説明

反応性希釈剤を含有する塗料およびその製造方法

本発明は、反応性希釈剤を含み、高性能、低VOCレベル、および低刺激レベルを有する塗料を提供する。本発明の一部の実施形態は水および水分散性ポリマーを含み、他の実施形態は水を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書においてその全体を参考のために包含する、2003年6月12日出願の米国特許仮出願第60/478,070号の特典を請求する。
【背景技術】
【0002】
増大する環境規制のため、塗料業界において、より低いVOC含有(揮発性有機化合物含有)システムに対する重大な必要性がある。一般的に、より低いVOC含有システムは、より低い分子量のポリマーを用いることにより達成されてきた。しかし、これはより不良の性能を有する製品をもたらすことができる。
【0003】
放出されるVOC量を低減し、性能を保持することを目指して、製造業者は水系ポリウレタンを用いてきている。こうした水系ポリウレタンは、通常、線状ポリマーであり、溶媒系ウレタンシステムの高度架橋膜よりも低い耐薬品性を有する膜を作りだす。水系ポリウレタンポリマーを予備架橋することによりポリウレタン塗料を調製することは、プレポリマー段階における2以上の反応性官能基を有する大量のモノマーを組み込むことにより達成することができる。しかし、これは、水中に容易に分散することのできない高粘性のプレポリマー混合物をもたらす。希釈剤は、この粘度の問題に対応するために用いられてきたが、しかし、多くは、皮膚、目のいずれか、または両方をひどく刺激するものである。多くの例において、「刺激性」希釈剤の存在は、製品を使用する前に大規模な産業衛生上の測定を行うことを必要とする。しかし、こうした測定は実際的でないことが可能であり、こうした製品は結果として選択されないことが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、高性能、低VOCレベル、および低刺激レベルを有する塗料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、反応性希釈剤を含むと共に、高性能、低VOCレベル、および低刺激レベルを有する塗料を提供する。本発明の一部の実施形態は水および水分散性ポリマーを含み、他の実施形態は水を含まない。
【0006】
好ましい水分散性塗料は、7wt%以下(さらに好ましくは4wt%以下)の揮発性有機化合物(VOC)を含む。しかし、一部の他の組成物、例えば、アルキド系組成物は、より高いVOCレベルを含有することが可能である。
【0007】
一つの実施形態において、水分散性ポリマー(例えば、ポリウレタン、エポキシ、ポリアミド、塩素化ポリオレフィン、アクリル、油変性ポリマー、ポリエステル、およびそれらの混合物またはコポリマー);実質的にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を含まず、KOH30ミリ当量/グラム以下のOH−官能基を有し、少なくとも350グラム/モルの分子量(好ましくは350グラム/モル〜1000グラム/モルの分子量)を有する化合物を含む反応性希釈剤;および水を含む塗料が提供される。
【0008】
別の実施形態において、水分散性ポリマー、実質的に非刺激性の反応性希釈剤、および水を含む塗料が提供される。反応性希釈剤が化合物の混合物として提供される場合、全体としての混合物は、実質的に非刺激性である。すなわち、用語「反応性希釈剤」は1以上の化合物を包含することができる。それが化合物の混合物である場合、全体混合物は実質的に非刺激性でなければならない。
【0009】
別の実施形態において、油変性ポリマー(例えば、アルキド、油変性ポリウレタン、油変性エポキシ、油変性ポリアミド、油変性アクリル、およびそれらの混合物またはコポリマー);および実質的にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を含まず、KOH30ミリ当量/グラム以下のOH−官能基を有し、少なくとも350グラム/モルの分子量(好ましくは350グラム/モル〜1000グラム/モルの分子量)を有する化合物を含む反応性希釈剤を含む塗料が提供される。油変性ポリマーは一部の実施形態に対して水分散性である。
【0010】
別の実施形態において、油変性ポリマーおよび実質的に非刺激性の反応性希釈剤を含む塗料が提供される。反応性希釈剤が化合物の混合物として提供される場合、全体混合物は実質的に非刺激性である。
【0011】
一般的に、水分散性ポリマーはアミンまたは酸官能基を含む。それは、また、エチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート官能基または自動酸化性炭素−炭素二重結合)を含むことができる。
【0012】
反応性希釈剤は、(メタ)アクリレート(「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを指す)、ビニルエーテル、(メタ)アリルエーテル((メタ)アリルエーテルはアリルエーテルおよびメタリルエーテルを指す)、またはそれらの混合物またはコポリマーを含むことができる。好ましくは、反応性希釈剤は、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものなどの(メタ)アクリレート官能性化合物を含む。
【0013】
本発明は、また、塗料を基板に塗布し、塗料を硬化させることを含む被覆方法を提供する。本発明は、また、本明細書において記載される塗料から調製されるかまたは調製可能な皮膜を提供する。例えば、本発明の皮膜は、本発明の塗料を基板に塗布し、塗料を硬化させることを含む方法により調製可能である。
【0014】
本発明は、また、水分散性ポリマー、および少なくとも350グラム/モルの分子量を有し、実質的にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を含まず、KOH30ミリ当量/グラム以下のOH−官能基を有すると共に、処理または使用温度で100,000センチポアズ(cps)未満の粘度を有する反応性希釈剤を含む混合物を提供すること;混合物を水中に分散することを含む、塗料を調製する方法を提供する。注目に値するのは、反応性希釈剤の使用のせいで、この方法が追加の溶媒を必要としないことである。
【0015】
本明細書において用いられる「反応性希釈剤」には、少なくとも以下の一つと反応する1以上の比較的低い分子量の化合物が挙げられ:ポリマー(例えば、ポリウレタンなどの水分散性ポリマー)、それ自体、別の反応性希釈剤、またはこれらのあらゆる組合せ;反応性希釈剤は、ポリマーとの相互貫入網目構造を形成することができるかまたはポリマーと架橋することができ;およびモノマー、オリゴマー、またはポリマーであることができる。
【0016】
また、本明細書において「水分散性」は、ポリマーがそれ自体で水中に分散することができる(すなわち、別の界面活性剤の使用を必要とせずに)か、または、水をポリマーに添加して安定な分散液を形成する(すなわち、分散液は通常の保存温度で少なくとも1ヶ月の保存安定性を有することが好ましい)ことを意味する。
【0017】
また、本明細書において「少なくとも一つの」、および「1以上の」は、互換性をもって用いられる。
