説明

反応性ホットメルト接着剤組成物

【課題】 反応性ホットメルト接着剤の保管安定性と加熱安定性を改善し、ホットメルトの架橋反応が速やかに進行する改善された反応性ホットメルト接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】 エポキシ基含有オレフィン共重合体及び粘着付与樹脂を含み、エポキシ基含有オレフィン共重合体が、該オレフィン共重合体と粘着付与樹脂の合計量に対し5〜90重量%のホットメルト接着剤組成物Aと、エポキシ硬化剤及びオレフィン重合体を含み、該硬化剤がその合計量に対し5〜90重量%のホットメルト接着剤組成物Bからなる二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
ホットメルト接着剤組成物Aの180℃で測定した24時間加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内であり、ホットメルト接着剤組成物Bの140℃で測定した同溶融粘度変化率が±20%以内である二液混合型反応性ホットメルト接着剤は好ましい態様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管安定性と加熱安定性に優れ、且つ迅速な反応性を示す反応性ホットメルト接着剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、保管安定性と加熱安定性に優れ、且つ迅速な反応性を示す、二液混合型反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は一般的に加熱ミキサー、加熱ニーダー等の攪拌機を使用し製造を行い、様々な形状に加工して提供される。提供されたホットメルト接着剤はアプリケーターやロールコーター等の加熱設備にて溶融し、様々な形状で塗布して使用される。
これらホットメルト接着剤を使用する分野としては、段ボールや小箱等の包装分野、紙おむつやナプキン等のサニタリー分野、製本分野、合板分野、木工分野、自動車分野、家電分野、住宅分野等、様々な分野で使用されているが、その大多数は非反応系のホットメルト接着剤である。この様な非反応系のホットメルト接着剤はエチレン系共重合物、スチレンブロック共重合物、ポリオレフィン類を主成分とするため、使用する主成分によって、耐熱温度や接着力に限界点が存在する。
【0003】
これらの課題を克服するために開発された、反応性ホットメルト接着剤として最も実用化されているのがポリウレタン系ホットメルト接着剤である。ポリウレタン系ホットメルト接着剤はその成分中のイソシアネート基が湿気硬化反応により反応し、強靭な接着力と高い耐熱性能とを示す。しかしながら、この湿気硬化反応は自然環境下で容易に進行するため、使用するまでは機密性の高い容器に保管し、使用する際も溶融槽の窒素置換等特殊な設備が必要となる。また、ポリウレタン系ホットメルト接着剤を開放状態で使用する場合は、短時間で接着剤を使いきる必要があり、使いきれない場合の残りは廃棄処分しなければならないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために様々な取組が提案されているが、何れも十分満足できるものではない。
ゴム弾性を必要とする接着剤用途においては、特開昭62−1774号公報で、主として自動車のヘッドランプやリヤランプの取付け用途など向けに、ポリスチレン・ポリイソプレン・ポリスチレンブロック共重合物、もしくはポリスチレン・ポリブタジエン・ポリスチレンブロック共重合物にエポキシ樹脂を混合した成分と、同スチレン系ブロック共重合物に常温硬化型硬化剤を混合してなる、二液混合型ホットメルト接着剤が提案されている。この先行技術においては、エポキシ樹脂と常温硬化型硬化剤の反応により、耐熱性能や接着力の改善が提案されているが、架橋反応にエポキシ樹脂を使用するため相溶性のよい未水添系スチレン系ブロック共重合物を主成分としているため、使用推奨温度である150℃から200℃において、溶融粘度の変化が大きく、かつ耐候性が十分でない。
【0005】
また、同じくゴム弾性を必要とする用途において、特開平9−31428号公報では、エポキシ変性ブロック共重合物とエポキシ硬化剤の二液混合型ホットメルト接着剤組成物が提案されている。ここでもブロック共重合体として未水添系スチレン系ブロック共重合体を用い、この不飽和結合にエポキシ基を導入するという手法を用いており、ゴム弾性を維持し、接着力および耐熱接着力に優れ、作業性にも優れた二液型ホットメルト接着剤を得るというものであるが、例示された実施例においては反応性が鈍く、迅速な硬化反応が期待できず、実用的でない。
【0006】
化学的に安定で硬度が高いポリオレフィン系重合物は、包装分野、製本分野、合板分野、家電分野等、様々な分野で使用されているが、電子部品のICパッケージ製造用の接着剤として、その耐熱接着力の向上を目的に、特許第4201858号、特許第4422232号等では、分子内にエポキシ基を有するポリオレフィン共重合物と分子内にカルボキシル基を含むロジン(エポキシ基硬化剤)からなる反応型ホットメルト接着剤が提案されている。これらの先行技術は、それぞれの成分を120℃以下で均一に混合したフィルム接着剤を形成し、それを基材間に挟み熱圧着する方法で用いられる。このフィルム接着剤が、いわゆる一液型反応性ホットメルト接着剤と見なされ、本発明が意図する一般的な溶融塗布装置であるアプリケーターやロールコーター等の設備を使用し溶融、塗布する用途においては、溶融時の粘度変化が大きく使用する事が出来ない。
【0007】
また、同じ様な用途に、特開2000−17242号公報で、エポキシ基を有するポリエチレンに対し、カチオン重合触媒を添加し、紫外線照射型の反応性ホットメルト接着剤が提案されている。しかし、重合触媒を使用した一液型ホットメルト接着剤はその反応工程において、特殊な反応促進装置が必要となる上、長期間の保管安定性に課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−1774号公報
【特許文献2】特開平9−31428号公報
【特許文献3】特許第4201858号公報
【特許文献4】特許第4422232号公報
