説明

反芻動物用飼料組成物、反芻動物の食餌を補う方法、および反芻動物用飼料組成物を製造する方法

反芻動物用飼料組成物であって、少なくとも1つの活性物質を有する粒状コア、並びに該コアを取り囲む少なくとも1つのコーティング材料の層であって、該コーティング材料が植物油及び改質剤を含む、コーティング材料の層を有する、組成物。改質剤はステアリン酸、オレイン酸、レシチン及びパーム油を含む。反芻動物用飼料組成物を製造する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、反芻動物用の粒状栄養補助飼料に関する。特に、本開示は、生理活性物質が反芻動物の第一胃において安定であり、第四胃及びその後の消化管において消化吸収される反芻動物用の粒状栄養補助飼料を提供する。該粒状栄養補助飼料を製造する方法及び使用する方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
反芻動物は、形態学的に異なる4つの区画(第一胃、第二胃、第三胃及び第四胃)に分かれた胃を有する反芻亜目の哺乳動物である。第一胃及び第二胃は食道の末端部から派生したものであり、第三胃及び第四胃のみが本当の胃であると見なされる。第一胃内に存在する細菌は、反芻動物が草のようなセルロース物質を消化することを可能にする。通常の消化は第四胃(「真の胃」と呼ばれることもある)内で起こる。反芻動物としてはウシ、ヒツジ及びヤギがよく知られている。
【0003】
第一胃は基本的に連続した発酵槽であり、反芻動物が通常のライフサイクルの一環として摂取した飼料(feedstuffs)の大部分に作用し(attack)、消化する様々な微生物を中性条件下に維持している。摂取されたタンパク物質は第一胃内で、微生物によって栄養素として使用される可溶性ペプチド及びアミノ酸へと分解される。微生物細胞を多く含んだ摂取物の流れは、第一胃を出て第三胃へと入る。第三胃の機能は液体と固体とを分離することである。この液体の大部分が第一胃に再び入り、物質の残りが第四胃へと入る。次いで、第四胃において単胃動物に見られるものと同様の方法で消化吸収が進められる。第四胃の内腔に分泌される酵素によって、物質の大部分(微生物細胞を含む)が消化される。消化された微生物細胞から反芻動物にタンパク質及びアミノ酸が供給される。
【0004】
第一胃の微生物作用には、宿主にとって直接的な栄養価を有しない多くの飼料成分を、宿主が同化し、利用することが可能な生成物へと変換することができるという大きな利点がある。例えば尿素は、後に宿主動物が消化し、利用し得る微生物タンパク質へと変換され得る。セルロースは、宿主のエネルギー源となり得る揮発性脂肪酸の混合物へと変換され得る。
【0005】
残念なことに、この微生物作用は或る特定の欠点も示す。例えば、栄養価の高い可溶性タンパク質は第一胃内で分解及び消化され、一部が栄養価のより低い微生物タンパク質へと再合成される場合がある。アミノ酸を二酸化炭素、揮発性脂肪酸及びアンモニアへと変換する第一胃の微生物によってアミノ酸も化学的に変化する。
【0006】
動物に存在する全てのタンパク質は、20種を超える異なるアミノ酸の組み合わせによって構成される。中でも、10種の「必須」アミノ酸は動物の体内において十分に合成されず、動物はそれらを摂取しなければならない。反芻動物の食餌において必須アミノ酸が不足している場合、反芻動物の健康、産乳量等は全て悪影響を受ける。
【0007】
反芻動物の健康状態及び生産性能を向上させるために、動物の日々の食餌において生物活性物質を補給することは反芻動物生産において一般的である。対象の活性物質としては、アミノ酸、ビタミン、酵素、タンパク質及び炭水化物等の栄養素、プロバイオティック微生物、プレバイオティクス食品、無機塩類、コリン等が挙げられる。これらの物質の一部は通常、動物への給餌に使用される食品中に既に存在している。場合によっては、食餌中に存在する必須の活性物質の量は、欠乏状態又は高い生産性が要求される状況に対処するには不十分又は不適切であり得る。したがって、これらの問題に対処するには、反芻動物の日々の食餌を慎重に配合又は補助することが望ましい。
【0008】
しかしながら、アミノ酸及びタンパク質等の生理活性物質を経口的に与える場合、物質(例えばタンパク質、アミノ酸等)のかなりの部分が第一胃内の微生物によって分解され、飼料等に含有される、投与されたタンパク質及びアミノ酸の全てを動物が効率的に利用することは困難又は不可能となる。このように、必須アミノ酸は破壊され、動物生産に利用することができなくなる。動物生産は、第一胃を無傷で回避又はバイパスし、下部消化管に到達して、そこで吸収され、動物生産に利用可能となることのできる個々の必須アミノ酸の供給量によって制限される。
【0009】
したがって、生物活性物質を微生物によって分解されることなく第一胃を通過させ、生物活性物質が第四胃及びその後の消化管において効率的に消化吸収されるようにすることが重要である。そのため、第一胃を実質的に変化せずに通過するが、第四胃において分解され、吸収される形態の生物活性物質を提供することに多大な努力が払われている。
【0010】
第一胃の微生物叢によって分解されることなく第一胃を通過する栄養素の量を増大させることによって、その栄養素のより多くを下部消化管に送達するように設計された手法は、熱処理及び化学処理、カプセル化及びコーティング、アミノ酸類似体及びアミノ酸の高分子化合物の使用を含め、数多くある。
【0011】
例えば、生物活性物質を含有する反芻動物用飼料添加物を脂肪酸、硬化動物油及び硬化植物油等の保護物質でコーティングすることが提案されている。しかしながら、これらの油脂でコーティングされた粒子は第一胃だけでなく、第四胃及びその後の消化管においても安定であり、生物活性物質が第四胃及びその後の消化管において放出されることを困難にしている。
