
レオロジー改変剤 0.1〜5%
アルコール 0〜25%
機能成分 0〜10%
コンディショニング成分 0〜5%
防腐剤 適量
仕上げ成分 適量
制御放出を提供することが可能なシステム 0.001〜10%。
【0061】
界面活性剤システム中に他の適切な成分を含むことができることは理解されよう。一次界面活性剤は、表面張力を低下させるか気泡を生成させるために使用する、1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。界面活性剤は、硫酸アルキル、硫酸エーテル、αオレフィンスルホン酸、および石鹸などのアニオン性界面活性剤;グルコシド、グルタメート、カルボキシレート、イセチオネート、カルボキシレート、グリシネート、およびラウラムホアセテートなどの両性界面活性剤;ベタインおよびサルタンなどの両性イオン性界面活性剤;または脂肪アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、およびアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0062】
二次界面活性剤は、気泡の特性および性質を変え、気泡を安定化させ、または炎症を低下させるために使用する、1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。これらは例えば、ココアミドプロピルベタイン、モノエタノールアミド、およびジエタノールアミドを含むことができる。適切なレオロジー改変剤は、生成物の外見、粘度またはレオロジーを改変するために使用する、1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。レオロジー改変剤は、塩、シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、グアール誘導体、およびアルギン酸塩を含めた天然のレオロジー改変剤であってよい。レオロジー改変剤は、アクリル酸架橋ポリマー、改変セルロース、およびポリアクリル酸を含めたポリマーレオロジー改変剤であってよい。レオロジー改変剤は乳白剤および結晶物質、例えば脂肪酸およびステアリルアルコールを含めたアルコールまたはステアリン酸などを含むことができる。適切なアルコールは、収斂性、冷却性、揮発性、または可溶性を与えるために加えられる、1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。例えば適切なアルコールには、エタノールおよびイソプロパノールがある。
【0063】
機能成分は、使用時に特定の影響を与えるために加える、1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。これらはメトキシ桂皮酸オクチルおよびベンゾフェノン-3などのUV吸収剤;ポリビニルピロリドン(PVP)およびPVP/ポリビニルアルコール(PVA)コポリマーなどのスタイリングおよびフィルム形成物質;ペプチド、タンパク質、αヒドロキシ酸、ならびにレチノールおよびレチノイン酸誘導体などの薬用化粧品;トコフェロールおよびそれらの誘導体、ならびにアスコルビン酸およびそれらの誘導体などの抗酸化剤;ビタミンB、D、Kなどのビタミンおよびそれらの誘導体;サリチル酸および過酸化ベンゾイルなどの抗アクネ剤;ジンクピリチオンおよび硫化セレンなどのフケ防止剤;およびカチオン性物質などのコンディショニング剤、ならびに植物、果物、野菜および海洋供給源の抽出物を含むことができる。
【0064】
コンディショニング剤は、湿潤、触感、滑らかさ、静電気防止効果または輝きを与えるために加える、1つまたは複数の成分の任意の組合せであってよい。適切なコンディショニング剤は、ポリクアテルニウム-10およびポリクアテルニウム-11などのカチオン性ポリマー;塩化セチルトリメチルアンモニウムなどの第四級脂肪酸;動物性または植物性タンパク質およびそれらの誘導体、例えば加水分解された小麦タンパク質および加水分解されたコラーゲンなど;ジメチコンン、アモジメチコンン、フェニルトリメチコン、および揮発性シリコーンなどのシリコーン誘導体;ミリスチン酸イソプロピルおよびカプリン/カプリルトリグリセリドなどの皮膚軟化油;ならびにグリセリンおよびプロピレングリコールなどの湿潤剤を含むことができる。
【0065】
当業者は、さまざまなパーソナルケア用途用に、この例示的な界面活性剤システム配合物を改変することができる。例えば、界面活性剤配合物を改変して、シャンプー、ボディクレンザー、フェイシャルクレンザー、ヘアコンディショナー、ヘアゲル、ヘアトリートメント、フェイシャルトーナー、芳香製品、およびうがい薬などを形成することができる。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、シルク-エラスチンポリマーSELP47K(配列番号19)を、本発明の反復配列タンパク質ポリマーとして使用することができる。SELP47Kは、シルク様結晶性ブロックおよびエラスチン様柔軟性ブロックのみからなる、ホモブロックタンパク質ポリマーである。SELP47Kは多くのタンパク質より直鎖状である。何故ならSELP47Kは、αヘリックス状の三次元構造ではなくβシート状の二次元構造を有するからである。SELP47Kは、繊維中にβシートを架橋させることによって自己集合する能力を示す。SELP47Kは70%プロリン、バリン、およびアラニンであり、疎水性を有する。さらに、SELP47Kは高いリシン比を有する。