【特許文献5】特開2000−17242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果本発明に到達した。
本発明は、反応性ホットメルト接着剤の課題である、保管安定性と加熱安定性を改善し、且つホットメルトの架橋反応が速やかに進行する、改善された二液型反応性ポリオレフィン共重合系ホットメルト接着剤組成物を提案することにある。
更には、一般的にホットメルト接着剤の塗工設備として用いられるアプリケーターやロールコーター等の溶融塗布設備で容易に使用する事ができる二液型反応性ホットメルト接着剤を提供する事にある。
また、本発明において提案されるホットメルト接着剤組成物A、及び組成物Bはそれぞれ単独の未反応系ホットメルト接着剤としての使用も可能であるため、硬化反応が完全に終了する前の過程でも充分使用に耐えられる耐熱性等の一般性能を有する接着剤組成物を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エポキシ基を有するオレフィン共重合体及び粘着付与樹脂を含み、エポキシ基を有するオレフィン共重合体がエポキシ基を有するオレフィン共重合体と粘着付与樹脂の合計量に対して5〜90重量%であるホットメルト接着剤組成物Aと、エポキシ硬化剤、及びオレフィン重合体を含み、エポキシ硬化剤が、エポキシ硬化剤とオレフィン重合体の合計量に対して5〜90重量%であるホットメルト接着剤組成物Bからなる二液混合型ホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0011】
前記ホットメルト接着剤組成物Aが、180℃において測定したときの下記に示された24時間加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内である前記した二液混合型ホットメルト接着剤組成物は、本発明の好ましい態様である。
溶融粘度変化率(%)={(24時間加熱後の溶融粘度−初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
【0012】
前記ホットメルト接着剤組成物Bが、140℃において測定したときの24時間加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内である前記した二液混合型ホットメルト接着剤組成物は、本発明の好ましい態様である。
【0013】
前記のホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bの、23℃60%RH条件下に30日間放置した後の下記に示した保管粘度変化率が±20%以内である前記した二液混合型ホットメルト接着剤組成物は、本発明の好ましい態様である。
保管粘度変化率(%)={(保管後の溶融粘度−初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
【0014】
前記のホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物BのR&B法によって測定した軟化点が70℃以上である、前記した二液混合型ホットメルト接着剤組成物は、本発明の好ましい態様である。
【0015】
前記ホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bが、混合後に測定した180℃ゲル化係数が5以上である前記した二液混合型ホットメルト接着剤組成物は、本発明の好ましい態様である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、加熱安定性と保管安定性が改善された反応性ホットメルト接着剤が提供される。
本発明によって、保管安定性と加熱安定性が改善され、且つホットメルトの架橋反応が速やかに進行する反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、エポキシ基を有するオレフィン共重合体、及び粘着付与樹脂を含むホットメルト接着剤組成物Aと、エポキシ硬化剤、及びオレフィン重合体を含むホットメルト接着剤組成物Bからなる二液混合型ホットメルト接着剤組成物を提供するものである。
【0018】
本発明のホットメルト接着剤組成物Aは、180℃において測定したときの下記に示された24時間加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内であるホットメルト接着剤組成物であることが好ましい。また、本発明のホットメルト接着剤組成物Bもまた、140℃において測定したときの24時間加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内であることが好ましい。
加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内であれば、ホットメルト接着剤をアプリケーター等の機器で溶融した際に炭化、ゲル化、分解等の現象が発生し難くなり、これらに起因する異物の発生や塗布不具合を減少する事ができ、作業効率の向上が期待できる。
【0019】
本発明における溶融粘度とは、ブルックフィールド社製自動粘度計(型式:BROOKFIELD DV−II+Pro)にて測定される溶融粘度であり、24時間加熱時とは、同機器にて24時間連続加熱した後の溶融粘度を示す。
溶融粘度変化率は下記の式から求める。
溶融粘度変化率(%)={(24時間連続加熱時の溶融粘度−初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
【0020】
本発明のホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bは、23℃60%RH環境下に30日間放置した後の保管粘度変化率が±20%以内であることが好ましい。このようなホットメルト接着剤組成物A及びBを二液混合することで、反応性ホットメルト接着剤の課題であった保管安定性が改善される。保管粘度変化率測定用の試料は各ホットメルト接着剤を1mmのシート状に加工した後、所定の温度、湿度条件に30日間保管したものを使用する。
保管粘度変化率は下記の式から求める。
保管粘度変化率(%)={(保管後の溶融粘度−初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
