説明

反転装置およびプリフォーム取り扱い装置

【課題】簡単な構造で対象物を反転させることができる反転装置を提供する。
【解決手段】反転装置RMは、支持体78と、支持体に回転軸53回りで回転自在に支持されて、回転軸53の軸方向に第1端52aおよび反対側の第2端52bで仕切られる回転体52と、回転体52上に形成されて、第1端52aから第2端52bまで対象物Pを滑らせる滑り路84、88、89と、第1端52aで滑り路84、88、89の入口に向き合わせられ、滑り路84、88、89の入口に第1姿勢の対象物Pを案内する第1案内路51と、第2端52bで滑り路84、88、89の出口に向き合わせられ、回転体52の回転に応じて第1姿勢から反転した第2姿勢の対象物Pを滑り路84、88、89の出口から案内する第2案内路47とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を反転させる反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、プリフォームの反転機構は広く知られる。反転機構は正立姿勢のプリフォームを反転し、プリフォームの倒立姿勢を確立する。ここで、「正立姿勢」ではプリフォームの開口(容器口)は重力方向に上向きに配置される。「倒立姿勢」ではプリフォームの開口は重力方向に下向きに配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3701430号公報
【特許文献2】特許第4089362号公報
【特許文献3】特公昭61−29859号公報
【特許文献4】特許第2846691号公報
【特許文献5】特公昭59−33287号公報
【特許文献6】特開2008−302705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の反転機構は把持機構を備える。把持機構は個々のプリフォームを把持する。プリフォームは例えば2つの部材の間に挟み込まれる。2つの部材は相互に開閉される。部材の開閉にあたって複雑な駆動機構が要求される。駆動機構の複雑さは反転機構の製造コストを上昇させてしまう。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、簡単な構造で対象物を反転させることができる反転装置を提供することを目的とする。本発明は、そういった反転装置を利用したプリフォーム取り扱い装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、反転装置は、支持体と、前記支持体に回転軸回りで回転自在に支持されて、前記回転軸の軸方向に第1端および反対側の第2端で仕切られる回転体と、前記回転体上に形成されて、前記第1端から前記第2端まで対象物を滑らせる少なくとも一つの滑り路と、前記第1端で前記前記少なくとも一つの滑り路の入口に向き合わせられ、前記少なくとも一つの滑り路の入口に第1姿勢の前記対象物を案内する第1案内路と、前記第2端で前記少なくとも一つの滑り路の出口に向き合わせられ、前記回転体の回転に応じて前記第1姿勢から反転した第2姿勢の前記対象物を前記少なくとも一つの滑り路の出口から案内する第2案内路とを備える。
【0007】
こういった反転装置では第1案内路から滑り路に対象物は案内される。回転体の回転に応じて対象物は第1姿勢から第2姿勢に反転される。第2姿勢の対象物は滑り路から第2案内路に案内される。こうして簡単な構成で対象物の反転は実現される。
【0008】
前記回転軸は前記第1端側で前記第2端側よりも重力方向に高い位置に設置されるように傾斜してもよい。このとき、反転装置は、前記支持体に支持されて、前記第1端から前記第2端に向かって滑る前記第2姿勢以外の姿勢の前記対象物を制止し、前記少なくとも一つの滑り路の出口から前記第2案内路まで前記第2姿勢の前記対象物の移動を許容する制止部材をさらに備えることが望まれる。こうした反転装置では、重力の働きで対象物は滑り路を滑り降りることができる。特別な駆動力の付与なしに対象物は回転体上に導入されることができ回転体から排出されることができる。
【0009】
前記少なくとも一つの滑り路は、前記回転体が停止した時、前記第1案内路と対向する第1位置と、前記第2案内路と対向する第2位置とに配置される2つの滑り路を含むことができる。こうすると、第1案内路からの対象物の搬入と、第2案内路への対象物の搬出とを同時に行なうことができる。
【0010】
前記少なくとも一つの滑り路は、前記回転体の円周方向にて前記第1位置および第2位置の間に1または複数の滑り路をさらに含むことができる。こうすると、小さな回転角ごとに回転体上に対象物は導入され退出することができる。数が増大すればするほど、反転の処理時間は短縮されることができる。
【0011】
前記少なくとも一つの滑り路は、前記回転体に支持されて、前記回転軸から外向きに面して、前記第1端から前記第2端まで広がる主スライド面と、前記回転体に支持されて、前記主スライド面との間に任意の空間を挟み込みつつ前記第1端および前記第2端の間で広がって、前記第1端および前記第2端の間で延びる第1縁を規定する第1補助スライド面と、前記回転体に支持されて、前記主スライド面との間に任意の空間を挟み込みつつ前記第1端および前記第2端の間で広がって、前記第1端および前記第2端の間で前記第1縁に平行に延びる第2縁を規定する第2補助スライド面とを備えてもよい。
【0012】
対象物の滑りは第1縁および第2縁で案内される。第1および第2補助スライド面が重力方向に主スライド面よりも下方に位置すると、移動にあたって対象物は第1姿勢で第1および第2補助スライド面に受け止められる。反対に、主スライド面が重力方向に第1および第2補助スライド面よりも下方に位置すると、移動にあたって対象物は第1姿勢から反転した第2姿勢で主スライド面に受け止められる。こうして回転体の180度の回転に応じて対象物は反転する。
【0013】
前記第1端と制止部材との距離は、前記制止部材に突き当たる1列の前記対象物を前記第1縁および前記第2縁の間に保持する大きさに設定されればよい。こうして1組の第1縁および第2縁の間には複数個の対象物が保持されることができる。こうした構成は処理時間の短縮化に寄与する。
【0014】
反転装置は、表面に前記主スライド面を形成し、前記回転軸回りに描かれる円の半径方向に変位自在に前記回転体に取り付けられる主スライド面部材をさらに備えてもよい。こうした反転装置では、主スライド面と第1および第2補助スライド面の間隔は調整されることができる。主スライド面と第1および第2補助スライド面との間に配置される対象物の部位の大きさに応じて主スライド面と第1および第2補助スライド面との間隔は適宜に設定されることができる。反転装置は様々な大きさの対象物に対応することができる。
【0015】
