説明

反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための方法

水中に良好に分散可能であって、特に、多彩な繊維製面状構造物の経済的かつできるだけ環境適合的な含浸および/またはコーティングに適した反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンを製造するための方法が開示される。さらに、本方法により、特に、衣料品、クッション表面、ライニングおよび/または医療、工業または軍用利用されるテキスタイル用の、特に良好な着用感ないし扱い易さを意図したとりわけソフトな、触感の点でレザーに類似し、さらに、好ましくは耐光性も具えた繊維製面状構造物の製造が可能となる。本方法はさらに、均一な、特に洗濯に強い、耐久的な難燃性、抗微生物性、防汚性または親水性仕上げ加工にも適している。そのため、ポリオールがジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる、またはポリオールがジオールおよび/またはトリオールと組み合わされてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられて、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造される。OHを末端基とするこのプレポリマーは外部乳化剤と混合され、OHを末端基とする該プレポリマーの後架橋反応のために、ジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加され、場合により前もって当該難燃剤、抗微生物剤、防汚剤または親水剤と混合されて、反応させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、国際公開第02/08327号パンフレット、米国特許第6,017,997号明細書、国際公開第01/27179号パンフレット、ドイツ特開第2931125号明細書および欧州公開第0962585号パンフレットに記載のポリウレタン分散液を製造するための公知の方法は通例、以下の段階を経て行われる。
【0003】
ポリオールと、さらに別のジオールたとえばジメチロールプロピオン酸と、ジイソシアネートとが反応させられる。反応によって、酸基と末端イソシアネート官能基とを有するプレポリマーが生ずる。イソシアネートを末端基とするプレポリマーは組み込まれた酸基によって水中に分散させられ、続いて、アミンおよび/または水と反応して鎖長延長がもたらされる。プレポリマーの粘度が比較的高いために、水中へのプレポリマーの分散には、粘度を低下させてプレポリマーが十分分散されるようにする有機溶剤が必要である。頻繁に使用される溶剤はN−メチル−2−ピロリドンであるため、市販のポリウレタン分散液は、約35重量%の固体含有量にて、なお約5重量%の溶剤含有量を有している。一部、爾後に蒸留によって大部分を除去することのできるアセトンも溶剤として使用される。ただし、その残りは依然として分散液中に残存している。
【0004】
ポリウレタン化学では、特別な添加剤の添加によって材料の特性を改善するのが通例である。テキスタイル含浸・コーティング分野にとってとりわけ興味深い特性は、難燃性、抗微生物性および防汚性または親水性である。ポリウレタンの難燃性仕上げ加工はフォームまたはコンパクト材料の場合に頻繁に使用される。その際、主として、ハロゲン含有難燃剤、リン含有難燃剤、ミネラルベース難燃剤および窒素含有難燃剤をベースとした添加剤ならびに泡沸系が使用される。たとえば文献、ドイツ公開第1812165号明細書は、リン化合物またはハロゲン化合物の添加による難燃性ポリウレタンフォームの製造を記載している。他方、ポリウレタンの抗微生物性仕上げ加工は銀イオンの添加によって達成されることが多い。文献、米国特許第2007/0092556号明細書には、銀イオンの添加によって抗微生物作用を保持すると共に、テキスタイルに非常に薄いポリウレタン層を被着するのに適したポリウレタン樹脂が記載されている。汚れを付き難くするための最適化に関しては、たとえば米国特許第3,968,066号明細書は、フルオロカーボンの添加によって疎水性の高められたテキスタイル含浸を開示している。
【0005】
他方、疎水性ポリウレタンプレポリマーに比較して、親水性のそれは一般に乳化が容易であるという利点を有する。文献中には、特に親水性プレポリマーに関して、水との混合に際して自発的に乳濁液に移行する事例さえも挙げられている(Kunststoff Hand−buch 7、ポリウレタン、Oertel,G.著、Carl Hanser出版、ミュンヘン、ウィーン、30−31)。親水性プレポリマーから製造された乳濁液のさらなる利点は、疎水性の系に比較して著しく優れた貯蔵保管安定性を有することである。したがって、イオン安定化に際して、イオン基は鎖長延長剤を経てポリマーに組み込まれる。これに関して、たとえば文献、ドイツ特許第2035732号明細書は、ジアミノスルホン酸塩と、乳化剤無含有のポリウレタン分散液製造に際するアニオン性構造要素としてのジアミノスルホン酸塩の使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/08327号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,017,997号明細書
【特許文献3】国際公開第01/27179号パンフレット
【特許文献4】ドイツ特開第2931125号明細書
【特許文献5】欧州公開第0962585号パンフレット
【特許文献6】ドイツ公開第1812165号明細書
【特許文献7】米国特許第2007/0092556号明細書
【特許文献8】米国特許第3,968,066号明細書
【特許文献9】ドイツ特許第2035732号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Oertel,G.著、Kunststoff Handbuch 7、ポリウレタン、Carl Hanser出版、ミュンヘン、ウィーン、30−31
【非特許文献2】Enders,H.;Wiest,H.K.著、Olabweisende Ausrustung mit Fluorchemi−kalien、MTB 41(1960)、p.1135〜1144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、好ましくは有機溶剤なしで水中に十分分散可能であって、特に、繊維製面状構造物の経済的かつできるだけ環境適合的な含浸および/またはコーティングに適した反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンを製造するための方法を提供することである。
【0009】
本願明細書において、含浸および/またはコーティングとは特に、テキスタイル全体の含浸ないし浸漬ならびに個々の繊維のコーティングである。これにより、特に均一な、被着量の点から見て比較的経済的な仕上げ加工が達成される。
【0010】
さらに、本方法により、好ましくは耐光性の、特にソフトな、触感の点でレザーに類似した−従来では特に溶液の凝集による微孔質構造の形成によってしか実現し得なかった−繊維製面状構造物の製造が可能となる。
【0011】
またさらに、本方法は同時に、難燃剤、抗微生物剤または殺生剤、親水剤または防汚剤の添加に特によく適していると共に、洗濯に強くかつ耐久的な難燃性、抗微生物性、親水性または防汚性仕上げ加工に適している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
繊維製面状構造物を含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための、本発明による方法は、ポリオールがジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによる、またはポリオールがジオールおよび/またはトリオールと組み合わされてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、該プレポリマーが外部乳化剤と混合され、OHを末端基とするプレポリマーの後架橋反応のためにジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加されることによって行われる。
【0013】
これにより、さらに、工業用、医療用、民生用または軍用テキスタイル、特に、クッション表面、ライニング、家具・マットレスならびにベッド用カバー、カーテン、床敷き、壁布、テント、地盤用シート、衛生または浄化用品あるいは機能性衣料たとえば制服または保護作業衣等への使用の点から見て、優れた着用感ないし扱い易さを保証する特にソフトな、触感の点でレザーに類似した繊維製面状構造物が製造可能となる。
【0014】
本方法の特別な実施態様において、多彩な繊維製面状構造物の特に経済的かつ環境適合的で均一な、とりわけ洗濯に強い、耐久的な難燃性含浸および/またはコーティングを可能とする繊維製面状構造物の難燃性仕上げ加工のための方法が提案される。
【0015】
好ましくは、繊維製面状構造物を難燃性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液の製造方法は、ポリオールが二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤の存在下においてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによる、またはポリオールがジオールおよび/またはトリオールならびに二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤と組み合わされてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、該プレポリマーが外部乳化剤と混合され、OHを末端基とするプレポリマーの後架橋反応のためにジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加されることによって行われる。
【0016】
その際、二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤は、使用されたポリオールと同様に付加反応を経てジイソシアネートと反応し、これにより、生成するプレポリマー鎖中に共有結合によって組み込まれる。続いて、生成したプレポリマーは外部乳化剤と混合され、好適には水中に分散させられ、繊維製面状構造物に対して卓越した含浸を可能とする低粘度の乳濁液が形成される。続いて、反応性ポリウレタン乳濁液によって含浸またはコーティングされた繊維製面状構造物は、OHを末端基とするプレポリマーの架橋のために、好ましくは加熱によって乾燥させられる。このポリウレタン乳濁液の形の塗設は、テキスタイルの繊維の表面に難燃層が均等に分布させられるという利点を供する。また、ポリマー母材に難燃添加剤を化学的に組み入れることにより、仕上げ加工されたテキスタイル上に耐久的で洗濯に強い繊維難燃層が形成される。
【0017】
驚くべきことに、得られたポリウレタンの結晶化は二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤の組み入れによって阻害され、これによって、とりわけその他の添加剤たとえばOH官能ポリシロキサンを添加する必要なしに、特にソフトな含浸ないしコーティングが得られることが判明した。その際、適切な難燃添加剤または難燃剤としては、難燃性を有すると共に双方それぞれの末端または側鎖に少なくとも2個の反応性ヒドロキシル基またはアミノ基を担持するすべての分子が思料可能である。
【0018】
好ましくは、二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤として、
− 特に一般式[P(O)(−R)(−R−OH)(−R−OH)](式中、R=H、1〜12個のC原子を有する分岐または非分岐アルキル基、6〜20個のC原子を有する置換または非置換アリール基、6〜30個のC原子を有する置換または非置換アラルキル基または6〜30個のC原子を有する置換または非置換アルカリル基であり、R,R=1〜24個のC原子を有する分岐または非分岐アルキレン基または6〜30個のC原子を有する置換または非置換アルカリレン基であり、ここでRとRとは同じであっても相違していてもよい)の二または三OHまたはNH末端基ホスフィンオキシドが使用される。
【0019】
さらにまた、好ましくは、二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤として、
− 特に、n=2〜20、好ましくは2〜10である一般式[P(O)(−OR−O−R−O]−P(O)(OR(式中、R=2〜10個のC原子を有する分岐または非分岐ヒドロキシアルキル基であり、R=2〜10個のC原子を有するアルキレン基である)の二または三OHまたはNH末端基リン酸オリゴマーが使用される、または
