説明

反応性溶剤中のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂およびポリイソシアネートのポリマー組成物

本発明は、反応性溶剤中のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂およびポリイソシアネートのポリマー組成物、その製造方法および、特に放射線硬化性被覆材料および接着剤中でのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性溶剤中のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂およびポリイソシアネートのポリマー組成物、その製造方法および、特に放射線硬化性被覆材料および接着剤中でのその使用に関する。
【0002】
放射線硬化性被覆材料は、近年ますます重要性を増してきている。というのも、特にこのような系の揮発性有機化合物(VOC)の含有率が低いからである。
【0003】
皮膜形成成分は、被覆材料中で比較的低分子であり、従って粘度が低く、そのため有機溶剤の高い割合を断念することができる。耐久性のある被覆は、被覆材料を適用した後に、たとえば紫外線により開始される架橋反応により高分子の、ポリマーの網状構造を形成することによって得られる。網状構造形成の結果として、種々の支持体上での放射線硬化性被覆材料の部分的に劣った付着性の理由として文献中に記載されている体積収縮が生じる[Surface Coatings International Part A、2003/06、第221〜228頁]。
【0004】
ケトン−アルデヒド樹脂は、被覆材料中で、たとえば特定の特性、たとえば部分的な乾燥速度、光沢、硬度または耐引掻性を改善するために、皮膜形成添加樹脂として使用される。その比較的低い分子量に基づいて、通例のケトン−アルデヒド樹脂は低い溶融粘度および溶液粘度を有し、従って被覆材料中で、特に皮膜形成機能充填材として使用される。
【0005】
DE2345624、EP736074、DE2847796、DD240318、DE2438724、JP09143396は、放射線硬化性の系におけるケトン−アルデヒド樹脂およびケトン樹脂、たとえばシクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂の使用を記載している。
【0006】
EP902065は、放射線硬化性樹脂との混合物中での添加成分として、尿素(誘導体)、ケトンまたはアルデヒドからなる樹脂を使用することを記載している。
【0007】
DE2438712は、皮膜形成樹脂、ケトン樹脂およびケトン−ホルムアルデヒド樹脂ならびに重合可能な成分、たとえば多価アルコールの多官能性アクリレートエステルからなる放射線硬化性印刷インクを記載している。
【0008】
US4,070,500は、放射線硬化性インク中での皮膜形成成分としての放射線硬化性ではないケトン−ホルムアルデヒド−樹脂の使用を記載している。
【0009】
前記の開示の生成物には、これらがカルボニル基を有していることが共通している。カルボニル基はたとえば照射により古典的な分解反応、たとえばノリッシュタイプIまたはIIに供される[Laue、Plagens、Namen und Schlagwort−Reaktionen、Teubner Studienbuecher、Stuttgart、1995]。
【0010】
従って、変性されていないケトン−アルデヒド樹脂またはケトン樹脂の使用は、質的に高価な適用のためには、たとえば特に天候および熱に対する高い抵抗性が必要とされる外部領域での適用のためには不可能である。
【0011】
これらの特性は、ケトン−アルデヒド樹脂を水素化することによって、カルボニル基を第二級アルコール基に変換することにより改善される。このことは以前から実用化されている(DE特許870022)。典型的および公知の製品は、Degussa社のプラスチック樹脂SKである。芳香族ケトンをベースとするカルボニル水素化された、ならびに環が水素化されたケトン−アルデヒド樹脂の使用は同様に可能である。このような樹脂は、DE3334631に記載されている。このような生成物のOH価は、200mgKOH/gを上回り、極めて高い。
【0012】
放射線により誘発される架橋性のカルボニル水素化ケトン−アルデヒド樹脂は、ドイツ国特許出願第10338562.2号および同第10338560.6号に記載されている。比較的低い分子量に基づいて、これらの樹脂は、90〜140℃の比較的低い融点範囲を有する。しかし特に顔料着色された塗料あるいはまた立体的な支持体の影部分の場合、高い軟化点範囲が所望される。というのも、比較的低い架橋度で不粘着性が得られるからである。
【0013】
本発明の課題は、放射線硬化性の接着剤および被覆材料中での接着改善剤として適切なポリマー組成物を見いだすことであった。
【0014】
意外なことに前記課題は、放射線硬化性被覆材料中で、放射線反応性溶剤中に溶解している、カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂およびジイソシアネートもしくはポリイソシアネートとの反応生成物からなり、140℃を上回る融点範囲を有するポリマー組成物を使用することにより解決することができた。
【0015】
この場合、ポリマー組成物として、放射線反応性の溶剤の添加によりカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂を、放射線反応性の溶剤中で自体放射線不活性の、つまり架橋性ではなく、貯蔵安定性の樹脂が得られるように化学的に変性する。カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂は、さらに、けん化安定性であり、かつ化学薬品に対して抵抗性であり、かつ高い耐黄変性を有する。該ポリマー組成物は、放射線により誘発される架橋性被覆材料または接着剤中で、種々の下地、たとえば金属、プラスチック、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリカーボネートへの良好な付着性を高い硬度と同時に有する。
【0016】
本発明の対象は、実質的に
A)少なくとも1種の放射線反応性溶剤、
および140℃を上回る融点範囲を有する
B)少なくとも1種のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂と、
C)少なくとも1種の芳香族、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネート
との反応生成物
を含有するポリマー組成物である。
【0017】
本発明の対象はまた、特に放射線硬化性の被覆材料、接着剤、印刷インクおよびインク、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ材料、化粧品および/または封止剤およ絶縁材中の主成分、ベース成分または添加成分としての、特に接着性および硬度を改善するための、実質的に
