説明

収穫量を増大させるための殺虫剤

本発明は、少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させるための、GABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤の使用と、生育の基となる繁殖体を少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤で処理することにより、少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させる方法と、に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させるための、GABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤の使用と、生育の基となる繁殖体を少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤で処理することにより、少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させる方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
動物および菌類による災害(疫病)の防除のほかに、農家の主要な関心事は、常に、収穫量の最適化であった。Justus von Liebigにより見いだされた植物栄養に関する知見およびそれに基づいて開発された人工肥料は、これらの関心事の重要な部分を軽減した。人工肥料は、一般的には、多量栄養素で構成され、この多量栄養素は、窒素化合物、リン化合物、およびカリウム化合物である(NPK肥料)。同様に多量栄養素であるカルシウム、マグネシウム、および硫黄もまた、人工肥料の一部になりうるが、それらは多くの場合、堆厩肥または石灰散布を介して植物に供給される。人工肥料は、微量栄養素、すなわち、多量栄養素よりも著しく少ない量で植物により消費される栄養素、たとえば、鉄、マンガン、ホウ素、銅、モリブデン、ニッケル、塩素、および亜鉛をさらに含みうる。
【0003】
しかしながら、過去数十年間、人工肥料の過剰施肥および不適正施用は、新しい問題を引き起こしてきた。その例として、施用された大量の化学肥料は、土壌栄養素保持構造に悪影響を及ぼすことが見いだされている。また、化学肥料の高溶解性は、生態系を劣化させる傾向を悪化させる。いくつかの天候条件または土壌条件におけるいくつかの窒素肥料の貯蔵および施用は、温室効果ガスの亜酸化窒素(N2O)の放出を引き起こす可能性がある。無機質肥料または堆厩肥もしくはスラリーの施用後、アンモニアガス(NH3)が放出されることもある。窒素を供給する以外に、アンモニアは、土壌酸性度を増大させる可能性もある(「酸性化」)。過剰の窒素肥料施用は、特定の有害生物の出生率、寿命、および全体的適応度を増大させることにより、有害生物の問題を引き起こす可能性もある。したがって、特定の環境条件下では、最適未満の窒素含有率を有する土壌で作物を生育させることが望ましいか、またはそうせざるを得ないであろう(最適未満とは、本明細書中では、最大収穫量に必要とされる量よりも少ない窒素化合物量を意味する)。
【0004】
当然ながら、同時に、土壌の栄養素含有率が最適未満であることに起因するあまりにも大きな収量損失は、回避することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第98/28277号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1 197 492号明細書
【特許文献3】米国特許第6,335,357号明細書
【特許文献4】米国特許第5,877,194号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】TOMLIN, C.D.S., “The E-Pesticide Manual, A World Compendium”, [CD-ROM], 2006年10月27日, BCPC
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、植物の収穫量を増大させる化合物を提供することである。特定的には、本発明の目的は、最適未満の窒素含有率を有する培地で生育している植物の収穫量を増大させ、ひいては不十分な栄養素含有率の影響を打ち消す化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、特別なクラスの殺虫剤がこの補償効果を有することを見いだした。
【0009】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させるための、GABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤の使用により、達成される。
【0010】
本発明の他の態様は、少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させる方法に関する。この方法は、植物の生育の基となる植物繁殖体を、GABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤で処理することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「収穫物」という用語は、経済的価値のあるすべての植物生産物を意味する。その例は、果実、種子、穀粒、油、木材、繊維などである。好ましくは、この用語は、果実、種子、および穀粒を意味する。たとえば、穀物の場合、収穫物は、穀物の穀粒を意味する。
【0012】
「繁殖体」とは、すべてのタイプの植物繁殖材料のことである。この用語は、種子、穀粒、果実、塊茎、根茎、胞子、挿し穂、側枝、分裂組織、単一および複数の植物細胞、ならびに完全な植物を得る基となりうる任意の他の植物組織を包含する。1つの特定の繁殖体は種子である。
【0013】
「生育培地」とは、土壌または人工生育培地のことでありうる。好ましくは、それは土壌である。
【0014】
本発明によれば、植物の「増大した収穫量」とは、それぞれの植物の生産物(収穫物)の収量を、同一条件下で生産された同一植物品種(ただし、この生育の基となる繁殖体は少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤で処理されていない)の同一生産物(収穫物)の収量を超える測定可能な量だけ増大させることを意味する。本発明によれば、収量の増大は、少なくとも2%が好ましく、少なくとも3%がより好ましく、少なくとも4%がさらに好ましく、少なくとも5%がそれよりさらに好ましく、特定的には少なくとも8%である。収量は、一般的には、それぞれの収穫物の重量として決定される。それは、一般的には、単一の植物から決定されるものではなく、特定の広さ(たとえば1ha)の区域で生育する植物から得られる値である。
【0015】
殺虫剤の好ましい実施形態、その好ましい使用、およびその使用方法に関する以下の見解は、それぞれ単独または好ましくは互いの組合せのいずれかで解釈されるものとする。
【0016】
好ましい一実施形態では、本発明は、最適未満の窒素含有率を有する培地で生育している少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させるための、GABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤の使用に関する。
【0017】
したがって、本発明は、他の好ましい実施形態では、最適未満の窒素含有率を有する培地で生育している少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させる方法に関する。この方法は、植物の生育の基となる植物繁殖体を、GABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤で処理することを含む。
【0018】
「最適未満の窒素含有率」とは、最大収穫量をもたらす生育培地中の窒素濃度未満の窒素含有率のことである。この値は、当然ながら相対的なものであり、他の栄養素の存在および量、生育培地の組成、一般的には、そのpH、水の条件、植物の生育段階(たとえば、植付け時はその後よりも最適窒素含有率が低い)、植物自体(たとえば、いくつかの植物は、栄養生長期の開始時に、より高い窒素含有率を必要とし、他の植物は、茎伸長期に、より高い含有率を必要とするなど)、生育培地中の微生物(有機窒素化合物または空気中窒素を植物により取込み可能な形態に変換する微生物)の存在などのような多数の因子に依存する。栽培植物に依存する土壌中の最適窒素含有率についての一般的概説は、Faustzahlen fur die Landwirtschaft, 13. edition, Kuratorium fur Technik und Bauwesen in der Landwirtschaft e.V.編, Darmstadt, Germanyに見いだしうる。
【0019】