反転装置は、前記第1補助スライド面を形成し、前記主スライド面に平行に移動し前記第1縁と前記第2縁との距離を増減させる第1補助スライド面部材をさらに備えてもよい。反転装置は、前記第2補助スライド面を形成し、前記主スライド面に平行に移動し前記第1縁と前記第2縁との距離を増減させる第2補助スライド面部材をさらに備えてもよい。こうした反転装置では第1縁と第2縁との間隔は調整されることができる。第1縁および第2縁の間に案内される対象物の部位の大きさに応じて第1縁と第2縁との間隔は適宜に設定されることができる。反転装置は様々な大きさの対象物に対応することができる。
【0016】
その他、前記主スライド面は前記回転軸に平行に広がればよい。ただし、主スライド面は必ずしも回転軸に平行に広がる必要はない。主スライド面は回転軸に対して傾斜してもよい。こういった傾斜によれば対象物の導入時と退出時とで異なる滑降速度で対象物を滑降させることができる。
【0017】
前記第1縁および第2縁は前記回転軸に平行に延びればよい。ただし、第1縁および第2縁は必ずしも回転軸に平行に延びる必要はない。第1縁および第2縁の間で対象物の通過が妨げられない限り、第1縁および第2縁は湾曲してもよくところどころ途切れてもよい。
【0018】
前記第1補助スライド面および前記第2補助スライド面は前記主スライド面に平行に広がればよい。ただし、第1補助スライド面および第2補助スライド面は必ずしも主スライド面に平行に広がる必要はない。第1および第2補助スライド面や主スライド面で対象物の滑降が妨げられない限り、第1補助スライド面や第2補助スライド面は主スライド面に対して傾斜してもよく湾曲してもよい。
【0019】
前記主スライド面は平面であればよい。前記第1補助スライド面および前記第2補助スライド面は前記主スライド面に平行な1仮想平面内で広がればよい。ただし、主スライド面は必ずしも平面である必要はない。第1補助スライド面および第2補助スライド面は必ずしも主スライド面に平行な1仮想平面内で広がる必要はない。第1および第2補助スライド面や主スライド面で対象物の滑降が妨げられない限り、第1補助スライド面や第2補助スライド面、主スライド面は湾曲してもよくところどころ途切れてもよい。
【0020】
本発明の他の態様によれば、プリフォーム取り扱い装置は、支持体と、前記支持体に回転軸回りで回転自在に支持されて、前記回転軸の軸方向に第1端および反対側の第2端で仕切られる回転体と、前記回転体上に形成されて、前記第1端から前記第2端までプリフォームを滑らせる少なくとも一つの滑り路と、前記第1端で前記少なくとも一つの滑り路の入口に向き合わせられ、前記少なくとも一つの滑り路の入口に第1姿勢の前記プリフォームを案内する第1案内路と、前記第2端で前記少なくとも一つの滑り路の出口に向き合わせられ、前記回転体の回転に応じて前記第1姿勢から反転した第2姿勢の前記プリフォームを前記少なくとも一つの滑り路の出口から案内する第2案内路とを備える。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、簡単な構造で対象物を反転させることができる反転装置は提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】プリフォーム取り扱い装置の部分構成を概略的に示す平面図である。
【図2】チェーンベルトおよび搬送台の構造を概略的に示す垂直断面図である。
【図3】倒立姿勢のプリフォームを示す側面図である。
【図4】正立姿勢のプリフォームを示す側面図である。
【図5】プリフォーム供給装置の構造を概略的に示す側面図である。
【図6】傾斜コンベアの構造を概略的に示すプリフォーム供給装置の部分構成図である。
【図7】プリフォーム整列装置ユニットの構造を概略的に示す斜視図である。
【図8】羽根車の構造を詳細に示す正面図である。
【図9】反転ユニットの構造を概略的に示す斜視図である。
【図10】回転体の正面図である。
【図11】反転装置の構造を部分的に示す垂直断面図である。
【図12】反転装置の一部の平面図である。
【図13】図11に対応し、反転装置の動作を簡単に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0024】
図1はプリフォーム取り扱い装置11の部分構成を概略的に示す。プリフォーム取り扱い装置11は所定のプリフォームに所定の処理を実施する。処理後のプリフォームは例えばブロー成型機(図示されず)に投入される。ブロー成型機はプリフォームから例えば容器を成型する。プリフォームは例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)といった樹脂素材から射出成型される。ここでは、プリフォーム取り扱い装置11はプリフォームの口部の結晶化加工を実現する。結晶化に応じて口部の耐熱性が高められる。
【0025】
プリフォーム取り扱い装置11は結晶化装置12およびプリフォーム供給装置13(図1には一部分のみ図示される)を備える。結晶化装置12にはプリフォーム供給装置13からプリフォームが供給される。供給にあたってプリフォームは1列に整列される。
【0026】
結晶化装置12は搬送装置14を備える。搬送装置14は例えば複数のスプロケット15を備える。スプロケット15にはエンドレスなチェーンベルト16が巻きかけられる。チェーンベルト16は搬送台17を備える。搬送台17上にプリフォームが保持される。
【0027】
結晶化装置12は加熱装置18を備える。加熱装置18はヒーター19を備える。搬送台17が移動すると、搬送台17上のプリフォームはヒーター19同士の間を通り抜ける。こうしてヒーター19からプリフォームに熱が加えられる。
【0028】
結晶化装置12はプリフォーム引き渡し装置21およびプリフォーム取り出し装置22を備える。プリフォーム引き渡し装置21およびプリフォーム取り出し装置22は搬送装置14に接続される。プリフォームはプリフォーム供給装置21から搬送台17に向けて供給される。プリフォーム引き渡し装置21はプリフォーム供給装置13から搬送台17に1個ずつ順番にプリフォームを引き渡す。プリフォーム取り出し装置22は搬送台17から1個ずつ順番に加熱処理後のプリフォームを取り外す。
【0029】
図2に示されるように、チェーンベルト16は外リンク23および内リンク24を備える。外リンク23のピン25は内リンク24のブシュ26を貫通する。内リンク24の内側でピン25には回転自在にローラー27が装着される。チェーンベルト16はローラー27でスプロケット15に噛み合う。
【0030】
外リンク23上に搬送台17が形成される。搬送台17は1対の受け部材28を備える。受け部材28は軸部材29の先端に固定される。軸部材29はピン25に対してピン25の軸方向にスライド自在にピン25に支持される。軸部材29の最上位置で受け部材28は倒立姿勢のプリフォームPの底面を受け止める。軸部材29の最下位置で受け部材28は倒立姿勢のプリフォームP内の空間から完全に離脱する。
【0031】