A)少なくとも1種の放射線反応性溶剤
および140℃を上回る融点範囲を有する
B)少なくとも1種のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂と
C)少なくとも1種の芳香族、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネート
との反応生成物
を含有するポリマー組成物である。
【0018】
成分A)として原則的に、ラジカル架橋反応に供される不飽和基を有する全ての室温で液状の化合物を使用することができる。
【0019】
成分A)として有利に使用可能な溶剤は、アクリル酸および/またはメタクリル酸、メタクリル酸および/またはアクリル酸のC1〜C40−アルキルエステルおよび/またはシクロアルキルエステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、1,2−エポキシブチルアクリレート、1,2−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルアクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメタクリレートならびに類似のアミドであり、その際、スチレンおよび/またはその誘導体もまた存在していてよい。
【0020】
特に有利であるのは、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートである。
【0021】
成分A)としての放射線反応性溶剤のもう1つの有利な群は、形式的にアクリル酸もしくはメタクリル酸およびアルコール成分の反応生成物から水を分離して生じるジ−、トリ−および/またはテトラアクリレートおよびこれらのメタクリレート類似物である。このために通例のアルコール成分としてたとえばエチレングリコール、1,2−、1,3−プロパンジオール、ジエチレン−、ジ−およびトリプロピレン−、トリエチレン−、テトラエチレングリコール、1,2−、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビス−(1,4−ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(シクロヘキサンジメタノール)、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルネングリコール、1,4−ベンジルジメタノール、−エタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、1,4−および2,3−ブチレングリコール、ジ−β−ヒドロキシエチルブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(ジシドール)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス−[4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2−メチルプロパンジオール−1,3、2−メチルペンタンジオール−1,5、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサンジオール−1,6、ヘキサントリオール−1,2,6、ブタントリオール−1,2,4、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、マンニット、ソルビット、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、キシリレングリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルを単独で、または混合物として使用する。
【0022】
しかし特に有利であるのは単独で、または混合物としたジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)および/またはトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレートである。
【0023】
しかし一般に、放射線硬化性塗料のために適切であるとして文献に記載されている全ての反応性希釈剤を使用することができる。
【0024】
カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂(成分B)を製造するためのケトンとして、全てのケトンが適切であり、特に単独で、または混合物としてアセトン、アセトフェノン、4−t−ブチルメチルケトン、メチルエチルケトン、ヘプタノン−2、ペンタノン−3、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロドデカノン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘプタノンおよびシクロオクタノン、シクロヘキサノンおよび合計して1〜8個の炭素原子を有する1もしくは複数のアルキル基を有する全てのアルキル置換されたシクロヘキサノンからなる混合物が適切である。アルキル置換されたシクロヘキサノンの例として、4−t−アミルシクロヘキサノン、2−s−ブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノンおよび3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンが挙げられる。
【0025】
しかし一般に、ケトン樹脂合成のために適切であるとして文献に記載されている全てのケトン、通常は全てのCH酸ケトンを使用することができる。ケトンであるアセトフェノン、4−t−ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンおよびヘプタノンをベースとする、カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂が単独でも混合物でも有利である。
【0026】
カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂(成分B)のアルデヒド成分として、原則として分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のアルデヒド、たとえばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒドおよび/またはイソ−ブチルアルデヒド、バレリアンアルデヒドならびにドデカナールが適切である。一般に、ケトン樹脂合成のために適切であるとして文献に記載されている全てのアルデヒドを使用することができる。しかし有利にはホルムアルデヒドを単独で、または混合物として使用する。
【0027】