実用的見地から言えば、特定の作物の全窒素必要量に関して標準的窒素施肥の70%未満、好ましくは標準的窒素施肥の50%未満、とくに標準的窒素施肥の30%未満が土壌に供給されるのであれば、本発明に関して土壌は最適未満の窒素含有率を有する(窒素施肥の標準量に関しては、たとえば、上記に引用したFaustzahlen fur die Landwirtschaftを参照されたい)。作物を露地に植栽する場合、施肥のレベルは、0〜90cmの深さの土壌中の、以前の作物からの残留窒素を含む。
【0020】
たとえば、最適未満の窒素含有率は、1m3あたり23g未満(0〜90cmの深さを考慮して200kg/ha未満に対応する)、好ましくは1m3あたり17g未満(0〜90cmの深さを考慮して150kg/ha未満に対応する)、より好ましくは1m3あたり11g未満(0〜90cmの深さを考慮して100kg/ha未満に対応する)、さらに好ましくは1m3あたり9g未満(0〜90cmの深さを考慮して80kg/ha未満に対応する)、とくに1m3あたり8g未満(0〜90cmの深さを考慮して70kg/ha未満に対応する)、たとえば1m3あたり7g未満、6g未満、または5g未満である。
【0021】
「窒素」という用語は、植物の栄養素として機能しかつ植物の根を介して摂取可能である任意の窒素化合物を意味する。これは、一般的には、アンモニウム塩、尿素、および硝酸塩のようなどちらかといえば無機的特性を有する化合物であり、一方、有機窒素化合物は、一般的には、そのままでは摂取不能であり、最初に微生物により無機態窒素化合物に変換されなければならない。したがって、窒素含有率という用語は、無機窒素化合物とくにアンモニウム化合物および硝酸塩の含有率を意味する。
【0022】
GABAアンタゴニストは、好ましくは、アセトプロール、エンドスルファン、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、式II
【化1】

【0023】
〔式中、Raは、C1〜C4-アルキルもしくはC1〜C4-ハロアルキルである〕
で示されるフェニルピラゾール化合物、または農業上許容されるそれらの塩、および式III
【化2】

【0024】
で示されるフェニルピラゾール化合物または農業上許容されるその塩から選択される。
【0025】
上記の変数の定義に挙げられた有機部分は、ハロゲンという用語のように、個々の基のメンバーを含む個々の記載項目に対する総称語である。接頭辞Cn〜Cmは、いずれの場合も、基中の可能な炭素原子数を表す。
【0026】
ハロゲンとは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード、好ましくは、フルオロ、クロロ、およびブロモ、とくに、フルオロおよびクロロを意味するものとする。
【0027】
C1〜C4-アルキルとは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基のことである。その例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびtert-ブチルである。
【0028】
C1〜C4-ハロアルキルとは、少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子により置き換えられている、上記で定義した1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基のことである。その例は、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルなどである。
【0029】
アゾール部分中の塩基性窒素原子に起因して、GABAアンタゴニスト系殺虫剤(たとえば、上記の化合物IIおよびIII)のいくつかは、無機もしくは有機の助剤との、または金属イオンとの塩もしくは付加物を形成しうる。それらは、慣用的方法により、たとえば、化合物を対象のアニオンの酸と反応させることにより、形成可能である。
【0030】
好適な農業上有用な塩は、とくに、カチオンおよびアニオンが本発明に係る化合物の作用になんら悪影響を及ぼさないカチオンの塩または酸の酸付加塩である。好適なカチオンは、とくに、アルカリ金属、好ましくは、リチウム、ナトリウム、およびカリウムのイオン、アルカリ土類金属、好ましくは、カルシウム、マグネシウム、およびバリウムのイオン、ならびに遷移金属、好ましくは、マンガン、銅、亜鉛、および鉄のイオン、さらには、アンモニウム(NH4+)、および水素原子の1〜4個がC1〜C4-アルキル、C1〜C4-ヒドロキシアルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキル、ヒドロキシ-C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキル、フェニル、またはベンジルにより置き換えられている置換型アンモニウムである。置換型アンモニウムイオンの例としては、メチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルアンモニウム、ビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、およびベンジルトリエチルアンモニウムが挙げられ、さらには、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、好ましくはトリ(C1〜C4-アルキル)スルホニウム、およびスルホキソニウムイオン、好ましくはトリ(C1〜C4-アルキル)スルホキソニウムが挙げられる。
【0031】
有用な酸付加塩のアニオンは、主に、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、安息香酸イオン、ならびにC1〜C4-アルカン酸のアニオン、好ましくは、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、および酪酸イオンである。それらは、式IまたはIIまたはIIIで示される化合物(化合物IIおよびIIIに関しては以下を参照されたい)を、対応するアニオンの酸、好ましくは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、または硝酸と、反応させることにより、形成可能である。
【0032】
好ましくは、GABAアンタゴニストは、式IIで示される化合物から選択される。
【0033】
化合物IIに関して、Raは、好ましくはエチルまたはトリフルオロメチルである。Raがエチルである化合物は、エチプロールという一般名でも知られ、Raがトリフルオロメチルである化合物は、フィプロニルという一般名で知られる。より好ましくは、Raは、好ましくはトリフルオロメチルである。したがって、GABAアンタゴニスト系殺虫剤は、とくにフィプロニルである。
【0034】
GABAアンタゴニストおよびその製造方法は、一般に知られている。たとえば、市販の化合物は、いくつかある出版物の中でもとくにThe Pesticide Manual, 13th Edition, British Crop Protection Council (2003)に見いだしうる。
【0035】
当然のことながら、少なくとも1種類の殺虫剤は、有効量かつ非植物毒性量で使用される。このことは、処理された繁殖体から生育された植物になんら植物毒性症状を引き起こすことなく、所望の効果を達成しうる量で使用されることを意味する。
【0036】
処理される植物は、一般的には、経済的に重要な植物である。したがって、それは、好ましくは、農業用、造林用、および観賞用の植物から選択される。
【0037】
本発明の好ましい一実施形態では、植物は農業用植物である。農業用植物とは、一部もしくは全部が商業規模で収穫もしくは栽培されるか、または飼料、食品、繊維(たとえば、ワタ、リネン)、燃料(たとえば、木材、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオマス)、もしくは他の化学化合物の重要な供給源として役立つ、植物のことである。農業用植物はまた、園芸用植物、すなわち、庭(圃場ではない)で生育される植物、たとえば、特定の果実および野菜をも包含する。農業用植物の例は、ダイズ、トウモロコシ(メイズ)、コムギ、ライコムギ、オオムギ、オートムギ、ライムギ、ナタネ(たとえばカノーラ/アブラナ)、雑穀(モロコシ)、イネ、ヒマワリ、ワタ、サトウダイコン、仁果、核果、カンキツ類、バナナ、イチゴ、ブルーベリー、アーモンド、ブドウ、マンゴー、パパイア、ラッカセイ、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、インゲン、エンドウ、ヒラマメ、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)、シロツメクサ、クローバー、アマ、エレファントグラス(ススキ(Miscanthus)属)、牧草、レタス、サトウキビ、チャ、タバコ、およびコーヒーである。
【0038】
好ましくは、本発明に従って処理される農業用植物は非マメ科植物である。
【0039】
好ましくは、農業用植物は、トウモロコシ、コムギ、ライコムギ、オオムギ、オートムギ、ライムギ、ナタネ、雑穀、イネ、ヒマワリ、ワタ、サトウダイコン、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、レタス、サトウキビ、チャ、タバコ、およびコーヒーから、より好ましくは、トウモロコシ(メイズ)、コムギ、ライコムギ、オオムギ、オートムギ、ライムギ、ナタネ(たとえばカノーラ/アブラナ)、雑穀(モロコシ)、イネ、ヒマワリ、およびサトウキビから、選択される。とくに、農業用植物はコムギである。
