説明

反応器のコーティング方法、コーティングされた内壁を有する反応器、付加重合方法、予備重合方法、予備重合された付加重合触媒およびそれを用いる付加重合体の製造方法

【課題】化学反応を反応器中で行っても反応器内のファウリングを抑制することができる反応器、および付加重合方法を提供すること。
【解決手段】式[2]と[3]の繰り返し単位を有するランダム共重合体で反応器の内壁をコーティングする方法。


式[2]のQは、RC(=O)O−、RS(=O)O−、(OH)P(=O)O−、(OH)(OR)P(=O)O−、または(ORP(=O)O−を表し;式[3]のRは、HO−、またはRO−を表す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器のコーティング方法、コーティングされた内壁を有する反応器、付加重合方法、予備重合方法、予備重合された付加重合触媒およびそれを用いる付加重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学反応を反応器中で行う場合、反応生成物が反応器の壁面に付着するファウリング現象が起こることがある。ファウリングが発生すると、反応器壁面からの除熱が困難になるため、反応温度の制御が難しくなり、最も深刻な事態としては暴走反応を招くことがある。また、ファウリングが発生すると、運転を継続しながらファウリングを除去することは困難であるため、反応器を開放して掃除を行う必要があり、生産性の低下を招くことがある。
【0003】
ファウリングは特に重合反応で顕著な問題となる。重合反応でのファウリングを抑える方法として、特許文献1の方法が知られている。特許文献1に記載された技術はファウリングを抑制するための特定の化合物を反応系に添加する必要があり、その化合物が反応生成物にも混入するため、反応生成物の品質の観点から満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−89583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、化学反応を反応器中で行っても反応器内のファウリングを抑制することができる反応器、および付加重合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一は、式[1]で表されるランダム共重合体で反応器の内壁をコーティングする方法にかかるものである。
【0007】
‐r‐K [1]
(Jは式[2]で表される繰り返し単位であり;Kは式[3]で表される繰り返し単位であり;mは10以上3000以下の繰り返し単位Jの数を表し;nは10以上3000以下の繰り返し単位Kの数を表し;rはランダムを表し、


式[2]において、Qは、RC(=O)O−、RS(=O)O−、(OH)P(=O)O−、(OH)(OR)P(=O)O−、または(ORP(=O)O−を表し;式[3]において、Rは、HO−、またはRO−を表し、;Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表す。)
【0008】
本発明の第二は、前記方法により得られるコーティングされた内壁を有する反応器にかかるものである。
【0009】
本発明の第三は、前記コーティングされた内壁を有する反応器の中で、付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合する方法にかかるものである。
【0010】
本発明の第四は、前記コーティングされた内壁を有する反応器の中で、付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーをスラリー中で付加重合して予備重合された付加重合用触媒を製造する方法にかかるものである。
【0011】
本発明の第五は、前記方法により得られる予備重合された付加重合触媒にかかるものである。
【0012】
本発明の第六は、前記予備重合された付加重合触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合して付加重合体を製造する方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法によれば、化学反応を反応器中で行っても反応器内のファウリングを抑制することができる。特に、重合反応を反応器内で連続的に行っても、ファウリングによる重合反応器の伝熱効率の低下を防き、重合を安定して連続運転することが可能となる。
【0014】
さらに、本発明のコーティングされた内壁を有する反応器中でのスラリー予備重合方法により得られる予備重合された付加重合触媒は、引き続き行われる本重合において、極めて高い重合活性で付加重合体を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
コーティング用化合物
本発明に用いられる反応器の内壁をコーティングするための化合物は、式[1]で表されるランダム共重合体である。
【0017】
‐r‐K [1]
(Jは式[2]で表される繰り返し単位であり;Kは式[3]で表される繰り返し単位であり;mは10以上3000以下の繰り返し単位Jの数を表し;nは10以上3000以下の繰り返し単位Kの数を表し;rはランダムを表し、



式[2]において、Qは、RC(=O)O−、RS(=O)O−、(OH)P(=O)O−、(OH)(OR)P(=O)O−、または(ORP(=O)O−を表し;式[3]において、Rは、HO−、またはRO−を表し、;Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表す。)
【0018】
式[2]および[3]のRは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基である。置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基としては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基などがあげられる。
【0019】
置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子を置換基として有する炭素原子数1〜20のアルキル基、置換シリル基を置換基として有する炭素原子数1〜20のアルキル基、置換アミノ基を置換基として有する炭素原子数1〜20のアルキル基、ハイドロカルビルオキシ基を置換基として有する炭素原子数1〜20のアルキル基などがあげられる。
【0020】
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などがあげられる。
【0021】
ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などがあげられる。
【0022】
置換シリル基を置換基として有する炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルプロピル基、トリメチルシリルブチル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基、ビス(トリメチルシリル)エチル基、ビス(トリメチルシリル)プロピル基、ビス(トリメチルシリル)ブチル基、トリフェニルシリルメチル基などがあげられる。
【0023】
置換アミノ基を置換基として有する炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジメチルアミノブチル基、ビス(ジメチルアミノ)メチル基、ビス(ジメチルアミノ)エチル基、ビス(ジメチルアミノ)プロピル基、ビス(ジメチルアミノ)ブチル基、フェニルアミノメチル基、ジフェニルアミノメチル基などがあげられる。
【0024】
ハイドロカルビルオキシ基を置換基として有する炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、sec−ブトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシ−n−プロピル基、エトキシ−n−プロピル基、n−プロポキシ−n−プロピル基、イソプロポキシ−n−プロピル基、n−ブトキシ−n−プロピル基、sec−ブトキシ−n−プロピル基、tert−ブトキシ−n−プロピル基、フェノキシ−n−プロピル基、メトキシイソプロピル基、エトキシイソプロピル基、n−プロポキシイソプロピル基、イソプロポキシイソプロピル基、n−ブトキシイソプロピル基、sec−ブトキシイソプロピル基、tert−ブトキシイソプロピル基、フェノキシイソプロピル基などがあげられる。
【0025】
置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子を置換基として有する炭素原子数7〜20のアラルキル基などがあげられる。
【0026】
炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基などがあげられる。
【0027】
ハロゲン原子を置換基として有する炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、2−フロオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−ヨードベンジル基、3−ヨードベンジル基、4−ヨードベンジル基などがあげられる。
【0028】
置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基、置換シリル基を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基、置換アミノ基を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基、ハイドロカルビルオキシ基を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基などが挙げられる。
【0029】
炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあげられる。
【0030】
ハロゲン原子を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、2−フロオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基などがあげられる。
【0031】
置換シリル基を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、トリメチルシリルフェニル基、ビス(トリメチルシリル)フェニル基などがあげられる。
【0032】
置換アミノ基を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、ジメチルアミノフェニル基、ビス(ジメチルアミノ)フェニル基、ジフェニルアミノフェニル基などがあげられる。
【0033】
ハイドロカルビルオキシ基を置換基として有する炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n−プロポキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、n−ブトキシフェニル基、sec−ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、フェノキシフェニル基などがあげられる。
【0034】
として好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、である。
【0035】
式[2]のQとしては、RC(=O)O−が好ましく、アセテート基、プロピオネート基、ブチレート基、ペンチレート基がより好ましく、アセテート基が最も好ましい。
【0036】
式[3]のRとして好ましくはヒドロキシ基である。
【0037】
mは、10以上3000以下の数であり、好ましくは50以上、1000以下、より好ましくは100以上、500以下の数である。
【0038】
nは、10以上3000以下の数であり、好ましくは50以上、1000以下、より好ましくは100以上、500以下の数である。
【0039】
式[1]で表されるランダム共重合体としては、例えば、ビニルアルコール酢酸ビニルランダム共重合体、メトキシビニル酢酸ビニルランダム共重合体、エトキシビニル酢酸ビニルランダム共重合体、を例示することができる。
【0040】
コーティング方法
本発明のコーティング方法としては、コーティング化合物および溶媒を含む液体であるコーティング液を反応器の内壁に付着させてコーティング液からなる層を形成し、該層から溶媒を除去する方法、または、コーティング液を別途用意したプレート上に塗布してコーティング液からなる層を形成し、該層から溶媒を除去して予めフィルムを作製しておき、これを反応器の内壁面に貼り付る方法などが利用できる。
【0041】
コーティング液を反応器の内壁面に付着させる方法としては、例えば、スプレーガンにて霧化したコーティング液を、反応器の内壁に吹き付ける方法(スプレーコート)、刷毛、ローラー、さらし等に含ませたコーティング液を、反応器の内壁に塗布する方法、反応器をコーティング液で満たし、所定時間経過後コーティング液を抜き出す方法、ピペット、シリンジ、スポイト等を用いて、反応器の内壁に、コーティング液を流し掛ける等の方法が好適である。
【0042】
コーティング液は、前記コーティング化合物と溶媒とを含む液状の組成物である。ここで、溶媒としては、水、脂肪族ハイドロカルビル溶媒、芳香族ハイドロカルビル溶媒等の非極性溶媒、ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、フェノール系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、および硫黄化合物等の極性溶媒が挙げられ、好ましくは、水、アルコール系溶媒であり、特に好ましくはアルコール系溶媒である。コーティング液中のコーティング化合物の濃度としては、通常0.01wt%〜10wt%であり、好ましくは0.05wt%〜1wt%である。
【0043】
溶媒を除去する方法としては、通常、室温〜200℃の温度範囲、10分〜20時間の時間範囲でコーティング液からなる層を保持することにより該層から溶媒を蒸発させることができる。必要によりコーティング液からなる層を加熱しながら、減圧乾燥または窒素などの不活性ガスで溶媒を掃引することにより、該層に溶媒が残留しないように溶媒を除去することが好ましい。
反応器の内壁をコートするコーティング化合物からなる層の厚みは、通常5mm以下であり、好ましくは1mm以下である。
反応器の内壁面積に対するコーティング化合物の量として、好ましくは0.01〜50g/mであり、より好ましくは0.1〜5g/mである。
【0044】
本発明のコーティングされた内壁を有する反応器は、様々の化学反応用に用いることができるが、好ましい用途としては、付加重合用途である。すなわち、コーティングされた内壁を有する反応器の中で、付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合する方法が好ましい。
【0045】
付加重合用触媒は、遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)と、活性化剤(B)と、さらに必要に応じて有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる。
【0046】
遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)
本発明に用いられる移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)は、活性化剤(B)と合わせて用いることにより、あるいは必要に応じて有機アルミニウム化合物(C)と合わせて用いることにより付加重合活性を示す遷移金属化合物であれば特に限定されないが、通常、メタロセン錯体等の遷移金属化合物が使用される。
【0047】
かかる遷移金属化合物(A)としては、具体的には下記式[4]で表される遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物の二量体が例示される。
【0048】
1a1b [4]
(式中、M1は第4族の遷移金属原子であり;L1はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基であり;X1はハロゲン原子、ハイドロカルビルオキシ基、またはハイドロカルビル基(但し、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く。)であり;aは0<a≦3を満足する数であり;bは0<b≦3を満足する数であり;L1が1より大きいとき、1つのLが他のLと互いに直接、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する基を介して連結されていてもよい。)
【0049】
式[4]のMは、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子であり、より好ましくはジルコニウム原子である。
【0050】
式[4]のL1のシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基としては、例えば、(置換)シクロペンタジエニル基、(置換)インデニル基および(置換)フルオレニル基を挙げることができる。具体的には、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル基、1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル基、1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5−1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、2−メチルインデニル基、3−メチルインデニル基、4−メチルインデニル基、5−メチルインデニル基、6−メチルインデニル基、7−メチルインデニル基、2−tert−ブチルインデニル基、3−tert−ブチルインデニル基、4−tert−ブチルインデニル基、5−tert−ブチルインデニル基、6−tert−ブチルインデニル基、7−tert−ブチルインデニル基、2,3−ジメチルインデニル基、4,7−ジメチルインデニル基、2,4,7−トリメチルインデニル基、2−メチル−4−イソプロピルインデニル基、4,5−ベンズインデニル基、2−メチル−4,5−ベンズインデニル基、4−フェニルインデニル基、2−メチル−5−フェニルインデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、2−メチル−4−ナフチルインデニル基、フルオレニル基、2,7−ジメチルフルオレニル基および2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基を例示することができる。