【0067】
本発明をさらに容易に理解できるようにするため、本発明を例示することを目的とするが、本発明の範囲を制限することは目的としない、次の実施例を言及する。
【0068】
(実施例)
(実施例1)
遺伝子工学処理したシルク-エラスチン反復配列タンパク質ブロックコポリマー(SELP)を、大腸菌細菌から単離し精製した。特異的なシルク-エラスチン反復配列タンパク質コポリマーSELP47K組換えDNAを含む大腸菌は、サンディエゴ、カリフォルニアのProtein Polymer Technologies、Inc.(PPTI)から得た。米国特許第5,243,038号および米国特許第6,355,776号中に記載された方法に従い、この大腸菌を調製することができる。キログラム量のSELPの回収も実証した。シルク-エラスチンコポリマーSELP47Kは、頭部-[(GAGAGS)2(GVGVP)3GKGVP(GVGP)4(GAGAGS)2]13-尾部(配列番号19)の一般構造を有していた。このコポリマーは886個のアミノ酸を含んでおり、780個のアミノ酸は反復配列単位中にあった。SELP47Kは約70,000ダルトンの分子量を有しており、タンパク質の等電点は10.5である。
【0069】
単分散シルク-エラスチンタンパク質ポリマーSELP47Kを、以下の方法で適用試験用に生成した。大腸菌発酵を行って、単分散SELP47Kを含む細胞-ペーストを生成した。細胞-ペーストは氷冷水中に置き、均質にして細胞抽出物を作製した。細胞抽出物をポリエチレンイミンと混合させ、濾過助剤を7℃で1時間攪拌状態にした。ポリエチレンイミンは、細胞残骸および相当量の大腸菌タンパク質の沈殿を引き起こした。このSELP47K含有反応混合物は、次いでRVDFを使用して濾過した。次いで濾過したSELP47K溶液を、硫酸アンモニウムと混合させて25%の飽和状態にした。これによって、SELP47Kの沈殿がもたらされた。沈殿したSELP47Kと母液を濾過助剤を用いて混合させ、回転ドラム真空フィルター(RVDF)を使用して再度濾過した。SELP47Kおよび濾過助剤を含むRVDF塊を冷水と混合させて、SELP47Kを溶かした。この沈殿および可溶化ステップをもう一度繰り返して、SELP47Kの純度の概略を改善した。次いで精製した単分散SELP47Kは、SELP溶液の電導率が50μS/cm2に達するまで水交換した。次いで単分散SELP溶液を10%wt/volまで濃縮し、次いで凍結乾燥させて粉末状単分散SELP47Kタンパク質ポリマーを作製した。適用試験に必要となるまで、この物質は-70℃で保存した。
【0070】
B. SELP変異体はPPTIから得たか、または遺伝子工学処理した(表1)。
【0071】
【表1】

【0072】
特定のシルク-エラスチン反復配列タンパク質コポリマーSELP47K、SELP37KおよびSELP27K組換えDNAを含む大腸菌菌株も、サンディエゴ、カリフォルニアのProtein Polymer Technologies、Inc.から得た。SELP67K、SELP58、SELP37KおよびSELP27K変異体タンパク質を、前に記載した標準的なSELP47K生成プロトコルを使用して14Lの供給バッチ培養物中で生成した。タンパク質は以下のように精製および特徴付けした:14Lの培養物から回収した40グラムの細胞ペーストを、フレンチプレスによって、次にポリエチレンイミン(0.8w/v%)を加えることによって溶かした。遠心分離を使用して、細胞抽出物から細胞残骸を分離した。SELPポリマーは硫酸アンモニウム(30%飽和)を使用して細胞抽出物から沈殿させ、遠心分離によって回収し、水に加えて元に戻した。残りの塩を水に対する透析によって除去し、SELPポリマーを凍結乾燥し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して特徴付けした。SELP47K-3種をSDS-PAGEゲルから切除し、さらに特徴付けし、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー質量分析)によってその同一性を確認した。完全なSELP47K-3タンパク質の分子量も、MALDI-TOF/MS(マトリクス支援レーザー離脱イオン化飛行時間型質量分析)を使用して確認した。
【0073】
変異体SELP47E、SELP47K-3、SELP47R-3、およびSELP47E-3を遺伝子工学処理するために使用したプロトコルは、特定のDNA配列に沿った多数の部位に、一塩基対の変化を作製するために設計された市販のキット(QUIKCHANGE(登録商標)Multi(部位特定突然変異導入法キット)、Stratageneカタログ番号200513)の変形である。標準的なプロトコルは、当該のプラスミドの鋳型領域とハイブリダイズし点突然変異を取り込むであろう、一方向5'リン酸化プライマーの構築を含む。それぞれの合成ラウンド中に多数のプライマーを連結させるために設計した連結反応を含む、熱サイクルを使用する。