【0040】
植物は、非トランスジェニック植物でありうるか、または少なくとも1種類のトランスジェニックイベントを有する植物でありうる。一実施形態では、植物は、農薬に対する耐性を付与するトランスジェニックイベントを有するトランスジェニック植物である。農薬耐性を有するトランスジェニック植物の例は、スルホニルウレア類(たとえば、欧州特許出願公開第0257993A号明細書、米国特許第5,013,659号明細書を参照されたい)、イミダゾリノン類(たとえば、米国特許第6,222,100号明細書、国際公開第01/82685号パンフレット、国際公開第00/26390号パンフレット、国際公開第97/41218号パンフレット、国際公開第98/02526号パンフレット、国際公開第98/02527号パンフレット、国際公開第04/106529号パンフレット、国際公開第05/20673号パンフレット、国際公開第03/14357号パンフレット、国際公開第03/13225号パンフレット、国際公開第03/14356号パンフレット、国際公開第04/16073号パンフレットを参照されたい)、グルホシネートタイプ(たとえば、欧州特許出願公開第0242236A号明細書、欧州特許出願公開第242246A号明細書を参照されたい)、もしくはグリホセートタイプ(たとえば、国際公開第92/00377号パンフレットを参照されたい)よりなる群に属する除草剤に対して耐性のあるトランスジェニック作物、またはシクロヘキサジエノン系/アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤よりなる群から選択される除草剤に対して耐性のある植物(たとえば、米国特許第5,162,602号明細書、米国特許第5,290,696号明細書、米国特許第5,498,544号明細書、米国特許第5,428,001号明細書、米国特許第6,069,298号明細書、米国特許第6,268,550号明細書、米国特許第6,146,867号明細書、米国特許第6,222,099号明細書、米国特許第6,414,222号明細書を参照されたい)、または特定の有害生物に対する耐性を植物に付与するバシラス・ツリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)トキシン(Btトキシン)を産生する能力を有するトランスジェニック作物たとえばワタ(たとえば、欧州特許出願公開第0142924A号明細書
、欧州特許出願公開第0193259A号明細書を参照されたい)である。
【0041】
しかしながら、当然のことではあるが、植物がトランスジェニック植物である場合、植物中に存在するトランスジェニックイベントは、農薬耐性を提供するものになんら制限されるものではなく、任意のトランスジェニックイベントを含みうる。実際には、植物中の「スタック型(stacked)」トランスジェニックイベントの使用もまた、可能と考えられる。
【0042】
少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤による植物の繁殖材料(たとえば種子)の処理は、いくつかの方法で達成可能である。殺虫剤は、繁殖体、とくに種子への直接施用および/またはたとえば種子を蒔く時に、種子を蒔く土壌への施用(たとえば畝溝施用)を行うことが可能である。好ましくは、少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤は、繁殖体、とくに種子に直接施用される。
【0043】
少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤は、そのままで、その製剤の形態で、またはそれから調製される施用形態で、たとえば、高濃度の水性、油性、もしくは他の懸濁剤もしくは分散剤、乳濁剤、油性分散剤、ペースト剤、散粉剤、散播用組成物、または顆粒剤をはじめとする直接散布可能な溶液、粉末、懸濁液、または分散物の形態で、施用可能である。施用は、通常、散布、噴霧、散粉、散播、または灌水により行われる。施用の形態および方法は、使用目的に依存し、いずれの場合も、活性化合物のできるかぎり均質な分布が確保されるものでなければならない。
【0044】
少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤の即使用可能な調製物が存在する実施形態に依存して、調製物は、1種以上の液体担体または固体担体、適切であれば界面活性剤、および適切であれば作物保護剤の製剤化のために慣用されるさらなる助剤を含む。そのような製剤の処方は、当業者の熟知するところである。
【0045】
水性施用形態は、たとえば、水を添加することにより、濃縮乳濁剤、懸濁剤、ペースト剤、水和性粉末剤、または水和性顆粒剤から調製可能である。乳濁剤、ペースト剤、または油性分散剤を調製するために、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤、または乳化剤を使用して、活性成分をそのままで、または油もしくは溶媒に溶解して、水中で均質化することが可能である。しかしながら、活性物質と、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤と、適切であれば溶媒または油と、から構成される濃縮製剤を調製することも可能であり、そのような濃縮製剤は、水で希釈するのに好適である。
【0046】
即使用可能な調製物中の少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤の濃度は、比較的広い範囲内で変化させることが可能である。一般的には、0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%(即使用可能な調製物の全重量を基準にした活性化合物の重量%単位の全含有率)である。
【0047】
また、少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤を微量散布法(ULV)で使用して好結果を得ることも可能であり、その場合、95重量%超の全活性化合物を含む製剤を使用することが可能であるか、または添加剤を用いずに活性化合物を施用することさえも可能である。
【0048】
種々のタイプの油剤、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺菌剤、少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤とは異なる殺虫剤、殺線虫剤、他の農薬(たとえば殺細菌剤)、および/または成長調節剤は、適切であれば、使用の直前になってから、活性化合物に添加する(タンク混合)ことさえも可能である。これらの薬剤は、本発明に従って使用される少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤と、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合可能である。
【0049】
補助剤は、たとえば、変性有機ポリシロキサン類、たとえば、Break Thru S 240(登録商標)、アルコールアルコキシレート類、たとえば、Atplus 245(登録商標)、Atplus MBA 1303(登録商標)、Plurafac LF 300(登録商標)、およびLutensol ON 30(登録商標)、EO-POブロックコポリマー類、たとえば、Pluronic RPE 2035(登録商標)およびGenapol B(登録商標)、アルコールエトキシレート類、たとえば、Lutensol XP 80(登録商標)、ならびにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、たとえば、Leophen RA(登録商標)である。
【0050】
好適な殺虫剤は、たとえば、以下のものである。
【0051】
A.1. 有機(チオ)ホスフェート類: アセフェート、アザメチホス、アジンホス−エチル、アジンホス-メチル、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、フルピラゾホス、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトン-メチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロペタンホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテップ、テブピリンホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン。
【0052】
A.2. カルバメート類: アルジカルブ、アラニカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メチオカルブ、メトミル、メトルカルブ、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、チオファノックス、トリメタカルブ、XMC、キシリルカルブ、トリアザメート。
【0053】
