説明

反芻動物飼料中のルーメンバイパスタンパク質を提供する組成物及び方法

本発明は、発酵バイオマスを含む湿式加熱処理された反芻動物飼料組成物で、ルーメン内部の発酵からエスケープするタンパク様物質の量が増大したという発見事実に基づくものである。反芻動物飼料組成物はさらに、単独又は組み合わせた形で単離酵素、有機酸、グルテンタンパク質、少なくとも1つの2価金属イオン及び少なくとも1つの植物抽出物のうちの1つ以上のものを含み得る。タンパク様物質は次に反芻動物消化器系のルーメンよりも後段の部位内で消化又は代謝され、かくして、生産性増大の時期の間に反芻動物のエネルギー及びタンパク質レベルの更なる増大を提供する。本開示の実施形態の組成物及びその製造方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、タンパク質のルーメン発酵を減速させることにより反芻動物における生産を増大させ、かくして反芻動物がルーメンよりも後段(post−rumen)でタンパク質及びアミノ酸を利用できる可能性を増大させるための飼料組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
反芻動物種は、単胃動物種では利用度の低い飼料成分を有効に利用することができる。これは、反芻動物が自らの複雑な反芻胃の細網−ルーメン区画内で飼料成分を発酵させることができるために起こることである。ルーメン内のタンパク質消化は、反芻動物飼料処方の生産効率における重要な要因として長い間認知されてきた。
【0003】
反芻動物は、ルーメン発酵とそれをエスケープしたタンパク質の消化の組合せにより、自らのエネルギー及びタンパク質要件を満たしている。ルーメンエスケープとそれに続く腸内消化及び吸収によるタンパク質及びエネルギーの生産に対するルーメン発酵によるタンパク質及びエネルギーの生産の関係は、飼料によって大幅に変動する。飼料成分の飼料価値も又、動物の生産性レベル及び/又は動物の飼料処方又は組成によって変動し得る。
【0004】
動物の生産性レベルが増大するにつれて、アミノ酸、代謝タンパク質及びエネルギーについての栄養必要量も増大する。低い生産性レベルでは、栄養必要量は、ルーメン発酵産物によりさらに容易に満たされる。高い生産性レベルでは、ルーメン栄養素消化の総効率は減少する。こうした時には、ルーメン発酵によるタンパク質合成は代謝タンパク質に対するその動物の需要を満たすことができない。ルーメンタンパク質生産のこの不足分は、ルーメンバイパスタンパク質に対する需要を増加させる。本明細書で定義する「ルーメンバイパスタンパク質」、「ルーメン未分解タンパク質」、「ルーメン非分解性タンパク質」及び「ルーメンエスケープタンパク質」という用語は、ルーメン内での発酵からエスケープし、少なくとも部分的にそのままの状態で消化器系のルーメンよりも後段の部位内に入るタンパク質、ペプチド及びアミノ酸残基を意味する。バイパスタンパク質は次に、反芻動物の消化器系のルーメンよりも後段の部位により代謝され得る。
【0005】
反芻動物における高い生産性レベルに対する研究は、ルーメン発酵からエスケープする栄養素の量及び質に焦点があてられてきた。タンパク質のルーメンエスケープは、飼料成分を加工し、かくしてその中のタンパク質の物理的構造を改変し、ルーメン発酵を減少させることによってか、又は全ての飼料成分のルーメンバイパスタンパク質含有率が増加するような形でルーメンの状態に影響を及ぼすことによって、達成され得る。
【0006】
植物タンパク質のルーメン利用可能性を低減させるために様々な方法が用いられてきた。例えば、米国特許第3,619,200号明細書は、ルーメンの微生物消化に対する保護のための植物性ミールのルーメン不活性コーティングを提案している。タンニン、ホルムアルデヒド又はその他のアルデヒドでの飼料の処理により、タンパク質を変性させルーメン発酵を低減させることができ(米国特許第4,186,213号明細書参照)、加熱によりタンパク質のルーメン消化を減少させることができる(タガリ(Tagari)ら、Brit.J.Nutr.第16号、237〜243頁(1982年))。
【0007】
ハドソン(Hudson)は、大豆ミール(「SBM」)の加熱が子羊によるルーメンよりも後段の窒素の利用に及ぼす効果を評価する実験を提示した。結果は、ルーメンマイクロフローラによるタンパク質消化がより低速であることを示していた(ハドソン(Hudson)ら、J.Anim.Sci.第30号、609頁(1970年))。エンドレス(Endres)らに対する米国特許第5,508,058号明細書及びハイトリッタ(Heitritter)に対する米国特許第5,824,355号明細書は、熱処理済みの植物ミールの生産用に一般に使用されている手順を要約している。
【0008】
ウッドルーフ(Woodroofe)らは、せん断力、熱、圧力を利用するプロセスに先立ち酵素でタンパク質源を予め処理するステップ及びルーメンを通過する未消化タンパク質の量を増大させるべく混合を行なうステップについて言及している(米国特許第6,221,380号明細書)。しかしながら、該アプローチには、タンパク質をルーメン発酵から保護するためにせん断力、熱及び圧力が必要である。
【0009】
ルーメン分解から動物飼料タンパク質を保護するための亜鉛金属塩の使用は、米国特許第4,664,905号明細書、同第4,664,917号明細書、同第4,704,287号明細書、同第4,737,365号明細書及び同第5,508,058号明細書の中でマイヤー(Meyer)及びエンドレスらにより開示された。亜鉛と共にマンガン及び鉄を使用することがバイパスタンパク質と動物のパフォーマンスとを改善する相乗効果をもつということが、チェッカバ(Cecava)らに対する米国特許出願第10/246,720号明細書(米国特許出願公開第2003/0138524A1号明細書)の中で示されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
反芻動物の生産レベルが増大し続けるにつれて、同様に代謝タンパク質及びアミノ酸の必要量も増大する。動物飼料内のルーメンバイパスタンパク質の含有量を増加させる飼料処方が存在するものの、ルーメン発酵からエスケープするタンパク質の更に増大したレベルを提供する、より改善された動物飼料に対する需要がなおも存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
要約
当該開示は、反芻動物のルーメンを通過するタンパク様物質の量を増大させ、かくしてルーメンよりも後段の消化に利用可能なタンパク様物質の量を増大させる改良型動物飼料組成物に向けられている。本明細書に記載されている様々な限定されない実施形態に従って動物飼料組成物を作る方法が開示されている。ルーメンタンパク質消化をバイパスさせ反芻動物の体内での生産を増大させる様々な方法も同様に開示されている。
【0012】
1つの実施形態として、単離酵素、有機酸及び真核細胞由来の発酵バイオマスのうち少なくとも1つ及びこれらのいずれかの組合せ;並びに少なくとも1つのタンパク様飼料成分、を含む動物飼料組成物であって、上記成分及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分が、湿式加熱処理で処理され、かつ反芻動物に動物飼料組成物を投与する時点で、反芻動物のルーメンを通過するタンパク質の量が、反芻動物に対し投与される処理済みの上記成分及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含まない動物飼料組成物に比べて増大する動物飼料組成物が含まれている。
【0013】
さらなる実施形態としては、動物への給餌方法が含まれる。該方法には、真核生物由来の発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を処理するステップ;並びに処理済みの発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物を反芻動物に給餌するステップ、が含まれてもよく、ここで、反芻動物へ動物飼料組成物を投与する時点での反芻動物のルーメンを通るタンパク質の量は、反芻動物に投与される処理済みの少なくとも1つのタンパク様飼料成分及び処理済みの発酵バイオマスを含まない動物飼料組成物に比べて増大する。
【0014】
その他の実施形態には、飼料サプリメントを製造するプロセスが含まれる。該プロセスは、真核細胞由来の発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む組成物を混合するステップ;組成物を湿式加熱で処理するステップ;並びにミール、ペレット、ブロック、タブ、プレミックス、添加物、及び液体飼料サプリメントからなる群より選択された形態に組成物を形成するステップを含む。
【0015】
さらにもう1つの実施形態としては、酵母発酵バイオマス、及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物であって、酵母発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分が処理された動物飼料組成物が含まれる。この実施形態による動物飼料組成物を反芻動物に対し投与する時点で、反芻動物のルーメンを通過するタンパク質の量は、酵母発酵バイオマスを含まない動物飼料組成物に比べて増大している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施形態の詳細な説明
本発明は、単独で又は組み合わせた形で使用可能である、タンパク様飼料及び真核動物由来の発酵バイオマス、並びに、任意にはグルテンタンパク質、単離酵素及び有機酸のうちの1つ以上を含む湿式加熱処理された反芻動物飼料組成物が、ルーメン内部の発酵からエスケープするタンパク様物質の量を増大させたという発見に基づいている。該反芻動物飼料組成物はさらに、単独で又は組み合わせた形で、タンパク様飼料、発酵バイオマス、並びに、任意には、グルテンタンパク質、単離酵素及び有機酸のうち1つ以上のもの、及び少なくとも1つの2価金属イオン及び/又は少なくとも1つの植物抽出物を含んでもよい。本明細書で使用される「タンパク様飼料」という用語は、反芻動物に給飼され得るタンパク質を含むあらゆる材料を意味する。適切なタンパク様飼料の例としては、大豆ミール、コーンミール、亜麻仁ミール、綿実ミール、カノーラミール及び反芻動物の食用となるあらゆる穀類のミールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
このとき、このタンパク様物質は、反芻動物の消化器系のルーメンよりも後段の部位において消化又は代謝され、かくして、生産性増大の時期の間に反芻動物のさらに増大したエネルギー及びタンパク質レベルを提供することができる。本開示の実施形態の組成物及びその製造方法が開示される。さらに、本開示の実施形態の組成物を動物に給餌するステップを含む、ルーメンタンパク質消化をバイパスし反芻動物の生産を増大させる方法も同様に開示されている。
【0018】
操作実施例において又はその他の指摘がある場合を除いて、成分の数量、反応条件などを表わす本明細書に列挙された全ての数字は、「約」という用語により全てのケースにおいて修飾されているものと理解されるべきものである。したがって、相反する指示のないかぎり、以下の明細書及び添付の請求の範囲の中で規定されている数値パラメータは、得ることが求められている所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低でも、請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各々の数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。
【0019】
本発明の広い範囲を規定する数値範囲及びパラメータは近似値であるものの、特定の実施例に記載されている数値は、可能なかぎり正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値が本質的に、その各テスト測定値の中に見られる標準偏差の結果として必然的にもたらされる一定の誤差を含む。
【0020】
同様に、本明細書で引用されるあらゆる数値範囲が、その中に組み込まれた全ての下位範囲を含むものとして表されている、ということは理解されるべきである。例えば、「1〜10」という範囲は、1という引用最小値と10という引用最大値の間(そしてこれらの値を含む)、すなわち1以上の最小値と、10以下の最大値をもつ全ての下位範囲を含むものとして表されている。
【0021】
本明細書で特定されるあらゆる特許、公報又はその他の開示資料は、全体的又は部分的に包含される資料が本開示に記されている既存の定義、記述又はその他の開示資料と矛盾しない限りにおいてのみ、参照することにより本明細書に援用されている。したがって、必要なかぎり、本明細書に記載されている開示は、参照して本明細書に援用されるあらゆる矛盾する資料に優先する。本明細書に参照により援用されるが本明細書に記載した既存の定義、記述又はその他の開示資料と矛盾するあらゆる資料又はその一部分は、援用されている資料と既存の開示資料との間にいかなる矛盾も生じない限りにおいてのみ援用されるものとする。
【0022】
本開示のある実施形態において、湿式加熱により処理又は加工されていない反芻動物飼料組成物と比べた場合の反芻動物飼料組成物中のルーメン未分解タンパク質の含有量を増大させるために、組成物を加工又は湿式加熱処理することができる。本明細書で用いられる本開示の方法及び組成物に適した「湿式加熱」処理は、限定なく、水分10%〜50%の条件下で0.10〜5時間、88〜116℃の温度まで組成物を加熱するステップを含んでもよい。例えば、本開示において使用するのに適した1つの湿式加熱処理方法としては、AminoPLUS(登録商標)加工条件(ネブラスカ州OmahaのAgプロセッシング社(Processing Inc.)の登録商標)(その開示が本明細書に参照により援用されているハイトリッタらに対する米国特許第5,824,355号明細書の中で要約されている)又は例えば湿式低熱前処理といったその改良が含まれてもよい。本開示の方法及び組成物のいくつかの限定されない実施形態において使用するのに適した1つの加工方法の改良としては、水分25%〜50%という水分レベルで、20℃〜45℃の温度で0.10時間〜5時間組成物を前処理することが含まれる。前処理加工方法は、組成物が1つ以上の酵素を含有する場合に望ましい改良である。本明細書で使用する「湿式加熱処理された」及び「湿式加熱で処理された」という用語は、上述のとおりの条件で飼料組成物を処理又は加工することとして定義される。
【0023】
本開示の様々な限定されない実施形態における組成物には、単離酵素、有機酸及び真核細胞由来の発酵バイオマスからなる群より選択された少なくとも1つの成分が含まれてもよい。組成物の一部の限定されない実施形態には、単離酵素が含まれる。本明細書で使用される「単離酵素」という用語は、生化学反応又はプロセスを触媒するか又はその速度を増大させる能力をもつ少なくとも1つのタンパク質鎖からなる単離された化合物として定義される。本開示の様々な限定されない実施形態による少なくとも1つの成分は、以下で検討するように、単離酵素及び/又は更なる成分を含まない反芻動物の飼料組成物のルーメン未分解タンパク質含有量に比べて、例えば大豆ミールといったような反芻動物飼料組成物内のルーメン未分解タンパク質含有量を増大させるため、本開示の更なる成分とは独立して又はそれと組み合わせた形で用いられてもよい。本開示の実施形態のための特定の機序に限定されることは意図せずに、上記成分が、メイラード型反応を介して糖とタンパク質との反応に影響を及ぼし、かくしてルーメン内のタンパク質の消化速度を低下させ、反芻動物の消化器系のルーメンよりも後段の部位内に少なくとも部分的にそのままの状態で入るタンパク質物質の分量を増大させ得ると考えられている。
【0024】