保管時の溶融粘度変化率が±20%以内であれば、使用途中のホットメルト接着剤を廃棄したり、特殊な包材で梱包したりすること無く、再利用することが可能であるため、経済性に優れる。
【0021】
本発明の二液混合型ホットメルト接着剤組成物において、ホットメルト接着剤組成物Aとホットメルト接着剤組成物Bの混合後の180℃ゲル化係数は、5以上となることが好ましい。180℃ゲル化係数とは180℃に加熱したホットメルト接着剤Aとホットメルト接着剤Bを混合して、下記の方法にて180℃で測定したゲル化係数をいう。180℃で測定したゲル化係数が5以上となると、反応性ホットメルト接着剤の迅速な反応性を発現させることができる。
本発明におけるゲル化係数とは、M・S・Tエンジニアリング株式会社製コーンプレート型自動粘度計(型式:CV−1)にて測定した、溶融粘度を基にして下記式にて算出した値である。
ゲル化係数=1/測定開始から溶融粘度が2倍となるまでの時間(hour)
ゲル化係数が5以上であれば、ホットメルト接着剤A、およびホットメルト接着剤Bを混合した際の反応速度が極めて速いことが推測され、短時間でホットメルト接着剤の弱点である耐熱性の向上を達成することが可能となることを示す。
【0022】
本発明において、ホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bは、それぞれの溶融粘度が1〜20Pa・sであることが好ましい。
ホットメルト接着剤は一般的にアプリケーターやロールコーター等の設備で溶融、塗布されるため、使用時の溶融粘度が1Pa・s未満であった場合、塗布時にホットメルト接着剤の飛散、及び孔質被着材料への浸み込み等が問題となる可能性がある。
また、溶融粘度が20Pa・sを超えた場合、糸曳き等の発生が多くなり作業性が著しく低下すると共に、流動性が低下するため非接触方式での間欠塗布には不向きである。
また、ホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bは、それぞれのR&B法にて測定された軟化点が70℃以上であることが好ましい。
ホットメルト接着剤の軟化点が70℃以下であった場合、高温環境下において接着剤同士がブロッキングし易く取扱が困難となる可能性がある。
【0023】
本発明において前記した24時間加熱時の溶融粘度変化率、30日保管後の保管粘度変化率、及び二液混合後の180℃ゲル化係数の要件を満たすことができるホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bとして、エポキシ基を有するオレフィン共重合体を含有するホットメルト接着剤組成物A、及びエポキシ硬化剤を含有するホットメルト接着剤組成物Bからなる二液混合型の反応性ホットメルト接着剤を挙げることができる。
【0024】
本発明はエポキシ基を有するオレフィン共重合体を含有するホットメルト接着剤組成物A、及びエポキシ硬化剤を含有するホットメルト接着剤組成物Bからなる二液混合型の反応性ホットメルト接着剤をも提供するものである。
【0025】
本発明の二液混合型ホットメルト接着剤組成物を構成する成分であるホットメルト接着剤組成物Aは、エポキシ基を有するオレフィン共重合体及び粘着付与樹脂を含むホットメルト接着剤組成物である。エポキシ基を有するオレフィン共重合体は、エポキシ基を有するオレフィン共重合体と粘着付与樹脂の合計量に対して5〜90重量%、好ましくは20〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%で含有されていることが望ましい。
【0026】
本発明のエポキシ基を有するオレフィン共重合体は、分子内に2個以上のエポキシ基を含有するものが好ましく、エポキシ当量2000以下、好ましい1500以下であることが望ましい。
【0027】
本発明で使用されるエポキシ基を有するオレフィン共重合体の例としては、エチレン、プロピレンなどの炭素数1〜4程度のオレフィンと、グリシジル(メタ)アクリレートモノマーなどのグリシジル基を有するモノマーとの共重合物を挙げることができる。このような共重合体に、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレートなどの他のモノマー単位が含まれていてもよい。中でもエチレンとグリシジル(メタ)アクリレートの2元共重合物が特に好ましい。
【0028】
本発明のホットメルト接着剤組成物Aに使用される粘着付与樹脂は、通常ホットメルト接着剤に使用されるものから適宜選択して使用できるが、ホットメルト接着剤組成物Aには、エポキシ基を有するオレフィン共重合体と硬化反応する官能基を有していて硬化剤として働く粘着付与樹脂は用いることができない。使用される硬化剤の役割をしない粘着付与樹脂粘着付与樹脂の代表的な例としては、水添テルペン、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これら粘着付与樹脂は、1種類または2種以上で使用することができる。
【0029】
本発明の二液混合型ホットメルト接着剤組成物を構成する成分であるエポキシ硬化剤を含有するホットメルト接着剤組成物Bは、エポキシ硬化剤、及びオレフィン重合体を含むホットメルト接着剤組成物である。エポキシ硬化剤は、エポキシ硬化剤とオレフィン重合体の合計量に対して5〜90重量%以下、好適には5〜70重量%以下、更に好適には5〜50重量%含有されていることが望ましい。エポキシ硬化剤としては、特に制限はなく、通常エポキシ硬化剤として使用されるものから適宜選択して使用することができるが、分子内に酸及び酸無水物基を有する化合物、水酸基含有化合物、フェノール類、アミン類、ポリアミド類、硫黄系化合物などの何れか1つ以上のエポキシ硬化剤を挙げることができる。ホットメルト接着剤組成物Bはこれらのエポキシ硬化剤を含有する熱可塑性材料であることが好ましい。
【0030】
本発明で使用されるエポキシ硬化剤は、常温硬化型として知られる1級アミン類、2級アミン類、チオール類、加熱硬化型として知られる3級アミン類、ポリアミド、酸及び酸無水物類、水酸基化合物及びフェノール類等限定されるものではないが、これら何れかの官能基を有する、ポリマーもしくはオリゴマーもしくはモノマーを少なくとも1種類以上含有するものが好ましい。
【0031】
