説明

反応性二液型ポリウレタン組成物及びそれから形成される任意に自己回復可能な耐引掻性のコーティング

【課題】硬化時に高減衰性、優れた耐引掻性、優れた表面損傷抵抗、および自己回復特性を示す水性および非水性の二液型反応性ポリウレタン組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、二液型反応性ポリウレタン組成物と、それから形成された硬化したコーティングに関する。本発明は、特に、高い減衰特性、優れた耐引掻性、優れた表面損傷抵抗、及び自己回復特性を示す組成物と、それから形成された硬化したコーティングとに関する。また、本発明は、前記組成物のいくつかに有用な新規のポリウレタンプレポリマーに関する。さらに、本発明は、本発明の特定のコーティングを形成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性の反応性二液型ポリウレタン組成物と、非水性の二液型反応性ポリウレタン組成物に関する。また、本発明は、硬化時に高減衰性、優れた耐引掻性、優れた表面損傷抵抗、および自己回復特性(self−healing characteristics)を示す特定の組成物に関連する。また、本発明はそれに有用な新規のポリウレタンプレポリマーに関連する。また、本発明は、前記新規組成物から調製される硬化されたコーティングに関連する。
【背景技術】
【0002】
溶液型反応性ポリウレタン組成物(PUR組成物)は、長年にわたって、その優れた性能のために業界に知られていた。しかし、業界に対して溶剤排出を減らす要求が多くなってきたので、これらの溶液型PUR組成物の使用はかなり制限されてきた。さらに、これらの組成物には、室温で明瞭な自己回復特性が本質的にない(25℃で3−7日内に自己回復性がない)。水性の二液型ポリウレタン組成物または水性の一液型ポリウレタン組成物は、全く知られていない。揮発性有機化合物(VOC)を減らすために広く用いられている選択肢のうちの1つは、一液型で水性のわずかに架橋したポリウレタン−ウレア分散系である。この種の水性ポリウレタン−ウレア分散系は、ポリアジリジン、メラミン、エポキシ、金属錯体(亜鉛またはジルコニウム)、または多官能価カルボジイミドを使うことによって、さらに架橋することができる。カルボキシル官能基によって達成されるその他の架橋は少ない。従って、一般に、この種の分散系で形成されるコーティングは、熱安定度が不足している。その結果として、この不十分に架橋された水性一液型ポリウレタン−ウレアの屋外耐久性、耐候性の他、耐溶剤性、耐水性、耐薬品性は、溶剤型二液型反応性ポリウレタン−ウレアよりも劣っている。さらに、従来知られているようにウレアの含量が多い場合、結果として生じるコーティングを黄変させる傾向が著しい。
【0003】
研究者らは、従来の水性ポリウレタン−ウレア分散系の欠点をいくつかの方法で克服しようとしてきた。しかし、これまでには、その試みは全く成功していない。
【0004】
以下は、一液型水性ポリウレタン−ウレア組成物を製造する方法であるが、いずれも自己回復性でない。
第1の方法は、限定された量の有機溶剤中で著しく架橋された(そのために潜在的に熱安定性のある)NCOを末端基とするポリウレタンプレポリマーを調製してから、水に分散させながらジアミンでプレポリマーを連鎖延長する方法である。この第1の方法の欠点は、この種の分散系の溶液粘度が分散工程の間に非常に急速に増大し、ほとんどの場合に不十分な分散が起こり(大型のミセルを形成する傾向を伴って)、分散体のゲル化が起こる恐れがある。
【0005】
熱安定性のある水性系を開発する第2の方法は、多官能価アミン連鎖延長剤を使用し、水に、NCOを末端基としたポリウレタンプレポリマーを分散することを伴う。また、第1の方法で直面する問題と同じ問題に直面する。
【0006】
熱安定性のある水性高分子系を得る第3の方法は、欧州特許出願第469389号に記載されている。この第3番目の方法は、ヒドロキシル官能材料及び水を用いてイソシアネート官能材料の共反応を実際に起こす方法である。反応生成物は、熱安定度を実際に増加させるが、上述したように、ポリウレタン−ウレア系である。ポリウレタン−ウレア系には多数の欠点があり、それは、時間が経つにつれて、黄変する傾向がある。
【0007】
したがって、水性ポリウレタン−ウレアは存在するが、水性のポリウレタンは知られていない。ポリウレタン−ウレアは、熱安定度、屋外耐久性、耐候性が乏しく、黄変する傾向があるので、ポリウレタンに劣る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、水性のポリウレタン組成物が必要である。既知の材料に比較して改良された特性を提供できる非水性のポリウレタン組成物も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、揮発性有機化合物の含有率が低い新規の水性の反応性二液型ポリウレタン組成物を発見した〔すなわち、二液型系(成分Aと成分B)の合計重量に基づいて、典型的には、約10重量パーセント未満のVOCを含む組成物〕。それから調製されるポリウレタンは、架橋密度が大きく熱安定度が優れている。化合および硬化時に、水性の反応性二液型PUR系は、溶液型の反応性二液型PUR系のそれと同様な機械的性質と熱的性質を有するPURを提供する。本発明は、二液型系の合計重量に基づいて、水及び典型的には約10%未満の凝集性有機溶剤を含むのに対して、従来の溶液型PURは、35%乃至75%の量の有機溶剤を含む。
【0010】
本発明の1態様では、半架橋で多ヒドロキシル官能価ウレタンプレポリマーおよび/または各種の水稀釈性のヒドロキシル含有材料の水性分散系を提供するが、これは、本発明の水性の反応性二液型ポリウレタン系の「成分A」である。
【0011】
成分A
本発明の水性の組成物については、成分Aは水性組成物(典型的には分散体)であって、
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)当該プレポリマーの酸価が約10乃至100の範囲にわたるように十分な数のカルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、フッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し、
(iii )約1.85乃至約2.7の平均ヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマーと、
(b)任意に、少なくとも1つのヒドロキシル官能基および任意に1つ以上のカルボキシル官能基を有する水稀釈性の第1のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、かつ、1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する水稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、およびそれらの混合物から成る群から選択される水稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオール及びポリオールとから成る群から選択される水稀釈性の第2の化合物であって、1つ以上のぺンダントカルボキシル官能基を任意に有する第2の化合物と、
(f)水と、
(g)任意に界面活性剤と、
(h)任意に凝集溶剤と、を含み、以下の要素:
(a),(b),(c),(d),(e)
の少なくとも1つが存在し、
要素(c)が存在する場合には、以下の要素:
(a),(b),(d),(e)の少なくとも1つが存在しなければならず、
要素(a)(ii)のセグメントおよび要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいて、それらの合計重量パーセントが約35重量パーセント以下となる量で存在し、成分Aに対する成分BのNCO:OH比は、約1:1乃至約1.15:1である、水性組成物(典型的には分散系)である。
【0012】
成分B
本発明の水性組成物に対し、成分Bは、(i)ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、およびそれらの混合物から成る群から選択される架橋剤と、(ii)任意に成分Bの総重量に基づいて凝集溶剤と、を含む組成物(典型的には水稀釈性組成物)である。
【0013】
本発明の非水性組成物に対する成分Aおよび成分Bを以下に説明する。本発明の水性組成物および非水性組成物については、成分Aは、ブロックトポリイソシアネート架橋剤の存在下での加熱により又はポリイソシアネートの存在下での多段階硬化条件下で硬化性であり、架橋密度が高いPURを得るが、通常は、熱安定性を示す硬化系を必要とする。
【0014】
本発明の水性系の場合、好ましくは、成分Aは、以下の群:
(a),(e),(f),(g),(h)と、
(a),(b),(c),(f),(g),(h)と、
(a),(b),(f),(g),(h)と、
から成る群から選択される成分を含む。
【0015】
さらに、発明者は、高い減衰、優れた表面損傷抵抗、優れた耐引掻性、および優れた自己回復性を硬化時に示し、本発明の非水性二液型系および本発明の特定の水性組成物から調製できる反応性二液型架橋性ポリウレタン系を発見した。本発明の熱硬化性コーティングが自己回復特性を有することは、一般には、堅く、高度に架橋された材料であるために、期待できなかった。発明者は、本発明のこの特有の二液系から調製される本発明の高減衰性PURが、PUR表面に印加されるエネルギーを保存することができるとができ、蓄えたエネルギーを利用して、熱力学的に安定な構成または微小構造を得るために、ねじれたおよび/または変形したポリマーの骨格および/または側鎖の回転性または振動性の歪みによる障害を再構成または克服することを理論立てた。発明者はこの現象を「自己回復性」と呼ぶことにした(これは、例の試験「E」に従って測定される)。後述する試験結果によると、PURの減衰率が大きくなるほど、ひっかかれた表面は、より速くより容易に自己回復することができる。ただし、試験結果からは、他の要因、例えば、PURのゴム状弾性(貯蔵弾性率)、鎖の滑り易さ(貯蔵弾性率)、ガラス転移温度域、試験温度、架橋密度なども、自己回復性の過程で重要な役割を果たし、いわゆる相乗作用効果を提供できることもわかっている。
【0016】
自己回復性を実現する本発明の水性組成物および本発明の自己回復性の非水性組成物については、成分Aは、要素(a)(ii)のセグメントおよび要素(d)の水稀釈性の第1の化合物が、成分Aの固形分に基づいて、それらの合計重量が約2乃至約35重量パーセントの量で含み、硬化されたPURが優れた耐引掻性と自己回復性を有する所有するようにしなくてはならない(成分Aは、合計重量が指示された範囲内にあるかぎりは、(a)(ii)だけ、(d)だけ、または(a)及び(b)の両方を含むことができる)。成分Aが、要素(a)(ii)のセグメントおよび要素(d)の水稀釈性の第1の化合物を、成分Aの固形分に基づいて、それらの合計重量が約2重量パーセント未満の量しか含まない場合には、優れた自己回復性および耐引掻性は得られない。好ましくは、成分Aは、最良の自己回復性および屋外耐久性を得るには、要素(a)(ii)のセグメントおよび要素(d)の水稀釈性の第1の化合物を、成分Aの固形分に基づいて、それらの合計重量が約2乃至20重量パーセントになる量で含む。成分Aは、要素(a)(ii)のセグメントおよび要素(d)の水稀釈性の第1の化合物を、成分Aの固形分に基づいて、それらの合計重量が約35重量パーセントを超える量で含む場合には、結果として形成されるポリウレタンは、透明性がなく、屋外耐久性に乏しく、高多孔性のものになり得る。
【0017】
本発明の非水性組成物については、成分Aは、
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)任意に、酸価が約0乃至約100の範囲にわたるように、カルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し
(iii)約1.85乃至約2.7の範囲にわたるヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマーと、
(b)任意に、酸価が約0乃至約150の範囲にわたるように、少なくとも1つのヒドロキシル官能基及び1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する有機溶剤稀釈性の第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、かつ、1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する有機溶剤稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される有機溶剤稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオール及びポリオールから成る群から選択される有機溶剤稀釈性の第2の化合物であって、1つ以上のペンダントカルボキシル官能基を任意に有する第2の化合物と、
(f)任意に、非イオン性界面活性剤と、
(g)任意に、有機溶剤と、を含む非水性組成物であって、以下の要素:
セグメント(i)を有する要素(a)、
要素(d)、
の少なくとも1つが存在し、
要素(a)(ii)のセグメント及び要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいて、それらの合計重量が約2乃至約35重量パーセントとなる量で存在し、成分Bは、
(1)ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、及びそれらの混合物から成る群から選択される架橋剤と、
(2)任意に、有機溶剤と、を含む非水性の有機溶剤稀釈性組成物であり、
成分Aの成分Bに対するNCO:OH比は、約0.95:1乃至約1.07:1である、非水性組成物である。
【0018】
本発明の非水性系については、成分Aは、好ましくは、以下の群:
(b),(d),(e),(f),(g)と、
(a),(b),(e),(f),(g)と、
(a),(b),(d),(e),(f),(g)と、
から成る群から選択される成分の組み合わせを含む。
【0019】
本発明は、二液型反応性の水性PUR系に有用な新規のウレタンプレポリマーを提供する。驚くべきことに、好ましい変更態様を使用すれば、優れた耐引掻性および自己回復性を有するPURを提供することができる。
【0020】
この新規のウレタンプレポリマーは、
(a)プレポリマーの酸価が約0乃至約100の範囲になるのに十分な数のカルボン酸官能基と、
(b)単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ボリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、
(c)約1.85乃至約2.7の範囲にわたるヒドロキシル官能価と、
(d)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、
を有する。
【0021】
優れた耐引掻性および自己回復性を有するPURを製造することができるプレポリマーを提供するためには、一般に、このプレポリマーは、その合計重量に基づいて、約0.1乃至約35重量パーセントの要素(b)のセグメント、最も好ましくは、約2乃至約20重量パーセントの要素(b)のセグメントを含む。
【0022】
また、発明者は、本発明の水性組成物から本発明の硬化されたポリウレタンを形成する複数の方法を発見した。第1の方法は、保護されていないポリエステルイソシアネートの使用に関する。第2および第3の方法は、ブロックトポリイソシアネート架橋剤の使用に関する。
【0023】
第1の方法は、
(I)成分Aと成分Bとを組み合わせて混合物を形成する工程であって、成分Bの架橋剤をポリイソシアネート(保護されていない)およびその混合物から成る群から選択する工程と、
(II)支持体上に混合物をコーティングする工程と、
(III)前記被覆された支持体を、前記混合物中に存在する少なくとも90重量パーセントを蒸発させるためには十分高いが、水と前記ポリイソシアネートに存在するイソシアネート基との間の反応を開始させないほど十分低い温度に暴露する工程と、
(IV)(1)前記被覆された支持体を、前記コーティングを硬化させるためには十分高いが、前記コーティングが硬化するまでは前記支持体が崩壊するほど高くない温度に暴露する工程及び
(2)前記被覆された支持体を、前記支持体を崩壊させずに前記コーティングを部分的に硬化させて不粘着状態にするのに十分な温度に暴露した後、前記コーティングが硬化するまで、依然として前記コーティングが低い温度に暴露される工程から成る群から選択される工程によって前記コーティングを硬化させる工程と、を含む。
【0024】
好ましくは、この方法のNCO:OH比は、約1:1乃至約1.15:1である。
【0025】
第2の方法は、
(I)成分Aおよび成分Bを組み合わせて混合物を形成する工程であって、架橋剤をブロックトポリマー及びその混合物から成る群から選択する工程と、
(II)前記混合物を支持体に塗布する工程と、
(III)前記被覆された支持体を、前記支持体を崩壊させずにブロックトポリイソシアネートを脱保護するために十分な温度に暴露する工程と、
(IV)前記コーティングが硬化するまで崩壊させずに前記被覆された支持体を前記コーティングを硬化させるのに十分な温度に暴露する工程と、を含む。
【0026】
好ましくは、この方法のNCO:OH比は、約1:1乃至約1.1:1である。
【0027】
第3の方法は、
(I)成分Aと成分Bを組み合わせて混合物を形成するステップであって、前記架橋剤をブロックトポリイソシアネート及びその混合物から成る群から選択する工程と、
(II)前記混合物を支持体に塗布する工程と、
(III)前記混合物に存在する水の少なくとも約90%を蒸発させるには十分高いが、ブロックトイソシアネート架橋剤を脱保護するには十分低い温度に暴露する工程と、
(IV)前記被覆された支持体を崩壊させずに前記ブロックトポリイソシアネート架橋剤を脱保護し、前記ヒーティングを硬化させるのに十分な温度に、前記コーティングが硬化するまで前記支持体を暴露する工程と、を含む。
【0028】
好ましくは、この方法のNCO:OH比は、約1:1乃至約1.1:1である。
【0029】
本発明は、成分Aである硬化性組成物も提供する。
【0030】
本文で用いる用語「水稀釈性」は、「水溶性および/または水分散性」である組成物を意味する。
【0031】
本文で用いる用語「有機溶剤稀釈性」とは、「有機溶剤可溶性および/または有機溶剤分散性」である組成物を意味する。
【0032】
本文で用いる用語「自己回復性」は、試験Eで定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
成分A
成分Aの構成要素は、どのような順序で組み合わせることができる。
【0034】
一般に、水性系の場合、構成要素を以下の順番で容器に充填する:ポリオール(典型的には、水性分散系の形態で)及び/またはポリウレタンプレポリマー(典型的には、水性分散系の形態で)、任意の界面活性剤、任意の凝集溶剤、任意の触媒、水(ただし、水は、上述の分散系のいずれかの成分として予め添加されている場合には、この段階での添加をしなくてよい)。
【0035】
一般に、非水性系の場合、成分を以下の順番で容器に充填する:ポリオール(典型的には、有機溶剤溶液の形態で)および/またはポリウレタンプレポリマー(典型的には、有機溶剤溶液の形態で)、任意の界面活性剤、任意の触媒、任意の有機溶剤(ただし、任意の有機溶剤は、上述の分散系のいずれかの成分として予め添加されている場合には、添加しなくてよい)。
【0036】
A.I
ウレタンプレポリマー
成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、典型的には、ウレタンプレポリマーを約0乃至約60重量パーセント、好ましくは約0乃至約45重量パーセント、最も好ましくは、約0乃至約35重量パーセント含む。
【0037】
水性系に有用な上述のウレタンプレポリマーの酸価は、より改善された耐水性を得るには、約10乃至約100、好ましくは、約10乃至約50、最も好ましくは、約10乃至約35である。酸価が約10未満であれば、このプレポリマーは、水に不十分に分散する。酸価が約100を超える場合は、このプレポリマーは、容易に水に分散するが、成分Aと成分Bとから形成される結果として生じる硬化されたポリウレタンも、不十分な耐水性および/また防湿性を示す。
【0038】
非水性系に有用な上述のウレタンプレポリマーの酸価は、耐水性を改良するためには、約0乃至約100、好ましくは、約50未満、最も好ましくは、約35未満である。酸価が約100を超える場合には、成分Aおよび成分Bから形成される結果硬化されるポリウレタンも、不十分な耐水性および/または防湿性を示す。
【0039】
水性系および非水性系に有用なプレポリマーの場合、ポリアルキルシロキサンジオールセグメント、フッ素化ポリエーテルジオールセグメント、フッ素化ポリエステルジオールセグメント、ポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、フッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、フッ素化ポリエステルジアミンセグメント、およびそれらの組合せから成る群から選択されるセグメントは、任意である。
【0040】
ただし、このセグメントは本発明の新規のプレポリマー中に含まれる。一般に、各セグメントは、約200乃至約2000の当量を有する。ヒドロキシル官能価が2以下(プレポリマーが線状)であれば、セグメントは、ポリマー鎖骨格の内部および/または末端位置に取り込まれる。ヒドロキシル官能価が2を超える(プレポリマーは枝分かれまたは架橋されている)場合には、セグメントは、線状の場合ようにポリマー主鎖に導入され、および/またはポリマー鎖骨格上にグラフト化され、グラフト化されたセグメントは、プレポリマーの他の部分と架橋しうる。ある量のセグメントを含むプレポリマーは、結果として「自己回復(self−heal)」するポリウレタンを提供する。一般に、プレポリマーは、プレポリマーの総重量に基づいて、約0乃至約35重量パーセントのセグメント(一般には、含まれる場合には、約0.1乃至約35重量パーセント)、好ましくは、約2乃至約20重量パーセントを含む。プレポリマーが約35パーセントを超えるセグメントを含む場合、結果として生じる硬化されたPURは、硬化したPUR中の低表面張力シロキサンまたはフッ素化セグメントとその他のポリマーセグメント又はウレタン結合との間の不相溶性のために、曇ることがあり、シロキサンによって生じる多孔性によって屋外耐久性が乏しくなることがある。プレポリマーが、約2重量パーセント未満のセグメントを含む場合に、結果として生成される硬化されたPURは、アルキルシロキサンジオール/ジアミンおよび/またはフッ素化ジオールも成分Aに含まれない場合限りは、十分な耐引掻性および自己回復性をもたないことがある(ポリマー鎖がすべらないことによることが最も考えられる)。
【0041】
ウレタンプレポリマーの平均ヒドロキシル官能価は、約1.85乃至約2.7であり、好ましくは、約2乃至約2.5である。ヒドロキシル官能価が約1.85未満である場合に、プレポリマーから調製される結果として生じる硬化されたPURの熱安定性および/または屋外耐久性は乏しくなる。ヒドロキシル官能価が、約2.7を超える場合、プレポリマーは水に分散しにくくなる。ヒドロキシル官能価によっては、プレポリマーは、線状であっても、枝分かれしていても、架橋されていてもよい。ヒドロキシル官能価が2以下である場合には、プレポリマーは線状になる。ヒドロキシル官能価が2を超える場合には、プレポリマーは枝分かれするか架橋される。
【0042】
プレポリマーのヒドロキシル当量は、約500乃至約5000、好ましくは約750乃至約4000、最も好ましくは約1000乃至約3500の範囲にある。ヒドロキシル当量が大きすぎる場合、結果として生じる硬化したPURは軟質になり、熱安定性および/または屋外耐久性が乏しくなる。プレポリマーのヒドロキシル当量が低すぎる場合には、それから形成される硬化されたプレポリマーを硬化は、長い硬化時間または長い不粘着時間が必要であり、結果として生じる硬化されたPURは、過度に剛化したり、もろくなったり、硬質になったりする。
【0043】
本発明の水性組成物である組成物の成分Aに有用なウレタンプレポリマーは、一般に、
(a)ジイソシアネートと、
(b)酸価が約420未満になるように最大約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量および十分な数のカルボキシル基を有するカルボキシル官能性ジオールと、
(c)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、およびそれらの混合物から成る群から選択される第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(d)任意に、ポリマージオールと、
(e)任意に、ジオール連鎖延長剤、トリオール連鎖延長剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される連鎖延長剤と、の反応生成物を含み、
当該プレポリマーの総重量に基づいて、トリオール連鎖延長剤が、約0乃至約15重量パーセントの量になるよう存在し、
プレポリマーが形成される成分のNCO:OH比は、約1:1.3乃至約1:1.9、好ましくは、約1:1.4乃至約1:1.7の範囲にわたる。
【0044】
本発明の非水性組成物である組成物の成分Aに有用なウレタンプレポリマーは、一般に、
(a)ジイソシアネートと、
(b)酸価が約0.1乃至約420の範囲になるように、任意に、最大約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量および十分な数のカルボキシル基を有するカルボキシル官能性ジオールと、
(c)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、およびそれらの混合物から成る群から選択される第1の化合物であって、ヒドロキシル当量が約200乃至2000の範囲である第1の化合物と、
(d)ポリマージオールと、
(e)任意に、ジオール連鎖延長剤、トリオール連鎖延長剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される連鎖延長剤と、の反応生成物を含み、
約0乃至約15重量パーセントのトリオール連鎖延長剤が、プレポリマーの総重量に基づいて存在し、
プレポリマーから形成される成分のNCO:OH比が、約1:1.3乃至約1:1.9、好ましくは約1:1.4乃至約1:1.7にわたる。
【0045】
A.I.i.
ジイソシアネート
当該プレポリマーは、その総重量に基づき、典型的には、約15乃至約55重量パーセント、好ましくは約15乃至約45重量パーセント、最も好ましくは、約15乃至約35重量パーセントのジイソシアネートから形成される。
【0046】
ウレタンポリマーを形成するのに有用なジイソシアネートの例としては、限定するわけではないが、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、およびそれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートは、プレポリマーから調製される結果として生成される硬化したポリウレタンを黄変させないように防止するのに好ましい。
【0047】
有用な特定のジイソシアネートの例としては、限定するわけではないが、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4′−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4′ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4′ジイソシアネート;および、それらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
【0048】
A.I.ii.
カルボキシル官能性ジオール
当該プレポリマーは、その総重量に基づいて、典型的には、約0.1乃至約65重量パーセント、好ましくは、約0.1乃至約55重量パーセント、最も好ましくは約0.1乃至約45重量パーセントのカルボキシル官能性ジオールから形成される。
【0049】
カルボキシル官能性ジオールは、約20乃至420の酸価を有するように、最大2000まで(より好ましくは、一般に、約60〜約2000)のヒドロキシル当量及び一般に十分な数のカルボキシル基を有する。ヒドロキシル当量が約2000を超える場合、硬化したPURが優れた熱安定性を有するように調製することができるプレポリマーを提供するには、より多量の連鎖延長剤が必要である。
【0050】
カルボキシルシル官能性ジオールの酸価が低い場合には、それから形成されたプレポリマーが必要なカルボキシル官能価を有するように調製する場合には、より多量のジオールをプレポリマーに使用すべきである。カルボキシル官能性ジオールが過度に少なく含まれている場合又はジオールの酸価が約20未満の場合に、多量のカルボキシル官能性ジオールおよび/またはその代わりとなるカルボキシル基供給源を添加しない場合には、プレポリマーは水分散性が乏しくなる。ジオールの酸価が420を超える場合、および/または過度に多いカルボキシル官能性ジオールが含まれている場合には、結果として生成される硬化したポリウレタンは、耐水性が乏しくなる。
【0051】
A.I.iii .
アルキルシロキサンジオール/ジアミンおよびフッ素化ジオールジアミン
本発明の成分Aに有用であるプレポリマーを調製するのに任意に使用できるが、本発明の新規のプレポリマーを形成するときには必要とされる化合物には、オキシドを末端基とするポリジメチルシロキサンなどのポリアルキルシロキサンジオール、プロピレンオキシドを末端基とするポリジメチルシロキサン、例えば
【0052】
【化1】

