収納家具の転倒防止システム
【課題】 床面及び天井面の不陸や収納物の重量による収納家具の沈み込みに対処しつつ、上下両側から収納家具の転倒防止を図ることができるシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】 床面Xに載置される収納棚1の下部と床面Xとの間、及びこの収納棚1の上部と天井面Yとの間に、板状弾性部材を備えた脚受け部材6…6、及びコイルバネを備えた転倒防止装置8…8をそれぞれ介在させる。その場合、収納棚1の側板2及び仕切板3の下端部に脚受け部材6を、上端部に転倒防止装置8を設ける。
【解決手段】 床面Xに載置される収納棚1の下部と床面Xとの間、及びこの収納棚1の上部と天井面Yとの間に、板状弾性部材を備えた脚受け部材6…6、及びコイルバネを備えた転倒防止装置8…8をそれぞれ介在させる。その場合、収納棚1の側板2及び仕切板3の下端部に脚受け部材6を、上端部に転倒防止装置8を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納家具の転倒防止を図るシステムに関し、家具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面に載置される収納家具の転倒防止を図るため、該家具と天井面や床面との間に転倒防止装置や部材を設置することがあり、これらには例えば特許文献1〜3に記載のものがある。
【0003】
まず、図14に示すように、特許文献1に記載の装置AはタンスB1と該タンスB1上に設置される収納ボックスB2の転倒防止を図るためのもので、収納ボックスB2の下部にねじ込まれる一対のアジャスタ脚A1,A1と、該アジャスタ脚A1,A1を受ける細長い脚受け部材A2と、該脚受け部材A2とタンスB1上面との間に挟み込まれる滑り止め部材A3,A3とを有している。なお、滑り止め部材A3は、収納ボックスB2上面と天井面Yとの間にも配設されている。
【0004】
そして、収納ボックスB2に対する各アジャスタ脚A1のねじ込み量を調節することにより、各アジャスタ脚A1はタンスB1と収納ボックスB2ひいては天井面Yとの間で突っ張り、タンスB1及び収納ボックスB2の転倒防止を図ることができるようになる。
【0005】
また、図15に示すように、特許文献2に記載の装置Cは床面Xに載置された収納庫Dの転倒防止を図るためのもので、天井面Yにあてがう滑り止め用のプレートC1と、該プレートC1に結合された例えばゴム製筒状のバネ材C2と、該バネ材C2の内方に設けられて該バネ材C2を伸張状態から圧縮状態とするときに操作するシャフトC3と、上記バネ材C2を圧縮状態に保持すると共にその状態を解除するときに操作するストッパC4と、これらを収納庫Dの上面に取り付けるための取付台C5とを有している。
【0006】
そして、バネ材C2が圧縮状態とされた2つの装置C,Cを収納庫Dと天井面Yとの間に設置したのち、取付台C5の側部に設けられた図示しない窓部を介してストッパC4を操作してバネ材C2を圧縮状態から伸張状態とすることにより、プレートC1は天井面Yに押し付けられる。すなわち、これらの装置C,Cは収納庫Dと天井面Yとの間で突っ張り、収納庫Dの転倒防止を図ることができる。また、これらの装置C,Cによれば、天井面Yの不陸があったとしてもこの不具合を吸収して突っ張ることができ、さらに、収納物の重量による収納庫Dの沈み込みが生じたとしてもバネ材C2の付勢力によってプレートC1は天井面Yに押し付けられて、転倒防止機能が持続されるようになる。
【0007】
さらに、図16に示すように、特許文献3に記載の部材Eは収納家具Fを載置してその転倒防止を図るためのもので、ブロック状の第1弾性部材E1と、該第1弾性部材E1の下部に設けられた中空部に嵌合された柔軟な第2弾性部材E2とを有し、また、収納家具Fが載置される上面に両面粘着テープE3が、床面Xに接する下面に滑り止め部材E4がそれぞれ設けられている。
【0008】
そして、この部材E上に収納家具Fを載置することにより、第1及び第2弾性部材E1,E2を介して振動を吸収すると共に、両面粘着テープE3及び滑り止め部材E4を介して収納家具Fを床面Xの所定位置に安定的に設置することができるようになる。
【0009】
【特許文献1】登録実用新案公報第3019415号公報
【特許文献2】特開2000−336811号公報
【特許文献3】特開平9−144809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載の装置Aは、タンスB1と収納ボックスB2との間で剛性体として突っ張るものであるため、振動が直接的にタンスB1や収納ボックスB2に伝達されて転倒防止効果は不十分である。また、収納物の重量によるタンスB1や収納ボックスB2の沈み込みが生じた場合には、各アジャスタ脚A1のねじ込み量を再調節しなければならず、保守は面倒である。さらに、脚受け部材A2が剛性の高いもので、これを例えば不陸のある床面側あるいは天井面Y側に配設する場合には、脚受け部材A2は床面側あるいは天井面Y側の不陸箇所と局所的に接触することになり、その結果、脚受け部材A2がすべったり、支持する荷重が局所に集中して床面や天井面Yにたわみや凹み等が生じたりするおそれがある。
【0011】
また、特許文献2に記載の装置Cでは、床面Xからの振動が直接的に収納庫Dに伝達されることは避けられなく、この場合にも転倒防止効果は不十分である。また、床面Xの不陸を吸収することができる構成ではない。
【0012】
一方、特許文献3に記載の部材Eでは、収納家具Fの下側つまり床面X側で振動を吸収して転倒防止を図ることができるものの、上側つまり天井面側はフリーであるため、地震等の大きな振動に対処するにはやはり不十分である。
【0013】
そこで、本発明は、床面及び天井面の不陸や収納物の重量による収納家具の沈み込みに対処しつつ、上下両側から収納家具の転倒防止を図ることができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0015】
まず、請求項1に記載の発明は、床面に載置される収納家具の転倒を防止するシステムであって、上記収納家具の下部と床面との間及び上記収納家具の上部と天井面との間にそれぞれ介在される支持装置を有し、かつこれらの支持装置は弾性部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、収納家具は側板を有しており、下部の支持装置は上記側板の下端部と床面との間、上部の支持装置は上記側板の上端部と天井面との間に設けられることを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の発明において、収納家具は複数の脚を有しており、下部の支持装置は、上記脚を受ける剛性部材と、該剛性部材の下面に設けられた弾性部材とを有していることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、弾性部材の下面の床面に接する面に、滑り止め部材が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項3または請求項4に記載の発明において、脚はアジャスタ脚であることを特徴とする。
【0020】
一方、請求項6に記載の発明は、上記請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、上部の支持装置は、天井面に当接する上部部材と、収納家具の上面に当接する下部部材と、両部材間に介在するバネ部材とを有していることを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、上記請求項6に記載の発明において、収納家具の側板は上方に突出しており、上部の支持装置の上部部材は、上記側板の突出部に両側から係合することを特徴とする。
【0022】
そして、請求項8に記載の発明は、上記請求項6または請求項7に記載の発明において、上部部材から上方に突出するピン部材が備えられていると共に、天井面側に上記ピン部材が係合する孔部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
まず、請求項1に記載の発明によれば、収納家具と床面との間及び収納家具と天井面との間にそれぞれ弾性部材を備えた支持装置を介在させるので、地震等の振動を上下両側で分担して効果的に吸収して、この収納家具の転倒防止を図ることができる。しかも、いずれも弾性部材を備えた支持装置であるため、床面及び天井面の不陸があったり収納物の重量による収納家具の沈み込みが生じたとしても、上下の弾性部材がこれらを吸収して対処可能となる。
【0024】
次に、請求項2に記載の発明によれば、上下の支持装置を収納家具において上下方向の剛性の高い側板の上端部及び下端部に配設するので、上下の弾性部材による付勢力が一層効果的に発揮されて、転倒防止効果が増強される。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、下部の支持装置の構成が具体化される。すなわち、剛性部材が複数の脚を介して負荷される荷重を確実に受けた上で、弾性部材が振動を吸収すると共に床面の不陸に沿って変形して不陸の問題を効果的に解消することができる。さらに、剛性部材と弾性部材とが協働して負荷される荷重を局所に集中させることなく床面の広い範囲に分散するので、床面にたわみや凹み等の不具合が生じることがない。
【0026】
また、請求項4に記載の発明によれば、床面に不陸がある場合、弾性部材がこの不陸に沿って変形することに伴い、滑り止め部材が床面に隙間なく密着するようになる。したがって、下部の支持装置を床面にねじ止めしなくても地震等の振動によって滑ったりずれたりすることがなく、もって施工時の作業性を向上すると共に床面を傷付けることがない。
