説明

反応性無機クラスター

たとえば反応性アミノ基を有する貯蔵安定性反応性無機クラスター(たとえばシリカ構造物)、およびその貯蔵安定性反応性無機クラスターを調製する方法。貯蔵安定性反応性無機クラスターは、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂組成物用の硬化剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ基のような反応性官能基を有する反応性無機クラスター、およびその反応性クラスターを調製する方法に関する。そのクラスターは熱硬化性樹脂用の硬化剤として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
先行技術の方法によって製造されたケイ素含有物質は、種々の組成物における充填剤として有用であることが知られている。たとえば、用途によっては、樹脂の熱機械的性質を改善するために、シリカ構造物を樹脂と化学的に反応させて有機・無機ハイブリッド材料を提供することによって、熱硬化性樹脂のような樹脂マトリックスの中にシリカ構造物を混ぜ合わせることが望まれる。たとえば、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂は、電気および電子材料の分野で典型的に使用され、そして、これらの用途のためには、改善された耐熱性(たとえば120℃を超えるガラス転移温度、300℃を超える5%減量で測定した分解温度)および低い線膨張係数(CTE)(たとえば25℃で60ppm/K未満)を有する材料が必要とされる。エポキシマトリックスの中にシリカ構造物を混ぜ合わせることが改善された熱機械的性質につながり得ることが知られている。
【0003】
また、種々の方法によってケイ素含有材料を製造することもよく知られている。それから、前述のとおり、これらのあらかじめ形成されたシリカ構造物は、たとえば、種々の組成物において充填剤または添加物として使用することができる。典型的なあらかじめ形成された非反応性シリカ充填剤を製造する方法に加えて、一般に「ゾルゲルその場プロセス(sol-gel in-situ process)」と呼ばれる既知の方法があり、その方法は反応性シリカ系を製造するために使用することができる。
【0004】
エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂のための有機/無機ハイブリッド材料を調製するためにゾルゲル法を使用するいくつかのルートがある。たとえば、一般に、既知のゾルゲル法に関係する第1のルートは、水との反応の間に縮合する加水分解性アルコキシシラン基を含むケイ素変性エポキシ樹脂を調製することを伴う。その後、生じた系は、高い温度で従来の硬化剤で硬化される。
【0005】
第二のルートは、アルコキシシランの部分縮合物をまず調製し、次に、その部分縮合物がエポキシ樹脂と混合されることからなる。生じた系は、その後、高い温度で硬化剤で硬化される。
【0006】
第三のルートは、エポキシ組成物の中に単量体のアルコキシシランを物理的に混合することからなる有機/無機ハイブリッド材料を調製することを伴う。
【0007】
先行技術で報告されたゾルゲル法に関連した課題は、最終製品から最終的には除去されなければならない有機溶媒の使用に関する。ゾルゲル法に関連したもう1つの共通の課題は、ゾルゲル法の間に生成した比較的多量(たとえば10質量%超)の揮発性副生成物(たとえばアルコールおよび水)である。ゾルゲル法に関連したこれらの2つの制限のために、薄い材料のみ(膜および保護皮膜)が今まで開発されてきたが、バルク材料は先行技術に記載されていない。既知のゾルゲル法の制限は、産業界においてバルク材料を調製することを非常に困難にする。
【0008】
古典的なあらかじめ形成されたシリカ充填剤と比較して、ゾルゲルその場法で形成されたシリカは、より良好な加工を可能にする低い粘度(たとえば25℃で100Pa・s未満)を有する反応性の系の製造を可能にする。しかし、前述のとおり、ゾルゲル法に関連した繰り返し発生する課題としては、その方法で使用されたすべての有機溶媒を最終製品から除去しなければならないという追加の負担、およびゾルゲル法の間に生成した比較的多量の揮発性副生成物が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、調製のいかなる段階においても溶媒を添加しないような、先行技術の方法の問題なしに、より容易により経済的に調製することができる、無機構造物(特にケイ素含有構造物)の調製を可能にする方法を提供することは望ましい。さらに、有機・無機ハイブリッド材料に改善された性質を提供するために、エポキシ樹脂マトリックスのような熱硬化性樹脂の中に反応するのに有用であり得るシリカ構造物を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様は、反応性官能基を有する貯蔵安定性無機構造物、特にシリカ構造物(ここでは「クラスター」ともいう。)に向けられる。たとえば、1つの実施態様において、反応性官能基はアミノ基であってもよい。