エポキシ硬化剤として使用する材料は、酸価、若しくは水酸基価、若しくはアミン価の何れかが、150mgKOH以上であるものが好適である。
【0032】
上記エポキシ硬化剤の条件を満たす硬化剤の具体例としては、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリメット酸、ピロメリット酸などの酸および酸無水物基を有する化合物や、アビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸などの樹脂酸類を有する化合物:レゾール型、ノボラック型などのビスフェノールA型ノボラック樹脂など1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物などの水酸基含有化合物及びフェノール類:ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチレンアミノプロピルアミン等の脂肪族アミン類、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン等の脂環族アミン類、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類、ポリエーテルポリアミン類、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン等の変性ポリアミン類:ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミドなどのポリアミド類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物などの硫黄系化合物などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
本発明に使用されるエポキシ硬化剤としては、酸変性ワックス、酸変性ロジン、フェノール変性ロジン、ポリアミド類が好ましく、特には酸変性ロジン、ポリアミドアミンが好適に使用される。
【0033】
本発明のホットメルト接着剤組成物Bに使用されるオレフィン重合体とは、オレフィンの単独重合体、オレフィン同士の共重合体、オレフィンと極性モノマーとの共重合体を含むものである。
これらのオレフィン重合体の例として、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレートなどの極性モノマーとの共重合体などのエチレン系共重合体;プロピレンとエチレンや他のα−オレフィンとの共重合体などのプロピレン系共重合体;高密度PE、中密度PE、LLDPE、LDPEとして知られているポリエチレン、プロピレンの単独重合体、ランダム共重合物、ブロック共重合物として知られるポリプロピレンなどのポリオレフィン類などを挙げることができる。
【0034】
本発明のホットメルト接着剤組成物Aおよび/またはBは、さらに通常ホットメルト接着剤として使用される成分を含んでいてもよい。これらの通常ホットメルト接着剤に使用される材料は、通常ホットメルト成分として使用されるものであれば特に限定されるものではない。これらのホットメルト接着剤に使用される成分の例としては、エチレン系共重合物、プロピレン系共重合物、スチレンブロック共重合物、オレフィン類、粘着付与樹脂、ワックス、酸化防止剤、オイル類、着色剤、液状ゴムから選ばれる成分を挙げることができる。
【0035】
本発明のホットメルト接着剤に使用してもよいエチレン系共重合としては、特に限定されるものではないが例えばエチレン系共重合であるエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−nブチルアクリレート共重合体、エチレン−1ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0036】
本発明のホットメルト接着剤に使用してもよいポリプロピレン系共重合体としては、例えばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン−エチレン共重合体、プロピレンホモポリマー等が挙げられる。
【0037】
本発明のホットメルト接着剤に使用してもよいスチレン系共重合体としては、特に限定されるものではないが例えばポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン共重合の水素添加物、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン共重合物の水素添加物等が挙げられる。
【0038】
本発明のホットメルト接着剤に使用してもよい粘着付与樹脂は、特に限定されるものではないが、代表的な例としては、ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、アルコール、グリセリン、ペンタエリストール等でエステル化されたロジンエステル等のロジン誘導体、ピネン、ピネン等のテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。これら粘着付与樹脂は、1種類または2種以上で使用することができる。
ただし、ホットメルト接着剤組成物Aには、エポキシ硬化反応に用いられる官能基を有している粘着付与樹脂は用いることができない。
【0039】
本発明のホットメルト接着剤の成分として使用してもよいワックスは、ホットメルト接着剤の溶融粘度、オープンタイム、セットタイムなどの調整に寄与する。ワックスの例として、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、木ロウ、カルナバワックス、蜜蝋、キャンデリアワックス、モンタンワックス、またこれらワックスの酸化物、エチレンアクリル酸共重合体ワックス、エチレンメタクリル酸共重合ワックス、エチレン酢酸ビニル共重合ワックス、アミドワックスなどを挙げることができる。
本発明のホットメルト接着剤の成分として使用できるワックスは、上記例示したものに限定されるものではない。
ただし、ホットメルト接着剤組成物Aには、エポキシ硬化反応に用いられる官能基を有しているワックスは用いる事ができない。
【0040】
本発明のホットメルト接着剤の成分として使用してもよいオイルは特に限定されるものではないが、例えばパラフィン成分、ナフテン成分、アロマ成分からなるプロセスオイル類があげられる