【0012】
提案された別の方法は、第一胃の環境では不溶性であるが、強酸性の第四胃では可溶性のポリマーでコーティングすることによって第一胃と第四胃とのpH差を利用するものである。かかるポリマーとしては、化学修飾したポリビニルピロリドン、ポリアミド及びセルロースが挙げられる。この解決策は生産コストが高いことに加え、合成ポリマーの使用により非生理的物質を動物の食餌に導入することになるという欠点を有する。そのため、かかるポリマーコーティング製品には、FDAの認可が必要である。
【0013】
幾つかの特許には、第一胃を通過する(survives)が、第四胃で分解するとされる材料で生物活性物質をコーティングすることが開示されている。
【0014】
例えば特許文献1は、第一胃を通過するが、腸管において破壊されるコーティングとして、水素添加された植物性及び動物性の脂肪及びろう(米ぬかろう等)を開示している。
【0015】
特許文献2は、炭素原子を各々少なくとも14個有する脂肪族脂肪酸を利用することを記載している。この脂肪酸はコーティングとして個々の栄養素に塗布される。この脂肪酸は第一胃の分解に対して耐性を示すと言われている。活性剤は次に第四胃及び/又は腸に送達され、そこで脂肪酸が第一胃以降の(post-ruminal)環境において還元される。
【0016】
特許文献3は、脂肪酸をそのカルシウム塩の形態で反芻動物に補給するプロセスを記載している。しかしながら、脂肪酸塩のみを飼料添加物として使用することで、飼料中の揮発性有機物の酸化によって極めて不快な臭気が発生し、飼料の摂取量及び乳量の減少が引き起こされる。
【0017】
特許文献4は、生物活性物質のコア、中性pH(第一胃内で見られる)で安定であるが、pH=3(第四胃内で見られる)で溶解又は分解するコーティング物質、並びに炭素原子を少なくとも14個有する脂肪酸、及び融点が40℃以上のろう、動物性脂肪及び植物性脂肪からなる群から選択される少なくとも1つの他のコーティングを含む、第一胃通過性(rumen-surviving)顆粒を開示している。
【0018】
特許文献5は、塩基性ポリマーに分子的に溶解した活性剤を含有する、第一胃で安定な組成物を記載している。このポリマーは約5を超えるpHに対して耐性を示すが、約3.5未満のpHで可溶性又は膨潤性であるため、活性剤は第一胃以降に送達される。このタイプの分散液では、組成物の表面及び表面近くで活性剤の一部が第一胃の微生物の作用によって破壊される。これは表面上に亀裂又は溝が生じ、保護効果が減少する場合があるためである。
【0019】
特許文献6は、水溶性の生物活性物質用の二層型の第一胃通過性コーティングを開示している。得られる微粒子は少なくとも5.5という高いpHで安定であり、3.5以下のpHで生物活性物質を放出する。コーティング媒体は、pH変化に対して感受性を有する材料からなる内側の第一コーティング層、及び生物活性コアが表面処理(疎水性結合剤の塗布)を受けていない場合に無機充填剤を含む必要のある疎水性組成物からなる外側の第二コーティング層を含む。この疎水性の外側のコーティング層は、外部の液状媒体の拡散又は浸透が可能であるような構造を有する。外側のコーティングは疎水性物質の混合物を含有するのが好ましい。
【0020】
特許文献7は、約3.5以下のpHで安定なコーティング組成物を開示している。コーティングは、親水性を制御する物質及び任意でpHに対して感受性を有する物質を含有する塗膜形成性の不水溶性結合剤を含む。ろう(疎水性)及びプロピレングリコール(水溶性)の両方が親水性/疎水性バランスを制御するのに好適である。粒子の親水性を制御することで、中性又は弱酸性の媒体(すなわち第一胃)中での生物活性物質の放出が制限されると言われている。強酸性の媒体(すなわち第四胃)中では、pH感受性の充填剤が媒体によって活性化され、コーティングの親水性によって確定される速度でゆっくりと拡散する。結果として生じるpH感受性の充填剤の溶解又は膨潤によって、コーティングが分解され、生物活性物質が放出される。
【0021】
特許文献8は、脂肪及びカルシウム系生成物を含むビードレット(beadlet)栄養素コーティングを記載している。コーティングされた反芻動物用の栄養素は、取り扱いの際又は動物によって咀嚼される際に亀裂が入る、又は磨耗するという欠点を有する。
【0022】
特許文献9は、バランスが向上した必須アミノ酸を第一胃以降に送達する特定の飼料組成物をウシに与える方法を提供する。
【0023】
特許文献10は、コーティングされた生物活性物質(アミノ酸、薬物又はビタミン等)からなる反芻動物用の栄養補助飼料を開示している。このコーティング組成物はレシチン、中性で安定であり、酸性条件下で可溶性の少なくとも1つの無機物質、並びに炭素原子を14個〜22個有する直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和モノカルボン酸、その塩、硬化植物油、硬化動物油及びろうからなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。
【0024】
特許文献11は、コリンをカプセル化して、反芻動物用の第一胃バイパス補給剤(rumen bypass supplement)を作製する方法を開示している。このタイプのカプセル化では、脂肪のシェル(shell)によって取り囲まれたコリンのコアを有する球状粒子が作製される。カプセル化は比較的コストの高い製造プロセスである。さらに、固化のためには脂肪の飽和度が高い必要があり、それによりコリンの消化率が低下する傾向がある。
