説明

収容構造

【課題】問題が生ずることなく物品の視認性を確保することができる収容構造を提供する。
【解決手段】箱体1のコーナー部分21に開口部22を設け、前面12の一部及び第一側面14の一部から箱本体11内の物品23を視認可能とする。箱本体11内に無色透明の被覆板31を収容する。被覆板本体41の長さ寸法を箱本体11の高さ寸法とほぼ同寸法に設定し、被覆板本体41の幅寸法を箱本体11の対角線51とほぼ同寸法に設定する。被覆板31を、第一側面14及び後面13が構成する第一角部61と、前面12及び第二側面15が構成する第二角部62との対角線51上に延設する。被覆板本体31に、開口部22側へ突出する被覆部71を膨出形成し、物品23の開口部22側の一部を収容可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容する収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収容する収容構造としては、詰め合わせ紙箱が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この詰め合わせ紙箱は、外側を形成する紙箱本体に、物品としての歯ブラシと歯磨きとを収容できるように構成されている。前記紙箱の前面には、開口部が開設されており、収容された歯ブラシと歯磨きの一部とを確認できるように構成されている。
【0004】
前記歯ブラシは、当該歯ブラシを保持する膨出部が形成されたブリスターと、該ブリスターの裏面に接着された紙片とからなるブリスターパックに収容した状態で前記紙箱本体に収容されており、前記開口部からの不要な飛び出しが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−253475公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の収容構造にあっては、歯ブラシのような薄いものを収容する際にはブリスターが深絞りにならないため問題とならないが、厚手のものを収納する場合、前記ブリスターが薄肉となり、物品の保護が不十分になる。
【0007】
また、歯ブラシ全体を覆うようにブリスターが形成されているため、プラスチック材料の使用量が多くなる。
【0008】
また、歯ブラシを紙片で押さえる構造上、重い物品の保持には不向きであった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、これらの問題を解決しつつ物品の視認性を確保することができる収容構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の収容構造にあっては、相対向する前面及び後面と相対向する第一側面及び第二側面とを有した矩形状の箱体に、収容した物品が見えるように開口部が設けられた収容構造において、少なくとも隣接した前記前面及び前記第一側面からなるコーナー部分に前記開口部を開設し、前記前面の一部及び前記第一側面の一部から内部を視認可能に構成する一方、前記箱体に収容された状態で、前記第一側面及び前記後面が構成する第一角部と、前記前面及び前記第二側面が構成する第二角部との対角線上に沿って延設される透明性を有した被覆板に、少なくとも前記物品の前記開口部側の部分を収容した状態で被覆する被覆部を膨出形成した。
【0011】
すなわち、物品を収容した箱体には、隣接した前面と第一側面とからなるコーナー部分に開口部が開設されており、収容した物品が、前記前面の一部及び前記第一側面の一部から視認できるように構成されている。
【0012】
そして、前記箱体には、透明性を有した被覆板が収容されており、該被覆板には、少なくとも前記物品の前記開口部側の部分を被覆する被覆部が膨出形成されている。このため、前記物品は、その表面が前記被覆部によって十分に保護される。
【0013】
このとき、前記被覆板は、前記第一側面及び前記後面が構成する第一角部と、前記前面及び前記第二側面が構成する第二角部との対角線上に沿って延設されており、その両端部が前記各角部に支持されている。
【0014】
これにより、前記開口部が設けられた前記コーナー部側への移動が阻止され、前記物品の前記開口部からの不用意な離脱が防止される。
【0015】
また、請求項2の収容構造においては、前記箱体の少なくとも前記前面又は前記第一側面と、前記被覆部との間に間隙を形成した。
【0016】
すなわち、前記物品の一部を被覆した前記被覆部と、前記箱体の前記前面又は前記第一側面との間には、間隙が確保されており、前記物品の表面は、前記前面又は前記第一側面より奥側に位置することとなる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の請求項1の収容構造にあっては、被覆板に膨出形成された被覆部は、少なくとも物品の開口部側の部分を被覆するように形成されている。このため、物品を全体的に被覆する必要があった従来と比較して、厚手の物品であっても、被覆板を深絞りすることなく、前記開口部側に面した前記物品部分を確実に保護することができる。また、深絞りを要しないため、被覆部が薄肉になることもなく、物品の表面保護を十分に行うことができる。
