説明

収穫機の風選装置

【課題】安価で小型の収穫機に装着可能であり、飼料作物の穀実割合を高めることができる収穫機の風選装置を提供する。
【解決手段】風選装置30は、飼料作物を引き込んで細断する作物処理部3と、作物処理部3に接続され細断された飼料作物の断片を気流とともに搬送するシュート10と、シュート10から吐出された断片を収容する収容部20とを有して走行機体80に装着されて進行可能な収穫機1の風選装置30であって、走行機体80に設けられた送風機31と、一端が送風機31の吐出口に接続されて他端側がシュート10に支持されて送風機31から送られる気流を噴出させるダクト33とを備え、ダクト33の先端部は、ダクト33から噴出する気流の噴出軌跡とシュート10から吐出する断片の放出軌跡が収容部20の上方位置で交差するように、シュート10に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料作物を引き込んで細断した飼料作物の断片をシュートを介して空中に吹き出して収容部に収容する収穫機に搭載される風選装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜の飼料は、牧草そのものや、牧草、飼料用トウモロコシで作るサイレージ等の粗飼料と、大豆やトウモロコシ等の栄養価の高い穀類を配合した濃厚飼料に分別される。
【0003】
我が国の家畜の自給飼料は、サイレージ等の粗飼料が主体であり、濃厚飼料は安価な輸入品に依存している。近年、濃厚飼料の価格が高騰し、濃厚飼料を多給する酪農・畜産経営が深刻な影響を受けた。この価格高騰で、濃厚飼料の価格は、国際経済や気象環境、及びそれに影響される需要動向等に左右され、不安定であることが再確認され、濃厚飼料についても自給の需要性が指摘されている。
【0004】
しかしながら、濃厚飼料、すなわち穀実飼料の栽培には、専用のコンバインが必要なうえ、給与にあたっては蒸煮・圧扁・粉砕などの加工が必要となるため、その自給は容易ではない。
【0005】
そこで、新たな試みとして、サイレージの穀実割合を増加させることで、濃厚飼料を生産しようとする技術開発が行われている(特許文献1参照)。この試みは、専用のアタッチメント(スナッパヘッド)を収穫機に装着し、機械的に飼料作物から雌穂(穀実+包皮+穂軸)を分離し、この分離された雌穂のみをカッターで細断し、細断された雌穂をシュートで気流とともに搬送して空中に放出して、ワゴン等の収容部に収納する。このアタッチメント(スナッパヘッド)を収穫機に装着して用いれば、飼料作物から雌穂のみを確実に収穫できるので、サイレージの濃厚飼料化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】北海道農業研究センター、“イアコーンサイレージの生産利用技術の開発”、[online]、平成21年7月27日、プレスリリース、[平成23年1月12日検索]、インターネット <URL:http://cryo.naro.affrc.go.jp/press/20090727/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アタッチメントは、専用の部品であるので高価であり、コントラクター等の大規模経営しか導入できない。またアタッチメントを装着できる収穫機は一部の自走式の大型機に限られ、小型で牽引式の収穫機を用いる中小規模経営ではアタッチメントを収穫機に装着できないので、飼料作物の穀実割合を高めることが難しく、サイレージの濃厚飼料化を実現することができない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、安価で小型の収穫機に装着可能であり、飼料作物の穀実割合を高めることができる収穫機の風選装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明は、飼料作物を引き込んで細断する作物処理部と、該作物処理部に接続され細断された飼料作物の断片を気流とともに搬送するシュートと、シュートから吐出された断片を収容する収容部とを有して走行機体に装着されて進行可能な収穫機の風選装置であって、収穫機又は走行機体に設けられた送風機と、一端が送風機の吐出口に接続されて他端側がシュートに支持されて送風機から送られる気流を噴出させるダクトとを備え、ダクトの先端部は、ダクトから噴出する気流の噴出軌跡とシュートから吐出する断片の放出軌跡が収容部の上方位置で交差するように、シュートに支持されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このように、風選装置は送風機とダクトとを有し、ダクトは送風機に接続されてシュートに支持される構造であるので、風選装置の構造が容易であり、風選装置を安価にすることができる。