非酵素的褐変化としても知られるメイラード反応には、結果としてのシッフ塩基を提供すべく、タンパク質内のアルファアミノ酸又はアミノ酸残基とアルドース又はケトースとの間の熱反応が関与する。シッフ塩残基は、後続する転位を受けて、アマドリ(Amadori)産物として知られるより安定な構造を形成し得る。さらなる反応が、不消化メラノイジンの形成を導く可能性がある(D.W.S.ウォン(Wong)、「Food Chemistry and Biochemistry」、Encyclopedia of Food Science and Technology中、第2版、F.J.Francis編、Wiley&Sons、2000年、第2巻、877〜880頁)。メイラード反応の初期段階を利用することで、ルーメンマイクロフローラ環境内の発酵から保護され、その結果、反芻動物の消化器系のルーメンよりも後段の部位内で代謝されるべくルーメン内での発酵からエスケープする傾向をもつアミノ酸又はタンパク質残基が導かれる。
【0025】
本発明の様々な限定されない実施形態において使用するのに適した単離酵素としては、(アイオワ州Des Moinesのケミン・インダストリーズ社(Kemin Industries、Inc.)から入手可能な)アルファガラクトシダーゼ、キシラナーゼのテルモミセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)(温度耐性キシラナーゼ)及びキシラナーゼカクテル(キシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルロース及びメリーランド州GaithersburgのD.F.インターナショナル(International)、LLCから入手可能なアルファガラクトシダーゼの組合せ)を含むキシラナーゼ及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。上記組成物の限定されない様々な実施形態において使用するのに適したものであり得るその他の単離酵素としては、セルラーゼ、プロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、アルファ−アミラーゼ、ベータ−グルカナーゼ及びペクチナーゼが含まれるが、これらに限定されるものではない。本開示の組成物の限定されない一実施形態においては、単離酵素は、組成物1キログラムあたり0.030グラムの酵素(g/kg)(0.60lbs/トン)から2.2g/kg(4.4lbs/トン)の量で組成物に添加される。本開示のもう1つの限定されない実施形態においては、単離酵素は0.050g/kg(0.10lbs/トン)から0.040g/kg(0.80lbs/トン)の量で組成物に添加される。当業者により理解されるように、一部の市販の酵素は、標準的に標準基質に対する活性酵素単位で表現される活性及び不活性酵素の混合物を含む。したがって、上記で表現された単離酵素濃度は、使用中の単離酵素組成物中に見られる活性酵素の濃度に基づいている。本明細書で開示される組成物の様々な限定されない実施形態について適切な単離酵素の選択は、その組成物の性質により左右される。例えば、酵素にキシラナーゼが含まれる、単離酵素を含む一部の限定されない実施形態においては、組成物に添加される活性酵素の濃度は、0.005質量%〜0.04質量%である。単離酵素がアルファガラクトシダーゼを含むその他の限定されない実施形態においては、組成物に添加される活性酵素の濃度は0.003質量%〜0.22質量%である。
【0026】
本開示の一部の限定されない実施形態における組成物は、有機酸を含んでもよい。本明細書で使用する「有機酸」という用語は、少なくとも1つの酸性酸素−水素結合を伴う2〜9個の炭素原子を有する酸性有機分子の種類のあらゆるメンバーとして定義される。本明細書に開示される様々な限定されない実施形態によると、有機酸は上述のとおり単離酵素とは独立して又は単離酵素と組み合わせた形で、及び/又は、以下で検討するように発酵バイオマス又は本開示のさらなる成分と組み合わせた形で使用されて、有機酸を含まない反芻動物飼料組成物に比べてルーメン発酵からエスケープした反芻動物飼料組成物内のタンパク質の分量を増大させることができる。
【0027】
本開示の特定の限定されない実施形態において用いるのに適した有機酸としては、アスコルビン酸、クエン酸、アコニット酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、アスパラギン酸、シュウ酸、タトロン酸、オキサロ酢酸、イソリンゴ酸、ピロクエン酸、グルタル酸、ケトグルタル酸、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。一部の限定されない実施形態による有機酸は、遊離酸としてか又は塩として組成物に添加され得る。適切な有機酸塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩及びアンモニウム塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。1つの限定されない実施形態においては、アスコルビン酸、クエン酸、アコニット酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、アスパラギン酸、ピロクエン酸又はそれらの混合物及び塩のような有機酸又はその塩を0.1質量%〜6.0質量%の量で本開示の組成物に添加することができる。本開示の組成物の別の限定されない実施形態においては、有機酸を1質量%〜4質量%の量で組成物に添加することができる。更に別の限定されない実施形態においては、有機酸を0.5質量%〜1.5質量%の量で組成物に添加することができる。いかなる特定の理論に限定されるものではないが、有機酸は、ルーメン摂取可能なシッフ塩基化合物を形成すべく飼料内部のタンパク質及び単糖類残基のメイラード反応において触媒として作用し得る。
【0028】
様々な限定されない実施形態によると、本開示における一部の組成物中の有機酸とその他の構成成分との組合せは、反芻動物飼料組成物におけるルーメンバイパスタンパク質の更なる増大を示し得る。例えば、以下で検討するように、一部の限定されない実施形態において、有機酸と一部の金属イオンとの組合せは、有機酸又は金属イオン単独のいずれかに関する増大と比べて、ルーメン発酵をバイパスするタンパク質の百分率において相乗的増大を示した。以下で開示するように、組成物が更に少なくとも1つの金属イオンを含む限定されない実施形態においては、有機酸を0.10質量%〜1.5質量%の量で組成物に添加することができる。
【0029】
本開示の組成物の更なる限定されない実施形態は、真核動物由来の発酵バイオマスのような(ただしこれに限定されるものではない)発酵バイオマス及びその混合物を含んでもよい。本明細書で使用される「発酵バイオマス」という用語は、エタノール、乳酸塩、リジン、真菌又は細菌発酵のような水性発酵プロセスから残された副産物として定義される。バイオマスは、酵母又は真菌発酵の菌糸体及びそれが成長した培地を含んでもよく、かつ、生菌の酵素系及び発酵プロセス中に生産され分離プロセス中に除去されなかったその随伴代謝産物を含み得る。バイオマスは、それに加えて又は代えて、細菌発酵マス及びそれが成長した培地を含んでもよく、かつ、生菌の酵素系及び発酵プロセス中に生産され分離プロセス中に除去されなかったその随伴代謝産物を含み得る。
【0030】
本開示の一部の限定されない実施形態において用いられる適切な発酵バイオマス供給源としては、例えばビール酵母又はパン酵母のプレスケーキ(サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))のようなエタノールプレスケーキ、醸造用酵母バイオマス、増殖酵母バイオマス、クエン酸プレスケーキ、乳酸発酵からのバイオマス、細菌発酵からのバイオマス、及びリジン発酵からのバイオマス並びにそれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。本明細書で開示されている組成物の様々な限定されない実施形態の中で用いるのに適した酵母菌は、サッカロミセス、カンジダ(Candida)、ピキア(Pichia)、ヤロウイア(Yarrowia)、クライベロミセス(Kluyveromyces)又はトルラスポラ(Torulaspora)種を含む(ただしこれらに限定されるものではない)多くの酵母のうちのいずれかであり得る。一部の限定されない実施形態においては、使用される酵母はピキア・グイリアモンディ(Pichia guilliermondii)又はヤロウイア・リポリチカ(Yarrowia Lipolytica)であってもよい。
【0031】
本明細書で使用される「酵母培養物」という用語は、酵母発酵の菌糸体及びそれが成長した培地、例えばプレスケーキ、を含む産物として定義される。酵母培養物は、生菌の酵素系及び発酵プロセス中に生産され分離プロセス中で除去されなかったその随伴代謝産物を含む。分離プロセスには、ろ過及び圧搾並びに遠心分離が含まれるがこれらに限定されるものではない。発酵プロセスは、ペニシリン発酵、ストレプトミセス(Streptomyces)発酵、エタノール発酵又はクエン酸発酵であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書で使用される「プレスケーキ」という用語は、発酵の分離から得られる、ろ過又は遠心分離され乾燥させられた菌糸体を意味する。本明細書で使用される「クエン酸プレスケーキ」という用語は、受容可能な水性炭水化物基質を用いてクエン酸発酵から得られる、ろ過又は遠心分離され乾燥させられた菌糸体を意味する。「エタノールプレスケーキ」という用語は、受容可能な水性炭水化物基質を用いたエタノール発酵から得られる、ろ過又は遠心分離された菌糸体として定義される。酵母菌は、非生菌にされ得、又、分離及び精製プロセス中にクエン酸又はエタノールから完全に除去されてもよい。クエン酸プレスケーキは、クエン酸を生成すべくピキア又はヤロウイア酵母発酵から結果として得られる産物であってもよく、この場合、それは高濃度のマンナンオリゴ糖、フルクトオリゴ糖及び/又はベータグルカンを伴う細胞壁及び細胞壁内容物を含有する。本開示の組成物中で使用可能なオリゴ糖及び酵母培養物は、例えば様々な商業的供給源から得ることができる。
【0033】
バイオマスを含む本開示の様々な限定されない実施形態において、バイオマスは組成物の0.50質量%から最高99質量%までを構成し得る。一部の限定されない実施形態において、バイオマス乾燥物質は、組成物の乾燥質量を基準として、その0.25質量%〜5.00質量%を構成し得る。その他の限定されない実施形態において、バイオマスは、組成物の乾燥質量を基準として、その0.50質量%〜2.30質量%を構成し得る。様々な限定されない実施形態において、上記バイオマスは、湿潤バイオマスとして組成物に添加されてもよい。湿潤バイオマスが組成物に添加される実施形態によると、湿潤バイオマスは、合計添加水分の2.5%〜35%の量で添加される。様々な限定されない実施形態において、合計添加水分は、湿式加熱処理のための前処理プロセスに関して上述したように、10%の合計添加水分から45%の合計添加水分まで変動し得る。一部の限定されない実施形態において、合計水分は10%〜25%であってもよく、湿潤バイオマスは2.5%〜25%の量で添加される。
【0034】
本明細書で使用される「プレスケーキ」という用語は、発酵の分離から得られる、ろ過又は遠心分離された菌糸体として定義される。本明細書で使用される「クエン酸プレスケーキ」という用語は、受容可能な水性炭水化物基質を用いてクエン酸発酵から得られる、ろ過又は遠心分離された菌糸体として定義される。「エタノールプレスケーキ」という用語は、受容可能な水性炭水化物基質を用いたエタノール発酵から得られる、ろ過又は遠心分離された菌糸体として定義される。いずれかの特定の解釈により限定されるものではないが、発酵バイオマスは、湿式加熱加工において、脂肪酸及び還元糖のような残留有機酸の有用な供給源として有益であり得ると考えられる。
【0035】
一部の限定されない実施形態において、本開示の組成物は、穀物からのグルテンタンパク質を更に含んでもよい。本明細書で使用される「グルテンタンパク質」という用語は、その溶解度に従って次の4つのタイプ、すなわち、水中又は水性塩溶液中で可溶であるアルブミン;水中で不溶であるが希釈塩溶液中で可溶であるグロブリン;アルコール中で可溶であるプロラミン;そして希釈酸又は塩基中で可溶であるグルテリン、に分類される貯蔵タンパク質として定義される。プロラミンは、穀物の種子及びその他の草に独特のものであり、種子又はその他の組織のその他のタンパク質と無関係であると考えられてきた。プロラミンは、小麦中のグリアジン、オート麦中のアベニン、トウモロコシ中のゼイン、ライ麦中のセカリン、及び大麦中のホルデインといったように異なる穀物中で異なる名前が与えられてきた。
【0036】
本開示の様々な限定されない実施形態の組成物の中に取り込まれ得る適切なグルテンタンパク質としては、小麦グルテンタンパク質、コーングルテンタンパク質、オート麦グルテンタンパク質、ライ麦グルテンタンパク質、米グロブリンタンパク質、大麦グルテンタンパク質及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。ある限定されない実施形態において、グルテンタンパク質はコーングルテンを含む。別の限定されない実施形態において、グルテンタンパク質は小麦グルテンを含む。更に別の限定されない実施形態において、グルテンタンパク質は米グロブリンタンパク質を含む。本開示の組成物のグルテンタンパク質は、単離グルテンタンパク質の形で又はグルテンミールとして組成物に添加され得る。コーングルテンタンパク質、小麦グルテンタンパク質又は米グロブリンタンパク質のようなグルテンタンパク質を含む本開示の様々な実施形態において、グルテンタンパク質は、組成物の0.25質量%〜50.0質量%を構成し得る。
【0037】
グルテンミールは標準的により多くのタンパク質を含有し、大豆ミールよりもルーメンバイパスタンパク質を高い含有量で有する。本開示の組成物の1つの限定されない実施形態において、グルテンミールは0.25質量%〜50質量%の量で組成物に添加される。1つの限定されない実施形態において、グルテンミールは0.25質量%〜20質量%の量で組成物に添加される。別の限定されない実施形態において、グルテンミールは10質量%〜50質量%の量で組成物に添加される。ある限定されない実施形態によると、タンパク質配合物と10質量%〜50質量%のコーングルテンミール及び小麦グルテンミールのようなグルテンミールとの混合物を含む組成物は、湿式加熱処理された時点で、タンパク質配合物及びグルテンミールのルーメン未分解タンパク質含有量の加重平均に対して著しく増大したレベルのルーメン未分解タンパク質含有量を示す。いずれかの特定の機序に限定されるものではないが、グルテンタンパク質は、それが湿式加熱処理される際に飼料混合物内のその他のタンパク質と会合し得ると考えられる。グルテンタンパク質及び会合した飼料タンパク質は、ルーメン環境内で不溶性となり、ルーメン内で発酵から保護された状態となり得る。当業者であれば、グルテンミールにより提供される保護レベルが、プロセス条件及びプロセス内で用いられるグルテンタンパク質の量及びタイプにより左右され得る、ということを認識するだろう。本開示の組成物のある実施形態のその他の構成成分と組み合わされた時点で、例えばグルテンミールの形態をなしたグルテンタンパク質は、グルテンタンパク質を含有しない組成物と比べて更に増大したレベルのルーメン未分解タンパク質含有量を示し得る。
【0038】
本開示の一部の限定されない実施形態によると、ルーメン未分解タンパク質の形成に対して高い応答性を有する一部の非グルテンタンパク質、又は本来的にルーメン未分解タンパク質含有量が高い非グルテンタンパク質は、ルーメン未分解タンパク質含有量についての加重平均値から通常予測される、より高いレベルのルーメン発酵保護を提供する混合物中で、飼料配合物タンパク質のようなその他のタンパク質と効果的に会合され得る。これらの限定されない実施形態によると、飼料配合物タンパク質と混合された時点で増大したルーメン未分解タンパク質含有量の値を同様に示す可能性のある非グルテンタンパク質としては、乳タンパク質、卵タンパク質及び血液ミールのような血液製剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
