反応装置
【課題】反応装置における省エネルギーを図りエクセルギー損失を低減する。
【解決手段】反応装置10は、原料としてのナフサ22と、ナフサ22と反応する水素24とが混合された混合流体30の供給を受け、ナフサ22と水素24とを反応させて反応済流体40を出力する反応器12と、反応器12からの反応済流体40と、混合流体30との間で熱交換を行う熱交換器14と、反応器12と熱交換器14との間に設けられ、混合流体30を昇圧する圧縮機を備える。
【解決手段】反応装置10は、原料としてのナフサ22と、ナフサ22と反応する水素24とが混合された混合流体30の供給を受け、ナフサ22と水素24とを反応させて反応済流体40を出力する反応器12と、反応器12からの反応済流体40と、混合流体30との間で熱交換を行う熱交換器14と、反応器12と熱交換器14との間に設けられ、混合流体30を昇圧する圧縮機を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器において原料と反応ガスとを反応させる反応装置に関し、特にナフサ等を水素ガスと反応させて水素化脱硫する反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原油を蒸留分離して得られるナフサは、硫黄分を含有している。通常、ナフサ中の硫黄分は、自動車排ガスを完全燃焼させるマフラー触媒、または水素製造における水蒸気改質触媒を被毒させる原因となったり、燃焼時に有害なガス(SOx)を発生させて大気汚染の原因となるため、脱硫処理が施される。このナフサの脱硫処理には、硫黄分を含むナフサを触媒の存在下で水素と反応させてガス状の硫化水素として脱硫する水素化脱硫装置が用いられる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、従来の水素化脱硫装置を説明するための図である。図1に示すように、水素化脱硫装置50に供給されたナフサ64は、ポンプ58によって昇圧された後、圧縮機60により圧縮された水素66と混合されて熱交換器56の低温側入口56cに供給される。ナフサ64と水素66の混合流体68の圧力は、脱硫反応器52での脱硫反応に必要とされる入口圧力以上の圧力、たとえば2.2MPaG程度とされる。
【0004】
熱交換器56において、混合流体68は、脱硫反応器52から高温側入口56aに供給された反応済流体70との熱交換により加熱される。熱交換器56で加熱された混合流体68は、ほぼ全量がガスがされて、その後、加熱器54に供給され、脱硫反応器52における脱硫反応に必要な入口温度以上の温度、たとえば300℃以上に加熱される。
【0005】
加熱器54から流出された混合流体68は、脱硫反応器52に供給され、混合流体68中のナフサ64は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素に転換されて脱硫される。脱硫反応器52から流出された脱硫ナフサ、硫化水素および未反応水素を含む反応済流体70は、熱交換器56で脱硫前の混合流体68と熱交換して冷却後、さらに冷却器62により所定温度まで冷却される。
【0006】
その後、反応済流体70は、図示しない気液分離器に送られ、液体のナフサと、気体の硫化水素および水素とが分離される。このようにして脱硫されたナフサは、次の工程に送られる。
【特許文献1】特開2007−238832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の水素化脱硫装置では、ナフサと水素を脱硫反応に必要な入口温度まで加熱するために加熱器を用いており、加熱器で混合流体に与えた熱量と同程度の熱量が冷却器にて反応済流体から系外に排出されている。さらに、この加熱器は、エクセルギー率の高い化学エネルギーである燃料を燃焼して、エクセルギー率の低い数百度程度の熱エネルギーに変換しており、大きなエクセルギー損失が発生している。
【0008】
本発明は、こうした状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、反応装置の省エネルギーを図るとともに、系全体のエクセルギー損失を低減できる反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の反応装置は、原料と、原料と反応する反応ガスとが混合された混合流体の供給を受け、原料と反応ガスとを反応させて反応済流体を出力する反応器と、反応器からの反応済流体と、混合流体との間で熱交換を行う熱交換器と、反応器と熱交換器との間に設けられ、混合流体または反応済流体を昇圧する圧縮機を備える。
【0010】
この態様によると、反応器と熱交換器との間に圧縮機を設け、混合流体または反応済流体を昇圧する構成としたので、混合流体と反応済流体のヒートコンテントカーブを略平行にすることが可能となり、熱交換器での現実的な熱交換量を増加させることにより、加熱器での熱供給を低減または不要とすることができる。さらに、圧縮機の断熱圧縮による温度上昇を利用することにより、省エネルギーを図り、エクセルギー損失が多くなる系での加熱器の負荷を減らすことができるので、エクセルギー損失を低減することができる。
【0011】
圧縮機は、反応器の上流側に設けられ、混合流体を昇圧することにより、混合流体の温度を上昇させてもよい。また、圧縮機は、反応器の上流側に設けられ、混合流体を昇圧することにより、混合流体の温度を反応器での反応に必要な所定の入口温度以上に上昇させてもよい。この場合、加熱器を用いずに反応装置を構成できるので、省エネルギーを図りエクセルギー損失の低減を図ることができる。
【0012】
圧縮機は、反応器の下流側に設けられ、反応済流体を昇圧することにより、反応済流体の温度を上昇させてもよい。また、熱交換器の混合流体出口の温度を反応器での反応に必要な所定の入口温度以上に上昇させてもよく、熱交換器を出た反応済流体を降圧しエキスパンダー等で動力回収することで、省エネルギーを図りエクセルギー損失を低減することができる。
【0013】
熱交換器に供給される混合流体の圧力を、熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定してもよい。また、温度−エンタルピー線図において、熱交換器に供給される混合流体のヒートコンテントカーブと、熱交換器に供給される反応済流体のヒートコンテントカーブとが略平行な形状となるように、熱交換器に供給される混合流体の圧力を、熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定してもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、省エネルギーを図り、エクセルギー損失を低減することが可能な反応装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る反応装置10を示す図である。ここでは、反応装置10を、ナフサを水素化脱硫する水素化脱硫装置として用いる例について説明する。図2に示すように、反応装置10は、反応器12と、熱交換器14と、圧縮機16と、ポンプ18と、冷却器20とを備える。
【0017】
反応器12は、反応器入口12aに接続された接続配管29を介して原料としてのナフサ22と、ナフサ22中の硫黄分と反応する反応ガスとしての水素24とが混合された混合流体30の供給を受ける。反応器12中には、ニッケル、コバルト、モリブデンなどの触媒金属をアルミナに担持した触媒が充填されている。反応器12内に導入された混合流体30中のナフサ22は、触媒の存在下、硫黄分が水素24と反応して硫化水素に転換され、脱硫される。脱硫ナフサ23、硫化水素25および未反応水素26を含む反応済流体40は、反応器12の反応器出口12bから流出される。
【0018】
熱交換器14は、反応器12からの反応済流体40と、脱硫前の混合流体30との間で熱交換を行う。熱交換器14の高温側入口14aは、接続配管32を介して反応器12の反応器出口12bと接続されている。また、熱交換器14の高温側出口14bは、接続配管33を介して冷却器20の冷却器入口20aと接続されている。
【0019】
一方、熱交換器14の低温側入口14cには、接続配管34が接続されている。熱交換器14の低温側入口14cには、接続配管34を介してポンプ18で昇圧された脱硫前のナフサ22と水素24の混合流体30が供給される。また、熱交換器14の低温側出口14dには、接続配管35が接続され、反応済流体40との熱交換により加熱された混合流体30が流出される。なお、本明細書では、流体が熱交換器14の高温側入口14aから供給されて高温側出口14bから流出されることを「高温側」と呼び、流体が低温側入口14cから供給されて低温側出口14dから流出されることを「低温側」と呼ぶ。
【0020】