【0018】
また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に含まれるすべての数を含む(例えば、1〜5には1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などが含まれる)。
【0019】
また、本明細書において、用語「含む」およびその変形は、これらの用語が明細書本文およびクレームで現される限定的な意味を持たない。
【0020】
本発明の上記概要は、本発明のそれぞれの開示実施形態またはすべての実施を記載するようには意図されていない。さらに詳細に続く記載は、説明するための実施形態を例証する。出願の全体にわたる数箇所において、種々の組合せにおいて用いることができる実施例の一覧表を通して指針が提供される。それぞれの例において、列挙された一覧表は代表的な群としてのみ役立ち、排他的な一覧表としては解釈されるべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の塗料は、反応性希釈剤、および水分散性ポリマーまたは水分散性であるかまたはそうでないことができる油変性ポリマーのいずれかを含む。ポリマーと組み合わせる場合に、反応性希釈剤は低VOC含有組成物を提供することができる。
【0022】
本発明の塗料は、処理または使用条件で、100,000cps未満、さらに好ましくは30,000cps未満、なおさらに好ましくは15,000cps未満、なおさらに好ましくは5,000cps未満、最も好ましくは1,000cps未満の粘度を有する。
【0023】
好ましくは、塗料は7wt%以下の揮発性有機化合物を含む。さらに好ましくは、本発明の塗料は4wt%以下の揮発性有機化合物を含む。揮発性有機化合物は、米国特許第6,048,471号(Henry)および米国官報:June 16,1995,volume 60,number 111において定義される。
【0024】
本発明の塗料は、好ましくは、組成物の反応性希釈剤およびポリマー成分の混合質量に対して、少なくとも5wt%、さらに好ましくは少なくとも10wt%、最も好ましくは少なくとも15wt%の量で反応性希釈剤を含む。本発明の塗料は、好ましくは、組成物の反応性希釈剤およびポリマー成分の混合質量に対して、40wt%以下、さらに好ましくは30wt%以下、最も好ましくは25wt%以下の量で反応性希釈剤を含む。
【0025】
本発明の水分散塗料は、好ましくは組成物の全体量に対して、少なくとも40wt%の水を含む。本発明の水分散塗料は、好ましくは組成物の全体量に対して、80wt%以下、さらに好ましくは70wt%以下の水を含む。
【0026】
本発明の塗料は、木材、セメント、タイル、金属、プラスチック、ガラス、光ファイバー、およびガラス繊維を含む多様な基板に塗布することが可能である。塗料は、当業者に公知の多様な方法により基板に塗布することができる。こうした方法には、噴霧法、塗装、ロール塗布、はけ塗り、ファンコーティング、カーテンコーティング、糊引き、エアナイフコーティング、ダイコーティング、真空塗装、スピンコーティング、電着塗装、およびディッピング法が挙げられる。皮膜の厚さは、用途に応じて変動する。一般に、皮膜は、0.1〜20ミル(0.00025〜0.0508センチメートル(cm))の厚さを有するが、しかし、より厚いまたはより薄い皮膜も、また、例えば望ましい皮膜特性に応じて考慮される。
【0027】
反応性希釈剤として機能する化合物は、比較的低い分子量からなり、反応性モノマー、オリゴマー、または低分子量ポリマーであることができる。反応性希釈剤として機能することができる化合物は、少なくとも一つのポリマー(水分散性ポリマーまたは油変性ポリマー)、それ自体、別の反応性希釈剤、またはこれらのすべてと反応することができるものである。ポリマーおよび反応性希釈剤は、例えば、相互貫入網目構造を形成することができる。あるいは、反応性希釈剤はポリマーと架橋することに関与することができる。
【0028】
適する反応性希釈剤化合物は、比較的低い分子量を有する。好ましくは、適する反応性希釈剤化合物は、少なくとも350グラム/モル(g/モル)の分子量を有する。好ましくは、分子量は1000g/モル以下である。
【0029】
好ましい反応性希釈剤は、また、実質的に非刺激性、さらに好ましくは本質的に非刺激性、最も好ましくは完全に非刺激性である。反応性希釈剤が化合物の混合物として提供される場合、全体の混合物は、実質的に非刺激性、好ましくは本質的に非刺激性、さらに好ましくは完全に非刺激性である。
【0030】
「実質的に非刺激性」の希釈剤は、皮膚に対して1以下(0〜8段階評価で)、目に対して10以下(0〜110段階評価で)のドレイズ評点を有する。「本質的に非刺激性」の希釈剤は、皮膚に対して0.5以下、目に対して5以下のドレイズ評点を有する。「完全に非刺激性」の希釈剤は、皮膚に対して0.1以下、目に対して3以下のドレイズ評点を有する。
【0031】
好ましい反応性希釈剤は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を実質的に含まない。さらに好ましくは、それらは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を本質的に含まない。最も好ましくは、それらは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分をまったく含まない。「実質的に含まない」とは、5wt%未満のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分が反応性希釈剤中に存在することを意味する。「本質的に含まない」とは、1wt%未満のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分が反応性希釈剤中に存在することを意味する。「まったく含まない」とは、反応性希釈剤中に存在するエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分が0.5wt%未満であることを意味する。
【0032】
好ましい反応性希釈剤は、KOH30ミリ当量/グラム(meq/g)以下のOH官能基を有する。好ましくは、反応性希釈剤は25meq/g以下のOH官能基を有する。さらに好ましくは、反応性希釈剤は20meq/g以下のOH官能基を有する。
【0033】