搬送台17は受け部材28に対応して1対の筒部材31を備える。筒部材31は軸部材29に結合される。筒部材31は最上位置で倒立姿勢のプリフォームPの口部に進入する。進入に応じて筒部材31はピン25の軸心に直交する平面内で口部を位置決めする。筒部材31は最下位置で倒立姿勢のプリフォームP内の空間から完全に離脱する。
【0032】
搬送台17は遮蔽板32を備える。遮蔽板32はスライド部材33に結合される。スライド部材33の最上位置で遮蔽板32は口部以外のプリフォームPすなわちプリフォームPの胴を覆い隠す。スライド部材33の最下位置で遮蔽板32は倒立姿勢のプリフォームPから完全に離脱する。
【0033】
いま、結晶化装置12でプリフォームPの口部を結晶化する場面を想定する。ここでは、プリフォームPから広口容器が成型される。このプリフォームPは、図3に示されるように、胴35に対して比較的に大きい口部36を備えることから、プリフォームPは水平面HR上で倒立姿勢で自立することができる。口部36は円筒体に形成される。口部の外周面にはねじ山が形成される。プリフォームPの中心軸37すなわち口部36の中心軸37は水平面HRに直交する。しかも、口部36の大きさに対して比較的に胴35の高さは低く設定されることから、プリフォームPは倒立姿勢で安定する。その一方で、図4に示されるように、プリフォームPの胴35の底面は丸みを帯びることから、正立姿勢のプリフォームPは水平面HR上で直立姿勢で自立することはできない。すなわち、正立姿勢のプリフォームPは水平面HRに対して口部36の中心軸37を直交させたまま水平面HR上で保持されることができない。プリフォームPでは口部36および胴35の間にいわゆるサポートリングすなわちフランジ38が形成される。フランジ38は口部36の中心軸37に直交する平面に沿って外側に向かって広がる。所定の間隔で離れる水平面SRにプリフォームPがフランジ38で支持されると、プリフォームPの胴35は水平面SR同士の間に入り込む。口部36の中心軸37は水平面SRに直交することができる。なお、倒立姿勢では口部36は下向きに開口する。反対に、正立姿勢では口部36は上向きに開口する。
【0034】
結晶化装置12が作動すると、チェーンベルト16が循環する。プリフォーム供給装置13から1個ずつ順番にプリフォームPが搬送装置14に供給される。チェーンベルト16の循環に伴って搬送台17は加熱装置18に進入する。進入に先立ってプリフォームPの胴35は遮蔽板32で覆われる。プリフォームPの口部36のみがヒーター19の熱に曝される。こうしてプリフォームPの口部36は結晶化される。プリフォームPの口部36に耐熱性が付与される。その後、チェーンベルト16の循環に伴って搬送台17は加熱装置18から退出する。退出後、スライド部材33は最下位置に移動する。その結果、プリフォームP全体が露出する。プリフォームPの冷却が促される。プリフォーム取り出し装置22は搬送台17から冷却後のプリフォームPを取り外す。こうしてプリフォームPの加工処理は完了する。
【0035】
ここで、プリフォーム供給装置13の構造を詳述する。図5に示されるように、プリフォーム供給装置13はプリフォーム整列装置ユニット39を備える。プリフォーム整列装置ユニット39は所定の傾斜角で傾斜する整列路41を備える。整列路41は入口端42と出口端43とを備える。入口端42は出口端43よりも重力方向に高い位置に位置する。入口端42からばらばらに複数個のプリフォームPが整列路41に供給される。整列路41でプリフォームPは正立姿勢で一列に整列する。正立姿勢のプリフォームPは1個ずつ出口端43から吐き出される。
【0036】
プリフォーム整列装置ユニット39には反転装置RMが連結される。反転装置RMは第1スライドコンベア45、反転ユニット46および第2スライドコンベア47を備える。第1スライドコンベア45は所定の傾斜角で傾斜するスライド面48を備える。スライド面48は入口端49と出口端51とを備える。入口端49は出口端51よりも重力方向に高い位置に位置する。スライド面48は入口端49で整列路41の出口端43に接続される。スライド面48は例えば傾斜する1平面内で広がる。スライド面48は入口端49から出口端51まで延びる空隙で二分割される。空隙はスライド面48の縁同士の間で均一幅で延びる。スライド面48の縁は相互に平行に延びる直線上に規定される。スライド面48同士の間隔はプリフォームPの胴35の外径よりも大きく設定される。ただし、スライド面48同士の間隔はプリフォームPのフランジ38の外径よりも小さく設定される。正立姿勢のプリフォームPはフランジ38でスライド面48に支持される。プリフォームPの胴35は空隙から吊り下がる。プリフォームPは正立姿勢のまま1個ずつ第1スライドコンベア45を滑り降りることができる。第1スライドコンベア45は第1案内路として機能する。
【0037】
第1スライドコンベア45には反転ユニット46が連結される。反転ユニット46は回転体52を備える。回転体52は所定の傾斜角で傾斜する回転軸53回りで回転する。回転体52の回転軸53の傾斜角は第1スライドコンベア45のスライド面48の傾斜角に合わせ込まれる。第1スライドコンベア45から回転体52に正立姿勢のプリフォームPは供給される。回転体52には規定の向きでプリフォームPが一時的に保持される。回転体52が180度の回転角で回転すると、プリフォームPの姿勢は反転する。
【0038】
反転ユニット46には第2スライドコンベア47が連結される。第2スライドコンベア47はスライド面54を備える。スライド面54は入口端55と出口端56とを備える。入口端55は出口端56よりも重力方向に高い位置に位置する。スライド面54は入口端55で所定の傾斜角で傾斜する。この傾斜角は回転体52の回転軸53の傾斜角に合わせ込まれる。スライド面54は出口端56で水平面に沿って広がる。したがって、スライド面54は傾斜姿勢から水平姿勢に緩やかに湾曲する。回転体52から第2スライドコンベア47に倒立姿勢のプリフォームPは供給される。プリフォームPは倒立姿勢のまま1個ずつ第2スライドコンベア47を滑り降りることができる。こうしてプリフォーム引き渡し装置21に1個ずつ倒立姿勢のプリフォームPは引き渡される。第2スライドコンベア47は第2案内路として機能する。
【0039】
プリフォーム供給装置13ではプリフォーム整列装置ユニット39に傾斜コンベア57が連結される。図6に示されるように、傾斜コンベア57は所定の傾斜角で傾斜する運搬路58を備える。傾斜コンベア57の傾斜角は地面に対して大きければ大きいほど傾斜コンベア57の設置面積は縮小される。運搬路58は終点59でプリフォーム整列装置ユニット39の整列路41の入口端42に接続される。運搬路58の始点61はホッパー62の底に連結される。ホッパー62には複数のプリフォームPが溜められる。傾斜コンベア57はホッパー62からプリフォームPをすくい上げる。傾斜コンベア57はホッパー62からプリフォーム整列装置ユニット39にプリフォームPを運搬する。こうしたプリフォーム整列装置ユニット39、ホッパー62および傾斜コンベア57の組み合わせによれば、プリフォームPは予め一列に揃えられる必要はなく、人手の作業はできる限り回避されることができる。作業効率は高められることができる。
