説明

反応カートリッジにおける多重核酸配列の検出

本発明は、反応カートリッジにおいて、核酸配列を増幅及び検出するための方法であって、以下の工程を含む、上記方法に関する:(i)少なくとも一つの核酸分子を含む試料を提供すること、(ii)上記カートリッジの第一の反応チャンバーにおいて、増幅反応のための試薬を提供すること、(iii)増幅試薬と試料とを混合すること、(iv)上記カートリッジの上記第一の反応チャンバーにおいて少なくとも一つの核酸を増幅すること、(v)プローブセットをそれぞれ含む、上記カートリッジの第二及び第三の反応チャンバーに、増幅反応物の少なくとも一部を移動すること、但し、(a)各プローブセットは、少なくとも三つのプローブからなり、(b)上記少なくとも三つのプローブのそれぞれは核酸配列に対して特異的であり、(c)上記各セットには同一の標識を有する少なくとも二つのプローブが存在し、(d)上記所定のプローブセットにおける同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは、該プローブセットにおける同一の標識を有する他のプローブとは2℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、(e)同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブは融解温度(T)が異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、(f)上記少なくとも二つのプローブのうちの何れが核酸に特異的に結合しているかを決定するために、融点解析を実施すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学および化学の分野に属し、より具体的には、分子生物学および人類遺伝学の分野に属する。本発明は、試料において特定の核酸配列を同定する分野に関する。特に、本発明は、反応において核酸配列を増幅及び検出する分野に属する。本発明は、試料における核酸配列の検出のための装置及びカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
疾病および診断の両方のための生物学的作用物質のモニタリングのために、試料において生物学的作用物質、例えば病原体を、高感度、特異的かつ迅速に検出する診断アッセイの重要性が高まっている。感染体又は他の有害物の存在を早期に検出するために、適切な時間スケールで生理学的又は臨床的に関連する微生物を正確に検出できるアッセイは殆どない。
【0003】
DNAマイクロアレイは、化学的マトリックスへの共有結合によって固相表面に配置された、通常単一の遺伝子を表す顕微鏡的DNAスポットのコレクションである。DNAアレイは、検出システムの一部としてDNAを測定するか、或いはDNAを用いることだけが、他のタイプのマイクロアレイと異なる。DNAマイクロアレイを用いる定性的または定量的測定は、厳密性の高い条件下におけるDNA-DNAまたはDNA-RNAハイブリダイゼーションの選択的特質、並びにフルオロフォアに基づく検出を利用する。DNAアレイは、通常、発現プロファイリング、即ち、何千もの遺伝子の発現レベルの同時モニタリングか、または比較ゲノムハイブリダイゼーションに使用される。このシステムの欠点は、解析の前に多数の工程を実施する必要があることである。また、アレイは感度が高くない。
【0004】
これまでに、最も高感度の検出法はPCRを伴う。単一の試料における複数の生物学的作用物質の存在または非存在の決定は、多重検出法を使用して実施し得る。
【0005】
多重PCRは、単一のPCR反応内で多数の独特なプライマーセットを使用して、種々のDNA配列、即ち種々の導入遺伝子に特異的な様々なサイズのアプリコンを製造する。多数の遺伝子を一度に標的にすることにより、一度の試験の実施によりさらなる情報が得られるかもしれないが、そうでなければ実施に数倍の試薬を要し、より時間がかかるであろう。各プライマーセットのアニーリング温度は、単一反応内で正確に働くように最適化しなければならず、アンプリコンのサイズ、すなわちそれらの塩基対の長さは、ゲル電気泳動で可視化する際に、形成されるバンドが他のものと区別できる程度に異なるべきである。
【0006】
多重リアルタイムPCRは、診断アッセイに使用し得る方法の一つである。PCRに基づくアッセイは、費用効果的な数の反応チューブで多数の物質について試験するPCR反応の最適化が複雑であることによって制限され得る。原則として、特異性の高い確証を支持するために必要なプローブ数は、2つから6つの数もの配列の範囲となる。当業者が気付くように、多数の異なるプライマー対およびプローブを用いるPCR反応の最適化は、検出される標的の数が増えるにつれてより取扱いが困難となる、困難な課題であり得る。PCRに基づくアッセイもまた、結果の解析のために利用可能な、特有の標識の数によって制限され得る。例えば、リアルタイムPCRアッセイは、一般に蛍光標識を利用する。
【0007】
単一の反応に使用し得る標識の数は、使用する光学検出システムにおいて利用可能な蛍光色チャンネルの数によって制限される。
【0008】
多数の核酸配列を同時に増幅および検出するための、装置および/またはカートリッジを有することは、有利であると考えられる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、反応カートリッジにおいて、核酸配列を増幅及び検出するための方法であって、以下の工程を含む、上記方法:(i)少なくとも一つの核酸分子を含む試料を提供すること、(ii)上記カートリッジの第一の反応チャンバーにおいて、増幅反応のための試薬を提供すること、(iii)増幅試薬と試料とを混合すること、(iv)上記カートリッジの上記第一の反応チャンバーにおいて少なくとも一つの核酸を増幅すること、(v)プローブセットをそれぞれ含む、上記カートリッジの第二及び第三の反応チャンバーに、増幅反応物の少なくとも一部を移動すること、但し、(a)各プローブセットは、少なくとも三つのプローブからなり、(b)上記少なくとも三つのプローブのそれぞれは核酸配列に対して特異的であり、(c)上記各セットには同一の標識を有する少なくとも二つのプローブが存在し、(d)上記所定のプローブセットにおける同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは、該プローブセットにおける同一の標識を有する他のプローブとは5℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、(e)同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブは融解温度(T)が異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、(f)上記少なくとも二つのプローブのうちの何れが核酸に特異的に結合しているかを決定するために、融点解析を実施すること。本発明の一つの優れた利点は、解析され得る標的の数が、先行技術よりはるかに大きいことである。さらに、検出プローブは分離されており、このことは、検出プローブは増幅反応中には存在せず、従って、ポリメラーゼは検出プローブを消化しないことを意味する。
【0010】
また、本発明は、標的核酸配列を増幅及び検出するための方法を実施するためのカートリッジであって、(i)増幅反応のための第一の反応チャンバー、(ii)二以上のさらなる反応チャンバーであって、そのうちの一つが核酸配列に対して特異的である少なくとも三つのプローブを含み、少なくとも二つのプローブは同一の標識を有し、同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは同一の標識を有する他のプローブとは2℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブの融解温度(T)がそれぞれ異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、上記反応チャンバー、並びに上記第一の反応チャンバーと上記二以上の反応チャンバーとの間における結合部を含む、上記カートリッジに関する。
【0011】
本明細書において、「カートリッジ」という用語は、本発明との関係では、閉鎖系内で第一の反応チャンバーから第二のセットの反応チャンバーへのアンプリコンの移動を可能にする、装置(好ましくはマイクロ流体)である。カートリッジは、ポリマー材料で作られていてもよい。好ましい材料は、ポリプロピレン、ポリスチロール、COC、ポリカーボネート、PMMA等である。材料は低い自己蛍光性を有し透明であることが好ましい。カートリッジは、好ましくは機械加工、エンボス加工または射出成型される。
【0012】
本明細書において、「核酸配列」という用語は、本発明との関係では、核酸上の配列を意味する。核酸としては、特に、RNA、DNA、cDNA(相補的DNA)、LNA(ロックト核酸;locked nucleic acid)、mRNA(メッセンジャーRNA)、mtRNA(ミトコンドリア)、rRNA(リボゾームRNA)、tRNA(トランスファーRNA)、nRNA(核RNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、snRNA(核内低分子RNA)、snoRNA(核小体低分子RNA)、scaRNA(カハール小体特異的RNA;small Cajal Body specific RNA)、マイクロRNA(microRNA)、dsRNA(二本鎖RNA)、リボザイム、リボスイッチ、ウイルスRNA、dsDNA(二本鎖DNA)、ssDNA(一本鎖DNA)、プラスミドDNA、コスミドDNA、染色体DNA、ウイルスDNA、mtDNA(ミトコンドリアDNA)、nDNA(核DNA)、snDNA(核内低分子DNA)等、或いは試料中のバルク核酸から区別可能な他のあらゆるクラス又はサブクラスの核酸であってもよい。
【0013】
本明細書において、「プローブ」という用語は、他の核酸に結合する能力がある核酸である。
【0014】
本明細書において、「組織」という用語は、限定されないが、乳房、前立腺、血液、血清、脳脊髄液、肝臓、腎臓、頭頚部、咽頭、甲状腺、膵臓、胃、結腸、結腸直腸、子宮、頚部、骨、骨髄、睾丸、脳、神経組織、卵巣、皮膚および肺を含む、ヒト、動物または植物における如何なる組織または液体を指す。
