説明

収納体

【課題】基材の材質と粘着剤の組合せ等を考慮することなく、開封時に基材の破れが生じることがない収納体を提供する。
【解決手段】 樹脂シート14は、開封領域を除く3周辺にて接着剤13を介して紙シート15に接着されることにより収納部が形成されている。紙シート15の樹脂シート14と反対側の面には、紙シート15に形成された貫通穴11を覆うように、樹脂シート16の表面全面に形成された粘着剤17によって長尺状の樹脂シート16が貼着されている。
この粘着剤17の貫通穴11から覗かれる領域を使用し、貫通穴11を介して樹脂シート16と樹脂シート14が貼着されることにより開封領域が封緘される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘部を複数回、貼着および再剥離しても基材の破れが生じない、シートを重ね合わせて形成される収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内容物を封書等に収納し、保管や送付をすることが行われている。
【0003】
このような収納体の封緘は、封緘部に接着剤を形成し、フラップを綴じることによって行われる。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
図4は、従来の封書の背面図である。
【0005】
従来の封書は、図4に示すようにフラップと接着剤形成部の間に切込みを設けることによって、開封時の破壊を最小限におさえている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−179077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したようにフラップと接着剤形成部の間に切込みを設ける形状では、開封時の破壊は最小限におさえられるが、破壊していることにはかわならないので、繰り返し再貼付や再剥離を行う際に支障が生じることとなる。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、開封時に基材の破れが生じることがなく再剥離再貼付可能な収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
第一基材と第二基材と第三基材が順に重ね合され、前記第一基材と前記第二基材により収納部が形成されてなる収納体であって、
前記第二基材には前記収納部の開封領域に貫通穴が形成されてなり、該貫通穴を介して、前記第三基材に設けられた再剥離再貼着可能な貼着層にて、前記第三基材と前記第一基材が貼着され、封緘されてなる。
【0010】
上記のように構成された本発明のおいては、開封領域の封緘の構造が、第一基材と第三基材が第二基材の貫通穴を通して貼着されている構成となっている為、貫通穴を小さくすれば貼付面積を小さくすることができ、貫通穴を大きくすれば貼付面積を大きくすることができる。その為、基材や接着剤の組合せがいかなるものであっても、貫通穴の大きさで貼着力を制御することができる。
【0011】
また、前記第一基材と前記第三基材は樹脂シートであり前記第二基材は紙シートにすることにより、貼着と剥離を行うのは確実に破れの生じない樹脂シートである第一基材と第三基材になり、第二基材が紙のように極めて破れやすい素材であっても、確実に破れが生じないようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように本発明においては、開封領域の封緘の構造が、第一基材と第三基材が第二基材の貫通穴を通して貼着されている構成となっている為、貫通穴を小さくすれば貼付面積を小さくすることができ、貫通穴を大きくすれば貼付面積を大きくすることができる。その為、基材や接着剤の組合せがいかなるものであっても、貫通穴の大きさで貼着力を制御することができ、再剥離再貼付が容易となる。
また、開封領域の貼着と剥離を行うのは、破れの生じない樹脂シートである第一基材と第三基材にすることにより、第二基材が紙のように破れやすい素材であっても、確実に破れが生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の収納体の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面の正面図、(b)は(a)に示した収納体の裏面図、(c)は(a)に示した収納体のA−A´断面図である。
【0014】
【図2】図1に示した収納体の製造工程を示す図である。
【0015】
【図3】図1に示した収納体の別の形態を示す図である。
【0016】
【図4】従来の収納体を示す図であり、(a)は外観正面図、(b)は(a)に示した収納体の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の収納体の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面側の正面図、(b)は(a)に示した収納体の裏面図、(c)は(a)に示した収納体のA−A´断面図である。
【0019】
本形態は、図1に示すように、本発明の請求項記載の第一基材である樹脂シート14と、第二基材である紙シート15と、第三基材である樹脂シート16により本発明の収納体が構成される。
【0020】
樹脂シート14は、開封領域を除く3周辺にて接着剤13を介して紙シート15に接着されることにより収納部が形成されている。樹脂シート14または紙シート15には、表裏面に対し必要に応じて文字や図柄等が印刷される。
【0021】