【0040】
次に、図7を参照しつつプリフォーム整列装置ユニット39の構造を簡単に説明する。プリフォーム整列装置ユニット39は1対のローラー63を備える。ローラー63は相互に平行に延びる。ローラー63の軸心は共通の1水平線に直交する。ローラー63同士の間に間隔が形成される。間隔の大きさはプリフォームPのフランジ38の外径よりも小さく設定される。ローラー63は軸心回りで相互に反対向きに回転する。回転に応じてローラー63の外面は上向きに間隔の空間をなぞる。ローラー63は前述の整列路41を形成する。プリフォームPは整列路41の入口端42から出口端43まで重力の働きで徐々に下降していく。下降中にローラー63の回転の作用でプリフォームPは姿勢を変化させる。しかも、ローラー63の間隔はプリフォーム1個分に満たないことから、プリフォームPはローラー63同士の間に一列に並ぶ。
【0041】
プリフォーム整列装置ユニット39は案内部材64を備える。案内部材64はローラー63の上方に配置される。案内部材64はローラー63の軸心に平行に広がる案内面65を有する。案内面65はローラー63に近づくにつれて徐々に間隔を狭める。案内部材64はローラー63同士の間隔に向かってプリフォームPを案内する。
【0042】
整列路41の出口端43手前には羽根車66が配置される。羽根車66は水平軸回りで回転する。羽根車66は回転羽根67を備える。回転羽根67は例えば水平軸回りに等間隔で配置される。ここでは例えば12枚の回転羽根67が取り付けられる。回転羽根67は、ローラー63同士の間の空間を下から上に向かってなぞるように回転する。プリフォームPが正立姿勢以外の姿勢でローラー63同士の間に保持されると、プリフォームPは羽根車66の回転羽根67で跳ね上げられる。プリフォームPは整列路41の上流側に飛び上がる。たとえプリフォームPが正立姿勢であっても2つ以上のプリフォームPが重なった状態でローラー63同士の間に保持されると、プリフォームPは羽根車66の回転羽根67で跳ね上げられる。こうしてプリフォームPは再びローラー63の作用に曝される。仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラー63同士の間に進入すれば、プリフォームPは回転羽根67を通り抜ける。回転羽根67とプリフォームPとの接触は回避される。プリフォームPは整列路41の出口端43に行き着くことができる。
【0043】
個々の回転羽根67は羽根本体68を備える。回転羽根67は羽根本体68で水平軸すなわち回転軸に連結される。羽根本体68は回転軸の1放射線を含む仮想平面に沿って広がる。図8に示されるように、羽根本体68には正面視で左右1対の第1爪部材69が取り付けられる。第1爪部材69は例えばねじで固定されればよい。第1爪部材69同士は水平方向に所定の間隔で離される。第1爪部材69同士は垂直面71で相互に向き合わせられる。垂直面71はローラー63の軸心に平行に広がる平面で形成される。垂直面71同士の間隔は、プリフォームPのフランジ38の外径に所定の隙間を加えた大きさに設定される。したがって、仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラー63同士の間に進入すれば、プリフォームPは第1爪部材71同士の間を通り抜けることができる。
【0044】
個々の回転羽根67では1対の第1爪部材69にそれぞれ対応の補助爪部材72が取り付けられる。補助爪部材72は例えばねじで固定されればよい。補助爪部材72の先端は対応の垂直面71から相互に接近する方向に突出する。図8に示されるように、補助爪部材72の先端は、正しく正立姿勢でローラー63同士の間に進入するプリフォームPの輪郭から外側に配置される。したがって、仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラー63同士の間に進入すれば、プリフォームPは補助爪部材72同士の間を通り抜けることができる。その一方で、補助爪部材72の先端は、横転姿勢でローラー63同士の間に進入するプリフォームP、すなわち、ローラー63同士の間で支持されてローラー63の軸心に平行に中心軸37を配置するプリフォームPの輪郭に接する。したがって、仮にプリフォームPが横転姿勢でローラー63同士の間に支持されれば、プリフォームPは補助爪部材72で跳ね上げられる。プリフォームPは整列路41の上流側に飛び上がる。
【0045】
特定の回転羽根67では羽根本体68に1つの第2爪部材73が取り付けられる。第2爪部材73は例えばねじで固定されればよい。第2爪部材73は、垂直面71を含む仮想垂直面同士の間に配置される。第2爪部材73は1対の爪74を備える。第2爪部材73は、正しく正立姿勢でローラー63同士の間に進入するプリフォームPの輪郭から外側に配置される。したがって、仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラー63同士の間に進入すれば、プリフォームPは第2爪部材73を通り抜けることができる。その一方で、爪74の先端は、正立姿勢で重なった状態でローラー63同士の間に進入するプリフォームPに衝突する位置に配置される。したがって、たとえプリフォームPが正立姿勢であっても2つ以上のプリフォームPが重なった状態でローラー63同士の間に保持されると、プリフォームPは爪74で跳ね上げられる。第2爪部材73は例えば全ての回転羽根67で取り付けられてもよく例えば1つおきに特定の回転羽根67でのみ取り付けられてもよい。
【0046】
図9示されるように、反転ユニット46は支持体78を備える。支持体78には前述の回転軸53が固定される。回転軸53には前述の回転体52が回転自在に装着される。こうして回転体52は支持体78に回転軸53回りで回転自在に支持される。回転体52は回転軸53の軸方向に第1端52aすなわち上流端と第2端52bすなわち下流端とで仕切られる。第1端52aおよび第2端52bは端板で形成される。
【0047】
回転体52には主スライド面部材81、第1補助スライド面部材82および第2補助スライド面部材83が支持される。主スライド面部材81は主スライド面84を有する。主スライド面84は回転軸53から外向きに面する。主スライド面84は、回転体52の第1端52aから回転体52の第2端52bまで広がる平面で構成される。平面は回転体52の第1端52aおよび第2端52bでそれぞれ途切れる。主スライド面84は回転軸53の軸心に平行に広がる。主スライド面84は、回転軸53の軸心を含む仮想平面に直交する。主スライド面84は、プリフォームPの滑りを許容する表面粗さで平滑に形成される。
【0048】