A.3. ピレトロイド類: アクリナトリン、アレトリン、d-cis-trans-アレトリン、d-trans-アレトリン、ビフェントリン、ビオアレトリン、ビオアレトリンS-シクロペンテニル、ビオレスメトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、β-シフルトリン、シハロトリン、λ-シハロトリン、γ−シハロトリン、シペルメトリン、α-シペルメトリン、β-シペルメトリン、θ-シペルメトリン、ζ-シペルメトリン、シフェノトリン、デルタメトリン、エンペントリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、τ-フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、ペルメトリン、フェノトリン、プラレトリン、レスメトリン、RU 15525、シラフルオフェン、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、ZXI 8901。
【0054】
A.4. 幼若ホルモン模倣体類: ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン。
【0055】
A.5. ニコチン性レセプターのアゴニスト/アンタゴニスト化合物類: アセタミプリド、ベンスルタップ、カルタップ塩酸塩、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、ニコチン、スピノサド(アロステリックアゴニスト)、チアクロプリド、チオシクラム、チオスルタップ-ナトリウム、およびAKD1022。
【0056】
A.6. 塩素チャネルアクチベーター類: アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、ミルベメクチン、レピメクチン。
【0057】
A.7. METI I化合物類: フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリミジフェン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム、ロテノン。
【0058】
A.8. METI IIおよびIII化合物類: アセキノシル、フルアクリピリム(fluacyprim)、ヒドラメチルノン。
【0059】
A.9. 酸化的リン酸化の脱共役剤類: クロルフェナピル、DNOC。
【0060】
A.10. 酸化的リン酸化の阻害剤類: アゾシクロチン、シヘキサチン、ジアフェンチウロン、フェンブタチンオキシド、プロパルギット、テトラジホン。
【0061】
A.11. 脱皮撹乱剤類: シロマジン、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド。
【0062】
A.12. 相乗剤類: ピペロニルブトキシド、トリブホス。
【0063】
A.13. ナトリウムチャネルブロッカー化合物類: インドキサカルブ、メタフルミゾン。
【0064】
A.14. 燻蒸剤類: メチルブロミド、クロロピクリン、スルフリルフルオリド。
【0065】
A.15. 選択的摂食ブロッカー類: クリオライト(crylotie)、ピメトロジン、フロニカミド。
【0066】
A.16. ダニ成長阻害剤類: クロフェンテジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール。
【0067】
A.17. キチン合成阻害剤類: ブプロフェジン、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン。
【0068】
A.18. 脂質生合成阻害剤類: スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト。
【0069】
A.19. オクトパミン作動性アゴニスト類: アミトラズ。
【0070】
A.20. リアノジンレセプターモジュレーター類: フルベンジアミド。
【0071】
A.21. 各種: リン化アルミニウム、アミドフルメト、ベンクロチアズ、ベンゾキシメート、ビフェナゼート、ボラックス、ブロモプロピレート、シアニド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、キノメチオネート、ジコホル、フルオロアセテート、ホスフィン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、硫黄、吐酒石。
【0072】
A.22. N-R'-2,2-ジハロ-1-R''シクロプロパンカルボキサミド-2-(2,6-ジクロロ-α,α,α-トリ-フルオロ-p-トリル)ヒドラゾンまたはN-R'-2,2-ジ(R''')プロピオンアミド-2-(2,6-ジクロロ-α,α,α-トリフルオロ-p-トリル)-ヒドラゾン〔式中、R'はメチルまたはエチルであり、ハロはクロロまたはブロモであり、R''は水素またはメチルであり、かつR'''はメチルまたはエチルである〕。
【0073】
A.23. アントラニルアミド類: クロラントラニリプロール、式Γ2
【化3】

【0074】
で示される化合物。
【0075】
A.24. マロノニトリル化合物類: CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)5CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2C(CF3)2F、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2(CF2)3CF3、CF2H(CF2)3CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF3、CF3(CF2)2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3CF2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、2-(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル)-2-(3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル)-マロノジニトリル、およびCF2HCF2CF2CF2CH2C(CN)2CH2CH2CF2CF3
【0076】
A.25. 微生物撹乱剤類: バチルス・チューリンゲンシス・サブスピーシーズ・イスラエレンシス(Bacillus thuringiensis subsp. Israelensi)、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・チューリンゲンシス・サブスピーシーズ・アイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp. Aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス・サブスピーシーズ・クルスタキ(Bacillus thuringiensis subsp. Kurstaki)、バチルス・チューリンゲンシス・サブスピーシーズ・テネブリオニス(Bacillus thuringiensis subsp. Tenebrionis)。
【0077】
グループAに属する市販の化合物は、いくつかある出版物の中でとくにThe Pesticide Manual, 13th Edition, British Crop Protection Council (2003)に見いだしうる。
【0078】
式Γ1で示されるチオアミド類およびその調製については、国際公開第98/28279号パンフレットに記載されている。レピメクチンは、Agro Project, PJB Publications Ltd, November 2004から公知である。ベンクロチアズおよびその調製については、欧州特許出願公開第454621A1号明細書に記載されている。メチダチオンおよびパラオキソンならびにそれらの調製については、Farm Chemicals Handbook, Volume 88, Meister Publishing Company, 2001に記載されている。アセトプロールおよびその調製については、国際公開第98/28277号パンフレットに記載されている。メタフルミゾンおよびその調製については、欧州特許出願公開第462456A1号明細書に記載されている。フルピラゾホスについては、Pesticide Science 54, 1988, p.237-243および米国特許第4822779号明細書に記載されている。ピラフルプロールおよびその調製については、特開2002-193709号公報および国際公開第01/00614号パンフレットに記載されている。ピリプロールおよびその調製については、国際公開第98/45274号パンフレットおよび米国特許第6335357号明細書に記載されている。アミドフルメトおよびその調製については、米国特許第6221890号明細書および特開2001-010907号公報に記載されている。フルフェネリムおよびその調製については、国際公開第03/007717号パンフレットおよび国際公開第03/007718号パンフレットに記載されている。