収納具
【課題】壁面に貼り付けた後の糊残りの問題を起こすことがなく、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であるとともに、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を安価に提供する。
【解決手段】糊剤を用いずに平滑面に密着し、繰り返し密着/剥離を行える1枚の矩形の透明シートを用意する。そのシートの所定の箇所に折り目や複数の切り込みを設ける。そのシートを折り目に沿って2つ折りにし、所定の切り込みにより形成された差込部を他の対応する切り込みに差し込むことで、薄片の収納具を作成する。印刷された用紙等を収納した収納具を平滑面に密着させて使用する。
【解決手段】糊剤を用いずに平滑面に密着し、繰り返し密着/剥離を行える1枚の矩形の透明シートを用意する。そのシートの所定の箇所に折り目や複数の切り込みを設ける。そのシートを折り目に沿って2つ折りにし、所定の切り込みにより形成された差込部を他の対応する切り込みに差し込むことで、薄片の収納具を作成する。印刷された用紙等を収納した収納具を平滑面に密着させて使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面にて紙葉等の被収納物を収納可能な収納具に関し、特に、壁面を痛めずに、かつ、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能な収納具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、不透明、透明、または、半透明の主としてポリ塩化ビニル製の基材フィルムの一面に粘着剤層が形成されてなる装飾用粘着シートが知られている。この装飾用粘着シートは、装飾を施したい材料に粘着剤層を利用して貼り付け、上記基材フィルムの表面側の色や模様等により装飾効果を発揮させるものであり、近年、塗装に代わり、ラベルやステッカ類、広告や看板などのディスプレイ分野などに使われている。このような装飾用粘着シートがウィンドディスプレイや屋内の表示、あるいは、短期的に貼り替えるような屋外の看板に使用される場合、再剥離性が要求されるが、再剥離時に糊残りが発生し易いという問題があった。この問題を解決するために、従来の粘着シートの再剥離性の粘着層に代わって、平滑面に貼り付けることが可能な密着層を基材フィルム上に設けることで、糊残りの問題を解決したフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−59800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のシートでは、シートに直接印刷をして使用するため、印刷内容が変わる毎に、新しい内容が印刷されたシートを作成しなければならず、シート自体高価な物であるため、その使用枚数が増えてコストが掛かる。また、誤った印刷のシートや古い印刷内容のシートは、印刷内容によっては再利用が可能となるが、再利用されるシートは一部に過ぎず、大半のシートは再利用できずに廃棄することになり、コストを助長する。
【0004】
紙葉等の被収納物を収納する収納具であって糊残りがなく、再剥離可能な特徴を有しながら、壁面に取り付けることができる収納具については、従来提案がなされていない。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、壁面に貼り付けた後の糊残りの問題を起こすことがなく、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であるとともに、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係る収納具は、一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、前記第1部分に重なる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、前記第2部分の両側端縁から所定幅を有し、下端縁から各側端縁に平行に所定長切り込まれてなる一対の差込部と、前記第1部分に形成され、前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る収納具は、一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、前記第1部分に重なる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、前記第2部分の下端縁から延出され、所定幅を有する一対の差込部と、前記第1部分に対して前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る収納具は、請求項2に記載の収納具において、前記差込部には、その側端縁から延出し、前記第1被差込部周辺に引っ掛かる抜け防止部を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る収納具は、請求項1乃至3に記載の収納具において、前記一対の第1被差込部の近傍に一対の第2被差込部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る収納具は、一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、前記第1部分に重なる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、前記第2部分の両側端縁から下端縁に沿って各々延出され、所定幅を有する一対の差込部を設け、前記差込部を前記第1部分と前記物体の間に差し入れることで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し密着することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る収納具は、請求項1乃至5に記載の収納具において、前記第2部分は透明であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る収納具は、請求項6に記載の収納具において、前記第1部分は透明であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る収納具は、請求項1乃至7に記載の収納具において、前記収納部は開口部を有していることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る収納具は、請求項1乃至8に記載の収納具において、前記第1部分と前記第2部分の境界線上に、折り目補助部を設けることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る収納具は、請求項1乃至9に記載の収納具において、前記物体は平滑面を有し、また、前記付着は密着であり、前記シートの前記一面が平滑面に繰り返し密着及び剥離可能であって、前記第1部分を平滑面に対し密着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る収納具では、他の物体に付着可能な面を備えた1枚のシートを2つ折りにし、シート間にできる収納部の形状を、第2部分に設けた一対の差込部を第1部分に設けた一対の第1被差込部に差し込むことで維持している。
【0017】
これにより、壁面の自由な位置へ配置可能であると共に、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を提供することができる。
【0018】
また、請求項2に係る収納具では、他の物体に付着可能な面を備えた1枚のシートを2つ折りにし、シート間にできる収納部の形状を、第2部分に設けた一対の差込部を第1部分に設けた一対の第1被差込部に差し込むことで維持している。
【0019】
これにより、壁面の自由な位置へ配置可能であると共に、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を提供することができる。
【0020】
また、請求項3に係る収納具では、差込部に設けた抜け防止部が第1被差込部周辺に引っ掛かり、第1被差込部から差込部が抜けてこない。
【0021】
これにより、差込部を第1被差込部に強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0022】
また、請求項4に係る収納具では、第2部分に設けた一対の差込部は、第1部分に設けた一対の第1被差込部に差し込むことに加え、第1被差込部近傍に設けられた一対の第2被差込部に差し込まれて収納部の形状を維持している。
【0023】
これにより、差込部を第1部分に対し強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0024】
また、請求項5に係る収納具では、他の物体に付着可能な面を備えた1枚のシートを2つ折りにし、シート間にできる収納部の形状を、第2部分に設けた一対の差込部を第1部分と他の物体との間に差し入れることで維持している。
【0025】
これにより、壁面の自由な位置へ配置可能であると共に、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を提供することができる。
【0026】
また、請求項6に係る収納具では、第2部分は透明である。
【0027】
これにより、収納具に収納した被収納物を外側から見ることができる。
【0028】
また、請求項7に係る収納具では、第1部分は透明である。
【0029】
これにより、収納具に何も収納していない時に、他の物体に貼り付けた収納具を通して他の物体を見ることができる。
【0030】