【0041】
本発明のホットメルト接着剤の成分として使用してもよい液状ゴムは特に限定されるものではないが、例えば液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン等があげられる
【0042】
本発明のホットメルト接着剤には他に添加剤として、本発明の目的を損なわない範囲で、必要により各種のものが使用可能である。例えば着色剤として酸化チタン、ブロッキング防止剤としてシリコーン、各種酸化防止剤などである。酸化防止剤によりホットメルト接着剤の熱劣化、熱分解を防止することができる。代表的な酸化防止剤は、高分子量ヒンダード多価フェノール、ジアルキルフェノールスルフィド、2、2’メチレンビス(4−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、4、4’−メチレン−ビス−(2、6−ジ−第三−ブチルフェノール)、2、6−ジ−第三−ブチルフェノール−p−クレゾール、2、5−ジ−第三−ブチルヒドロキノン、2、2、4−トリメチル−1、2−ジヒドロキノン、2、2、4−トリメチル−1、2−ジヒドロキノンの重合物、6−エトキシ−2、2、4−トリメチル−1、2−ジヒドロキノン、ジブチル・ジチオカルバミン酸ニッケル、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、4、4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどである。上記添加剤は5重量部以下で含有することが望ましい。
【0043】
本発明のホットメルト接着剤組成物Aにおいて、エポキシ基を有するオレフィン共重合体及び粘着付与樹脂に加えて、さらに含まれていてよい成分の量は、エポキシ基を有するオレフィン共重合体及び粘着付与樹脂の合計量に対して、60重量%以下程度、好ましくは40重量%以下程度であることが望ましい。
また本発明のホットメルト接着剤組成物Bにおいて、エポキシ硬化剤及びオレフィン重合体に加えて、さらに含まれていてよい成分の量は、エポキシ硬化剤及びオレフィン重合体の合計量に対して、60重量%以下程度、好ましくは40重量%以下程度であることが望ましい。
【0044】
本発明の二液混合型ホットメルト接着剤組成物は、それを構成するホットメルト接着剤組成物Aと、ホットメルト接着剤組成物Bとを使用する直前に混合することによって調製することができる。混合方法には特に制限はなく、従来公知のホットメルトの使用方法に従った混合方法を適宜選択して用いることができる。例えば、ホットメルト接着剤組成物A、及び組成物Bを別々の溶融槽で液状にし、様々な形態で吐出して液状物同士を混合する方法を採用することもできる。この場合の吐出形態としては、スプレー状、ビード状、面状、シート状などを挙げることができる。
【0045】
ホットメルト接着剤組成物Aと、ホットメルト接着剤組成物Bを混合する割合は、ホットメルト接着剤成分Aが50〜95重量部、ホットメルト接着剤成分Bが50〜5重量部であることが好ましい。
【0046】
前記したホットメルト接着剤組成物A及び組成物Bを、それぞれの溶融粘度を1〜20Pa・sとして混合することが好ましい。そのために、ホットメルト接着剤組成物A、及びホットメルト接着剤組成物Bを混合する際の温度を適宜選択して実施することができる。例えば、ホットメルト接着剤組成物Aの温度が70℃以上であり、前記ホットメルト接着剤組成物Bの温度が70℃以上であれば、液状物同士を容易に混合することができるので好ましい態様である。
【0047】
本発明においては、前記した24時間加熱時の溶融粘度変化率、30日保管後の保管粘度変化率、溶融粘度及び二液混合後の180℃ゲル化係数の要件を満たすホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bを用いて、保管安定性と加熱安定性を改善し、且つホットメルトの架橋反応が速やかに進行する改善された反応性ホットメルト接着剤組成物を得ることは、本発明の最も好ましい態様である。
【0048】
本発明により、特殊な反応促進装置を必要とせず、従来のホットメルト接着剤が有していた問題点を解決した二液混合型反応性ホットメルト接着剤組成物が提供されるので、段ボールや小箱等の包装分野、紙おむつやナプキン等の衛生材料分野、製本分野、合板分野、木工分野、自動車分野、家電分野、住宅分野等幅広い用途への展開が期待される。
【実施例】
【0049】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0050】
本発明における物性の測定は下記方法によって実施した。
【0051】
(1)溶融粘度
ブルックフィールド社製自動粘度計(型式:BROOKFIELD DVII+Pro)にて測定した値であり、測定に使用する自動粘度計のスピンドルNo.はNo.27、回転数は10rpmに統一した。
【0052】
(2)溶融粘度変化率
所定の温度に設定したホットメルト接着剤組成物をブルックフィールド社製自動粘度計(型式:BROOKFJIELD DV−II+Pro)にて測定した後、24時間連続加熱後の溶融粘度を測定し下記式にて算出する
溶融粘度変化率(%)={(24時間連続加熱後の溶融粘度−初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
測定に使用するスピンドルNo.はNo.27、回転数は10rpmとする。
ホットメルト接着剤組成物Aについては180℃で、ホットメルト接着剤組成物Bについては140℃で測定した。
【0053】
(3)保管粘度変化率
23℃60%RH環境下にて30日間放置したホットメルト接着剤をブルックフィールド社製自動粘度計(BROOKFIELD DV−II+Pro)にて溶融粘度の測定を行い下記式にて算出する。
保管粘度変化率(%)={(保管後の溶融粘度−初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
測定に使用するスピンドルNo.はNo.27、回転数は10rpmとする。
30日間保管する際の試料は1mmのシート状で保管したものを使用した。
【0054】
(4)180℃ゲル化係数
