説明

反応シミュレーション装置およびガス化装置

【課題】混合原料から所望ガス組成の生成ガスを得るため、反応生成ガスの組成を反応シミュレーション装置により演算し、混合原料の種類や混合割合が変わった場合にガス化装置へ供給するガス化剤の供給量を適切な状態に変更するときに、草本系のバイオマス原料に対応できる反応シミュレーション装置及びガス化装置を提供する。
【解決手段】バイオマスの混合原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給して行うガス化反応の反応生成ガスの組成を、入力された各種データに基づいて演算する反応シミュレーション装置であって、前記各種データとして、予め求められた個別の各原料を所定の温度で熱分解して得られる揮発成分を成す化学種に対応して定められた素反応式の群であって、少なくとも草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)を有する素反応式の群を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種データに基づいて反応生成ガスの組成を演算する反応シミュレーション装置と、籾殻、稲藁、バガス等の草本系バイオマス原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給してガス化反応を行わせ、所望ガス組成の生成ガスを得るガス化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1や特許文献2が挙げられる。それらには、原料すなわち被ガス化原料をガス化して生成ガスを得るためのガス化炉を有するプラントが、狙いとする所望のガス組成の生成ガスを得るために、各種操作量を決定する方法が開示されている。その方法は、被ガス化原料を変更する場合、前記原料の元素組成や装置特性蓄積データ、反応モデルを用いてシミュレーションを行って前記操作量を決めるというものである。すなわち、経験則に基づいて規定された反応モデルが使用されていると言えるものである。
【0003】
例えば、特許文献1の方法は、運転中の各種プロセス状態値を計測し、これらの計測値を用いてプラントの運転管理上必要なプロセス状態値を演算によって算出し、この演算結果に基づいて各種操作量を変更していくことを特徴としている。
特許文献1の段落0019には「次にシミュレーション装置40は…(中略)…ので、前記シミュレーションは予め何れの操作量をどの程度にしたら運転状態がどのように変化するかのデータや、複数の操作量を相互にどのように変化したら運転状態がどのように変化するかのデータ等を記憶手段に記憶しておき、各操作量を変更することで目標とするプロセス状態値に近づいていくように前記データを用いてコンピュータによって繰り返し演算し、徐々に目標とするプロセス状態値になる各操作量の設定値を求めていく。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−113381号公報
【特許文献2】特開2002−316139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来技術は、経験則に基づくデータを用いてシミュレーションを行って各種操作量を決める方法であるので、適用範囲が狭く限定されてしまう問題がある。
特に、ガス化装置を用いて混合原料から所望ガス組成の生成ガスを得るに際し、原料混合の種類や混合割合が変わった場合等に、ガス化装置に供給するガス化剤の供給量を変える必要があるが、そのガス化剤の供給量を、ガス化装置の運転を継続しながら好適な状態に調整することはできなかった。
【0006】
ここで、前記混合原料としては、杉、松、竹等の木質系のバイオマスのほか、稲・麦・トウモロコシなどの作物、籾殻、稲藁、パーム椰子の空果房(EFBと称する場合がある)等の草本系のバイオマスが用いられる。草本系のバイオマスはその成長の早さに由来して、木質系バイオマスよりも短期間で生産できる点で有利であり、前記熱分解によるガス化の原料として注目すべきものである。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、混合原料から所望ガス組成の生成ガスを得るため、反応生成ガスの組成を反応シミュレーション装置により演算し、混合原料の種類や混合割合が変わった場合に、ガス化装置へ供給するガス化剤の供給量を適切な状態に変更可能にするとともに、草本系を含む多様なバイオマス原料に対応できる反応シミュレーション装置およびガス化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様の反応シミュレーション装置は、バイオマスの混合原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給して行うガス化反応の反応生成ガスの組成を、入力された各種データに基づいて演算する反応シミュレーション装置であって、前記各種データとして、予め求められた個別の各原料を所定の温度で熱分解して得られる揮発成分を成す化学種及び原料単位量当たりの各化学種の生成量と、前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値によって算出される前記化学種毎の全生成量の値と、前記各化学種に対応して定められた素反応式の群であって、少なくとも草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)を有する素反応式の群と、該反応シミュレーション装置による前記演算の実施に必要な他のデータと、ガス化剤の供給量に関するデータと、を有することを特徴とするものである。