【0074】
SELPのDNA配列は、多数の反復サブユニットが同一である点において特有である。全サブユニット中の一アミノ酸残基を変えるために、一変化を有効に多数回行う。プライマーを対毎に相補的に設計し、それによって熱サイクルプロセスにおけるPCR増幅条件を作製した点で、前述のプロトコルをさらに改変した。増幅させたプラスミドDNAを次いで使用して、大腸菌細胞を形質転換して、これは望ましい突然変異に関してさらにスクリーニングおよび特徴付けすることができる。
【0075】
方法:SELPリシン残基の変換。
リシン残基のグルタミン酸またはアルギニンへの変換をもたらし、後のプラスミドスクリーニングに使用するこの位置に特有の制限酵素部位を一方で同時に作製する、一塩基変化の突然変異を誘導するプライマーを設計した。5'リン酸化プライマーを、以下のように両方向(両方の鎖)で相補的にした:
グルタミン酸の変換:
5'-GGGAGTTGGTGTACCTGGAGAAGGTGTTCCGGGGGTAGG-3'(配列番号21)
3'-CCCTCAACCACATGGACCTCTTCCACAAGGCCCCCATCC-5'(配列番号22)
(A20はG20に変換した)
アルギニンの変換:
5'-GGGAGTTGGGGTACCTGGACGAGGTGTTCCGGGGGTAGG-3'(配列番号23)
3'-CCCTCAACCCCATGGACCTCGAGGTGGAACCCCCCCATCC-5'(配列番号24)
(G19およびT20はCおよびGに変換した)
【0076】
QUIKCHANGE(登録商標)Multiによる反応を、両方の相補的プライマーを含めたこと以外は、製造者のプロトコルに従って行った。5μlのそれぞれの反応混合物を使用して、プロトコル(Invitrogen)に従いTOP10細胞を形質転換した。100μlの塩最適化炭素(SOC)増殖体を反応毎に接種した。形質転換体を採取し、50ppmのカナマイシンを含む5mlのLB中で増殖させた。プラスミドDNAはQiagenプラスミドminiprepキットを使用して培養物から得て、適切な制限酵素を用いた消化によって、次にゲル電気泳動によって分析した。正確に出現した構築体は、DNA塩基配列決定によって確認した。前述のプロトコルの数ラウンドは、SELP47E変異体を得ることを必要とした。いずれの場合もこの方法は、一定範囲のサブユニットに広がる変異体からなるライブラリーの作製につながった。この分布は1〜17サブユニットの範囲であった。SELP47E-3およびSELP47R-3はこの分布の結果であった。SELP47E-3グルタミン酸を変換するための前述の方法を使用して生じたSELP47K-3は、リシンに戻る。
【0077】
優れた構築体プラスミドを使用し、50ppmのカナマイシンを含むLauryl Bertni(LB)プレートを使用して大腸菌MM294を形質転換した。一種のコロニーを採取し、60mlのTM2(recipe)+2%グルコース、50ppmカナマイシン、500mlの溝付きエルレンマイヤーフラスコ中、30℃、250rpm、16時間で増殖させた。細胞培養物にグリセロール(10%v/v)を補い、1.5mlの等分試料を冷凍用バイアル中に置き、-80℃で保存した。ランダムなバイアルを、37℃で16時間、LA+1.6%スキムミルクプレート上で10μlの接種ループフル(loopful)をインキュベートすることによって汚染に関して試験した。プラスミドの完全性も、制限酵素による消化/ゲル電気泳動を使用するプラスミド精製および分析、ならびにDNAの塩基配列決定を使用して確認した。凍結させた冷凍用バイアルは、当技術分野で知られている方法を使用して調製し、後の培養、タンパク質生成用の接種用ストックとして使用した。
【0078】
SELP47K-3、SELP47E-3およびSELP47R-3変異体タンパク質を、前に使用した標準的なSELP47K生成プロトコルを使用して14Lの供給バッチ培養物中で生成した。タンパク質は以下のように精製および特徴付けした:14Lの培養物から回収した40グラムの細胞ペーストを、フレンチプレスによって、次にポリエチレンイミン(0.8w/v%)を加えることによって溶かした。遠心分離を使用して、細胞抽出物から細胞残骸を分離した。SELPポリマーは硫酸アンモニウム(30%飽和)を使用して細胞抽出物から沈殿させ、遠心分離によって回収し、水に加えて元に戻した。残りの塩を水に対する透析によって除去し、SELPポリマーを凍結乾燥し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して特徴付けした。SELP47K-3種をSDS-PAGEゲルから切除し、さらに特徴付けし、LC-MS/MSによってその同一性を確認した。完全なSELP47K-3タンパク質の分子量も、MALDI-TOF/MSを使用して確認した。-M3H+1641、M4H+1231のシルクエラスチン単位。〜5kDa
【0079】
(実施例2)
適用試験用の多分散シルク-エラスチンタンパク質ポリマーの精製および調製を、以下のステップで行った。発酵ブロスからの細胞分離は、マイクロ濾過を使用して行った。細胞抽出物を作製するための細胞破壊は、フレンチプレスを使用して行った。細胞抽出物は、ポリエチレンイミンおよび濾過助剤を使用して細胞残骸から分離した。細胞抽出物は硫酸アンモニウムと混合させ25%の飽和状態にして、シルク-エラスチンタンパク質ポリマーを沈殿させた。沈殿したシルク-エラスチンタンパク質ポリマーは、それを水中に溶かし硫酸アンモニウムを用いてそれを沈殿させることによってさらに精製した。