【0053】
(式中Rは、−H及び−CH3から成る群から独立して選択され、nは1以上であり、qは1以上であり、mは2乃至25である)により示される化合物、アミノプロピルを末端基とするポリジメチルシロキサンやアミノエチルを末端基とするポリジメチルシロキサンなどのポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテル、例えば、
【0054】
【化2】

【0055】
(式中mおよびnは、各々3に等しく、かつ、公称分子量は、約1300である)により示される化合物、HOCH2CF2O(CF2CF2O)m(CF2O)nCH2OH(m/n比は約0.8であり、公称分子量は約2000である)により示される化合物など、フッ素化ポリエステルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、などが挙げられる。
【0056】
当該プレポリマーは、その総重量に基づいて、典型的には、約0乃至約35重量パーセント、典型的に含まれる場合には、約0.1乃至約35重量パーセント、好ましくは、約2乃至約20重量パーセント、の上記化合物から形成される。過度に含まれる場合には、プレポリマーから調製される結果として生成される硬化したPURは、硬化したPUR中の低表面張力シロキサンまたはフッ素化セグメントとその他のポリマーセグメントまたはウレタン結合との不相溶のために曇ってしまう。また硬化したPURは、シロキサンによって生じる高多孔性によって屋外耐久性が弱くなる。ほとんど含まれない場合には、成分Aに別の化合物を添加しない場合には、結果として生成される硬化された化合物は自己回復性ではない。
【0057】
A.I.iv
ポリマージオールおよびジオール/トリオール連鎖延長剤
ポリウレタンプレポリマーは、任意に、ポリマージオールおよび/またはトリオール連鎖延長剤および/またはジオール連鎖延長剤をその中に含む。望ましい特性を達成するためには、以下の点が考慮されねばならない。ポリマージオールの当量が大きい場合(例えば、約4000以上の場合)には、連鎖延長剤が必要である。ポリマージオールの当量が小さい場合(例えば、約400以下の場合)には、連鎖延長剤は必要ではない。
【0058】
もし、成分Aがポリマージオールを多量に含みすぎるならば、それから調製される硬化PURは柔軟すぎるであろう。成分Aは鎖延長剤を多量に含みすぎるならば、それから調製される硬化PURは特定の用途には剛性すぎるであろう。
【0059】
A.I.iv.a.
ポリマージオール
ポリマージオールは、ポリウレタン配合物に使用されているまたは使用されることが提案されている、いずれのポリマージオールの化学種のものであってもよい。特に、それはポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン等であってよい。通常、ポリマージオールの当量は約400〜4000の範囲である。
【0060】
使用できるポリエステルジオールは、制限するわけではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、フランジメタノール、シクロヘキサンジメタノールまたはポリエーテルジオールまたはそれらの混合物のような二価アルコールと、琥珀酸、グルタル酸およびアジピン酸またはそれらのメチルエステル、無水フタル酸またはテレフタル酸ジメチルのようなジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とのヒドロキシル末端反応生成物からなる群より選ばれるものを含む。ジオールとの組み合わせでカプロラクトンのようなラクトンの重合により得られるポリエステルも使用されてよい。ポリエステルアミドは、ポリエステル化混合物中にエタノールアミンのようなアミノアルコールを含有させることにより得ることができる。
【0061】
使用できるポリエーテルジオールは、制限するわけではないが、環式オキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはテトラヒドロフランの重合により、または、1種以上のこのようなオキシドを、二価の開始剤、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールまたはビスフェノールAに添加することにより得られる生成物を含む。特定の有用なポリエーテルの例は、制限するわけではないが、エチレンおよびポリプロピレンオキシドの適切な開始剤への同時添加または逐次添加により得られるポリオキシプロピレンジオール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジオール、および、テトラヒドロフランの重合により得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる群より選ばれるものを含む。
【0062】
使用できるポリカーボネートジオールは、ジオール、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールと、ジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネートまたはホスゲンとを反応させることにより得られる生成物を含む。
【0063】
使用できるポリアセタールジオールは、制限するわけではないが、グリコールまたはヘキサンジオールをホルムアルデヒドと反応させることにより得られるものを含む。適切なポリアセタールは、環式アセタールを重合することによっても製造されうる。
【0064】
適切なポリオレフィンジオールは、制限するわけではないが、ヒドロキシ末端ブタジエンホモポリマーおよびコポリマーを含む。
【0065】
プレポリマーは、通常、プレポリマーの合計重量を基準として、約0〜約70重量%、好ましくは約0〜約55重量%、より好ましくは約0〜約45重量%のポリマージオールから形成される。ポリマージオールの当量は、通常、固体分ポリマージオールを基準として約400〜約4000の範囲である。もし当量が高すぎ、および/または多量すぎるポリマージオールが使用されるならば、得られる硬化PURは柔軟すぎ、そして低い熱安定性を有するであろう。
【0066】
ポリマージオールの当量が低すぎ、および/または少量すぎるポリマージオールが使用されるならば、使用される他の成分によっては、得られるPURは硬質すぎるであろう。
【0067】
A.I.iv.b
ジオールおよびトリオール鎖延長剤
鎖延長剤はプレポリマーを形成するときの任意成分である。ここで有用な適切なジオール鎖延長剤は、制限するわけではないが、1,2−シクロヘキサンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,8−オクタンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール;2−エチル−1,3−ヘキサンジオール;1,2−ヘキサンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−デカンジオール;および2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールからなる群より選ばれるものを含む。適切なトリオール鎖延長剤の例は、制限するわけではないが、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリプロポキシレート、トリメチロールプロパントリエトキシレートからなる群より選ばれるものを含む。Union Carbide Corporationにより、Tone(登録商標)−301、−303および−305の商標名で供給されているカプロラクトン改質トリメチロールプロパンのような他のトリオールも有用である。プレポリマーは、通常、約0〜約15重量%、好ましくは約0〜約10重量%のトリオール鎖延長剤から形成される。もしプロポリマーが約15重量%を越える量のトリオール鎖延長剤を含むならば、PURプレポリマーは水中または有機溶剤中に分散することが困難である。
【0068】
プレポリマーは、通常、プレポリマーの合計重量を基準にして、約0〜50重量%(もし使用されるならば、より典型的には約0.1〜約50重量%)、好ましくは約0〜約40重量%、最も好ましくは約0〜約30重量%のジオール鎖延長剤から形成される。もし、多量すぎるジオール鎖延長剤が存在するならば、硬化PURは硬質すぎるであろう(即ち、貯蔵弾性率が高すぎるであろう。貯蔵弾性率については以下で議論される。)
【0069】
A.I.v.c
プレポリマー反応
プレポリマーは、反応容器中で、撹拌しながら、いずれかの順序で、粘度を調節するための有機溶剤を含む成分を混合することにより形成されうる。反応は、通常、約75℃〜約105℃の温度で不活性条件下で(例えば、窒素ブランケット下で触媒の存在下において)行われる。適切な触媒の例は、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸第一錫、ジメチル錫ジクロリド、有機錫カルボキシレート、その混合物等を含む。通常、反応混合物(溶剤+他の成分)の合計重量を基準にして、約0〜約2000ppm(より典型的には、1〜2000ppm)、好ましくは約0〜1000ppm、最も好ましくは約0〜500ppmが使用される。
【0070】
A.II.
水/溶剤
水性組成物については、成分Aは粘度を調節するために、特定の量の水、通常には、脱イオン水を含む。水は、成分Aに、それ自体で添加されても、または、アクリルポリマーエマルジョン、プレポリマー分散体等の形態のように、別の化合物との組み合わせで添加されてもよい。成分Aの粘度の必要条件は、そしてより詳細には成分Aおよび成分Bの混合物の粘度の必要条件は、塗布用途、例えば、スクリーン、スプレー、ロールコーティング、ブラシコーティング等により決まる。
【0071】
水性組成物については、通常、成分Aは、成分Aの%固体分範囲が約15〜約75重量%であるように、十分な量の水を含む。もし、成分Aが少量すぎる水を含むならば、成分Aおよび成分Bの混合時に形成される組成物は塗布目的には濃厚すぎるであろう。通常、成分Aが約10〜約2000cps、好ましくは約10〜約1000cpsのブルックフィールド粘度を有するように、十分な量の脱イオン水が存在すべきである。
【0072】
水性組成物については、通常、成分Aおよび成分Bの混合物の固形分は約15〜約65、好ましくは約15〜約50の範囲である。好ましくは、成分Aおよび成分Bの混合物のブルックフィールド粘度は約10〜約2000cps、好ましくは約10〜約1000cpsの範囲である。
【0073】
非水性組成物については、通常、成分Aは、成分Aの固形分(%)が約15〜約85%であるように有機溶剤を含む。成分Aが有機溶剤を含まない、または、不十分な有機溶剤を含むならば、成分Aおよび成分Bの混合時に形成される組成物は、塗布目的には濃厚すぎるであろう。通常、成分Aが約10〜約2000cps、好ましくは約10〜約1000cpsのブルックフィールド粘度を有するように十分な有機溶剤が存在すべきである。
【0074】
通常、非水性組成物の成分Aおよび成分Bの混合物の固形分は、約15〜85%であり、好ましくは約30〜約85%である。好ましくは、成分Aおよび成分Bの混合物のブルックフィールド粘度は約10〜約2000cpsの範囲であり、好ましくは約10〜約1000cpsの範囲である。
【0075】
A.III
界面活性剤
成分Aは必要に応じて界面活性剤を更に含む。成分Aは均質な塗膜またはフィルムが得られるように、必要ならば、十分な量の界面活性剤を含んでよい。成分Aは、良好な耐水性および/または耐湿性並びに良好な屋外耐久性および耐候性を有する最終の硬化PURを得るために、通常、成分Aの合計重量を基準にして約0〜約10重量%(含まれるならば、より典型的には約0.1〜約10重量%)、好ましくは約0.1〜約5重量%、最も好ましくは0.1〜約3重量%の界面活性剤を含む。もし、多量すぎる界面活性剤が含まれるならば、得られる硬化PURは低い耐湿性を有し、それにより、低い屋外耐久性となりうる。少量すぎる界面活性剤が含まれるならば、成分AおよびBの混合物は塗布時に十分な表面湿潤性を示さないであろう。成分Aおよび成分Bの混合時に形成される組成物は、通常、成分Aおよび成分Bの合計重量を基準として約10重量%未満の界面活性剤を含み、通常、約0〜約8重量%(含まれるならば、より典型的には約0.1〜約8重量%)の界面活性剤を含む。界面活性剤は表面張力を低下させ、且つ、塗膜塗布性を改良するように作用する。要求される表面張力は被塗される基材に依存する。
【0076】
水性組成物のために有用な界面活性剤は、制限するわけではないが、陰イオン、非イオンおよび陽イオン界面活性剤からなる群より選ばれるものを含む。
【0077】
水性組成物に有用な陰イオン界面活性剤には、限定するわけではないが、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルリン酸塩、オレイン酸ナトリウム、半硬質牛脂のナトリウム塩、オレイン酸カリウム、カリウム=ヒマシ油、ラウリルアルコール硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンオクチル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンオクチルフェニル硫酸ナトリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸塩、高級アルコール硫酸塩、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン硫酸塩、フルオロアルキルカルボン酸カリウム、ペルフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、フルオロアルキルスルホン酸ナトリウムなどからなる群より選ばれるものが含まれる。
【0078】
水性組成物に対して好ましい陰イオン界面活性剤の例には、3MによりFluorad(登録商標)FC−129,FC−99及びFC−100の商標名のもとでそれぞれ提供されているフルオロアルキルカルボン酸カリウム、ペルフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム、及びフルオロアルキルスルホン酸からなる群より選ばれるものが含まれる。
【0079】
水性組成物に対して有用な非イオン界面活性剤には、限定するわけではないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアシルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールオレエート、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンソルビタンアミド、ラウリルアミンアセテート、硬質牛脂プロピレンジアミンジオレエート、エトキシル下テトラメチルデシンジオール、フルオロ脂肪族ポリマーエステル、ポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーなどからなる群より選ばれるものが含まれる。
【0080】
水性組成物に対して好ましい非イオン界面活性剤の例には、限定するわけではないが、Air Products and Chemicalsから商標名Surfynol(登録商標)440,420,765及び485のもとで入手可能なエトキシル化テトラメチルデシンジオール、3Mから商標名Fluorad(登録商標)FC−430で入手可能なフルオロ脂肪族ポリマーエステルのようなフッ素化ポリマー界面活性剤、Tego Chemie Sevice USAにより商標名Foamex(登録商標)−800,−805及び−810で入手可能なポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーからなる群より選ばれるものが含まれる。
【0081】
水性組成物に対して有用な陽イオン界面活性剤には、限定するわけではないが、アルキルアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩、アルキルアミンアセテート、フルオリアルキル第4級アンモニウムヨウ化物塩などからなる群より選ばれるものが含まれる。
【0082】
水性組成物に対して好ましい陽イオン界面活性剤の例には、限定するわけではないが、3M Companyから商標名Fluorad(登録商標)FC−135で入手可能なフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物塩が含まれる。
【0083】
非水性組成物に対して有用な界面活性剤には非イオン界面活性剤が含まれる。全ての非イオン界面活性剤が有機溶剤により稀釈することができるため本発明の非水性組成物において有用である。有用な非イオン界面活性剤には、限定するわけではないが、Eastman ChemicalによりそれぞれCAB−398−3,CAB−381−0.1,CAB−381−0.5,CAB−531.1,CAB−482−0.5等の商標名で入手可能なセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ブタンジオエートのようなセルロース誘導体からなる群より選ばれるものが含まれる。シリコーン非イオン界面活性剤の例は、BYK Chemie製のBYK(登録商標)−320及び310のようなポリエステル改質ポリシロキサンポリマー、BYK Chemie製のBYK(登録商標)−306,307,321,325,331及び344又はTego Chemie Service USA製のTego(登録商標)Glide 100,A−115,B−1484,Tego Flow 425のようなポリエーテル改質ポリシロキサンである。フルオロ脂肪族ポリマーエステル(Minnesota Mining and Manufacturing Company製のFluorad(登録商標)FC−430及びFC−431)及びアミンペルフルオロアルキルスルホネート(商標名Fluorad(登録商標)FC−99で入手可能)等のようなフッ素化された材料も有用な非イオン界面活性剤である。他の有用な界面活性剤には、Tego Chemie Service USA製のTego(登録商標)Flow ZFS−460,Monsanto製のCOROC(登録商標)A−2201−M,A−620−A2,A−72−A260及びXA−4131−A2並びにModaflow(登録商標)樹脂及びMultiflow(登録商標)樹脂からなる群より選ばれるものが含まれる。
【0084】
A.IV.
凝集溶剤
水性の系に対して、成分Aは本発明に係る凝集溶剤(典型的には有機溶剤)を場合に応じて更に含んでよい。当該凝集溶剤は、成分Bのポリイソシアネート架橋剤との反応を引き起こす官能基を有しないことが好ましい。このようなイソシアネート反応性基の例には、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が含まれる。当業者は、イソシアネート基と反応する官能基と反応しない基とを認識し、区別することができるであろう。
【0085】
一般に、約0.5未満の蒸発速度(n−ブチルアセテートでは1)を有する凝集溶剤が使用される。蒸発速度が約0.5を超える場合には、次の問題が生じる:成分Aと成分Bとを混合した後の硬化工程時に水と共に凝集溶剤が蒸発し、その結果、不十分な(すなわち、不十分なテキスチャーの及び/又は透明性に欠けた)フィルム又はコーティングが形成される。
【0086】
適切な凝集溶剤の例には、限定するわけではないが、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、Eastman Chemicalから入手可能なTexanol(登録商標)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ(2−メチルプロパノエート)、エチレングリコールジアセテート、及びイソシアネート反応性基が含有しない他の類似の溶剤からなる群より選ばれるものが含まれる。水性の系に対し、成分Aは、成分A及びBから形成される組成物の良好な皮膜形成特性が得られるように必要であれば十分な凝集溶剤を含むべきである。好ましくは、水性の系に対し、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて約0〜約10重量%、最も好ましくは約0〜約6重量%の補助溶剤を含む。環境上の理由から、平滑な、むらのない、透明なフィルム又はコーティングが得られる最低限の量の凝集溶剤を使用することが望ましい。