【0015】
本明細書において、「プローブセット」という用語は、特異的な位置、即ち配列で、核酸分子と相互作用し得る三つ以上の物質よりなるセットを意味する。
【0016】
本明細書において、「標識」は、光学的または他の物理的手段によって検出し得るシグナルを生じ得るプローブに、共有結合または非共有結合で結合する部分である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の原理を示す。例えば全て共通の標識を有する列1のプローブを用いて反応を実施する。しかし、プローブの融解温度は異なる。従って、各プローブを異なる融解温度によって特定することが可能である。カラムDのプローブは、例えば、全て同一の融点を有するが、標識は異なる。従って、各プローブを異なる標識によって同定することが可能である。
【図2】図2は、分子ビーコン・プローブの原理を示す。分子ビーコンは、例えば診断アッセイにおいて、アンプリコン検出プローブとして使用し得る。ハイブリダイズしていない分子ビーコンは暗いので、アッセイ中に合成されたアンプリコンの数を測定するために、プローブ-標的ハイブリッドを単離する必要はない。従って、それらは、本発明に理想的に適合する。分子ビーコンは、遺伝子増幅の実施前にアッセイ混合物に添加し、蛍光をリアルタイムに測定する。
【図3】スコーピオン・プローブにより、一本鎖オリゴヌクレオチドを用いて、配列特異的プライミングおよびPCR産物の検出を達成する。スコーピオン・プローブは、ハイブリダイズしていない状態では、ステムループ立体構造を維持する。フルオロフォアが5’-末端に結合されており、3’-に結合する部分によって消光される。ステムの3’部分もまた、プライマーの伸長産物に相補的な配列を含有する。この配列は、増幅不可能なモノマーにより、特異的プライマーの5’-末端に結合している。スコーピオン・プライマーの伸長後、特異的プローブ配列は伸長されたアンプリコンの内部でその相補鎖に結合することが可能であり、それによりヘアピンループを開く。このことにより、蛍光の消光が阻止され、シグナルが観察される。
【図4】図は、本発明の1つの好ましい実施形態を示す。ここで、反応において、各標的配列に対する2つのプローブが存在する。第一のハイブリダイゼーション・プローブは、標識、例えば隣接するタックマン(TaqMan)プローブによって消光される蛍光標識を有する。融解温度に達した場合、ハイブリダイゼーション・プローブは、結合している鎖を解離する。蛍光標識は、もはや消光されず、シグナルが生成される。
【図5】図は、本発明の1つの好ましい実施形態を示す。融解温度mp1での蛍光シグナルFL1は、反応中に標的配列p1が存在することを示す。
【図6】図6は、一つの二重標識プローブによる蛍光シグナルの強度を示し、これは、サイクルの間中およびPCRの間中変化する。シグナルは、標的に結合したときに強い。解離したときにより弱い。また、シグナルは、テンプレート量の増加のため、反応の終点に向かってより強くなる。
【図7】図7は、標的核酸配列を増幅及び検出するための方法を実施するためのカートリッジであって、(i)増幅反応のための第一の反応チャンバー、(ii)二以上のさらなる反応チャンバーであって、そのうちの一つが核酸配列に対して特異的である少なくとも三つのプローブを含み、少なくとも二つのプローブは同一の標識を有し、同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは同一の標識を有する他のプローブとは5℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブの融解温度(T)は異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、上記反応チャンバー、(iii)上記第一の反応チャンバーと上記二以上の反応チャンバーとの間における結合部を含む、上記カートリッジの一部を示す。
【図8】図8Aは、本発明のカートリッジを多数有するローターであって、カートリッジが該ローター上/中に配置された上記ローターを示す。各カートリッジは、増幅反応のための第一のチャンバーおよび検出のための3つのさらなるチャンバーを有する。ローター速度を使用して、PCR反応物を検出チャンバーへ向かって回転させる。カートリッジは、マイクロ流体のチャンネルを有する。カートリッジは、ローター中にフックで留めてもよい。ローターは、コルベット(Corbett)リアルタイムサイクラーにおいて作動させてもよい。72の検出チャンバーと共に24のPCR反応チャンバーが示される。各チャンバーが、例えば24のプローブを検出する場合、ローターは、1つの反応において1728の標的を解析することができる。図8Bは、1つのカートリッジの上面図を示す。図8Cは、1つのカートリッジの底面図を示す。
【図9】図9は、カートリッジの種々の実施形態を示す。ここで、多数のカートリッジが1枚のプラスチック片で作られる。
【図10】図10は、本発明のワークフローを示す。パネルAに、既に上述した本発明の1つの好ましい実施形態を示す。例えば全て共通の標識を有する列1のプローブを用いて反応を実施する。しかし、プローブの融解温度は、上記のパネルAで示した通り、約60℃から約80℃までの範囲で、約5℃異なる。前記の約60℃(約+/-10%の偏差のおよそ平均)から約80℃までのプローブ融解温度範囲は、プローブシグナルもリアルタイムPCRで検出される場合に好ましいが、これはこれらの温度が、典型的なPCRパラメータと互換性が良好であることによる。実施例において、標的22は試料に含有される。パネルBに、そのような多重アッセイのリアルタイムPCRの結果を模式的に示すが、これは、標的22に対するプローブ上に含有される標識を検出する検出チャネルにおいて増幅プロットの増加が注目される、標的22(黒い円で示す)が試料中に含有される場合である。リアルタイムPCRデータの取得は任意の工程であるが、本発明の方法論の実施には必須ではない。図1Cにおいて、マルチチャンネル融解曲線実験を、シグナルを生成するのに充分な生成物が存在する反応段階において、実施した。好ましい実施形態では、これは反応のプラトー相において行う。マルチチャンネル融解曲線分析を実施することによって、種々の融解温度から、各プローブを特定することが可能である。カラムDのプローブは、例えば、全て同一の融解温度を有するが、標識は異なる。従って、各プローブを異なる標識によって特定することが可能であり、このことにより、マルチチャンネル融解曲線分析は本発明の主要な要素となる。示した融解ピークはdF/dTシグナルを表し、ここでピークの最大値は各プローブの融点を示す。
【図11】図11は、実施例のマルチチャンネル融解曲線分析の結果を示す。表のテンプレートPCR条件により4つ一組の反応の蛍光融解曲線が得られた。「緑」、「オレンジ」および「クリムゾン」で印した横方向のパネルは、表に規定した各検出チャンネルで得られたシグナルを示す。水平な破線で分けたデータのセットは、表9の6つの異なるテンプレートPCR条件についての結果を表し、常に確実に陽性である陽性対照(内部標準)を用いて、予測した検出チャンネルでの予測した陽性融解ピークシグナルおよび予測した融点にのみを明確に示す。得られた融点を、表11に要約する。
【図12】図12は、実施例2のポスト-PCR融解曲線分析の結果を示す。パネルAでは、表20のPCR実験条件で得られた反応について、一重反応の蛍光融解ピーク(df/dT)を示す。4つのプローブのそれぞれについて測定した融点をそれぞれのグラフの下に示し、表21に要約する。パネルBでは、(左から右へ)一番目にUbiおよびHPRTの二重の蛍光融解ピーク(df/dT)を示し、二番目はUbi、HPRTおよびHSPの三重のピーク、四番目(黒枠)はUbi、HPRT、HSPおよびCmycの四重のピークを示す。4つのプローブのそれぞれについて測定した融点をそれぞれのグラフの下に示し、表21に要約する。得られた融点を表21に要約する。これらのデータは、同一の標識を有するいくつかのプローブがそれらの融点によって明確に区別され得ることを明示する。
【発明の詳細な説明】
【0018】
本発明は、反応カートリッジにおいて、核酸配列を増幅及び検出するための方法であって、以下の工程を含む、上記方法:(i)少なくとも一つの核酸分子を含む試料を提供すること、(ii)上記カートリッジの第一の反応チャンバーにおいて、増幅反応のための試薬を提供すること、(iii)増幅試薬と試料とを混合すること、(iv)上記カートリッジの上記第一の反応チャンバーにおいて少なくとも一つの核酸を増幅すること、(v)プローブセットをそれぞれ含む、上記カートリッジの第二及び第三の反応チャンバーに、増幅反応物の少なくとも一部を移動すること、但し、(a)各プローブセットは、少なくとも三つのプローブからなり、(b)上記少なくとも三つのプローブのそれぞれは核酸配列に対して特異的であり、(c)上記各セットには同一の標識を有する少なくとも二つのプローブが存在し、(d)上記所定のプローブセットにおける同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは、該プローブセットにおける同一の標識を有する他のプローブとは2℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、(e)同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブは融解温度(T)が異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、(f)上記少なくとも二つのプローブのうちの何れが核酸に特異的に結合しているかを決定するために、融点解析を実施すること。
【0019】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも4つのプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。
【0020】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも5つのプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。