【0080】
多分散シルク-エラスチンタンパク質ポリマーを調製するために、沈殿したシルク-エラスチンタンパク質ポリマーを再度水中に溶かし、微量の市販のプロテアーゼと混合させた。市販のプロテアーゼを次いで失活させ、酸処理によって破壊した。次いで多分散シルク-エラスチンタンパク質ポリマーを、シルク-エラスチンタンパク質ポリマー溶液が、電気電導率が50μS/cm2に達するまで限外濾過した。
【0081】
多分散シルク-エラスチンタンパク質ポリマー溶液は、10wt%に濃縮し凍結乾燥させた。凍結乾燥させた多分散シルク-エラスチンタンパク質ポリマー粉末は、使用するまで-70℃で保存した。凍結乾燥させた多分散シルク-エラスチンタンパク質は、髪の毛への施用試験に望ましい濃度まで次いで脱イオン水に溶かした。
【0082】
(実施例3)
SELP47Kのモノマー単位(4920kDAの分子量)の精製および形成を、実施例1と同様に生成したSELP47Kの単分散物質を使用して行った。単分散SELP47Kを水に溶かし、リシン残基におけるタンパク質の切断に特異的なエンドペプチダーゼlysCプロテアーゼ(Sigma Chemical Company)で、30分間室温で処理した。次いでlysCプロテアーゼを、酸処理によって失活させ破壊した。次いでSELP47Kのモノマー単位を、タンパク質ポリマー溶液の電気電導率が50μS/m2に達するまで限外濾過した。
【0083】
(実施例4)
SELP47Kおよびアニオン性グルコースオキシダーゼ(Gox)フィルムを、以下の方法で形成した。12%のSELP47K溶液を、1.8gのSELP47Kを13.2gのmilliQ水(pH6.5)に加えることによって調製した。溶液は15分間磁気バーを用いて攪拌した。SELP47Kの完全な溶解(塊なし)を得るまで、2分間4000rpmで小ヘッドを有するSilversonミキサーを使用した。0.0647gまでのGoxストック溶液および0.06gのグリセロールを、0.7gの12%SELP47K溶液に加え、生成した混合物は10分間300rpmで磁気バーを用いて攪拌した。SELP47K/Gox混合物をマイラーシート上に施し、これを37℃で17時間非被覆状態にし、フィルムを乾燥させた。フィルムは室温まで冷却した。
【0084】
(実施例5)
SELP47KおよびGoxフィルムからのGoxの放出率の試験を、以下の方法で行った。実施例3に従い調製したフィルムの一部分を正確に重量を量り、セメント接着剤を使用して2.5cmの球状ガラス片に載せ、30分間放置して乾燥させた。
【0085】
フィルムからのGoxの放出率の試験を、30℃でHanssen溶出試験器を使用して行った。ガラスに載せたサンプルを小幅の150mlの溶出容器中に置き、フィルムは表を上にした。25mlの緩衝液を加えた。1つのフィルムサンプルは、milliQ水緩衝液を有していた。他のフィルムサンプルは、0.2Mのリン酸ナトリウムpH7.65緩衝液を有していた。緩衝液表面の真下に置き25rpmの速度で回転させた小さなパドルによって、サンプルに攪拌を与えた。0.5mlのサンプルを10分、20分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間および24時間で回収し、酵素活性に関してアッセイした。
【0086】
Goxのアッセイは、410nmの波長を使用して25℃において10分の反応時間で行った。50μlのサンプルの等分試料を1000μlの基質溶液(x21)に加え、Gox活性に関してアッセイした。Gox濃度は以下のように計算した:
[Gox](mg/ml)=(比OD/分)*(0.6μg/分)*(1mg/1000mg)*希釈x21*希釈*25。
【0087】
図1を言及すると、フィルムからのGoxの放出を例示する。イオン性0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液をフィルムに加えると、Goxが制御式に放出されることは、図1から明らかである。
【0088】
(実施例6)
SELP47KおよびGoxポリマーを取り込んだヒドロゲルを、以下の方法で調製した。12%のSELP47K溶液を、2.4gのSELP47Kを17.6gのmilliQ水(pH6.5)に加えることによって作製した。溶液は15分間磁気バーを用いて攪拌した。SELPの完全な溶解(塊なし)を得るまで、2分間4000rpmで小ヘッドを有するSilversonミキサーを使用した。0.08gのGoxストック溶液を14.97gまでの12%SELP溶液に加え、生成した混合物は10分間6000rpmで磁気バーを用いて攪拌した。3.0gまでの混合物を小さなプラスチック容器(Rotronic)に施し、次いでこれを閉じパラフィルムで密封した。この容器を37℃で17時間放置した。17時間後、ヒドロゲルを室温まで冷却した。
【0089】
(実施例7)
実施例6に従い形成したヒドロゲルからのGoxの放出率の試験を、以下の方法で行った。1mlのmilliQ水を加えて、プラスチック容器中でヒドロゲルの上部表面を洗浄した。容器は二回攪拌し、洗浄液を除去した。