また、請求項8に係る収納具では、収納部は開口部を有している。
【0031】
これにより、収納具を他の物体に貼り付けた状態で被収納物を出し入れできる。
【0032】
また、請求項9に係る収納具では、第1部分と第2部分の境界線上に、折り目補助部を設けている。
【0033】
これにより、シートを容易に折り曲げることができる。
【0034】
また、請求項10に係る収納具では、他の物体の平滑面に繰り返し密着及び剥離可能である。
【0035】
これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る収納具について、具体化した第1乃至第4実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0037】
先ず、第1実施形態に係る収納具1を構成する密着性のシート2について説明する。シート2には、フジコピアン株式会社のFIXFILm(登録商標)を使用する。FIXFILm(登録商標)は、貼り付けようとしている面が平滑面でありさえすれば、ガラス、金属、プラスチック、石等様々な素材に対して密着し、また、繰り返しの密着及び剥離が可能であり、粘着剤を用いないので剥がした跡にも、糊残りが生じないという性質を有している。尚、FIXFILm(登録商標)には、様々なタイプがあり、本実施形態では特に印刷用で透明なFIXFILM−PTGを使用する。
【0038】
これは4層構造をなしており、表面から印刷受像層、ポリエステルフィルム、FIX層、セパレータとなっている。印刷受像層は、オフセット印刷、スクリーン印刷、凸版印刷等に対応した層であって、透明で0.5ミクロンメートルある。ポリエステルフィルムは、透明な層で50ミクロンメートルある。FIX層は、透明な層で23ミクロンメートルある。セパレータは白色の防湿紙であって使用時には剥がされる。尚、本発明には、印刷受像層は無くとも構わない。
【0039】
FIXFILm(登録商標)の特性値としては、垂直方向の保持力は、1平方センチあたり870gfであり、水平方向の保持力は、1平方センチあたり930gfである。また、剥離力は、25mm幅あたり4.2gfである。
【0040】
次に、図1〜図4を参照して第1実施形態に係る収納具1を説明する。図1は、第1実施形態に係る収納具1であって内部に印刷物を収納した状態の外観図である。図2は、収納具1の展開図である。図3は、収納具1の平面図である。図4は、収納具1の側面図である。
【0041】
図1に示すように、このFIXFILm(登録商標)から作られる収納具1は概略としては、平らな構造であり、1枚のFIXFILm(登録商標)からなるシート2を、FIX層を外側にしながら図2中、一点鎖線で示す折り目2aを下にして2つに折り畳み、その間に紙に印刷した印刷物または薄い小物等を挟み込むようになっている。また、ただ1枚のFIXFILm(登録商標)を2つに折り畳んだだけでは、この折り畳んだ形状を維持できないので、後述するように両側縁部に設けた形状を保持するため一対の係止部3、4で形状を保持するようにしている。また、図1では、内部に印刷物5を挟み込んでおり、印刷物5は上部の一部を除き、収納具1に覆われている。使用時には、セパレータは剥離するのでFIXFILm(登録商標)からなるシート2自体は透明であり、印刷物5は収納具1に覆われている/いないに拘わらず、印刷内容を読み取ることが可能である。また、収納具1の収納部は、上に開口しているので(以後、開口部6と称する)、印刷物5の出し入れが常時可能である。
【0042】
平滑面に密着させて使用する時は、単に平滑面に収納具1の裏側を押し当てるだけでよい。垂直に立った平滑面に対しても収納具1は密着することができる。剥がす時は、吸盤を引き剥がす時のように、平滑面と密着している面の周縁部を持ち、裏返すように引っ張って引き剥がすようにする。尚、収納具1の表側もFIX層であるので、表側を平滑面に押し当てても使用できる。但し、この第1実施形態の収納具1の場合、シート2の下側の部分(以後、第2部分7と称する)がシート2の上側の部分(以後、第1部分8と称する)よりも狭いので、表側となる第2部分7は裏側となる第1部分8と比べて、その分密着力が弱い。何れの側を平滑面に押し当てるかは、使用者に任される。以後、便宜上面積の広い第1部分8を平滑面と密着させることとして説明する。
【0043】
図2は、第1実施形態に係る収納具1の展開図であり、密着性のシート2のFIX層を裏側に、印刷受像層を表側にした状態を表す。シート2は矩形をしており、高さ方向の中心からやや下側に一点鎖線で示す折り目2aとなる直線部分があり、その折り目2aを境界とする上側半分が第1部分8、下側半分が第2部分7である。図2に示す通り、前述の折り目2aとなる直線上には、シート2の側端縁9、10からシート2の幅方向に内側に向かい所定長に渡って一対のミシン目11、12が形成されている。これは、折り目2aに沿って折り曲げる時、折りやすくするために設けられている。ミシン目は、シート2の全幅に渡って形成してもよい。ミシン目でなく、例えば波線状の切り込みでもよい。また、微少な円、三角、星形等所定の形状で打ち抜いてもよい。シート2の厚み方向を突き抜けるように切断するのでなく、厚み方向の途中までの深さの溝を形成するハーフカットでもよい。
【0044】
次に、シート2の第2部分7には、その両側端縁9、10から所定距離だけ内側の位置に、下側の下端縁13から各側端縁9、10に平行に所定長の切り込み14、15が施され、それにより所定の幅を有する帯状の一対の差込部16、17が形成されている。また、シート2の第1部分8には、その各側端縁の略中間部分に、一定の間隔を開けて左右一対の切り込み18〜21が2つ設けられている。これらの切り込みは、切り込み18と切り込み19とが対をなし、切り込み20と切り込み21とが対をなしている。各切り込み18〜21は、各側端縁9、10から内側に向かってシート2の上側の上端縁22に平行に、前述した帯状の差込部16、17の幅と等しい長さの切り込みである。これら差込部16、切り込み18、20により左側の係止部3を構成している。また、差込部17、切り込み19、21により右側の係止部4を構成している。
【0045】
切り込み18と切り込み20では、切り込み18の方が切り込み20よりも下側に位置している。また前述の折り目2aから切り込み18までの距離は、折り目2aから切り込み14における下端縁13とは逆側の切り込み14の始点までの距離よりも若干長い。そして、折り目2aから切り込み20までの距離は、折り目2aから下端縁13までの距離(言い換えれば、第2部分7の高さ)より短い。同様に、切り込み19と切り込み21では、切り込み19の方が切り込み21よりも下側に位置している。また折り目2aから切り込み19までの距離は、折り目2aから切り込み15における下端縁13とは逆側の切り込み15の始点までの距離よりも若干長い。そして、折り目2aから切り込み21までの距離は、折り目2aから下端縁13までの距離(言い換えれば、第2部分7の高さ)より短い。
【0046】
次に、図3及び図4について説明する。図3、図4では、図2に示すシート2から収納具1を組み立てた状態を示しており、図3は平面図、図4は側面図を示している。組立方としては、先ず、ミシン目11、12に沿ってシート2を折り目2aで2つ折りにする。この時、密着する面であるFIX層は外側に、密着しない印刷受像層は内側になるようにする。その後、差込部16を切り込み18に対して、第1部分8の表側から裏側に向かって差し込み、裏側に突出した部分を再度切り込み20に対して、第1部分8の裏側から表側に向かって差し込む。それにより係止部3が形成され、差込部16を第1部分8から外れないように保持する。
【0047】
同様に、差込部17を切り込み19に対して、第1部分8の表側から裏側に向かって差し込み、裏側に突出した部分を再度切り込み21に対して、第1部分8の裏側から表側に向かって差し込む。それにより係止部4が形成され、差込部17を第1部分8から外れないように保持する。以上のように、係止部3、4において差込部16、17を第1部分8に保持することで、例え収納具1が垂直な平滑面に密着された時にも、第1部分8と第2部分7とが2つ折りになった状態を維持する。
【0048】
尚、図5は、係止部4を拡大した平面図、図6は、係止部4を拡大した側面図である。図5及び図6に示すように、下側から上側に延びる差込部17は、切り込み19で、一旦第1部分8の裏側に潜り込み、切り込み21で再び表側に現れていることが分かる。
【0049】
本実施形態では、差込部16が差し込まれる切り込みは、切り込み18、20の2箇所であるが、1箇所でもよい。数が増える程、差込部16の保持力が大きくなるので、3箇所以上設けてもよい。同様に、差込部17が差し込まれる切り込みも2箇所に拘わらず、1箇所でも、3箇所以上でも構わない。
【0050】
FIX層は、シート2の一方の面全体に有る必要はなく、第1部分8に相当する部分にのみ存在してもよい。
【0051】
収納具として印刷物5を収納するだけなら、シート2は不透明でも構わない。第1実施形態では、シート2の全体が透明であるので、収納している印刷物5の印刷内容を外側から第2部分7を通して読み取ることができる他に、印刷物5の有無を確認することもできる。尚、印刷内容を読み取ったり、印刷物5の有無を確認したりするためには、第2部分7のみ透明であればよい。そのため、第2部分7が透明で、第1部分8が不透明という構成でもよい。但し、第2部分7が透明であることに加えて第1部分8まで透明であることには、収納部に何も収納されていない時に、収納具1を通して、収納具1が密着している平滑面を見ることができるというメリットがある。
【0052】