【0009】
本態様によれば、反応シミュレーション装置は、予め求められた個別の各原料を所定の温度で熱分解して得られる揮発成分を成す化学種及び原料単位量当たりの各化学種の生成量と、前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値によって算出される前記化学種毎の全生成量の値と、前記各化学種に対応して定められた素反応式の群であって、少なくとも草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)を有する素反応式の群と、該反応シミュレーション装置による前記演算の実施に必要な他のデータと、ガス化剤の供給量に関するデータとに基づいて、前記反応生成ガスの組成を演算するように構成されている。
従って、原料混合割合が変わっても、その混合割合の変化を計測するだけで、前記各化学種毎の全生成量の値を算出して特定することができ、もって反応シミュレーション装置による前記演算を容易に実行することができる。
【0010】
また、前記素反応式の群は、少なくとも草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)を有するので、草本系のバイオマスを含む混合原料に対する反応シミュレーション精度が向上する。このことにより、混合原料に草本系バイオマスを含む混合原料から所望のガス組成の生成ガスを生成させるために、より適切なガス化剤供給量が示され、以って、高効率なガス化装置の運転が可能となる。
尚、木質系バイオマス由来の前記各化学種に対応して定められた素反応式の群は、公知のデータベースや文献等を利用して入力することができる。
【0011】
本発明の第2の態様の反応シミュレーション装置は、第1の態様の反応シミュレーション装置において、前記所定の温度は、450℃〜700℃であることを特徴とするものである。
【0012】
本態様によれば、450℃〜700℃で、草本系のバイオマスを含む前記混合原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給して行う、ガス化反応の反応生成ガスの組成を演算することができる。
【0013】
本発明の第3の態様の反応シミュレーション装置は、第1の態様または第2の態様の反応シミュレーション装置において、以下の表1に示される草本系素反応式群(A)を有することを特徴とするものである。
【0014】
【表1】

【0015】
本態様によれば、表1に示される草本系素反応式群(A)の素反応式を用いて前記演算を行うことによって、草本系のバイオマスを含む混合原料に対してより適切なガス化剤供給量が示される。以って、より高効率なガス化反応が可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様のガス化装置は、バイオマスの混合原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給してガス化反応を行わせ、所望ガス組成の生成ガスを得るガス化装置であって、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの反応シミュレーション装置と、前記反応シミュレーション装置の演算結果が前記所望ガス組成と一致するか否かを判定して前記ガス化剤の供給量を決定するガス化剤の供給量決定部とを備え、前記ガス化剤の供給量決定部は、前記反応シミュレーション装置の演算結果が前記所望のガス組成と一致して「いる」か「否」かを判定し、「否」の場合に前記ガス化剤の供給量を変えて前記反応シミュレーション装置による前記演算を繰り返させ、該演算結果が前記「いる」と判定された場合におけるガス化剤の供給量を設定値として決定し、当該ガス化装置は前記決定された供給量のガス化剤を供給して運転するように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
前記反応シミュレーション装置は、原料混合割合が変わっても、その混合割合の変化を計測するだけで、前記各化学種毎の全生成量の値を算出して特定することができ、もって反応シミュレーション装置による前記演算を容易に実行することができる。
本態様では、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つの反応シミュレーション装置を用いるので、草本系のバイオマスが混合原料に含まれる場合においても、正確な反応シミュレーションを行うことができる。
【0018】
そして、前記ガス化剤の供給量決定部は、前記反応シミュレーション装置の演算結果が前記所望のガス組成と一致して「いる」か「否」かを判定する。判定が「否」の場合に前記ガス化剤の供給量を変えて前記反応シミュレーション装置による前記演算を繰り返させる。前記演算結果が前記「いる」と判定された場合に、そのときのガス化剤の供給量を設定値として決定する。
従って、ガス化装置を用いて混合原料から所望ガス組成の生成ガスを得るに際し、原料混合割合が変わっても、その混合割合の変化を計測するだけで、反応シミュレーション装置による前記演算を容易に実行することができ、これにより、混合割合が変化した後の混合原料に対応したガス化剤の適切な供給量を容易に決定することができる。
【0019】