【0011】
また送風機は収穫機又は走行機体に設けられ、ダクトは送風機に接続されてダクトに支持され、風選装置は走行機体に装着されて進行可能であるので、送風機を走行機体に設ければ小型の収穫機の使用が可能になる。また送風機を収穫機に設けても飼料作物から雌穂のみを分離する高価なアタッチメントを使用する必要がないので、安価な収穫機の使用が可能になる。
【0012】
また、ダクトの先端部は、これから噴出する気流の噴出軌跡とシュートから吐出する断片の放出軌跡が収容部の上方位置で交差するように、シュートに支持されるので、飼料作物の断片のうち比重が比較的に軽い茎葉、莢、穂軸等の低栄養の断片が、噴出気流によって放出軌跡から外れて収容部の外側に排出される。このため、収容部には飼料作物の断片のうち比重が比較的に重い穀実の割合が増大した飼料作物の断片を収容することができる。
【0013】
本発明の「収穫機」は、自走可能な走行機体に搭載されたものでもよいし、走行機体に装着されて走行機体とともに進行するものでもよい。収穫機が走行機体に装着される場合とは、収穫機が走行機体の側方に配置されて装着される場合や、収穫機が走行機体の後方に配置されて装着される場合を含む。
【0014】
また本発明の「収容部の上方位置で交差」とは、シュートから吐出する断片にダクトから噴出する気流が収容部の上方位置で交わることをいい、具体的には、比重の比較的に軽い飼料作物の断片が放出軌跡から外れて収容部の外側に排出されるような収容部の上方位置で、シュートから吐出する断片と気流が交わることをいう。
【0015】
また本発明のダクトの先端部は、シュートに対して位置調節自在に支持されていることを特徴とする(請求項2)。これにより、ダクトの先端部の位置や向きの調節が可能となり、噴出軌跡と放出軌跡とが交差する位置を容易に変更することができる。
【0016】
また本発明の送風機は、ダクト内を流れる気流の速度調節を可能にするため、該送風機の回転数の調節が自在であることを特徴とする(請求項3)。これにより、シュートから吐出された飼料作物の断片の放出速度に応じて、ダクトから噴出する気流の噴出速度を調整することができ、比重の比較的に軽い飼料作物の断片を収容部の外側により確実に排出させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係わる収穫機の風選装置によれば、収穫機又は走行機体に設けられた送風機と、一端が送風機の吐出口に接続されて他端側がシュートに支持されて送風機から送られる気流を噴出させるダクトとを備え、ダクトの先端部は、該ダクトから噴出する気流の噴出軌跡とシュートから吐出する断片の放出軌跡が収容部の上方位置で交差するように、シュートに支持されることで、風選装置の構造が容易になり、風選装置を安価にすることができる。また、送風機を走行機体に設け、ダクトをシュートに支持させることで、小型で安価な収穫機の使用が可能になる。また送風機を収穫機に設けても飼料作物から雌穂のみを分離する高価なアタッチメントを使用する必要がないので、小型で安価な収穫機の使用が可能になる。またダクトの先端部は、これから噴出する気流の噴出軌跡とシュートから吐出する断片の放出軌跡が収容部の上方位置で交差するようにシュートに支持されるので、飼料作物の断片のうち比重が比較的に軽い茎葉、莢、穂軸等の低栄養の断片を収容部の外側に排出することができ、収容部に穀実割合を高めた飼料作物を収容することができる。従って、小型で安価な収穫機に装着可能であり、飼料作物の穀実割合を高めてサイレージの濃厚飼料化を可能にする収穫機の風選装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる風選装置を搭載した収穫機と、収穫機を装着した走行機体の斜視図を示す。
【図2】この風選装置の側面視における概略構成図を示す。
【図3】収穫機に設けられたシュートの先端部に挿着されるデフレクタを示し、同図(a)は、横方向に拡開するデフレクタであり、同図(b)は、直線状に延びるデフレクタであり、同図(c)は、先端部の開口上部が大きく開口したデフレクタである。
【図4】本発明の第2実施形態に係わる風選装置を搭載した小型の収穫機と走行機体の背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係わる収穫機の風選装置の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態では、とうもろこしを収穫する収穫機に搭載される風選装置について説明する。なお、収穫機によって収穫される飼料作物は、とうもろこしの他に、飼料イネ、大豆等がある。また収穫機は、圃場に植生されている飼料作物を収穫し、又は刈り倒されて予乾してある飼料作物を収穫する。