第1実施形態に係る収納具1の使用例として、平滑面がガラス面であり、そのガラス面を備えた陳列棚に収納具1を、密着して貼り付けることが考えられる。収納具1が透明であれば、陳列棚に陳列してある物の状態を確認しやすくなる。その陳列棚には適当な湿度を保ったまま保温する機能が備わっており、小売店の店頭で肉まんを売るために使用されている陳列棚とする。肉まんは、陳列棚に長い時間入れておくと賞味期限が過ぎると味が劣ることになるので、賞味期限が過ぎた肉まんは商品として売れないことになる。その時間管理をするために、陳列棚に入れた時間を紙に書き、収納具1に収納する。紙に書き込めるので、専用の粘着テープに印刷したり、高価な密着性のシートに直接書き込んだりするのに比べ手軽である。
【0053】
また、時間管理をする他にも、肉まんの原材料や宣伝文句等を纏めた小型の紙を肉まんの数だけ用意しておき、それを積層して収納具1に収納し、売れる度に1枚ずつ取り出しては客に渡してもよい。売り物の肉まんと小型の紙とを物理的に近くに持って来られることから作業の効率が上がる。
【0054】
従来のシートでは、陳列棚に入っている肉まんの数だけ印刷済みのシートを作成しなければならず、コストが掛かるが、上記のように1つの収納具1に複数の印刷物5を収納すれば、収納具1が1つで済み安価である。
【0055】
また、陳列棚に新しい肉まんを入れたり、賞味期限を越えたものを新しいものに交換したりする際には、陳列棚に入れた時間を印刷した印刷物を作成する必要がある。従来のシートを使用した場合、古い時間の印刷されたシートを陳列棚から剥がし、新たに時間を印刷したシートを作成して貼り付けなければならず、シートの使用枚数が増え、コストがアップする。さらに、古い時間の印刷されたシートを再利用できないため廃棄せざるを得ず、コストアップを助長する。
【0056】
一方、上記収納具1であれば、収納具1から古い時間の書かれた紙(印刷物5)を取り出して、安価な紙に新しい時間を書き収納具1に収納するだけなので、高価な収納具1は交換する必要が無く、安価な紙のみ交換すればよいので、安価である。
【0057】
また、シート2全体が透明であれば、収納具1が透明になり、収納具1内に印刷物5が収納されていないときには、収納具1とガラス面を通じて陳列棚の中を見ることができる。
【0058】
第1実施形態に係る収納具1では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性シート2を2つ折りにし、そのシート間に第1部分8と第2部分7との協働によってできる収納部の形状を、第2部分7に設けた一対の差込部16、17を第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込み係止部3、4を形成することで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート2から極めて簡単に構成可能な収納具1を提供することができる。
【0059】
また、係止部3、4において、第2部分に設けた一対の差込部16、17は、第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込むことに加え、切り込み18、19近傍に設けられた一対の切り込み20、21に差し込まれて収納部の形状を維持している。これにより、差込部16、17を第1部分8に対し強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0060】
また、収納具1では、第2部分7は透明である。これにより、収納具1に収納した印刷物5を外側から見ることができる。
【0061】
また、収納具1では、第1部分8は透明である。これにより、収納具1に何も収納していない時に、平滑面に貼り付けた収納具1を通して平滑面を見ることができる。
【0062】
また、収納具1では、収納部は開口部6を有している。これにより、収納具1には平滑面に貼り付けた状態で印刷物5を出し入れできる。
【0063】
また、収納具1では、第1部分7と第2部分8との境界である折り目2a上に、一対のミシン目11、12を設けている。これにより、シート2を折り目2aで容易に折り曲げることができる。
【0064】
次に、第2実施形態に係る収納具30について説明する。これは、第1実施形態に示す収納具1と類似する形状をしている。そのため、第1実施形態に示した収納具1との違いについて重点的に説明する。尚、第1実施形態にない部分及び異なる部分の符号は新しく付与するが、第1実施形態と共通の部分については、第1実施形態で用いた符号をそのまま用いることにする。
【0065】
第2実施形態に係る収納具30を図7〜図9に基づいて説明する。図7は、第2実施形態に係る収納具30の展開図である。図8は、第2実施形態に係る収納具30の平面図である。図9は、第2実施形態に係る収納具30の側面図である。
【0066】
第2実施形態のシート32も、高さ方向の中心からやや下側に一点鎖線で示す折り目32aとなる直線部分があり、その折り目32aを境界とする上側半分を第1部分8、下側半分を第2部分31とする。
【0067】
図7において、第1実施形態との違いは、第1実施形態では、第2部分7に切り込み14、15を入れることで差込部16、17を構成した(図2参照)が、第2実施形態では、シート32の第2部分31の下端縁33の左右両端から、左右の側端縁9、10に沿って一対の所定幅を有する帯状の差込部34、35を延出していることである。尚、差込部34と差込部35とでは延出している長さは等しい。第1実施形態におけるシート2の下端縁13と折り目32aとの距離と、第2実施形態におけるシート32の下端縁33と折り目32aとの距離は異なり、第1実施形態の下端縁13と折り目2aとの距離の方が、第2実施形態の下端縁33と折り目32aとの距離より長い。但し、第2実施形態の下端縁33と折り目32aとの距離に、下端縁33から差込部34、35が延出した長さとを足した値は、折り目と第1実施形態の下端縁13との距離に等しい。また、第1実施形態における切り込み14、15の長さは、第2実施形態における差込部34、35が延出した長さに等しい。
【0068】
換言すれば、第1実施形態におけるシート2の第2部分7において切り込み14、15に挟まれた部分を切除したシートが、第2実施形態におけるシート32に相当する。そのため、組立方も、第1実施形態の時と同様で、第1実施形態における差込部16を切り込み18、20に差し込み、差込部17を切り込み19、21に差し込む代わりに、第2実施形態においては、差込部34を切り込み18、20に差し込み、差込部35を切り込み19、21に差し込む。
【0069】
第2実施形態の収納具30は、その組み立てた形状が、図8に示すように、第1実施形態の収納具1に比べて、収納部の深さが差込部34、35の長さ分、浅くなっている。
【0070】
第2実施形態に係る収納具30では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性シート32を折り目32aで2つ折りにし、そのシート間に第1部分8と第2部分31との協働によってできる収納部の形状を、第2部分31に設けた一対の差込部34、35を第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込むことで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート32から極めて簡単に構成可能な収納具30を提供することができる。
【0071】
また、第2部分31に設けた一対の差込部34、35は、第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込むことに加え、切り込み18、19近傍に設けられた一対の切り込み20、21に差し込まれて収納部の形状を維持している。これにより、差込部34、35を第1部分8に対し強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0072】
次に、第3実施形態に係る収納具40について説明する。これは、第2実施形態に示す収納具30と類似する形状をしている。そのため、第2実施形態に示した収納具30との違いについて重点的に説明する。第2実施形態にない部分及び異なる部分の符号は新しく付与するが、第2実施形態と共通の部分については、第2実施形態で用いた符号をそのまま用いることにする。
【0073】
第3実施形態に係る収納具40を図10及び図11に基づいて説明する。図10は、第3実施形態に係る収納具40の展開図である。図11は、第3実施形態に係る収納具40の平面図である。
【0074】
図11に示すように、収納具40を形成するシート41の形状は、第2実施形態に示した収納具30を形成するシート32の形状と類似している。第2実施形態では、一対の差込部34、35がシート32の下端縁33から、シート32の側端縁9、10に沿って延出していたが、それに代わって、一対の帯状の差込部42、43がシート41の下端縁33から側端縁9、10に平行に延出している。さらに、差込部42、43は、下端縁33の両端から各々が若干離間した位置、言い換えれば、所定距離だけ内側に寄った位置に設けられている。差込部42、43の幅は、第2実施形態における差込部34、35の幅と同等の長さであり、同じ幅の区間が連続しているが、差込部42、43の先端部分は概略三角形状をしており、三角形の底辺は、連続する同一幅の区間と比べ幅広で左右に突出した形状をしている。この三角形状をした部分を抜け防止部と称している(後に詳述)。つまり、差込部42、43はそれぞれ抜け防止部44、45を備えていることになる。
【0075】