【0025】
特許文献12は、タンパク質物質をゼイン/ホルムアルデヒドで処理して、成分を第一胃での分解から保護する方法(scheme)を記載している。しかしながら、ホルムアルデヒドによりほとんどの必須アミノ酸が破壊され、そのバイオアベイラビリティーが低下する(非特許文献1)。さらに、場合によって使用されるホルムアルデヒドのレベルが過度に高いことから、その発癌性に関連した健康上の懸念が生じ、動物飼料用途についてはFDAによって認可されていない。
【0026】
特許文献13は、第一胃内保護担体によって塩化コリン組成物をカプセル化することにより、反芻動物において体重増加及び飼料効率を向上させる方法を記載している。この発明で使用するのに好適なカプセル化材料又はコーティング材料としては、水素添加油、モノグリセリド及びジグリセリド、ろう並びに種子脂肪が挙げられる。
【0027】
特許文献14は、飼料(feed ration)に脂肪を添加し、その後カプセル化した第一胃内保護塩化コリンを、添加した脂肪に比例した量で添加することを記載している。しかしながら、このような塩化コリンのコーティング及びカプセル化では、輸送及び取り扱いの際に磨耗、亀裂及び他の損傷(abuses)が生じやすく、それによりコリンを破壊する第一胃内液及び微生物がコーティングを通過するようになる。
【0028】
特許文献15は、食品加工産業及び食肉加工産業の副生成物である脂質を、そのカルシウム塩の形態に変換することによって栄養補助飼料を製造する方法を記載している。
【0029】
特許文献16は、高温で油糧種子を焙焼し、反芻動物に与える脂肪酸を保護することによって作製される第一胃内保護高オレイン酸物質を記載している。しかしながら、この焙焼手順には高コストのエネルギー消費が必要とされる。
【0030】
特許文献17は、コーティングされた反芻動物用の栄養素が、取り扱いの際又は動物によって咀嚼される際に亀裂が入る、又は磨耗するために不利益であることを示している。
【0031】
特許文献18は、少なくとも20重量%の炭酸カルシウム、及び少なくとも10重量%のモノカルボン酸、硬化油脂からなる群から選択される物質を含有する生物活性物質を粒状化することを含む、生物活性物質を保護物質中に分散させる方法を提案している。
【0032】
特許文献19は、生物活性物質を、少なくとも10重量%のモノカルボン酸、硬化油脂からなる群から選択される物質、及び少なくとも20重量%〜50重量%以下の、塩酸よりも弱酸性の酸の不溶性塩からなるコーティング材料中に分散させるプロセスを提案している。
【0033】
特許文献20は、生物活性物質をモノカルボン酸、硬化油、レシチン及びグリセリン脂肪酸エステルからなる保護物質を含有するコーティング材料でコーティングすることを含む方法を記載している。
【0034】
特許文献21は、乳牛の乳量を向上させる反芻動物用飼料を記載している。この飼料は、少なくとも1つの脂肪酸又は脂肪酸石鹸を含有する保護コーティングを有する第一胃内保護コリン化合物からなる。
【0035】
Watanabe et al.(非特許文献2)は、第一胃内保護アミノ酸を作製する現行技術がメチオニンに限定されることを報告している。Watanabe et al.はさらに、第一胃内保護リジンを開発することが、その物理的及び化学的性質のために重大な課題であることを報告している。Watanabe et al.は産業的観点から、飼料成分として既に登録されている水素添加脂肪及び/又は無機物を用いた第一胃内保護技術を確立することのみが有意義であるということも示している。Watanabe et al.は、泌乳期乳牛における脂肪でコーティングされた第一胃内保護L−リジン塩酸塩のバイオアベイラビリティー、並びにサイレージを中心とした実用飼料(practical diet)を与えた高乳量(high-yielding)乳牛の泌乳成績に対する、第一胃内保護L−リジン塩酸塩及び第一胃内保護メチオニンの効果を開示している。Watanabe et al.は、その脂肪でコーティングされた第一胃内保護リジンの腸内アベイラビリティーが66.2%と算出されたことを報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】米国特許第3,541,204号明細書
【特許文献2】米国特許第3,959,493号明細書
【特許文献3】米国特許第4,642,317号明細書
【特許文献4】米国特許第4,713,245号明細書
【特許文献5】米国特許第4,808,412号明細書
【特許文献6】米国特許第4,832,967号明細書
【特許文献7】米国特許第4,876,097号明細書
【特許文献8】米国特許第5,093,128号明細書
【特許文献9】米国特許第5,145,695号明細書
【特許文献10】米国特許第5,227,166号明細書
【特許文献11】米国特許第5,496,571号明細書
【特許文献12】米国特許第5,714,185号明細書
【特許文献13】米国特許第5,807,594号明細書
【特許文献14】米国特許第6,022,566号明細書
【特許文献15】米国特許第6,229,031号明細書
【特許文献16】米国特許第6,242,013号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2002/0127259号明細書
【特許文献18】特開昭60−168351号公報
【特許文献19】特開昭61−195653号公報
【特許文献20】特開昭63−317053号公報
【特許文献21】国際公開第96/08168号
【非特許文献】
【0037】