【0020】
先ず、風選装置を説明する前に、風選装置を搭載する収穫機について概説する。収穫機1は、図1及び図2に示すように、走行機体80の後部に装着されて走行機体80の後進走行とともに進行しながら収穫作業を行うものである。
【0021】
収穫機1は、圃場の飼料作物を収穫して細断処理する作物処理部3と、作物処理部3に接続されて細断された飼料作物の断片を気流とともに搬送するシュート10と、シュート10から吐出された断片を収容する収容部20とを有している。
【0022】
作物処理部3は、機体幅方向両側に進行方向前側に突設された一対の分草?4を備える機枠5の下部に回転刃6が設けられ、この回転刃6により刈り取られた飼料作物を、回転刃6の上方に設けられた掻込ロールで機枠5内に引き込み、機枠5内に回転可能に設けられた回転刃により、引き込まれた飼料作物を細断するように構成されている。
【0023】
シュート10は、一端側が機枠5の進行方向後側に接続されて上方へ延びるシュート基部11と、シュート基部11の上端部に回動自在に接続されて上方へ延びるとともに走行機体90側に屈曲し、走行機体90の上方で先端側が斜め下方へ向きを変えて走行機体前側に延びるシュート先端部12とを有してなる。このため、シュート先端部12をシュート基部11に対して回動させることで、細断された飼料作物の断片の吐出方向を変えることができる。
【0024】
シュート先端部12にはデフレクタ13が上下方向に回動可能に取り付けられている。デフレクタ13は角筒状に形成されてシュート先端部12から吐出する気流の上下の吐出方向を変える。
【0025】
収容部20は、図1に示すように、走行機体80の前部に支持されて走行機体幅方向に延びる箱状に形成され、上部には飼料作物の断片を収容部内に受け入れる開口部20aが形成されている。このため、シュート10から吐出された飼料作物の断片は開口部20aを通って収容部20に収容される。なお、収容部20は、走行機体80とは別の走行機体に支持又は牽引されて、走行機体80と併走して飼料作物の断片を受け入れてもよい。
【0026】
収穫機1は、走行機体90のPTO軸から動力を受けて駆動して、飼料作物を機枠5内に引き込んで細断して、細断された飼料作物の断片をシュート10から吐出させる。
【0027】
このように構成された収穫機1に風選装置30が設けられている。風選装置30は、図1及び図2に示すように、収穫機1の機枠5上に設置された送風機31と、一端が送風機31の吐出口に接続されて他端側がシュート10に支持されて送風機31から送られる気流を噴出させるダクト33とを有してなる。
【0028】
送風機31は、走行機体80に搭載されたバッテリーから電力供給を受けて駆動するモータを備える電動式であり、走行機体側に吐出口が位置するように配設されている。なお、図2では吐出口が収穫機幅方向に向くように機枠5上に搭載された送風機31が示されている。送風機31はモータに供給される電力の調節によって回転数の調節が可能に構成されて、送風機31から吐出される気流の速度を調節することができる。なお、送風機31は、電動式に限るものではなく、エンジン駆動式でもよい。
【0029】
ダクト33は、一端側が送風機31の吐出口に接続されたダクトホース35と、ダクトホース35の先端部に接続されたダクト管38と、ダクト管38の先端部に挿着されたノズル部41とを有してなる。ダクトホース35は、合成樹脂材料等で形成されて屈曲自在であり、ダクトホース35の他端側はシュート10のシュート基部11側へ延びて上方へ屈曲し、シュート基部11の走行機体側の側面及びシュート先端部12の下側の側面に沿って延びる。
【0030】
ダクトホース35は、シュート基部11に設けられた支持部材15によって支持されている。この支持部材15は、シュート基部11の上部に走行機体側に突出して設けられ、支持部材15の先端部にはダクトホース35を保持可能なホースバンド16が取り付けられている。このホースバンド16をダクトホース35に巻き付けて、ダクトホース35の他端側が支持部材15によって支持されている。ダクトホース35の他端部にはダクト管38が接続されている。
【0031】
ダクト管38は、金属又は合成樹脂材料で形成されて直線状に延び、ダクト管38の上方に延びるシュート先端部12に固定された複数の支持部材22,22'によって支持されている。支持部材22,22'はシュート先端部12の先端側とシュート先端部12の長手方向中間部に配設されている。これらの支持部材22,22'は、内側に孔部22bを有して矩形状に形成された枠体部22aと、枠体部22aの孔部22bを仕切るように装着される位置調節部材22cとを有している。