【0011】
本発明のもう1つの態様は、アルコキシシラン前駆体のゾルゲル(加水分解および縮合)反応を含む、アミノ基のような反応性官能基を有する貯蔵安定性無機クラスターを調製する方法に向けられる。
【0012】
1つの実施態様において、反応性無機クラスターはシリカ含有構造物を有することができ、上記の方法によって調製された反応性無機クラスターは、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂用の硬化剤として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の1つの広い態様は、熱硬化性樹脂用の硬化剤として有用な反応性アミノ基のような反応性官能基を有する貯蔵安定性無機クラスターを含む。
【0014】
本発明のもう1つの広い態様は、反応性アミノ基のような反応性官能基を有する貯蔵安定性反応性無機クラスターを調製する方法を含む。
【0015】
ゾルゲル法によって貯蔵安定性反応性無機クラスター(ここでは交換可能に「予備加水分解・縮合前駆体」ともいう。)の合成に関係する方法に関する本発明のいくつかの重要な利点としては、たとえば、次のものが挙げられる。(1)その方法は、溶媒を使用しない反応性無機クラスターの調製を可能にする。(2)その方法は、そのプロセスの中に気体状の水の連続的な添加を可能にする。(3)その方法は、前駆体のアミノ基によって自己触媒性加水分解・縮合反応を提供する。そして(4)その方法は、粘度測定によってそのプロセス中にアルコキシ基転化率の制御を可能にする。
【0016】
結果として得られた反応性無機クラスターの構造物を生産することに関係する方法に関する本発明のいくつかの重要な利点としては、たとえば、次のものが挙げられる。(1)その方法は貯蔵安定性反応性無機クラスターを提供する。(2)その方法は、たとえば(i)異なるアミノ前駆体の比率によって、または(ii)アミノ前駆体と他の官能基を有するもしくは他の官能基を有しない前駆体との比率によって、反応性無機クラスターの官能価の制御を可能にする。(3)その方法は、29Si−NMR分析に基づいて、縮合したSi種/縮合していないSi種(DおよびT)の比率によって反応性無機クラスターの構造/分枝度の制御を可能にする。そして(4)その方法は反応性無機クラスター上の反応性アミノ基の濃度を最適の濃度に調節することを可能にする。
【0017】
本発明の1つの特に有利な実施態様は、反応性の系にいかなる溶媒も添加せずに行なう官能性アミノ基を含む高度に縮合した反応性無機クラスターの調製である。調製された反応性無機クラスターは、その反応性を失わずに、また劣化せずに、貯蔵することができ、そして、その後、反応性無機クラスターは、たとえばエポキシ生成物のような熱硬化性生成物の製造の間に反応混合物に次に容易に加えることができる。粒子状の特性の代わりに、反応性無機クラスターは、「ナノ」レベルで無機相の良好な分布を可能にする枝分れ鎖構造物特性を示し、したがって、反応性無機クラスターは、結果として生じた最終的な熱硬化性生成物の熱機械的な挙動を増強することができる。溶媒の欠如、水のような液体の無添加、および揮発物(たとえばアルコールおよび/または水)の非常に低い放出のために、本発明の反応性無機クラスターは、膜およびコーティングに加えて、厚い/バルク製品を調製するのに有用な組成物に有用性を見いだす。
【0018】
定義
「ゾルゲル」反応法とは、加水分解および縮合反応を含む方法を意味する。
【0019】
生成物に関して「貯蔵安定性」とは、あらかじめ定められた時間、通常、少なくとも約1日より長い時間、そして好ましくは少なくとも約3か月より長い時間、貯蔵中にゲル化しない生成物を意味する。
【0020】
化合物に関して「自己触媒性」とは、それ自身の化学構造によって触媒作用が及ぼされる化合物(すなわち、別個の外部触媒がその化合物に添加される必要がない。)を意味する。
【0021】
クラスターに関して「構造/分枝度」とは、クラスターの最終構造がどの程度枝分れしているかを意味する(アルコキシシラン転化率基準。縮合したSi種のより高い比率はクラスターのより高い分枝度に等しい。)。
【0022】
組成物に関して「溶媒を含まない」とは、約1質量%(wt%)未満、好ましくは5000ppm未満、より好ましくは1000ppm未満のような、コンタミ量または痕跡量以外の、溶媒を含まない組成物を意味する。
【0023】
組成物に関して「本質的に溶媒を含まない」とは、溶媒が組成物に故意に加えられていない組成物を意味し、その組成物は約10質量%未満、好ましくは約5質量%未満、より好ましくは約2質量%未満、最も好ましくは約1質量%未満のような量で溶媒を含む。
【0024】
「アルコキシシラン」とは、ケイ素が酸素橋によってアルキル基に結合している化合物、すなわちR3SiORを意味する。アルコキシシラン化合物はたとえば以下のように反応することができる。