一方、シート41の第1部分8には、第1実施形態及び第2実施形態において第1部分8には側端縁9に達する切り込み18、20、及び側端縁10に達する切り込み19、21が設けられていたのに代わり、側端縁9、10から所定距離だけ内側に入った位置に一対の切り込み46、47が設けられている。これら切り込み46、47は、シート41を図10に示す一点鎖線で示す折り目41aにて2つ折りにした時、差込部42、43の先端の抜け防止部44、45と相対する位置に設けられ、抜け防止部44、45が差し込まれる部分であり、上端縁22に平行で、帯状の差込部42、43の幅と等しい長さの切り込みである。抜け防止部44、45を切り込み46、47に差し込んだ後、引き抜こうとすると、抜け防止部44、45の横幅の最大幅(三角形状の底辺の長さに相当する)は、切り込み46、47の長さよりも大きいので、抜け防止部44、45が切り込み46、47の両端の外側のシート41に引っ掛かり容易に抜けてくることがない。以上のように、抜け防止部44、45を介して差込部42、43を第1部分8に保持することで、例え収納具40が垂直な平滑面に密着された時にも、第1部分8と第2部分31とが2つ折りになった状態を維持する。
【0076】
第3実施形態に係る収納具40では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性シート41を折り目41aで2つ折りにし、そのシート間に第1部分8と第2部分31との協働によってできる収納部の形状を、第2部分31に設けた一対の差込部42、43を第1部分8に設けた一対の切り込み46、47に差し込むことで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート41から極めて簡単に構成可能な収納具40を提供することができる。
【0077】
次に、第4実施形態に係る収納具50について説明する。これは、第2実施形態に示す収納具30と類似する形状をしている。そのため、第2実施形態に示した収納具30との違いについて重点的に説明する。第2実施形態にない部分及び異なる部分の符号は新しく付与するが、第2実施形態と共通の部分については、第2実施形態で用いた符号をそのまま用いることにする。
【0078】
第4実施形態に係る収納具50を図12及び図13に基づいて説明する。図12は、第4実施形態に係る収納具50の展開図である。図13は、第4実施形態に係る収納具50の平面図である。
【0079】
図12に示すように、収納具50を形成するシート51の形状は、第2実施形態に示した収納具30を形成するシート32の形状と類似している。第2実施形態では、一対の差込部34、35がシート32の下端縁33から、シート32の側端縁9、10に沿って延出していたが、第4実施形態のシート51は、それに代わって、一対の帯状の差込部52、53がシート51の左右端縁9、10の下端から下端縁33に沿って左右に延出している。差込部52、53の幅と長さは、第2実施形態における差込部34、35の幅と長さと同等である。
【0080】
一方、シート51の第1部分8には、第2実施形態においては、第1部分8に側端縁9に達する切り込み18、20、及び側端縁10に達する切り込み19、21が設けられていたが第4実施形態では、切り込みは何も設けられていない。第4実施形態では、シート51を図12に一点鎖線で示す折り目51aで2つ折りにした後、差込部52、53をそれぞれの付け根で、図13における収納具50の裏側に折り返し、第1部分8と第1部分8の密着する平滑面とで挟み込む。それにより、第1部分8の平滑面に対する密着力により、差込部52、53は平滑面に押さえ付けられる。また、差込部52、53の平滑面に接する面もFIX層となっているので、それら自体も密着力を有し、平滑面に密着する。尚、差込部52、53は長い程平滑面と接する面積が大きくなり、密着力が大きくなる。また、差込部52、53の付け根部分に図2において、シート2を2つ折りにするために施したようなミシン目等を施して差込部52、53を折り曲げやすくしてもよい。以上のように、差込部52、53を第1部分8の裏側に折り返すことで、例え収納具50が垂直な平滑面に密着された時でも、差込部52、53が第1部分8と平滑面とで挟み込まれ、さらにそれら自体が平滑面に密着するので、第1部分8と第2部分51との2つ折りになった状態が維持される。
【0081】
第4実施形態に係る収納具50では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性のシート51を折り目51aで2つ折りにし、シート間に第1部分8と第2部分31との協働によってできる収納部の形状を、第2部分31に設けた一対の差込部52、53を第1部分8と平滑面とで挟み込むことと、差込部52、53自体が平滑面に密着することで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート51から極めて簡単に構成可能な収納具50を提供することができる。
【0082】
本発明は、以上に記載の実施形態のみに限定される訳ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種の変更を加えてもよい。
【0083】
FIXFILm(登録商標)には、不透明なタイプもあるので、シート2、32、41、51をそれで代用することも可能である。シート2、32、41、51は、FIXFILm(登録商標)でなくとも、同様の平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な性質を備えたシートであればよい。
【0084】
また、シート2、32、41、51は、FIXFILm(登録商標)のように平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な性質を備えたシートであるばかりでなく、弱粘着の粘着層を有するシートであって、平滑面であるなしに拘わらず、壁面へ繰り返し粘着及び剥離可能な性質を備えたシートであってもよい。これによる収納具の場合は、弱粘着であるので糊残りは生じない。
【0085】
さらには、シート2、32、41、51は、通常の粘着力を有する粘着層を備えたシートであってもよい。これによる収納具の場合は、壁面の自由な場所に収納具を貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係る収納具1であって内部に別のシートを収納した状態の外観図である。
【図2】収納具1の展開図である。
【図3】収納具1の平面図である。
【図4】収納具1の側面図である。
【図5】係止部4を拡大した平面図である。
【図6】係止部4を拡大した側面図である。
【図7】第2実施形態に係る収納具30の展開図である。
【図8】収納具30の平面図である。
【図9】収納具30の側面図である。
【図10】第3実施形態に係る収納具40の展開図である。
【図11】収納具40の平面図である。
【図12】第4実施形態に係る収納具50の展開図である。
【図13】収納具50の平面図である。
【符号の説明】
【0087】
1、30、40、50 収納具
2、32、41、51 シート
3、4 係止部
5 印刷物
6 開口部
7 第2部分
8、31 第1部分
9、10 側端縁
11、12 ミシン目
13、33 下端縁
14、15、18、19、20、21、46、47 切り込み
16、17、34、35、42、43、52、53 差込部
22 上端縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面にて紙葉等の被収納物を収納可能な収納具に関し、特に、壁面を痛めずに、かつ、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能な収納具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、不透明、透明、または、半透明の主としてポリ塩化ビニル製の基材フィルムの一面に粘着剤層が形成されてなる装飾用粘着シートが知られている。この装飾用粘着シートは、装飾を施したい材料に粘着剤層を利用して貼り付け、上記基材フィルムの表面側の色や模様等により装飾効果を発揮させるものであり、近年、塗装に代わり、ラベルやステッカ類、広告や看板などのディスプレイ分野などに使われている。このような装飾用粘着シートがウィンドディスプレイや屋内の表示、あるいは、短期的に貼り替えるような屋外の看板に使用される場合、再剥離性が要求されるが、再剥離時に糊残りが発生し易いという問題があった。この問題を解決するために、従来の粘着シートの再剥離性の粘着層に代わって、平滑面に貼り付けることが可能な密着層を基材フィルム上に設けることで、糊残りの問題を解決したフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−59800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のシートでは、シートに直接印刷をして使用するため、印刷内容が変わる毎に、新しい内容が印刷されたシートを作成しなければならず、シート自体高価な物であるため、その使用枚数が増えてコストが掛かる。また、誤った印刷のシートや古い印刷内容のシートは、印刷内容によっては再利用が可能となるが、再利用されるシートは一部に過ぎず、大半のシートは再利用できずに廃棄することになり、コストを助長する。
【0004】
