説明

収納ボックス

【課題】非喫煙者にとって不要な灰皿の設置スペースを活用し、外部機器を収納可能な必要最小限の大きさで、しかも収納スペースを有効に利用できる収納ボックスを提供する。
【解決手段】上部から中央部にかけてほぼ横向きL字状の切欠開口12が形成されインストルメントパネルの灰皿の収納用開口を閉塞して配設されるパネル14と、パネル14の切欠開口12の右下方に設けられ外部機器である携帯オーディオ機器の出力信号線が接続可能な外部入力端子部16と、パネル14の裏面側であって切欠開口12の周縁部に固着されて収納用開口に配置される有底の四角筒状のボックス本体18とを備える収納ボックス10を、灰皿に代えてインストルメントパネルの灰皿の収容用開口に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のインストルメントパネルに形成された灰皿の収納用開口に、灰皿に代わって配設される収納ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図6に示すように、車両のインストルメントパネル1には、例えばオートマチックトランスミッション(AT)用操作レバーを配置するATレバー用開口2が上面に形成され、その下方には灰皿の収納用開口3とシガーライターの収納用開口4が左右に並んで形成され、さらにその下方にはCD(コンパクトディスク)などを収納でき状部が傾倒可能なロアボックス5が配設されている。なお、インストルメントパネル1のATレバー用開口部2の左方には、エアコンのON,OFFや温度調節などの操作を行うためのエアコン操作部などが配設されるようになっている。
【0003】
ここで、収納用開口3には、例えば図7、図8に示すように、収納用開口3を閉塞するように配置されるパネル7aと、このパネル7aの裏面側であってインストルメントパネル1の収納用開口3内部に固定された本体部7bと、パネル7aに取り付けられパネル7aとともに収納用開口3より前後方向に出没自在に本体部7bに装着された受皿部7cとを備えた灰皿7が設けらている。なお、本体部7bの両側面には灰皿7が収納用開口3内部から抜けないように係止するための爪8aが形成されるとともに、本体部7bの上面には収納用開口3内部上面に当接して灰皿7の上下へのがたつきを防止するための建付け部材8bが形成されている。
【0004】
ところが、近年の禁煙傾向に伴って非喫煙者が車両を運転する機会が増え、非喫煙者にとって従来設置されている灰皿は不要であるため、これに代わる小物入れなどを設置することがむしろ望まれている。
【0005】
特に最近、比較的記憶容量の大きなハードディスクや半導体メモリを内蔵し胸ポケットにも収容可能な携帯オーディオ機器の開発が進み、これら携帯オーディオ機器の再生音を車内に設置されているオーディオスピーカを使って出力することも考えられ、そのためにインストルメントパネルに携帯オーディオ機器を収納可能な構造にすることが提案されている。
【0006】
具体的には、インストルメントパネルにすでに設置されたDINサイズのCDやMD等の再生用オーディオ機器の下方に、DINサイズの開口を設け、この開口に携帯オーディオ機器を収納可能な収納ボックスを配設し、この収納ボックス内に携帯オーディオ機器を接続可能な外部入力端子を組み付け、収納ボックスに収納した携帯オーディオ機器の出力信号線を外部入力端子に接続することで、携帯オーディオ機器の再生音を車内のオーディオスピーカから出力するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2008−126938号公報(段落0010〜0013、図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した特許文献に記載ものでは、収納ボックス内において携帯オーディオ機器を収納するスペースの横に外部入力端子が並列に位置する構成であるため、収納ボックス全体の横幅が大きくなるという問題があった。また、収納ボックスを配設する開口がそもそもDINサイズであるため、胸ポケットに収容可能な小型の携帯オーディオ機器を収納するには大きすぎてスペースの無駄が生じる。
【0009】
さらに、上記した特許文献に記載ものでは、非喫煙者にとって不要な灰皿の設置スペースを利用したものではなく、収納ボックスを配設する開口は灰皿とは別途インストルメントパネルに形成されるため、不要な灰皿の設置スペースの有効活用ができない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、灰皿の設置スペースを活用し、外部機器を収納可能な必要最小限の大きさで、しかも収納スペースを有効に利用できる収納ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明の収納ボックスは、車両のインストルメントパネルに形成された灰皿の収納用開口に、前記灰皿に代わって配設される収納ボックスであって、切欠開口が形成され前記収納用開口を閉塞して配設されるパネルと、前記パネルの前記切欠開口の近辺に設けられ外部機器の信号線が接続される外部入力端子部と、前記パネルの前記切欠開口の周縁部に固着されて前記インストルメントパネルの内方に配置される有底筒状のボックス本体とを備え、前記ボックス本体の内部には、前記切欠開口に臨む上収納スペースと、前記切欠開口に臨み前記上収納スペースより横幅の狭い下収納スペースとが形成され、前記外部入力端子部は、前記切欠開口近辺の前記下収納スペースの横に配置されていることを特徴としている(請求項1)。