【0032】
枠体部22aはその幅方向両側に配設された一対の縦部材22dを有し、縦部材22dには上下方向に所定の間隔を有して枠体部幅方向に貫通する貫通孔22e(図4参照)が複数設けられている。一対の縦部材22dの貫通孔22e間に位置調節部材22cを挿通させることで、位置調節部材22cが枠体部22aに上下位置調節可能に設けられる。一対の縦部材22dに挿着された位置調節部材22c上にダクト管38が載置され、紐部材等によってダクト管38が位置調節部材22cに固定される。
【0033】
シュート先端部12の先端側に設けられた枠体部22'に装着された位置調節部材22cの取り付け位置と、シュート先端部12の中間部に設けられた枠体部22に装着された位置調節部材22cの取り付け位置を調節することで、ダクト管38の上下方向の傾きを調節することができる。また、位置調節部材22cに固定されるダクト管38の位置調節部材22cに対する固定位置を調整することで、ダクト管38の先端部の位置を調節することができる。
【0034】
ノズル部41は、図3(a)に示すように、高さ寸法aが一定で幅寸法bが先端側に進むに従って拡開するように形成されて横方向に広がりを持たせた気流を形成可能なもの、図3(b)に示すように、高さ寸法a及び幅寸法bが一定に形成されて広がり難い気流を形成可能なもの、図3(c)に示すように、高さ寸法a及び幅寸法bが一定であるとともに、ノズル部41の先端部の開口上部がノズル部41の後側に後退するように大きく開口するように形成されて上下方向に広がりを持たせた気流を形成可能なものがある。
【0035】
図3(a)に示すノズル部41は、気流の風速が弱くなるが、収穫機1から放出される飼料作物の断片が横方向に散らばっても、ダクト33から噴出する気流の噴出軌跡Ltとシュート10から吐出する断片の放出軌跡Lhが交差する位置(交点)を維持することができる。図3(b)に示すノズル部41は、飼料作物の断片に強い風を当てることができて選別強度は強まるが、断片の散らばりが大きいと交点の位置を維持することができない不利がある。図3(c)に示すノズル部41は、風速が弱まるが、飼料作物の断片と気流との接触時間を長くすることができる利点を有する。
【0036】
これらのノズル部41を飼料作物に応じて適宜選択してダクト管38に装着し、放出軌跡Lhと噴出軌跡Ltとの交点の位置、放出軌跡Lhと噴出軌跡Ltとのなす角度θ(図2参照)、ダクト33から噴出する気流の速度、ノズル部41から噴出する気流の形状を調整することで、風選の強度や精度を調整することができる。なお、ダクト33から噴出する気流の速度は、送風機31の回転数とノズル部41の形状により変えることができる。
【0037】
このように構成された風選装置30のダクト33の先端部は、図2に示すように、ダクト33から噴出する気流の噴出軌跡Ltと、シュート10から吐出する断片の放出軌跡Lhが収容部20の上方位置で交差するように、複数の支持部材22,22'を介してシュート10に支持される。
【0038】
このため、細断されてシュートから吐出する飼料作物の断片Dのうち、比重が比較的に軽い茎葉、莢、穂軸等の低栄養の断片DLが、ダクト33から噴出する噴出気流によってシュート10から吐出する断片Dの放出軌跡Lhから外れて、収容部20の外側に排出される。従って、収容部20には飼料作物の断片Dのうち比重が比較的に重い穀実Kの断片を収容することができる。従って、収容部20には穀実割合を高めた飼料作物の断片を収容することができる。
【0039】
このように構成された風選装置30は、送風機31が収穫機1に設けられ、ダクト33は、収穫機1に設けられたシュート10に支持され、収穫機1は走行機体80に装着されて走行機体80の走行に伴って進行する。このため、収穫機1に飼料作物から雌穂のみを分離する高価な専用のアタッチメントを装着する必要がない。このため、既存の小型の収穫機1を使用することができ、飼料作物から穀実の割合の高い飼料作物の断片を得ることができる。
【0040】
図4は、本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態では、前述した第1実施形態と相違する点について述べ、第1実施形態と同一態様部分については同一符号を附して説明を省略する。
【0041】
収穫機50は、図4に示すように、走行機体83の側方に配設された状態で走行機体83に装着されて、走行機体83の前進走行とともに進行して飼料作物の収穫作業を行う。収穫機50は、作業処理部51の機枠52の幅方向両端部に走行可能な車輪53を備えて走行可能であり、走行機体83から取り出された動力を走行機体83に設けられたPTO軸を介して伝達されて駆動する。この機枠52は、第1実施形態の収穫機1の機枠5(図1参照)と比較して大きさが小さく、収穫機50に風選装置30の送風機31を搭載することができない。このため、送風機31は、後述するように、走行機体83に搭載されている。