− 二または三OHまたはNH末端基トリアリールホスフェート、
− 二OHまたはNH末端基ジアリールアルキルホスフェートまたは
− 特に一般式HO−R−O−[P(O)(R)−O−R−O−]P(O)(R)−O−R−OHの反応性P(III)燐ポリオールたとえば(Clariant社の)Exolit OP 560が使用される。
【0020】
上記の枚挙は若干の代表例を含んでいるにすぎず、OHまたはNHを末端基とする想定可能なすべての難燃剤をカバーするものではない。
【0021】
リン含有難燃剤は簡単に言えば、一方で、吸熱縮合によって材料上にそれ自体ですでに酸素と熱に対するバリアーを形成するポリホスホン酸からなる堅牢な表面層が形成されるように作用する。他方で、このポリホスホン酸はポリマーの官能基の脱離を触媒して炭化をもたらす。その際に生成する炭化層は火元に対するポリマーの物質的・エネルギー的遮蔽をもたらし、ポリマーが燃焼、溶融して滴下するのを防止する。
【0022】
好適には、二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃添加剤または難燃剤は、テキスタイルの総重量を基準にして、10重量%〜50重量%、好ましくは15重量%〜35重量%の量にて使用される。
【0023】
使用量が10重量%を下回る場合、難燃剤の含浸はそれほど良好な難燃効果を示さないが、10重量%以上になると、含浸済みのテキスタイルのソフトでベロア様の触感と同時に、所望の難燃効果が達成される。使用量が35重量%を超えると、含浸量の高まりによってテキスタイルは引き続きソフトなままであるが、その触感はどちらかといえばゴム様ないしシリコン様となる。
【0024】
洗濯テストが実施され、その際、ポリウレタン乳濁液で含浸されたEvolon(登録商標)ベースの不織布(Freudenberg社のポリエステル−ポリアミド混合物からなるマイクロファイバーテキスタイル)が40℃、60℃および90℃にて10回の洗濯サイクルに付された。その際、繊維上のコーティングの剥離は観察されなかった。
【0025】
以下に述べる従来の技術による市販の難燃性繊維材料の短所たとえば難燃剤の移動ないし洗脱およびそれと結びついた環境負荷は本発明の特別な実施態様によってまさしく回避される。
従来の技術からする難燃溶融添加剤はたとえば溶融体からのテキスタイル繊維ないし繊維材料の製造中に添加され、これによって確かに、粒子の形の難燃剤の、当該繊維材料全体内における均等な分布がもたらされるが、これらは共有結合によって組み込まれているわけではない。この方法の短所はさらに、粒子の形の難燃化学薬剤はその均等な分布によって、表面のみに集積しているのではなく、僅かな効果しか発揮しないポリマーの内部にも存在するため、比較的多量の、多くの場合に高価な難燃化学薬剤が必要とされることである。
難燃剤は、長時間にわたって、分解することなく、多くの場合高い溶融温度に耐えるべく、温度安定的でなければならない。さらに、火災時におけるポリマーの滴下は難燃溶融添加剤によっては防止されない。溶融温度に達すると、まさに、ポリマーは軟化し、続いて、滴下するに至る。均等に分布された難燃剤は、これを防止するのに十分な絶縁作用ないし冷却作用を達成することができない。
従来の技術による溶融添加剤は、時間が経つにつれてポリマー外に移動して繊維の耐火特性が劣化しないようにすべく、当該ポリマーに合わせて最適調整されなければならない。
材料特性の比較的僅かな変化は、難燃剤がコモノマーとして紡織ポリマー中に組み込まれる場合に得られる。ただし、これには難燃溶融添加剤の場合と同様に高い使用量が求められる。さらに、これらの難燃性ポリマーは非常に高価であり、しかもこれらの材料にあっても火災時の滴下は防止されない。この点で公知に属するのは、特にTrevira CS繊維(Trevira GmbH社ないしHoechst AG社の、酸成分の3重量%〜20重量%で主鎖中に縮合組み込みされた脂肪族カルボキシル官能ホスフィン酸塩。たとえばドイツ公開第3940713号明細書、参照)およびUlkanol ES−PET繊維(Schill und Seilacher社の、12.2重量%リンを有する側鎖中の芳香族ホスフィン酸塩、たとえばドイツ公開第10330774号明細書、参照)である。
不織布は生来の難燃性繊維たとえばアラミド繊維、グラスファイバーまたはメラミン繊維の使用によっても難燃性を得ることができる。ただし、この場合の短所は一方で、繊維の価格が高いことであり、他方で、使用された繊維の着用感に関する多くの場合に不適なテキスタイル特性である。グラスファイバーはたとえば手触りが粗く、皮膚を刺激する。
【0026】
上述した3種の仕上げ加工法に比較して、コーティングとして難燃剤を塗設する方法は遥かに経済的である。その際、難燃剤は単にテキスタイル表面にあるのみであり、それゆえ、被着された場所で作用するにすぎない。コーティングによれば、難燃添加剤の選択は著しく自由になる。というのも、それは粒子として存在することも可能であり、添加剤の早期の分解をもたらすような高い溶融・紡織温度に対する耐久性を有する必要もないためである。さらに、さまざまなテキスタイルに単一のコーティングで被着することが可能であり、これによってその使用は大幅にフレキシブルなものとなる。
【0027】
他方、繊維表面への難燃剤の均等な分布ならびにコーティングの耐洗濯性は難題であるが、これは本発明による好ましい実施態様によって達成される。
反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンを製造するための、かつまた特に、繊維製面状構造物を難燃性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンを製造するための方法の好ましい別途または追加実施態様において、多様な繊維製面状構造物の特に経済的かつ環境適合的で均一な、とりわけ洗濯に強い、耐久的な抗微生物性含浸および/またはコーティングを可能とする繊維製面状構造物の抗微生物性仕上げ加工のための方法が提案される。
好適には、繊維製面状構造物を抗微生物性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための方法は2種の異なったやり方で行われる。
【0028】
第1に、合成は好ましくは、イソシアネートの付加を行うことのできる2個以上の官能基を有する抗微生物剤または殺生剤の存在下においてポリオールがジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによる、またはポリオールがジオールおよび/またはトリオールならびに、イソシアネートの付加を行うことのできる2個以上の官能基を有する抗微生物剤または殺性剤と組み合わされて、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、該プレポリマーが外部乳化剤と混合され、OHを末端基とするプレポリマーの後架橋反応のためにジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加されることによって行うことができる。
【0029】
イソシアネートの付加を行うことのできる官能基としては、特に、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基および/またはスルフィド基、好ましくはヒドロキシ基またはアミノ基が提案される。
【0030】
その際、抗微生物剤とは、微生物の増殖力または感染力を低下させる、またはそれらを死滅させる、ないし不活化する物質と理解される。抗微生物物質に属するものは、バクテリアに対する抗生物質および、菌類・病原性酵母菌に対する抗真菌物質である。さらに、すべての抗寄生虫物質は抗微生物物質に数え入れられると共に、寄生蠕虫類に対する抗蠕虫物質および病原性アメーバに対する抗原虫物質もそれに数え入れられる。直接的な固有治療法に用いられるこれらの物質群と並んで、すべての殺菌剤も等しく抗微生物物質に数え入れられる。これらの物質は上述した病原体のほかに、ウィルスも不活化することができる。
【0031】
殺生剤とは非農業分野における有害生物駆除に使用される作用物質、化学薬剤および、有害生物たとえば鼠、昆虫、菌類、微生物等に対抗する抗生物剤であり、したがって、たとえば殺菌剤、殺鼠剤または木材防虫剤である。ここで、殺生剤とは、化学的または生物的方法で有害生物を駆逐、抑止または無害化する、有害生物を防止する、またはその他の方法で駆除することを目的とした作用物質または調製物と理解されるべきである。
【0032】
二または多ヒドロキシ官能、アミノ官能、カルボキシ官能および/またはスルフィド官能抗微生物剤または殺生剤は、先に述べた方法に際し、使用されたポリオールと同様に付加反応を経てジイソシアネートと反応し、こうして、重合を終了させることなく、生成するプレポリマー鎖に共有結合によって組み込まれる。これによって化合物は、環境に放出されたり、環境を汚染したりすることなく、接触活性作用する。
【0033】
好ましくは、抗微生物剤または殺生剤として、炭素原子10個以上の長さを有する少なくとも1個のアルキル基ならびにイソシアネートの付加を行うことのできる2個以上の官能基、好ましくはOH基またはNH基を置換基中に有する第四級アンモニウム化合物ないしピリジニウム化合物が使用される。
【0034】
本方法によって生成したプレポリマーは外部乳化剤と混合され、好ましくは、水中に分散させられ、これによって、繊維製面状構造物に対して卓越した含浸を可能とする低粘度の乳濁液が形成される。
【0035】
好ましくは組み込まれた第四級アンモニウム化合物は、特にその界面活性剤様構造ないし両性構造によって、水性分散液を安定化し、使用されたプレポリマーの乳化性の改善をもたらすことが判明した。
【0036】
好適には、上述した抗微生物剤または殺生剤は、テキスタイルの総重量を基準にして、2重量%〜15重量%、好ましくは5重量%〜10重量%の量にて使用される。使用量が2重量%を下回る場合、抗微生物剤または殺生剤の含浸は特段に良好な抗微生物作用ないし殺生作用を示すことはないが、2重量%以上になると、含浸済みのテキスタイルのソフトでベロア様の触感と同時に、所望の抗微生物作用ないし殺生作用が達成される。このポリウレタン乳濁液の形の塗設は、テキスタイルの繊維の表面に抗微生物性または殺菌性仕上げ加工が均等に施されるという利点を供する。
【0037】
抗微生物作用は概括して以下のように述べることができる:
a)表面への吸着、
b)細胞壁を通じての拡散、
c)細胞質膜への結合、
d)細胞質膜の不安定化、
e)Kイオンならびに細胞質膜のその他の成分の遊離および
f)たとえばバクテリア細胞の細胞死。
【0038】
OHを末端基とする乳濁化されたプレポリマーの架橋は、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートの添加と、含浸またはコーティングされたテキスタイルの好ましくは加熱によって行なわれる。
【0039】
繊維製面状構造物を抗微生物性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための好適な別方法では、ポリオールがジオールおよび/またはトリオールと組み合わされてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、プレポリマー製造中に抗微生物添加剤または殺生剤の添加が行われない。
【0040】
こうして得られたプレポリマーは上述の方法と同様にして乳化され、続いて、上述の方法とは異なり、好ましくは前もって、すなわち、乳化後かつトリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとの混合前に、イソシアネートの付加を行うことのできる1個の官能基を有する抗微生物剤または殺生剤と化学量論的不足下で反応させられたトリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと混合される。イソシアネートの付加を行うことのできる官能基としては、特に、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基および/またはスルフィド基、好ましくはヒドロキシ基またはアミノ基が思料可能である。
【0041】
すでに上述したように、OHを末端基とする貯蔵保管安定性を有するプレポリマーを得るために、ポリウレタンプレポリマーの製造はNCOの化学量論的不足下で開始されなければならない。ただし、NCOが化学量論的に不足している場合には、単官能抗微生物添加剤または殺生剤の前もっての添加に際し、特にプレポリマー製造時の添加に際し、完全な組み入れは保証され得ない。結果、特に、爾後の乳濁液中におけるモノマー抗微生物添加剤または殺生剤の存在ならびに、共有結合によって組み込まれた僅かなプレポリマー中含有量の抗微生物剤または殺生剤がもたらされるであろう。
【0042】