亜鉛、マンガン及び鉄の2価金属イオンを用いることがタンパク質のルーメン発酵に対して直接的な影響を及ぼすことが判明した(その開示全体が本明細書に参照により援用されているチェッカバらに対する米国特許出願第10/246,720号明細書(公開第2003/0138524号明細書)を参照のこと)。飼料タンパク質に対する2価金属の添加は、タンパク質構造を変化させること又はルーメン環境を改変すること、あるいはその両方によって作用し得る。実験から、ルーメンバイパスタンパク質含有量のレベルに対する2価金属イオンの影響は、金属イオンが本開示の組成物中に取り込まれた場合に更に増大することが判明している。したがって、本開示の組成物の一部の限定されない実施形態は、1つ以上の2価金属イオンを更に含んでもよい。本開示の組成物の様々な限定されない実施形態において用いるのに適した金属イオンの限定されない例は、水溶性塩、例えば、2価亜鉛、2価マンガン及び2価鉄の硫酸塩であるが、本開示の実施に際し、全ての水溶性塩及び金属又は金属塩の組合せを用いることができるという点に留意することが重要である。一部の限定されない実施形態によると、金属塩は、本開示の組成物に対して、単一の化学物質としてか、あるいは、同じ金属イオンを含有する塩及び異なる金属イオンを伴う塩を含み得る2個以上の塩組成物の混合物として添加可能である。
【0040】
2価金属塩を含む本開示の一部の組成物の限定されない実施形態においては、亜鉛塩、マンガン塩及び第一鉄塩の組合せが、等しい濃度(百万分の一の単位(「ppm」)で測定された場合)で組成物に添加される。金属塩は、225ppm〜4,000ppmの亜鉛、マンガン及び第一鉄塩の組合せ合計量(それぞれ75ppm〜1,333ppmの金属イオン)で、本開示の一部の組成物に添加されてもよい。金属塩が組成物中に含有される1つの限定されない実施形態において、金属塩は、600ppm〜3,000ppmの亜鉛、マンガン及び第一鉄塩の組合せ合計量(それぞれ200ppm〜1,000ppmの金属イオン)で添加されてもよい。
【0041】
金属を含む本明細書で開示される様々な限定されない実施形態によると、金属塩又はその組合せの量は、組成物の特定の実施形態におけるその他の構成成分の存在及び量に従って変化することになる。1つの限定されない実施形態において、組成物は、アスコルビン酸又はクエン酸といった有機酸0.1質量%〜1.0質量%と、例えば亜鉛、マンガン及び第一鉄金属イオンといった等しい量の金属イオンの混合物600ppm〜3,000ppmとを含んでもよい。
【0042】
例えば1つの限定されない実施形態によると、クエン酸と第一鉄塩のような有機酸の組合せは、有機酸と亜鉛塩又はマンガン塩のいずれかとの組合せと比べた場合、あるいは有機酸又は第一鉄塩単独の効果と比較した場合、RBP含有量の有意な増大を示す。この限定されない実施形態によると、上記組成物は、例えばクエン酸のような有機酸を0.5%〜1.5%、及び、例えば500ppm〜1500ppmの第一鉄金属イオンのような500ppm〜1500ppmの量の1つ以上の金属イオンを含み得る。
【0043】
別の限定されない実施形態において、例えば、等量の亜鉛、マンガン及び第一鉄塩の組合せとキシラナーゼのような単離酵素との組合せは、金属濃度が各々1,000ppm〜2,000ppmである場合、キシラナーゼ又は亜鉛を単独で添加したことによるルーメンバイパスタンパク質含有量の増大に比べて高いルーメンバイパスタンパク質含有量を示す。
【0044】
別の限定されない実施形態において、亜鉛、マンガン及び/又は第一鉄の塩のような1つ以上の金属と1つ以上の植物抽出物との組合せは、金属又は植物抽出物単独を添加したことによるルーメンバイパスタンパク質の増大に比べて、ルーメンバイパスタンパク質含有量の増加を示す。
【0045】
従来、植物抽出物は着香剤として動物飼料に添加されてきた。植物抽出物の添加は一般に、動物飼料のルーメンバイパスタンパク質含有量を増大させる目的では知られていない。したがって、本開示の組成物の一部の限定されない実施形態では、少なくとも1つの植物抽出物が更に含まれてもよく、ここで該少なくとも1つの植物抽出物は、単独で又は組成物のその他の成分のうちの1つ以上のものと組み合わせた形で、少なくとも1つの植物抽出物を含まない組成物と比べて、組成物のルーメン未分解タンパク質含有量を増大させる。本明細書で使用される「植物抽出物」という用語は、本開示の組成物の一部の限定されない実施形態において組み込まれ得る植物源から単離された、例えば液体、油、結晶又は乾燥粉末といった任意の形態をした化合物として定義される。上記組成物の一部の限定されない実施形態において用いられるのに適した植物抽出物としては、ユッカ植物由来のサポニン、キラヤ植物由来のサポニン、大豆由来のサポニン、タンニン、桂皮アルデヒド、ユージノール、又は、丁子油又は丁子粉末を含む丁子の芽のその他の抽出物、ニンニク抽出物、カシア抽出物、カプサイシン、アネトール又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本開示の一部の限定されない実施形態においては、植物抽出物は、濃度測定及び調剤を容易にするため、カノーラ油のような油とその抽出物とを混合することにより基礎混合物の形に形成されてもよい。様々な限定されない実施形態によると、植物抽出物は、単一の抽出物として又は2つ以上の異なる抽出物の組合せとして、本開示の組成物に添加され得る。1つの限定されない実施形態によると、植物抽出物はニンニク油を含み得るか又はカシア油と混合され得る。別の限定されない実施形態において、組成物に添加される植物抽出物は、ユージノールと桂皮アルデヒドとの組合せを含んでもよい。いずれにしても、これらの限定されない実施形態によると、植物抽出物は、反芻動物飼料組成物中のルーメン未分解タンパク質の含有量が植物抽出物添加剤を含まない飼料組成物と比較して高くなるような量で添加可能である。例えば、1つの限定されない実施形態において、1つ以上の植物抽出物を50ppm〜2,500ppmの量で添加することができる。
【0047】
本開示の組成物の一部の限定されない実施形態において、上記組成物はさらに、1つ以上の金属イオンと少なくとも1つの植物抽出物との組合せを含んでもよい。この組合せは、1つ以上の金属イオン及び少なくとも1つの植物抽出物を含む本開示の反芻動物飼料組成物中のルーメン未分解タンパク質含有量が、1つ以上の金属イオンを含み植物抽出物を全く含まない又は少なくとも1つの植物抽出物を含み金属イオンを全く含まない本開示の反芻動物飼料組成物に比べて増大するというプラスの相乗効果を有し得る。例えば、1つの限定されない実施形態において、亜鉛のような2価金属イオンとユッカのサポニンとの組合せは、ルーメン内のアンモニア生産の低減を示す。アンモニア生産は、ルーメン内部のタンパク質の微生物発酵消化と結びつけることができる。したがって、ルーメン内のアンモニア生産の減少は、ルーメン内で消化されるタンパク質の量の減少及び反芻動物消化器系のルーメンよりも後段の部位内に実質的にそのままの状態で入るタンパク質の分量の増加と関連付けることができる。
【0048】
本開示の組成物の1つの限定されない実施形態によると、上記動物飼料組成物は、単離酵素、有機酸、発酵バイオマス、グルテンタンパク質、少なくとも1つの2価金属イオン及び少なくとも1つの植物抽出物を含む。この限定されない実施形態によると、前述の組成物は、本明細書で開示される湿式加熱処理方法の1つを用いて湿式加熱処理され、そのため反芻動物に該組成物が給餌された時点でルーメンを通過し後段の反芻動物消化管に入るタンパク質栄養素の量は、上述の構成成分のうちの1つ以上のものを含まない組成物を動物に給餌した場合と比べて増大することになる。
【0049】
本開示は同様に、ルーメン内のタンパク質消化をバイパスする様々な限定されない方法をも考慮している。本開示により考慮されるこのような方法の1つの限定されない実施形態には、本明細書に記載されかつ請求の範囲に規定されているように、単離酵素、有機酸及び真核細胞由来の発酵バイオマスのうち少なくとも1つを含む湿式加熱処理された組成物を反芻動物に給餌するステップが含まれる。本開示により考慮されるこのような方法のもう1つの限定されない実施形態には、本明細書に記載されかつ請求の範囲で規定されているように、単離酵素;有機酸;発酵バイオマス;グルテンタンパク質;少なくとも1つの2価金属イオン;及び少なくとも1つの植物抽出物を含む湿式加熱処理された組成物を反芻動物に給餌するステップが含まれる。
【0050】
その他の実施形態によると、本開示は、単離酵素、有機酸、真核細胞由来の発酵バイオマス及びそのいずれかの組合せからなる群より選択された成分、並びに少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物を提供する。上記成分及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分は、湿式加熱処理で処理されてもよい。反芻動物に動物飼料組成物を投与した時点で、反芻動物のルーメンを通過するタンパク質(すなわちルーメンバイパスタンパク質)の量は、該反芻動物に投与される成分を含まない動物飼料組成物に比べて増大する。
【0051】
ある実施形態によると、上記動物飼料は真核細胞由来の発酵バイオマスを含む。本明細書で用いられるように、真核細胞由来の発酵バイオマスには、酵母及び酵母発酵由来の発酵バイオマスが含まれる。様々な実施形態によると、真核細胞由来の発酵バイオマスは、酵母、酵母クリーム、酵母バイオマス、リジンバイオマス、乳酸発酵バイオマス、クエン酸プレスケーキ、エタノールプレスケーキ、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス、及びそれらのいずれかの混合物からなる群より選択され得る。例えば、ある実施形態によると、発酵バイオマスは、ビール酵母バイオマス及びパン酵母バイオマス(その両方がサッカロミセス・セレビシエに由来し得る)からなる群より選択された酵母であり得る。ある実施形態によると、これらの方法による発酵バイオマスは、例えばグルタミン酸発酵由来の可溶物といった細菌発酵バイオマスなどの、真核動物由来のものでなくてもよい。様々な実施形態によると、発酵バイオマスは、湿潤動物飼料組成物の1質量%〜20質量%でタンパク様飼料成分に添加され得る。その他の実施形態によると、発酵バイオマスは、湿潤動物飼料組成物の5質量%〜15質量%で添加され得る。その他の実施形態によると、発酵バイオマスを、湿潤動物飼料組成物の7質量%〜8質量%で添加される。
【0052】
上記成分及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料は、大豆、大豆ミール、コーン、コーンミール、亜麻仁、亜麻仁ミール、綿実、綿実ミール、菜種、菜種ミール、ソルガムタンパク質、及びカノーラミールからなる群より選択された食用穀物及び穀物ミールを含む、植物及び植物タンパク質のようなタンパク様飼料成分を含んでもよい。タンパク様飼料成分のその他の例としては、例えばコーン繊維、コーン外皮、サイレージ、挽きコーン、又はコーン植物のその他の任意の部分のようなコーン又はコーンの構成部分;例えば大豆の外皮、大豆サイレージ、挽き大豆又は大豆植物のその他の任意の部分のような大豆又は大豆の構成部分;例えば小麦繊維、小麦の外皮、小麦の籾殻、挽き小麦、小麦胚芽又は小麦のその他の任意の部分のような小麦又は小麦のあらゆる構成部分;、例えばカノーラタンパク質、カノーラ外皮、挽きカノーラ、又はカノーラ植物のその他の任意の部分のようなカノーラ又はカノーラ植物のその他の任意の部分;ヒマワリ又はヒマワリ植物の構成部分;ソルガム又はソルガム植物の構成部分、砂糖大根又は砂糖大根植物の構成部分;甘藷糖又は甘藷糖植物の構成部分;大麦又は大麦植物の構成部分;コーンスティープリカー;農業加工施設からの廃棄物流;大豆糖液;亜麻;落花生;エンドウ豆;オート麦;牧草、例えばカモガヤ及びフェスク及びアルファルファ、サイレージ又はまぐさに用いられるクローバ、及び本明細書に記載される飼料成分のいずれかの様々な組合せを含んでもよい。
【0053】
ある実施形態によると、上記成分及び上記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物は更に有機酸を含んでもよい。有機酸は本明細書に記載されているとおりであり、アスコルビン酸、クエン酸、アコニット酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、ピロクエン酸、リジン、それらのいずれかの塩及びそれらのいずれかの組合せからなる群より選択され得る。その他の実施形態によると、上記成分及び上記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物は更に、本明細書に記載されるグルテンタンパク質のようなグルテンタンパク質を含んでもよい。例えば、グルテンタンパク質は、コーングルテンタンパク質、米グルテンタンパク質、小麦グルテンタンパク質及びそれらのいずれかの混合物のうちの1つであってもよい。さらにその他の実施形態によると、動物飼料組成物は更に、本明細書に記載される単離酵素、2価金属イオン、及び植物抽出物からなる群より選択された1つ以上の成分を含む。
【0054】
本明細書に記載される上記成分及び上記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物は、湿式加熱処理で処理されてもよい。湿式加熱処理は、本明細書に記載されているとおりであってもよく、その成分と水との50:50の混合物を混合するステップ及び充分な量の水性成分混合物とタンパク様飼料成分とを組み合わせて15%〜50%の添加水という水分レベル(すなわち水分含有率)を提供するステップを含んでもよい。ある実施形態では、水性成分混合物は、15%〜25%の添加水を提供するのに充分な量で添加され得る。その他の実施形態では、15%の添加水を提供するのに充分な量で、水性成分混合物を添加することができる。ある実施形態によると、上記成分は、真核細胞由来の発酵バイオマスを含む。
【0055】
湿式加熱での処理は、さらに、0.10時間〜5時間、15%〜50%の水分、87℃〜116℃の温度で上記成分及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物を加熱し、次にその組成物を水分が10%〜15%になるまで乾燥させるステップを含んでもよい。ある実施形態によると、組成物は50℃の温度のオーブン内で例えば水分約12%まで乾燥され得る。湿式加熱処理中、該動物飼料組成物は、例えば実質的にカバーされたコンテナ内で加熱すること等により、水分の少なくとも実質的な部分が失われないような系内で加熱される。
【0056】
その他の実施形態によると、本開示は同様に、動物に給餌するための方法をも含有する。ある実施形態によると、該方法は、真核細胞由来の発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を処理するステップ;並びに、処理済み発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物を反芻動物に給餌するステップを含み得る。これらの方法によると、反芻動物に対し該動物飼料組成物を投与する時点で、反芻動物のルーメンを通過するタンパク質(すなわちルーメンバイパスタンパク質)の量は、反芻動物に投与される処理済みの発酵バイオマス及び処理済みの少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含まない動物飼料組成物に比べて増大し得る。
【0057】
上記方法の様々な実施形態によると、発酵バイオマスは本明細書に記載されているものであってもよい。例えば、ある実施形態によると、発酵バイオマスは、酵母、酵母クリーム、酵母バイオマス、リジンバイオマス、乳酸発酵バイオマス、クエン酸プレスケーキ、エタノールプレスケーキ、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス、及びそれらのいずれかの混合物又は組合せからなる群より選択される発酵バイオマスのような、真核細胞由来のものであってもよい。例えば、ある実施形態によると、発酵バイオマスは、ビール酵母バイオマス及びパン酵母バイオマスからなる群より選択される酵母であってもよい。
【0058】
その他の実施形態によると、上記方法は、本明細書に記載される有機酸及び本明細書に記載されるグルテンタンパク質のうちの少なくとも1つを動物飼料に添加するステップを更に含んでもよく、さらに別の実施形態によると、単離酵素、2価金属イオン及び植物抽出物からなる群より選択される1つ以上の成分を動物飼料組成物に添加するステップを更に含んでもよい。これらの実施形態によると、追加の成分は、処理するステップ中又はその前後で添加可能である。