必要とされるホルムアルデヒドは通常、約20〜40質量%の水性もしくはアルコール性(たとえばメタノールまたはブタノール)の溶液として使用する。ホルムアルデヒドのその他の使用形態、たとえばパラホルムアルデヒドまたはトリオキサンの使用もまた同様に可能である。芳香族アルデヒド、たとえばベンズアルデヒドが、ホルムアルデヒドとの混合物中に含有されていてもよい。
【0028】
特に有利には成分B)のための出発化合物として、アセトフェノン、4−t−ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンならびにヘプタノンからのカルボニル水素化樹脂を単独で、または混合物として、およびホルムアルデヒドを使用する。
【0029】
ケトンおよびアルデヒドからなる樹脂は、触媒の存在下に水素を用いて300バールまでの圧力で水素化する。その際、ケトン−アルデヒド樹脂のカルボニル基を第二級ヒドロキシル基へと変換する。反応条件に応じて、ヒドロキシル基の一部を分離することができ、従ってメチレン基が生じる。具体的な説明のために以下の図式を利用する:
【0030】
【化1】

【0031】
成分C)として芳香族、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートが適切である。
【0032】
ジイソシアネートのための例は、単独で、または混合物としたシクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)メタン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)または1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン(MPDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、たとえば1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサンまたは1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン(TMDI)、ノナントリイソシアネート、たとえば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジイソシアネートおよびデカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネートおよびウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネートおよびドデカントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアナトメチルシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソシアナトメチルメチルシクロヘキシルイソシアネート、2,5(2,6)−ビス(イソシアナト−メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−H6−XDI)または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4−H6−XDI)である。
【0033】
成分C)としてのポリイソシアネートのもう1つの有利な群は、単量体(einfach)のジイソシアネートを二量化、三量化、アロファネート化、ビウレット化および/またはウレタン化することにより製造される、分子あたり2より多くのイソシアネート基を有する化合物、たとえばこれらの単量体のジイソシアネート、たとえばIPDI、TMDI、HDIおよび/またはH12MDIと、多価アルコール(たとえばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット)もしくは多価ポリアミンとの反応生成物、または単量体のジイソシアネート、たとえばIPDI、HDIおよびH12MDIの三量化により得られるトリイソシアヌレートである。
【0034】
場合によりB+Cからなる樹脂を製造するために適切な触媒を使用することができる。文献で公知の、OH−NCO反応を促進する全ての化合物、たとえばジアザビシクロオクタン(DABCO)またはジブチルスズジラウレート(DBTL)が適切である。
【0035】
カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂B)の一部を別のヒドロキシ官能性ポリマーD)、たとえばヒドロキシ官能性ポリエーテル、水素化されていないおよび/または環が水素化されたフェノール−アルデヒド樹脂、ポリエステルおよび/またはポリアクリレートと代えることも可能である。その際、成分B)を含有するこれらのポリマーD)の混合物を直接、成分C)とポリマー類似に反応させることができる。「純粋な」カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂B)に対して、このことによりたとえば可とう性、硬度のような特性をさらに良好に調整することができる。別のヒドロキシ官能性ポリマーは通常、200〜10000g/モル、有利には300〜5000g/モルの分子量Mを有する。
【0036】
B)およびC)の反応生成物の融点範囲は、140℃を上回り、有利には145℃を上回り、特に有利には150℃を上回る。
【0037】
B)およびC)の量は、Mを基準としてカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂(成分B)1モル、および成分C)を0.2〜15モル、有利には0.25〜10モル、特に0.3〜4モル使用する。
【0038】
A)およびB)とC)と場合によりD)との反応生成物の量は、このB)、C)および場合によりD)からなる反応生成物の量割合が、99〜1%、有利には90〜20%および特に有利には80〜25%であるように選択する。
【0039】
本発明の対象は、実質的に
A)少なくとも1種の放射線反応性溶剤
および140℃を上回る融点範囲を有する
B)少なくとも1種のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂と
C)少なくとも1種の芳香族、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネートおよび場合により
D)少なくとも1種の別のヒドロキシ官能性ポリマー
との反応生成物
を含有するポリマー組成物を、20〜150℃の温度で、B)とC)とをA)中で反応させることにより製造する、ポリマー組成物の製造方法でもある。
【0040】
有利な製造法Iでは、反応性希釈剤A)中のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂B)の溶液に、成分C)を、場合により適切な触媒の存在下に添加する。
【0041】
成分C)の反応性に応じて反応の温度を選択する。30〜150℃、有利には50〜140℃の温度が有利であることが判明している。しかしまたそれほど有利ではないが、反応は室温でも行われる。
【0042】