ここで、ジイソシアネートはポリウレタン乳濁液を架橋するために好ましくは使用されない。一般に、線状鎖長延長によれば、比較的硬質の製品が生成するであろう。三官能または多官能イソシアネートによる架橋の場合には、比較的軟質の製品をもたらす架橋された系が生成する。その理由は、分岐による結晶化の阻害である。
【0043】
抗微生物性ないし殺生性仕上げ加工において、ジイソシアネートが使用される場合、一方のNCO基は抗微生物添加剤または殺性剤と反応し、他方のNCO基はOHを末端基とするプレポリマーと反応すると思料されることから、連鎖停止と共に機械的特性の損失さえももたらし得るであろう。これによって、プレポリマー分子の連鎖末端にはジイソシアネート・ブリッジを経て確かにそれぞれ抗微生物添加剤分子または殺性剤分子が組み込まれるであろうが、鎖長延長はもはや不可能であろう。
【0044】
繊維製面状構造物はこの方法変種においても、好ましくは反応性ポリウレタン乳濁液の含浸またはコーティングが行われ、OHを末端基とするプレポリマーの後架橋のために乾燥させられる。
【0045】
好適には、単官能抗微生物剤または殺生剤として、炭素原子10個以上の長さを有する少なくとも1個以上のアルキル基ならびに、イソシアネートの付加を行うことのできる1個以上の官能基たとえばヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基および/またはスルフィド基を置換基中に有する第四級アンモニウム化合物ないしピリジニウム化合物が使用される。特に好ましいのは、単OHまたはNH官能基である。
【0046】
単官能第四級アンモニウム化合物とトリイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応は、好ましくは窒素雰囲気下で、好ましくは極性非プロトン性溶媒中で、好ましくは60℃にて2日間にわたって行われる。反応時間は触媒の添加ないし温度の引き上げによって著しく短縮し得ることは言うまでもない。
【0047】
イソシアネート基とイソシアネートの付加を行うことのできる第四級アンモニウム化合物の官能基とのモル比は、3:1.5〜3:0.5、特に好ましくは3:1〜3:0.9である。
【0048】
溶媒としては、基本的にすべての極性非プロトン性溶媒が思料可能である。ただし、反応終了後に容易に除去可能であると共に作業ならびに環境に害をもたらすことが最も少ないその種の溶媒が好ましい。その際、最も好ましいのは、たとえばブチラールなどの溶媒である。
【0049】
好適には、イソシアネートの付加を行うことのできる官能基を有する抗微生物剤または殺生剤は、テキスタイルの総重量を基準にして、2重量%〜15重量%、好ましくは5重量%〜10重量%の量にて使用される。使用量が2重量%を下回る場合、抗微生物剤または殺生剤の含浸は所望の抗微生物作用ないし殺生作用を示すことはないが、2重量%以上になると、含浸済みのテキスタイルのソフトでベロア様の触感と同時に、所望の抗微生物作用ないし殺生作用が達成される。
【0050】
いずれの合成方法の場合にも、ポリマー母材に抗微生物添加剤または殺生剤を化学的に組み入れることにより、仕上げ加工された繊維製面状構造物にとって、微生物ないし生体環境破壊物質による被害に対する繊維の、洗濯に強くかつ耐久的ないし永続的な保護が保証されることになる。そこで洗濯テストが実施され、その際、ポリウレタン乳濁液で含浸されたEvolon(登録商標)ベースの不織布(Freudenberg社のポリエステル−ポリアミド混合物からなるマイクロファイバーテキスタイル)が40℃、60℃および90℃にて10回の洗濯サイクルに付された。その際、繊維上のコーティングの剥離は観察されなかった。
【0051】
以下に述べる従来の技術による市販の抗微生物性仕上げ加工された繊維材料の短所たとえば殺生剤の移動ないし洗脱およびそれと結びついた環境負荷は、本発明による好ましい抗微生物性実施態様によって回避される。
抗微生物性仕上げ加工されたテキスタイルは、現在ますます普及しつつある。発汗に起因する臭気形成の減少、感染防止または皮膚疾患たとえば神経皮膚炎の治療すらもこうしたテキスタイル開発の理由である。通例、こうした抗微生物性仕上げ加工されたテキスタイルの基礎を成しているのは、製造過程において抗微生物添加剤が添加された、または表面が抗微生物作用物質でコーティング加工された繊維材料である。
最初に挙げたケースにあっては、特に高い頻度で、トリクロサンたとえばRhovyl(登録商標)AS(Rhovyl社)またはAmicor(登録商標)(Ibena社、Textilwerke Beckmann GmbH社)を有した系あるいは銀化合物たとえばMeryl(登録商標)Skinlife(Nylstar社)、Trevira bioactive(Trevira社)を有した系が実現される。
繊維コーティングは、ほとんどの場合、金属または金属塩をベースとして行われる。その例は、tex−amed社のPadycare(登録商標)製品(銀メッキ・テキスタイル)またはR.STAT(硫化銅でコーティングされた繊維材料)である。一般に、ポリマー繊維材料に低分子抗微生物物質を被着する場合の短所は、それが共有結合によって固定されないために、洗脱・移動プロセスを経てテキスタイルから永久的に取り除かれ得ることである。これにより、時間が経つにつれて作用物質は消尽され、材料の効果が失われると同時に環境の汚染がもたらされる。同様の問題はコーティングされたその他の繊維の場合にも生じるが、それは作用物質が共有結合によって周囲ポリマー母材に組み込まれていないために、たとえば着用中または洗濯プロセスに際して生ずる機械負荷によってコーティングが剥離されるからである。
【0052】
繊維製面状構造物を特に難燃性および/または抗微生物性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンを製造するための方法の好ましい別途または追加実施態様において、繊維製面状構造物の親水性仕上げ加工のための方法が提案される。
【0053】
好ましくは、繊維製面状構造物を親水性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための方法は、親水剤としての極性非イオン性コポリマーの存在下においてポリオールがジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによる、またはポリオールがジオールおよび/またはトリオールならびに親水剤としての極性非イオン性コポリマーと組み合わされてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによる、またはポリオールとしての親水性ポリエーテルポリオールがジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、該プレポリマーが外部乳化剤と混合され、OHを末端基とするプレポリマーの後架橋反応のためにジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加されることによって行われる。
【0054】
その際、親水剤として使用される極性非イオン性コポリマーないし親水性ポリエーテルポリオールは、付加反応を経て、ジイソシアネートと反応し、こうして、生成するプレポリマー連鎖中に共有結合によって組み込まれる。続いて、生成したプレポリマーは外部乳化剤と混合され、好ましくは水中に分散させられ、これにより、繊維製面状構造物に対して卓越した含浸またはコーティングを可能とする低粘度の乳濁液が形成される。
【0055】
反応性ポリウレタン乳濁液によって含浸またはコーティングされた繊維製面状構造物は、OHを末端基とするプレポリマーの架橋のために加熱によって乾燥させられる。ここで、反応性ポリウレタン乳濁液とは、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと混合され、乳化された、OHを末端基とするプレポリマーと理解される。
【0056】
親水剤としては、好ましくは、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンをベースとした親水性ポリエーテルポリオールないしそれらの誘導体または分子量400〜6000のコポリマーが使用される。
【0057】
好適には、共有結合によってプレポリマー分子の主鎖中、または側鎖の形で組み込まれる分子量600〜2000の親水性ポリエーテルポリオールが使用される。特に好ましいのはポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの使用であり、とりわけ特に好ましいのはポリエチレングリコールの使用である。
【0058】
非イオン性極性コポリマー好ましくはポリエチレングリコールの組み込みによって生ずるプレポリマーの親水性により、乳濁液は遥かに容易に製造可能であり、それはまた疎水性の系に比較して著しく高い貯蔵保管安定性の点で卓越している。こうした貯蔵保管安定性の向上現象は、極性非イオン基の組み込みによってポリウレタン粒子同士の反発力が高まり、これによって凝集傾向が低下し、その毛か乳濁液が安定化されると説明することができる。なお、非イオン性乳濁液の利点は、凍結、pH変動および電解質添加に対するその安定性の点にもある。
【0059】
ポリオール・ベースとして純粋なポリエチレングリコールを使用する場合、非常に親水性の高い製品が得られるが、これはたとえば剥離挙動に関して機械的特性が劣っていることがある。したがって、最終製品中でたとえば剥離挙動に関してより優れた特性を有するどちらかといえば疎水性のポリオールたとえばポリカプロラクトンおよび/またはポリテトラヒドロフランならびに親水性ポリエーテルポリオール特にポリエチレングリコールからなるコンビネーションが親水性を改善するために特に好ましい。
【0060】
好適な実施形態では、親水剤は、プレポリマーの総量を基準にして、5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜35重量%の量にて使用される。使用量が5重量%を下回る場合、親水剤の含浸は特段に良好な親水性を示すことはないが、5重量%以上になると、含浸済みのテキスタイルのソフトでベロア様の触感と同時に、所望の親水性が達成される。使用量が35重量%を超えると、含浸量の高まりによってテキスタイルは引き続きソフトなままであるが、その触感はどちらかといえばゴム様ないしシリコン様となる。
【0061】
ポリマー母材への特にポリエチレンオキシド単位の化学的組み入れによって耐久的な親水性が保証される。乳濁液の貯蔵保管安定性は、特に疎水性ポリオールとポリジメチルシロキサンとのコンビネーションをベースとする疎水性変種に比較して、著しく高まっている。さらに、含浸済みのテキスタイルの水蒸気透過性は向上する。
【0062】
繊維製面状構造物を特に難燃性および/または抗微生物性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための方法の好ましい別途または追加実施態様において、多彩な繊維製面状構造物の特に経済的かつ環境適合的で均一な、とりわけ洗濯に強い特に汚れ防止性含浸および/またはコーティングを−とりわけソフトな触感に不適な影響を及ぼすことなく−可能とする繊維製面状構造物の防汚性仕上げ加工のための方法が提案される。
【0063】
好ましくは、繊維製面状構造物を防汚性含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための方法は、ポリオールが二または多OH官能難燃剤またはNH官能防汚剤の存在下においてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによる、またはポリオールがジオールおよび/またはトリオールならびに二または多OH官能難燃剤またはNH官能防汚剤と組み合わされてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、該プレポリマーが外部乳化剤と混合され、OHを末端基とするプレポリマーの後架橋反応のためにジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加されることによって行われる。
【0064】
ここで、テキスタイルまたはその他の表面における望ましくないすべての異物は汚れと称される。汚れは数多くのさまざまな個別成分から合成されているため、一義的に定義し得る物質ではない。文献(Enders,H.;Wiest,H.K.、フッ素化学薬剤による防油仕上げ加工、MTB41(1960)、p.1135〜1144)に基づいて区分することができるその際、二または多OH官能難燃剤またはNH官能防汚剤は、使用されたポリオールと同様、付加反応を経てジイソシアネートと反応し、これにより生成するプレポリマー鎖中に共有結合によって組み込まれる。続いて、生成したプレポリマーは外部乳化剤と混合され、好適には水中に分散させられ、これによって、繊維製面状構造物に対して卓越した含浸を可能とする低粘度の乳濁液が形成される。
【0065】