【0051】
式[4]のL1に用いられるシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基の多座性ηは特に限定されなく、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基のとりうるいずれの値でもよい。例えば、5座、4座、3座、2座、単座が挙げられ、好ましくは5座、3座または単座であり、より好ましくは5座または3座である。
【0052】
式[4]におけるL1のヘテロ原子を含有する基におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子を挙げることができ、かかる基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルホスフィノ基、アリールホスフィノ基、キレート性配位子、あるいは酸素原子、硫黄原子、窒素原子および/またはリン原子を環内に有する芳香族複素環基もしくは脂肪族複素環基が好ましい。
【0053】
式[4]におけるL1のヘテロ原子を含有する基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、2−イソプロピルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、4−sec−ブチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−sec−ブチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2,6−ジメトキシフェノキシ基、3,5−ジメトキシフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、4−ニトロソフェノキシ基、4−ニトロフェノキシ基、2−アミノフェノキシ基、3−アミノフェノキシ基、4−アミノチオフェノキシ基、2,3,6−トリクロロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基、チオメトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、イソプロピルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ピロリル基、ジメチルホスフィノ基、2−(2−オキシ−1−プロピル)フェノキシ基、カテコール、レゾルシノール、4−イソプロピルカテコール、3−メトキシカテコール、1,8−ジヒドロキシナフチル基、1,2−ジヒドロキシナフチル基、2,2’−ビフエニルジオール基、1,1’−ビ−2−ナフトール基、2,2’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチルビフェニル基、4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−2,2’メチレンジフェノキシ基、および4,4’,6,6’−テトラメチル−2,2’−イソブチリデンジフェノキシ基を挙げることができる。
【0054】
また、上記ヘテロ原子を含有する基としては、例えば、式[8]で表される基も挙げることができる。
【0055】
3P=N− [8]
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子またはハイドロカルビル基を表し、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRのうち、任意の2つ以上が互いに結合していてもよく、環構造を形成していてもよい。)
【0056】
式[8]におけるRの具体例としては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへプチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、およびベンジル基を例示することができる。
【0057】
更に前記ヘテロ原子を含有する基としては式[9]で表される基も例示することができる。
【0058】
【化1】

【0059】
(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハイドロカルビル基、ハロゲン化ハイドロカルビル基、ハイドロカルビルオキシ基、シリル基またはアミノ基を表し、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRのうち、任意の2つ以上が互いに結合していてもよく、環構造を形成していてもよい。)
【0060】
式[9]におけるRの具体例として、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、tert−ブチル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−フルオレニル基、2−メチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ピリジル基、シクロヘキシル基、2−イソプロピルフェニル基、ベンジル基、メチル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2−クロロフェニル基、およびペンタフルオロフェニル基を例示することができる。
【0061】
式[4]におけるL1のキレート性配位子とは、複数の配位部位を有する配位子を指し、その配位子としては、例えば、アセチルアセトナート、ジイミン、オキサゾリン、ビスオキサゾリン、テルピリジン、アシルヒドラゾン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポルフィリン、クラウンエーテル、およびクリプタートを挙げることができる。
【0062】
式[4]におけるL1の複素環基としては、例えば、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基およびN−置換インダゾリル基を挙げることができ、なかでも、好ましくはピリジル基である。
【0063】
式[4]において、複数のL1が、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはリン原子を含有する残基を介して連結されている場合(すなわち、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基同士がその残基を介して連結されている場合、ヘテロ原子を含有する基同士がその残基を介して連結されている場合、またはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基とヘテロ原子を含有する基とがその残基を介して連結されている場合)、その残基として好ましくは、2つのL1と結合する原子が炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはリン原子であって、2つのL1を結合させる最小原子数が3以下の2価の残基である。その残基として、メチレン基、エチレン基およびプロピレン基等のアルキレン基;ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)およびジフェニルメチレン基等の置換アルキレン基;シリレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、テトラメチルジシリレン基、およびジメトキシシリレン基等の置換シリレン基;窒素原子、酸素原子、硫黄原子、およびリン原子等のヘテロ原子を例示することができる。なかでも、特に好ましくは、メチレン基、エチレン基、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、ジフェニルメチレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基またはジメトキシシリレン基である。
【0064】
式[4]におけるX1のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができる。X1のハイドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、およびアルケニル基を挙げることができ、なかでも、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数3〜20のアルケニル基である。
【0065】
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基またはアミル基である。これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、およびパーブロモプロピル基を挙げることができる。またこれらのアルキル基に含まれる水素原子は、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0066】
炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を挙げることができ、より好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0067】
炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基を挙げることができ、より好ましくはフェニル基である。これらのアリール基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0068】
炭素原子数3〜20のアルケニル基としては、例えば、アリル基、メタリル基、クロチル基、1,3−ジフェニル−2−プロペニル基を挙げることができ、好ましくはアリル基またはメタリル基である。
【0069】
式[1]におけるX1のハイドロカルビルオキシ基としては、例えば、アルコキシ基、アラルキルオキシ基およびアリールオキシ基を挙げることができ、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基または炭素原子数6〜20のアリールオキシ基である。
【0070】
炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、およびn−イコソキシ基を挙げることができ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、またはtert−ブトキシ基である。これらのアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0071】
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2、3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、およびアントラセニルメトキシ基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはベンジルオキシ基である。これらのアラルキルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0072】
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2、3−ジメチルフェノキシ基、2、4−ジメチルフェノキシ基、2、5−ジメチルフェノキシ基、2、6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−5−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−メチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびアントラセノキシ基を挙げることができる。これらのアリールオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0073】
式[4]におけるX1として、より好ましくは塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシ基またはベンジル基である。
【0074】
式[4]におけるaは0<a≦3を満たす数であり、bは0<b≦3を満たす数である。aおよびbはMの価数に応じて適宜選択される。Mがチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である場合、aは2であることが好ましく、bも2であることが好ましい。
【0075】
式[4]で表される、遷移金属原子がチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(インデニル)チタンジクロライド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、ビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0076】
ビス[2−(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−tert−ブチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−メチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(3,5−ジメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(ペンタフルオロフェニル)インデニル]チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、インデニル(フルオレニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0077】
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、
【0078】
ジメチルシリレンビス(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−tert−ブチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、
【0079】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、
【0080】
シクロペンタジエニルチタントリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド、シクロペンタジエニル(ジメチルアミド)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フェノキシ)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、インデニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、フルオレニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、
【0081】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0082】
ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0083】
ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0084】
ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0085】
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0086】
ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0087】
ジメチルシリレン(インデニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0088】
ジメチルシリレン(フルオレニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0089】
(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(ベンジルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(フェニルフォスファイド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニルジメチルシランチタンジクロライド、
【0090】
(ジメチルアミノメチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノプロピル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(N−ピロリジニルエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロライド、(B−ジメチルアミノボラベンゼン)シクロペンタジエニルチタンジクロライド、シクロペンタジエニル(9−メシチルボラアントラセニル)チタンジクロライド、
【0091】
2,2’−チオビス[4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ]チタンジクロライド、2,2’−チオビス[4−メチル−6−(1−メチルエチル)フェノキシ]チタンジクロライド、2,2’−チオビス(4,6−ジメチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−スルフィニルビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−(4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−1,1’ビフェノキシ)チタンジクロライド、(ジ−tert−ブチル−1,3−プロパンジアミド)チタンジクロライド、(ジシクロヘキシル−1,3−プロパンジアミド)チタンジクロライド、
【0092】