【0059】
上記方法のある実施形態によると、発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を処理するステップには、発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を湿式加熱処理するステップが含まれてもよい。湿式加熱処理には、発酵バイオマス及び15%〜50%の水分含有率を有する少なくとも1つのタンパク様飼料成分を加熱するステップと、それに続いて発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を水分が10%〜15%になるまで乾燥させるステップとが含まれてもよい。
【0060】
上記方法の様々な実施形態によると、発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を処理するステップには、例えば酵母のような発酵バイオマスと水との50:50の混合物を混合するステップ及びその混合物を少なくとも1つのタンパク様飼料成分と混和するステップが含まれてもよく、ここで混合物は、組成物に対して合計15%〜50%の水分となる充分な量まで添加される。その他の実施形態によると、発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を処理するステップには、0.10時間〜5時間、15%〜50%の水分、87℃〜116℃の温度で発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を加熱するステップ、並びに水分10%〜15%まで組成物を乾燥させるステップが含まれてもよい。
【0061】
動物に給餌する方法のその他の実施形態には、さらに、処理済みタンパク質、処理済み飼料及びタンパク質サプリメントからなる群より選択される形態に動物飼料組成物を形成するステップが含まれてもよい。ある実施形態によると、動物飼料組成物はタンパク質サプリメントの形態をなしていてもよく、ここで該サプリメントは、ミール、ペレット、ブロック、タブ、プレミックス、トップドレス(top−dress)、添加物及び液体飼料サプリメントからなる群より選択される形態をなしている。
【0062】
その他の実施形態によると、動物飼料組成物を反芻動物に給餌するステップには、サプリメントの形態で0.454kg/頭/日〜3.18kg/頭/日の量の組成物を反芻動物に給餌するステップが含まれてもよい。動物飼料組成物がプレミックスの形態をなすある実施形態によると、動物飼料組成物を反芻動物に給餌するステップには、0.09kg/頭/日〜0.454kg/頭/日の量でプレミックスを反芻動物に給餌するステップが含まれてもよい。
【0063】
その他の実施形態によると、本開示は同様に、飼料サプリメントを製造するプロセスをも含む。これらの実施形態によるプロセスは、真菌細胞由来の発酵バイオマスを含む組成物と少なくとも1つのタンパク様飼料成分とを混合するステップ;組成物を湿式加熱で処理するステップ;並びにミール、ペレット、ブロック、タブ、プレミックス、添加物及び液体飼料サプリメントからなる群より選択される形態に該組成物を形成するステップを含む。ある実施形態によると、発酵バイオマスは、本明細書に記載されるバイオマスのいずれかのもの、例えば、酵母、酵母クリーム、酵母バイオマス、リジンバイオマス、乳酸発酵バイオマス、クエン酸プレスケーキ、エタノールプレスケーキ、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス、及びそれらのいずれかの混合物からなる群より選択される真核動物由来の発酵バイオマスである。
【0064】
上記プロセスのその他の実施形態によると、該プロセスはさらに、上記組成物をある成分と混合するステップを含んでもよい。該成分は、本明細書に記載されるような、有機酸、グルテンタンパク質、単離酵素、2価金属イオン、植物抽出物及びそれらのいずれかの組合せからなる群より選択される1つ以上の成分であってもよい。
【0065】
上記プロセスの様々な実施形態によると、発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を混合するステップには、発酵バイオマス及び水、例えば10:90〜90:10の比のバイオマス及び水を混合するステップ;並びに発酵バイオマス及び水を少なくとも1つのタンパク様飼料成分と組み合わせるステップが含まれてもよく、ここで該混合物は、15〜50%の合計水分になる充分な量まで添加される。ある実施形態によると、その比率は発酵バイオマス及び水の50:50の混合であってもよい。ある実施形態によると、混合された組成物を処理するステップには、0.10時間〜5時間、15%〜50%の水分、87℃〜116℃の温度で組成物を加熱するステップ及び該組成物を水分が10〜15%になるまで乾燥させるステップが含まれてもよい。
【0066】
上記プロセスの様々な実施形態によると、組成物は、例えばミール、ペレット、ブロック、タブ、プレミックス、トップドレス、添加物及び液体飼料サプリメントからなる群より選択される形態などの、動物による消費に適したあらゆる形態であってもよい。ある実施形態によると、組成物はミールの形態をなしている。その他の実施形態によると、組成物はペレットの形態をなしている。
【0067】
ある実施形態によるプロセスは、さらに、出荷用に構成されたコンテナ内に組成物を配置するステップ及び該コンテナにしるし(indicia)を関連付けるステップを含んでもよい。そのしるしは、例えば上記組成物の原産地、組成物のブランド名及び/又はその組成物の動物への投与方法について使用者に示すことのできる文言及び記号及び/又は写真を含むことができる。上記プロセスのその他の実施形態にはコンテナを出荷するステップ、例えばトラック、飛行機、列車及び/又は船のうちの1つ以上のものによってコンテナを出荷するステップが含まれてもよい。
【0068】
その他の実施形態によると、本開示は、酵母発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物であって、該酵母発酵バイオマス及び該少なくとも1つのタンパク様飼料成分が本明細書に記載される湿式加熱処理などで処理される動物飼料組成物を含む。その動物飼料組成物の実施形態によると、反芻動物に対する動物飼料組成物の投与時点で、反芻動物のルーメンを通過するタンパク質(すなわちルーメンバイパスタンパク質)の量が、反芻動物に対し投与される処理済み酵母発酵バイオマス及び処理済みの少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含まない動物飼料組成物に比べて増大する。
【0069】
ある実施形態によると、酵母発酵バイオマスは、酵母プレスケーキ、酵母クリーム、クエン酸バイオマス、エタノールバイオマス、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス及びそれらのいずれかの組合せからなる群より選択され得る。その他の実施形態による動物飼料組成物は、単離酵素、グルテンタンパク質、2価金属イオン、有機酸、植物抽出物及びそれらのいずれかの組合せからなる群より選択される成分を更に含んでもよい。
【0070】
本開示は同様に、反芻動物の体内での生産を増大させる様々な限定されない方法を含む。かかる方法の1つの限定されない実施形態には、本明細書で記載され請求の範囲に規定される様々な限定されない実施形態による、単離酵素、有機酸、発酵バイオマス、グルテンタンパク質、少なくとも1つの2価金属イオン及び少なくとも1つの植物抽出物のうちの1つ以上のものを含む湿式加熱処理された飼料組成物を反芻動物に給餌するステップが含まれる。
【0071】
本開示の限定されない実施形態の様々な方法及び組成物は、反芻動物に直接給餌されるか又は飼料サプリメント又は添加剤として反芻動物の飼料に添加され得る。本開示の組成物の給餌を受け得る反芻動物には、ウシ、ヒツジ及びヤギが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
本開示の様々な限定されない実施形態による方法では、本明細書で開示されている組成物を反芻動物に給餌するステップが考慮に入れられており、ここで上記組成物は、下記のとおりの物理的形態を有する。これらの限定されない実施形態によると、本開示内の組成物の物理的形態は、飼料の技術分野において既知の適切なあらゆる剤形であり得る。例えば、適切な剤形は、例えば大豆ミール、及びミール、ペレット、ブロック、キューブ、液体サプリメント又は飼料、集塊、プレミックス/添加物、ミネラル、ミール、調理済みタブ及び圧搾タブ剤形でのタンパク質サプリメントのような処理済みタンパク質及び飼料が含まれるが、これらに限定されるものではない。1つの限定されない実施形態において、上記方法及び組成物は、直接消費用に又は飼料に対する添加物として適しているミール又はペレットの剤形という物理的剤形を有するタンパク質サプリメントを含んでもよい。別の限定されない実施形態において、上記方法及び組成物中で用いられている物理的剤形には、反芻動物による消費に先立ち動物飼料内に混和させることのできるプレミックスが含まれ得る。
【0073】
本明細書における上記方法及び組成物の様々な限定されない実施形態によると、動物により消費され得る本開示の組成物の量は、動物の種、年齢、サイズ、性別、健康状態及び生産レベルのうちの1つ以上のものを含む(ただしこれらに限定されるものではない)1つ以上の要因によって変動する。組成物がミール又はペレット化タンパク質サプリメントの形態をなす1つの限定されない実施形態において、上記方法は一日一頭あたり0.454kg〜3.18kg(1.0〜7.0lbs/頭/日)の量で反芻動物に対し本開示の組成物を給餌するステップを含んでもよい。組成物がプレミックスとして利用される別の限定されない実施形態において、限定されない方法は、反芻動物により消費される組成物の量が0.0454〜0.454kg/頭/日(0.1lbs〜1.0lbs/頭/日)となるように、動物飼料に本開示の組成物を添加するステップを含んでもよい。別の限定されない実施形態において、上記方法は、反芻動物により消費される組成物の量が0.091kg〜0.136kg/頭/日(0.2〜0.3lbs/頭/日)となるような量で組成物を添加するステップを含む。
【0074】
本明細書に記載されているように、本開示の組成物の様々な限定されない実施形態は、本明細書に記載され請求の範囲で規定される組成物の成分を混合するステップ;87℃〜116℃の温度で0.10〜5時間、水分10%〜50%という水分レベルで組成物を処理するステップ;及び水分が10%〜15%になる水分レベルまで組成物を乾燥させるステップを含む方法によって製造され得る。その他の限定されない実施形態によると、該方法は、さらに、当該技術分野において既知の処方を用いて、ミール、ペレット、ブロック、キューブ、液体サプリメント又は飼料、集塊、プレミックス/添加物、ミネラル、ミール、加熱済み(cooked)タブ及び圧搾タブ処方物のうちの1つへと組成物を形成するステップを含んでもよい。
【0075】
上記組成物が1つ以上の単離酵素及び1つ以上の2価金属イオンを含む一部の限定されない実施形態において、該組成物は、その組成物の成分を混合するステップが上記1つ以上の単離酵素を含む組成物を混合するステップ、並びにそれに続いて、上記1つ以上の2価金属イオンを添加するステップ及び組み合わされた組成物を混合するステップを含む方法によって製造されてもよい。上記組成物は次に、上述のように湿式加熱で処理されてもよく、その後、当該技術分野において既知の処方を用いて、ミール、ペレット、ブロック、キューブ、液体サプリメント又は飼料、集塊、プレミックス/添加物、ミネラル、ミール、加熱済みタブ及び圧搾タブ処方物のような本明細書で開示されている形態のうちのいずれかへと形成されてもよい。
【0076】
上記組成物がタンパク質サプリメントである1つの限定されない実施形態において、該組成物は、反芻動物により直接消費されてもよい。上記組成物が飼料添加物又はプレミックスである別の限定されない実施形態において、該組成物は、市販の飼料組成物に添加され、飼料添加物/飼料組成物の混合物は反芻動物により消費される。
【実施例】
【0077】
実施例
以下の実施例は、本開示内で組成物の様々な限定されない実施形態を例示するものであり、本明細書の他の部分に記載され、請求の範囲で規定されている本発明を制限するものではない。別に注釈のないかぎり、全ての百分率の値は、質量百分率である。
【0078】
実施例1:酵素の添加によるルーメンバイパスタンパク質の増大
湿式加熱処理された大豆ミールのルーメンバイパスタンパク質含有量に対して酵素アルファガラクトシダーゼ及びキシラナーゼの添加が及ぼす効果を評価するための研究がなされた。
【0079】
この実施例は、人工ルーメン発酵システム(アンコム・デイジー・システム(Ankom Daisy System)、ニューヨーク州Fairportのアンコム・テクノロジー(Ankom Technology))及び以下に記載する8種類の処理を用いたダクロンバッグ技術を利用した。バッグを0、2、4、16、48及び72時間インキュベートした。ダクロンバッグの中に残存した数ミリグラムの乾燥物質及びタンパク質(窒素×6.25)を、バッグ内に入れた乾燥物質及びタンパク質の当初の質量の百分率(回収百分率)として表した。各処理についてのRUP含有量を示す結果は、表1:SBMのルーメン内分解に対する湿式加熱及び酵素処理の効果、に示されている。各々のインキュベーション期間後の処理についてのルーメン未消化タンパク質の百分率(%RUP)は、残存タンパク質量を当初のタンパク質量で除し100を乗じて算出され、表2:タンパク質回収率に対するルーメン曝露時間の影響、に示されているとおりの百分率を求めた。各処理に添加された酵素の量は、キシラナーゼ0.005質量%又はアルファガラクトシダーゼ0.0037質量%であった。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
その結果は、処理1(RUP=17%)及び2(RUP=64%)を比較することで明らかなように、加熱(125℃)及び25%の水分を組み合わせることによって実験室条件下でシミュレートされるような湿式加熱処理プロセスが、大豆ミール(「SBM」)のルーメン未分解タンパク質(「RUP」)含有量に対し有意な効果を有していたことを示している。
【0083】
さらに、水(Trt.#3)、水及びアルファガラクトシダーゼ(Trt.#5)並びに水及びキシラナーゼ(Trt.#7)による加工の後に湿式加熱処理加工条件を続けない場合、規定のSBM(Trt.#1)に比べて、RUPにおいていかなる有意な増大も認められなかった。湿式加熱処理方法のもう1つの実施形態において、湿式低熱(37℃)前処理の後に標準的な湿式加熱加工条件が続いた場合、湿式低熱前処理なしで加工されたSBMに比べて、RUP含有量の有意な改善が見られた。
【0084】
アルファガラクトシダーゼ(Trt.#6)及びキシラナーゼ(Trt.#8)の酵素添加とそれに続く湿式加熱処理加工により、それぞれ粗タンパク質(「CP」)の89.5及び89.6%のRUP値となった。これらの値は、水単独での前処理とそれに続く湿式加熱処理加工により観察された85.9%のRUP含有量よりも数値的に優れたものであり、17.0%という未加工SBM(Trt.#1)及び64.2%という通常の湿式加熱処理加工条件(Trt.#2)についてのRUP値よりも著しく優れたものであった。この実施例において、通常の湿式加熱処理加工(Trt.#2)は、ルーメン内のタンパク質分解を69.8%減少させ、湿式加熱処理加工の前の水による前処理(Trt.#4)は92.5%、そしてアルファガラクトシダーゼ(Trt.#6)/キシラナーゼ(Trt.#8)の添加は94.3%、これを減少させた。
【0085】
図1、2及び3は、アルファガラクトシダーゼ及び/又はキシラナーゼを含む組成物についてのタンパク質回収百分率とルーメン曝露時間との関係をプロットしている。これらの図は、酵素を含有し前処理(処理番号6及び8)を備えた湿式加熱処理方法で加工されたSBM組成物が、72時間の試験時間にわたりRUP含有量の増大を示す、ということを示している。
【0086】
【表3】