紙葉等の被収納物を収納する収納具であって糊残りがなく、再剥離可能な特徴を有しながら、壁面に取り付けることができる収納具については、従来提案がなされていない。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、壁面に貼り付けた後の糊残りの問題を起こすことがなく、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であるとともに、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係る収納具は、一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、前記第1部分に重なる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、前記第2部分の両側端縁から所定幅を有し、下端縁から各側端縁に平行に所定長切り込まれてなる一対の差込部と、前記第1部分に形成され、前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る収納具は、一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、前記第1部分に重なる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、前記第2部分の下端縁から延出され、所定幅を有する一対の差込部と、前記第1部分に対して前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る収納具は、請求項2に記載の収納具において、前記差込部には、その側端縁から延出し、前記第1被差込部周辺に引っ掛かる抜け防止部を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る収納具は、請求項1乃至3に記載の収納具において、前記一対の第1被差込部の近傍に一対の第2被差込部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る収納具は、一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、前記第1部分に重なる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、前記第2部分の両側端縁から下端縁に沿って各々延出され、所定幅を有する一対の差込部を設け、前記差込部を前記第1部分と前記物体の間に差し入れることで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し密着することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る収納具は、請求項1乃至5に記載の収納具において、前記第2部分は透明であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る収納具は、請求項6に記載の収納具において、前記第1部分は透明であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る収納具は、請求項1乃至7に記載の収納具において、前記収納部は開口部を有していることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る収納具は、請求項1乃至8に記載の収納具において、前記第1部分と前記第2部分の境界線上に、折り目補助部を設けることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る収納具は、請求項1乃至9に記載の収納具において、前記物体は平滑面を有し、また、前記付着は密着であり、前記シートの前記一面が平滑面に繰り返し密着及び剥離可能であって、前記第1部分を平滑面に対し密着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る収納具では、他の物体に付着可能な面を備えた1枚のシートを2つ折りにし、シート間にできる収納部の形状を、第2部分に設けた一対の差込部を第1部分に設けた一対の第1被差込部に差し込むことで維持している。
【0017】
これにより、壁面の自由な位置へ配置可能であると共に、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を提供することができる。
【0018】
また、請求項2に係る収納具では、他の物体に付着可能な面を備えた1枚のシートを2つ折りにし、シート間にできる収納部の形状を、第2部分に設けた一対の差込部を第1部分に設けた一対の第1被差込部に差し込むことで維持している。
【0019】
これにより、壁面の自由な位置へ配置可能であると共に、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を提供することができる。
【0020】
また、請求項3に係る収納具では、差込部に設けた抜け防止部が第1被差込部周辺に引っ掛かり、第1被差込部から差込部が抜けてこない。
【0021】
これにより、差込部を第1被差込部に強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0022】
また、請求項4に係る収納具では、第2部分に設けた一対の差込部は、第1部分に設けた一対の第1被差込部に差し込むことに加え、第1被差込部近傍に設けられた一対の第2被差込部に差し込まれて収納部の形状を維持している。
【0023】
これにより、差込部を第1部分に対し強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0024】
また、請求項5に係る収納具では、他の物体に付着可能な面を備えた1枚のシートを2つ折りにし、シート間にできる収納部の形状を、第2部分に設けた一対の差込部を第1部分と他の物体との間に差し入れることで維持している。
【0025】
これにより、壁面の自由な位置へ配置可能であると共に、1枚のシートから極めて簡単に構成可能な収納具を提供することができる。
【0026】
また、請求項6に係る収納具では、第2部分は透明である。
【0027】
これにより、収納具に収納した被収納物を外側から見ることができる。
【0028】
また、請求項7に係る収納具では、第1部分は透明である。
【0029】
これにより、収納具に何も収納していない時に、他の物体に貼り付けた収納具を通して他の物体を見ることができる。
【0030】
また、請求項8に係る収納具では、収納部は開口部を有している。
【0031】
これにより、収納具を他の物体に貼り付けた状態で被収納物を出し入れできる。
【0032】
また、請求項9に係る収納具では、第1部分と第2部分の境界線上に、折り目補助部を設けている。
【0033】
これにより、シートを容易に折り曲げることができる。
【0034】
また、請求項10に係る収納具では、他の物体の平滑面に繰り返し密着及び剥離可能である。
【0035】
これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る収納具について、具体化した第1乃至第4実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0037】
先ず、第1実施形態に係る収納具1を構成する密着性のシート2について説明する。シート2には、フジコピアン株式会社のFIXFILm(登録商標)を使用する。FIXFILm(登録商標)は、貼り付けようとしている面が平滑面でありさえすれば、ガラス、金属、プラスチック、石等様々な素材に対して密着し、また、繰り返しの密着及び剥離が可能であり、粘着剤を用いないので剥がした跡にも、糊残りが生じないという性質を有している。尚、FIXFILm(登録商標)には、様々なタイプがあり、本実施形態では特に印刷用で透明なFIXFILM−PTGを使用する。
【0038】
これは4層構造をなしており、表面から印刷受像層、ポリエステルフィルム、FIX層、セパレータとなっている。印刷受像層は、オフセット印刷、スクリーン印刷、凸版印刷等に対応した層であって、透明で0.5ミクロンメートルある。ポリエステルフィルムは、透明な層で50ミクロンメートルある。FIX層は、透明な層で23ミクロンメートルある。セパレータは白色の防湿紙であって使用時には剥がされる。尚、本発明には、印刷受像層は無くとも構わない。
【0039】
FIXFILm(登録商標)の特性値としては、垂直方向の保持力は、1平方センチあたり870gfであり、水平方向の保持力は、1平方センチあたり930gfである。また、剥離力は、25mm幅あたり4.2gfである。
【0040】
次に、図1〜図4を参照して第1実施形態に係る収納具1を説明する。図1は、第1実施形態に係る収納具1であって内部に印刷物を収納した状態の外観図である。図2は、収納具1の展開図である。図3は、収納具1の平面図である。図4は、収納具1の側面図である。
【0041】
図1に示すように、このFIXFILm(登録商標)から作られる収納具1は概略としては、平らな構造であり、1枚のFIXFILm(登録商標)からなるシート2を、FIX層を外側にしながら図2中、一点鎖線で示す折り目2aを下にして2つに折り畳み、その間に紙に印刷した印刷物または薄い小物等を挟み込むようになっている。また、ただ1枚のFIXFILm(登録商標)を2つに折り畳んだだけでは、この折り畳んだ形状を維持できないので、後述するように両側縁部に設けた形状を保持するため一対の係止部3、4で形状を保持するようにしている。また、図1では、内部に印刷物5を挟み込んでおり、印刷物5は上部の一部を除き、収納具1に覆われている。使用時には、セパレータは剥離するのでFIXFILm(登録商標)からなるシート2自体は透明であり、印刷物5は収納具1に覆われている/いないに拘わらず、印刷内容を読み取ることが可能である。また、収納具1の収納部は、上に開口しているので(以後、開口部6と称する)、印刷物5の出し入れが常時可能である。
【0042】
平滑面に密着させて使用する時は、単に平滑面に収納具1の裏側を押し当てるだけでよい。垂直に立った平滑面に対しても収納具1は密着することができる。剥がす時は、吸盤を引き剥がす時のように、平滑面と密着している面の周縁部を持ち、裏返すように引っ張って引き剥がすようにする。尚、収納具1の表側もFIX層であるので、表側を平滑面に押し当てても使用できる。但し、この第1実施形態の収納具1の場合、シート2の下側の部分(以後、第2部分7と称する)がシート2の上側の部分(以後、第1部分8と称する)よりも狭いので、表側となる第2部分7は裏側となる第1部分8と比べて、その分密着力が弱い。何れの側を平滑面に押し当てるかは、使用者に任される。以後、便宜上面積の広い第1部分8を平滑面と密着させることとして説明する。