以上、説明したように、前記反応シミュレーション装置による前記演算と、前記ガス化剤の供給量決定部による前記判定の実施によって、ガス化装置を用いて混合原料から所望ガス組成の生成ガスを得るに際し、原料混合割合が変わった場合にガス化装置へ供給するガス化剤の供給量を適切な状態に変更することを容易に行うことができるとともに、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの反応シミュレーション装置を用いることにより、混合原料に草本系バイオマスが含まれる場合に、より適切なガス化剤供給量が示され、以って、高効率なガス化装置の運転が可能となる。
【0020】
ここで、ガス化剤の供給量が決定された後、前記混合原料を成す各原料の供給量(重量/時間)が一定に維持されて変化しない運転が行われる場合は、前記反応シミュレーション装置による前記演算を停止してもよいと言える。しかし、確実性を高めるためには、ガス化装置の運転中は、前記「いる」の判定が出た後も、その時点における前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値等の実測データを用いて前記ガス化剤の供給量を求めるための演算を継続する運転が望ましい。
【0021】
本発明の第5の態様のガス化装置は、第4の態様のガス化装置において、複数の原料は、定量供給装置によってそれぞれ供給量が計測されて熱分解処理部に入れられ、該熱分解処理部で得られる前記揮発成分が前記ガス化反応を行わせるガス化処理部に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
本態様によれば、定量供給装置によって複数の原料の各供給量が計測されるので、各原料が熱分解処理部に到達して熱分解処理にかけられる時点では既に前記ガス化剤の供給量を定める演算のための処理が開始されている状態にすることが可能である。この演算は、せいぜい1〜2分間程度で結果が出る。よって、前記熱分解処理部で原料の熱分解処理が終了する時点では前記演算結果は出ている。そして、熱分解処理部で得られる前記揮発成分が前記ガス化処理部に移動した時点で、前記演算により決定された供給量にてガス化剤が供給され、所望ガス組成の生成ガスを得るガス化反応が行うことができる。
【0023】
尚、前記演算は、前述のように1〜2分間程度で結果が出るため、熱分解処理部への定量供給を行う際にリアルタイムでこの演算を行うことも可能であるが、定量供給装置によって供給される複数の原料の供給量を前もって決めて、前記演算を行ってガス化剤の供給量を変える予定を立て、その予定に従って複数の原料の供給量とガス化剤の供給量を変化させることもできる。
【0024】
本発明の第6の態様のガス化装置は、第4の態様または第5の態様のガス化装置において、前記反応シミュレーション装置の演算に用いる前記他のデータには、前記ガス化処理部を構成する部材からの放熱量の値が含まれ、該放熱量の値は前記ガス化処理部の温度の実測値を用いて算出されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
本態様によれば、反応シミュレーション装置が演算のために必要とする放熱量の値が、前記ガス化処理部の温度の実測値を用いて算出されるように構成されている。ガス化剤の供給量が増えるとガス化処理部の温度は上昇し、ガス化剤の供給量が減るとその温度も下降する。放熱量はガス化炉等のガス化処理部の温度によって変わる。本態様によれば、前記ガス化処理部の温度の実測値に基づいて該放熱量が算出されるので、反応シミュレーション装置で精度良く演算を行うことができる。
【0026】
本発明の第7の態様のガス化装置は、第4の態様から第6の態様のいずれか一つにおいて、ガス化装置の運転中は、前記「いる」の判定が出た後も、その時点における前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値等の実測データを用いて前記ガス化剤の供給量を求めるための演算を継続するように構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
本態様によれば、その時点における前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値等の実測データを用いて、前記ガス化剤の供給量を求めるための演算を継続するように構成されている。すなわち、ガス化装置の運転中は、前記「いる」の判定が出た後も、前記ガス化剤の供給量を求めるための演算を継続するように構成されている。
これにより、前記実測データに変化が無ければ、ガス化剤の供給量の演算結果は同じ値になるので、ガス化剤の供給量は現状維持される。一方、実測データに変化があったときは、前記演算結果が変わるのでガス化剤の供給量も別の値に変わり、この別の値でガス化装置が運転されるようになる。
前記実測データとしては、その時点における前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値の他に、ガス化処理部の温度の実測値も挙げられる。
本態様によれば、前記各原料の供給量やガス化処理部の温度が変わったときに、ガス化装置の運転を継続しながらその変化に自動的に対応して適切なガス化剤の供給量を設定して、ガス化反応を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る反応シミュレーション装置を備えたガス化装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】本発明に係る上記ガス化装置の運転方法を説明するフローチャートである。