【0087】
実施例2:有機酸の効果
SBMのバイパスタンパク質含有量に対するアスコルビン酸及びクエン酸の添加の効果を評価するための研究がなされた。小型ドラムミキサーの中で3分間、一定量の有機酸と25%の水(v/w)とSBMとを混合し、4時間、105℃で混合済み組成物を加熱することで湿式加熱処理し、試料を秤量し、質量損失から見積もられた水分が12%になるまで組成物を乾燥させるのに充分な時間、50℃で加熱することによって、SBMの試料を調製した。
【0088】
0、1、2、3、4、5及び6%(w/w)の量でSBM試料にアスコルビン酸を添加した。加工の後、RUPを実施例1に記載された操作に従って検定した。湿式加熱処理されたSBMのRUP含有量に対するアスコルビン酸の効果は、図4及び表3に示されている。1、3及び5%(w/w)の量で高タンパク質のSBMにクエン酸を添加した。加工後、実施例1に記載した操作に従ってRUPを検定した。湿式加熱処理されたSBMのRUP含有量に対するクエン酸の効果が、図5及び表3に示されている。有機酸を添加して湿式加熱処理されたSBMは、湿式加熱処理されたSBM単独の場合に比べて増大したRUP含有量を示している。
【0089】
【表4】

【0090】
実施例3:酵素、酵母及び金属の効果
エタノール酵母バイオマス、酵素及び金属イオンの湿式加熱処理された組合せのRUP含有量に対する効果を検討するための研究がなされた。エタノール酵母バイオマスを単独で、あるいは6000ppmの2価亜鉛及びマンガンイオン配合物、又は0.01%のキシラナーゼ酵素との組合せの形で検討した。実施例2に記載された方法に従って、組み合わされた混合物を湿式加熱処理した。実施例1に記載された標準的方法(16時間のインサイチュ(in situ)発酵)により、結果として得られたサプリメントのRUP含有量を測定し、湿式加熱処理され酵素及び金属イオンと組み合わされたSBMと比較した。
【0091】
表4:熱処理されたSBM及びエタノール酵母バイオマスのRUP(CPの%)に示された研究の結果は、キシラナーゼとエタノール酵母バイオマスとの湿式加熱処理された組合せが、湿式加熱処理されたエタノール酵母バイオマス自体よりも高いRUPを示すことを立証している。SBMのバイオマス及び酵素又は少なくとも1つの金属イオンを添加して湿式加熱処理された組合せは、酵素又は少なくとも1つの金属を添加して湿式加熱処理されたSBMに比べて更に改善されたRUP含有量を示す。
【0092】
【表5】

