説明

反応性蒸留によるカルボン酸エステルの製造方法

【課題】エステル化によるカルボン酸エステルの製造方法がカラムにおける反応性蒸留によって実施される。
【解決手段】カルボン酸エステルは、遊離体のカルボン酸およびアルコールよりも高い温度において沸騰する。エステル化においては固体物質の触媒が使用される。エステル化および蒸留による分離は、3つの帯域、すなわち、反応帯域、上部分離帯域、また低部分離帯域において行われる。頭部生成物およびサンプ生成物が製造される。水性相頭部生成物からの有機相から分離される、必要とする熱は、サンプ生成物に設定される温度において供給される。カルボン酸エステルはサンプ生成物から得られる。カルボン酸およびアルコールの除去は、蒸留によって実施される。この配列において、熱はに、大部分はカルボン酸エステルおよび少量の他の物質を含むサンプ生成物に、周囲圧力より大きい圧力が蒸発されたサンプ生成物に設定される温度において、供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴前の部分による反応性蒸留の手段によるカルボン酸エステルの製造方法に関する。この方法においては、カルボン酸エステルは、遊離体のカルボン酸およびアルコールよりも高温度において沸騰しなければならない。特に本発明は、酢酸ブチルまたは酢酸イソブチルの製造方法、すなわち、ブタノールまたはイソブタノールを酢酸のエステル化に用いる酢酸ブチルまたは酢酸イソブチルの製造方法に関する。また、本発明は、本発明による方法を実施するためのプラント(plants)に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性蒸留を用いるこの種類のエステル化法は、WO−A99/4855に知られている。酢酸ブチルまたは酢酸イソブチルは、カラム(column)中において、より高い沸点のサンプ(sump)生成物として得られ、そのカラムにおいて、酢酸のエステル化が反応性蒸留によってn−ブタノールまたはイソブタノールで接触的に実施されており、この触媒反応が2つの分離帯域間の反応帯域で生じている。また、以下において、アルコールブタノール(BuOH)は、イソブタノールまたは他のアルコール(A)を意味することが理解されるであろう。かつ対応して酢酸ブチルエステル(BuOAc)は、酢酸イソブチルまたは他のエステル(E)を意味することも理解されるであろう。有機部分(BuOH+BuOAcまたはA+E)はカラムの頭部生成物から分離され、そして上部の分離帯域の中に返される。分離帯域のおかげで、実質的には、酢酸(S)は、サンプ生成物中、または頭部生成物中のいずれにも見出されない。反応帯域2から上方および下方へ流出する酢酸は、2つの分離帯域のおかげで、反応帯域の中にもどして移され、そこで最後に、完全にまたは少なくとも殆んど完全に転化される。酢酸および望まれていない副生成物は、酢酸ブチル中に汚染物質として少量だけ見出される。無水酢酸(CH−CO)O(または混合物)は、1種の遊離体として酢酸(CH−COOH)の代りに使用することができる。エステル化の間に生じる水で無水酢酸は酢酸に転化される。
【0003】
酢酸ブチルの製造業者は、WO−A99/48855に記載された既知方法の態様に関して、望ましくない副生成物(ジブチルエーテル)による酢酸ブチルの汚染物を特別な固体触媒の使用により汚染を減少させることによって、生成物の性質の改良を達成させるのに成功した。しかし、この改良は、生成物中の酢酸の割合を増加させた。この理由は、一見したところ、新しく使用された固体触媒が既知方法に記載された実施例よりも低い温度において安定なだけであると考えられ、この理由のために、反応性蒸留が対応して低い温度において、結果的には低圧力において、すなわち真空操作において実施されなければならない。
【0004】
酢酸は反応性蒸留に続くプラントの1部においてサンプ生成物から除去される。この配列において、酢酸ブチルの古い製造方法から既に知られている方法によって塩基で中和され、この方法においては、固体触媒の代りに液体触媒が使用される。(WO−A99/48855参照。ここでは古い先行技術で評価されている)。塩基で中和する間に生成した塩は、洗いにより、そして相分離により、酢酸ブチルから分離される。この方法の不利な点は、特別な塩基を利用しなければならないことであり、そして環境をひどく汚染する分離された塩の除去に費用がかかることである。それ故、指定された中和なしに作業できる方が有利であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、既知の反応性蒸留の手段によって造られたカルボン酸エステル(酢酸ブチル)中に含まれるカルボン酸(特に酢酸)がもつ問題を塩基を用いて中和することなしに解決するというカルボン酸エステルの製造方法についてのさらにいっそうの改良を提供することである。