反応性ポリウレタン乳濁液によって含浸またはコーティングされた繊維製面状構造物は、OHを末端基とするプレポリマーの架橋のために、加熱乾燥させられる。ここで、反応性ポリウレタン乳濁液とは、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと混合され、乳化された、OHを末端基とするプレポリマーと理解される。このポリウレタン乳濁液の形の塗設は、テキスタイルの繊維の表面に防汚剤ないし汚れ防止層が均等に分布するという利点を供する。
【0066】
ポリマー母材に防汚材を化学的に組み入れることにより、耐久的で洗濯に強い繊維防汚が保証される。その際、適切な防汚剤または汚れ防止剤としては、爾後のポリウレタンの防汚性を改善すると同時に双方それぞれの末端または場合により存在する側鎖に2個または3個の反応性ヒドロキシル基またはアミノ基を有するすべての分子が思料可能である。
【0067】
従来の技術において疎水化剤として使用されたパラフィン乳濁液および脂肪改質されたセルロース架橋剤によって良好な撥水性と高い耐水圧性が達成可能であることは確かであるが、特にドライクリーニング後の耐久性は限定されている。これに対して、本発明によれば、防汚剤として、好ましくは、二または多OH官能難燃剤またはNH官能フッ化ポリオール特に、フッ化ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはポリテトラメチレンオキシドをベースとした直鎖または分岐ペルフルオロポリオールまたはそれらの、特にエチレンオキシドで末端キャッピングされた、分子量500〜6000、特に好ましくは分子量2000〜3000のコポリマーが使用される。
【0068】
その際、市販のフッ化ポリオールとして、たとえばポリ(エチレンオキシドメチレンオキシド)コポリマーたとえば一般式X−CF−O−(CF−CF−O)−(CFO)−CF−Xを有する、反応性OH基で末端キャッピングされたSolvay Solexis社のFormblin(登録商標)が挙げられる。ここで、末端基Xは官能基−CH−OH(Solvay Solexis社のFormblin Z DOL 2000,2500,4000)、−CH−(O−CH−CH−OH(Solvay Solexis社のFormblin Z DOL TX)および−CH−O−CH−CH(OH)−CH−OH(Solvy Solexis社のFormblin Z Tetraol)に等しい。
【0069】
その他の適切なフッ化ポリオールはたとえば3M Corporation社のタイプL−12075ないしDuPont社のMPDポリオールである。
【0070】
全面的にフッ素化された系のほかに、フッ素化された側鎖を有するポリオールたとえば、一般式HO−[CHC(CH)(CH−O−CH−CF)CH−O]−CH−C(CH−CH−[O−CHC(CH3)(CH−O−CH−CF)CH−OHおよびHO−[CHC(CH)(CH−O−CH−CF−CF)CH−O]−CH−C(CH−CH−[O−CHC(CH)(CH−O−CH−CF−CF)CH−OH(式中、xとyの和は約6((PolyFox PF−636およびPolyFox PF−656)または20(PolyFox PF−6320およびPolyFox PF−6520)である)を有するOMNOVA社の製品も適切である。
【0071】
全面的にフッ素化された系に比較して、OMNOVA製品はポリオールと良好に混合可能であるが、フッ素化された炭素原子の含有量が僅かであるために防汚性の低下が際立っている。
【0072】
好適には、二または多OH官能難燃剤またはNH官能防汚剤は、プレポリマーの総量を基準にして、5重量%〜85重量%、好ましくは10重量%〜20重量%の量にて使用される。
【0073】
使用量が5重量%を下回る場合、防汚剤の含浸はそれほど良好な防汚性を示さないが、5重量%以上になると、含浸済みのテキスタイルのソフトでベロア様の触感と同時に所望の防汚性が達成される。
【0074】
難燃性、抗微生物性、親水性または防汚性仕上げ加工なしのまたはこれらの仕上げ加工と組み合わされた反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンを製造するための方法の好ましい実施態様はさらにその他の従属請求項に開示されている。
【0075】
低分子プレポリマーの製造には、好ましくは、室温にて短鎖の液状ポリオールのほかに、室温にて固体の高分子ポリオールも使用される。
【0076】
好ましくは、これらの方法に際し、疎水性ポリオールが使用される。
【0077】
好適には、これらの方法において、
− 分子量400〜6000のポリアジペート、
− 分子量450〜6000のポリカプロラクトン、
− 分子量450〜3000のポリカーボネート、
− 分子量800〜4000の、ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなるコポリマー、
− 分子量450〜6000のポリテトラヒドロフラン、
− 分子量400〜6000の、疎水性ポリエーテルポリオール、特に、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールよりも長いアルキレン単位を有するポリエーテルポリオールならびにそれらのコポリマー、
− 分子量400〜6000の脂肪酸エステルおよび/または
− 分子量340〜4500の有機末端基官能ポリシロキサン
をベースとしたポリオールが使用される。
【0078】
それぞれ使用されるポリオールは好ましくは液体の形で前もって与えられる。
【0079】
好適には、ポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールと組み合わされずにまたは組み合わされて、ならびに、OH官能難燃剤、抗微生物剤、親水剤または防汚剤と組み合わされずにまたは組み合わされて、ジイソシアネートとOH/NCOモル比2:1〜6:5にて反応させられる。これは、好ましくは、
− ポリオールがジイソシアネートと、または
− ポリオールがジオールおよび/またはトリオールおよびジイソシアネートと組み合わされて、または
− ポリオールと、OH官能難燃剤、抗微生物剤または殺生剤、防汚剤または親水剤特に極性非イオン性コポリマーたとえば特にポリエーテルポリオールとからなるコンビネーションがジイソシアネートと、または
− ポリオールと、ジオールおよび/またはトリオールならびにOH官能難燃剤、抗微生物剤または殺生剤、防汚剤または親水剤特に極性非イオン性コポリマーたとえば特にポリエーテルポリオールとからなるコンビネーションがジイソシアネートとそれぞれOH/NCOモル比2:1〜6:5にて反応させられることを意味している。
【0080】
ここで、外部乳化剤の添加とは、OHを末端基とするプレポリマーが洗脱性乳化剤と混合され、その際、乳化剤はポリウレタン鎖中に組み込まれないと理解される。
【0081】
この方法ステップに際し、イソシアネートはポリオールと完全に反応するために、乳化剤がポリウレタン鎖中に組み込まれることはない。また、プレポリマー中の遊離OH基と乳化剤との反応も不可能である。
【0082】
重要な点は、プレポリマーが−プレポリマー・乳化剤混合物に、好ましくは特に分散板または遠心ミキサーでの高速攪拌によるせん断力の作用下で、緩慢に、好ましくは水が添加される前に、先ず乳化剤と完全に均等に混合されることである。水中へのプレポリマーの分散時ないし分散後に鎖長延長ステップは行われない。ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
【0083】
プレポリマー乳濁液には、さらなる方法ステップにおいて初めて、後架橋反応のためにジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートが添加される。
【0084】
ポリオールを、ジオールおよび/またはトリオールと組み合わせずにまたは組み合わせて、ならびに、OH官能難燃剤、抗微生物剤、防汚剤または親水剤と組み合わせずにまたは組み合わせてジイソシアネートと反応させるため、特に、優れた環境適合性と優れた耐光性とを顧慮して、好適には脂肪族、脂環式および/または非芳香族へテロ環式ジイソシアネートが使用される。好ましくは、ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび/またはそれらの異性体混合物が使用される。
【0085】
これは、好ましくは、
− ポリオールがジイソシアネートと、または
− ポリオールがジオールおよび/またはトリオールおよびジイソシアネートと組み合わされて、または
− ポリオールと、OH官能難燃剤、抗微生物剤または殺生剤、防汚剤または親水剤特に極性非イオン性コポリマーたとえば特にポリエチレングリコールとからなるコンビネーションがジイソシアネートと、または
− ポリオールと、ジオールおよび/またはトリオールならびにOH官能難燃剤、抗微生物剤または殺生剤、防汚剤または親水剤特に極性非イオン性コポリマーたとえば特にポリエチレングリコールとからなるコンビネーションが上述したジイソシアネートとそれぞれ反応させられることを意味している。
【0086】
好ましくは、OHを末端基とするプレポリマーを製造するために、ポリオールはジオールおよび/またはトリオールと組み合わせずにまたは組み合わせて、ならびに、OH官能難燃剤、抗微生物剤、防汚剤または親水剤と組み合わせずにまたは組み合わせて、80℃〜140℃、好ましくは120℃にて、ジイソシアネートと反応させられる。触媒の添加は不要であるという利点もある。
【0087】
ポリオールおよび思料可能なその他のOH官能剤とジイソシアネートとの完全な反応が行われた後、なお遊離OH基を有すると共に、本願明細書において中粘度プレポリマーと称される70℃〜85℃にて5000mPas〜30000mPasの平均粘度を有する低分子プレポリマーが得られる。
【0088】
遊離した、したがって有毒なイソシアネートは、このようにして得られるOHを末端基とするプレポリマー中において、反応が完全に終了した後にあってはもはや認められない。したがって、たとえばSpielberger式のイソシアネート含有量測定(DIN 53185(1974)ないしEN ISO 11909)を反応体が完全に反応したか否かを判定する判定基準として利用することができる。
【0089】
プレポリマーは続いて好ましくは約80℃に冷やされるが、その際、プレポリマーはこの温度にて5000mPas〜30.000mPasの平均粘度を有している。この粘度により、その後の乳化プロセスに稀釈用の有機溶剤は不要であるという利点が得られ、これによって、水のみをベースとする特に環境適合的な方法が可能である(いわゆる「環境に優しい化学」)。
【0090】
OHを末端基とするプレポリマーを水中に分散させるため、プレポリマーはあらかじめ外部乳化剤または乳化剤混合物と混合される。ここで、外部乳化剤の添加とは、OHを末端基とするプレポリマーが洗脱性乳化剤と混合され、その際、乳化剤はポリウレタン鎖中に組み込まれないと理解される。この方法ステップに際し、イソシアネートはポリオールと完全に反応するため、乳化剤がポリウレタン鎖中に組み込まれることはない。また、プレポリマー中の遊離OH基と乳化剤との反応も不可能である。
【0091】
本方法の好ましい実施態様において、重量比100のプレポリマーを基準として、重量比2.5〜15の乳化剤、好ましくは重量比5〜10の乳化剤が使用される。好ましくは、アニオン性および/または非イオン性乳化剤が使用される。好ましくは、本方法に際し、脂肪アルコールエトキシレート・ベースおよび/またはナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤が使用される。
【0092】
驚くべきことに、抗微生物作用または殺生作用を有する第四級アンモニウム化合物をポリマー鎖中に有するプレポリマーは、第四級アンモニウム化合物の組み込まれていない同等なプレポリマーに比較して、遥かに優れた乳化挙動を有することが確認された。こうした挙動は第四級アンモニウム化合物の界面活性剤様構造によって説明することができる。したがって、それはイオン性乳化剤たとえばナトリウムラウリルスルフェートと同様に作用し、組み込まれた乳化剤ならびに殺生剤ないし抗微生物剤としての二重機能を果たす。
【0093】
とりわけ、もたらされる含浸および/またはコーティングに親水性が所望される場合、ポリウレタン含浸および/またはコーティングのための爾後の架橋に際してポリマー網状組織中に組み込まれ、もたらされる含浸および/またはコーティングの親水性をさらに強化するヒマシ油エトキシレート・ベースの乳化剤でも良好な経験が得られた。
【0094】
あらゆる方法変種につき、重要な点は、プレポリマーが−プレポリマー・乳化剤混合物に、好ましくは特に分散板での高速攪拌によるせん断力の作用下で、緩慢に、好ましくは水が添加される前に、先ず乳化剤と完全に均等に混合されることである。ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
【0095】
水中へのプレポリーの分散時ないし分散後に鎖長延長ステップは行われない。プレポリマー乳濁液には、さらなる方法ステップにおいて初めて、架橋のためにジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートが添加される。