AKD 1022およびその調製については、米国特許第6300348号明細書に記載されている。クロラントラニリプロールについては、国際公開第01/70671号パンフレット、国際公開第03/015519号パンフレット、および国際公開第05/118552号パンフレットに記載されている。式Γ2で示されるアントラニルアミド誘導体類については、国際公開第01/70671号パンフレット、国際公開第04/067528号パンフレット、および国際公開第05/118552号パンフレットに記載されている。シフルメトフェンおよびその調製については、国際公開第04/080180号パンフレットに記載されている。アミノキナゾリノン化合物ピリフルキナゾンについては、欧州特許出願公開第1097932A号明細書に記載されている。マロノニトリル化合物類CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)5CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2C(CF3)2F、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2(CF2)3CF3、CF2H(CF2)3CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF3、CF3(CF2)2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3CF2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、2-(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル)-2-(3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル)-マロノジニトリル、およびCF2HCF2CF2CF2CH2C(CN)2CH2CH2CF2CF3については、国際公開第05/63694号パンフレットに記載されている。
【0079】
好適な殺菌剤は、たとえば、以下のものである。
【0080】
B.1 ストロビルリン類
アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリザストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、メチル 2-(オルト-((2,5-ジメチルフェニル-オキシメチレン)フェニル)-3-メトキシ-アクリレート、メチル 3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパンカルボキシミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリレート。
【0081】
B.2 カルボン酸アミド類
B.2.1 カルボン酸アニリド類: ベナラキシル、ベナラキシル-M、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、イソチアニル、キララキシル、メプロニル、メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、テクロフタラム、チフルザミド、チアジニル、2-アミノ-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸アニリド、2-クロロ-N-(1,1,3-トリメチル-インダン-4-イル)-ニコチンアミド、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、5-フルオロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(1,3-ジメチル-ブチル)-フェニル]-アミド、N-(4'-クロロ-3',5-ジフルオロ-ビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(4'-クロロ-3',5-ジフルオロ-ビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロ-ビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(3',5-ジフルオロ-4'-メチル-ビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(3',5-ジフルオロ-4'-メチル-ビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(cis-2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(trans-2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド。
【0082】
B.2.2 カルボン酸モルホリド類: ジメトモルフ、フルモルフ。
【0083】
B.2.3 安息香酸アミド類: フルメトバー、フルオピコリド、フルオピラム、ゾキサミド、N-(3-エチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシル)-3-ホルミルアミノ-2-ヒドロキシベンズアミド。
【0084】
B.2.4 他のカルボン酸アミド類: カルプロパミド、ジクロシメット、マンジプロパミド、オキシテトラサイクリン、シルチオファム、N-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボン酸アミド。
【0085】
B.3 アゾール類
B.3.1 トリアゾール類: アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、1-(4-クロロ-フェニル)-2-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)-シクロヘプタノール。
【0086】
B.3.2 イミダゾール類: シアゾファミド、イマザリル、イマザリル硫酸塩、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール。
【0087】
B.3.3 ベンゾイミダゾール類: ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール。
【0088】
B.3.4 その他: エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール、1-(4-クロロ-フェニル)-1-(プロピン-2-イルオキシ)-3-(4-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イル)-プロパン-2-オン。
【0089】
B.4 窒素含有ヘテロ環式化合物類
B.4.1 ピリジン類: フルアジナム、ピリフェノックス、3-[5-(4-クロロ-フェニル)-2,3-ジメチル-イソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、2,3,5,6-テトラクロロ-4-メタンスルホニル-ピリジン、3,4,5-トリクロロ-ピリジン-2,6-ジカルボニトリル、N-(1-(5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)-エチル)-2,4-ジクロロ-ニコチンアミド、N-((5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)メチル)-2,4-ジクロロ-ニコチンアミド。
【0090】
B.4.2 ピリミジン類: ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、フェナリモル、フェリムゾン、メパニピリム、ニトラピリン、ヌアリモル、ピリメタニル。
【0091】
B.4.3 ピロール類: フルジオキソニル、フェンピクロニル。
【0092】
B.4.4 モルホリン類: アルジモルフ、ドデモルフ、ドデモルフ酢酸塩、フェンプロピモルフ、トリデモルフ。
【0093】
B.4.5 ジカルボキシミド類: フルオロイミド、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン。
【0094】
B.4.6 その他: アシベンゾラル-S-メチル、アミスルブロム、アニラジン、ブラストサイジン-S、カプタホール、カプタン、キノメチオネート、ダゾメット、デバカルブ、ジクロメジン、ジフェンゾクアット、ジフェンゾコートメチル硫酸塩、ファモキサドン、フェナミドン、フェノキサニル、フェンプロピジン、フォルペット、オクチリノン、オキソリニック酸(oxolinsaure)、ピペラリン、プロベナゾール、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリホリン、5-クロロ-7-(4-メチル-ピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピル-クロメン-4-オン。
【0095】
B.5 カルバメート類およびジチオカルバメート類
B.5.1 チオカルバメート類およびジチオカルバメート類: フェルバム、マンコゼブ、マネブ、メタム、メタスルホカルブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム。