反応性希釈剤は、一般的に、エチレン性不飽和を有する化合物を含む。適するこうした化合物には、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、(メタ)アリルエーテル、またはそれらの混合物またはコポリマーが挙げられる。(メタ)アクリレート官能基反応性希釈剤の例には、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、ジ(ペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、ジ−(ペンタエリスリトールヘキサメタクリレート)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびペンタエリスリトールテトラメタクリレートが挙げられる。ビニルエーテル反応性希釈剤の例には、ジ−(トリメチオールプロパンテトラビニルエーテル)、ジ−(ペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル)、およびペンタエリスリトールテトラビニルエーテルが挙げられる。(メタ)アリルエーテル反応性希釈剤の例には、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアリルエーテル)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタリルエーテル)、ジ−(ペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル)、ジ−(ペンタエリスリトールヘキサメタリルエーテル)、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、およびペンタエリスリトールテトラメタリルエーテルが挙げられる。好ましい反応性希釈剤化合物は、アクリレート官能基およびメタクリレート官能基を含む(メタ)アクリレート官能性である。好ましい反応性希釈剤には、(メタ)アクリレート官能性化合物が含まれる。これらの中で、好ましい反応性希釈剤化合物は、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)およびジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)である。本発明の塗料中に用いられる反応性希釈剤は、必要ならば、化合物の混合物を含むことができる。
【0034】
本発明の塗料に適するポリマーは、水分散性、または必要ならば水分散性であることができる油変性性のいずれかである。こうしたポリマーは塗料業界で周知であり、幅広い多様なポリマーが挙げられる。
【0035】
ポリマーは、好ましくは、前述の反応性希釈剤(複数を含む)と反応することができる反応性官能基を含む。一つのこうした好ましいポリマーはエチレン性不飽和を含み、硬化する時に、硬い耐久力のある皮膜を提供する。こうしたエチレン性不飽和は、好ましくは、(メタ)アクリレートまたは自動酸化性炭素−炭素二重結合の形態をとる。
【0036】
適する水分散性ポリマーには、例えば、ポリウレタン、エポキシ、ポリアミド、塩素化ポリオレフィン、アクリル、油変性ポリマー、ポリエステル、およびそれらの混合物またはコポリマーが挙げられる。こうしたポリマーは容易に合成され、従来の技術を用いて水分散性であるように作製される。例えば、アミンまたは酸性官能基の組み込みは、水分散性を作りだす。
【0037】
油変性ポリマーは、水分散性であろうとなかろうと、必要であればまた用いることができる。本明細書において用いられるように、油変性ポリマーは、グリセリド油(モノグリセリド、およびジグリセリドなど)、脂肪酸、脂肪アミン、およびそれらの混合物などの油および/または油系誘導体を含有するポリマーを包含するように広く定義される。こうした油変性ポリマーの例には、アルキド、油変性ポリウレタン、油変性エポキシ、油変性ポリアミド、油変性アクリル、およびそれらの混合物またはコポリマーが挙げられる。好ましくは、油変性ポリマーは油変性ポリウレタンかまたはアルキドである。こうしたポリマーは容易に合成され、従来の技術を用いて必要であれば水分散性であるように作製することができる。
【0038】
水分散性ポリウレタンは特に好ましい。これらのポリマーは、多様なやり方で作製することが可能である。一つの適する方法は、1以上のイソシアネートを1以上のヒドロキシ官能性化合物と反応させることを含む。好ましいこうしたポリマーは、エチレン性不飽和ならびに塩形成性官能基を含む。エチレン性不飽和は、例えば、前述のイソシアネートをヒドロキシ官能性アクリレート、メタクリレート、アリルエーテル、ビニルエーテル、モノグリセリド、ジグリセリド、エステルポリオール、または油変性ポリマーと反応させることにより、ポリウレタン中に導入することができる。エチレン性不飽和水分散性ポリウレタンを調製することにおいて有用な好ましい油変性ポリマーは、アルキドである。好ましいエチレン性不飽和ポリウレタンは、(メタ)アクリレートまたは自動酸化性炭素−炭素二重結合官能基を含む。
【0039】
適するイソシアネートには、ジイソシアネート、トリイソシアネート、および他のポリイソシアネートが挙げられる。本発明を実施するために好ましいポリイソシアネートは、分子当り4〜25個の炭素原子および2〜4個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである。イソシアネートの例には、脂肪族、脂環式、芳香族イソシアネート、およびそれらの混合物を含むポリウレタン製造に通常用いられるものが挙げられる。
【0040】
イソシアネートとの反応用に適するヒドロキシ官能性のエチレン性不飽和化合物には、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートが含まれる。適するヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの例には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−2−メチルエチル、および(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシシクロヘキシルなどのアルキルおよびシクロアルキルヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート、ならびに他の類似のヒドロキシ官能性脂肪族(メタ)アクリレートが挙げられる。他の適するヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートには、カプロラクトン2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル・エステル、ジカプロラクトン2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル・エステル、およびより高い分子量のカプロラクトン相同物などのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートポリエステル、およびヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートポリエーテルが挙げられる。
【0041】
ポリウレタン製造における使用のためのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物の別のタイプは、ヒドロキシ官能性(メタ)アリルエーテルである。適するヒドロキシ官能性(メタ)アリルエーテルは、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールエタンモノアリルエーテル、およびトリメチロールプロパンジメタリルエーテルなど少なくとも一つのヒドロキシル基と1以上のアリルエーテル基を含む。
【0042】