【0096】
プレポリマー・乳化剤混合物は、プレポリマーの重量比を100として、重量比55〜120の割合、好ましくは重量比70〜100の割合をなす水中に分散させられる。プレポリマー乳濁液は、好ましくは50重量%〜60重量%のプレポリマー含有量と300mPas以下の粘度にて製造可能である。高い濃度は、OHを末端基とするプレポリマー乳濁液の安定性ならびに乳濁液の輸送に有利である。加えて、不必要な水の輸送は不要であり、現場での稀釈が可能である。
【0097】
製造されたOHを末端基とするプレポリマーは水性乳濁液中で室温にて数ヶ月にわたり安定的に貯蔵保管され、イソシアネートで後架橋可能であり、経済的な含浸および/またはコーティング加工に適している。好ましくは脂肪族および/または脂環式、非芳香族ジイソシアネートの使用により、脂肪族イソシアネートで後架橋されて特に環境適合性と耐光性とを有する脂肪族ポリウレタンをももたらすOHを末端基とする脂肪族プレポリマーが製造される。
【0098】
OHを末端基とするプレポリマーの後架橋のために、好ましくは脂肪族ジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加される。好適には、トリイソシアネート、好ましくはイソホロンジイソシアネート・ベースの三量体またはヘキサメチレンジイソシアネートの三量体が使用される。モノマー脂肪族トリイソシアネートは脂肪族ジイソシアネートとは異なり無毒性である。さらに、トリイソシアネートの使用は有利な反応性を特徴としている。OHを末端基とするプレポリマー分散液とトリイソシアネートとの混合物の室温における比較的長いポット時間と共に、OHを末端基とするプレポリマーとトリイソシアネートとの高温時における速やかな反応が所与である。トリイソシアネートによって、特に優れた機械的特性と特に高い温度安定性とを有するポリウレタンを製造することができる。
【0099】
すべての方法の変形例として、イソシアネートはOHを末端基とするプレポリマーの後架橋のために、好ましくは、プレポリマー分散に際しても使用される同一の乳化剤で均質化される。
【0100】
その際、好適には、イソシアネートの重量比を100として、重量比5〜50の乳化剤、好ましくは重量比15〜25の乳化剤が使用され、プレポリマー中の遊離OH基と、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートのイソシアネート基との当量比が好ましくは0.8:1.2〜1:2、特に好ましくは1:1.2〜1:1.8、とりわけ特に好ましくは1:1.5であるように選択された量のプレポリマー分散液中に攪拌下で添加される。
【0101】
イソシアネートと反応開始したポリウレタン乳濁液は数時間を経て貯蔵保管安定性を得る。ポリウレタン乳濁液の粘度は含浸加工のための濃度調整次第で500mPasを下回ることさえもある。粘度の変化または水とイソシアネートとの反応によるフォーム形成はこの間には確認されなかった。
【0102】
本方法の特に有利な実施態様において、反応性ポリウレタン乳濁液による含浸および/またはコーティング法によって、繊維製面状構造物たとえば不織布、織布または編布が含浸ないしコーティングされ、続いて、乾燥させられる。
【0103】
乳濁液は、粘度が低いために、含浸に際して繊維製面状構造物に特に良好に被着される。その際、プレポリマーのなお遊離しているOH基をイソシアネートによって後架橋することによる架橋ポリウレタンの生成は、好ましくは、120℃〜170℃、特に好ましくは150℃〜160℃にて、乾燥法によって行われる。数分以内で完全に完了する速やかな後架橋反応には、好ましくは、触媒は不要である。
【0104】
架橋され乾燥させられた厚さ1mmのポリウレタンテストフィルムは、あらゆる方法変種につき、ポリウレタン構造に応じ好ましくは45〜60のショアーA型硬度を示し、それゆえ、これは本願明細書において軟質ポリウレタンと称される。他方、従来の技術によって製造されたテストフィルムについては、80を超えるショアーA型硬度が測定される。
【0105】
イソシアネートによって長鎖ポリウレタン軟質セグメントが架橋され、しかも、イソシアネートを末端基とするプレポリマーのさもなければなお遊離しているジイソシアネートと酸基および鎖長延長剤との反応によって製造されるポリウレタン鎖への公知の方法による通例の硬質セグメントの組み入れがないために、結晶化傾向の低い、したがってまた高い軟性を有するが、同時に特に良好な耐久性を有する本発明によるポリウレタンが達成される。
【0106】
上記の効果は、好ましくは、結晶化を阻害し、それによって、製品の特別な軟質性を補助的に促進するコポリマー難燃剤、殺生剤ないし抗微生物剤、防汚剤または親水剤の組み入れによって促進される。
【0107】
水中でイソシアネートと反応開始したポリウレタン系のこうした驚くべきかつ有利な特性は、ポリウレタンプレポリマーの特別な構造と、乳化剤が組み込まれることなくかつ触媒を不要とする方法を選択することによって、プレポリマー反応の点から見ても同じく架橋反応の点から見ても、経済的で、可能な限り環境適合的な含浸加工のための理想的な成分コンビネーションが見い出されたことから明らかである。
【0108】
その際、好ましくは使用される難燃剤、抗微生物剤、防汚剤または親水剤がポリウレタンの合成中に共有結合によってポリマー母材に組み入れられる場合、仕上げ加工されたテキスタイルに、耐久的な、洗濯に強い難燃層、微生物被害防止層または防汚層が形成され、あるいは、とりわけ親水性を有するテキスタイルが提供される。
【0109】
反応性ポリウレタン乳濁液で処理された繊維製面状構造物は、その高い軟質性と質感とにより、たとえば研磨、毛羽立ておよび/またはブラッシングによって好ましくはレザーに類似した、特にヌバックまたはベロア様の製品に仕上げ加工される。
【0110】
反応性ポリウレタン乳濁液によって含浸および/またはコーティングされた製品は、特にソフトな触感と共にさらに、意図的に親水剤処理されたテキスタイルを別として、特に撥水・防汚性表面によって特徴付けられる。
【0111】
反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンによって含浸またはコーティングされた繊維製面状構造物は工業、医療、民生および/または軍用利用分野において、衣料たとえば制服、作業衣またはスポーツ衣料、クッション表面、ライニング、家具・マットレスならびにベッド用カバー、カーテン、床敷き、壁布、ベッド用リネン類、テント、リュックザック、地盤用シート、衛生または浄化用品たとえばフィルターまたは雑巾の形で使用される。
【0112】
地盤用シートとは特に面状の透水性を有するテキスタイルであり、たとえば土工・水工・交通路工事分野または景観・庭園・農耕分野において資材として用いられ、好ましくは分離、排水、ろ過、補強、防護、梱包および侵食防止に使用され、使用目的に応じ好ましくは難燃処理および親水または防汚処理も行われる。
【0113】
反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンによって難燃性および/または防汚性仕上げ加工されたテキスタイル製品は、好ましくは、クッション表面、裏当てたとえば自動車・軌道車両および航空機におけるシートカバーの裏当て、家具・マットレスならびにベッド用カバー、カーテン、床敷き、壁布特にいわゆる防火用壁布、リュックザック、テント、機能性衣料たとえば制服、スポーツ衣料または消防または溶接工用作業衣に使用される。防火用壁布としては、特に、難燃性ポリウレタン含浸によって相応した浸漬ないし仕上げ加工が施される不織布製壁布が思料されている。
【0114】
反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンによって親水性仕上げ加工された製品は、好ましくは、日常衣料品ならびに衛生・浄化用品たとえば雑巾の形で使用される、または親水性と同時にソフトな、特にレザー様またはベロア様のコーティングが所望されるその他の目的用に使用される。
【0115】
反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンによって抗微生物性仕上げ加工された製品は、好ましくは繊維産業においてスポーツ衣料、ベッド用リネン類、衛生用品の形ならびに医療または工業利用においてたとえばフィルターまたは雑巾の形で使用される。
【0116】
従来の技術のポリウレタン分散液に比較した本発明による反応性ポリウレタン乳濁液のさらなる利点は、意図的な親水処理ケースを別として、特に優れた防湿性ならびに当該製品の特に優れた湿潤耐摩性である。ポリウレタン鎖に組み込まれていない乳化剤が含浸またはコーティング済みの繊維製品から事後的に洗脱されることにより、湿潤処理たとえば洗濯またはクリーニングに際して、ポリマー鎖に組み込まれたイオン基によってポリマーの持続的な親水性が所与である従来の技術のポリウレタン分散液で含浸ないしコーティングされた製品に比較して、製品の著しく低い膨潤性を確認することができる。従来の技術による場合の持続的な親水性は水中での膨潤の高まりによって耐摩性の低下をもたらす。
【0117】
繊維製面状構造物を親水性仕上げ加工するための方法の別法として、オプショナルに、繊維製面状構造物の「一般的な」難燃性、抗微生物性または防汚性含浸および/またはコーティング用の反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための上記のその他の方法につき、少なくとも1ポリオールおよび/またはOHを末端基とする反応終了したプレポリマーに有機末端基官能ポリシロキサンを添加することができる。
【0118】
官能ポリシロキサンの使用には好ましくは2種の方法が可能である。
一方で、プレポリマー反応時に、さらなるポリオールとの組み合わせと、イソシアネートとの反応により、官能ポリシロキサンをポリウレタン鎖へ組み込むことができる。
他方で、架橋ステップにおいて、OHを末端基とする反応終了したプレポリマーが乳化前に官能ポリシロキサンと均質化されることにより、官能ポリシロキサンをポリウレタン鎖へ組み込むことができる。
【0119】
ポリシロキサン鎖には有機末端基たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリカプロラクトンが必要である。好適には、官能ポリシロキサンとして、OHを末端基とする分子量340〜4500のポリシロキサンが使用される。
【0120】
OH官能ポリシロキサンの自由選択可能な補助的な組み込みにより、架橋ポリウレタンは特に軟質となり撥水性を得る。これに応じて、含浸されたテキスタイルの触感も非常にソフトとなり撥水・防汚性を得る。
【0121】
他方、従来のポリウレタン分散液およびポリウレタン溶液の化学において、シリコン比率は固定され、限定されていることが多い。これらの場合、シリコンは添加剤としてポリウレタン分散液およびポリウレタン溶液に添加されることが多く、したがって、ポリウレタン鎖には組み込まれておらず、移動し得る。従来のポリウレタン分散液へのシロキサンの組み入れは多くの場合、耐久性の劣ったポリウレタンをもたらす。分散液の安定性も、多くの場合、シロキサンによって不適な影響を蒙るために、イオン基の比率が高められなければならず、これによって湿潤耐摩性の低下がもたらされる。
【0122】
官能シロキサンが組み込まれたポリウレタン系にあっては、シロキサン含有量が高まるにつれて問題は減少する。ポリウレタン原材料の特別なコンビネーションとポリウレタン鎖の適確な架橋とによって、シロキサン比率が高くともなお良好な強度と伸び率が達成され、部分的によりソフトな製品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0123】
以下、本発明の対象を幾つかの実施例を参照して詳細に説明する。
【0124】
実施例1
反応性ポリウレタン乳濁液の製造
重量比1000のポリテトラヒドロフラン(MG 200lg/mol、OH数56)および重量比98.3の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(MG 262g/mol、NCO含有量:31.8%)(その際、ポリオールとイソシアネートとのモル比は4:3である)が、反応器中、集中的な攪拌下で、2.5時間にわたり120℃にて反応させられ、なお遊離したOH基を有するプレポリマーが生成される。
遊離イソシアネートはSpielberger滴定法でもはや確認することはできない。
【0125】
プレポリマーは80℃に冷却され、その際、その粘度は8400mPasである。該プレポリマーは、重量比100のプレポリマーを基準にして、ヒマシ油エトキシレート・ベースのアニオン性および非イオン性成分を有する重量比1.5の乳化剤と、ナトリウムラウリルスルフェート・ベースの重量比4.5の乳化剤とからなる乳化剤混合物と混合される。
【0126】