冷却器20は、熱交換器14での熱交換にて冷却された反応済流体40の供給を受け、反応済流体40をさらに冷却して冷却器出口20bより流出する。冷却器出口20bには、接続配管37の一端が接続され、冷却により凝縮された脱硫ナフサ23を含む反応済流体40が流出される。
【0021】
接続配管37の他端は、図示しない気液分離器に接続され、脱硫ナフサ23と、硫化水素25および未反応水素26とが分離される。分離された脱硫ナフサ23は、次工程に送られる。
【0022】
圧縮機16は、反応器12と熱交換器14の間に設けられる。第1の実施の形態では、圧縮機16は、反応器12の上流側に設けられる。すなわち、図2に示すように、圧縮機16の圧縮機入口16aは、接続配管35を介して熱交換器14の低温側出口14dと接続される。また、圧縮機16の圧縮機出口16bは、接続配管29を介して反応器12の反応器入口12aに接続される。
【0023】
このように配設された圧縮機16は、混合流体30を反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口圧力以上に昇圧する。入口圧力は、たとえば2.0MPaG程度である。この圧縮機16による昇圧にともなって、混合流体30の温度は、断熱圧縮により上昇する。圧縮機16は、混合流体30の温度が反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口温度以上に上昇するように、混合流体30を圧縮する。反応器12の入口温度は、たとえば300℃程度である。
【0024】
以上のように構成された反応装置10の動作について説明する。ここでは、反応器12の入口温度が300℃、入口圧力が2MPaGとして説明する。
【0025】
ポンプ18に供給されたナフサ22は、接続配管34において水素24と混合され、混合流体30として熱交換器14の低温側入口14cに供給される。熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力は、たとえば1.3MPaG程度、温度は24℃程度に設定する。
【0026】
熱交換器14に供給された混合流体30は、反応器12から熱交換器14の高温側入口14aに供給された反応済流体40との熱交換により加熱され、低温側出口14dから流出される。熱交換器14の高温側入口14aにおける反応済流体40の温度が300℃程度とすると、熱交換器14の低温側出口14dにおける混合流体30の温度は熱交換により286℃程度に上昇する。
【0027】
熱交換器14により加熱された混合流体30は、圧縮機16の圧縮機入口16aに供給される。圧縮機16により、混合流体30は、圧力が出口圧力2.0MPaG以上となるように圧縮されるとともに、断熱圧縮により温度が出口温度300℃以上に上昇される。
【0028】
その後、混合流体30は、反応器12に供給され、混合流体30中のナフサ22は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素25に転換されて脱硫される。脱硫反応によって生成された脱硫ナフサ23、硫化水素25および未反応水素26は、反応済流体40として反応器12の反応器出口12bから流出され、接続配管32を通って熱交換器14の高温側入口14aに供給される。
【0029】
熱交換器14に供給された反応済流体40は、低温側入口14cに供給された混合流体30と熱交換が行われ、冷却されて高温側出口14bより流出される。たとえば、高温側出口14bにおける反応済流体40の温度は37℃程度まで冷却される。
【0030】
熱交換器14の高温側出口14bから流出された反応済流体40は、接続配管33を通って冷却器20の冷却器入口20aに供給される。冷却器20において反応済流体40はさらに冷却される。その後、反応済流体40は、気液分離器にて脱硫ナフサ23と、硫化水素25および未反応水素26とが分離される。分離された脱硫ナフサ23は、次工程に送られ、硫化水素25と未反応水素26は、硫化水素除去装置にて硫化水素25が除去される。
【0031】
このように、第1の実施の形態に係る反応装置10は、反応器12の反応器入口12aと熱交換器14の低温側出口14dとの間に圧縮機16を設けたので、混合流体30を昇圧するとともに、断熱圧縮により混合流体30の温度を上昇させることができる。反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口温度以上となるよう圧縮機16を動作させることにより、加熱器を不要とすることができるので、省エネルギーを図りエクセルギー損失を低減することができる。
【0032】
図2では、圧縮機16により混合流体30の温度が反応器12の入口温度以上になるよう構成したが、圧縮機16の前段または後段に加熱器を設け、混合流体30の昇温を圧縮機16と加熱器とで分担する構成としてもよい。この場合、加熱器の負荷を減らすことができるので、省エネルギーを図りエクセルギー損失を低減することができる。
【0033】
図3は、熱交換器における温度−エンタルピー線図を示す図である。図3において、横軸はエンタルピーを表し、縦軸は温度を表す。図3において、ヒートコンテントカーブ90は、熱交換器の高温側に供給される反応済流体のヒートコンテントカーブを示す。以下においては適宜、ヒートコンテントカーブ90を高温側ヒートコンテントカーブ90と呼ぶ。反応器の反応器入口に供給される混合流体の圧力、温度が等しいとすれば、反応器から熱交換器の高温側入口までの系は同じであるので、図1の水素化脱硫装置50と図2の反応装置10は、同じ高温側ヒートコンテントカーブ90となる。
【0034】
ヒートコンテントカーブ92は、図1に示す熱交換器56の低温側に供給される混合流体68のヒートコンテントカーブを示す。また、ヒートコンテントカーブ94は、図2に示す熱交換器14の低温側に供給される混合流体30のヒートコンテントカーブを示す。以下においては適宜、ヒートコンテントカーブ92、94を、それぞれ低温側ヒートコンテントカーブ92、94と呼ぶ。
【0035】
各ヒートコンテントカーブ90、92、94は、気液相から気相に変化する変化点90a、92a、94aをそれぞれ有する。図1に示す水素化脱硫装置50の場合、熱交換器56の低温側入口56cにおける混合流体68の圧力(2.2MPaG)が、高温側入口56aにおける反応済流体70の圧力(2.0MPaG)よりも高いので、図3に示すように、低温側ヒートコンテントカーブ92の変化点92aが高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aに比して、より高温で高エンタルピーの位置となる。
【0036】
熱交換器では、一般に、高温側と低温側の温度差を小さくして熱交換の能力を高めていくと、高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブが近づいていき、高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブとが接するまで近接させることができる。この高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブとが接した状態が、その熱交換器の熱交換効率が最も高い状態である。高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブの全体が一致した状態が、最も理想的な熱交換効率を実現する状態である。
【0037】
図1に示す水素化脱硫装置50の場合、上述したように、低温側ヒートコンテントカーブ92の変化点92aが高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aに比して、より高温で高エンタルピーの位置となっているので、高温側と低温側の温度差を小さくして熱交換器56の能力を上げていったときに、高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aと低温側ヒートコンテントカーブ92の気液相領域(ヒートコンテントカーブ92において、変化点92aよりもエンタルピーが低い領域)が接してしまい、それ以上熱交換器56の能力を上げても高温側ヒートコンテントカーブ90と低温側ヒートコンテントカーブ92を近接させることができない。つまり、熱交換器56の熱交換効率を高めるのに限界がある。
【0038】