この目的は請求項1に定義された方法によって満足される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エステル化によるカルボン酸エステル(E)の製造方法は反応性蒸留によって第1カラムにおいて実施される。カルボン酸エステルは、遊離体(educts)のカルボン酸(S)およびアルコール(A)よりも高い温度において沸騰する。エステル化においては、固体物質の触媒が使用される。エステル化および蒸留による分離は3つの帯域においてすなわち反応帯域において、上部分離帯域において、およびまた下部分離帯域において、行われる。第1頭部(head:ヘッド)生成物および第1サンプ生成物が製造される。水性相は第1頭部生成物の有機相から分離される。反応性蒸留を行なうのに必要とする熱は、周囲圧力より大きくない圧力が蒸発されたサンプ生成物に設定されている温度において供給される。カルボン酸エステルは、カルボン酸およびアルコールの残留物を除去した第1サンプ生成物から得られる。第1サンプ生成物からカルボン酸およびアルコールの除去は、第2カラムにおける蒸留によって実施される。この配列において、熱は第2サンプ生成物に、すなわち、大部分はカルボン酸エステルおよび少量の他の物質から成る第2カラムのサンプ生成物に、周囲圧力より大きな圧力を蒸発したサンプ生成物に設定する温度において、供給される。
【0007】
仕事の分析において、最初に、酢酸の割合は、下部分離帯域における理論分離段階の数を増加させることによって、第1サンプ生成物において減少させることができることが仮定された。
【0008】
分離効果は、周囲圧力においてよりも真空状態の方が良好であることが仮定される。圧力を増加するにつれて、混合物中の成分の相対揮発度は減少し、結果的に、混合物は、増加した圧力において分離することがさらに難しくなる。混合物を蒸留によってより容易に分離するための第1の選択方法は、より低い圧力において、特に周囲圧力よりさらに低い真空において分離工程を実施することである。これらをよく考慮して、本発明者は、より低い圧力における蒸留が所望の分離効果を実際的に結果として生じるかどうかを調査研究することを決定した。存在する操作データに基づいて、発明者は、これらの条件下では分離は良好でないことを結論しなければならなかった。一般に認められている経験に反して、より高い圧力において実験的に分離を分析することが決定された。
【0009】
驚いたことに、経験の規則に相応しない結果が得られ、分離は増加された圧力において良好であった。この結果は満足である本発明の目的に導いてくれた。それ故、蒸留は第2カラムにおいて、かつ増加した圧力において実施した。
【0010】
請求項2〜6は、本発明による方法の有利な態様に関する。反応性蒸留によるカルボン酸エステルの製造用プラントは請求項9〜11の主題である。
【0011】
本発明は以下に示す図面の助けをかりて次に説明される:
図1 本発明による方法を実施するのに使用されるカラムをもつプラント、
図2 触媒反応帯域の断面、
図3 本発明による方法に定められているような製造されたカルボン酸エステルを浄化するためのプラント部分、および
図4 本発明による方法が使用される特別に完全なブロック略図。
【0012】
図1に図解されたプラントには、エステル化が反応性蒸留によって実施される第1のカラム1が含まれる。この方法は酢酸ブチルの製造のために特定されている。同種のものが他のカルボン酸エステルのために適用される。酢酸を含有する酢酸ブチルがそのサンプから抽出される。この生成物は、その特性がまだ不十分であるが、洗浄のために線71を通してプラント部分7に供給される。
【0013】
本発明による方法のための供給生成物はブタノールであり、以後アルコールAおよび酢酸Sと称する。第1のカラム1のサンプ生成物は以後第1サンプ生成物と称され、さらにプラント部分7で処理され、そして第2カラム70(図3を参照)を使用して、最後に酢酸ブチルE(エステル)を得ることができ、それの酢酸含有量は重量で100ppm以下である。洗浄された生成物は線71を通して除去される。第2カラムで分離された頭部生成物、すなわち第2の頭部生成物は、線72を経由して反応性蒸留工程に返される。
【0014】
酢酸S(流れ22)およびアルコールA(流れ21)は、5:1および1:10の間の範囲におけるモル比において、好ましくは100%(モル比1:2)を越えないアルコールAの過剰で、第1のカラム1に供給される。これらの供給生成物は、分離して供給することもでき、また混合物で供給することもできる。
【0015】
カラム1には反応帯域3を形成するパッキング部分が含まれ、かつその中でエステル化が不均質触媒反応の手段によって実施される。アルコールAおよび酢酸Sは(たぶん前の反応器(pre−reactor)で造られ、またはその中に返され、そして部分的に反応された生成物の混合物といっしょに)線10を通し、かつディストリビューター(distributor)30を使用して反応帯域3のパッキング上に適用される。ディストリビューター40および第2のパッキング、低部分離帯域4は、このパッキングの下部に(単独または複数で)配置される。線11は、それを通して、追加のアルコールAを供給することができ、そしてディストリビューター40は随意である。