【0087】
成分Aの溶剤の一覧
A.V.
アクリルポリマー
本発明の二液型組成物の成分Aは場合に応じてアクリルポリマーを更に含んでよい。当該アクリルポリマーは、水性組成物に対しては、それ自体で又は水性エマルジョン又は水性分散体等の一部のような種々の形態で添加することができ、また非水性組成物に対しては、有機溶剤プレミックスの一部として添加することができる。当該アクリルポリマーはヒドロキシル基を含んでも含んでいなくてもよい。ヒドロキシル官能基を有するアクリルポリマーは典型的には約200〜約8000、好ましくは約200〜約5000のヒドロキシル当量を有する。反応性ヒドロキシル基を有しないアクリルポリマーは、結果として得られる硬化したPURとのブレンドを形成し、一方、反応性ヒドロキシル基を有するアクリルポリマーは実際には、結果として硬化したPURと反応する。アクリルポリマーは、結果として硬化したPURの光沢の保留性を改良し、そしてコーティングが不粘着性となるのに必要な時間を短縮する。
【0088】
有用なアクリルポリマーの例には、限定するわけではないが、次のモノマー:メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソブチルアクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコールプロポキシレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、それらの混合物等からなる群より選ばれるものが含まれる。フッ素化アクリルモノマーは、本発明に有用なアクリルポリマーを製造する際にも有用である。例としては、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート等が挙げられる。
【0089】
成分Aの総重量に基づいて、典型的には約0〜約65重量%(含められる場合には、より典型的には約0.1〜約65重量%)、好ましくは約0〜約45重量%、最も好ましくは約0〜約30重量%のヒドロキシル官能性アクリルポリマーが成分A中に含められる。成分Aの総重量に基づいて、典型的には約0〜約45重量%、好ましくは約0〜約35重量%、最も好ましくは約0〜約25重量%の、ヒドロキシル基を有しないアクリルポリマーが成分Aに含められる。過度に多量のアクリルポリマーが含められた場合には、結果として得られる硬化したPURはPURとアクリルポリマーとの不相溶性のために曇るか、又は硬化したPURは過度に硬質となるか又は脆くなる。
【0090】
A.VI.
第1化合物
水稀釈性の第1化合物
成分Aは、成分Aの総重量に基づいて典型的には約0〜約35重量%(含められる場合には、より典型的には約0.1〜約35重量%)、好ましくは約2〜約20重量%の水稀釈性の第1化合物を含む。
【0091】
成分Aに有用な任意の水稀釈性(water−reducible)の第1化合物は、欄A.I.iiiに列挙したアルキル/シロキサンジオール/ジアミン及びフッ素化ジオール/ジアミンと同じものである。
溶剤稀釈性の第1化合物
【0092】
非水性組成物に対し、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて典型的には約0〜約35重量%(含められる場合には、より典型的には約0.1〜約35重量%)、好ましくは約2〜約20重量%の有機溶剤稀釈性(organic solvent−reducible)の第1化合物を含む。成分Aに有用な任意の有機溶剤稀釈性の第1化合物は欄A.I.iiiに列挙したアルキル/シロキサンジオール/ジアミン及びフッ素化ジオール/ジアミンと同じものである。
【0093】
A.VII .
第2化合物
水稀釈性の第2化合物
本発明の水性組成物に対し、ジオール及びポリオールからなる群より選ばれる水稀釈性化合物であって、任意に1つ以上のカルボキシル基により置換された化合物が成分Aに含まれてよい。
【0094】
水稀釈性の第2化合物の特定の例は水稀釈性の重合体ジオールである。多量すぎる重合体ジオールが存在する場合には、結果として得られる硬化したPURは、軟らかくなりすぎ、及び/又は不十分な屋外耐久性及び/又は不十分な熱安定性を有するようになるであろう。
【0095】
水稀釈性の第2化合物の他の例は典型的には水稀釈性のジオール連鎖延長剤である。多量すぎるジオール連鎖延長剤が含められる場合には、PURはより長い硬化時間又は不粘着時間及びより高い硬化温度を必要とし、そして結果として得られる硬化したPURは過度に硬質になる。
【0096】
水稀釈性の第2化合物の他の例は水稀釈性ポリオール連鎖延長剤(3つ以上のヒドロキシル基を有する)である。過度に多量のポリオール連鎖延長剤が存在する場合には、結果として得られる硬化したPURは過度に硬質になり、そして高い貯蔵弾性率のために独特の自己回復性を示さない。
【0097】
本発明の二液型組成物の成分Aは、水稀釈性の第2化合物としてメラミンポリオールを場合に応じて更に含むことができると理論づけされる。有用なメラミンポリオールの例には、限定するわけではないが、ホルムアルデヒドを有する1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンのポリマーであって、メチル化されたもの;ホルムアルデヒドを有する1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンのポリマーであって、メチル化及びブチル化されたもの;並びに、ヒドロキシル官能基を有するウレタン改質メラミン樹脂(Cytec IndustryからCYLINK(登録商標)HPC−100,HPC−90及びHPC−75の商標名で入手可能)からなる群より選ばれるものが含まれる。
【0098】
−20〜50℃のTg,0.9を超えるガラス転移域に位置するTan(δ)ピーク高さ、及び約1.0×108〜9.9×108パスカルの室温での貯蔵弾性率を有する硬化したPURを提供するために、成分Aは典型的には約0〜約45重量%(使用される場合には、より典型的には約0.1〜約45重量%)、好ましくは約0〜約35重量%、そして最も好ましくは約0〜約25重量%の水稀釈性の第2化合物を含む。
【0099】
有機溶剤希釈性の第2の化合物
本発明の非水性組成物では、ジオールおよびポリオールからなる群から選択され、任意に1個以上のカルボキシル基で置換されていてもよい有機溶剤希釈性の化合物を成分Aに含有させることができる。
【0100】
有機溶剤希釈性の第2の化合物の具体的な例としては、有機溶剤希釈性のポリマージオールが挙げられる。ポリマージオールの含有量が多すぎると、結果として得られる硬化PURは軟らかすぎるおよび/または低屋外耐久性および/または低熱安定性のものとなってしまう場合がある。
【0101】
有機溶剤希釈性の第2の化合物のもう1つの例としては、一般に有機溶剤希釈性のジオール連鎖延長剤が挙げられる。ジオール連鎖延長剤の含有量が多すぎると、PURに必要な硬化時間またはタックフリー時間が長くなる上、高い効果温度を必要とし、結果として得られる硬化PURが固すぎてしまうなどの問題が生じる可能性がある。
【0102】
有機溶剤希釈性の第2の組成物のもう1つの例としては、有機溶剤希釈性のポリオール連鎖延長剤(3個以上のヒドロキシル基を含有)が挙げられる。ポリオール連鎖延長剤の含有量が多すぎると、結果として得られる硬化PURが固すぎたり、あるいは貯蔵弾性率が高いために顕著な自己回復性が認められなかったりといった問題が生じる可能性がある。
【0103】
本発明の二液型組成物の成分Aは、理論的には、水希釈性の第2の化合物の場合と同様に任意にメラミンポリオールを含有することができる。有用なメラミンポリオールの例としては、メチル化ホルムアルデヒドを含む1,3,5−トリアミン−2,4,6−トリアミンポリマー、ブチル化およびメチル化ホルムアルデヒドを含む1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンポリマー、ヒドロキシル官能性を有するウレタン変性メラミン樹脂(Cytec Industryから商品名CYLINK(登録商標)HPC−100として入手可能)からなる群から選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。非水性組成物では、成分Aは一般に、その総重量に対して、有機溶剤希釈性の第2の化合物を約0乃至約45重量%(より一般には、使用するのであれば約0.1乃至約45重量%)、好ましくは約0乃至約35重量%、最も好ましくは約0乃至約25重量%含有し、硬化PURのTgが−20℃乃至50℃の間になり、ガラス転移領域のTan(δ)ピーク高さが0.9より高くなり、室温での貯蔵弾性率が約1.0×108乃至9.9×108パスカルになるようにする。
【0104】
A.VIII.
添加剤
成分Aにはさらに、流れ調整剤、気泡調整剤、遊離基掃去剤、紫外線吸収剤、殺カビ剤、染料、顔料、アルミニウムフレーク、反応阻害剤、可使時間延長剤、殺生物剤、これらの混合物などからなる群から選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない添加剤を任意に含有させることができる。
【0105】
理論的には、成分Aには任意に触媒を含有させることができる。触媒の機能は、成分Bに含まれる架橋剤中に存在するイソシアネート基と、成分Aに含まれる成分に存在するヒドロキシル基との間の反応を触媒することである。触媒の例としては、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸第一錫、ジメチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジアセテート、有機錫カルボキシレート、ジブチル錫−ジ−2−エチルヘキソエート、ジオクチル錫カルボキシレート、有機ビスマスカルボキシレート、有機水銀カルボキシレート、これらの混合物などからなる群から選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。理論的には、第三アミンなどの触媒エンハンサーを系に添加することができる。水性系では、イソシアネート/水反応を促進させすぎることがないよう、触媒を使用しすぎないように注意しなければならない。一般に、水性系の成分Aの総重量に対して約0乃至約0.1重量%の触媒を用いる。非水性系では、一般に成分Aの総重量に対して約0乃至約0.5重量%の触媒を使用する。
【0106】
成分B
B.I.
架橋剤
水性系用の架橋剤
「水希釈性のポリイソシアネート」は、1個以上の親水性の基および/またはセグメントをポリイソシアネートのバックボーンに化学的に取り込み、ポリイソシアネートを水希釈性にすることによって調製される。有用な親水性の基としては、スルホネート基、第三アミン基、カルボン酸官能性基などが挙げられる。有用な親水性セグメントとしては、エチレンオキシドセグメント、その誘導体などが挙げられる。
【0107】
引用することによりその開示内容全体が本願明細書に含まれるものとする、米国特許第4,472,550号、欧州特許出願第516277号、米国特許第5,075,370号、欧州特許出願第469389号、カナダ特許第2082785号、カナダ特許第2088805号、米国特許第5,252,696号などの特許には、本発明において有用となり得る水希釈性のポリイソシアネートを生成するための方法が教示されている。
【0108】
本発明において有用な水希釈性のポリイソシアネートは、水分散性のポリマーヘキサメチレンジイソシアネートである。適した水希釈性ポリイソシアネート架橋剤の例としては、Miles,Inc.から入手可能なBahydrol(登録商標)XP−7007脂肪族ポリイソシアネート(NCO当量=250)およびBahydrol(登録商標)XP−7043脂肪族ポリイソシアネート(NCO当量=220)からなる群から選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0109】
ブロックトポリイソシアネートは、ポリイソシアネートにブロッキング剤を添加して比較的結合の弱いアダクトを生成することによって調製される。弱い結合は加熱時に切断され、遊離ポリイソシアネートおよびブロッキング剤が再生成される。遊離ポリイソシアネートは、他の化合物のヒドロキシル基、アミン基、またはカルボキシル基と反応して熱的に安定な結合を形成することができる。一般に用いられているブロッキング剤としては、オキシム、カプロラクタムおよびフェノールが挙げられる。「水希釈性ブロックトポリイソシアネート」は、1個以上の親水性の基および/またはセグメントをポリイソシアネートのバックボーンに化学的に取り込み、ポリイソシアネートを水希釈性にすることによって調製される。有用な親水性の基としては、カルボン酸官能性基、第三アミン基、スルホネート基などが挙げられる。有用な親水性セグメントとしては、エチレンオキシドセグメント、エチレンオキシド誘導体などが挙げられる。
【0110】
引用することによりその開示内容全体が本願明細書に含まれるものとする、米国特許第4,522,851号、米国特許第4,891,921号、米国特許第4,098,933号および米国特許第5,034,435号などの特許には、本発明において有用となり得る水希釈性のポリイソシアネートを生成するための方法が教示されている。
【0111】
本発明において有用な具体的な水希釈性のブロックトポリイソシアネートの例としては、商品名Bayhydron(登録商標)−116としてMiles,Inc.から提供されているブロックト1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0112】
成分Bは一般に、その総重量に対して約75乃至約100重量%の架橋剤を含有している。
【0113】
非水性組成物用の架橋剤
本発明の非水性組成物では、溶剤希釈性のポリイソシアネートまたはブロックトポリイソシアネートを用いることができる。そのアンブロックトポリイソシアネートの例としては、Bayerから入手可能なDesmodur(登録商標)N−3308,N−100,N−73,N−4370,Onlin Chemicalから入手可能なLuxate(登録商標)HT−2000,HB−9000,HB−3000およびHULS America,Inc.から入手可能なVestanate(登録商標)T−1890L,T−1890M,T−1890Eが挙げられる。ブロックトポリイソシアネートの例としては、Bayerから入手可能なDesmodur(登録商標)BL−3175AおよびBL−4165およびHULS America,Inc.から入手可能なVestanate(登録商標)B−1370,VB−909ICおよびUB−1265ICが挙げられる。
【0114】
溶剤系系用の成分Bは一般に、成分Bの総重量に対して約30乃至約100重量%の架橋剤を含有している。
【0115】
B.II
溶剤
水性系用の溶剤
水性系では、成分Bに任意に溶剤を含有させて粘度を調節したり、あるいは分散を助けるようにしてもよい。成分Bには一般に、その総重量に対して約0乃至約25重量%、好ましくは約0乃至約15重量%、より好ましくは約0乃至約10重量%、最も好ましくは約0乃至約6重量%の溶剤を含有させ、成分Aと成分Bとの混合物中の溶剤の量を出来るだけ少なくするか、あるいは溶剤を全く存在させないようにする。
【0116】
適した溶剤の例としては、A.III において列挙した凝集溶剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい溶剤としては、ジメチル−ホルムアルデヒド、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ(2−メチルプロパノエート)およびExxon Chemicalsから商品名Exxate(登録商標)−600、−700、−800および−900として入手可能な長鎖エステル溶剤からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0117】
成分Bに含有される溶剤の量が少なすぎると、特に成分Bに親水性ポリイソシアネートがあまり含まれていない場合に成分Bの成分Aへの分散性が悪くなり、成分Bに含まれる親水性ポリイソシアネートの量が多い場合には必要な溶剤の量は少なくてすむ。
【0118】
非水性系用の溶剤
非水性系では、成分Bに任意に溶剤を含有させて粘度を調節したり、あるいは分散を助けるようにしてもよい。成分Bには一般に、その総重量に対して約0乃至約70重量%、好ましくは約0乃至約50重量%、より好ましくは約0乃至約30重量%、最も好ましくは約0乃至約25重量%の溶剤を含有させ、成分Aと成分Bとの混合物中の溶剤の量を出来るだけ少なくするか、あるいは溶剤を全く存在させないようにする。
【0119】
非水性組成物に有用な溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルn=アミルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの他、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート、メチルアミルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジ(エチレングリコール)エーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテートなどのエステルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。その他の有用な溶剤としては、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド、1,1,1−トリクロロエタン、aromatic 100、aromatic 150、aromatic 200およびミネラルスピリットおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0120】
C.
混合成分AおよびB
C.I.
成分Aおよび成分Bの量
水性組成物では、成分Bと成分Aとの混合物のNCO:OH比は約1:1乃至1.15:1であるため、結果として得られる硬化ポリマーは、FTIR曲線に基づく尿素ピークが全く観察されず、熱安定性および屋外耐久性が高いポリウレタンである。好ましくは、NCO:OH比は約1:1乃至約1.1:1である。成分Bの添加量が多すぎると、結果として得られるポリマーは極めて黄変しやすいポリウレタン尿素となる。成分Bの添加量が少なすぎると、結果として得られるポリマーは低分子量および/または低熱安定性および/または屋外耐久性の低いものとなる可能性がある。
【0121】
非水性組成物では、成分BとAとの混合物のNCO:OH比は約0.95:1乃至約1.07:1の範囲であるため、結果として得られる硬化後のポリマーは、FTIR曲線に基づく尿素ピークが全く観察されず、熱安定性および屋外耐久性が高いポリウレタンである。好ましくは、NCO:OH比は約1:1乃至約1.05:1である。成分Bの添加量が多すぎると、結果として得られるポリマーは極めて黄変しやすいポリウレタン尿素となる。成分Bの添加量が少なすぎると、結果として得られるポリマーは低分子量および/または低熱安定性および/または屋外耐久性の低いものとなる場合がある。
【0122】
C.II.
本発明のポリウレタン系の特性
C.II.i.
架橋密度
本発明の最終的な硬化PURの架橋密度は一般に約10%乃至約80%、好ましくは約15%乃至約70%、最も好ましくは約15%乃至約60%である。架橋密度が約80%を超えると、結果として得られるPURは固すぎるまたは堅いすぎるものとなってしまう場合がある。架橋密度が約15%よりも低いと、結果として得られるポリマーは軟らかすぎたりあるいは熱安定性の悪いものであったりする場合がある。
【0123】
最終的な硬化ポリウレタンの架橋密度は以下の式によって算出される。
【0124】
【数1】