【0043】
図2は、第1実施形態に係る収納具1の展開図であり、密着性のシート2のFIX層を裏側に、印刷受像層を表側にした状態を表す。シート2は矩形をしており、高さ方向の中心からやや下側に一点鎖線で示す折り目2aとなる直線部分があり、その折り目2aを境界とする上側半分が第1部分8、下側半分が第2部分7である。図2に示す通り、前述の折り目2aとなる直線上には、シート2の側端縁9、10からシート2の幅方向に内側に向かい所定長に渡って一対のミシン目11、12が形成されている。これは、折り目2aに沿って折り曲げる時、折りやすくするために設けられている。ミシン目は、シート2の全幅に渡って形成してもよい。ミシン目でなく、例えば波線状の切り込みでもよい。また、微少な円、三角、星形等所定の形状で打ち抜いてもよい。シート2の厚み方向を突き抜けるように切断するのでなく、厚み方向の途中までの深さの溝を形成するハーフカットでもよい。
【0044】
次に、シート2の第2部分7には、その両側端縁9、10から所定距離だけ内側の位置に、下側の下端縁13から各側端縁9、10に平行に所定長の切り込み14、15が施され、それにより所定の幅を有する帯状の一対の差込部16、17が形成されている。また、シート2の第1部分8には、その各側端縁の略中間部分に、一定の間隔を開けて左右一対の切り込み18〜21が2つ設けられている。これらの切り込みは、切り込み18と切り込み19とが対をなし、切り込み20と切り込み21とが対をなしている。各切り込み18〜21は、各側端縁9、10から内側に向かってシート2の上側の上端縁22に平行に、前述した帯状の差込部16、17の幅と等しい長さの切り込みである。これら差込部16、切り込み18、20により左側の係止部3を構成している。また、差込部17、切り込み19、21により右側の係止部4を構成している。
【0045】
切り込み18と切り込み20では、切り込み18の方が切り込み20よりも下側に位置している。また前述の折り目2aから切り込み18までの距離は、折り目2aから切り込み14における下端縁13とは逆側の切り込み14の始点までの距離よりも若干長い。そして、折り目2aから切り込み20までの距離は、折り目2aから下端縁13までの距離(言い換えれば、第2部分7の高さ)より短い。同様に、切り込み19と切り込み21では、切り込み19の方が切り込み21よりも下側に位置している。また折り目2aから切り込み19までの距離は、折り目2aから切り込み15における下端縁13とは逆側の切り込み15の始点までの距離よりも若干長い。そして、折り目2aから切り込み21までの距離は、折り目2aから下端縁13までの距離(言い換えれば、第2部分7の高さ)より短い。
【0046】
次に、図3及び図4について説明する。図3、図4では、図2に示すシート2から収納具1を組み立てた状態を示しており、図3は平面図、図4は側面図を示している。組立方としては、先ず、ミシン目11、12に沿ってシート2を折り目2aで2つ折りにする。この時、密着する面であるFIX層は外側に、密着しない印刷受像層は内側になるようにする。その後、差込部16を切り込み18に対して、第1部分8の表側から裏側に向かって差し込み、裏側に突出した部分を再度切り込み20に対して、第1部分8の裏側から表側に向かって差し込む。それにより係止部3が形成され、差込部16を第1部分8から外れないように保持する。
【0047】
同様に、差込部17を切り込み19に対して、第1部分8の表側から裏側に向かって差し込み、裏側に突出した部分を再度切り込み21に対して、第1部分8の裏側から表側に向かって差し込む。それにより係止部4が形成され、差込部17を第1部分8から外れないように保持する。以上のように、係止部3、4において差込部16、17を第1部分8に保持することで、例え収納具1が垂直な平滑面に密着された時にも、第1部分8と第2部分7とが2つ折りになった状態を維持する。
【0048】
尚、図5は、係止部4を拡大した平面図、図6は、係止部4を拡大した側面図である。図5及び図6に示すように、下側から上側に延びる差込部17は、切り込み19で、一旦第1部分8の裏側に潜り込み、切り込み21で再び表側に現れていることが分かる。
【0049】
本実施形態では、差込部16が差し込まれる切り込みは、切り込み18、20の2箇所であるが、1箇所でもよい。数が増える程、差込部16の保持力が大きくなるので、3箇所以上設けてもよい。同様に、差込部17が差し込まれる切り込みも2箇所に拘わらず、1箇所でも、3箇所以上でも構わない。
【0050】
FIX層は、シート2の一方の面全体に有る必要はなく、第1部分8に相当する部分にのみ存在してもよい。
【0051】
収納具として印刷物5を収納するだけなら、シート2は不透明でも構わない。第1実施形態では、シート2の全体が透明であるので、収納している印刷物5の印刷内容を外側から第2部分7を通して読み取ることができる他に、印刷物5の有無を確認することもできる。尚、印刷内容を読み取ったり、印刷物5の有無を確認したりするためには、第2部分7のみ透明であればよい。そのため、第2部分7が透明で、第1部分8が不透明という構成でもよい。但し、第2部分7が透明であることに加えて第1部分8まで透明であることには、収納部に何も収納されていない時に、収納具1を通して、収納具1が密着している平滑面を見ることができるというメリットがある。
【0052】
第1実施形態に係る収納具1の使用例として、平滑面がガラス面であり、そのガラス面を備えた陳列棚に収納具1を、密着して貼り付けることが考えられる。収納具1が透明であれば、陳列棚に陳列してある物の状態を確認しやすくなる。その陳列棚には適当な湿度を保ったまま保温する機能が備わっており、小売店の店頭で肉まんを売るために使用されている陳列棚とする。肉まんは、陳列棚に長い時間入れておくと賞味期限が過ぎると味が劣ることになるので、賞味期限が過ぎた肉まんは商品として売れないことになる。その時間管理をするために、陳列棚に入れた時間を紙に書き、収納具1に収納する。紙に書き込めるので、専用の粘着テープに印刷したり、高価な密着性のシートに直接書き込んだりするのに比べ手軽である。
【0053】
また、時間管理をする他にも、肉まんの原材料や宣伝文句等を纏めた小型の紙を肉まんの数だけ用意しておき、それを積層して収納具1に収納し、売れる度に1枚ずつ取り出しては客に渡してもよい。売り物の肉まんと小型の紙とを物理的に近くに持って来られることから作業の効率が上がる。
【0054】
従来のシートでは、陳列棚に入っている肉まんの数だけ印刷済みのシートを作成しなければならず、コストが掛かるが、上記のように1つの収納具1に複数の印刷物5を収納すれば、収納具1が1つで済み安価である。
【0055】
また、陳列棚に新しい肉まんを入れたり、賞味期限を越えたものを新しいものに交換したりする際には、陳列棚に入れた時間を印刷した印刷物を作成する必要がある。従来のシートを使用した場合、古い時間の印刷されたシートを陳列棚から剥がし、新たに時間を印刷したシートを作成して貼り付けなければならず、シートの使用枚数が増え、コストがアップする。さらに、古い時間の印刷されたシートを再利用できないため廃棄せざるを得ず、コストアップを助長する。
【0056】
一方、上記収納具1であれば、収納具1から古い時間の書かれた紙(印刷物5)を取り出して、安価な紙に新しい時間を書き収納具1に収納するだけなので、高価な収納具1は交換する必要が無く、安価な紙のみ交換すればよいので、安価である。
【0057】
また、シート2全体が透明であれば、収納具1が透明になり、収納具1内に印刷物5が収納されていないときには、収納具1とガラス面を通じて陳列棚の中を見ることができる。
【0058】
第1実施形態に係る収納具1では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性シート2を2つ折りにし、そのシート間に第1部分8と第2部分7との協働によってできる収納部の形状を、第2部分7に設けた一対の差込部16、17を第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込み係止部3、4を形成することで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート2から極めて簡単に構成可能な収納具1を提供することができる。
【0059】
また、係止部3、4において、第2部分に設けた一対の差込部16、17は、第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込むことに加え、切り込み18、19近傍に設けられた一対の切り込み20、21に差し込まれて収納部の形状を維持している。これにより、差込部16、17を第1部分8に対し強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0060】
また、収納具1では、第2部分7は透明である。これにより、収納具1に収納した印刷物5を外側から見ることができる。
【0061】
また、収納具1では、第1部分8は透明である。これにより、収納具1に何も収納していない時に、平滑面に貼り付けた収納具1を通して平滑面を見ることができる。
【0062】
また、収納具1では、収納部は開口部6を有している。これにより、収納具1には平滑面に貼り付けた状態で印刷物5を出し入れできる。
【0063】
また、収納具1では、第1部分7と第2部分8との境界である折り目2a上に、一対のミシン目11、12を設けている。これにより、シート2を折り目2aで容易に折り曲げることができる。
【0064】