を基準としてカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂1モルを、イソシアネート成分C)0.2〜15モル、有利には0.25〜10モル、特に0.3〜4モルと反応させることが有利であることが判明した。
【0043】
有利な製造法IIでは、反応性希釈剤A)およびヒドロキシ官能性ポリマー(成分D))、たとえばポリエーテル、水素化されていない、および/または環が水素化されたフェノール−アルデヒド樹脂、ポリエステルおよび/またはポリアクリレート中のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂B)の溶液に、成分C)を場合により適切な触媒の存在下に添加する。
【0044】
成分C)の反応性に応じて、反応の温度を選択する。30〜150℃、有利には50〜140℃の温度が有利であることが判明した。しかしそれほど有利ではないが反応を室温で行うこともできる。
【0045】
を基準として成分A)および/または付加的なポリマー1モルを、成分C)0.2〜15モル、有利には0.25〜10モル、特に0.3〜4モルと反応させることが有利であることが判明した。
【0046】
以下の実施例は実施された本発明をさらに詳細に説明するものであるが、その適用範囲を限定すべきではない:
例1:
プラスチック樹脂SK(Degussa社;アセトフェノンおよびホルムアルデヒドからなる水素化された樹脂、OH価=240mgKOH/g(無水酢酸法)、Mn〜1000g/モル(標準液としてのポリスチレンに対してGPC)、融点範囲114〜120℃)400gを、0.2%(樹脂に対する)の2,6−ビス(t−ブチル)−4−メチルフェノール(Ralox BHT、Degussa社)および0.1%のジブチルスズジラウレート(樹脂に対する、TPGDA中65%)の存在下に、TPGDAにより40%の希釈液として、攪拌機、還流冷却器および温度センサを備えた3口フラスコ中で、窒素雰囲気下に、0.1より小さいNCO数が達成されるまで、80℃でVestanat IPDI(Degussa社)90gと反応させることにより合成を行う。動粘度8.85Pa・sを有する明るい、清澄な溶液が得られる。ガードナーによる溶液の色数は0.3である。60℃で14日間貯蔵した後に、ガードナーによる色数は0.6であり、このことは、このような樹脂に関して高い黄変抵抗性に相応する。
【0047】
融点範囲を確認するための例2:
プラスチック樹脂SK(Degussa社;アセトフェノンおよびホルムアルデヒドからなる水素化された樹脂、OH価=240mgKOH/g(無水酢酸法)、Mn〜1000g/モル(標準液としてのポリスチレンに対してGPC)、融点範囲114〜120℃)400gを、0.2%(樹脂に対する)の2,6−ビス(t−ブチル)−4−メチルフェノール(Ralox BHT、Degussa社)および0.1%のジブチルスズジラウレート(樹脂に対する、アセトン中65%)の存在下に、アセトンにより40%の希釈液として、攪拌機、還流冷却器および温度センサを備えた3口フラスコ中で、窒素雰囲気下に、0.1より小さいNCO数が達成されるまで、Vestanat IPDI(Degussa社)90gと還流下で反応させることにより合成を行う。アセトンを分離した後に、無色の粉末が得られ、これは171〜176℃の融点範囲を有している。
【0048】
適用例
ベース樹脂(UV20)として、TPGDA中70%に溶解したトリメチロールプロパン、IPDI、Terathane 650ならびにヒドロキシエチルアクリレートからなる付加物、粘度23℃=20.9Pasを使用した。比較のためにプラスチック樹脂SKを試験した。
【0049】
【表1】

【0050】
樹脂溶液A、BおよびCにDarocur 1173(Ciba Specialty Chemicals、固体樹脂に対して1.5%)を添加し、ドクターナイフでガラス板上に塗布した。次いで塗膜をUV線(水銀中圧ランプ、70W/光学フィルター350nm)により約16秒硬化させた。当初可溶性であった塗膜は、もはやメチルエチルケトン中で溶解しない。
【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

略号
ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー、
ET:エリクセン深さ、
HK:ケーニッヒによる振り子型衝撃強さ、
MEK試験:ブタノンに対する安定性、
PC:ポリカーボネート、
PE:ポリエチレン、
プジョー試験:ハイオクタンガソリンに対する安定性、
PP:ポリプロピレン、
PS:ポリスチレン、
SD:層厚さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に
A)少なくとも1種の放射線反応性溶剤
および140℃を上回る融点範囲を有する
B)少なくとも1種のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂と
C)少なくとも1種の芳香族、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネート
との反応生成物
を含有するポリマー組成物。
【請求項2】
実質的に
A)少なくとも1種の放射線反応性溶剤
および
B)少なくとも1種のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂と
C)少なくとも1種の芳香族、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネートと
D)少なくとも1種の別のヒドロキシ官能性ポリマー
との反応生成物
を含有するポリマー組成物。
【請求項3】
成分A)として、不飽和基を有する化合物を使用することを特徴とする、請求項1または2記載のポリマー組成物。
【請求項4】
成分A)として、アクリル酸および/またはメタクリル酸、メタクリル酸および/またはアクリル酸のC1〜C40−アルキルエステルおよび/またはシクロアルキルエステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、1,2−エポキシブチルアクリレート、1,2−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルアクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメタクリレートならびに類似のアミドおよび/またはスチレンおよび/またはこれらの誘導体を単独で、または混合物として含有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項5】
成分A)として、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルエタクリレート、イソデシルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを単独で、または混合物として含有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項6】