R3SiOR + =SiOH → =Si−O−SiR3 + ROH
アルコキシシランの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
一般に、無機反応性クラスターを調製する本発明の方法は、1種以上の無機物質のゾルゲル反応を伴う、すなわち、本発明の無機反応性クラスターを調製する方法は、ゾルゲル反応法によって予備加水分解・縮合された物質(無機反応性クラスター)の合成を伴う。ゾルゲル反応法は、(a)シリカのアルコキシ誘導体のような少なくとも1種以上の無機物質と(b)水を反応させることを含む。ゾルゲル法においては水が使用されるので、本発明の方法は、好都合に、無機反応性クラスターの無溶媒調製を伴う。したがって、予備加水分解・縮合された物質(無機反応性クラスター)は、好ましくは連続的な方式で、(a)たとえばアルコキシシランのようなアルコキシ誘導体を、(b)水、好ましくは気体状の水と混合し、予備加水分解・縮合された物質(無機反応性クラスター)を形成することによって調製される。
【0026】
本発明の方法は、水添加の速度のより良好な制御を提供し、アルコキシシランのようなアルコキシ誘導体との混和性の問題を回避する。
【0027】
本発明の方法は、また、異なる構造、異なる分枝および異なる反応性を有する種々のタイプの無機反応性クラスターを調製するための容易な手段を提供する。
【0028】
本発明の方法は、アルコキシ誘導体(たとえばアミノ基)の官能基によって自己触媒性加水分解・縮合反応を提供し、それは追加の触媒を添加する必要性を省く。したがって、その方法は容易であり、容易に入手可能な反応原料を使用する。
【0029】
さらに、(i)粘度測定を行なうのが容易であり、(ii)Si−NMRによる基転化率の測定(非常に高価な機器を使用する非常に長い手順)と比較して、粘度測定はより低い費用を有し、かつ(iii)粘度とアルコキシシラン転化率との間の相関は容易に確立することができるので、本発明の方法は、粘度測定によってアルコキシ基転化率のより良好な制御を提供する。
【0030】
本発明の方法に有用な成分(a)の無機物質は、無機物質のアルコキシ誘導体を含む。該無機物質としては、たとえば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)化合物またはそれらの混合物を挙げることができる。好ましい実施態様においては、アルコキシ誘導体は、1分子当たり少なくとも1個、好ましくは2個または3個またはそれ以上の加水分解性アルコキシ基を有し、そしてアルコキシ誘導体はその炭化水素鎖の上に第一級アミノ基のような少なくとも1つの官能基を有する。
【0031】
無機アルコキシ誘導体は、アミノ、エポキシ、ビニルイソシアナト、ヒドロキシル、フェノール、カルボキシル基などのような反応性官能基を含んでいてもよい。たとえば、本発明において好ましく使用される無機アルコキシ誘導体としては、アミノ基を有するアルコキシシランが挙げることができる。
【0032】
本発明に有用なアミノ基を有するアルコキシシランは、限定するものではないが、たとえば、アミノアルコキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)エチルジエトキシシラン、およびそれらの組合わせから選択される1種以上の無機アミノアルコキシシランであることができる。
【0033】
好ましくは、本発明において使用されるアミノアルコキシシランは、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、またはそれらの混合物であることができる。
【0034】
もう1つの実施態様において、アミノアルコキシシランの代わりに、グリシドアルコキシシランを使用することができ、グリシドアルコキシシランの使用に起因するハイブリッド網状組織の形態は異なるかもしれないが、熱機械的性質もまた改善され得る。
【0035】
成分(a)の無機誘導体は商業的に手に入れることができ、たとえば、APSおよびAPMSは、ABCR、グレスト(Gelest)またはダウコーニング(Dow Corning)から商業的に入手可能である。代替の実施態様において、無機誘導体は当技術分野において既知のよく知られた物質を使用して、よく知られている方法によって調製することができる。たとえば、無機誘導体は、シリカ物質をアルコキシ化合物と反応させることによって調製することができる。
【0036】
アルコキシシランの分子中にあるアミノ基は、アルコキシ基の加水分解および縮合反応のための触媒として、好都合に使用される。その組成物においては、他の触媒のさらなる添加は必要とされない。たとえば、ゾルゲル反応は、触媒のさらなる添加なしに、アミノ基を有するアルコキシシランのみを含む連続式または回分式反応器の中で行なうことができる。
【0037】