次に、第2実施形態に係る収納具30について説明する。これは、第1実施形態に示す収納具1と類似する形状をしている。そのため、第1実施形態に示した収納具1との違いについて重点的に説明する。尚、第1実施形態にない部分及び異なる部分の符号は新しく付与するが、第1実施形態と共通の部分については、第1実施形態で用いた符号をそのまま用いることにする。
【0065】
第2実施形態に係る収納具30を図7〜図9に基づいて説明する。図7は、第2実施形態に係る収納具30の展開図である。図8は、第2実施形態に係る収納具30の平面図である。図9は、第2実施形態に係る収納具30の側面図である。
【0066】
第2実施形態のシート32も、高さ方向の中心からやや下側に一点鎖線で示す折り目32aとなる直線部分があり、その折り目32aを境界とする上側半分を第1部分8、下側半分を第2部分31とする。
【0067】
図7において、第1実施形態との違いは、第1実施形態では、第2部分7に切り込み14、15を入れることで差込部16、17を構成した(図2参照)が、第2実施形態では、シート32の第2部分31の下端縁33の左右両端から、左右の側端縁9、10に沿って一対の所定幅を有する帯状の差込部34、35を延出していることである。尚、差込部34と差込部35とでは延出している長さは等しい。第1実施形態におけるシート2の下端縁13と折り目32aとの距離と、第2実施形態におけるシート32の下端縁33と折り目32aとの距離は異なり、第1実施形態の下端縁13と折り目2aとの距離の方が、第2実施形態の下端縁33と折り目32aとの距離より長い。但し、第2実施形態の下端縁33と折り目32aとの距離に、下端縁33から差込部34、35が延出した長さとを足した値は、折り目と第1実施形態の下端縁13との距離に等しい。また、第1実施形態における切り込み14、15の長さは、第2実施形態における差込部34、35が延出した長さに等しい。
【0068】
換言すれば、第1実施形態におけるシート2の第2部分7において切り込み14、15に挟まれた部分を切除したシートが、第2実施形態におけるシート32に相当する。そのため、組立方も、第1実施形態の時と同様で、第1実施形態における差込部16を切り込み18、20に差し込み、差込部17を切り込み19、21に差し込む代わりに、第2実施形態においては、差込部34を切り込み18、20に差し込み、差込部35を切り込み19、21に差し込む。
【0069】
第2実施形態の収納具30は、その組み立てた形状が、図8に示すように、第1実施形態の収納具1に比べて、収納部の深さが差込部34、35の長さ分、浅くなっている。
【0070】
第2実施形態に係る収納具30では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性シート32を折り目32aで2つ折りにし、そのシート間に第1部分8と第2部分31との協働によってできる収納部の形状を、第2部分31に設けた一対の差込部34、35を第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込むことで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート32から極めて簡単に構成可能な収納具30を提供することができる。
【0071】
また、第2部分31に設けた一対の差込部34、35は、第1部分8に設けた一対の切り込み18、19に差し込むことに加え、切り込み18、19近傍に設けられた一対の切り込み20、21に差し込まれて収納部の形状を維持している。これにより、差込部34、35を第1部分8に対し強固に繋ぎ止めることができ、収納部の形状をさらによく維持することができる。
【0072】
次に、第3実施形態に係る収納具40について説明する。これは、第2実施形態に示す収納具30と類似する形状をしている。そのため、第2実施形態に示した収納具30との違いについて重点的に説明する。第2実施形態にない部分及び異なる部分の符号は新しく付与するが、第2実施形態と共通の部分については、第2実施形態で用いた符号をそのまま用いることにする。
【0073】
第3実施形態に係る収納具40を図10及び図11に基づいて説明する。図10は、第3実施形態に係る収納具40の展開図である。図11は、第3実施形態に係る収納具40の平面図である。
【0074】
図11に示すように、収納具40を形成するシート41の形状は、第2実施形態に示した収納具30を形成するシート32の形状と類似している。第2実施形態では、一対の差込部34、35がシート32の下端縁33から、シート32の側端縁9、10に沿って延出していたが、それに代わって、一対の帯状の差込部42、43がシート41の下端縁33から側端縁9、10に平行に延出している。さらに、差込部42、43は、下端縁33の両端から各々が若干離間した位置、言い換えれば、所定距離だけ内側に寄った位置に設けられている。差込部42、43の幅は、第2実施形態における差込部34、35の幅と同等の長さであり、同じ幅の区間が連続しているが、差込部42、43の先端部分は概略三角形状をしており、三角形の底辺は、連続する同一幅の区間と比べ幅広で左右に突出した形状をしている。この三角形状をした部分を抜け防止部と称している(後に詳述)。つまり、差込部42、43はそれぞれ抜け防止部44、45を備えていることになる。
【0075】
一方、シート41の第1部分8には、第1実施形態及び第2実施形態において第1部分8には側端縁9に達する切り込み18、20、及び側端縁10に達する切り込み19、21が設けられていたのに代わり、側端縁9、10から所定距離だけ内側に入った位置に一対の切り込み46、47が設けられている。これら切り込み46、47は、シート41を図10に示す一点鎖線で示す折り目41aにて2つ折りにした時、差込部42、43の先端の抜け防止部44、45と相対する位置に設けられ、抜け防止部44、45が差し込まれる部分であり、上端縁22に平行で、帯状の差込部42、43の幅と等しい長さの切り込みである。抜け防止部44、45を切り込み46、47に差し込んだ後、引き抜こうとすると、抜け防止部44、45の横幅の最大幅(三角形状の底辺の長さに相当する)は、切り込み46、47の長さよりも大きいので、抜け防止部44、45が切り込み46、47の両端の外側のシート41に引っ掛かり容易に抜けてくることがない。以上のように、抜け防止部44、45を介して差込部42、43を第1部分8に保持することで、例え収納具40が垂直な平滑面に密着された時にも、第1部分8と第2部分31とが2つ折りになった状態を維持する。
【0076】
第3実施形態に係る収納具40では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性シート41を折り目41aで2つ折りにし、そのシート間に第1部分8と第2部分31との協働によってできる収納部の形状を、第2部分31に設けた一対の差込部42、43を第1部分8に設けた一対の切り込み46、47に差し込むことで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート41から極めて簡単に構成可能な収納具40を提供することができる。
【0077】
次に、第4実施形態に係る収納具50について説明する。これは、第2実施形態に示す収納具30と類似する形状をしている。そのため、第2実施形態に示した収納具30との違いについて重点的に説明する。第2実施形態にない部分及び異なる部分の符号は新しく付与するが、第2実施形態と共通の部分については、第2実施形態で用いた符号をそのまま用いることにする。
【0078】
第4実施形態に係る収納具50を図12及び図13に基づいて説明する。図12は、第4実施形態に係る収納具50の展開図である。図13は、第4実施形態に係る収納具50の平面図である。
【0079】
図12に示すように、収納具50を形成するシート51の形状は、第2実施形態に示した収納具30を形成するシート32の形状と類似している。第2実施形態では、一対の差込部34、35がシート32の下端縁33から、シート32の側端縁9、10に沿って延出していたが、第4実施形態のシート51は、それに代わって、一対の帯状の差込部52、53がシート51の左右端縁9、10の下端から下端縁33に沿って左右に延出している。差込部52、53の幅と長さは、第2実施形態における差込部34、35の幅と長さと同等である。
【0080】
一方、シート51の第1部分8には、第2実施形態においては、第1部分8に側端縁9に達する切り込み18、20、及び側端縁10に達する切り込み19、21が設けられていたが第4実施形態では、切り込みは何も設けられていない。第4実施形態では、シート51を図12に一点鎖線で示す折り目51aで2つ折りにした後、差込部52、53をそれぞれの付け根で、図13における収納具50の裏側に折り返し、第1部分8と第1部分8の密着する平滑面とで挟み込む。それにより、第1部分8の平滑面に対する密着力により、差込部52、53は平滑面に押さえ付けられる。また、差込部52、53の平滑面に接する面もFIX層となっているので、それら自体も密着力を有し、平滑面に密着する。尚、差込部52、53は長い程平滑面と接する面積が大きくなり、密着力が大きくなる。また、差込部52、53の付け根部分に図2において、シート2を2つ折りにするために施したようなミシン目等を施して差込部52、53を折り曲げやすくしてもよい。以上のように、差込部52、53を第1部分8の裏側に折り返すことで、例え収納具50が垂直な平滑面に密着された時でも、差込部52、53が第1部分8と平滑面とで挟み込まれ、さらにそれら自体が平滑面に密着するので、第1部分8と第2部分51との2つ折りになった状態が維持される。
【0081】