【0027】
また、請求項5に記載の発明によれば、脚をアジャスタ脚とすることにより、収納家具の上面と天井面との間の間隔を変更することができ、もって両者間に介在する上部の支持装置の付勢力を綿密に調節可能となる。
【0028】
一方、請求項6に記載の発明によれば、上部の支持装置の構成が具体化される。すなわち、天井面に当接する上部部材と収納家具の上面に当接する下部部材との間にバネ部材を介在させているので、この支持装置は収納家具と天井面との間で突っ張り、収納家具の転倒防止を図ることができると共に、天井面の不陸があったり収納物の重量による収納家具の沈み込みが生じたとしても、バネ部材の付勢力によって良好な突っ張り性を維持することができる。
【0029】
また、請求項7に記載の発明によれば、上部の支持装置の上部部材を側板の突出部に両側から係合させることにより、この上部部材で下部部材やバネ部材を覆うことが可能で、設置後の見栄えが向上する。
【0030】
そして、請求項8に記載の発明によれば、上部の支持装置のピン部材と天井面側の孔部との係合により、地震等の振動発生時にもこの支持装置を所定の位置にずれることなく安定的に配設可能となり、一段と良好に収納家具の転倒防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
すなわち、図1及び図2に示すように、本発明に係る収納棚1は、上方に突出する左右両側の側板2,2及び中間の2つの仕切板3,3と、複数の棚板4…4とを有し、多数の収納空間が形成されている。また、この収納棚1は複数のアジャスタ脚5…5を備えており、床面Xに該アジャスタ脚5…5を受ける複数の下部支持装置としての脚受け部材6…6を介して設置されている。そして、この収納棚1の上部と天井面Yとの間に、補強板7を介して複数の上部支持装置としての転倒防止装置8…8が装着されている。
【0033】
図3に示すように、アジャスタ脚5は、側板2の下端部に設けられた垂直穴2aに圧入されて内面に雌ねじ部を有するナット状の筒状部材11と、該筒状部材11の雌ねじ部に螺合されたねじ軸12と、該ねじ軸12の下部に組み付けられた台座13と、該ねじ軸12に螺合されたロックナット14とを有している。
【0034】
ねじ軸12には、上から順に、雄ねじ部12a、雄ねじ部12aの径より大径でナット形状の操作部12b、雄ねじ部12aの径より小径の中径部12c、該中径部12cより小径の小径部12d、該小径部12dより大径の抜け止め部12eが形成されている。また、中径部12cの周面は一部切り欠かれて平面部12fが設けられている。
【0035】
台座13は、ねじ軸12の中径部12cとほぼ同形状の開口15aが上面に設けられたカバー15と、ドーナッツ状の弾性体でなる底部16とを有し、カバー15の開口15aが上記ねじ軸12の中径部12cに嵌められていると共に、底部16が上記小径部12dに嵌められている。これによれば、ねじ軸12の操作部12bを操作してねじ軸12を回転させると、台座13のカバー15が一緒に回転するが、底部16は後述する脚受け部材6との抵抗により回転することがない。
【0036】
ここで、カバー15の開口15aは、ねじ軸12の中径部12cより若干大きくされ、遊びが設けられている。これによれば、床面Xの傾きにより脚受け部材6が水平でないような場合でも、アジャスタ脚5の台座13が床面Xに沿って傾き、底部16の下面が以下説明する脚受け部材6の円形凹部21aの底面に良好に密着することとなる。
【0037】
なお、各側板2の底部とロックナット14との間には、該ロックナット14が収納棚1の重量により側板2の底部にめり込むのを防止することを目的として、該ロックナット14の径より大径の平ワッシャ17が介設されている。
【0038】
図4〜図6に示すように、脚受け部材6は、上記アジャスタ脚5,5の台座13,13の底部16,16が嵌められる円形凹部21a,21aが上面の両端側に設けられた板状剛性部材21と、該板状剛性部材21の下面に貼り合わされた板状弾性部材22と、該板状弾性部材22の下面の床面Xに接する面に貼り合わされたシート状滑り止め部材23とを有している。
【0039】
板状剛性部材21は長さ約30cm、幅約4cm、厚さ15mmの木材である。また、凹部21aの半径はアジャスタ脚5の台座13の底部16の半径よりも1mm大きくされている。また、凹部21aの深さは、図3に示すように、上記アジャスタ脚5の台座13のカバー15の下端と該板状剛性部材21の上面とが干渉しないように、これらの間に隙間αが生じる深さに設定されている。具体的には、この例においては、凹部21aの深さは1mmで、隙間αは1mmとされている。
【0040】
板状弾性部材22は、厚さ1.6mmのウレタン発泡材であり、地震発生時の振動吸収や、シート状滑り止め部材23の床面Xへの密着性確保等を目的として設けられている。
【0041】
シート状滑り止め部材23は、厚さ0.23mmのシリコンゴムで形成されており、床面Xに対する滑り止めを目的として設けられている。また、シリコンゴムであるので、汚れが付着しにくい性質を有している。
【0042】
ここで、板状剛性部材21と板状弾性部材22との貼り合せ、及び板状弾性部材22とシート状滑り止め部材23との貼り合せには、接着剤や両面粘着テープを用いることができる。本実施の形態においては、板状剛性部材21と板状弾性部材22との貼り合わせには基材の両面にアクリル系粘着剤の塗布された両面粘着テープ24を用い、板状弾性部材22とシート状滑り止め部材23との貼り合わせには基材の両面にゴム系粘着剤の塗布された両面粘着テープ25を用いている。そして、アジャスタ脚5の台座13の底部16と板状剛性部材21の凹部21aとは、基材の両面にアクリル系粘着剤の塗布された両面粘着テープ26を介して結合されるようになっている。
【0043】
なお、アジャスタ脚5及び脚受け部材6は、各側板2に加えて各仕切板3の下端部にも取り付けられるが、事情は前述した側板2におけると同じであるので、説明及び図示を省略する。
【0044】
図7〜図9に示すように、転倒防止装置8は、収納棚1に設けられた側板2の突出部と天井面Yとの間に、天井面Yに図示しない両面粘着テープで貼り付けられた収納棚1の幅方向に長い補強板7を介して設置される。そして、この転倒防止装置8は、カバー部材31、ベース部材32、中間部材33、一対のコイルバネ34,34、同じく一対のバネ軸35,35、支軸36、ロック部材37、及び一対の蓋部材38,38を有している。なお、図8及び図9は施工途中の状態つまりコイルバネ34,34が初期の圧縮状態の場合を示すもので、補強板7と転倒防止装置8との間に若干の隙間が形成されているが、施工後にはカバー部材31は矢印a及び細い二点鎖線で示すように補強板7に押し付けられるようになる。
【0045】
カバー部材31はアルミニウム製で、施工後に補強板7に当接することになる上面31aと側板2の突出部に両側から係合する両側面31b,31bとを有するチャンネル状とされている。また、上面31aには、バネ軸35,35の上部が突出可能に孔部31c,31cが設けられている。
【0046】
ベース部材32はスチール製で、カバー部材31内に収容されて側板2の突出部上面に当接するもので、長手方向の両端に上方に向く折曲部32a,32aと、長手方向に沿った両側に下方に向く折曲部32b,32bとを有している。なお、後者の折曲部32b,32bは、この転倒防止装置8を側板2の突出部に設置するときに、該側板2を両側から抱き込むガイド機能を備えている。
【0047】
また、ベース部材32の長手方向の両端近傍には、この転倒防止装置8を側板2の突出部上面にねじZ1,Z1を用いて固定するためのねじ孔部32c,32cが設けられており、一方、カバー部材31の上面31aには、上記ねじ孔部32c,32cに対応する箇所に、ねじ止め用の電動ドライバ等の工具を操作可能に工具操作窓部31d,31dが設けられている。なお、カバー部材31の上面31aには、この転倒防止装置8を補強板7にねじZ2,Z2を用いて固定する場合に利用されるねじ孔部(図7及び図8に一方のみ示す)31e,31eが設けられている。
【0048】
中間部材33はスチール製かつ略チャンネル状のもので、カバー部材31の上面31aの直下にビス39…39で固定されており、バネ軸35,35が貫通する孔部33a,33aが設けられている。また、中間部材33の長手方向の両端には、ベース部材32を側板2にねじ止めするときに、その作業を可能とするための切欠部33b,33bが設けられている。
【0049】
コイルバネ34,34はベース部材32をカバー部材31内で下方に付勢するもので、ベース部材32と中間部材33との間に介装されている。その場合、各コイルバネ34の上部は、樹脂製のバネ受け部材40で受けられている。
【0050】
バネ軸35,35はベース部材32に長手方向に所定の間隔を置いて立設されており、コイルバネ34,34に挿入されてこれらを支持する。各バネ軸35は、ベース部材32から延びる最も小径の基部35aと最も大径の中間部35bと中間径の頭部35cとで構成されている。その場合、中間部35bは、中間部材33に設けられた孔部33aより上方に設けられていると共に該孔部33aよりも径が大きく設定されている。頭部35cは、カバー部材31の上面31aの孔部31cから突出して補強板7に設けられた孔部7aに嵌り込むもので、面取りされている。
【0051】