水中へのプレポリマーの分散のために、分散板での高速攪拌下で、プレポリマー・乳化剤混合物に、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比120の割合をなす水が緩慢に添加される。ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
プレポリマー含有量45%、粘度185mPasの乳濁液が得られ、これは12週にわたり室温にて安定的に貯蔵保管可能である。
【0127】
さらなる方法ステップにおいて、重量比1000のOHを末端基とする上記のプレポリマー乳濁液に、重量比22.5のヘキサメチレンジイソシアネート・ベースの三量体(MG 504g/mol、NCO含有量:22%および官能価3)と重量比5.7のナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤とからなる重量比28.2の架橋材混合物が攪拌下で添加される。
【0128】
この反応性乳濁液は室温にて5時間にわたり安定的に貯蔵保管可能であり、再加工のために水で所望の濃度に稀釈することができる。
【0129】
不織布の含浸
ポリエステルアミド二成分エンドレスフィラメントのフィラメントウェブから製造された、単位面積重量175g/mの不織布が噴水式刺し縫い締結に付され、当初フィラメントの引裂により0.2dtex以下の繊度を有する。
この不織布は、反応性乳濁液に浸漬され、続いて、余分な乳濁液が2本のロール間でプレス圧2バールにて搾り取られる工程を経て、水でプレポリマー含有量20%に稀釈された上記の反応性ポリウレタン乳濁液により含浸されてフラールとされる。含浸された不織布は、不織布の乾燥とOHを末端基とするプレポリマーの後架橋のために、加熱炉にて、6分間にわたり120℃にて調質される。
【0130】
ポリウレタン含有量28%の含浸不織布が得られる。続いての研磨によって、不織布は、ソフトで暖かいビロード様の感触を特徴とするヌバック様表面を得られる。
【0131】
織布の含浸
単位面積重量158g/m、織布厚さ480mm、糸径3.8μmならびに16.5μmのポリエステル混合織布が、水でプレポリマー含有量25%に稀釈された上記の反応性ポリウレタン乳濁液により上記の方法によって含浸されてフラールとされ、乾燥と後反応のために6分間にわたり120℃にて調質される。
含浸された織布のポリウレタン含有量は17%である。
含浸された織布はとりわけ高い軟質性と弾性挙動とによって卓越している。この布を丸めたり、クシャクシャにしたり、しわくちゃにした後、ほって置くと、それは、高い軟質性を備えているにもかかわらず、速やかに広がり、皴が残ることなく自発的に表面が平滑になる。これに対して、含浸されていない織布は、丸めてしわくちゃにした際に生じた皴がその後何時間も残る。
含浸された織布の表面を研磨することにより、ソフトでビロード様の触感が得られる。
【0132】
実施例2
反応性ポリウレタン乳濁液の製造
ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなる重量比840のコポリマー(MG 2000 g/mol、OH数54)、
重量比160のOH末端基官能ポリシロキサン(MG 3000g/mol、OH数34)および
重量比84.5のイソホロンジイソシアネート(MG 222g/mol、NCO含有量:37.6%)(その際、ポリオールとイソシアネートとのモル比は4:3である)が反応器中、集中的な攪拌下で、3時間にわたり120℃にて反応させられ、なお遊離したOH基を有するプレポリマーが生成される。
遊離イソシアネートはもはや認められない。
【0133】
プレポリマーは80℃に冷却され、その際、その粘度は14000mPasである。該プレポリマーは、重量比100のプレポリマーを基準にして、ナトリウムラウリルスルフェート・ベースの重量比5.5の乳化剤と混合される。
【0134】
水中へのプレポリマーの分散は、分散板での高速攪拌下、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比100の水の緩慢な添加下で実施される。
プレポリマー含有量50%、粘度235mPasの乳濁液が得られ、これは12週にわたり室温にて安定的に貯蔵保管可能である。
ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
【0135】
さらなる方法ステップにおいて、重量比1000のOHを末端基とする上記のプレポリマー乳濁液に、重量比25のヘキサメチレンジイソシアネート・ベースの三量体(MG 504g/mol、NCO含有量:22%および官能価3)と重量比6.3のナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤とからなる重量比31.3の架橋剤混合物が攪拌下で添加される。
この反応性乳濁液は室温にて5時間にわたり安定的に貯蔵保管可能であり、再加工のために水で所望の濃度に稀釈することができる。
【0136】
実施例3
反応性ポリウレタン乳濁液の製造
重量比600のポリカーボネート(MG 2000g/mol、OH数57)、
ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなる重量比400のコポリマー(MG 2000g/mol、OH数54)、
重量比22.3のトリメチロールプロパン(MG 134g/mol)および
重量比111のイソホロンジイソシアネート(MG 222g/mol、NCO含有量:37.6%)(その際、ポリオールとイソシアネートとのモル比は4:3である)が反応器中、集中的な攪拌下で、2.5時間にわたり120℃にて反応させられ、なお遊離したOH基を有するプレポリマーが生成される。
遊離イソシアネートはもはや認められない。
【0137】
プレポリマーは80℃に冷却され、その際、その粘度は20000mPasである。該プレポリマーは、重量比100のプレポリマーを基準にして、ナトリウムラウリルスルフェート・ベースの重量比4.5の乳化剤と混合される。
【0138】
水中へのプレポリマーの分散は、分散板での高速攪拌下、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比120の水の緩慢な添加下で実施される。
ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
プレポリマー含有量45%、粘度210mPasの乳濁液が得られ、これは12週にわたり室温にて安定的に貯蔵保管可能である。
【0139】
さらなる方法ステップにおいて、重量比1000のOHを末端基とする上記のプレポリマー乳濁液に、重量比24.4のヘキサメチレンジイソシアネート・ベースの三量体(MG 504g/mol、NCO含有量:22%および官能価3)と重量比6.1のナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤とからなる重量比30.5の架橋剤混合物が攪拌下で添加される。
この反応性乳濁液は室温にて5時間にわたり安定的に貯蔵保管可能であり、再加工のために水で所望の濃度に稀釈することができる。
【0140】
実施例4
反応性親水性ポリウレタン乳濁液の製造
ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなる重量比900のコポリマー(MG 2000g/mol、OH数56)、
重量比100のポリエチレングリコール600(MG 600g/mol、OH数187)および
重量比142.4の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(MG 262g/mol、NCO含有量:31.8%)(その際、ポリオールとイソシアネートとのモル比は5:4である)が反応器中、集中的な攪拌下で、3時間にわたり120℃にて反応させられ、なお遊離したOH基を有するプレポリマーが生成される。遊離した、したがって有毒なイソシアネートはもはや認められない。
【0141】
プレポリマーは好ましくは80℃に冷却され、該プレポリマーは、重量比100のプレポリマーを基準にして、好ましくはヒマシ油エトキシレート・ベースの重量比6の乳化剤と混合される。
水中へのプレポリマーの分散は、分散板での高速攪拌下、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比100の水の緩慢な添加下で実施される。ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
プレポリマー含有量50%、粘度230mPasの乳濁液が得られ、これは12週にわたり室温にて安定的に貯蔵保管可能である。
【0142】
さらなる方法ステップにおいて、重量比1000のOHを末端基とする上記のプレポリマー乳濁液に、重量比23.6のヘキサメチレンジイソシアネート・ベースの三量体(MG 504g/mol、NCO含有量:22%および官能価3)と重量比4.72のヒマシ油エトキシレート・ベースの乳化剤とからなる重量比28.3の架橋剤混合物が攪拌下で添加される。
この反応性乳濁液は室温にて数時間にわたり安定的に貯蔵保管可能であり、再加工のために水で所望の濃度に稀釈することができる。
【0143】
【表1】

【0144】
表1は実施例1〜3に示した本発明による反応性ポリウレタン乳濁液のフィルム特性と、従来の技術によるポリウレタン分散液のフィルム特性とを示している。
そのため、実施例1〜3のポリウレタン分散液から、水の蒸発濃縮によって、厚さ1mのテストフィルムが得られた。
表1のデータは、本発明によるポリウレタンテストフィルムはショアーA型硬度45〜52を有するが、他方、従来の技術によって製造されたテストフィルムについては90超のショアーA型硬度が測定されたことを示している。本発明によって製造された軟質ポリウレタンは、特別な軟質性と同時に、特に優れた耐久性と優れた耐光性とを特徴としている。
表1のデータは、さらに、軟質ポリウレタンの体積膨張率は、ポリマー鎖に組み込まれたイオン基によってポリマーの持続的な親水性が所与である従来の技術によるポリウレタンに比較して、著しく低いことを示している。従来の技術による持続的な親水性は、また、膨潤の高まりによって耐摩性の低下をもたらす。
【0145】
【表2】

【0146】
表2には、実施例1〜4に挙げた反応性ポリウレタン乳濁液により実施例1と同様の方法で含浸されたポリエステル織布と従来の技術のImpranil分散液(表1、参照のこと)で含浸されたポリエステル織布との、水による表面の濡れやすさが示されている。
表2のデータによって示されているように、反応性ポリウレタン乳濁液によって含浸された実施例1〜3の製品は、実施例4の親水性仕上げ加工された場合を別として、特に撥水・防汚性表面によって際立っている。
【0147】
【表3】

【0148】
表3には、実施例1〜3に挙げた反応性ポリウレタン乳濁液により実施例1と同様の方法で含浸された面状構造物の耐摩性が示されている。
反応性ポリウレタン乳濁液で含浸された面状構造物は、摩耗テストに際して、穴形成も目視可能な表面変化も示さないことから、特に優れた耐摩性を有している。
他方、分散液Impranil LP RSC 1997(Bayer社)とImpranil 43032(Bayer社)で含浸された面状構造物には、摩耗テスト後に、透けて光った箇所が認められる。
【0149】
実施例5
反応性難燃性ポリウレタン乳濁液の製造
ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなる重量比500のコポリマー(MG 2000g/mol、OH数56)、
重量比500のAFLAMMIT PLF 140(Thor Chemie GmbH社の約2OH官能リン酸オリゴマー)(OH数5)および
重量比57.5の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(MG 262g/mol、NCO含有量:31.8%)(その際、ポリオールとイソシアネートとのモル比は5:4である)が反応器中、100℃に加熱される。集中的な攪拌下で、温度は3時間にわたり120℃に高められる。その際、出発原料は反応して、なお遊離したOH基を有するプレポリマーが生成される。遊離した、したがって有毒なイソシアネートはもはや認められない。
【0150】
AFLAMMIT PLF 140は比較的不活性であることから、プレポリマーの総量を基準にして、0.1〜0.2重量%の触媒たとえばトリエチレンジアミン(Nitroil社のPC CAT(登録商標)TD30)の添加によってプレポリマー鎖への組み入れを著しく促進することができる。
プレポリマーは好ましくは80℃に冷やされて、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比6の好ましくはナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤と混合される。
【0151】