主スライド面部材81は1対の取り付け片85を有する。個々の取り付け片85は、回転軸53の軸心に直交する平面に沿って広がる。取り付け片85は回転体52の第1端52aおよび第2端52bで回転体52の端面すなわち端板の表面に重ね合わせられる。その結果、主スライド面部材81は、回転軸53の軸心に対して主スライド面84の平行関係を維持しつつ回転軸53の軸心に対して相対的に変位することができる。
【0049】
個々の取り付け片85には1対の長孔86が形成される。長孔86は相互に平行に延びる。長孔86の中心線86aは回転軸53の軸心を含む仮想平面に平行に設定される。長孔86にはねじ87が差し込まれる。ねじ87は回転体52の端面すなわち端板にねじ込まれる。取り付け片85はねじ87のねじ頭と回転体52の端面との間に挟み込まれる。こうして取り付け片85すなわち主スライド面部材81は回転体52に固定される。ねじ87は長孔86に受け入れられることから、回転軸56回りに描かれる円の半径方向に主スライド面部材81は変位することができる。
【0050】
第1補助スライド面部材82は第1補助スライド面88を有する。第1補助スライド面88は主スライド面84との間に任意の空間を挟み込む。第1補助スライド面88は回転体52の第1端52aから回転体52の第2端52bまで広がる平面で構成される。平面は回転体52の第1端52aおよび第2端52bで途切れる。第1補助スライド面88は回転軸53の軸心に平行に広がる。第1補助スライド面88は、主スライド面84に平行な1仮想平面内で広がる。
【0051】
第2補助スライド面部材83は第2補助スライド面89を有する。第2補助スライド面89は主スライド面84との間に任意の空間を挟み込む。第2補助スライド面89は回転体52の第1端52aから回転体52の第2端52bまで広がる平面で構成される。平面は回転体52の第1端52aおよび第2端52bで途切れる。第2補助スライド面89は回転軸53の軸心に平行に広がる。第2補助スライド面89は、第1補助スライド面88を含む仮想平面内で広がる。
【0052】
第1補助スライド面部材82および第2補助スライド面部材83は主スライド面84に隣接する空間を挟み込む。第1補助スライド面88は当該空間に接する第1縁88aを規定する。同様に、第2補助スライド面89は当該空間に接する第2縁89aを規定する。第1縁88aおよび第2縁89aは回転体52の第1端52aから回転体52の第2端52bまで延びる。第1縁88aおよび第2縁89aは相互に向き合いつつ相互に平行に延びる。第1縁88aおよび第2縁89aは回転軸53の軸心に平行に設定される。
【0053】
第1補助スライド面部材82は取り付け片91を有する。取り付け片91は主スライド面84に平行に広がる平面に沿って広がる。取り付け片91は回転体52の第1端52aおよび第2端52bの間で回転体52の側面に重ね合わせられる。その結果、第1補助スライド面部材82は、回転軸53の軸心に対して第1補助スライド面88の平行関係を維持しつつ回転軸53の軸心に対して相対的に変位することができる。
【0054】
取り付け片91には1対の長孔92が形成される。長孔92は相互に平行に延びる。長孔92の中心線92aは回転軸53の軸心に直交する仮想平面内に設定される。長孔92にはねじ93が差し込まれる。ねじ93は回転体52の側面にねじ込まれる。取り付け片91はねじ93のねじ頭と回転体52の側面との間に挟み込まれる。こうして取り付け片91すなわち第1補助スライド面部材82は回転体52に固定される。ねじ93は長孔92に受け入れられることから、第1補助スライド面88は主スライド面84に平行に変位し第1縁88aと第2縁89aとの距離を増減させることができる。
【0055】
同様に、第2補助スライド面部材83は取り付け片94を有する。取り付け片94は主スライド面84に平行に広がる平面に沿って広がる。取り付け片94は回転体52の第1端52aおよび第2端52bの間で回転体52の側面に重ね合わせられる。その結果、第2補助スライド面部材83は、回転軸53の軸心に対して第2補助スライド面89の平行関係を維持しつつ回転軸53の軸心に対して相対的に変位することができる。
【0056】
取り付け片94には1対の長孔95が形成される。長孔95は相互に平行に延びる。長孔95の中心線95aは回転軸53の軸心に直交する仮想平面内に設定される。長孔95にはねじ96が差し込まれる。ねじ96は回転体52の側面にねじ込まれる。取り付け片94はねじ96のねじ頭と回転体52の側面との間に挟み込まれる。こうして取り付け片94すなわち第2補助スライド面部材83は回転体52に固定される。ねじ96は長孔95に受け入れられることから、第2補助スライド面89は主スライド面84に平行に変位し第1縁88aと第2縁89aとの距離を増減させることができる。
【0057】
第1端52aには複数のスペーサー板97aおよび複数対のゲートスライド板97bが取り付けられる。個々のスペーサー板97aに1対のゲートスライド板97bが組み合わせられる。スペーサー板97aおよびゲートスライド板86bは第1端52aに例えばねじで固定されればよい。スペーサー板97aおよびゲートスライド板97bは第1端52aの表面に重ね合わせられる。1組のスペーサー板97aおよびゲートスライド板97bは主スライド面部材81同士の間にそれぞれ配置される。
【0058】
全てのスペーサー板97aおよびゲートスライド板97bは、回転軸53に直交する平面内で広がる面一の平滑面を有する。平滑面は、プリフォームPの滑りを許容する表面粗さで平滑に形成される。平滑面は、回転軸53周りで回転する第1および第2補助スライド面88、89の移動軌跡すなわち1つの仮想円に沿って広がる。しかも、スペーサー板97aおよびゲートスライド板97bは所定の厚みを有することから、平滑面は第1および第2補助スライド面部材82、83の上流端よりも軸方向に上流側に配置される。スペーサー板97aおよびゲートスライド板97bは例えば摺動樹脂材料から成形されればよい。ゲートスライド板97bの位置は、図10に示されるように、主スライド面84に平行に変更されることができる。その結果、ゲートスライド板97bは、主スライド面84に隣接する空間を挟んで相互に接近したり相互に遠ざかったりすることができる。
【0059】
反転ユニット46はさらに制止部材98を備える。制止部材98は支持体78に支持される。制止部材98は回転軸53の軸心回りに円周方向に所定の長さで広がる。制止部材98には受け面99が区画される。受け面99は、回転軸53の軸心に直交する1仮想平面内で広がる。受け面99は回転軸53の軸心に同軸の円弧で内縁を規定する。内縁は個々の主スライド面84から主スライド面84に直交する方向に所定の距離で離れた位置に配置される。同時に、制止部材98の内縁は、回転体52の第1端52aすなわち上流端から回転軸53の軸方向に所定の距離で離れた位置に配置される。
【0060】