【0018】
このとき、前記物品は、その一部が前記被覆部によって被覆されている。このため、物品を全体的に被覆するとともに裏面を紙片で押さえる従来と比較して、重い物品であっても、表面保護効果を十分に発揮することができる。
【0019】
また、前記物品の一部を前記被覆部で被覆する構造上、物品全体を覆う従来と比較して、被覆板を形成する為の材料の使用量を押さえることができる。これにより、低コスト化を図ることができる。
【0020】
そして、前記被覆板は、その両端が前記第一側面及び前記後面が構成する第一角部と、前記前面及び前記第二側面が構成する第二角部とによって支持されており、前記開口部が設けられた前記コーナー部側への移動を阻止することができる。
【0021】
これにより、前記物品の前記開口部からの不用意な離脱を確実に防止することができる。
【0022】
したがって、上記問題を解決しつつ物品の視認性を確保することができる。
【0023】
また、請求項2の収容構造においては、前記物品の一部を被覆した前記被覆部と、前記箱体の前記前面又は前記第一側面との間に間隙を確保することによって、前記物品の表面を、前記前面又は前記第一側面より奥側に位置することができる。
【0024】
このため、前記物品の表面が前記箱体の前記前面又は前記第一側面と面一となる場合、あるいは開口部が透明フィルムに覆われた箱体に物品を収容した収容構造と比較して、物品の立体感を強調することができる。これにより、購買力の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の平面図である。
【図3】同実施の形態の被覆板を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態にかかる収容構造を示す図であり、該収容構造を備えた箱体1が示されている。
【0028】
この箱体1の箱本体11は、相対向して配置された前面12及び後面13と、前記前面12及び後面13を連設する相対向した第一側面14及び第二側面15とを備えた縦長の矩形状に形成されている。前記後面13の上縁には、上部蓋部16が折曲可能に設けられており、当該箱体の上部開口部17を閉鎖できるように構成されている。また、前記後面13の下縁には、図外の下部蓋部が折曲可能に設けられており、当該箱体1の下部開口部を閉鎖できるように構成されている。
【0029】
この箱体1の前記前面12及び前記第一側面14からなるコーナー部分21には、図1及び図2にも示すように、なだらかなカーブが設定されており、円弧状に形成されている。このコーナー部分21には、開口部22を開設されており、前記前面12の一部及び前記第一側面14の一部から当該箱本体11内に収容された物品23を視認できるように構成されている。
【0030】
前記箱本体11の内部には、長方形状の被覆板31が収容されており、該被覆板31は、無色透明の樹脂板がプレス成型されることによって形成されている。
【0031】
この被覆板31は、図3に示すように、被覆板本体41と、該被覆板本体41の下縁に折曲可能に連設された底部構成部42と、前記被覆板本体41の上縁に折曲可能に連設された天部構成部43とによって構成されている。
【0032】
前記被覆板本体41の長さ寸法は、前記箱本体11の高さ寸法とほぼ同寸法に設定されており、当該被覆板本体41の幅寸法は、前記箱本体11の対角線51とほぼ同寸法に設定されている。
【0033】
これにより、当該被覆板31を前記箱本体11に収容した状態で、図2に示したように、前記第一側面14及び前記後面13が構成する第一角部61と、前記前面12及び前記第二側面15が構成する第二角部62との対角線51上に沿って延設できるように構成されている。
【0034】
この被覆板本体41には、図2及び図3に示したように、前記対角線51に沿って配置した状態において、前記開口部22側へ向けて突出する被覆部71が膨出形成されており、該被覆部71は、前記物品23の前記開口部22側の一部を収容した状態で被覆できるように構成されている。
【0035】
この状態において、前記箱本体11の前記前面12と前記被覆部71との間には、図2に示したように、前側間隙81が確保されるとともに、前記第一側面14と前記被覆部71との間には、横側間隙82が確保されるように前記被覆板本体41からの前記被覆部71の突出量が設定されている。
【0036】