1つの実施態様において、少なくとも2種以上のアルコキシシランが本発明の方法において使用されてもよい。たとえば、APSおよびAPMSの組合わせがその方法において使用されてもよい。分枝の無機クラスターを得るために、無機クラスター形成中にAPSが大多数のSi−O結合に寄与することが好ましい。一般に、APS/APMSのモル比は、約0.1〜約100であり、好ましくは約0.2〜約20である。APS/APMSのより好ましいモル比は、約0.7〜約7、最も好ましくは約1.3〜約4の範囲内にあることができる。
【0038】
上記の比はクラスター生成物の構造に関係する。1つの実施態様において、APSを増加させることは不溶性のクラスターにつながる場合がある、すなわち、クラスターはエポキシ樹脂と混合することができなくなる場合がある。そして、APSを減少させると(すなわちAPMSを増加させると)、クラスターはより線状の構造になる場合があり、材料特性性能を改善するのに有効ではなくなるであろう。
【0039】
所望により、アミノアルコキシシランは、アミノ非含有アルコキシシラン物質すなわちアミノ基を有しない他のアルコキシシランと混合されてもよい。無機クラスター中のアミノ基の濃度を最適化するために、および/またはクラスターに追加の性質を与えるために、アミノ非含有アルコキシシランを本発明の組成物に加えてもよい。使用する場合、アミノ非含有アルコキシシランの濃度は、特定の前駆体に依存するかもしれないし、その前駆体が最終的な無機反応性クラスター構造に著しい影響を及ぼすか否かに依存するかもしれない。一般に、アミノ非含有アルコキシシランの濃度は、全組成物の質量を基準として、通常、約0質量%〜約99質量%であり、好ましくは約0質量%〜約90質量%であり、より好ましくは約0質量%〜約75質量%であり、さらに好ましくは約0質量%〜約50質量%であり、最も好ましくは約0質量%〜約20質量%である。
【0040】
本発明の無機前駆体を作る方法に有用な成分(b)の水は、周知の源からのいかなる水であってもよい。好ましくは、水は「気体の水」すなわち水蒸気が飽和した不活性気体として反応プロセスの中に導入される。1つの好ましい実施態様において、アルコキシ基の加水分解および縮合反応のために必要な水は、たとえば窒素、アルゴン、その他の周知の不活性気体のような不活性気体の飽和によって気体状態で反応器の中に導入することができる。
【0041】
本発明の貯蔵安定性反応性無機クラスター組成物は、所望により、当業者に既知のそしてそれらの意図された使用に有用な1種以上の他の添加物を含んでもよい。本発明の組成物用の添加物は当業者によって最適化されることができる。
【0042】
本発明の反応性無機クラスターを調製するためのゾルゲル法は、水によるアルコキシ基の加水分解および縮合反応を伴う。水は、不活性気体(たとえば窒素またはアルゴン)の飽和によって気体状態で反応器の中に導入することができる。全ゾルゲル法は不活性雰囲気下で行なわれ、系に導入される水の総量は容易に制御される。気体状態における水の連続的な添加の追加の利点は、反応成分をすべて均質化するために通常必要とされる溶媒が必要とされないことである。
【0043】
ゾルゲル法は、好都合に、外界温度(約25℃)で、または外界温度より高い高温で行なうことができる。たとえば、ゾルゲル法は、約20℃〜約115℃の温度で行なうことができる。その方法は、好ましくは、たとえば約60℃〜約100℃の温度で、より好ましくは約80℃〜約95℃の温度で行なわれる。高い温度は、反応中に形成される望ましくない副生成物であるアルコールの除去を可能にする。たとえば、アルコールは蒸発し、不活性気体流れ中の反応混合物から除去されることができる。その後、アルコールは別個の容器において凝縮され集められることができる。生成したアルコールの反応混合物からの除去は、加水分解縮合反応を促進し、全反応時間の減少を可能にする。
【0044】
前述したゾルゲル反応法の後、反応性無機クラスターは、まだ少量のアルコール(たとえば約2モル%〜約3モル%)を含んでいる場合がある。残存アルコールは、減圧蒸留のような周知の手法によって除去することができる。副生成物(アルコール)の減圧蒸留が行なわれる場合は、減圧蒸留は、通常約50℃〜約110℃、好ましくは約60℃〜約90℃の温度で行なうことができる。約50℃より低い温度では、反応が長くなりすぎ、あまり効果的ではない。約110℃より高い温度では、反応を続けることがそれ以上の経済的便益を提供しない。さらに、約110℃より高いと、クラスター中の化学反応が継続し、使用不可能なゲルにつながるかもしれない危険がある。
【0045】
反応性無機クラスターを調製するための反応混合物は従来の方法によって攪拌することができる。系の低い粘度のために、溶媒の添加は必要ではない。系の粘度は、たとえば、25℃で、約100Pa・s未満、好ましくは約50Pa・s未満、より好ましくは約20Pa・s未満、さらに好ましくは約10Pa・s未満、最も好ましくは約3Pa・s未満であることができる。粘度の測定は、加水分解・縮合反応の進行、および調製された無機反応性クラスターの最終的な縮合度の容易な制御を可能にする。
【0046】