【0125】
例えば、トリメチロールプロパン(TMP)、ポリイソシアネート、多ヒドロキシルアクリルポリマーおよびJoncryl(登録商標)−800B,802,540,510,SCX−802および587などのオリゴマーのヒドロキシル官能価は3以上である。架橋密度の算出時には上記の式の分子にこれらの重量を含ませる。
【0126】
C.II.ii.
貯蔵弾性率
本発明の水性の最終的な硬化PURおよび、理論的には本発明の非水性PURの貯蔵弾性率は一般に、室温にて厚さ20〜50ミクロンの塗膜について周波数1.0Hzで動的機械熱分析器によって測定した場合に約8.0×107パスカル乃至約5.0×109パスカル、好ましくは約1.0×108パスカル乃至約9.9×108パスカルである。貯蔵弾性率が室温で約9.9×108パスカルを超えると、PURは掻き傷のつきやすいガスラ状の物質になる。さらに、ガラス状態では凍結ポリマー鎖の自由度が限られてしまうため、室温ではPURの顕著な自己回復特性は認められなくなる場合もある。室温での貯蔵弾性率が約1.0×108パスカル未満になると、最終的な硬化PURの熱安定性が悪くなったり屋外耐久性が悪くなったりする場合がある。
【0127】
本発明の水性の最終的な硬化PURおよび、理論的には本発明の非水性のPURの貯蔵弾性率は一般に、ゴム状平坦域において70℃で約1.0×106パスカル乃至約6.0×107パスカルである。70℃での貯蔵弾性率が約6.0×107パスカルを超えると、PURの70℃での顕著な自己回復特性は認められなくなる場合もある。自己回復性を持たせるにはさらに高い温度(例えば100℃乃至125℃)が必要になる場合がある。貯蔵弾性率が70℃で約1.0×106パスカル未満になると、最終的な硬化PURの熱安定性が悪くなるおよび/または屋外耐久性が悪くなる場合がある。
【0128】
C.II.iii .
ガラス転移温度
本発明の水性硬化PURおよび、理論的には本発明の非水性PURのガラス転移温度(Tg)は、厚さ25〜50ミクロンの塗膜について周波数1.0Hzで動的機械熱分析器によって測定した場合で約−20℃乃至約100℃、好ましくは約−20℃乃至約80℃、最も好ましくは約−20℃乃至約50℃である。Tgが約100℃を超えると、結果として得られるPURは、架橋密度が高くなることが原因でポリマー鎖の自由度が極めて限られてしまうために室温またはこれ以上の温度(例えば100℃乃至125℃)で顕著な自己回復特性のないものとなってしまう可能性がある。Tgが約80℃を超えると、結果として得られるPURは室温で顕著な自己回復特性のないものとなってしまう可能性がある。しかしながら、これよりも高い温度(例えば100℃乃至125℃)では自己回復特性が認められる場合もある。Tgが約50℃を超えると、結果として得られるPURは室温にて顕著な自己回復特性を示す。しかしながら、この特性を呈するには時間がかかる(例えば10日、15日、または30日)場合もある。Tgが約−20℃未満であると、結果として得られるPURは軟らかすぎるおよび/または低熱安定性および/または屋外耐久性の低いものとなる場合がある。
【0129】
C.II.iv.
減衰率
本発明の最終的な水性PURおよび理論的には本発明の非水性PURは一般に、ガラス転移域の減衰率(すなわちTan(δ)ピークの大きさ)が厚さ25〜50ミクロンの塗膜について周波数1.0Hzで動的機械熱分析器によって測定した場合で約0.4を超え、好ましくは約0.7を超え、最も好ましくは約0.9を超えるものである。減衰率の上限は一般に約1.4を超えない範囲である。ガラス転移域のTan(δ)ピークの大きさが約0.4未満であると、硬化PURは減衰特性が比較的悪くなり、室温またはこれ以上の温度(例えば100℃乃至125℃)で自己回復特性を持たないものとなる場合がある。Tan(δ)ピークの大きさが約0.7未満であると、結果として得られるPURは室温にてわずかに自己回復特性を示し、減衰特性が悪いため100%の回復率は得られない場合がある。Tan(δ)ピークの大きさが0.7〜0.9の間にある場合には、結果として得られるPURは顕著な自己回復特性を示し、室温で100%回復率が得られる。しかしながら、これらの自己回復には1週間乃至数週間かかる。Tan(δ)の大きさが約0.9を超えると、結果として得られるPURの自己回復は室温にて比較的速く顕著(すなわち、数時間乃至1週間)である。
【0130】
C.II.v.
自己回復性
本発明の自己回復性物質には、シロキサンセグメントおよび/またはフッ素化物質セグメントが含有されている。シロキサンセグメントとポリウレタンセグメントとでは表面張力の差が大きく相溶性もないため、これらの2種類のポリマー鎖セグメントは互いに排除しあい、いわゆるポリマー鎖の「鎖スリップ」が生じる。後述するように、本発明の自己回復性物質の自己回復には一般に約3日以下、より一般には室温で約2分乃至12時間、これより高い温度では約1乃至5秒かかる。
【0131】
本発明の最終的な硬化自己回復性PURは一般に、1個以上のアルキルシロキサンセグメントおよび/または1個以上のフッ素化ポリエステルセグメントおよび/またはフッ素化ポリエーテルセグメントを含有する。これらのセグメントは、プレポリマーおよびまたはA.I.iii .の化合物によって生じるものである。自己回復性PURは一般に、硬化PURの総重量に対して約0%乃至約35%、好ましくは約2%乃至約20%の上述したセグメントを含有する。硬化PURにおける上述したセグメントの含有量が約2%未満になると、ポリマーの鎖スリップの程度が極めて低くなることが原因でPURは顕著な自己回復特性を示さなくなる場合がある。1個以上のアルキルシロキサンおよび/またはフッ素化ポリエーテルおよび/またはフッ素化ポリエステルセグメントの含有量が約35%を超えると、ポリウレタンバックボーンとアルキルシロキサンセグメントおよび/またはフッ素化ポリエーテルおよび/またはフッ素化ポリエステルセグメントとが相溶しないがゆえに、結果として得られる硬化PURは曇ったものとなる場合がある。さらに、アルキルシロキサンセグメントおよび/またはフッ素化セグメントが原因で結果として得られるPURが多孔性になり、その屋外耐久性は比較的低い場合がある。アルキルシロキサンおよび/またはフッ素化ポリエーテルおよび/またはポリエステルセグメントの含有量が約20%を超えると、結果として得られるPURは依然としてわずかに曇った状態になる場合がある。しかしながら、屋外耐久性の悪さの原因となる多孔性の問題は小さくなることがある。
【0132】
C.III .
用途
C.III .i.
本発明の分散体または組成物の一般的な用途
成分Aと成分Bとを混合することによって生成される本発明の分散体または組成物は、コーティング組成物として効果的に利用できるものである。コーティング組成物は、ブラシ印刷、浸漬、フローコーティング、スプレー印刷、スクリーン印刷などを含む従来の方法によって木材、金属、ガラス、布、皮、紙、ペイント、コンクリート、プラスチック、気泡材料および保護コーティングを塗布できるその他の支持体からなる群から選択されるものを含む様々な支持体に塗布するまたはこれらの上にて硬化させることのできるものである。コーティング組成物には、有機溶剤、顔料、染料、乳化剤(水性組成物の場合)、脱泡界面活性剤、増粘剤、難燃剤、熱安定化剤、均展剤、クレーター防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、殺カビ剤、殺生物剤、酸化防止剤などのその他の従来の成分を含有させることもできる。これらの成分は生成工程のどの段階で導入することもできる。
【0133】
本発明の組成物は、ポリスチレン、ポリウレタンなどで作られた連続気泡フォームまたは皮、木材、紙などのその他の多孔性材料用の接着剤として、あるいはコンクリートや煉瓦などの建築材料用の封止コーティングとして使用することもできるものである。
【0134】
本発明の系を多孔性または非多孔性物質に使用することもできる。しかしながら、この系を使用する際には水および/または溶剤が系から蒸発して硬化が生じるような形にしなければならない。
【0135】
非多孔性物質(金属、ガラスなど)の場合には、一般に空気に触れる表面に被覆して硬化させる。
【0136】
多孔性物質(木材、紙、コンクリートなど)の場合には、一般に空気に触れる表面に被覆するかまたは多孔性物質の2枚の層の間に被覆するか、あるいは多孔性物質の層と非多孔性物質の層との間に被覆して、硬化時に多孔性物質を介して蒸発できるようにする。その一例としては、木片を接着する場合や道路に生じたひび割れを埋める場合などが挙げられる。
【0137】
C.III.iii
本発明の自己回復性かつ耐引掻性物質の具体的な用途
本発明は、高い耐引掻性および自己回復性、屋外耐久性が要求されるような場合に透明なコーティングまたは塗膜として利用することのできるものである。
【0138】
その一例としては、上述したような一般的なあらゆる用途の他、耐引掻性および自己回復性が極めて高いため特に(車両や電化製品などのための)透明なコーティング/トップコート、木材や皮に対する仕上げ塗りなどの用途が挙げられる。
【0139】
このような高減衰PUR透明コーティングを、建設産業におけるエネルギー吸収(音エネルギー吸収を含む)用の透明コーティングまたはペイント(着色後に)として利用することもできる。
【0140】
自己回復可能な本発明のコーティングは、様々な温度範囲で自己回復できるものである。自己回復は引っ掻き傷のついたコーティングを十分に高い温度、一般に約10℃を超える温度、好ましくは約20℃乃至約70℃の温度にさらすまでは起こらないのが普通である。温度が約10℃以下である場合には、自己回復は観察されない場合がある。しかしながら、引っ掻き傷が付いたコーティングがこのような低温環境にあっても、周囲の温度を高くすれば自己回復することができる。支持体の劣化、コーティングの黄変、コーティングを艶の低下またはその他の悪影響が及ぶことのない程度に温度を高くすることで自己回復を起こすことができる。
【0141】
温度を高くすればするほど、自己回復速度も速くなる。本発明の自己回復可能なコーティングの自己回復性は、温度、傷の深さおよびコーティングの組成などによって変化する。自己回復は高温(100℃など)では約1乃至約5秒で起こる。室温での回復には一般に約数分乃至数時間(一般には2分乃至12時間)かかる。
【0142】
C.IV.
本発明の組成物の被覆および硬化
水性系の硬化
アンブロックトポリイソシアネート架橋剤を含有している本発明の水性反応性二液型PUR系を、一般に空気循環式の第1のオーブン領域にて約55℃乃至約75℃、好ましくは約65℃乃至約75℃で乾燥させ、系に含まれる水分の大半を蒸発させ、硬化反応が起こる前に成分Bに含まれるイソシアネート架橋剤が原因で生じる水とイソシアネート基との副反応を最小限に抑える。脂肪族のものの方が反応性が低く、反応を伴わずに高い温度まで加熱することができるため、水を蒸発させたり副反応を防止させたりするのが容易になるため、ポリイソシアネート架橋剤は芳香族のものではなく脂肪族のものであると好ましい。
【0143】
第1のオーブン領域において水分の大半(一般に約90乃至100%)、好ましくは約95乃至100%、最も好ましくは100%を蒸発させた後、連鎖延長および/または架橋反応を開始させるのに十分な程度まで系を第1の温度領域よりもさらに高い温度に曝露する。これは一般に、少なくとも約75℃を超える温度乃至225℃、好ましくは約90乃至225℃の第2のオーブン領域において行われ、硬化反応が開始される。この第2のオーブン領域の温度の上限は、本発明の材料を塗布する支持体によって様々である(すなわち、塩化ポリビニル(PVC)塗膜の場合には約150℃、鋼の場合には約225℃)。しかしながら、反応が開始されてしまえば材料を周囲温度下においても反応は継続されて終了する。
【0144】
エネルギーを節約するために、コーティングが部分的に硬化してタックがなくなるまで第2のオーブン領域での工程を約75℃乃至225℃、好ましくは約90℃乃至225℃で行うこともできる。その後、タックのないコーティングをこれよりも低い温度すなわち一般には約10乃至75℃、好ましくは約15乃至約35℃の温度で硬化させる。しかしながら、温度が高ければ高いほど、硬化反応は短時間で進行する。
【0145】
架橋剤がブロックトポリイソシアネートである場合に本発明の組成物を硬化させるための方法には、少なくとも2種類の方法がある。
【0146】
一つの方法は、成分AとBとを混合して混合物を生成し、この混合物を支持体に被覆し、ブロックトポリイソシアネート架橋剤がデブロッキングしない温度(一般に約50乃至80℃、好ましくは約70乃至80℃)で水分の少なくとも90%を蒸発させることを必要とするものである。続いて支持体を劣化させずにブロックイソシアネートをデブロッキングできるだけの十分な温度にコーティングを曝露し、さらにコーティングを硬化させるのに十分な温度に曝露する。このデブロッキングおよび硬化工程は一般に約80℃乃至約225℃、好ましくは約90℃乃至約225℃で行われる。この方法は、デブロッキング前に別工程で水を蒸発させるため純なポリウレタンを得ることが出来るという点で有利なものである。
【0147】
もう1つの方法は、成分AとBとを混合して混合物を生成し、この混合物を支持体に被覆し、ブロックトイソシアネート架橋剤をデブロッキングするのに十分な温度に混合物を被覆した支持体を曝露した後、コーティングを硬化させるのに十分な温度に曝露することを必要とするものである。デブロッキングおよび硬化時の温度範囲は一般に約90℃乃至約225℃、好ましくは約100℃乃至約225度である。この方法の利点はスピードにある。水分の蒸発はデブロッキング時に起こるが、これらの工程が組み合わされたためにブロッキング工程の後に別途蒸発工程を設ける場合と比べると生成物の純度は低くなる場合がある。
【0148】
非水性系の硬化
アンブロックトポリイソシアネート架橋剤を含有している本発明の非水性反応性二液型PUR系を、一般に空気循環式のオーブンにて乾燥させる。コーティング組成物を硬化させるために使用するオーブンの温度は一般に約25℃を超え、好ましくは約50℃を超え、さらに好ましくは約60℃を超え、最も好ましくは約70℃を超える。オーブン領域の温度の上限は、本発明の材料を塗布する支持体によって様々である(すなわち、塩化ポリビニル(PVC)塗膜の場合には約150℃、鋼の場合には約225℃)。しかしながら、反応が開始されてしまえば材料を周囲温度下においても反応は継続されて終了する。
【0149】
エネルギーを節約するために、コーティングが部分的に硬化してタックがなくなるまでオーブン領域での工程を約75℃乃至225℃、好ましくは約90℃乃至225℃で行うこともできる。その後、タックのないコーティングをこれよりも低い温度すなわち一般には約10乃至75℃、好ましくは約15乃至約35℃の温度で硬化させる。しかしながら、温度が高ければ高いほど、硬化反応は短時間で進行する。
【0150】
成分Bにブロックトイソシアネートが含まれている場合に非水性組成物を硬化させるには、成分AとBとを混合して混合物を生成し、この混合物を支持体に被覆し、ブロックトイソシアネート架橋剤をデブロッキングするのに十分な温度に混合物を被覆した支持体を曝露した後、コーティングを硬化させるのに十分な温度に曝露する。デブロッキングおよび硬化時の温度範囲は一般に約90℃乃至約225℃、好ましくは約100℃乃至約225度である。
【0151】
市販の水性一液型ポリウレタン尿素、周知の溶剤系反応性二液型PUR、本発明の水性反応性二液型PURのフーリエ変換赤外線(FTIR)、熱機械特性、示差走査熱量計(DSC)特性および動的機械特性ならびに耐引掻性および自己回復性を検討した。試験結果から、本発明の熱機械特性および動的機械特性ならびに化学構造は、従来の溶剤系二液型PURの場合と類似しているという結論が得られる。熱機械分析(TMA)および動的機械熱分析(DMTA)曲線から、非架橋および架橋した従来の一液型の水性ポリウレタン尿素(Bayhydrol(登録商標)−121,Bayhydrol(登録商標)−121+Neorez(登録商標)CX−100,Bayhydrol(登録商標)−110およびBayhydrol(登録商標)−110+Neorez(登録商標)CX−100)ではいずれも軟化温度がはっきりと区別できるが、本発明および従来の溶剤系二液型反応性PURには軟化の証拠は認められないことが分かる。これについては表11および12ならびに第5図乃至第17図に示す。TMAおよびDMTAによって得られた結果から、従来の水性一液型ポリウレタン尿素は従来の溶剤系二液型PURおよび本発明の組成物と比べると架橋密度が比較的低いことも分かる。
【0152】
上述したように、「成分A」は、ポリイソシアネート架橋剤を含有している「成分B」によって硬化可能で半架橋かつ多ヒドロキシル含有のポリウレタンプレポリマーの水性分散体および/または種類の異なるポリオールの混合物の水性分散体を意味する。以下の実施例では、水性の半架橋かつ多ヒドロキシル官能性ウレタンプレポリマーの合成と、成分AおよびBの調製とについて詳細に説明する。本発明の水性二液型PURならびに水性の市販の一液型ポリウレタン尿素および従来の溶剤系二液型反応性PURの硬化組成と、その特性とを比較する。ホフマン引っ掻き特性、表面摩擦抵抗および自己回復特性について評価する。
【0153】
さらに、従来の溶剤系二液型PURおよび本発明の非水性組成物の耐引掻性および自己回復性についても検討した。
【0154】
上述したように、「成分A」は、ポリイソシアネート架橋剤を含有している「成分B」によって硬化可能で半架橋かつ多ヒドロキシル含有のポリウレタンプレポリマーの非水性組成物および/または種類の異なるポリオールの混合物の非水性組成物も意味する場合がある。以下の実施例では、非水性成分AおよびBの調製について詳細に説明する。本発明の水を主成分しない反応性二液型PURならびに従来の溶剤系二液型反応性PURの硬化組成と、その特性とを比較する。ホフマン引っ掻き特性、表面摩擦抵抗および自己回復特性について評価する。
【実施例】
【0155】
下記の実施例で本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。別記しないかぎり、これらの実施例及び明細書の他の部分における部、百分率、比率等はすべて、重量で示す。
【0156】
実施例に使用した多数の物質を表1に列挙する。
【0157】
【表1】