二液混合型ホットメルト接着剤を均一に混合した後、直ちにM・S・Tエンジニアリング株式会社製コーンプレート型自動粘度計(型式:CV−1)にて溶融粘度の測定を行い、溶融粘度が2倍になるまでの経過時間を計測し下記式にて算出する。
ゲル化係数=1/測定開始から溶融粘度が2倍となるまでの時間(時間)
測定に使用するコーンプレートの種類は100ポアズ、回転数は47rpmとし、測定温度は180℃である。
【0055】
(5)耐熱温度
所定の温度に設定したハンドガン(アサヒメルター70型)にてホットメルト接着剤を十分加熱溶融する。
ホットメルト接着剤Aは180℃にて溶融する。
ホットメルト接着剤Bは140℃にて溶融する。
溶融したホットメルト接着剤をクラフト紙に3g/mのビード形状で塗布し、直ちにクラフト紙を重ね1kg荷重で2秒間圧着する。
23℃雰囲気下に30分間放置し25mm幅に切断したものを試験片とした。
二液を混合する場合、十分加熱溶融したホットメルト接着剤A、及びホットメルト接着剤Bをクラフト紙に同時に所定の比率になる様、合計3g/mのビード形状で塗布し、直ちにクラフト紙を重ね1kg荷重で2秒間圧着する。
作製した試験片を180℃雰囲気の恒温槽に10分間放置した後、23℃雰囲気下に30分間放置し25mm幅に切断したものを試験片とした。
作製した試験片に100gの重しを剥離形状で吊るし、40℃から毎分0.5℃の昇温速度で温度を上昇させる。
重しの落下した温度を耐熱温度として表記した。
【0056】
(6)軟化点
R&B法(環球法)にて測定を行う。
測定に使用する機器は株式会社明峰社製作所製環球式自動軟化点試験器(型式:25D5−ASP−M4SP型)を使用する。
測定する際の昇温スピードは毎分5℃設定とする。
【0057】
本発明で用いる原材料は以下のとおりである。
a)エチレンメタクリル酸グリシジル共重合体(商品名:ボンドファストCG5001、住友化学株式会社製、MFR380g/10分(190℃、2.16g荷重)、エポキシ当量750)
b)エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名:エバフレックスEV410、三井デュポンポリケミカル株式会社製、MFR400g/10分(190℃、2.16g荷重)、VA含量19重量%)
c)エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン735、東ソー株式会社製、MFR1000g/10分(190℃、2.16g荷重)、VA含量28重量%)
d)水添テルペン樹脂(商品名:クリアロンP105、ヤスハラケミカル株式会社製)
e)ジシクロペンタジエン樹脂(商品名:ECR5300、エクソンモービル社製)
f)ロジンエステル樹脂(商品名:ペンセルGA100、荒川化学工業株式会社製、酸価15>mgKOH)
g)ロジン変性マレイン酸樹脂(商品名:ハリマックT80、ハリマ化成株式会社製、酸価170〜200mgKOH)
h)高酸価ロジン樹脂(商品名:パインクリスタルKE604B、荒川化学工業株式会社製、酸価230〜245mgKOH)
i)水添石油樹脂(商品名:アルコンSM10、荒川化学工業株式会社製)
j)ポリアミノアミド(商品名:トーマイド215X、富士化成工業株式会社製、アミン価245mgKOH)
k)フィッシャートロプシュワックス(商品名:サゾールワックスH1、サゾール社)
l)パラフィンワックス(商品名:パラフィンワックス155、日本精蝋株式会社製)
【0058】
(実施例1)
エチレンメタクリル酸グリシジル共重合(ボンドファストCG5001)を50重量部、水添テルペン樹脂(クリアロンP105)を50重量部、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、エチレン酢酸ビニル共重合(ウルトラセン735)を40重量部、ポリアミノアミド(トーマイド215X)を20重量部、水添石油樹脂(アルコンSM10)を30重量部、フィッシャートロプシュワックス(サゾールH1)を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分をホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分Aについて、180℃で初期溶融粘度及び24時間加熱時の溶融粘度を測定して24時間加熱時の溶融粘度変化率を算出した。また得られたホットメルト接着剤成分Bについて、140℃で同様にして24時間加熱時の溶融粘度変化率を算出した。またホットメルト接着剤成分A及びホットメルト接着剤成分Bについて、23℃60%RH条件下に30日間放置した後の保管粘度変化率を測定した。
上記で得られたホットメルト接着剤成分Aを80重量部と、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とを、表1に記載の温度において別々に液状にした溶融槽から吐出して液状物同士を混合し得られた組成物について180℃ゲル化係数、及び耐熱温度を測定した。
それぞれの測定結果を表1に記載した。
【0059】
(実施例2)
ボンドファストCG5001を60重量部、クリアロンP105を40重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、トーマイド215Xを20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを70重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを30重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0060】
(実施例3)
ボンドファストCG5001を60重量部、クリアロンP105を30重量部、サゾールワックスH1を10重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、トーマイド215Xを20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを90重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを10重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0061】
(実施例4)