第4実施形態に係る収納具50では、平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な面を備えた1枚の密着性のシート51を折り目51aで2つ折りにし、シート間に第1部分8と第2部分31との協働によってできる収納部の形状を、第2部分31に設けた一対の差込部52、53を第1部分8と平滑面とで挟み込むことと、差込部52、53自体が平滑面に密着することで維持している。これにより、壁面の平滑面における自由な位置で繰り返して配置可能であると共に、1枚のシート51から極めて簡単に構成可能な収納具50を提供することができる。
【0082】
本発明は、以上に記載の実施形態のみに限定される訳ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種の変更を加えてもよい。
【0083】
FIXFILm(登録商標)には、不透明なタイプもあるので、シート2、32、41、51をそれで代用することも可能である。シート2、32、41、51は、FIXFILm(登録商標)でなくとも、同様の平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な性質を備えたシートであればよい。
【0084】
また、シート2、32、41、51は、FIXFILm(登録商標)のように平滑面に繰り返し密着及び剥離可能な性質を備えたシートであるばかりでなく、弱粘着の粘着層を有するシートであって、平滑面であるなしに拘わらず、壁面へ繰り返し粘着及び剥離可能な性質を備えたシートであってもよい。これによる収納具の場合は、弱粘着であるので糊残りは生じない。
【0085】
さらには、シート2、32、41、51は、通常の粘着力を有する粘着層を備えたシートであってもよい。これによる収納具の場合は、壁面の自由な場所に収納具を貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係る収納具1であって内部に別のシートを収納した状態の外観図である。
【図2】収納具1の展開図である。
【図3】収納具1の平面図である。
【図4】収納具1の側面図である。
【図5】係止部4を拡大した平面図である。
【図6】係止部4を拡大した側面図である。
【図7】第2実施形態に係る収納具30の展開図である。
【図8】収納具30の平面図である。
【図9】収納具30の側面図である。
【図10】第3実施形態に係る収納具40の展開図である。
【図11】収納具40の平面図である。
【図12】第4実施形態に係る収納具50の展開図である。
【図13】収納具50の平面図である。
【符号の説明】
【0087】
1、30、40、50 収納具
2、32、41、51 シート
3、4 係止部
5 印刷物
6 開口部
7 第2部分
8、31 第1部分
9、10 側端縁
11、12 ミシン目
13、33 下端縁
14、15、18、19、20、21、46、47 切り込み
16、17、34、35、42、43、52、53 差込部
22 上端縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、
前記第1部分に重なる第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、
前記第2部分の両側端縁から所定幅を有し、下端縁から各側端縁に平行に所定長切り込まれてなる一対の差込部と、
前記第1部分に形成され、前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、
前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする収納具。
【請求項2】
一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、
前記第1部分に重なる第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、
前記第2部分の下端縁から延出され、所定幅を有する一対の差込部と、
前記第1部分に対して前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、
前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする収納具。
【請求項3】
前記差込部には、その側端縁から延出し、前記第1被差込部周辺に引っ掛かる抜け防止部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の収納具。
【請求項4】
前記一対の第1被差込部の近傍に一対の第2被差込部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の収納具。
【請求項5】
一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、
前記第1部分に重なる第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、
前記第2部分の両側端縁から下端縁に沿って各々延出され、所定幅を有する一対の差込部を設け、
前記差込部を前記第1部分と前記物体の間に差し入れることで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記平滑面に対し付着することを特徴とする収納具。
【請求項6】
前記第2部分は透明であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の収納具。
【請求項7】
前記第1部分は透明であることを特徴とする請求項6に記載の収納具。
【請求項8】
前記収納部は開口部を有していることを特徴とする請求項1乃至7に記載の収納具。
【請求項9】
前記第1部分と前記第2部分の境界線上に、折り目補助部を設けることを特徴とする請求項1乃至8に記載の収納具。
【請求項10】
前記物体は平滑面を有し、また、前記付着は密着であり、前記シートの前記一面が平滑面に繰り返し密着及び剥離可能であって、前記第1部分を平滑面に対し密着することを特徴とする請求項1乃至9に記載の収納具。
【請求項1】
一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、
前記第1部分に重なる第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、
前記第2部分の両側端縁から所定幅を有し、下端縁から各側端縁に平行に所定長切り込まれてなる一対の差込部と、
前記第1部分に形成され、前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、
前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする収納具。
【請求項2】
一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、
前記第1部分に重なる第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、
前記第2部分の下端縁から延出され、所定幅を有する一対の差込部と、
前記第1部分に対して前記差込部が差し込まれる一対の第1被差込部とを設け、
前記差込部を前記第1被差込部に差し込むことで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記物体に対し付着することを特徴とする収納具。
【請求項3】
前記差込部には、その側端縁から延出し、前記第1被差込部周辺に引っ掛かる抜け防止部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の収納具。
【請求項4】
前記一対の第1被差込部の近傍に一対の第2被差込部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の収納具。
【請求項5】
一面が他の物体に付着可能な1枚のシートからなり、前記シートを、前記一面を外側に2つ折りにした時、前記物体に対向する第1部分と、
前記第1部分に重なる第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に収納部が形成された収納具であって、
前記第2部分の両側端縁から下端縁に沿って各々延出され、所定幅を有する一対の差込部を設け、
前記差込部を前記第1部分と前記物体の間に差し入れることで前記収納部の形状を維持しつつ、前記第1部分を前記平滑面に対し付着することを特徴とする収納具。
【請求項6】
前記第2部分は透明であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の収納具。
【請求項7】
前記第1部分は透明であることを特徴とする請求項6に記載の収納具。
【請求項8】
前記収納部は開口部を有していることを特徴とする請求項1乃至7に記載の収納具。
【請求項9】
前記第1部分と前記第2部分の境界線上に、折り目補助部を設けることを特徴とする請求項1乃至8に記載の収納具。
【請求項10】
前記物体は平滑面を有し、また、前記付着は密着であり、前記シートの前記一面が平滑面に繰り返し密着及び剥離可能であって、前記第1部分を平滑面に対し密着することを特徴とする請求項1乃至9に記載の収納具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−112454(P2007−112454A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302692(P2005−302692)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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