【0012】
また、前記ボックス本体内の前記上収納スペースと下収納スペースとの間が部分的に仕切られて、前記上、下収納スペースが前記切欠開口に臨む箇所において一部連通して形成されていることを特徴としている(請求項2)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、非喫煙者にとって不要な灰皿の設置スペースを活用し、ボックス本体に上収納スペースとこれより横幅の狭い下収納スペースと上下に形成し、下収納スペースの横に外部入力端子部を配置したため、従来のように収納ボックスの横幅が大きくなり過ぎることがなく、しかも収納する対象物の大きさに応じて上収納スペースおよび下収納スペースのいずれかを選択して使用することができる。
【0014】
このとき、パネルに対してボックス本体の底側が下方に傾斜するようにボックス本体が固着されていると、ボックス本体に収納したものが切欠開口から外部に飛び出しにくくなり、安定して収納することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、上、下収納スペース間が部分的に仕切られて、かつ、切欠開口に臨む箇所において一部連通しているため、例えば上収納スペースにのみ収納物が収納されているときには、連通箇所を介して上収納スペースの収納物を下収納スペース側から指で掻き出すようにして外部に容易に取り出すことができ、下収納スペースにのみ収納物が収納されているときには、連通箇所を介して下収納スペースの収納物を上収納スペース側から指で掻き出すようにして外部に容易に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
つぎに、本発明の一実施形態について、図1ないし図5を参照して説明する。ここで、図1、図2はそれぞれインストルメントパネルの正面図、斜視図、図3ないし図5はそれぞれ収納ボックスの斜視図、正面図、左側面図である。なお、これらの図において、図6と同一符号は同一のもの若しくは相当するものを示す。
【0017】
インストルメントパネル1の灰皿の収納用開口3には、通常の灰皿に代わって収納ボックス10が配置される。この収納ボックス10は、図1ないし図5に示すように、上部から中央部にかけてほぼ横向きL字状の切欠開口12が形成され収納用開口3(図6参照)を閉塞して配設されるパネル14と、パネル14の切欠開口12の右下方に設けられ外部機器である携帯オーディオ機器の出力信号線が接続可能な外部入力端子部16と、パネル14の裏面側であって切欠開口12の周縁部に固着されて収納用開口3に配置される有底の四角筒状のボックス本体18とを備える。
【0018】
パネル14は、インストルメントパネル1に応じた曲面を成す形状を有し、収納用開口3を閉塞した状態ではインストルメントパネル1と同一面を成す。
【0019】
ボックス本体18の内部には、切欠開口12に臨む上収納スペース20と、切欠開口12に臨み上収納スペース20より横幅の狭い下収納スペース22とが形成され、これら上、下収納スペース20,22は左端が揃った状態でボックス本体18の内部に形成されている。
【0020】
そして、ボックス本体18の左内側面には、上、下収納スペース20,22の間を部分的に仕切る仕切体24が形成され、この仕切体24により上、下収納スペース20,22が切欠開口14に臨む箇所において一部連通している。そのため、上収納スペース20にのみ収納物が収納されている状態では、連通箇所を介して下収納スペース22側から上収納スペース20の収納物を指で掻き出すようにして外部に容易に取り出すことができ、下収納スペース22にのみ収納物が収納されている状態では、連通箇所を介して上収納スペース20側から下収納スペース22の収納物を指で掻き出すようにして外部に容易に取り出すことができる。
【0021】
このとき、上収納スペース20の横幅は、例えば米国アップル社製のiPOD(登録商標)やiPODnano(アイポッドナノ)等の少し幅広の携帯オーディオ機器を収納可能な幅に設定するのが望ましく、下収納スペース22の横幅は、その他のスティック状の携帯音楽プレーヤなどの幅狭の携帯オーディオ機器を収納可能な幅に設定するのが望ましい。
【0022】
このように上、下収納スペース20,22がボックス本体18内に配置されることにより、外部入力端子部16は上収納スペース20の右下方であって下収納スペース22の右方に位置することとなる。そして、外部入力端子部16は、収納ボックス10を収納用開口3に配設したときに、ボックス本体18の後方の底付近に設けられたコネクタ(図示せず)および接続ケーブル26を介してインストルメントパネル1に既に設置されているCDやMD、ラジオなどのオーディオ機器の外部入力端子と接続されるようになっており、車両ユーザは収納ボックス10をインストルメントパネル1に対して自由に着脱することはできず、車両メーカー或いはディーラーにおいて、ユーザの要望に応じて収納ボックス10をインストルメントパネル1に装着する際に外部入力端子16の配線処理が行われるようになっている。
【0023】