プロセス条件の下では、たとえば、系のpHは、一般に、前駆体からのアミノ基、および2個と3個の加水分解性アルコキシ基を有する前駆体の定められた比のために塩基性であり、広い粒度分布を有する分枝した無機反応性クラスターが形成される。種々の大きさを有するクラスターが系の中に存在するが、好ましくはクラスターの大多数は小さなサイズを有する。たとえば、クラスターのサイズは、約100μm(ミクロン)未満、好ましくは約20μm未満、より好ましくは約5μm未満、さらに好ましくは約2μm未満、そして最も好ましくは約1μm未満である。より小さいより低縮合の無機化学種は、混合物のための「希釈剤」としての役割をする。
【0047】
一般に、ゾルゲル法は、系の粘度が25℃で少なくとも約10mPa・sの値に達したときであってかつマクロゲル化の前に止められる。「マクロゲル化」とは、ここで用いるときは、反応器のすべての体積中の巨視的な(溶けない)ゲルの形成である。マクロゲル化すると、クラスターはエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂と混合することができなくなるので、クラスターは使用不可能になるであろう。好ましくは、粘度の値が25℃で約50mPa・s〜約600mPa・sの範囲にあるときに、ゾルゲル法は止められる。
【0048】
本発明の方法を用いて、全アルコキシ基転化率が約40%〜約95%、より好ましくは約50%〜約90%、最も好ましくは約60%〜約80%の反応性無機クラスターが得られる。
【0049】
ゾルゲル法の停止が早すぎる場合(それは簡単に系のより低い粘度の値(25℃での粘度<10mPa・s)によって示される。)、生成物はまだ大量の加水分解されていないアルコキシシラン結合を含んでいる場合がある。したがって、加水分解・縮合反応は、たとえば、エポキシ系のような熱硬化性樹脂の中にクラスターを混合する工程、および熱硬化性樹脂の硬化工程のような、後に続く処理工程中も継続する場合があり、それは多量のアルコール(望ましくない副生成物)の形成につながる。放出されるアルコールの正確な量は、種々の要因、たとえばクラスターの組成に依存するであろう。たとえば、APMSおよびAPSを含む反応混合物においては、放出されるエタノールの最大量は約50質量%に近くなる場合もある。
【0050】
エポキシ樹脂材料のような熱硬化性樹脂の硬化中に放出されたアルコールは、気泡の望ましくない形成と最終的な硬化した物質中のひび割れにつながる場合がある。さらに、この場合には、生成する無機クラスターは高度には縮合しておらず、すなわち、縮合反応の程度は低く、無機クラスターのさらなる成長は、全系のゲル化とガラス化(すなわちエポキシ網状組織のような熱硬化性樹脂網状組織の形成中に系統的に現われる相転移)につながる、有機熱硬化性樹脂網状組織(たとえば架橋されたエポキシマトリックス)の形成によって制限される。さらに、上記の不利益条件の下では、最終的な熱硬化した生成物の熱機械的性質は通常最適ではない。したがって、熱硬化性樹脂の硬化中のアルコールの放出を最小限にすることは有利である。
【0051】
ゾルゲル法の停止が遅すぎる場合、その方法は、マクロゲル(不溶性の構造物)の形成につながる場合がある。系の粘度の値が25℃で約600mPa・sより高いとき、特に粘度が25℃で約2000mPa・sより高いとき、最も特別には粘度が25℃で約3000mPa・sより高いとき、系は非常に少ない未反応アルコキシ基のみを含む。この場合には、無機クラスターはよく形成され、副生成物アルコールによる気泡形成の問題は硬化中に観察されない。しかしながら、無機クラスターがエポキシ配合物のような熱硬化性樹脂配合物の中に混合される場合は、アルコキシ基の高い転化率(たとえば無機反応性クラスター組成物に依存するが通常約90%)は、マクロゲルの速い形成および熱硬化性樹脂マトリックス中の無機不溶性ドメインの速い生成を伴う、残存するアルコキシ基の速すぎる加水分解および縮合につながる場合がある。言いかえれば、無機クラスターが熱硬化性樹脂の中に混合された後、ゾルゲル法(加水分解および縮合)は継続する場合がある。高い転化率の無機クラスターの混合は、短時間(数分)で、熱硬化性マトリックス中のマクロゲルの形成につながる。したがって、無機クラスターと熱硬化性マトリックスとの間の満足な結合が熱硬化性マトリックスの中に形成されない場合があり、したがって、最終的に調製された材料は、互いに侵入し合う有機・無機網状組織として存在しない場合がある。ここで用いるときは、「互いに侵入し合う網状組織」は、よく相互に連結する2つの網状組織(有機熱硬化性樹脂と無機クラスターからの無機シリカ/ケイ素)を意味する。
【0052】
したがって、ゾルゲル法が適切に行なわれない場合は、無機クラスターは補強効果および改善された熱機械的性質を有するかもしれないが、生成された無機ドメインは大きすぎて、ナノレベルで有機熱硬化性網状組織の中によく混ざり合うことができないかもしれない、すなわち、ドメインが大きすぎる場合は、大きなドメインは均質でない(互いに侵入し合わない)系に帰着する。代わりに、無機ドメインはミクロまたはマクロ分離した相(有機および無機)の形成に帰着する。したがって、最終的に調製されたハイブリッド材料は、微視的な無機構造物の存在のために、明澄または透明でないかもしれない。