[ビス(トリメチルシリル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジメチルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライド、[トリス(3,5−ジエチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライド、および[トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライドや、これらの化合物の「チタン」を「ジルコニウム」または「ハフニウム」に置き換えた化合物、「(2−フェノキシ)」を「(3−フェニル−2−フェノキシ)」、「(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)」、または「(3−tert−ブチルジメチルシリル−2−フェノキシ)」に置き換えた化合物、「ジメチルシリレン」を「メチレン」、「エチレン」、「ジメチルメチレン(イソプロピリデン)」、「ジフェニルメチレン」、「ジエチルシリレン」、「ジフェニルシリレン」、または「ジメトキシシリレン」に置き換えた化合物、「ジクロライド」を「ジフルオライド」、「ジブロマイド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル、「ジエチル」、「ジイソプロピル」、「ジフェニル」、「ジベンジル」、「ジメトキシド」、「ジエトキシド」、「ジ(n−プロポキシド)」、「ジ(イソプロポキシド)」、「ジフェノキシド」、または「ジ(ペンタフルオロフェノキシド)」に置き換えた化合物、ならびに「トリクロライド」を「トリフルオライド」、「トリブロマイド」、「トリアイオダイド」、「トリメチル」、「トリエチル」、「トリイソプロピル」、「トリフェニル」、「トリベンジル」、「トリメトキシド」、「トリエトキシド」、「トリ(n−プロポキシド)」、「トリ(イソプロポキシド)」、「トリフェノキシド」、または「トリ(ペンタフルオロフェノキシド)」に置き換えた化合物、を挙げることができる。
【0093】
これらの遷移金属化合物は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
以上に例示した遷移金属化合物のうち、本発明で用いる化合物(A)として好ましくは、上記の式[4]で表される遷移金属化合物である。なかでも、上記式[4]におけるMがジルコニウムである化合物や、式[4]におけるL1としてシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する遷移金属化合物が好ましい。式[4]におけるL1としてシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を2つ有し、L1が互いに炭素原子、ケイ素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する基を介して連結されているジルコニウム化合物が特に好ましい。
【0095】
式[4]で表される遷移金属化合物は、特開平6−340684号公報、特開平7−258321号公報、国際特許公開第95/00562号明細書などに記載の製造方法によって製造することが可能である。
【0096】
活性化剤(B)
本発明に用いられる活性化剤(B)は前記の化合物(A)を活性化できるものであればよい。付加重合体粒子の形成を伴う重合(例えばスラリー重合、気相重合、バルク重合等)に付加重合用触媒を適用する場合、特定の粒子を付加重合用触媒の成分のひとつとして用いて、生成する付加重合体の形状を定形にすることが好ましい。特定の粒子として、下記(I)、下記(II)または下記(III)の改質された粒子を好適に用いることができる。
【0097】
(I):下記(a)、(b)、(c)および(d)を接触させて得られる改質された粒子
(a):式[5]で表される化合物
2 [5]
(b):式[6]で表される化合物
t-1TH [6]
(c):式[7]で表される化合物
u-2T’H2 [7]
(d):無機酸化物粒子または有機ポリマー粒子
(式[5]におけるMは第12族元素であり;Lは水素原子、ハロゲン原子またはハイドロカルビル基であり、2つのLは互いに同じであっても異なっていてもよく;R は電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基であり、R が1より大きい場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよく;R はハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基であり;式[6]におけるTは第15族元素または第16族元素であり;tはTの原子価であり;式[7]におけるT’は第15族元素または第16族元素であり;uはT’の原子価である。)
【0098】
(II):無機酸化物粒子または有機ポリマー粒子(d)と、アルミノキサン(e)とを接触させて得られる改質された粒子
【0099】
(III):無機酸化物粒子または有機ポリマー粒子(d)と、アルミノキサン(e)と、化合物(A)とを接触させて得られる改質された粒子
以下、これらにつき順次さらに説明する。
【0100】
式[5]におけるM は、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)第12族元素を表す。その具体例としては、亜鉛原子、カドミウム原子、水銀原子が挙げられる。M として特に好ましくは亜鉛原子である。
【0101】
式[5]において、Lは水素原子、ハロゲン原子またはハイドロカルビル基である。Lのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。Lのハイドロカルビル基として好ましくは、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基である。
【0102】
のハイドロカルビル基のアルキル基として好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基が挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはイソブチル基である。
【0103】
これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、1H,1H−パーフルオロプロピル基、1H,1H−パーフルオロブチル基、1H,1H−パーフルオロペンチル基、1H,1H−パーフルオロヘキシル基、1H,1H−パーフルオロオクチル基、1H,1H−パーフルオロドデシル基、1H,1H−パーフルオロペンタデシル基、1H,1H−パーフルオロエイコシル基、および、これらのアルキル基の「フルオロ」を「クロロ」、「ブロモ」または「ヨード」に置き換えたアルキル基を挙げることができる。これらのアルキル基はいずれも、メトキシ基、およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基で置換されていてもよい。
【0104】
のハイドロカルビル基のアリール基として好ましくは、炭素原子数6〜20のアリール基であり、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられ、より好ましくはフェニル基である。これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0105】
のハイドロカルビル基のアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0106】
式[5]のLとして好ましくは、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、更に好ましくは水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくはアルキル基である。2つのLは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0107】
式[6]におけるTは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第15族元素または第16族元素を表す。第15族元素の具体例としては、窒素原子、リン原子などが、第16族元素の具体例としては、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。Tとして好ましくは、窒素原子または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
【0108】
式[6]におけるtはTの原子価を表し、Tが第15族元素の場合はtは3であり、Tが第16族元素の場合はtは2である。
【0109】
式[[7]におけるT’は、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第15族元素または第16族元素を表す。第15族元素の具体例としては、窒素原子、リン原子などが、第16族元素の具体例としては、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。T’として好ましくは、窒素原子または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
【0110】
式[7]におけるuはT’の原子価を表し、T’が第15族元素の場合はuは3であり、T’が第16族元素の場合はuは2である。
【0111】
式[6]におけるR は、電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R が複数存在する場合はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。電子吸引性の指標としては、ハメット則の置換基定数σ等が知られており、ハメット則の置換基定数σが正である官能基が電子吸引性基として挙げられる。
【0112】
電子吸引性基の具体例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン基、フェニル基等が挙げられる。電子吸引性基を含有する基としてはハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基、シアノ化アリール基、ニトロ化アリール基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基)等が挙げられる。
【0113】
ハロゲン化アルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジヨードメチル基トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチル基、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基 、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチル基 、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチル基等が挙げられる。
【0114】
ハロゲン化アリール基の具体例としては、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロ−4−トリクロロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ペンタクロロフェニルフェニル基、パークロロ−1−ナフチル基、パークロロ−2−ナフチル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、3,4−ジブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、3,4,5−トリブロモフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモ−4−トリブロモメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモ−4−ペンタブロモフェニルフェニル基、パーブロモ−1−ナフチル基、パーブロモ−2−ナフチル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,4−ジヨードフェニル基、2,6−ジヨードフェニル基、3,4−ジヨードフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、2,4,6−トリヨードフェニル基、3,4,5−トリヨードフェニル基、2,3,5,6−テトラヨードフェニル基、ペンタヨードフェニル基、2,3,5,6−テトラヨード−4−トリヨードメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラヨード−4−ペンタヨードフェニルフェニル基、パーヨード−1−ナフチル基、パーヨード−2−ナフチル基等が挙げられる。
【0115】
(ハロゲン化アルキル)アリール基の具体例としては、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
【0116】
シアノ化アリール基の具体例としては、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基等が挙げられる。
【0117】
ニトロ化アリール基の具体例としては、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基等が挙げられる。
【0118】
エステル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ノルマルプロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0119】
として好ましくはハロゲン化ハイドロカルビル基であり、より好ましくはハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基である。さらに好ましくは、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基 、4−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3.5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、またはペンタクロロフェニル基であり、特に好ましくは、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基であり、最も好ましくは、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基またはペンタフルオロフェニル基である。
【0120】
式[7]におけるR はハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表す。R におけるハイドロカルビル基としては、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基が好ましく、式[7]におけるL として説明したものと同様のハイドロカルビル基が用いられる。R におけるハロゲン化ハイドロカルビル基としては、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基等が挙げられ、式[6]のR における電子吸引性基の具体例として挙げたものと同様のハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基が用いられる。
【0121】
式[7]におけるR として好ましくはハロゲン化ハイドロカルビル基であり、さらに好ましくはフッ素化ハイドロカルビル基である。
【0122】
改質された粒子(I)を得るために用いられる化合物(a)としては、Mが亜鉛原子の場合、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛等のジアルキル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジナフチル亜鉛、およびビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛等のジアリール亜鉛、ジアリル亜鉛等のジアルケニル亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛、塩化メチル亜鉛、塩化エチル亜鉛、塩化プロピル亜鉛、塩化n−ブチル亜鉛、塩化イソブチル亜鉛、塩化n−ヘキシル亜鉛、臭化メチル亜鉛、臭化エチル亜鉛、臭化プロピル亜鉛、臭化n−ブチル亜鉛、臭化イソブチル亜鉛、臭化n−ヘキシル亜鉛、ヨウ化メチル亜鉛、ヨウ化エチル亜鉛、ヨウ化プロピル亜鉛、ヨウ化n−ブチル亜鉛、ヨウ化イソブチル亜鉛、およびヨウ化n−ヘキシル亜鉛等のハロゲン化アルキル亜鉛、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、およびヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛が挙げられる。
【0123】
化合物(a)として好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、更に好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジn−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛またはジn−ヘキシル亜鉛であり、特に好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
【0124】