前記被覆板本体41の下縁に連設された前記底部構成部42は、前記被覆板本体41を前記対角線51に沿って配置した状態で、該対角線51と、前記後面13及び前記第二側面15とからなる第三角部91側に折曲した状態で、該第三角部91と前記対角線51との間に配置可能な三角形状に形成されており、当該底部構成部42には、前記物品23の底面を支持する為の底部支持部92が膨出形成されている。
【0037】
また、前記被覆板本体41の上縁に連設された前記天部構成部43も折曲した状態で、前記対角線51と前記第三角部91との間に配置可能な三角形状に形成されており、当該天部構成部43には、前記物品23の天部を位置決めする円弧状の天部支持部101が膨出形成されている。
【0038】
以上の構成にかかる本実施の形態において、物品23を収容した箱体1には、隣接した前面12と第一側面14とからなるコーナー部分21に開口部22が開設されており、収容した物品23を、前記前面12の一部及び前記第一側面14の一部から視認することができる。
【0039】
そして、前記箱体1には、無色透明の被覆板31が収容されており、該被覆板31には、前記物品23の前記開口部22側の部分を被覆する被覆部71が膨出形成されている。
【0040】
このため、前記物品23を全体的に被覆する必要があった従来と比較して、厚手の物品23であっても、前記被覆板31を深絞りすることなく、前記開口部22側に面した前記物品23の部分を確実に保護することができる。また、深絞りを要しないため、前記被覆部71が薄肉になることもなく、物品23の表面保護を十分に行うことができる。
【0041】
このとき、前記物品23は、その一部が前記被覆部71によって被覆されている。このため、物品23を全体的に被覆するとともに裏面を紙片で押さえる従来と比較して、重い物品23であっても、表面保護効果を十分に発揮することができる。
【0042】
また、前記物品23の一部を前記被覆部71で被覆する構造上、物品23全体を覆う従来と比較して、被覆板31を形成する為の材料の使用量を押さえることができる。これにより、低コスト化を図ることができる。
【0043】
そして、前記被覆板31は、その両端が前記第一側面14及び前記後面13が構成する第一角部61と、前記前面12及び前記第二側面15が構成する第二角部62とによってその前後から支持されており、前記開口部22が設けられた前記コーナー部分21側への移動を阻止することができる。
【0044】
これにより、前記物品23の前記開口部22からの不用意な離脱を確実に防止することができる。
【0045】
したがって、上記問題を解決しつつ物品23の視認性を確保することができる。
【0046】
一方、前記物品23の一部を被覆した前記被覆部71と前記箱本体11の前記前面12との間には、前記前側間隙81が確保されているとともに、前記第一側面14と前記被覆部71との間には、横側間隙82が確保されており、前記物品23の表面を前記前面12又は前記第一側面14より奥側に位置することができる。
【0047】
このため、前記物品23の表面が前記箱本体11の前記前面12又は前記第一側面14と面一となる場合、あるいは開口部22が透明フィルムに覆われた箱体に物品を収容した収容構造と比較して、物品23の立体感を強調することができる。
【0048】
これにより、購買力の向上に貢献することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 箱体
12 前面
13 後面
14 第一側面
15 第二側面
21 コーナー部
22 開口部
23 物品
31 被覆板
51 対角線
61 第一角部
62 第二角部
71 被覆部
81 前側間隙
82 横側間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する前面及び後面と相対向する第一側面及び第二側面とを有した矩形状の箱体に、収容した物品が見えるように開口部が設けられた収容構造において、
少なくとも隣接した前記前面及び前記第一側面からなるコーナー部分に前記開口部を開設し、前記前面の一部及び前記第一側面の一部から内部を視認可能に構成する一方、
前記箱体に収容された状態で、前記第一側面及び前記後面が構成する第一角部と、前記前面及び前記第二側面が構成する第二角部との対角線上に沿って延設される透明性を有した被覆板に、少なくとも前記物品の前記開口部側の部分を収容した状態で被覆する被覆部を膨出形成したことを特徴とする収容構造。
【請求項2】
前記箱体の少なくとも前記前面又は前記第一側面と、前記被覆部との間に間隙を形成したことを特徴とする請求項1記載の収容構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−280399(P2010−280399A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133576(P2009−133576)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】