【0021】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも6つのプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。
【0022】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも6つのプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。
【0023】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも7つのプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。また、3つ以上のプローブが1つの標識を有していてもよい。
【0024】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも8つのプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。また、3つ以上のプローブが1つの標識を有していてもよい。
【0025】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも9つのプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。また、3つ以上のプローブが1つの標識を有していてもよい。
【0026】
別の実施形態では、各プローブセットは、少なくとも10のプローブからなり、各セットには、同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在する。また、3つ以上のプローブが1つの標識を有していてもよい。
【0027】
一の実施形態では、10を超えるプローブが存在し、少なくとも3つは同一の標識を有し、それらは融解温度が少なくとも2℃異なる。
【0028】
この方法は、標的の差別化を可能にする単一の二重標識プローブを用いて、増幅反応の終点で融解曲線分析を実施するという基本原理に基づくものである。同一の標識を有する複数のプローブは、Tが異なる。この分析は、第二のチャンバー及びさらなるチャンバーにおいて実施する。これらのプローブの加水分解は、第二のチャンバー及びさらなるチャンバーにおける配置によって回避される。この発明の概念により、初めて、ポリメラーゼがエキソ活性を示す温度からT分布を独立させることを可能にする。PCR反応または等温増幅プロセスの終点で、プローブをハイブリダイズさせ、混合物は、連続的に蛍光をモニターしながら、段階的に温度を上昇させる。古典的なタックマン(TaqMan)リアルタイムPCRと同様に、プローブによる蛍光シグナルの発生は、フォルスター(Foerster)の共鳴エネルギー移動(FRET; Foerster resonance energy transfer)現象に基づく。しかしながら、タックマン(TaqMan)リアルタイムPCRにおいて生じる事とは対照的に、タック(Taq)ポリメラーゼによる利用可能なプローブ分子の加水分解は本実施形態では生じない。むしろ、この手順は、プローブが標的から離れてランダム一本鎖立体構造を達成する時に観察されるFRETの減少に依存する。二重標識プローブのレポーターと消光分子(クエンチャー)との間の平均距離は、プローブが標的配列を有するそのハイブリッドから放出される際に、より短くなる。FRET効果はこの距離の6乗に反比例するので、プローブの、ハイブリダイズ時の立体構造と融解時の立体構造との間で、蛍光発光の差は容易に検出できる。一般的スキームを図6に示す。ここで、蛍光の変化を、種々の反応温度について、サイクル毎に示す。本方法の好ましい実施形態において、使用されるポリメラーゼは、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。
【0029】
増幅反応の反応容量は、10および200μlの間である。好ましくは、検出反応の反応容量は、1および100μlの間である。
【0030】
第二のチャンバーおよびさらなるチャンバーにおけるプローブは凍結乾燥されていてもよく、アガロースまたはペクチンまたはアルギン酸塩に包埋されていてもよく、或いは単純に乾燥されていてもよい。
【0031】
本発明をより良く説明するために、我々は図1を挙げる。本発明によるプローブセットは、少なくとも2つのプローブを含む。1つの実施形態において、プローブセットは、1つの共通の標識を有する全てのプローブと考えられ得るが、また、1つの共通の融解温度T)を有する全てのプローブとも考えられ得る。理想的には、同一の標識、又は互いに区別できない標識を有するプローブセットにおけるプローブ(複数)は異なる融解温度を有する。同一又は非常に類似した融解温度を有する、プローブセットにおけるプローブは異なる標識を有する必要がある。
【0032】
当業者は、試薬は、通常、例えば増幅のための酵素、緩衝液、ヌクレオチド等を含むことを知っている。これはもちろん、増幅のタイプによって決まる。
【0033】
本発明者らは、例えば20のテンプレートを有する、多重増幅反応の実施を可能にする方法を開発した。一の実施形態において、5つの異なる標識を使用し、1つの共通の標識を有する全てのプローブは、理想的には5℃を超える、わずかに異なる融解温度を有する。一方で、1つの共通の融解温度を有する全てのプローブは、異なる標識を有する。増幅中または増幅後のいずれかに、標識および融解温度を検出することによって、本発明者らは、例えば前記の20のテンプレートを1つのチューブにおいて解析することを可能にする手段を初めて提供した。
【0034】
同一の標識を有するプローブ(複数)は、2℃を超えて、3℃を超えて、4℃を超えて、5℃を超えて、6℃を超えて、7℃を超えて、8℃を超えて、9℃を超えて、または10℃を超えて異なる。理想的には、プローブ(複数)は、18℃未満、17℃未満、16℃未満、15℃未満、14℃未満、13℃未満、12℃未満、または11℃未満だけ異なる。
【0035】
原則として、この「標識されたプローブがその核酸配列に結合したかどうかを決定することによって増幅された核酸を検出すること」、および「所定の標識された各プローブが、結合していた核酸配列から解離する温度を検出すること」は、所定の反応の終点または反応の間に実施してもよい。ここで、検出は、カートリッジの第一の反応チャンバーにおいて少なくとも1つの核酸を増幅した後の増幅後に実施することが好ましい。反応物の少なくとも一部は、プローブセットをそれぞれ含む、カートリッジの第二および第三の反応チャンバーに移動するが、但し、各プローブセットは、少なくとも3つのプローブからなり、プローブのそれぞれは核酸配列に対して特異的であり、各セットには同一の標識を有する少なくとも2つのプローブが存在し、上記所定のプローブセットにおける同一の標識を有するプローブ(複数)のそれぞれは、該プローブセットにおける同一の標識を有する他のプローブとは5℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、同一の標識を有する上記プローブ(複数)は融解温度(T)が異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得、上記プローブの何れが核酸に特異的に結合しているかを決定するために、融点解析が実施される。
【0036】
様々な増幅方法を適用してもよく、これらは、例えば、ローリングサークル増幅(リウ(Liu)ら、「ローリングサークルDNA合成:DNAポリメラーゼの効率的なテンプレートとしての環状小ヌクレオチド(Rolling circle DNA synthesis: Small circular oligonucleotides as efficient templates for DNA polymerases)」、 J. Am. Chem. Soc. 118巻:1587-1594頁(1996年)等)、等温増幅(ウォーカー(Walker)ら、「鎖置換増幅-等温インビトロDNA増幅技術(Strand displacement amplification--an isothermal, in vitro DNA amplification technique)」、Nucleic Acids Res. 20(7) 巻:1691-6頁(1992年) 等)、リガーゼ連鎖反応(ランデグレン(Landegren)ら、「リガーゼ媒介遺伝子検出技術(A Ligase-Mediated Gene Detection Technique)」、Science 241巻:1077-1080頁、1988年、またはヴィードマン(Wiedmann)ら、「リガーゼ連鎖反応(LCR)--概説および適用(Ligase Chain Reaction (LCR)--Overview and Applications)」、PCR法および適用(PCR Methods and Applications)(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1994年)pp. S51-S64 等)である。しかしながら、ポリメラーゼ連鎖反応増幅が好ましい。
【0037】
反応がポリメラーゼ連鎖反応の場合、「標識されたプローブがその核酸配列に結合したかどうかを決定することによって増幅された核酸を検出すること」、および「所定の標識された各プローブが、結合していた核酸配列から解離する温度を検出すること」は、各サイクルの後、1つのサイクルの後、1を超えるサイクルの後、間隔をおいて、または完全なPCR反応の終点で、行ってもよい。このような場合、反応物の一部は、各サイクルの後、検出チャンバー内に移動される。
【0038】