【図3】反応シミュレーション装置を備える本発明に係るガス化装置の他の実施形態の概略構成図である。
【図4】本発明に係るガス化装置の運転方法の他の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る反応シミュレーション装置と、それを備えたガス化装置及びその運転方法の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る反応シミュレーション装置12を備えたガス化装置1の一実施形態の概略構成図である。まず、ガス化装置1においてバイオマス原料をガス化を行う構成部である、熱分解処理部2と、該熱分解処理部2と連通部3で連通されたガス化処理部4について説明する。
【0030】
[熱分解処理部]
本実施の形態では、熱分解処理部2は、投入されるバイオマス原料を温度は450℃〜700℃で熱分解して揮発成分と炭化物に分ける処理を行うようになっている。この熱分解処理は、短時間(数秒程度)で終了する。
熱分解処理部2は、複数の定量供給装置5a,5b,5c,…によって例えば杉、松、竹等の複数種類の原料がその供給量を計測されつつ供給されるようになっている。計測される前記供給量は、単位時間当たりの重量として計測される。
【0031】
前記複数の定量供給装置5a,5b,5c,…によって計測される前記供給量(重量/時間)に関する計測値の情報50a,50b,50c,…は、後述する各化学種の生成量のデータ形成部11に送られるようになっている。尚、定量供給装置5a,5b,5c,…は前記供給量を計測できればよく、公知の構造のものが使用可能である。
【0032】
熱分解処理部2内での熱分解は、既述の通り数秒程度、例えば2秒以内の短時間で終了するので、熱分解処理部2内に投入されたバイオマス原料は、投入されると直ぐに揮発成分と炭化物に分かれる。そして、連続的に供給される後続のバイオマス原料が熱分解処理部2内に投入されることで生成する後続の揮発成分によって先行する揮発成分が押される形で、該先行する揮発成分は連通部3側に移動する。そして、バイオマス原料の前記連続的供給及び前記短時間での熱分解によって連続的に生成する揮発成分が連通部3を通って連続的にガス化処理部4内に移動するようになる。
尚、熱分解処理部2内で生成する固体成分である前記炭化物は、公知の排出機構によって外部に排出されるようになっている。図1において、符号6は揮発成分の流れを示し、符号7は固体成分である炭化物を示す。
【0033】
[ガス化処理部]
前記ガス化処理部4は、前記熱分解処理部2から送られる揮発成分を気相状態において、ガス化剤供給装置8からガス化剤を供給し、本実施の形態では700℃〜1000℃の温度下でガス化反応を行わせ、所望ガス組成の生成ガスを得る処理を行うガス化炉(以下、ガス化処理部4をガス化炉4と言うことがある)で構成されている。このガス化炉4として、耐火構造の反応器等が使用可能である。
【0034】
ガス化炉4には、前記熱分解処理部2から前記揮発成分が連続的に流入してくる。従って、ガス化剤もガス化炉4内に連続的に供給され、ガス化反応が連続的に行われるようになっている。本実施の形態では、揮発成分がガス化炉4に流入してから出るまでの滞留時間は、2〜10秒に設定されている。すなわち、ガス化炉4内に流入した揮発成分は、供給されるガス化剤と反応を開始し、前記滞留時間内にガス化反応が終了し、生成ガスとなってガス化炉4の外部に出るようになっている。
【0035】
前記ガス化剤は、空気や、酸素、二酸化炭素及び水蒸気の混合ガスが一例として挙げられる。その混合割合は、例えば酸素21%〜35%、二酸化炭素65%〜79%、水蒸気65%〜79%である。
また、所望ガス組成の生成ガスとしては、例えば一酸化炭素10%〜30%、二酸化炭素10%〜30%、水素10%〜40%及び水蒸気10%〜50%の生成ガスである。
【0036】
ガス化炉4には、該ガス化炉4内の温度を測るための温度計9が設けられている。温度計9で実測されて得られる温度情報は、放熱量算出部10に送られる。放熱量算出部10はガス化炉4の放熱量を定めるためのものであるが、該放熱量はガス化炉4の温度によって変わるため、前記温度情報を用いて放熱量を定めるようになっている。
【0037】
[反応シミュレーション装置]
次に、本発明に係る反応シミュレーション装置12について説明する。
反応シミュレーション装置12は、バイオマスの混合原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給して行うガス化反応の反応生成ガスの組成を、入力された各種データに基づいて演算するように構成されており、予め求められた個別の各原料を所定の温度で熱分解して得られる揮発成分を成す化学種及び原料単位量当たりの各化学種の生成量と、前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値によって算出される前記化学種毎の全生成量の値14と、前記各化学種に対応して定められた素反応式の群15と、該反応シミュレーション装置12による前記演算の実施に必要な他のデータ16である熱力学データ17、ガス化炉4の寸法データ18、更に放熱量に関するデータ19と、前記ガス化剤供給装置8から送られるガス化剤の供給量に関するデータ20とに基づいて、反応生成ガスの組成を演算するようになっている。