【0158】
【表2】

【0159】
【表3】

【0160】
PUR分散体の調製及び硬化
実施例1
PUR分散体の調製
1・樹脂重合がま(機械的撹拌器、温度計、窒素注入口、油浴、滴下漏斗及び冷却器を装備)中に、表2、実施例1に列挙した成分(a〜e及びg)を入れた。混合物を、窒素中で65℃で15分間、均質になるまで撹拌、加熱した。次の20分間に、かま中の総量が28.16gになるまで、ビス(シクロヘキシル)メタンジイソシアネート(Desmodur−W)を漸増的に付加した。反応混合物を約85℃まで発熱させた。反応を完了まで継続させた〔残留イソシアネートは、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)では検出されなかった〕。溶液温度を70℃に下げて、トリエチルアミン4.61gを溶液中に付加した。溶液をさらに10分間撹拌した。その結果生じたヒドロキシル末端ウレタンプレポリマー溶液166.8gを、高剪断応力下で脱イオン水195g中に徐々に分散させて、安定分散体を生成した。次いで、メチルエチルケトン(MEK)を除去した。
【0161】
水性反応性2液型PUR分散体の硬化
上記で調製したPUR分散体79.4gに、8.10gのDB酢酸塩、0.22gのFC−430及び12.28gの脱イオン水を加えた(表3、実施例1参照)。8.7gのポリイソシアネート架橋剤Bayhydrol(登録商標)XP−7007と2.8gのExxate(登録商標)−600とを混合して、成分Bを調製した(表3、実施例1参照)。次に成分Bを成分Aに加え、これを3分間激しく撹拌した。混合物をポリエステル剥離ライナー上に150ミクロン液体として被覆して、乾燥厚50ミクロンとした。コーティングを74℃で1.5分間、93℃で1.5分間及び135℃で3分間乾燥させた。コーティングをさらに66℃で一夜硬化させた。
【0162】
実施例2及び3
PUR分散体の調製
実施例1と同様の方法で2つのヒドロキシル末端ウレタンプレポリマー分散体を調製したが、但し、表2、実施例2及び3に記載の物質及び量を用いた。
【0163】
水性反応性2部PUR分散体の硬化
実施例1と同様の方法で実施例2及び3の硬化処方物を調製したが、但し、表3に記載の量を用いた。コーティング厚並びに硬化時間及び硬化温度は、実施例1と同様であった。
【0164】
比較例4及び5
市販の1部水性ポリウレタン−尿素Bayhydrol(登録商標)−110及び121の硬化
市販の水性ポリウレタン−尿素(Bayhydrol(登録商標)−110及び121)の表4中の硬化処方物を調製した。コーティング溶液を10分間、各々よく混合し、ポリエステル剥離ライナー上に125μ液体として被覆して、乾燥厚37.5μとした。コーティングを93℃で2分間、121℃で2分間及び135℃で2分間乾燥させた。
【0165】
実施例6
ポリオール分散体の調製
機械的撹拌器、温度計及び油浴を装備した1リットル三つ首フラスコ中に、表5、実施例6に列挙した物質a,d及びiを投入した。溶液混合物が均質になるまで混合物を70℃で撹拌、加熱した。次に、トリエチルアミン10.35gを溶液中に付加して、これをさらに10分間撹拌した。その後、溶液混合物を撹拌しながら高剪断応力下で脱イオン水240g中に徐々に分散させて、安定分散体を生成した。次いで、MEKを除去した。
【0166】
実施例6のポリオール分散体の硬化
実施例6のポリオール分散体75.00gに、表6に記載の物質を加えて成分A溶液を調製した。9.00gのポリイソシアネート架橋剤(Bayhydrol(登録商標)XP−7043)と1.00gのExxate(登録商標)−600とを混合して、成分Bを調製した。成分Bを成分Aに加え、混合物を3分間激しく撹拌した。混合物をポリエステル剥離ライナー上に100μ液体として被覆して、乾燥厚25μとした。コーティングを74℃で1.5分間、121℃で2.5分間及び135℃で2分間乾燥させた。コーティングをさらに66℃で一夜硬化させた。
【0167】
実施例7
ポリオール分散体の調製
実施例6と同様の方法で実施例7のポリオール分散体を調製したが、但し、実施例7、表5に記載のポリオールの量及び種類を用いた。
【0168】
ポリオール分散体の硬化
実施例6と同様の方法で実施例7のポリオール分散体の硬化処方物を調製したが、但し、実施例7、表6に記載の量を用いた。コーティング厚並びにコーティング温度及び時間は、実施例6と同様であった。
【0169】
実施例8及び9
PUR分散体の調製
実施例1と同様の方法で実施例8及び9のPUR分散体を調製したが、但し、表5の実施例8及び9に関して記載した量及び物質を用いた。
【0170】
実施例8及び9のPUR分散体の硬化
実施例1と同様の方法で実施例8及び9のPUR分散体の硬化処方物を調製したが、但し、表6に記載の物質及び量を用いた。用いたコーティング厚及び硬化条件は、実施例6と同様であった。透明被膜をさらに66℃で一夜硬化させた。
【0171】
実施例10
PUR分散体の調製
本実施例で調製したPUR分散体は、実施例8に示したものと全く同一であった。
【0172】
PUR分散体の硬化
実施例1と同様の方法でPUR分散体を硬化させたが、但し、実施例10、表6に記載の物質及び量を用いた。コーティング厚及び硬化条件は実施例1と同様であった。
【0173】
実施例11,12及び13
PUR分散体の調製
実施例1と同様の方法で実施例11,12及び13のPUR分散体を合成したが、但し、表7の実施例11,12及び13に記載の物質及び量を用いた。
【0174】
PUR分散体の硬化
実施例1と同様の方法でPUR分散体の硬化処方物を調製したが、但し、表8に記載した物質及び量を用いた。これらの実施例に関する硬化反応には触媒は関与しなかった。コーティング厚及び硬化条件は実施例1と同様であった。
【0175】
実施例14
PUR分散体の調製
本実施例で調製したPUR分散体は、実施例11に示したものと同一であった。
【0176】
PUR分散体の硬化
実施例11〜13と同様の方法でPUR分散体を硬化させたが、但し、実施例14、表8に記載の量及び物質を用いた。コーティング中に重度のふくれが観察された。ふくれは、触媒(即ち、Formrez(登録商標)UL−302)により促進される水とイソシアネートの副反応中に生じたCO2により引き起こされた。
【0177】
比較例15〜19
市販の1液型水性ポリウレタン−尿素のコーティング
市販の水性ポリウレタン−尿素(Bayhydrol(登録商標)−110及び121,Neorez(登録商標)XR−9699,Neocryl(登録商標)A−601)に関する表4中の比較例15〜19の硬化及びコーティング処方物を、表4の比較例4及び5と同様の方法で調製した。用いたコーティング厚及び乾燥条件は比較例4及び5に記載したものと同一であった。
【0178】
比較例20
従来の溶剤系反応性2液型PUR
【0179】
【表4】