支軸36は、一対のコイルバネ34,34に挟まれてベース部材32に立設されており、その上部に水平面内で回動する樹脂製の細長いロック部材37が設けられている。一方、中間部材32には、このロック部材37に対応する箇所に該ロック部材37を図7に細い二点鎖線で示す所定の向きにおいてのみ挿通可能とする平面視略矩形の孔部33cが設けられており、ロック部材37と中間部材33の孔部33cとにより、コイルバネ34,34を圧縮状態としてカバー部材31の上面31aとベース部材32とを接近させた状態でロックするロック機構が構成される。また、ロック部材37の下部は所定の形状に切り欠かれている。そして、カバー部材31の両側面31b,31bに、上記ロック部材37を回動させるための手回しドライバ等の工具を操作可能に工具操作窓部31f,31fが設けられている。
【0052】
蓋部材38,38はカバー部材31の両端部の開口を覆う樹脂製のもので、着脱可能に備えられている。すなわち、各蓋部材38には、カバー部材31内方に略板状に延びる各一対の上部係合部38a,38aと、一部スリットされて断面が略ロ字様に延びる下部係合部38b,38bとが設けられており、一方、カバー部材31の上面31aには、上部係合部38a,38aの先端近傍の突起が嵌り込む係合孔部31g…31gが、カバー部材31の両側面31b,31bには、下部係合部38b,38bが係合する長手方向に沿って延びるレール部31h,31hが設けられている。
【0053】
そして、図10及び図11に、付勢力が所望の値の下限に低下するまでコイルバネ34,34が伸張した状態の転倒防止装置8を示している。すなわち、これは転倒防止装置8を収納棚1の側板2の上部に装着して、カバー部材31の工具操作窓部31fを介してロック部材37を図7に実線で示した状態から細い二点鎖線で示したように90度回動させて中間部材33の孔部33cに落とし込むことにより、コイルバネ34,34の初期の圧縮状態を解除して、コイルバネ34,34が適切な伸張状態となることにより、収納棚1と補強板7ひいては天井面Yとの間で良好な付勢力が確保されたのちに、例えば収納棚1の大きな沈み込みが生じた場合を示しており、沈み込んだ側板2に固定されたベース部材32と天井面Yに固定された補強板7つまりカバー部材31ひいては中間部材33との間で、コイルバネ34,34が限界まで伸張している。
【0054】
この限界の伸張状態は、孔部33a,33aを介して中間部材33を貫通するバネ軸35,35に設けられた大径の中間部35b,35bが中間部材33に上方から当接することで実現されるものであり、中間部35b,35bが、図8及び図9に示した初期の圧縮状態における位置から図10及び図11に示した限界の伸張状態における位置の間、例えば図10及び図11に細い二点鎖線で示す位置にあれば、コイルバネ34,34はカバー部材31の上面31aを補強板7に良好に押し付ける。その場合、バネ軸35の中間部35bと中間部材33とは、ベース部材32がカバー部材31の両側面31b,31b下端の所定量上方位置より下方に突出しないように当接する。なお、収納棚1の沈み込みに伴い、ベース部材32に立設されたバネ軸35,35の頭部35c,35cは、補強板7の孔部7a,7a内でカバー部材31側に若干退避している。
【0055】
そして、限界の伸張状態では、図10及び図11に示すように、矢印b方向から見たときに、ベース部材32の上方に向く折曲部32a,32aの上縁が蓋部材38,38の下縁に対して所定の隙間βを空けて下方に位置するように、一方、初期の圧縮状態では、図8及び図9に示すように、矢印b方向から見たときに、折曲部32a,32aの上縁が蓋部材38,38で隠れるように、折曲部32aや蓋部材38の寸法、及びバネ軸35における中間部35bの配設位置等が設定されている。
【0056】
なお、転倒防止装置8は、各側板2に加えて各仕切板3の上端部にも装着されるが、事情は前述した側板2におけると同じであるため、説明及び図示を省略する。
【0057】
ここで、収納棚1の設置手順の一例について説明する。なお、収納棚1は、側板2,2、仕切板3,3、棚板4…4,アジャスタ脚5…5等に解体されて現場に搬入される。
【0058】
まず、各側板2及び各仕切板3の突出部に、図8及び図9に示したコイルバネ34,34がロック状態つまり初期の圧縮状態とされた転倒防止装置8をねじZ1,Z1で固定する。このように、工場から施工現場にコイルバネ34,34が初期の圧縮状態とされた転倒防止装置8を持ち込み可能であるので、作業性の向上を図ることができると共に、現場に伸張したバネ部材を設置したのちこれを圧縮するような、施工者の力加減に左右されるものではないので、常に安定して初期の良好な突っ張り力を確保することができる。
【0059】
次いで、各側板2及び各仕切板3の下面にアジャスタ脚5,5を取り付ける。すなわち、アジャスタ脚5,5に平ワッシャ17,17を挿通した上で、各側板2及び各仕切板3の下面から台座13,13の底部16,16の底面までの距離が所定長となるように、ねじ軸12,12を筒状部材11,11にねじ込む。このとき、ロックナット14を台座13寄りに位置させておく。
【0060】
そして、天井面Yに両面粘着テープを介して補強板7を貼り付けて補強する。この取り付けに両面粘着テープを用いることにより、ねじや釘を用いた場合のように天井面Yに傷が残ることはなく、また、天井面Yがねじや釘の効かない素材であったり、ねじや釘の使用が許されないような場合にも取り付けが可能となる。なお、天井面Yが強度的に十分強い場合には、補強板7を省略してもよい。
【0061】
次いで、各側板2及び各仕切板3を床面X上の予定位置に設置するわけであるが、従来の設置方法によれば、例えば、(1)床面Xに脚受け部材6を配設し、(2)脚受け部材6の上方に各側板2及び各仕切板3を持ち上げながら移動させ、(3)この持ち上げた状態でアジャスタ脚5,5の台座13,13の底部16,16と脚受け部材6の凹部21a,21aとを位置合せし、(4)この位置合せした状態で各側板2及び各仕切板3を降ろして脚受け部材6の凹部21aにアジャスタ脚5,5の台座13,13の底部16,16を嵌め込み、(5)アジャスタ脚5,5により各側板2及び各仕切板3の高さ調整及び垂直調整を行なうという多くの手順を踏むこととなるが、特に上記(3)、(4)の作業は、重量物である各側板2及び各仕切板3を持ち上げながら微調整が必要な繊細なものであり、作業性が非常に悪い。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、図6に示すように、各側板2及び各仕切板3の設置前に、脚受け部材6をアジャスタ脚5,5に予め貼り付けるようにしている。詳しくは、各アジャスタ脚5の台座13の底部16に各脚受け部材6の板状剛性部材21の凹部21aを嵌め込んで両面粘着テープ26により貼り付けるようにしている。これによれば、設置に際しては、脚受け部材6をアジャスタ脚5,5に貼り付けた状態の各側板2及び各仕切板3を設置予定位置に移動させるだけでよくなり、現場での作業性が飛躍的に向上する。なお、両面粘着テープ26は脚受け部材6の製造時に貼り付けておいてもよいし、施工現場で貼り付けてもよく、あるいは、アジャスタ脚5の台座13の底部16下面に予め貼り付けておいてもよい。
【0063】
次いで、各側板2及び各仕切板3の上部に装着された転倒防止装置8のカバー部材31の上面31aから突出するバネ軸35,35の頭部35c,35cが補強板7の孔部7a,7aに嵌り込むように各側板2及び各仕切板3を立てる。そして、アジャスタ脚5,5の各側板2及び各仕切板3へのねじ込み量を調節して上記カバー部材31の上面31aを補強板7に当接させると共に、各側板2及び各仕切板3の垂直を調整したのち、ロックナット14を締める。
【0064】
このようにして各側板2及び各仕切板3を垂直に立て、互いに隣接する一対の側板2と仕切板3との間や一対の仕切板3,3間に棚板4…4を設置した上で、アジャスタ脚5…5の側板2,2及び仕切板3,3へのねじ込み量を加減して収納棚1全体の水平垂直を調整したのち、例えば手回しドライバによって転倒防止装置8の工具操作窓部31fを介してロック部材37を90度回動させて所定の向きにしてこれを中間部材33の孔部33cに落とし込ませ、ロック状態を解除してコイルバネ34,34を伸張状態とさせる。その結果、図8及び図9に矢印a及び細い二点鎖線で示したように、コイルバネ34,34は、側板2及び仕切板3の突出部上面に固定されたベース部材32に対して中間部材33ひいてはカバー部材31の上面31aを補強板7ひいては天井面Yに押し付けるようになり、この転倒防止装置8は、収納棚1と天井面Yとの間で突っ張るようになる。
【0065】
そして、カバー部材31の両端部に蓋部材38,38を嵌め込み、図8に示したように矢印b方向から見たときに、蓋部材38,38の下縁とベース部材32の折曲部32a,32aの上縁との間に隙間βが観察されなければ、コイルバネ34,34の付勢力が良好に確保されていることを意味するので、設置作業を終了する。なお、隙間βが観察された場合には、該隙間βが観察されなくなるまでベース部材32つまりは側板2及び仕切板3の突出部上面を上方に移動させるべく、アジャスタ脚5のねじ込み量を調整すればよい。
【0066】
ここで、設置後の収納棚1に対する安定性試験を行なった結果について説明する。
【0067】
まず、図12に示すように、下部と床面Xとの間をアジャスタ脚5…5を介して脚受け部材6…6で、上部と天井面Yとの間を補強板7を介して転倒防止装置8…8で支持された収納棚1の棚板4…4に、1平方メートル当り200kgの荷重を載荷する。そして、この状態の収納棚1の重心O付近を、載荷したトータル荷重の60%の力で矢印cで示すように水平方向に引っ張った。その結果、この収納棚1は転倒しなく、また、収納棚1のずれや各部の損傷等の異常も見当たらなく、本発明の効果が実証された。