本実施の形態に係る反応装置10では、熱交換器14の後段に圧縮機16を配置する構成としているので、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力(1.3MPaG)を、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力(2.0MPaG)よりも小さく設定することができる。これにより、図3の低温側ヒートコンテントカーブ94に示すように、低温側ヒートコンテントカーブ94の変化点94aの温度が高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aより低温となり、さらにこれら2つの変化点のエンタルピーがほぼ等しくなるので、低温側ヒートコンテントカーブ94を、高温側ヒートコンテントカーブ90と略平行な形状とすることができる。高温側ヒートコンテントカーブ90と低温側ヒートコンテントカーブ94を略平行な形状となるように熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力を、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力よりも小さく設定することにより、熱交換器14の能力を高めて高温側ヒートコンテントカーブ90と低温側ヒートコンテントカーブ94とをより近接させることができるので、熱交換器14の熱交換効率を高めることができる。
【0039】
このように、本実施の形態に係る反応装置10は、熱交換器14の熱交換効率を高めることができるので、熱交換器14を通過した反応済流体40の温度をより下げることができる。その結果、加熱器が不要となり、圧縮機による断熱圧縮による温度上昇で反応器入口温度以上とすることが可能となり、冷却器20の負荷が低減され、省エネルギーを図り、エクセルギー損失を低減することができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る反応装置10では、熱交換器14後段の圧縮機16により反応器12の入口圧力以上に昇圧する構成としているので、熱交換器14の低温側入口14cに供給される水素24を昇圧するための圧縮機(図1における圧縮機60)を不要とすることができる。本発明者によるシミュレーションでは、従来の水素化脱硫装置50での熱供給を100%とすると、第1の実施の形態に係る反応装置10での熱供給は20%となり、省エネルギー率は、80%となる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る反応装置100を示す図である。図4に示す反応装置100は、圧縮機16を反応器12の下流側に設けている点が第1の実施の形態に係る反応装置10と異なる。すなわち、図4に示すように、反応器12の反応器出口12bは、接続配管32を介して圧縮機16の圧縮機入口16aに接続されている。また、圧縮機16の圧縮機出口16bは、接続配管36を介して熱交換器14の高温側入口14aに接続されている。このように配設された圧縮機16は、反応器12より流出された反応済流体40を圧縮するとともに、断熱圧縮により反応済流体40の温度を上昇させる。また、反応装置100では、反応器12における入口圧力を確保するために、水素24を圧縮する圧縮機17が設けられている。
【0042】
以上のように構成された反応装置100の動作について説明する。ここでも、反応器12の入口温度が300℃、入口圧力が2MPaGである場合の動作について説明する。
【0043】
ポンプ18に供給されたナフサ22は、接続配管34において圧縮機17により圧力が高められた水素24と混合され、混合流体30として熱交換器14の低温側入口14cに供給される。熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力は、たとえば2.2MPaG程度、温度は27℃程度に設定する。
【0044】
熱交換器14に供給された混合流体30は、圧縮機16により昇圧および昇温された反応済流体40との熱交換により加熱され、低温側出口14dから流出される。たとえば、圧縮機16により反応済流体40が2.5MPaG程度に昇圧され、350℃程度に昇温された場合、混合流体30は熱交換により320℃程度に上昇する。
【0045】
その後、混合流体30は、反応器12に供給され、混合流体30中のナフサ22は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素25に転換されて脱硫される。脱硫反応によって生成された脱硫ナフサ23、硫化水素25および未反応水素26は、反応済流体40として反応器12の反応器出口12bから流出され、接続配管32を通って圧縮機16の圧縮機入口16aに供給される。反応済流体40は圧縮機16により昇圧されるとともに、断熱圧縮によりたとえば350℃程度に昇温される。圧縮機16により昇温された反応済流体40は、低温側入口14cに供給された混合流体30と熱交換を行い、冷却されて高温側出口14bより流出される。その後、エキスパンダー41にて反応済流体40の降圧による動力としてのエネルギー回収が行われる。その後の動作は、図2に示す反応装置10と同様である。
【0046】
このように、第2の実施の形態に係る反応装置100では、反応器12の下流側に圧縮機16を設けたので、反応器12から流出された反応済流体40を圧縮するとともに、断熱圧縮により反応済流体40の温度を上昇させることができる。熱交換器14の高温側入口14aに高温の反応済流体40を供給できるので、圧縮機16を設けない場合よりも混合流体30の温度を上昇させることができる。熱交換で混合流体30の温度が反応器12の入口温度以上となるよう圧縮機16を動作させることにより、加熱器を不要とすることができるので、エクセルギー損失を低減することができる。また、反応済流体40の降圧による動力としてのエネルギー回収ができるので、省エネルギーが図れる。
【0047】
第2の実施の形態に係る反応装置100では、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力は、反応器12の入口圧力によって決まり、熱交換器14の高温側入口14aに供給される反応済流体40を昇圧する構成としている。従って、第1の実施の形態に係る反応装置10と同じように、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力(2.2MPaG)を、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力(2.5MPaG)よりも小さく設定することができる。これにより、高温側ヒートコンテントカーブの変化点と、低温側ヒートコンテントカーブの変化点とのエンタルピーの差分が小さくなり、高温側ヒートコンテントカーブを、低温側ヒートコンテントカーブと略平行な形状とすることができる。低温側ヒートコンテントカーブと高温側ヒートコンテントカーブを略平行な形状となるように、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力を高めて熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力を高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力よりも小さく設定することにより、熱交換器14の能力を高めて低温側ヒートコンテントカーブと高温側ヒートコンテントカーブとをより近接させることができるので、熱交換器14の熱交換効率を高めることができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図5は、第3の実施の形態に係る反応装置200を示す図である。図5に示す反応装置200は、灯油210を水素化脱硫するための水素化脱硫装置である。反応装置200は、圧縮機16に代えて、反応器12と熱交換器14との間に昇温部220が設けられている点が、第1の実施の形態に係る反応装置10と異なる。
【0049】
昇温部220は、気液分離器212と、圧縮機214と、ポンプ216と、を備える。気液分離器212の入口212aは、接続配管35を介して熱交換器14の低温側出口14dに接続されている。
【0050】
気液分離器212の気体出口212bは、接続配管218を介して圧縮機214の圧縮機入口214aに接続されている。圧縮機214の圧縮機出口214bは、接続配管29を介して反応器12の反応器入口12aに接続されている。一方、気液分離器212の液体出口212cは、接続配管222を介してポンプ216の入口216aに接続されている。ポンプ216の出口216bは、接続配管224を介して接続配管29に接続されている。
【0051】
以上のように構成された反応装置200の動作について説明する。ここでは、反応器12の入口温度が284℃、入口圧力が4.3MPaGである場合の動作について説明する。
【0052】
ポンプ18に供給された灯油210は、接続配管34において圧縮機17により昇圧された水素24と混合され、混合流体230として熱交換器14の低温側入口14cに供給される。熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体230の圧力は、たとえば3.5MPaG程度、温度は38℃程度に設定する。
【0053】