【0053】
本発明の調製された無機反応性クラスターは、十分に低い粘度(すなわち約100未満Pa・s)を有し、好都合なことに室温で液体である。したがって、クラスターは、エポキシ樹脂組成物の中に容易に混合することができ、液体のエポキシ配合物の中に組み入れることができる。本発明の方法の調製された反応性無機クラスターは、(DまたはT種の割合として表示して)それぞれ少なくとも約50%および約15%の量で、好ましくはそれぞれ少なくとも約60%および約20%の量で、完全に転化されたTおよびD単位を含むことができる。TおよびDという名称は、当技術分野でよく知られており、シロキサン系化合物中のシロキサン単位のタイプを記載するために用いられている。ここでは、Dはジエトキシシランを指称し、Tはトリエトキシシランを指称する。上付きの数は加水分解されたエトキシ基の数であり、下付きの数は縮合したエトキシ基の数である。上記の条件を満たす調製された反応性無機クラスターは、エポキシ樹脂配合物のような熱硬化性樹脂配合物の中にさらに混合するのに適した貯蔵安定性の系を形成する。また、クラスターの構造/分枝度は、29Si−NMR分析に基づいて、縮合/未縮合Si種(DおよびT)の比によって制御することができる。
【0054】
本発明のゾルゲル法によって調製された反応性無機クラスターには、反応性無機クラスターの構造のために、いくつかの長所がある。たとえば、そのクラスターは、密封した容器の中で長い貯蔵安定性を有する。前述のように、ここで「貯蔵安定性」とは、無機クラスターが、あるあらかじめ定められた長い期間安定している、すなわち、クラスターは、密封した容器の中に25℃で貯蔵したときに、約1日より長い間、好ましくは約1週間より長い間、より好ましくは約2週間より長い間、さらに好ましくは約1か月より長い間、最も好ましくは約3か月より長い間、マクロゲル化しないことを意味する。
【0055】
クラスターの官能価は、異なるアミノ前駆体の比によって、または異なるアミノ前駆体と他の官能基を有するもしくは官能基を有しない前駆体との比によって、制御することができる。
【0056】
更に、本発明は、クラスターのための反応性アミノ基の最適な濃度の調整を可能にする、すなわち、クラスター中のアミノ基の総量は、異なる量のアミノ基を有する適切な前駆体の選択によって調節することができる。したがって、反応性アミノ基の濃度は最適な性能のために調節されることができる。
【0057】
クラスターは、熱硬化性組成物の中の熱硬化性樹脂のための硬化剤として好都合に使用することができる。熱硬化性樹脂は、たとえばエポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの混合物などの、当技術分野において既知の熱硬化性樹脂から選択することができる。
【0058】
1つの実施態様において、たとえば、ベネス(Benes)らによって2009年4月30日に出願された米国仮特許出願第61/174251号(代理人整理番号68513)(引用によってここに組み入れられる。)に記載されているような加水分解性アルコキシシラン基を含むケイ素変性エポキシ樹脂を調製するために、シリカ構造を有する反応性無機クラスターは、エポキシ樹脂マトリックスの中に混ぜ合わせることができる。上記のケイ素変性エポキシ樹脂系は、たとえば、高い温度で従来の硬化剤でさらに硬化され、改善された熱機械的性質を有する硬化されたエポキシ樹脂生成物を形成することができる。
【実施例】
【0059】
次の実施例および比較例はさらに詳細に本発明を説明するが、その範囲を限定するものと解釈してはならない。反応性無機クラスターの形成につながるゾルゲル法、反応性無機クラスターを含むエポキシ系の配合物、および硬化生成物有機・無機網状組織の性質が次の実施例において例証される。
【0060】
次の実施例1〜4および比較例Aは、反応性無機クラスターの調製について記載する。
【0061】
実施例1
機械的撹拌機、温度計および窒素ガス導入管を装備した回分式反応器の中に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、ABCRによって製造)150gおよび3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMS、ABCRによって製造)64.8gの混合物を導入した。APMSとAPSの混合物は、加水分解および縮合反応を促進するために、90℃に加熱され、水蒸気で飽和した窒素でパージされた。気体の水飽和はバブラーの中で25℃で行なわれ、出て行く窒素は、1dm中に16mgのHOを含んでいた。反応中に形成されたエタノールは、蒸発させ、その後、別個の容器の中で凝縮させた。反応の過程は混合物の粘度の測定によって制御された。粘度が25℃で72mPa・sに達したときに、反応が止められた。Si−NMR結果から、アルコキシシラン基の転化率は63%であった。得られた生成物(反応性無機クラスター)は、澄んだ透明な液体であり、それは最終的な有機・無機ハイブリッド網状組織のさらなる調製のために使用された。