成分A)として、ジアクリレート、トリアクリレートおよび/またはテトラアクリレートおよびこれらのメタクリレートの類似物を、単独で、または混合物として含有していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項7】
成分A)として、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビス−(1,4−ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(シクロヘキサンジメタノール)、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール、1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、1,4−ブチレングリコールおよび2,3−ブチレングリコール、ジ−β−ヒドロキシエチルブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、3(4)、8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(ジシドール)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス−[4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2−メチルプロパンジオール−1,3、2−メチルペンタンジオール−1,5、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサンジオール−1,6、ヘキサントリオール−1,2,6、ブタントリオール−1,2,4、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、マンニット、ソルビット、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングルコール、キシリレングリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジアクリレート、トリアクリレートおよび/またはテトラアクリレートおよびこれらのメタクリレートの類似物を、単独で、または混合物として含有していることを特徴とする、請求項6記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ジプロピレングリコールジアクリレートおよび/またはトリプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートを、単独で、または混合物として含有していることを特徴とする、請求項6または7記載のポリマー組成物。
【請求項9】
C−H酸のケトンを成分B)中で使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項10】
成分B)のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂中で、出発化合物として、アセトン、アセトフェノン、4−t−ブチルメチルケトン、メチルエチルケトン、ヘプタノン−2,ペンタノン−3、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロドデカノン、2,2,4−トリメチルシクロペンタノンおよび2,4,4−トリメチルシクロペンタノンからなる混合物、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロヘキサノンから選択されるケトンを単独で、または混合物にして使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のポリマー組成物
【請求項11】
成分B)のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂中で、出発化合物として合計して1〜8個の炭素原子を有する1もしくは複数のアルキル基を有するアルキル置換されたシクロヘキサノンを単独で、または混合物として使用することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項12】
4−t−アミルシクロヘキサノン、2−s−ブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノンおよび/または3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンを使用することを特徴とする、請求項11記載のポリマー組成物。
【請求項13】
シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンおよびヘプタノンを、単独で、または混合物として、成分B)中で使用することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項14】
成分B)中のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂のアルデヒド成分として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒドおよび/またはイソ−ブチルアルデヒド、バレリアンアルデヒド、ドデカナールを単独で、または混合物として使用することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項15】
ホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドおよび/またはトリオキサンを使用することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項16】
アセトフェノン、4−t−ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、ヘプタノンからの樹脂のカルボニル水素化生成物を単独で、または混合物として、およびホルムアルデヒドを、成分B)として使用することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項17】