熱交換器14に供給された混合流体230は、反応器12から熱交換器14の高温側入口14aに供給された反応済流体240との熱交換により加熱され、低温側出口14dから流出される。熱交換器14の高温側入口14aにおける反応済流体240の温度が289℃程度とすると、熱交換器14の低温側出口14dにおける混合流体230の温度は熱交換により280℃程度に上昇する。この熱交換器14の低温側出口14dにおいて、混合流体230は、気体の水素24と液体の灯油210が混合された状態にある。
【0054】
熱交換器14により加熱された混合流体230は、気液分離器212の入口212aに供給される。気液分離器212は、混合流体230を、気体の水素24と液体の灯油210とに分離する。
【0055】
気液分離器212にて分離された水素24は、接続配管218を介して圧縮機214に供給される。圧縮機214により、水素24は昇圧されるとともに、断熱圧縮により温度が290℃程度に上昇される。一方、気液分離器212にて分離された灯油210は、接続配管222を介してポンプ216に供給される。ポンプ216により加圧された温度281℃程度の灯油210は、接続配管224を介して接続配管29に供給され、そこで圧縮機214から流出された水素24と混合され、温度が284℃の混合流体230として反応器12に供給される。
【0056】
反応器12において、混合流体230中の灯油210は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素25に転換されて脱硫される。脱硫反応によって生成された脱硫灯油250、硫化水素25および未反応水素26は、圧力4.0MPaG、温度289℃の反応済流体240として反応器12の反応器出口12bから流出され、接続配管32を通って熱交換器14の高温側入口14aに供給される。
【0057】
熱交換器14に供給された反応済流体240は、低温側入口14cに供給された混合流体230と熱交換が行われ、冷却されて高温側出口14bより流出される。たとえば、高温側出口14bにおける反応済流体240の温度は、52℃程度まで冷却される。
【0058】
熱交換器14の高温側出口14bから流出された反応済流体240は、接続配管33を通って冷却器20の冷却器入口20aに供給される。冷却器20において反応済流体240はさらに冷却される。その後、反応済流体240は、気液分離器260にて脱硫灯油250、硫化水素25、未反応水素26が分離される。硫化水素25は、たとえば接続配管270への注入水に溶解させ、気液分離器260から脱硫灯油250とは別に流出される。分離された脱硫灯油250は、次工程に送られ、未反応水素26は、再び脱硫に用いられる。
【0059】
このように、第3の実施の形態に係る反応装置200では、反応器12の反応器入口12aと熱交換器14の低温側出口14dとの間に昇温部220を設けたので、混合流体230に液体である灯油210と気体である水素24が混在する場合であっても、混合流体230の温度を上昇させることができる。従来、灯油の脱硫装置では、熱交換器の後段に加熱器を設け、灯油と水素の混合流体を加熱して反応器に供給する構成であったが、反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口温度以上となるよう昇温部220を動作させることにより、加熱器を不要とすることができるので、省エネルギーとエクセルギー損失を低減することができる。本発明者によるシミュレーションでは、熱交換器の後段に加熱器を用いた従来の装置での熱供給を100%とすると、第3の実施の形態に係る反応装置200での熱供給は17%となり、省エネルギー率は、83%となる。
【0060】
図5では、昇温部220により混合流体230の温度が反応器12の入口温度以上になるよう構成したが、昇温部220の前段または後段に加熱器を設け、混合流体230の昇温を昇温部220と加熱器とで分担する構成としてもよい。この場合、加熱器の負荷を減らすことができるので、省エネルギーとエクセルギー損失を低減することができる。
【0061】
第3の実施の形態に係る反応装置200では、熱交換器14の後段に昇温部220を設ける構成としているので、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体230の圧力(3.5MPaG)を、高温側入口14aにおける反応済流体240の圧力(4.0MPaG)よりも小さく設定することができる。これにより、低温側ヒートコンテントカーブを、高温側ヒートコンテントカーブと略平行な形状とすることができる。低温側ヒートコンテントカーブと高温側ヒートコンテントカーブを略平行な形状となるように、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体230の圧力を、高温側入口14aにおける反応済流体240の圧力よりも小さく設定することにより、熱交換器14の能力を高めて高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブとをより近接させることができるので、熱交換器14の熱交換効率を高めることができる。
【0062】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
上述の実施の形態では、反応装置を炭化水素系原料のナフサと灯油の水素化脱硫装置として用いる場合の実施の形態について説明したが、上述の実施の形態に係る反応装置は、反応器において高温、高圧条件で反応を行う処理であれば、どのような原料に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来の水素化脱硫装置を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る反応装置を示す図である。
【図3】熱交換器における温度−エンタルピー線図を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る反応装置を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る反応装置を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10、100、200 反応装置、 12 反応器、 14 熱交換器、 16 圧縮機、 56 熱交換器、 60 圧縮機、 68 混合流体、 70 反応済流体、 30 混合流体、 40 反応済流体、 212 気液分離器、 220 昇温部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器において原料と反応ガスとを反応させる反応装置に関し、特にナフサ等を水素ガスと反応させて水素化脱硫する反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原油を蒸留分離して得られるナフサは、硫黄分を含有している。通常、ナフサ中の硫黄分は、自動車排ガスを完全燃焼させるマフラー触媒、または水素製造における水蒸気改質触媒を被毒させる原因となったり、燃焼時に有害なガス(SOx)を発生させて大気汚染の原因となるため、脱硫処理が施される。このナフサの脱硫処理には、硫黄分を含むナフサを触媒の存在下で水素と反応させてガス状の硫化水素として脱硫する水素化脱硫装置が用いられる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、従来の水素化脱硫装置を説明するための図である。図1に示すように、水素化脱硫装置50に供給されたナフサ64は、ポンプ58によって昇圧された後、圧縮機60により圧縮された水素66と混合されて熱交換器56の低温側入口56cに供給される。ナフサ64と水素66の混合流体68の圧力は、脱硫反応器52での脱硫反応に必要とされる入口圧力以上の圧力、たとえば2.2MPaG程度とされる。
【0004】
熱交換器56において、混合流体68は、脱硫反応器52から高温側入口56aに供給された反応済流体70との熱交換により加熱される。熱交換器56で加熱された混合流体68は、ほぼ全量がガスがされて、その後、加熱器54に供給され、脱硫反応器52における脱硫反応に必要な入口温度以上の温度、たとえば300℃以上に加熱される。
【0005】
加熱器54から流出された混合流体68は、脱硫反応器52に供給され、混合流体68中のナフサ64は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素に転換されて脱硫される。脱硫反応器52から流出された脱硫ナフサ、硫化水素および未反応水素を含む反応済流体70は、熱交換器56で脱硫前の混合流体68と熱交換して冷却後、さらに冷却器62により所定温度まで冷却される。
【0006】
その後、反応済流体70は、図示しない気液分離器に送られ、液体のナフサと、気体の硫化水素および水素とが分離される。このようにして脱硫されたナフサは、次の工程に送られる。