【0096】
B.5.2 カルバメート類: ジエトフェンカルブ、ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、バリフェナール、N-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)-ブト-2-イル)カルバミン酸(4-フルオロフェニル)エステル。
【0097】
B.6 他の殺菌剤類
B.6.1 グアニジン類: ドジン、ドジン遊離塩基、グアザチン、グアザチン酢酸塩、イミノクタジン、イミノクタジン三酢酸塩、イミノクタジントリス(アルベシル酸塩)。
【0098】
B.6.2 抗生物質類: カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシンA。
【0099】
B.6.3 ニトロフェニル誘導体類: ビナパクリル、ジクロラン、ジノブトン、ジノカップ、ニトロタール-イソプロピル、テクナゼン。
【0100】
B.6.4 有機金属化合物類: フェンチン塩、たとえば、フェンチン-酢酸塩、フェンチン-塩化物、フェンチン-水酸化物。
【0101】
B.6.5 硫黄含有ヘテロ環式化合物類: イソプロチオラン、ジチアノン。
【0102】
B.6.6 有機リン化合物類: エジフェンホス、ホセチル、ホセチルアルミニウム、イプロベンホス、ピラゾホス、トルクロホス-メチル。
【0103】
B.6.7 有機塩素化合物類: クロロタロニル、ジクロフルアニド、ジクロロフェン、フルスルファミド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、ペンタクロロフェノールおよびその塩、フサライド、キントゼン、チオファネート-メチル、トリルフルアニド、N-(4-クロロ-2-ニトロ-フェニル)-N-エチル-4-メチル-ベンゼンスルホンアミド。
【0104】
B.6.8 無機化合物類: 亜リン酸およびその塩、硫黄、ボルドー液、銅塩、たとえば、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅。
【0105】
B.6.9 その他: ビフェニル、ブロノポール、シフルフェナミド、シモキサニル、ジフェニルアミン、メトラフェノン、ミルジオマイシン、オキシン-銅、プロヘキサジオン-カルシウム、スピロキサミン、トリルフルアニド、N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロメトキシ-2,3-ジフルオロ-フェニル)-メチル)-2-フェニルアセトアミド、N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン。
【0106】
製剤は、公知の方法により、たとえば、溶媒および/または担体で、所望により界面活性剤すなわち乳化剤および分散剤を用いて、活性化合物を希釈増量することにより、調製される。この目的に好適な溶媒/担体は、本質的には以下のものである。
【0107】
・ 水、芳香族溶媒類(たとえば、Solvesso製品、キシレン)、パラフィン類(たとえば、鉱油留分)、アルコール類(たとえば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(たとえば、シクロヘキサノン、メチルヒドロキシブチルケトン、ジアセトンアルコール、メシチルオキシド、イソホロン)、ラクトン類(たとえば、γ-ブチロラクトン)、ピロリドン類(ピロリドン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、n-オクチルピロリドン)、アセテート類(グリコールジアセテート)、グリコール類、ジメチル脂肪酸アミド類、脂肪酸類、および脂肪酸エステル類。原則として、溶媒混合物を使用することも可能である。
【0108】
・ 担体、たとえば、粉砕天然鉱物(たとえば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)および粉砕合成鉱物(たとえば、微細化シリカ、シリケート類)、乳化剤、たとえば、非イオン性および陰イオン性の乳化剤(たとえば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、アルキルスルホネート類、およびアリールスルホネート類)、ならびに分散剤、たとえば、リグノサルファイト廃液およびメチルセルロース。
【0109】
好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸の、アルカリ金属塩類、アルカリ土類金属塩類、およびアンモニウム塩類、アルキルアリールスルホネート類、アルキルスルフェート類、アルキルスルホネート類、脂肪アルコールスルフェート類、脂肪酸類、および硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル類、さらには、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物類、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル(tristerylphenyl polyglycol ether)、アルキルアリールポリエーテルアルコール類、アルコールおよび脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合物類、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル類、リグノサルファイト廃液、ならびにメチルセルロースである。
【0110】
直接散布可能な溶液剤、乳濁剤、ペースト剤、または油性分散剤の調製に好適なのは、中沸点〜高沸点の鉱油留分、たとえば、灯油またはディーゼル油、さらには、コールタール油、ならびに植物起源および動物起源の油、脂肪族、環状、および芳香族の炭化水素類、たとえば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類、またはそれらの誘導体類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メシチルオキシド、イソホロン、強極性溶媒類、たとえば、ジメチルスルホキシド、2-ピロリドン(2-yrrolidone)、N-メチルピロリドン、ブチロラクトン、または水である。
【0111】
粉末剤、散播用組成物、および散粉剤は、活性物質を固体担体と混合または一緒に粉砕することにより調製可能である。
【0112】
顆粒剤、たとえば、被覆顆粒剤、含浸顆粒剤、および均質顆粒剤は、活性化合物を固体担体上に結合させることにより調製可能である。固体担体は、たとえば、鉱質土類、たとえば、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アタクレー、石灰石、石灰、チョーク、ボール粘土、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成材料類、肥料類、たとえば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素類など、および植物生産物類、たとえば、穀粉、樹皮粉、木粉、および堅果殻粉、セルロース粉末、ならびに他の固体担体である。
【0113】
種子処理用の製剤は、結合剤および/またはゲル化剤ならびに場合により着色剤を、さらに含みうる。
【0114】
一般的には、製剤は、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%、とくに5〜50重量%の活性化合物(複数種可)(合計重量)を含む。本明細書において、活性化合物(複数種可)は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルに基づく)で使用される。
【0115】
2〜10倍希釈後、種子処理用の製剤は、即使用可能な調製物中に0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の活性化合物(合計重量)を含む。
【0116】
製剤の例は、以下のとおりである。
【0117】
1. 水希釈用製剤
I) 濃縮水溶製剤(SL、LS)
10重量部の活性化合物を90重量部の水または水溶性溶媒に溶解させる。他の選択肢として、湿潤剤または他の補助剤を添加する。水希釈時、活性化合物は溶解する。準備された製剤は、10重量%の活性成分を含有する。
【0118】
II) 濃縮分散製剤(DC)
10重量部の分散剤たとえばポリビニルピロリドンを添加して、20重量部の活性化合物を70重量部のシクロヘキサノンに溶解させる。活性成分が20重量%含まれる。水希釈時、分散液が得られる。
【0119】
III) 濃縮乳剤(EC)
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびヒマシ油エトキシレート(いずれの場合も5重量部)を添加して、15重量部の活性化合物を75重量部のキシレンに溶解させる。活性成分が15重量%含まれる。水希釈時、乳濁液が得られる。
【0120】
IV) 乳濁剤(EW、EO、ES)