【0093】
実施例4:キシラナーゼの比較
SBMにおけるバイパスタンパク質の生産に対する2変種のキシラナーゼ酵素の効果を検討する研究がなされた。研究対象のキシラナーゼ変種はキシラナーゼ、テルモミセス・ラヌギノスス(温度耐性キシラナーゼ)及びキシラナーゼカクテル(メリーランド州のGaithersburgのD.F.インターナショナル、LLCから入手可能なキシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルロース及びアルファガラクトシダーゼの組合せ)であった。キシラナーゼをSBMに対し、SBM1kgあたり0.05、0.1、0.2、0.4グラムの酵素(1トンあたり0.1、0.2、0.4及び0.8ポンドの酵素)の量で添加し、試料を、実施例2に記載のように湿式加熱処理方法で加工した。
【0094】
その結果は表5:SBMのRUP含有量に対するキシラナーゼの効果、に示されている。その結果は、SBM1トンあたり0.8ポンド未満の量でキシラナーゼ、T.ラヌギノススが添加された場合に、RUP含有量の最小の増加しか与えなかったことを示している。ただし、キシラナーゼカクテルは、対照に比べて改善されたRUP含有量を示した。SBM1kgあたり0.05〜0.4gのキシラナーゼ含有量(0.1〜0.4lb/トン)で、RUP含有量の有意な改善が見られた。
【0095】
【表6】

【0096】
実施例5:キシラナーゼ及び金属の効果
酵素及び金属イオンとSBMとの組合せが、金属イオン/SBM混合物に比べて更に改善したRUP含有量を示すか否かを評価するための研究がなされた。以下の変更を加えた上で、実施例2で開示された方法に従って組成物を湿式加熱処理した。酵素がSBMと相互作用できる時間をさらに与えるため、以下のようにしてプレバッチ(pre−batch)を作製した:D.F.インターナショナル(International)のキシラナーゼカクテルのSBM1kgあたり0.1g(0.2lb/トン)の用量の酵素を80%の添加水と共にSBMに添加し、組成物を80℃で30分間混合してから、3つの金属及び残りの水を添加した。各々0、125、250、500、1000及び2000ppmのZn、Mn及びFe(第一鉄状態)で金属処理を評価した。金属をSBM/キシラナーゼ混合物の中で可溶なものにして、3分間混合した。その後試料を105℃で5時間加熱した。試料を調製した後、RUP値を、実施例1における操作に従ってインサイチュで測定した。結果は、表6:RUP含有量に対する酵素/金属組成物の効果、に示されている。
【0097】
【表7】

【0098】
第一鉄、亜鉛及びマンガンイオンと組み合わせた状態で、SBM1kgあたり酵素0.1g(0.2lb/トン)の処理濃度で用いられたキシラナーゼカクテルは、金属濃度が各々1000ppm〜2000ppm(3000pm〜6000ppmの合計金属イオン濃度)である場合、SBMのRUP含有率に対しプラスの効果を有する。
【0099】
実施例6:有機酸及び金属の組合せ
湿式加熱処理されたSBMのRUP含有量に対する、単独及び金属イオンと組み合わせた形での有機酸の使用を評価するために3種の一連の研究がなされた。SBM混合物を、実施例2で開示された方法に従って調製し湿式加熱処理した。
【0100】
第1の研究において、湿式加熱処理されたSBM対照と比べて湿式加熱処理された組成物のRUP含有量を増加させるのに必要な最少のアスコルビン酸レベルを決定するために、0、0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、1.5及び2.0%(w/w)の量でSBMにアスコルビン酸を添加した。標準の操作に加えて、加熱時間と処理の差異に対する感応性との相互作用を評価するために、4時間及び5時間の加熱の後、各処理を評価した。
【0101】
アスコルビン酸を含むことによって、RUPは、表7:SBMのRUPに対するアスコルビン酸及び加熱時間の効果、及び図6:4時間又は5時間加熱されたSBMのRUP含有量に対する添加されたアスコルビン酸の効果、に示されているとおり、この試験で調査された全てのレベルについて、湿式加熱処理されたSBM対照のRUPのレベルを超えて増大した。105℃で4時間の加熱の後、0.1%のアスコルビン酸を含むことにより、RUPは対照よりも約5%高くなった。RUP含有量は、0.5〜2%のアスコルビン酸を含むことにより約14%増大した。105℃で5時間まで加熱時間を延長させると、試料の平均RUP含有量はさらに高くなった。
【0102】
第2の研究では、アスコルビン酸と金属イオンとの相互作用を評価した。第1の試験では、750、1500及び3000ppmの合計金属濃度でSBMに対し、亜鉛、マンガン、及び第一鉄金属イオンを添加した。すなわち、試料の半数において0.5%(w/w)のアスコルビン酸を添加して、それぞれ250、500及び1000ppmの濃度で各々の金属を添加した。結果は表8:アスコルビン酸により惹起されるRUPの増強に対する金属添加の効果及び図7:SBMのRUP含有量に対する増大する金属及びアスコルビン酸(0.5%)の相互作用に示されている。金属イオンも、金属イオン及びアスコルビン酸も共に、湿式加熱処理されたSBM対照に比べて増大したRUP含有量を示し、金属イオン/アスコルビン酸の組合せは更に高いRUP含有量を示した。
【0103】
【表8】

【0104】
【表9】

【0105】
【表10】

【0106】
【表11】

【0107】
第2の試験では、試料の半分に対し金属イオンの組合せ1500ppmを添加すると共に、0.25、0.5及び1.0%(w/w)でSBMにアスコルビン酸を添加した。結果は表9:金属により惹起されるRUPの増強に対するアスコルビン酸の効果及び図8:SBMのRUP含有量に対するアスコルビン酸及び金属(1500ppm)の相互作用、に示されている。アスコルビン酸を添加して湿式加熱処理されたSBM及びアスコルビン酸及び金属イオンを添加して湿式加熱処理されたSBMの両方が、湿式加熱処理されたSBM対照に比べてRUP含有量の増大を示した。アスコルビン酸及び金属イオンの両方を添加して湿式加熱処理されたSBMについては更に大きな増大が見られた。アスコルビン酸を単独で添加した試料は、0.5%を超える酸の添加では、有意な増加を全く示さなかった。アスコルビン酸及び金属イオンの場合、各々の処理の間で有意な差異を全く示さず、かくして金属と組み合わせた形での0.25%のアスコルビン酸は0.5%のアスコルビン酸単独と同じ程度に有効であった。
【0108】
第3の研究では、単独のクエン酸又は1000ppmの亜鉛イオン、第一鉄イオン又は第二鉄イオンとの組合せの形でのクエン酸(1%w/w)の、湿式加熱処理されたSBMのRUP含有量に対する効果を検討し、金属種単独の効果と比較した。研究の結果は、表10:SBMのRUP含有量に対する金属及びクエン酸の相互作用及び図9:SBMのRUP含有量に対する金属及びクエン酸の相互作用、に示されている。クエン酸の処理単独及び金属の処理単独は共に、SBMのRUP含有量を、対照において観察されたレベルを超える程度にまで有意に増大させなかった。しかしながら、湿式加熱処理されたSBM中のクエン酸及び第一鉄イオンの組合せは、クエン酸又は第一鉄イオンのいずれかを添加したSBM又は対照に比べて、RUP含有量の有意な改善を示した。
【0109】
実施例7:キシラナーゼ及び植物抽出物の組合せ効果
この研究では、SBMのRUP含有量に対するユッカ及びキラヤサポニンの効果を評価した。RUP含有量に対するサポニン効果を、単独及びキシラナーゼ酵素との組合せ状態の両方で評価した。
【0110】
SBM試料について、3分間小型ドラム型ミキサーの中で、その混合及び25%の水(w/w)との混合を行った。0.5%及び1%w/wの量で添加水中にユッカ及びキラヤサポニンを仕込んだ。植物抽出物を単独で、あるいは、SBM1kgあたり酵素0.05g(0.1lb/トン)及びSBM1kgあたり酵素0.1g(0.2lbs/トン)の量でキシラナーゼ酵素(メリーランド州GaithersburgのD.F.インターナショナル)と組み合わせた形で、SBM中に仕込んだ。その後、実施例2に記載の方法に従って湿式加熱処理によりSBM試料混合物を加工した。実施例1に記載のプロトコルを用いて、各試料についてのRUP含有量を測定し、未加熱で湿式加熱処理されたSBM対照試料と比較した。表11:SBMのRUP含有量に対するキシラナーゼ及びサポニンの効果、に結果が記載されている。0.1lb/トンの速度での酵素添加はRUP含有量を低減させたが、0.1g/kgの速度及び1%のキラヤサポニンでは有益であった。
【0111】
実施例8:コーングルテンミール及び金属の効果
この研究では、SBMのRUP含有量に対するコーングルテンミールの効果を評価した。RUP含有量に対するコーングルテンミールの効果は、単独並びに亜鉛、マンガン及び第一鉄金属イオンの組合せと組み合わせた形の両方で評価した。
【0112】
SBM試料について、3分間小型ドラム型ミキサーの中でその混合を行った。1%、2.5%、5%、10%、15%及び20%(w/w)の量で試料混合物に対してコーングルテンミール処理物を添加した。金属イオン混合物(亜鉛、マンガン及び第一鉄金属イオンを各々500ppmずつ)1500ppmと組み合わせた形かあるいは単独で、グルテンミール処理物を評価した。その後、実施例2に記載の方法に従って湿式加熱処理によりSBM試料混合物を加工した。各試料についてのRUP含有量を、実施例1に記載のプロトコルを用いて測定し、未加熱の及び湿式加熱処理されたSBM対照試料と比較した。研究の結果は、表12:SBMのRUPに対するコーングルテンミール及び金属の効果、に示されている。
【0113】
コーングルテンミールの添加は、湿式加熱処理されたSBM対照と比較して15%〜20%の添加レベルでRUP含有量に対する有意な効果を示した。コーングルテンミール/SBM混合物に対する金属の添加は、コーングルテンミール/SBM混合物単独に比べて、コーングルテンミールについてのRUP含有量の増加を示した。
【0114】
【表12】