【0016】
反応帯域3および低部分離帯域4から成るインサート(insert)は、ストリッピング部分として作用する。熱Qは反応性蒸留を行なうのに必要である。サンプ中に、アルコールA、酢酸Sおよび少割合の酢酸ブチルを含む蒸気の流れがこの熱Qを供給することによって造られる。この蒸気の流れ50はパッキング上を少しずつフィルムのように流れる向流を生成し、そして一方では酢酸を反応帯域に返す。他方、それはストリッピングガスとして作用する蒸気の流れ50’を形成し、それと共に水Wは反応帯域3から除去され、それによって反応の動力学はエステル生成の利益に影響を与える。蒸発のために必要とした熱Qは装置5における枝流れ53に供給される。低部の分離帯域4において水および、さらに、またアルコールAは、反応帯域3から離れる蒸気の流れによって液体混合物からすでに取られている。
【0017】
他のパッキング、すなわち上部の分離帯域8およびディストリビューター80は、第1カラムの中で反応帯域3の上に取りつけられている。頭部において現われる蒸気流(矢印61)は装置6(熱の除去Q)において液化され、そしてこの頭部生成物は、すなわち第1頭部生成物は、2つの画分62および63に、例えばデカンティング(decanting)の手段によって分離される。第1の頭部生成物の画分63は、実質的に液体の水であり、その中に残留有機部分が溶解している。画分62は液状の有機相である。それは還流62’として上部分離帯域62に返される。蒸気流50によって運ばれる酢酸Sは、上部分離帯域8によってさえぎられる。パッケージ上を流れる少しずつゆっくりと移動する薄い膜(film)はさえぎられた酢酸を反応帯域3に再び移送する。
【0018】
第1の頭部生成物からの有機相62は、直接(還流62’)または間接(点線として示されている連結62”)に、反応帯域3に返される。5:1〜1:20の値は、新しく供給されたアルコール(流れ21)と返された有機相62との間の量の比(mass ratio)について選ばれる。分離された有機相62の全量の60%〜100%が返流62’のために使用される。
【0019】
示された例において、触媒反応帯域3は、垂直層31から成り、それらの間に流路32がストリッピングガスとして供する蒸気流50’用に設置されている。供給物質AおよびSを含む混合物10’が層31の中および上に置かれている。反応帯域3に関する詳細は図2の切断面で例示される。そこには層31の境界領域が示されている:この境界領域には、蒸気流50’をもつ流路32の部分が含まれ、また触媒の粒状物310を含む層31が含有されている。耐久性物質のファブリック(fabric)311が容器を形成しており、その中に粒体310が含有されている。混合物10’は前記容器の内部を流れ、そしてファブリック311の外側上を容器の内部のフィラメントの曲りくねった流れでファブリック311の外側を流れる。そして容器の外側を細流10”として流れる。細流10”の自由表面の結果として、水Wは蒸気流50’の中を通る。なぜなら、この中に存在する水の相対的に低い分圧があるからである。
【0020】
アルコールの分圧は、細流薄膜10”の表面においてアルコールAの分子を断念するおよび取得するための平衡が大いに存在するように、相対的に高くする。
【0021】
反応性蒸留は、カラムインサートであって、それらの中に触媒が固定され、かつそれらを通して、液相と触媒との間およびまた液相とガス相との間の両方における良好な接触を可能にする前記カラムインサートを使用して実施される。触媒用の保持構造物として役だつカラムインサートは、それ自体で知られている形状を使用して形成される。また、これらカラムインサートは、異なった形状の組み合わせ、すなわち、少なくとも1種の蒸留基部および/または交差した流路構造を形成しているジグザグ層または波形層から成りたっている少なくとも1種の構成パッキング要素および/またはバルクを充填した物体の少なくとも1種の区分を組み合わせることができる。反応帯域3用のパッキングの適当な種類は、EP−A−0396650またはEP−A−0631813に記載されている。また、他の物のあいだで特別なデバイスをもつ基部の他の既知反応性蒸留装置をこの目的のために使用することもできる(US−A−5914011を参照)。
【0022】
イオン交換樹脂を触媒として使用することができ、好ましくは強酸性形態で存在させかつ巨大多孔性である。触媒は80℃〜120℃の温度で使用できなければならない。この温度範囲においてのみ適度に活性を失うことができる。
【0023】
供給物質のアルコールAおよび酢酸Sは、酢酸Sの10%〜75%がエステルEに転化される平衡状態まで前の反応器2で既に反応させておくのが有利である。それ故、アルコールA、酢酸S、エステルEおよび水Wは第1カラムに入れる。次いで、残留する酢酸Sは、前の反応器2に供給された酢酸が95%を超える全転化率を達成するように反応帯域でさらに転化させる。