【0068】
次に、図13に示すように、同様に下部と床面Xとの間をアジャスタ脚5…5を介して脚受け部材6…6で、上部と天井面Yとの間を補強板7を介して転倒防止装置8…8で支持された収納棚1の正面視略中央付近の仕切板3に対して、1000mm長のロープに取り付けられた15kgの錘Wを床面Xからの高さが1200mmとなるように吊下げた上で、二点鎖線で示す45°の位置から衝突させることにより、衝撃荷重を加えた。これを5回繰り返して行なった結果、この収納棚1は転倒しなく、また、収納棚1のずれや各部の損傷等の異常も見当たらなく、この場合にも本発明の効果が実証された。
【0069】
以上のように構成したことにより、まず、収納棚1と床面Xとの間及び収納棚1と天井面Yとの間にそれぞれ板状弾性部材22及びコイルバネ34を備えた支持装置としての脚受け部材6及び転倒防止装置8を介在させるので、地震等の振動を上下両側で分担して効果的に吸収して、この収納棚1の転倒防止を図ることができる。しかも、床面X及び天井面Yの不陸があったり収納物の重量による収納棚1の沈み込みが生じたとしても、上下のコイルバネ34及び板状弾性部材22がこれらを吸収して対処可能となる。
【0070】
次に、上下の支持装置である転倒防止装置8と脚受け部材6とを収納棚1において上下方向の剛性の高い側板2の上端部及び下端部に配設するので、上下のコイルバネ34及び板状弾性部材22による付勢力が一層効果的に発揮されて、転倒防止効果が増強される。
【0071】
また、下部の支持装置である脚受け部材6では、板状剛性部材21が複数のアジャスタ脚5…5を介して負荷される荷重を確実に受けた上で、板状弾性部材22が振動を吸収すると共に床面Xの不陸に沿って変形して不陸の問題を効果的に解消することができる。さらに、板状剛性部材21と板状弾性部材22とが協働して負荷される荷重を局所に集中させることなく床面Xの広い範囲に分散するので、床面Xにたわみや凹み等の不具合が生じることがない。
【0072】
また、床面Xに不陸がある場合、板状弾性部材22がこの不陸に沿って変形することに伴い、シート状滑り止め部材23が床面Xに隙間なく密着するようになる。したがって、下部の支持装置である脚受け部材6を床面Xにねじ止めしなくても地震等の振動によって滑ったりずれたりすることがなく、もって施工時の作業性を向上すると共に床面Xを傷付けることがない。
【0073】
また、収納棚1の下端部の脚をアジャスタ脚5とすることにより、収納棚1の上面と天井面Yとの間の間隔を変更することができ、もって両者間に介在する上部の支持装置である転倒防止装置8の付勢力を綿密に調節可能となる。
【0074】
一方、上部の支持装置である転倒防止装置8では、天井面Yに当接するカバー部材31と収納棚1の上面に当接するベース部材32との間にコイルバネ34を介在させているので、この転倒防止装置8は収納棚1と天井面Yとの間で突っ張り、収納棚1の転倒防止を図ることができると共に、天井面Yの不陸があったり収納物の重量による収納棚1の沈み込みが生じたとしても、コイルバネ34の付勢力によって良好な突っ張り性を維持することができる。
【0075】
また、上部の支持装置である転倒防止装置8のカバー部材31を側板2の突出部に両側から係合させることにより、このカバー部材31でベース部材32やコイルバネ34を覆うことが可能で、設置後の見栄えが向上する。
【0076】
そして、上部の支持装置である転倒防止装置8のバネ軸35の頭部35cと天井面Y側の補強板7の孔部7aとの係合により、地震等の振動発生時にもこの転倒防止装置8を所定の位置にずれることなく安定的に配設可能となり、一段と良好に収納棚1の転倒防止を図ることができる。
【0077】
なお、本発明は、具体的に詳述した上記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。
【0078】
まず、上記実施の形態では、脚受け部材6の各部材21〜23の厚さ等について具体的数値を挙げて説明したが、各数値は一例であり、脚受け部材6上に載置される収納家具の寸法、重量に応じて適宜設定すればよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、脚受け部材6の板状剛性部材21に木材を用いたが、これに代えてステンレス材を用いてもよい。その場合には、厚さ15mmの上記板状剛性部材21と同程度の剛性を例えば厚さ3mmのステンレス材で確保することができる。
【0080】
また、上記実施の形態では、脚受け部材6の板状剛性部材21の上面にアジャスタ脚5を受ける凹部21aを一体に設けていたが、これに代えて、前述したステンレス材の板状剛性部材の上面に、同じステンレス材でなる平面視円形の貫通孔が形成された厚さ1mmの補助プレートを別体に貼り合せた構成としてもよい。その場合には、この補助プレートの貼り付け位置を適宜変更することにより、アジャスタ脚5の多様な配置に容易に対応可能となる。
【0081】
また、上記実施の形態では、2つのアジャスタ脚5,5を受ける脚受け部材6について説明したが、3つ以上のアジャスタ脚5…5を受ける脚受け部材についても適用可能である。また、平面視の形状は、長方形状に限定されるものではなく、収納家具の荷重が適切に分散できる形状であればかまわない。
【0082】
また、上記実施の形態では、一つの転倒防止装置8につき各一対のコイルバネ34,34とバネ軸35,35とを備えたが、これらをさらに増設してもよいし、逆に、例えば奥行きの狭い収納棚では、長さの短いカバー部材を用いた転倒防止装置とし、併せてコイルバネ34とバネ軸35とをそれぞれ一つ備えた構成としてもよい。
【0083】
そして、上記実施の形態では、バネ軸35の頭部35cがカバー部材31の上面31aから突出してピン部材を構成していたが、バネ軸とピン部材とをそれぞれ別体として設けてもよいし、ピン部材を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明によれば、床面及び天井面の不陸や収納物の重量による収納家具の沈み込みに対処しつつ、上下両側から収納家具の転倒防止を図ることができるシステムが提供される。すなわち、本発明は、収納家具の転倒防止を図るシステムに関し、家具の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態に係る収納棚の正面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】収納棚のアジャスタ脚付近の拡大図である。
【図4】脚受け部材の平面図である。
【図5】同じく側面図である。
【図6】図5のII−II線による拡大断面図である。
【図7】転倒防止装置の一部を破断した平面図である。
【図8】図7のIII−III線による断面図である。
【図9】図8のIV−IV線による断面図である。
【図10】コイルバネが限界まで伸張した状態を示す図8に相当する断面図である。
【図11】図10のVI−VI線による断面図である。
【図12】収納棚の安定性試験を説明するための側面図である。
【図13】収納棚の別なる安定性試験を説明するための側面図である。
【図14】従来の転倒防止装置の設置状態を示す一部を破断した側面図である。
【図15】従来の別なる転倒防止装置の設置状態を示す一部を破断した正面図である。
【図16】従来の転倒防止部材の設置状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 収納棚(収納家具)
2 側板
5 アジャスタ脚(脚)
6 脚受け部材(下部の支持装置)
7a 孔部
8 転倒防止装置(上部の支持装置)
21 板状剛性部材
22 板状弾性部材
23 シート状滑り止め部材
31 カバー部材(上部部材)
32 ベース部材(下部部材)
34 コイルバネ(弾性部材、バネ部材)
35 バネ軸(ピン部材)
X 床面
Y 天井面
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納家具の転倒防止を図るシステムに関し、家具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面に載置される収納家具の転倒防止を図るため、該家具と天井面や床面との間に転倒防止装置や部材を設置することがあり、これらには例えば特許文献1〜3に記載のものがある。
【0003】
まず、図14に示すように、特許文献1に記載の装置AはタンスB1と該タンスB1上に設置される収納ボックスB2の転倒防止を図るためのもので、収納ボックスB2の下部にねじ込まれる一対のアジャスタ脚A1,A1と、該アジャスタ脚A1,A1を受ける細長い脚受け部材A2と、該脚受け部材A2とタンスB1上面との間に挟み込まれる滑り止め部材A3,A3とを有している。なお、滑り止め部材A3は、収納ボックスB2上面と天井面Yとの間にも配設されている。
【0004】
そして、収納ボックスB2に対する各アジャスタ脚A1のねじ込み量を調節することにより、各アジャスタ脚A1はタンスB1と収納ボックスB2ひいては天井面Yとの間で突っ張り、タンスB1及び収納ボックスB2の転倒防止を図ることができるようになる。
【0005】
また、図15に示すように、特許文献2に記載の装置Cは床面Xに載置された収納庫Dの転倒防止を図るためのもので、天井面Yにあてがう滑り止め用のプレートC1と、該プレートC1に結合された例えばゴム製筒状のバネ材C2と、該バネ材C2の内方に設けられて該バネ材C2を伸張状態から圧縮状態とするときに操作するシャフトC3と、上記バネ材C2を圧縮状態に保持すると共にその状態を解除するときに操作するストッパC4と、これらを収納庫Dの上面に取り付けるための取付台C5とを有している。