成分C)として、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)メタン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)または1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン(MPDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、例えば1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサンまたは1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン(TMDI)、ノナントリイソシアネート、たとえば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジイソシアネートおよびデカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネートおよびウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネートおよびドデカントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアナトメチルシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソシアナトメチルメチルシクロヘキシル−イソシアネート、2,5(2,6)−ビス(イソシアナト−メチル)ビシクロ−[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−H6−XDI)または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4−H6−XDI)から選択されるジイソシアネートを単独で、または混合物として使用することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項18】
成分C)として、単量体のジイソシアネートの二量化、三量化、アロファネート化、ビウレット化および/またはウレタン化により製造されるポリイソシアネートを使用することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項19】
成分C)として、IPDI、TMDI、H12MDIおよび/またはHDIをベースとするイソシアネートを使用することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項20】
nを基準として、カルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂1モルおよび成分C)を0.2〜15モル、有利には0.25〜10モル、特に0.3〜4モル使用することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項21】
成分B)、C)および場合によりD)からなる反応生成物の質量割合が、99〜1%、有利には90〜20%、および特に有利には80〜25%であることを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項22】
B)およびC)の反応生成物の融点範囲が、140℃を上回り、有利には145℃を上回り、特に有利には150℃を上回ることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項23】
ヒドロキシ官能性ポリマーD)として、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレートおよび/または水素化されていない、および/または環が水素化されたフェノール−アルデヒド樹脂を使用することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項24】
ポリマーD)およびケトン−アルデヒド樹脂B)からなる混合物と、成分C)とをポリマー類似に反応させる、請求項1から23までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項25】
実質的に
A)少なくとも1種の放射線反応性溶剤
および140℃を上回る融点範囲を有する
B)少なくとも1種のカルボニル水素化されたケトン−アルデヒド樹脂と
C)少なくとも1種の芳香族、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネートと、場合により
D)少なくとも1種の別のヒドロキシ官能性ポリマー
との反応生成物
を含有するポリマー組成物を、20〜150℃の温度で、B)とC)とをA)中で反応させることにより製造する、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項26】
触媒を使用することを特徴とする、請求項25記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項27】
A)中のケトン−アルデヒド樹脂B)の溶液に、成分C)を場合により適切な触媒の存在下に添加することを特徴とする、請求項25または26記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項28】
A)およびヒドロキシ官能性のポリマーD)中のケトン−アルデヒド樹脂B)の溶液に、成分C)を、場合により適切な触媒の存在下に添加することを特徴とする、請求項25から27までのいずれか1項記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項29】
30〜150℃、有利には50〜140℃の温度で反応させることを特徴とする、請求項25から28までのいずれか1項記載の高融点の樹脂のポリマー組成物の製造方法。
【請求項30】
被覆材料、接着剤、印刷インクおよびインク、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ材料、化粧品および/または封止剤および絶縁材中の主成分、ベース成分または添加成分としての請求項1から24までのいずれか1項記載のポリマー組成物の使用。
【請求項31】
放射線硬化性の被覆材料、接着剤、印刷インクおよびインク、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ材料、化粧品および/または封止剤および絶縁材中の主成分、ベース成分または添加成分としての請求項1から24までのいずれか1項記載のポリマー組成物の使用。
【請求項32】
接着性および硬度を改善するための、放射線硬化性の被覆材料、接着剤、印刷インクおよびインク、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ材料、化粧品および/または封止剤および絶縁材中の主成分、ベース成分または添加成分としての請求項1から24までのいずれか1項記載のポリマー組成物の使用。

【公表番号】特表2007−534819(P2007−534819A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510006(P2007−510006)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050976
【国際公開番号】WO2005/105882
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】