化合物(b)を具体例に例示すると、アミン類としては、ジ(フルオロメチル)アミン、ジ(クロロメチル)アミン、ジ(ブロモメチル)アミン、ジ(ヨードメチル)アミン、ビス(ジフルオロメチル)アミン、ビス(ジクロロメチル)アミン、ビス(ジブロモメチル)アミン、ビス(ジヨードメチル)アミン、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(トリクロロメチル)アミン、ビス(トリブロモメチル)アミン、ビス(トリヨードメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリブロモエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリヨードエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチル)アミン、ビス(2−フルオロフェニル)アミン、ビス(3−フルオロフェニル)アミン、ビス(4−フルオロフェニル)アミン、ビス(2−クロロフェニル)アミン、ビス(3−クロロフェニル)アミン、ビス(4−クロロフェニル)アミン、ビス(2−ブロモフェニル)アミン、ビス(3−ブロモフェニル)アミン、ビス(4−ブロモフェニル)アミン、ビス(2−ヨードフェニル)アミン、ビス(3−ヨードフェニル)アミン、ビス(4−ヨードフェニル)アミン、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジクロロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジクロロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジブロモフェニル)アミン、ビス(3,5−ジブロモフェニル)アミン、ビス(2,6−ジヨードフェニル)アミン、ビス(3,5−ジヨードフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリヨードフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリクロロフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリブロモフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリヨードフェニル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、ビス(ペンタクロロフェニル)アミン、ビス(ペンタブロモフェニル)アミン、ビス(ペンタヨードフェニル)アミン、ビス(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2−シアノフェニル)アミン、(3−シアノフェニル)アミン、ビス(4−シアノフェニル)アミン、ビス(2−ニトロフェニル)アミン、ビス(3−ニトロフェニル)アミン、ビス(4−ニトロフェニル)アミン等が挙げられる。また、窒素原子がリン原子に置換されたホスフィン化合物も同様に例示することができる。それらホスフィン化合物は、上述の具体例のアミンをホスフィンに書き換えることによって表される化合物等である。
【0125】
また化合物(b)の具体例としてアルコール類としては、フルオロメタノール、クロロメタノール、ブロモメタノール、ヨードメタノール、ジフルオロメタノール、ジクロロメタノール、ジブロモメタノール、ジヨードメタノール、トリフルオロメタノール、トリクロロメタノール、トリブロモメタノール、トリヨードメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,2−トリクロロエタノール、2,2,2−トリブロモエタノール、2,2,2−トリヨードエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエタノール、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエタノール、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエタノール、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエタノール、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエタノール等が挙げられる。また、酸素原子が硫黄原子に置換されたチオール化合物も同様に例示することができる。それらチオール化合物は、上述の具体例のメタノールをメタンチオールに、エタノールをエタンチオールに、プロパノールをプロパンチオールに書き換えることによって表される化合物等である。
【0126】
化合物(b)の具体例としてフェノール類としては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノール、パーフルオロ−1−ナフトール、パーフルオロ−2−ナフトール、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、3,4−ジクロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、3,4,5−トリクロロフェノール、2,3,5,6−テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−トリクロロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ペンタクロロフェニルフェノール、パークロロ−1−ナフトール、パークロロ−2−ナフトール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフェノール、2,4−ジブロモフェノール、2,6−ジブロモフェノール、3,4−ジブロモフェノール、3,5−ジブロモフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、3,4,5−トリブロモフェノール、2,3,5,6−テトラブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、2,3,5,6−テトラブロモ−4−トリブロモメチルフェノール、2,3,5,6−テトラブロモ−4−ペンタブロモフェニルフェノール、パーブロモ−1−ナフトール、パーブロモ−2−ナフトール、2−ヨードフェノール、3−ヨードフェノール、4−ヨードフェノール、2,4−ジヨードフェノール、2,6−ジヨードフェノール、3,4−ジヨードフェノール、3,5−ジヨードフェノール、2,4,6−トリヨードフェノール、3,4,5−トリヨードフェノール、2,3,5,6−テトラヨードフェノール、ペンタヨードフェノール、2,3,5,6−テトラヨード−4−トリヨードメチルフェノール、2,3,5,6−テトラヨード−4−ペンタヨードフェニルフェノール、パーヨード−1−ナフトール、パーヨード−2−ナフトール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール等が挙げられる。また、酸素原子が硫黄原子に置換されたチオフェノール化合物も同様に例示することができる。それらチオフェノール化合物は、上述の具体例のフェノールをチオフェノールに書き換えることによって表される化合物等である。
【0127】
化合物(b)として好ましくは、アミン類としては、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、またはビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、アルコール類としては、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、フェノール類としては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、または3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェノールである。
【0128】
化合物(b)としてより好ましくは、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールであり、さらに好ましくは、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールである。
【0129】
化合物(c)としては、例えば、水、硫化水素、アミン、およびアニリン化合物が挙げられる。アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、およびn−エイコシルアミン等のアルキルアミン、アリルアミン、シクロペンタジエニルアミン、およびベンジルアミン等のアラルキルアミン、フルオロメチルアミン、ジフルオロメチルアミン、トリフルオロメチルアミン、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアミン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミン、および、これらのアミンの「フルオロ」を「クロロ」、「ブロモ」または「ヨード」に置き換えたハロゲン化アルキルアミンが挙げられる。
【0130】
化合物(c)のアニリン化合物としては、例えば、アニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、2−トリルアミン、3−トリルアミン、4−トリルアミン、2,3−キシリルアミン、2,4−キシリルアミン、2,5−キシリルアミン、2,6−キシリルアミン、3,4−キシリルアミン、3,5−キシリルアミン、2,3,4−トリメチルアニリン、2,3,5−トリメチルアニリン、2,3,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5−トリメチルアニリン、2,3,4,5−テトラメチルアニリン、2,3,4,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、ペンタメチルアニリン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2,3−ジエチルアニリン、2,4−ジエチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、3,4−ジエチルアニリン、3,5−ジエチルアニリン、2,3,4−トリエチルアニリン、2,3,5−トリエチルアニリン、2,3,6−トリエチルアニリン、2,4,6−トリエチルアニリン、3,4,5−トリエチルアニリン、2,3,4,5−テトラエチルアニリン、2,3,4,6−テトラエチルアニリン、2,3,5,6−テトラエチルアニリン、ペンタエチルアニリン、および、これらの「エチル」を「n−プロピル」、「イソプロピル」、「n−ブチル」、「sec−ブチル」、「tert−ブチル」、「n−ペンチル」、「ネオペンチル」、「n−ヘキシル」、「n−オクチル」、「n−デシル」、「n−ドデシル」、または「n−テトラデシル」に置き換えたアルキルアニリン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、およびペンタフルオロアニリン等のハロゲン化アニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、および、これらの「フルオロ」を「クロロ」、「ブロモ」または「ヨード」に置き換えた(ハロゲン化アルキル)アニリンが挙げられる。
【0131】
化合物(c)として好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−オクチルアミン、アニリン、2,6−キシリルアミン、2,4,6−トリメチルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、ベンジルアミン、トリフルオロメチルアミン、ペンタフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリンまたは2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、特に好ましくは、水、トリフルオロメチルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、最も好ましくは水またはペンタフルオロアニリンである。
【0132】
(d)としては、無機酸化物粒子や有機ポリマー粒子が挙げられるが、それらの中で、好ましくは、一般に担体として用いられている粒径の整った、多孔質の粒子である。(d)の粒径分布としては、得られる付加重合体の粒径分布の観点から、好ましくは、(d)の粒径の体積基準の幾何標準偏差が2.5以下であり、より好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.7以下である。
【0133】
(d)の無機酸化物粒子としては、どのような無機酸化物を用いてもよく、複数の無機物質を混合して用いてもよい。無機酸化物としては、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、およびThO2、ならびにこれらの混合物、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、およびSiO2−TiO2−MgOが挙げられる。これらの無機酸化物として好ましくは、SiO2および/またはAl23であり、特に好ましくはSiO2(即ちシリカ)である。上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していてもよい。
【0134】
無機酸化物は、乾燥され、実質的に水分が除去されていることが好ましく、乾燥方法として好ましくは加熱乾燥である。乾燥温度は、目視で水分を確認できない無機酸化物については、通常温度100〜1500℃であり、好ましくは100〜1000℃であり、更に好ましくは200〜800℃である。乾燥時間は特に限定されないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。無機酸化物を加熱乾燥する方法としては、例えば、加熱中に乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて無機酸化物を乾燥する方法、または、減圧下で無機酸化物を加熱乾燥する方法等が挙げられる。
【0135】
無機酸化物には通常、表面に水酸基が生成し存在しているが、無機酸化物として、表面水酸基の活性水素を種々の置換基で置換した、改質無機酸化物を使用してもよい。改質無機酸化物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン等のトリアルキルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン等のトリアリールクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のジアリールジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のアルキルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等のアリールトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等のトリアリールアルコシキシランおよびジメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジアリールジアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、テトラメトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のアルキルジシラザン、テトラクロロシラン、メタノールおよびエタノール等のアルコール、フェノール、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム、ブチルリチウム等のアルキルリチウムで接触処理された無機酸化物が挙げられる。
【0136】
更に、トリアルキルアルミニウムと接触させた無機酸化物を、ジエチルアミン、ジフェニルアミン等のジアルキルアミン、メタノール、エタノール等のアルコール、フェノールで接触処理した無機酸化物が挙げられる。
【0137】
無機酸化物は水酸基同士が水素結合することにより無機酸化物自体の強度が高まっていることがある。その場合、仮に表面水酸基のすべての活性水素を種々の置換基で置換してしまうと、粒子強度の低下等をまねく場合がある。よって、無機酸化物の表面水酸基の活性水素は必ずしもすべて置換する必要はなく、表面水酸基の置換率は適宜決めればよい。表面水酸基の置換率を変化させる方法は特に限定されない。その方法としては、例えば、接触処理に使用する化合物の使用量を変化させる方法が挙げられる。
【0138】
無機酸化物粒子の平均粒子径は特に限定されないが、通常1〜5000μmであり、好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmであり、更に好ましくは10〜100μmである。細孔容量として好ましくは、0.1ml/g以上であり、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積はとして好ましくは、10〜1000m2/gであり、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0139】
(d)の有機ポリマー粒子は、どのような有機ポリマーを用いてもよく、また複数種の有機ポリマーの混合物を用いてもよい。有機ポリマーとして好ましくは、活性水素を有する官能基または非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する重合体である。
【0140】
活性水素を有する官能基としては、活性水素を有していれば特に限定されない。その官能基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、およびカルバゾリル基が挙げられる。好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基であり、特に好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基またはヒドロキシ基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0141】
非プロトン供与性のルイス塩基性官能基としては、活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基であれば特に限定されない。その官能基としては、例えば、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基、ニトリル基、アジド基、N−置換イミノ基、N,N−置換アミノ基、N,N−置換アミノオキシ基、N,N,N−置換ヒドラジノ基、ニトロソ基、ニトロ基、ニトロオキシ基、フリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、N,N−置換カルバモイル基、チオアルコキシ基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、および置換スルホン酸基が挙げられる。好ましくは複素環基であり、更に好ましくは、酸素原子および/または窒素原子を環内に有する芳香族複素環基である。特に好ましくは、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基であり、最も好ましくはピリジル基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0142】