図10に示されるように、第1補助スライド面88の第1縁88aと第2補助スライド面89の第2縁89aとの間隔はプリフォームPのフランジ38の外径D1よりも小さくフランジ38の内径D2よりも大きく設定される。前述のように、長孔92および長孔95の働きで第1補助スライド面88の第1縁88aと第2補助スライド面89の第2縁89aとの間隔は増減することができることから、プリフォームPの大きさに応じて第1縁88aおよび第2縁89aの間隔は適宜に設定されることができる。反転ユニット46は様々な大きさのプリフォームPに対応することができる。その他、第1補助スライド面部材82および第2補助スライド面部材83の交換に基づき第1縁88aおよび第2縁89aの間隔は調整されてもよい。図10から明らかなように、第1補助スライド面88および第2補助スライド面89は、それらの全長にわたって、プリフォームPの外径D1より外側に広がる大きさを有する。
【0061】
同時に、主スライド面84と第1および第2補助スライド面88、89との間隔は、プリフォームPの軸方向の長さL1から胴35の軸方向の長さを差し引いた大きさL2に所定の遊びαを加えた大きさ(L2+α)、すなわち、プリフォームPが倒立姿勢で水平面100に設置される際にフランジ38に上方から接する平面101の高さL2に所定の遊びαを加えた大きさ(L2+α)に設定される。前述のように、長孔86の働きで主スライド面84と第1および第2補助スライド面88、89との間隔は増減することができることから、口部36の高さに応じて主スライド面84と第1および第2補助スライド面88、89との間隔は適宜に設定されることができる。反転ユニット46は様々な大きさの口部36に対応することができる。その他、主スライド面部材81の交換に基づき主スライド面84と第1および第2補助スライド面88、89との間隔は調整されてもよい。主スライド面84の広がりは、同様に、プリフォームPの口部36の外径よりも大きく、口部36の全体を受け止めることができる大きさを有する。
【0062】
プリフォームPでは、前述のフランジ38に代えて、口部36の開口面、すなわち、正立姿勢で口部36の天面から中心軸に直交する平面内で外側に広がるフランジが形成されてもよい。この場合でも、主スライド面84と第1および第2補助スライド面88、89との間隔は、プリフォームPが倒立姿勢で水平面100に設置される際にフランジに上方から接する平面101の高さL2に所定の遊びαを加えた大きさ(L2+α)に設定されればよい。本実施形態では、そういった間隔の設定にあたって例えば主スライド面部材81並びに第1および第2補助スライド面部材82、83が交換されてもよい。
【0063】
主スライド面84並びに第1および第2補助スライド面88、89の組み合わせは複数組にわたって回転体52の円周方向に配置される。ここでは、6組の組み合わせが中心角60度のピッチで円周方向に等間隔に配置される。ただし、組み合わせ数は6個に限られるものではない。組み合わせ数は回転体52の大きさとプリフォームPの大きさとに応じて適宜に決定されればよい。個々の組み合わせはプリフォームPの滑降路102を形成する。本実施形態の滑降路102は滑り路として機能する。
【0064】
図10に示されるように、回転体52が60度の回転角で回転するたびに、いずれかの滑降路102が最下位置PLに位置決めされる。最下位置PLでは第1および第2補助スライド面88、89と第1スライドコンベア45のスライド面48とは隣接する。プリフォームPは自重で滑降路102内を滑り降りる。プリフォームPの滑降は制止部材98で止められる。こうしてプリフォームPは回転体52に保持される。個々の滑降路102は最下位置PLから60度の回転角ごとに第1中途位置P1および第2中途位置P2を経て最上位置PHに至る。制止部材98は最下位置PLから第2中途位置P2まで中心角180度の範囲で広がる。制止部材98は第2中途位置P2で途切れる。回転体52の回転中、プリフォームPは制止部材98の内縁上を滑る。プリフォームPは回転中も回転体52上に保持され続ける。
【0065】
滑降路102が最下位置PLから第1および第2中途位置P1、P2を経て最上位置PHに至ると、主スライド面84と第2スライドコンベア47のスライド面54とは相互に隣接する。制止部材98は第2中途位置P2で途切れることから、制止部材98の制止は解除される。その結果、プリフォームPは自重で滑降路102から滑り降りる。主スライド面84と制止部材98の内縁との距離はプリフォームPの大きさや形状に基づき適宜に設定される。
【0066】
図11に示されるように、回転体52と回転軸53とは駆動源すなわちモーター104を構成する。回転軸53には例えばステーター105が固定される。ステーター105は例えば永久磁石から構成されればよい。回転体52には例えばローター106が固定される。ローター106は回転軸53回りでステーター105を囲む。ローター106は例えば電磁コイルから構成されればよい。電磁コイルは電力の供給に応じて磁界を生成する。モーター104は所定の回転角で間欠的に回転体52の回転を引き起こす。
【0067】
個々の滑降路102は入口端107と出口端108とを備える。入口端107は出口端108よりも重力方向に高い位置に位置する。滑降路102が最下位置PLに位置決めされると、第1補助スライド面88および第2補助スライド面89は第1スライドコンベア45のスライド面48に隣接する。すなわち、滑降路102の入口端107は第1スライドコンベア45の出口端51に向き合わせられる。したがって、滑降路102には第1スライドコンベア45からプリフォームPが滑り降りることができる。滑降路102には一列に規定数のプリフォームPが受け入れられることができる。同時に、滑降路102が最上位置PHに位置決めされると、主スライド面84は第2スライドコンベア47のスライド面54に隣接する。すなわち、滑降路102の出口端108は第2スライドコンベア47の入口端55に向き合わせられる。したがって、滑降路102から第2スライドコンベア47にプリフォームPは滑り降りることができる。前述のように最下位置PLと最上位置PHとの間には180度の回転角が設定されることから、滑降路102は回転体52の180度の回転ごとに最下位置PLおよび最上位置PHを行き来することができる。
【0068】
反転ユニット46は第1検出センサー111および第2検出センサー112を備える。第1検出センサー111は、最下位置PLに位置する滑降路102で最も入口端107に近い位置に位置するプリフォームPを検出する。第1検出センサー111の働きで、滑降路102が規定数のプリフォームPで満たされたか否かが確認される。第2検出センサー112は、最上位置PHに位置する滑降路102で最も出口端108に近い位置に位置するプリフォームPを検出する。第2検出センサー112の働きで、滑降路102から全てのプリフォームPが排出されたか否かが確認される。第1検出センサー111および第2検出センサー112にはいわゆる光学センサーが利用されればよい。
【0069】