ビニルエーテルは、また、エチレン性不飽和ポリウレタンを製造することにおいて利用することが可能である。適するビニルエーテル化合物は、少なくとも一つのヒドロキシル基および1以上のビニルエーテル基を含む。適するビニルエーテルの例には、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロへキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、およびジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。
【0043】
エチレン性不飽和は、また、分子当り少なくとも二つのヒドロキシル基を含有する芳香族または脂肪族ポリオールの、脂肪酸部分が自動酸化性炭素−炭素二重結合を含有する脂肪酸との反応により製造されるエステルポリオールとの反応を介してポリウレタン中に組み込むことができる。適するポリオールには、エチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、およびシクロへキサンジメタノール、およびそれらの混合物が挙げられる。適する不飽和脂肪酸には、リノール酸、パルミトレイン酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、リシノール酸、10,12−オクタデカン2酸、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
エチレン性不飽和を含有するポリウレタンは、また、自動酸化性炭素−炭素二重結合を含有する油の、分子当り少なくとも二つのヒドロキシル基を含有する芳香族または脂肪族ポリオールとのエステル交換を介して形成される反応生成物を利用することにより作り上げることができる。適する油には、アマニ油、大豆油、ベニバナ油、トール油、ヒマワリ油、脱水ヒマシ油、ヒマシ油、リシン(ricine)油、キリ油、鰯油、オリーブ油、綿実油およびそれらの混合物が挙げられる。適するポリオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、およびシクロヘキサンジメタノール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
油変性ポリマー、好ましくはヒドロキシル官能性アルキドも、また、エチレン性不飽和ポリウレタンを作り上げるために用いることができる。アルキドは技術上公知のあらゆる方法により調製することができる。アルキドを調製するための方法の例には、多塩基酸および任意にさらなるポリオールとのさらなる反応による油およびポリオールのエステル交換が挙げられる。加えて、多塩基酸および脂肪酸は、適する割合でポリオールと反応することができる。ポリオールの多塩基酸および脂肪酸および/または油との反応は、ナフテン酸カルシウム、ネオデカン酸リチウム、酢酸亜鉛、および酸化スズなどのエステル交換触媒により触媒化することができる。トリスノニルフェニル亜リン酸塩などの色彩安定剤も、また、添加することが可能である。
【0046】
アルキドまたは他の油変性ポリマーを製造することにおいて有用である適する油および/またはそれらから誘導される脂肪酸には、例えば、アマニ油、ベニバナ油、トール油、綿実油、挽いたナッツ、桐油、キリ油、リシン油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ココナッツ油、鰯油、およびオリーブ油などの化合物が挙げられる。これらの油および/または脂肪酸は、単独で、または1以上の油および/または脂肪酸の混合物として用いることができる。
【0047】
アルキドを製造することにおいて有用な適するポリオールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、およびシクロヘキサンジメタノールなどの、例えば、非芳香族または芳香族炭素原子に結合する1〜6、好ましくは1〜4のヒドロキシ基を有する脂肪族、脂環式および/またはアルアリファチックアルコールなどの化合物が挙げられる。これらの化合物は、単独かまたは1以上のポリオールの混合物として用いることができる。
【0048】
アルキドを製造することにおいて有用な、適する多塩基性酸には、例えば、ジカルボン酸、トリカルボン酸、およびテトラカルボン酸などの、例えば、脂肪族、脂環式飽和または不飽和および/または芳香族多塩基性カルボン酸などの化合物が挙げられる。多塩基性酸は、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、またはそれらの混合物などの多塩基性酸の無水物を含むように広く定義される。これらの化合物は、単独かまたは1以上の多塩基性酸の混合物として用いることができる。
【0049】
アルキドは、また、多塩基酸をアミン含有化合物と反応させてアミド含有アルキドを提供することにより調製することができる。適するアミンの例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、およびメラミン1,2−ジアミノプロパン、および1,3−ジアミノプロパンなど;または、例えば、2−アミノ−プロパン−1−オール、3−アミノ−プロパン−1−オール、ジメチルイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、およびジメチルエタノールアミンなどのアミノ・アルコールが挙げられる。これらのアミド含有アルキドは、アミンおよび/またはヒドロキシ官能性であるように設計することができると共に、次に、水分散性ポリウレタンポリマーを製造することにおいて有用であることができるであろう。
【0050】
従来から、製造を容易にするために、ポリウレタンプレポリマーは、分散液中に残るか、または低い溶媒または溶媒なしの製品を提供するための製造における最後の段階の一つとして除去されるかのいずれかである溶媒の存在下で製造することができる。容易に除去することができる溶媒は、通常、アセトンまたはメチルエチルケトンなどの揮発性溶媒である。しかし、上述のような1以上の反応性希釈剤は、こうした溶媒(またはこうした溶媒の一部)の代わりに用いられる。
【0051】
鎖延長剤は、また、ウレタンポリマーの調製において用いることができる。鎖延長剤の例には、アルキルアミノアルコール、シクロアルキルアミノアルコール、複素環式アミノアルコール、ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、など)、ヒドラジン、置換ヒドラジン、ヒドラジド、アミド、水またはそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
一般に、水分散性のために、酸塩形成基は多くの方法によりポリマー中に導入することができる。例えば、水分散性ポリウレタンは、適する化合物(例えば、ポリイソシアネート)を中和性塩基により中和される活性水素および活性酸性基を含有する化合物と反応させることにより製造することができる。活性水素および活性酸性基を有する適する化合物には、ヒドロキシおよびメルカプトカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノヒドロキシカルボン酸、スルホン酸、ヒドロキシスルホン酸、およびアミノスルホン酸が挙げられる。適する中和性塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなどの無機塩基、トリエチルアミン、およびジメチルエタノールアミンが挙げられる。