ボンドファストCG5001を50重量部、クリアロンP105を30重量部、サゾールワックスH1を20重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、トーマイド215Xを20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0062】
(実施例5)
ボンドファストCG5001を60重量部、ECR5300を30重量部、サゾールワックスH1を10重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、トーマイド215Xを20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0063】
(実施例6)
ボンドファストCG5001を60重量部、クリアロンP105を30重量部、パラフィンワックス155を10重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、トーマイド215Xを20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0064】
(実施例7)
ボンドファストCG5001を60重量部、クリアロンP105を30重量部、サゾールワックスH1を10重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、ハリマックT80を30重量部、ペンセルGA100を20重量部、サゾールH1を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0065】
(実施例8)
実施例7において、ホットメルト接着剤成分BのワックスをサゾールワックスH1からパラフィンワックス155°Fに変更した以外は実施例7と同様にしてホットメルト接着剤成分A、及び成分Bを調製し、得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例7と同様の測定を行った。
各種測定の結果を表1に示した。
【0066】
(実施例9)
ボンドファストCG5001を40重量部、エバフレックスEV410を10部、クリアロンP105を30重量部、サゾールワックスH1を20重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、トーマイド215Xを20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、120℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0067】
(実施例10)
ボンドファストCG5001を40重量部、エバフレックスEV410を10部、クリアロンP105を30重量部、サゾールワックスH1を20重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、パインクリスタルKE604Bを30重量部、ペンセルGA100を20重量部、サゾールH1を10重量部を、140℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0068】
(比較例1)
ボンドファストCG5001を50重量部、クリアロンP105を50重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、ペンセルGA100を20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、140℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
これで得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bをスプレー状、ビード状、面状、シート状等何れかの方式で、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部混合し得られた組成物にて試験を実施した。
【0069】
(比較例2)
ボンドファストCG5001を50重量部、ペンセルGA100を30重量部、サゾールワックスH1を20重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、ペンセルGA100を20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、140℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0070】
(比較例3)
ボンドファストCG5001を2重量部、エバフレックスEV410を48部、クリアロンP105を30重量部、サゾールワックスH1を20重量部を、160℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Aとした。また、ウルトラセン735を40重量部、トーマイド215Xを20重量部、アルコンSM10を30重量部、サゾールH1を10重量部を、140℃に加熱した溶融設備で均一に混合した成分を、ホットメルト接着剤成分Bとした。
得られたホットメルト接着剤成分A、及び成分Bについて、実施例1と同様の測定を行った。ただしホットメルト接着剤成分Aと成分Bの混合割合は、ホットメルト接着剤成分Aを80重量部に対し、ホットメルト接着剤成分Bを20重量部とした。
各種測定の結果を表1に示した。
【0071】
【表1】

【0072】
試験の結果、実施例1から実施例10では、使用温度における加熱安定性、及び23℃、60%RH保管時の保管安定性に優れ、且つゲル化係数が高く架橋反応が速やかに進行していることが確認される。
また架橋反応が速やかに進行している事は耐熱温度においても確認する事ができる。
よって、本発明の意図する加熱安定性、保管安定性、速やかな反応性の全てを満たしていることが証明された。
【0073】
一方、比較例1、比較例2、比較例3では、成分A、及び成分B混合後のゲル化係数が小さく、本発明が意図する速やかな反応速度に到達していないことが確認される。
また、比較例2では、成分Aの溶融粘度変化率が高く、本発明が意図する加熱安定性に到達していないことが確認される。
【0074】