【0090】
milliQ水の放出率を、プラスチック容器中、ヒドロゲルの上部に5mlのmilliQ水を加えることによって試験した。容器を密閉し、次いで攪拌機上で50rpmまでで軽く攪拌した。さまざまな時間地点で、60μlの溶解培地のサンプルを回収し、実施例11に記載したのと同様にGox活性に関してアッセイした。0.5Mのリン酸ナトリウム緩衝液中での放出率を、28時間後にmilliQ水を0.5Mのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5に交換することによって試験した。前の実施例11に記載したのと同様に、放出率のアッセイを行った。
【0091】
図2を言及すると、ヒドロゲルからのGoxの放出率を例示する。イオン性0.5Mのリン酸ナトリウムがGoxの放出を容易にしたことは明らかである。Goxは17時間37℃で、28時間室温で保存した。Goxの初期活性を観察した。Goxは17時間後に66.59mg/mlの活性、28時間後に66.75mg/mlの活性を示した。酵素の分解は観察されなかった。
【0092】
(実施例8)
SELP47Kを使用してGoxの周りに形成されるミクロ粒子は、以下の方法で調製することができる。12重量%のSELP47K水溶液を、2.4gのSELP47Kを16.6gのmilliQ水(pH6.5)に加えることによって調製する。SELP47Kの完全な溶解を得るまで2分間4000rpmでSilversonミキサーを使用して、この混合物を次いで混合させる。0.08gのグルコースオキシダーゼ(Gox)溶液を14.97gの12%のSELP47K水溶液に加え、10分間磁気バーを用いて攪拌し、GoxとSELPの均質な溶液を得て水溶性相を形成した。2.25gの界面活性剤(Dow Corning3225C)配合助剤を、次いで30gのシリコーン油、1000Cts(Dow Coming)と混合し、50mlのビーカーに加えて油溶性相を形成した。船舶用インペラーを、液体の深さのほぼ半分まで浸す。Goxを含むSELP47Kミクロ粒子は、エマルジョン/ゲル化法によって生成する。前で調製したSELP47K/Gox溶液(15g)をシリコーン油中に分散させ、15分間400rpmで乳化させる。次いでエマルジョンの温度を37℃まで上昇させて、乳化したSELP滴のゲル化を開始させ、混合は3時間続ける。個々のSELP47Kミクロ粒子を含むGoxの油中懸濁液をこのようにして得て、これらはパーソナルケア配合物に混合することができる。
【0093】
個々のSELP47Kミクロ粒子を含むGoxの油中懸濁液は、100mlのmilliQ水を含む200mlのビーカーに加えることもできる。SELP47Kミクロ粒子は底部水性相中に沈殿し、上部油相を透明にする。シリコーン油は吸引し廃棄する。次いでミクロ粒子を、ミクロ粒子が油を含まなくなるまで0.5%のTween80界面活性剤溶液で数回洗浄する。milliQ水に懸濁させたGoxを含むSELPミクロ粒子を、パーソナルケア配合物(水システム)中、例えばO/Wクリーム、ローション、シャンプーなどに次いで混合させる。
【0094】
(実施例9)
SELP47Kを使用してGoxの周りに形成されるミクロ粒子は、以下の方法で調製することができる。12重量%のSELP47K水溶液を、2.4gのSELP47Kを16.6gのmilliQ水(pH6.5)に加えることによって調製する。SELP47Kの完全な溶解を得るまで2分間4000rpmでSilversonミキサーを使用して、この混合物を次いで混合させる。0.08gのグルコースオキシダーゼ(Gox)溶液を14.97gの12%のSELP47K水溶液に加え、10分間磁気バーを用いて攪拌し、GoxとSELPの均質な溶液を得て水溶性相を形成した。2.25gのDow corning5200配合助剤と混合させた30mlのホホバ油を、次いで50mlのビーカーに加えて油溶性相を形成した。船舶用インペラーを、液体の深さのほぼ半分まで浸す。Goxを含むSELP47Kミクロ粒子は、エマルジョン/ゲル化法によって生成する。前で調製したSELP47K/Gox溶液(15g)をシリコーン油中に分散させ、15分間400rpmで乳化させる。次いでエマルジョンの温度を37℃まで上昇させて、乳化したSELP滴のゲル化を開始させ、混合は3時間続ける。個々のSELP47Kミクロ粒子を含むGoxの油中懸濁液をこのようにして得て、これらを後にパーソナルケア配合物に混合する。
【0095】
個々のSELP47Kミクロ粒子を含むGoxの油中懸濁液は、100mlのmilliQ水を含む200mlのビーカーに加えることもできる。SELP47Kミクロ粒子は底部水性相中に沈殿し、上部油相を透明にする。ホホバ油を次いで吸引し廃棄する。次いでミクロ粒子を、ミクロ粒子が油を含まなくなるまで0.5%のTween80界面活性剤溶液で数回洗浄する。milliQ水に懸濁させたGoxを含むSELPミクロ粒子を、パーソナルケア配合物(水システム)中、例えばO/Wクリーム、ローション、シャンプーなどに次いで混合させる。
【0096】
(実施例10)