【0180】
成分A及びBを3分間よく混合し、その溶液を100μ液厚でポリエステル剥離担体ウェブ上に被覆して、50μ乾燥厚とした。次いで、コーティングを80℃で2分間、135℃で4分間硬化させた。PURを95℃でさらに6時間硬化させた。
【0181】
比較例21
マイルズ水性反応性2液型ポリウレタン−尿素
マイルズの技法小冊子(余分量のイソシアネート使用)に示されたマイルズ水性反応性2液型ポリウレタン尿素の硬化処方物を以下に示す。成分B及び成分Aの硬化反応におけるNCO/OH比は、2/1に保持した。
【0182】
【表5】

【0183】
成分A及びBを5分間よく混合し、その溶液を液厚100ミクロンでポリエステル剥離担体ウェブ上に被覆して、50ミクロンの乾燥厚とした。次いで、コーティングを周囲温度で1週間硬化させた。
【0184】
試験方法
本明細書中では、下記の試験A〜Eを用いた。
試験A:FTIR−ATR:
全反射吸収装置及び45度の角度のKRS−5クリスタル(臭ヨウ化タリウム)を取り付けたニコレット510FTIR分光計を用いて、本発明のポリウレタン、比較例の溶剤系ポリウレタン及び比較例のポリウレタン−尿素の表面構造の試験を実施した。
【0185】
FTIR−ATRは、ポリウレタンとポリウレタン−尿素の化学構造を明確に区別し得る。脂肪族ウレタン結合中の水素結合カルボニル基(C=O)及び遊離カルボニル基(C=O)の吸収帯は、それぞれ1688cm-1及び1720cm-1である。尿素結合においては、水素結合カルボニル基(C=O)の吸収は1640cm-1〜1660cm-1間であり、遊離カルボニル基(C=O)は、1695cm-1である(Macromolecules 1980,Vol.13,p.117−121参照)。
【0186】
IRスペクトルでは、尿素結合における遊離カルボニル基の吸収帯はウレタン結合における水素結合カルボニル基の吸収帯と重複する傾向がある。これら2つの異なるカルボニル吸収帯は、それぞれ1695cm-1及び1688cm-1である。したがって、これら2つのピークを区別するのは難しい。他方、尿素結合における水素結合カルボニルの吸収帯は1640cm-1〜1660cm-1間で明瞭に観察され、これは明らかな肩として認められる。この肩は、ポリウレタンとポリウレタン−尿素とを区別するのに広く用いられてきた(Macromolecules 1980,Vol.13,p.117−121参照)。
【0187】
比較例15及び16における従来のマイルズ1液型水性ポリウレタン−尿素(Bayhydrol(登録商標)−110及び121)及び比較例21の水性反応性2液型ポリウレタン−尿素は、IRスペクトルの1640cm-1〜1660cm-1間に明白な肩を示す。肩は、尿素結合における水素結合カルボニル(C=O)の吸収に関与する。IRスペクトルにおけるこの肩の存在によって、比較例15,16及び21はポリウレタン−尿素と分類される(図1参照)。比較例に対比して、実施例11〜13の本発明(図2参照)は、上記の領域で尿素結合のいかなる証拠も示さなかった。実施例11〜13のIRスペクトルでは、1600cm-1〜1800cm-1間で非常になだらかなピークが観察された。この範囲に見られるピークは、ウレタン結合における水素結合カルボニル及び遊離カルボニル吸収帯に割り当てられる。本発明(実施例11〜13)の1600cm-1〜1800cm-1間のIR吸収帯は、1640cm-1〜1660cm-1間に尿素吸収肩の証拠が認められなかった比較例20(従来の溶剤系反応性2液型ポリウレタン)の場合と非常によく似ている。結果を表9に要約する。
【0188】
FTIR−ATR結果は、本発明(実施例11〜13)のコーティングが従来の溶剤系反応性2液型ポリウレタン(比較例20)のコーティングと化学的に類似していることを立証した。すべてが、ポリウレタン−尿素でなくポリウレタンであった。したがって、本発明は、従来の1液型水性ポリウレタン−尿素及びマイルズ水性反応性2液型ポリウレタン−尿素(比較例15,16及び21)とは化学的に異なる。
【0189】
試験B:示差走査熱量測定(DSC)
20℃/分の温度ランプで、−100℃〜150℃でのTA計器DSC−910(示差走査熱量計)により、実施例11〜13及び比較例4,5,20及び21を測定した。標本サイズは3.00〜7.00mgに保持した。実施例11〜13のDSCサーモグラムは、比較例20(溶媒ベースの反応性2部PUR)と同様であった。比較例20のガラス転移温度は、本発明の実施例11〜13のものと近似した。吸熱結晶融点が実施例11〜13及び比較例20で観察されたが、これは、実施例11〜13及び比較例20が同様の非晶質硬質及び軟質セグメント微細構造、並びに同様の化学構造を有することを意味する。比較例21のサーモグラムは実施例11〜13及び比較例20と同様の曲線を示したが、しかしそのガラス転移温度は非常に高く、即ち70.3℃対12℃〜30℃であった。比較例21は吸熱結晶融点も示さなかった。本発明に対比して、比較例4及び5は別個の吸熱結晶融点を示し、それぞれ71.2℃及び69.4℃であった。比較例4及び5はともにガラス転移の証拠を示さなかったが、これはそれらが結晶性及び/又はガラス性微細構造を有することを意味する。DSCデータを表10に要約し、DSC曲線を図3及び4に示す。
【0190】
試験C:熱機械的分析(TMA)
実施例1〜3,11〜13及び比較例4,5及び15〜20の熱機械特性を、鉛直に位置するプローブの上部に5gの重量を負荷したTA計器TMA−943で調べた。標本厚は25〜50μの範囲に保持した。10℃/分の温度ランプで−100℃〜275℃でモニタリングした。図5〜12及び16〜17に示した実施例1〜3,11〜13及び比較例4,5及び15〜20のTMA曲線、並びに表11に示したデータは、水性反応性2液型PUR(本発明の実施例1〜3及び11〜13)及び比較例20(従来の溶剤系反応性2液型PUR)が実施例1及び2の物質が非常に柔らかく且つゴム状態である場合でも軟化温度を示さないが、一方、比較例4,5及び15〜19の市販の水性1液型ポリウレタン−尿素は明白な軟化温度を示すことを説明している。
【0191】
TMA結果は、本発明の実施例1〜3及び11〜13が比較例20(従来の溶剤系反応性2液型PUR)と同様の熱安定性を示すことを明示する。実施例1〜3及び11〜13、並びに比較例20は、従来の1液型水性ポリウレタン−尿素(比較例4,5及び15〜19)より優れた熱安定性を示した。
【0192】
試験D:動的機械式熱分析(DMTA)
実施例11〜13および比較例4,5,15,16,20および21の動的機械的特性を、1rad/secのダイナミックフリクエンシー(dynamic frequency)による方形テンションモードを用いるRheometrics Solid Analyzer(RSA−II)で測定した。試料の寸法は、0.09×5.0×22.5mm3に保持し、温度は2℃/minの勾配で−75℃から200℃まで調整した。
【0193】
この試験の目的は、ポリマー材料のガラス転移領域における減衰定数〔すなわちtan(δ)のピーク〕の温度領域(temperature location)と大きさ、ならびにポリマー材料の弾性率と熱安定性を評価することであった。私は、ガラス転移領域におけるTan(δ)ピークの大きさと温度領域が、ポリマー材料の引掻き抵抗性と自己回復性を制御する非常に重要な性能であることを発見した。私はさらに、減衰定数が高くかつそのガラス転移領域が周囲温度内にあるポリマーは、ポリマー表面に加えることができるエネルギーを有効に貯蔵し、その貯蔵エネルギーを用いて、変形した形態またはねじられおよび/またはゆがめられたポリマーの骨格および/または側鎖、例えば引っかかれた表面の回転もしくは振動のひずみバリヤー(strain barrier)を再構成または克服し、熱力学的に安定な形態または微細構造を得ることができることを発見した。このプロセスは、“自己回復”プロセスまたは“自己修復”プロセスとも呼ばれている。私は、ガラス転移領域および/またはTan(δ)ピークが周囲温度内にある場合、自己回復特性を周囲温度内で起こすことができることを発見した。したがって、ポリマーの減衰定数が大きれば大きいほど、引っかかれた表面は一層迅速にすなわち容易に自己回復することができる。それ故私は、ガラス転移領域におけるTan(δ)ピークの最も好ましい領域が周囲温度の範囲内にあり、かつTan(δ)の最も好ましい大きさが0.9より大きい大きさであると理論的に想定している。しかし、他の定数、例えば試験温度におけるポリマー材料のゴム状弾性(すなわち貯蔵弾性率)、架橋密度およびポリマー連鎖の滑りの容易さも、自己回復プロセスで重要な役割を演じていわゆる相乗効果を与える。
【0194】
比較例4,5,15および16(すなわち従来の1液型水性ポリウレタン−尿素)のDMTA曲線は、150℃に明確な軟化点を示しているが、一方DMTAサーモグラムには、周囲温度におけるガラス転移領域またはゴム状プラトー領域は全くみとめられない。さらにこれらDMTAサーモグラムは周囲温度領域における減衰特性も示さない。そのうえ、これらの例の貯蔵弾性率(ポリマー材料の剛性に相当する)は、25℃〜70℃の温度範囲で109Pa〜108Paであり、これはガラス状材料〜可塑性材料の領域として分類される。ガラス状領域と可塑性領域において、ポリマー連鎖は凍結され、ゴム状態のポリマーより、回転もしくは移動する自由度が著しく小さい。したがって周囲温度における比較例4,5,15および16の材料には、25℃〜70℃における貯蔵弾性率が高くかつ周囲温度においてガラス転移領域がないため、自己回復特性をみることは全く期待できない。
【0195】
実施例11〜13と比較例20と21は、優れた熱安定性と明確なゴム状プラトー領域を示す。本発明の実施例11〜13は、比較例20と21より減衰特性がかなり高いこと〔すなわちTan(δ)ピークの高さが大きい〕ことが見出された。実施例11〜13のガラス転移領域におけるTan(δ)ピークは20℃〜60℃に位置しているが、比較例20と21のTan(δ)ピークはそれぞれ30℃〜60℃と80℃〜110℃に位置している。実施例11〜13のTan(δ)ピークの高さはそれぞれ1.29,1.15および1.14であるが、比較例20と21の高さはそれぞれ0.77と0.55である。その上、本発明の実施例11〜13および比較例20の貯蔵弾性率(ポリマー材料の剛性に相当する)は、25℃〜70℃において108Pa〜106Paの範囲内にあり、これは可塑性領域〜ゴム状領域と分類され、一方比較例21の貯蔵弾性率は25℃〜70℃において109Pa〜108Paの範囲内にあり、これはガラス状領域〜可塑性領域と分類される。したがって実施例11〜13(すなわち、本発明の水性反応性2液型ポリウレタン)および比較例20(すなわち溶剤系反応性2液型ポリウレタン)は、周囲温度において自己回復特性を有することが見出された。さらに実施例11〜13は、周囲温度における自己回復特性が、比較例20より一層効率的でかつ迅速であることを示すことが見出された。私は、上記のことは、実施例11〜13が周囲温度において減衰特性が高く〔すなわちTan(δ)ピークの大きさが大きい〕、かつポリマー骨格にポリシロキサンセグメントを導入したことに起因する、自己回復中のポリマー連鎖の滑りの傾向が大きいことが原因であったと理論的に想定している。
【0196】
本発明とは対照的に、比較例21は、比較例4,5,15および16と同様に、そのポリマー連鎖は、ガラス状態で凍結されたままであり、ゴム状態の場合より移動もしくは回転するための自由度がはるかに小さい。したがって、比較例21(すなわちMilesの水性反応性2液型ポリウレタン−尿素)は、周囲温度において貯蔵弾性率が高くかつ減衰特性を欠いているので、自己回復特性は全く観察されなかった。
【0197】
実施例11〜13および比較例4,5,15,16,20および21の0℃における貯蔵弾性率は、すべての試料が、ポリマー連鎖が0℃で十分に凍結されてポリマー連鎖の移動度が限定されるガラス領域にあるということを反映して、約107PAである(表12参照)。したがって、0℃において実施例11〜13と比較例4,5,15,16,20および21に自己回復特性を観察することは全く期待できない。DMTAから得たデータとサーモグラムを表12と図13〜15に示す。引掻き抵抗性と自己回復特性は、さらに、試験Eで考察する。
【0198】
試験E:各種温度における引掻きおよび擦傷抵抗性と自己回復性
引掻きおよび擦傷抵抗性を、ASTM−2197−86に記載されているBalanced−Beam Scrape Testerで測定した。そのホフマンスタイラス(Hoffman stylus)は、垂直線から45の角度で保持されその頂部は試験試料の走行方向に傾斜し、22高くした支点で規点の位置に保持されている。おもり(50g〜700gのおもり)をおもり支持体上に置き、試験試料の頂部にループが載るまでビームを下げ、次いでスライディングプラットホームがゆっくり試料を横切って押圧する。この引掻き試験は0℃,25℃および70℃で個々に実施した。引っかかれたかまたは擦傷を受けた試料を0℃,25℃および70℃にしてその自己回復特性を観察した。“自己回復性”という用語は、変形もしくは擦傷をうけた表面がその元の外観に戻ることを意味する。
【0199】
私が試験Dで理論的に想定した自己回復プロセスを制御する因子は、(1)Tan(δ)ピークの大きさ、(2)ガラス転移の温度領域、(3)貯蔵弾性率、(4)ポリマー連鎖の滑りの容易さおよび(5)温度である。この試験の目的は、どの実施例のコーティングが、試験温度が引掻きおよび擦傷の抵抗性と自己回復特性を示すかを決定することである。
【0200】
実施例9,11〜13および比較例4,5および15〜21の引掻きおよび擦傷抵抗性と自己回復性を0℃,25℃および70℃において個々に試験した。コーティングの実施例はすべて、着色熱可塑性フィルムに塗布したがそのフィルムの反対側の面には接着剤が塗布されている。その熱可塑性フィルムは塗装鋼鉄パネルに該接着剤で取り付けて、0℃,25℃および70℃で別々に15分間ずつコンディショニングを行った。引掻きおよび擦傷抵抗性は50gおもりの荷重〜700gおもりの荷重で試験した。0℃,25℃および70℃で試験した引掻き傷をつけた試料を、0℃,25℃,70℃および120℃のオーブン中に置いてその自己回復特性を評価した。引掻きおよび擦傷抵抗性と自己回復性の試験結果を表13に示す。
【0201】
実施11〜13(すなわち本発明の、シロキサン含有の硬化PUR)は、他のすべての試験した実施例に比べたところ、優れた引掻きおよび擦傷抵抗性を示した。
【0202】
実施例12と13は、50gおもりの荷重〜700gおもりの荷重に対して優れた引掻きおよび擦傷抵抗性を示し、かつ重いおもりの荷重でもたらされたその引掻き傷と擦傷は室温下10分間で自己回復した。実施例11は、おもりの荷重が300gより小さい場合は室温下1時間で自己回復したが、それ以外の荷重の場合6時間で自己回復した。本発明の実施例11〜13に引掻き傷または擦傷をつけて、70℃または120℃のオーブン中に置いたところ数秒間で自己回復した。他の加熱手段も上記回復プロセスを加速する。本発明とは対照的に、比較例4,5,15〜19および21は極めて不十分な引掻き抵抗性を示しそして自己回復特性を全く示さなかった。
【0203】
実施例9(本発明の、シロキサンを含有しない硬化PUR)は、比較例20(すなわち通常の溶剤系反応性2液型PUR)と類似の引掻きおよび擦傷抵抗性および自己回復特性を示した。実施例9は、200gより大きいおもり荷重によって引っかいたところ、室温下14日間で自己回復したが、一方、溶媒ベースの2液型の比較例20は、100gより大きい重り荷重で引っかいたところ、室温下10日間で自己回復した。これらの両試料は、70℃のオーブン内に置いたとき35分間で自己回復し、または120℃のオーブン内に置いたとき10分間で自己回復した。この性能は、実施例9と比較例20が類似の物理特性〔例えば貯蔵弾性率、ガラス転移領域、Tan(δ)ピークの大きさなど〕を有し、その特性によって類似の引掻きおよび擦傷抵抗性ならびに自己回復性がもたらされることに起因している。ポリマーの骨格に化学的に組み込まれて引掻き抵抗性と自己回復特性を促進するシロキサンセグメントは存在していない。したがって実施例9と比較例20の引掻きと擦傷抵抗性と自己回復性は実施例11〜13より劣っている。
【0204】
試験を行った全試料(実施例9,11〜13および比較例4,5および15〜21)は、0℃において不十分な引掻きおよび擦傷抵抗性を示ししかも0℃では明確な自己回復性は全く観察されなかった。しかし、これらの引掻き傷をつけられた試料を室温、70℃および120℃に個々に置いたところ、実施例9,11〜13および比較例20は明白な自己回復特性を示した。この場合、実施例12と13は、室温下10分間で自己回復し、かつ70℃または120℃では数秒間で自己回復した。実施例11は、室温下6〜7時間で自己回復し、かつ70℃のオーブンおよび120℃のオーブン中では数秒間で自己回復した。実施例9と比較例20は、室温下10〜14日間で自己回復し、かつ70℃と120℃において15分間〜1時間で自己回復した。本発明とは対照的に比較例4,5,15〜19および21は、室温、70℃および120℃において明確な自己回復特性を示さなかった(これらの試料は永久的な引掻き傷をうけた)。
【0205】
引掻き抵抗性を70℃で試験したところ、実施例9,11〜13および比較例20には引掻き傷は全くみとめられなかった。しかし比較例4,5,15〜19および21は不十分な引掻き抵抗性を示した。これらの試料は、おもりの荷重が50gの場合、明確な引掻き傷を示し、かつ自己回復特性を全く示さなかった。
【0206】
【表6】