【特許文献1】特開2007−238832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の水素化脱硫装置では、ナフサと水素を脱硫反応に必要な入口温度まで加熱するために加熱器を用いており、加熱器で混合流体に与えた熱量と同程度の熱量が冷却器にて反応済流体から系外に排出されている。さらに、この加熱器は、エクセルギー率の高い化学エネルギーである燃料を燃焼して、エクセルギー率の低い数百度程度の熱エネルギーに変換しており、大きなエクセルギー損失が発生している。
【0008】
本発明は、こうした状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、反応装置の省エネルギーを図るとともに、系全体のエクセルギー損失を低減できる反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の反応装置は、原料と、原料と反応する反応ガスとが混合された混合流体の供給を受け、原料と反応ガスとを反応させて反応済流体を出力する反応器と、反応器からの反応済流体と、混合流体との間で熱交換を行う熱交換器と、反応器と熱交換器との間に設けられ、混合流体または反応済流体を昇圧する圧縮機を備える。
【0010】
この態様によると、反応器と熱交換器との間に圧縮機を設け、混合流体または反応済流体を昇圧する構成としたので、混合流体と反応済流体のヒートコンテントカーブを略平行にすることが可能となり、熱交換器での現実的な熱交換量を増加させることにより、加熱器での熱供給を低減または不要とすることができる。さらに、圧縮機の断熱圧縮による温度上昇を利用することにより、省エネルギーを図り、エクセルギー損失が多くなる系での加熱器の負荷を減らすことができるので、エクセルギー損失を低減することができる。
【0011】
圧縮機は、反応器の上流側に設けられ、混合流体を昇圧することにより、混合流体の温度を上昇させてもよい。また、圧縮機は、反応器の上流側に設けられ、混合流体を昇圧することにより、混合流体の温度を反応器での反応に必要な所定の入口温度以上に上昇させてもよい。この場合、加熱器を用いずに反応装置を構成できるので、省エネルギーを図りエクセルギー損失の低減を図ることができる。
【0012】
圧縮機は、反応器の下流側に設けられ、反応済流体を昇圧することにより、反応済流体の温度を上昇させてもよい。また、熱交換器の混合流体出口の温度を反応器での反応に必要な所定の入口温度以上に上昇させてもよく、熱交換器を出た反応済流体を降圧しエキスパンダー等で動力回収することで、省エネルギーを図りエクセルギー損失を低減することができる。
【0013】
熱交換器に供給される混合流体の圧力を、熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定してもよい。また、温度−エンタルピー線図において、熱交換器に供給される混合流体のヒートコンテントカーブと、熱交換器に供給される反応済流体のヒートコンテントカーブとが略平行な形状となるように、熱交換器に供給される混合流体の圧力を、熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定してもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、省エネルギーを図り、エクセルギー損失を低減することが可能な反応装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る反応装置10を示す図である。ここでは、反応装置10を、ナフサを水素化脱硫する水素化脱硫装置として用いる例について説明する。図2に示すように、反応装置10は、反応器12と、熱交換器14と、圧縮機16と、ポンプ18と、冷却器20とを備える。
【0017】
反応器12は、反応器入口12aに接続された接続配管29を介して原料としてのナフサ22と、ナフサ22中の硫黄分と反応する反応ガスとしての水素24とが混合された混合流体30の供給を受ける。反応器12中には、ニッケル、コバルト、モリブデンなどの触媒金属をアルミナに担持した触媒が充填されている。反応器12内に導入された混合流体30中のナフサ22は、触媒の存在下、硫黄分が水素24と反応して硫化水素に転換され、脱硫される。脱硫ナフサ23、硫化水素25および未反応水素26を含む反応済流体40は、反応器12の反応器出口12bから流出される。
【0018】
熱交換器14は、反応器12からの反応済流体40と、脱硫前の混合流体30との間で熱交換を行う。熱交換器14の高温側入口14aは、接続配管32を介して反応器12の反応器出口12bと接続されている。また、熱交換器14の高温側出口14bは、接続配管33を介して冷却器20の冷却器入口20aと接続されている。
【0019】
一方、熱交換器14の低温側入口14cには、接続配管34が接続されている。熱交換器14の低温側入口14cには、接続配管34を介してポンプ18で昇圧された脱硫前のナフサ22と水素24の混合流体30が供給される。また、熱交換器14の低温側出口14dには、接続配管35が接続され、反応済流体40との熱交換により加熱された混合流体30が流出される。なお、本明細書では、流体が熱交換器14の高温側入口14aから供給されて高温側出口14bから流出されることを「高温側」と呼び、流体が低温側入口14cから供給されて低温側出口14dから流出されることを「低温側」と呼ぶ。
【0020】
冷却器20は、熱交換器14での熱交換にて冷却された反応済流体40の供給を受け、反応済流体40をさらに冷却して冷却器出口20bより流出する。冷却器出口20bには、接続配管37の一端が接続され、冷却により凝縮された脱硫ナフサ23を含む反応済流体40が流出される。
【0021】
接続配管37の他端は、図示しない気液分離器に接続され、脱硫ナフサ23と、硫化水素25および未反応水素26とが分離される。分離された脱硫ナフサ23は、次工程に送られる。
【0022】
圧縮機16は、反応器12と熱交換器14の間に設けられる。第1の実施の形態では、圧縮機16は、反応器12の上流側に設けられる。すなわち、図2に示すように、圧縮機16の圧縮機入口16aは、接続配管35を介して熱交換器14の低温側出口14dと接続される。また、圧縮機16の圧縮機出口16bは、接続配管29を介して反応器12の反応器入口12aに接続される。
【0023】
このように配設された圧縮機16は、混合流体30を反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口圧力以上に昇圧する。入口圧力は、たとえば2.0MPaG程度である。この圧縮機16による昇圧にともなって、混合流体30の温度は、断熱圧縮により上昇する。圧縮機16は、混合流体30の温度が反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口温度以上に上昇するように、混合流体30を圧縮する。反応器12の入口温度は、たとえば300℃程度である。
【0024】
以上のように構成された反応装置10の動作について説明する。ここでは、反応器12の入口温度が300℃、入口圧力が2MPaGとして説明する。
【0025】
ポンプ18に供給されたナフサ22は、接続配管34において水素24と混合され、混合流体30として熱交換器14の低温側入口14cに供給される。熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力は、たとえば1.3MPaG程度、温度は24℃程度に設定する。
【0026】
熱交換器14に供給された混合流体30は、反応器12から熱交換器14の高温側入口14aに供給された反応済流体40との熱交換により加熱され、低温側出口14dから流出される。熱交換器14の高温側入口14aにおける反応済流体40の温度が300℃程度とすると、熱交換器14の低温側出口14dにおける混合流体30の温度は熱交換により286℃程度に上昇する。
【0027】
熱交換器14により加熱された混合流体30は、圧縮機16の圧縮機入口16aに供給される。圧縮機16により、混合流体30は、圧力が出口圧力2.0MPaG以上となるように圧縮されるとともに、断熱圧縮により温度が出口温度300℃以上に上昇される。
【0028】
その後、混合流体30は、反応器12に供給され、混合流体30中のナフサ22は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素25に転換されて脱硫される。脱硫反応によって生成された脱硫ナフサ23、硫化水素25および未反応水素26は、反応済流体40として反応器12の反応器出口12bから流出され、接続配管32を通って熱交換器14の高温側入口14aに供給される。
【0029】