有機ポリマー中の活性水素を有する官能基または非プロトン供与性のルイス塩基性官能基の含有量は特に限定されない。その含有量は、好ましくは、有機ポリマーの1グラム当りの官能基のモル量として0.01〜50mmol/gであり、より好ましくは0.1〜20mmol/gである。
【0143】
活性水素を有する官能基または非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する有機ポリマーの製造方法としては、例えば、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーを単独重合させる方法、またはそのモノマーと重合性不飽和基を有する他のモノマーとを共重合させる方法が挙げられる。このとき更に2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーをも一緒に共重合することが好ましい。
【0144】
重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチン基等のアルキニル基が挙げられる。活性水素を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、ビニル基含有1級アミン、ビニル基含有2級アミン、ビニル基含有アミド化合物、およびビニル基含有ヒドロキシ化合物が挙げられる。そのモノマーとしては、例えば、N−(1−エテニル)アミン、N−(2−プロペニル)アミン、N−(1−エテニル)−N−メチルアミン、N−(2−プロペニル)−N−メチルアミン、1−エテニルアミド、2−プロペニルアミド、N−メチル−(1−エテニル)アミド、N−メチル−(2−プロペニル)アミド、ビニルアルコール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オールが挙げられる。活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルピリジン、ビニル(N−置換)イミダゾール、およびビニル(N−置換)インダゾールが挙げられる。
【0145】
重合性不飽和基を有する他のモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物および環状オレフィン化合物を挙げることができる。そのモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエンが挙げられる。好ましくはエチレンまたはスチレンである。これらのモノマーは2種以上を用いてもよい。上記2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0146】
有機ポリマー粒子の平均粒子径は特に限定されないが、通常1〜5000μmであり、好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。細孔容量としては特に限定されないが、好ましくは0.1ml/g以上であり、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積としては特に限定されないが、好ましくは10〜1000m2/gであり、より好ましくは50〜500m2/gである。
【0147】
これらの有機ポリマー粒子は、乾燥され、実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱乾燥により乾燥されたものが好ましい。乾燥温度は通常、目視で水分を確認できない有機ポリマーについては30〜400℃であり、好ましくは50〜200℃であり、更に好ましくは70〜150℃である。加熱時間は特に限定されないが、好ましくは10分間〜50時間であり、より好ましくは1時間〜30時間である。有機ポリマー粒子を加熱乾燥する方法としては、例えば、有機ポリマー粒子を加熱しながら乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて乾燥する方法、または、有機ポリマー粒子を減圧下で加熱乾燥する方法等が挙げられる。
【0148】
本発明の改質された粒子(I)を得るために、上記の(a)、(b)、(c)および(d)を接触させる順序は、特に限定されることはなく、例えば、以下の順序を挙げることができる。
<1>(a)と(b)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<2>(a)と(b)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<3>(a)と(c)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<4>(a)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<5>(a)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<6>(a)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<7>(b)と(c)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<8>(b)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
<9>(b)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<10>(b)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
<11>(c)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<12>(c)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
【0149】
接触順序として、好ましくは、上記の<1>、<2>、<3>、<5>、<11>または<12>である。特に好ましくは、<2>または<5>である。
【0150】
このような接触処理は不活性気体雰囲気下で行うことが好ましい。処理温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。処理時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、このような処理は溶媒を用いてもよく、または溶媒を用いることなくこれらの化合物を直接接触処理してもよい。
【0151】
溶媒としては、上記(a)、(b)、(c)、(d)、およびそれらの接触物に対して不活性な溶媒が用いられる。しかしながら、上述のように、段階的に各化合物を接触させる場合には、ある段階においてある化合物と反応する溶媒であっても、その溶媒が他の段階において各化合物と反応しない溶媒であれば、その溶媒を他の段階で用いることができる。つまり、各段階における溶媒は相互に、同じかまたは異なる。その溶媒としては、例えば、脂肪族ハイドロカルビル溶媒、芳香族ハイドロカルビル溶媒等の非極性溶媒、ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、フェノール系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、および硫黄化合物等の極性溶媒が挙げられる。例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族ハイドロカルビル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族ハイドロカルビル溶媒、ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化物溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒、フェノール、p−クレゾール等のフェノール系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のカルボニル系溶媒、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル等のリン酸誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、ピリジン、ピペリジン、モルホリン等のアミン系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物が挙げられる。
【0152】
化合物(a)、(b)および(c)を接触させて得られる接触物(f)と、粒子(d)とを接触させる場合、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、接触物(f)を製造する場合の溶媒(s1)として好ましくは、上記の脂肪族ハイドロカルビル溶媒、芳香族ハイドロカルビル溶媒またはエーテル系溶媒である。
【0153】
接触物(f)と粒子(d)とを接触させる場合の溶媒(s2)としては極性溶媒が好ましい。溶媒の極性を表す指標としては、E値(C.Reichardt,“Solvents and Solvents Effects in Organic Chemistry”, 2nd ed., VCH Verlag (1988).)等が知られており、0.8≧E≧0.1なる範囲を満足する溶媒が特に好ましい。かかる極性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタンクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、およびスルホランを挙げることができる。溶媒(s2)として更に好ましくは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールであり、特に好ましくはジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノールまたはシクロヘキサノールであり、最も好ましくはテトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールである。
【0154】
また、溶媒(s2)としては、これら極性溶媒とハイドロカルビル溶媒との混合溶媒を用いることもできる。ハイドロカルビル溶媒としては上に例示した脂肪族ハイドロカルビル溶媒や芳香族ハイドロカルビル溶媒が用いられる。極性溶媒とハイドロカルビル溶媒との混合溶媒としては、例えば、ヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘキサン/1−プロパノール混合溶媒、ヘキサン/2−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/1−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/2−プロパノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、トルエン/1−プロパノール混合溶媒、トルエン/2−プロパノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒、キシレン/1−プロパノール混合溶媒、およびキシレン/2−プロパノール混合溶媒を挙げることができる。好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒である。更に好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒またはトルエン/エタノール混合溶媒である。最も好ましくはトルエン/エタノール混合溶媒である。トルエン/エタノール混合溶媒における、エタノール分率の好ましい範囲は10〜50体積%であり、更に好ましくは15〜30体積%である。
【0155】
(a)、(b)および(c)を接触させて得られる接触物(f)と、(d)とを接触させる方法、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、溶媒(s1)および溶媒(s2)として、共にハイドロカルビル溶媒を用いることもできる。この場合は、(a)、(b)および(c)を接触させた後、得られた接触物(f)と粒子(d)とを接触させるまでの時間は短い方が好ましい。時間として好ましくは0〜5時間であり、更に好ましくは0〜3時間であり、最も好ましくは0〜1時間である。また、接触物(f)と粒子(d)とを接触させる場合の温度は、通常−100℃〜40℃であり、好ましくは−20℃〜20℃であり、最も好ましくは−10℃〜10℃である。
【0156】
上記の<2>、<5>、<6>、<8>、<9>、<10>、<11>、<12>の場合、上記の非極性溶媒、極性溶媒いずれも使用することができる。好ましくは、非極性溶媒である。なぜならば、(a)と(c)との接触生成物や、(a)と(b)との接触生成物と(c)とが接触した接触生成物は一般的に非極性溶媒に対し溶解性が低いので、これら接触物が生成する時に反応系内に(d)が存在する場合、生成した接触生成物が(d)の表面に析出し、より固定化されやすい、と考えられるからである。
【0157】
上記(a)、(b)、(c)の各化合物を互いに接触させる量は特に制限はないが、各化合物を互いに接触させる量のモル比率を(a):(b):(c)=1:y:zのモル比率とすると、yおよびzが下記式(1)を実質的に満足することが好ましい。
|m−y−2z|<1 (1)
(式(1)において、mはMの原子価を表す。)
式(1)におけるyとして好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数であり、また式(1)におけるzの同様の好ましい範囲は、m、yおよび式(1)によって決定される。
【0158】
化合物(a)および(d)の使用量は、改質された粒子(I)に含まれる化合物(a)に由来する典型金属原子が、得られる改質された粒子(I)1gに含まれる典型金属原子のモル数にして、0.05mmol以上となる量であることが好ましく、0.1〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0159】
反応をより速く進行させるため、上記のような接触処理の後に、より高い温度での加熱工程を付加することが好ましい。加熱工程では、より高温とするために、沸点の高い溶媒を使用することが好ましく、加熱工程を行う際に、接触工程で用いた溶媒を他のより沸点の高い溶媒に置き換えてもよい。
【0160】
改質された粒子(I)は、このような接触処理の結果、原料である化合物(a)、(b)、(c)および/または(d)が未反応物として残存していてもよい。しかし、得られた改質された粒子(I)から未反応物を除去するために、得られた改質された粒子(I)を洗浄することが好ましい。改質された粒子(I)を洗浄するときに用いる溶媒は、改質された粒子(I)を製造するときに用いる溶媒と同じでも異なっていてもよい。不活性気体雰囲気下で改質された粒子(I)を洗浄することが好ましい。洗浄温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。洗浄時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0161】
また、上記の洗浄処理の際に、溶媒中の改質された粒子(I)を沈降させ不定形や微粉粒子がスラリー上部で浮遊している状態で、上部の溶媒を除去することは粒径や形状の整った改質された粒子(I)を得るために好ましい。
【0162】
また、このような接触処理や洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で2時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で4時間〜18時間である。
【0163】
改質された粒子(I)の製造方法の具体例を、M が亜鉛原子であり、化合物(b)が3,4,5−トリフルオロフェノールであり、化合物(c)が水であり、(d)がシリカである場合についてさらに詳細に以下に示す。テトラヒドロフランを溶媒とし、そこへジエチル亜鉛のヘキサン溶液を加え、3℃に冷却し、そこへジエチル亜鉛に対して等モル量の3,4,5−トリフルオロフェノールを滴下し室温にて10分間〜24時間攪拌を行った後、さらにジエチル亜鉛に対して0.5倍モル量の水を滴下し室温にて10分間〜24時間撹袢する。その後、溶媒を留去し、120℃で減圧下8時間乾燥を行う。以上の操作によって得られた固体成分に、テトラヒドロフラン、シリカを加え、40℃で2時間攪拌する。固体成分をテトラヒドロフランで洗浄した後、120℃で減圧下8時間乾燥を行う。かくして本発明の改質された粒子(I)を製造することができる。
【0164】
改質された粒子(II)の調製に用いられるアルミノキサン(e)としては、一般式{−Al(E)−O−}で示される構造を有する環状のアルミノキサンおよび/または一般式 E{−Al(E)−O−}AlE2で示される構造を有する線状のアルミノキサンが好ましく用いられる。
(但し、E、およびEは、それぞれハイドロカルビル基であり、全てのEおよび全てのEは同じであっても異なっていてもよい。cは2以上の数を、dは1以上の数を表す。)
、またはEにおけるハイドロカルビル基としては、炭素数1〜8のハイドロカルビル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0165】
上記E、Eの具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。cは2以上の数であり、dは1以上の数である。好ましくは、EおよびEはメチル基、またはイソブチル基であり、cは2〜40、dは1〜40である。
【0166】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族ハイドロカルビルなど)に溶かした溶液を水と接触させて作ることができる。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)に結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)を接触させて作る方法が例示できる。このような方法で得られたアルミノキサンは通常、環状のアルミノキサンと線状のアルミノキサンとの混合物となっていると考えられる。
【0167】
改質された粒子(II)を得るために用いられる粒子(d)は、改質された粒子(I)に用いられる(d)と同様な粒子である。
【0168】
アルミノキサン(e)と粒子(d)を任意の方法により接触させて、改質された粒子(II)を製造することができる。具体的には粒子(d)を溶媒中に分散させ、そこへアルミノキサン(e)を添加することにより改質された粒子(II)を製造することができる。