PCR反応は、DNA分子の変性および合成の10〜100の「サイクル」から成ってもよい。好ましい実施形態において、熱サイクル増幅反応において変性が実施される温度は、約90℃と95℃を超える温度との間であり、より好ましくは92〜94℃の間である。好ましい熱サイクル増幅方法としては、約10〜約100サイクル、より好ましくは約25〜約50サイクル、並びに約90℃から約95℃を超える温度、より好ましくは92〜94℃のピーク温度を伴うポリメラーゼ連鎖反応を含む。好ましい実施形態において、PCR反応は、DNAポリメラーゼIを用いて行い、包含される反応工程数に対して指数関数的量の、少なくとも1つの標的核酸配列を産生するが、ここで、(a)標的配列の末端が、それら末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを合成できる程度に詳細に充分に知られていること、及び(b)少量の標的配列が連鎖反応を開始するために利用可能であることを前提とする。連鎖反応産物は、使用した特異的プライマーの終点に対応する末端を有する個別的核酸二本鎖である。精製または非精製形態のあらゆる核酸源は、所望の標的核酸配列を含有するか、含有すると考えられる場合、出発核酸として利用し得る。従って、このプロセスは、例えば、一本鎖または二本鎖であってもよいDNAを使用してもよい。加えて、DNAおよびRNAのそれぞれ一本の鎖を含有するDNA-RNAハイブリッドを利用してもよい。また、あらゆるこれらの核酸の混合物を使用してもよく、または、同一または異なるプライマーを用いるその前の増幅反応から産生された核酸をそのように利用してもよい。増幅される核酸は、好ましくはDNAである。増幅される標的核酸配列は、より大きな分子の分画のみであるか、或いは個別的分子として最初に存在し得るので、標的配列は、全体の核酸を構成する。増幅される標的配列は、最初に純粋な形態で存在する必要はなく、特定の動物は特定の生物学的サンプルの非常に微量の分画のみを構成すると思われるため、複雑な混合物の微量分画または核酸配列の一部であってもよい。出発核酸は、同一または異なっていてもよい、1を超える所望の標的核酸配列を含有してもよい。従って、本発明の方法は、同一または異なる核酸分子上に位置する多数の標的核酸配列の同時増幅に有用である。核酸は、あらゆるソースから得てもよく、プラスミドおよびクローン化DNA、細菌、酵母、ウイルス、および植物または動物等の高等生物を含むあらゆるソースからのDNAを含む。DNAは、例えば、血液または他の液体、または絨毛膜絨毛または羊膜細胞等の組織材料から、マニアティス(Maniatis)らのモレキュラー・クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、ニューヨーク:コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、 280-281頁(1982年)に記載されたもの等の、様々な技術によって抽出してもよい。加えて、ゲナコ(Genaco)のTem-PCR技術およびルミネックス(Luminex)のxMAP技術を組み合わせた、テンプレックス(Templex)技術を適用してもよい。
【0039】
本アッセイは、遺伝子座特異性プライマーを利用する。オリゴヌクレオチドプライマーは、例えば、リン酸トリエステルおよびリン酸ジエステル法またはその自動化形態等の、あらゆる好適な方法を用いて調製してもよい。このような自動化形態の1つでは、ジエチルホスホロアミダイト(dethylophosphoramidites)が出発物質として使用され、これはビューケイジ(Beaucage)らによる、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)、22:1859-1862頁(1981年)に記載された通り、合成してもよく、これは引用によって本明細書に含まれる。修飾した固体担体上でオリゴヌクレオチドを合成する一つの方法は、米国特許第4,458,006号に記載されており、引用によって本明細書に含まれる。また、生物学的ソース(制限エンドヌクレアーゼ消化物等)から単離したプライマーを使用することも可能である。好ましいプライマーは、長さが約15〜100塩基であり、より好ましくは約20〜50塩基、最も好ましくは約20〜40塩基である。本発明の方法のプライマーは標的配列を含む領域に及ぶことが必須である。標的核酸配列は、テンプレートとしてその配列を含有する核酸を用いることによって増幅される。核酸が二本鎖を含有する場合、それをテンプレートとして使用し得る前に、独立した工程として、または、プライマー伸長産物の合成と同時に、核酸の二本鎖を分離することが必要である。この二本鎖分離は、物理的、化学的、または酵素的手段を含む、あらゆる好適な変性方法によって達成し得る。核酸の二本鎖を分離する物理的方法の1つは、核酸が完全に(>99%)変性されるまで、核酸を加熱することを伴う。代表的な熱変性は、約80℃から105℃までの範囲の温度を含んでもよく、好ましくは約90℃〜約98℃、さらにより好ましくは93℃〜95℃の範囲であり、時間は約1〜10分の範囲である。等温増幅の場合、鎖分離は、ヘリカーゼ活性を有し、DNAを変性させることが知られているヘリカーゼまたは酵素RecAとして知られる酵素のクラスからの酵素によって誘導してもよい。ヘリカーゼを用いて核酸の鎖を分離するための好適な反応条件は、定量的生物学についてのコールド・スプリング・ハーバー・シンポジウム(Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology)、XLIII巻、「DNA:複製および組み換え(DNA: Replication and Recombination)」(ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、1978年)に記載され、RecAを用いるための技術は、C.ラディング(Radding)のAnn. Rev. Genetics, 16:405-37頁(1982年)に概説されており、引用により本明細書に組み込まれる。
【0040】
この合成は、あらゆる好適な方法を用いて実施し得る。一般的に、この合成は、緩衝水溶液中で行う。いくつかの好ましい実施形態では、緩衝液のpHは、約7.5〜8.9である。好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーをモル過剰(クローン化核酸については、通常プライマー:テンプレート=約1000:1、ゲノム核酸について、通常プライマー:テンプレート=106:1)で、分離したテンプレート二本鎖を含有する緩衝液に添加する。しかしながら、本プロセスがいくつかのアプリケーションに使用される場合、相補鎖の量は不明であるかもしれず、その結果、相補鎖の量に対するプライマーの量は確実には決定できないことが理解される。しかしながら、実際問題として、増幅される配列が複雑な長鎖核酸鎖の混合物中に含有される場合、プライマーの添加量は、一般的には、相補鎖(テンプレート)の量よりモル過剰でる。プロセスの効率を向上させるためには、モル大過剰が好ましい。
【0041】
ヌクレオシド三リン酸、好ましくはdATP、dCTP、dGTP、dTTPおよび/またはdUTPもまた、十分な量で合成混合物中に添加される。ヌクレオチドの好ましいモル濃度は、以下の通り、0.025mM〜1mM、好ましくは、0.05〜0.6mM、最も好ましくは0.1〜0.5mMである。
【0042】
本発明によるポリメラーゼは、サーマス(Thermus)属、アクイフェックス(Aquifex)属、サーモトガ(Thermotoga)属、サーモクリディス(Thermocridis)属、ハイドロジェノバクター(Hydrogenobacter)属、サーモシンケコッカス(Thermosynchecoccus)属、およびサーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)属からなる群から選択されることが好ましい。
【0043】
本発明によるポリメラーゼは、アクイフェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)、アクイフェックス・ピオゲネス(Aquifex pyogenes)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)、サーマス・パシフィカス(Thermus pacificus)、サーマス・エガートソニイ(Thermus eggertssonii)、およびサーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritime)の生物群から選択されることが好ましい。
【0044】
最も好ましくは、ポリメラーゼはTaqポリメラーゼである。しかし、以下でより詳細に要点を説明する通り、いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有することが好ましい。他の実施形態では、ポリメラーゼは5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くことが好ましい。大抵の実施形態では、ポリメラーゼは3’ - 5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くことが好ましい。
【0045】
一の実施形態では、PCR反応の間にウラシル残基が取り込まれる。ウラシルDNAグリコシラーゼ(ウラシル-N-グリコシラーゼ)は、大腸菌ung遺伝子産物であり、クローン化、配列決定および大腸菌(E.coli)中で発現されている。ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)は、DNA糖-リン酸ジエステル骨格を壊さずに、DNA(一本鎖及び二本鎖)からこれらのウラシル残基を除去し、そのため、ハイブリダイゼーションの標的として、またはDNAポリメラーゼのテンプレートとしての使用を回避する。生じた脱塩基部位は、高温での加水分解に感受性を有する。従って、ウラシル塩基の除去は、通常、DNAの断片化を伴う。当業者は、汚染を避けるための、ウラシルDNAグリコシラーゼの使用方法を知っている。さらに、酵素およびウラシルヌクレオチドの両者は、本発明によるキット中に存在してもよい。
【0046】
理想的には、第一および第二またはさらなるプローブセットにおけるプローブの標識は、蛍光標識であり、非常に類似した発光波長を有する。理想的には、このことは、標識が検出装置によって検出され得る波長調整を変えることなく検出され得ることを意味する。第一、第二、及び第三又はさらなるプローブセットにおけるプローブの標識は同一であることが好ましい。
【0047】
同一の標識を有するプローブ(複数)は、融解温度(T)が異なることにより、所定の装置においてそれらプローブは融点によって区別され得ることが好ましい。
【0048】