【非特許文献1】Broderick, G.A. et al., "Control of rate and extent of protein degradation," Physiological Aspects of Digestion and Metabolism in Ruminants, Tsuda et al., eds., p. 541, 1991; Academic Press, London.
【非特許文献2】K. Watanabe et al., "Effects of fat coated rumen bypass lysine and methionine on performance of dairy cows fed a diet deficient in lysine and methionine," Animal Science Journal, 77:495-502, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
上述の問題を鑑みると、反芻動物の第一胃内で生物活性物質を安定に保護するが、第四胃及びその後の消化管内での活性物質の効果的な消化吸収を可能とする栄養補助飼料を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本開示は、反芻動物によって効率的に消化吸収され、利用されることが可能な一方で、安全かつ経済的な生成物である生物活性物質を含有する改善された組成物を提供することによって、これら及び他の必要性に対処するものである。
【0040】
一実施の形態では、本開示は反芻動物用飼料組成物であって、少なくとも1つの生物活性物質を含む粒状コア材料及び該コア材料を取り囲むコーティング材料を含む、反芻動物用飼料組成物を提供する。
【0041】
一実施の形態では、本開示は反芻動物用飼料組成物であって、少なくともL−リジン硫酸塩を含む粒状コア材料、並びに該コア材料を取り囲む水素添加された植物油及び改質剤を含むコーティング材料を含む、反芻動物用飼料組成物を提供する。
【0042】
一実施の形態では、本開示は反芻動物にアミノ酸を与える方法であって、コーティング材料でコーティングされた粒状コア中のアミノ酸を準備すること、及び該コーティングされた顆粒を反芻動物に与える飼料中に入れることを含む、反芻動物にアミノ酸を与える方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書中の実施形態は、反芻動物の第一胃内で安定であり、第四胃及びその後の消化管内で消化吸収されるコーティング材料でコーティングされたコアを含む飼料添加物に関する。
【0044】
上記コアは、少なくとも1つの粒状生理活性物質又は生物活性物質(以下、「活性物質」)を含む。コアは単一の顆粒であっても、又はそれと共に粒状活性物質のペレット形成を促進する1つ又は複数の賦形剤(結合物質、不活性成分及び流動性制御物質等)を含む基質をさらに含んでいてもよい。コアは1つ又は複数の活性物質(通常は固体形態である)を含んでいてもよく、後続の処理段階、とりわけコーティング作業中に無傷の状態を保つのに十分なほど堅固である必要がある。
【0045】
本明細書中の「活性物質」という用語は、例えばアミノ酸、ビタミン、酵素、タンパク質及び炭水化物等の栄養素、プロバイオティック微生物、プレバイオティクス食品、無機塩類、酸(例えば乳酸、フマル酸、クエン酸及びリンゴ酸等)の混合物、コリン並びにコリン誘導体を指す。これらの活性物質は単独で使用しても、又は様々な重量比で混合して使用してもよい。
【0046】
具体的には、活性物質としては例えば、リジン、メチオニン、トリプトファン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン及びトレオニン等のアミノ酸;N−アシルアミノ酸カルシウム塩及びN−ヒドロキシメチルメチオニンカルシウム塩、リジン硫酸塩及びリジン塩酸塩等のアミノ酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メチルメルカプト酪酸及びその塩等のアミノ酸のヒドロキシ同族化合物;穀物粉末及び羽毛等の天然栄養素の粉末;カゼイン、トウモロコシタンパク質及びジャガイモタンパク質等のタンパク質;デンプン、ショ糖及びグルコース等の炭水化物;ビタミンA、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート、ビタミンB、チアミン、塩酸チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、パントテン酸コリン、塩酸ピリドキシン、塩化コリン、シアノコバラミン、ビオチン、葉酸、p−アミノ安息香酸、ビタミンD、ビタミンD及びビタミンE等のビタミン並びに同様の機能を有する物質;テトラサイクリン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、ポリエーテル系抗生物質等の抗生物質;negfon等の殺虫剤;ピペラジン等の駆虫剤;並びにエストロゲン、スチルベストロール、ヘキセストロール、サイロプロテイン(tyroprotein)及びゴイトロゲン等のホルモンを挙げることができる。
【0047】
アミノ酸のリジン及びメチオニンを含む、反芻動物の乳汁及び肉の生産を改善するのに役立つ幾つかの活性物質が特定されている。栄養補助食品中に使用する場合、かかるアミノ酸の種々の塩形態を所望のアミノ酸を補給するのに利用することができる。例えば、リジンはリジン塩酸塩又はリジン硫酸塩の形態であり得る。加えて、アミノ酸塩の物理的特性は、非常に細かいほぼ粉末状の顆粒から大きな顆粒まで様々であり得る。したがって、最終生成物の化学的及び物理的性質、及び上述のように第一胃をバイパスし、反芻動物によって効率的に利用されるその能力は、選択されるアミノ酸塩に直接関連する。