熱交換器14に供給された反応済流体40は、低温側入口14cに供給された混合流体30と熱交換が行われ、冷却されて高温側出口14bより流出される。たとえば、高温側出口14bにおける反応済流体40の温度は37℃程度まで冷却される。
【0030】
熱交換器14の高温側出口14bから流出された反応済流体40は、接続配管33を通って冷却器20の冷却器入口20aに供給される。冷却器20において反応済流体40はさらに冷却される。その後、反応済流体40は、気液分離器にて脱硫ナフサ23と、硫化水素25および未反応水素26とが分離される。分離された脱硫ナフサ23は、次工程に送られ、硫化水素25と未反応水素26は、硫化水素除去装置にて硫化水素25が除去される。
【0031】
このように、第1の実施の形態に係る反応装置10は、反応器12の反応器入口12aと熱交換器14の低温側出口14dとの間に圧縮機16を設けたので、混合流体30を昇圧するとともに、断熱圧縮により混合流体30の温度を上昇させることができる。反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口温度以上となるよう圧縮機16を動作させることにより、加熱器を不要とすることができるので、省エネルギーを図りエクセルギー損失を低減することができる。
【0032】
図2では、圧縮機16により混合流体30の温度が反応器12の入口温度以上になるよう構成したが、圧縮機16の前段または後段に加熱器を設け、混合流体30の昇温を圧縮機16と加熱器とで分担する構成としてもよい。この場合、加熱器の負荷を減らすことができるので、省エネルギーを図りエクセルギー損失を低減することができる。
【0033】
図3は、熱交換器における温度−エンタルピー線図を示す図である。図3において、横軸はエンタルピーを表し、縦軸は温度を表す。図3において、ヒートコンテントカーブ90は、熱交換器の高温側に供給される反応済流体のヒートコンテントカーブを示す。以下においては適宜、ヒートコンテントカーブ90を高温側ヒートコンテントカーブ90と呼ぶ。反応器の反応器入口に供給される混合流体の圧力、温度が等しいとすれば、反応器から熱交換器の高温側入口までの系は同じであるので、図1の水素化脱硫装置50と図2の反応装置10は、同じ高温側ヒートコンテントカーブ90となる。
【0034】
ヒートコンテントカーブ92は、図1に示す熱交換器56の低温側に供給される混合流体68のヒートコンテントカーブを示す。また、ヒートコンテントカーブ94は、図2に示す熱交換器14の低温側に供給される混合流体30のヒートコンテントカーブを示す。以下においては適宜、ヒートコンテントカーブ92、94を、それぞれ低温側ヒートコンテントカーブ92、94と呼ぶ。
【0035】
各ヒートコンテントカーブ90、92、94は、気液相から気相に変化する変化点90a、92a、94aをそれぞれ有する。図1に示す水素化脱硫装置50の場合、熱交換器56の低温側入口56cにおける混合流体68の圧力(2.2MPaG)が、高温側入口56aにおける反応済流体70の圧力(2.0MPaG)よりも高いので、図3に示すように、低温側ヒートコンテントカーブ92の変化点92aが高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aに比して、より高温で高エンタルピーの位置となる。
【0036】
熱交換器では、一般に、高温側と低温側の温度差を小さくして熱交換の能力を高めていくと、高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブが近づいていき、高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブとが接するまで近接させることができる。この高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブとが接した状態が、その熱交換器の熱交換効率が最も高い状態である。高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブの全体が一致した状態が、最も理想的な熱交換効率を実現する状態である。
【0037】
図1に示す水素化脱硫装置50の場合、上述したように、低温側ヒートコンテントカーブ92の変化点92aが高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aに比して、より高温で高エンタルピーの位置となっているので、高温側と低温側の温度差を小さくして熱交換器56の能力を上げていったときに、高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aと低温側ヒートコンテントカーブ92の気液相領域(ヒートコンテントカーブ92において、変化点92aよりもエンタルピーが低い領域)が接してしまい、それ以上熱交換器56の能力を上げても高温側ヒートコンテントカーブ90と低温側ヒートコンテントカーブ92を近接させることができない。つまり、熱交換器56の熱交換効率を高めるのに限界がある。
【0038】
本実施の形態に係る反応装置10では、熱交換器14の後段に圧縮機16を配置する構成としているので、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力(1.3MPaG)を、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力(2.0MPaG)よりも小さく設定することができる。これにより、図3の低温側ヒートコンテントカーブ94に示すように、低温側ヒートコンテントカーブ94の変化点94aの温度が高温側ヒートコンテントカーブ90の変化点90aより低温となり、さらにこれら2つの変化点のエンタルピーがほぼ等しくなるので、低温側ヒートコンテントカーブ94を、高温側ヒートコンテントカーブ90と略平行な形状とすることができる。高温側ヒートコンテントカーブ90と低温側ヒートコンテントカーブ94を略平行な形状となるように熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力を、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力よりも小さく設定することにより、熱交換器14の能力を高めて高温側ヒートコンテントカーブ90と低温側ヒートコンテントカーブ94とをより近接させることができるので、熱交換器14の熱交換効率を高めることができる。
【0039】
このように、本実施の形態に係る反応装置10は、熱交換器14の熱交換効率を高めることができるので、熱交換器14を通過した反応済流体40の温度をより下げることができる。その結果、加熱器が不要となり、圧縮機による断熱圧縮による温度上昇で反応器入口温度以上とすることが可能となり、冷却器20の負荷が低減され、省エネルギーを図り、エクセルギー損失を低減することができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る反応装置10では、熱交換器14後段の圧縮機16により反応器12の入口圧力以上に昇圧する構成としているので、熱交換器14の低温側入口14cに供給される水素24を昇圧するための圧縮機(図1における圧縮機60)を不要とすることができる。本発明者によるシミュレーションでは、従来の水素化脱硫装置50での熱供給を100%とすると、第1の実施の形態に係る反応装置10での熱供給は20%となり、省エネルギー率は、80%となる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る反応装置100を示す図である。図4に示す反応装置100は、圧縮機16を反応器12の下流側に設けている点が第1の実施の形態に係る反応装置10と異なる。すなわち、図4に示すように、反応器12の反応器出口12bは、接続配管32を介して圧縮機16の圧縮機入口16aに接続されている。また、圧縮機16の圧縮機出口16bは、接続配管36を介して熱交換器14の高温側入口14aに接続されている。このように配設された圧縮機16は、反応器12より流出された反応済流体40を圧縮するとともに、断熱圧縮により反応済流体40の温度を上昇させる。また、反応装置100では、反応器12における入口圧力を確保するために、水素24を圧縮する圧縮機17が設けられている。
【0042】
以上のように構成された反応装置100の動作について説明する。ここでも、反応器12の入口温度が300℃、入口圧力が2MPaGである場合の動作について説明する。
【0043】
ポンプ18に供給されたナフサ22は、接続配管34において圧縮機17により圧力が高められた水素24と混合され、混合流体30として熱交換器14の低温側入口14cに供給される。熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力は、たとえば2.2MPaG程度、温度は27℃程度に設定する。