SELP47Kの周囲にビタミンEを含むSELP47Kミクロ粒子は、以下の方法を使用して調製することができる。ビタミンEを含む有機相は、15gのビタミンE、15gの溶媒Aromatic100、および2gのイソシアネートモノマー(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)を混合して、均質相を得ることによって調製する。
【0097】
SELP47Kを含む水性相を調製することもできる。20重量%のSELPの水溶液は、10gのSELPを40gのMilliQ水(pH6.5)に加えることによって最初に作製する。SELP47Kの完全な溶解を得るまで2分間4000rpmでSilversonミキサーを使用して、この混合物を次いで混合させる。次に界面活性剤を加えて、有機相の乳化を容易にする。詳細には、Union CarbideからのAlcohol Ethoxylate Tergitolの37.5gの4%水溶液を加え、10gの20重量%のSELP水溶液と混合させる。保護コロイドも加えて、エマルジョンの安定性を増大させる。例えば、5gの10重量%PVA水溶液(Clariant CorporationからのMowiol 4-88)、および15gのmilliQ水を加える。水性相を混合して、有機相を加える前に均質相を得て、50mlのビーカーに加える。船舶用インペラーを、液体の深さのほぼ半分まで浸す。
【0098】
次いで有機相を、SELP47Kを含む水性相中に乳化させる。有機相を徐々に導入しながら、前に調製した水性相を180rpmで攪拌する。有機相全体が導入された後に、次いで混合物の攪拌を400rpmで15分間に増大させる。次いでエマルジョンを水浴に移し、250rpmでの適度な攪拌を次いで与える。エマルジョンの温度を37℃まで上昇させて、SELFとイソシアネートモノマーの間で界面重合させ、37℃で3時間攪拌する。
【0099】
(実施例11)
シリコーンポリエーテルを使用する、パーソナルケア配合物中でのSELP47K(配列番号19)の送達を以下のように行った:シリコーンポリエーテルDC193(1.08g)を水中に採取し(5.5%wt/wt)、6.75gの1000センチストーク(CS)ポリジメチルシロキサン200流体と混合した。混合物は30分間放置状態にした。この混合物に、固形SELP47K(1.08g、5.5%wt/wt、すなわちDC193と1:1の質量比)を加えた。次いで混合物を、攪拌機を使用して900rpmでスムースになるまで(10分間)剪断した。生成したSELP47K-シリコーン複合体は青みががった色合いの外見を有しており、安定したエマルジョンであった。このエマルジョンを、顕微鏡によって分析すると、離散した分散シリコーン相を囲むタンパク質を有する基本的に水性である連続相が明らかであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
反復配列タンパク質ポリマー、および
少なくとも1つの活性剤を含む活性剤の制御放出型送達をもたらすためのシステム。
【請求項2】
反復配列タンパク質ポリマーが、エラスチン、コラーゲン、アブダクチン、バイサス、鞭毛状絹糸、しおり絹糸、グルテン高分子量サブユニット、チチン、フィブロネクチン、レミニン、グリアジン、膠様ポリポリペプチド、氷核活性タンパク質、ケラチン、ムシン、RNAポリメラーゼII、レザリンまたはこれらの混合物由来の反復アミノ酸配列単位を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
反復配列タンパク質ポリマー式が、
Ty[(An)x(B)b(A'n')x'(B')b'(A"n")x"]iT'y'
からなり、上式でTおよびT'がそれぞれ約1〜約100アミノ酸のアミノ酸配列を含み、T'のアミノ酸配列がTのアミノ酸配列と同じであるか異なっており、
yおよびy'がそれぞれ0〜1の整数であり、y'の整数がyの整数と同じであるか異なっており、
A、A'およびA"が約3〜約30アミノ酸を含むそれぞれ個別の反復配列単位であり、A'のアミノ酸配列およびA"のアミノ酸配列がAのアミノ酸配列と同じであるか異なっており、
n、n'、およびn"が少なくとも2であり、かつ250を超えない整数であり、
x、x'およびx"がそれぞれ0または少なくとも1の整数であり、それぞれの整数が変化してA'、A'およびA"の個別の反復配列単位において少なくとも30アミノ酸を与え、x'の整数およびx"の整数がxの整数と同じであるか異なっており、
BおよびB'がそれぞれ約4〜約50アミノ酸のアミノ酸配列を含み、B'のアミノ配列がBのアミノ酸配列と同じであるか異なっており、
bおよびb'がそれぞれ0〜3の整数であり、b'の整数がbの整数と同じであるか異なっており、
iが1〜100の整数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
TおよびT'が約1〜約60アミノ酸のアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
TおよびT'が反復配列タンパク質ポリマー中のアミノ酸の合計数の20%未満を構成するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