図12に示されるように、第1スライドコンベア45には規制機構113が取り付けられる。規制機構113は規制部材115を備える。規制部材115は第1位置F1および第2位置B1の間で移動する。第1位置F1で規制部材115はプリフォームPの移動経路116に進入する。第1位置F1の規制部材115は第1スライドコンベア45で先頭のプリフォームPの前進を遮る。第2位置B1で規制部材115はプリフォームPの移動経路116から後退する。規制部材115には例えば電磁ソレノイド117といった駆動装置が接続される。電磁ソレノイド117の働きで規制部材115は第1位置F1と第2位置B1との間で変位することができる。
【0070】
次に、反転ユニット46の動作を詳述する。プリフォーム整列装置ユニット39が動作すると、図12に示されるように、正立姿勢のプリフォームPが一列に第1スライドコンベア45のスライド面48を滑り降りてくる。第1スライドコンベア45から一列に3個のプリフォームPが最下位置PLに位置する滑降路102に滑り降りる。滑降路102には規定数のプリフォームPが一列で進入する。最初のプリフォームPは制止部材98に突き当たる。制止部材98の受け面99に最初のプリフォームPが接触すると、回転体52の前端56aおよび後端56bの間に3個のプリフォームPが受け入れられる。プリフォームPは正立姿勢に維持される。3個のプリフォームPで滑降路102が埋まると、第1スライドコンベア45内で先頭すなわち制止部材98から4番目のプリフォームPの前進は遮られる。こうして4番目以降のプリフォームPは第1スライドコンベア45内に留まる。第1スライドコンベア45上にプリフォームPが溜められる。第1スライドコンベア45の出口端51に十分な個数のプリフォームPが溜まる。
【0071】
図13に示されるように、3個のプリフォームPが第1および第2補助スライド面88、89上を滑って滑降路102に進入すると、第1検出センサー111は検知信号を出力する。この検知信号の働きで滑降路102が規定数のプリフォームPで満たされたことが確認される。検知信号の出力に応じて反転ユニット46のモーター104に駆動信号が供給される。回転体52は60度の回転角で回転する。最下位置PLの滑降路102は第1中途位置P1に移動する。このとき、滑降路102内で先頭のプリフォームPは制止部材98上をスライドする。制止部材98はプリフォームPの滑降を制止する。3個のプリフォームPは滑降路102内に保持される。同時に、第1スライドコンベア45上で先頭のプリフォームPは1対の滑降路102同士の間でスペーサー板97aおよびゲートスライド板97bの平滑面上をスライドする。スペーサー板97aおよびゲートスライド板97bはプリフォームPの滑降を制止する。新たに空の滑降路102が最下位置PLに位置決めされると、新たに3個のプリフォームPが滑降路102に進入する。このように新たに空の滑降路102が最下位置PLに移動してくるたびにその滑降路102には3個のプリフォームPが受け入れられる。
【0072】
さらに回転体52が60度の回転角で回転すると、第1中途位置P1の滑降路102は第2中途位置P2に移動する。滑降路102内で最初のプリフォームPは制止部材98上をスライドし続ける。3個のプリフォームPは滑降路102内に保持され続ける。さらに回転体52が60度の回転角で回転すると、第2中途位置P2の滑降路102は最上位置PHに移動する。このように回転体52の3度の間欠回転で滑降路102の回転角は180度に達する。滑降路102が最上位置PHに到達すると、滑降路102内のプリフォームPは倒立姿勢で主スライド面84に受け止められる。第2中途位置P2で制止部材98は途切れることから、最上位置PHでプリフォームPは支えを失う。したがって、最上位置PHの滑降路102内のプリフォームPは倒立姿勢で主スライド面84上を滑り降りる。制止部材98は倒立姿勢のプリフォームPの移動を許容する。プリフォームPは倒立姿勢で滑降路102から退出する。プリフォームPの反転は完了する。
【0073】
反転ユニット46では回転体52の軸心は第1端52a側で第2端52b側よりも重力方向に高い位置に設置される。こうした反転ユニット46では、重力の働きでプリフォームPは主スライド面84や第1および第2補助スライド面88、89上を滑り降りることができる。特別な駆動力の付与なしにプリフォームPは個々の滑降路102に導入されることができ滑降路102から排出されることができる。
【0074】
前述のように、滑降路102は複数個にわたって回転体52の円周方向に配置される。したがって、60度の回転角といった小さな回転角ごとに滑降路102にプリフォームPは導入されることができ、同時に、滑降路102からプリフォームPは退出することができる。例えば1つの滑降路102のみが回転体52上に形成される場合に比べて、反転の処理時間は短縮されることができる。滑降路102の数は増加すればするほど、反転の処理時間は短縮される。
【0075】
しかも、前述のように、回転体52の第1端52aと制止部材98の内縁との距離Sは、滑降路102内で1列に3個のプリフォームPを保持する大きさに設定される。3個のプリフォームPが一度に反転されることから、個々の滑降路102に1個だけのプリフォームPが保持される場合に比べて、反転の処理時間は著しく短縮化されることができる。
【0076】
第2スライドコンベア47の出口端56に十分な個数のプリフォームPが供給されていないと、先頭のプリフォームPには後続するプリフォームPから十分な自重すなわち推進力が作用することができない。十分な個数のプリフォームPが出口端56に蓄積されるまでプリフォームPはプリフォーム引き渡し装置21に引き渡されることができない。その結果、結晶化装置12にて供給不良が発生してしまうことがある。こうした供給不良の回避にあたって規制機構113が利用される。第2スライドコンベア47上には検出装置(センサー)および流量監視装置(センサー)が配置される。検出装置は、最低限の推進力を確保することができる個数のプリフォームPが出口端56に蓄積されているか否かを監視する。流量監視装置は入口端55付近でプリフォームPの蓄積状況を監視する。プリフォーム整列装置39の回転羽根67でプリフォームPが上流側に戻されたり装置外に排出されたりした結果、第2スライドコンベア47上に配列されるプリフォームPに供給不足が生じると、規制機構113の規制部材115は第1位置に位置決めされる。第1スライドコンベア45では先頭のプリフォームPの前進は遮られる。最下位置の滑降路102に向かって新たなプリフォームPの進入は阻止される。このとき、回転体52は通常時よりも高速に間欠的に回転する。その結果、最上位置PHの滑降路102からプリフォームPは排出される。規制機構113の作動に先立って反転ユニット46に蓄積された3列分のプリフォームPは60度の回転のたびに反転ユニット46から滑り落ちる。こうして第2スライドコンベア47の出口端56ではスライド面54の傾斜に応じて少なくとも9個のプリフォームPが列を作る。プリフォームPの自重の働きで先頭のプリフォームPはプリフォーム引き渡し装置21に向かって押し出される。こうして第2スライドコンベア47上で供給不足が生じた場合でも、少なくとも9個のプリフォームPが列を作ることにより軽度の供給不足は解消される。結晶化装置12の安定供給が可能となる。