【0044】
熱交換器14に供給された混合流体30は、圧縮機16により昇圧および昇温された反応済流体40との熱交換により加熱され、低温側出口14dから流出される。たとえば、圧縮機16により反応済流体40が2.5MPaG程度に昇圧され、350℃程度に昇温された場合、混合流体30は熱交換により320℃程度に上昇する。
【0045】
その後、混合流体30は、反応器12に供給され、混合流体30中のナフサ22は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素25に転換されて脱硫される。脱硫反応によって生成された脱硫ナフサ23、硫化水素25および未反応水素26は、反応済流体40として反応器12の反応器出口12bから流出され、接続配管32を通って圧縮機16の圧縮機入口16aに供給される。反応済流体40は圧縮機16により昇圧されるとともに、断熱圧縮によりたとえば350℃程度に昇温される。圧縮機16により昇温された反応済流体40は、低温側入口14cに供給された混合流体30と熱交換を行い、冷却されて高温側出口14bより流出される。その後、エキスパンダー41にて反応済流体40の降圧による動力としてのエネルギー回収が行われる。その後の動作は、図2に示す反応装置10と同様である。
【0046】
このように、第2の実施の形態に係る反応装置100では、反応器12の下流側に圧縮機16を設けたので、反応器12から流出された反応済流体40を圧縮するとともに、断熱圧縮により反応済流体40の温度を上昇させることができる。熱交換器14の高温側入口14aに高温の反応済流体40を供給できるので、圧縮機16を設けない場合よりも混合流体30の温度を上昇させることができる。熱交換で混合流体30の温度が反応器12の入口温度以上となるよう圧縮機16を動作させることにより、加熱器を不要とすることができるので、エクセルギー損失を低減することができる。また、反応済流体40の降圧による動力としてのエネルギー回収ができるので、省エネルギーが図れる。
【0047】
第2の実施の形態に係る反応装置100では、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力は、反応器12の入口圧力によって決まり、熱交換器14の高温側入口14aに供給される反応済流体40を昇圧する構成としている。従って、第1の実施の形態に係る反応装置10と同じように、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力(2.2MPaG)を、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力(2.5MPaG)よりも小さく設定することができる。これにより、高温側ヒートコンテントカーブの変化点と、低温側ヒートコンテントカーブの変化点とのエンタルピーの差分が小さくなり、高温側ヒートコンテントカーブを、低温側ヒートコンテントカーブと略平行な形状とすることができる。低温側ヒートコンテントカーブと高温側ヒートコンテントカーブを略平行な形状となるように、高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力を高めて熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体30の圧力を高温側入口14aにおける反応済流体40の圧力よりも小さく設定することにより、熱交換器14の能力を高めて低温側ヒートコンテントカーブと高温側ヒートコンテントカーブとをより近接させることができるので、熱交換器14の熱交換効率を高めることができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図5は、第3の実施の形態に係る反応装置200を示す図である。図5に示す反応装置200は、灯油210を水素化脱硫するための水素化脱硫装置である。反応装置200は、圧縮機16に代えて、反応器12と熱交換器14との間に昇温部220が設けられている点が、第1の実施の形態に係る反応装置10と異なる。
【0049】
昇温部220は、気液分離器212と、圧縮機214と、ポンプ216と、を備える。気液分離器212の入口212aは、接続配管35を介して熱交換器14の低温側出口14dに接続されている。
【0050】
気液分離器212の気体出口212bは、接続配管218を介して圧縮機214の圧縮機入口214aに接続されている。圧縮機214の圧縮機出口214bは、接続配管29を介して反応器12の反応器入口12aに接続されている。一方、気液分離器212の液体出口212cは、接続配管222を介してポンプ216の入口216aに接続されている。ポンプ216の出口216bは、接続配管224を介して接続配管29に接続されている。
【0051】
以上のように構成された反応装置200の動作について説明する。ここでは、反応器12の入口温度が284℃、入口圧力が4.3MPaGである場合の動作について説明する。
【0052】
ポンプ18に供給された灯油210は、接続配管34において圧縮機17により昇圧された水素24と混合され、混合流体230として熱交換器14の低温側入口14cに供給される。熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体230の圧力は、たとえば3.5MPaG程度、温度は38℃程度に設定する。
【0053】
熱交換器14に供給された混合流体230は、反応器12から熱交換器14の高温側入口14aに供給された反応済流体240との熱交換により加熱され、低温側出口14dから流出される。熱交換器14の高温側入口14aにおける反応済流体240の温度が289℃程度とすると、熱交換器14の低温側出口14dにおける混合流体230の温度は熱交換により280℃程度に上昇する。この熱交換器14の低温側出口14dにおいて、混合流体230は、気体の水素24と液体の灯油210が混合された状態にある。
【0054】
熱交換器14により加熱された混合流体230は、気液分離器212の入口212aに供給される。気液分離器212は、混合流体230を、気体の水素24と液体の灯油210とに分離する。
【0055】
気液分離器212にて分離された水素24は、接続配管218を介して圧縮機214に供給される。圧縮機214により、水素24は昇圧されるとともに、断熱圧縮により温度が290℃程度に上昇される。一方、気液分離器212にて分離された灯油210は、接続配管222を介してポンプ216に供給される。ポンプ216により加圧された温度281℃程度の灯油210は、接続配管224を介して接続配管29に供給され、そこで圧縮機214から流出された水素24と混合され、温度が284℃の混合流体230として反応器12に供給される。
【0056】
反応器12において、混合流体230中の灯油210は、触媒の存在下、硫黄分が硫化水素25に転換されて脱硫される。脱硫反応によって生成された脱硫灯油250、硫化水素25および未反応水素26は、圧力4.0MPaG、温度289℃の反応済流体240として反応器12の反応器出口12bから流出され、接続配管32を通って熱交換器14の高温側入口14aに供給される。
【0057】
熱交換器14に供給された反応済流体240は、低温側入口14cに供給された混合流体230と熱交換が行われ、冷却されて高温側出口14bより流出される。たとえば、高温側出口14bにおける反応済流体240の温度は、52℃程度まで冷却される。
【0058】
熱交換器14の高温側出口14bから流出された反応済流体240は、接続配管33を通って冷却器20の冷却器入口20aに供給される。冷却器20において反応済流体240はさらに冷却される。その後、反応済流体240は、気液分離器260にて脱硫灯油250、硫化水素25、未反応水素26が分離される。硫化水素25は、たとえば接続配管270への注入水に溶解させ、気液分離器260から脱硫灯油250とは別に流出される。分離された脱硫灯油250は、次工程に送られ、未反応水素26は、再び脱硫に用いられる。
【0059】
このように、第3の実施の形態に係る反応装置200では、反応器12の反応器入口12aと熱交換器14の低温側出口14dとの間に昇温部220を設けたので、混合流体230に液体である灯油210と気体である水素24が混在する場合であっても、混合流体230の温度を上昇させることができる。従来、灯油の脱硫装置では、熱交換器の後段に加熱器を設け、灯油と水素の混合流体を加熱して反応器に供給する構成であったが、反応器12での脱硫反応に必要な所定の入口温度以上となるよう昇温部220を動作させることにより、加熱器を不要とすることができるので、省エネルギーとエクセルギー損失を低減することができる。本発明者によるシミュレーションでは、熱交換器の後段に加熱器を用いた従来の装置での熱供給を100%とすると、第3の実施の形態に係る反応装置200での熱供給は17%となり、省エネルギー率は、83%となる。