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびヒマシ油エトキシレート(いずれの場合も5重量部)を添加して、25重量部の活性化合物を35重量部のキシレンに溶解させる。乳化機(Ultraturrax)を使用して、この混合物を30重量部の水に導入し、均質なエマルジョンにする。活性成分が25重量%含まれる。水希釈時、乳濁液が得られる。
【0121】
V) 懸濁剤(SC、OD、FS)
10重量部の分散剤、湿潤剤、および70重量部の水または有機溶媒を添加して、20重量部の活性化合物を撹拌ボールミルで細粒化し、活性化合物の微細な懸濁液を得る。活性成分が20重量%含まれる。水希釈時、活性化合物の安定な懸濁液が得られる。
【0122】
VI) 水和性および水溶性の顆粒剤(WG、SG)
50重量部の分散剤および湿潤剤を添加して、50重量部の活性化合物を微細に粉砕し、専門的な装置(たとえば、押出し機、スプレー塔、流動床)を用いて水和性または水溶性の顆粒剤にする。活性成分が50重量%含まれる。水希釈時、活性化合物の安定な分散液または溶液が得られる。
【0123】
VII) 水和性および水溶性の粉末剤(WP、SP、SS、WS)
25重量部の分散剤、湿潤剤、およびシリカゲルを添加して、75重量部の活性化合物をローター-ステーターミルで粉砕する。活性成分が75重量%含まれる。水希釈時、活性化合物の安定な分散液または溶液が得られる。
【0124】
VIII) ゲル製剤(GF)
20重量部の活性化合物、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤、および70重量部の水または有機溶媒をボールミルで粉砕し、微細な分散液を得る。水希釈時、活性化合物の安定な懸濁液が得られる。
【0125】
2. 直接施用用製剤
IX) 散粉剤(DP、DS)
5重量部の活性化合物を微細に粉砕して、95重量部の微粒子状カオリンと均質混合する。これにより、5重量%の活性成分を有する散粉剤が得られる。
【0126】
X) 顆粒剤(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の活性化合物を微細に粉砕して、95.5重量部の担体と組み合わせる。一般に用いられる方法は、押出し法、スプレー乾燥法、または流動床法である。これにより、0.5重量%の活性成分を有する直接施用用顆粒が得られる。
【0127】
XI) ULV溶液剤(UL)
10重量部の活性化合物を、90重量部の有機溶媒たとえばキシレンに溶解させる。これにより、10重量%の活性成分を有する直接施用用製剤が得られる。
【0128】
種子の処理に好適な製剤は、たとえば、以下のものである。
【0129】
I 濃縮可溶製剤(SL、とくにLS)
III 濃縮乳剤(EC)
IV 乳濁剤(EW、EO、とくにES)
V 懸濁剤(SC、OD、とくにFS)
VI 水和性および水溶性の顆粒剤(WG、とくにSG)
VII 水和性および水溶性の粉末剤(WP、とくにSSおよびWS)
VIII ゲル製剤(GF)
IX 散粉剤および散粉状粉末(DP、とくにDS)
種子処理に使用される好ましい製剤は、FS製剤である。一般的には、この製剤は、1〜800g/lの活性化合物、1〜200g/lの湿潤剤、0〜200g/lの凍結防止剤、0〜400g/lの結合剤、0〜200g/lの着色剤(顔料および/または染料)、ならびに溶媒、好ましくは水を含む。
【0130】
種子処理のための活性化合物の好ましいFS製剤は、通常、0.5〜80%の活性化合物、0.05〜5%の湿潤剤、0.5〜15%の分散剤、0.1〜5%の増粘剤、5〜20%の凍結防止剤、0.1〜2%の消泡剤、1〜20%の顔料および/または染料、0〜15%の粘着付与剤または接着剤、0〜75%の充填剤/媒体、ならびに0.01〜1%の保存剤を含む。
【0131】
種子処理のための活性化合物の製剤に好適な顔料または染料は、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0132】
好適な湿潤剤および分散剤は、とくに、上記に挙げた界面活性剤である。好ましい湿潤剤は、アルキルナフタレンスルホネート類、たとえば、ジイソプロピルナフタレンスルホネートまたはジイソブチルナフタレンスルホネートである。好ましい分散剤は、非イオン性もしくは陰イオン性の分散剤または非イオン性もしくは陰イオン性の分散剤の混合物である。好適な非イオン性分散剤は、とくに、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー類、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類、さらにはトリスチリルフェノールポリグリコールエーテル(tristryrylphenol polyglycol ether)、たとえば、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル(tristerylphenyl polyglycol ether)、アルキルアリールポリエーテルアルコール類、アルコールおよび脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル類、およびメチルセルロースである。好適なアニオン性分散剤は、とくに、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸の、アルカリ金属塩類、アルカリ土類金属塩類、およびアンモニウム塩類、アルキルアリールスルホネート類、アルキルスルフェート類、アルキルスルホネート類、脂肪アルコールスルフェート類、脂肪酸類、ならびに硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル類、さらには、アリールスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物類、たとえば、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物類、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物類、リグノスルホネート類、リグノサルファイト廃液、メチルセルロースのリン酸化誘導体類または硫酸化誘導体類、ならびにポリアクリル酸塩類である。
【0133】
凍結防止剤として使用するのに好適なのは、原則として、水の融点を低下させるすべての物質である。好適な凍結防止剤としては、アルカノール類、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール類、グリコール、グリセロール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
【0134】
好適な増粘剤は、農業化学組成物中でそのような目的に使用可能なすべての物質、たとえば、セルロース誘導体類、ポリアクリル酸誘導体類、キサンタン、変性クレー類、および微細化シリカである。
【0135】
消泡剤として使用するのに好適なのは、農業化学的に活性な化合物を製剤するために慣用されるすべての脱泡剤である。とくに好適なのは、シリコーン系消泡剤類およびステアリン酸マグネシウムである。
【0136】
保存剤として使用するのに好適なのは、農業化学組成物中でそのような目的に利用可能なすべての保存剤である。ジクロロフェン、イソチアゾロン類(isothiazolenes)、たとえば、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン塩酸塩、5-クロロ-2-(4-クロロベンジル)-3(2H)-イソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン塩酸塩、4,5-ジクロロ-2-シクロヘキシル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン塩化カルシウム錯体、2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン、およびベンジルアルコールヘミホルマール(benzyl alcohol hemiformal)が例として挙げられうる。
【0137】
接着剤/粘着付与剤は、処理後の種子上への有効成分の接着を改善するために添加される。好適な接着剤は、EO/PO系ブロックコポリマー界面活性剤類であり、そのほかには、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリブテン類、ポリイソブテン類、ポリスチレン、ポリエチレンアミン類、ポリエチレンアミド類、ポリエチレンイミン類(Lupasol(登録商標)、Polymin(登録商標))、ポリエーテル類、およびこれらのポリマー類から誘導されるコポリマー類である。
【0138】
好適なゲル化剤の一例はカラゲーンである。
【0139】
土壌処理に好適な組成物としては、散播顆粒剤としてまたは含浸肥料顆粒剤として畝溝施用可能な顆粒剤が挙げられる。
【0140】
純粋な活性化合物、すなわち製剤化助剤を含まない少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤の所要の施用量は、たとえば施用場所の気候条件および施用方法をはじめとするいくつかの因子に依存する。
【0141】
種子処理では、少なくとも1種類の殺虫剤の全量は、0.1〜1000g/100kg(種子)、好ましくは0.1〜200g/100kg、とくに1〜100g/100kg、特定的には10〜90g/100kg、より特定的には20〜70g/100kgである。