一の実施形態では、二本鎖断片の融解転移は、二本鎖核酸特異的(dsNAS)色素の蛍光強度をモニターすることによって測定し得る。一実施形態では、二本鎖核酸特異的色素は、サイバー・グリーンI(SYBR(登録商標)Green I)、サイバー・ゴールド(SYBR(登録商標)Gold)、臭化エチジウム、臭化プロピジウム、ピコ・グリーン(Pico Green)、ヘキスト33258(Hoechst 33258)、YO-PRO-IおよびYO-YO-I、SYTO(登録商標)9、LCグリーン(LC Green(登録商標))、LCグリーン・プラス+(LC Green(登録商標) Plus+)、エバグリーン(EvaGreen(商標))からなる群から選択される。これらの飽和色素は、増幅中または増幅後、DNAに対して充分に飽和した条件で存在することができ、一方、PCRの阻害を最小限にする。例えば、最大PCR適合濃度で、dsDNA結合色素は、飽和度が少なくとも50%である。他の実施形態では、飽和度は少なくとも80%である。さらに他の実施形態では、飽和度は少なくとも99%である。飽和度は、飽和濃度での同一の色素の蛍光と比較した、蛍光パーセントであることが理解される。飽和濃度は、所定量のdsDNAの存在下で可能な、最高の蛍光強度を与える濃度である。これらの色素は、ある核酸反応を有意に妨げずに、有意により高い濃度で存在し得るので、一本鎖核酸およびdsDNAの立体構造をモニターするために特に有用であるかもしれない。
【0049】
好ましい反応は、ポリメラーゼ連鎖反応である。
【0050】
プローブは、タックマン(TaqMan)プローブ、分子ビーコン・プローブ(molecular beacon probe)、スコーピオン・プローブおよびライトサイクラー・プローブからなる群から選択されることが好ましい。増幅産物の検出自体を、以下のプローブの1つを用いて達成してもよい:タックマン(TaqMan)プローブ、分子ビーコン・プローブ、スコーピオン・プローブ、ライトサイクラー・プローブ、ハイブリダイゼーション・プローブ、変位プローブおよび他のタイプの配列特異的プローブ・フォーマット。
【0051】
タックマン(TaqMan(登録商標))アッセイは、Taq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を利用し、蛍光標識プローブ(FAM(商標)標識MGB)を解離する。
【0052】
分子ビーコンは、ステム・ループ構造(図2)を形成する、一本鎖オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーション・プローブである。ループは、標的配列に相補的なプローブ配列を含有し、ステムは、プローブ配列の両側に位置する、相補的アーム配列のアニーリングによって形成される。フルオロフォアは一方のアームの末端に共有結合し、消光剤(クエンチャー)は他方のアームの末端に共有結合する。分子ビーコンは、溶液中で遊離している場合は蛍光を発しない。しかし、それら分子ビーコンが標的配列を含有する核酸鎖にハイブリダイズした場合、分子ビーコンは、それらが鮮明に蛍光発光することが可能になる、立体構造変化を受ける。標的が無い場合、プローブは暗いが、これは、ステムにより、フルオロフォアが一時的に電子を共有する非蛍光消光剤の極近くに置かれ、フルオロフォアの蛍光発光能力が断たれるためである。プローブが標的分子に出会うと、ステムハイブリッドより長く、かつより安定なプローブ標的ハイブリッドが形成される。プローブ標的ハイブリッドの剛性および長さにより、ステムハイブリッドは同時に存在できない。結果として、分子ビーコンは、ステムハイブリッドを解離させ、フルオロフォアおよび消光剤が互いに離れるように移動させて蛍光を回復させる、自発的な立体構造の再編成を受ける。分子ビーコンは、遺伝子増幅を実施する前にアッセイ混合物に添加し、蛍光をリアルタイムに測定する。異なる色のフルオロフォアを有する分子ビーコンを合成することができ、本発明の方法が可能になる。
【0053】
生じる蛍光の色は、もしあれば、融解温度の測定と組み合わせて、病原体を特定する。
【0054】
スコーピオン・プライマー(図3)は、二機能性分子であり、プライマーはプローブに共有結合している。また、この分子は、フルオロフォアおよび消光剤(クエンチャー)も含有する。標的が無い場合、消光剤は、フルオロフォアにより発光された蛍光をほぼ吸収する。スコーピオンPCR反応の間、標的の存在下で、フルオロフォアおよび消光剤は分離して、発光される蛍光が増加する。蛍光は、反応チューブにおいて検出および測定し得る。
【0055】
ライトサイクラーFRETプローブシステムは、一対の一本鎖蛍光標識オリゴヌクレオチドである。プローブ1(ドナー・プローブ)は、その3’-末端をドナー・フルオロフォア(一般的にはフルオレセイン)で標識され、プローブ2(アクセプター・プローブ)は、その5’-末端を4つの利用可能なフルオロフォア(レッド(red) 610、640、670または705)のうちの1つで標識される。プローブ2の遊離3’ヒドロキシル基は、Taq DNAポリメラーゼ伸長を防止するために、リン酸基(P)でブロックしなければならない。両プローブ上のドナーおよびアクセプターフルオロフォアの間のあらゆる立体の問題を回避するため、2つのプローブを互いに分離する、1〜5 nt(4〜25Åの距離)のスペーサーを配置すべきである。リアルタイム定量PCR反応が生じる前に、蛍光バックグラウンドをチューブ内部で観察してもよい。
【0056】
リアルタイム定量PCRのアニーリング工程の間、PCRプライマーおよびライトサイクラー・プローブは、それらの特異的標的領域にハイブリダイズして、ドナー色素をアクセプター色素へ近接させる。ドナー色素がライトサイクラー装置(hy1)からの光によって励起された時に、エネルギーは蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によってドナーからアクセプター色素に移動する。エネルギー移動により、アクセプター色素は、装置(hy1)から発光される光より長波長で、光(hy2)を発する。アクセプターのフルオロフォアの発光波長は、装置の光ユニットによって検出される。測定される蛍光シグナルの増加は、蓄積DNA量に正比例する。
【0057】
他の代替のプローブは、エクリプス(Eclipse)プローブ(エポック(Epoch)、ナノジェン(Nanogen))、変位プローブ(チェン(Cheng)ら、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、No.7)、プレアデス・プローブ(NAR 2007年35巻 5 e30)およびプレクサ(plexor)システム(プロメガ(Promega))である。もちろん、他のプローブ系も同様に本発明に包含される。
【0058】
本発明の一実施形態において、タックマン(TaqMan)プローブは、融点解析に使用される挿入色素と組み合わせる。
【0059】
別の実施形態では、タックマン(TaqMan)プローブは、融点解析に使用されるハイブリダイゼーション・プローブと組み合せるが、特別な実施形態では、タックマン(TaqMan)プローブはハイブリダイゼーション・プローブである。別の実施形態では、タックマン(TaqMan)プローブはハイブリダイゼーション・プローブではないが、別のオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーション・プローブとして働く。
【0060】
理想的には、カートリッジは、融点解析のためのさらなる反応チャンバーを含む。理想的には、カートリッジは、融点解析のための3以上の反応チャンバーを含み、融点解析のための4以上の反応チャンバー、融点解析のための5以上の反応チャンバー、融点解析のための6以上の反応チャンバー、融点解析のための7以上の反応チャンバー、又は融点解析のための8以上の反応チャンバーを含む。
【0061】
理想的には、カートリッジは使い捨て物品であり、増幅および融点解析は、カートリッジが増幅および検出装置内に位置する場合に実施させる。増幅は、以前に記載された種々の技術によって実施してもよい。カートリッジを処理する装置は、第一の反応チャンバーのための増幅技術で規定される、適当な温度プロファイルを提供しなければならない。増幅技術にかかわらず、装置は、さらなる反応チャンバーのための融点解析を実施するための温度プロファイルを提供しなければならない。
【0062】
図4において、反応物は、ハイブリダイゼーション・プローブとタックマン(TaqMan)プローブの両者を含む。ここで、(a)各プローブセットは、例えば、少なくとも2つのプローブよりなるであろうが、該プローブはハイブリダイゼーション・プローブであり、(b) 上記プローブのそれぞれは核酸配列に対して特異的であり、(c) 所定のプローブセットにおけるハイブリダイゼーション・プローブのそれぞれ(例えば、図4中のBHQ 1、BHQ 2、BHQ 3)は異なる標識を有し(例えば図1のカラムA参照)、(d) 所定のプローブセットにおけるプローブ全ては、加熱によってそれらの標的核酸配列から解離した際に、類似の、好ましくは同一の融解温度(T)を有する(例えば図1のカラムA参照)。反応物における核酸配列の増幅を実施し、増幅した核酸を検出し、所定の各標識プローブが、結合していた核酸配列から解離する温度を測定する。この実施形態において、本質的に不可欠ではないが、ハイブリダイゼーション・プローブの融点は、増幅に使用したプライマーの融点よりも低いことが好ましい。
【0063】
一例を図5に挙げる。PCR反応の間、所定の融点(ハイブリダイゼーション・プローブQ1の融点)において、ハイブリダイゼーション・プローブQ1は、DNA鎖から解離する。ハイブリダイゼーション・プローブは消光剤(クエンチャー)を有する。解離すると、下流のタックマン(TaqMan)プローブは、もはや消光していない蛍光標識に由来するシグナルを生じる。融点はシグナルからわかる(融点mp1)。標識は知られている(FL1)。従って、このハイブリダイゼーション・プローブが、例えば反応物中に存在することがわかっている病原体1(p1)に特異的であったことを決定することが可能である。同時に、タックマン(TaqMan)プローブにより、PCR反応中のオンラインの定量が可能になる。しかし、本発明による検出工程は、第二のまたはさらなるチャンバーにおいて実施されるだろう。
【0064】
代替として、反応物はさらに二本鎖核酸特異的色素を含む。二本鎖特異的色素を使用する場合、この色素は、サイバー・グリーンI(SYBR(登録商標) Green I)、サイバー・ゴールド(SYBR(登録商標)Gold)、臭化エチジウム、臭化プロピジウム、ピコ・グリーン(Pico Green)、ヘキスト33258(Hoechst 33258)、YO-PRO-IおよびYO-YO-Iの群から選択されることが好ましく、サイバー・グリーンI(SYBR(登録商標)Green I)が非常に好ましい。