【0207】
【表7】

【0208】
【表8】

【0209】
【表9】

【0210】
【表10】

【0211】
【表11】

【0212】
【表12】

【0213】
【表13】

【0214】
【表14】

【0215】
【表15】

【0216】
【表16】

【0217】
【表17】

【0218】
(1)試料は、0℃では自己修復特性がなく恒久的な引っ掻き傷が付いた。しかし、それらの試料は全て、25℃、70℃または120℃に戻すと、引掻き傷を自己修復した。
(2)試料は、試験温度では自己修復特性がなく恒久的な引っ掻き傷が付いた。より高い温度、例えば25℃、70℃または120℃にしても、引掻き傷が付いた表面の自己修復は観察されなかった。
(3)W/Oは「無し」を意味する。
【0219】
結果として得られる交差結合PURバックボーン中にセグメント化ポリジメチルシロキサンジオールまたはパーフルオロポリエーテルジオールを含有する、引掻抵抗性にすぐれ、かつ自己修復性の溶剤ベース2液性PUR透明コーティングの例を表15及び16に示す。引掻抵抗性及び自己修復特性は表17に一括して示す。使用材料及びそのメーカーを下記表14に示した。
【0220】
【表18】

【0221】
実施例22.セグメント化ポリジメチルシロキサンPUR
表15に実施例22として示した、コーティング液混合物を3分間に亘って充分に混合し、濡れた状態での厚さが50ミクロンとなるように塗布し、乾燥厚さ37.5ミクロンを得た。透明コートを73℃で2分間、95℃で2分間、135℃で6分間硬化させた。さらに100℃で1時間強制硬化させた。次いで試験Eに從って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。この実施例22において得られる交差結合PURはバックボーン中に約15%のポリジメチルシロキサンセグメントを含有する。
【0222】
実施例23.セグメント化ポリジメチルシロキサンPUR
表15の実施例22に示すコーティング混合物を塗布し、実施例22に述べたのと同じ態様で硬化させた。次いで試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。この実施例23において得られる交差結合PURはバックボーン中に6.6%のポリジメチルシロキサンセグメントを含有する。
【0223】
実施例24.セグメント化パーフルオロエーテルPUR
表15の実施例24に示すコーティング混合物を塗布し、実施例22に述べたのと同じ態様で硬化させた。次いで試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。この例において得られる交差結合PURはバックボーン中に約15%のパーフルオロエーテルセグメントを含有する。
【0224】
実施例25.セグメント化パーフルオロエーテルPUR
表15の実施例25に示すコーティング混合物を塗布し、実施例22に述べたのと同じ態様で硬化させた。試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。この例で得られる交差結合PURはバックボーン中に約6.6%のパーフルオロエーテルセグメントを含有する。
【0225】
比較例26
表15の比較例26に示すコーティング液混合物を塗布し、実施例22に述べたのと同じ態様で硬化させた。試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復性を試験した。
【0226】
実施例27.セグメント化パーフルオロポリエーテルPUR
表16に実施例27として示すコーティング液混合物を110メッシュスクリーンを利用して漉した。次いで例22に述べたのと同じ態様で硬化させた。試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。この例で得られる交差結合PURはバックボーン中に約16.4%のパーフルオロエーテルセグメントを含有する。
【0227】
実施例28.セグメント化ポリジメチルシロキサンPUR
表16に例28として示すコーティング液混合物を塗布し、実施例22に述べたのと同じ態様で硬化させた。試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。得られた交差結合PURはバックボーン中に18.8%のポリジメチルシロキサンセグメントを含有する。
【0228】
実施例29.セグメント化ポリジメチルシロキサンPUR
表16に例29として示すコーティング液混合物を塗布し、実施例1に述べたのと同じ態様で硬化させた。試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。得られた交差結合PURはバックボーン中に9.2%のポリジメチルシロキサンセグメントを含有する。
【0229】
比較例30
表16に比較例として示すコーティング液混合物を実施例27に述べたのと同じ態様で硬化させた。試験Eに従って引掻抵抗性及び自己修復特性を試験した。
【0230】
【表19】