尚、前記所定の温度は、熱分解処理部2における処理温度であることが望ましく、本実施の態様では、450℃〜700℃である。
【0038】
本実施の形態では、反応シミュレーション装置12は、素反応解析ソフトの一つであるCHEMKINが使われているが、他の素反応解析ソフト(DARS等)も用いることができる。前記熱力学データ17、ガス化炉4の寸法データ18、更に放熱量に関するデータ19等の各データは、この種CHEMKIN等の素反応解析ソフトが、前記化学種毎の全生成量の値14と、前記素反応式の群のデータを用いて要求される演算を行うために必要とする他のデータ16である。
【0039】
前記化学種毎の全生成量の値14は、前記各化学種の生成量のデータ形成部11で算出されて反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12に送られる。該データ形成部11は、汎用コンピュータが用いられ、表2に示したテーブルデータがその記憶部に記憶されている。
表2は、杉、松、竹、籾殻、稲藁、バガス等の、当該ガス化装置1における被ガス化原料として想定される総ての個別の原料に対して、予め実験によって求められた、各原料を所定の温度(本実施の態様では450℃〜700℃)で熱分解して得られる揮発成分を成す化学種A,B,C,…(略)…,G,…(以下略)…と、原料単位量当たりの各化学種A,B,C,…(略)…,G,…(以下略)…の生成量(単位はmol/重量)
a1,b1,c1,…(略)…,g1,…(以下略)…[杉について]、
a2,b2,c2,…(略)…,g2,…(以下略)…[松について]、
a3,b3,c3,…(略)…,g3,…(以下略)…[竹について]、
…[籾殻等他の原料について記載を省略]…、
an,bn,cn,…(略)…,gn,…(以下略)…[バガスについて]
の関係である。
【0040】
【表2】

【0041】
尚、本発明で使用される被ガス化原料は、草本系バイオマスである籾殻、稲藁、バガス、麦わら、笹、パーム椰子空果房や、木質系バイオマスである杉、松、竹、パーム椰子の幹、檜、ラワン、ブナ、イチジクの他、ゴム等が挙げられる。
【0042】
前記データ形成部11は、表2に示した各原料(杉、松、竹、…(略)…、バガス)についてのテーブルデータと、前記複数の定量供給装置5a,5b,5c,…(略)…,5nによって計測される実際に投入された各原料(杉、松、竹等)の前記供給量(重量/時間)に関する計測値の情報50a,50b,50c,…(略)…,50nによって、前記化学種A,B,C,…(略)…,G,…(以下略)…毎の全生成量の値(単位はmol/時間)を算出する。
【0043】
表3は、実際に投入された原料が杉、松、バガスの3種類である場合について、前記データ形成部11によって算出された化学種A,B,C,…(略)…,G,…(以下略)…毎の全生成量の値を示す図である。ここでは、定量供給装置5a,5b,5cによって計測される各原料(杉、松、バガス)の前記供給量(重量/時間)に関する計測値の情報50a,50b,50cをそれぞれx(kg/h)、y(kg/h)、z(kg/h)とした。
【0044】
【表3】

【0045】
前記素反応式の群15は、各化学種A,B,C,…に対応して定められる多くの素反応式の集合体である。表4に該素反応式の群の一部を示す。表4は、本発明において用いる素反応式の群の一部と、反応シミュレーション装置による前記演算の実施に必要な他のデータの一つである前記各素反応式のそれぞれに対して規定される速度定数とで作ったテーブルデータである。各化学種A,B,C,…に対して、前記ガス化剤を供給してガス化反応を行わせ、所望ガス組成の生成ガスを得るために想定される多くの素反応式が公知のデータベースを利用して反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12に入力されている。
【0046】
【表4】

【0047】
ここで、前記各化学種に対応して定められた素反応式の群15は、少なくとも草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)を有している。当該草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)としては、前記表1に記載の草本系素反応式群(A)が用いられる。
また、他のバイオマス、例えば、木質系バイオマス由来の素反応式の群としては、公知のデータベースや文献等を利用して入力することができる。このような文献としては、例えば、H. Richter, J. B. Howard, Formation and consumption of single-ring aromatic hydrocarbons and their precursors in premixed acetylene, ethylene and benzene flames, Phys. Chem. Chem. Phys., 4(2002), p.2038-2055が挙げられる。
【0048】
前記表1および表4に示されるように、各素反応式には、アレニウスの式を用いて反応の速度定数kが温度Tを変数として規定されている。この速度定数kのデータは、当該反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12による前記演算の実施に必要な他のデータ16の一つである。
尚、修正アレニウスの式において、Aは頻度因子、nは温度の指数、Ea(J/mol)は反応の活性化エネルギー、Rは気体定数である。