【0065】
本発明によれば、理想的には、二本鎖核酸特異的色素は、プローブ標識からスペクトルによって識別可能である。
【0066】
理想的には、標識は蛍光標識であり、標識は、FAM(5−又は6−カルボキシルフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、FITC、IRD-700/800、CY3、CY5、CY3.5、CY5.5、HEX、TET、TAMRA、JOE、ROX、BODIPY TMR、オレゴン・グリーン(Oregon Green)、ローダミン・グリーン(Rhodamine Green)、ローダミン・レッド(Rhodamine Red)、テキサス・レッド(Texas Red)、ヤキマ・イエロー(Yakima Yellow)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)PET、バイオサーチ・ブルー(Biosearch Blue)(商標)、マリナ・ブルー(Marina Blue)(登録商標)、ボセル・ブルー(Bothell Blue)(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)、350 FAM(商標)、サイバー・グリーン1(SYBR(登録商標)Green 1)、フルオレセイン、エバグリーン(EvaGreen)(商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)488 JOE(商標)、VIC(商標)、HEX(商標)、TET(商標)、カル・フロー(CAL Fluor)(登録商標)ゴールド540、ヤキマ・イエロー(Yakima Yellow)(登録商標)、ROX(商標)、カル・フロー(CAL Fluor)(登録商標)レッド(Red) 610、Cy3.5(商標)、テキサス・レッド(Texas Red)(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)、568 Cy5(商標)、クオザー(Quasar)(商標)670、ライト・サイクラー・レッド(LightCycler Red)640(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)633クオザー(Quasar)(商標)705、ライト・サイクラー・レッド(LightCycler Red)705(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)680、SYTO(登録商標)9、LCグリーン(Green)(登録商標)、LCグリーン(Green)(登録商標)プラス(Plus)+、エバグリーン(EvaGreen)(商標)の群から選択される。
【0067】
好ましい実施形態では、非対称のプライマー濃度を使用する。これは、プローブに結合するDNA鎖を生成するプライマーを、他のプライマーよりも高い濃度になるように添加して、各標的に対する両プライマーの比率を変えることによって為される。
【0068】
また、この実施形態では、ハイブリダイゼーション・プローブが、ポリメラーゼが最適活性を示す温度よりも低い融解温度(T)を有することも好ましい。このことにより、ハイブリダイゼーション・プローブが解離し、ポリメラーゼがTaqManプローブへ自由に移動するようになる。この方法は理想的には、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを利用することは明らかである。
【0069】
リアルタイムPCRは、サーマル・サイクラー、コンピュータ、蛍光励起および発光回収用光学系、並びにデータ収集及び分析ソフトからなる計測プラットフォームを要する。これらの機器は、いくつかの製造元から販売されているが、サンプル容量(あるものは96穴または384穴の標準プレートフォーマットであり、他はより少ないサンプル数を有するか、特殊なガラス製毛細管を要し、あるものはブロックフォーマットを有し、他はカルーセルを有する)、励起方法(あるものはレーザーを使用し、他は調節可能なフィルターまたは1以上のダイオードを有する広域スペクトルの光源を使用する)、検出(あるものはカメラを使用し、他は光電子倍増管、または光検出システム型式を使用する)及び総合感度が異なる。また、ソフトがデータをいかに処理するかという、プラットフォームに特異的な差もある。原則として、2以上の検出チャネルを有する利用可能な機器は、本発明の方法に好適である。いずれの場合でも、装置は、本発明のカートリッジを保持しなければならない(図8および9も参照)。
【0070】
理想的には、カートリッジは、使い捨て物品であり、かつ増幅および融点解析は、カートリッジがサーマル・サイクラー装置、又は等温増幅に限定される増幅装置に位置する場合に実施される。
【0071】
本発明による方法において、一実施形態では、等温増幅装置はローターを含み、増幅および融点解析は、カートリッジがローターに存在する場合に実施され、増幅反応物の少なくとも一部の、カートリッジの第二、第三又はさらなる反応チャンバーへの移動が遠心力によって実施させる。
【0072】
また、本発明は、標的核酸配列を増幅及び検出するための方法を実施するためのカートリッジであって、(i)増幅反応のための第一の反応チャンバー、(ii)二以上のさらなる反応チャンバーであって、そのうちの一つが核酸配列に対して特異的である少なくとも三つのプローブを含み、少なくとも二つのプローブは同一の標識を有し、同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは同一の標識を有する他のプローブとは2℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブの融解温度(T)は異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、上記反応チャンバー、並びに(ii)上記第一の反応チャンバーと上記二以上の反応チャンバーとの間における結合部を含む、上記カートリッジに関する。
【0073】
理想的には、カートリッジは、マイクロ流体カートリッジである。
【0074】
カートリッジは、特定の流路(また「フロー・チャネル」とも言う)、即ち経路を有していてもよく、適用された流体は、前記のカートリッジを通って流れる。反応チャンバーは、流路中に配置され、流体は上記モジュールを通って、または上記モジュールへ向かって通過する。反応チャンバーは、例えば直列または並列に配置して、例えば多重化を可能にしてもよい。直列に配置した場合、多孔性隔膜の細孔径は、目詰まりを回避するため、流路に沿って減少してもよい。モジュールは、溶液中、または乾燥して固定されてもよい、異なる又は同一のプローブを含んでもよい。異なるプローブを含む場合、種々の検体の同時検出が可能である。プローブは、検出チャンバーにおいて粒子上に固定されて存在してもよい。
【0075】
従って、本発明は、フロースルーおよびフローオーバー装置の特性を組合せるので、結果として両タイプの装置の特別な有利点が提供される。
【0076】
反応チャンバーは、さらに、DNA、RNA、アプタマー等の核酸、抗体、Fab断片、Fcテールを含んでもよい。さらなるプローブは、レセプター、抗体等のタンパク質であってもよい。さらに、抗体は、ポリクローナルまたは/およびモノクローナル抗体の形態で使用してもよい。
【0077】
検出工程の間、カートリッジを保持する装置は、さらに、検出装置(「検出器」)、好ましくは光読取り装置を含むことが好ましい。検出装置は、光の吸収又は発光を測定するフォトダイオード光センサー、プローブのアレイからの光シグナルを測定するCCDカメラ、共焦点顕微鏡、磁性粒子のためのGMR(巨大磁気抵抗)センサー、ガンマ線検出器(放射性同位体)、誘電特性の変化を測定するためのキャパシタンス・ブリッジからなる群から選択してもよい。好ましくは、検出器は、例えば蛍光標識を含む検体の蛍光を検出するための蛍光検出器であってもよい。この関係における全ての光検出器は、「光読取り装置」とも呼ばれる。各検出チャンバーについての一実施形態では、1つの検出装置が存在し、別の実施形態では、2以上の検出チャンバーが1つの共通の検出器を共有する。ローターの利点は、チャンバーが、検出器のそばを飛ぶ、即ち素早く通り過ぎることであり、即ち検出器を通ることであり、1つしか必要ではないことである。
【0078】
カートリッジは、好ましくは、閉鎖系内で第一の反応器から少なくとも2つのさらなる反応器への流体移動を可能にする、マイクロ流体のデバイスである。流体の移動は、好ましくは遠心力または圧力発生技術(ポンプ機構)によって達成される。反応チャンバー間の流体連絡の設計により、第一のチャンバーの反応液を所望数の部分に分けることが可能になる。これは、種々の手段によって達成してもよい。遠心分離による液体移動のため、第一および第二の反応チャンバーの間の連絡チャネルの設計により、液体を移動させるのに必要な遠心力が決まる。或いは、チャンバー間の液体移動を制御するため、カートリッジの設計にバルブ技術を含めてもよい(好ましくない)。カートリッジは、ポリマー材料で作られてもよい。好ましい材料は、ポリプロピレン、ポリスチロール、COC、ポリカーボネート、PMMA等である。材料は、好ましくは、自己蛍光性が低い透明である。カートリッジは好ましくは機械形成、熱エンボス、または射出成型される。
【0079】
また、本発明は、PCR装置における、本発明のカートリッジに関する。
【0080】