【0053】
あるいは、水分散性のために、塩基性塩形成基は、適する化合物(例えば、ポリイソシアネート)を酸により中和される活性水素基および活性塩基性基を含有する化合物と反応させることにより、ポリマー中に導入することができる。活性水素基および活性塩基性基を有する適する化合物には、脂肪族、脂環式および複素環式アミノアルコール、ジオールおよびトリオール、アミン、ジアミン、トリアミン、テトラミン、およびアミドが挙げられる。適する中和性酸には、ギ酸および酢酸などの有機酸、および塩酸および硫酸などの無機酸が挙げられる。
【0054】
例えば、ウレタンは、アミンまたは酸性官能基を組み込むことにより水分散性とすることができる。例えば、水系のアニオン的に安定化されたポリウレタンポリマーは、ポリオールおよびジヒドロキシカルボン酸化合物を過剰のジイソシアネートと反応させてNCO末端基を有するカルボン酸官能性プレポリマーを提供することにより調製される。酸性基は第3アミンにより中和されて塩基を提供することができる。中和プレポリマーは、容易に水中に分散することができる。あるいは、水分散性ポリウレタンポリマーのアニオン性安定化基は、カチオン性安定化基または非イオン性安定化基により置換されて水分散性を容易にすることができる。
【0055】
本発明の塗料における使用のために適する添加剤は、Koleske et al.,Paint and Coatings Industry,April,2003,pages 12〜86に記載されている。
【0056】
本発明の一部の実施形態、特に塗料のポリマーおよび/または反応性希釈剤中に(メタ)アクリレート官能基を有するものは、UVまたは可視光により硬化可能であるポリマーを含む。これらの塗料は、一般的に、フリーラジカル開始剤、特に光にさらされると硬化反応を誘発する光開始剤を含む。光開始剤は塗料の約0.1〜10wt%を構成する。
【0057】
(メタ)アクリレートまたはアリルエーテル官能基を有する樹脂による本発明における使用に適する光開始剤には、アルファ開裂型光開始剤および水素引抜き型光開始剤がある。光開始剤は、光化学開始反応を助ける共開始剤または光開始剤共力剤などの他の作用物質を含むことが可能である。適する開裂型光開始剤には、アルファ,アルファ−ジエトキシアセトフェノン(DEAP)、ジメトキシフェニルアセトフェノン(ニューヨーク州、アーズリーのチバ(Ciba Corp.)から商標IRGACURE651で市販されている)、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバから商標IRGACURE184で市販されている)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバから商標DAROCUR1173で市販されている)、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバから商標IRGACURE1700で市販されている)の25:75混合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンと2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(TPO、チバから商標DAROCUR4265で市販されている)の50:50混合物、ホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル(チバから商品名IRGACURE819およびIRGACURE819DWで市販されている)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(ニュージャージ州、マウントオリーブのBASF Corp.から商標LUCIRINで市販されている)、およびオリゴ2−ヒドロキシ−2−メチル−4−(1−メチルビニル)フェニルプロパン−1−オン70%と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ペンシルベニア州、エクストンのサルトマー(Sartomer)から商標KIP100で市販されている)30%の混合物が挙げられる。適する水素引抜き型光開始剤には、ベンゾフェノン、置換ベンゾフェノン(ペンシルベニア州、エクストンのサルトマーにより販売され、フラッテリ−ランベルティ(Fratelli−Lamberti)から商標ESCACURE・TZTで市販されているものなど)、およびキサントン、チオキサントン、ミッチェル(Michler’s)ケトン、ベンジル、キノン、および上記すべての置換誘導体などの他のジアリール・ケトンが挙げられる。好ましい光開始剤には、DAROCUR1173、KIP100、ベンゾフェノン、およびIRGACURE184が挙げられる。特に好ましい開始剤混合物は、IRGACURE184とベンゾフェノンの1:1比での混合物であって、チバから商標IRGACURE500で市販されている。これは、アルファ開裂型光開始剤と水素引抜き型光開始剤の混合物の良い例である。光開始剤の他の混合物は、また、本発明の塗料中に用いることが可能である。樟脳キノンは、可視光により塗料を硬化するための適する光開始剤の一つの例である。
【0058】
本発明の塗料は、また、共開始剤または光開始剤共力剤を含むことができる。共開始剤は、第3脂肪族アミン(メチルジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなど)、芳香族アミン(アミルパラジメチルアミノベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、および2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートなど)、(メタ)アクリル化アミン(すべて、ジョージア州、スミュルナのUCBラッドキュアスペシャルティーズ(RadCure Specialties)から商標EBECRYL7100およびUVECRYL・P104およびP115で市販されているものなど)、およびアミノ官能性アクリルまたはメタクリル樹脂またはオリゴマー混合物(両方とも、UCBラッドキュアスペシャルティーズから商標EBECRYL3600またはEBECRYL3703で市販されているものなど)であることができる。上記範疇の化合物の組合せは、また、用いることが可能である。
【0059】
ビニルエーテル官能基を持つ樹脂を有する塗料は、カチオン発生光開始剤を用いてUVまたは可視光により硬化することができる。適するカチオン発生光開始剤の例には、トリアリールスルホニウム塩などの超酸発生光開始剤が挙げられる。一つの有用なトリアリールスルホニウム塩は、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートである。
【0060】
UVまたは可視光により硬化することが可能である多くの塗料は、また、電子ビームにより硬化することが可能である。電子ビームを用いて塗料を硬化するための技術および装置は、技術上公知である。これらの技術は、皮膜の電子ビーム硬化用の光開始剤を必要としない。
【0061】