【0169】
この場合の溶媒は、改質された粒子(I)の製造方法の説明において記載したいずれの溶媒も用いることができ、アルミノキサン(e)と反応しない溶媒が好ましく、アルミノキサン(e)を溶解させる溶媒がより好ましい。具体的にはトルエンやキシレンなどの芳香族ハイドロカルビル溶媒またはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族ハイドロカルビル溶媒が好ましく、トルエンまたはキシレンが更に好ましい。
【0170】
アルミノキサン(e)と粒子(d)を接触させる温度、時間は任意に取ることが出来るが、温度は通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜150℃、更に好ましくは−20℃〜120℃である。特に反応初期は発熱を抑えるために低温でこれらを反応させることが好ましい。アルミノキサン(e)と粒子(d)とを接触させる量は、任意であるが、粒子(d)の単位グラム当たりアルミノキサン(e)をアルミニウム原子換算で通常0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜20mmol、更に好ましくは1〜10mmolである。
【0171】
改質された粒子(III)は、改質された粒子(II)の調製時にさらに化合物(A)を用いて得られるものである。
【0172】
化合物(A)としては、式[4]に示した遷移金属化合物またはそのμ―オキソタイプの遷移金属化合物二量体が用いられる。
【0173】
アルミノキサン(e)、粒子(d)および化合物(A)を任意の方法で接触させて、改質された粒子(III)を得ることができる。アルミノキサン(e)、粒子(d)および化合物(A)を接触させるときに溶媒を使用することが好ましい。該溶媒としては上記記載のいずれの溶媒も用いることができ、アルミノキサン(e)および化合物(A)と反応しない溶媒が好ましく、アルミノキサン(e)および化合物(A)を溶解させる溶媒がより好ましい。具体的にはトルエンやキシレンなどの芳香族ハイドロカルビル溶媒またはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族ハイドロカルビル溶媒が好ましく、トルエンまたはキシレンが更に好ましい。
【0174】
アルミノキサン(e)、粒子(d)および化合物(A)を接触させる温度、時間は任意であるが、温度は通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜150℃、更に好ましくは−20℃〜120℃である。特に反応初期は発熱を抑えるために低温でこれらを反応させることが好ましい。アルミノキサン(e)、粒子(d)および化合物(A)を接触させる量は、任意であるが、粒子(d)の単位グラム当たりアルミノキサン(e)をアルミニウム原子換算で通常0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜20mmol、更に好ましくは1〜10mmolである。また、粒子(d)の単位グラム当たり化合物(A)を遷移金属原子換算で通常0.1〜1000μmol、好ましくは1〜500μmol、更に好ましくは10〜200μmolである。
【0175】
有機アルミニウム化合物(C)
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物(C)は、公知の有機アルミニウム化合物である。好ましくは、式[8]で示される有機アルミニウム化合物である。
【0176】
AlY3-d [8]
(式中、R はハイドロカルビル基を表し、全てのR は同一であっても異なっていてもよい。Yは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、またはアリールオキシ基を表し、全てのYは同一であっても異なっていてもよい。dは0<d≦3を満足する数を表す。)
【0177】
式[8]におけるR として好ましくは炭素原子数1〜24のハイドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜24のアルキル基である。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられ、好ましくはエチル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基またはn−オクチル基である。
【0178】
また、Yがハロゲン原子である場合の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
【0179】
Yにおけるアルコキシ基としては炭素原子数1〜24のアルコキシ基が好ましく、具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基またはtert−ブトキシ基である。
【0180】
Yにおけるアリールオキシ基としては炭素原子数6〜24のアリールオキシ基が好ましく、具体例としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などが挙げられる。
【0181】
Yにおけるアラルキルオキシ基としては炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基が好ましく、具体例としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基である。
【0182】
式[8]で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、n−ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;メチル(ジメトキシ)アルミニウム、メチル(ジエトキシ)アルミニウム、メチル(ジ−tert−ブトキシ)アルミニウム等のアルキル(ジアルコキシ)アルミニウム;ジメチル(メトキシ)アルミニウム、ジメチル(エトキシ)アルミニウム、ジメチル(tert−ブトキシ)アルミニウム等のジアルキル(アルコキシ)アルミニウム;メチル(ジフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のアルキル(ジアリールオキシ)アルミニウム;ジメチル(フェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム等を例示することができる。
【0183】
これらの内、好ましくはトリアルキルアルミニウムであり、さらに好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムであり、特に好ましくはトリイソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムである。
【0184】
これらの有機アルミニウム化合物は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0185】
本発明における付加重合用触媒は、遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)と、活性化剤(B)と、さらに必要に応じて有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる触媒である。コーティングされた内壁を有する反応器の中で、前記付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合することにより、付加重合体を得ることができる。
【0186】
電子供与性化合物(D)
付加重合体を製造するときに、コーティングされた内壁を有する反応器の中に電子供与性化合物(D)が存在していてもよい。電子供与性化合物(D)としては、窒素原子、リン原子、酸素原子または硫黄原子を含む化合物が好ましく、酸素含有化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物が挙げられ、なかでも酸素含有化合物または窒素含有化合物が好ましい。酸素含有化合物としては、アルコキシケイ素類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸のエステル類、有機酸または無機酸の酸アミド類、酸無水物類などが挙げられ、なかでもアルコキシケイ素類またはエーテル類が好ましい。窒素含有化合物としては、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類等が挙げられ、アミン類が好ましい。
【0187】
アルコキシケイ素類としては、一般式 RrSi(OR4-r (式中、Rは炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、水素原子、またはヘテロ原子含有置換基を表し、Rは炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、rは0≦r<4を満足する数を表す。全てのRおよび全てのRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシケイ素化合物が好ましく用いられる。
【0188】
やR がハイドロカルビル基の場合、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分岐鎖状アルキル基、シクロペンンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等が挙げられる。Rがヘテロ原子含有置換基の場合、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子が挙げられる。具体的にはジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルn−プロピルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ピロリル基、ピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、パーヒドロインドリル基、パーヒドロイソインドリル基、パーヒドロキノリル基、パーヒドロイソキノリル基、パーヒドロカルバゾリル基、パーヒドロアクリジニル基、フリル基、ピラニル基、パーヒドロフリル基、チエニル基等が挙げられる。
【0189】
アルコキシケイ素類としては、R およびR がアルキル基であることが好ましく、更にrが4>r≧2を満足する数であることが好ましい。
【0190】
前記アルコキシケイ素類の具体例としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ノルマルブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、ノルマルペンチルトリメトキシシラン、tert−アミルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジノルマルブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルノルマルプロピルジメトキシシラン、メチルノルマルブチルジメトキシシラン、メチルイソブチルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルノルマルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルノルマルブチルジメトキシシラン、tert−ブチルイソブチルジメトキシシラン、tert−アミルメチルジメトキシシラン、tert−アミルエチルジメトキシシラン、tert−アミルノルマルプロピルジメトキシシラン、tert−アミルノルマルブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、シクロブチルメチルジメトキシシラン、シクロブチルエチルジメトキシシラン、シクロブチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロブチルノルマルブチルジメトキシシラン、シクロブチルイソブチルジメトキシシラン、シクロブチル−tert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルノルマルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルノルマルブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチル−tert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルノルマルプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルノルマルブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−tert−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、フェニルノルマルプロピルジメトキシシラン、フェニルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルノルマルブチルジメトキシシラン、フェニルイソブチルジメトキシシラン、フェニル−tert−ブチルジメトキシシラン、フェニルシクロペンチルジメトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)メチルジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)メチルジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)エチルジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)エチルジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)(n−プロピル)ジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)(n−プロピル)ジメトキシシラン、((パーヒドロキノリノ)(tert−ブチル)ジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)(tert−ブチル)ジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリノルマルプロピルメトキシシラン、トリイソプロピルメトキシシラン、トリノルマルブチルメトキシシラン、トリイソブチルメトキシシラン、トリ−tert−ブチルメトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物のメトキシをエトキシ、プロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシに置き換えた化合物も例示することができる。好ましくは、ジアルキルジアルコキシシランまたはトリアルキルモノアルコキシシランであり、より好ましくはトリアルキルモノアルコキシシランである。
【0191】
エーテル類の例としては、ジアルキルエーテル、アルキルアリールエーテル、ジアリールエーテル、ジエーテル化合物、環状エーテル類および環状ジエーテル類を挙げることができる。
【0192】
具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ‐tert−ブチルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルノルマルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルノルマルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロフラン、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジイソブトキシエタン、2,2−ジメトキシプロパン、1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−3,7−ジメチルオクチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ヘプチル−2−ペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシベンゼン、1.3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、等を挙げることができる。好ましくは、ジエチルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、メチルノルマルブチルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランであり、更に好ましくは、ジエチルエーテル、ジノルマルブチルエーテルまたはテトラヒドロフランである。
【0193】
カルボン酸エステル類の具体例としては、モノおよび多価のカルボン酸エステルが挙げられ、それらの例として飽和脂肪族カルボン酸エステル、不飽和脂肪族カルボン酸エステル、脂環式カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステルを挙げることができる。具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、酢酸−tert−ブチル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ノルマルブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸−tert−ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジノルマルブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジノルマルブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジノルマルブチル、フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジノルマルブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−tert−ブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニル、イソフラル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジノルマルブチル、イソフタル酸ジイソブチル、イソフタル酸ジ−tert−ブチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジノルマルブチル、テレフタル酸ジイソブチル、テレフタル酸ジ−tert−ブチル等を挙げることができる。好ましくは酢酸メチル、酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルブチル、フタル酸ジイソブチル、テレフタル酸ジメチルまたはテレフタル酸ジエチルであり、更に好ましくは、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチルまたはテレフタル酸ジメチルである。