【0231】
【表20】

【0232】
【表21】

【0233】
(1)0℃では自己修復性は作用せず、試料に恒久的な引掻き傷が残った。しかし、25℃または70℃に戻すと、いずれの試料でも引掻き傷を自己修復した。
【0234】
ポリマーバックボーン中にポリシメチルシロキサンまたはパーフルオロポリエーテルセグメントを含有しない比較例26及び30では、25℃における引掻抵抗性が極めて低かった。比較例26では25℃で10日後、引掻き傷が自己修復し、比較例30では、25℃では日数に関係なく引掻き傷が自己修復しなかった。比較例26では70℃での試験で引掻き傷は全く観察されなかったのに対して、比較例30ではアクリル分が高いため、70℃でも僅かに引掻き傷が観察された。比較例26及び30のいずれにおいても、0℃では自己修復性が作用せず、引掻き傷は恒久的であった。比較例26における引掻き傷は25℃の環境に置くと10日後に自己修復したが、比較例30における引掻き傷は25℃の環境に置いても自己修復しなかった。
【0235】
15重量%のポリジメチルシロキサンセグメント及びパーフルオロポリエーテルセグメントをそれぞれ含有する実施例22及び24は25℃及び70℃においてすぐれた引掻抵抗性を示す。これら2つの試料を0℃の環境に置くと、引掻き傷は恒久的となり、0℃では明確な自己修復性は観察されなかった。しかし、これら引掻き傷のある試料をそれぞれ別々に25℃及び70℃の環境に置いたところ、いずれも数分間ないし30秒で自己修復された。
【0236】
6.6重量%のポリジメチルシロキサンセグメント及びパーフルオロポリエーテルセグメントをそれぞれ含有する実施例23及び25は70℃においてすぐれた引掻抵抗性を示したが、25℃においては、ホフマン引掻きテスターの重量負荷を600g以上にすると引掻き傷が僅かに現われた。いずれの試料においても引掻き傷は2分後に自己修復した。実施例23及び25も0℃では恒久的な引掻き傷を示した。この2つの例でも試料を25℃及び70℃の環境に置くと数分後には引掻き傷が自己修復された。
【0237】
18.8重量%及び9.2重量%のポリジメチルシロキサンセグメントをそれぞれ含有する実施例28及び29は実施例23及び25と同様にすぐれた引掻抵抗性及び自己修復特性を示した。しかし、16.4重量%のパーフルオロポリエーテルセグメントを含有する実施例27は、自己修復性を示さなかった比較例30と同様に引掻抵抗性に劣っていた。従って、パーフルオロポリエーテルセグメントはポリジメチルシロキサンセグメントほどすぐれた自己修復特性を提供しない。
【0238】
具体的な実施例に関連して以上に本発明を説明したが、さらに変更を加えて実施することも可能である。後記する請求の範囲は当業者が以上に述べた内容と化学的に等価であると認識するすべての変更を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】図1は、比較例15,16,20および21のフーリエ変換赤外線(FTIR)吸収帯またはスペクトルを示す図である。
【図2】図2は、本発明の例11〜13の水素結合されたウレア結合のFTIR吸収肩の不在を示す図である。
【図3】図3は、比較例4,5,20、及び21の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す図である。
【図4】図4は、本発明の例11〜13のDSCサーモグラムを示す図である。
【図5】図5は、比較例20の熱機械的特性を示す図である。
【図6】図6は、比較例4の熱機械的特性を示す図である。
【図7】図7は、比較例5の熱機械的特性を示す図である。
【図8】図8は、比較例15の熱機械的特性を示す図である。
【図9】図9は、比較例16の熱機械的特性を示す図である。
【図10】図10は、比較例17の熱機械的特性を示す図である。
【図11】図11は、比較例18の熱機械的特性を示す図である。
【図12】図12は、比較例19の熱機械的特性を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施例11−13の貯蔵弾性率と、比較例4,5,15,16,20及び21との貯蔵弾性率とを、動機械的熱分析装置によって測定された温度の関数として示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施例11〜実施例13の正接Tan(δ)と、比較例4,5,15,16,20、及び21の正接Tan(δ)とを動的機械的熱分析装置によって測定された温度の関数として示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施例11〜13の損失弾性率と、比較例4,5,15,16,20及び21の損失弾性率と、を動的機械的熱分装置によって測定された関数として示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施例11〜13の熱機械的特性をそれぞれ示す図である。
【図17】図17は、本発明の実施例1〜3の熱機械的特性をそれぞれ示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aおよび成分Bを有する二液型硬化性組成物であって、成分Aは、
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)当該プレポリマーの酸価が約10乃至100の範囲にわたるように十分な数のカルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、フッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し、
(iii)約1.85乃至約2.7の平均ヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマーと、
(b)任意に、酸価が約0乃至約150の範囲にわたるように少なくとも1つのヒドロキシル官能基及び任意に1つ以上のカルボキシル官能基を有する水稀釈性の第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、且つ、1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する水稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオール及びポリオールから成る群から選択される水稀釈性の第2の化合物であって、1つ以上のぺンダントカルボキシル官能基を任意に有する第2の化合物と、
(f)水と、
(g)任意に界面活性剤と、
(h)任意に有機凝集溶剤と、を含み、以下の要素:
(a),(b),(c),(d),(e)
の少なくとも一つが存在し、
要素(c)が存在する場合には、以下の要素:
(a),(b),(d),(e)
の少なくとも一つが存在しなければならず、
要素(a)(ii)のセグメント及び、要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいてそれらの合計重量が約35重量%以下となる量で存在し、そして、成分Bは、
(1)ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、及びそれらの混合物から成る群から選択される架橋剤と、
(2)任意に、成分Bの総重量に基づいて凝集溶剤と、を含む水稀釈性組成物であり、成分Aに対する成分BのNCO:OH比は約1:1乃至約1.15:1である、二液型硬化性組成物。
【請求項2】
要素(a)(ii)のセグメント及び要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいてそれらの合計重量が約2乃至約35重量パーセントとなる量で存在する、請求項1記載の二液型硬化性組成物。
【請求項3】
成分Aは、
(a)任意に成分Aの総重量に基づき約0乃至約60重量パーセントのウレタンプレポリマーと、
(b)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約65重量パーセントの前記第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約45重量パーセントの第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約35重量パーセントの水稀釈性の第1の化合物と、
(e)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約45重量パーセントの減水性の第2の化合物と、
(f)成分Aの固形分が約15乃至約65%であるような十分な水と、
(g)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約3重量パーセントの界面活性剤と、
(h)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約10重量パーセントの有機凝集溶剤と、
を含む組成物であり、そして成分Bは、
(1)成分Bの総重量に基づき、約75乃至約100重量パーセントの架橋剤と、
(2)任意に、成分Bの総重量に基づき、0乃至約25重量パーセントの凝集溶剤と、を含む水稀釈性組成物である、
請求項1記載の二液型硬化性組成物。
【請求項4】
硬化時に自己回復性の架橋ポリウレタンを提供する、請求項1記載の二液型硬化性組成物。
【請求項5】
成分Aが
(a),(e),(f),(g),(h)と、
(a),(b),(e),(f),(g),(h)と、
(a),(b),(f),(g),(h)と、
から成る群から選択される成分の組み合わせを含む、請求項1記載の二液型硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1記載の二液型硬化性組成物を硬化することによって調製される架橋ポリウレタン。
【請求項7】
自己回復性である請求項6記載の架橋ポリウレタン。
【請求項8】
架橋密度が約10乃至約80%であり、25℃での貯蔵弾性率が約8.0×107乃至約5.0×109パスカルであり、ガラス転移温度が約−20℃乃至約100℃であり、ガラス転移温度域での減衰率が約0.4を超えるペンダントカルボン酸官能基を有する架橋ポリウレタン。
【請求項9】
架橋密度が約15乃至約70%であり、25℃での貯蔵弾性率が約1.0×108パスカル乃至約9.9×108パスカルであり、ガラス転移温度が約−20℃乃至約80℃であり、ガラス温度域での減衰率が約0.7を超える、請求項8記載の架橋ポリウレタン。
【請求項10】
架橋密度が約15乃至約60%であり、25℃での弾性貯蔵率が約1.0×108乃至約9.9×108パスカルであり、ガラス転移温度域での減衰率が約0.9を超え、ガラス転移温度が約−20℃乃至約50℃である請求項8記載の架橋ポリウレタン。
【請求項11】
請求項6記載の架橋ポリウレタンで被覆された支持体。
【請求項12】
請求項7記載の架橋ポリウレタンで被覆された支持体。
【請求項13】
支持体は、木材、金属、ガラス、布、ペイント、なめし革、紙、ゴム、コンクリート、および、プラスチックから成る群から選択される、請求項11記載の被覆された支持体。
【請求項14】
支持体は、木材、金属、ガラス、布、ペイント、なめし革、紙、ゴム、コンクリート、および、プラスチックから成る群から選択される、請求項12記載の被覆された支持体。
【請求項15】
(a)ジイソシアネートと、
(b)酸価が約20乃至約420であるように約2000以下のヒドロキシル当量及び十分な数のカルボキシル基を有するカルボキシル官能性ジオールと、
(c)ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択されるヒドロキシル当量が約200乃至約2000の範囲にわたる第1の化合物と、
(d)任意に、重合体ジオールと、
(e)任意に、ジオール連鎖延長剤、トリオール連鎖延長剤、及びそれらの混合物から選択される連鎖延長剤と、の反応生成物を含むポリウレタンプレポリマーであってトリオール連鎖延長剤が前記プレポリマーの総重量に基づいて約0乃至約15重量パーセントの範囲にわたる量で存在し、
当該プレポリマーを生成する上記成分のNCO:OH比が約1:1.3
乃至約1:1.9である、ポリウレタンプレポリマー。
【請求項16】
(a)当該ウレタンプレポリマーの酸価が約10乃至約100の範囲にわたるように十分な数のカルボン酸官能基と、
(b)単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し、
(c)平均ヒドロキシル官能価が約1.85乃至約2.7であり、
(d)ヒドロキシル当量が約500乃至約5000である、ウレタンプレポリマー。
【請求項17】
(a)酸価が約10乃至約50の範囲にわたるように十分な数のカルボン酸官能基と、
(b)約0.1乃至約35重量パーセントの要素(b)のセグメントと、を有し、
(c)平均ヒドロキシル官能価が約2.0乃至約2.5であり、
(d)ヒドロキシル当量が約750乃至約4000である、請求項16記載のプレポリマー。
【請求項18】
約2乃至約20パーセントの要素(b)のセグメントを有し、酸価が約10乃至約35である、請求項17記載のウレタンプレポリマー。
【請求項19】
硬化ポリウレタンを生成する方法であって、
I.成分Aと成分Bを組み合わせて混合物を形成する工程であって、成分Aは、
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)当該プレポリマーの酸価が約10乃至100の範囲にわたるように十分な数のカルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメントと、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し、
(iii)約1.85乃至約2.7の範囲にわたる平均ヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマー;
(b)任意に、酸価が約0乃至約150の範囲にわたるように少なくとも1つのヒドロキシル官能基及び任意に1つ以上のカルボキシル官能基を有する水稀釈性の第1のアクリルポリマー;
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、且つ、1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する水稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオール及びポリオールから成る群から選択される水稀釈性の第2の化合物であって、任意に1つ以上のペンダントカルボキシル官能基を有する第2の化合物と、
(f)水と、
(g)任意に界面活性剤と、
(h)任意に、有機凝集溶剤と、を含み、
以下の要素:
(a),(b),(c),(d),(e)
の少なくとも1つが存在し、
要素(c)が存在する場合には、以下の要素:
(a),(b),(d),(e)
の少なくとも1つが存在しなければならず、要素(a)(ii)のセグメント及び要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいてそれらの合計重量が約35重量パーセント以下となる量で存在し、そして、成分Bは、
(1)ポリイソシアネート及びそれらの混合物から成る群から選択される架橋剤と、
(2)任意に、成分Bの総重量に基づいて凝集溶剤と、を含む水稀釈性組成物であり、成分Aに対する成分BのNCO:OH比は約1:1乃至約1.15:1である工程と、
(II)支持体上に混合物をコーティングする工程と、
(III )前記被覆された支持体を、前記混合物中に存在する水の少なくとも90重量パーセントを蒸発させるためには十分高いが、水と前記ポリイソシアネートに存在するイソシアネート基との間の反応を開始させないほど十分低い温度に暴露する工程と、
(IV)(1)前記被覆された支持体を、前記コーティングを硬化させるには十分高いが、前記コーティングが硬化するまでに前記支持体が崩壊するほど高くない温度に暴露する工程;及び
(2)前記被覆された支持体を、前記支持体を崩壊させずに前記コーティングを部分的に硬化させて不粘着状態にするのに十分な温度に暴露した後、前記コーティングが硬化するまで、依然として前記コーティングが硬化しうる低い温度に暴露する工程;
から成る群から選択される工程によって前記コーティングを硬化させる工程と、を含む方法。
【請求項20】
工程(III )が約55乃至約75℃の温度で行われ、工程(IV)(1)が約75℃乃至約225℃の温度で行われ、そして工程(IV)(2)が約75乃至約225℃の温度で行われた後、約10℃乃至75℃の温度で行われる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
工程(III)を約65乃至約75℃の温度で行い、工程(IV)(1)を約90乃至約225℃の温度で行い、次いで工程(IV)(2)を約90乃至約225℃の温度で行った後に約15乃至約35℃の温度で行う、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記ポリイソシアネート架橋剤が脂肪族である、請求項19記載の方法。
【請求項23】
NCO:OH比が約1:1乃至約1.10:1である請求項19記載の方法。
【請求項24】
硬化したポリウレタンを製造する方法であって、
(I)成分Aと成分Bとを組み合わせて混合物を形成する工程であって、成分Aは、
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)当該プレポリマーの酸価が約10乃至100の範囲にわたるように十分な数のカルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、フッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントとを有し、
(iii)約1.85乃至約2.7の範囲にわたる平均ヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマーと、
b)任意に、酸価が約0乃至約150の範囲にわたるように、少なくとも1つのヒドロキシル官能基及び1つ以上のカルボキシル官能基を有する水稀釈性の第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、且つ、1つ以上のカルボキシル基を任意に有する水稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の酸価を有する第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオール及びポリオールから成る群から選択される水稀釈性の第2の化合物であって、1つ以上のぺンダントカルボキシル官能基を有する第2の化合物と、
(f)水と、
(g)任意に、界面活性剤と、
(h)任意に有機凝集溶剤と、を含み、
以下の要素:
(a),(b),(c),(d),(e)、
の少なくとも1つが存在し、要素(c)が存在する場合には、以下の要素:
(a),(b),(d),(e)
の少なくとも1つも存在しなければならず、
要素(a)(ii)のセグメント及び要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいてそれらの合計重量が約35重量パーセント以下となる量で存在し、そして成分Bは、
(1)ブロックトポリイソシアネート及びそれらの混合物から成る群から選択される架橋剤と、
(2)任意に、成分Bの総重量に基づいて凝集溶剤と、を含む水稀釈性組成物であり、ここで成分Aに対する成分Bの NCO:OH比は約1:1乃至約1.15:1の範囲にわたる、工程、
(II)前記混合物を支持体に塗布する工程と、
(III)前記被覆された支持体を、前記支持体を崩壊させずにブロックトポリイソシアネートを脱保護するために十分な温度に暴露する工程と、
(IV)前記コーティングが硬化するまで前記被覆された支持体を崩壊させずに前記コーティングを硬化させるのに十分な温度に暴露する工程と、を含む、方法。
【請求項25】
工程(III)を約90℃乃至約225℃の温度で行い、工程IVを約90℃乃至約225℃の温度で行う、請求項24記載の方法。
【請求項26】
工程(III )を約100乃至約225℃の温度で行い、工程IVを約100乃至約225℃の温度で行う、請求項24記載の方法。
【請求項27】
NCO:OH比が約1:1乃至約1.1:1である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
硬化したポリウレタンを製造する方法において、
I.成分Aと成分Bを組み合わせて混合物を形成する工程であって、成分Aは、
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)当該プレポリマーの酸価が約10乃至100の範囲にわたるように十分な数のカルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し、
(iii)約1.85乃至約2.7の範囲にわたる平均ヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマーと、
b)任意に、酸価が約0乃至約150の範囲にわたるように少なくとも1つのヒドロキシル官能基及び任意に1つ以上のカルボキシル官能基を有する水稀釈性の第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、且つ、任意に1つ以上のカルボキシル官能基を有する水稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオールとポリオールとから成る群から選択される水稀釈性の第2の化合物であって、任意に1つ以上のペンダントカルボキシル官能基を有する第2の化合物と、
(f)水と、
(g)任意に、界面活性剤と、
(h)任意に有機凝集溶剤と、を含み、以下の要素:
(a),(b),(c),(d),(e)
の少なくとも1つが存在し、
要素(c)が存在する場合には、以下の要素:
(a),(b),(d),(e)も
の少なくとも1つが存在しなければならず、要素(a)(ii)のセグメントと要素(d)の化合物とが、成分Aの総固形分に基づいてそれらの合計重量が約35重量パーセント以下となる量で存在し、そして成分Bは、
(1)ブロックトポリイソシアネート及びそれらの混合物とから成る群から選択される架橋剤と、
(2)任意に、成分Bの総重量に基づいて凝集溶剤と、を含む水稀釈性組成物であり、成分Aに対する成分BのNCO:OH比が約1:1乃至約1.15:1の範囲にわたる、工程と、
(II)前記混合物を支持体に塗布する工程と、
(III)前記混合物中に存在する水の少なくとも約90%を蒸発させるには十分高いが、ブロックトイソシアネート架橋剤を脱保護するには十分低い温度に暴露する工程と、
(IV)前記被覆された支持体を崩壊させずに、前記ブロックトポリイソシアネート架橋剤を脱保護し、そして前記コーティングを硬化させるのに十分な温度に、前記コーティングが硬化するまで前記支持体を暴露する工程と、を含む、方法。
【請求項29】
工程(III)を約50乃至約80℃の温度で行い、工程(IV)を約80℃乃至約225℃の温度で行う、請求項28記載の方法。
【請求項30】
工程(III)を約70乃至約80℃の温度で行い、工程(IV)を約90℃乃至約225℃の温度で行う、請求項28記載の方法。
【請求項31】
NCO:OH比は、約1:1乃至約1.1:1である、請求項28記載の方法。
【請求項32】
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)当該プレポリマーの酸価が約10乃至約100であるように、十分な数のカルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し、
(iii)約1.85乃至約2.7の平均ヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマーと、
b)任意に、酸価が約0乃至約150の範囲にわたるように、少なくとも1つのヒドロキシル官能基及び任意に1つ以上のカルボキシル官能基を有する水稀釈性の第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、かつ、1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する水稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する水稀釈性の第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される水稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオール及びポリオールから成る群から選択される水稀釈性の第2の化合物であって、任意に1つ以上のぺンダントカルボキシル官能基を有する第2の化合物と、
(f)水と、
(g)任意に、界面活性剤と、
(h)任意に、有機凝集溶剤と、を含み、以下の要素:
(a),(b),(c),(d),(e)
の少なくとも1つが存在し、
要素(c)が存在する場合には、以下の要素:
(a),(b),(d),(e)
の少なくとも1つが存在しなければならず、
要素(a)(ii)のセグメント及び要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいて、それらの合計重量が約35重量パーセント以下となる量で存在する硬化性組成物。
【請求項33】
成分Aと成分Bを有する二液型硬化性組成物であって、成分Aは、
(a)任意に、ウレタンプレポリマーであって、
(i)任意に、酸価が約0乃至約100の範囲にわたるように、カルボン酸官能基と、
(ii)任意に、単数または複数のポリアルキルシロキサンジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジオールセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジオールセグメント、単数または複数のポリアルキルシロキサンジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエーテルジアミンセグメント、単数または複数のフッ素化ポリエステルジアミンセグメント、及びそれらの組合せから成る群から選択される単数または複数のセグメントと、を有し、
(iii)約1.85乃至約2.7の範囲にわたるヒドロキシル官能価と、
(iv)約500乃至約5000の範囲にわたるヒドロキシル当量と、を有するウレタンプレポリマーと、
(b)任意に、酸価が約0乃至約150の範囲にわたるように、少なくとも1つのヒドロキシル官能基及び1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する有機溶剤稀釈性の第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、ヒドロキシル官能基を含まず、かつ、1つ以上のカルボキシル官能基を任意に有する有機溶剤稀釈性の第2のアクリルポリマーであって、約0乃至約150の範囲にわたる酸価を有する第2ののアクリルポリマーと、
(d)任意に、ポリアルキルシロキサンジオール、ポリアルキルシロキサンジアミン、フッ素化ポリエーテルジオール、フッ素化ポリエーテルジアミン、フッ素化ポリエステルジオール、フッ素化ポリエステルジアミン、及びそれらの混合物から成る群から選択される有機溶剤稀釈性の第1の化合物であって、約200乃至約2000の範囲にわたるヒドロキシル当量を有する第1の化合物と、
(e)任意に、ジオール及びポリオールから成る群から選択される有機溶剤稀釈性の第2の化合物であって、1つ以上のぺンダントカルボキシル官能基を任意に有する第2の化合物と、
(f)任意に、非イオン性界面活性剤と、
(g)任意に、有機溶剤と、を含む非水性組成物であって、以下の要素:
セグメント(i)を有する要素(a)、
要素(d)、
の少なくとも1つが存在し、
要素(a)(ii)のセグメント及び要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいて、それらの合計重量が約2乃至約35重量パーセントとなる量で存在し、成分Bは、
(1)ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、及びそれらの混合物から成る群から選択される架橋剤と、
(2)任意に、有機溶剤と、を含む非水性の有機溶剤稀釈性組成物であり、
成分Aの成分Bに対するNCO:OH比は、約0.95:1乃至約1.07:1である、二液型硬化性組成物。
【請求項34】
要素(a)(ii)のセグメントと要素(d)の化合物が、成分Aの総固形分に基づいて、それらの合計重量が約5乃至約25重量パーセントとなる量で存在する請求項33記載の二液型硬化性組成物。
【請求項35】
成分Aは、(a)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約60重量パーセントのウレタンプレポリマーと、
(b)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約65重量パーセントの前記第1のアクリルポリマーと、
(c)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約45重量パーセントの前記第2のアクリルポリマーと、
(d)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約35重量パーセントの前記有機溶剤稀釈性の第1の化合物と、
(e)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約45重量パーセントの前記有機溶剤稀釈性の第2の化合物と、
(f)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約3重量パーセントの非イオン性界面活性剤と、
(g)任意に、成分Aの総重量に基づき、約0乃至約70重量パーセントの有機溶剤と、を含む非水性組成物であり、
成分Bは、
(1)成分Bの総重量に基づき約30乃至約100重量パーセントの架橋剤と、
(2)任意に、成分Bの総重量に基づき0乃至約70重量パーセントの有機溶剤と、を含む非水性の有機溶剤稀釈性組成物である、請求項33記載の二液型硬化性組成物。
【請求項36】
硬化時に、自己回復性の架橋ポリウレタンを提供する請求項33記載の二液型組成物。
【請求項37】
成分Aは、
(b),(d),(e),(f),(g)と、
(a),(b),(e),(f),(g)と、
(a),(b),(d),(e),(f),(g)と、
から成る群から選択される成分の組み合わせを含む、請求項33記載の二液型硬化性組成物。
【請求項38】
請求項33記載の二液型硬化性組成物によって調製される架橋ポリウレタン。
【請求項39】
自己回復性を有する請求項38記載の架橋ポリウレタン。
【請求項40】
架橋密度が約10乃至約80%であり、25℃での貯蔵弾性率が約8.0×107乃至約5.0×109パスカルであり、ガラス転移温度が約−20℃乃至約100℃であり、ガラス転移温度域での減衰率が約0.4を超える架橋ポリウレタン。
【請求項41】
架橋密度が約15乃至約70%であり、25℃での貯蔵弾性率が約1.0×108パスカル乃至約9.9×108パスカルであり、ガラス転移温度が約−20℃乃至約80℃であり、ガラス転移温度域での減衰率が約0.7を超える、請求項40記載の架橋ポリウレタン。
【請求項42】
架橋密度が約15乃至約60%であり、25℃での貯蔵弾性率が約1.0×108パスカル乃至約9.9×108パスカルであり、ガラス転移温度域での減衰率が約0.9を超え、ガラス転移温度が約−20℃乃至約50℃である、請求項40記載の架橋ポリウレタン。
【請求項43】
請求項38記載の架橋ポリウレタンで被覆された支持体。
【請求項44】
請求項39記載の架橋ポリウレタンで被覆された支持体。
【請求項45】
支持体が、木材、金属、ガラス、布、ペイント、なめし革、ゴム、及びプラスチックから成る群から選択される請求項43記載の被覆された支持体。
【請求項46】
支持体が、木材、金属、ガラス、布、ペイント、なめし革、紙、ゴム、コンクリート、およびプラスチックから成る群から選択される請求項44記載の被覆された支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−56268(P2007−56268A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−227024(P2006−227024)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【分割の表示】特願平8−512133の分割
【原出願日】平成7年10月3日(1995.10.3)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】