水中へのプレポリマーの分散は、分散板または遠心ミキサーによる高速攪拌下で、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比100の水の緩慢な添加下で実施される。ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
プレポリマー含有量50%、粘度240mPasの乳濁液が得られ、これは12週にわたり室温にて安定的に貯蔵保管可能である。
【0152】
さらなる方法ステップにおいて、重量比1000のOHを末端基とする上記のプレポリマー乳濁液に、重量比18.0のヘキサメチレンジイソシアネート・ベースの三量体(MG 504g/mol、NCO含有量:22%および官能価3)と重量比4.0のナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤とからなる重量比22の架橋剤混合物が攪拌下で添加される。
この反応性乳濁液は室温にて数時間にわたり安定的に貯蔵保管可能であり、再加工のために水で所望の濃度に稀釈することができる。
【0153】
実施例5に述べた反応性乳濁液により、実施例1に述べた繊維製面状構造物、不織布およびポリエステル織布が、実施例1と同様の方法によって含浸される。
以下のテストが示すように、難燃性含浸が得られる。
【0154】
含浸および非含浸Evolon(登録商標)不織布(Freudenberg社のポリエステル−ポリアミド混合物からなるマイクロファイバーテキスタイル)の燃焼挙動の測定が、US自動車安全規格FMVSS 302に依拠して完成されたDIN規格75200(自動車内装材料の燃焼挙動の測定)に準拠して行われる。
そのため、Evolon(登録商標)のDIN A4サンプルが、実施例5に述べた処理に従って、50%、40%および30%の乳濁液で難燃性仕上げ加工された。これはラボ用フラールにてロール圧力0.5バール、1バール、1.5バール、2バール、2.5バールおよび3バールで行われた。これにより、難燃性ポリウレタン含浸量の種々相違するEvolonフリースが得られた。難燃性ポリウレタン含浸量は含浸前後の不織布の秤量によって測定された。これから、配合法に基づき、実際の難燃剤含有量を計算することができた。
【0155】
DIN A4サンプルから、幅70mm、長さ297mmのそれぞれ1枚の試験片が採取された。これらの試験片はテスト前に、規格に準拠して、24時間にわたり23±2℃、相対湿度50±6%にて貯蔵保管された。
続いて、試験片は、規格に準拠した防食仕様の2枚のU字形金属板(フレーム)からなる試験片ホルダーに張設された。試験片ホルダーの正確な寸法はDIN規格75200の記載に一致しており、該規格に構造図面の形で収載されている。
試験片ホルダーは続いてラボ換気装置にセットされ、排気装置のベンチレーターがスイッチオンされた。
【0156】
バーナーとしては、菅内径9.5mmのブンゼンバーナーが使用された。これはノズルの中心が試験片自由端の下端中心より下方19mmに位置するように調整された。火炎の全長は約38mmの高さに調整され、バーナーの吸気口は閉じられた。燃焼テストの前に、バーナーは、火炎を安定化させるため、少なくとも1分間にわたり燃焼させられなければならなかった。
【0157】
続いて、試験片は、試験片ホルダーがブンゼンバーナー上(ノズルの中心は試験片自由端の下端中心より下方19mmに位置する)に移動させられ、15秒間にわたってガス火炎に曝された。この時間の経過後、ブンゼンバーナーは停止された。
【0158】
燃焼時間の測定は炎が最初の測定マークに達した瞬間から開始された。規格に基づき、燃焼時間の測定は、炎が最後の測定マークに達した、または炎が最後の測定マークに達する前に消えるときに終了されなければならない。炎が最後の測定マークに達しない場合、炎が消えるまでに辿った燃焼距離が正確に測定される。その際、燃焼によって表面または内部が破壊された試験片崩壊部分が燃焼距離と見なされる。
【0159】
試験片が発火させられ、口火の消えた後さらに引き続き燃焼しない、または最初の測定マークに達する前に炎が消える場合、燃焼時間は測定されない。こうした場合、テストレポートに−燃焼速度=0と記載される。分当たりの燃焼速度ミリメートルは、ミリメートル単位の燃焼距離の長さを秒単位の燃焼距離時間で除して、60倍することによって得られる。
【0160】
【表4】

【0161】
表4は、無処理の不織布と、実施例5に挙げた難燃性反応性ポリウレタン乳濁液によって含浸された不織布のそれぞれの燃焼挙動の測定結果を示している。
表4のデータは、使用された難燃剤は、テキスタイルの総重量を基準にして、特に好ましくは14重量%〜25重量%の量にて使用されることを示している。
燃焼時間の測定には、0.5秒まで正確に測定することのできるストップウォッチが使用された。
【0162】
実施例6
抗微生物作用反応性ポリウレタン乳濁液の製造
ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなる重量比900のコポリマー(MG 2000g/mol、OH数56)および
重量比100のOH末端基官能ポリシロキサン(MG 4000g/mol、OH数28)が120℃にて前もって与えられ、均質化される。
【0163】
続いて、
重量比100の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(MG 262g/mol、NCO含有量:31.8%)が加えられ、その際、ポリオールとイソシアネートとのモル比は5:4である。これらは2時間にわたり反応器中で120℃にて集中的に攪拌される。その際、出発原料は反応して、なお遊離したOH基を有するプレポリマーが生成される。遊離した、したがって有毒なイソシアネートはもはや認められない。
プレポリマーは好ましくは80℃に冷やされ、該プレポリマーは、重量比100のプレポリマーを基準にして、好ましくはナトリウムラウリルスルフェート・ベースの重量比6の乳化剤と混合される。
【0164】
水中へのプレポリマーの分散は、分散板での高速攪拌下で、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比100の水の緩慢な添加下で実施される。ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
プレポリマー含有量50%、粘度250mPasの乳濁液が得られ、これは12週にわたり室温にて安定的に貯蔵保管可能である。
【0165】
さらなる方法ステップにおいて、重量比1000のOHを末端基とする上記のプレポリマー乳濁液に、あらかじめ下記の規定に従って単OH官能抗微生物剤と反応させられた(MG 896g/mol、NCO含有量:9.4%および官能価2)、ヘキサメチレンジイソシアネート・ベースの重量比76.1の三量体(MG 504g/mol、NCO含有量:22%および官能価3)と重量比23.9のナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤とからなる重量比100の架橋材混合物が攪拌下で添加される。
この反応性乳濁液は室温にて数時間にわたり安定的に貯蔵保管可能であり、再加工のために、水で所望の濃度に稀釈することができる。
【0166】
単OH官能抗微生物剤の製造
【化1】

174g(520mmol)のN,N’−ジメチルオクタデシルアミンと50g(520mmol)の3−クロロ−1−プロパノールが80℃にて、72時間にわたり、ガラス反応器中で反応させられた。生成した無色の固体はすりつぶされて、250ミリリットルのジエチルエーテルで2回洗浄された。収量は183.8g(90% d.Th.)であった。
【0167】
単OH官能抗微生物剤とヘキサメチレンジイソシアネート三量体(HDT)との反応
【化2】

100gのTolonate HDT(MG 504g/mol、198.4mmol)が100mlのブチレートに60℃にてあらかじめ加えられ、25.9gの抗微生物剤(MG 329g/mol、66.1mmol)ならびに2滴の触媒たとえばトリエチレンジアミン(Nitroil社のPC CAT(登録商標)TD30)と混合される。続いて、2日間にわたり60℃にて保護ガス雰囲気下で攪拌される。
【0168】
実施例7
反応性の、特に防汚性ポリウレタン乳濁液の製造
ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなる重量比800のコポリマー(MG 2000g/mol、OH数56)と、
重量比100のOH末端基官能ポリシロキサン(MG 4000g/mol、OH数28)と、
重量比100の、末端基(−CH−OH)に至るまで全フッ素置換されたポリエーテルFormblin Z DOL 2000とが、120℃にて前もって与えられ、均質化される。
【0169】
続いて、
重量比94の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(MG 262g/mol、NCO含有量:31.8%)が加えられ、その際、ポリオールとイソシアネートとのモル比は4:3である。これらは2.5時間にわたり、反応器中で、120℃にて集中的に攪拌される。その際、出発原料は反応して、なお遊離したOH基を有するプレポリマーが生成される。遊離した、したがって有毒なイソシアネートはもはや認められない。
【0170】
プレポリマーは好ましくは80℃に冷却され、該プレポリマーは、重量比100のプレポリマーを基準にして、好ましくはナトリウムラウリルスルフェート・ベースの重量比6の乳化剤と混合される。
水中へのプレポリマーの分散は、分散板での高速攪拌下で、重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比100の水の緩慢な添加下で実施される。
ここで、高速攪拌とは約400〜1200回転/分と理解される。特に好ましいのは600〜800回転/分である。
プレポリマー含有量50%、粘度250mPasの乳濁液が得られ、これは12週にわたり室温にて安定的に貯蔵保管可能である。
【0171】
さらなる方法ステップにおいて、重量比1000のOHを末端基とする上記のプレポリマー乳濁液に、重量比40.8のヘキサメチレンジイソシアネート・ベースの三量体(MG 504g/mol、NCO含有量:22%および官能価3)と重量比9.2のナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤とからなる重量比50の架橋材混合物が攪拌下で添加される。
この反応性乳濁液は室温にて数時間にわたり安定的に貯蔵保管可能であり、再加工のために水で所望の濃度に稀釈することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製面状構造物を含浸および/またはコーティングするための反応性ポリウレタン乳濁液を製造するための方法であって、
ポリオールがジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、またはポリオールがジオールおよび/またはトリオールと組み合わされてジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられることによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、前記プレポリマーは外部乳化剤と混合され、前記OHを末端基とするプレポリマーの後架橋反応のために、ジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートのいずれかあるいはそれらを組み合わせたものが添加されるように構成した方法。
【請求項2】
繊維製面状構造物を難燃性含浸および/またはコーティングするために、ポリオールは、二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤の存在下において、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる、またはポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールならびに二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤と組み合わされて、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤として
− 二または三OHまたはNH末端基ホスフィンオキシド、
− 二または三OHまたはNH末端基リン酸オリゴマー、
− 二または三OHまたはNH末端基トリアリールホスフェート、
− 二OHまたはNH末端基ジアリールアルキルホスフェートまたは
− 反応性P(III)燐ポリオール
が使用される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の二または多OH官能難燃剤またはNH官能難燃剤は、テキスタイルの総重量を基準にして、10重量%〜50重量%、好ましくは15重量%〜35重量%の量にて使用される請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