【0024】
プラント部分7(図3を参照)において本発明によって実施される第1サンプ生成物からの酢酸SおよびアルコールAの除去は、第2カラムの70においてそのパッキング上で蒸留によって実施される。このカラムを物質交換手段、例えば、バルク充填物体、構成パッキングまたはベース、で充填する。この配列において、熱(加熱装置73)を、環境と比較して過度の圧力において、第2のサンプ生成物に、例えば第2カラム70のサンプ生成物に供給する。なお、第2サンプ生成物は、大部分はエステルE(例えば、酢酸ブチル、または酢酸イソブチル)および少量の他の物質(例えば、50ppmの酢酸)から成っている。
【0025】
第2カラム70において、操作条件は、蒸留による分離に関する圧力ができるだけ大きくなるような方法において、すなわち、インサートの低部エッジにおける絶体圧力が少なくとも1.5バールになる、好ましくは2バールより多くなる、もし可能であるならば好ましくは2バールよりかなり多くなる、ような方法において、前もって定めておく。また、増加した圧力は増加した温度を示すので、第2カラム70における圧力は、好ましくは、腐食および強度がもつ問題のために上方は3バールに限定される。
【0026】
第2の頭部生成物、すなわち第2カラム70の留出物は(冷却器75において)液化後、直接、または前の反応器2を経由して間接的に第1カラムに供給される。これは、第1の頭部生成物の有機相の返送といっしょにすることができる。
【0027】
第1サンプ生成物の酢酸を中和する別法を捜し求め、本発明による溶液を使用することを見出した。やはり、もし中和段階が第2カラム7のサンプ後に連結されるならば有利である(図4を参照)。それで酢酸残留物は、よりよいものにする方法における最後の段階として既になされたように、除去される。図4には、特別に完全なプラントのブロック略図が示されており、その中で前記の指定されたプラント部分の全て;前反応器2、第1カラム1、第2カラム7および中和段階9が合体されている。まだ残留酢酸を含んでいる第2カラム7の第2サンプ生成物は、塩基Bで中和される。この配列において生成する塩Cは、洗うことによって除去され、そしてまた、エステルEからの分離によって除去される。しかし、完全に避けることができない塩の負荷は既知方法と比較してかなり減少され、典型的には100〜500倍も少ない塩が造られる。塩の消費は、モル当量で表わして、0.05モル%未満に減少される。例えば、1,162Kg/時間BuOAc(または、10,000モル/時間)を製造するためには、作業者は12Kg/時間の代りに、0.12Kg/時間を中和しなければならない。それ故、塩の消費は1.9モル%から0.019モル%に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による方法を実施するのに使用されるカラムをもつプラントを示す図である。
【図2】触媒反応帯域の断面を示す図である。
【図3】本発明による方法に定められているような製造されたカルボン酸エステルを洗浄するためのプラント部分を示す図である。
【図4】本発明による方法が使用される特別に完全なブロック略図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カラム(1)中の反応性蒸留および固体物質の触媒を使用することによる、遊離体のカルボン酸(S)およびアルコール(A)よりも高温度において沸騰するカルボン酸エステル(E)の製造方法であって、
−3つの帯域−反応帯域(3)、上部分離帯域(8)およびまた低部分離帯域(4)−においてエステル化および蒸留による分離を実施して、
−第1頭部生成物(61)および第1サンプ生成物(52)を製造し、
−水性相(63)を第1頭部生成物からの有機相(62)から分離し、
−反応性蒸留をするのに必要とする熱(Q)を、周囲圧力より大きくない圧力が蒸留されたサンプ生成物に設定されている温度において供給し、
そして
−カルボン酸およびアルコールの残留物を除去した第1サンプ生成物からカルボン酸エステルを得ることであり、
製造された第1サンプからのカルボン酸およびアルコールの除去を、第2サンプ生成物(71)に熱を供給しながら、第2カラム(70)における蒸留によって実施する、すなわち、大部分がカルボン酸エステルそして少量の他の物質を含む第2カラムのサンプ生成物に、周囲圧力より大きい圧力が蒸発されたサンプ生成物に設定されている温度において、前記蒸留を実施することを特徴とする、前記カルボン酸エステルの製造方法。
【請求項2】
カルボン酸エステル(E)が酢酸ブチルまたは酢酸イソブチルであり、アルコール(A)がブタノールまたはイソブタノールであり、そしてカルボン酸(S)が酢酸であることを特徴とする、請求項1によるカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項3】