【0062】
実施例2
実施例1に記載したのと同じ反応器を用い、150gのAPSと64.8gのAPMSの混合物を反応器の中に導入した。反応は実施例1に記載したのと同じ手順に従って行なった。粘度が25℃で60mPa・sに達したときに、反応を止めた。Si−NMRの結果から、アルコキシシラン基の転化率は57%であった。得られた生成物(反応性無機クラスター)は澄んだ透明な液体であり、それをさらに最終的な有機・無機ハイブリッド網状組織を調製するために使用した。
【0063】
実施例3
実施例1に記載したのと同じ反応器を用い、150gのAPSと64.8gのAPMSの混合物を反応器の中に導入した。反応は実施例1に記載したのと同じ手順に従って行なった。粘度が25℃で66mPa・sに達したときに、反応を止めた。その後、混合物は、エタノールの残分を除去するために、減圧下で90℃で30分間加熱した。得られた生成物(反応性無機クラスター)は、25℃で108mPa・sの粘度を有していた。アルコキシシラン基の転化率は(Si−NMRの結果から)64%であった。生成物は澄んだ透明な液体であり、それをさらに最終的な有機・無機ハイブリッド網状組織を調製するために使用した。
【0064】
実施例4
実施例1に記載したのと同じ反応器を用い、150gのAPSと64.8gのAPMSの混合物を反応器の中に導入した。反応は実施例1に記載したのと同じ手順に従って行なった。粘度が25℃で559mPa・sに達したときに、反応を止めた。Si−NMR結果から、アルコキシシラン基の転化率は85%であった。得られた生成物(反応性無機クラスター)は澄んだ透明な液体であり、それをさらに最終的な有機・無機ハイブリッド網状組織を調製するために使用した。
【0065】
比較例A
実施例1に記載したのと同じ反応器を用い、150gのAPSと64.8gのAPMSの混合物を反応器の中に導入した。反応は実施例1に記載したのと同じ手順に従って行なった。粘度が25℃で4.5mPa・sに達したときに、反応を止めた。Si−NMR結果から、アルコキシシラン基の転化率は23%であった。得られた生成物は澄んだ透明な液体であり、それをさらに最終的な有機・無機ハイブリッド網状組織を調製するために使用した。
【0066】
実施例において、種々の測定値を得るために、次の標準的な分析装置および方法を使用する。
【0067】
貯蔵安定性の測定
貯蔵安定性は、貯蔵時間の関数として反応生成物の粘度を測定することによって決定される。湿度を管理するために、この方法で使用される容器は、各々の測定の間はしっかりと密閉され密封されるべきである。好ましくは、容器は不活性雰囲気(たとえば乾燥した窒素ブランケット)下で貯蔵されるべきであり、冷却状態に保たれるべきである。貯蔵中の粘度の増加は、加水分解および縮合反応の継続を示し、たとえば限定された貯蔵安定性を示す。最大貯蔵安定性は、不溶性のゲルが形成されたときに決定される。
【0068】
NMR測定
NMR測定は次の方法を用いて行なった。29Si−NMR分析は79.5MHzで操作するBruker DRX400分光計を使用して行なった。29Si−NMRスペクトルは298Kで10mmの広帯域プローブで得た。溶液中のシリカの量を決定するために、外部標準HMDS(ヘキサメチルジシロキサン)を使用した。三酢酸クロム(濃度:10−2M)を含む重水素置換クロロホルムを溶媒として使用した。
【0069】
粘度測定
粘度測定は次の方法を使用して行なった。異なる反応時間における反応生成物の粘度測定は、25℃でレオメーターAR1000(熱分析)を使用して達成した。コーン/プレート形状(直径60mm、角度2°、ギャップ66μm)および1〜100s−1の剪断速度掃引を使用した。
【0070】
表Iに、実施例1〜4で調製された反応性無機クラスターおよび比較例Aの生成物の組成(29Si−NMR分析に基づくSi種の分布)を示す。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例5
実施例1に記載したのと同じ反応器を用い、73.7gのAPSと95.5gのAPMSの混合物を反応器の中に導入した。反応は実施例1に記載したのと同じ手順に従って行なった。反応は150分後に止めた。Si−NMR結果から、アルコキシシラン基の転化率は47%であった。得られた生成物(反応性無機クラスター)は澄んだ透明な液体であった。
【0073】
実施例6
実施例1に記載したのと同じ反応器を用い、95.5gのAPMSと52gのテトラエトキシシラン(TEOS、オールドリッチ(Aldrich)によって製造販売)の混合物を反応器の中に導入した。反応は実施例1に記載したのと同じ手順に従って行なった。反応は150分後に止めた。Si−NMR結果から、アルコキシシラン基の転化率は90%であった。得られた生成物(反応性無機クラスター)は澄んだ透明な液体であった。