本発明のプライマーおよびプローブは、疾患マーカー、病原体、法医学的マーカー、又は増幅手段によって対処し得る他のあらゆる標的等の、種々の標的に特異的であってもよい。本発明は、特に、病原体の分析に好適である。最も一般的な細菌性疾患は、細菌であるヒト結核菌(マイコバクテリウム・チュバキュローシス;Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる結核であり、この疾患によって、主にサハラ以南のアフリカにおいて、年間約2百万人が死亡している。病原性細菌は、連鎖球菌(ストレプトコッカス;Streptococcus)及びシュードモナス(Pseudomonas)菌等の細菌によって起こり得る肺炎;赤痢菌(シゲラ;Sigella)、カンピロバクター(Campylobacter)菌、及びサルモネラ(Salmonella)菌等の細菌によって起こり得る食物媒介性疾患等の、他の世界的に重要な疾患の原因となる。また、病原性細菌は、破傷風、腸チフス、ジフテリア、梅毒およびハンセン病等の感染症を引き起こす。食物または水が汚染される主要な経路の1つは、処理していない下水が上水道中または農地上に放出されることに始まり、その結果、汚染源を食べたり飲んだりした人が感染する。発展途上国において、ほとんどの下水は自然環境中または農地に放出される。これは、コレラ、A型肝炎、ポリオおよびロタウイルスの感染体の代表的な伝染形態である。従って、一の実施形態では、プライマーおよびプローブは、1以上の病原性細菌に特異的である。
【0081】
カートリッジは、ヒトまたは動物の診断のため、食物又は水を試験するため、法医学的応用のため、又は科学的目的のために使用してもよい。
【実施例】
【0082】
実施例1
多重リアルタイムPCRの後、蛍光標識プローブを用いた融解曲線分析を行う、本発明の方法の技術的概念の形態
【0083】
この実験において、図に示される技術的概念の実施可能性が実証される。反応は、以下の表に示すとおり構成し、4つ一組で設定し、表6に示されるプロトコルで実施した。この目的のため、表8の試薬を使用した。20xのプライマー混合物および50xのプローブ混合物の組成物をそれぞれ表2および3に示す。プライマーおよびプローブの配列を表1に示す。PCRにおけるテンプレート核酸として、PCR産物を、ヒト白血球由来のcDNAおよび表1に示す各標的に対するフォワード(for)及びリバース(rev)プライマーを使用して産生させ、PCR産物を、キアクイック(QiaQuick)(キアゲン;Qiagen)PCR精製キットを用いて精製し、1:1000希釈で使用した。表9に示すとおり、テンプレートを個々の反応物に添加した:第一のケース「ICのみ」では、Ubiテンプレートのみを添加し、内部陽性対照とした。第二のケースは、Ubi ICおよび標的1 Albを添加した。第三のケースは、Ubi ICおよび標的2 Cmycを使用した。第四のケースは、Ubi ICおよび標的3 TBPを導入した。第五のケースは、Ubi ICおよび標的4 GAPを添加した。第六のケースは、Ubi ICおよび標的5 SRYをテンプレートとして添加した。
【0084】
リアルタイムPCRを、72ポジション・ローターを有するローター・ジーン(RotorGene)600 PCRシステム(6-チャンネル)で実施した。6つの検出チャンネルの仕様を、各チャンネルで検出に好適な蛍光色素の例を含めて表5に示す。PCRサイクルおよびその後の融解曲線のパラメータを表6に示す。
【0085】
その後、適宜の計器ソフトを用いて、実行データを解析した。内部標準(IC)および各標的について、リアルタイムPCRで観察されたCT値を表10に示す。プローブの融点(図8に示す、融解ピークの最大値)を測定し、結果を表11に示す。4つ一組の反応について、6つの異なる実験条件(表9)に対して観察された融解ピークを図8に示す。全ての反応が、正確な検出チャンネルにおけるCT値、並びに添加した標的を検出する各プローブに関する融点を有する融解ピークを示し、予測した結果を示した。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
融解曲線のためのソフトウェア・セッティング:各チューブにおけるゲイン最適化。ソフトウェアは、定期的に、一つの検出チャンネルから融解データを収集のみし、したがって、最初に緑(グリーン)から、次いでオレンジから、および次いでクリムゾン(深紅)のチェンネルいから融解データを検出して、三つの順次の融解曲線を実行した。
【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【0098】
実施例2
多重リアルタイムPCRの後、FAM検出チャンネルで検出される識別可能なTを有する種々のプローブについて融解曲線分析を行う方法の技術的概念の具現化
【0099】
この実験において、同一の検出チャンネルで同一の標識を有するいくつかのプローブを識別する能力を実証する。反応は、表18に示す通り構成し、表17に示すプロトコルで実施した。この目的のため、表18および19の試薬を使用した。20x のプライマー混合物と10μMのプローブ混合物の組成をそれぞれ表13および14に示す。プライマーとプローブの配列を表12に示す。テンプレートとして、10ng /RxN cDNAを、ヒト白血球由来のRNAおよび表12に示す各標的に対するフォワード(for)及びリバース(rev)プライマーから産生させた。4つの標的のそれぞれについて一重反応、および二重および三重および四重反応を調製し、分析した。7つの異なる条件および予測結果を表20に示す。
【0100】
リアルタイムPCRを、72 ポジション・ローターを有するロータージーン(RotorGene) 600 PCRシステム(6-チャンネル)で実施した。6つの検出チャンネルの仕様を各チャンネルで検出に好適な蛍光色素の例を含めて表16に示す。PCRサイクルおよびその後の融解曲線のパラメータを表17に示す。
【0101】
その後、適宜の計器ソフトを用いて、実行データを分析した。プローブの融点(図9に示す、融解ピークの最大値)を測定し、結果を表21に示す。
【0102】
【表12】

【0103】
【表13】

【0104】
【表14】

【0105】
【表15】

【0106】
【表16】

【0107】
【表17】

【0108】
融解曲線のためのソフトウェア・セッティング:各チューブにおけるゲイン最適化。ソフトウェアは、一つの検出チャンネルから融解データを単に収集する。

【0109】
【表18】

【0110】
【表19】

【0111】
【表20】

【0112】
【表21】

【0113】
図の説明
図1
図1は、本発明の原理を示す。例えば全て共通の標識を有する列1のプローブを用いて反応を実施する。しかし、プローブの融解温度は異なる。従って、各プローブを異なる融解温度によって特定することが可能である。カラムDのプローブは、例えば、全て同一の融点を有するが、標識は異なる。従って、各プローブを異なる標識によって同定することが可能である。
【0114】
図2
図2は、分子ビーコン・プローブの原理を示す。分子ビーコンは、例えば診断アッセイにおいて、アンプリコン検出プローブとして使用し得る。ハイブリダイズしていない分子ビーコンは暗いので、アッセイ中に合成されたアンプリコンの数を測定するために、プローブ-標的ハイブリッドを単離する必要はない。従って、それらは、本発明に理想的に適合する。分子ビーコンは、遺伝子増幅の実施前にアッセイ混合物に添加し、蛍光をリアルタイムに測定する。
【0115】
図3
スコーピオン・プローブにより、一本鎖オリゴヌクレオチドを用いて、配列特異的プライミングおよびPCR産物の検出を達成する。スコーピオン・プローブは、ハイブリダイズしていない状態では、ステムループ立体構造を維持する。フルオロフォアが5’-末端に結合されており、3’-に結合する部分によって消光される。ステムの3’部分もまた、プライマーの伸長産物に相補的な配列を含有する。この配列は、増幅不可能なモノマーにより、特異的プライマーの5’-末端に結合している。スコーピオン・プライマーの伸長後、特異的プローブ配列は伸長されたアンプリコンの内部でその相補鎖に結合することが可能であり、それによりヘアピンループを開く。このことにより、蛍光の消光が阻止され、シグナルが観察される。
【0116】
図4
図は、本発明の1つの好ましい実施形態を示す。ここで、反応において、各標的配列に対する2つのプローブが存在する。第一のハイブリダイゼーション・プローブは、標識、例えば隣接するタックマン(TaqMan)プローブによって消光される蛍光標識を有する。融解温度に達した場合、ハイブリダイゼーション・プローブは、結合している鎖を解離する。蛍光標識は、もはや消光されず、シグナルが生成される。
【0117】
図5
図は、本発明の1つの好ましい実施形態を示す。融解温度mp1での蛍光シグナルFL1は、反応中に標的配列p1が存在することを示す。
【0118】
図6
図6は、一つの二重標識プローブによる蛍光シグナルの強度を示し、これは、サイクルの間中およびPCRの間中変化する。シグナルは、標的に結合したときに強い。解離したときにより弱い。また、シグナルは、テンプレート量の増加のため、反応の終点に向かってより強くなる。
【0119】
図7
図7は、標的核酸配列を増幅及び検出するための方法を実施するためのカートリッジであって、(i)増幅反応のための第一の反応チャンバー、(ii)二以上のさらなる反応チャンバーであって、そのうちの一つが核酸配列に対して特異的である少なくとも三つのプローブを含み、少なくとも二つのプローブは同一の標識を有し、同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは同一の標識を有する他のプローブとは5℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブの融解温度(T)は異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、上記反応チャンバー、(iii)上記第一の反応チャンバーと上記二以上の反応チャンバーとの間における結合部を含む、上記カートリッジの一部を示す。
【0120】
図8
図8Aは、本発明のカートリッジを多数有するローターであって、カートリッジが該ローター上/中に配置された上記ローターを示す。各カートリッジは、増幅反応のための第一のチャンバーおよび検出のための3つのさらなるチャンバーを有する。ローター速度を使用して、PCR反応物を検出チャンバーへ向かって回転させる。カートリッジは、マイクロ流体のチャンネルを有する。カートリッジは、ローター中にフックで留めてもよい。ローターは、コルベット(Corbett)リアルタイムサイクラーにおいて作動させてもよい。72の検出チャンバーと共に24のPCR反応チャンバーが示される。各チャンバーが、例えば24のプローブを検出する場合、ローターは、1つの反応において1728の標的を解析することができる。
図8Bは、1つのカートリッジの上面図を示す。
図8Cは、1つのカートリッジの底面図を示す。
【0121】
図9
図9は、カートリッジの種々の実施形態を示す。ここで、多数のカートリッジが1枚のプラスチック片で作られる。