Bが生物学的または化学的機能または活性を有するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
B'が生物学的または化学的機能または活性を有するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
iが1〜50の整数である、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
iが1〜約30の整数である、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
A、A'およびA"が配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号20、またはこれらの組合せを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
A、A'およびA"が配列番号1、配列番号3、またはこれらの組合せを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項12】
反復配列タンパク質ポリマーが配列番号19を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
反復配列タンパク質ポリマーと少なくとも1つの活性剤が複合体を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
複合体が反復配列タンパク質ポリマーと少なくとも1つの活性剤の間のイオン性相互作用によって形成され、少なくとも1つの活性剤がアニオン性分子を含み、反復配列タンパク質ポリマーがカチオン性分子を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの活性剤がアニオン性酵素およびα-ヒドロキシ酸からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの活性剤が、グルコースオキシダーゼ、リパーゼおよびヒドロラーゼ、またはこれらの組合せからなる群から選択されるアニオン性酵素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの活性剤がグルコースオキシダーゼを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
複合体が反復配列タンパク質ポリマーと少なくとも1つの活性剤の間の非イオン性相互作用によって形成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
反復配列タンパク質ポリマーと少なくとも1つの活性剤の間の非イオン性相互作用が疎水性である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
システムをマトリクス、エマルジョン、ゲル、ヒドロゲル、フィルムまたはミクロ粒子として配合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
制御放出型送達が刺激応答放出型送達である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
反復配列タンパク質ポリマーと少なくとも1つの活性剤がミクロ粒子を形成し、活性剤が水不溶性または水溶性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
活性剤が水溶性活性剤であり、ミクロ粒子が
(1)水溶性活性剤と反復配列タンパク質ポリマーを組み合わせて、水溶液中に複合体を形成すること、
(2)不混和相中に水溶性相として複合体を乳化させて、水溶性相が分散相滴を形成し、不混和相が連続相を形成すること、
(3)分散相滴が所望の大きさになるように剪断力をかけること、および
(4)連続相を除去すること
を含むエマルジョン/ゲル化法によって形成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
活性剤が水不溶性活性剤であり、ミクロ粒子が
(1)反復配列タンパク質ポリマーの水溶液中に水不溶性活性剤を乳化させて、複合体を含むエマルジョンを形成すること、
(2)不混和相中に水溶性相として(1)由来のエマルジョンを乳化させて、水溶性相が分散相滴を形成し、不混和相が連続相を形成すること、
(3)分散相滴が所望の大きさになるように剪断力をかけること、および
(4)連続相を除去すること
を含むエマルジョン/ゲル化法によって形成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
ミクロ粒子が反復配列タンパク質ポリマーと適切なモノマーの間の界面重合によって形成されたカプセルを含み、カプセルが、界面重合によって形成された反復配列タンパク質ポリマーによって被包された少なくとも1つの活性剤を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
ミクロ粒子が、同じであるか異なっていてよい2つ以上の活性剤を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
水 適量
乳化剤 1〜5%
増粘剤/安定剤 0.1〜3%