繊維製面状構造物を抗微生物性含浸および/またはコーティングするために、ポリオールは、イソシアネートの付加を行うことのできる2個以上の官能基、好ましくはOH基またはNH基を有する抗微生物剤または殺生剤の存在下において、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる、またはポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールならびに、イソシアネートの付加を行うことのできる2個以上の官能基、好ましくはOH基またはNH基を有する抗微生物剤または殺生剤と組み合わされて、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
抗微生物剤または殺生剤として、炭素原子10個それ以上の長さを有する少なくとも1個以上のアルキル基ならびにイソシアネートの付加を行うことのできる2個以上の官能基、好ましくはOH基またはNH基を置換基中に有する第四級アンモニウム化合物ないしピリジニウム化合物が使用される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
イソシアネートの付加を行うことのできる2個以上の官能基、好ましくはOH基またはNH基を有する前記の抗微生物剤または殺生剤は、テキスタイルの総重量を基準にして、2重量%〜15重量%、好ましくは5重量%〜10重量%の量にて使用される請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
繊維製面状構造物を抗微生物性含浸および/またはコーティングするために、ポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールと組み合わされて、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられ、これによって、中粘度の、OHを末端基とするプレポリマーが製造され、前記プレポリマーは外部乳化剤と混合され、OHを末端基とする前記プレポリマーの後架橋反応のために、イソシアネートの付加を行うことのできる1個以上の官能基、好ましくはOH基またはNH基を有する抗微生物剤または殺生剤と化学量論的不足下で反応させられたトリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートが添加される請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
抗微生物剤または殺生剤として、炭素原子10個以上の長さを有する少なくとも1個以上のアルキル基ならびにイソシアネートの付加を行うことのできる1個以上の官能基、好ましくはOH基またはNH基を置換基中に有する第四級アンモニウム化合物ないしピリジニウム化合物が使用される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
イソシアネートの付加を行うことのできる1個以上の官能基特にOH基またはNH基を有する前記の抗微生物剤または殺生剤は、テキスタイルの総重量を基準にして、2重量%〜15重量%、好ましくは5重量%〜10重量%の量にて使用される請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
繊維製面状構造物を親水性含浸および/またはコーティングするために、ポリオールは、親水剤としての極性非イオン性コポリマーの存在下において、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる、またはポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールならびに親水剤としての極性非イオン性コポリマーと組み合わされて、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる、またはポリオールとしての親水性ポリエーテルポリオールがジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
親水剤として、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンをベースとしたポリエーテルポリオールないしそれらの誘導体または分子量400〜6000のコポリマーが使用される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記の親水剤は、プレポリマーの総量を基準にして、5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜35重量%の量にて使用される請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
繊維製面状構造物を防汚性含浸および/またはコーティングするために、ポリオールは、二または多OH官能難燃剤またはNH官能防汚剤の存在下において、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる、またはポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールならびに二または多OH官能難燃剤またはNH官能防汚剤と組み合わされて、ジイソシアネートと化学量論的不足下で反応させられる請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
二または多OH官能難燃剤またはNH官能防汚剤として、フッ化ポリオール特に、フッ化ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはポリテトラメチレンオキシドをベースとした直鎖または分岐ペルフルオロポリオールまたは分子量500〜6000のそれらの誘導体が使用される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記の防汚剤は、プレポリマーの総量を基準にして、5重量%〜85重量%、好ましくは10重量%〜20重量%の量にて使用される請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
ポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールと組み合わされずにまたは組み合わされて、ならびに、OH官能難燃剤、抗微生物剤、親水剤または防汚剤と組み合わされずにまたは組み合わされて、ジイソシアネートとOH/NCOモル比2:1〜6:5にて反応させられる請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
以下つまり
− 分子量400〜6000のポリアジペート、
− 分子量450〜6000のポリカプロラクトン、
− 分子量450〜3000のポリカーボネート、
− 分子量800〜4000の、ポリカプロラクトンとポリテトラヒドロフランとからなるコポリマー、
− 分子量450〜6000のポリテトラヒドロフラン、
− 分子量400〜6000の疎水性ポリエーテルポリオール、
− 分子量400〜6000の脂肪酸エステルおよび/または
− 分子量340〜4500の有機末端基官能ポリシロキサン
をベースとしたポリオールが使用される請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ポリオールを、ジオールおよび/またはトリオールと組み合わせずにまたは組み合わせて、ならびに、OH官能難燃剤、抗微生物剤、防汚剤または親水剤と組み合わせずにまたは組み合わせて、ジイソシアネートと反応させるために、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートたとえばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび/またはそれらの異性体混合物が使用される請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
OHを末端基とするプレポリマーを製造するために、ポリオールはジオールおよび/またはトリオールと組み合わせずにまたは組み合わせて、ならびに、OH官能難燃剤、抗微生物剤、親水剤または防汚剤と組み合わせずにまたは組み合わせて、80℃〜140℃、好ましくは120℃にて、ジイソシアネートと反応させられる請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
重量比100のプレポリマーを基準にして、重量比2.5〜15の乳化剤、好ましくは重量比5〜10の乳化剤が使用される請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
アニオン性および/または非イオン性乳化剤、特に脂肪アルコールエトキシレート・ベースおよび/またはナトリウムラウリルスルフェート・ベースの乳化剤が使用される請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1ポリオールおよび/またはOHを末端基とする反応終了したプレポリマーに、有機末端基官能ポリシロキサンをベースとした少なくとも1ポリオールが添加される請求項1から10または14から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ポリシロキサンとして、OHを末端基とする分子量340〜4500のポリシロキサンが使用される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
プレポリマー中の遊離OH基と、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートのイソシアネート基との当量比は、好ましくは0.8:1.0〜1:2、好ましくは1:1.2〜1:1.8であるように選択される請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
重量比100のジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを基準にして、重量比5〜50の乳化剤、好ましくは重量比15〜25の乳化剤が使用される請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記のプレポリマー反応および/または架橋反応は無触媒で行われる請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
繊維製面状構造物は含浸および/またはコーティング用の前記の反応性ポリウレタン乳濁液で浸漬ないしコーティングされ、続いて、乾燥させられる請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記の乾燥法に際して同時に、プレポリマーのなお遊離しているOH基をジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートで後架橋反応されて、架橋されたポリウレタンが生成する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
繊維製面状構造物は前記の反応性ポリウレタン乳濁液で処理され、レザーに類似した、特にベロア様の製品に仕上げ加工される請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
請求項1から30のいずれか一項に記載の方法によって製造され、続いて乾燥させられたショアーA型硬度45〜60を有する軟質ポリウレタン。
【請求項32】
前記の反応性ポリウレタン乳濁液ないし軟質ポリウレタンによって、工業、医療、民生および/または軍用利用分野において、衣料たとえば制服、作業衣またはスポーツ衣料、クッション表面、ライニング、家具・マットレスならびにベッド用カバー、カーテン、床敷き、壁布、ベッド用リネン類、テント、リュックサック、地盤用シート、衛生または浄化用品たとえばフィルターまたは雑巾の形で使用される、難燃性、抗微生物性、親水性、撥水性または防汚性含浸および/またはコーティングされた繊維製面状構造物が製造される請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−522063(P2012−522063A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501187(P2012−501187)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001863
【国際公開番号】WO2010/108676
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510057615)カール・フロイデンベルク・カー・ゲー (19)
【Fターム(参考)】