【0115】
【表13】

【0116】
実施例9:発酵バイオマスの使用
この実施例では、タンパク質様基質としてSBMを用いるシミュレートされた湿式加熱製造プロセスにおけるRUP含有量の形成に対する液体ビール酵母(10.6%の乾燥物質)の効果が評価された。
【0117】
ビール酵母及び水と共にSBMを小型ミキサー内で3分間混合した。添加水分は10%〜35%(v/w)変動し、ビール酵母では水分レベル内で合計添加水分の25%〜100%を与えた。その処理設計の結果、処理済み材料の乾燥質量の0.33%〜4.60%を構成するビール酵母乾燥物質が得られた。処理された材料を、密閉した105℃のコンテナ内で4時間加熱し、その後試料を50℃で、最終の水分含有率が12%となるまで炉乾燥させた。試料のRUP含有量を、実施例1に記載のとおり決定した。
【0118】
この研究の結果は、表13:ルーメン非分解性タンパク質含有量に対するビール酵母の効果、に示されている。この実施例の条件では、15%〜25%の添加水分条件下、乾燥物質基準で0.50%〜2.30%のビール酵母を添加した結果として、処理済み材料のRUP含有量は79.4%〜83.2%となった。35%の添加水分では、ビール酵母は、RUPを形成する上で有効性が比較的低いように見えたが、74.4%〜79.8%のRUP値が観察された。10%の添加水分しか含まない処理については、より高い濃度のビール酵母を添加することに有益性があるように見えた。最高のRUP含有量(83.3%)は、15%の合計添加水分にてビール酵母が混合物の0.99%を構成している場合に生じた。
【0119】
【表14】

【0120】
実施例10.その他の構成成分と組み合わせた発酵バイオマス
この実施例では、湿式加熱製造プロセスにおけるRUP成分の形成を補助するためにその他の構成成分と組み合わせた形での、あるいは、単独での発酵バイオマスの有効性を評価するべく、一連の研究が行われた。それらの構成成分をSBMに添加し、実施例1に記載の操作を用いてRUP含有率を測定した。各々の研究では、組成物中に25%及び/又は35%の合計水分を与える量でSBMに対してバイオマスを添加した。
【0121】
初期スクリーンにより、湿式加熱処理されたSBMのRUP成分の形成を増大させる際の様々な発酵バイオマスの有効性を評価した。SBM、湿式加熱加工されたSBM及び大豆外皮の比較対照を用いた。研究の結果は、表14:バイオマスの添加によって影響された状態の湿式加熱処理されたSBMのインビトロスクリーン、に示されている。
【0122】
【表15】

【0123】
第2の研究では、湿式加熱処理プロセスにおいて25%及び35%の添加水分を得るため、SBMに対し湿潤発酵バイオマスが添加された。この研究の結果は、表15:湿式加熱処理されたSBMのRUP含有量に対するバイオマス添加速度の効果、に示されている。各処理において、水分増加はRUPの形成を低減させる傾向を有していた。乳酸バイオマス又はビール酵母バイオマスの添加は、湿式加熱加工されたSBM対照に比べてRUP含有量を増大させた。
【0124】
【表16】

【0125】
第3の研究では、様々な発酵バイオマス及び酵素の組合せの影響が評価された。この研究では、キシラナーゼ及び熱安定性アミラーゼ(0.1g/kgのキシラナーゼ及び100k単位の熱安定性アルファ−アミラーゼ)の組合せとバイオマスとを組み合わせた。結果は、表16:湿式加熱処理されたSBMのRUP含有量に対するバイオマス及び酵素添加の効果、に示されている。平均して、バイオマスと酵素との組合せは、RUP含有量の増大を示した。
【0126】
【表17】

【0127】
第4の研究では、SBMのRUP含有量に対する、金属の組合せをと共に様々な発酵バイオマスの組合せの影響が評価された。各々500ppm(1500ppmの合計金属添加量)の量で亜鉛、マンガン及び第一鉄といった金属が用いられ、一方、湿式加熱処理プロセスにおいて25%及び35%の添加水分を得る分量でバイオマスを添加した。研究の結果は、表17:湿式加熱処理されたSBMのRUP含有量に対する金属及びバイオマス包含速度の相互作用、に示されている。金属及びバイオマスの組合せは、両方のバイオマス添加レベルでRUP含有量の増大を示した。
【0128】
さらに、クエン酸と添加金属との間に有意な相互作用が存在した。単独のクエン酸発酵バイオマスは、湿式加熱処理されたSBMに比べてほとんど有益性を与えなかったが、クエン酸バイオマス及び金属の組合せは、クエン酸バイオマス又は金属のいずれか単独よりも多量のRUP含有量を示した。
【0129】
【表18】

【0130】
実施例11.金属及び植物抽出物の組合せ
この研究では、SBMの消化中のアンモニア生産に対する濃縮植物抽出物及び金属の組合せの効果が評価された。アンモニアはタンパク質のルーメン消化中に生産される。したがって、低下したアンモニアレベルは、タンパク質のルーメン消化を表すものである。該植物抽出物は、ユッカ・シジゲラ(Yucca schidigera)植物由来のサポニンからなり、一方、金属は硫酸亜鉛の形での亜鉛からなるものであった。
【0131】
この研究では、4×4ラテン方格法の実験を用いて、1)低可溶性タンパク質対照飼料(正の対照)、2)高可溶性タンパク質対照飼料(負の対照)、3)植物抽出物を伴う高可溶性タンパク質飼料及び4)植物抽出物と金属とを添加した高可溶性タンパク質飼料といった4つの飼料の効果を評価する発酵研究において、4頭のルーメンカニューレ挿入された泌乳ホルスタイン牛を使用した。テスト飼料の組成は、表18:テスト飼料成分組成に開示されている。
【0132】
【表19】

【0133】
ルーメン試料を、給餌後5時間、30分毎に採取した。1mLの7.2N硫酸で試料を酸性にし、遠心分離し、液体分をアンモニア濃縮分析に付した。結果は、飼料1=7.18mg/dl;飼料2=8.8mg/dl;飼料3=8.32mg/dl;及び飼料4=7.88mg/dlであった。植物抽出物及び金属を含有する飼料4についてのアンモニアレベルは、(植物抽出物を単独で含有する)飼料3及び(高可溶性タンパク質飼料を含有する)飼料2のレベルに比べて低いものであった。
【0134】
実施例12.発酵バイオマス
この研究において、脂肪種子及び脂肪種子ミールのRUP含有量に対する発酵バイオマス添加の効果を評価した。ビール酵母の添加を、大豆外皮の添加と比較した。
【0135】
タンパク質基質の試料を、処理物(適宜ビール酵母又は大豆外皮)及び15%又は25%の添加水(vol/wt)と共にホバートミキサー内で3分間混合した。その後タンパク質混合物を8インチ×8インチのガラス皿に秤量し、アルミホイルで被覆し、105℃のオーブン内に4時間配置した。4時間後、ホイルを除去し、試料を秤量し、50℃のオーブンに移し、質量損失から見積もられた水分が12%になるまで乾燥させた。
【0136】
タンパク質基質にビール酵母(「BY」)を添加し、上述と同様に加工した。蒸留水で50:50に希釈したBYを添加することによって、最初の5つの試料のセットを作製した。タンパク質基質に対し15%の水分添加割合となるよう、50%のBY希釈物を添加した。上述のようにして湿式加熱で加工した5.5%の大豆外皮と25%の水(vol/wt)とを含有するタンパク質基質と、BY試料とを比較した。タンパク質基質はSBM、カノーラミール(「CM」)、全大豆、菜種ミール(「RM」)及び菜種で構成されていた。
【0137】
処理の効果は、表19〜21に詳述されている。表19に示されているように、BY処理は、全てのタンパク質基質にわたって、RUPを生成する上で統計的に有意なより大きな効果を有していた。タンパク質基質自体は、異なる形でプロセスに対し応答した。加工済みSBM及び全大豆は、BY処理及び大豆外皮処理の両方において最大のRUPを有しており、BY処理は、そのSBM及び全大豆の両方においてそれぞれ84.2%及び83.2%という最大のRUPを有していた。大豆外皮処理は、大豆について73.7%のRUP及びSBMについて67.5%のRUPを生成し、先行する加工形態及びRUP潜在能力の相互作用が存在することを表していた。
【0138】
【表20】

【0139】
CM及びRMは、RUP形成に関してBY及び大豆外皮と同様に応答し、BY処理は、大豆外皮処理よりも高いRUPを示した。CMは、それぞれBY及び大豆外皮について60.5%及び50.2%のRUPを示し、RMはそれぞれBY及び大豆外皮について61.3%及び53.7%のRUPを示した。菜種は、処理に対し最も応答性が低く、それぞれBY及び大豆外皮について47.8%及び45.2%のRUPを示した。
【0140】
表20は、BY処理及び大豆外皮処理の両方に関して、いかなる添加もない同じタンパク質基質と比較した各々のタンパク質基質についてのRUP含有量に対する平均的効果を列挙している。テストされた全ての基質について、BYは、大豆外皮又は添加なしの場合に比べてRUP含有量についてより大きな増大を示した。表21は、湿式加熱加工法においてBY又は大豆外皮を添加することによる脂肪種子/脂肪種子ミールのRUP含有量に対する全体的効果を比較している。
【0141】
【表21】

【0142】
【表22】

【0143】
実施例13.ビール酵母バイオマスでのRUP形成速度
この研究では、ビール酵母バイオマスの添加を伴う場合及び伴わない場合での湿式加熱処理条件下でのRUP形成速度を評価した。湿式加熱加工時間の効果も検討した。
【0144】
SBMの試料を実施例12の操作に従って湿式加熱処理した。1、2、3、4、5、12及び24時間後に湿式加熱プロセスから試料を取り出した。RUP含有量及びその他の値についての結果は、表22に列挙されている。
【0145】
【表23】

【0146】
SBMに対するBYの添加とそれに続く湿式加熱加工が、RUP形成速度を増大させた。BYの添加なしでSBMを3時間加熱した場合のRUP値が58%であるのに比べて、3時間の加熱後に約77%のRUP値を達成した。ビール酵母の添加は同様に、全ての時点でリジン含有量を減少させた。
【0147】
実施例14.RUP形成に対する酵母の供給源及びタイプの効果
この研究においては、SBMのRUP含有量に対する酵母のタイプ及び供給源の効果を評価した。複数の異なるタイプの酵母を添加したSBM組成物を検討し、SBM及び大豆外皮を添加したSBMと比較した。
【0148】
実施例12に記載されているように湿式加熱加工でSBM及びSBM添加物組成物を処理した。各々の酵母試料について、試料を蒸留水で8%の乾燥物質(「DM」)まで希釈し、SBMに添加して25%の水の添加を可能にした。各試料をSBMに対する2%のDM添加と等しくし、正の対照としての5.5%の大豆外皮添加及び25%水の標準添加と比較した。
【0149】
検討された酵母試料は、(ウィスコンシン州Milwaukeeのセンシエント・テクノロジーズ(Sensient Technologies Corp.)から市販されている)センシエント酵母細胞壁;(ウィスコンシン州Milwaukeeのセンシエント・テクノロジーズから市販されている)センシエント酵母;(カナダケベック州Montrealのラレマン(Lallemand Inc.)から市販されているパン酵母である)ラレマンインスタント酵母;(ウィスコンシン州Milwaukeeのレザフル・イースト株式会社(Lesaffre Yeast Corporation)から市販されている)レザフルクリーム酵母;(イリノイ州Decaturのアーカー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland)から市販されているコーン繊維発酵である)ADM酵母細胞集団;及び(オハイオ州CincinnatiのF.L.エッマート(Emmert Co.)から得られた)ビール酵母であった。さらに、アンハウザー・ブッシュ(Anheuser Busch)(ペンシルバニア醸造所及びオハイオ醸造所)から2つ、ミラーズ・ブルーイング株式会社(Miller’s Brewing Co.)(オハイオ醸造所)、及びマッド・アンソニーズ・ブルワリー(Mad Anthony’s Brewery)(インディアナ州Ft.Wayne)から1つずつの4種のビール醸造ミールをテストした。各々のビール醸造ミールの中性デタージェント繊維(「NDF」)含有量を測定し、DMを8%に調整し、25%の添加水を実現するのに充分な割合で取り込んだ。ビール醸造ミールを添加した場合と同様のNDFの量を実現するのに充分なレベルである4.9gのコーンまぐさを含有する対照試料もテストした。各々の処理について、試料をそれぞれ別の2日で製造した。製造後、試料のRUP含有量を検定した。RUP含有量の結果は、表23に示されている。
【0150】
【表24】