皮膚軟化薬 2〜10%
乳白剤 0〜10%
湿潤剤 0〜10%
システム 0.001〜10%
機能成分 0.001〜25%
防腐剤 適量
仕上げ成分 適量
の重量%の乳濁液組成を含む乳濁液に配合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
水 適量
一次界面活性剤 0.1〜15%
二次界面活性剤 0.1〜10%
レオロジー改変剤 0.1〜5%
アルコール 0〜25%
システム 0.001〜10%
機能成分 0〜10%
コンディショニング成分 0〜5%
防腐剤 適量
仕上げ成分 適量
の重量%の界面活性剤システム組成を含む界面活性剤システムに配合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
活性剤の制御放出型送達をもたらすためのシステムを含むパーソナルケア組成物であって、システムが反復配列タンパク質ポリマーおよび少なくとも1つの活性剤を含むパーソナルケア組成物。
【請求項30】
ヘアケア組成物、スキンケア組成物、ネイルケア組成物、化粧品組成物、オーラルケア組成物、または処方箋不要の医薬組成物を含む、請求項29に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項31】
システムが組成物の約0.001重量%〜約10重量%を構成する、請求項29に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項32】
システムが組成物の約0.01重量%〜約5重量%を構成する、請求項29に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項33】
システムが組成物の約0.01重量%〜約1重量%を構成する、請求項29に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項34】
パーソナルケア組成物を作製するための方法であって、活性剤の制御放出型送達をもたらすためのシステムと生理的に許容可能な担体または賦形剤を組み合わせてパーソナルケア組成物を得ることを含み、システムが反復配列タンパク質ポリマーおよび少なくとも1つの活性剤を含む方法。
【請求項35】
パーソナルケア組成物中への反復配列タンパク質ポリマーの送達を増大させる方法であって、シリコーン-反復配列タンパク質ポリマー複合体を形成すること、およびパーソナルケア組成物に複合体を加えることを含む方法。
【請求項36】
複合体が水溶液中でのシリコーンポリエーテル界面活性剤と反復配列タンパク質ポリマーの相互作用から形成される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
連続水性相を有するシリコーンエマルジョンのシリコーン-水界面での、反復配列タンパク質ポリマーとシリコーンの界面相互作用から複合体が形成される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
反復配列タンパク質ポリマーが、シルク-エラスチン様タンパク質、コラーゲンまたはケラチン、またはこれらのある組合せを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
反復配列タンパク質ポリマーがシルク-エラスチン様タンパク質を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
反復配列タンパク質ポリマーがシルク-エラスチン様タンパク質、SELP47K(配列番号19)を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
シリコーンおよび少なくとも1つの反復配列タンパク質ポリマーを含む複合体であって、少なくとも1つの反復配列タンパク質ポリマーが遺伝子工学処理したシルク-エラスチン様タンパク質を含む複合体。
【請求項42】
遺伝子工学処理したシルク-エラスチン様タンパク質がSELP47K(配列番号19)を含む、請求項41に記載の複合体。
【請求項43】
請求項41に記載の複合体を含むエマルジョン。
【請求項44】
連続水相および分散油相をさらに含み、連続水相が約95重量%までの分散油相を含む、請求項43に記載のエマルジョン。
【請求項45】
請求項43に記載のエマルジョンを含む、パーソナルケア組成物。
【請求項46】
スキンまたはヘアケア配合物を含む、請求項45に記載のパーソナルケア組成物。


【公表番号】特表2007−503467(P2007−503467A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533119(P2006−533119)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015318
【国際公開番号】WO2004/104021
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【出願人】(503358709)ジェネンコー インターナショナル インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】