頻度因子A、温度指数n、活性化エネルギーEaの各数値は、それぞれ公知のデータベースを利用して反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12に入力されている。
【0049】
前記熱力学データ17は、前記素反応式に含まれる化学種A,B,C,…の全てについて、公知のデータベースを利用して反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12に入力されている。この熱力学データ17は、各化学種A,B,C,…の比熱を求めるためのもので、該反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12による前記演算の実施に必要な他のデータ16の一つである。
【0050】
前記ガス化炉4の寸法データ18は、該ガス化炉4の概略形状、直径、長さであり、該反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12による前記演算の実施に必要な他のデータ16の一つとして当該反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12に入力されている。
【0051】
放熱量に関するデータ19が、前記放熱量算出部10から該反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12による前記演算の実施に必要な他のデータ16の一つとして当該反応シミュレーション装置(CHEMKIN)12に送られるようになっている。
【0052】
[ガス化剤の供給量決定部]
ガス化装置1は、前記反応シミュレーション装置12の演算結果が前記所望ガス組成と一致するか否かを判定して前記ガス化剤の供給量を決定するガス化剤の供給量決定部13を備えている。
前記ガス化剤の供給量決定部13は、前記反応シミュレーション装置12の演算結果が前記所望のガス組成と一致して「いる」か「否」かを判定し、「否」の場合に前記ガス化剤の供給量を変えて前記反応シミュレーション装置12による前記演算を繰り返させ、該演算結果が前記「いる」と判定された場合におけるガス化剤の供給量を設定値として決定するようになっている。当該ガス化装置1は前記決定された供給量のガス化剤を前記ガス化剤供給装置8からガス化炉4内に供給して運転するように構成されている。
前記反応シミュレーション装置12の演算結果が前記所望のガス組成と一致して「いる」と結論する判定基準は、適宜調整できるようになっている。
【0053】
本実施の形態では、ガス化装置1の運転中は、前記ガス化剤の供給量決定部13において前記「いる」の判定が出た後も、その後の各時点における前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値等の実測データ50a,50b,50c,…を用いて前記ガス化剤供給装置8によるガス化剤の供給量を求めるための演算を継続するように構成されている。
【0054】
[ガス化装置の運転方法の説明]
次に、図2のフローチャートを用いて本発明に係る上記ガス化装置1の運転方法を説明する。ここでは、バイオマス原料として杉、松、バガスの3種類の混合原料を被ガス化原料としてガス化反応を行わせる場合について説明する。尚、杉、松は木質系バイオマス、バガスは草本系バイオマスである。
先ず、複数の定量供給装置5a,5b,5cによって杉、松、バガスの3種類の原料がその供給量を計測されつつ熱分解処理部2内に供給される(ステップS1)。
【0055】
前記計測された前記供給量(単位は重量/時間)に関する計測値の情報50a,50b,50cが各化学種の生成量のデータ形成部11に送られ、表2に示したテーブルデータ(前記予め求められた個別の各原料を熱分解して得られる揮発成分を成す化学種A,B,C,…及び原料単位量当たりの各化学種の生成量(単位はmol/重量))とによって、前記化学種A,B,C,…毎の全生成量の値(単位はmol/時間)が算出される(ステップS2)。
【0056】
シミュレーション用のガス化剤の供給量が設定されて、ガス化剤供給装置8から反応シミュレーション装置12に送られる(ステップS3)。
【0057】
そして、反応シミュレーション装置12において、前記データ形成部11から送られる前記化学種毎の全生成量の値14と、予め入力されている前記素反応式の群15と、該反応シミュレーション装置12による前記演算の実施に必要な他のデータ16(予め入力されている熱力学データ17及びガス化炉4の寸法データ18、更に放熱量算出部から送られる放熱量に関するデータ19)と、前記ガス化剤供給装置8から送られるガス化剤の供給量に関するデータ20とに基づいて、反応生成ガスの組成が演算される(ステップS4)。
【0058】
続いて前記反応シミュレーション装置12の演算結果が、ガス化剤の供給量決定部13において、前記所望のガス組成と一致して「いる」か「否」かについて判定される(ステップS5)。「否」の場合、前記ステップS3に戻って前記ガス化剤供給装置8によるガス化剤の供給量についての設定量を変えて前記反応シミュレーション装置12による前記演算を繰り返させる。該演算結果が前記「いる」と判定された場合におけるガス化剤の供給量を設定値として決定する。
【0059】