【0042】
収穫機50の収容部は、図示されていないが、走行機体83の後部に装着されて走行機体83の前進走行とともに進行し、収穫機50に設けられたシュート10から吐出された飼料作物の断片を収容する。シュート10のシュート先端部12は、走行機体後方の収容部側へ向くようにシュート基部11に対して回動されている。
【0043】
風選装置30の送風機31は、吐出口が収穫機50側へ向くように走行機体83の後部に設けられている。ダクト33のダクトホース35は、送風機31からシュート基部11側へ延びて上方へ屈曲し、シュート先端部12の下面に沿って延びて複数の支持部材22,22'に支持されている。
【0044】
第2実施形態の風選装置30では、風選装置30の一部を構成する送風機31を走行機体83に搭載し、ダクト33は収穫機50のシュート10に沿って延びて支持されるので、より小型の収穫機50の使用が可能になり、飼料作物の穀実割合を高めた飼料作物の断片を得ることができる。
【実施例】
【0045】
本発明の風選装置30を収穫機50の一例であるコーンハーベスタ(タカタキ923)に装着し、完熟期の飼料用大豆の収穫を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
なお、対象区及び風選区は、ともに1.35aの広さの圃場から飼料用大豆を収穫し、ダクト33の噴出気流の速度は75m/sであり、噴出気流と放出される収穫物の断片が交差する交点と角度(噴出軌跡と放出軌跡のなす角度)は、ダクト33の先端部に装着されたノズル部41から1m、30°である。ノズル部41の形状は円筒状である。
【0048】
風選装置30を装着した場合(風選区)の穀実割合は、風選装置30を装着した場合(対象区)と比べ、生重で14%、乾物重で15%増加した。また風選装置30の使用による穀実収量の大きな低下はみられなかったことから、風選装置30の使用に伴う穀実の収穫ロスは殆ど生じていないものと判断される。
【0049】
本願の風選装置30は、ハーベスタに後付けする装置であり、ハーベスタの処理能力に応じて、ダクト33から噴出する気流の噴出速度や風選装置30の数を増減することで、殆ど全ての収穫機や走行機体に装着することができる。風選装置30のコストは、図4に示す小型機種用の1連装備のものは10万円程度、図1に示す中型機種用の2連装備のものは20万円程度と安価である。
【符号の説明】
【0050】
1、50 収穫機
3、51 作物処理部
10 シュート
20 収容部
30 風選装置
31 送風機
33 ダクト
80,83 走行機体
Lt 噴出軌跡
Lh 放出軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料作物を引き込んで細断する作物処理部と、該作物処理部に接続され細断された飼料作物の断片を気流とともに搬送するシュートと、該シュートから吐出された断片を収容する収容部とを有して走行機体に装着されて進行可能な収穫機の風選装置であって、
前記収穫機又は前記走行機体に設けられた送風機と、
一端が前記送風機の吐出口に接続されて他端側が前記シュートに支持されて前記送風機から送られる気流を噴出させるダクトとを備え、
前記ダクトの先端部は、該ダクトから噴出する気流の噴出軌跡と前記シュートから吐出する断片の放出軌跡が前記収容部の上方位置で交差するように、前記シュートに支持されていることを特徴とする収穫機の風選装置。
【請求項2】
前記ダクトの先端部は、前記シュートに対して位置調節自在に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の収穫機の風選装置。
【請求項3】
前記送風機は、前記ダクト内を流れる気流の速度調節を可能にするため、該送風機の回転数の調節が自在であることを特徴とする請求項1又は2に記載の収穫機の風選装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−152114(P2012−152114A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11835(P2011−11835)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、農林水産省、自給飼料多給による高付加価値牛肉・牛乳生産技術の開発委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】