紙シート15の樹脂シート14と反対側の面には、紙シート15に形成された貫通穴11を覆うように、樹脂シート16の表面全面に形成された粘着剤17によって長尺状の樹脂シート16が貼着されている。
【0022】
この粘着剤17の貫通穴11から覗かれる領域を使用し、貫通穴11を介して樹脂シート16と樹脂シート14が貼着されることにより開封領域が封緘される。
粘着剤17は、再貼付再剥離が可能であり、必要に応じて何度も開封と封緘が可能である。
【0023】
以上の構成により、開封領域では、封緘した状態であっても紙シート15と樹脂シート14が直接的に貼着されていない為、開封する際に紙シート15の破れが生じない構造になっている。また、開封領域の貼着は樹脂素材である樹脂シート14と樹脂シート16によって形成されている為、開封する際に樹脂シート14と樹脂シート16の破れが生じることは無い。
【0024】
以下に、上記のように構成された収納体10の製造方法について説明する。
【0025】
図2は、図1に示した収納体10の製造方法を説明するための図である。
【0026】
まず、図2(a)に記載のように、複数の収納体を合計した大きさを有する紙シート25に対して、開封領域の予定位置に貫通穴21をそれぞれ形成する。
【0027】
次に、図2(b)に記載のように、各収納体の袋部を形成する3周辺の接着予定領域に接着剤23を形成する。
【0028】
次に、図2(c)に記載のように、接着剤23が形成された紙シート25に対し、接着剤23を介して樹脂シート24を積層して、図2(d)のように貼付する。
【0029】
次に、図2(e)のように、紙シート25の裏面に、長尺状の樹脂シート25を各貫通穴21を覆うように積層し、図2(f)のように貼着する。
【0030】
最後に、各収納体の形状になるように、紙シート25を断裁し、図2(g)の収納体が形成される。
開封領域を貼着させる為には、積層されたシートを断裁する前に押圧してもよいし、断裁した後に、各収納体を押圧してもよい。
【0031】
(他の実施の形態)
図3は、本発明の収納体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側の正面図、(b)は(a)に示した収納体の裏面図、(c)は(a)に示した収納体のA−A´断面図である。本形態は図3に示すように、図1に示したものに対して、貫通穴の形状と大きさが異なっており、貫通穴31は開封領域を横断する長尺状になっている。
図1の貫通穴11よりも貫通穴の面積が大きいため、貫通穴を介した貼着領域が大きく、貫通穴11よりも、より強い接着力を得ることができる。また、強い接着力を得ながらも、樹脂シート34と樹脂シート36により封緘が行われるため、紙シート35が破れることは無い。
【0032】
なお、上述した各実施の形態においては、貫通穴が真円形状や長尺状の長方形の形状である例を示したが、本発明は各実施の形態の形状に限らず、楕円やその他形状など、いかなる形状であってもかまわない。また、貫通穴の数は1つや2つに限らず3つ以上でもかまわない。開封領域の大きさに合わせて必要に応じて数を決めれば良い。
【0033】
また、上述した各実施の形態においては、第一基材と第三基材を樹脂シートとし、第二基材を紙シートとしたが、本発明は各実施の材質に限らず、各々のシートが実施例と異なる材質であっても構わない。その際には、開封領域の封緘の構造が、第一基材と第三基材が第二基材の貫通穴を通して貼着されている構成となっている為、貫通穴を小さくすれば貼付面積を小さくすることができ、貫通穴を大きくすれば貼付面積を大きくすることができ、貫通穴の大きさで貼着力を制御することができる。
【0034】
また、上述した各実施の形態においては、3周辺によって袋部を形成する例を示したが、本発明は各実施の形態の形状に限らず、第一基材と第二基材により袋部ができるのであれば、3周辺ではなく2周辺でもよい。その際には、貫通穴による開封領域が2片にまたがるようになる。また、第一基材と第二基材は別体ではなく、連接したシートを折って積層したものであってもよい。また、同様に第三基材も第一基材と第二基材と連接したシートを折って積層したものであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
10,30 収納体
11,21,31 貫通穴
12,32 開封領域
13,23,33 接着剤
14,24,34 樹脂シート
15,25,35 紙シート
16,26,36 樹脂シート
17,27,37 粘着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基材と第二基材と第三基材が順に重ね合され、前記第一基材と前記第二基材により収納部が形成されてなる収納体であって、
前記第二基材には前記収納部の開封領域に貫通穴が形成されてなり、該貫通穴を介して、前記第三基材に設けられた再剥離再貼着可能な貼着層にて前記第三基材と前記第一基材が貼着され、封緘されてなることを特徴とした収納体
【請求項2】
前記第一基材と前記第三基材は樹脂シートであり、前記第二基材は紙シートであることを特徴とした請求項1記載の収納体

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103746(P2013−103746A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249279(P2011−249279)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】