【0006】
そして、バネ材C2が圧縮状態とされた2つの装置C,Cを収納庫Dと天井面Yとの間に設置したのち、取付台C5の側部に設けられた図示しない窓部を介してストッパC4を操作してバネ材C2を圧縮状態から伸張状態とすることにより、プレートC1は天井面Yに押し付けられる。すなわち、これらの装置C,Cは収納庫Dと天井面Yとの間で突っ張り、収納庫Dの転倒防止を図ることができる。また、これらの装置C,Cによれば、天井面Yの不陸があったとしてもこの不具合を吸収して突っ張ることができ、さらに、収納物の重量による収納庫Dの沈み込みが生じたとしてもバネ材C2の付勢力によってプレートC1は天井面Yに押し付けられて、転倒防止機能が持続されるようになる。
【0007】
さらに、図16に示すように、特許文献3に記載の部材Eは収納家具Fを載置してその転倒防止を図るためのもので、ブロック状の第1弾性部材E1と、該第1弾性部材E1の下部に設けられた中空部に嵌合された柔軟な第2弾性部材E2とを有し、また、収納家具Fが載置される上面に両面粘着テープE3が、床面Xに接する下面に滑り止め部材E4がそれぞれ設けられている。
【0008】
そして、この部材E上に収納家具Fを載置することにより、第1及び第2弾性部材E1,E2を介して振動を吸収すると共に、両面粘着テープE3及び滑り止め部材E4を介して収納家具Fを床面Xの所定位置に安定的に設置することができるようになる。
【0009】
【特許文献1】登録実用新案公報第3019415号公報
【特許文献2】特開2000−336811号公報
【特許文献3】特開平9−144809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載の装置Aは、タンスB1と収納ボックスB2との間で剛性体として突っ張るものであるため、振動が直接的にタンスB1や収納ボックスB2に伝達されて転倒防止効果は不十分である。また、収納物の重量によるタンスB1や収納ボックスB2の沈み込みが生じた場合には、各アジャスタ脚A1のねじ込み量を再調節しなければならず、保守は面倒である。さらに、脚受け部材A2が剛性の高いもので、これを例えば不陸のある床面側あるいは天井面Y側に配設する場合には、脚受け部材A2は床面側あるいは天井面Y側の不陸箇所と局所的に接触することになり、その結果、脚受け部材A2がすべったり、支持する荷重が局所に集中して床面や天井面Yにたわみや凹み等が生じたりするおそれがある。
【0011】
また、特許文献2に記載の装置Cでは、床面Xからの振動が直接的に収納庫Dに伝達されることは避けられなく、この場合にも転倒防止効果は不十分である。また、床面Xの不陸を吸収することができる構成ではない。
【0012】
一方、特許文献3に記載の部材Eでは、収納家具Fの下側つまり床面X側で振動を吸収して転倒防止を図ることができるものの、上側つまり天井面側はフリーであるため、地震等の大きな振動に対処するにはやはり不十分である。
【0013】
そこで、本発明は、床面及び天井面の不陸や収納物の重量による収納家具の沈み込みに対処しつつ、上下両側から収納家具の転倒防止を図ることができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0015】
まず、請求項1に記載の発明は、床面に載置される収納家具の転倒を防止するシステムであって、上記収納家具の下部と床面との間及び上記収納家具の上部と天井面との間にそれぞれ介在される支持装置を有し、かつこれらの支持装置は弾性部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、収納家具は側板を有しており、下部の支持装置は上記側板の下端部と床面との間、上部の支持装置は上記側板の上端部と天井面との間に設けられることを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の発明において、収納家具は複数の脚を有しており、下部の支持装置は、上記脚を受ける剛性部材と、該剛性部材の下面に設けられた弾性部材とを有していることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、弾性部材の下面の床面に接する面に、滑り止め部材が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項3または請求項4に記載の発明において、脚はアジャスタ脚であることを特徴とする。
【0020】
一方、請求項6に記載の発明は、上記請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、上部の支持装置は、天井面に当接する上部部材と、収納家具の上面に当接する下部部材と、両部材間に介在するバネ部材とを有していることを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、上記請求項6に記載の発明において、収納家具の側板は上方に突出しており、上部の支持装置の上部部材は、上記側板の突出部に両側から係合することを特徴とする。
【0022】
そして、請求項8に記載の発明は、上記請求項6または請求項7に記載の発明において、上部部材から上方に突出するピン部材が備えられていると共に、天井面側に上記ピン部材が係合する孔部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
まず、請求項1に記載の発明によれば、収納家具と床面との間及び収納家具と天井面との間にそれぞれ弾性部材を備えた支持装置を介在させるので、地震等の振動を上下両側で分担して効果的に吸収して、この収納家具の転倒防止を図ることができる。しかも、いずれも弾性部材を備えた支持装置であるため、床面及び天井面の不陸があったり収納物の重量による収納家具の沈み込みが生じたとしても、上下の弾性部材がこれらを吸収して対処可能となる。
【0024】
次に、請求項2に記載の発明によれば、上下の支持装置を収納家具において上下方向の剛性の高い側板の上端部及び下端部に配設するので、上下の弾性部材による付勢力が一層効果的に発揮されて、転倒防止効果が増強される。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、下部の支持装置の構成が具体化される。すなわち、剛性部材が複数の脚を介して負荷される荷重を確実に受けた上で、弾性部材が振動を吸収すると共に床面の不陸に沿って変形して不陸の問題を効果的に解消することができる。さらに、剛性部材と弾性部材とが協働して負荷される荷重を局所に集中させることなく床面の広い範囲に分散するので、床面にたわみや凹み等の不具合が生じることがない。
【0026】
また、請求項4に記載の発明によれば、床面に不陸がある場合、弾性部材がこの不陸に沿って変形することに伴い、滑り止め部材が床面に隙間なく密着するようになる。したがって、下部の支持装置を床面にねじ止めしなくても地震等の振動によって滑ったりずれたりすることがなく、もって施工時の作業性を向上すると共に床面を傷付けることがない。
【0027】
また、請求項5に記載の発明によれば、脚をアジャスタ脚とすることにより、収納家具の上面と天井面との間の間隔を変更することができ、もって両者間に介在する上部の支持装置の付勢力を綿密に調節可能となる。
【0028】
一方、請求項6に記載の発明によれば、上部の支持装置の構成が具体化される。すなわち、天井面に当接する上部部材と収納家具の上面に当接する下部部材との間にバネ部材を介在させているので、この支持装置は収納家具と天井面との間で突っ張り、収納家具の転倒防止を図ることができると共に、天井面の不陸があったり収納物の重量による収納家具の沈み込みが生じたとしても、バネ部材の付勢力によって良好な突っ張り性を維持することができる。
【0029】
また、請求項7に記載の発明によれば、上部の支持装置の上部部材を側板の突出部に両側から係合させることにより、この上部部材で下部部材やバネ部材を覆うことが可能で、設置後の見栄えが向上する。
【0030】
そして、請求項8に記載の発明によれば、上部の支持装置のピン部材と天井面側の孔部との係合により、地震等の振動発生時にもこの支持装置を所定の位置にずれることなく安定的に配設可能となり、一段と良好に収納家具の転倒防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
すなわち、図1及び図2に示すように、本発明に係る収納棚1は、上方に突出する左右両側の側板2,2及び中間の2つの仕切板3,3と、複数の棚板4…4とを有し、多数の収納空間が形成されている。また、この収納棚1は複数のアジャスタ脚5…5を備えており、床面Xに該アジャスタ脚5…5を受ける複数の下部支持装置としての脚受け部材6…6を介して設置されている。そして、この収納棚1の上部と天井面Yとの間に、補強板7を介して複数の上部支持装置としての転倒防止装置8…8が装着されている。
【0033】
図3に示すように、アジャスタ脚5は、側板2の下端部に設けられた垂直穴2aに圧入されて内面に雌ねじ部を有するナット状の筒状部材11と、該筒状部材11の雌ねじ部に螺合されたねじ軸12と、該ねじ軸12の下部に組み付けられた台座13と、該ねじ軸12に螺合されたロックナット14とを有している。
【0034】
ねじ軸12には、上から順に、雄ねじ部12a、雄ねじ部12aの径より大径でナット形状の操作部12b、雄ねじ部12aの径より小径の中径部12c、該中径部12cより小径の小径部12d、該小径部12dより大径の抜け止め部12eが形成されている。また、中径部12cの周面は一部切り欠かれて平面部12fが設けられている。