【0074】
実施例7
実施例1に記載したのと同じ反応器を用い、95.5gのAPMSと5.2gのテトラエトキシシラン(TEOS、オールドリッチによって製造販売)の混合物を反応器の中に導入した。反応は実施例1に記載したのと同じ手順に従って行なった。反応は150分後に止めた。Si−NMR結果から、アルコキシシラン基の転化率は56%であった。得られた生成物(反応性無機クラスター)は澄んだ透明な液体であった。
【0075】
本開示は限られた数の実施態様を含むが、この開示の利益を有する当業者は、本発明の範囲から逸脱しない他の実施態様が考案され得ることを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は添付された請求項によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)無機物質のアルコキシ誘導体と(b)気体の水との反応生成物を含む貯蔵安定性反応性無機クラスター組成物。
【請求項2】
無機物質のアルコキシ誘導体がアルコキシシラン誘導体であり、アルコキシシラン誘導体がアミノ官能基含有アルコキシシラン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アミノ官能基含有アルコキシシラン誘導体が、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)無機物質のアルコキシ誘導体と(b)気体の水を反応させ、貯蔵安定性反応性無機クラスターを形成することを含む、貯蔵安定性反応性無機クラスター組成物を調製する方法。
【請求項5】
無機物質のアルコキシ誘導体を反応性無機クラスターを形成する条件下でゾルゲル(加水分解および縮合)反応法に供することを含む、反応性アミノ基を有する貯蔵安定性反応性無機クラスターを調製する方法。
【請求項6】
反応性無機クラスターを形成するために無機物質アルコキシ誘導体のゾルゲル(加水分解および縮合)反応を行なうことを含む、反応性アミノ基を有する貯蔵安定性無機クラスターを調製する方法。
【請求項7】
無機物質のアルコキシ誘導体がアルコキシシラン誘導体であり、アルコキシシラン誘導体がアミノ官能基含有アルコキシシラン誘導体であることを特徴とする請求項4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
アミノ官能基含有アルコキシシラン誘導体が、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該方法が連続的に気体の水を加えることを含むことを特徴とする請求項4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該方法が、加水分解・縮合反応であり、反応性無機クラスター中に存在するアミノ基によって自己触媒されることを特徴とする請求項4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アルコキシ基転化率が反応混合物の粘度を測定することによって制御されることを特徴とする請求項4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
クラスターの官能価が、(i)該方法において使用される異なるアミノ前駆体の比率を調節することによって、(ii)反応性無機クラスターと、異なる官能基を有する前駆体との比率を調節することによって、または(iii)反応性無機クラスターと、官能基を有しない前駆体との比率を調節することによって、制御されることを特徴とする請求項4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
クラスターの構造/分枝度が、29Si−NMR分析に基く、縮合したSi種と未縮合のSi種(DとT)の比率を調節することによって制御されることを特徴とする請求項4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項4、5または6のいずれか1項に記載の方法によって調製された硬化剤で熱硬化性樹脂を硬化することを含む方法。

【公表番号】特表2012−525484(P2012−525484A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508729(P2012−508729)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032967
【国際公開番号】WO2010/127116
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(511262500)
【出願人】(511262511)
【出願人】(511262522)
【Fターム(参考)】