ところで、特に図5に示されるように、ボックス本体18は、パネル14に対してボックス本体18の後方つまり底側が、前方つまり切欠開口12側よりも下方に傾斜するようにパネル14の裏面に固着されており、これによって車両の揺れなどが生じてもボックス本体18の上、下収納スペース20,22に収納したものが切欠開口12から外部に飛び出しにくくなり、収納物を安定して収納することが可能になっている。
【0024】
なお、ボックス本体18の左右の両側面には収納ボックス10が収納用開口3内部から抜けないように係止するための爪28が形成されるとともに、ボックス本体18の右側上面には皿収納用開口3内部上面に当接して収納ボックス10の上下へのがたつきを防止するための建付け部材30が形成されている。
【0025】
したがって、上記した実施形態によれば、非喫煙者にとって不要な灰皿の設置スペースである収納用開口3に、灰皿7(図6参照)に代わって収納ボックス10を配設して使用できるため、灰皿の設置スペースの有効活用が可能である。
【0026】
また、ボックス本体18に上収納スペース20とこれより横幅の狭い下収納スペース22と上下に形成し、下収納スペース22の右横に外部入力端子部16を配置したため、従来のように収納ボックス10の横幅が大きくなり過ぎることがなく、しかも収納する対象物の大きさに応じて上収納スペース20および下収納スペース22のいずれかを選択して使用することができ、非常に便利である。
【0027】
さらに、パネル14に対してボックス本体18の底側が下方に傾斜するようにボックス本体18がパネル14に固着されているため、ボックス本体18の収納物が切欠開口12から外部に飛び出しにくくなり、収納物を安定して収納することができる。
【0028】
さらに、上、下収納スペース20,22間が仕切体24により部分的に仕切られて、かつ、切欠開口12に臨む箇所において一部連通しているため、上収納スペース20にのみ収納物が収納されている状態では、連通箇所を介して下収納スペース22側から上収納スペース20の収納物を指で掻き出すようにして外部に容易に取り出すことができ、下収納スペース22にのみ収納物が収納されている状態では、連通箇所を介して上収納スペース20側から下収納スペース22の収納物を指で掻き出すようにして外部に容易に取り出すことができる。
【0029】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、仕切体24は上、下収納スペース20,22を完全に仕切るものであってもよく、さらには仕切体24を設けなくてもよい。
【0030】
また、上、下収納スペース20,22は右端が揃った状態でボックス本体18の内部に形成されていて、外部入力端子部16は下収納スペース22の左方に配置されていてもよい。
【0031】
さらに、上、下収納スペースに加えて、例えば横幅よりも縦長のスペースを形成するようにしてもよく、こうするとカード類やメモ帳等を立てた状態で収納することができ、収納ボックス内の収納スペースの有効利用が図れて便利である。
【0032】
また、本実施形態では、本発明の収納ボックスを灰皿に代えて配設したが、いわゆるノンスモーカーボックスに代えて配設してもよい。すなわち、本発明における灰皿にはノンスモーカーボックスも含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態におけるインストルメントパネルの正面図である。
【図2】図1のインストルメントパネルの斜視図である。
【図3】図1の収納ボックスの斜視図である。
【図4】図1の収納ボックスの正面図である。
【図5】図1の収納ボックスの左側面図である。
【図6】従来のインストルメントパネルの正面図である。
【図7】図6のインストルメントパネルに配設される灰皿の斜視図である。
【図8】図6のインストルメントパネルに配設される灰皿の正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1……インストルメントパネル
3……灰皿の収納用開口
10……収納ボックス
12……切欠開口
14……パネル
16……外部入力端子
18……ボックス本体
20……上収納スペース
22……下収納スペース
24……仕切体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルに形成された灰皿の収納用開口に、前記灰皿に代わって配設される収納ボックスであって、
切欠開口が形成され前記収納用開口を閉塞して配設されるパネルと、
前記パネルの前記切欠開口の近辺に設けられ外部機器の信号線が接続される外部入力端子部と、
前記パネルの前記切欠開口の周縁部に固着されて前記インストルメントパネルの内方に配置される有底筒状のボックス本体とを備え、
前記ボックス本体の内部には、前記切欠開口に臨む上収納スペースと、前記切欠開口に臨み前記上収納スペースより横幅の狭い下収納スペースとが形成され、
前記外部入力端子部は、前記切欠開口近辺の前記下収納スペースの横に配置されていることを特徴とする収納ボックス。
【請求項2】
前記ボックス本体内の前記上収納スペースと下収納スペースとの間が部分的に仕切られて、前記上、下収納スペースが前記切欠開口に臨む箇所において一部連通して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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