【0035】
台座13は、ねじ軸12の中径部12cとほぼ同形状の開口15aが上面に設けられたカバー15と、ドーナッツ状の弾性体でなる底部16とを有し、カバー15の開口15aが上記ねじ軸12の中径部12cに嵌められていると共に、底部16が上記小径部12dに嵌められている。これによれば、ねじ軸12の操作部12bを操作してねじ軸12を回転させると、台座13のカバー15が一緒に回転するが、底部16は後述する脚受け部材6との抵抗により回転することがない。
【0036】
ここで、カバー15の開口15aは、ねじ軸12の中径部12cより若干大きくされ、遊びが設けられている。これによれば、床面Xの傾きにより脚受け部材6が水平でないような場合でも、アジャスタ脚5の台座13が床面Xに沿って傾き、底部16の下面が以下説明する脚受け部材6の円形凹部21aの底面に良好に密着することとなる。
【0037】
なお、各側板2の底部とロックナット14との間には、該ロックナット14が収納棚1の重量により側板2の底部にめり込むのを防止することを目的として、該ロックナット14の径より大径の平ワッシャ17が介設されている。
【0038】
図4〜図6に示すように、脚受け部材6は、上記アジャスタ脚5,5の台座13,13の底部16,16が嵌められる円形凹部21a,21aが上面の両端側に設けられた板状剛性部材21と、該板状剛性部材21の下面に貼り合わされた板状弾性部材22と、該板状弾性部材22の下面の床面Xに接する面に貼り合わされたシート状滑り止め部材23とを有している。
【0039】
板状剛性部材21は長さ約30cm、幅約4cm、厚さ15mmの木材である。また、凹部21aの半径はアジャスタ脚5の台座13の底部16の半径よりも1mm大きくされている。また、凹部21aの深さは、図3に示すように、上記アジャスタ脚5の台座13のカバー15の下端と該板状剛性部材21の上面とが干渉しないように、これらの間に隙間αが生じる深さに設定されている。具体的には、この例においては、凹部21aの深さは1mmで、隙間αは1mmとされている。
【0040】
板状弾性部材22は、厚さ1.6mmのウレタン発泡材であり、地震発生時の振動吸収や、シート状滑り止め部材23の床面Xへの密着性確保等を目的として設けられている。
【0041】
シート状滑り止め部材23は、厚さ0.23mmのシリコンゴムで形成されており、床面Xに対する滑り止めを目的として設けられている。また、シリコンゴムであるので、汚れが付着しにくい性質を有している。
【0042】
ここで、板状剛性部材21と板状弾性部材22との貼り合せ、及び板状弾性部材22とシート状滑り止め部材23との貼り合せには、接着剤や両面粘着テープを用いることができる。本実施の形態においては、板状剛性部材21と板状弾性部材22との貼り合わせには基材の両面にアクリル系粘着剤の塗布された両面粘着テープ24を用い、板状弾性部材22とシート状滑り止め部材23との貼り合わせには基材の両面にゴム系粘着剤の塗布された両面粘着テープ25を用いている。そして、アジャスタ脚5の台座13の底部16と板状剛性部材21の凹部21aとは、基材の両面にアクリル系粘着剤の塗布された両面粘着テープ26を介して結合されるようになっている。
【0043】
なお、アジャスタ脚5及び脚受け部材6は、各側板2に加えて各仕切板3の下端部にも取り付けられるが、事情は前述した側板2におけると同じであるので、説明及び図示を省略する。
【0044】
図7〜図9に示すように、転倒防止装置8は、収納棚1に設けられた側板2の突出部と天井面Yとの間に、天井面Yに図示しない両面粘着テープで貼り付けられた収納棚1の幅方向に長い補強板7を介して設置される。そして、この転倒防止装置8は、カバー部材31、ベース部材32、中間部材33、一対のコイルバネ34,34、同じく一対のバネ軸35,35、支軸36、ロック部材37、及び一対の蓋部材38,38を有している。なお、図8及び図9は施工途中の状態つまりコイルバネ34,34が初期の圧縮状態の場合を示すもので、補強板7と転倒防止装置8との間に若干の隙間が形成されているが、施工後にはカバー部材31は矢印a及び細い二点鎖線で示すように補強板7に押し付けられるようになる。
【0045】
カバー部材31はアルミニウム製で、施工後に補強板7に当接することになる上面31aと側板2の突出部に両側から係合する両側面31b,31bとを有するチャンネル状とされている。また、上面31aには、バネ軸35,35の上部が突出可能に孔部31c,31cが設けられている。
【0046】
ベース部材32はスチール製で、カバー部材31内に収容されて側板2の突出部上面に当接するもので、長手方向の両端に上方に向く折曲部32a,32aと、長手方向に沿った両側に下方に向く折曲部32b,32bとを有している。なお、後者の折曲部32b,32bは、この転倒防止装置8を側板2の突出部に設置するときに、該側板2を両側から抱き込むガイド機能を備えている。
【0047】
また、ベース部材32の長手方向の両端近傍には、この転倒防止装置8を側板2の突出部上面にねじZ1,Z1を用いて固定するためのねじ孔部32c,32cが設けられており、一方、カバー部材31の上面31aには、上記ねじ孔部32c,32cに対応する箇所に、ねじ止め用の電動ドライバ等の工具を操作可能に工具操作窓部31d,31dが設けられている。なお、カバー部材31の上面31aには、この転倒防止装置8を補強板7にねじZ2,Z2を用いて固定する場合に利用されるねじ孔部(図7及び図8に一方のみ示す)31e,31eが設けられている。
【0048】
中間部材33はスチール製かつ略チャンネル状のもので、カバー部材31の上面31aの直下にビス39…39で固定されており、バネ軸35,35が貫通する孔部33a,33aが設けられている。また、中間部材33の長手方向の両端には、ベース部材32を側板2にねじ止めするときに、その作業を可能とするための切欠部33b,33bが設けられている。
【0049】
コイルバネ34,34はベース部材32をカバー部材31内で下方に付勢するもので、ベース部材32と中間部材33との間に介装されている。その場合、各コイルバネ34の上部は、樹脂製のバネ受け部材40で受けられている。
【0050】
バネ軸35,35はベース部材32に長手方向に所定の間隔を置いて立設されており、コイルバネ34,34に挿入されてこれらを支持する。各バネ軸35は、ベース部材32から延びる最も小径の基部35aと最も大径の中間部35bと中間径の頭部35cとで構成されている。その場合、中間部35bは、中間部材33に設けられた孔部33aより上方に設けられていると共に該孔部33aよりも径が大きく設定されている。頭部35cは、カバー部材31の上面31aの孔部31cから突出して補強板7に設けられた孔部7aに嵌り込むもので、面取りされている。
【0051】
支軸36は、一対のコイルバネ34,34に挟まれてベース部材32に立設されており、その上部に水平面内で回動する樹脂製の細長いロック部材37が設けられている。一方、中間部材32には、このロック部材37に対応する箇所に該ロック部材37を図7に細い二点鎖線で示す所定の向きにおいてのみ挿通可能とする平面視略矩形の孔部33cが設けられており、ロック部材37と中間部材33の孔部33cとにより、コイルバネ34,34を圧縮状態としてカバー部材31の上面31aとベース部材32とを接近させた状態でロックするロック機構が構成される。また、ロック部材37の下部は所定の形状に切り欠かれている。そして、カバー部材31の両側面31b,31bに、上記ロック部材37を回動させるための手回しドライバ等の工具を操作可能に工具操作窓部31f,31fが設けられている。
【0052】
蓋部材38,38はカバー部材31の両端部の開口を覆う樹脂製のもので、着脱可能に備えられている。すなわち、各蓋部材38には、カバー部材31内方に略板状に延びる各一対の上部係合部38a,38aと、一部スリットされて断面が略ロ字様に延びる下部係合部38b,38bとが設けられており、一方、カバー部材31の上面31aには、上部係合部38a,38aの先端近傍の突起が嵌り込む係合孔部31g…31gが、カバー部材31の両側面31b,31bには、下部係合部38b,38bが係合する長手方向に沿って延びるレール部31h,31hが設けられている。
【0053】
そして、図10及び図11に、付勢力が所望の値の下限に低下するまでコイルバネ34,34が伸張した状態の転倒防止装置8を示している。すなわち、これは転倒防止装置8を収納棚1の側板2の上部に装着して、カバー部材31の工具操作窓部31fを介してロック部材37を図7に実線で示した状態から細い二点鎖線で示したように90度回動させて中間部材33の孔部33cに落とし込むことにより、コイルバネ34,34の初期の圧縮状態を解除して、コイルバネ34,34が適切な伸張状態となることにより、収納棚1と補強板7ひいては天井面Yとの間で良好な付勢力が確保されたのちに、例えば収納棚1の大きな沈み込みが生じた場合を示しており、沈み込んだ側板2に固定されたベース部材32と天井面Yに固定された補強板7つまりカバー部材31ひいては中間部材33との間で、コイルバネ34,34が限界まで伸張している。
【0054】
この限界の伸張状態は、孔部33a,33aを介して中間部材33を貫通するバネ軸35,35に設けられた大径の中間部35b,35bが中間部材33に上方から当接することで実現されるものであり、中間部35b,35bが、図8及び図9に示した初期の圧縮状態における位置から図10及び図11に示した限界の伸張状態における位置の間、例えば図10及び図11に細い二点鎖線で示す位置にあれば、コイルバネ34,34はカバー部材31の上面31aを補強板7に良好に押し付ける。その場合、バネ軸35の中間部35bと中間部材33とは、ベース部材32がカバー部材31の両側面31b,31b下端の所定量上方位置より下方に突出しないように当接する。なお、収納棚1の沈み込みに伴い、ベース部材32に立設されたバネ軸35,35の頭部35c,35cは、補強板7の孔部7a,7a内でカバー部材31側に若干退避している。