【0048】
リジンの好ましい形態は、以下の特質を有する粒状L−リジン硫酸塩である。粒径は好ましくは約0.3mm〜約3.0mmの範囲、より好ましくは約0.3mm〜約1.0mmの範囲、又は約1.0mm〜約2.0mmの範囲、又は約2.0mm〜約3.0mmの範囲、又は約0.3mm〜約1.6mmの範囲、又は約0.8mm〜約1.2mmの範囲である。
【0049】
粒状L−リジン硫酸塩は、微粒子を除去するためにコーティング前に篩分してもよい。幾つかの実施形態では、粒状L−リジン硫酸塩粒子の少なくとも99%、又は少なくとも99.2%、又は少なくとも99.4%、又は少なくとも99.6%、又は少なくとも99.8%、又は100%が300μm、又は400μm、又は500μm、又は600μm、又は700μm、又は800μmを超える粒径を有する。
【0050】
リジン濃度(assay)50%以上(minimum)であり得る。含水量は5%以下(maximum)であり、嵩密度は0.70±0.07g/ccであり得る。このようなリジン生成物は、Evonik社製のBIOLYS(登録商標)として市販されている。
【0051】
活性物質を含有するコアをコーティングするためのコーティング材料は、少なくとも部分的に水素添加された植物油を含み得る。好適な植物油の例としては、パーム油、ダイズ油、ナタネ油、綿実油及びヒマシ油が挙げられる。
【0052】
コーティング材料の融解温度は、最終生成物のコーティングが硬い表面を有するようにし、それにより最終生成物の凝集を防止し、さらに第一胃内での生成物の安定性を増大させるためには、約40℃〜約80℃の範囲、例えば約50℃〜約60℃の範囲、又は約60℃〜約70℃の範囲、又は約70℃〜約80℃の範囲、又は約55℃〜約65℃の範囲、又は約60℃〜約75℃の範囲でなくてはならない。
【0053】
植物油は少なくとも部分的に水素添加されていなくてはならず、又は完全に水素添加されていてもよい。幾つかの実施形態では、完全に水素添加されたダイズ油がコーティング材料として使用される。このような水素添加されたダイズ油は、Bunge社製のBunge Oil Soybean Flakesとして市販されている。幾つかの実施形態では、水素添加されたナタネ油が使用され得る。このような水素添加されたナタネ油は、Cargil(ドイツ、ハンブルク)製のAGRIPURE AP−660として市販されている。
【0054】
コーティング材料は改質剤、例えばステアリン酸、オレイン酸、レシチン、パーム油及びこれらの組み合わせ等をさらに含み得る。改質剤の量は、最終生成物の約0.5wt%〜約10wt%の範囲、例えば約0.5wt%〜約5wt%、又は約4wt%〜約10wt%、又は約3wt%〜約7wt%、又は約2wt%〜約4wt%であり得る。改質剤と植物油との重量パーセント比は、約2:98〜約20:80、例えば約5:95〜約10:90の範囲であり得る。
【0055】
活性物質を含有するコアは、コアを完全にコーティングし、少なくとも50%、例えば少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%の第一胃バイパス率を得るのに十分な量のコーティング材料でコーティングされていなくてはならない。他の実施形態では、コアは少なくとも70%、例えば少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%の第一胃バイパス率を得るのに十分な量のコーティング材料でコーティングされる。さらに他の実施形態では、コアは少なくとも88%、例えば少なくとも90%、又は少なくとも93%、又は少なくとも96%の第一胃バイパス率を得るのに十分な量のコーティング材料でコーティングされる。「第一胃バイパス率」とは、第一胃に入る前にコア中に含有された活性物質が、第一胃から出る時点でコア中に残存する割合である。
【0056】
コアとコーティング材料との重量パーセント比は、約50:50〜約70:30、例えば50:50、又は55:45、又は60:40、又は65:35、又は70:30の範囲であり得る。他の実施形態では、コアとコーティング材料との重量パーセント比は、約70:30〜約90:10、例えば75:25、又は80:20、又は85:15、又は90:10である。
【0057】
最終生成物のd50は約300μm〜約5000μmの範囲であり得る。幾つかの実施形態では、最終生成物のd50は約600μm〜約3000μm、又は約800μm〜約1900μm、又は約1000μm〜約1500μm、約1200μm〜約1800μmの範囲であり得る。
【0058】
コーティングされたコア材料は、少なくとも50%の第一胃バイパス率を示すことに加え、十分な腸内消化率を示していなくてはならない。「腸内消化率」とは、第一胃を通過した活性物質が、第四胃及びその後の消化管内で消化吸収される割合である。腸内消化率は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、例えば70%〜約100%の範囲、又は例えば約80%〜約90%の範囲、又は約90%〜約100%の範囲、又は約85%〜約96%の範囲、又は約89%〜約95%の範囲、又は約93%〜約99%の範囲、又は約75%〜約95%の範囲であり得る。
【0059】