(メタ)アクリレートおよび/またはアリル官能基を持つポリマー樹脂を有する塗料は、また、適する開始剤を用いて熱的に硬化することが可能である。熱開始剤は、一般的に、フリーラジカル機構による硬化過程を容易にし、一般的に、過酸化物またはアゾ化合物を含む。本発明の塗料中で開始剤としての使用に適する過酸化物化合物には、t−ブチルパーベンゾエート、t−アミルパーベンゾエート、クメンヒドロペルオキシド、t−アミルパーオクトエート、メチルエチルケトン過酸化物、ベンゾイル過酸化物、シクロヘキサノン過酸化物、2,4−ペンタンジオン過酸化物、ジ−t−ブチル過酸化物、t−ブチルヒドロペルオキシド、およびジ−(2−エチルヘキシル)−パーオキシジカーボネートが挙げられる。本組成物中で開始剤として用いることが可能である適するアゾ化合物には、2,2−アゾ・ビス−(2,4−ジメチルペンタン−ニトリル)、2,2−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、および2,2−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)が挙げられる。
【0062】
(メタ)アクリレート、アリルエーテル、およびビニルエーテル官能基の混合物を有する塗料に対して、硬化手順の組合せを用いることが可能である。例えば、(メタ)アクリレートおよびビニルエーテル官能基の両方を持つ樹脂を有する塗料は、一般的に、(メタ)アクリレート基に対してアルファ開裂型および/または水素引抜き型光開始剤、およびビニルエーテル基に対してカチオン発生光開始剤を含む。
【0063】
本発明の塗料を硬化するための他の方法は、単独で、または上述の方法と組み合わせて用いることができる。補足の硬化法には、熱硬化、化学硬化、嫌気性硬化、水分硬化、および酸化硬化などが挙げられる。各硬化法は、組成物中に含まれる対応硬化開始剤または硬化剤を必要とする。例えば、熱硬化は過酸化物により誘発することができ、金属ドライヤーパッケージは酸化硬化を誘発することができ、多官能性アミン(例えば、イソフォロンジアミン)はアミン基のアクリレート反応性不飽和基上へのマイケル付加を通して化学架橋硬化を達成することができる。これらの追加開始剤が塗料中に存在する場合、それらは、一般的に、硬化性塗料の0.1〜12wt%を構成する。こうした方法により硬化を達成するための手段は、当業者に公知であるか、または、標準法を用いて決定することができる。
【0064】
本発明の一部の塗料は、また、金属ドライヤーを含むことができる。一般的なドライヤーには、例えば、コバルト、マンガン、鉛、ジルコニウム、カルシウム、セリウム、ランタン、およびネオジム塩またはそれらの組合せが挙げられる。金属ドライヤーは、一部の実施形態用の加速剤と組み合わせて用いることができる。例えば、水分散性ポリウレタン−ポリエチレン組成物は、また、例えば、金属ドライヤーと組み合わせて加速剤として機能する、1,10−フェナントロリン、およびビピリジンなどの化合物を含むことができる。
【0065】
本発明の一部の塗料は、また、性能増強添加剤と呼ぶことができる成分の1以上の基を含むことが可能である。用いることが可能である一般的な性能増強添加剤には、特性を修正するための表面活性剤、顔料、着色剤、染料、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、抗窪み剤、硬化指示薬、可塑剤、充填剤、沈殿阻害剤、紫外光吸収剤、および蛍光増白剤などが挙げられる。
【0066】
塗料は、硬化性塗料の基板との相互作用を修正する表面活性剤を含むことが可能であり、詳細には、活性剤は基板を濡らす組成物の能力を修正することができる。表面活性剤は、さらに、他の特性を有することが可能である。例えば、表面活性剤は、また、レベリング剤、消泡剤、またはフロー剤などを含むことが可能である。表面活性剤は、塗料がいかに取り扱われるか、それがいかに基板表面上に広がるか、およびそれがいかに基板に結合するかを含む硬化性塗料の品質に影響を及ぼす。表面活性剤は、硬化性塗料の0〜5wt%を構成することが可能である。
【0067】
塗料中の使用に適する表面活性剤は、当業者に公知であるか、または標準法を用いて決定することができる。代表的な表面活性剤には、ポリジメチルシロキサン表面活性剤(ウエストバージニア州、サウス・チャールストンのOSIスペシャルティーズ(Specialties)から商標SILWET・L−760およびSILWET・L−7622で、またはコネチカット州ウォリンフォードのByk−ケミエ(Chemie)から商標BYK306で市販されているものなど)およびフッ素系表面活性剤(ミネソタ州、セントポールの3M・Co.からFLUORAD・FC−430として市販されているものなど)が挙げられる。表面活性剤は消泡剤を含むことが可能である。適する消泡剤には、ポリシロキサン消泡剤(Byk−ケミエから商標BYK077またはBYK500で市販されているもののようなメチルアルキルポリシロキサンなど)または高分子消泡剤(Byk−ケミエから商標BYK051で市販されているものなど)が挙げられる。
【0068】
一部の用途に対して、不透明、有色、色素性であるか、または他の可視特徴を有する皮膜が望ましい。こうした特性を提供するための作用物質は、また、本発明の塗料中に含むことができる。本発明と共に使用するための顔料は、技術上公知である。適する顔料には、二酸化チタン白、カーボンブラック、ランプブラック、黒酸化鉄、赤酸化鉄、黄酸化鉄、茶酸化鉄(赤および黄酸化物の黒との混合物)、フタロシアニン緑、フタロシアニン青、有機赤(ナフトール赤、キナクリドン赤およびタウリジン(toulidine)赤など)、キナクリドンマゼンタ、キナクリドン紫、DNAオレンジ、および/または有機黄(ハンザ黄など)が挙げられる。組成物は、また、チバガイギー(Ciba−Geigy)から商標UVITEX・OBで市販されているものなどの、光沢制御添加剤または蛍光増白剤を含むことができる。
【0069】
一部の実施形態において、塗料中に充填材または不活性成分を含むことは有利である。充填材または不活性成分には、例えば、クレー、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、および有機充填材などが挙げられる。充填材は、硬化前後に、組成物を広げ、そのコストを下げ、その外見を変えるか、またはそれに対する望ましい特性を提供する。適する充填材は当業者に公知であり、標準法を用いて決定することができる。充填材または不活性成分は、塗料の0.1〜40wt%を構成することができる。
【0070】
本発明は、また、それが保存されるか、取り扱われるか、または塗布される際に、および他のまたは次の段階で、硬化性塗料の特性を修正する他の成分を含むことが可能である。ワックス、艶消し剤、傷および磨耗添加剤、および他の類似の性能増強添加剤は、硬化皮膜および塗料の性能を高めるために有効な必要とされる量で、本発明において用いることが可能である。皮膜の望ましい性能特性には、耐薬品性、耐摩耗性、硬度、光沢、反射性、外見、またはこれら特性の組合せ、および他の類似の特性が挙げられる。
【実施例】
【0071】
本発明の目的および利点は、さらに、以下の実施例により説明されるが、しかし、これらの実施例に列挙されるそれらの特定の材料および量、ならびに他の条件および詳細が、本発明を不当に限定するとは解釈されるべきでない。