本試験結果より、保管安定性と加熱安定性に優れ、且つホットメルト接着剤の架橋反応が速やかに進行する二液混合型ホットメルト接着剤組成物を開発することができた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明により、保管安定性と加熱安定性に優れ、且つ迅速な反応性を示す反応性ホットメルト接着剤が提供される。
本発明により提供される反応性ホットメルト接着剤は、保管安定性と加熱安定性に優れ、且つ迅速な反応性を示す、二液混合型反応性ホットメルト接着剤組成物である。
本発明により、特殊な反応促進装置を必要とせず、従来のホットメルト接着剤が有していた問題点を解決した二液混合型反応性ホットメルト接着剤組成物が提供されるので、幅広い用途への展開が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ基を有するオレフィン共重合体及び粘着付与樹脂を含み、エポキシ基を有するオレフィン共重合体が、エポキシ基を有するオレフィン共重合体と粘着付与樹脂の合計量に対して5〜90重量%であるホットメルト接着剤組成物Aと、エポキシ硬化剤、及びオレフィン重合体を含み、エポキシ硬化剤が、エポキシ硬化剤とオレフィン重合体の合計量に対して5〜90重量%であるホットメルト接着剤組成物Bからなる二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記ホットメルト接着剤組成物Aが、180℃において測定したときの下記に示された24時間加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内であり、180℃において測定した溶融粘度がブルックフィールド社製自動粘度計で測定して1〜20Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
溶融粘度変化率(%)={(24時間加熱後の溶融粘度―初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤組成物Bが、140℃において測定したときの24時間加熱時の溶融粘度変化率が±20%以内であり、140℃において測定した溶融粘度がブルックフィールド社製自動粘度計で測定して1〜20Pa・sであることを特徴とする請求項1または2に記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
溶融粘度変化率(%)={(24時間加熱後の溶融粘度―初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
【請求項4】
前記ホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bが、23℃60%RH条件下に30日間放置した後の下記に示した保管粘度変化率が±20%以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
保管粘度変化率(%)={(保管後の溶融粘度−初期溶融粘度)/初期溶融粘度}×100
【請求項5】
前記ホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物BのR&B法によって測定した軟化点が、ともに70℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
前記ホットメルト接着剤組成物Bにおけるオレフィン重合体が、エチレン共重合物、プロピレン共重合物、ポリオレフィン類から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
前記ホットメルト接着剤組成物Aのエポキシ基を有するオレフィン共重合体のエポキシ当量が2000以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
前記ホットメルト接着剤組成物Bのエポキシ硬化剤が、分子内に酸及び酸無水物基を有する化合物、水酸基含有化合物、フェノール類、アミン類、ポリアミド類および硫黄系化合物から選ばれた少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
前記のエポキシ硬化剤の酸価、水酸基価、またはアミン価が150mgKOH以上である請求項8に記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
前記ホットメルト接着剤組成物Aが、さらにワックス、酸化防止剤、オイル類、着色剤および液状ゴム類から選ばれた少なくとも1種の成分を含んでいることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
前記ホットメルト接着剤組成物Bが、さらに粘着付与樹脂、ワックス、酸化防止剤、オイル類、着色剤および液状ゴム類から選ばれた少なくとも1種の成分を含んでいることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
温度が70℃以上である前記ホットメルト接着剤組成物Aと、温度が70℃以上である前記ホットメルト接着剤組成物Bを混合することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
ホットメルト接着剤成分Aが50〜95重量部、成分Bが50〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
前記ホットメルト接着剤組成物A及びホットメルト接着剤組成物Bが、混合後に測定した下記180℃ゲル化係数が5以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の二液混合型ホットメルト接着剤組成物。
180℃ゲル化係数=1/測定開始から溶融粘度が2倍となるまでの経過時間(時間)

【公開番号】特開2013−87172(P2013−87172A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227755(P2011−227755)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(598006473)旭化学合成株式会社 (6)
【Fターム(参考)】