コアはスプレーコーティング、パンコーティング、流動床コーティング、連続注入コーティング又は当業者に既知の任意の他の方法によってコーティングすることができる。コーティングはバッチプロセス又は連続プロセスで行うことができる。コアを1回のコーティング作業で塗布される単層のコーティング材料でコーティングしてもよく、又はコアを複数層、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の層のコーティング材料でコーティングしてもよい。コアを取り囲む各々の層は、同じコーティング材料又は異なるコーティング材料を別個に含み得る。
【0060】
コアをコーティングする場合、コーティング材料は植物油、乳化剤(emulsion agent)及び任意の他の所望の添加物を混合することによって形成する。次いで、コーティング材料がコアに塗布される際に液体状態であるように、コーティング材料をその融点を超える温度まで加熱することができる。コーティング材料は約50℃〜約200℃の範囲、例えば約70℃〜約110℃の範囲、又は約90℃〜約120℃の範囲、又は約100℃〜約160℃の範囲、又は約80℃〜約105℃の範囲、又は約100℃〜約150℃の範囲の温度まで加熱することができる。液体のコーティング材料をコアに塗布した後、コーティングされたコアを冷却し、それによりコーティング材料を固化させ、コアを取り囲む固体層を形成する。このプロセスを1回以上繰り返して、コアを取り囲むコーティング材料の複数の層を得ることができる。
【0061】
上記のように、同じコーティング材料の連続した層をコアに塗布する場合、個々の層は最終生成物において区別することができなくてもよい。しかしながら、上記の多層化プロセスは、多層生成物のコーティング(coat)と同じ厚みを有する同じコーティング材料の単一の層に取り囲まれた生成物と比べて、独特の構造的特性を最終生成物に付与する。液体コーティング材料を冷却し、固化して固体層とする間に、微小割れ、亀裂及び細孔等の欠陥が層中に形成される場合がある。これらの欠陥は、第一胃内環境がコアにアクセスする経路を生じ、コアの分解を開始する可能性がある。任意のさらなる層もかかる欠陥を示す場合があるが、或る層における欠陥は、その層に直接接触する上下のコーティング層中の欠陥のない領域によって補填されることもある。したがって、複数層のコーティング材料をコアに塗布することによって、各々の層を次の層を形成する前に冷却し、固化することで、最外層の外表面からコアまで連続するか、又はその経路を生じる欠陥の数が、減少する。
【0062】
改質剤の使用は、層中に形成され得る微小割れ、亀裂及び細孔を制限し、減少させ、及び/又はさらに塞ぐのに役立つ。科学的理論に束縛されるものではないが、改質剤の分子の化学的性質及びそのサイズが比較的小さいことによって、改質剤が微小割れ、亀裂及び細孔中に浸透し、固化の際にこれらの欠陥を塞ぐことが可能となると考えられる。
【0063】
層中の欠陥の数及びサイズは、コアのサイズ、コーティング材料、コーティングプロセス、及びコーティングされたコアを製造するのに利用されるプロセスパラメータによって異なる場合がある。そのため、所望のバイパス率及び腸内消化率を得るのに必要とされる層の数及び各々の層の厚さは、選択される変数によって異なる場合がある。
【0064】
したがって、コーティングされたコア材料は、栄養補助飼料又は飼料添加物として使用することができる。適切な量のコーティング顆粒を反芻動物用飼料に、例えば混合することで添加する。栄養補助飼料が反芻動物によって摂取されると、一定の割合の活性物質が第一胃を通過して送達されて、消化され、反芻動物の系内に取り込まれるように、生理活性物質は上記のようなバイパス率で第一胃を通過して安定に送達される。リジン硫酸塩の場合、栄養補助飼料は、ウシ一頭当たりのリジン硫酸塩の量が一日約5g〜120gとなるよう反芻動物用飼料に添加する必要がある。
【実施例】
【0065】
比較例
直径が0.3mm〜1.6mmの範囲の顆粒を有する粒状リジン硫酸塩(BIOLYS(登録商標)、Evonik社)300gを熱伝導によって43℃まで加熱した後、低剪断ミキサーに移した。低剪断下でリジン硫酸塩を撹拌しながら、93℃の温度まで加熱した、予め測定した33容量%の量の水素添加ダイズ油(T=49℃)を、連続注入によってミキサーに添加し、リジン硫酸塩をコーティングした。改質剤は使用しなかった。生成物を撹拌しながら43℃まで冷却した。93℃の温度まで加熱した水素添加ダイズ油を、生成物の温度が54℃に達するまで再度添加し、生成物を撹拌しながら43℃まで冷却した。このサイクルをもう一度繰り返して、水素添加ダイズ油の添加を終了した。最終生成物は60重量%のコアに対して40重量%のコーティングを有していた。
【0066】
約10gの試験生成物を5cm×10cmのバッグ(ANKOM #510、平均細孔径50±15ミクロン)に秤量した。各バッグを2回熱シールした。各々のウシに対して合計5個の試験生成物のバッグに加え、4個のブランクバッグを準備した。各バッグに油性マーカーを使用して順に標示を付け、サンプルの情報を記録シートに記録した。試験生成物のサンプルを回収し、初期乾燥物質(DM)及び窒素(N)の含量を分析した。
【0067】
第一胃に挿入する直前に、バッグを39℃の水中に約5分間浸漬し、試験材料を湿らせた。次いで、第一胃カニューレを予め装着した3頭の泌乳期のホルスタイン乳牛の第一胃にバッグを挿入した。16時間のインキュベーション期間の後、バッグを第一胃から取り出し、即座に氷水中に入れ、3回洗浄した。洗浄後、バッグを45℃で乾燥させた。乾燥後、各バッグ及びその残渣を秤量し、第一胃内分解を回避した乾燥物質(DM)の量を以下の式を用いて求めた:
【0068】
【数1】

【0069】
試験生成物の第一胃バイパス率(DM回避率)は75.17%であり、標準偏差は2.85%であった。