【0072】
以下の略語が本明細書において用いられている。
DMPA−ジメチロールプロピオン酸(ペンシルベニア州、アレンタウンのGEO)
DiTMPTA−ジ−トリメチロールプロパン・テトラアクリレート(ペンシルベニア州、エクストンのサルトマー)
4−HBA−4−ヒドロキシ・ブチルアクリレート(ウィスコンシン州、ミルウオーキーのアルドリッチ(Aldrich))
TMP−トリメチロールプロパン(アルドリッチ)
DESMOPHEN・S−105−110−ポリエステルジオール(ペンシルベニア州、ピッツバーグのバイエル(Bayer))
TEA−トリエチルアミン(アルドリッチ)
DBTDL−ジブチル・スズ・ジラウリン酸塩(ペンシルベニア州、アレンタウンのエアプロダクツ(Air Products))
【0073】
実施例1:DiTMPTA反応性希釈剤による(メタ)アクリレート官能性ポリウレタン分散液(PUD)の調製
反応器に、DiTMPTA96.0部、4−HBA48.0部、DESMOPHEN・S−105−110ポリエステルジオール91.4部、DMPA29.3部、TMP9.6部、および2,6ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール500ppmを投入した。反応混合物を空気噴霧下で80℃に加熱し、そこにDBTDL250ppmを添加し、反応をイソシアネートレベルが9.2%未満になるまで進めた。ウレタンポリマーを65℃に冷却し、次に、TEA22.1部で中和した。65℃でのウレタンポリマー粘度は、ブルックフィールドDV-+粘度計および1.5回転/分(RPM)でのナンバー31スピンドルによる測定で6,000センチポアズ(cps)であった。
【0074】
プロセス温度65℃で、上記形成(メタ)アクリレート・ウレタンポリマーを、次に、室温脱イオン水899.5部中に分散させ、続いて、ヒドラジン(水中35%)51.1部により鎖延長させた。次に、分散液を脱イオン水により35%固形物に調整した。
【0075】
鎖延長化(メタ)アクリレート官能性ポリウレタン分散液の物理的特性は以下の通りであった(NVM%=質量での非揮発性物質)。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例2:(メタ)アクリレート官能性PUDを含有するDiTMPTAを有するUV硬化性塗料
攪拌下、ステンレス鋼混合容器に、実施例1からの分散液85部、チバからのIRGACURE500、0.85部、脱イオン水8.05部、ダウケミカル(Dow Chemical)からのDOWANOL・DPM5.00部、エアプロダクツからのSURFYNOL・104PA1.00部、およびBYKケミエからのBYK333、0.10部を添加した。次に、3ミル(0.00762cm)厚さの濡れた膜をレネタ・フォーム(Leneta Form)7Bテストチャートに塗布し、15分間にわたり空気乾燥し、次に、65℃で5分間にわたり強制乾燥空気で乾燥した。次に、乾燥(メタ)アクリレートポリマー膜を水銀紫外線ランプにより硬化させた。全UV照射量は、平方センチメートル当り1000ミリジュール(mj/cm2)であった。
【0078】
性能特性を以下にまとめる。光沢は、ASTM試験仕様書、D−523に従って報告する。すべての他の硬化膜特性は、10が影響なし、すなわち最善であるとしての1〜10段階評価で報告する。
【0079】
【表2】

【0080】
光沢測定を、ASTM規格D−523に従ってBYKガードナー(Gardner)からのマイクロ−グロス(Micro−Gloss)60により行った。
【0081】
100プルーフウオッカおよびマスタードへの1時間スポット試験照射を、ASTM規格D−1308に従って行った。
【0082】
MEKダブルラビング試験を、ASTM規格D−5402に従って行った。
【0083】
180度耐屈曲性を、テストチャートを1/2インチ(1.27cm)径ロッドの周りに180度曲げ、膜ひび割れを視覚的に探すことにより行った。
【0084】
爪傷試験を、指の爪の背で硬化皮膜を横断して柔らかくこすり、表面傷を探すことにより行った。
【0085】
本明細書に引用する特許、特許文書、および公開文献の完全な開示内容は、あたかもそれぞれが個々に組み込まれるように、それらの全体が本明細書において参考のために包含される。本発明に対する種々の修正および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者に明らかになる。本発明が本明細書において述べられる説明のための実施形態および実施例により不当に限定されるようには意図されていないこと、および、こうした実施例および実施形態が、以下の本明細書において述べられるクレームによってのみ限定されるように意図されている本発明の範囲のほんの一例として提供されることは、理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散性ポリマー、
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を実質的に含まず、KOH30ミリ当量/グラム以下のOH−官能基を有し、少なくとも350グラム/モルの分子量を有する化合物を含む反応性希釈剤、および
水、
を含む塗料。
【請求項2】
水分散性ポリマーが、ポリウレタン、エポキシ、ポリアミド、塩素化ポリオレフィン、アクリル、油変性ポリマー、ポリエステル、およびそれらの混合物またはコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の塗料。
【請求項3】
水分散性ポリマーが水分散性ポリウレタンである、請求項2に記載の塗料。
【請求項4】
水分散性ポリウレタンがアミンまたは酸性官能基を含む、請求項3に記載の塗料。
【請求項5】
水分散性ポリウレタンがエチレン性不飽和を含む、請求項3に記載の塗料。
【請求項6】
エチレン性不飽和が(メタ)アクリレート官能基を含む、請求項5に記載の塗料。
【請求項7】
エチレン性不飽和が自動酸化性炭素−炭素二重結合を含む、請求項5に記載の塗料。
【請求項8】
さらに金属ドライヤーを含む、請求項7に記載の塗料。
【請求項9】
反応性希釈剤が350グラム/モル〜1000グラム/モルの分子量を有する化合物を含む、請求項1に記載の塗料。
【請求項10】
反応性希釈剤が(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、(メタ)アリルエーテル、またはそれらの混合物またはコポリマーを含む、請求項1に記載の塗料。
【請求項11】
反応性希釈剤が(メタ)アクリレート官能性化合物を含む、請求項10に記載の塗料。
【請求項12】
(メタ)アクリレート官能性化合物が、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の塗料。
【請求項13】
さらにフリーラジカル開始剤を含む、請求項1に記載の塗料。
【請求項14】
反応性希釈剤が、反応性希釈剤および水分散性ポリマーの全体質量に対して、5wt%〜40wt%の量で存在する、請求項1に記載の塗料。
【請求項15】
反応性希釈剤が、反応性希釈剤および水分散性ポリマーの全体質量に対して、10wt%〜30wt%の量で存在する、請求項14に記載の塗料。