インサート(70)が蒸留用第2カラム(70)内に配列されており、そして圧力が蒸留分離効果に関してできるだけ大きくあり、すなわちインサートの低部端における絶対圧力を結果的に少なくとも1.5バール、好ましくは5バールより多くすることを特徴とする、請求項1または2によるカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項4】
第2頭部生成物(72)、すなわち、第2カラムの蒸留物を、直接にまたは前反応器を経由して間接に第1カラム(1)に供給し、そしてこれを第1頭部生成物(61)からの有機相(62)の返送といっしょにすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項によるカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項5】
カルボン酸(S)およびアルコール(A)を、5:1〜1:20のモル比において、個々にまたは混合物で第1カラム(1)に供給し、またエステル(E)および/または水(W)の供給を可能にしながら供給し、そして特にカルボン酸が酢酸、無水酢酸、またはこれら物質の混合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項による、カルボン酸エステルの製造方法。
【請求項6】
第1頭部生成物(61)からの有機相(62)を、直接または間接に、反応帯域に返して供給し、アルコールの新たな供給物(A、21)と返送有機相との間のモル比として5:1〜1:20を選び、そして分離された有機相の全量の60%〜100%を返送のために使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項によるカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項7】
反応性蒸留を、カラムインサート(31)であって、その上またはその中に触媒が固定され、かつそれを通して、良好な触媒が、液体相(10’)と触媒との間ばかりでなく、また液体とガス相(50’)との間でもなされ、かつ、これらの相はカラムインサートを通して向流で移動する、カラムインサートを使用して実施することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項によるカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項8】
触媒用の支持構造体として役立つカラムインサート(31)を、それ自体知られている形状を用いて設計し、その中でこれらのカラムインサートは、また、異なった形状を組み合わせることができ、すなわち、少なくとも1種の蒸留ベース、および/または交差した流路構造を形成するジグザグ層または波形層から成る少なくとも1種の構成されたパッキング要素、および/またはバルク充填物体の組み合わせ、にすることができることを特徴とする、請求項7によるカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項9】
前反応器(2)が第1カラム(1)の上流であり、一方、第2カラム(70)は下流であり、物質分離なしにエステル化の第1段階は前反応器で実施することができ、そして前反応器への1つの入り口は返送ラインによって第1カラムおよび/または第2カラムに連結されており、すなわち第1頭部(61)の有機相のための返送ライン(62’’)によって、またはまた第2頭部生成物の蒸留物のための返送ライン(72)によって、連結されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項による方法を使用する反応性蒸留によるカルボン酸エステル(E)製造用プラント。
【請求項10】
プラント部分(9)は第2カラム(70)のサンプルの下流に位置しており、その中で、カルボン酸(S)の残留物を塩基(B)で中和することができ、そしてこの方法で生成される塩(C)を洗いによりエステル(E)から除去することができ、そして相を分離し、これにおいて、化学化合物の水溶液を塩基として使用することができ、この塩基はエステルのけん化の最も多くても痕跡程度の結果を生じ、塩の使用は0.05モル%より少なく減少されることを特徴とする、請求項9によるプラント。
【請求項11】
第1カラム(1)は真空操作用に設計され、そして第2カラム(70)は加圧操作用に設計され、第2カラムは、好ましくは、5絶対バールの最大内圧で機械的に負荷することができることを特徴とする、請求項9または請求項1によるプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−219492(P2006−219492A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31787(P2006−31787)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505150095)スルザー ケムテック アクチェンゲゼルシャフト (40)
【Fターム(参考)】