【0070】
実施例1〜実施例21
直径が0.3mm〜1.6mmの範囲の顆粒を有する粒状リジン硫酸塩(BIOLYS(登録商標)、Evonik社)300kgを、流動コーティングチャンバーに入れ、53℃の熱風を用いて43℃まで加熱し、チャンバーを流動させた。基質が初期生成物温度に達した時点で、120℃の温度まで予熱したコーティング材料(改質剤を加えた水素添加ナタネ油)を流動気流を介して塗布したところ、生成物塗布温度は55℃に達した。流動コーターの設計の通りに、材料はコーティング流から出入りし、連続した層を構築した。空気吸入口の温度を制御して、予め秤量したコーティング混合物が全て塗布されるまで生成物の温度を55℃に維持し、55重量%のコアに対して45重量%のコーティングを得た。次いで、生成物を周囲温度(25℃)に達するまで流動空気チャンバー内で冷却した。
【0071】
上記と同様の流動床プロセスを用いて作製した実施例1〜実施例21について得られたデータを下記表1にまとめる。これらの実施例は、生成物パラメータの様々な異なる組み合わせを例示するものである。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例22〜実施例31
実施例22〜実施例31は、上記と概ね同様の流動床プロセスを用いて作製した。実施例22〜実施例31を各々、第一胃バイパス率(DM回避率)について分析した。幾つかの実施例の生成物をさらに分析し、in vivo消化率試験によって窒素の腸内消化率を求めた。
【0074】
第一胃バイパスプロトコル
約20gの試験生成物を5cm×10cmのバッグ(ANKOM #510、平均細孔径50±15ミクロン)に秤量した。各バッグを2回熱シールした。各々のウシに対して合計20個の試験生成物のバッグに加え、2個のブランクバッグを準備した。各バッグに油性マーカーを使用して順に標示を付け、サンプルの情報を記録シートに記録した。試験生成物のサンプルを回収し、初期乾燥物質(DM)、窒素(N)及びリジンの含量を分析した。
【0075】
第一胃に挿入する直前に、バッグを39℃の水中に約5分間浸漬し、試験材料を湿らせた。次いで、第一胃カニューレを予め装着した泌乳期のホルスタイン乳牛の第一胃にバッグを挿入した。16時間のインキュベーション期間の後、バッグを第一胃から取り出し、即座に氷水中に入れ、3回洗浄した。洗浄後、バッグを45℃で乾燥させた。乾燥後、各バッグ及びその残渣を秤量し、第一胃内分解を回避した乾燥物質(DM)の量を以下の式を用いて求めた:
【0076】
【数2】

【0077】
in vivo腸内消化率試験プロトコル
腸内消化率はin vivo消化率試験によって求めた。このプロトコルは、National Research Council, "Nutrient requirements of dairy cattle," 7th rev. ed., Natl. Acad. Sci., Washington, DC., (2001)(参照により本明細書中に援用される)に掲載された提言に基づく。約0.8gの試験生成物を5cm×10cmのバッグ(ANKOM #510、平均細孔径50±15ミクロン)に秤量した。各バッグを2回熱シールした。バッグをペプシン/HCl溶液(0.01NのHCl 1L当たりペプシン100mg)に振盪水浴中、39℃で2時間浸漬した。十分なHClを添加し、pHを2.4まで低下させた。バッグを蒸留水ですすぎ、十二指腸に導入するまで−18℃に維持した。毎日3時間の摂餌の後、15分毎に1個のバッグを十二指腸カニューレに挿入した(1頭のウシにつき合計で12個のバッグ)。初回の挿入から8時間〜20時間後にバッグを糞便から回収した。回収した後、バッグをすすいだ水が透明になるまで水道水ですすいだ。バッグを55℃で乾燥させて、反復によりプールした(pooled by replicate)残渣及び試験生成物をDM及びNの含量について分析した。窒素の見掛けの腸内消化率は、以下の式を用いて算出した:
【0078】
【数3】

【0079】
実施例22〜実施例31の結果を表2にまとめる。
【0080】
【表2】

【0081】
上記で開示した様々な特徴及び機能並びに他の特徴及び機能、又はそれらの代替物を所望に応じて(desirably)組み合わせて、多くの他の種々のシステム又は用途としてもよいことが理解されよう。また、様々に提示される予見又は予測し得ない代替形態、その変更、変形又は改良を当業者は引き続き行うことができ、これらもまた以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反芻動物用飼料組成物であって、
少なくとも1つの活性物質を含む粒状コア、並びに
前記コアを取り囲む少なくとも1つのコーティング材料の層であって、該コーティング材料が植物油及び改質剤を含む、コーティング材料の層、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記活性物質がアミノ酸及びそれらの塩からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アミノ酸がリジン及びメチオニンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記植物油が少なくとも部分的に水素添加されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記植物油がパーム油、ダイズ油、ナタネ油、綿実油及びヒマシ油からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記活性物質がL−リジン硫酸塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒状コア材料の粒径が約0.3mm〜約3.0mmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