【請求項16】
7wt%以下の揮発性有機化合物を含む、請求項1に記載の塗料。
【請求項17】
水分散性ポリマー、
実質的に非刺激性の反応性希釈剤、および
水、
を含む塗料。
【請求項18】
反応性希釈剤が、反応性希釈剤および水分散性ポリマーの全体質量に対して、5wt%〜40wt%の量で存在する、請求項17に記載の塗料。
【請求項19】
反応性希釈剤が、反応性希釈剤および水分散性ポリマーの全体質量に対して、10wt%〜30wt%の量で存在する、請求項18に記載の塗料。
【請求項20】
7wt%以下の揮発性有機化合物を含む、請求項17に記載の塗料。
【請求項21】
(メタ)アクリレート官能性水分散性ポリウレタン、(メタ)アクリレート官能性化合物を含む反応性希釈剤、および水を含む、請求項17に記載の塗料。
【請求項22】
(メタ)アクリレート官能性化合物が、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の塗料。
【請求項23】
油変性水分散性ポリウレタン、(メタ)アクリレート官能性化合物を含む反応性希釈剤、および水を含む、請求項17に記載の塗料。
【請求項24】
(メタ)アクリレート官能性化合物が、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の塗料。
【請求項25】
さらに金属ドライヤーを含む、請求項23に記載の塗料。
【請求項26】
油変性ポリマー、および
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を実質的に含まず、KOH30ミリ当量/グラム以下のOH−官能基を有し、少なくとも350グラム/モルの分子量を有する化合物を含む反応性希釈剤、
を含む塗料。
【請求項27】
反応性希釈剤が350グラム/モル〜1000グラム/モルの分子量を有する化合物を含む、請求項26に記載の塗料。
【請求項28】
油変性ポリマーが、アルキド、油変性ポリウレタン、油変性エポキシ、油変性ポリアミド、油変性アクリル、およびそれらの混合物またはコポリマーからなる群から選択される、請求項26に記載の塗料。
【請求項29】
油変性ポリマーが油変性ポリウレタンである、請求項28に記載の塗料。
【請求項30】
油変性ポリマーがアルキドである、請求項28に記載の塗料。
【請求項31】
油変性ポリマーが油変性水分散性ポリマーである、請求項26に記載の塗料。
【請求項32】
油変性水分散性ポリマーが油変性水分散性ポリウレタンである、請求項31に記載の塗料。
【請求項33】
油変性水分散性ポリマーが水分散性アルキドである、請求項31に記載の塗料。
【請求項34】
反応性希釈剤が(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、(メタ)アリルエーテル、またはそれらの混合物またはコポリマーを含む、請求項26に記載の塗料。
【請求項35】
反応性希釈剤が(メタ)アクリレート官能性化合物を含む、請求項34に記載の塗料。
【請求項36】
(メタ)アクリレート官能性化合物が、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項35に記載の塗料。
【請求項37】
さらに金属ドライヤーを含む、請求項26に記載の塗料。
【請求項38】
反応性希釈剤が、反応性希釈剤および油変性ポリマーの全体質量に対して、5wt%〜40wt%の量で存在する、請求項26に記載の塗料。
【請求項39】
反応性希釈剤が、反応性希釈剤および油変性ポリマーの全体質量に対して、10wt%〜30wt%の量で存在する、請求項38に記載の塗料。
【請求項40】
7wt%以下の揮発性有機化合物を含む、請求項26に記載の塗料。
【請求項41】
油変性ポリマー、および
実質的に非刺激性の反応性希釈剤、
を含む塗料。
【請求項42】
油変性ポリマーが油変性ポリウレタンである、請求項41に記載の塗料。
【請求項43】
油変性ポリマーがアルキドである、請求項41に記載の塗料。
【請求項44】
7wt%以下の揮発性有機化合物を含む、請求項41に記載の塗料。
【請求項45】
油変性ポリウレタン、および(メタ)アクリレート官能性化合物を含む反応性希釈剤を含む、請求項41に記載の塗料。
【請求項46】
(メタ)アクリレート官能性化合物が、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項45に記載の塗料。
【請求項47】
アルキド、および(メタ)アクリレート官能性化合物を含む反応性希釈剤を含む、請求項41に記載の塗料。
【請求項48】
(メタ)アクリレート官能性化合物が、ジ−(トリメチオールプロパンテトラアクリレート)、ジ−(トリメチオールプロパンテトラメタクリレート)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項47に記載の塗料。
【請求項49】
さらに金属ドライヤーを含む、請求項41に記載の塗料。
【請求項50】
請求項1に記載の塗料を基板に塗布し、塗料を硬化させることを含む被覆方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法により調製可能な皮膜。
【請求項52】
請求項17に記載の塗料を基板に塗布し、塗料を硬化させることを含む被覆方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法により調製可能な皮膜。
【請求項54】
請求項26に記載の塗料を基板に塗布し、塗料を硬化させることを含む被覆方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法により調製可能な皮膜。
【請求項56】
請求項41に記載の塗料を基板に塗布し、塗料を硬化させることを含む被覆の方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法により調製可能な皮膜。
【請求項58】
処理または使用温度で100,000センチポアズ未満の粘度を有すると共に、さらに反応性希釈剤が少なくとも350グラム/モルの分子量を有する化合物を含み、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド部分を実質的に含まず、KOH30ミリ当量/グラム以下のOH−官能基を有する、水分散性ポリマーと反応性希釈剤を含む混合物を提供すること、および
水中に混合物を分散させること、
を含む、塗料を調製する方法。

【公表番号】特表2007−502905(P2007−502905A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533463(P2006−533463)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/016755
【国際公開番号】WO2004/111143
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(503302609)バルスパー ソーシング,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】