【0055】
そして、限界の伸張状態では、図10及び図11に示すように、矢印b方向から見たときに、ベース部材32の上方に向く折曲部32a,32aの上縁が蓋部材38,38の下縁に対して所定の隙間βを空けて下方に位置するように、一方、初期の圧縮状態では、図8及び図9に示すように、矢印b方向から見たときに、折曲部32a,32aの上縁が蓋部材38,38で隠れるように、折曲部32aや蓋部材38の寸法、及びバネ軸35における中間部35bの配設位置等が設定されている。
【0056】
なお、転倒防止装置8は、各側板2に加えて各仕切板3の上端部にも装着されるが、事情は前述した側板2におけると同じであるため、説明及び図示を省略する。
【0057】
ここで、収納棚1の設置手順の一例について説明する。なお、収納棚1は、側板2,2、仕切板3,3、棚板4…4,アジャスタ脚5…5等に解体されて現場に搬入される。
【0058】
まず、各側板2及び各仕切板3の突出部に、図8及び図9に示したコイルバネ34,34がロック状態つまり初期の圧縮状態とされた転倒防止装置8をねじZ1,Z1で固定する。このように、工場から施工現場にコイルバネ34,34が初期の圧縮状態とされた転倒防止装置8を持ち込み可能であるので、作業性の向上を図ることができると共に、現場に伸張したバネ部材を設置したのちこれを圧縮するような、施工者の力加減に左右されるものではないので、常に安定して初期の良好な突っ張り力を確保することができる。
【0059】
次いで、各側板2及び各仕切板3の下面にアジャスタ脚5,5を取り付ける。すなわち、アジャスタ脚5,5に平ワッシャ17,17を挿通した上で、各側板2及び各仕切板3の下面から台座13,13の底部16,16の底面までの距離が所定長となるように、ねじ軸12,12を筒状部材11,11にねじ込む。このとき、ロックナット14を台座13寄りに位置させておく。
【0060】
そして、天井面Yに両面粘着テープを介して補強板7を貼り付けて補強する。この取り付けに両面粘着テープを用いることにより、ねじや釘を用いた場合のように天井面Yに傷が残ることはなく、また、天井面Yがねじや釘の効かない素材であったり、ねじや釘の使用が許されないような場合にも取り付けが可能となる。なお、天井面Yが強度的に十分強い場合には、補強板7を省略してもよい。
【0061】
次いで、各側板2及び各仕切板3を床面X上の予定位置に設置するわけであるが、従来の設置方法によれば、例えば、(1)床面Xに脚受け部材6を配設し、(2)脚受け部材6の上方に各側板2及び各仕切板3を持ち上げながら移動させ、(3)この持ち上げた状態でアジャスタ脚5,5の台座13,13の底部16,16と脚受け部材6の凹部21a,21aとを位置合せし、(4)この位置合せした状態で各側板2及び各仕切板3を降ろして脚受け部材6の凹部21aにアジャスタ脚5,5の台座13,13の底部16,16を嵌め込み、(5)アジャスタ脚5,5により各側板2及び各仕切板3の高さ調整及び垂直調整を行なうという多くの手順を踏むこととなるが、特に上記(3)、(4)の作業は、重量物である各側板2及び各仕切板3を持ち上げながら微調整が必要な繊細なものであり、作業性が非常に悪い。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、図6に示すように、各側板2及び各仕切板3の設置前に、脚受け部材6をアジャスタ脚5,5に予め貼り付けるようにしている。詳しくは、各アジャスタ脚5の台座13の底部16に各脚受け部材6の板状剛性部材21の凹部21aを嵌め込んで両面粘着テープ26により貼り付けるようにしている。これによれば、設置に際しては、脚受け部材6をアジャスタ脚5,5に貼り付けた状態の各側板2及び各仕切板3を設置予定位置に移動させるだけでよくなり、現場での作業性が飛躍的に向上する。なお、両面粘着テープ26は脚受け部材6の製造時に貼り付けておいてもよいし、施工現場で貼り付けてもよく、あるいは、アジャスタ脚5の台座13の底部16下面に予め貼り付けておいてもよい。
【0063】
次いで、各側板2及び各仕切板3の上部に装着された転倒防止装置8のカバー部材31の上面31aから突出するバネ軸35,35の頭部35c,35cが補強板7の孔部7a,7aに嵌り込むように各側板2及び各仕切板3を立てる。そして、アジャスタ脚5,5の各側板2及び各仕切板3へのねじ込み量を調節して上記カバー部材31の上面31aを補強板7に当接させると共に、各側板2及び各仕切板3の垂直を調整したのち、ロックナット14を締める。
【0064】
このようにして各側板2及び各仕切板3を垂直に立て、互いに隣接する一対の側板2と仕切板3との間や一対の仕切板3,3間に棚板4…4を設置した上で、アジャスタ脚5…5の側板2,2及び仕切板3,3へのねじ込み量を加減して収納棚1全体の水平垂直を調整したのち、例えば手回しドライバによって転倒防止装置8の工具操作窓部31fを介してロック部材37を90度回動させて所定の向きにしてこれを中間部材33の孔部33cに落とし込ませ、ロック状態を解除してコイルバネ34,34を伸張状態とさせる。その結果、図8及び図9に矢印a及び細い二点鎖線で示したように、コイルバネ34,34は、側板2及び仕切板3の突出部上面に固定されたベース部材32に対して中間部材33ひいてはカバー部材31の上面31aを補強板7ひいては天井面Yに押し付けるようになり、この転倒防止装置8は、収納棚1と天井面Yとの間で突っ張るようになる。
【0065】
そして、カバー部材31の両端部に蓋部材38,38を嵌め込み、図8に示したように矢印b方向から見たときに、蓋部材38,38の下縁とベース部材32の折曲部32a,32aの上縁との間に隙間βが観察されなければ、コイルバネ34,34の付勢力が良好に確保されていることを意味するので、設置作業を終了する。なお、隙間βが観察された場合には、該隙間βが観察されなくなるまでベース部材32つまりは側板2及び仕切板3の突出部上面を上方に移動させるべく、アジャスタ脚5のねじ込み量を調整すればよい。
【0066】
ここで、設置後の収納棚1に対する安定性試験を行なった結果について説明する。
【0067】
まず、図12に示すように、下部と床面Xとの間をアジャスタ脚5…5を介して脚受け部材6…6で、上部と天井面Yとの間を補強板7を介して転倒防止装置8…8で支持された収納棚1の棚板4…4に、1平方メートル当り200kgの荷重を載荷する。そして、この状態の収納棚1の重心O付近を、載荷したトータル荷重の60%の力で矢印cで示すように水平方向に引っ張った。その結果、この収納棚1は転倒しなく、また、収納棚1のずれや各部の損傷等の異常も見当たらなく、本発明の効果が実証された。
【0068】
次に、図13に示すように、同様に下部と床面Xとの間をアジャスタ脚5…5を介して脚受け部材6…6で、上部と天井面Yとの間を補強板7を介して転倒防止装置8…8で支持された収納棚1の正面視略中央付近の仕切板3に対して、1000mm長のロープに取り付けられた15kgの錘Wを床面Xからの高さが1200mmとなるように吊下げた上で、二点鎖線で示す45°の位置から衝突させることにより、衝撃荷重を加えた。これを5回繰り返して行なった結果、この収納棚1は転倒しなく、また、収納棚1のずれや各部の損傷等の異常も見当たらなく、この場合にも本発明の効果が実証された。
【0069】
以上のように構成したことにより、まず、収納棚1と床面Xとの間及び収納棚1と天井面Yとの間にそれぞれ板状弾性部材22及びコイルバネ34を備えた支持装置としての脚受け部材6及び転倒防止装置8を介在させるので、地震等の振動を上下両側で分担して効果的に吸収して、この収納棚1の転倒防止を図ることができる。しかも、床面X及び天井面Yの不陸があったり収納物の重量による収納棚1の沈み込みが生じたとしても、上下のコイルバネ34及び板状弾性部材22がこれらを吸収して対処可能となる。
【0070】
次に、上下の支持装置である転倒防止装置8と脚受け部材6とを収納棚1において上下方向の剛性の高い側板2の上端部及び下端部に配設するので、上下のコイルバネ34及び板状弾性部材22による付勢力が一層効果的に発揮されて、転倒防止効果が増強される。
【0071】
また、下部の支持装置である脚受け部材6では、板状剛性部材21が複数のアジャスタ脚5…5を介して負荷される荷重を確実に受けた上で、板状弾性部材22が振動を吸収すると共に床面Xの不陸に沿って変形して不陸の問題を効果的に解消することができる。さらに、板状剛性部材21と板状弾性部材22とが協働して負荷される荷重を局所に集中させることなく床面Xの広い範囲に分散するので、床面Xにたわみや凹み等の不具合が生じることがない。
【0072】
また、床面Xに不陸がある場合、板状弾性部材22がこの不陸に沿って変形することに伴い、シート状滑り止め部材23が床面Xに隙間なく密着するようになる。したがって、下部の支持装置である脚受け部材6を床面Xにねじ止めしなくても地震等の振動によって滑ったりずれたりすることがなく、もって施工時の作業性を向上すると共に床面Xを傷付けることがない。
【0073】
また、収納棚1の下端部の脚をアジャスタ脚5とすることにより、収納棚1の上面と天井面Yとの間の間隔を変更することができ、もって両者間に介在する上部の支持装置である転倒防止装置8の付勢力を綿密に調節可能となる。
【0074】