コア材料とコーティング材料との重量%比が50:50〜90:10である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記コアが2つ以上のコーティング材料の層によって取り囲まれている、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記コーティング材料の融解温度が約50℃〜約80℃の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記コアが、少なくとも50%の第一胃バイパス率を得るのに十分な量のコーティング材料でコーティングされている、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも70%の腸内消化率を示す、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記改質剤が最終生成物重量の約0.5wt%〜約10wt%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記改質剤がステアリン酸、オレイン酸、レシチン及びパーム油からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の組成物。
【請求項15】
反芻動物用飼料組成物であって、
L−リジン硫酸塩を含む粒状コア材料、並びに
前記コアを取り囲む少なくとも2つのコーティング材料の層であって、該コーティング材料が、
ナタネ油及びダイズ油から選択される、少なくとも部分的に水素添加された植物油と、
オレイン酸及びステアリン酸から選択される改質剤とを含む、コーティング材料の層、
を含み、コア材料とコーティング材料との重量%比が50:50〜60:40であり、前記改質剤が最終生成物重量の約2wt%〜約4wt%の量で存在する、組成物。
【請求項16】
前記コアが、少なくとも50%の第一胃バイパス率を得るのに十分な量のコーティング材料でコーティングされており、該組成物が少なくとも70%の腸内消化率を示す、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
リジンによって反芻動物の食餌を補う方法であって、
前記反芻動物に、反芻動物用飼料組成物であって、
少なくとも1つの活性物質を含む粒状コア、並びに
前記コアを取り囲む少なくとも1つのコーティング材料の層であって、該コーティング材料が植物油及び改質剤を含む、コーティング材料の層、
を含む、組成物を与えることを含む、方法。
【請求項18】
前記植物油がダイズ油である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記植物油がナタネ油である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コアが2つ以上のコーティング材料の層によって取り囲まれている、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
反芻動物用飼料組成物を製造する方法であって、
L−リジン硫酸塩を含むコアを得ること、
前記コアを液体植物油及び改質剤を含む、連続したコーティング材料の層でコーティングすること、並びに
前記コーティング材料の層を固化させて、コーティングされたコアを得ること、
を含む、方法。
【請求項22】
前記コーティングされたコアを1つ又は複数のさらなるコーティング材料の層で取り囲むことをさらに含み、各々のコーティング材料の層を固化させた後、次のコーティング材料の層を追加する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コアをバッチプロセス又は連続プロセスでコーティングする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記植物油が少なくとも部分的に水素添加されている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記植物油がパーム油、ダイズ油、ナタネ油、綿実油及びヒマシ油からなる群から選択され、前記改質剤がオレイン酸及びステアリン酸から選択される、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2012−524543(P2012−524543A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507308(P2012−507308)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/031724
【国際公開番号】WO2010/123878
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(510092719)エイチ ジェイ ベーカー アンド ブラザー インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】H.J.BAKER & BRO.,INC.
【住所又は居所原語表記】228 Saugatuck Avenue, Westport,Connecticut 06880−6425,U.S.A.
【Fターム(参考)】