【0142】
繁殖体とくに種子の処理に供する場合、原則として、種子を処理または粉衣(dressing)するための任意の慣用的方法、たとえば、限定されるものではないが、種子粉衣、種子コーティング、種子散粉(dusting)、種子浸漬、種子フィルムコーティング、種子多層コーティング、種子被殻(encrusting)、種子滴下(dripping)、および種子ペレット化を使用することが可能である。特定的には、処理は、この目的に好適な装置、たとえば、固体または固体/液体の混合対象に合った混合装置を用いて、組成物が種子上に均一に分布するまで、所望の特定量の種子粉衣製剤を、そのまままたは事前に水で希釈した後のいずれかで種子と混合することにより行われる。適切であれば、この後、乾燥操作を行う。
【0143】
種子を直接処理するのではなく、植栽/播種される生育培地を介して、とくに土壌を介して処理する場合、後者は、繁殖体を植栽/播種する前、または繁殖体を植栽もしくは播種する時に、好適量の少なくとも1種類の殺虫剤を、そのまままたは事前に水で希釈した後のいずれかで土壌に施用することにより(種子播種の場合、これは畝溝施用と呼ばれる)、処理可能である。
【0144】
土壌施用は、とくにプランテーションで生育する場合、たとえば、穀物、ワタ、ヒマワリ、および樹木に好適な方法である。
【0145】
しかしながら、繁殖体の直接処理、特定的には直接種子処理が好ましい。
【0146】
驚くべきことに、植物の繁殖体を少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤で処理すると、同一条件下で生育する同一植物種(ただし、少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤で処理された繁殖体から生育したものではない)と比較して、それから生育する植物の収穫量が増大することを見いだした。とくに、植物の繁殖体を少なくとも1種類のGABAアンタゴニスト系殺虫剤で処理すると、それから生育する植物の収穫量が、最適未満の窒素含有率を有する培地で生育する場合に増大する。
【0147】
強調すべき点として、本発明に係る組成物の上記の効果、すなわち植物の収穫量の増大は、植物が生物ストレス下にない場合にも、とくに植物が昆虫の圧力(insect pressure)下にない場合にも存在する。有害生物に対抗する治癒的もしくは予防的な処理を受けた植物、および生物ストレス因子により引き起こされる損傷を伴うことなく生育可能な植物と比較して、昆虫の攻撃を受けている植物は、より少ないバイオマスおよびより少ない収穫量しか生産しないことは明らかである。しかしながら、本発明に係る使用および方法によれば、生物ストレスがなんら存在しないときでさえも、とくに害虫がなんら存在しないときでさえも、収穫量が増大する。このことは、収穫量に及ぼす少なくとも1種類のGABA系殺虫剤のプラスの効果が、単に殺虫剤の殺虫活性により説明可能なものではなく、さらなる活性プロファイルに基づくことを意味する。しかし、当然ながら、生物ストレス下の植物もまた、本発明に係る方法に従って処理可能である。
【0148】
次に、以下の実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0149】
実施例で使用されるN-min分析法により、栄養生育期の開始時に、土壌中(0〜90cmの深さ)の無機態窒素化合物の含有率を決定する。この目的のために、0〜90cmの深さでサンプルを採取し、無機態窒素化合物(アンモニウム化合物および硝酸塩)を抽出し、そして分析する。この方法については、R. Thunら, Die Untersuchung von Boden, Methodenbuch Bd. 1, 4th edition 1991, edition VDLUFA (Verband Deutscher Landwirtschaftlicher Untersuchungs- und Forschungsanstalten), Darmstadt, Germanyに記載されている。
【0150】
実施例1.春コムギの収穫量の増大
HEGE 11種子処理装置を用いて、春コムギ種子(品種Triso)をフィプロニル(市販品Regent FS 500; 500g/lの活性化合物を含有するFS製剤; 種子100kgあたり50gとして使用した)で処理した。種子の一部を未処理のままにした(対照)。処理の5日後、Gommersheim, Palatine, Germanyの近郊で、6.7のpHおよび30cmの耕耘深さを有するローム質砂土中に種子を植栽した。N-min分析に基づく窒素含有率は、0〜90cmの深さで1haあたり52kg Nであった。1m2あたり400個の種子を1.86m×5.5mの試験区に播種した。畝間は13cmであり、かつ播種深さは3cmであった。標準量の窒素(140kg N/ha)または低減量の窒素(30kg N/ha)のいずれかで処理を施した。植栽の130日後、コムギ穀粒を収穫して秤量した。結果を以下の表1にまとめる。
【表1】

【0151】
実施例2
HEGE 11種子処理装置を用いて、冬コムギ種子(品種Tuerkis)をフィプロニル(市販品Regent FS 500; 500g/lの活性化合物を含有するFS製剤; 種子100kgあたり25gとして使用した)で処理した。種子の一部を未処理のままにした(対照)。処理の2日後、Bohl, Palatine, Germanyの近郊で、6.7のpHおよび30cmの耕耘深さを有するローム質砂土中に種子を植栽した。N-min分析に基づく窒素含有率は、0〜90cmの深さで1haあたり26kg Nであった。1m2あたり400個の種子を1.86m×5.5mの試験区に播種した。畝間は13cmであり、かつ播種深さは3cmであった。標準量の窒素(180kg N/ha)または低減量の窒素(50kg N/ha)のいずれかで処理を施した。植栽の269日後、コムギ穀粒を収穫して秤量した。結果を以下の表2にまとめる。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させるための、GABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤の使用。
【請求項2】
最適未満の窒素含有率を有する培地で生育している少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させるための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記GABAアンタゴニストが、アセトプロール、エンドスルファン、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、式II
【化1】

〔式中、Raは、C1〜C4-アルキルもしくはC1〜C4-ハロアルキルである〕
で示されるフェニルピラゾール化合物、または農業上許容されるそれらの塩、および式III
【化2】

で示されるフェニルピラゾール化合物または農業上許容されるその塩から選択される、請求項1または2のいずれかに記載の使用。
【請求項4】
Raがエチルまたはトリフルオロメチルである、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
式IIで示される化合物がフィプロニルである、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させる方法であって、植物の生育の基となる植物繁殖体を、請求項1および3〜5のいずれかに定義されるGABAアンタゴニストから選択される少なくとも1種類の殺虫剤で処理することを含む、上記方法。
【請求項7】
最適未満の窒素含有率を有する培地で生育している少なくとも1種類の植物品種の収穫量を増大させるための、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記植物が農業用植物から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の使用または請求項6および7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記農業用植物が、トウモロコシ、コムギ、ライコムギ、オオムギ、オートムギ、ライムギ、ナタネ、雑穀、イネ、ヒマワリ、ワタ、サトウダイコン、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、レタス、サトウキビ、チャ、タバコ、およびコーヒーから選択される、請求項8に記載の使用または方法。
【請求項10】
前記農業用植物がコムギである、請求項9に記載の使用または方法。

【公表番号】特表2010−536735(P2010−536735A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520596(P2010−520596)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060765
【国際公開番号】WO2009/024546
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】