一方、上部の支持装置である転倒防止装置8では、天井面Yに当接するカバー部材31と収納棚1の上面に当接するベース部材32との間にコイルバネ34を介在させているので、この転倒防止装置8は収納棚1と天井面Yとの間で突っ張り、収納棚1の転倒防止を図ることができると共に、天井面Yの不陸があったり収納物の重量による収納棚1の沈み込みが生じたとしても、コイルバネ34の付勢力によって良好な突っ張り性を維持することができる。
【0075】
また、上部の支持装置である転倒防止装置8のカバー部材31を側板2の突出部に両側から係合させることにより、このカバー部材31でベース部材32やコイルバネ34を覆うことが可能で、設置後の見栄えが向上する。
【0076】
そして、上部の支持装置である転倒防止装置8のバネ軸35の頭部35cと天井面Y側の補強板7の孔部7aとの係合により、地震等の振動発生時にもこの転倒防止装置8を所定の位置にずれることなく安定的に配設可能となり、一段と良好に収納棚1の転倒防止を図ることができる。
【0077】
なお、本発明は、具体的に詳述した上記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。
【0078】
まず、上記実施の形態では、脚受け部材6の各部材21〜23の厚さ等について具体的数値を挙げて説明したが、各数値は一例であり、脚受け部材6上に載置される収納家具の寸法、重量に応じて適宜設定すればよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、脚受け部材6の板状剛性部材21に木材を用いたが、これに代えてステンレス材を用いてもよい。その場合には、厚さ15mmの上記板状剛性部材21と同程度の剛性を例えば厚さ3mmのステンレス材で確保することができる。
【0080】
また、上記実施の形態では、脚受け部材6の板状剛性部材21の上面にアジャスタ脚5を受ける凹部21aを一体に設けていたが、これに代えて、前述したステンレス材の板状剛性部材の上面に、同じステンレス材でなる平面視円形の貫通孔が形成された厚さ1mmの補助プレートを別体に貼り合せた構成としてもよい。その場合には、この補助プレートの貼り付け位置を適宜変更することにより、アジャスタ脚5の多様な配置に容易に対応可能となる。
【0081】
また、上記実施の形態では、2つのアジャスタ脚5,5を受ける脚受け部材6について説明したが、3つ以上のアジャスタ脚5…5を受ける脚受け部材についても適用可能である。また、平面視の形状は、長方形状に限定されるものではなく、収納家具の荷重が適切に分散できる形状であればかまわない。
【0082】
また、上記実施の形態では、一つの転倒防止装置8につき各一対のコイルバネ34,34とバネ軸35,35とを備えたが、これらをさらに増設してもよいし、逆に、例えば奥行きの狭い収納棚では、長さの短いカバー部材を用いた転倒防止装置とし、併せてコイルバネ34とバネ軸35とをそれぞれ一つ備えた構成としてもよい。
【0083】
そして、上記実施の形態では、バネ軸35の頭部35cがカバー部材31の上面31aから突出してピン部材を構成していたが、バネ軸とピン部材とをそれぞれ別体として設けてもよいし、ピン部材を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明によれば、床面及び天井面の不陸や収納物の重量による収納家具の沈み込みに対処しつつ、上下両側から収納家具の転倒防止を図ることができるシステムが提供される。すなわち、本発明は、収納家具の転倒防止を図るシステムに関し、家具の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態に係る収納棚の正面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】収納棚のアジャスタ脚付近の拡大図である。
【図4】脚受け部材の平面図である。
【図5】同じく側面図である。
【図6】図5のII−II線による拡大断面図である。
【図7】転倒防止装置の一部を破断した平面図である。
【図8】図7のIII−III線による断面図である。
【図9】図8のIV−IV線による断面図である。
【図10】コイルバネが限界まで伸張した状態を示す図8に相当する断面図である。
【図11】図10のVI−VI線による断面図である。
【図12】収納棚の安定性試験を説明するための側面図である。
【図13】収納棚の別なる安定性試験を説明するための側面図である。
【図14】従来の転倒防止装置の設置状態を示す一部を破断した側面図である。
【図15】従来の別なる転倒防止装置の設置状態を示す一部を破断した正面図である。
【図16】従来の転倒防止部材の設置状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 収納棚(収納家具)
2 側板
5 アジャスタ脚(脚)
6 脚受け部材(下部の支持装置)
7a 孔部
8 転倒防止装置(上部の支持装置)
21 板状剛性部材
22 板状弾性部材
23 シート状滑り止め部材
31 カバー部材(上部部材)
32 ベース部材(下部部材)
34 コイルバネ(弾性部材、バネ部材)
35 バネ軸(ピン部材)
X 床面
Y 天井面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に載置される収納家具の転倒を防止するシステムであって、上記収納家具の下部と床面との間及び上記収納家具の上部と天井面との間にそれぞれ介在される支持装置を有し、かつこれらの支持装置は弾性部材を備えていることを特徴とする収納家具の転倒防止システム。
【請求項2】
収納家具は側板を有しており、下部の支持装置は上記側板の下端部と床面との間、上部の支持装置は上記側板の上端部と天井面との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項3】
収納家具は複数の脚を有しており、下部の支持装置は、上記脚を受ける剛性部材と、該剛性部材の下面に設けられた弾性部材とを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項4】
弾性部材の下面の床面に接する面に、滑り止め部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項5】
脚はアジャスタ脚であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項6】
上部の支持装置は、天井面に当接する上部部材と、収納家具の上面に当接する下部部材と、両部材間に介在するバネ部材とを有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項7】
収納家具の側板は上方に突出しており、上部の支持装置の上部部材は、上記側板の突出部に両側から係合することを特徴とする請求項6に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項8】
上部部材から上方に突出するピン部材が備えられていると共に、天井面側に上記ピン部材が係合する孔部が設けられていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項1】
床面に載置される収納家具の転倒を防止するシステムであって、上記収納家具の下部と床面との間及び上記収納家具の上部と天井面との間にそれぞれ介在される支持装置を有し、かつこれらの支持装置は弾性部材を備えていることを特徴とする収納家具の転倒防止システム。
【請求項2】
収納家具は側板を有しており、下部の支持装置は上記側板の下端部と床面との間、上部の支持装置は上記側板の上端部と天井面との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項3】
収納家具は複数の脚を有しており、下部の支持装置は、上記脚を受ける剛性部材と、該剛性部材の下面に設けられた弾性部材とを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項4】
弾性部材の下面の床面に接する面に、滑り止め部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項5】
脚はアジャスタ脚であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項6】
上部の支持装置は、天井面に当接する上部部材と、収納家具の上面に当接する下部部材と、両部材間に介在するバネ部材とを有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項7】
収納家具の側板は上方に突出しており、上部の支持装置の上部部材は、上記側板の突出部に両側から係合することを特徴とする請求項6に記載の収納家具の転倒防止システム。
【請求項8】
上部部材から上方に突出するピン部材が備えられていると共に、天井面側に上記ピン部材が係合する孔部が設けられていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の収納家具の転倒防止システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−158566(P2006−158566A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352352(P2004−352352)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
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