前記ガス化剤供給装置8から前記決定された設定値の供給量でガス化剤がガス化炉4内に供給される。すなわち、当該ガス化装置1は前記決定された供給量のガス化剤を前記ガス化剤供給装置8からガス化炉4内に供給して運転され、所望ガス組成の生成ガスを得るガス化反応が行われる(ステップS6)。
【0060】
尚、前記演算によるガス化剤供給量の設定値の決定は、上記したように、前記混合原料が熱分解処理部2に投入されて熱分解されて生じた揮発成分がガス化炉4内に到達する前に終了しているので、その揮発成分がガス化炉4内に到達したタイミングで前記設定値の供給量でガス化剤を供給することができる。
【0061】
本実施の形態の作用を説明する。
上記説明したように、混合原料の原料混合割合が変わっても、その混合割合の変化を計測するだけで、前記各化学種毎の全生成量の値(表3参照)を算出して特定することができ、もって反応シミュレーション装置12による前記演算を容易に実行することができる。
【0062】
また、前記素反応式の群は、少なくとも草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)を有するので、バガスや、籾殻、稲藁等の草本系のバイオマスを含む混合原料に対する反応シミュレーション精度が向上する。このことにより、混合原料に草本系バイオマスを含む混合原料から所望のガス組成の生成ガスを生成させるために、より適切なガス化剤供給量が示され、以って、高効率なガス化装置の運転が可能となる。
【0063】
そして、前記ガス化剤の供給量決定部13は、前記反応シミュレーション装置12の演算結果が前記所望のガス組成と一致して「いる」か「否」かを判定する。判定が「否」の場合に前記ガス化剤の供給量を変えて前記反応シミュレーション装置12による前記演算を繰り返させる。前記演算結果が前記「いる」と判定された場合に、そのときのガス化剤の供給量を設定値として決定する。
従って、ガス化装置1を用いて混合原料から所望ガス組成の生成ガスを得るに際し、原料混合割合が変わっても、その混合割合の変化を計測するだけで、反応シミュレーション装置12による前記演算を容易に実行することができ、これにより、混合割合が変化した後の混合原料に対応したガス化剤の適切な供給量を容易に決定することができる。
【0064】
以上、説明したように、前記反応シミュレーション装置12による前記演算と、前記ガス化剤の供給量決定部13による前記判定の実施によって、ガス化装置1を用いて混合原料から所望ガス組成の生成ガスを得るに際し、原料混合割合が変わった場合にガス化装置1へ供給するガス化剤の供給量を適切な状態に変更することを容易に行うことができる。
【0065】
さらに、本実施の形態では、ガス化装置1の運転中は、前記「いる」の判定が出た後も、その時点における前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値等の実測データを用いて、前記ガス化剤の供給量を求めるための演算を継続するように構成されている。
これにより、前記実測データに変化が無ければ、ガス化剤の供給量の演算結果は同じ値になるので、ガス化剤の供給量は現状維持される。一方、実測データに変化があったときは、前記演算結果が変わるのでガス化剤の供給量も別の値に変わり、この別の値でガス化装置が運転されるようになる。
従って、前記各原料の供給量やガス化処理部の温度が変わったときに、ガス化装置1の運転を継続しながらその変化に自動的に対応して適切なガス化剤の供給量を設定して、ガス化反応を行わせることができる。
【0066】
[他の実施形態]
上記実施の形態では、熱分解処理部2とガス化処理部(ガス化炉)4が別体に構成されている構造について説明したが、流動床ガス化炉のように熱分解処理部2とガス化処理部(ガス化炉)4が一体化されている構造のものにも本発明を適用することができる。
【0067】
図3は、流動床式ガス化炉に本発明を適用する場合の概略構成図である。混合原料が定量供給装置5a,5b,5c,…(図示を省略)によって各原料の供給量を計測されつつ、流動床で構成された熱分解処理部102に投入される。熱分解処理部102ではガス化剤供給装置8からガス化剤が供給され、前記投入された混合原料の熱分解による揮発成分6の生成と同時にガス化反応が進行する。揮発成分6はガス化反応を起しながら、流動床の上方のフリーボード部104に至り、ガス化反応が終了して生成ガスとなって炉外に出るようになっている。
【0068】
流動床式ガス化炉の場合、前記揮発成分6の他に熱分解で生成する炭化物からガスが生成される。この炭化物から生成されるガスについても各原料毎に予め実験で化学種と生成量を求め、それを図1に示した前記実施形態の表2のテーブルデータに加えることにより、前記実施の形態と同様の演算を反応シミュレーション装置12によって行うことができる。更にガス化剤の供給量決定部13で前記実施の形態と同様の判定を行って、所望ガス組成の生成ガスを得るためのガス化剤の供給量の設定値を決定することができる。
【0069】
[他の実施形態2]
上記実施の形態では、混合原料の原料混合割合の変化をリアルタイムに計測して、演算によってガス化剤の供給量を算出し、所望のガス組成と一致しているかの判定を繰り返すことによって最終的なガス化剤供給量を決定する、リアルタイムなガス化炉の運転における活用方法を説明しているが、本発明に係るガス化装置の運転方法は、リアルタイムなガス化炉運転のみに限られるものではない。
【0070】