【0151】
市販のラレマン及びレザフル酵母製品はきわめて効果的であり、ADM酵母細胞集団(コーン繊維発酵)よりもわずかに大きな平均RUPを有していた。センシエント酵母及びビール酵母は、類似の結果を有し、大豆外皮対照のRUP含有量と同等であった。ビール酵母ミールの添加は、湿式加熱処理されたSBM又はコーンまぐさ対照に比べてRUP含有量の更なる増加を示さなかった。
【0152】
実施例15.発酵バイオマス及び液体リジン
この研究では、ビール酵母添加物及び付加的な5%の液体リジン製品を用いたアミノ・プラス(AminoPlus)加工条件下でのSBM又は生大豆のRUP含有量に対する効果を検討した。
【0153】
タンパク質基質は、SBM又は生大豆のいずれかであった。Treatment(処理物)#1は、25%の添加水を添加した5.5%の大豆外皮及びタンパク質基質を含んでいた。Treatment#2は、15%の添加水分とビール酵母を添加したタンパク質基質を含んでいた。Treatment#3は、ビール酵母、乾燥ステップ(すなわち試料が50℃で水分12%まで乾燥される)の前に添加される5%の液体リジン及び15%の添加水分を添加したタンパク質基質を含んでいた。全ての試料を、実施例12に記載の湿式加熱加工により加工し、RUP含有量、リジン含有量及びバイパスリジン含有量について検定した。デュプリケート試料をそれぞれ別の2日で製造した。結果は表24に要約し、処理についての平均は表25に示されている。
【0154】
ビール酵母含有Treatment#2及び#3は、SBMに対して17多いRUP単位(83%対66%)そして生大豆に対して11多い単位(81.5%対70%)の結果となった。液体リジンの添加は、SBM又は生大豆のいずれにおいてもRUP生成を改善させなかった。SBMの加工は、生大豆に比べて処理全体にわたる合計RUP生成に影響を及ぼさなかった。
【0155】
消化性RUPは、SBMについて処理全体を通して同様であった(96.5%〜98.4%)。生大豆について、消化性RUPは、全ての処理についてSBMよりも少なかった(75.9%〜60.83%)。リジンレベルは、SBMの全ての処理について生大豆よりもはるかに高かった。対照(Trt.#1)は、ビール用酵母処理(Trts.#2及び#3)に比べてSBMミールについてわずかに多いリジンを有していたが、これらは生大豆についても同様であった。
【0156】
SBMバイパスリジンの量は、ビール酵母処理により、対照に比べて(76%対58%)より高いものとなった。その数字は、生大豆についても同様であった。消化性バイパスリジン値は、SBMの全ての処理について非常に優れていた(96%〜98.5%)。これらの値は、生大豆についてはより小さく(58%〜80%)、対照Treatment#1は最大となるようであった。可溶性摂取リジンについての値は全ての処理についてきわめて可変的である。
【0157】
両方の基質(SBM及び生大豆)内でのビール酵母の処理で、より多くのRUPが生成した。RUPの消化性は、SBMの全ての処理について高いものであった。生大豆についてのRUPの消化性は、より低いものであった。両方の基質についてのバイパスリジン値は、ビール酵母処理がRUPプロセスを通して付加的なリジンを保護しているようである、ということを表している。消化性バイパスリジンは、SBMについての全ての処理を通じて優れている。消化性バイパスリジンは、生大豆についてより低いものであった。全ての分析について、SBMの場合に存在したものよりも大きな値の変動が生大豆について存在した。
【0158】
【表25】

【0159】
【表26】

【0160】
【表27】

【0161】
以上の記載は必然的に限定された数の本発明の実施形態を提示しているが、当業者であれば、本発明の性質を説明するために本明細書に記載され例示された構成要素、詳細、材料及び実施例のプロセスパラメータの様々な変更を当業者が行なうことができ、かかる修正は全て、本明細書に添付の特許請求の範囲に示された、本発明の原理及び範囲内にとどまることを認識するだろう。当業者は又、その広範な発明の概念から逸脱することなく、上述の実施形態に対し変更を加えることができることも認識するであろう。したがって、本発明は、開示されている特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲により規定された本発明の原理及び範囲内に入る修正を包含することが意図されている、ということが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0162】
図面の簡単な説明
【図1】72時間のルーメン発酵全体にわたる酵素アルファガラクトシダーゼ又はキシラナーゼと組み合わされた湿式加熱処理されたSBMについてのタンパク質回収率のグラフである。
【図2】72時間のルーメン発酵全体にわたる酵素アルファガラクトシダーゼ又はキシラナーゼと組み合わされた湿式加熱処理されたSBMについてのタンパク質回収率のグラフである。
【図3】72時間のルーメン発酵全体にわたる酵素アルファガラクトシダーゼ又はキシラナーゼと組み合わされた湿式加熱処理されたSBMについてのタンパク質回収率のグラフである。
【図4】湿式加熱処理されたSBM中の様々な量のアスコルビン酸がルーメン未分解タンパク質(「RUP」)含有率に対して及ぼす効果を示す図である。
【図5】湿式加熱処理されたSBM中の様々な量のクエン酸がRUP含有率に対して及ぼす効果を示す図である。
【図6】4時間又は5時間加熱された湿式加熱処理されたSBM中の様々な量のアスコルビン酸がRUP含有率に対して及ぼす効果を示す図である。
【図7】0.5%のアスコルビン酸(w/w)と組み合わされた湿式加熱処理されたSBM中の2価金属イオン濃度の増加がRUP含有率に対して及ぼす効果を示す図である。
【図8】2価金属イオンの1500ppmの混合物と組み合わされた湿式加熱処理されたSBM中のアスコルビン酸濃度の増加がRUP含有率に対して及ぼす効果を示す図である。
【図9】1%のクエン酸(w/w)と組み合わされた湿式加熱処理されたSBM中の2価金属イオン濃度の増加がRUP含有率に対して及ぼす効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離酵素、有機酸、真核細胞由来の発酵バイオマス及びこれらのいずれかの組合せからなる群より選択される成分;並びに
少なくとも1つのタンパク様飼料成分、を含む動物飼料組成物であって、
前記成分及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分が、湿式加熱処理で処理され、かつ
反芻動物に前記動物飼料組成物を投与する時点で、前記反芻動物のルーメンを通過するタンパク質の量が、前記反芻動物に対し投与される前記成分を含まない動物飼料組成物に比べて増大する、動物飼料組成物。
【請求項2】
前記成分が酵母、酵母クリーム、酵母バイオマス、リジンバイオマス、乳酸発酵バイオマス、クエン酸プレスケーキ、エタノールプレスケーキ、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス、及びそのいずれかの混合物からなる群より選択される発酵バイオマスを含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項3】
前記成分が、アスコルビン酸、クエン酸、アコニット酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、ピロクエン酸、リジン、そのいずれかの塩及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される有機酸を更に含む、請求項2に記載の動物飼料組成物。
【請求項4】
前記成分が、コーングルテンタンパク質、米グロブリンタンパク質、小麦グルテンタンパク質、及びそのいずれかの混合物からなる群より選択されるグルテンタンパク質を更に含む、請求項2に記載の動物飼料組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分が、大豆、大豆ミール、コーン、コーンミール、亜麻仁、亜麻仁ミール、綿実、綿実ミール、菜種、菜種ミール、ソルガムタンパク質、カノーラミール、及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項6】
2価金属イオン、植物抽出物及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される化合物を更に含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項7】
真核生物由来の発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を処理するステップ;並びに
前記処理済みの発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む動物飼料組成物を反芻動物に給餌するステップ、
を含む、動物への給餌方法であって、
前記反芻動物のルーメンを通るタンパク質の量が、前記反芻動物へ前記動物飼料組成物を投与する時点で、前記反芻動物に投与される前記処理済みの少なくとも1つのタンパク様飼料成分及び前記処理済みの発酵バイオマスを含まない動物飼料組成物に比べて増大する、給餌方法。
【請求項8】
前記発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を処理するステップが、
前記発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を15%〜50%の水分含有率で加熱するステップ;及び
前記加熱された発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を水分が10%〜15%になるまで乾燥させるステップ、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発酵バイオマスが、酵母、酵母クリーム、酵母バイオマス、リジンバイオマス、乳酸発酵バイオマス、クエン酸プレスケーキ、エタノールプレスケーキ、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス、及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
有機酸、グルテンタンパク質、単離酵素、2価の金属イオン、植物抽出物及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される成分を前記動物飼料組成物に添加するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
処理するステップが、
前記発酵バイオマス及び水を混合するステップ、並びに
水分が15%〜50%となるように前記発酵バイオマス及び水を前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分と組み合わせるステップ、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物を処理するステップが、
前記発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を87℃〜116℃の温度、15%〜50%の水分中で0.10時間〜5時間加熱するステップ;並びに
水分が10%〜15%になるまで前記発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分を乾燥させるステップ、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記動物飼料組成物を、ミール、ペレット、ブロック、タブ、プレミックス、添加物、トップドレス及び液体飼料サプリメントからなる群より選択される形態に形成するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
反芻動物に前記動物飼料組成物を給餌するステップが、0.454kg/頭/日〜3.18kg/頭/日の量で前記反芻動物飼料組成物を給餌するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記動物飼料組成物がプレミックスの形態をなしており、反芻動物に対し前記動物飼料組成物を給餌するステップが、0.09kg/頭/日〜0.454kg/頭/日の量で前記反芻動物に対し前記プレミックスを給餌するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
真核動物由来の発酵バイオマス及び少なくとも1つのタンパク様飼料成分を含む組成物を混合するステップ;
前記組成物を湿式加熱で処理するステップ;並びに
ミール、ペレット、ブロック、タブ、プレミックス、添加物、及び液体飼料サプリメントからなる群より選択される形態に前記組成物を形成するステップ、
を含む、飼料サプリメントの製造方法。
【請求項17】
前記発酵バイオマスが、酵母、酵母クリーム、酵母バイオマス、リジンバイオマス、乳酸発酵バイオマス、クエン酸プレスケーキ、エタノールプレスケーキ、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス、及びそのいずれかの混合物からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ある成分を前記組成物と混合するステップを更に含み、前記成分が有機酸、グルテンタンパク質、単離酵素、2価の金属イオン、植物抽出物及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物を混合するステップが、
前記発酵バイオマス及び水を混合するステップ、並びに
水分が15%〜50%になるように前記発酵バイオマス及び水を前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分と組み合わせるステップ、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物を湿式加熱で処理するステップが、
前記組成物を87℃〜116℃及び10%〜50%の水分で0.10時間〜5時間加熱するステップ;及び
前記組成物を水分が10%〜15%になるまで乾燥させるステップ、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物がミール又はペレットの形態をなしている、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
出荷用に構成されたコンテナ内に前記組成物を配置するステップ及び
前記コンテナとしるしとを関連付けるステップであって、前記しるしは前記組成物の動物への投与方法について使用者に指示することができるものであるステップ、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
酵母発酵バイオマス;及び
少なくとも1つのタンパク様飼料成分;
を含む動物飼料組成物であって、
前記酵母発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分は処理されたものであり、
反芻動物に対し前記動物飼料組成物を投与する時点で、前記反芻動物のルーメンを通過するタンパク質の量が、前記反芻動物に対し投与される少なくとも1つのタンパク様飼料成分及び処理済みの酵母発酵バイオマスを含まない動物飼料組成物に比べて増大している、動物飼料組成物。
【請求項24】
前記酵母発酵バイオマス及び前記少なくとも1つのタンパク様飼料成分が湿式加熱で処理されている、請求項23に記載の動物飼料組成物。
【請求項25】
前記酵母発酵バイオマスが、酵母プレスケーキ、酵母クリーム、クエン酸バイオマス、エタノールバイオマス、醸造用酵母、ビール酵母バイオマス、パン酵母バイオマス、及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される、請求項23に記載の動物飼料組成物。
【請求項26】
単離酵素、グルテンタンパク質、2価の金属イオン、有機酸、植物抽出物及びそのいずれかの組合せからなる群より選択される成分を更に含む、請求項23に記載の動物飼料組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−532524(P2008−532524A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500971(P2008−500971)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/008619
【国際公開番号】WO2006/099153
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507303309)アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド カンパニー (16)
【Fターム(参考)】