【0122】
図10
図10は、本発明のワークフローを示す。パネルAに、既に上述した本発明の1つの好ましい実施形態を示す。例えば全て共通の標識を有する列1のプローブを用いて反応を実施する。しかし、プローブの融解温度は、上記のパネルAで示した通り、約60℃から約80℃までの範囲で、約5℃異なる。前記の約60℃(約+/-10%の偏差のおよそ平均)から約80℃までのプローブ融解温度範囲は、プローブシグナルもリアルタイムPCRで検出される場合に好ましいが、これはこれらの温度が、典型的なPCRパラメータと互換性が良好であることによる。実施例において、標的22は試料に含有される。パネルBに、そのような多重アッセイのリアルタイムPCRの結果を模式的に示すが、これは、標的22に対するプローブ上に含有される標識を検出する検出チャネルにおいて増幅プロットの増加が注目される、標的22(黒い円で示す)が試料中に含有される場合である。リアルタイムPCRデータの取得は任意の工程であるが、本発明の方法論の実施には必須ではない。図1Cにおいて、マルチチャンネル融解曲線実験を、シグナルを生成するのに充分な生成物が存在する反応段階において、実施した。好ましい実施形態では、これは反応のプラトー相において行う。マルチチャンネル融解曲線分析を実施することによって、種々の融解温度から、各プローブを特定することが可能である。カラムDのプローブは、例えば、全て同一の融解温度を有するが、標識は異なる。従って、各プローブを異なる標識によって特定することが可能であり、このことにより、マルチチャンネル融解曲線分析は本発明の主要な要素となる。示した融解ピークはdF/dTシグナルを表し、ここでピークの最大値は各プローブの融点を示す。
【0123】
図11
図11は、実施例のマルチチャンネル融解曲線分析の結果を示す。表のテンプレートPCR条件により4つ一組の反応の蛍光融解曲線が得られた。「緑」、「オレンジ」および「クリムゾン」で印した横方向のパネルは、表に規定した各検出チャンネルで得られたシグナルを示す。水平な破線で分けたデータのセットは、表9の6つの異なるテンプレートPCR条件についての結果を表し、常に確実に陽性である陽性対照(内部標準)を用いて、予測した検出チャンネルでの予測した陽性融解ピークシグナルおよび予測した融点にのみを明確に示す。得られた融点を、表11に要約する。
【0124】
図12
図12は、実施例2のポスト-PCR融解曲線分析の結果を示す。パネルAでは、表20のPCR実験条件で得られた反応について、一重反応の蛍光融解ピーク(df/dT)を示す。4つのプローブのそれぞれについて測定した融点をそれぞれのグラフの下に示し、表21に要約する。
パネルBでは、(左から右へ)一番目にUbiおよびHPRTの二重の蛍光融解ピーク(df/dT)を示し、二番目はUbi、HPRTおよびHSPの三重のピーク、四番目(黒枠)はUbi、HPRT、HSPおよびCmycの四重のピークを示す。4つのプローブのそれぞれについて測定した融点をそれぞれのグラフの下に示し、表21に要約する。得られた融点を表21に要約する。
これらのデータは、同一の標識を有するいくつかのプローブがそれらの融点によって明確に区別され得ることを明示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応カートリッジにおいて、核酸配列を増幅及び検出するための方法であって、以下の工程を含む、上記方法:
(i)少なくとも一つの核酸分子を含む試料を提供すること、
(ii)上記カートリッジの第一の反応チャンバーにおいて、増幅反応のための試薬を提供すること、
(iii)増幅試薬と試料とを混合すること、
(iv)上記カートリッジの上記第一の反応チャンバーにおいて少なくとも一つの核酸を増幅すること、
(v)プローブセットをそれぞれ含む、上記カートリッジの第二及び第三の反応チャンバーに、増幅反応物の少なくとも一部を移動すること、但し、
a.各プローブセットは、少なくとも三つのプローブからなり、
b.上記少なくとも三つのプローブのそれぞれは核酸配列に対して特異的であり、
c.上記各セットには同一の標識を有する少なくとも二つのプローブが存在し、
d.上記所定のプローブセットにおける同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは、該プローブセットにおける同一の標識を有する他のプローブとは2℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、
e.同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブは融解温度(T)が異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、
(vi)上記少なくとも二つのプローブのうちの何れが核酸に特異的に結合しているかを決定するために、融点解析を実施すること。
【請求項2】
増幅反応が多重ポリメラーゼ連鎖反応である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プローブセットの少なくとも一つが同一の標識を有する少なくとも三つのプローブを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
カートリッジは、融点解析のための反応チャンバーをさらに含む、請求項1から3に記載の方法。
【請求項5】
カートリッジが使い捨て物品であり、かつカートリッジが増幅装置に位置する場合に増幅及び融点解析が実施される、請求項1から4に記載の方法。
【請求項6】
増幅装置がローターを含み、カートリッジがローターに存在する場合に増幅及び融点解析が実施され、かつ増幅反応物の少なくとも一部の、カートリッジの第二、第三又はさらなる反応チャンバーへの移動が遠心力によって実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プローブが、タックマン(TaqMan)プローブ、分子ビーコン・プローブ、スコーピオン・プローブ、及びライトサイクラー・プローブ、ハイブリダイゼーション・プローブ、並びに変位プローブの群から選択される、請求項1から6に記載の方法。
【請求項8】
標識は蛍光標識であり、かつ標識は、FAM(5‐又は6‐カルボキシルフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、FITC、IRD-700/800、CY3、CY5、CY3.5、CY5.5、HEX、TET、TAMRA、JOE、ROX、BODIPY TMR、オレゴン・グリーン(Oregon Green)、ローダミン・グリーン(Rhodamine Green)、ローダミン・レッド(Rhodamine Red)、テキサス・レッド(Texas Red)、ヤキマ・イエロー(Yakima Yellow)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)PET、バイオサーチ・ブルー(Biosearch Blue)(商標)、マリナ・ブルー(Marina Blue)(登録商標)、ボセル・ブルー(Bothell Blue)(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)、350 FAM(商標)、サイバー・グリーン1(SYBR(登録商標)Green 1)、フルオレセイン、エバグリーン(EvaGreen)(商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)488 JOE(商標)、VIC(商標)、HEX(商標)、TET(商標)、カル・フロー(CAL Fluor)(登録商標)ゴールド540、ヤキマ・イエロー(Yakima Yellow)(登録商標)、ROX(商標)、カル・フロー(CAL Fluor)(登録商標)レッド(Red) 610、Cy3.5(商標)、テキサス・レッド(Texas Red)(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)、568 Cy5(商標)、クオザー(Quasar)(商標)670、ライト・サイクラー・レッド(LightCycler Red)640(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)633クオザー(Quasar)(商標)705、ライト・サイクラー・レッド(LightCycler Red)705(登録商標)、アレクサ・フロー(Alexa Fluor)(登録商標)680、SYTO(登録商標)9、LCグリーン(Green)(登録商標)、LCグリーン(Green)(登録商標)プラス(Plus)+、エバグリーン(EvaGreen)(商標)の群から選択される、上記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
標的核酸配列を増幅及び検出するための方法を実施するためのカートリッジであって、
a.増幅反応のための第一の反応チャンバー、
b.二以上のさらなる反応チャンバーであって、そのうちの一つが核酸配列に対して特異的である少なくとも三つのプローブを含み、少なくとも二つのプローブは同一の標識を有し、同一の標識を有する上記プローブのそれぞれは同一の標識を有する他のプローブとは2℃を超えて異なる融解温度(T)を有し、同一の標識を有する上記少なくとも二つのプローブの融解温度(T)は異なるので、これらのプローブは融点によって区別され得る、上記反応チャンバー、
c.上記第一の反応チャンバーと上記二以上の反応チャンバーとの間における結合部
を含む、上記カートリッジ。
【請求項10】
上記カートリッジが、マイクロ流体カートリッジである、請求項9に記載のカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−529266(P2012−529266A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509012(P2012−509012)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056030
【国際公開番号】WO2010/128041
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】