例えば、図4に示すように、予め混合原料の混合割合の時間的変化が計画されている場合は、その計画された時間領域(図4の時間領域T1、T2、T3)における前記混合割合を用いて前記演算を実施することによって、前記時間領域毎で所望のガス組成を得るためのガス化剤供給量を予め求めることができる。この場合、前記演算の実施に必要な他のデータとして用いる、ガス化処理部を構成する部材からの放熱量の値は、実測値ではなく想定される温度を設定することができる。
これによって、原料の混合割合の時間変化計画に対応したガス化剤供給量の時間変化計画値が求められ、酸素などのガス化剤の調達計画にも活用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 ガス化装置、 2 熱分解処理部、 3 連通部、
4 ガス化処理部(ガス化炉)、 5a,5b,5c,… 定量供給装置、
6 揮発成分の流れ、 7 炭化物、 8 ガス化剤の供給装置、
9 温度計、 10 放熱量算出部、 11 各化学種の生成量のデータ形成部、
12 反応シミュレーション装置、 13 ガス化剤の供給量決定部、
14 化学種毎の全生成量の値、 15 素反応式の群、 16 他のデータ、
17 熱力学データ、 18 ガス化炉の寸法データ、
19 放熱量に関するデータ、 20 ガス化剤の供給量に関するデータ、
50a,50b,50c,… 混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値等
の実測データ、
102 熱分解処理部(流動床)、 104 ガス化処理部(フリーボード部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスの混合原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給して行うガス化反応の反応生成ガスの組成を、入力された各種データに基づいて演算する反応シミュレーション装置であって、
前記各種データとして、
予め求められた個別の各原料を所定の温度で熱分解して得られる揮発成分を成す化学種及び原料単位量当たりの各化学種の生成量と、前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値によって算出される前記化学種毎の全生成量の値と、
前記各化学種に対応して定められた素反応式の群であって、少なくとも草本系のバイオマスに対応した草本系素反応式群(A)を有する素反応式の群と、
該反応シミュレーション装置による前記演算の実施に必要な他のデータと、
ガス化剤の供給量に関するデータと、を有することを特徴とする、反応シミュレーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の反応シミュレーション装置において、前記所定の温度は、450℃〜700℃であることを特徴とする、反応シミュレーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反応シミュレーション装置において、以下の表1:
【表1】

に示される草本系素反応式群(A)を有することを特徴とする、反応シミュレーション装置。
【請求項4】
バイオマスの混合原料を熱分解して得られる揮発成分を気相状態においてガス化剤を供給してガス化反応を行わせ、所望ガス組成の生成ガスを得るガス化装置であって、
請求項1〜3のいずれか一項に記載された反応シミュレーション装置と、
前記反応シミュレーション装置の演算結果が前記所望ガス組成と一致するか否かを判定して前記ガス化剤の供給量を決定するガス化剤の供給量決定部とを備え、
前記ガス化剤の供給量決定部は、
前記反応シミュレーション装置の演算結果が前記所望のガス組成と一致して「いる」か「否」かを判定し、「否」の場合に前記ガス化剤の供給量を変えて前記反応シミュレーション装置による前記演算を繰り返させ、該演算結果が前記「いる」と判定された場合におけるガス化剤の供給量を設定値として決定し、
当該ガス化装置は前記決定された供給量のガス化剤を供給して運転するように構成されていることを特徴とするガス化装置。
【請求項5】
請求項4に記載のガス化装置において、
複数の原料は、定量供給装置によってそれぞれ供給量が計測されて熱分解処理部に入れられ、該熱分解処理部で得られる前記揮発成分が前記ガス化反応を行わせるガス化処理部に移動するように構成されていることを特徴とするガス化装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のガス化装置において、
前記反応シミュレーション装置の演算に用いる前記他のデータには、前記ガス化処理部を構成する部材からの放熱量の値が含まれ、該放熱量の値は前記ガス化処理部の温度の実測値を用いて算出されるように構成されていることを特徴とするガス化装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載のガス化装置において、
ガス化装置の運転中は、前記「いる」の判定が出た後も、その時点における前記混合原料を成す各原料の供給量に関する計測値等の実測データを用いて前記ガス化剤の供給量を求めるための演算を継続するように構成されていることを特徴とするガス化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−229326(P2012−229326A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98085(P2011−98085)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】