【0077】
なお、主スライド面84は必ずしも回転軸53の軸心に平行に広がらなくてもよい。例えば回転体52は円錐台形状に形成されてもよい。こうした形状によれば、プリフォームPの導入時と退出時とで異なる滑降速度でプリフォームPは滑降路102内を滑降することができる。第1縁88aおよび第2縁89aは必ずしも回転軸53の軸心に平行に延びなくてもよい。第1縁88aおよび第2縁89aは必ずしも連続する直線である必要はない。すなわち、第1縁88aおよび第2縁89aは、滑降路102内で滑降するプリフォームPの案内を阻害しない限り、湾曲してもよく、ところどころ途切れてもよい。第1補助スライド面88および第2補助スライド面89は必ずしも主スライド面84に平行に広がる必要はない。すなわち、第1補助スライド面88および第2補助スライド面89は、滑降路102内で円滑にプリフォームPが滑降する限り、主スライド面84に対して傾斜してもよく湾曲してもよい。主スライド面84は必ずしも平面である必要はない。すなわち、主スライド面84は、滑降路102内で円滑にプリフォームPが滑降する限り、湾曲してもよくところどころ途切れてもよい。
【0078】
なお、プリフォーム取り扱い装置11には前述の結晶化装置12に代えてブロー成型機が組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0079】
11 プリフォーム取り扱い装置、45 第1案内路(第1スライドコンベア)、47 第2案内路(第2スライドコンベア)、52回転体、52a 第1端、52b 第2端、53 回転軸、78 支持体、81 主スライド面部材、82 第1補助スライド面部材、83 第2補助スライド面部材、84 主スライド面、88 第1補助スライド面、88a 第1縁、89 第2補助スライド面、89a 第2縁、98 制止部材、
P 対象物(プリフォーム)、RM 反転装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体に回転軸回りで回転自在に支持されて、前記回転軸の軸方向に第1端および反対側の第2端で仕切られる回転体と、
前記回転体上に形成されて、前記第1端から前記第2端まで対象物を滑らせる少なくとも一つの滑り路と、
前記第1端で前記少なくとも一つの滑り路の入口に向き合わせられ、前記少なくとも一つの滑り路の入口に第1姿勢の前記対象物を案内する第1案内路と、
前記第2端で前記少なくとも一つの滑り路の出口に向き合わせられ、前記回転体の回転に応じて前記第1姿勢から反転した第2姿勢の前記対象物を前記少なくとも一つの滑り路の出口から案内する第2案内路と、
を備えることを特徴とする反転装置。
【請求項2】
請求項1に記載の反転装置において、前記回転軸は前記第1端側で前記第2端側よりも重力方向に高い位置に設置されるように傾斜し、当該反転装置は、前記支持体に支持されて、前記第1端から前記第2端に向かって滑る前記第2姿勢以外の姿勢の前記対象物を制止し、前記少なくとも一つの滑り路の出口から前記第2案内路まで前記第2姿勢の前記対象物の移動を許容する制止部材をさらに備えることを特徴とする反転装置。
【請求項3】
請求項2に記載の反転装置おいて、前記少なくとも一つの滑り路は、前記回転体が停止したとき、前記第1案内路と対向する第1位置と、前記第2案内路と対向する第2位置とに配置される2つの滑り路を含むことを特徴とする反転装置。
【請求項4】
請求項3に記載の反転装置おいて、前記少なくとも一つの滑り路は、前記回転体の円周方向にて前記第1位置および前記第2位置の間に1または複数の滑り路をさらに含むことを特徴とする反転装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の反転装置において、前記少なくとも一つの滑り路は、
前記回転体に支持されて、前記回転軸から外向きに面して、前記第1端から前記第2端まで広がる主スライド面と、
前記回転体に支持されて、前記主スライド面との間に任意の空間を挟み込みつつ前記第1端および前記第2端の間で広がって、前記第1端および前記第2端の間で延びる第1縁を規定する第1補助スライド面と、
前記回転体に支持されて、前記主スライド面との間に任意の空間を挟み込みつつ前記第1端および前記第2端の間で広がって、前記第1端および前記第2端の間で前記第1縁に平行に延びる第2縁を規定する第2補助スライド面と、
を備えることを特徴とする反転装置。
【請求項6】
請求項5に記載の反転装置において、前記第1端と前記制止部材との距離は、前記制止部材に突き当たる1列の前記対象物を前記第1縁および前記第2縁の間に保持する大きさに設定されることを特徴とする反転装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の反転装置において、表面に前記主スライド面を形成し、前記回転軸回りに描かれる円の半径方向に変位自在に前記回転体に取り付けられる主スライド面部材をさらに備えることを特徴とする反転装置。
【請求項8】
請求項7に記載の反転装置において、
前記第1補助スライド面を形成し、前記主スライド面に平行に移動し前記第1縁と前記第2縁との距離を増減させる第1補助スライド面部材と、
前記第2補助スライド面を形成し、前記主スライド面に平行に移動し前記第1縁と前記第2縁との距離を増減させる第2補助スライド面部材と、
をさらに備えることを特徴とする反転装置。
【請求項9】
支持体と、
前記支持体に回転軸回りで回転自在に支持されて、前記回転軸の軸方向に第1端および反対側の第2端で仕切られる回転体と、
前記回転体上に形成されて、前記第1端から前記第2端までプリフォームを滑らせる少なくとも一つの滑り路と、
前記第1端で前記少なくとも一つの滑り路の入口に向き合わせられ、前記少なくとも一つの滑り路の入口に第1姿勢の前記プリフォームを案内する第1案内路と、
前記第2端で前記少なくとも一つの滑り路の出口に向き合わせられ、前記回転体の回転に応じて前記第1姿勢から反転した第2姿勢の前記プリフォームを前記少なくとも一つの滑り路の出口から案内する第2案内路と、
を備えることを特徴とするプリフォーム取り扱い装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−71453(P2012−71453A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216865(P2010−216865)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000227032)日精エー・エス・ビー機械株式会社 (35)
【Fターム(参考)】