【0060】
図5では、昇温部220により混合流体230の温度が反応器12の入口温度以上になるよう構成したが、昇温部220の前段または後段に加熱器を設け、混合流体230の昇温を昇温部220と加熱器とで分担する構成としてもよい。この場合、加熱器の負荷を減らすことができるので、省エネルギーとエクセルギー損失を低減することができる。
【0061】
第3の実施の形態に係る反応装置200では、熱交換器14の後段に昇温部220を設ける構成としているので、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体230の圧力(3.5MPaG)を、高温側入口14aにおける反応済流体240の圧力(4.0MPaG)よりも小さく設定することができる。これにより、低温側ヒートコンテントカーブを、高温側ヒートコンテントカーブと略平行な形状とすることができる。低温側ヒートコンテントカーブと高温側ヒートコンテントカーブを略平行な形状となるように、熱交換器14の低温側入口14cにおける混合流体230の圧力を、高温側入口14aにおける反応済流体240の圧力よりも小さく設定することにより、熱交換器14の能力を高めて高温側ヒートコンテントカーブと低温側ヒートコンテントカーブとをより近接させることができるので、熱交換器14の熱交換効率を高めることができる。
【0062】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
上述の実施の形態では、反応装置を炭化水素系原料のナフサと灯油の水素化脱硫装置として用いる場合の実施の形態について説明したが、上述の実施の形態に係る反応装置は、反応器において高温、高圧条件で反応を行う処理であれば、どのような原料に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来の水素化脱硫装置を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る反応装置を示す図である。
【図3】熱交換器における温度−エンタルピー線図を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る反応装置を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る反応装置を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10、100、200 反応装置、 12 反応器、 14 熱交換器、 16 圧縮機、 56 熱交換器、 60 圧縮機、 68 混合流体、 70 反応済流体、 30 混合流体、 40 反応済流体、 212 気液分離器、 220 昇温部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料と、前記原料と反応する反応ガスとが混合された混合流体の供給を受け、前記原料と前記反応ガスとを反応させて反応済流体を出力する反応器と、
前記反応器からの反応済流体と、前記混合流体との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記反応器と前記熱交換器との間に設けられ、前記混合流体または前記反応済流体を昇圧する圧縮機と、
を備えることを特徴とする反応装置。
【請求項2】
前記圧縮機は、前記反応器の上流側に設けられ、前記混合流体を昇圧することにより、前記混合流体の温度を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記圧縮機は、前記反応器の上流側に設けられ、前記混合流体を昇圧することにより、前記混合流体の温度を前記反応器での反応に必要な所定の入口温度以上に上昇させることを特徴とする請求項1または2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記圧縮機は、前記反応器の下流側に設けられ、前記反応済流体を昇圧することにより、前記反応済流体の温度を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項5】
昇圧された前記反応済流体を前記熱交換器で熱交換後、降圧し動力としてエネルギー回収することを特徴とする請求項4に記載の反応装置。
【請求項6】
前記熱交換器に供給される混合流体の圧力を、前記熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の反応装置。
【請求項7】
温度−エンタルピー線図において、前記熱交換器に供給される混合流体のヒートコンテントカーブと、前記熱交換器に供給される反応済流体のヒートコンテントカーブとが略平行な形状となるように、前記熱交換器に供給される混合流体の圧力を、前記熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の反応装置。
【請求項1】
原料と、前記原料と反応する反応ガスとが混合された混合流体の供給を受け、前記原料と前記反応ガスとを反応させて反応済流体を出力する反応器と、
前記反応器からの反応済流体と、前記混合流体との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記反応器と前記熱交換器との間に設けられ、前記混合流体または前記反応済流体を昇圧する圧縮機と、
を備えることを特徴とする反応装置。
【請求項2】
前記圧縮機は、前記反応器の上流側に設けられ、前記混合流体を昇圧することにより、前記混合流体の温度を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記圧縮機は、前記反応器の上流側に設けられ、前記混合流体を昇圧することにより、前記混合流体の温度を前記反応器での反応に必要な所定の入口温度以上に上昇させることを特徴とする請求項1または2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記圧縮機は、前記反応器の下流側に設けられ、前記反応済流体を昇圧することにより、前記反応済流体の温度を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項5】
昇圧された前記反応済流体を前記熱交換器で熱交換後、降圧し動力としてエネルギー回収することを特徴とする請求項4に記載の反応装置。
【請求項6】
前記熱交換器に供給される混合流体の圧力を、前記熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の反応装置。
【請求項7】
温度−エンタルピー線図において、前記熱交換器に供給される混合流体のヒートコンテントカーブと、前記熱交換器に供給される反応済流体のヒートコンテントカーブとが略平行な形状となるように、前記熱交換器に供給される混合流体の圧力を、前記熱交換器に供給される反応済流体の圧力よりも低く設定したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の反応装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−95802(P2009−95802A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271547(P2007−271547)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 化学工学会 第39回秋季大会 研究発表講演要旨集 CD−ROM 平成19年8月13日 発行
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構、「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー使用合理化技術実用化開発/コプロダクション設計手法開発と設計支援ツールの研究開発」に係る共同研究業務及び委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 化学工学会 第39回秋季大会 研究発表講演要旨集 CD−ROM 平成19年8月13日 発行
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構、「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー使用合理化技術実用化開発/コプロダクション設計手法開発と設計支援ツールの研究開発」に係る共同研究業務及び委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
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