【0194】
アミン類の例としては、トリヒドロカルビルアミンが挙げられ、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリノルマルブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、トリフェニルアミンが挙げられる。好ましくは、トリエチルアミンまたはトリオクチルアミンである。
【0195】
電子供与性化合物(D)としては、アルコキシケイ素類、エーテル類またはアミン類が好ましく用いられる。更にアミン類がより好ましく用いられる。これらの電子供与性化合物(D)は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0196】
付加重合用触媒
本発明における付加重合用触媒は、化合物(A)、活性化剤(B)および必要に応じて有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる。各成分の接触量比は、化合物(A)の接触量は、活性化剤(B)に対して、通常0.1〜1000μmol/gであり、好ましくは1〜500μmol/gであり、より好ましくは10〜300μmol/gである。有機アルミニウム化合物(C)の接触量は化合物(A)に対して、通常0.01〜10000mmol/gであり、好ましくは0.1〜1000mmol/gであり、より好ましくは0.5〜200mmol/gである。
【0197】
化合物(A)、活性化剤(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させる方法は、特に限定されないが、例えば、下記<13>〜<15>の方法が挙げられる。
<13>上記各成分を接触させて得られる接触物を、重合槽へ投入する方法。
<14>上記各成分を別々に重合槽に供給して、重合槽中でこれらを接触させる方法。
<15>重合槽に投入する前に、上記各成分の一部を接触させて予備接触物を得、該予備接触物と残りの成分とを重合槽中で接触させる方法。
【0198】
接触方法として、好ましくは、上記の<14>である。化合物(A)を粉体または溶媒に懸濁させたスラリー状態で重合槽に投入しても構わない。
【0199】
化合物(A)、活性化剤(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させる順序は、特に限定されないが、例えば、下記<16>〜<21>の順序が挙げられる。
<16>化合物(A)と活性化剤(B)とを接触させて得られる接触物と、有機アルミニウム化合物(C)とを接触させる。
<17>化合物(A)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる接触物と、活性化剤(B)とを接触させる。
<18>活性化剤(B)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる接触物と、化合物(A)とを接触させる。
<19>化合物(A)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる接触物と、活性化剤(B)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる接触物と、を接触させる。
<20>化合物(A)と活性化剤(B)とを接触させて得られる接触物と、活性化剤(B)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる接触物と、を接触させる。
<21>化合物(A)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる接触物と、化合物(A)と活性化剤(B)とを接触させて得られる接触物と、を接触させる。
【0200】
接触順序として、好ましくは、上記の<16>である。
【0201】
また、各成分を互いに接触させるときには、溶媒を用いてもよい。溶媒を用いる方が効率よく活性点を形成することができるので好ましい。溶媒は、生成する活性点を失活しないものであればよい。また、化合物(A)が溶解する溶媒が更に好ましく、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族ハイドロカルビル溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族ハイドロカルビル溶媒、ジクロロメタンのようなハロゲン化ハイドロカルビル溶媒、エーテル類、エステル類、ケトン類等の極性溶媒も使用できる。粒子を形成する重合(例えば、スラリー重合、気相重合、バルク重合等)に用いる場合、生成する付加重合体が溶けない溶媒を用いることが好ましく、具体的には脂肪族ハイドロカルビル溶媒が好ましい。また、接触時にモノマーが存在していてもよい。
【0202】
各成分を互いに接触させる際の温度は、任意である。通常−50℃から100℃、好ましくは−30℃から80℃、更に好ましくは−10℃から60℃が好ましい。各成分を互いに接触させる時間は、任意である。接触時間は、通常連続的に投入(実質的に0分)から24時間、好ましくは1分間から12時間、更に好ましくは3分間から10時間である。
【0203】
攪拌しながら各成分を互いに接触させることが好ましい。
【0204】
付加重合方法
本発明の付加重合方法は、コーティングされた内壁を有する反応器中、前記の付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合する方法である。
【0205】
本発明の付加重合方法としては、例えば、(1)ガス状のモノマーを重合する気相重合法、(2)溶媒中でモノマーを重合する溶液重合法、またはスラリー重合法(懸濁重合法)、(3)液体であるモノマーを重合するバルク重合法を挙げることができる。本発明の方法は、スラリー重合法、および、気相重合法に特に好適に適用される。
【0206】
溶液重合またはスラリー重合に用いる溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンのような脂肪族ハイドロカルビル溶媒、ベンゼンおよびトルエンのような芳香族ハイドロカルビル溶媒、およびジクロロメタンのようなハロゲン化ハイドロカルビル溶媒を挙げることができる。また、モノマー自体を溶媒に用いることも可能である。付加重合の方式は、回分式重合、連続式重合のいずれでも可能であり、更に本重合を反応条件の異なる2段階以上に分けて行ってもよい。付加重合の重合時間は、一般に、目的とする付加重合体の種類、使用する重合反応器により決定され、通常、1分間〜20時間である。
【0207】
溶液重合またはスラリー重合は、公知の方法および条件に従って行うことができる。該方法の好ましい方法は、モノマー、溶媒およびその他の供給物等を必要に応じて重合反応器に連続的または間欠的に供給し、生成した付加重合体を重合反応器から連続的または間欠的に抜き出す方法である。該重合反応器としては、コーティングされた内壁を有する反応器であれば、ループ反応器、攪拌機付反応器、および種類や重合反応条件の異なる複数の攪拌機付反応器を直列、並列またはこれらの組合せで結合した反応器を用いることができる。
【0208】
該溶媒、ならびに重合温度および重合圧力は、付加重合用触媒を懸濁状態に保持し、溶媒および少なくとも一部のモノマーを液相で維持し、モノマーを付加重合用触媒と接触させることができるように選択される。該重合温度は、通常約―50℃〜約150℃である。該重合圧力は通常約0.001MPa〜約10MPaである。
【0209】
溶液重合およびスラリー重合において、付加重合用触媒または該触媒を得るために用いられる成分、およびモノマーは、公知の方法によって、任意の順序で重合反応器へ供給することができる。重合反応器へのこれらの供給方法としては、例えば、(1)付加重合用触媒または該触媒を得るために用いられる成分、およびモノマーを同時に供給する方法、および(2)付加重合用触媒または該触媒を得るために用いられる成分、およびモノマーを逐次に供給する方法、を挙げることができる。
【0210】
気相重合は、公知の方法および条件に従って行うことができる。該気相重合用の反応器はコーティングされた内壁を有する流動層型反応槽である。好ましくは、前記流動層型反応槽が、拡大部を有する流動層型反応槽である。該反応器は、反応槽内に攪拌翼を有していてもよい。
【0211】
気相重合における付加重合用触媒または該触媒を得るために用いられる成分を重合槽に供給する方法としては、例えば、通常、窒素およびアルゴンのような不活性ガス、水素、またはエチレンとともに、水分のない状態で供給する方法、または、溶媒に溶解した溶液または稀釈したスラリーで供給する方法を挙げることができる。付加重合用触媒を得るために用いられる成分は個別に供給してもよいし、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0212】
気相重合における重合温度は、製造される付加重合体の溶融温度未満であれば特に限定されないが、好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは30℃〜100℃である。製造される付加重合体の溶融流動性を調節する目的で、分子量調節剤として水素を添加しても構わない。また、ガス状のモノマーを重合するときに、ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0213】
得られる付加重合体の分子量の制御は、重合温度または例えば水素のような分子量調節剤によって行なうことができる。
【0214】
予備重合方法および予備重合された付加重合触媒
コーティングされた内壁を有する反応器の中で、付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合して予備重合された付加重合用触媒を得ることができる。予備重合された付加重合用触媒を得るために、付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合することを、予備重合と称することがある。
【0215】
本発明において、コーティングされた内壁を有する反応器で行われる、予備重合方法は特に限定されるものではないが、溶媒を使用する溶液重合、スラリー重合等が好ましい。例えば、溶媒の存在下で予備重合する方法等を挙げることができる。
【0216】
予備重合用触媒を製造するときに、コーティングされた内壁を有する反応器の中に電子供与性化合物(D)が存在していてもよい。該電子供与性化合物(D)としては、付加重合体を製造するときに使用できる電子供与性化合物(D)として例示した化合物が使用できる。
【0217】
予備重合方法は、回分式重合、連続式重合のいずれでも可能であり、さらに重合を反応条件の異なる2段階以上に分けて行ってもよい。重合時間は、一般に、目的とする付加重合体の種類、使用する反応器により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。予備重合温度は、通常―50℃から100℃、好ましくは−30℃から80℃、更に好ましくは−10℃から60℃が好ましい。また、温度を途中で変化させてもよい。また、予備重合時の圧力は、通常0.001MPaから5MPa、好ましくは0.01MPaから2MPaである。
【0218】
得られた予備重合された付加重合用触媒をそのまま本重合に用いてもよい。溶媒の存在下で予備重合する方法によって予備重合された付加重合用触媒を形成した場合、その予備重合された付加重合用触媒を溶液またはスラリー液状態で本重合に使用してもよく、または脱モノマー、溶媒留去、ろ過、洗浄、および乾燥等の処理を行い、固体状態で本重合に用いてもよい。
【0219】
予備重合によって生成する重合体量(予備重合度ともいう)が、活性化剤(B)1g当たり、通常0.1〜1000g、好ましくは0.5〜500g、特に好ましくは1〜100gとなるよう予備重合は実施される。
【0220】
本重合および付加重合体
本発明において、予備重合された付加重合用触媒を用いて付加重合体を製造する(本重合)に際しては、得られた予備重合された付加重合用触媒をそのまま付加重合用触媒として用いてもよいし、予備重合された付加重合用触媒と有機アルミニウム化合物とを接触させて用いてもよい。重合活性において優れる観点から、後者が好ましい。後者の場合の有機アルミニウム化合物としては、前記化合物(C)として例示した有機アルミニウム化合物が用いられる。有機アルミニウム化合物をこのように使用する場合、その使用量は、化合物(A)に対して、通常1〜10000mol/molであり、好ましくは10〜5000mol/molであり、より好ましくは30〜1000mmol/gである。
【0221】
予備重合された付加重合用触媒および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて用いる場合、該予備重合された付加重合用触媒および該有機アルミニウム化合物(C)は、重合反応器に任意の順序で投入し使用することができ、またそれらを予め接触させてから重合反応器に投入して使用してもよい。予備重合の後に本重合を行う場合、予備重合はコーティングされた内壁を有する反応器中で行う必要があるが、本重合はコーティングされた内壁を有する反応器中で行ってもよく、行わなくてもよい。
【0222】
本発明の予備重合された付加重合用触媒および有機アルミニウム化合物(C)を触媒調製用反応器もしくは本重合の重合反応器に供給する方法は、特に限定されない。該方法としては、例えば、予備重合された付加重合用触媒および有機アルミニウム化合物(C)を固体状態で供給する方法、および水分や酸素等の触媒成分を失活させる成分を十分に取り除いたハイドロカルビル溶媒に予備重合された付加重合用触媒および有機アルミニウム化合物(C)を溶解させた溶液状態、または懸濁もしくはスラリー化させた状態で供給する方法等を挙げることができる。このときのハイドロカルビル溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンのような脂肪族ハイドロカルビル溶媒、ベンゼンおよびトルエンのような芳香族ハイドロカルビル溶媒、およびジクロロメタンのようなハロゲン化ハイドロカルビル溶媒を挙げることができ、なかでも、脂肪族ハイドロカルビル溶媒または芳香族ハイドロカルビル溶媒が好ましく、脂肪族ハイドロカルビル溶媒が更に好ましい。
【0223】
本重合における重合方法は、特に限定されない。該方法としては、例えば、(1)ガス状のモノマーを重合する気相重合法、(2)溶媒中でモノマーを重合する溶液重合法、またはスラリー重合法(懸濁重合法)、(3)液体であるモノマーを重合するバルク重合法を挙げることができる。本重合の方式は、回分式重合、連続式重合のいずれでも可能であり、更に本重合を反応条件の異なる2段階以上に分けて行ってもよい。本重合の重合時間は、一般に、目的とする付加重合体の種類、使用する重合反応器により決定され、通常、1分間〜20時間である。
【0224】
本発明の予備重合された付加重合用触媒は、スラリー重合、気相重合、およびバルク重合のように、本重合において付加重合体が粒子状に生成する重合に特に好適に適用される。
【0225】
溶液重合またはスラリー重合は、上記方法および条件に従って行うことができる。
【0226】
気相重合は、公知の方法および条件に従って行うことができる。該気相重合用の反応器は流動層型反応槽、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽である。該反応器は、反応槽内に攪拌翼を有していてもよい。
【0227】
予備重合された付加重合用触媒を重合槽に供給する方法としては、例えば、通常、窒素およびアルゴンのような不活性ガス、水素、またはエチレンとともに、水分のない状態で供給する方法、または、予備重合された付加重合用触媒を溶媒に溶解した溶液または稀釈したスラリーで供給する方法を挙げることができる。
【0228】
気相重合の重合温度は、製造される付加重合体の溶融温度未満であれば特に限定されないが、好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは30℃〜100℃である。製造される付加重合体の溶融流動性を調節する目的で、分子量調節剤として水素を添加しても構わない。また、ガス状のモノマーを重合するときに、ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0229】
付加重合可能なモノマー
本発明の付加重合体の製造方法は、前記の本発明の付加重合用触媒、または予備重合された付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合させる付加重合体の製造方法である。
【0230】
本発明の付加重合体の製造方法におけるモノマーとしては、例えば、炭素原子数2〜20のオレフィン、ジオレフィン、環状オレフィン、アルケニル芳香族ハイドロカルビル、および極性モノマーを挙げることができ、同時に2種以上のモノマーを用いることもできる。
【0231】
該モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、およびビニルシクロヘキサンのようなオレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、および1,3−シクロヘキサジエンのようなジオレフィン;ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−ベンジル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチル−2−ノルボルネン、5−アセチルオキシ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−エトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、および8−シアノテトラシクロドデセンのような環状オレフィン;スチレン、アルケニルベンゼン(例えば、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、および3−フェニルプロピレン)、アルキルスチレン(例えば、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、p−第3級ブチルスチレン、およびp−第2級ブチルスチレン)、および、ビスアルケニルベンゼン(例えば、ジビニルベンゼン)、アルケニルナフタレン(例えば、1−ビニルナフタレン)のようなアルケニル芳香族ハイドロカルビル;ならびに、α,β−不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、およびビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸)、該α,β−不飽和カルボン酸の、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、およびカルシウムのような金属の金属塩、α,β−不飽和カルボン酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、およびメタクリル酸イソブチル)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸およびイタコン酸)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、およびトリフルオロ酢酸ビニル)、および、不飽和カルボン酸グリシジルエステル(例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、およびイタコン酸モノグリシジルエステル)のような極性モノマー、を挙げることができる。
【0232】
本発明は、これらのモノマーの単独重合または共重合に適用される。共重合体を構成するモノマーの組み合わせとしては、例えば、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、プロピレンと1−ブテンを挙げることができる。使用するモノマーとして好ましくは、エチレンおよびα−オレフィンである。
【0233】
本発明の予備重合に使用するモノマーとして、好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、およびビニルシクロヘキサンである。また、本発明の予備重合では、同時に2種類以上のオレフィンを用いることもできる。
【0234】
本発明で得られる付加重合体は、特に好ましくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、なかでも、好ましくは、ポリエチレン結晶構造を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。該α−オレフィンとしては、例えば、炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンを挙げることができる。
【実施例】
【0235】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例における付加重合体の性質は下記の方法により測定した。
【0236】
(1)元素分析
Zn:試料を硫酸水溶液(1M)に投じたのち、試料を含む硫酸水溶液に超音波をあてて試料から金属成分を硫酸水溶液中に抽出した。金属成分を含む硫酸水溶液の液体部分についてICP発光分析法により定量した。
F:酸素を充填させたフラスコ中で試料を燃焼させて生じた燃焼ガスを水酸化ナトリウム水溶液(10%)に吸収させ、得られた当該水溶液についてイオン電極法を用いて定量した。
【0237】
(2)MFR:JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃にて荷重21.18N(2.16kg)で測定したメルトフローレート値である(単位:g/10分)。
【0238】
(3)スウェル比=SR:MFR測定時に得られたストランド径をダイの内径である2.095mmで除した値である。
【0239】
(4)メルトフローレート比=MFRR:JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃、荷重211.82N(21.60kg)で測定されたメルトフローレート値を、荷重21.18N(2.16kg)で測定されたメルトフローレート値(MFR)で除した値である。
【0240】
上記メルトフローレート測定についてはすべて、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いた。
【0241】
[実施例1]
(1)コーティングされた内壁を有する反応器の製造
90℃に加熱した内容積3リットルの攪拌機付きオートクレーブの内壁に、濃度を1mg/mlに調整したポバール(株式会社クラレ、銘柄LM−25)(式[1]のm=160、n=90、式[2]のQ=−OC(=O)CH、式[3]のR=OH)のエタノール溶液50mlをピペットで塗布した後、90℃で1時間ほど減圧乾燥し、溶媒のエタノールを蒸発させて、内壁がポバールでコーティングされたオートクレーブを得た。反応器の内壁面積に対するポバールの量は、0.5g/mであった。
(2)改質された粒子(B)の製造
特開2009−79180号公報の実施例1(1)および(2)の成分(A)の調製と同様の方法で、本明細書中の改質された粒子(B)を製造した。元素分析の結果、Zn=11wt%、F=6.4wt%であった。
【0242】
(3)予備重合
コーティングされた内壁を有するオートクレーブを減圧乾燥後、該オートクレーブ内の空気を窒素で置換したのち真空にし、ブタンを480gおよびエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A)203mg(379μmol)を加えた。50℃にて2時間攪拌した後、30℃まで冷却した。次いで、エチレンを1g加え、上記(1)で得られた改質された粒子(B)7.0gを加え、次いで濃度を1.0mmol/mlに調製したトリイソブチルアルミニウム(C)のヘキサン溶液 3.5ml(3.5mmol)を加え予備重合を開始した。はじめに、0.13g/分でエチレンを供給しながら30℃で30分間予備重合を行った。次いで、エチレン/水素混合ガス(水素濃度:0.182mol%)に切り替え、0.58g/分で供給しながら、50℃へ30分間かけて昇温し、引き続き50℃で3時間エチレンを重合した。モノマーおよびブタンをパージし、予備重合された付加重合用触媒を回収した。回収量は、133.2gであり、改質された粒子(B)あたりの重合度は18.9g/gであった。オートクレーブの内壁にはポリマーが付着していなかった。
【0243】
(4)本重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素を分圧で0.037MPa加え、ブテン−1を235gおよびブタンを965g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.91mol%、であった。これに、濃度を1mmol/mlに調製したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 2.0mlを投入した。次に、濃度を0.1mmol/mlに調製したトリエチルアミンのトルエン溶液を1.0ml加えた。更に、上記(3)で得られた予備重合された付加重合用触媒384.8mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.313mol%)をフィードしながら70℃で、3時間エチレンおよびブテン−1を重合した。その結果、オレフィン重合体 90gが得られた。改質された粒子(B)当りの重合活性は4400g/gであった。また、得られたオレフィン重合体はMFR=2.51、SR=1.44であった。
[実施例2]
(1)コーティングされた内壁を有する反応器の製造
濃度を1mg/mlに調整したポバール(株式会社クラレ、銘柄LM−25)のエタノール溶液200mlを塗布した以外は、実施例1(1)と同様の方法で内壁がポバールでコーティングされた反応器を得た。反応器の内壁面積に対するポバールの量は、1.9g/mであった。
(2)予備重合
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A)を173mg(324μmol)、および上記実施例1(2)で得られた改質された粒子(B)を7.0g添加したこと、上記(1)で得られたコーティングされた内壁を有するオートクレーブを用いたこと以外は実施例1(3)と同様に予備重合を実施した。予備重合された付加重合用触媒の回収量は129.7gであり、改質された粒子(B)あたりの重合度は18.6g/gであった。オートクレーブの内壁にはポリマーが付着していなかった。
(3)本重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素を分圧で0.037MPa加え、ブテン−1を235gおよびブタンを965g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.95mol%、であった。これに、濃度を1mmol/mlに調製したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 2.0mlを投入した。次に、濃度を0.1mmol/mlに調製したトリエチルアミンのトルエン溶液を1.0ml加えた。更に、上記(2)で得られた予備重合された付加重合用触媒384.1mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.301mol%)をフィードしながら70℃で、3時間エチレンおよびブテン−1を重合した。その結果、オレフィン重合体105gが得られた。改質された粒子(B)当りの重合活性は5100g/gであった。また、得られたオレフィン重合体はMFR=1.86、SR=1.42であった。
[比較例1]
(1)予備重合
オートクレーブの内壁をコーティングしなかったこと、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A)を173mg(324μmol)、および上記実施例1(2)で得られた改質された粒子(B)を7.3g添加したこと、以外は実施例1(3)と同様に予備重合を実施した。予備重合された付加重合用触媒の回収量は123.9gであり、改質された粒子(B)あたりの重合度は16.9g/gであった。また、回収した予備重合された付加重合触媒の5.8gはオートクレーブの内壁付着物として回収された。
(2)本重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素を分圧で0.037MPa加え、ブテン−1を235gおよびブタンを965g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.84mol%、であった。これに、濃度を1mmol/mlに調製したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 2.0mlを投入した。次に、濃度を0.1mmol/mlに調製したトリエチルアミンのトルエン溶液を1.0ml加えた。更に、上記(1)で得られた予備重合された付加重合用触媒349.0mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.293mol%)をフィードしながら70℃で、3時間エチレンおよびブテン−1を重合した。その結果、オレフィン重合体62gが得られた。改質された粒子(B)当りの重合活性は3000g/gであった。また、得られたオレフィン重合体はMFR=4.54、SR=1.48であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[1]で表されるランダム共重合体で反応器の内壁をコーティングする方法。
‐r‐K [1]
(Jは式[2]で表される繰り返し単位であり;Kは式[3]で表される繰り返し単位であり;mは10以上3000以下の繰り返し単位Jの数を表し;nは10以上3000以下の繰り返し単位Kの数を表し;rはランダムを表し、


式[2]において、Qは、RC(=O)O−、RS(=O)O−、(OH)P(=O)O−、(OH)(OR)P(=O)O−、または(ORP(=O)O−を表し;式[3]において、Rは、HO−、またはRO−を表し、;Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表す。)
【請求項2】
反応器が付加重合用反応器である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法により得られる、コーティングされた内壁を有する反応器。
【請求項4】
請求項3に記載のコーティングされた内壁を有する反応器の中で、付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合する方法。
【請求項5】
付加重合用触媒が、式[4]で表される遷移金属化合物、またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)と、活性化剤(B)と、を接触させて得られる触媒である請求項4に記載の方法。
1a11b [4]
(式中、M1は第4族の遷移金属原子であり;L1はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基であり;X1はハロゲン原子、ハイドロカルビルオキシ基、またはハイドロカルビル基(但し、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く。)であり;aは0<a≦3を満足する数であり;bは0<b≦3を満足する数であり;L1が1より大きいとき、1つのLが他のLと互いに直接、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する基を介して連結されていてもよい。)
【請求項6】
付加重合用触媒が、式[4]で表される遷移金属化合物、またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)と、活性化剤(B)と、有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる触媒である、請求項4に記載の方法。
1a11b [4]
(式中、M1は第4族の遷移金属原子であり;L1はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基であり;X1はハロゲン原子、ハイドロカルビルオキシ基、またはハイドロカルビル基(但し、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く。)であり;aは0<a≦3を満足する数であり;bは0<b≦3を満足する数であり;L1が1より大きいとき、1つのLが他のLと互いに直接、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する基を介して連結されていてもよい。)
【請求項7】
活性化剤(B)が、下記(a)、(b)、(c)および(d)を接触させて得られる改質された粒子である請求項5または6に記載の方法。
(a):式[5]で表される化合物
2 [5]
(b):式[6]で表される化合物
t-1TH [6]
(c):式[7]で表される化合物
u-2T’H2 [7]
(d):無機酸化物粒子または有機ポリマー粒子
(式[5]におけるMは第12族元素であり;Lは水素原子、ハロゲン原子またはハイドロカルビル基であり、2つのLは互いに同じであっても異なっていてもよく;R は電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基であり、R が1より大きい場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよく;R はハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基であり;式[6]におけるTは第15族元素または第16族元素であり;tはTの原子価であり;式[7]におけるT’は第15族元素または第16族元素であり;uはT’の原子価である。)
【請求項8】
付加重合が気相中で行われる請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
付加重合がスラリー中で行われる請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
付加重合可能なモノマーが、エチレンおよびα−オレフィンである請求項4〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項3に記載のコーティングされた内壁を有する反応器の中で、付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーをスラリー中で付加重合して予備重合された付加重合用触媒を製造する方法。
【請求項12】
付加重合用触媒が、式[4]で表される遷移金属化合物、またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)と、活性化剤(B)と、を接触させて得られる触媒である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
付加重合用触媒が、式[4]で表される遷移金属化合物、またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体から選択される化合物(A)と、活性化剤(B)と、有機アルミニウム化合物(C)とを接触させて得られる触媒である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載の方法により得られる予備重合された付加重合用触媒。
【請求項15】
請求項14に記載の予備重合された付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合して付加重合体を製造する方法。
【請求項16】
請求項14に記載の予備重合された付加重合用触媒および有機アルミニウム化合物(C)の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合して付加重合体を製造する方法。
【請求項17】
付加重合可能なモノマーが、エチレンおよびα−オレフィンである請求項15または16に記載の方法。

【公開番号】特開2012−117043(P2012−117043A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225565(P2011−225565)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】